JP2016048609A - ニッケル水素電池用負極およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】気体水素を消費して放電するニッケル水素電池の負極材料に、高価な白金や水素吸蔵合金等を用いることなく低コストでの放電を可能にする方法の提供。
【解決手段】気体水素を消費して放電反応を行うニッケル水素電池用負極2であって、負極材料として円相当径で粒径が2〜10μmのニッケル粉末を備えるニッケル水素電池用負極2とし、その製造工程では、円相当径で粒径2〜10μmのニッケル粉末と導電助材とを混練して負極材料を得る工程と、前記負極材料を多孔体ニッケルに付着させる工程と、を有することで、低コストのニッケル粉末の表面積が増大し、気体水素を放電させるための触媒として有効に機能することができるニッケル水素電池用負極2の製造方法。
【選択図】図1
【解決手段】気体水素を消費して放電反応を行うニッケル水素電池用負極2であって、負極材料として円相当径で粒径が2〜10μmのニッケル粉末を備えるニッケル水素電池用負極2とし、その製造工程では、円相当径で粒径2〜10μmのニッケル粉末と導電助材とを混練して負極材料を得る工程と、前記負極材料を多孔体ニッケルに付着させる工程と、を有することで、低コストのニッケル粉末の表面積が増大し、気体水素を放電させるための触媒として有効に機能することができるニッケル水素電池用負極2の製造方法。
【選択図】図1
Description
この発明は、気体水素を消費して放電反応を行うニッケル水素電池用負極およびその製造方法に関するものである。
近年、非常用電源等に使用することなどを目的として定置型の大型電池の需要が高まっている。大容量の電力を供給できる二次電池としては、鉛蓄電池やニッケル水素電池、リチウムイオン電池が挙げられるが、これらの電池は重量やコスト、安全性の面で大型化するのが難しいのが現状である。この中でニッケル水素電池は負極に水素吸蔵合金、正極に水酸化ニッケルを用いた電池であり、鉛蓄電池よりも軽量である。また水系の電解質を用いることから、リチウムイオン電池よりも安全性の面で優れる。しかしニッケル水素電池は、負極の水素吸蔵合金の価格が高く、大型化するとそれだけコストと重量が増大してしまい、高容量のニッケル水素電池を製造するにあたり大きな問題がある。一方、特許文献1〜3では、正極に水酸化ニッケル、負極に周知の燃料電池水素極を用いる電池を提唱している。これは負極活物質である水素をガスの状態で電池内部に蓄積するもので、人工衛星用など限られた用途を視野に入れたものである。
しかし、特許文献1〜3で使用される電池では、気体水素を活物質として使用するため負極の重量を軽減することができるが、負極に高価な白金を触媒として用いるために根本的なコスト低下は難しいといった問題がある。また、特許文献4では水素吸蔵合金やニッケル粉末を燃料電池の負極触媒として用いる解決方法を提唱しているが、ここでは粒径を100オングストローム未満と限定し、特別な前処理を行うものとしている。この手法では原料コストに微粉末作製と触媒化のコストが付加されるために、根本的に安価な電池を製造できていない。
以上のように、従来の電池では大型化に伴う重量とコストの問題を同時に解決することができないという問題がある。
以上のように、従来の電池では大型化に伴う重量とコストの問題を同時に解決することができないという問題がある。
本願発明は、上記事情を背景としてなされたものであり、軽量かつ低コストの電池を開発するもので、気体水素を消費して放電するニッケル水素電池の負極に白金も水素吸蔵合金も用いない負極を提供することを基本的な目的とし、粒径2μm以上と従来技術よりも大きなニッケル粉末を主要構成材料とすることにより、ニッケル粉末の触媒作用で気体水素による充放電を高効率にて進めることを可能とし、同時に負極の原料コストと製造コストを大幅に低減でき、軽量で大容量化できる電池用負極、ニッケル水素電池および電池用負極の製造方法を提供することを目的としている。
すなわち、本発明のニッケル水素電池用負極のうち、第1の本発明は、気体水素を消費して放電反応を行うニッケル水素電池用負極であって、
負極材料として円相当径で粒径が2μm以上で10μm以下のニッケル粉末を備えることを特徴とする。
負極材料として円相当径で粒径が2μm以上で10μm以下のニッケル粉末を備えることを特徴とする。
第2の本発明のニッケル水素電池用負極は、前記第1の本発明において、気体水素を収容する収納室を有し、前記ニッケル粉末との間で前記気体水素の吸放出がなされるように前記収納室が設置されていることを特徴とする。
第3の本発明のニッケル水素電池用負極は、前記第1または第2の本発明において、気体水素供給源との間で前記気体水素を移動させて前記ニッケル粉末と接触させる水素移動路を有することを特徴とする。
