以下に、本発明の一実施形態について、プリンター機能、コピー機能および送信機能(たとえば、FAX機能)などを搭載する複合機を例にとって説明する。
<複合機の全体構成>
図1に示すように、本実施形態の複合機100は、原稿搬送ユニット1が装着された画像読取部2と、印刷部3(給紙部4、用紙搬送部5、画像形成部6および定着部7)と、操作パネル8と、を備える。
原稿搬送ユニット1が装着された画像読取部2は、搬送読取用のコンタクトガラス20aおよび載置読取用のコンタクトガラス20bが嵌め込まれたフレーム(読取台)を有する。そして、画像読取部2は、コンタクトガラス20a上を通過する原稿Dを読み取る搬送読取、および、コンタクトガラス20b上にセットされた原稿Dを読み取る載置読取を行う。
原稿搬送ユニット1は、画像読取部2のフレームに開閉可能(回動可能)に取り付けられる。そして、コンタクトガラス20a上への原稿Dの搬送は、原稿搬送ユニット1が行う。具体的には、原稿搬送ユニット1は、原稿セットトレイ11、原稿排出トレイ12、給紙ローラー13および搬送ローラー対14を含む。また、原稿搬送ユニット1には、原稿セットトレイ11から搬送読取時の原稿読取位置であるコンタクトガラス20a上(以下、読取位置RPと称する)を経由して原稿排出トレイ12に至る原稿搬送路10が設けられる。
原稿セットトレイ11は、読み取り前の原稿Dがセットされるトレイであり、原稿排出トレイ12は、読み取り後の原稿Dが排出されるトレイである。給紙ローラー13および搬送ローラー対14は、原稿セットトレイ11にセットされた原稿Dを読取位置RPに搬送して原稿排出トレイ12に排出するためのものである。給紙ローラー13は、原稿搬送路10の最も上流側に配置され、原稿セットトレイ11にセットされた原稿Dを原稿搬送路10に供給する。搬送ローラー対14は、原稿搬送路10に沿って複数配置され、給紙ローラー13と共に原稿搬送路10に沿って原稿Dを搬送する。これら給紙ローラー13および搬送ローラー対14により原稿搬送路10に沿って搬送される原稿Dは、読取位置RPを通過し、最終的に原稿排出トレイ12に排出される。
この原稿搬送ユニット1には、原稿セットトレイ11での原稿Dの有無を検知するための原稿検知部材D1が設けられる。原稿検知部材D1は、たとえば、発光部、受光部、および、発光部と受光部との間を移動するとともに原稿Dがセットされる領域(原稿セットトレイ11上)に突出するアクチュエーターを有する光センサーである。原稿検知部材D1のアクチュエーターは、原稿セットトレイ11に原稿Dが有ると、原稿Dに押圧されて下方に移動し、発光部と受光部との間の光路を遮断(または、開放)する。一方で、原稿検知部材D1のアクチュエーターは、原稿セットトレイ11から原稿Dが無くなると、原稿Dによる押圧が解除されることで上方に移動し、発光部と受光部との間の光路を開放(または、遮断する)する。これにより、原稿セットトレイ11に原稿Dが有るときと無いときとで原稿検知部材D1の出力が変化する。そして、後述するスキャン制御部130(図2および図3参照)は、原稿検知部材D1の出力に基づき、原稿セットトレイ11に原稿Dがセットされたか否かを検知する。
また、画像読取部2は、ランプ21、イメージセンサー22、ミラー23およびレンズ24を含み、原稿Dを光学的に読み取る。これら画像読取部2の各部材は、画像読取部2のフレーム内に配置される。
ランプ21は、複数のLED素子を有し、原稿Dに照射する光を生成する。複数のLED素子は、図示しないが、主走査方向にライン状に配列される。そして、ランプ21は、搬送読取時には、コンタクトガラス20aに向けて光を照射する(コンタクトガラス20aを透過した光が原稿Dを照射する)。一方で、ランプ21は、載置読取時には、コンタクトガラス20bに向けて光を照射する(コンタクトガラス20bを透過した光が原稿Dを照射する)。原稿Dで反射された反射光は、ミラー23で反射され、レンズ24に導かれる。レンズ24は、反射光を集光する。
イメージセンサー22は、原稿Dで反射された反射光(レンズ24で集光された光)を受光することにより原稿Dをライン単位で読み取る。このイメージセンサー22は、主走査方向にライン状に並ぶ複数の光電変換素子を有するCCDからなり、反射光を受光すると、ライン単位で画素毎に光電変換して電荷を蓄積する。そして、イメージセンサー22は、蓄積電荷に応じたアナログ信号を出力する。すなわち、イメージセンサー22の画素毎のアナログ出力は、反射光の光量に応じて変化する。
