JP2016047748A - 岸壁クレーン - Google Patents

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Abstract

【課題】免震装置の大型化に対応可能であり、免震性能を向上することのできる岸壁クレーンを提供する。
【解決手段】海側脚と陸側脚3とを連結する脚接続水平梁部材6に免震装置17を設置し、スライド式ブーム5を懸吊する構成を備えるサブフレーム構造体18をこの免震装置17に設置し、このサブフレーム構造体18が岸壁クレーン1の走行方向yに延びて免震装置17に支持されるサブフレーム上端梁部材20と、サブフレーム上端梁部材20の延在方向に離間してサブフレーム上端梁部材20から下方に延びる一対のブーム懸架アーム21とを有し、スライド式ブーム5が一対のブーム懸架アーム21の間に配置されブーム懸架アーム21に設置される支持部材に支持される。
【選択図】図3

Description

本発明は、脚構造体とこの脚構造体により水平方向に移動可能に支持されるスライド式ブームとを備え、スライド式ブームが免震装置を介して脚構造体に支持される岸壁クレーンに関するものであり、詳しくは免震装置の大型化に対応可能であり、免震性能を向上することのできる岸壁クレーンに関するものである。
出願人は、脚構造体に免震装置を介して支持されるスライド式ブームを備え、地震時にこのスライド式ブームを揺動させることにより、高い免震性能を発揮することのできる岸壁クレーンを既に提案している(例えば特許文献1参照)。
特許文献1に記載の岸壁クレーンは、スライド式ブームの下方に免震装置が設置されていて、地震時には脚構造体に対してスライド式ブームが水平方向に揺動し、免震装置がこの揺動を減衰する。この構成により、スライド式ブームを巨大な制振マスとして利用できるので、スライド式ブームを有する岸壁クレーンの免震性能を向上することができていた。
近年、より大きな地震動に対しても十分な免震性能を発揮できる岸壁クレーンが求められている。大きな地震動に対応するためには、岸壁クレーンに設置する免震装置を大型化することが望ましい。
しかしながら、特許文献1に記載の岸壁クレーンは、シャトル式ブームの下方の比較的狭い空間に免震装置を設置する構成であるため、免震装置の大型化に十分に対応できない可能性がある。またスライド式ブームの下方に設置される免震装置を大型化すると、スライド式ブームの下方であってトロリから下方に延びるワイヤロープに免震装置が接触する不具合が生じる可能性がある。
特開2010−228871号公報
本願発明は上記の問題を鑑みてなされたものであり、その目的は免震装置の大型化に対応可能であり、免震性能を向上することのできる岸壁クレーンを提供することである。
上記の目的を達成するための本発明の岸壁クレーンは、岸壁クレーンの走行方向に対置される一対の海側脚と陸側脚とをそれぞれ連結する脚接続水平梁部材を有する脚構造体と、この脚構造体により海陸方向に移動可能に支持されるスライド式ブームとを備える岸壁クレーンにおいて、前記スライド式ブームがそれぞれの前記脚接続水平梁部材に免震装置を介して設置されるサブフレーム構造体により懸吊され、このサブフレーム構造体が、前記海陸方向に離間して複数設置されて、前記走行方向に延びて前記免震装置に支持されるサブフレーム上端梁部材と、このサブフレーム上端梁部材の延在方向に離間してこのサブフレーム上端梁部材から下方に延びる一対のブーム懸架アームと、この一対のブーム懸架アームにそれぞれ設置される支持部材とを有し、前記スライド式ブームが前記一対のブーム懸架アームの間に配置され前記支持部材により支持されることを特徴とする。
本発明によれば、免震装置に設置されるサブフレーム構造体を介してスライド式ブームが懸吊され、免震装置をスライド式ブームの下方に設置する必要がなくなるので、スライド式ブームの下方のスペースの大きさに影響されることなく免震装置を大型化することができる。
また免震装置がスライド式ブームの下方ではなく側方近傍に配置されるので、スライド式ブームに沿って移動するトロリのワイヤロープとこの免震装置が接触することを防止できる。
