JP2016046091A - 塗工装置および塗工方法、並びに、膜・触媒層接合体の製造装置および製造方法 - Google Patents

塗工装置および塗工方法、並びに、膜・触媒層接合体の製造装置および製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】燃料電池の電解質膜の両面の同じ領域に正確に触媒インクを塗工することができる塗工技術、および、燃料電池の膜・触媒層接合体の製造技術を提供する。【解決手段】電解質膜巻出ローラ12からバックシート付き電解質膜が送り出され、剥離ローラ11によってバックシートが剥離された電解質膜が吸着ローラ20に吸着され、塗工ノズル30から電解質膜に触媒インクが塗工される。バックシートが貼り合わされている電解質膜の表面に予め形成されている触媒層の長さをファイバーセンサー76が検知するとともに、そのバックシートが剥離された後の電解質膜の表面に形成されている触媒層の長さをファイバーセンサー71が検知する。バックシートの剥離前後での触媒層の伸び率に基づいて、電解質膜の表面における触媒層の形成領域と同じ裏面の塗工領域に触媒インクを塗工する。【選択図】図1

Description

本発明は、燃料電池の電解質膜に触媒インクを塗工する塗工装置および塗工方法、並びに、その塗工技術を用いた燃料電池の膜・触媒層接合体の製造装置および製造方法に関する。
近年、自動車、家庭用、携帯電話などの駆動電源として燃料電池が注目されている。燃料電池は、燃料に含まれる水素(H)と空気中の酸素(O)との電気化学反応によって電力を作り出す発電システムであり、発電効率が高く環境への負荷も軽いという特長を有する。
燃料電池には、使用する電解質によって幾つかの種類が存在しているが、そのうちの一つに電解質としてイオン交換膜(電解質膜)を用いた固体高分子形燃料電池(PEFC:Polymer electrolyte fuel cell)がある。固体高分子形燃料電池は、常温での動作および小型軽量化が可能であるため、自動車や携帯機器への適用が期待されている。
固体高分子形燃料電池は、一般的には複数のセルを積層して構成されている。1つのセル(単セル)は、膜・電極接合体(MEA:Membrane-Electrode-Assembly)の両側を一対のセパレータで挟み込んで構成されている。膜・電極接合体は、電解質の薄膜(高分子電解質膜)の両面に触媒層を形成した膜・触媒層接合体(CCM:Catalyst-coated membrane)の両側にさらにガス拡散層を配置したものである。高分子電解質膜を挟んで両側に配置された触媒層とガス拡散層とで一対の電極層が構成され、そのうちの一方がアノード電極であり、他方がカソード電極である。アノード電極に水素を含む燃料ガスが接触するとともに、カソード電極に空気が接触することにより電気化学反応によって電力が作り出される。
このように、燃料電池の膜・触媒層接合体においては、電解質膜の一方面側にアノード電極の触媒層が形成され、それと同じ領域の他方面側にカソード電極の触媒層が形成される。触媒層は、その極性にかかわらず、電解質膜の表面に白金(Pt)を含む触媒粒子をアルコールなどの溶媒中に分散させた触媒インク(電極ペースト)を断続的に間欠塗工し、その触媒インクを乾燥させることによって形成される。典型的には、まず電解質膜の一方面にアノード用またはカソード用の触媒インクを間欠塗工して乾燥し、次いで一方面側に塗工したのと同一の領域の他方面側に一方面側とは反対極性の触媒インクを間欠塗工して乾燥させる。
このような両面塗工を行うときには、電解質膜の一方面側と他方面側とで触媒層の形成領域にずれが生じると燃料電池の特性が低下するため、可能な限り両面における触媒層の形成領域を一致させておくことが望ましい。例えば、特許文献1,2には、一方面側に形成されている塗布膜の位置をカメラ等のセンサによって検出し、その検出結果に基づいて他方面の同じ領域に塗工を行う技術が開示されている。
特開2011−206641号公報 特開2012−212619号公報
ところが、特許文献1,2に開示されるのは、主にリチウムイオン二次電池の製造に際して、アルミニウム箔や銅箔などの金属箔の両面に塗工処理を行う技術である。金属箔の場合、常温であれば多少の張力を付与してもほとんど変形することはない。このため、特許文献1,2に開示される技術によって、一方面側に形成されている塗布膜と同じ領域の他方面側に比較的容易に塗工処理を行うことができる。
しかしながら、燃料電池に使用される高分子電解質膜は金属とは異なり、わずかな応力によっても簡単に変形する。また、高分子電解質膜は空気中の水分などを吸収することによっても容易に変形する。このため、電解質膜には形状保持のための樹脂製の支持フィルムが貼り合わされていることが多い。かかる支持フィルムは電解質膜への両面塗工の支障となるため、塗工処理時には当然に電解質膜から剥離される。支持フィルムが剥離された電解質膜は簡単に変形するため、一方面に形成されている触媒層の位置をセンサによって検出しても、それと同じ領域の他方面側に触媒インクを塗工することは困難であり、その結果電解質膜の両面で触媒層の形成領域にずれが生じやすくなる。
また、電解質膜が伸びた状態で塗工処理を行うと、想定している長さよりも短い領域に対して多量の触媒インクを塗工することとなり、電解質膜の両面で触媒層の膜厚も異なることとなる。このように電解質膜の両面において触媒層の形成領域や膜厚にずれが生じると、燃料電池としての性能が劣化するという問題が発生する。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、燃料電池の電解質膜の両面の同じ領域に正確に触媒インクを塗工することができる塗工技術、および、燃料電池の膜・触媒層接合体の製造技術を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、燃料電池の電解質膜に触媒インクを塗工する塗工装置において、一方面に所定の間隔を隔てて断続的に触媒層が形成された電解質膜の他方面に支持フィルムが貼り合わされた積層体を送出する送出手段と、前記電解質膜の他方面から前記支持フィルムを剥離する剥離手段と、前記支持フィルムが剥離された前記電解質膜の一方面を支持するローラと、前記ローラに支持された前記電解質膜の他方面に触媒インクを塗工する塗工手段と、前記送出手段から送出されて前記剥離手段に至るまでの前記電解質膜の一方面に形成された触媒層の長さを検知する第1検知手段と、前記剥離手段にて支持フィルムが剥離されてから前記ローラに至るまでの前記電解質膜の一方面に形成された触媒層の長さを検知する第2検知手段と、前記第1検知手段および前記第2検知手段による検知結果に基づいて、前記支持フィルムの剥離前後での前記触媒層の伸び率を算定する伸び率算定手段と、前記伸び率算定手段によって算定された前記触媒層の伸び率に基づいて、前記電解質膜の一方面における触媒層の形成領域と同じ他方面の塗工領域に触媒インクを塗工するように前記塗工手段を制御する塗工制御手段と、を備えることを特徴とする。
また、請求項2の発明は、請求項1の発明に係る塗工装置において、前記塗工制御手段は、前記伸び率算定手段によって算定された前記触媒層の伸び率に基づいて、前記電解質膜の一方面側の触媒層を形成するのに使用したのと同じ量の触媒インクを他方面の前記塗工領域に塗工するように前記塗工制御手段の塗工流量を制御することを特徴とする。
また、請求項3の発明は、請求項1または請求項2の発明に係る塗工装置において、前記電解質膜の一方面に形成された触媒層の位置を検知する第3検知手段をさらに備え、前記塗工制御手段は、前記第3検知手段による検知結果に基づいて、前記塗工手段による塗工開始タイミングを制御することを特徴とする。
また、請求項4の発明は、燃料電池の膜・触媒層接合体の製造装置において、請求項1から請求項3のいずれかの発明に係る塗工装置と、前記電解質膜の他方面に塗工された触媒インクを乾燥させて触媒層を形成する乾燥手段と、を備えることを特徴とする。
また、請求項5の発明は、燃料電池の電解質膜に触媒インクを塗工する塗工方法において、一方面に所定の間隔を隔てて断続的に触媒層が形成された電解質膜の他方面に支持フィルムが貼り合わされた積層体を送出する送出工程と、送出された前記電解質膜の他方面から前記支持フィルムを剥離する剥離工程と、前記支持フィルムが剥離された前記電解質膜の一方面をローラで支持しつつ、前記電解質膜の他方面に触媒インクを塗工する塗工工程と、前記送出工程にて送出されて前記剥離工程に至るまでの前記電解質膜の一方面に形成された触媒層の長さを検知する第1検知工程と、前記剥離工程にて支持フィルムが剥離されてから前記ローラに至るまでの前記電解質膜の一方面に形成された触媒層の長さを検知する第2検知工程と、前記第1検知工程および前記第2検知工程での検知結果に基づいて、前記支持フィルムの剥離前後での前記触媒層の伸び率を算定する伸び率算定工程と、を備え、前記塗工工程では、前記伸び率算定工程にて算定された前記触媒層の伸び率に基づいて、前記電解質膜の一方面における触媒層の形成領域と同じ他方面の塗工領域に触媒インクを塗工することを特徴とする。