ランプ21およびミラー23は、副走査方向に移動可能な保持部材25によって保持される。保持部材25は、ワイヤー26に連結される。このワイヤー26は、巻取ドラム27に巻回される。これにより、巻取ドラム27が回転することによって保持部材25が副走査方向に移動し、ランプ21およびミラー23が保持部材25と共に副走査方向に移動する。なお、搬送読取時には、保持部材25がコンタクトガラス20aの下方で静止する。載置読取時には、保持部材25が副走査方向(正面から見て左から右に向かう方向)に移動する。
この画像読取部2(フレーム内)には、原稿搬送ユニット1の開閉を検知するための開閉検知部材D2が設けられる。開閉検知部材D2は、たとえば、発光部、受光部、および、発光部と受光部との間を移動するとともに原稿搬送ユニット1側の領域に向かって突出するアクチュエーターを有する光センサーである。開閉検知部材D2のアクチュエーターは、原稿搬送ユニット1の傾きが所定角度よりも小さくなると、原稿搬送ユニット1により押圧されて下方に移動し、発光部と受光部との間の光路を遮断(または、開放)する。一方で、開閉検知部材D2のアクチュエーターは、原稿搬送ユニット1の傾きが所定角度よりも大きくなると、原稿搬送ユニット1による押圧が解除されることで上方に移動し、発光部と受光部との間の光路を開放(または、遮断)する。これにより、原稿搬送ユニット1が開閉されることによって開閉検知部材D2の出力が変化する。そして、後述するスキャン制御部130(図2および図3参照)は、開閉検知部材D2の出力に基づき、原稿搬送ユニット1の開閉を検知する。
また、印刷部3は、給紙部4、用紙搬送部5、画像形成部6および定着部7によって構成される。そして、印刷部3は、用紙搬送路30に沿って用紙Pを搬送し、たとえば、画像読取部2による原稿Dの読み取りによって得られた原稿Dの画像データに基づく画像を用紙Pに印刷して出力する。すなわち、印刷部3は、画像データに基づく出力を行う。なお、印刷部3は、「出力部」に相当する。
給紙部4は、用紙カセット41に収容された用紙Pを用紙搬送路30に供給する。この給紙部4は、ピックアップローラー42および給紙ローラー対43を含む。ピックアップローラー42は、用紙カセット41に収容された用紙Pを給紙ローラー対43の給紙ニップに送り、給紙ローラー対43は、給紙ニップに進入した用紙Pを用紙搬送路30に供給する。
用紙搬送部5は、用紙搬送路30に供給された用紙Pを転写ニップおよび定着ニップの順番で搬送し、排出トレイ51に排出する。この用紙搬送部5は、用紙搬送路30に沿って配置された搬送ローラー対52を複数含む。
画像形成部6は、画像データに基づきトナー像を形成し、そのトナー像を用紙Pに転写する。この画像形成部6は、感光体ドラム61、帯電装置62、露光装置63、現像装置64、転写ローラー65およびクリーニング装置66を含む。
画像形成時には、感光体ドラム61が回転し、その感光体ドラム61の表面を帯電装置62が所定電位に帯電させる。また、露光装置63は、感光体ドラム61の表面を走査露光し、感光体ドラム61の表面に静電潜像を形成する。現像装置64は、感光体ドラム61の表面に形成された静電潜像にトナーを供給して現像する。
転写ローラー65は、感光体ドラム61の表面に圧接し、感光体ドラム61との間で転写ニップを形成する。これにより、転写ニップに用紙Pが進入すると、感光体ドラム61の表面のトナー像が用紙Pに転写される。クリーニング装置66は、用紙Pへのトナー像の転写が終わると、感光体ドラム61の表面に残留するトナーなどを除去する。
定着部7は、用紙Pに転写されたトナー像を加熱および加圧して定着させる。定着部7は、加熱ローラー71および加圧ローラー72を含む。加熱ローラー71は、発熱源を内蔵する。加圧ローラー72は、加熱ローラー71に圧接し、加熱ローラー71との間で定着ニップを形成する。そして、トナー像が転写された用紙Pは、定着ニップを通過することにより、加熱および加圧される。
操作パネル8は、ジョブの設定を受け付けるとともに、ジョブの開始指示受け付ける。なお、操作パネル8は、「受付部」に相当する。この操作パネル8は、タッチパネル付きの液晶表示部81を含む。液晶表示部81は、ジョブの設定を受け付けるためのソフトキーやメッセージなどを表示する。また、操作パネル8には、スタートキー82やテンキー83などのハードキーも設けられる。スタートキー82は、ジョブの開始指示を受け付けるためのハードキーである。テンキー83は、ジョブの設定時に数値を入力するためのハードキーである。
<複合機のハードウェア構成>
