JP2016047777A - グラフェン薄膜の製造方法、並びにグラフェン薄膜を備えた電子素子およびセンサ - Google Patents
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Abstract
【課題】酸化グラフェン薄膜を還元してグラフェン薄膜を製造する方法であって、ホール測定によるキャリア移動度が非常に高いグラフェン薄膜を製造する方法を提供する。【解決手段】本発明に係るグラフェン薄膜の製造方法は、酸化グラフェン薄膜を準備する工程と、炭素含有ガス雰囲気下、1050℃以上の温度で酸化グラフェン薄膜を還元する工程と、を含む。【選択図】なし
Description
本発明は、グラフェン薄膜の製造方法、並びにグラフェン薄膜を備えた電子素子、センサ、アレイ素子およびセンシング方法に関するものである。
柔軟性を持つ導電性薄膜は、次世代のウェアラブルデバイス開発に向けて鍵となる重要な材料である。現在、このような導電性薄膜材料として、有機半導体やナノカーボン材料の利用が世界中で検討されている。
ナノカーボン材料の一つであるグラフェンは、グラファイトの層を形成するシート状物質であり、シート全体にπ電子が広がる構造を有する。上記構造のため、グラフェンは電気伝導特性や移動度などの電気的特性に優れており、バイオセンサなどに応用されている。
グラフェンは、例えば高配向熱分解黒鉛結晶(HOPG)から機械的に剥離して抽出される。このようにして得られるグラフェンの電気伝導特性は極めて優れており、これを電界効果型トランジスタのチャネルとすることで、超高速動作デバイス(非特許文献1)や超高感度センシングが達成されている(非特許文献2)。ところが、このようにして得られるグラフェンの小片、すなわちグラフェンフレークのサイズは非常に小さい。そのため、グラフェン薄膜の大面積化は困難であり、集積デバイスやバイオセンサなどへの実用化に向けて大きな課題となっている。
一方、グラフェン薄膜の製造に、同じグラフェン材料である酸化グラフェン(GO:Graphene Oxide)を用いる方法が活発に行なわれている。酸化グラフェンは化学処理により安価に大量合成が可能なため、これを薄膜化した酸化グラフェン薄膜の電子素子への利用が世界中で検討されている。この酸化グラフェンは、グラファイトの水媒質中で酸化処理し、剥離して得られる。上記酸化処理の反応過程で、グラフェンのsp2炭素構造にヒドロキシル基、カルボキシル基、エポキシ基などの酸素含有基が導入されてsp3炭素構造に炭素化するため、酸化グラフェン薄膜の電気伝導特性は絶縁体である。そのため、酸化グラフェン薄膜を電子素子へ応用するためには、酸化グラフェン薄膜の還元プロセスが必須となる。主な還元プロセスとして、真空中や不活性ガス雰囲気で高温加熱処理する方法(例えば非特許文献3)、化学処理による還元法としてヒドラジンやその誘導体を用いて気相雰囲気で加熱処理する方法(例えば非特許文献4、非特許文献5)が挙げられる。
これらの方法によれば、上述した酸素含有基を効率的に除去することが可能であるが、還元後も炭素欠陥が残存するため、電子素子への応用上重要な電気伝導性や機械強度などの物性が、グラフェンと比較して著しく劣化する。例えば前述した非特許文献5には、酸化グラフェン(GO)薄膜に対し、ヒドラジンによる還元処理を行なってグラフェンを製造する方法が開示されている。しかしながら、上記還元処理によって得られるrGO(reduced GO)薄膜は、フレーク間のキャリア散乱や化学剥離過程で生成されたグラフェンフレーク内の欠陥構造などにより、移動度や電気伝導度などの電気的特性が低下することが指摘されている。上記還元方法によって電気伝導性が著しく劣化するのは、欠陥構造の残存によるπ電子共役系の局在化により、アモルファスシリコンや有機半導体と類似のバリアブルレンジホッピング(VRH)伝導機構が支配的となるためである(非特許文献6)。このホッピング伝導機構は熱活性型であるため、特に低温領域ではキャリアのフリーズによりキャリアを輸送させることができないだけでなく、局在した電子状態間を移動するため、電気伝導特性が著しく低くなる。すなわち、酸化グラフェンは、電気伝導度が極めて高いグラフェン材料を出発材料として合成しているにもかかわらず、従来の還元方法によって得られる酸化グラフェン薄膜の電気伝導機構や物性は、本質的にグラフェンと大きく異なっている。
一方、非特許文献7には、単一の酸化グラフェン(GO)フレークに対し、アルコール気相中における熱処理(熱CVD法)による還元を行なって、グラフェンフレークを製造する方法が開示されている。この方法によれば、酸化グラフェンフレークの還元だけでなく、グラフェンを構成する六員環(π電子)の構造修復が効果的に進行して酸化グラフェンフレーク内の欠陥が低減するため、これを電界効果トランジスタ(FET)のチャネル材料として用いればトランジスタ特性が飛躍的に向上すると報告されている。しかしながら、電子素子への応用に当たっては、キャリア移動度の更なる向上が切望されている。
L.Liao,Y.Chen−Lin,M.BAo,R.Cheng,J.Bai,Y.Liu,Y.Qu,K.L.Wang,Y.Huang,X.Duan,Nature Vol.467(2010)305
Y.Ohno,K.Maehashi,Y.Yamashiro,K.Matsumoto,Nano Letters Vol.9(2009) 3318
H.A.Becerrilら,ACS Nano Vol.2(2008)463
S.Stankovichら,Nature Vol.442(2006)282
Toshiyuki Kobayashiら、「Channel−Length−Depedndent−Field−Effect Mobility and Cariier Concentration of Reduced Graphene Oxide Thin−Film Transistors」,Small Vol.6,pp.1210−1215,May 2010
G.Eda and M.Chhowalla,Advanced Materials,Vol.22(2010)2392
Ching−Yuan Suら、「Highly Efficient Restoration of Graphitic Structure in Graphene Oxide Using Alcohol Vapors」,ACS NANO,Vol.4,pp.5285−5292,August 2010
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、酸化グラフェン薄膜を還元してグラフェン薄膜を製造する方法であって、ホール測定によるキャリア移動度が非常に高いグラフェン薄膜を製造する方法を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、ターゲットとなるタンパク質などの物質を高い感度で、簡便且つ安価に検出することが可能なFETなどの電子素子;当該素子を備えたpHセンサやバイオセンサなどのセンサを提供することにある。
上記課題を解決し得た本発明に係るグラフェン薄膜の製造方法は、酸化グラフェン薄膜を準備する工程と、炭素含有ガス雰囲気下、1050℃以上の温度で前記酸化グラフェン薄膜を還元する工程と、を含むところに要旨を有する。
本発明の好ましい実施形態において、上記酸化グラフェン薄膜を準備する工程に用いられる酸化グラフェン薄膜は、複数の酸化グラフェンフレーク同士が一部重なり合っているものである。
本発明の好ましい実施形態において、上記炭素含有ガスは、アルコール、炭化水素、炭化水素と水蒸気との混合物、アルコールと水蒸気との混合物、または炭化水素とアルコールと水蒸気との混合物である。
本発明の好ましい実施形態において、上記アルコールはエタノールであり、上記炭化水素はアセチレンである。
本発明の好ましい実施形態において、上記炭素含有ガスとキャリアガスの流量比(sccm)は炭素含有ガス:キャリアガス=1:500〜1:5000である。
本発明には、上記のいずれかに記載の製造方法によって得られたグラフェン薄膜をチャネル層に有する電子素子も含まれる。
本発明の好ましい実施形態において、上記電子素子は電界効果トランジスタである。
本発明の好ましい実施形態において、上記電子素子におけるホール測定によるキャリア移動度は、292Kで100cm2/V・s以上、77Kで120cm2/V・s以上である。
本発明には、上記のいずれかに記載の電子素子を備えたセンサも含まれる。
