JP2016047908A - 化合物、着色組成物、インクジェット記録用インク、インクジェット記録方法、インクジェットプリンタカートリッジ、インクジェット記録物、カラーフィルタ、カラートナー、及び転写用インク - Google Patents
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Abstract
Description
インクジェット記録方法を用いてカラー画像を形成する場合、少なくともイエローインク、マゼンタインク、シアンインク、及びブラックインクを用いるのが一般的である。これらのインクには粘度、表面張力等の物性値が適正範囲内にあること、ノズルの目詰まり、貯蔵安定性に優れ、かつ高い濃度の記録画像を与えること、また耐光性、耐オゾン性、耐水性、耐湿性に優れていること等の性質が要求される。
即ち、本発明は以下の通りである。
下記一般式(1)で表される化合物。
一般式(1)
[2]
上記一般式(1)が下記一般式(1A)で表される[1]に記載の化合物。
一般式(1A)
R105、R107、R111、R112、R113、R114、R115、R116、R117、R118、R119及びR120は各々独立に水素原子又は置換基を表す。
R106及びR108は各々独立に置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のヘテロ環基、置換若しくは無置換のアルキルスルホニル基、置換若しくは無置換のアリールスルホニル基、置換若しくは無置換のアルコキシカルボニル基、置換若しくは無置換のアリールオキシカルボニル基、又は置換若しくは無置換のカルバモイル基を表す。
[3]
上記一般式(1)が下記一般式(2)で表される[1]に記載の化合物。
一般式(2)
R101、R102、R103、R104、R111、R112、R113、R114、R115、R116、R117、R118、R119及びR120は各々独立に水素原子又は置換基を表す。
[4]
上記R1、R2、R4、R5、R6、R7、R9及びR10が各々独立に置換若しくは無置換のアルキル基を表す[2]又は[3]に記載の化合物。
[5]
上記R1、R2、R4、R5、R6、R7、R9及びR10が各々独立に置換若しくは無置換の炭素数1〜3のアルキル基を表す[4]に記載の化合物。
[6]
上記R101、R102、R103及びR104が各々独立に水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を表す[3]に記載の化合物。
[7]
上記R101及びR102の少なくとも一方が、イオン性親水性基が置換したアルキル基又はイオン性親水性基が置換したアリール基を表し、
上記R103及びR104の少なくとも一方が、イオン性親水性基が置換したアルキル基又はイオン性親水性基が置換したアリール基を表す[6]に記載の化合物。
[8]
上記R112及びR115が、スルホ基を表す[1]〜[7]のいずれか1項に記載の化合物。
[9]
[1]〜[8]のいずれか1項に記載の化合物を含有する着色組成物。
[10]
[1]〜[8]のいずれか1項に記載の化合物を含有するインクジェット記録用インク。
[11]
[10]に記載のインクジェット記録用インクを用いるインクジェット記録方法。
[12]
[10]に記載のインクジェット記録用インクを充填したインクジェットプリンタカートリッジ。
[13]
[10]に記載のインクジェット記録用インクを用いて、被記録材に着色画像を形成したインクジェット記録物。
[14]
[1]〜[8]のいずれか1項に記載の化合物を含有するカラーフィルタ。
[15]
[1]〜[8]のいずれか1項に記載の化合物を含有するカラートナー。
[16]
[1]〜[8]のいずれか1項に記載の化合物を含有する転写用インク。
まず、本発明における置換基の具体例を、置換基群Aとして定義する。
ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル又はアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、アルキル又はアリールスルフィニル基、アルキル又はアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリール又はヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基、イオン性親水性基が例として挙げられる。これらの置換基は更に置換されてもよく、更なる置換基としては、以上に説明した置換基群Aから選択される基を挙げることができる。
