JP2016047957A - 鉄鋼副産物の硫黄除去方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】硫黄を含有する鉄鋼副産物から硫黄を効果的に除去することで、製鋼工程への鉄鋼副産物の再利用を可能とする。【解決手段】本発明の鉄鋼副産物の硫黄除去方法は、硫黄が含有されると共にフッ素の含有量が0.1%以下とされた鉄鋼副産物に対して、排さい後から1000℃以上の温度範囲まで、酸素が含まれた雰囲気を用いて冷却し、鉄鋼副産物からの硫黄を除去するものである。なお、鉄鋼副産物を酸素が含まれた雰囲気中で冷却するに際しては、鉄鋼副産物に対して雰囲気を0.1L/min以上の流量で吹き付けるとよい。【選択図】図1

Description

本発明は、スラグなどの鉄鋼副産物から、この鉄鋼副産物に含まれている硫黄を除去する硫黄除去方法に関するものである。より詳しくは、本発明は、スラグから硫黄を除去することで、スラグを副原料として製鋼に再利用し、資源を有効的に活用することができるスラグの再生技術に関するものである。
近年、廃棄物の低減や天然資源の枯渇等の問題から、従来は廃棄していたスラグを有効利用することが望まれている。このようなスラグの中でも、製鋼工程の一つである予備処理や二次精錬で排さいされる脱硫スラグには、鉄鋼を精錬する際に有効となるような成分、例えばCaOなどが高濃度で含まれている。ただ、その一方で、この脱硫スラグには、鉄鋼の精錬に好ましくない硫黄も多く含まれているため、脱硫スラグをリサイクルするためには何らかの手段でスラグ中から硫黄を除去することが必要となる。
例えば、特許文献1には、冷却後の微粉砕スラグを空気中で再加熱し、約1000℃で空気酸化させてスラグ中から硫黄を二酸化硫黄として揮発除去する技術が開示されている。
この特許文献1では、取鍋から払い出された直後の熱間スラグをそのまま冷却し、冷却されて凝固したスラグを空気と接触する表面積を大きくするために微粉末まで粉砕した後で、粉砕されたスラグの微粉末に対して空気酸化が行われている。また、この特許文献1の方法は、フッ素が高濃度に含まれたスラグを対象としている。
一方、特許文献2には、硫黄を含むスラグを、散水によって冷却した後、1250〜1500℃に再加熱しつつ空気酸化を行い、スラグ中から硫黄を除去する方法が開示されている。
また特許文献3には、硫黄を含むスラグを、所定の混合比で一酸化炭素と二酸化炭素を混合した雰囲気に暴露し、スラグ中から硫黄を除去する方法が開示されている。
さらに、特許文献4には、硫黄を含むスラグを、所定の混合比で一酸化炭素と二酸化炭素を混合した雰囲気に暴露すると共に、雰囲気の酸素分圧を10−3atm〜10−9atmとして酸化を行い、スラグ中から硫黄を除去する方法が開示されている。
特開2010−095793号公報 特開2013−185209号公報 特開2013−87290号公報 特開2013−189688号公報
ところで、上述した特許文献1〜特許文献4の硫黄除去方法は、いずれも精錬設備から払い出されて一旦冷却されたスラグを再加熱する構成となっているため、スラグの再加熱に大きなエネルギが必要となり、硫黄除去方法としてはエネルギーロスが大きいものとなる。
また、特許文献1の方法では、フッ素が多く含まれた脱硫スラグを対象としている。しかし、脱硫スラグにはフッ素を殆ど含まないスラグもあり、このようなスラグを特許文献1の方法で処理した場合には、酸化の温度が低すぎて満足に硫黄を除去することができなくなる可能性がある。
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、硫黄を含有する鉄鋼副産物から硫黄を効果的に除去することで、鉄鋼副産物を製鋼に再利用することができる鉄鋼副産物の硫黄除去方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の鉄鋼副産物の硫黄除去方法は以下の技術的手段を講
