JP2016053280A - 木質系床材 - Google Patents

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Abstract

【課題】床材の踏み心地を阻害することなく、表面に衝撃荷重が作用しても、衝撃音に対する防音性を高めることができる木質系床材を提供する。
【解決手段】木質系床材1は、木質系基材2と、該木質系基材2の裏面2bに積層した衝撃緩衝材3と、衝撃緩衝材3の裏面3bに積層したシート材4とを少なくとも備える。シート材4には、衝撃緩衝材3側に向かって突出した複数の突起部42,42,…が形成されている。各突起部42は衝撃緩衝材3に埋設され、かつ、各突起部42の先端部と木質系基材2の裏面2bとの間に衝撃緩衝材3の一部からなる緩衝層31が形成されるように、シート材4が衝撃緩衝材3に積層されている。
【選択図】図5

Description

本発明は、木質系基材の裏面に衝撃緩衝材を積層した木質系床材に関する。
従来からコンクリートスラブ上に直接あるいはコンクリートスラブに敷設した捨て張り合板に対して木質系床材が敷設されている。木質系床材の表面に衝撃荷重が作用した際には、その表面から裏面に向かって衝撃音が伝播するので、このような衝撃音に対する防音性の観点から多くの木質系床材が提案されている。
たとえば、裏面に所定間隔で細幅の凹溝が形成された木質系基材と、その裏面側に、軟質発泡樹脂などの衝撃緩衝材を貼着した木質系床材が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。この木質系床材によれば、木質系床材の表面に衝撃荷重が作用した際に、衝撃緩衝材が圧縮変形することで衝撃荷重を吸収し、木質系床材の防音性を向上させることができる。また、細幅の凹溝の存在により、衝撃荷重が起因した衝撃音を凹溝内で吸収することができる。
また、この他にも、木質系床材と床下地面との間に配設される吸音下地材であって、樹脂繊維を用いて形成した不織布層と、不織布層の上に積層一体化される樹脂シートと、を備えた吸音下地材が提案されている(たとえば、特許文献2参照)。樹脂シートには、下方にある不織布層に向って突出し、不織布層に嵌入する多数の突起体が形成されている。この吸音下地材によれば、木質系床材の表面で発生した音は不織布層内の無数の微細空間内で吸音される。樹脂シートの突起体が不織布層に嵌入することにより、樹脂シート表面からの衝撃音を不織布層により一層吸音させることができる。
特開2007−198084号公報 特開2005−273274号公報
しかしながら、特許文献1に示す木質系床材では、衝撃緩衝材に防音効果をさらに担わせようとすると、衝撃緩衝材の厚さを厚くすることになるが、この場合、床材の踏み心地が阻害されることがある。
一方、特許文献2に示す如き、吸音下地材を用いれば、吸音下地材の不織布層により、木質系床材の防音性を高めることができる。しかしながら、吸音下地材の樹脂シートと木質系床材とは、たとえば接着剤で一体化されているため、木質系床材に衝撃荷重が作用しても、木質系床材は撓みにくく、撓みにより衝撃エネルギーを吸収することで、衝撃音に対する防音性を高めることは期待できない。
本発明は、このような点を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、床材の踏み心地を阻害することなく、表面に衝撃荷重が作用しても、衝撃音に対する防音性を高めることができる木質系床材を提供することにある。
発明者は、鋭意検討を重ねた結果、木質系床材の表面に衝撃荷重が作用したときに、衝撃緩衝材の圧縮変形と、木質系基材の撓み(変形)との双方の変形により、衝撃エネルギーを吸収することができれば、衝撃音に対する防音性を高めることができると考えた。この際、衝撃緩衝材の圧縮変形量が大きすぎると、床材表面を踏んだときに床材表面の沈み込みが大きくなるため、踏み心地が阻害されるが、衝撃緩衝材の圧縮変形量を制限した上で、木質系基材を撓ませることができれば、床材表面の踏み心地を確保しつつ、衝撃音に対する防音性を高めることができるとの新たな知見を得た。