アルキル基としては、好ましくは、炭素数1から30のアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、t−ブチル基、n−オクチル基、エイコシル基、2−クロロエチル基、2−シアノエチル基、2―エチルヘキシル基等が挙げられ、シクロアルキル基としては、好ましくは、炭素数3から30の置換又は無置換のシクロアルキル基、例えば、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、4−n−ドデシルシクロヘキシル基等が挙げられ、ビシクロアルキル基としては、好ましくは、炭素数5から30の置換若しくは無置換のビシクロアルキル基、つまり、炭素数5から30のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基、例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル基、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル基等が挙げられる。
アルケニル基としては、好ましくは、炭素数2から30の置換又は無置換のアルケニル基、例えば、ビニル基、アリル基、プレニル基、ゲラニル基、オレイル基等が挙げられ、シクロアルケニル基としては、好ましくは、炭素数3から30の置換若しくは無置換のシクロアルケニル基、つまり、炭素数3から30のシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基、例えば、2−シクロペンテン−1−イル基、2−シクロヘキセン−1−イル基等が挙げられ、ビシクロアルケニル基としては、置換若しくは無置換のビシクロアルケニル基、好ましくは、炭素数5から30の置換若しくは無置換のビシクロアルケニル基、つまり二重結合を一個持つビシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基、例えば、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−1−イル基、ビシクロ[2,2,2]オクト−2−エン−4−イル基等が挙げられる。
アルキルチオ基としては、好ましくは、炭素数1から30の置換若しくは無置換のアルキルチオ基、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、n−ヘキサデシルチオ基等が挙げられる。
下記一般式(1)で表される化合物について説明する。
一般式(1)
置換アミノ基としては具体的には、置換若しくは無置換のアルキルアミノ基、置換若しくは無置換のアリールアミノ基、置換若しくは無置換のヘテリルアミノ基、置換若しくは無置換のアシルアミノ基、置換若しくは無置換のアルキルスルホニルアミノ基、置換若しくは無置換のアリールスルホニルアミノ基、又は置換若しくは無置換のウレイド基が好ましく、置換若しくは無置換のウレイド基であることがより好ましい。
一般式(1A)
R105、R107、R111、R112、R113、R114、R115、R116、R117、R118、R119及びR120は各々独立に水素原子又は置換基を表す。
R106及びR108は各々独立に置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のヘテロ環基、置換若しくは無置換のアルキルスルホニル基、置換若しくは無置換のアリールスルホニル基、置換若しくは無置換のアルコキシカルボニル基、置換若しくは無置換のアリールオキシカルボニル基、又は置換若しくは無置換のカルバモイル基を表す。
一般式(1A)中のR105及びR107は、後述の一般式(2)におけるR102及びR104と同義であり、具体例及び好ましい範囲も同様であり、水素原子を表すことが特に好ましい。
一般式(1A)中のR106及びR108は各々独立に置換若しくは無置換のカルバモイル基を表すことが好ましく、置換若しくは無置換のモノアルキルアミノカルボニル基、置換若しくは無置換のジアルキルアミノカルボニル基、置換若しくは無置換のモノアリールアミノカルボニル基、置換若しくは無置換のジアリールアミノカルボニル基、又は置換若しくは無置換のアルキルアリールアミノカルボニル基を表すことがより好ましい。R106及びR108が置換基を有する場合の置換基としては、上記置換基群Aから選ばれる置換基が挙げられる。
一般式(2)
R101、R102、R103、R104、R111、R112、R113、R114、R115、R116、R117、R118、R119及びR120は各々独立に水素原子又は置換基を表す。
本発明の着色組成物は少なくとも一種の上記一般式(1)で表される化合物を含有する。本発明の着色組成物は、媒体を含有させることができるが、媒体として溶媒を用いた場合は特にインクジェット記録用インクとして好適である。本発明の着色組成物は、媒体として、親油性媒体や水性媒体を用いて、それらの中に、上記一般式(1)で表される化合物を溶解及び/又は分散させることによって作製することができる。好ましくは、水性媒体を用いる場合である。本発明の着色組成物には、媒体を除いたインク用組成物も含まれる。
