JP2020017374A - 基材処理装置および基材処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】第1基材および第2基材の少なくとも2層が積層された積層基材を搬送しつつ、第1基材から第2基材を剥離する基材処理装置および基材処理方法において、第1基材の浮き上がりを抑制しつつ、第1基材から第2基材を剥離できる技術を提供する。【解決手段】積層基材94が、バックアップローラ10の外周面に、第2基材93が外側となる姿勢で導入される。続いて、バックアップローラ10の外周面に保持された積層基材94に向けて、剥離バー34から気体を吹き付ける。そして、気体の吹き付け位置の直後において、第2基材93を、バックアップローラ10から離れる方向へ搬送する。これにより、第1基材92から第2基材93が剥離される。剥離バー34から吹き付けられる気体によって、第1基材92は、バックアップローラの外周面にしっかりと保持される。したがって、バックアップローラ10から第1基材92が浮き上がることを抑制できる。【選択図】図4

Description

本発明は、第1基材および第2基材の少なくとも2層が積層された積層基材を搬送しつつ、第1基材から第2基材を剥離する基材処理装置および基材処理方法に関する。
近年、自動車や携帯電話などの駆動電源として、燃料電池が注目されている。燃料電池は、燃料に含まれる水素(H)と空気中の酸素(O)との電気化学反応によって電力を作り出す発電システムである。燃料電池は、他の電池と比べて、発電効率が高く環境への負荷が小さいという特長を有する。
燃料電池には、使用する電解質によって幾つかの種類が存在する。そのうちの1つが、電解質としてイオン交換膜(電解質膜)を用いた固体高分子形燃料電池(PEFC:Polymer electrolyte fuel cell)である。固体高分子形燃料電池は、常温での動作および小型軽量化が可能であるため、自動車や携帯機器への適用が期待されている。
固体高分子形燃料電池は、一般的には複数のセルが積層された構造を有する。1つのセルは、膜・電極接合体(MEA:Membrane-Electrode-Assembly)の両側を一対のセパレータで挟み込むことにより構成される。膜・電極接合体は、電解質の薄膜(高分子電解質膜)の両面に触媒層を形成した膜・触媒層接合体(CCM:Catalyst-coated membrane)の両側に、さらにガス拡散層を配置したものである。高分子電解質膜を挟んで両側に配置された触媒層とガス拡散層とで、一対の電極層が構成される。一対の電極層の一方はアノード電極であり、他方がカソード電極である。アノード電極に水素を含む燃料ガスが接触するとともに、カソード電極に空気が接触すると、電気化学反応によって電力が作り出される。
上記の膜・触媒層接合体は、典型的には、電解質膜の表面に、白金(Pt)を含む触媒粒子をアルコールなどの溶媒中に分散させた触媒インク(電極ペースト)を塗工し、その触媒インクを乾燥させることによって作成される。従来の膜・触媒層接合体の製造技術については、例えば、特許文献1に記載されている。
特開2017−068899号公報
ところで、固体高分子形燃料電池に用いられる電解質膜は、大気中の湿度に応じて変形しやすい性質を有する。したがって、膜・触媒層接合体の製造時には、電解質膜が、シート状の基材に張り合わされた状態で供給される。膜・触媒層接合体の製造装置では、まず、電解質膜をバックアップローラに吸着保持させるとともに、電解質膜から基材を剥離する。その後、バックアップローラに吸着保持された電解質膜の表面に、触媒インクを塗工する。
しかしながら、バックアップローラに対する電解質膜の吸着力が低いと、基材を剥離する際に、電解質膜が、基材とともにバックアップローラから浮き上がる、という問題が生じる。電解質膜が部分的に浮き上がると、電解質膜は、皺の入った状態で、バックアップローラに表面に吸着保持される。そして、皺の入った電解質膜の表面に、触媒インクが塗工されることとなる。
この点について、特許文献1には、電解質膜から基材を剥離するときに、電解質膜の外側の面に気体を吹き付けることにより、電解質膜の浮き上がりを抑制することが、記載されている。ただし、この種の装置では、バックアップローラに対して剥離ローラを押し付けることなく、バックアップローラと剥離ローラとの間に、適度な隙間を設ける場合もある。そのような場合には、バックアップローラに対する電解質膜の吸着力が、より弱くなる。このため、特許文献1の技術に代えて、あるいは、特許文献1の技術とともに用いることができ、電解質膜の浮き上がりを抑制できる技術が求められている。