図2に示すように、複合機100は、主制御部110(「制御部」に相当)を備える。主制御部110は、CPU111および画像処理部112を含み、制御用のプログラムやデータなどを格納する記憶部120と接続される。CPU111は、記憶部120に記憶された制御用のプログラムやデータに基づき、複合機100の各部の動作を制御する。画像処理部112は、画像処理専用のASICなどからなり、画像データに対して画像処理(拡大/縮小、濃度変換およびデータ形式変換など)を施す。
記憶部120は、ROM、RAMおよびHDDなどを含む。制御用のプログラムやデータは、ROMあるいはHDDに記憶され、RAMに読み出される。さらに、原稿Dの読み取りを伴うジョブが実行されると、後述する再出力用データ(画像データ)が記憶部120に一時的に保存される。なお、再出力用データについては後で詳細に説明する。
また、主制御部110は、スキャン制御部130と接続される。スキャン制御部130は、主制御部110から指示を受け、原稿搬送ユニット1の原稿搬送動作および画像読取部2の画像読取動作を制御する。
具体的には、図3に示すように、スキャン制御部130は、搬送モーターM1と接続され、給紙ローラー13および搬送ローラー対14を適切に回転させる。また、スキャン制御部130は、巻取モーターM2と接続され、巻取ドラム27を適切に回転させる。すなわち、スキャン制御部130は、ランプ21(保持部材25)を副走査方向に適切に移動させる。
スキャン制御部130には、ランプ21およびイメージセンサー22も接続される。そして、スキャン制御部130は、ランプ21およびイメージセンサー22の各動作を制御する。さらに、スキャン制御部130は、イメージセンサー22のアナログ出力を処理するため、アナログ処理部221、補正部222および画像メモリー223と接続される。アナログ処理部221は、増幅回路やA/D変換回路などを含み、イメージセンサー22のアナログ出力を増幅し、デジタルの画像データに変換して出力する。補正部222は、シェーディング補正などの補正を行う。画像メモリー223は、画像データを蓄積し、主制御部110(画像処理部112)に転送する。
また、スキャン制御部130は、原稿検知部材D1および開閉検知部材D2と接続される。スキャン制御部130は、原稿検知部材D1の出力に基づき原稿セットトレイ11での原稿Dの有無を検知し、開閉検知部材D2の出力に基づき原稿搬送ユニット1の開閉を検知する。原稿セットトレイ11での原稿Dの有無や原稿搬送ユニット1の開閉を検知すると、スキャン制御部130は、検知結果を主制御部110に通知する。そして、主制御部110は、スキャン制御部130から通知される検知結果に基づき、原稿搬送ユニット1への原稿Dのセットを検知するとともに、原稿搬送ユニット1の開閉を検知する。なお、スキャン制御部130を省略し、スキャン制御部130が行う制御を主制御部110に行わせるようにしてもよい。また、原稿検知部材D1および開閉検知部材D2の各検知部材を主制御部110に接続し、原稿搬送ユニット1への原稿Dのセットや原稿搬送ユニット1の開閉を主制御部110が直接検知するようにしてもよい。
図2に戻って、主制御部110には、通信部140が接続される。通信部140は、たとえば、外部のコンピューター200とネットワークを介して通信可能に接続される。これにより、コンピューター200から送信された画像データに基づき印刷を行うことができる(プリンタージョブ)。また、画像読取部2による原稿Dの読み取りによって得られた原稿Dの画像データをコンピューター200に送信することもできる(送信ジョブ)。
また、通信部140は、モデムも含み、電話回線などのネットワークを介して、外部のファクシミリ300とファクシミリ通信する。たとえば、通信部140は、画像読取部2による原稿Dの読み取りによって得られた原稿Dの画像データに基づくファクシミリデータをファクシミリ300に送信する(送信ジョブ)。さらに、通信部140は、携帯型メモリー400(USBメモリーやメモリーカードなど)を接続するためのコネクターを含む。そして、通信部140は、携帯型メモリー400から画像データを受信する。あるいは、通信部140は、画像読取部2による原稿Dの読み取りによって得られた原稿Dの画像データを携帯型メモリー400に送信する(送信ジョブ)。
このように、通信部140は、画像読取部2による原稿Dの読み取りによって得られた原稿Dの画像データを送信データとし、外部機器に対してデータ送信を行う。すなわち、通信部140は、画像データに基づく出力を行う。なお、通信部140は、「出力部」に相当する。また、コンピューター200、ファクシミリ300および携帯型メモリー400は、「外部機器」に相当する。