じている。
即ち、本発明の鉄鋼副産物の硫黄除去方法は、硫黄が含有されると共にフッ素の含有量が0.1%以下とされた鉄鋼副産物に対して、排さい後から1000℃以上の温度範囲まで、酸素が含まれた雰囲気を用いて冷却し、前記鉄鋼副産物からの前記硫黄を除去することを特徴とする。
なお、好ましくは、前記鉄鋼副産物を前記酸素が含まれた雰囲気中で冷却するに際しては、前記鉄鋼副産物に対して前記雰囲気を1L/min・kg以上の流量で吹き付けるとよい。
なお、好ましくは、前記鉄鋼副産物の温度が1000℃未満となった際に、前記鉄鋼副産物を水に接触させることにより、前記鉄鋼副産物からの前記硫黄を除去するとよい。
本発明の鉄鋼副産物の硫黄除去方法によれば、硫黄を含有する鉄鋼副産物から硫黄を効果的に除去することで、製鋼工程への鉄鋼副産物の再利用を可能とする。
本発明の硫黄除去方法の効果を検証するための実験に用いた実験装置を示す模式図である。 スラグの温度とスラグから除かれた硫黄の量(SO濃度)との時間遷移を示した図である。 スラグに対する雰囲気の吹き付け流量(単位重量当たりの流量)と、吹き付けによってスラグから除かれた硫黄の除去効率との関係を示した図である。
以下、本発明の硫黄除去方法の実施形態を、図を参照して説明する。
一般的に、製鋼工程においては、高炉から出銑した溶銑に対して、りんや硫黄などの不純物を酸化して除去する予備処理を行い、次いで転炉で脱炭を行った後、取鍋などで成分調整(脱りんや脱硫など)のための二次精錬を行って成分調整を行うことで、鋼を製造している。この製鋼を構成する工程のうち、二次精錬や予備処理といった工程では、溶鋼中に造さい剤などを供給し、溶鋼中の硫黄をスラグに移動することで溶鋼中の硫黄を除去する脱硫が行われる。
ところで、上述した脱硫後に排さいされるスラグ中には、精錬に有効となるようなCaOなどの成分も含まれているため、廃棄物の低減や天然資源の枯渇等の問題に鑑みれば、排さいされたスラグを造さい剤などとして再利用するのが好ましい。ただ、そのためには、スラグに多く含まれる硫黄をスラグから除去しなくてはならない。
そこで、本発明の硫黄除去方法では、硫黄が含有されたスラグ、言い換えれば鉄鋼副産物に酸素を接触させ、鉄鋼副産物に含まれる硫黄を酸化することで、鉄鋼副産物からの硫黄を除去している。具体的には、本発明の硫黄除去方法では、硫黄が含有されると共にフッ素の含有量が0.1%以下とされたスラグなどの鉄鋼副産物を処理対象としている。このように硫黄が含有されたスラグは、排さいされた直後から、スラグの温度が1000℃となるまで冷却される。この排さい後から1000℃までの温度範囲において、スラグ中に含まれる硫黄は酸素が含まれた雰囲気中で酸化され、鉄鋼副産物の硫黄が二酸化硫黄のガスとして揮発除去される。
なお、この鉄鋼副産物の硫黄を酸化する際には、鉄鋼副産物に対して雰囲気を1L/min・kg以上の流量で吹き付ける必要があり、本発明の硫黄除去方法は雰囲気の吹きつけで酸化を促進させる構成となっている。
また、鉄鋼副産物の温度が1000℃未満となった際には、スラグ中に硫酸カルシウムが形成され、形成された硫酸カルシウムが酸化反応を阻害する場合があるため、酸素ではなく水を鉄鋼副産物に接触させて硫酸カルシウムを取り除くようにする。このように1000℃未満となったスラグに水を接触させれば、スラグ中の硫酸カルシウムが水に溶解して除去され、さらに硫黄の除去効率を高めることが可能となる。
次に、本発明の硫黄除去方法で硫黄が除去される鉄鋼副産物、及び硫黄除去方法の各処理条件について説明する。
本発明の硫黄除去方法の処理対象となる鉄鋼副産物(以降、単にスラグという場合があ