また、請求項6の発明は、請求項5の発明に係る塗工方法において、前記塗工工程では、前記伸び率算定工程にて算定された前記触媒層の伸び率に基づいて、前記電解質膜の一方面側の触媒層を形成するのに使用したのと同じ量の触媒インクを他方面の前記塗工領域に塗工するように触媒インクの塗工流量を調整することを特徴とする。
また、請求項7の発明は、請求項5または請求項6の発明に係る塗工方法において、前記電解質膜の一方面に形成された触媒層の位置を検知する第3検知工程をさらに備え、前記塗工工程では、前記第3検知工程での検知結果に基づいて、触媒インクの塗工開始タイミングを規定することを特徴とする。
また、請求項8の発明は、燃料電池の膜・触媒層接合体の製造方法において、請求項5から請求項7のいずれかの発明に係る塗工方法と、前記電解質膜の他方面に塗工された触媒インクを乾燥させて触媒層を形成する乾燥工程と、を備えることを特徴とする。
請求項1から請求項4の発明によれば、支持フィルムの剥離前後での触媒層の伸び率に基づいて、電解質膜の一方面における触媒層の形成領域と同じ他方面の塗工領域に触媒インクを塗工するため、燃料電池の電解質膜の両面の同じ領域に正確に触媒インクを塗工することができる。
特に、請求項2の発明によれば、支持フィルムの剥離前後での触媒層の伸び率に基づいて、電解質膜の一方面側の触媒層を形成するのに使用したのと同じ量の触媒インクを他方面の塗工領域に塗工するため、電解質膜の両面に同じ膜厚の触媒層を形成することができる。
請求項5から請求項8の発明によれば、支持フィルムの剥離前後での触媒層の伸び率に基づいて、電解質膜の一方面における触媒層の形成領域と同じ他方面の塗工領域に触媒インクを塗工するため、燃料電池の電解質膜の両面の同じ領域に正確に触媒インクを塗工することができる。
特に、請求項6の発明によれば、支持フィルムの剥離前後での触媒層の伸び率に基づいて、電解質膜の一方面側の触媒層を形成するのに使用したのと同じ量の触媒インクを他方面の塗工領域に塗工するため、電解質膜の両面に同じ膜厚の触媒層を形成することができる。
本発明に係る膜・触媒層接合体の製造装置の全体構成を示す側面図である。 張力付与部の概略構成を示す図である。 吸着ローラ近傍の斜視図である。 吸着ローラおよび乾燥炉の構成を示す図である。 吸着ローラおよび乾燥炉の正面図である。 製造装置において膜・触媒層接合体が製造される手順を示すフローチャートである。 製造装置において膜・触媒層接合体が製造される手順を示すフローチャートである。 電解質膜巻出ローラから巻き出される時点での電解質膜の断面図である。 電解質膜の表面に形成された触媒層を示す図である。 バックシートが剥離された電解質膜の断面図である。 電解質膜に触媒インクが間欠塗工された状態を示す図である。 触媒インクが間欠塗工された電解質膜の断面図である。 表裏両面に触媒層が形成された電解質膜の断面図である。 電解質膜の塗工面に支持フィルムを貼り合わせるラミネート処理の様子を示す図である。 支持フィルムが貼り合わされた電解質膜の断面図である。
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明に係る膜・触媒層接合体の製造装置1の全体構成を示す側面図である。この膜・触媒層接合体の製造装置1は、帯状の薄膜である電解質膜2に触媒インク(電極ペースト)を塗工し、その触媒インクを乾燥させて電解質膜2上に触媒層を形成して固体高分子形燃料電池用の膜・触媒層接合体を製造する装置である。なお、図1および以降の各図には、それらの方向関係を明確にするためZ軸方向を鉛直方向とし、XY平面を水平面とするXYZ直交座標系を適宜付している。また、図1および以降の各図においては、理解容易のため、必要に応じて各部の寸法や数を誇張または簡略化して描いている。
製造装置1は、主たる要素として、電解質膜2からバックシート6を剥離する剥離部10と、バックシート6が剥離された電解質膜2に一定の張力を付与する張力付与部80と、電解質膜2を吸着支持して搬送する吸着ローラ20と、電解質膜2の表面に触媒インクを塗工する塗工ノズル30と、塗工された触媒インクを加熱して乾燥させる乾燥炉40と、乾燥工程を経た電解質膜2に支持フィルムを貼り合わせる貼付部50と、を備える。また、製造装置1は、装置全体を管理する制御部90を備える。
剥離部10は、剥離ローラ11およびニップローラ16を備える。また、製造装置1は、電解質膜巻出ローラ12、バックシート巻取ローラ14およびテンション検知ローラ13,15を備える。電解質膜巻出ローラ12は図示省略のモータによって連続的に回転される。電解質膜巻出ローラ12にはバックシート6付きの電解質膜2が巻回されており、電解質膜巻出ローラ12はそのバックシート6付きの電解質膜2を連続的に送り出す。
電解質膜巻出ローラ12から送り出されたバックシート6付きの電解質膜2は、テンション検知ローラ13に懸架され、剥離ローラ11とニップローラ16とによって挟み込まれる。剥離ローラ11とニップローラ16との間隔は、バックシート6付き電解質膜2の厚さよりも小さい。従って、剥離ローラ11とニップローラ16とは圧力をかけつつバックシート6付きの電解質膜2を挟み込む。
電解質膜巻出ローラ12から送り出されて剥離ローラ11に至るまでのバックシート付き電解質膜2の張力はテンション検知ローラ13によって検知される。テンション検知ローラ13は、軸に作用する荷重をロードセルによって測定することにより作用する張力を検知する。制御部90は、テンション検知ローラ13によって検知されるバックシート付き電解質膜2の張力が予め設定された値となるように電解質膜巻出ローラ12の回転を制御する。
また、剥離ローラ11では、バックシート6が電解質膜2から剥離され、テンション検知ローラ15に懸架されてバックシート巻取ローラ14に巻き取られる。バックシート巻取ローラ14は、図示省略のモータによって連続的に回転されることにより、バックシート6を連続的に巻き取るとともに、剥離ローラ11にて電解質膜2から剥離されたバックシート6に一定の張力を付与する。バックシート巻取ローラ14がバックシート6に与える張力はテンション検知ローラ15によって検知される。テンション検知ローラ15は、テンション検知ローラ13と同じく、軸に作用する荷重をロードセルによって測定することにより作用する張力を検知する。制御部90は、テンション検知ローラ15によって検知されるバックシート6の張力が予め設定された値となるようにバックシート巻取ローラ14の回転を制御する。
剥離部10にてバックシート6が剥離された電解質膜2は後述する貼付ローラ19によって吸着ローラ20に吸着されるまで補強のための支持部材無しで搬送されることとなる。燃料電池用の電解質膜2は極めて変形しやすいため、バックシート6のような補強部材無しで電解質膜2を搬送するときには皺防止のために弱い張力を与えることが好ましい。張力付与部80は、剥離部10にてバックシート6が剥離されてから吸着ローラ20によって吸着されるまでの電解質膜2に一定の張力を与える。
図2は、張力付与部80の概略構成を示す図である。張力付与部80は、主たる要素としてテンションローラ81、前ローラ82、後ローラ83およびシリンダー87を備える。テンションローラ81は、シリンダー87によって図2中矢印AR2にて示す方向に移動可能とされているローラである。一方、前ローラ82および後ローラ83は軸の位置が固定されているローラである。シリンダー87は、例えばエアシリンダーであり、空気圧によってテンションローラ81を矢印AR2に示す方向に移動させる。シリンダー87の空気圧は電空レギュレーター86によって規定されている。
図2に示すように、軸位置が固定された前ローラ82と後ローラ83とに懸架された電解質膜2は、それら両ローラの間でテンションローラ81に巻きかけられており、この構成によって電解質膜2に張力が与えられる。シリンダー87がテンションローラ81を矢印AR2に示す方向に移動させると、電解質膜2に与える張力を調整することができる。シリンダー87がテンションローラ81を図2中左向きに移動させると電解質膜2に作用する張力が大きくなる。逆に、シリンダー87がテンションローラ81を図2中右向きに移動させると電解質膜2に作用する張力が小さくなる。
前ローラ82および後ローラ83の少なくともいずれか一方には、軸に作用する荷重を測定するロードセルなどのテンションセンサー84が付設されている(図2の例では後ローラ83に付設されている)。テンションセンサー84は、後ローラ83の軸に作用する荷重を測定することによって後ローラ83に懸架されている電解質膜2に作用する張力を検知する。
テンションセンサー84によって検知された電解質膜2に作用する張力はテンションコントローラ85に伝達される。テンションコントローラ85は、テンションセンサー84による検知結果に基づいて、電解質膜2に作用する張力が一定となるように電空レギュレーター86がシリンダー87に与える空気圧を制御する。このような構成により、張力付与部80は剥離部10にてバックシート6が剥離されてから吸着ローラ20によって吸着されるまでの電解質膜2に一定の張力を付与するのである。