本発明に係るグラフェン薄膜の製造方法は上記のように構成されているため、ホール測定によるキャリア移動度が、292Kで100cm2/V・s以上、77Kで120cm2/V・s以上と非常に高いグラフェン薄膜を、単一基板上に均一な大面積薄膜で製造することができる。よって、本発明の製造方法を用いれば、高移動度や高電気伝導度といったグラフェン本来が有する優れた電気的特性を備えたグラフェン薄膜を、簡便且つ安価に製造することができる。
本発明の製造方法によれば、バンド伝導機構・高キャリア移動度を有するトランジスタ特性を備えた電界効果型トランジスタ(FET)などの電子素子、バイオセンサなどに代表されるセンサ、FETなどの電子素子を複数有するアレイ素子などを、簡便な工程で安価に製造することができる。特に本発明の製造法によって得られるグラフェン薄膜を備えた電子素子は、グラフェンの電子構造を反映したバンド伝導機構を有するため、77Kなどの極低温下の極限環境下においても正常に動作するという、従来にはない極めて優れた特性を有している。
更に、上述した本発明のアレイ素子はセンシング方法などに適用可能である。これにより、同種または異種の、複数の被験物質を同時に、感度良く検出することができる。例えば、本発明の製造方法によって得られるグラフェン薄膜の表面に、ターゲットとなる被験物質と選択的に結合する官能基(例えば、核酸アプタマー、ペプチドアプタマーなどのアプタマー分子など)を配置させることにより、所望とする被験物質を選択的に検出することができる。よって、本発明の技術を用いれば、腫瘍マーカーや免疫反応検査などのように、製薬分野、診断医療分野といった広範囲の分野への応用、展開が期待できる。
更に本発明の製造法によって得られるグラフェン薄膜を備えた電子素子は、グラフェンの電子構造を反映したバンド伝導機構を有するため、77Kなどの極低温下の極限環境下においても正常に動作する。この点が、本発明の電子素子と、従来の還元法で得られるグラフェン薄膜や有機半導体FET素子とで大きく異なる点である。従来の電子素子は一般に熱活性型のVRH伝導機構を有するため、電気伝導特性が著しく低いことに加えて、低温での正常な動作は見込めない。
本発明者らは、酸化グラフェンを出発材料として、ホール測定によるキャリア移動度が非常に高い(裏返せば、グラフェン本来のバンド伝導を示す)グラフェン薄膜を提供するため、鋭意研究を重ねてきた。その結果、酸化グラフェン薄膜を還元してグラフェン薄膜を製造するにあたり、炭素含有ガス雰囲気下、1050℃以上の温度で前記酸化グラフェン薄膜を還元すれば上記課題を解決できることを見出した。
前述したように従来の還元方法によって得られる酸化グラフェン薄膜の伝導機構はVRHが支配的であり、薄膜の不均一性のため、ホール測定によるキャリア移動度を測定することができず、せいぜい、FETを作製して移動度を簡便に測定するにとどまり、信頼性に欠けるものであった。本発明の製造方法を用いれば、グラフェンの電子構造を反映したバンド伝導機構が支配的になるようにグラフェン薄膜の物性が改質されるため均一性が向上し、グラフェン本来の優れた電気伝導度などの特性が発揮されるようになる。
更に本発明者らは、好ましくは、出発材料として複数の酸化グラフェンフレーク同士が一部重なり合っている酸化グラフェン薄膜を用いれば良いことも見出した。
従来、複数の酸化グラフェンフレーク同士が一部重なり合っている酸化グラフェン薄膜をヒドラジンにより還元すると、フレーク間で起こるキャリア散乱により移動度などのデバイス特性が、単一フレークの場合よりも大幅に低下することが前述した非特許文献5に報告されている。そのため、これまでは、出発材料として、このような酸化グラフェン薄膜を用いることは全く考えられていなかった。しかしながら、本発明者らの実験結果によれば、複数の酸化グラフェンフレーク同士が一部重なり合っている酸化グラフェン薄膜に1050℃という高温の炭素含有ガスを接触させて還元すると、予想に反し、高移動度や高電気伝導度といったグラフェン本来が有する優れた電気的特性を有効に発揮し得る均一なグラフェン薄膜が得られることが分かった。
更に本発明者らの実験結果によれば、酸化グラフェンを還元してグラフェン薄膜を製造するにあたり、炭素含有ガスとしてエタノールなどのアルコールのみならず、炭化水素、炭化水素と水蒸気との混合物、アルコールと水蒸気との混合物、または炭化水素とアルコールと水蒸気との混合物を用いても上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
本明細書において「酸化グラフェン薄膜を還元する」とは、酸化グラフェン薄膜からの酸素の脱離に加えて、酸化グラフェンのπ電子系の回復が促進され、グラフェンの構造が形成されることを意味する。
以下の記載では、酸化グラフェンをGOと略記する。また、酸化グラフェンを還元して得られる酸化グラフェンを、特にrGOと略記する場合がある。
以下、本発明について詳しく説明する。
本発明に係るグラフェン薄膜の製造方法は、酸化グラフェン薄膜を準備する工程と、炭素含有ガス雰囲気下、1050℃以上の温度で前記酸化グラフェン薄膜を還元する工程と、を含むところに特徴がある。以下、各工程について詳しく説明する。
まず、出発材料として酸化グラフェン薄膜を準備する。本発明では、単一(単層)のGOフレークを使用しても良いし、複数のGOフレーク同士が一部重なり合っているGO薄膜を使用しても良い。実用的な電子デバイス応用に向けたスケーラブルな展開を考慮すると、後者の、複数のGOフレーク同士が一部重なり合っているGO薄膜の使用が推奨される。
ここで、本発明に用いられるGOフレークは、サイズ(最大幅;最大長さ)の平均がいずれも、500nm以上2000nm以下(好ましくは1μm以上であり、大きければ大きいほどよい)を有する単一(単層)の小片である。上記GOフレークは、例えば、既知のバルクグラファイトの化学剥離により製造することができる。或いは、上記GOフレークとして市販品を用いることもできる。
上記単一のGO薄膜は、例えば、化学的剥離法によって作製することができる。
また、上記のGOフレークを用いて、GOフレーク同士が一部重なり合っているGO薄膜は、例えば基板上にGOフレークの分散液を公知の方法によって塗布することにより得ることができる。その際、GOフレークの分散液の濃度や、基板表面の改質方法・スピンコートの塗布条件などを制御することによって、GO薄膜の層数や濃度を適切に調整することができる。
上記のうち基板表面の改質方法としては、例えば基板表面を疎水性から親水性に改質する方法が挙げられ、これにより、均一な大面積化グラフェン薄膜が得られる。この方法は公知であり、特に限定されないが、例えばUVオゾンクリーニング法などのUVオゾンを用いた洗浄法などが挙げられる。具体的には、UVオゾンクリーニング法などによって親水処理した基板表面上に、スピンコート法を用いてGOフレークの分散液を塗布することによってGOフレーク同士が一部重なり合っているGO薄膜を得ることができる。但し、本発明はこれらに限定されない。本発明に用いられる好ましいUVオゾンクリーニング法の条件としては、例えば、以下のとおりである。
3L/minで酸素ガスを5分間流入→酸素ガスの流入停止後、60分間UV照射
3L/minで酸素ガスを5分間流入→酸素ガスの流入停止後、60分間UV照射
更に基板と酸化グラフェン薄膜の吸着をより強固なものにするためには、上述した親水性処理による基板表面の改質処理でなく、自己組織化単分子膜による基板表面の改質処理により、酸化グラフェン薄膜を静電的に吸着させる方法を採用することが好ましい。例えばシランカップリング溶液を用いて自己組織化単分子膜を基板上に形成することが好ましく、これにより、rGO薄膜の膜厚均一性を一層高めることができる。上記自己組織化単分子膜は、形成したい薄膜の厚みに対する均一性を高める目的で、通常、基板上に形成されるものである。上記自己組織化単分子膜の形成に用いられるシランカップリング剤として、例えば3−アミノプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。3−アミノプロピルトリエトキシシランは、一方の末端にメトキシ基やエトキシ基の加水分解性基を有するためにガラス基板やSiO2基板の表面と反応して吸着し、もう一方の末端にアミノ基を有するためにGOフレークと静電的に吸着することができる。このようにして自己組織化単分子膜を形成させた基板表面上にGOフレークの分散液を塗布することによってGOフレーク同士が一部重なり合っているGO薄膜を得ることができる。