次に本発明のインクジェット記録用インクについて説明する。
本発明は、少なくとも一種の一般式(1)で表される化合物を含有するインクジェット記録用インクにも関する。
インクジェット記録用インクは、親油性媒体や水性媒体中に本発明の一般式(1)で表される化合物を溶解及び/又は分散させることによって作製することができる。好ましくは、水性媒体を用いたインクである。必要に応じてその他の添加剤を、本発明の効果を害しない範囲内において含有することができる。その他の添加剤としては、例えば、乾燥防止剤(湿潤剤)、褪色防止剤、乳化安定剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、表面張力調整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散剤、分散安定剤、防錆剤、キレート剤等の公知の添加剤が挙げられる。これらの各種添加剤は、水溶性インクの場合にはインク液に直接添加する。油溶性染料を分散物の形で用いる場合には、染料分散物の調製後分散物に添加するのが一般的であるが、調製時に油相又は水相に添加してもよい。
本発明は、本発明の着色組成物又はインクジェット記録用インクを用いて、画像形成するインクジェット記録方法にも関する。
本発明のインクジェット記録用インクカートリッジは、上記した本発明のインクジェット記録用インクを充填したものである。また、本発明のインクジェット記録物は、上記した本発明のインクジェット記録用インクを用いて、被記録材に着色画像を形成したものである。
記録紙及び記録フィルムにおける支持体は、LBKP、NBKP等の化学パルプ、GP、PGW、RMP、TMP、CTMP、CMP、CGP等の機械パルプ、DIP等の古紙パルプ等からなり、必要に応じて従来公知の顔料、バインダー、サイズ剤、定着剤、カチオン剤、紙力増強剤等の添加剤を混合し、長網抄紙機、円網抄紙機等の各種装置で製造されたもの等が使用可能である。これらの支持体の他に合成紙、プラスチックフィルムシートのいずれであってもよく、支持体の厚みは10〜250μm、坪量は10〜250g/m2が望ましい。
本発明は、上記一般式(1)で表される化合物を含有するカラーフィルタにも関する。
カラーフィルタの形成方法としては、初めにフォトレジストによりパターンを形成し、次いで染色する方法、或いは特開平4−163552号、特開平4−128703号、特開平4−175753号公報で開示されているように色素を添加したフォトレジストによりパターンを形成する方法がある。本発明の化合物をカラーフィルタに導入する場合に用いられる方法としては、これらのいずれの方法を用いても良いが、好ましい方法としては、特開平4−175753号や特開平6−35182号に記載されたところの、熱硬化性樹脂、キノンジアジド化合物、架橋剤、色素及び溶剤を含有してなるポジ型レジスト組成物、並びに、それを基体上に塗布後、マスクを通して露光し、上記露光部を現像してポジ型レジストパターンを形成させ、上記ポジ型レジストパターンを全面露光し、次いで露光後のポジ型レジストパターンを硬化させることからなるカラーフィルタの形成方法を挙げる事ができる。また、常法に従いブラックマトリックスを形成させ、RGB原色系あるいはY、M、C補色系カラーフィルタを得ることができる。カラーフィルタの場合も本発明の化合物の使用量の制限はないが0.1〜50質量%が好ましい。
本発明は、上記一般式(1)で表される化合物を含有するカラートナーにも関する。
カラートナー100質量部中の本発明の化合物の含有量は特に制限がないが、0.1質量部以上含有するのが好ましく、1〜20質量部がより好ましく、2〜10質量部含有するのが最も好ましい。本発明の化合物を導入するカラートナー用バインダー樹脂としては一般に使用される全てのバインダーが使用出来る。例えば、スチレン系樹脂・アクリル系樹脂・スチレン/アクリル系樹脂・ポリエステル樹脂等が挙げられる。
トナーに対して流動性向上、帯電制御等を目的として無機微粉末、有機微粒子を外部添加しても良い。表面をアルキル基含有のカップリング剤等で処理したシリカ微粒子、チタニア微粒子が好ましく用いられる。なお、これらは数平均一次粒子径が10〜500nmのものが好ましく、さらにはトナー中に0.1〜20質量%添加するのが好ましい。
本発明は、上記一般式(1)で表される化合物を含有する転写用インクにも関する。