本発明は、この新たな知見に基づくものであり、本発明に係る木質系床材は、木質系基材と、該木質系基材の裏面に積層した衝撃緩衝材と、該衝撃緩衝材の裏面に積層したシート材とを少なくとも備えた木質系床材であって、前記シート材には、前記衝撃緩衝材側に向かって突出した複数の突起部が形成されており、前記各突起部が前記衝撃緩衝材に埋設され、かつ、前記各突起部の先端部と前記木質系基材の前記裏面との間に前記衝撃緩衝材の一部からなる緩衝層が形成されるように、前記シート材が前記衝撃緩衝材に積層されている。
本発明によれば、木質系基材の表面に衝撃荷重が作用した際に、衝撃荷重を吸収するように衝撃緩衝材の緩衝層が部分的に圧縮変形する。この際、緩衝層が圧縮限界に達すると、木質系床材に作用した衝撃荷重は、各突起部の先端部で支持されるので、衝撃緩衝材の圧縮変形は制限される。この状態で、さらに衝撃荷重が作用しても、衝撃緩衝材を介して、離間して配置された突起部の先端部で木質系基材は支持されているため、木質系基材を局所的に撓ませることができる。
このような結果、木質系基材の表面に衝撃荷重が作用した際に、衝撃荷重を吸収するように衝撃緩衝材の緩衝層が部分的に圧縮変形し、木質系基材を撓ませることもできるので、木質系基材からの発生する衝撃音を抑えることができる。
また、床材表面を踏んだ際の荷重も各突起部の先端部で支持され、衝撃緩衝材のさらなる圧縮変形は制限されるので、木質系基材の沈み込み量は制限され、木質系床材の踏み心地は確保される。
さらに、各突起部が衝撃緩衝材に埋設され、突起部同士の間には、空隙(空間)が形成されていない、または、空隙(空間)がほとんど形成されていないので、荷重が繰り返し作用しても、衝撃緩衝材に向かって突起部がさらに入り込む(さらに埋め込まれる)ような現象は生じ難い。このような結果、衝撃緩衝材は、経時的に安定した圧縮変形を確保することができる。
木質系基材が撓みにより変形することができるのであれば、木質系基材の裏面の状態は特に限定されないが、より好ましくは、前記木質系基材の裏面には、複数の凹溝が形成されている。
この態様によれば、木質系基材の裏面に形成された凹溝により、木質系床材に荷重が作用したときに、木質系基材が撓み易くなる。特に、衝撃緩衝材の緩衝層が圧縮変形し、各突起部に支持された状態から、各突起部同士の間で、木質系基材をさらに撓ませ易くなる。
また、衝撃緩衝材は、圧縮変形後、元の状態に復元することができる、すなわち弾性変形可能な材質であれば、発泡樹脂、発泡ゴムなどの発泡材からなってもよい。しかしながら、より好ましくは、前記衝撃緩衝材は、不織布からなる。
この態様によれば、衝撃緩衝材がたとえば連続発泡樹脂等からなる場合には、これらは一体的に成形された衝撃緩衝材であるので、隣接する突起部近傍の緩衝材の変形は、相互に変形し難いように影響を及ぼし合うが、衝撃緩衝材が不織布からなるので、各突起部近傍の不織布は独立して圧縮変形することができる。これにより、突起部近傍の衝撃緩衝材をより好適に圧縮変形させることができる。
さらに、好ましい態様としては、前記複数の凹溝のうち、隣接する凹溝同士の間隔よりも、隣接する前記突起部同士の間隔の方が狭い。この態様によれば、凹溝同士の間には、必ず突起部が位置することになるので、凹溝同士の間で挟まれた木質系基材の部分の過剰な撓み(変形)を抑制し、局所的な木質系基材の沈み込みを回避することができる。
本発明によれば、床材の踏み心地を阻害することなく、表面に衝撃荷重が作用しても、衝撃音に対する防音性を高めることができる。
本発明の実施形態に係る木質系床材を表面側から見た模式的分解斜視図。 図1に示すシート材の部分拡大図。 図1に示す木質系床材の構造を説明するための模式図。 本発明の実施形態に係る木質系床材の裏面側から見た模式的分解斜視図。 (a)は、図1に示す木質系床材の一部の模式的断面図、(b)は、(a)に示す木質系床材に衝撃荷重が作用した状態の断面図、(c)は、(b)に示す木質系床材にさらなる衝撃荷重が作用した状態の断面図。 図5(c)の拡大図。