海陸方向に離間して複数設置されるサブフレーム構造体を備える構成により、一対の脚接続水平梁部材を走行方向に延びる複数のサブフレーム構造体で連結することができるので、岸壁クレーンの剛性を向上することができる。この剛性の向上により岸壁クレーンに生じる振動等を抑制することができるので、荷役作業等の作業効率を向上させるには有利となる。
支持部材に支持されるスライド式ブームの支持位置が、スライド式ブームの下端部よりも上方に設定される構成にすることもできる。この構成によればスライド式ブームの下方に支持部材を設置するためのスペースが不要となる。
サブフレーム構造体が、支持部材近傍に設置されてスライド式ブームと接触する作動位置と接触しない待機位置とに移動可能に構成されるブーム支持ローラを備え、スライド式ブームを移動させる際に、ブーム支持ローラが作動位置に移動してスライド式ブームを支持し、スライド式ブームと支持部材との接触を解除する構成にすることもできる。
この構成によればスライド式ブームの下方にブーム支持ローラを設置するためのスペースが不要になるので、スライド式ブームを鉛直方向に大型化するには有利となる。
本発明の岸壁クレーンを例示する説明図である。 サブフレーム構造体を拡大して例示する説明図である。 図2に示す岸壁クレーンをA−A断面で例示する説明図である。 図2に示す岸壁クレーンを平面で例示する説明図である。 図3に示す岸壁クレーンをB−B断面で例示する説明図である。 図5に示すブーム支持ローラが作動位置に移動した状態を例示する説明図である。 図6に示すブーム支持ローラをC−C断面で例示する説明図である。 スライド式ブームを鉛直方向に大型化した状態を例示する説明図である。 岸壁クレーンの別の実施形態を例示する説明図である。 図9に示す岸壁クレーンをD−D断面で例示する説明図である。 図9に示す岸壁クレーンを平面で例示する説明図である。 岸壁クレーンの別の実施形態を例示する説明図である。 図12に示す岸壁クレーンを平面で例示する説明図である。
以下、本発明の岸壁クレーンを図に示した実施形態に基づいて説明する。
図1〜図4に例示するように本発明の岸壁クレーン1は、岸壁クレーン1の走行方向yに対置される一対の海側脚2と一対の陸側脚3とを有する脚構造体4と、この脚構造体4
により海陸方向(以下、横行方向xという)に移動可能に支持されるスライド式ブーム5とを備えている。
脚構造体4は、一対の海側脚2と一対の陸側脚3の上方をそれぞれ連結する脚接続水平梁部材6と、下方をそれぞれ連結するポータルタイビーム7とを有している。この脚接続水平梁部材6とポータルタイビーム7とは、横行方向xに延びる水平な部材で構成されている。脚接続水平梁部材6の途中部分の下面には、海側脚2または陸側脚3にそれぞれ延びる斜材8が連結されている。
図1および図4に例示するように一対の海側脚2の上端部は、走行方向yに延びる水平な構造物上端連結梁9で連結されている。同様に一対の陸側脚3の上端部も走行方向yに延びる水平な構造物上端連結梁9で連結されている。図1に例示するように海側脚2および陸側脚3の下端部にはそれぞれ走行装置10が設置されている。岸壁クレーン1は、この走行装置10により岸壁11に敷設されたレールに沿って走行方向yに走行することができる。なおzは鉛直方向を示している。
スライド式ブーム5は、コンテナ船12等の接岸時には船橋と衝突することを避けるために陸側に向かって移動し、コンテナ13等の荷役を行う荷役作業時には海側に向かって移動する構成を有している。このスライド式ブーム5は、複数の柱状の鋼材を組み合わせてその外形が略直方体形状に形成されている。
スライド式ブーム5には、懸吊された状態で横行方向xに移動可能なトロリ14が設置されている。このトロリ14は、下方に延びるワイヤロープ15と、このワイヤロープ15の下端部に懸吊されるスプレッダ16とを有している。トロリ14は、このスプレッダ16でコンテナ13を把持して荷役を行うことができる。
脚構造体4を構成する一対の脚接続水平梁部材6の上面には、免震装置17を介してサブフレーム構造体18が設置されている。この実施形態では海側脚2と陸側脚3との間に2つのサブフレーム構造体18が設置されている。