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、第1基材および第2基材の少なくとも2層が積層された積層基材を搬送しつつ、第1基材から第2基材を剥離する基材処理装置および基材処理方法において、第1基材の浮き上がりを抑制しつつ、第1基材から第2基材を剥離できる技術を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本願の第1発明は、第1基材および第2基材の少なくとも2層が積層された積層基材を搬送しつつ、前記第1基材から前記第2基材を剥離する基材処理装置であって、前記第1基材を外周面に保持しつつその軸芯周りに回転するバックアップローラと、前記バックアップローラの外周面に、前記積層基材を、前記第2基材が外側となる姿勢で導入する導入部と、前記バックアップローラの前記外周面に保持された前記第1基材から、前記第2基材を剥離する剥離部と、を備え、前記剥離部は、前記積層基材が通過する隙間をあけて前記バックアップローラに対向し、かつ、前記隙間を通過する前記積層基材へ向けて気体を吹き付ける剥離バーを有し、前記第1基材は、前記バックアップローラと前記剥離バーとの間の隙間を通過した後、前記バックアップローラの外周面に保持されつつ搬送され、前記第2基材は、前記バックアップローラと前記剥離バーとの間の隙間を通過した後、前記剥離バーに沿って、前記バックアップローラの外周面から離れる方向へ搬送される。
本願の第2発明は、第1発明の基材処理装置であって、前記剥離バーは、前記バックアップローラの外周面に対向する第1ガイド面と、前記第1ガイド面の下流側の端部から、前記バックアップローラの外側へ向けて広がる第2ガイド面と、を有し、前記剥離バーは、前記第1ガイド面から前記積層基材へ向けて、気体を吹き付け、前記第1基材から剥離された前記第2基材は、前記第2ガイド面に沿って搬送される。
本願の第3発明は、第2発明の基材処理装置であって、前記剥離バーは、前記第1ガイド面と前記第2ガイド面との間に角部を有する。
本願の第4発明は、第2発明または第3発明の基材処理装置であって、前記第1ガイド面に対する前記第2ガイド面の角度は、45°以上かつ150°以下である。
本願の第5発明は、第3発明または第4発明の基材処理装置であって、前記剥離バーは、前記バックアップローラの軸芯と平行に延びる四角柱状である。
本願の第6発明は、第2発明から第5発明までのいずれか1発明の基材処理装置であって、前記第1ガイド面は、複数の吹出口を有し、前記複数の吹出口から前記積層基材へ向けて、気体が吹き付けられる。
本願の第7発明は、第1発明から第6発明までのいずれか1発明の基材処理装置であって、前記剥離バーは、複数の剥離部材により構成され、前記複数の剥離部材は、前記バックアップローラの軸芯と平行な方向に沿って配列される。
本願の第8発明は、第1発明から第7発明までのいずれか1発明の基材処理装置であって、前記導入部は、前記積層基材が通過する隙間をあけて前記バックアップローラに対向し、前記バックアップローラと平行な軸芯周りに回転可能な導入ローラを有し、前記積層基材は、前記バックアップローラと前記導入ローラとの間の隙間へ導入され、前記剥離バーは、前記バックアップローラによる前記積層基材の搬送方向において、前記導入ローラよりも下流側に位置する。
本願の第9発明は、第1発明から第8発明までのいずれか1発明の基材処理装置であって、前記バックアップローラの外周面は、前記第1基材を吸着保持する。
本願の第10発明は、第1発明から第9発明までのいずれか1発明の基材処理装置であって、前記バックアップローラの外周面に対する前記剥離バーの位置および角度の少なくとも一方を調整する調整機構をさらに備える。
本願の第11発明は、第1発明から第10発明までのいずれか1発明の基材処理装置であって、前記バックアップローラによる前記第1基材の搬送方向において、前記剥離部よりも下流側に位置するノズルをさらに有し、前記ノズルは、前記バックアップローラに保持された前記第1基材の外側の面に、所定の材料を吐出する。