以下に図面に基づき、本発明に係る実施形態を説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る木質系床材を表面側から見た模式的分解斜視図であり、図2は、図1に示すシート材の部分拡大図、図3は、図1に示す木質系床材の構造を説明するための模式図である。図4は、本発明の実施形態に係る木質系床材の裏面側から見た模式的分解斜視図であり、図5(a)は、図1に示す木質系床材の一部の模式的断面図、(b)は、(a)に示す木質系床材に衝撃荷重が作用した状態の断面図、(c)は、(b)に示す木質系床材にさらなる衝撃荷重が作用した状態の断面図であり、図6は、図5(c)の拡大図である。
図1および図4に示すように、本実施形態に係る木質系床材1は、木質系基材2と、木質系基材2の裏面2bに積層した一対の衝撃緩衝材3,3と、各衝撃緩衝材3の裏面3bに積層した一対のシート材4,4とを少なくとも備えている。本実施形態では、各シート材4の裏面4bには、一対の裏打ち材5,5がさらに積層されており、裏打ち材5は必ずしも積層されなくてもよい。
1.木質系基材2について
木質系基材2は、表面化粧材21と木質系ベース材22とをたとえば貼着等により積層したものであり、表面化粧材21は必ずしも積層されなくてもよい。たとえば、表面化粧材21としては、化粧単板、化粧シート、挽き板、または突板などを挙げることができ、表面化粧材21の代わりに、木質系ベース材22の表面に化粧用の印刷、たとえば適宜下地処理後のUV硬化型インクジェット印刷やグラビア印刷等が施されていてもよい。
木質系ベース材22としては、合板、パーティクルボード(PB)、木質繊維板(MDF・インシュレーションボード・ハードボードなど)、配向性ストランドボード、OSB、LVL、集成材、無垢材などを挙げることができ、これらを熱処理・薬剤処理などをしたものであってもよく、これらを2種類以上積層した木質複合ベース材のようなものであってもよい。
また、図1および図3に示すように、木質系基材2(具体的には木質系ベース材22)の周縁には、雄実部23および雌実部24が形成されている。木質系床材1を床下地面に敷設する際に、隣接する木質系床材1,1同士の雄実部23と雌実部24を接合することにより、複数の木質系床材1を連結することができる。また、木質系基材2の表面2aから裏面2bまでの厚さ(見かけ上の厚さ)は、好ましくは6〜12mmであり、より好ましくは9mmである。
さらに、本実施形態では、木質系基材2の裏面2bに、複数の凹溝25,25,…が形成されている。複数の凹溝25,25,…は、木質系基材2の短手方向および長手方向に沿って、等間隔(等ピッチ)に形成されている。凹溝のピッチは、3〜1000mm、溝幅は、0.3〜10mm、深さ1〜10mmの範囲であることが好ましい。これにより、木質系床材1の表面(すなわち、木質系基材2の表面2a)に衝撃荷重等の荷重が作用した際に、木質系基材2を好適に撓ませることができる。
なお、本実施形態では、長手方向に沿った凹溝25と短手方向に沿った凹溝25が交差するように、複数の凹溝25,25,…を形成したが、上述した撓みの効果を期待することができるのであれば、いずれか一方の方向に沿ってのみ複数の凹溝が形成されていてもよく、短手方向および長手方向と交差する方向に沿って複数の凹溝が形成されていてもよく、各凹溝の幅、深さ等が異なっていてもよい。
2.衝撃緩衝材3について
衝撃緩衝材3は、木質系床材1の表面(すなわち、木質系基材2の表面2a)に衝撃荷重等の荷重が作用した際に、厚さ方向に復元可能に圧縮変形することにより、この荷重を吸収し、衝撃音を低減するものである。したがって、衝撃緩衝材3は、木質系基材2およびシート材4よりも圧縮変形しやすい材料または構造からなる。