転写用インクとしては昇華転写用インクが好ましい。昇華転写用インクは、一般に、昇華性染料と水とを含むものであるが、さらに、インクジェットヘッドのノズルの目詰まり防止、吐出安定性の確保等のために、水溶性有機溶剤を含むものが広く用いられている。水溶性有機溶剤としては、例えば、ポリオール化合物、グリコールエーテル、糖類、ベタイン化合物等が挙げられる。
〔例示化合物(1−6)の合成〕
例示化合物(1−6)は例えば下記スキームに従い、合成することができる。
中間体(A)(中外化成製、商品名DCSF)4.1g、中間体(B)(東京化成製、カタログ番号T1457)10.8g、無水塩化亜鉛1.4g、キノリン3.9g、スルホラン40mLを内温200℃で3時間反応させた。得られた反応液を室温に冷却し、希塩酸400mLに注ぎ入れ、析出した結晶をろ別した。得られた結晶をアセトニトリル250mL中で、50℃で加熱撹拌し、ろ過して結晶を得た。得られた結晶を60℃で8時間乾燥させ、中間体(C)の緑色光沢結晶を得た。収量6.0g。MS(m/z)=660(M+、100%)。
中間体(C)3.3gをN,N−ジメチルホルムアミド33mLに溶解させ、内温を5℃まで冷却する。ここに、クロロぎ酸フェニル(東京化成製、カタログ番号C0649)6mLを内温10℃以下でゆっくりと滴下し、内温5〜10℃で2時間反応させた。得られた反応液を、酢酸エチル300mLに注ぎ入れ、析出した結晶をろ別し、得られた結晶を60℃で8時間乾燥させ、中間体(D)の緑色光沢結晶を得た。収量4.3g。MS(m/z)=902([M+1]+、100%)。
中間体(D)4.0gをN,N−ジメチルアセトアミド40mLに溶解させ、m−アミノ安息香酸(東京化成製、カタログ番号A0268)3.0g、炭酸水素ナトリウム1.0gを加え、60℃で6時間反応させた。得られた結晶を水400に注ぎ入れ、濃塩酸を用いてpHを2に調整し、析出した結晶をろ別した。得られた結晶を水80mLに加え、水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを8.0に調整し溶解させ、不溶物をろ過(アドバンテック社製定性ろ紙131を使用)で除去し、得られた水溶液をカラムクロマトグラフィ(充填剤:セファデックスLH−20(ファルマシア製、商品名)、展開溶媒:メタノール/水=1/1(v/v))で精製して、例示化合物(1−6)を得た。収量4.0g。MS(m/z)=1004([M−Na]−、100%)。例示化合物(1−6)の希薄水溶液における可視吸収スペクトルの吸収極大波長は534nmであった。
下記スキームにしたがって、例示化合物(1−6)と同様に合成した。
例示化合物(1−18)は例えば下記スキームに従い、合成することができる。
例示化合物(1−6)の合成中間体である中間体(C)6.6gを発煙硫酸66gを用いて45℃で2時間反応させた。得られた反応液を飽和食塩水500mLに注ぎ入れ、析出した結晶をろ別し、得られた結晶をカラムクロマトグラフィ(充填剤:セファデックスLH−20(ファルマシア社製、商品名)、溶媒:メタノール/水=1/1,v/v)で精製し、中間体(D)を得た。収量7.4g、収率86%、MS(m/z)=819([M−2Na+1H]−、100%)。
中間体(D)8.6gをN,N−ジメチルアセトアミド100mLに溶解させ、内温を5℃に冷却し、イソシアン酸イソプロピル3gを内温5℃以下に保ちながら滴下した後に、室温で2時間反応させた。得られた反応液を酢酸エチル1000mLに注ぎ入れ、析出した結晶をろ別し、得られた結晶をカラムクロマトグラフィ(充填剤:セファデックスLH−20(ファルマシア社製、商品名)、溶媒:メタノール/水=1/1,v/v)で精製し、例示化合物(1−18)を得た。収量6.2g、収率60%、MS(m/z)=989([M−2Na+1H]−、100%)。例示化合物(1−18)の希薄水溶液における吸収スペクトルの吸収極大波長は534nmであった。
例示化合物(1−19)は例えば下記スキームに従い、合成することができる。
下記の成分に脱イオン水を加え100gとした後、30〜40℃で加熱しながら1時間撹拌した。その後10mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液にてpH=9に調製し、平均孔径0.25μmのミクロフィルターで減圧濾過しマゼンタ用インク液であるインクジェット記録用インク1を調製した。
染料(例示化合物(1−1)) 3.50g
ジエチレングリコール 10.65g
グリセリン 14.70g
ジエチレングリコールモノブチルエーテル 12.70g
トリエタノールアミン 0.65g
オルフィンE1010(日信化学工業(株)製) 0.9g
染料を、下記表1〜3に示すように変更した以外は、インクジェット記録用インク1の調製と同様にして、インクジェット記録用インク2〜19をそれぞれ調製した。また、同様に比較用のインクジェット記録用インクとして以下に示す比較化合物1を用いたインクジェット記録用インクを調製した。