る)は、鉄鋼を製錬する際に副産物として排出されるものであり、その中には硫黄が高濃度で含有されている。例えば、このような鉄鋼副産物には、製錬で脱硫された硫黄を高濃度で含有する脱硫スラグ、あるいはこの脱硫スラグを一部に含有する混合スラグなどを用いることができる。また、この鉄鋼副産物には、好ましくは上述した予備処理や二次精錬の脱硫処理で排さいされた脱硫スラグが含まれているとよい。このような脱硫スラグを含むことで、本発明の対象とする鉄鋼副産物には、硫黄が0.05%〜5.0%、好ましくは0.1%〜1.0%含まれている。
また、本発明の対象とする鉄鋼副産物は、フッ素の含有量が0.1%以下とされたものである。フッ素を0.1%より高濃度で含むスラグは、低い温度でも酸化が起きやすく、1000℃未満の温度でも酸化が起こるため、酸素を含む雰囲気にスラグを入れて冷却するだけで、スラグ中の硫黄を十分に脱硫することができる。しかし、フッ素の含有量が0.1%以下とされたスラグでは、1000℃以上の雰囲気に入れて冷却するだけでは酸化が不十分となる場合があり、スラグから十分に硫黄を除くことができない場合がある。本発明の硫黄除去方法は、このように酸化が起きにくいような、フッ素の含有量が0.1%以下とされたスラグを処理対象とするものとなっている。
具体的には、本発明の硫黄除去方法は、上述したように酸化が起きにくいスラグに対しても十分な脱硫が可能となるように、排さい後から1000℃以上の温度範囲までのスラグに対して酸素が含まれた雰囲気を吹き付け、この雰囲気の吹き付けにより硫黄の酸化を促進可能なものとなっている。
つまり、排さい後のスラグは、一般に1500℃を超えるような高温となっており、このような1000℃を超える高温状態ではスラグ中の硫黄は二酸化硫黄に酸化され、酸化された硫黄をガス状態でスラグから取り除くことができる。
しかし、上述したフッ素の含有量が0.1%以下とされたスラグでは、スラグの温度が1000℃近傍まで低下すると硫黄が二酸化硫黄に酸化されにくくなり、脱硫の効率が悪くなる。これは、フッ素の含有量が低い場合には融点が高いため、冷却に伴いスラグが固化することでスラグ内の硫黄もしくは酸素の移動速度が低下することで、二酸化硫黄化による除去が進行しがたくなるためと考えられる。スラグを再加熱して酸化を十分に行わせることもできるが、スラグの再加熱はスラグのリサイクルコストを高騰させるので好ましくない。
そこで、本発明の硫黄除去方法では、排さい後から1000℃近傍までスラグを冷却させる際に、酸素が含まれた雰囲気をスラグに吹き付けて冷却を行いつつスラグ中の硫黄を酸化させて除去している。
なお、スラグに接触させて硫黄を酸化するための「酸素が含まれた雰囲気」とは、硫黄を酸化可能な酸素を含むものであり、大気もしくは酸素を含むガスが含まれた雰囲気などを挙げることができる。
また、酸素が含まれた雰囲気をスラグに吹きつける際の流量は、流量をスラグの重量で除して単位重量当たりの流量に換算した上で、この単位重量当たりの流量が1L/min・kg以上となるように吹き付るのが好ましい。なお、1L/min・kgの理由は、S除去効率が50%以上となる流量である。単位重量当たりの流量のみが異なる実施例1,5,6,7,8および比較例1の回帰分析から、1L/min・kgでS除去効率が50%以上となることが算出できる。このように流量を1L/min・kg以上とすれば、スラグの重量によらずスラグ中の硫黄に確実に酸素を供給することが可能となり、スラグ中の硫黄を酸化硫黄として除去することが可能となる。
また、スラグへの雰囲気の吹きつけるやり方としては、スラグの上から雰囲気を吹き掛けても良いし、メッシュなどの上にスラグを載置しておいて、下から雰囲気ガスを吹き上げるように吹きつけても良い。
上述した硫黄除去方法を行えば、排さい直後から、鉄鋼副産物の温度が1000℃になるまでの間に、スラグ中の硫黄に雰囲気中の酸素を確実に接触させることが可能となり、硫黄を二酸化硫黄のガスとして揮発除去することが可能となる。
なお、鉄鋼副産物の温度が1000℃未満になると、硫黄の除去が困難になる。具体的