本実施形態では、2つの衝撃緩衝材3,3が木質系基材2の裏面2bを覆い、かつ、2つの衝撃緩衝材3,3同士の間に間隙が形成されるように、木質系基材2の裏面2bに接着剤、粘着剤等を介して、木質系基材2に積層されている。なお、本実施形態では、2つの衝撃緩衝材3,3を用いたが、衝撃緩衝材が木質系基材2の裏面2bを覆うことができるのであれば、その個数は限定されるものではなない。
衝撃緩衝材3としては、たとえば連続気泡型の発泡材または不織布などからなる。衝撃緩衝材3が発泡材である場合には、たとえば、合成樹脂発泡材またはゴム発泡材を挙げることができる。合成樹脂発泡材として、たとえばポリエチレン系樹脂発泡材(例えば、ポリエチレン樹脂発泡材、ポリエチレンビニルアルコール樹脂発泡材、ポリエチレンビニルアセテート樹脂発泡材)、ポリスチレン系樹脂発泡材、ウレタン発泡材、これらの樹脂を2種以上配合した樹脂発泡材等を挙げることができる。ゴム発泡材として、たとえば合成ゴム発泡材、天然ゴム発泡材等を挙げることができる。
衝撃緩衝材3が不織布である場合には、不織布の原料または主原料に、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ナイロンを含むポリアミド系樹脂、綿、羊毛等の天然繊維等を挙げることができる。衝撃緩衝材3の厚さは、2〜7mmの範囲にあることが好ましい。
3.シート材4について
図1および図2に示すように、本実施形態では、2つ衝撃緩衝材3,3の各衝撃緩衝材3の裏面3bの形状に応じた2つのシート材4,4が、接着剤または粘着剤を介して各衝撃緩衝材3に積層されている。本実施形態では、2つの衝撃緩衝材3,3と同様に、2つのシート材4,4は、これらの間に間隙が形成されるように、衝撃緩衝材3,3の裏面3b,3bに貼着されている。このような間隙を設けることにより、衝撃緩衝材3が圧縮変形時に、一方のシート材4が一時的に変形しても、間隙を挟んで、一方のシート材4の縁部と他方のシート材4の縁部が接触することがないので、これらの接触音の発生を低減することができる。
本実施形態では、2つのシート材4,4を用いたが、2つのシート材4,4が2つ衝撃緩衝材3,3の裏面3b,3bを覆うのであれば、その個数は限定されるものではなく(1つまたは3つ以上であってもよく)、敷設する床下地面の状態、衝撃緩衝材およびシート材の材料の選定等により、隣接するシート材同士の接触音が発生しないのであれば、必ずしもシート材同士の間に間隙を設けなくてもよい。
さらに、図1および図2に示すように、シート材4は、シート状のベース部41と、ベース部41の表面に、衝撃緩衝材3側に向かって突出した複数の突起部42が形成されている。突起部42は、半球状であり、ベース部41の表面に等間隔に形成されている。突起部42を半球状とすることにより、突起部42の先端部がほとんど破損することなく、木質系床材1に作用する衝撃荷重等の荷重を安定して、その先端部(点接触に近い状態)で受けることができる。これにより、突起部42,42間における木質系基材2の部分を撓ませ易くすることができる。このような効果を期待することができるのであれば、本実施形態では、突起部42の形状を半球状としたが、たとえば円柱状、円錐状、角錐状、円錐台、角錐台状、などであってもよい。
また、本実施形態では、好ましい態様として、複数の凹溝25のうち、隣接する凹溝同士25の間隔S1よりも、隣接する突起部42,42同士の間隔S2の方が狭くなっている。また、本実施形態では、好ましい態様として、突起部42の幅W2は、上述した木質系基材2の凹溝25の幅W1よりも大きくなっている。
さらに、図3および図5(a)に示すように、各突起部42は衝撃緩衝材3に埋設され、かつ、各突起部42の先端部と木質系基材2の裏面2bとの間に衝撃緩衝材3の一部からなる緩衝層31が形成されるように、シート材4が衝撃緩衝材3に積層されている。
ここで、衝撃緩衝材3が発泡材である場合には、たとえば、突起部42が形成されたシート材4を準備し、熱融着等により、突起部42を衝撃緩衝材3に埋設することができる。一方、衝撃緩衝材3が不織布である場合には、たとえば、突起部42が形成されたシート材4を準備し、不織布である衝撃緩衝材3の裏面3bとシート材4の表面4aとのいずれか一方に接着剤、粘着剤等を塗布し、加圧することにより、突起部42を衝撃緩衝材3に埋設することができる。