また、主制御部110には、操作パネル8が接続される。そして、主制御部110は、操作パネル8の表示動作を制御したり、操作パネル8に対して行われた操作を検知したりする。たとえば、主制御部110は、ジョブの設定の受け付けるための設定画面SS(図4参照)を操作パネル8に表示させる。また、主制御部110は、操作パネル8がジョブの開始指示(スタートキー82を押す操作)を受け付けると、複合機100の各部に指示を与え、ジョブを開始させる。
<所定ジョブの設定>
複合機100は、原稿Dの読み取りを伴うジョブ(以下、所定ジョブと称する場合がある)として、コピージョブや送信ジョブの実行が可能となっている。そして、これら所定ジョブの実行に際して、操作パネル8は、図4に示すような設定画面SSを表示し、所定ジョブの設定を受け付ける。なお、図4には、一例として、コピージョブの設定を受け付けるための画面を図示している。
コピージョブの設定画面SSには、コピージョブの実行に際して設定値の変更(デフォルト値からの変更)が可能な設定項目に対応する設定項目キーSK(ソフトキー)が配される。また、設定項目キーSKの表示領域内には、対応する設定項目の現時点の設定値が示される。図4には、一例として、用紙選択、縮小/拡大、濃度、ページ集約、読取解像度、および、原稿サイズの各設定項目にそれぞれ対応する複数の設定項目キーSKが配された設定画面SSを図示している。
操作パネル8は、設定項目キーSKに対するタッチ操作が行われると、図示しないが、設定値入力画面を表示する。この設定値入力画面では、タッチした設定項目キーSKに対応する設定項目の設定値を入力することができる。すなわち、デフォルト値を所望値に変更することができる。そして、設定値入力画面にて設定値の入力がなされ、設定値入力画面内に配置されたソフトキーである確定キー(図示せず)に対するタッチ操作が行われると、操作パネル8は、表示画面を設定画面SSに戻す。このとき、設定対象となった設定項目に対応する設定項目キーSKの表示表域内には、設定値入力画面にて入力された設定値が示される。これにより、設定値入力画面での設定が確定する。その後、操作パネル8のスタートキー82に対する押下操作を行うと、設定画面SS(その下位階層の設定値入力画面)で設定した内容に基づきコピージョブが実行される。
なお、コピージョブの実行に際して設定値の変更が可能な設定項目としては、他にも多数ある。このため、設定画面SSには、図示しないが、項目切替キー(ソフトキー)が配される。そして、項目切替キーに対するタッチ操作を行うと、他の設定項目に対応する設定項目キーが配された画面に切り替わる。
また、図示しないが、操作パネル8は、所定ジョブとしての送信ジョブの設定を受け付けるときにも、送信ジョブの設定を受け付けるための設定画面を表示する。たとえば、送信ジョブの設定画面では、送信データのファイル形式や画質(圧縮率)などの設定を行える。
<所定ジョブの実行時の処理>
所定ジョブ(原稿Dの読み取りを伴うジョブ)の実行時には、ユーザーにより、画像読取部2のコンタクトガラス2b上に原稿Dがセットされる。あるいは、原稿搬送ユニット1の原稿セットトレイ11に原稿Dがセットされる。そして、操作パネル8のスタートキー82が押下される。
主制御部110は、スタートキー82に対する押下操作を検知すると、スキャン制御部130に指示し、画像読取部2による原稿Dの読み取りを行わせる。なお、スキャン制御部130は、原稿セットトレイ11に原稿Dがセットされていれば、原稿搬送ユニット1に原稿Dの搬送を行わせ、原稿搬送ユニット1にて搬送される原稿Dの読み取りを画像読取部2に行わせる。
また、画像読取部2による原稿Dの読み取りによって得られた原稿Dの画像データは、主制御部110(画像処理部112)に転送され、画像処理部112によって各種画像処理が行われる。そして、所定ジョブがコピージョブの場合、主制御部110は、画像処理後の画像データに基づく画像の印刷出力を印刷部3に行わせる。また、所定ジョブが送信ジョブの場合、主制御部110は、通信部140に指示し、外部機器(コンピューター200、ファクシミリ300および携帯型メモリー400など)に対して、画像処理後の画像データを送信データとするデータ送信を行わせる。