第4の本発明のニッケル水素電池用負極は、前記第1〜第3の本発明のいずれかにおいて、前記ニッケル粉末が多孔体ニッケルに担持されていることを特徴とする。
第5の本発明のニッケル水素電池用負極は、前記第1〜第4の本発明のいずれかにおいて、前記多孔質ニッケルは、さらに、導電助材を担持していることを特徴とする。
第6の本発明のニッケル水素電池は、前記第1〜第5の本発明のいずれかに記載の負極と、正極とを有することを特徴とする。
第7の本発明のニッケル水素電池用負極の製造方法は、気体水素を消費して放電反応を行うニッケル水素電池用負極の製造方法であって、
円相当径で粒径2μm以上、10μm以下のニッケル粉末と導電助材とを混練して負極材料を得る工程と、前記負極材料を多孔体ニッケルに付着させる工程と、を有することを特徴とする。
円相当径で粒径2μm以上、10μm以下のニッケル粉末と導電助材とを混練して負極材料を得る工程と、前記負極材料を多孔体ニッケルに付着させる工程と、を有することを特徴とする。
第8の本発明のニッケル水素電池用負極の製造方法は、前記請求項7の本発明において、前記負極材料を付着させた多孔体ニッケルを圧延し、乾燥する工程を有することを特徴とする。
以上のように、この発明によればニッケル粉末をそのまま気体水素を充放電に用いるニッケル水素電池の負極として用いることができるので、負極製造コストを劇的に下げることができる。
気体水素を放電させるための触媒としてはニッケルが反応性とコストの両面で優れており、これを粉末として用いることで気体水素と反応できる表面積が増加する。ただし金属を微粉化する工程は粒子が細かくなればなるほど製造コストが高くなる。このため気体水素との反応性とコストの両面から考えると、ニッケル粉末の粒径は2μm〜3μm以上がベストと考えられる。このサイズのニッケル粒子であれば、担体に均一分散させる工程は必要なくそのまま負極に塗布できる。
気体水素を放電させるための触媒としてはニッケルが反応性とコストの両面で優れており、これを粉末として用いることで気体水素と反応できる表面積が増加する。ただし金属を微粉化する工程は粒子が細かくなればなるほど製造コストが高くなる。このため気体水素との反応性とコストの両面から考えると、ニッケル粉末の粒径は2μm〜3μm以上がベストと考えられる。このサイズのニッケル粒子であれば、担体に均一分散させる工程は必要なくそのまま負極に塗布できる。
以下に、本発明の一実施形態を添付図面を参照しつつ説明する。
負極に使用する材料として、円相当径で2μm以上10μm以下のニッケル粒子を使用する。ニッケル粒子には、純ニッケルまたはニッケル合金を使用することができる。粒子の作成は、アトマイズ法などの既知の方法を使用することができ、本発明としては特定の方法に限定されるものではない。粒子は、篩などによって上記粒径の選別することができる。
負極に使用する材料として、円相当径で2μm以上10μm以下のニッケル粒子を使用する。ニッケル粒子には、純ニッケルまたはニッケル合金を使用することができる。粒子の作成は、アトマイズ法などの既知の方法を使用することができ、本発明としては特定の方法に限定されるものではない。粒子は、篩などによって上記粒径の選別することができる。
上記したニッケル粉末は、導電助材、バインダーとともに混練し、負極材料混合物を得る。
導電助材としては、各種カーボン粉末(ケッチェンブラックやアセチレンブラック)を用いることができ、これらは、例えば数nmの粉末として混練に供することができる。また、バインダーとしては、EVA(エチルビニルアセテート)やPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)を用いることができる。ただし、本発明としては導電助材やバインダーの種別が特に限定されるものではない。
導電助材としては、各種カーボン粉末(ケッチェンブラックやアセチレンブラック)を用いることができ、これらは、例えば数nmの粉末として混練に供することができる。また、バインダーとしては、EVA(エチルビニルアセテート)やPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)を用いることができる。ただし、本発明としては導電助材やバインダーの種別が特に限定されるものではない。
上記混合物は、塗布などの適宜の方法により多孔体ニッケルに付着させる。本発明としては、付着方法は特に限定されるものではなく、混合物が確実に多孔体ニッケルに保持されるものであればよい。
混合物が付着した多孔体ニッケルはそのまま用いるようにしてもよいが、圧延などの加工によって適宜厚さの形状とすることができる。
上記により得られたニッケル水素電池用負極2は、ニッケル水素電池1に組み込まれて使用される。図1は、電池セルに気体水素収容室4を有する実施形態を示すものである。