シート材4の材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリスチレン共重合樹脂などのポリビニル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレートなどのポリエステル系樹脂、ポリアセタール、ポリフェニレンエーテル、芳香族ポリサルホン、ポリエーテル・ケトンなどのポリエーテル系樹脂、ナイロン6、ナイロン6−6、ナイロン11、ナイロン12などのポリアミド系樹脂等を挙げることができる。ベース部41の厚さは、その一例として0.5mmであり、このときの突起部42の高さは、たとえば1.5mmであることが好ましい。すなわち、ベース部41の厚さよりも、突起部42の高さの方が大きい。
4.裏打ち材5について
裏打ち材5は、シート材4の裏面4bを覆うように、接着剤または粘着剤を介してシート材4に貼着されている。図1および図4に示すように、本実施形態では、2つのシート材4,4の各シート材4の裏面4bの形状に応じた2つの裏打ち材5,5が、各シート材4の裏面4bに積層されている。裏打ち材5の材料としては、紙、不織布、生地(フェルトなど)であってもよいが、さらに、樹脂を付着させた不織布、生地(フェルトなど)、粘着性がある発泡材、ゴム、エラストマー、ゲルを用いてもよい。
5.積層方法(製造方法)について
本実施形態に係る木質系床材1を製造する際には、木質系基材2、一対の衝撃緩衝材3,3、一対のシート材4,4、および一対の裏打ち材5,5を順次、接着剤または粘着剤で積層した後に、床下地面に敷設することができる。また、床下地面ほぼ全面に、裏打ち材5、シート材4、衝撃緩衝材3の順にこれらを接着剤または粘着剤で積層し、次いで適宜の(単位)木質系基材2を順に接着剤または粘着剤で貼着してもよい。
また、別の方法としては、たとえば、衝撃緩衝材、シート材、および裏打ち材を積層した後、この積層体を所望の形状に切断後、木質系基材2の裏面2bにこの積層体を接着剤または粘着剤で積層した後、これを床下地面に接着ないし粘着して固定してもよく、この切断した積層体を床下地面に接着ないし粘着した後、この積層体の上に木質系基材2を接着剤または粘着剤で積層してもよい。
6.木質系床材1の作用効果について
本実施形態によれば、図5(b)に示すように、木質系床材1(具体的には木質系基材2の表面2a)に衝撃荷重が作用した際に、衝撃荷重を吸収するように衝撃緩衝材3の緩衝層31が部分的に復元可能に圧縮変形する。この際、緩衝層31が圧縮限界に達すると、木質系床材1に作用した衝撃荷重は、各突起部42,42の先端部で支持されるので、衝撃緩衝材3の圧縮変形は制限される。この状態で、図5(c)に示すように、さらに衝撃荷重が作用すると、衝撃緩衝材3を介して、離間して配置された突起部42,42の先端部で木質系基材2は支持されているため、木質系基材2を局所的に撓ませることができる。
特に、本実施形態では、木質系基材2の裏面2bに複数の凹溝25,25を設けたので、木質系床材1に荷重が作用したときに、木質系基材2が撓み易くなるので、衝撃緩衝材3の緩衝層31が圧縮変形し、圧縮限界に達してから、各突起部42,42同士の間で、木質系基材2をさらに撓ませ易くなる。
このような結果、木質系基材2の表面2aに衝撃荷重が作用した際に、衝撃荷重を吸収するように衝撃緩衝材3の緩衝層31が部分的に圧縮変形し、さらに、木質系基材2を撓ませることもできるので、木質系基材2から発生する衝撃音を抑えることができる。
特に、本実施形態では、木質系床材1に作用した衝撃荷重を各突起部42の先端部で受ける(点接触に近い状態で荷重を受ける)ので、衝撃緩衝材3の圧縮変形が制限されても、衝撃荷重による木質系基材2の撓み易さを、確保することができる。このような結果、上述したように、木質系基材2から発生する音を抑えることができる。