剥離ローラ11とニップローラ16とは圧力をかけつつバックシート6付きの電解質膜2を挟み込むため、張力付与部80が電解質膜2に与える張力は剥離ローラ11よりも上流側(電解質膜巻出ローラ12側)の電解質膜2に対しては作用しない。すなわち、張力付与部80が電解質膜2に与える張力は、電解質膜2の搬送方向上流側に向けては剥離ローラ11およびニップローラ16によって遮断される。同様に、貼付ローラ19と吸着ローラ20とは圧力をかけつつ電解質膜2を挟み込むため、張力付与部80が電解質膜2に与える張力は貼付ローラ19よりも下流側の電解質膜2に対しては作用しない。すなわち、張力付与部80が電解質膜2に与える張力は、電解質膜2の搬送方向下流側に向けては貼付ローラ19および吸着ローラ20によって遮断される。従って、張力付与部80は剥離ローラ11から貼付ローラ19に至るまでの電解質膜2に一定の張力を与えることとなる。なお、剥離ローラ11から貼付ローラ19に至るまでの搬送区間内においては、その位置によらず電解質膜2に作用する張力は一定である。
図1に戻り、吸着ローラ20の外周面に接するように貼付ローラ19が設けられている。貼付ローラ19は、吸着ローラ20との間に電解質膜2を挟み込み、電解質膜2に圧力をかけつつ吸着ローラ20の外周面に電解質膜2を吸着させる。なお、貼付ローラ19自体に電解質膜2が貼り付くのを防止するために、貼付ローラ19の外周面から空気を噴出するエアーパージ機構を設けるようにしても良い。
図3は、吸着ローラ20近傍の斜視図である。吸着ローラ20は、中心軸がY軸方向に沿うように設置された円柱形状の部材である。吸着ローラ20の大きさは、例えば、高さ(Y軸方向の長さ)が400mmであり、直径が400mm〜1600mmである。吸着ローラ20は、図示省略のモータによってY軸方向に沿った中心軸を回転中心として図3中矢印AR3に示す向きに回転される。
吸着ローラ20は、多孔質カーボンまたは多孔質セラミックスにて形成された多孔質ローラである。多孔質セラミックスとしては、例えばアルミナ(Al)または炭化ケイ素(SiC)の焼結体を用いることができる。多孔質の吸着ローラ20における気孔径は5μm以下であり、気孔率は15%〜50%の範囲内である。また、吸着ローラ20の外周面(円柱の周面)の表面粗さは、Rz(最大高さ)が5μm以下であり、この値は小さいほど好ましい。さらに、回転時の吸着ローラ20の全振れ(回転軸から外周面までの距離の変動)は10μm以下とされている。
図4は、吸着ローラ20および乾燥炉40の構成を示す図である。吸着ローラ20の上面および/または底面には吸引口21が設けられている。吸引口21は、図外の吸引機構(例えば、排気ポンプ)によって吸引されて負圧が与えられる。吸着ローラ20は、気孔率が15%〜50%の多孔質であるため、吸引口21に負圧が付与されると、内部の気孔を介して吸着ローラ20の外周面にも所定値の負圧(周辺雰囲気から外周面に吸引する圧力)が均一に作用することとなる。例えば、本実施形態では、吸引口21に90kPa以上の負圧が付与されることによって、吸着ローラ20の外周面には10kPa以上の負圧が均一に作用することとなる。これにより、吸着ローラ20は、電解質膜2を幅方向(Y軸方向)の全域にわたって均等に吸着することができる。
また、吸着ローラ20には、複数の水冷管22が設けられている。水冷管22は、吸着ローラ20の内部を巡るように均一な配設密度にて設けられている。水冷管22には図外の給水機構から所定温度に温調された恒温水が供給される。水冷管22の内部を流れた恒温水は図外の排液機構へと排出される。水冷管22に恒温水を流すことによって、吸着ローラ20は冷却されることとなる。
図1,3に戻り、吸着ローラ20の外周面に対向して塗工ノズル30が設けられている。塗工ノズル30は、吸着ローラ20による電解質膜2の搬送方向において、貼付ローラ19よりも下流側に設けられている。塗工ノズル30は、先端((+X)側の端部)にスリット状の吐出口を備えたスリットノズルである。そのスリット状の吐出口の長手方向はY軸方向である。塗工ノズル30は、スリット状の吐出口が吸着ローラ20の外周面から所定間隔を隔てる位置に設けられている。また、塗工ノズル30は、図示しない駆動機構によって吸着ローラ20に対する位置および姿勢が調整可能に設けられている。
塗工ノズル30には、塗工液供給機構35から塗工液として触媒インクが供給される。塗工液供給機構35は、触媒インクを貯留するタンク、当該タンクと塗工ノズル30とを連通接続する供給配管、および、当該供給配管に設けられた開閉バルブなどを有する。塗工液供給機構35は、開閉バルブを開放し続けることによって塗工ノズル30に連続して触媒インクを供給することも可能であるし、開閉バルブを繰り返し開閉することによって塗工ノズル30に断続的に触媒インクを供給することも可能である。
塗工液供給機構35から塗工ノズル30に至る供給配管の経路中には流量調整バルブ33が介挿されている。流量調整バルブ33は、制御部90の制御に従って、塗工液供給機構35から塗工ノズル30に送給する触媒インクの流量を調整する。
塗工液供給機構35から供給された触媒インクは、吸着ローラ20に吸着支持されて搬送される電解質膜2に塗工ノズル30から塗工される。塗工液供給機構35が連続して触媒インクを供給する場合には電解質膜2に触媒インクが連続的に塗工され、断続的に触媒インクを供給する場合には電解質膜2に触媒インクが間欠塗工される。塗工ノズル30が電解質膜2に対して単位時間当たりに塗工する触媒インクの量は流量調整バルブ33によって規定される。
乾燥炉40は、吸着ローラ20の外周面の一部を覆うように設けられている。図4に示すように、乾燥炉40は、3つの乾燥ゾーン41,42,43、および、2つの熱遮断ゾーン44,45の合計5つのゾーンに分割されている。3つの乾燥ゾーン41,42,43のそれぞれは、図外の熱風送風部からの熱風送風により、吸着ローラ20の外周面に向けて熱風を吹き付ける。乾燥炉40からの熱風の吹き付けによって、電解質膜2に塗工された触媒インクが乾燥される。
3つの乾燥ゾーン41,42,43は、吹き付ける熱風の温度が異なる。3つの乾燥ゾーン41,42,43が吹き付ける熱風の温度は、吸着ローラ20による電解質膜2の搬送方向の上流側から下流側に向けて(図4の紙面上にて時計回りに)順次高くなる。例えば、最も上流側の乾燥ゾーン41の熱風温度は室温〜40℃であり、中間の乾燥ゾーン42の熱風温度は40℃〜80℃であり、最も下流側の乾燥ゾーン43の熱風温度は50℃〜100℃である。
2つの熱遮断ゾーン44,45は、電解質膜2の搬送方向に沿って乾燥ゾーン41,42,43の両端に設けられている。熱遮断ゾーン44は乾燥ゾーン41の上流側に設けられ、熱遮断ゾーン45は乾燥ゾーン43の下流側に設けられている。2つの熱遮断ゾーン44,45は、図外の排気部からの排気により、吸着ローラ20の外周面近傍の雰囲気を吸引する。これによって、乾燥ゾーン41,42,43から吹き出された熱風が乾燥炉40を超えて吸着ローラ20の上流側および下流側に流れ出るのを防止するとともに、乾燥時に触媒インクから生じた溶媒蒸気などが乾燥炉40の外部に漏出するのを防止することができる。なお、少なくとも上流側の熱遮断ゾーン44が設けられていれば、乾燥ゾーン41,42,43から吹き出された熱風が塗工ノズル30に流れ込んで吐出口近傍を乾燥させることに起因した塗工不良の発生を防止することができる。
図5は、吸着ローラ20および乾燥炉40の正面図である。乾燥炉40には、吸着ローラ20の幅方向(Y軸方向)に沿った両端にも吸引部46,47が設けられている。吸引部46,47は、熱遮断ゾーン44,45と同様に、周辺の雰囲気を吸引する。これによって、乾燥炉40の幅方向両端から漏出しようとする熱風および溶媒蒸気などをも吸引回収することができる。
図1,3に戻り、吸着ローラ20による電解質膜2の搬送方向に沿って乾燥炉40よりも下流側に貼付部50が設けられている。貼付部50はラミネートローラ51を備える。ラミネートローラ51は、図示を省略するシリンダーによって吸着ローラ20の外周面から所定の間隔を隔てた位置に近接支持されている。ラミネートローラ51と吸着ローラ20の外周面との間隔は、乾燥処理後の電解質膜2の厚さ(電解質膜2と触媒層との合計厚さ)よりも小さい。従って、乾燥処理後の電解質膜2がラミネートローラ51と吸着ローラ20との間を通過するときに、ラミネートローラ51によって電解質膜2が吸着ローラ20の外周面に押し付けられる。ラミネートローラ51が押圧する力は、上記のシリンダーによってラミネートローラ51と吸着ローラ20との間隔を調整することによって制御される。
ラミネートローラ51は、例えば吸着ローラ20と同程度の幅を有する金属ローラとすることができる。ラミネートローラ51の内部にはヒータ95が設けられている(図14参照)。ヒータ95としては、例えばシーズヒータが用いられる。ヒータ95は、ラミネートローラ51を所定の温度に温調する。ラミネートローラ51のローラ表面の温度は図示省略の放射温度計によって計測されており、その放射温度計の計測結果に基づいてローラ表面が所定温度となるように制御部90がヒータ95を制御する。なお、ラミネートローラ51の径は適宜のものとすることができる。