図3に例示するようにサブフレーム構造体18は、一対の脚接続水平梁部材6にそれぞれ固定される免震装置17の上方に設置される一組のサブフレーム支柱19と、この一組のサブフレーム支柱19の上方を結ぶ状態で固定されるサブフレーム上端梁部材20と、このサブフレーム上端梁部材20から下方に向かって延びる一対のブーム懸架アーム21とを備えている。このサブフレーム上端梁部材20は、岸壁クレーン1の走行方向yに略平行であり水平な状態で配置される柱状の部材で構成されている。サブフレーム構造体18のサブフレーム上端梁部材20の上端面は構造物上端連結梁9の上端面と同程度の高さに構成されているので、この岸壁クレーン1は高さ制限のあるコンテナターミナルであっても採用することができる。即ちサブフレーム構造体18を設置することにより、岸壁クレーン1の全高が高くなるようなことはない。
一対のブーム懸架アーム21は、2つの免震装置17の間となる位置であって、サブフレーム上端梁部材20の延在方向(走行方向y)に離間した状態で、その上端をそれぞれサブフレーム上端梁部材20に固定されている。この一対のブーム懸架アーム21の間にはスライド式ブーム5が配置されている。
ブーム懸架アーム21は、その下端部にスライド式ブーム5と対向する方向に突設される支持部材22を有している。この支持部材22は、スライド式ブーム5の上端部近傍であって、スライド式ブーム5の長手方向(横行方向x)に延設される受け部材23の底面と接触して、スライド式ブーム5を支持している。スライド式ブーム5は、支持部材22
の天面と受け部材23の底面との間に生じる摩擦力により、サブフレーム構造体18に固定された状態となる。
横行方向xと平行となるスライド式ブーム5の両側面に沿ってそれぞれ設置される受け部材23は、スライド式ブーム5の下端面よりも上方に設置されていればよい。一対のブーム懸架アーム21が、スライド式ブーム5の下端面よりも上方となる支持位置でスライド式ブーム5を支持するので、スライド式ブーム5の下方に支持部材22を配置するためのスペースを形成する必要がなくなる。
脚接続水平梁部材6の天面に設置される免震装置17は、例えば鋼板とゴム材料とを交互に重ね合せて接着した積層ゴムで構成することができる。この実施形態の免震装置17は、横行方向xに変形可能であり、走行方向yへの変形は免震装置17に設置されるガイド等により拘束されている。この免震装置17は、岸壁クレーン1が荷役作業を行なったり走行したりする場合には、せん断ピン等の固定具により変形しない状態で拘束されている。地震時にはこの固定具による固定状態を解除して、免震装置17が変形可能な作動状態にする。
免震装置17の構成は上記に限らず、地震時に脚構造体4とサブフレーム構造体18との間で水平方向に変位し、この変位を減衰する構造を備えていればよい。例えば脚接続水平梁部材6に沿ってレール等を配置し、このレール上をサブフレーム構造体18に設置されるスライダー等が移動し、このスライダーとレールとの間にはシリンダ機構等の減衰機構が設置される構成にすることもできる。また免震装置17を積層ゴムで構成して、横行方向xに加えて走行方向yにも変位可能に構成することもできる。
スライド式ブーム5の下方に免震装置17を設置していた従来は、スライド式ブーム5の下方のスペースの大きさの制約を受けるので、免震装置17を大型化してより規模の大きい地震動に対応することが難しかった。しかし本発明の岸壁クレーン1は、免震装置17がスライド式ブーム5の下方ではなく広いスペースを容易に確保することができる側方近傍に配置される構成であるため、スライド式ブーム5の下方のスペースの大きさに影響されることなく免震装置17の大型化が可能となる。
また免震装置17がスライド式ブーム5の側方近傍に配置されるので、免震装置17が走行方向yに変形したとしても、免震装置17がトロリ14から延びるワイヤロープ15と接触することがない。そのため免震装置17との接触によりワイヤロープ15が劣化することを防止できる。
免震装置17が広いスペースを確保し易い位置に設置されるので、免震装置17の周囲にメンテナンスを行うためのスペースを確保することができる。そのため免震装置17のメンテナンス性を向上することができる。
地震が発生していないときには免震装置17は固定具で固定され変形しないので、図4に例示するようにサブフレーム構造体18は一対の脚接続水平梁部材6を強固に連結する部材として働き、岸壁クレーン1の剛性を向上するには有利である。岸壁クレーン1の剛性が向上すると、荷役作業時の振動等によりスライド式ブーム5が揺動し難くなるので、クレーンオペレータはコンテナ13にスプレッダ16の位置を合わせ易くなり荷役作業の効率を向上することができる。