ここで、衝撃緩衝材3に発泡材を用いた場合には、これらは一体的に成形された衝撃緩衝材であるので、図6の白抜き矢印で示すように、隣接する突起部42近傍の衝撃緩衝材3の変形は、相互に変形し難いように影響を及ぼしあう。しかしながら、衝撃緩衝材3を不織布で構成すれば、各突起部42近傍の不織布は独立して圧縮変形させることができる。これにより、突起部42近傍の衝撃緩衝材3はより好適に圧縮変形させることができる。
また、図5(c)に示すように、衝撃緩衝材3の緩衝層31が圧縮限界まで圧縮変形した状態から、衝撃緩衝材3は圧縮変形し難い(衝撃緩衝材3の圧縮変形は制限される)。この結果、木質系床材1を踏んだ際に荷重が作用した場合であっても、床下地面に対する木質系基材2の表面2aの沈み込み量は制限されるので、木質系床材1の踏み心地を高めることができる。
また、各突起部42が衝撃緩衝材3に埋設され、突起部42,42同士の間には、空隙(空間)が形成されていない、または、空隙(空間)がほとんど形成されていないので、荷重が繰り返し作用しても、衝撃緩衝材3に向かって突起部42がさらに入り込む(さらに埋め込まれる)ような現象は生じ難い。このような結果、衝撃緩衝材3は、経時的に安定した圧縮変形を確保することができる。
また、本実施形態では、複数の凹溝25のうち、隣接する凹溝25,25同士の間隔S1よりも、隣接する突起部42,42同士の間隔S2の方を狭くしたので、凹溝25,25同士の間には、必ず突起部42が位置することになる。これにより、凹溝25,25同士の間で挟まれた木質系基材2の部分の過剰な撓み(変形)を抑制し、局所的な木質系基材2の沈み込みを回避することができる。
さらに、本実施形態では、突起部42の幅W2を、上述した木質系基材2の凹溝25の幅W1よりも大きくした。これにより、突起部42が凹溝25に入り込むことはなく、凹溝25による木質系基材2の撓み効果を確実に期待することができる。
以上、本発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更があっても、それらは本発明に含まれるものである。
たとえば、本実施形態では、好ましい態様として、木質系基材の裏面に複数の凹溝を設けたが、衝撃荷重により木質系基材が撓み、これにより衝撃音の発生を低減することができるのであれば、特に凹溝が形成されていなくてもよい。
また、本実施形態では、好ましい態様として、複数の凹溝のうち、隣接する凹溝同士の間隔よりも、隣接する突起部同士の間隔の方を狭くしたが、木質系床材の踏み心地が良い場合には、この関係を満たさなくてもよい。さらに、本実施形態では、突起部の幅を、上述した木質系基材の凹溝の幅よりも大きくしたが、木質系基材を好適に撓ませることができるのであれば、この関係を満たさなくてもよい。
1:木質系床材、2:木質系基材、3:衝撃緩衝材、21:表面化粧材、23:雄実部、24:雌実部、25:凹溝、31:緩衝層、4:シート材、42:突起部

Claims (4)

  1. 木質系基材と、該木質系基材の裏面に積層した衝撃緩衝材と、該衝撃緩衝材の裏面に積層したシート材とを少なくとも備えた木質系床材であって、
    前記シート材には、前記衝撃緩衝材側に向かって突出した複数の突起部が形成されており、
    前記各突起部が前記衝撃緩衝材に埋設され、かつ、前記各突起部の先端部と前記木質系基材の前記裏面との間に前記衝撃緩衝材の一部からなる緩衝層が形成されるように、前記シート材が前記衝撃緩衝材に積層されていることを特徴とする木質系床材。
  2. 前記木質系基材の裏面には、複数の凹溝が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の木質系床材。
  3. 前記衝撃緩衝材は、不織布からなることを特徴とする請求項1または2に記載の木質系床材。
  4. 前記複数の凹溝のうち、隣接する凹溝同士の間隔よりも、隣接する前記突起部同士の間隔の方が狭いことを特徴とする請求項2に記載の木質系床材。
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