製造装置1には、さらに支持フィルム巻出ローラ55、接合体巻取ローラ56およびテンション検知ローラ52,53が設けられている。支持フィルム巻出ローラ55は図示省略のモータによって連続的に回転される。支持フィルム巻出ローラ55には帯状の支持フィルム7が巻回されており、支持フィルム巻出ローラ55はその支持フィルム7を吸着ローラ20に向けて連続的に供給する。支持フィルム巻出ローラ55から送り出された支持フィルム7は、テンション検知ローラ52に懸架され、ラミネートローラ51および吸着ローラ20によるラミネート処理によって電解質膜2に貼り合わされるが、このラミネート処理についてはさらに後述する。
支持フィルム巻出ローラ55から送り出されて吸着ローラ20に供給される支持フィルム7の張力はテンション検知ローラ52によって検知される。テンション検知ローラ52は、テンション検知ローラ13と同じく、軸に作用する荷重をロードセルによって測定することにより作用する張力を検知する。制御部90は、テンション検知ローラ52によって検知される支持フィルム7の張力が予め設定された値となるように支持フィルム巻出ローラ55の回転を制御する。
ラミネートローラ51および吸着ローラ20によるラミネート処理によって支持フィルム7が貼り合わされた膜・触媒層接合体5は、吸着ローラ20の外周面から離れてテンション検知ローラ53に懸架され、接合体巻取ローラ56によって巻き取られる。接合体巻取ローラ56は、図示省略のモータによって連続的に回転されることにより、膜・触媒層接合体5を巻き取るとともに、吸着ローラ20から離れた膜・触媒層接合体5に一定の張力を付与する。接合体巻取ローラ56が膜・触媒層接合体5に与える張力はテンション検知ローラ53によって検知される。テンション検知ローラ53は、テンション検知ローラ13と同じく、軸に作用する荷重をロードセルによって測定することにより作用する張力を検知する。制御部90は、テンション検知ローラ53によって検知される膜・触媒層接合体5の張力が予め設定された値となるように接合体巻取ローラ56の回転を制御する。
また、製造装置1は、表面冷却部60を備える。表面冷却部60は、吸着ローラ20の外周面に対向する位置であって、貼付ローラ19とラミネートローラ51との間に設けられている。表面冷却部60は、エアーノズルを備えており、吸着ローラ20の外周面に向けて冷却エアー(例えば5℃程度に冷却されている)を吹き付ける。表面冷却部60が冷却エアーを吹き付けることによって吸着ローラ20の外周面が冷却される。なお、表面冷却部60は、貼付ローラ19とラミネートローラ51との間に設けられているため、電解質膜2が吸着されていない吸着ローラ20の外周面にエアーを吹き付けることとなる。
また、製造装置1は、塗工ノズル30からの塗工前に予め電解質膜2に形成されている触媒層の形態を検知するための3つのセンサーとして、ファイバーセンサー71,72,76を備える。ファイバーセンサー71,72,76は、光ファイバー内を伝送された光を照射し、その反射光によって対象物の存在を非接触にて検出するセンサーである。
ファイバーセンサー76(第1検知手段)は、電解質膜2の搬送経路のうち電解質膜巻出ローラ12から剥離ローラ11に至るまでのいずれかの任意の位置に設置される(本実施形態では剥離ローラ11の直前に設置)。ファイバーセンサー76は、電解質膜巻出ローラ12から送出されて剥離ローラ11に至るまでのバックシート6付き電解質膜2に形成された触媒層の長さを検知する。触媒層の長さとは、電解質膜2の搬送方向に沿った長さである(以下、同様)。
ファイバーセンサー71(第2検知手段)は、電解質膜2の搬送経路のうち剥離ローラ11から吸着ローラ20に至るまでのいずれかの任意の位置に設置される(本実施形態では後ローラ83に対向する位置に設置)。ファイバーセンサー71は、剥離部10にてバックシート6が剥離されてから吸着ローラ20に至るまでの電解質膜2に形成された触媒層の長さを検知する。
ファイバーセンサー72(第3検知手段)は、吸着ローラ20の外周面に対向する位置であって、電解質膜2の搬送方向に沿って塗工ノズル30よりも上流側に設けられている。ファイバーセンサー72は、塗工処理前の電解質膜2に形成されている触媒層の搬送方向に沿った位置(吸着ローラ20の周方向に沿った位置)を検知する。
また、製造装置1は、塗工ノズル30による塗工状態を検査するためのセンサーとして、検査カメラ75、ファイバーセンサー74、レーザ変位計73を備える。検査カメラ75は、例えばCCDカメラにて構成される。検査カメラ75は、吸着ローラ20の外周面に対向する位置であって、電解質膜2の搬送方向に沿って塗工ノズル30よりも下流側に設けられている。検査カメラ75は、塗工ノズル30によって塗工された直後の塗膜の幅方向位置(Y軸方向の位置)を検出する。
ファイバーセンサー74は、吸着ローラ20の外周面に対向する位置であって、電解質膜2の搬送方向に沿って塗工ノズル30よりも下流側に設けられている。ファイバーセンサー74は、塗工ノズル30によって塗工された直後の塗膜の搬送方向に沿った位置(吸着ローラ20の周方向に沿った位置)を検出する。
レーザ変位計73は、照射したレーザ光の反射光から対象物までの変位量を検出する。レーザ変位計73は、吸着ローラ20の外周面に対向する位置であって、電解質膜2の搬送方向に沿って塗工ノズル30よりも下流側に設けられている。レーザ変位計73は、塗工ノズル30によって塗工された直後の塗膜の厚さを検出する。なお、図1では、電解質膜2の搬送方向に沿って上流側からレーザ変位計73、ファイバーセンサー74、検査カメラ75の順に配置されているが、これら3つのセンサーの配置順序はこれに限定されるものではなく任意である。
さらに、製造装置1は、装置に設けられた各機構を制御する制御部90を備える。制御部90のハードウェアとしての構成は一般的なコンピュータと同様である。すなわち、制御部90は、各種演算処理を行うCPU、基本プログラムを記憶する読み出し専用のメモリであるROM、各種情報を記憶する読み書き自在のメモリであるRAMおよび制御用ソフトウェアやデータなどを記憶しておく磁気ディスクを備えて構成される。制御部90のCPUが所定の処理プログラムを実行することによって、製造装置1に設けられた各動作機構が制御されて膜・触媒層接合体5の製造処理が進行する。
次に、上記の構成を有する膜・触媒層接合体の製造装置1における処理手順について説明する。図6,7は、製造装置1において膜・触媒層接合体5が製造される手順を示すフローチャートである。以下に説明する膜・触媒層接合体5の製造手順は、制御部90が製造装置1の各動作機構を制御することにより進行する。
まず、電解質膜巻出ローラ12がバックシート6付きの電解質膜2を巻き出す(ステップS1)。電解質膜2としては、従来より固体高分子形燃料電池の膜・触媒層接合体用途に用いられているフッ素系や炭化水素系などの高分子電解質膜を使用することができる。例えば、電解質膜2として、パーフルオロカーボンスルホン酸を含む高分子電解質膜(例えば、米国DuPont社製のNafion(登録商標)、旭硝子(株)製のFlemion(登録商標)、旭化成(株)製のAciplex(登録商標)、ゴア(Gore)社製のGoreselect(登録商標)など)を使用することができる。
上記の電解質膜2は、非常に薄くて機械的強度が弱く、大気中の少量の湿気によっても容易に膨潤する一方で湿度が低くなると収縮する特性を有しており、極めて変形しやすい。このため、電解質膜巻出ローラ12には、電解質膜2の変形を防止するために初期状態としてバックシート6付きの電解質膜2が巻回されている。電解質膜2は大気中に含まれる少量の湿気によっても極めて容易に変形するため、電解質膜2の製造時に巻き取られる段階で形状保持のための帯状の樹脂フィルムであるバックシート6が貼り付けられた状態となっている。
バックシート6としては、機械的な強度に富んで形状保持機能に優れた樹脂材料、例えばPEN(ポリエチレンナフタレート)やPET(ポリエチレンテレフタレート)のフィルムを用いることができる。本実施形態では、電解質膜2の裏面にバックシート6が貼り合わされている。なお、電解質膜2の表面と裏面とでは電解質膜としての性質に相違があるものではなく、単に区別のための便宜上、バックシート6が貼り合わされている側の面を裏面としているに過ぎない。
電解質膜巻出ローラ12に巻回された初期状態のバックシート6付き電解質膜2において、電解質膜2の膜厚は5μm〜30μmであり、幅は最大で300mm程度である。また、バックシート6の膜厚は25μm〜100μmであり、その幅は電解質膜2の幅と同等かそれより若干大きい。
また、本実施形態においては、電解質膜2の表面側には既に触媒層が形成されている。表面側の触媒層は、本発明に係る製造装置1とは別途の塗工装置にて、バックシート6が貼り合わされた状態の電解質膜2をそのままロール・ツー・ロール方式で搬送しつつ、電解質膜2の表面に触媒インクを間欠塗工し、その塗膜を乾燥させることによって形成される。表面側の触媒層形成は、電解質膜2の裏面にバックシート6が貼り合わされたまま行われるため、電解質膜2の変形は生じない。