上記方法に用いられる基板は本発明の技術分野において通常用いられるものであれば特に限定されず、例えば、Si基板などが挙げられる。上記基板として、SiO2などが表面に形成された熱酸化Si基板などを用いても良い。或いは、後記するホール測定やXAFS測定などでは水晶基板を用いることができる。
上記方法に用いられる分散液としては、GOフレークを分散し得るものであれば特に限定されないが、例えば、水、ジメチルホルムアミド(DMF)、エタノール、アセトン、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N−メチルピロリドン(NMP)、アセトニトリル、ジメチルエーテル、トルエン;またはこれらを少なくとも二種以上含む混合物が挙げられる。GOフレーク分散液の好ましい濃度は、例えば、100〜500mg/Lの範囲である。
また、上記GOフレークの分散液を基板上に塗布する方法は特に限定されず、先述のシランカップリング剤による塗布法やスピンコート法に加えて、例えば、キャスト法、転写法、各種の印刷方法などが挙げられる。これらのうち、スピンコート法は、均一性の高い薄膜を簡便に生成でき、膜厚の制御が可能なため、好ましく用いられる。例えば、濃度が100〜500mg/LのGO分散液を調製する場合の、スピンコートの好ましい塗布条件は、以下のとおりである。また、滴下回数を変えることによってGO薄膜の膜厚を制御することができる。
500〜2000rpmにて30〜180秒保持→1〜10秒間かけて、目的の回転数に上げる→3000〜6000rpmにて30〜180秒保持
500〜2000rpmにて30〜180秒保持→1〜10秒間かけて、目的の回転数に上げる→3000〜6000rpmにて30〜180秒保持
次に、上記のようにして得られたGO薄膜に1050℃以上の炭素含有ガスを接触させる。
本発明に用いられる炭素含有ガスは、炭素を有していれば良く、その種類は特に限定されないが、例えばアルコール、炭化水素、炭化水素と水蒸気との混合物、アルコールと水蒸気との混合物、または炭化水素とアルコールと水蒸気との混合物が挙げられる。上記アルコールとして、例えば、炭素数が1〜2のアルコールが挙げられる。好ましくはエタノールである。また、上記炭化水素としては、例えば炭素数が1〜2の炭化水素が挙げられる。好ましくはアセチレンである。
上記炭素含有ガスは、更に水蒸気を含んでいてもよく、これにより、エッチングによるアモルファスカーボン構造の除去によるグラフェンの高品質効果が一層促進される。水蒸気の好ましい分圧は、例えば、0.01〜1Paの範囲である。
上記GO薄膜に炭素含有ガスを接触させてGO薄膜を還元する方法としては、代表的には、気相化学成長法(CVD法)が挙げられる。CVD法の種類は特に限定されず、熱CVD法、プラズマCVD法を用いることができる。
本発明では、上述した炭素含有ガス雰囲気下、処理温度(還元温度)を1050℃以上の高温に制御することが重要である。これにより、グラフェンの結晶性向上を示すラマンスペクトルの比[2DバンドとGバンドとの強度比=I(2D)/I(G)]が増加する。上記処理温度は、好ましくは1150℃以上であり、より好ましくは1500℃以上である。但し、処理温度が高くなり過ぎると、CVD処理中において気相中で自発的熱分解反応により生成した炭素系分子同士の会合反応により炭素源ガスからアモルファスカーボンが生成され、これらがGO薄膜に堆積し、結晶性や電子特性の著しい劣化を引き起こしてしまう。よって、その上限を2500℃以下に制御することが好ましい。より好ましくは2000℃以下である。
上記と同様の理由により、処理時間(還元時間)も長い程良い。好ましい処理時間は、例えば60〜300分の範囲である。
更に本発明では、上記炭素含有ガスの流量を適切に制御することが好ましい。これにより、CVD処理後のグラフェン薄膜の品質が高められる。具体的には、炭素含有ガスの好ましい流量は、0.1〜2.0sccmである。炭素含有ガスの流量が多すぎると供給過剰になってアモルファスカーボンが生成され、電気的特性が低下する。一方、炭素含有ガスの流量が少なすぎると、当該ガス添加による効果が有効に発揮されず、グラフェン薄膜の構造修復効果が不十分である。
更に本発明のように1050℃以上の高温炭素含有ガスを接触させる場合、上記炭素含有ガスとキャリアガスの流量比(sccm、キャリアガスによる炭素含有ガスの希釈倍率)は、炭素含有ガス:キャリアガス=1:500〜1:5000の範囲に制御することが好ましい。本発明者らの実験結果によれば、上記のように高温の炭素含有ガスを用いる場合、炭素含有ガスの希釈倍率を、従来の方法(おおむね、900℃程度)に比べて大きくすることが有効であることが判明した。上記範囲を下回ると、気相中の会合反応によりアモルファスカーボンが生成するようになる。一方、上記範囲を超えると、GO薄膜に内包した欠陥の構造修復効果が十分に発揮されない。より好ましくは、炭素含有ガス:キャリアガス=1:500〜1:3000であり、更に好ましくは、炭素含有ガス:キャリアガス=1:500〜1:1500である。
また、炭素含有ガスとキャリアガスの好ましい流量比を上記範囲に制御する方法として、(1)炭素含有ガスの流量を調整する方法と、(2)キャリアガスの流量を調整する方法もある。前者の場合、炭素含有ガスの流量の好ましい下限は0.1sccmであり、この場合のキャリアガスの好ましい流量は50〜500sccm、好ましい処理圧力(全圧)は50〜600Paである。これよりも炭素含有ガスの流量が低い場合、サンプルへ供給される炭素分解生成物が少なく、効果的な構造回復効果が見込めない。一方、後者の場合、キャリアガスの流量の好ましい下限は250sccmであり、この場合の炭素含有ガスの好ましい流量は0.05〜0.5sccm、好ましい全圧は200〜300Paである。これよりもキャリアガスの流量が低い場合、キャリアガスの流れが弱く炭素分解生成物が効率的にサンプルへ供給されないため、効果的な構造回復効果が見込めない。
以下、本発明の製造方法において処理温度を1050℃以上の温度に設定した経緯を、下記実験例を用いて説明する。
(実験方法)
まず、以下のようにして1〜2層のGO同士が一部重なり合っているGO薄膜を、自己組織化単分子膜が形成された基板上に作製した。
(1)基板の準備:融点が1200℃以上の絶縁性材料として、水晶基板(膜厚0.5mm)、または表面にSiO2(膜厚300nm)が形成されたSi基板(膜厚0.4mm)を準備した。
(2)基板の洗浄:上記基板をアセトンに浸漬しながら5分間超音波洗浄した。
(3)次いで、上記基板をUVオゾンクリーナにより洗浄し、親水処理した。
(4)自己組織化単分子膜の作製:上記洗浄後の基板を、下記組成のシランカップリング溶液に1時間浸漬した。
(3−アミノプロピルトリエトキシシラン、販売元(株)和光純薬工業、製造元MO Biomedicals,Inc.,製造元コード154766)とエタノールの混合液(体積比で1:9)
(5)次いで、上記基板をエタノールで洗浄処理した。
(6)次いで、上記基板を120℃のホットプレートに載せ、30分間脱水処理した。
(7)次いで、上記基板を酸化グラフェン水溶液(Graphene Supermarket Inc.,Single Layer Graphene Oxide:Dispersion in Water)に時間浸漬した
(8)次いで、上記基板を水で洗浄した。
(9)次いで、上記基板を窒素ブローにより乾燥した。
まず、以下のようにして1〜2層のGO同士が一部重なり合っているGO薄膜を、自己組織化単分子膜が形成された基板上に作製した。
(1)基板の準備:融点が1200℃以上の絶縁性材料として、水晶基板(膜厚0.5mm)、または表面にSiO2(膜厚300nm)が形成されたSi基板(膜厚0.4mm)を準備した。
(2)基板の洗浄:上記基板をアセトンに浸漬しながら5分間超音波洗浄した。
(3)次いで、上記基板をUVオゾンクリーナにより洗浄し、親水処理した。
(4)自己組織化単分子膜の作製:上記洗浄後の基板を、下記組成のシランカップリング溶液に1時間浸漬した。
(3−アミノプロピルトリエトキシシラン、販売元(株)和光純薬工業、製造元MO Biomedicals,Inc.,製造元コード154766)とエタノールの混合液(体積比で1:9)
(5)次いで、上記基板をエタノールで洗浄処理した。
(6)次いで、上記基板を120℃のホットプレートに載せ、30分間脱水処理した。