には、スラグ中で硫黄は硫化カルシウムの状態で存在しており、1000℃未満の温度範囲ではスラグ中の硫化カルシウムは酸化により硫酸カルシウムに変化する。この硫酸カルシウムは非常に安定であるため、酸素と接触しても二酸化硫黄の生成・揮発が生じないためと考えられる。
それゆえ、このようにスラグ(鉄鋼副産物)の温度が1000℃未満となった場合、言い換えればスラグの内部に硫化カルシウムの低温酸化によって硫酸カルシウムが形成された場合には、スラグを水に接触させて、形成された硫酸カルシウムを除去する。このようにすれば、1000℃未満の酸化で形成された硫酸カルシウムが水に溶解し、硫黄除去効率をさらに向上させることが可能となる。
上述した手順でスラグ中の硫黄を酸化すれば、スラグ中の硫黄を60%以上除去することが可能となる。その結果、硫黄を除去したスラグを製錬の副原料(例えば、造さい剤を調整する際の酸化カルシウム原料)としてリサイクルすることが可能となり、資源を有効に再利用することが可能となる。
次に、実施例及び比較例を用いて、本発明の硫黄除去方法の作用効果をより詳しく説明する。
実施例及び比較例は、図1に示された実験装置の内部に窒素ガスを導入し、窒素ガス中でスラグを加熱し、排さいの際の温度(1550℃)に達した後で雰囲気ガス6(詳細は後述)を炉内に導入し、雰囲気ガス6の中でスラグ4を1000℃に低下するまで冷却したものである。この実験装置は、水平方向に沿って配備された管状炉1を備えており、管状炉1の一端側の開口端が雰囲気ガス6を導入する導入口2、他方側の開口端が酸化後のガスを炉外に排出する排出口3となっている。
実験に用いたスラグ4のサンプルは、表1に示す2種類であり、それぞれ異なる組成を備えている。これらのサンプルは、白金製の坩堝5に収容された状態で炉内に装入されている。なお、表1中の数値は各サンプルの組成を示しており、いずれも重量%(wt.%)で示されている。スラグAは硫黄を0.14%、スラグBは硫黄を0.69%有している。
図2に示すように、上述した2種類のサンプルは、いずれも実験装置の管状炉1の炉内に収容され、炉内で1550℃まで加熱される。なお、加熱中の炉内には予め窒素ガスが供給されており、加熱中のサンプルは窒素雰囲気で保持される。また、サンプルを加熱する際にはサンプル自体の温度が1550℃に達するまで5℃/minの昇温速度で加熱を行い、サンプルの温度が1550℃に達した所で20分程度1550℃のまま保持する。次に、このように1550℃のまま20分程度保持されたサンプルに対して、炉内に2種類の雰囲気ガス6のいずれかを供給した。
この1550℃に達した時点で供給される雰囲気ガス6には、硫黄を酸化することができる酸素を含む大気と、酸素が含まれない窒素ガスとが使用される。また、酸素ガスを含む大気には、加湿器などを用いて人為的に水分を補給した湿潤大気と、水分補給などの操作を全く行っていない乾燥大気と、を用意した。
このようにして実験装置の管状炉1内に雰囲気ガス6(乾燥大気、湿潤大気、または窒素ガス)を供給すると、供給された雰囲気ガス6によりスラグ4が−10℃/minの冷却速度で冷却される。このとき、冷却と同時にスラグ4中の硫黄に酸化反応が生じ、酸化によって硫黄が二酸化硫黄がガスとなって発生する。このようにして発生した二酸化硫黄のガスは管状炉1の排出口3から排出され、排出口3に設けられたガスクロマトグラフ7で二酸化硫黄の濃度が計測される。
このスラグ4中から排出される二酸化硫黄の濃度は、ガスクロマトグラフ7を用いた定量分析により1秒ごとに連続して計測される。このようにしてガスクロマトグラフ7で計測された二酸化硫黄の濃度と、スラグの実体温度とを、冷却開始からの時間経過に従ってまとめたものが図2となる。なお、図2で管状炉1の炉内に供給される雰囲気ガス6は、乾燥大気である。