電池セルでは、ニッケル水素電池用負極2の背面側に気体水素収容室4が設けられており、気体水素収容室4内の気体水素がニッケル水素電池用負極2のニッケル粒子と水素の吸放出を行うことができ、これに伴って放電反応が起こる。
電池セルでは、ニッケル水素電池用負極2の背面側に気体水素収容室4が設けられており、気体水素収容室4内の気体水素がニッケル水素電池用負極2のニッケル粒子と水素の吸放出を行うことができ、これに伴って放電反応が起こる。
ニッケル水素電池用負極2とニッケル水素電池用正極3との間には、不織布などからなるセパレータ7を配し、電極間には電解液5を配する。
ニッケル水素電池用正極3の材料は特定のものに限定されないが、水酸化ニッケルを用いることができ、水酸化ニッケルを粉末状にし、多孔体ニッケルに付着させ、圧延と加熱・乾燥によってニッケル水素電池用正極3とする。電解液には、KOHまたはKOHを主体とするアルカリ性水溶液を用いることができる。
ニッケル水素電池用正極3の材料は特定のものに限定されないが、水酸化ニッケルを用いることができ、水酸化ニッケルを粉末状にし、多孔体ニッケルに付着させ、圧延と加熱・乾燥によってニッケル水素電池用正極3とする。電解液には、KOHまたはKOHを主体とするアルカリ性水溶液を用いることができる。
図2は、他の実施形態のニッケル水素電池1Aを示すものである。なお、前記実施形態と同様の構成については同一の符号を付してその説明を省略または簡略化する。
この実施形態では、電池セルには気体水素収容室を有しておらず、ニッケル水素電池用負極2と気体水素が接触できるように、気体水素移動路11がニッケル水素電池用負極2に接続されている。気体水素移動路11は、気体水素供給源10に接続されている。
この実施形態においても、気体水素供給源10、気体水素移動路11を通して移動する気体水素がニッケル水素電池用負極2のニッケル粉末で吸放出され、放電反応が生じ、ニッケル水素電池1Aとして機能する。
この実施形態では、電池セルには気体水素収容室を有しておらず、ニッケル水素電池用負極2と気体水素が接触できるように、気体水素移動路11がニッケル水素電池用負極2に接続されている。気体水素移動路11は、気体水素供給源10に接続されている。
この実施形態においても、気体水素供給源10、気体水素移動路11を通して移動する気体水素がニッケル水素電池用負極2のニッケル粉末で吸放出され、放電反応が生じ、ニッケル水素電池1Aとして機能する。
以下、この発明の一実施例を説明する。
負極用のニッケル粉末は、円相当径で粒径2〜3μmのものを用意した。これをバインダーおよびカーボン系導電助材と混練後に、多孔体ニッケルに塗布した。
バインダーには、カルボキシメチルセルロースを用い、ナノサイズのカーボン系導電助剤を用いた。これらの材料を、純ニッケル粉末に、増粘剤としてCMC(カルボキシルメチルセルロース)を0.38質量%、バインダーとしてPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)を質量%、さらに導電助剤として粒径数nmのカーボン粉末(ケッチェンブラック)を1質量%混合させた。
負極用のニッケル粉末は、円相当径で粒径2〜3μmのものを用意した。これをバインダーおよびカーボン系導電助材と混練後に、多孔体ニッケルに塗布した。
バインダーには、カルボキシメチルセルロースを用い、ナノサイズのカーボン系導電助剤を用いた。これらの材料を、純ニッケル粉末に、増粘剤としてCMC(カルボキシルメチルセルロース)を0.38質量%、バインダーとしてPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)を質量%、さらに導電助剤として粒径数nmのカーボン粉末(ケッチェンブラック)を1質量%混合させた。
得られた負極活物質材料を負極材である多孔質ニッケル担体に塗布し、塗布した負極活物質材料を多交代ニッケル担体に圧下するように圧延をし、乾燥を行って発明用の負極とした。得られた負極のサイズは20mm×20mm×0.3mm(厚)、負極中のニッケル粒子の量は約0.3gであった。
一方、正極では、平均粒径11μmのNi(OH)2粉末にCMC(カルボキシルメチルセルロース)を0.16質量%、PTFEを5質量%混合させた。得られた正極活物質を多孔質ニッケル担体に塗布し、圧延と乾燥を行って発明例の正極とした。サイズは30mm×30mm×0.6mm(厚)の板形状とした。容量は約220mAhである。電解液はKOHとNaOH、LiOHを3:3:0.4の割合で混合し、トータルで6.4規定となる溶液を用いた。
上記の手法で作製した正極と負極の間には厚さ約0.2mmのセパレータを介して短絡を防止した。さらに、電気化学セルを容積約170ccの圧力容器に組み入れ、最大圧力0.9MPaGの水素圧下で充放電試験を行った。