(7)次いで、上記基板を酸化グラフェン水溶液(Graphene Supermarket Inc.,Single Layer Graphene Oxide:Dispersion in Water)に時間浸漬した
(8)次いで、上記基板を水で洗浄した。
(9)次いで、上記基板を窒素ブローにより乾燥した。
次に、このようにして得られた上記GO薄膜を、下記(I)〜(III)の処理により還元した。下記(I)と(II)はいずれも、エタノール気相雰囲気で還元処理を行った例であるが、還元処理温度の範囲が相違しており、(I)の還元処理温度は(II)に比べて高い。
(I)炭素源としてエタノールを用いた加熱処理
エタノールの流量:0.5sccm
キャリアガス(希釈ガス):Arガス中にH2を3%の割合で混合
キャリアガスの流量:250sccm
処理温度:1130℃、1050℃、1000℃
処理時間:60分
処理圧力:250Pa
(II)炭素源としてエタノールを用いた加熱処理
エタノールの流量:0.5sccm
キャリアガス(希釈ガス):Arガス中にH2を3%の割合で混合
キャリアガスの流量:100sccm
処理温度:950℃、900℃、850℃、750℃、700℃
処理時間:60分
処理圧力:150Pa
(III)Ar/H2雰囲気による還元処理(従来例)
Arガス中にH2を3%の割合で混合
処理温度:1130℃、900℃、850℃、750℃、400℃
処理時間:60分
処理圧力:250Pa
(I)炭素源としてエタノールを用いた加熱処理
エタノールの流量:0.5sccm
キャリアガス(希釈ガス):Arガス中にH2を3%の割合で混合
キャリアガスの流量:250sccm
処理温度:1130℃、1050℃、1000℃
処理時間:60分
処理圧力:250Pa
(II)炭素源としてエタノールを用いた加熱処理
エタノールの流量:0.5sccm
キャリアガス(希釈ガス):Arガス中にH2を3%の割合で混合
キャリアガスの流量:100sccm
処理温度:950℃、900℃、850℃、750℃、700℃
処理時間:60分
処理圧力:150Pa
(III)Ar/H2雰囲気による還元処理(従来例)
Arガス中にH2を3%の割合で混合
処理温度:1130℃、900℃、850℃、750℃、400℃
処理時間:60分
処理圧力:250Pa
図1に、上記の各還元処理条件で得られたGO薄膜からのラマンスペクトルの結果を示す。ラマンスペクトルの測定条件は以下のとおりである。
励起波長:532nm、対物レンズ:100倍、ビームスポット径:〜1μm、入射エネルギー:0.8〜0.9mW、大気雰囲気、装置:(株)堀場製LabRAM HR−800。
励起波長:532nm、対物レンズ:100倍、ビームスポット径:〜1μm、入射エネルギー:0.8〜0.9mW、大気雰囲気、装置:(株)堀場製LabRAM HR−800。
図1中、2Dで囲んだ領域は、グラフェン層構造を反映した2Dバンド強度を示す。図1より、従来のAr/H2雰囲気処理では2Dバンド強度は殆ど増加しない。一方、エタノール気相雰囲気処理では温度が高くなる程、グラフェン層構造を反映した2Dバンド強度が増加することが分かる。
図2は、上記図1において、エタノール気相雰囲気における各温度条件で得られたラマンスペクトルの強度比解析結果を示す。図2中、右側の縦軸はラマンスペクトルの2DバンドとGバンドの強度比I(2D)/I(G)であり、左側の縦軸はラマンスペクトルのI(D)/I(G)である。これらのうちI(2D)/I(G)の強度はGOの還元・構造修復の進行と相関し、I(2D)/I(G)の強度が高くなるほど、GOの還元・構造修復が進んでいることを示す。一方、I(D)/I(G)の強度はグラフェンの点欠陥や位相欠陥構造と相関し、I(D)/I(G)の強度が高くなるほど、これらの欠陥が多いことを示す。
図2より、エタノール気相雰囲気処理の処理温度が高くなるにつれて、I(2D)/I(G)の強度はほぼ比例的に増加し(図中、実線部分を参照)、本発明で規定する1050℃以上の温度では、還元・構造修復が著しく進んでいることが分かる。
一方、I(D)/I(G)の強度は1000℃をピークにして減少し、1050℃、1130℃と高温になるにつれて減少した(図中、点線部分を参照)。ここで、処理温度が850℃、950℃のときにI(D)/I(G)の強度が小さくなったのは欠陥構造が少ないからではなく、逆に欠陥構造によるグラフェン6員環構造の乱れが大きいため、ラマン活性でなくなり強度が小さく出ていると推察される。
上記の結果より、本発明のようにエタノール気相雰囲気下で1050℃以上の高温で還元処理するとGOの構造修復が顕在化し、欠陥構造も少なくなることが分かる。
更に、より詳細な還元・構造修復に伴う結合状態・電子構造の変化を調べるため、X線光電子スペクトルおよびX線吸収微細構造スペクトルを調べた。これらの結果を図3および図4に示す。
このうち図3は、各還元処理条件で得られたグラフェン薄膜のカーボンC1sのX線光電子分光(XPS)スペクトルの結果であり、これにより、カーボンの結合状態を評価することができる。参考のため、還元処理を行わなかった未処理酸化グラフェン(Pristine GO)薄膜の結果も併記する。ここで、XPSによるカーボンの結合状態は、サイズ10×10mm2のSiO2(300nm)/Si基板上一面に塗布したグラフェン薄膜を試料として用い、真空環境下(〜107Pa)にてX線(AlKα線)を上記試料に入射して放出される光電子を分光することによって評価した。用いた装置は島津クレートス社製AXIS−ULTRADLDである。
図3に示すように未処理酸化グラフェン薄膜では、カーボンと酸素の結合(ヒドロキシル基やカルボキシル基、エポキシ基などの酸素含有基)に起因したブロードなピークが、287〜289eVの結合エネルギー範囲に観察されている。これに対し、図3に示す種々の還元処理を行うと、いずれの場合であっても上記ブロードなピークは大きく減少・消失しており、酸素含有基が除去されていることが分かる。特にエタノール気相雰囲気下、1130℃の高温で加熱処理を行うと、酸素含有基由来のピークは観察されず、C-C、C=C結合に由来したピーク強度(284〜286.4eV)の半値幅が他の処理方法に比べて精鋭化している。よって、本発明のように1050℃以上の高温で還元処理するとsp2結合によるカーボンネットワーク(π電子系)の構造修復が進行していることが分かる。
図4は、各還元処理条件で得られたグラフェン薄膜について、放射光を用いたカーボンC1sのX線吸収微細構造(XAFS)スペクトルの結果であり、これにより、π電子系の構造修復を、より直接的に評価することができる。参考のため、グラフェンの無欠陥・完全結晶基板であるHOPGのスペクトルの結果も併記する。ここで、XAFSによるグラフェン薄膜のπ*電子系(π電子の非占有状態密度)評価方法は以下のとおりである。まず、4×8mm2サイズの短冊状にカットした水晶基板(日本電波工業株式会社製)上に、前述した(I)〜(III)で製造したグラフェン薄膜を一面に形成する。この試料に真空環境下(〜10-8Pa)にてX線(線源:シンクロトロン放射光、光エネルギー0.03〜0.85keV、ビームサイズ0.04〜0.1mm、光子数 1×1012Photons/sec)を入射してグラフェン薄膜のπ電子非占有電子状態の吸収スペクトルを観察した。用いた分析装置はMS SCIENTIFIC AB社製静電半球型光電子分光装置である。
図4中、285.5eVのピークはπ*ピーク強度と呼ばれ、炭素六員環平面に対して垂直方向にのびる2Pz(π*)軌道への1s軌道電子の遷移に起因し、π*軌道の成分に比例する。図4より、エタノール気相雰囲気下、高温で処理液する程、上記π*ピーク強度が強くなり、本発明のように1130℃の高温で加熱処理を行ったときのπ*ピーク強度は、HOPGのπ*ピーク強度に最も近くなった。よって、本発明の製造方法によれば、π電子系が薄膜全体にわたり空間的に拡張していることが分かる。
次いで、上記の各還元処理方法で得られた各グラフェン薄膜を用い、以下の手順で電界効果型トランジスタを作製した。
(1)レジスト塗布工程:スピンコータによって界面活性剤である1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン(HMDS)を各グラフェン薄膜上に塗布した後、約120℃で2分間ベークした。次に、スピンコータを用いてフォトレジスト(商品名「OFPR」、東京応化工業株式会社製)を上記のグラフェン薄膜上に塗布してフォトレジスト膜を形成し、この基板を約90℃で5分間ベークして試料を得た。