この実施形態では2つのサブフレーム構造体18でスライド式ブーム5を懸吊しているので、スライド式ブーム5が鉛直方向zを回転軸として水平面内で揺動することを防止するには有利である。これによりスライド式ブーム5の海側先端が走行方向yに揺動し難く
なるので、クレーンオペレータは荷役作業の効率を向上することができる。サブフレーム構造体18の数をさらに増やして、スライド式ブーム5の安定性を向上させる構成にすることもできる。
図5〜図7に例示するようにブーム懸架アーム21の下端部には支持部材22が設置され、この支持部材22の横行方向xにおける両側には傾動可能な状態でそれぞれ傾動部24が設置されている。この傾動部24は、例えば走行方向yを回転軸とするピン部材25等によりブーム懸架アーム21に傾動可能な状態で設置されている。この傾動部24は支持部材22に対して傾動可能な状態に設置する構成にすることもできる。
傾動部24には、その上方に一部が突出する状態でブーム支持ローラ26がそれぞれ設置されている。図7に例示するように傾動部24は天面を有さない箱状に形成され、この内部にはブーム支持ローラ26が走行方向yを回転軸として回転可能に設置されている。図7では説明のため受け部材23を破線で示している。
岸壁クレーン1が荷役作業等を行う際には図5に例示するように、傾動部24の傾動によりブーム支持ローラ26をスライド式ブーム5の受け部材23と接触しない待機位置に移動させる。これにより受け部材23はその底面を支持部材22により支持される状態となる。スライド式ブーム5は、受け部材23の底面と支持部材22の天面との間に生じる摩擦力により保持された状態となる。即ちスライド式ブーム5はサブフレーム構造体18に固定された状態となる。
コンテナ船12等の接岸に伴いスライド式ブーム5を横行方向xに移動させる際には、図6に例示するように、傾動部24の傾動によりブーム支持ローラ26をスライド式ブーム5の受け部材23と接触する作動位置に移動させる。作動位置に移動したブーム支持ローラ26は、スライド式ブーム5を下方から支持し、受け部材23と支持部材22との接触を解除する。受け部材23がブーム支持ローラ26上を移動することにより、スライド式ブーム5は海側または陸側に移動することができる。
ブーム支持ローラ26をサブフレーム構造体18に設置しているので、スライド式ブーム5の下方にブーム支持ローラ26を設置するためのスペースを形成する必要がなくなる。そのため例えばスライド式ブーム5の鉛直方向zの長さを長くしてスライド式ブーム5を大型化することができる。スライド式ブーム5は自重によりたわみ、その先端部が下方に下がってしまうことがあるが、鉛直方向zの長さを長くすることによりスライド式ブーム5のたわみを抑制することができる。
図3に例示するように一対の海側脚2または陸側脚3には、スライド式ブーム5の重量が鉛直方向zに生じるので、海側脚2および陸側脚3の鉛直方向zにおける中間近傍が外側に膨らむようにたわむ脚開き変形が生じる可能性がある。
本発明の岸壁クレーン1は、スライド式ブーム5をサブフレーム構造体18で懸吊しているので一対のブーム懸架アーム21およびブーム支持ローラ26は、この脚開き変形の影響を受け難い。即ち脚開き変形により、一対のブーム懸架アーム21の間の間隔が開いたり、ブーム支持ローラ26が傾いて周面の一部のみがスライド式ブーム5の受け部材23に接触するような片当たりが生じる可能性を抑制できる。そのためブーム支持ローラ26の一部が片当たりにより異常に摩耗したり、スライド式ブーム5を横行方向xに移動させる際に騒音が発生することを抑制できる。
ブーム支持ローラ26を設置する構成は上記に限らず、ブーム支持ローラ26が、スライド式ブーム5の受け部材23と接触する作動位置と、接触しない待機位置とに移動でき
る構成を有していればよい。例えば傾動部24の代わりにブーム懸架アーム21に昇降機構を介してブーム支持ローラ26を設置し、この昇降機構を上下移動させることによりブーム支持ローラ26を作動位置と待機位置に移動させる構成にすることもできる。