図2に示すように、管状炉1の炉内に雰囲気ガス6を供給して、スラグ4の冷却を開始すると、大気供給後2000秒を超えた時点でスラグ4の温度は1000℃に達し、さらに大気供給後8000秒で約100℃付近に達し、スラグ4はほぼ一定の冷却速度、つまり−10℃/minの冷却速度で温度低下している。
一方、二酸化硫黄の濃度は、大気供給後しばらくすると急激に上昇し、大気供給後500秒で2400ppmまで上昇した時点で、二酸化硫黄の濃度は最大となる。その後、二酸化硫黄の濃度は急激に低下し、スラグ4の温度が1000℃となる大気供給後2100秒では、100ppm以下まで低下する。このことから、スラグ4中の硫黄を二酸化硫黄に変化させる酸化反応は1000℃以上の温度範囲で殆ど完了し、1000℃未満の温度範囲ではスラグ4中の硫黄は殆ど二酸化硫黄に変化しないと判断され、スラグ4を脱硫させる温度としては排さい後から1000℃以上の温度範囲を採用するのが良いことがわかる。
一方、管状炉1に収容するスラグ4の種類、スラグ4に接触させる雰囲気ガス6の種類、雰囲気ガス6を吹き付ける流量などをそれぞれ変化させ、それぞれの条件でスラグ4中の硫黄がどのように減少するか(酸化されるか)を実際に実験で確認した。実験結果を、実施例1〜6及び比較例1、2として表2に示す。
なお、表2に示される硫黄濃度[%]は、スラグ4中の硫黄濃度を、ICP(誘導結合プラズマ発光分析)を用いた分析によって、実際に計測したものである。また、分析により得られた硫黄の濃度のうち、「S0」は、熱処理前、つまり管状炉1の炉内に装入される前のスラグ4に含まれる硫黄の濃度を示している。さらに、「S1」は、熱処理後、つまり排さい直後から1000℃になるまでの間、管状炉1の炉内で酸化反応が行われた後のスラグ4に含まれる硫黄の濃度を示している。さらにまた、「S2」は、水洗後のスラグ4、つまり管状炉1の炉内で1000℃になるまで冷却された後、1000℃未満の温度となったスラグ4に水を接触させて硫酸カルシウムを溶解させて取り除いたスラグ4に関するものであり、硫酸カルシウムを溶解除去させた後のスラグ4に含まれる硫黄の濃度を示している。なお、表中に用いた「硫黄除去効率X1」は1000℃までの酸化のみで除去された硫黄分について除去効率を計算したものであり、「硫黄除去効率X2」は水との接触で除去された硫黄分も含めた形で除去効率を計算したものである。これらは、以下の式(1)または式(2)に従って計算される。
上述した「S0:熱処理前のスラグ4に含まれる硫黄の濃度」、「S1:熱処理後のスラグ4に含まれる硫黄の濃度」、「S2:水洗後のスラグ4に含まれる硫黄の濃度」、「硫黄除去効率X1」、及び「硫黄除去効率X2」を、実施例及び比較例についてそれぞれ求めた。結果を以下の表2に示す。
「実施例1、2」
実施例1及び実施例2は、いずれも表2のスラグAに大気を供給して酸化を行ったものである。なお、実施例1は乾燥大気、実施例2は湿潤大気を用いた例である。単位重量当たりの大気流量は100 L/min・kgである。
実施例1では、硫黄濃度が0.14%から0.013%まで減少しており、硫黄除去効率X1は90.7%となる。また、実施例2では、硫黄濃度が0.029%まで減少しており、硫黄除去効率X1は79.3%となる。つまり、実施例1及び実施例2では、スラグ4に含まれていた硫黄の50%以上が除去されている。
「実施例3、4」
実施例3及び実施例4は、いずれも表2のスラグBに大気を供給して酸化を行ったものである。なお、実施例3は実施例1と同様に乾燥大気、実施例4は実施例2と同様に湿潤大気を用いた例である。大気を供給する際の流量は、実施例1及び実施例2と同様である。
実施例3では、硫黄濃度が0.3%まで減少し、硫黄除去効率X1は56.5%となる。また、実施例4では、硫黄濃度が0.19%まで減少し、硫黄除去効率X1は72.5%となる。なお、実施例3及び実施例4では、スラグ4の温度が1000℃未満まで冷却されてから、水を接触させて酸化で形成された硫酸カルシウムを溶解させている。このような水との接触により、硫黄除去効率X2は実施例3が60.1%、実施例4が80.0%となり、硫黄除去効率X1が3%〜7%程度向上している。