本願の第12発明は、第11発明の基材処理装置であって、前記第1基材は、電解質膜であり、前記第2基材は、前記電解質膜を支持する支持フィルムであり、前記ノズルから吐出される材料は、触媒材料である。
本願の第13発明は、第1基材および第2基材の少なくとも2層が積層された積層基材を搬送しつつ、前記第1基材から前記第2基材を剥離する基材処理方法であって、a)軸芯周りに回転するバックアップローラの外周面に、前記積層基材を、前記第2基材が外側となる姿勢で導入する工程と、b)前記バックアップローラの外周面に保持された前記積層基材に向けて、気体を吹き付けつつ、前記気体の吹き付け位置の直後において、前記第2基材を前記バックアップローラから離れる方向へ搬送することによって、前記第1基材から前記第2基材を剥離する工程と、を有する。
本願の第1発明〜第13発明によれば、積層基材に吹き付けられる気体によって、第1基材をバックアップローラの外周面にしっかりと接触させつつ、第1基材から第2基材を剥離する。これにより、バックアップローラの外周面から第1基材が浮き上がることを抑制しつつ、第1基材から第2基材を剥離できる。
特に、本願の第3発明によれば、第1ガイド面と第2ガイド面との境界に、なだらかな曲面が介在する場合と比べて、第2基材の搬送の向きを、急激に変化させることができる。これにより、第1基材から第2基材を良好に剥離できるとともに、バックアップローラの外周面から第1基材が浮き上がることを、より抑制できる。
特に、本願の第4発明によれば、第2基材の剥離時に、バックアップローラの外周面から第1基材が浮き上がることを、より抑制できる。
特に、本願の第6発明によれば、1つの大きな吹出口ではなく、複数の吹出口とすることで、積層基材へ吹き付けられる気体の圧力を高めることができる。
特に、本願の第10発明によれば、バックアップローラと剥離バーとの間の隙間を、状況に応じて最適化できる。
膜・触媒層接合体の製造装置の構成を示した図である。 バックアップローラの下部付近の構成を示した図である。 製造装置内の各部と制御部との接続を示したブロック図である。 剥離部の付近の構成を示した図である。 剥離バーの斜視図である。 積層基材の導入から触媒インクの供給までの処理の流れを示したフローチャートである。 第1変形例に係る剥離バーの斜視図である。 第2変形例に係る剥離バーの斜視図である。 第3変形例に係る剥離バーの斜視図である。 第4変形例に係る剥離部付近の構成を示した図である。 第5変形例に係る剥離部付近の構成を示した図である。 第6変形例に係る剥離部付近の構成を示した図である。 第7変形例に係る剥離部付近の構成を示した図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
<1.製造装置の構成>
図1は、本発明の基材処理装置の一実施形態に係る膜・触媒層接合体の製造装置1の構成を示した図である。この製造装置1は、固体高分子形燃料電池用の膜・電極接合体(MEA:Membrane-Electrode-Assembly)の製造過程に用いられる装置である。製造装置1は、長尺帯状の被処理基材である電解質膜を搬送しつつ、電解質膜の表面に触媒層を形成することにより、膜・触媒層接合体(CCM:Catalyst-Coated Membrane)を製造する。図1に示すように、膜・触媒層接合体の製造装置1は、バックアップローラ10、多孔質基材供給回収部20、電解質膜供給部30、塗布部40、乾燥炉50、接合体回収部60および制御部70を備えている。
バックアップローラ10は、多孔質基材91および電解質膜92を吸着保持しつつ回転するローラである。バックアップローラ10は、複数の吸着孔を有する円筒状の外周面を有する。バックアップローラ10の直径は、例えば、200mm〜1600mmとされる。図2は、バックアップローラ10の下部付近の構成を示した図である。図2中に破線で示したように、バックアップローラ10には、モータ等の駆動源を有する回転駆動部11が接続される。回転駆動部11を動作させると、バックアップローラ10は、水平に延びる軸心周りに回転する。
バックアップローラ10の材料には、例えば、多孔質カーボンや多孔質セラミックス等の多孔質材料が用いられる。多孔質セラミックスの具体例としては、アルミナ(Al)または炭化ケイ素(SiC)の焼結体を挙げることができる。多孔質のバックアップローラ10における気孔径は、例えば5μm以下とされ、気孔率は、例えば15%〜50%とされる。