(2)フォトリソグラフィー工程:次に、上記試料に、マスクレス露光器(商品名「DL−1000」、(株)ナノシステムソリューションズ)によりCADデータパターンを露光描画した。
(3)現像工程:フォトリソグラフィー後のワークを現像液(商品名「NMD−3」、東京応化工業株式会社製、2.38質量%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液)に90秒間浸漬した後、超純水でリンスした。
(4)チャネル・アライメントマーカー:現像によりレジスト膜に保護されていない部分のグラフェン薄膜を反応性ドライエッチング装置(商品名「RIE−10NR」、サムコ株式会社)でエッチングし、グラフェン薄膜からチャネルとアライメントマーカーを同時に作製した。
(5)リフトオフ工程:ワークをフォトレジスト剥離液である1−メチル−2−ピロリドンに浸漬することによって、フォトレジスト膜をリフトオフ(剥離)した。浸漬時間は、30〜60分間である。
(6)電極作製工程:電子線蒸着法によりグラフェン薄膜上および基板上面の露出部上にNi層を5nmの層厚で、Au層を45nmの層厚でそれぞれ形成し、ソース―ドレイン電極を得た。次いで、熱酸化シリコン基板表面の厚さ300nmのシリコン酸化膜を介して基板裏面からバックゲート電極を配置することで、電界効果型トランジスタを得た。
(1)レジスト塗布工程:スピンコータによって界面活性剤である1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン(HMDS)を各グラフェン薄膜上に塗布した後、約120℃で2分間ベークした。次に、スピンコータを用いてフォトレジスト(商品名「OFPR」、東京応化工業株式会社製)を上記のグラフェン薄膜上に塗布してフォトレジスト膜を形成し、この基板を約90℃で5分間ベークして試料を得た。
(2)フォトリソグラフィー工程:次に、上記試料に、マスクレス露光器(商品名「DL−1000」、(株)ナノシステムソリューションズ)によりCADデータパターンを露光描画した。
(3)現像工程:フォトリソグラフィー後のワークを現像液(商品名「NMD−3」、東京応化工業株式会社製、2.38質量%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液)に90秒間浸漬した後、超純水でリンスした。
(4)チャネル・アライメントマーカー:現像によりレジスト膜に保護されていない部分のグラフェン薄膜を反応性ドライエッチング装置(商品名「RIE−10NR」、サムコ株式会社)でエッチングし、グラフェン薄膜からチャネルとアライメントマーカーを同時に作製した。
(5)リフトオフ工程:ワークをフォトレジスト剥離液である1−メチル−2−ピロリドンに浸漬することによって、フォトレジスト膜をリフトオフ(剥離)した。浸漬時間は、30〜60分間である。
(6)電極作製工程:電子線蒸着法によりグラフェン薄膜上および基板上面の露出部上にNi層を5nmの層厚で、Au層を45nmの層厚でそれぞれ形成し、ソース―ドレイン電極を得た。次いで、熱酸化シリコン基板表面の厚さ300nmのシリコン酸化膜を介して基板裏面からバックゲート電極を配置することで、電界効果型トランジスタを得た。
このようにして得られた各電界効果型トランジスタの電気伝導特性(移動度・シート抵抗・キャリア濃度)をホール測定により評価した。ホール測定では、まず、還元処理したグラフェン薄膜をリソグラフィ工程により一辺数百μの正方形に成型した後、各コーナーに電極(Au(厚さ75nm)/Ni(厚さ15nm))を取り付けた素子サンプルを作製した。このサンプルに対して垂直に磁場を印加し、磁場による起電力を測定するVan der Pauw Hall effect測定法によりグラフェン薄膜のキャリア移動度およびコンダクタンスの温度依存性を評価した。冷却には液体ヘリウムを用いた。使用した装置はBID−RAD社製HL5500である。
これらの結果を表1に併記する。
図5は、エタノール気相雰囲気下、種々の温度で還元処理して得られたグラフェン薄膜のコンダクタンス温度依存性を示すグラフである。図5の縦軸はσ(T)/σ(297K)である。ここでは温度依存性を明らかにするため、各温度で測定されたコンダクタンスσ(T)は室温(297K)のコンダクタンスで規格化されている。コンダクタンスは、前述したホール測定時に印加磁場ゼロの状態で同時に取得した。
図5より、エタノール気相雰囲気での温度が1000℃以下の場合、低温領域で急激なコンダクタンスの低下を示すことが分かる(図中、破線円で囲んだ領域を参照)。この結果は、1000℃以下の低温還元処理方法では、熱活性型の伝導機構、すなわちVHR伝導機構が支配要因であることを示している。
これに対し、エタノール気相雰囲気での温度が本発明の範囲内である1130℃以上になると、コンダクタンスの減少は殆ど見られなかった。この結果と、前述した表1の結果(フォノンの散乱が抑制される低温での移動度が向上すること)を考慮すると、1130℃以上の高温処理で得られるグラフェン薄膜の伝導機構は、熱活性型ではなくバンド伝導機構であることが分かる。すなわち、1000℃以下の低温で処理する従来の還元方法で作製されるグラフェン薄膜はVRH伝導機構を示すのに対し、本発明のように高温での還元方法を行えば、バンド伝導を示すグラフェン薄膜の合成が可能であることが示された。
次に、本発明の電子素子およびセンサについて説明する。
本発明の電子素子は、上記製造方法によって得られたグラフェン薄膜をチャネル層に有する。上記電子素子としては、電界効果トランジスタ(FET)、ダイオード、太陽電池などが挙げられる。本発明によれば、グラフェン薄膜を大面積で形成しても、ホール測定によるキャリア移動度が292Kで100cm2/V・s以上、77Kで120cm2/V・s以上と極めて非常に高い電子素子が得られる。そのため、本発明の電子素子は、例えばpHセンサ、バイオセンサなどのセンサとして好適に用いられる。
本発明の電子素子は、例えばpHセンサとして有用であり、高い感度でpHの変化を検出することができる。例えば、緩衝溶液中のpHを段階的に変化させた場合、本発明の製造方法によって得られたグラフェン薄膜をチャネル層に有するFETを用いてFETのソース・ドレイン電流の変化を測定すると、上記ソース・ドレイン電流は、pHの変化に対応して明瞭に段階的な変化を示すようになる。
本発明によれば、電子素子の集積化が可能なため、電界効果トランジスタなどの電子素子を複数有するアレイ素子などに適用可能である。上記アレイ素子を用いたセンシング方法により、pHの段階的な変化を明瞭に検出することができる。或いは、複数の被験物質から特定の被験物質を選択的に、感度良く検出することができる。或いは、本発明によれば、電子素子のリアルタイムモニタリングが可能なため、簡便なシステムによる迅速診断への応用、在宅での生体モニタリングなどのポイント・オブ・ケア検査が可能である。
以下、本発明の電界効果型トランジスタを検出変換素子(トランスデューサ)として用いたバイオセンサの好ましい実施形態について説明する。
本発明の電界効果型トランジスタは複雑な工程を経ることなくデバイスの作製が可能である。また、それを検出変換素子(トランスデューサ)として用いたセンサは化学的な安定性が良好であるのと同時に感度が非常に高い。そのため、特にバイオセンサなど微量成分を検出するのに適している。電界効果型トランジスタを検出変換素子として用い、チャネルを被検出物質に対して特異的に相互作用する特定の物質で修飾することにより、ターゲットにする被検出物質を選択的に高感度で検出することができる。具体的な被検出物質としては、例えば、細胞、微生物、ウイルス、タンパク質、酵素、核酸、低分子生体物質などが挙げられる。
上記細胞として、例えば血液中を循環している癌細胞(circulating tumor cells)やその他の血液細胞などが挙げられる。上記微生物やウイルスの具体例として、例えば感染症の病原微生物や病原ウイルスなどが挙げられる。微生物やウイルスの具体例は、第1類から第5類に属する各種感染症の病原体が主体であり、より具体的にはヒト免疫不全ウイルス(HIV)、B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、重症急性呼吸器症候群(SARS)ウイルス、ヒトパピローマウイルス(HPV)、インフルエンザウイルス、ノロウイルスなどが挙げられる。上記タンパク質としては、インシュリン、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LH−RH)などのペプチドホルモン、各種イムノグログリン、アルブミン、癌胎児性抗原(CEA)や前立腺特異抗原(PSA)などの癌マーカー、C−反応性蛋白などが挙げられる。