各実施例及び比較例のインクジェット記録用インクについて、下記評価を行った。その結果を表1〜3に示した。
なお、表1〜3において、耐オゾン性、耐光性は、各インクジェット記録用インクをインクカートリッジに装填し、インクジェットプリンター(キヤノン製ピクサスiP8600、商品名)でフォト光沢紙(キヤノン製写真用紙プロフェッショナルPT−201、商品名)に画像を記録した後で評価したものである。画像は、反射濃度計(商品名 X−Rite310TR、エックスライト社製)で測定した反射画像濃度が0.7〜1.8程度になるように階段状に濃度が変化した単色画像パターンと、チェック柄のパターン(濃度100%と0%の1.5mm角を有する正方形を交互に組み合わせたパターン)を印字した。
記録した直後の画像濃度Ciを測定した後、ウェザーメーター(アトラスC.165)を用いて、画像にキセノン光(10万ルクス)を7日間照射した後、再び画像濃度Cfを測定し、キセノン光照射前後の画像濃度から色素残存率(Cf/Ci×100%)を算出し評価した。画像濃度は反射濃度計(商品名 X−Rite310TR、エックスライト社製)を用いて測定した。色素残存率は、初期の画像濃度が1.0付近の画像部分を用いて測定した。色素残存率が85%以上をA、75%以上85%未満をB、75%未満をCの3段階で評価した。
シーメンス型オゾナイザーの二重ガラス管内に乾燥空気を通しながら、5kV交流電圧を印加し、これを用いてオゾンガス濃度が5±0.1ppm、室温、暗所に設定されたボックス内に、画像を形成したフォト光沢紙を1日間放置し、オゾンガス下放置前後の画像濃度を反射濃度計(商品名 X−Rite 310TR、エックスライト社製)を用いて測定し、初期の画像濃度Ciとオゾンガス下放置後の画像濃度Cf2から色素残存率(Cf2/Ci×100%)として評価した。なお、色素残存率は、初期の画像濃度が1.0付近の画像部分を用いて測定した。ボックス内のオゾンガス濃度は、APPLICS製オゾンガスモニター(モデル:OZG−EM−01)を用いて設定した。色素残存率が80%以上をA、70%以上80%未満をB、70%未満をCの3段階で評価した。
下記構造式中、Meはメチル基を表す。
比較化合物1:
(ポジ型レジスト組成物の調製)
m−クレゾール/p−クレゾール/ホルムアルデヒド(反応モル比=5/5/7.5)混合物から得たクレゾールノボラック樹脂(ポリスチレン換算質量平均分子量4300)3.4質量部、下記のフェノール化合物を用いて製造したo−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル(平均2個の水酸基がエステル化されている)1.8質量部、ヘキサメトキシメチロール化メラミン0.8質量部、乳酸エチル20質量部、及び例示化合物(1−16)を1質量部混合してポジ型レジスト組成物を得た。
得られたポジ型レジスト組成物をシリコンウエハにスピンコートした後、溶剤を蒸発させた。次いで、マスクを通してシリコンウエハを露光し、o−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステルを分解させた。その後100℃で加熱し、次いでアルカリ現像により露光部を除去して0.8μmの解像度を有するポジ型着色パターンを得た。これを全面露光後、150℃、15分加熱してマゼンタの補色系カラーフィルタを得た。露光は、i線露光ステッパーHITACHILD−5010−i(商品名、日立製作所(株)製、NA=0.40)により行った。
また、現像液は、SOPD又はSOPD−B(いずれも商品名、住友化学工業(株)製)を用いた。
得られたカラーフィルタは色純度が良好でかつ透明度が高く、良好な性能を示した。
(カラートナーの作製)
本発明のキサンテン染料である例示化合物(1−16)3質量部、トナー用樹脂〔スチレン−アクリル酸エステル共重合体;ハイマーTB−1000F(商品名、三洋化成(株)製)〕100質量部をボールミルで混合粉砕後、150℃に加熱して熔融混和を行い、冷却後ハンマーミルを用いて粗粉砕し、次いでエアージェット方式による微粉砕機で微粉砕した。さらに分級して粒径1〜20μmの粒子を選択し、トナーとした。
このトナー10質量部に対しキャリヤ鉄粉(EFV250/400、商品名、日本鉄粉(株)製)900質量部を均一に混合し現像剤とした。この現像剤を用いて乾式普通紙電子写真複写機〔NP−5000、商品名、キャノン(株)製〕で複写を行ったところ、優れた分光特性を有し、トナーとして優れた性質を示すことがわかった。
(昇華転写インクの作製)