ここで、再コピー(お試しコピーと称される場合もある)の実行を所望するユーザーの要望に対応するため、再コピー機能を画像形成装置に搭載することがある。再コピー機能を搭載する画像形成装置において、再コピー機能を利用するには、たとえば、前以て、再コピー機能を利用するための操作を行わなければならない。この場合には、コピージョブの実行に際して、行うべき操作が増えるので、ユーザーにとっては煩わしい。
そこで、主制御部110は、ユーザーからの指示(操作パネル8に対する指示操作)が特になくても、所定ジョブを実行すると(画像読取部2による原稿Dの読み取りによって原稿Dの画像データが生成されると)、画像読取部2により生成された原稿Dの画像データを再出力用データとして記憶部120に自動的に保存する。たとえば、再出力用データは、画像処理部112が画像処理を行う前の画像データである。
また、主制御部110は、再出力用データを記憶部120に保存した後、再出力用データを消去するトリガーとして予め定められたトリガー操作が行われるまで、再出力用データを記憶部120に記憶させ続ける。言い換えると、主制御部110は、トリガー操作が行われると、記憶部120から再出力用データを消去させる。なお、トリガー操作については後で詳細に説明する。
そして、主制御部110は、所定ジョブが終了してから、トリガー操作が行われるまでの間に、操作パネル8が所定ジョブの開始指示を受け付けると、記憶部120に記憶された再出力用データを読み出す。また、主制御部110は、再出力用データに対する画像処理を画像処理部112に行わせる。すなわち、このときには、画像読取部2による原稿Dの読み取りは行われない。
その後、所定ジョブがコピージョブの場合、主制御部110は、印刷部3に指示し、再出力用データ(画像処理後の画像データ)に基づく画像の印刷出力を行わせる。また、所定ジョブが送信ジョブの場合、主制御部110は、通信部140に指示し、再出力用データ(画像処理後の画像データ)を送信データとするデータ送信を行わせる。
これにより、所定ジョブがコピージョブの場合には、前回の所定ジョブの実行時に印刷出力された画像と同じ画像が印刷出力される。また、所定ジョブが送信ジョブの場合には、前回の所定ジョブの実行時に送信対象となった画像データと同じ画像データが送信対象となる。
<再出力用データの消去>
主制御部110は、所定ジョブの開始指示を操作パネル8が受け付けると、記憶部120に再出力用データが残っているか否かを判断する。この判断の結果、記憶部120に再出力用データが残っていれば、主制御部110は、記憶部120から再出力用データを読み出し、再出力用データに基づき所定ジョブを実行させる。言い換えると、記憶部120に再出力用データが残っている間は、別の原稿Dを読取対象とした所定ジョブを行えない。このため、別の原稿Dを読取対象とした所定ジョブを行うには、記憶部120から再出力用データを消去する必要がある。
ここで、主制御部110は、所定ジョブを実行すると、自動的に、画像読取部2による原稿Dの読み取りによって得られた原稿Dの画像データを再出力用データとして記憶部120に保存する。これにより、再コピー(お試しコピー)を所望するユーザーが行う操作を減らすようにしている。しかし、記憶部120から再出力用データを消去するための専用の操作が別途必要になってしまうと、ユーザーの利便性が悪くなる。
また、所定ジョブを実行したユーザーが再出力用データを消し忘れ、その後、別のユーザーがそのまま所定ジョブを実行する場合がある。この場合、先のユーザーが読取対象としてセットしていた原稿Dの画像が印刷されたり、原稿Dの画像データが送信データとして送信されたりする。このため、先のユーザーの原稿Dに記載された情報が外部に漏れてしまうので、セキュリティーの観点から好ましくない。
そこで、主制御部110は、所定ジョブの終了後、再出力用データを消去するトリガーとして予め定められたトリガー操作が行われたことを検知すると、記憶部120から再出力用データを消去させる。たとえば、所定ジョブの終了後、ユーザーが複合機100から立ち去るときに通常行う操作がトリガー操作とされる。あるいは、所定ジョブの終了後、ユーザーが別の所定ジョブを開始するときに通常行う操作がトリガー操作とされる。
たとえば、所定ジョブの終了後、ユーザーが複合機100から立ち去るとき、原稿Dを取り除くため、ユーザーによって原稿搬送ユニット1が開閉される。あるいは、所定ジョブの終了後、ユーザーが別の所定ジョブを開始するとき、ユーザーによって原稿搬送ユニット1が開閉され、原稿Dの交換がなされる。したがって、主制御部110は、所定ジョブの終了後、原稿搬送ユニット1を開閉する操作が行われたことを検知すると、トリガー操作が行われたと判断して、記憶部120から再出力用データを消去させる。