図8は、電解質膜巻出ローラ12から巻き出される時点での電解質膜2の断面図である。図9は、電解質膜2の表面に形成された触媒層9を示す図である。図8,9に示すように、電解質膜2の表面には一定サイズの触媒層9が所定の間隔を隔てて断続的に形成されている。また、電解質膜2の裏面にはバックシート6が貼り合わされている。
図8に示すようなバックシート6付きの電解質膜2が電解質膜巻出ローラ12から巻き出され、テンション検知ローラ13に懸架されて剥離部10へと送り出される。電解質膜巻出ローラ12から送り出されて剥離ローラ11に至るまでのバックシート付き電解質膜2の張力はテンション検知ローラ13によって検知され、その測定値が予め設定された値となるように電解質膜巻出ローラ12の回転が制御される。なお、テンション検知ローラ13は、バックシート6と接触するため、つまり電解質膜2とは直接には接触しないため、テンション検知ローラ13との接触によって電解質膜2が変形することは防止される。
また、バックシート6付きの電解質膜2が電解質膜巻出ローラ12から巻き出されて剥離ローラ11へと向けて搬送されるときに、電解質膜2の表面に形成されている触媒層9の搬送方向に沿った長さd1がファイバーセンサー76によって検知される(ステップS2)。ファイバーセンサー76は、電解質膜巻出ローラ12から剥離ローラ11に向けて搬送される電解質膜2の表面に対向するように設けられているため、電解質膜2の表面に形成されている触媒層9の長さd1を確実に検知することができる。ファイバーセンサー76が検知したバックシート6付き電解質膜2の表面に形成された触媒層9の長さd1は制御部90に伝達される。
剥離部10では、剥離ローラ11とニップローラ16とに挟み込まれた電解質膜2の裏面からバックシート6が剥離される(ステップS3)。電解質膜2から剥離されたバックシート6は、テンション検知ローラ15に懸架されてバックシート巻取ローラ14によって巻き取られる。剥離ローラ11にて電解質膜2から剥離されてバックシート巻取ローラ14に至るまでのバックシート6の張力はテンション検知ローラ15によって検知され、その測定値が予め設定された値となるようにバックシート巻取ローラ14の回転が制御される。
図10は、バックシート6が剥離された電解質膜2の断面図である。バックシート6が剥離された電解質膜2は、剥離ローラ11から前ローラ82、テンションローラ81、後ローラ83を経て貼付ローラ19へと搬送される。前ローラ82、テンションローラ81、後ローラ83を備える張力付与部80は、剥離ローラ11にてバックシート6が剥離されてから吸着ローラ20によって吸着されるまでの電解質膜2に一定の張力を付与する(ステップS4)。具体的には、剥離ローラ11から吸着ローラ20に至るまでの電解質膜2に一定の張力が作用するようにシリンダー87がテンションローラ81の位置を調整する。
剥離ローラ11にてバックシート6が剥離されてから吸着ローラ20によって吸着されるまでの電解質膜2に一定の張力を付与するのは以下のような理由による。上述したように、燃料電池用の電解質膜2は、非常に薄くて機械的強度が弱く、極めて変形しやすい。このような脆弱な電解質膜2を補強するために裏面にバックシート6が貼り合わされているのであるが、燃料電池の膜・触媒層接合体を製造するためには電解質膜2の両面に異なる極性の触媒層を形成する必要があり、そのためには電解質膜2の裏面からバックシート6を剥離せざるを得ない。補強のためのバックシート6が剥離された電解質膜2は不安定な状態となって変形することもあり、その結果電解質膜2が吸着ローラ20に吸着されたときに皺が発生するおそれもある。このため、剥離ローラ11にてバックシート6が剥離されてから吸着ローラ20によって吸着されるまでの電解質膜2に張力付与部80が一定の張力を与えることによって、吸着時に電解質膜2に皺が生じるのを防止しているのである。
ところが、高分子電解質膜2に張力を作用させるとその張力の大きさに応じた電解質膜2の伸びが発生する。電解質膜2が伸びると、触媒層9にも伸びが生じることとなる。なお、触媒層9も高分子樹脂材であり、張力が作用すると伸びる。そこで、本実施形態においては、バックシート6が剥離されて張力付与部80から張力が付与されている電解質膜2に形成されている触媒層9の長さを測定している。
バックシート6が剥離された電解質膜2が剥離ローラ11から吸着ローラ20へと向けて搬送されるときに、電解質膜2の表面に形成されている触媒層9の搬送方向に沿った長さd2がファイバーセンサー71によって検知される(ステップS5)。ファイバーセンサー71は、剥離ローラ11から吸着ローラ20に向けて搬送される電解質膜2の表面に対向するように設けられているため、電解質膜2の表面に形成されている触媒層9の長さd2を確実に検知することができる。ファイバーセンサー76が検知したバックシート6剥離後の電解質膜2の表面に形成された触媒層9の長さd2は制御部90に伝達される。
次に、制御部90は、ファイバーセンサー76およびファイバーセンサー71による検知結果に基づいて、バックシート6の剥離前後での触媒層9の伸び率を算定する(ステップS6)。ファイバーセンサー76は、バックシート6が貼り合わされている電解質膜2の表面に形成されている触媒層9の長さd1を検知している(図8)。一方、ファイバーセンサー71は、バックシート6が剥離された後の電解質膜2の表面に形成されている触媒層9の長さd2を検知している(図10)。バックシート6が剥離された後の電解質膜2には張力付与部80から一定の張力が付与されるため、通常はd2>d1となる。制御部90は、これらの検知結果に基づいて、電解質膜2からバックシート6が剥離される前後での触媒層9の伸び率e=(d2−d1)/d1×100を算定する。なお、伸び率eの単位は%である。
バックシート6が剥離された後に、吸着ローラ20に到達した電解質膜2は貼付ローラ19によって吸着ローラ20の外周面に吸着される(ステップS7)。貼付ローラ19は、電解質膜2の表面を吸着ローラ20に押し付けることにより、電解質膜2を吸着ローラ20に吸着支持させる。電解質膜2の表面には触媒層9が形成されているのであるが、その触媒層9とともに電解質膜2の表面が吸着ローラ20の外周面に吸着される。
吸着ローラ20は、電解質膜2の表面を吸着する。気孔率が15%〜50%の多孔質セラミックスにて形成された吸着ローラ20の吸引口21に90kPa以上の負圧を付与することによって、電解質膜2を吸着しているか否かに関わらず、吸着ローラ20の外周面には10kPa以上の負圧が均一に作用する。従って、電解質膜2の幅の大小に関わらず、吸着ローラ20は電解質膜2を一定の吸引圧にて安定して吸着支持することができる。また、吸着ローラ20の吸着による電解質膜2の変形も抑制することができる。
また、吸着ローラ20の外周面の表面粗さは、Rzが5μm以下であるとともに、吸着ローラ20の気孔径は5μm以下であるため、電解質膜2には吸着支持にともなう吸着痕は生じにくい。すなわち、本実施形態の吸着ローラ20は、脆弱な機械的性質を有する電解質膜2を変形させたり吸着痕を生じさせることなく安定して吸着支持することができるのである。
電解質膜2を吸着支持した吸着ローラ20がY軸方向に沿った中心軸を回転中心として回転することにより、電解質膜2が吸着ローラ20の外周面に支持されて搬送される。吸着ローラ20に吸着支持されて搬送される電解質膜2が塗工ノズル30に到達する前に、電解質膜2の表面に形成されている触媒層9の搬送方向に沿った位置(吸着ローラ20の周方向に沿った位置)がファイバーセンサー72によって検知される(ステップS8)。このとき、触媒層9が形成されている電解質膜2の表面側は吸着ローラ20によって吸着されているため、ファイバーセンサー72は電解質膜2の裏面側から検出することになるのであるが、電解質膜2は半透明であるため、ファイバーセンサー72は電解質膜2の裏面側からであっても表面の電解質膜2を検出することができる。ファイバーセンサー72によって検出された触媒層9の搬送方向に沿った位置は制御部90に伝達される。
次に、吸着ローラ20に吸着支持されて搬送される電解質膜2の裏面には、塗工ノズル30から触媒インクが塗工される(ステップS9)。本実施形態で使用される触媒インクは、例えば、触媒粒子、イオン伝導性電解質および分散媒を含有する。触媒粒子としては、公知または市販のものを使用することができ、高分子形燃料電池のアノードまたはカソードにおける燃料電池反応を起こさせるものであれば特に限定されず、例えば白金(Pt)、白金合金、白金化合物等を用いることができる。このうち白金合金としては、例えば、ルテニウム(Ru)、パラジウム(Pd)、ニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)、イリジウム(Ir)、鉄(Fe)等からなる群から選択された少なくとも1種の金属と白金との合金を挙げることができる。一般的には、カソード用の触媒インクの触媒粒子には白金、アノード用の触媒インクの触媒粒子には上述の白金合金が用いられる。