また、上述した「被検出物質に対して特異的に相互作用する特定の物質(特定物質)としては、例えば抗体、抗原認識機能を有する抗体断片、または抗原認識機能を有するアプタマーが挙げられる。上記抗体としては、例えばイミュノグロブリンG(IgG)、イミュノグロブリンM(IgM)などの各種イミュノグロブリン;上記抗体断片としては、例えばFab’やFab’’などが挙げられる。上記アプタマーとしては、例えば核酸アプタマーなどが挙げられる。上記核酸としては、例えばDNA、ポリアミド核酸、これらの修飾体などが挙げられる。但し、本発明は上記種類に限定されない。
図6(a)は、本発明に係るバイオセンサの第一の実施形態を示す概略図である。このバイオセンサは、電界効果型トランジスタの上に例えばシリコーンゴム製のプール15を取り付け、プール15内部に被検出物を含んだ溶液11で満たし、電界効果型トランジスタのゲート電極13を溶液11に浸漬させ、電界効果型トランジスタの各電極3,4にソースメジャーユニット12およびデジタルマルチメータ16を接続することで構成されている。
図7は、本発明に係るバイオセンサの第二の実施形態を示す概略図である。ここでは、被検出物質19をチャネルであるグラフェン薄膜2上に安定的に吸着させて高感度に検出するため、前述した「被検出物質19に対して特異的に相互作用する特定物質18」である抗体、抗体断片、またはアプタマーは、グラフェン薄膜2と親和性のある特定構造のリンカー分子17を介して結合・固定化されている。抗体または抗体断片と結合させる場合には、例えばリンカー分子のスクシンイミジル基と抗体または抗体断片に存在するSH基やアミノ基とを反応させる。図7と前述した図6を対比すると、図7のバイオセンサでは、上記特定物質18がグラフェン薄膜2の表面に修飾されているのに対し、前述した図6のバイオセンサでは、グラフェン薄膜2の表面は修飾されていない(未修飾)点で相違する。
リンカー分子17は、グラフェン薄膜2と親和性が高く、且つ特定物質18と結合する官能基を有する物質である。また特定物質18は、被検出物質19に対して特異的に相互作用する特定の物質である。したがって、バイオセンサでは溶液11に含まれるリンカー分子17がグラフェン薄膜2の表面に吸着され、リンカー分子17が特定物質18と結合し、特定物質18が被検出物質19に対して特異的に相互作用することで、被検出物質19は選択的にチャネルであるグラフェン薄膜2に安定的に吸着される。
リンカー分子17としては、その構造中に多環芳香族炭化水素構造を有するものが好ましく、これにより、グラフェン薄膜2表面と強いπ電子相互作用で吸着することができる。具体的には、例えば縮合多環複素芳香族化合物誘導体として、1−ピレンブタン酸スクシンイミジルエステルなどのピレン誘導体などが好ましい。但し、本発明はこれらに限定されない。
次に、図6(a)および図7のバイオセンサを用いた任意のタンパク質14や特定の被検出物質19の検出原理について、図6(b)〜図6(c)を用いて説明する。図6(b)はバイオセンサにおける電気二重層の形成について示した模式図である。図6(c)は被検出物質吸着前後のグラフェン薄膜表面ポテンシャルの変化とソース・ドレイン電流の変化を示す模式図である。
バイオセンサの溶液11中では、前述した図6に示すように任意のタンパク質14が直接グラフェン薄膜表面2に吸着されるか、或いは、前述した図7に示すように特定の被検出物質19が特定物質18とリンカー分子17を介してグラフェン薄膜2に吸着される。任意のタンパク質14や特定の被検出物質19は電荷を持っているので、図6(b)に示すようにグラフェン薄膜2およびゲート電極13の表面近傍では、電荷をもったタンパク質やイオンがキャパシタとして作用して電気二重層が形成される。
任意のタンパク質14または特定の被検出物質19がグラフェン薄膜2に吸着されると、図6(c)に示すように、ゲート電圧の基準電位が変化して、ゲート電圧とソース・ドレイン電流との関係が変化する。したがって、図6(c)の破線で示した一定のゲート電圧をゲート電極13に印加していたとしても、吸着の前後でソース・ドレイン電流の検出値が変化することになる。図6(c)の右図はソース・ドレイン電流の検出値を縦軸にし、時間を横軸にして任意のタンパク質14または特定の被検出物質19の吸着前後でのソース・ドレイン電流の変化を示したグラフである。
つまり、任意のタンパク質14または特定の被検出物質19がグラフェン薄膜2の表面に吸着すると、電気二重層が形成されるために実効的にゲート電圧が印加されたこととなり、ソース・ドレイン電流の検出値が変化する。よって、バイオセンサのソース・ドレイン電流の変化を測定することで、タンパク質14や特定の被検出物質19の吸着を電気的に検出することができる。
また、図7に示す、選択検出を可能とする第二の実施形態では、グラフェン薄膜2上に吸着させる特定物質18の長さ、あるいはリンカー分子17と特定物質18の合計の長さが、電気二重層のデバイ長に相当する厚さより短くする必要がある。通常、その範囲として好ましくは10nm以下、より好ましくは5nm以下、更に好ましくは3nm以下である。
上記第二の実施形態では、バイオセンサのグラフェン薄膜2に被検出物質19が吸着することで、検出変換素子(トランステ゛ューサ)である電界効果型トランジスタにより電気的な変位が検出可能なシグナルへと変換される。バイオセンサの感度を考慮すると、電界効果型トランジスタのキャリア移動度は高い方が適しており、通常1cm2/V・s以上であり、好ましくは10cm2/V・s以上であり、さらに好ましくは100cm2/V・s以上である。また電界効果型トランジスタは、通常の微細加工技術でアレイ化することができることから、バイオセンサを複数形成して多重化することが容易となる。
更にバイオセンサでは、表面に形成される電気二重層での特異的吸着だけを電気的なシグナルとして検出する。したがって、電気二重層外で吸着しやすい非特異吸着反応によるノイズの影響を受けることがなく、高感度化が期待できる。そのため本発明の電界効果型トランジスタを検出変換素子として用いるバイオセンサは、ターゲットにする被検出物質19が微量であっても高感度で選択的に検出可能である。
以下では、上記図6、図7のバイオセンサを用いた種々の実験結果を、図8〜図10を用いて説明する。
(1)BSAのセンシング結果
図8には、第一の実施形態である図6のバイオセンサによりBSA(牛血清アルブミン)を検出した結果を示している。ここで、前述した還元処理方法のうちエタノール気相雰囲気下、950℃または1050℃の処理温度で得られた各グラフェン薄膜をバイオセンサとして用いて、溶液11である電解液中のBSAの検出を評価した結果を示す。BSAの検出に当たっては、緩衝液として超純水希釈によって10mMに濃度調整した株式会社堀場製作所のリン酸緩衝液(pH6.8)またはフタル酸塩標準液(pH4.01)を用いて溶液11のpHを一定に保ち、リン酸緩衝液(pH6.8)またはフタル酸塩標準液(pH4.01)を溶媒として濃度調整した検出タンパク質であるBSA14(シグマ・アルドリッチ社製、商品名「A0281−250MG」)を滴下することにより溶液11のBSA濃度を変化させ、時間に対するソース・ドレイン電流Isdの変化を記録した。ゲート電圧(この場合、トップゲートの電圧)Vg=−0.3V、ソース・ドレイン間電圧Vsd=0.1Vを印加して測定を行った。測定手順として、まず、基板1上に溶液をとどめるための隔壁としてシリコーンゴムを切り出して作製したプール15を置く。ここへリン酸緩衝液(pH6.8)またはフタル酸塩標準液(pH4.01)を滴下した。Isdの記録を開始し、数百秒後にリン酸緩衝液(pH6.8)またはフタル酸塩標準液(pH4.01)を溶媒として濃度調整したBSAを滴下し、十分撹拌した。この間のIsdの変化をデジタルマルチメータ16で記録した。この結果を図8に示す。