ところで、所定ジョブの実行に際して原稿搬送ユニット1が使用された場合には、所定ジョブが終了してユーザーが複合機100から立ち去るときであっても、原稿搬送ユニット1は開閉されない。したがって、再出力用データは記憶部120に記憶され続ける。しかし、次に別のユーザーが所定ジョブを実行するときに、原稿Dをセットするために原稿搬送ユニット1を開閉すると、そのときの原稿搬送ユニット1の開閉操作がトリガー操作として検知され、再出力用データが記憶部120から消去される。したがって、当該ユーザーが所定ジョブを実行するときには、記憶部120に再出力用データが残っていない状態となる。
ただし、当該ユーザーも所定ジョブの実行に際して原稿搬送ユニット1を使用する場合がある。この場合には、原稿搬送ユニット1に原稿Dがセットされるので、原稿搬送ユニット1は開閉されない。このため、主制御部110は、所定ジョブの終了後、原稿搬送ユニット1に原稿Dをセットする操作が行われたことを検知すると、トリガー操作が行われたと判断して、記憶部120から再出力用データを消去させる。あるいは、原稿搬送ユニット1に原稿Dをセットしてから操作パネル8に対して所定ジョブの開始を指示するまでの一連の操作をトリガー操作としてもよい。
また、ユーザーによっては、所定ジョブの終了後、原稿Dを交換せず、画像読取部2による原稿Dの読み取りに関する設定項目の設定値(設定内容)を変更する場合がある。なお、原稿Dの読み取りに関する設定項目としては、読取解像度、原稿サイズおよび原稿画質などがある。たとえば、再コピーにおいて、試しに印刷した画像に問題があれば、原稿Dはそのままで、原稿Dの読み取りに関する設定が変更されることがある。
このように原稿Dの読み取りに関する設定が変更された場合、記憶部120に記憶された再出力用データは設定変更前の設定で原稿Dを読み取って得た原稿Dの画像データであるので、再出力用データを再利用することはできない。すなわち、記憶部120から再出力用データを消去し、設定変更後の設定で原稿Dを読み取って原稿Dの画像データを新たに生成する必要がある。
この場合、原稿搬送ユニット1を使用して所定ジョブを実行するのであれば、原稿搬送ユニット1に原稿Dが再セットされる。したがって、原稿搬送ユニット1に原稿Dを再セットする操作がトリガー操作として検知され、記憶部120から再出力用データが消去される。しかし、画像読取部2のコンタクトガラス2b上にセットされた原稿Dをそのまま読取対象とするときには、原稿搬送ユニット1の開閉も行われないし、原稿搬送ユニット1への原稿Dの再セットも行われない。
このため、主制御部110は、所定ジョブの終了後、原稿Dの読み取りに関する設定を操作パネル8に対して行う操作を検知すると、トリガー操作が行われたと判断し、記憶部120から再出力用データを消去させる。なお、主制御部110は、原稿Dの読み取りに関する設定操作以外の設定操作が操作パネル8に対して行われても、その設定操作をトリガー操作として検知しない。
たとえば、コピージョブでは、印刷部3による印刷出力に関する設定操作はトリガー操作として検知しない。図4に示した設定項目を例にとると、読取解像度および原稿サイズの各設定項目の設定値を設定する操作はトリガー操作となるが、用紙選択、縮小/拡大、濃度およびページ集約の各設定項目の設定値を設定する操作はトリガー操作とはならない。また、コピー部数を設定する操作についても、その操作はトリガー操作とはならない。したがって、コピージョブの終了後、用紙サイズを変更したり、コピー部数を変更したりしても、記憶部120からは再出力用データは消去されない。このため、出力結果の確認用に1部だけ試しコピーを行い、その後でコピー部数を増やしてコピーを行うとき、コピー部数だけを変更していれば、再出力用データに基づくコピージョブが実行されることになる。
また、送信ジョブでは、送信先(アドレス)を設定する操作はトリガー操作として検知しない。したがって、送信ジョブの終了後、その送信ジョブで設定した送信先とは別の送信先に同じ画像データを送信するとき、送信先だけを変更していれば、再出力用データに基づく送信ジョブが実行されることになる。
以下に、図5に示すフローチャートを参照し、所定ジョブの実行時の処理の流れを説明する。
図5に示すフローチャートのスタート時点では、記憶部120に再出力用データが保存されていないとする。また、画像読取部2のコンタクトガラス2bまたは原稿搬送ユニット1の原稿セットトレイ11に原稿Dがセットされているとする。そして、その状態で、所定ジョブの開始指示を受け付けたとき(操作パネル8のスタートキー82が押されたとき)、図5に示すフローチャートがスタートする。