また、触媒粒子は、触媒微粒子が炭素粉に担持された、いわゆる触媒担持炭素粉であっても良い。触媒担持炭素の平均粒子径は、通常10nm〜100nm程度、好ましくは20nm〜80nm程度、最も好ましくは40nm〜50nm程度である。触媒微粒子を担持する炭素粉は特に制限されるものではなく、例えば、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、ランプブラック等のカーボンブラック、黒鉛、活性炭、カーボン繊維、カーボンナノチューブ等が挙げられる。これらは、1種単独で使用しても良いし、2種以上併用しても良い。
上記のような触媒粒子に溶媒を加えてスリットノズルから塗布可能なペーストとする。溶媒としては、水、エタノール、n−プロパノールおよびn−ブタノールなどのアルコール系、並びに、エーテル系、エステル系およびフッ素系などの有機溶剤を用いることができる。
さらに、触媒粒子に溶媒を加えた溶液にイオン交換基を有するアイオノマーを上記溶媒中に分散させた高分子電解質溶液を加える。一例として、白金を50wt%担持したカーボンブラック(田中貴金属工業(株)製の「TEC10E50E」)を水、エタノールおよび高分子電解質溶液(米国DuPont社製のNafion液「D2020」)に分散させて触媒インクを得ることができる。
このようにして混合されたペーストを触媒インクとして塗工液供給機構35から塗工ノズル30に供給する。塗工液供給機構35から供給された触媒インクは、塗工ノズル30から電解質膜2の裏面に塗工される。なお、電解質膜2に塗工する触媒インクは、カソード用であってもアノード用であっても良いが、表面に形成されている触媒層9とは逆極性の触媒インクが裏面に塗工される。
また、本実施形態では、塗工液供給機構35が触媒インクを断続的に塗工ノズル30に供給することによって、吸着ローラ20に吸着支持されて搬送される電解質膜2の裏面に塗工ノズル30から間欠塗工を行っている。このとき、制御部90は、ステップS6で算定した表面側の触媒層9の伸び率eおよびステップS8で検知した触媒層9の位置情報に基づいて、塗工ノズル30からの触媒インクの吐出を制御する。具体的には、制御部90は、塗工液供給機構35から塗工ノズル30に触媒インクを供給するタイミングを制御するとともに、触媒インクを供給する流量を調整する。
まず、制御部90は、ステップS8でファイバーセンサー72によって検知した触媒層9の位置情報に基づいて、電解質膜2の表面側の触媒層9の先端に対応する裏面側の位置から触媒インクの塗工を開始するように、塗工ノズル30の塗工開始タイミングを制御する。そして、制御部90は、ステップS6で算定した表面側の触媒層9の伸び率eに基づいて、電解質膜2の表面側の触媒層9の長さと同じ長さにて裏面側に触媒インクが塗工されるように、塗工ノズル30の塗工時間を制御する。電解質膜2は吸着ローラ20によって一定速度で搬送されているため、塗工ノズル30の塗工時間によって触媒インクの塗工長さは規定される。電解質膜2の表面側の触媒層9の先端に対応する裏面側の位置から当該触媒層9と同じ長さにて触媒インクが塗工されることにより、表面における触媒層9の形成領域と同じ裏面の塗工領域に触媒インクが塗工されることとなる。
さらに、制御部90は、ステップS6で算定した表面側の触媒層9の伸び率eに基づいて、塗工ノズル30から吐出する触媒インクの流量を制御する。すなわち、制御部90は、流量調整バルブ33を制御して塗工液供給機構35から塗工ノズル30に送給する触媒インクの流量を調整する。塗工ノズル30から吐出する触媒インクの流量については、乾燥後の触媒層の膜厚が規定値となるように、基準となる値が設定されている。電解質膜2の表面側にはその基準値の流量にて触媒インクが塗工されている。ところが、バックシート6の剥離後に電解質膜2の表面側の触媒層9が伸びている場合にはその触媒層9の膜厚が上記規定値よりも薄くなっている。そのような薄くなっている表面側の触媒層9に対して裏面側に基準値の流量にて触媒インクを塗工すると、裏面側の触媒層9の膜厚が相対的に厚くなって電解質膜2の表面と裏面とで触媒層の膜厚が相違することとなる。
このような触媒層の膜厚のずれを生じさせないようにするために、表面側の触媒層9の伸び率eに基づいて、制御部90は、電解質膜2の表面側の触媒層9を形成するのに使用したのと同じ量の触媒インクを裏面の上記塗工領域に塗工するように、塗工ノズル30から吐出する触媒インクの流量を制御している。より具体的には、制御部90は、基準値の流量に対してd1/d2を乗じた流量にて塗工ノズル30から電解質膜2の裏面に触媒インクを吐出するように流量調整バルブ33を制御する。このようにすれば、電解質膜2の表面側と裏面側とで使用する触媒インクの量は同じであるため、乾燥後の触媒層の膜厚も同じになる。
図11は、電解質膜2に触媒インクが間欠塗工された状態を示す図である。また、図12は、触媒インクが間欠塗工された電解質膜2の断面図である。上述のようにして塗工ノズル30からの触媒インクの吐出を制御することにより、電解質膜2の表面における触媒層9の形成領域と同じ裏面の塗工領域に触媒インクが塗工されて触媒インク層8が一定間隔で不連続に形成される。
続いて、塗工ノズル30からの塗工によって形成された塗膜である触媒インク層8の検査が行われる(ステップS10)。この検査は触媒インク層8の塗工状態について行われるものであり、具体的には触媒インク層8の幅方向位置、搬送方向に沿った位置および膜厚の検査が行われる。これらの検査は、電解質膜2の搬送方向に沿って塗工ノズル30よりも下流側に設けられているレーザ変位計73、ファイバーセンサー74および検査カメラ75によって実施される。
レーザ変位計73は、塗工ノズル30からの塗工によって形成された直後の触媒インク層8の厚さを検出する。ファイバーセンサー74は、その触媒インク層8の搬送方向に沿った位置を検出する。検査カメラ75は、その触媒インク層8の幅方向位置を検出する。これらの検出結果は制御部90に伝達される。制御部90は、レーザ変位計73、ファイバーセンサー74および検査カメラ75の検出結果に基づいて、電解質膜2の表面側における触媒インク層8の塗工状態を判定する。
図11の最も下側には、仮に触媒インク層8の塗工領域が表面側の触媒層9の形成領域からずれていた場合を例示している。この例では、電解質膜2の搬送方向に沿った触媒インク層8の長さが表面側の触媒層9の長さよりも短い。バックシート6が剥離されたときの電解質膜2および触媒層9の伸びを考慮することなく、表面側への塗工処理時と同様の設定値に従って塗工ノズル30から裏面側へ触媒インクを塗工するとこのようなずれが生じるおそれがある。
次いで、吸着ローラ20の回転によって、電解質膜2の裏面側の触媒インク層8が乾燥炉40に対向する位置にまで搬送され、触媒インク層8の乾燥処理が行われる(ステップS11)。触媒インク層8の乾燥処理は、乾燥炉40から触媒インク層8に熱風を吹き付けることによって行われる。熱風が吹き付けられることによって触媒インク層8が加熱されて溶媒成分が揮発し、触媒インク層8が乾燥される。溶媒成分が揮発することによって触媒インク層8が乾燥されて触媒層9となる。
図13は、表裏両面に触媒層9が形成された電解質膜2の断面図である。触媒層9は、白金などの触媒粒子が担持された電極層である。触媒層9は、触媒インク層8から溶媒成分が揮発して固化したものであるため、その厚さは触媒インク層8よりも薄い。図13に示すような、電解質膜2の表裏両面に触媒層9が形成されたものが膜・触媒層接合体5である。
また、乾燥炉40は、3つの乾燥ゾーン41,42,43を備えており、それらからは異なる温度の熱風が吹き付けられる。具体的には、吸着ローラ20による電解質膜2の搬送方向の最も上流側に位置する乾燥ゾーン41から中間の乾燥ゾーン42を経て最も下流側の乾燥ゾーン43の順に熱風温度が高くなる。乾燥ゾーンを分割することなく、塗工直後の触媒インク層8に直ちに高温の熱風を吹き付けると、触媒インク層8が急激に乾燥されて表面にクラックが生じることがある。或いは、吸着ローラ20にヒータを内蔵して塗工直後の触媒インク層8を急激に乾燥した場合も同様である。
本実施形態では、乾燥炉40を3つの乾燥ゾーン41,42,43に分割し、電解質膜2の搬送方向の上流側から下流側に向けて乾燥温度を順次に高くしている。すなわち、最も上流側の乾燥ゾーン41は、塗工直後の触媒インク層8に比較的低温の熱風を吹き付けることによって、触媒インク層8を僅かに昇温させる。次に、中間の乾燥ゾーン42がやや高温の熱風を吹き付けることによって、触媒インク層8を緩やかに乾燥させる。そして、最も下流側の乾燥ゾーン43が高温の熱風を吹き付けることによって、触媒インク層8を強く乾燥させる。このように、乾燥温度を徐々に高くして触媒インク層8を段階的に乾燥させることにより、乾燥処理時のクラックの発生を防止することができる。