またブーム支持ローラ26をブーム懸架アーム21ではなく、海側脚2または陸側脚3や脚接続水平梁部材6に設置する構成にすることもできる。この場合であっても、ブーム支持ローラ26はスライド式ブーム5に設置される受け部材23を支持する構成とすることが望ましいが、スライド式ブーム5の下端部を支持する構成にすることもできる。
次に地震時の岸壁クレーン1の動作について説明する。地震動により岸壁11を介して脚構造体4に水平方向の振動が発生すると、質量の比較的大きいスライド式ブーム5にはその場に留まろうとする慣性力が生じる。留まろうとするスライド式ブーム5に対して、地震動により脚構造体4が水平方向に移動するので、免震装置17には水平方向の大きな力が発生する。この力により免震装置17を固定する固定具であるせん断ピンが破断し、免震装置17は変形可能な状態となる。
固定具はせん断ピンに限らず、岸壁クレーン1の荷役作業等の際に免震装置17を固定して変形しない状態とし、地震時に免震装置17の固定を解除して変形可能な状態にできる構成を有していればよい。例えば油圧等のシリンダ機構で構成して、地震等が発生していない平常時には油圧によりシリンダ機構が伸縮しない状態にしておき、地震時には緊急地震速報に基づいてこのシリンダ機構の油圧を解放する構成にすることもできる。
水平方向に振動する脚構造体4に対して、サブフレーム構造体18の支持部材22により固定的に支持されているスライド式ブーム5は、サブフレーム構造体18とともにその場に留まろうとする。そのためスライド式ブーム5およびサブフレーム構造体18は制振マスとして作用し、この制振マスに対して水平方向に振動する脚構造体4はこの制振マスとの間に設置される免震装置17に発生する復元力を受け元の位置に戻ろうとする。この復元力は脚構造体4の振動方向とは逆方向に生じるので、脚構造体4に生じる振動を減衰することができる。
横行方向xに変形可能であり走行方向yの変形が拘束されている免震装置17を設置する場合には、脚構造体4の横行方向xの振動を減衰することができる。地震時にはスライド式ブーム5が鉛直方向zを回転軸として海側先端部を左右に振るような振動が発生することがあるが、免震装置17の走行方向yの変形を拘束している場合はこの振動を抑制できる。そのため脚構造体4の横行方向xの振動をより効果的に減衰させるには有利となる。
横行方向xに加えて走行方向yにも変形可能な免震装置17を設置する場合には、脚構造体4の横行方向xの振動に加えて走行方向yの振動も減衰することができる。また図1に例示する走行装置10と脚構造体4との間にも免震装置を設置する構成にすることもできる。この構成によれば、岸壁クレーン1の免震性能をさらに向上することができる。
図8に例示するように、スライド式ブーム5の鉛直方向zの長さを長くして大型化する構成にすることもできる。この実施形態ではスライド式ブーム5の下端面が脚接続水平梁部材6の下端面よりも低い位置となるスライド式ブーム5を備えている。コンテナ船12の大型化に伴い岸壁クレーン1の大型化が求められていて、横行方向xにおけるスライド式ブーム5の全長を延長することが要求されている。この要求に対してスライド式ブーム5の横行方向xの長さを長くすると、スライド式ブーム5が自重の影響でたわみ、海側先端部が下方に下がってしまう可能性があるので、スライド式ブーム5の鉛直方向zの長さを長くして剛性を向上させる必要がある。
従来の岸壁クレーンにおいては、スライド式ブーム5の鉛直方向zの長さを長くすると、スライド式ブーム5の下方に設置していた免震装置やブーム支持ローラが設置できなくなるので、対応することが困難であった。
しかし本発明の岸壁クレーン1は、スライド式ブーム5の下方に免震装置17を設置したり、ブーム支持ローラ26を設置したりするためのスペースが不要となる構成のため、スライド式ブーム5の鉛直方向zの長さを延長することができる。即ち岸壁クレーン1の大型化に対応しつつ、必要に応じた大きさの免震装置17を選択して設置できるので、高い免震性能を有する岸壁クレーン1を提供することが可能となる。
図9〜図11に例示するように免震装置17を大型化して、この免震装置17にサブフレーム支柱19を介さずサブフレーム上端梁部材20を直接設置する構成にすることもできる。図2に例示するサブフレーム構造体18のサブフレーム支柱19は、サブフレーム上端梁部材20の高さを調節するためのものであるため、免震装置17が必要な高さを備えている場合には図9および図10に例示するように免震装置17にサブフレーム上端梁部材20を設置する構成にすることもできる。