所定ジョブの開始指示を受け付けると、ステップS1において、主制御部110は、複合機100の各部に指示し、所定ジョブを実行させる。なお、この時点では、記憶部120には再出力用データが保存されていない。したがって、画像読取部2は、原稿Dの読み取りを行い、原稿Dの画像データを生成する。そして、このとき、原稿搬送ユニット1に原稿Dがセットされていれば、原稿搬送ユニット1は、原稿Dを搬送し、画像読取部2は、原稿搬送ユニット1により搬送される原稿Dを読み取って原稿Dの画像データを生成する。
その後、所定ジョブがコピージョブの場合、印刷部3は、画像読取部2による原稿Dの読み取りによって得られた原稿Dの画像データに基づく印刷出力を開始する。また、所定ジョブが送信ジョブの場合、通信部140は、画像読取部2による原稿Dの読み取りによって得られた原稿Dの画像データを送信データとするデータ送信を開始する。
続いて、ステップS2において、主制御部110は、画像読取部2による原稿Dの読み取りによって得られた原稿Dの画像データを再出力用データとして記憶部120に記憶させる。そして、ステップS3において、主制御部110は、所定ジョブが終了したか否かを判断する。その結果、所定ジョブが終了していれば、ステップS4に移行し、所定ジョブが終了していなければ、ステップS3の判断を繰り返す。
ステップS4に移行すると、主制御部110は、トリガー操作を検知したか否かを判断する。その結果、トリガー操作が行われていれば、ステップS5に移行する。そして、ステップS5に移行すると、主制御部110は、記憶部120から再出力用データを消去させる。
一方で、ステップS4において、トリガー操作が行われていないと主制御部110が判断した場合には、ステップS6に移行する。ステップS6に移行すると、主制御部110は、所定ジョブの開始指示を受け付けたか否かを判断する。その結果、所定ジョブの開始指示を受け付けていれば、ステップS7に移行し、所定ジョブの開始指示を受け付けていなければ、ステップS4に移行する。
ステップS7に移行すると、主制御部110は、複合機100の各部に指示し、記憶部120に記憶された再出力用データに基づく所定ジョブを実行させる。すなわち、所定ジョブがコピージョブの場合、印刷部3により再出力用データに基づく出力が行われる。また、所定ジョブが送信ジョブの場合、通信部140により再出力用データに基づく出力が行われる。なお、このとき、画像読取部2は、原稿Dの読み取りを行わない。そして、その後、ステップS3に移行する。
本実施形態の複合機100(画像形成装置)は、上記のように、原稿Dの読み取りを伴う所定ジョブの設定を受け付けるとともに、所定ジョブの開始指示を受け付ける操作パネル8(受付部)と、操作パネル8が所定ジョブの開始指示を受け付けると、セットされた原稿Dを読み取って原稿Dの画像データを生成する画像読取部2と、画像読取部2による原稿Dの読み取りによって得られた原稿Dの画像データに基づく出力を行う印刷部3(出力部)および通信部140(出力部)と、所定ジョブの実行時に画像読取部2により生成された原稿Dの画像データを再出力用データとして記憶する記憶部120と、再出力用データを消去するトリガーとして予め定められたトリガー操作が行われたか否かの検知を行い、所定ジョブの終了後、トリガー操作が行われたと判断するまで、再出力用データを記憶部120に記憶させ続ける主制御部110(制御部)と、を備える。この構成において、主制御部110は、所定ジョブの終了後、画像読取部2にセットされた原稿Dを除去する操作、または、画像読取部2による原稿Dの読み取りに関する設定を操作パネル8に対して行う操作を検知すると、トリガー操作が行われたと判断し、再出力用データを記憶部120から消去させる。そして、所定ジョブが終了してから、主制御部110によりトリガー操作が行われたと判断されるまでの間に、操作パネル8が所定ジョブの開始指示を受け付けたとき、画像読取部2は、原稿Dの読み取りは行わず、印刷部3または通信部140は、再出力用データに基づく出力を行う。なお、印刷部3は、画像読取部2による原稿Dの読み取りによって得られた原稿Dの画像データに基づく画像を用紙Pに印刷して出力する。通信部140は、画像読取部2による原稿Dの読み取りによって得られた原稿Dの画像データを送信データとして外部機器に送信する。