クラックの発生を防止しつつ触媒インク層8を適切に乾燥させるためには、乾燥処理時間も適切に管理する必要があり、例えば約60秒とするのが好ましい。乾燥処理時間は、1つの触媒インク層8が3つの乾燥ゾーン41,42,43を通過する合計時間である。例えば、吸着ローラ20の直径が400mmで3つの乾燥ゾーン41,42,43が吸着ローラ20の外周面の半周を覆っていたとすると、その長さは約628mmとなる。この条件で乾燥処理時間として60秒を確保するためには、電解質膜2の搬送速度を10.4mm/秒とすれば良い。電解質膜2の搬送速度は吸着ローラ20の回転速度によって規定される。
また、乾燥炉40は、電解質膜2の搬送方向に沿って最も上流側に熱遮断ゾーン44を備え、最も下流側に熱遮断ゾーン45を備えている。これにより、乾燥ゾーン41,42,43から吹き出された熱風が乾燥炉40を超えて吸着ローラ20の上流側および下流側に流れ出るのを防止することができる。その結果、乾燥炉40の上流側に位置する塗工ノズル30や下流側に位置する貼付部50が不必要に加熱されるのを防止することができる。
さらに、乾燥炉40には、熱遮断ゾーン44,45に加えて吸引部46,47も設けられており、これらによって乾燥炉40の周囲に熱風が流れ出るのを防止するとともに、乾燥時に触媒インク層8から揮発した溶媒の蒸気等が漏出するのを防止することができる。
次に、吸着ローラ20のさらなる回転によって、乾燥後の裏面側の触媒層9が貼付部50に到達する。貼付部50は、電解質膜2の裏面に支持フィルム7を貼り合わせるラミネート処理を行う(ステップS12)。すなわち、貼付部50は、製造装置1にて塗工処理を行った電解質膜2の塗工面に対して支持フィルム7を貼り合わせる。
図14は、電解質膜2の塗工面に支持フィルム7を貼り合わせるラミネート処理の様子を示す図である。貼付部50が設けられている位置近傍の吸着ローラ20の外周面に向けて、支持フィルム巻出ローラ55から帯状の支持フィルム7が連続的に供給される。支持フィルム7としては、機械的な強度に富んで形状保持機能に優れた樹脂フィルム、例えばPEN(ポリエチレンナフタレート)やPET(ポリエチレンテレフタレート)のフィルムを用いることができる。すなわち、支持フィルム7はバックシート6と同じものであっても良く、剥離部10が剥離してバックシート巻取ローラ14によって巻き取ったバックシート6を支持フィルム7として支持フィルム巻出ローラ55から送り出すようにしても良い。
支持フィルム巻出ローラ55から送り出された支持フィルム7は、テンション検知ローラ52に懸架されて吸着ローラ20へと供給される。支持フィルム巻出ローラ55から送り出されてラミネート処理に供されるまでの支持フィルム7の張力はテンション検知ローラ52によって検知され、その測定値が予め設定された値となるように支持フィルム巻出ローラ55の回転が制御される。
支持フィルム7は、電解質膜2の搬送方向において、貼付部50のラミネートローラ51よりも少し上流側に供給される。すなわち、支持フィルム7は、ラミネートローラ51と乾燥炉40との間に供給される。そして、供給された支持フィルム7は、図14に示すように、ラミネートローラ51の回転に巻き込まれるようにして電解質膜2の裏面に重ね合わされる。電解質膜2の裏面には塗工ノズル30から塗工されて乾燥炉40にて乾燥された触媒層9が形成されている。電解質膜2の裏面に支持フィルム7が重ね合わされると、裏面側の触媒層9は電解質膜2と支持フィルム7との間に挟み込まれることとなる。
触媒層9が形成された電解質膜2の裏面に支持フィルム7を重ね合わせた積層体が吸着ローラ20およびラミネートローラ51の回転にともなってそれら両ローラの間に挟み込まれる。これにより、電解質膜2の裏面に支持フィルム7を重ね合わせた積層体が吸着ローラ20およびラミネートローラ51から押圧されることとなる。吸着ローラ20およびラミネートローラ51が当該積層体を押圧する力は、吸着ローラ20の外周面とラミネートローラ51との間隔によって規定される。吸着ローラ20とラミネートローラ51との間隔はラミネートローラ51を支持するシリンダーによって調整される。
電解質膜2の裏面に支持フィルム7を重ね合わせた積層体が吸着ローラ20およびラミネートローラ51から押圧されることによって、支持フィルム7が電解質膜2の裏面に貼り合わされるラミネート処理が進行する。図15は、支持フィルム7が貼り合わされた電解質膜2の断面図である。支持フィルム7は、電解質膜2の裏面のうち触媒層9が形成されていない領域(非塗工領域)にて電解質膜2に貼り付く。その一方、支持フィルム7は触媒層9には貼り付かない。
また、ラミネートローラ51はヒータ95によって所定の温度に温調されている。ヒータ95によって温調されたラミネートローラ51が電解質膜2を加熱することによって、電解質膜2の粘着力を高めて支持フィルム7が電解質膜2に確実に貼り付くこととなる。ヒータ95による温調温度は電解質膜2の粘着力に依存している。具体的には、電解質膜2自体の粘着力が弱いほどヒータ95はラミネートローラ51を高温に温調する。電解質膜2自体の粘着力が十分に強く、特段に加熱しなくても支持フィルム7が電解質膜2に貼り付く場合には、ヒータ95がラミネートローラ51を常温に温調すれば足りる。逆に、電解質膜2自体の粘着力が弱く、加熱しなければ支持フィルム7が電解質膜2に貼り付かないような場合には、ヒータ95がラミネートローラ51を高温に温調する。
但し、ヒータ95がラミネートローラ51を温調する温度の上限は、触媒層9に含有されている上記アイオノマーのガラス転移点Tgである。これは、ラミネートローラ51の温調温度が触媒層9に含有されているアイオノマーのガラス転移点Tgを超えると、ラミネートローラ51によって加熱された触媒層9が溶融して支持フィルム7に貼り付くおそれがあるためである。すなわち、ヒータ95は、ラミネートローラ51を常温以上触媒層9に含有されているアイオノマーのガラス転移点Tg以下に温調するのである。
ラミネートローラ51は、支持フィルム7を電解質膜2の裏面に貼り合わせるとともに、支持フィルム7を貼り合わせた当該電解質膜2の表面を吸着ローラ20の外周面から剥離する。そして、吸着ローラ20およびラミネートローラ51によるラミネート処理により支持フィルム7が貼り合わされた膜・触媒層接合体5は、テンション検知ローラ53に懸架されて接合体巻取ローラ56によって巻き取られる(ステップS13)。支持フィルム7が貼り合わされて吸着ローラ20から剥離されてから接合体巻取ローラ56に至るまでの支持フィルム7付き膜・触媒層接合体5の張力はテンション検知ローラ53によって検知され、その測定値が予め設定された値となるように接合体巻取ローラ56の回転が制御される。支持フィルム7付きの膜・触媒層接合体5が接合体巻取ローラ56によって巻き取られることにより、一連の膜・触媒層接合体5の製造プロセスが完了する。なお、テンション検知ローラ53は、支持フィルム7と接触するため、つまり電解質膜2とは直接には接触しないため、テンション検知ローラ53との接触によって電解質膜2が変形することは防止される。
ところで、上記の製造装置1においては、吸着ローラ20の外周面の一部を覆うように乾燥炉40を設け、触媒インク層8の乾燥のために吸着ローラ20の外周面に熱風を吹き付けている。このため、多孔質セラミックスにて形成された吸着ローラ20が徐々に蓄熱して昇温する。吸着ローラ20が所定値を超えて高温になると、塗工ノズル30から電解質膜2に塗工された触媒インクが直ちに加熱されて急激に乾燥し、触媒インク層8の表面にクラックが生じるおそれがある。
このため、吸着ローラ20に複数の水冷管22を設け(図4)、その水冷管22に恒温水を流すことによって吸着ローラ20を冷却して所定値以上に昇温するのを防いでいる。但し、多孔質セラミックスにて形成された吸着ローラ20は熱伝導度が低い場合もあり、しかも乾燥炉40は吸着ローラ20の外周面に熱風を吹き付けるため、当該外周面の温度上昇を十分に抑制できない場合もあり得る。
このような場合であっても、表面冷却部60(図1)から吸着ローラ20の外周面に向けて冷却エアーを吹き付けることにより、乾燥炉40からの熱風により蓄熱された吸着ローラ20の外周面を冷却して除熱することができる。これにより、塗工ノズル30から電解質膜2に塗工された触媒インクが直ちに加熱されるのを防ぐことができる。
本実施形態においては、補強材であるバックシート6が貼り合わされている電解質膜2の表面に形成された触媒層9の長さd1を検知するとともに、そのバックシート6が剥離された後の電解質膜2の表面に形成された触媒層9の長さd2を検知し、バックシート6の剥離前後での触媒層9の伸び率eを算定している。また、塗工ノズル30による塗工の直前に、電解質膜2の表面に形成されている触媒層9の搬送方向に沿った位置を検知している。そして、その表面側の触媒層9の伸び率eおよび位置情報に基づいて、電解質膜2の表面における触媒層9の形成領域と同じ裏面の塗工領域に触媒インクを塗工するように、制御部90が塗工液供給機構35および塗工ノズル30を制御している。