図8には、第一の実施形態である図6のバイオセンサによりBSA(牛血清アルブミン)を検出した結果を示している。ここで、前述した還元処理方法のうちエタノール気相雰囲気下、950℃または1050℃の処理温度で得られた各グラフェン薄膜をバイオセンサとして用いて、溶液11である電解液中のBSAの検出を評価した結果を示す。BSAの検出に当たっては、緩衝液として超純水希釈によって10mMに濃度調整した株式会社堀場製作所のリン酸緩衝液(pH6.8)またはフタル酸塩標準液(pH4.01)を用いて溶液11のpHを一定に保ち、リン酸緩衝液(pH6.8)またはフタル酸塩標準液(pH4.01)を溶媒として濃度調整した検出タンパク質であるBSA14(シグマ・アルドリッチ社製、商品名「A0281−250MG」)を滴下することにより溶液11のBSA濃度を変化させ、時間に対するソース・ドレイン電流Isdの変化を記録した。ゲート電圧(この場合、トップゲートの電圧)Vg=−0.3V、ソース・ドレイン間電圧Vsd=0.1Vを印加して測定を行った。測定手順として、まず、基板1上に溶液をとどめるための隔壁としてシリコーンゴムを切り出して作製したプール15を置く。ここへリン酸緩衝液(pH6.8)またはフタル酸塩標準液(pH4.01)を滴下した。Isdの記録を開始し、数百秒後にリン酸緩衝液(pH6.8)またはフタル酸塩標準液(pH4.01)を溶媒として濃度調整したBSAを滴下し、十分撹拌した。この間のIsdの変化をデジタルマルチメータ16で記録した。この結果を図8に示す。
図8の上図に示すように、処理温度が1050℃と高温の本発明方法で製造したグラフェン薄膜FETセンサでは、溶液11へBSA滴下後、明瞭な階段状の電流値変化が観測される。この変化は、バッファー溶液中に帯電したBSAがグラフェン薄膜2表面に吸着し、実効的にゲート電圧が印加された効果(表面ポテンシャルの変調)をIsdの変化として検出していることを示している。
これに対し、図8の下図に示すように、処理温度が950℃と低温の方法で製造したグラフェン薄膜FETセンサでは、BSAのいずれの濃度を滴下しても、明瞭な変化は観察されない。すなわち、グラフェン薄膜の電気特性(移動度)が低いため、吸着に伴う表面ポテンシャルの変調をIsdの変化として検出することが困難であることを示している。
(2)IgMの選択的検出
図9は、第二の実施形態である図7のバイオセンサによりIgM(免疫グロブリンM)を選択的に検出した結果を示している。ここで、処理温度が1050℃と高温の本発明方法で製造したグラフェン薄膜FETセンサを用いて、溶液11である電解液中のIgMを選択的に検出した結果を示している。IgM選択検出では、緩衝液として超純水希釈によって10mMに濃度調整した株式会社堀場製作所のフタル酸塩標準液(pH4.01)を用いて溶液11のpHを一定に保ち、フタル酸塩標準液(pH4.01)を溶媒として濃度調整した被検出物質19であるIgM(製造元Jackson ImmunoResearch Laboratories,Inc.,販売元岩井化学薬品(株)、商品名「Human IgM、Whole molecule」)を滴下することにより溶液11のIgM濃度を変化させ、時間に対するソース・ドレイン電流Isdの変化を記録した。ゲート電圧(この場合、トップゲートの電圧)Vg=−0.3V、ソース・ドレイン間電圧Vsd=0.1Vを印加して測定を行った。測定手順として、先ず基板1上に溶液をとどめるための隔壁としてシリコーンゴムを切り出してつくったプール15を置き、メタノールを溶媒として1mMに濃度調整した、リンカー分子17である1−ピレブタン酸スクシンイミジルエステル(Life Technologies Corp、商品名「P−130」)でプール15を満たした。1時間後、プール15内の溶液を捨てメタノールで十分リンスした後、フタル酸塩標準液(pH4.01)で十分リンスした。更にフタル酸塩標準液(pH4.01)を溶媒として100nMの濃度に調整した、抗原認識機能を有するIgM抗体18(製造元Jackson ImmunoResearch Laboratories,Inc.,販売元岩井化学薬品(株)、商品名「F(ab’)2 Fragment うさぎ抗ヒトIgM,Fc5μフラグメント」)でプール15を満たした。12時間後、プール15内の溶液を捨てフタル酸塩標準液(pH4.01)で十分リンスした後、ここへフタル酸塩標準液(pH4.01)を滴下した。ここへブロッキング処理として、フタル酸塩標準液(pH4.01)を溶媒として50μMに濃度調整したBSAを滴下して十分撹拌した後、Isdの記録を開始した。300秒後、フタル酸塩標準液(pH4.01)を溶媒として1000nMの濃度に調整したBSAを滴下し、十分撹拌した。300秒後、フタル酸塩標準液(pH4.01)を溶媒として100nMの濃度に調整したIgMを滴下して十分撹拌し、Isdの変化を記録した。
図9は、第二の実施形態である図7のバイオセンサによりIgM(免疫グロブリンM)を選択的に検出した結果を示している。ここで、処理温度が1050℃と高温の本発明方法で製造したグラフェン薄膜FETセンサを用いて、溶液11である電解液中のIgMを選択的に検出した結果を示している。IgM選択検出では、緩衝液として超純水希釈によって10mMに濃度調整した株式会社堀場製作所のフタル酸塩標準液(pH4.01)を用いて溶液11のpHを一定に保ち、フタル酸塩標準液(pH4.01)を溶媒として濃度調整した被検出物質19であるIgM(製造元Jackson ImmunoResearch Laboratories,Inc.,販売元岩井化学薬品(株)、商品名「Human IgM、Whole molecule」)を滴下することにより溶液11のIgM濃度を変化させ、時間に対するソース・ドレイン電流Isdの変化を記録した。ゲート電圧(この場合、トップゲートの電圧)Vg=−0.3V、ソース・ドレイン間電圧Vsd=0.1Vを印加して測定を行った。測定手順として、先ず基板1上に溶液をとどめるための隔壁としてシリコーンゴムを切り出してつくったプール15を置き、メタノールを溶媒として1mMに濃度調整した、リンカー分子17である1−ピレブタン酸スクシンイミジルエステル(Life Technologies Corp、商品名「P−130」)でプール15を満たした。1時間後、プール15内の溶液を捨てメタノールで十分リンスした後、フタル酸塩標準液(pH4.01)で十分リンスした。更にフタル酸塩標準液(pH4.01)を溶媒として100nMの濃度に調整した、抗原認識機能を有するIgM抗体18(製造元Jackson ImmunoResearch Laboratories,Inc.,販売元岩井化学薬品(株)、商品名「F(ab’)2 Fragment うさぎ抗ヒトIgM,Fc5μフラグメント」)でプール15を満たした。12時間後、プール15内の溶液を捨てフタル酸塩標準液(pH4.01)で十分リンスした後、ここへフタル酸塩標準液(pH4.01)を滴下した。ここへブロッキング処理として、フタル酸塩標準液(pH4.01)を溶媒として50μMに濃度調整したBSAを滴下して十分撹拌した後、Isdの記録を開始した。300秒後、フタル酸塩標準液(pH4.01)を溶媒として1000nMの濃度に調整したBSAを滴下し、十分撹拌した。300秒後、フタル酸塩標準液(pH4.01)を溶媒として100nMの濃度に調整したIgMを滴下して十分撹拌し、Isdの変化を記録した。
図9から明らかなように、BSA溶液を滴下したとき電流値変化が観測されないのに対して、IgM溶液の滴下時間において階段状の電流値変化が観測された。この変化は、ブロッキング処理されたグラフェン薄膜表面にはBSAが吸着せず電流値変化が観測されないのに対して、pH4.01中で正に帯電をもつIgMがIgM抗体へ選択的に吸着することにより、実効的に正のゲート電圧が印加された効果をIsdの変化として検出していることを示している。
(3)IgEの選択的検出