例示化合物(1−16)4.0gと、アニオン系分散剤としてのβ−ナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物2.0gと、イオン交換水40.0gとからなる混合物を、0.2mm径ガラスビーズを用い、サンドミルにて、冷却下、約15時間分散化処理を行った。分散処理後、イオン交換水を加えて希釈し、次いで、上記分散液をガラス繊維濾紙GC−50(東洋濾紙株式会社製、フィルターの孔径0.5μm)で濾過し、粒子サイズの大きい成分を除去した水性分散液を得た。
次に、上記のようにして得られた水性分散液46.0gと、グリセリン20.0gと、トリエチレングリコールモノメチルエーテル3.0gと、イオン交換水31.0gとを混合することにより、昇華転写用インクを得た。
上記昇華転写用インクをインクジェット装置に投入し、シリカを含む材料で構成されたインク受容層を備えた紙を中間転写媒体として用意し、上記中間転写媒体のインク受容層に、1440×720dpi(dot per inch)で100%duty、50%
duty、5%dutyで昇華転写用インクを吐出した。また、「duty」とは、下記式(A)で定義され、算出される値Dの単位を示すものである。
D={(実印字ドット数)/(縦解像度×横解像度)}×100(duty)・・・(A)
その後、昇華転写用インクが付与された中間転写媒体のインク受容層を、ポリエステル繊維で構成された布帛(被染色物)と密着させ、この状態で、太陽精機株式会社製ヒートプレス機TP−608Mを用いて200℃×60秒の条件で加熱し、昇華転写を行った。
得られた布帛は、水洗後も色落ちせず、マゼンタ色に染まった染色物が得られた。
Claims (16)
- 下記一般式(1)で表される化合物。
一般式(1)
- 前記一般式(1)が下記一般式(1A)で表される請求項1に記載の化合物。
一般式(1A)
R105、R107、R111、R112、R113、R114、R115、R116、R117、R118、R119及びR120は各々独立に水素原子又は置換基を表す。
R106及びR108は各々独立に置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のヘテロ環基、置換若しくは無置換のアルキルスルホニル基、置換若しくは無置換のアリールスルホニル基、置換若しくは無置換のアルコキシカルボニル基、置換若しくは無置換のアリールオキシカルボニル基、又は置換若しくは無置換のカルバモイル基を表す。 - 前記一般式(1)が下記一般式(2)で表される請求項1に記載の化合物。
一般式(2)
R101、R102、R103、R104、R111、R112、R113、R114、R115、R116、R117、R118、R119及びR120は各々独立に水素原子又は置換基を表す。 - 前記R1、R2、R4、R5、R6、R7、R9及びR10が各々独立に置換若しくは無置換のアルキル基を表す請求項2又は3に記載の化合物。
- 前記R1、R2、R4、R5、R6、R7、R9及びR10が各々独立に置換若しくは無置換の炭素数1〜3のアルキル基を表す請求項4に記載の化合物。
- 前記R101、R102、R103及びR104が各々独立に水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を表す請求項3に記載の化合物。
- 前記R101及びR102の少なくとも一方が、イオン性親水性基が置換したアルキル基又はイオン性親水性基が置換したアリール基を表し、
前記R103及びR104の少なくとも一方が、イオン性親水性基が置換したアルキル基又はイオン性親水性基が置換したアリール基を表す請求項6に記載の化合物。 - 前記R112及びR115が、スルホ基を表す請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物を含有する着色組成物。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物を含有するインクジェット記録用インク。
- 請求項10に記載のインクジェット記録用インクを用いるインクジェット記録方法。
- 請求項10に記載のインクジェット記録用インクを充填したインクジェットプリンタカートリッジ。
- 請求項10に記載のインクジェット記録用インクを用いて、被記録材に着色画像を形成したインクジェット記録物。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物を含有するカラーフィルタ。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物を含有するカラートナー。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物を含有する転写用インク。
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