燃料電池用の電解質膜2は極めて変形しやすいため、補強材たるバックシート6が剥離されると容易に伸びるのであるが、本実施形態のようにバックシート6の剥離前後での触媒層9の伸び率eを算定し、それに基づいて電解質膜2の裏面に塗工処理を行うようにすれば、表面の触媒層9と対応する裏面側の同じ領域に触媒インクを塗工することができ、燃料電池の電解質膜2の両面の同じ領域に正確に触媒インクを塗工することができる。
また、本実施形態においては、表面側の触媒層9の伸び率eに基づいて、電解質膜2の表面側の触媒層9を形成するのに使用したのと同じ量の触媒インクを裏面の塗工領域に塗工するように、制御部90が流量調整バルブ33を制御している。これにより、電解質膜2の表面と裏面とで触媒層9の膜厚も同じにすることができる。その結果、燃料電池の電解質膜2の両面の同じ領域に同じ膜厚にて触媒層9を形成することができ、燃料電池の性能劣化を防止することができる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、この発明はその趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記実施形態においては、電解質膜2の裏面からバックシート6を剥離してその裏面に触媒インクを塗工するようにしていたが、電解質膜2の表面に触媒インクを塗工して触媒層9を形成するようにしても良い。既述したように、電解質膜2の表面と裏面とは単なる便宜上の区別にすぎず、既に一方面に触媒層9が形成されている電解質膜2の他方面に触媒インクを塗工して触媒層9を形成する形態であれば良い。
また、ファイバーセンサー71によって、バックシート6が剥離された後の電解質膜2の表面に形成された触媒層9の長さd2を検知するとともに、触媒層9の搬送方向に沿った位置を検知するようにしても良い。すなわち、ファイバーセンサー72の機能をファイバーセンサー71によって併せて実現するようにしても良い。もっとも、触媒層9の搬送方向に沿った位置を検知は、塗工ノズル30の塗工開始タイミングを制御するために行うものであるため、上記実施形態のように、専用のファイバーセンサー72を塗工ノズル30の近傍に設けて実行するのが好ましい。
また、バックシート6が貼り合わされている電解質膜2の表面に形成された触媒層9の長さd1については、ファイバーセンサー76による検知に代えて、予め規定されている設定値を用いるようにしても良い。但し、バックシート6が貼り合わされている状態の電解質膜2であっても若干の伸びが生じるため、上記実施形態のように、ファイバーセンサー76によって触媒層9の長さd1を実測する方が好ましい。
また、ファイバーセンサー71,72,76に代えて、非接触にて電解質膜2上の触媒層9を検知することができる機構、例えばCCDカメラで撮像した画像に所定の画像処理を施して触媒層9を検知する機構を設けるようにしても良い。
また、上記各実施形態においては、乾燥炉40に3つの乾燥ゾーン41,42,43を設けていたが、乾燥ゾーンの分割数は3つに限定されるものではなく、2つであっても良いし、4つ以上であっても良い。いずれであっても、乾燥炉40が吹き付ける熱風の温度は、吸着ローラ20による電解質膜2の搬送方向の上流側から下流側に向けて順次に高くなる。
また、隣り合う乾燥ゾーンの間に上記実施形態と同様の熱遮断ゾーンを設けるようにしても良い。このようにすれば、隣り合う乾燥ゾーンから吹き出された熱風の相互干渉を防止することができる。
また、乾燥炉40は、熱風を吹き付けて触媒インク層8の乾燥を行うようにしていたが、これに代えて、遠赤外線ヒータなどによって触媒インク層8の乾燥を行うようにしても良い。
本発明は、変形しやすい高分子電解質膜に電極インクを塗工して乾燥させることにより当該電解質膜上に触媒層を形成する膜・触媒層接合体の製造技術に適用することができ、特に固体高分子形燃料電池の膜・触媒層接合体の製造に好適である。
1 製造装置
2 電解質膜
5 膜・触媒層接合体
6 バックシート
7 支持フィルム
8 触媒インク層
9 触媒層
10 剥離部
11 剥離ローラ
12 電解質膜巻出ローラ
13,15,52,53 テンション検知ローラ
14 バックシート巻取ローラ
19 貼付ローラ
20 吸着ローラ
21 吸引口
22 水冷管
30 塗工ノズル
33 流量調整バルブ
35 塗工液供給機構
40 乾燥炉
41,42,43 乾燥ゾーン
44,45 熱遮断ゾーン
50 貼付部
51 ラミネートローラ
55 支持フィルム巻出ローラ
56 接合体巻取ローラ
60 表面冷却部
71,72,76 ファイバーセンサー
80 張力付与部
81 テンションローラ
87 シリンダー
90 制御部
95 ヒータ

Claims (8)

  1. 燃料電池の電解質膜に触媒インクを塗工する塗工装置であって、
    一方面に所定の間隔を隔てて断続的に触媒層が形成された電解質膜の他方面に支持フィルムが貼り合わされた積層体を送出する送出手段と、
    前記電解質膜の他方面から前記支持フィルムを剥離する剥離手段と、
    前記支持フィルムが剥離された前記電解質膜の一方面を支持するローラと、
    前記ローラに支持された前記電解質膜の他方面に触媒インクを塗工する塗工手段と、
    前記送出手段から送出されて前記剥離手段に至るまでの前記電解質膜の一方面に形成された触媒層の長さを検知する第1検知手段と、
    前記剥離手段にて支持フィルムが剥離されてから前記ローラに至るまでの前記電解質膜の一方面に形成された触媒層の長さを検知する第2検知手段と、
    前記第1検知手段および前記第2検知手段による検知結果に基づいて、前記支持フィルムの剥離前後での前記触媒層の伸び率を算定する伸び率算定手段と、
    前記伸び率算定手段によって算定された前記触媒層の伸び率に基づいて、前記電解質膜の一方面における触媒層の形成領域と同じ他方面の塗工領域に触媒インクを塗工するように前記塗工手段を制御する塗工制御手段と、
    を備えることを特徴とする塗工装置。
  2. 請求項1記載の塗工装置において、
    前記塗工制御手段は、前記伸び率算定手段によって算定された前記触媒層の伸び率に基づいて、前記電解質膜の一方面側の触媒層を形成するのに使用したのと同じ量の触媒インクを他方面の前記塗工領域に塗工するように前記塗工制御手段の塗工流量を制御することを特徴とする塗工装置。
  3. 請求項1または請求項2記載の塗工装置において、
    前記電解質膜の一方面に形成された触媒層の位置を検知する第3検知手段をさらに備え、
    前記塗工制御手段は、前記第3検知手段による検知結果に基づいて、前記塗工手段による塗工開始タイミングを制御することを特徴とする塗工装置。
  4. 燃料電池の膜・触媒層接合体の製造装置であって、
    請求項1から請求項3のいずれかに記載の塗工装置と、
    前記電解質膜の他方面に塗工された触媒インクを乾燥させて触媒層を形成する乾燥手段と、
    を備えることを特徴とする膜・触媒層接合体の製造装置。
  5. 燃料電池の電解質膜に触媒インクを塗工する塗工方法であって、
    一方面に所定の間隔を隔てて断続的に触媒層が形成された電解質膜の他方面に支持フィルムが貼り合わされた積層体を送出する送出工程と、
    送出された前記電解質膜の他方面から前記支持フィルムを剥離する剥離工程と、
    前記支持フィルムが剥離された前記電解質膜の一方面をローラで支持しつつ、前記電解質膜の他方面に触媒インクを塗工する塗工工程と、
    前記送出工程にて送出されて前記剥離工程に至るまでの前記電解質膜の一方面に形成された触媒層の長さを検知する第1検知工程と、
    前記剥離工程にて支持フィルムが剥離されてから前記ローラに至るまでの前記電解質膜の一方面に形成された触媒層の長さを検知する第2検知工程と、
    前記第1検知工程および前記第2検知工程での検知結果に基づいて、前記支持フィルムの剥離前後での前記触媒層の伸び率を算定する伸び率算定工程と、
    を備え、
    前記塗工工程では、前記伸び率算定工程にて算定された前記触媒層の伸び率に基づいて、前記電解質膜の一方面における触媒層の形成領域と同じ他方面の塗工領域に触媒インクを塗工することを特徴とする塗工方法。
  6. 請求項5記載の塗工方法において、
    前記塗工工程では、前記伸び率算定工程にて算定された前記触媒層の伸び率に基づいて、前記電解質膜の一方面側の触媒層を形成するのに使用したのと同じ量の触媒インクを他方面の前記塗工領域に塗工するように触媒インクの塗工流量を調整することを特徴とする塗工方法。
  7. 請求項5または請求項6記載の塗工方法において、
    前記電解質膜の一方面に形成された触媒層の位置を検知する第3検知工程をさらに備え、
    前記塗工工程では、前記第3検知工程での検知結果に基づいて、触媒インクの塗工開始タイミングを規定することを特徴とする塗工方法。
  8. 燃料電池の膜・触媒層接合体の製造方法であって、
    請求項5から請求項7のいずれかに記載の塗工方法と、
    前記電解質膜の他方面に塗工された触媒インクを乾燥させて触媒層を形成する乾燥工程と、
    を備えることを特徴とする膜・触媒層接合体の製造方法。
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