図10は、第二の実施形態である図7のバイオセンサによりIgE(免疫グロブリンE)を選択的に検出した結果を示している。ここで、処理温度が1050℃と高温の本発明方法で製造したグラフェン薄膜FETセンサを用いて溶液11である電解液中のIgEを選択的に検出した結果を示す。IgEの選択的検出では、緩衝液として超純水希釈によって10mMの濃度に調整した株式会社堀場製作所のリン酸緩衝液(pH6.8)を用いて溶液11のpHを一定に保ち、リン酸緩衝液(pH6.8)を溶媒として濃度調整した被検出物質19であるIgE(YAMASA CORPORATION、商品名「Human IgE」)を滴下することにより溶液11のIgE濃度を変化させ、時間に対するソース・ドレイン電流Isdの変化を記録した。ゲート電圧(この場合、トップゲートの電圧)Vg=−0.3V、ソース・ドレイン間電圧Vsd=0.1Vを印加して測定を行った。測定手順として、まず、基板1上に溶液をとどめるための隔壁としてシリコーンゴムを切り出してつくったプール15を置き、メタノールを溶媒として1mMの濃度に調整した、リンカー分子17である1−ピレブタン酸スクシンイミジルエステル(Life Technologies Corp、商品名「P−130」)でプール15を満たした。1時間後、プール15内の溶液を捨てメタノールで十分リンスした後、リン酸緩衝液(pH6.8)で十分リンスした。更にリン酸緩衝液(pH6.8)を溶媒として100nMの濃度に調整した、抗原認識機能を有するIgEアプタマー(Fasmac Corp:Kanagawa,Japan)でプール15を満たした。12時間後、プール15内の溶液を捨てリン酸緩衝液(pH6.8)で十分リンスした後、ここへリン酸緩衝液(pH6.8)を滴下した。ここへブロッキング処理として、リン酸緩衝液(pH6.8)を溶媒として50μMに濃度調整したBSAを滴下して十分撹拌した。Isdの記録を開始してから300秒後、リン酸緩衝液(pH6.8)を溶媒として1000nMの濃度に調整したBSAを滴下して十分撹拌した。300秒後にリン酸緩衝液(pH6.8)を溶媒として100nMの濃度に調整したIgEを滴下して十分撹拌し、Isdの変化を記録した。
図10は、第二の実施形態である図7のバイオセンサによりIgE(免疫グロブリンE)を選択的に検出した結果を示している。ここで、処理温度が1050℃と高温の本発明方法で製造したグラフェン薄膜FETセンサを用いて溶液11である電解液中のIgEを選択的に検出した結果を示す。IgEの選択的検出では、緩衝液として超純水希釈によって10mMの濃度に調整した株式会社堀場製作所のリン酸緩衝液(pH6.8)を用いて溶液11のpHを一定に保ち、リン酸緩衝液(pH6.8)を溶媒として濃度調整した被検出物質19であるIgE(YAMASA CORPORATION、商品名「Human IgE」)を滴下することにより溶液11のIgE濃度を変化させ、時間に対するソース・ドレイン電流Isdの変化を記録した。ゲート電圧(この場合、トップゲートの電圧)Vg=−0.3V、ソース・ドレイン間電圧Vsd=0.1Vを印加して測定を行った。測定手順として、まず、基板1上に溶液をとどめるための隔壁としてシリコーンゴムを切り出してつくったプール15を置き、メタノールを溶媒として1mMの濃度に調整した、リンカー分子17である1−ピレブタン酸スクシンイミジルエステル(Life Technologies Corp、商品名「P−130」)でプール15を満たした。1時間後、プール15内の溶液を捨てメタノールで十分リンスした後、リン酸緩衝液(pH6.8)で十分リンスした。更にリン酸緩衝液(pH6.8)を溶媒として100nMの濃度に調整した、抗原認識機能を有するIgEアプタマー(Fasmac Corp:Kanagawa,Japan)でプール15を満たした。12時間後、プール15内の溶液を捨てリン酸緩衝液(pH6.8)で十分リンスした後、ここへリン酸緩衝液(pH6.8)を滴下した。ここへブロッキング処理として、リン酸緩衝液(pH6.8)を溶媒として50μMに濃度調整したBSAを滴下して十分撹拌した。Isdの記録を開始してから300秒後、リン酸緩衝液(pH6.8)を溶媒として1000nMの濃度に調整したBSAを滴下して十分撹拌した。300秒後にリン酸緩衝液(pH6.8)を溶媒として100nMの濃度に調整したIgEを滴下して十分撹拌し、Isdの変化を記録した。
図10から明らかなように、BSA溶液を滴下したとき電流値変化が観測されないのに対して、IgE溶液の滴下時間において階段状の電流値変化が観測された。この変化は、ブロッキング処理されたグラフェン薄膜表面にはBSAが吸着せず電流値変化が観測されないのに対して、pH6.8中で正に帯電をもつIgEがIgEアプタマーへ選択的に吸着することにより、実効的に正のゲート電圧が印加された効果をIsdの変化として検出していることを示している。
このように本発明の技術を用いれば、特定のタンパク質を選択的に高感度で検出できるため、例えば、簡便な腫瘍マーカーや免疫反応検査などのように製薬分野、診断医療分野といった広範囲の分野への応用、展開が期待できる。
更に、本発明に係るバイオセンサの他の実施形態について、図11〜図13を用いて説明する。
図11に示す本発明に係るバイオセンサの第三の実施形態は、前述した図6または図7のバイオセンサにおいてソース・ドレイン電極3、4の表面に絶縁性のコーティング層20を設けたものである。これにより、自然酸化によるセンシング特性劣化の抑制や、トップゲート電極13とソース・ドレイン電極間3、4のリーク電流防止による安定なセンシング動作が可能となる。絶縁性のコーティング層20として、例えば、アルミナやシリコン酸化膜などが挙げられる。
図12に示す本発明に係るバイオセンサの第四の実施形態は、前述した図6または図7のバイオセンサにおいてグラフェン薄膜2が基板1から浮いたフリースタンディング構造を有するものである。詳細には、電界効果型トランジスタのチャネルを構成するグラフェン薄膜2が、ソース電極3とドレイン電極4の間で電極下に配置されており、基板1を部分的にエッチングすることで基板表面からグラフェン薄膜2を解離してフリースタンディングとされている。図12において、ソース電極3とドレイン電極4の表面には、前述した図11のようにコーティング層20が形成されていてもよい。
図13に示す本発明に係るバイオセンサの第五の実施形態は、複数のバイオセンサ並列に接続し、各チャネルに異なる抗体や特定物質18を配置させたものである。これにより、特定物質18に応じて複数種類のタンパク質を検出することが可能となる。図13において、ソース電極3とドレイン電極4の表面には、前述した図11のようにコーティング層20が形成されていてもよい。
1 基板
2 グラフェン薄膜
3 ソース電極
4 ドレイン電極
11 溶液
12 ソースメジャーユニット(SMU)
13 ゲート電極(トップゲート電極)
14 任意のタンパク質
15 シリコーンゴム製プール
16 デジタルマルチメータ
17 リンカー分子
18 特定物質
19 被検出物質
20 絶縁性のコーティング層
2 グラフェン薄膜
3 ソース電極
4 ドレイン電極
11 溶液
12 ソースメジャーユニット(SMU)
13 ゲート電極(トップゲート電極)
14 任意のタンパク質
15 シリコーンゴム製プール
16 デジタルマルチメータ
17 リンカー分子
18 特定物質
19 被検出物質
20 絶縁性のコーティング層
Claims (9)
- 酸化グラフェン薄膜を準備する工程と、
炭素含有ガス雰囲気下、1050℃以上の温度で前記酸化グラフェン薄膜を還元する工程と、
を含むことを特徴とするグラフェン薄膜の製造方法。 - 前記酸化グラフェン薄膜を準備する工程に用いられる酸化グラフェン薄膜は、複数の酸化グラフェンフレーク同士が一部重なり合っているものである請求項1に記載のグラフェン薄膜の製造方法。
- 前記炭素含有ガスが、アルコール、炭化水素、炭化水素と水蒸気との混合物、アルコールと水蒸気との混合物、または炭化水素とアルコールと水蒸気との混合物である請求項1または2に記載のグラフェン薄膜の製造方法。
- 前記アルコールがエタノールであり、前記炭化水素がアセチレンである請求項3に記載のグラフェン薄膜の製造方法。
- 前記炭素含有ガスとキャリアガスの流量比(sccm)が炭素含有ガス:キャリアガス=1:500〜1:5000である請求項1〜4のいずれかに記載のグラフェン薄膜の製造方法。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法によって得られたグラフェン薄膜をチャネル層に有する電子素子。
- 電界効果トランジスタである請求項6に記載の電子素子。
- ホール測定によるキャリア移動度が、292Kで100cm2/V・s以上、77Kで120cm2/V・s以上である請求項6または7に記載の電子素子。
- 請求項6〜8のいずれかに記載の電子素子を備えたセンサ。
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JP2014172628A JP2016047777A (ja) | 2014-08-27 | 2014-08-27 | グラフェン薄膜の製造方法、並びにグラフェン薄膜を備えた電子素子およびセンサ |
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