つまり、実施例3及び実施例4でも、スラグ4に含まれていた硫黄の50%以上が除去されている。また、水に接触させて硫酸カルシウムを水に溶解させて除去すれば、硫黄除去効率をさらに高められることが分かる。
「実施例5〜8」
実施例5〜8は、表2のスラグAに乾燥大気を供給して酸化を行った例である。なお、実施例5〜8の単位重量当たりの大気流量は100、50、10および2.5L/min・kgであり、硫黄濃度が0.028%、0.04%、0.059%および0.068%まで減少している。つまり、硫黄除去効率Xは80.0%、71.4%、57.9%および51.4%となっている。
これらのことから、単位重量当たりの大気流量が2.5L/min・kg以上の場合には、スラグ4に含まれていた硫黄が少なくとも50%以上除去可能であると判断される。
「比較例1、2」
上述した実施例1〜実施例6の結果に対して、比較例1は、乾燥大気の流量が0L/minとされた例であり、酸素が含まれた雰囲気中にスラグ4を静置するものの、スラグ4に雰囲気を吹き付けずに硫黄を酸化させた例となっている。この比較例1でも、熱処理前に0.14%であった硫黄濃度は1000℃まで酸化した後には0.077%まで減少しているが、硫黄除去効率X1は45.0%となっており、スラグ4中に含まれる硫黄の半分以上が未酸化のまま残されている。このことから雰囲気ガスの吹きつけは硫黄の効果的な除去には不可欠であることがわかる。
また、ガス流量と硫黄除去効率との関係をまとめると図3に示すように、ガス流量を大きくするほど硫黄除去効率も大きくなるような関係が得られる。そして、この図3から、硫黄除去効率を50%以上とするためには、雰囲気を1L/min・kg以上の流量で吹き付けるのが好ましいと判断される。
一方、比較例2は、乾燥大気や湿潤大気ではなく、硫黄に対する酸化力を有さない窒素ガスを、管状炉1の炉内に供給したものとなっている。この比較例2では、熱処理前に0.14%であった硫黄濃度は1000℃に達するまで炉内に静置しても0.13%にしか減少せず、硫黄除去効率X1は7.1%と低い値となっている。つまり、酸化力を有さない窒素ガスを用いる比較例2では硫黄は殆ど除去されないが、酸化性がある乾燥大気を用いる実施例1では、硫黄が効果的に除去されていることがわかり、酸化による硫黄の除去には酸素を含有する雰囲気ガス6が必要不可欠であることがわかる。
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。特に、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な値を採用している。
1 管状炉
2 導入口
3 排出口
4 スラグ
5 坩堝
6 雰囲気ガス
7 ガスクロマトグラフ

Claims (3)

  1. 硫黄が含有されると共にフッ素の含有量が0.1%以下とされた鉄鋼副産物に対して、排さい後から1000℃以上の温度範囲まで、酸素が含まれた雰囲気を用いて冷却し、前記鉄鋼副産物からの前記硫黄を除去することを特徴とする鉄鋼副産物の硫黄除去方法。
  2. 前記鉄鋼副産物を前記酸素が含まれた雰囲気中で冷却するに際しては、前記鉄鋼副産物に対して前記雰囲気を1L/min・kg以上の流量で吹き付けることを特徴とする請求項1に記載の鉄鋼副産物の硫黄除去方法。
  3. 前記鉄鋼副産物の温度が1000℃未満となった際に、前記鉄鋼副産物を水に接触させることにより、前記鉄鋼副産物からの前記硫黄を除去することを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の鉄鋼副産物の硫黄除去方法。
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