免震装置17はスライド式ブーム5の下方ではなくスペースの確保し易い側方近傍に配置されるので、高さや幅を大型化した免震装置17であっても配置することができる。
またこの実施形態では海側脚2および陸側脚3の上端面を脚接続水平梁部材6の天面と同程度の高さとしている。図11に例示するように、この海側脚2および陸側脚3の上端部には構造物上端連結梁9は設置されていない。図9に例示するようにこの岸壁クレーン1は、海側脚2と陸側脚3との間であって一対の脚接続水平梁部材6上に立設される固定支柱27と、この固定支柱27の上端を連結する構造物上端連結梁9とを有している。
この構成によれば図1〜図4に例示する実施形態に比べて海側脚2と陸側脚3とを連結する構造物上端連結梁9の部材の量を減らして、岸壁クレーン1の上部を軽量化して安定化させるには有利である。従来は2本の構造物上端連結梁9で固定されていた脚接続水平梁部材6を、2つのサブフレーム構造体18と1本の構造物上端連結梁9で固定することができるので、岸壁クレーン1の剛性を向上することができる。
図12および図13に例示するように海側脚2の上端面を脚接続水平梁部材6の天面と同程度の高さとして、2つのサブフレーム構造体18を設置する構成にすることもできる。また陸側脚3の上端面を脚接続水平梁部材6の天面と同程度の高さとして、2つのサブフレーム構造体28を設置する構成にすることもできる。脚接続水平梁部材9に設置するサブフレーム構造体28の数は上記に限らず、3つ以上にすることもできる。岸壁クレーン1に設置されるサブフレーム構造体28の数を増やすことにより、平常時には岸壁クレーン1の剛性を向上し、地震時にはスライド式ブーム5を保持する際の安定性を向上することができる。スライド式ブーム5を安定的に保持することにより、制振マスとして作用させ易くなり、岸壁クレーン1の免震性能を向上することができる。
1 岸壁クレーン
2 海側脚
3 陸側脚
4 脚構造体
6 脚接続水平梁部材
7 ポータルタイビーム
8 斜材
9 構造物上端連結梁
10 走行装置
11 岸壁
12 コンテナ船
13 コンテナ
14 トロリ
15 ワイヤロープ
16 スプレッダ
17 免震装置
18 サブフレーム構造体
19 サブフレーム支柱
20 サブフレーム上端梁部材
21 ブーム懸架アーム
22 支持部材
23 受け部材
24 傾動部
25 ピン部材
26 ブーム支持ローラ
27 固定支柱

Claims (3)

  1. 岸壁クレーンの走行方向に対置される一対の海側脚と陸側脚とをそれぞれ連結する脚接続水平梁部材を有する脚構造体と、この脚構造体により海陸方向に移動可能に支持されるスライド式ブームとを備える岸壁クレーンにおいて、
    前記スライド式ブームがそれぞれの前記脚接続水平梁部材に免震装置を介して設置されるサブフレーム構造体により懸吊され、
    このサブフレーム構造体が、前記海陸方向に離間して複数設置されて、前記走行方向に延びて前記免震装置に支持されるサブフレーム上端梁部材と、このサブフレーム上端梁部材の延在方向に離間してこのサブフレーム上端梁部材から下方に延びる一対のブーム懸架アームと、この一対のブーム懸架アームにそれぞれ設置される支持部材とを有し、前記スライド式ブームが前記一対のブーム懸架アームの間に配置され前記支持部材により支持されることを特徴とする岸壁クレーン。
  2. 前記支持部材に支持される前記スライド式ブームの支持位置が、前記スライド式ブームの下端部よりも上方に設定される請求項1に記載の岸壁クレーン。
  3. 前記サブフレーム構造体が、前記支持部材近傍に設置されて前記スライド式ブームと接触する作動位置と接触しない待機位置とに移動可能に構成されるブーム支持ローラを備え、
    前記スライド式ブームを移動させる際に、前記ブーム支持ローラが作動位置に移動して前記スライド式ブームを支持し、前記スライド式ブームと前記支持部材との接触を解除する請求項1または2に記載の岸壁クレーン。
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