本実施形態では、所定ジョブの実行時に画像読取部2で生成した原稿Dの画像データを再出力用データとして記憶部120に記憶させる。そして、所定ジョブの終了後、トリガー操作が行われることなく所定ジョブの開始指示を操作パネル8が受け付けると、前回(直近)の所定ジョブの実行時に読取対象となっていた原稿Dの画像データ(記憶部120に記憶された再出力用データ)に基づく出力を行う。したがって、ユーザーからすると、所定ジョブの終了後、トリガー操作を行うことなく所定ジョブの開始指示を操作パネル8に対して行うだけで、前回の所定ジョブで得られた出力結果と同じ出力結果を今回の所定ジョブでも得ることができる(たとえば、再コピーを行うことができる)ので、利便性が良い。さらに、再出力用データに基づく出力時には、画像読取部2による原稿Dの読み取りは行われない。このため、消費電力を低減することができるとともに、静音性も向上する。
また、本実施形態では、所定ジョブの終了後、別の原稿Dを読取対象とした所定ジョブを実行するときには、前回の所定ジョブで読取対象となっていた原稿Dを除去すると、記憶部120から再出力用データが消去される。あるいは、所定ジョブの終了後、原稿Dはそのままで、原稿Dの読み取りに関する設定を変更して所定ジョブを実行するときには、原稿Dの読み取りに関する設定を変更すると、記憶部120から再出力用データが消去される。これにより、意図していないにもかかわらず、今回の所定ジョブで得られる出力結果が前回の所定ジョブで得られた出力結果と同じになってしまうという不都合が発生するのを抑制することができる。
さらに、再出力用データを消去するために専用の操作が必要であれば、所定ジョブの終了後に再出力用データの消し忘れが発生する恐れがあるが、本実施形態では、所定ジョブの終了後、複合機100から立ち去るときに原稿Dを除去すると、記憶部120から再出力用データが消去される。これにより、再出力用データに基づく出力が他のユーザーによって行われるのを抑制することができる。すなわち、原稿Dに記載の情報が他のユーザーに漏洩するのを抑制することができる。
また、本実施形態では、上記のように、画像読取部2は、原稿Dがセットされるコンタクトガラス2bと、開閉可能に設置され、コンタクトガラス2bにセットされた原稿Dの読み取り時には原稿Dを押える原稿搬送ユニット1(開閉部材)と、原稿搬送ユニット1の開閉に応じて出力を変化させる開閉検知部材D2と、を含む。そして、主制御部110は、所定ジョブの終了後、開閉検知部材D2の出力に基づき原稿搬送ユニット1の開閉を検知したとき、トリガー操作が行われたと判断する。これにより、画像読取部2(コンタクトガラス2b)にセットされた原稿Dを除去する操作が行われたとき、容易に、その操作を検知し、トリガー操作が行われたと判断することができる。
また、本実施形態では、上記のように、画像読取部2のコンタクトガラス2a(原稿読取位置)に原稿Dを自動搬送する原稿搬送ユニット1が設けられている場合、主制御部110は、所定ジョブの終了後、原稿搬送ユニット1に原稿Dをセットする操作、または、原稿搬送ユニット1に原稿Dをセットしてから操作パネル8に対して所定ジョブの開始を指示する操作を検知したときにも、トリガー操作が行われたと判断する。これにより、所定ジョブの実行に際して原稿搬送ユニット1の使用が可能であっても(原稿搬送ユニット1が開閉されなくても)、記憶部120に再出力用データが保存されたまま放置されるのを抑制することができる。
また、本実施形態では、上記のように、主制御部110は、コピージョブ(所定ジョブ)の終了後、印刷部3による印刷出力に関する設定を操作パネル8に対して行う操作を検知しても、トリガー操作が行われたと判断しない。これにより、コピージョブの終了後、印刷出力に関する設定を変更しても、記憶部120に再出力用データを記憶させ続けることができる。
今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
たとえば、上記実施形態では、原稿搬送ユニット1が画像読取部2に装着された場合について説明したが、原稿搬送ユニット1が画像読取部2に装着されない場合もある。この場合には、載置読取用のコンタクトガラス20bにセットされた原稿Dを押えるため、画像読取部2に原稿押え部材が開閉可能に装着される。そして、原稿搬送ユニット1に代えて原稿押え部材が画像読取部2に装着された構成では、主制御部110は、所定ジョブの終了後、原稿押え部材を開閉する操作が行われたことを検知すると、トリガー操作が行われたと判断して、記憶部120から再出力用データを消去させる。なお、原稿押え部材は「開閉部材」に相当する。