このようなセルで放電試験を行うと、放電中は圧力容器の内圧が直線的に減少したことから、ニッケル粉末は触媒作用により気体水素を消費して放電に成功したことが確かめられた。測定結果を図3に示す。気体水素を消費する速さは内圧の減少速度から算出でき、これは以下のような水素の放電反応から電流値として表すことができる。
(H2+2OH−→2H2O+2e−)
放電電流30mAのときの負極の気体水素消費速度を算出すると約30mAとなった。
(H2+2OH−→2H2O+2e−)
放電電流30mAのときの負極の気体水素消費速度を算出すると約30mAとなった。
その他の例として、粒径1μm以下と(比較例1)10μm(実施例2)、75μm(比較例2)の3種類のニッケル粉末を用意した。これらを実施例1と同様の手法で負極に成型し充放電試験に供した。測定結果を図3に示す。3つの例のうち水素ガスを消費して放電できたのは粒径10μmの実施例2だけであり、このときの気体水素消費速度は最大で20mAであった。
これらの例からは、負極として用いるニッケル粉末の粒径は2−10μmが最適であることが判明した。
これらの例からは、負極として用いるニッケル粉末の粒径は2−10μmが最適であることが判明した。
粒径2−10μmのNi粉末は、最低でも気体水素消費速度が20mAに達する。実施例での負極の面積(20mm×20mm)を正極(30mm×30mm)と同程度とし、さらに正極の両面に負極を配置することにより、負極のトータルの水素消費速度は20mA×2.25×2=90mAになる。この放電電流で放電すると正極の容量約220mAhを2.5時間(0.25C)で放電できる計算になることから、Ni粉末を用いた負極でも十分な放電速度を持った電池が製作可能であることが算出できた。
本発明のNi粉末1gあたりの価格は、現在、数十円程度であるのに対し、燃料電池用触媒として典型的に用いられているPtRu触媒やPt触媒の価格は、数千円である。この点から、ニッケル粉末を用いることにより、気体水素を消費する電極のコストを劇的に低減させ得ることが理解できる。
本発明のNi粉末1gあたりの価格は、現在、数十円程度であるのに対し、燃料電池用触媒として典型的に用いられているPtRu触媒やPt触媒の価格は、数千円である。この点から、ニッケル粉末を用いることにより、気体水素を消費する電極のコストを劇的に低減させ得ることが理解できる。
1 ニッケル水素電池
1A ニッケル水素電池
2 ニッケル水素電池用負極
3 ニッケル水素電池用正極
4 気体水素収容室
5 電解液
7 セパレータ
10 気体水素供給源
11 気体水素移動路
1A ニッケル水素電池
2 ニッケル水素電池用負極
3 ニッケル水素電池用正極
4 気体水素収容室
5 電解液
7 セパレータ
10 気体水素供給源
11 気体水素移動路
Claims (8)
- 気体水素を消費して放電反応を行うニッケル水素電池用負極であって、
負極材料として円相当径で粒径が2μm以上で10μm以下のニッケル粉末を備えることを特徴とするニッケル水素電池用負極。 - 気体水素を収容する収納室を有し、前記ニッケル粉末との間で前記気体水素の吸放出がなされるように前記収納室が設置されていることを特徴とする請求項1記載のニッケル水素電池用負極。
- 気体水素供給源との間で前記気体水素を移動させて前記ニッケル粉末と接触させる水素移動路を有することを特徴とする請求項1または2に記載のニッケル水素電池用負極。
- 前記ニッケル粉末が多孔体ニッケルに担持されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のニッケル水素電池用負極。
- 前記多孔質ニッケルは、さらに、導電助材を担持していることを特徴とする請求項4に記載のニッケル水素電池用負極。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の負極と、正極とを有することを特徴とするニッケル水素電池。
- 気体水素を消費して放電反応を行うニッケル水素電池用負極の製造方法であって、
円相当径で粒径2μm以上、10μm以下のニッケル粉末と導電助材とを混練して負極材料を得る工程と、前記負極材料を多孔体ニッケルに付着させる工程と、を有することを特徴とするニッケル水素電池用負極の製造方法。 - 前記負極材料を付着させた多孔体ニッケルを圧延し、乾燥する工程を有することを特徴とする請求項7記載のニッケル水素電池用負極の製造方法。
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2014
- 2014-08-27 JP JP2014172538A patent/JP2016048609A/ja active Pending
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