なお、バックアップローラ10の材料に、多孔質材料に代えて、金属を用いてもよい。金属の具体例としては、SUS等のステンレスまたは鉄を挙げることができる。バックアップローラ10の材料に金属を用いる場合には、バックアップローラ10の外周面に、微小な吸着孔を、加工により形成すればよい。吸着孔の直径は、吸着痕の発生を防止するために、2mm以下とすることが好ましい。
バックアップローラ10の端面には、吸引口12が設けられている。吸引口12は、図外の吸引機構(例えば、排気ポンプ)に接続される。吸引機構を動作させると、バックアップローラ10の吸引口12に負圧が生じる。そして、バックアップローラ10内の気孔を介して、バックアップローラ10の外周面に設けられた複数の吸着孔にも、負圧が発生する。多孔質基材91および電解質膜92は、当該負圧によって、バックアップローラ10の外周面に吸着保持されつつ、バックアップローラ10の回転によって円弧状に搬送される。
また、図2中に破線で示すように、バックアップローラ10の内部には、複数の水冷管13が設けられている。水冷管13には、図外の給水機構から、所定温度に温調された冷却水が供給される。製造装置1の動作時には、バックアップローラ10の熱が、熱媒体である冷却水に吸収される。これにより、バックアップローラ10が冷却される。熱を吸収した冷却水は、図外の排液機構へ排出される。
なお、後述する乾燥炉50に代えて、バックアップローラ10の内部に、温水循環機構やヒータなどの加熱機構が設けられていてもよい。その場合、バックアップローラ10の内部に水冷管13を設けず、バックアップローラ10の内部に設けられた加熱機構を制御することによって、バックアップローラ10の外周面の温度を制御してもよい。
多孔質基材供給回収部20は、長尺帯状の多孔質基材91をバックアップローラ10へ向けて供給するとともに、使用後の多孔質基材91を回収する部位である。多孔質基材91は、多数の微細な気孔を有する通気可能な基材である。多孔質基材91は、粉塵が発生しにくい材料で形成されていることが好ましい。図1に示すように、多孔質基材供給回収部20は、多孔質基材供給ローラ21、複数の多孔質基材搬入ローラ22、複数の多孔質基材搬出ローラ23および多孔質基材回収ローラ24を有する。多孔質基材供給ローラ21、複数の多孔質基材搬入ローラ22、複数の多孔質基材搬出ローラ23および多孔質基材回収ローラ24は、いずれも、バックアップローラ10と平行に配置される。
供給前の多孔質基材91は、多孔質基材供給ローラ21に巻き付けられている。多孔質基材供給ローラ21は、図示を省略したモータの動力により回転する。多孔質基材供給ローラ21が回転すると、多孔質基材91は、多孔質基材供給ローラ21から繰り出される。繰り出された多孔質基材91は、複数の多孔質基材搬入ローラ22により案内されて、バックアップローラ10の外周面まで搬送される。そして、多孔質基材91は、バックアップローラ10の外周面に吸着保持されつつ、バックアップローラ10の回転によって、円弧状に搬送される。
多孔質基材91は、バックアップローラ10の軸心を中心として、180°以上、好ましくは270°以上搬送される。その後、多孔質基材91は、バックアップローラ10の外周面から離れる。バックアップローラ10から離れた多孔質基材91は、複数の多孔質基材搬出ローラ23により案内されて、多孔質基材回収ローラ24まで搬送される。多孔質基材回収ローラ24は、図示を省略したモータの動力により回転する。これにより、使用後の多孔質基材91が、多孔質基材回収ローラ24に巻き取られる。
電解質膜供給部30は、電解質膜92(第1基材)と長尺帯状の第1支持フィルム93(第2基材)との2層で構成される積層基材94を、バックアップローラ10の周囲へ供給するとともに、電解質膜92から第1支持フィルム93を剥離する部位である。
電解質膜92には、例えば、フッ素系または炭化水素系の高分子電解質膜が用いられる。電解質膜92の具体例としては、パーフルオロカーボンスルホン酸を含む高分子電解質膜(例えば、米国DuPont社製のNafion(登録商標)、旭硝子(株)製のFlemion(登録商標)、旭化成(株)製のAciplex(登録商標)、ゴア(Gore)社製のGoreselect(登録商標))を挙げることができる。電解質膜92の膜厚は、例えば、5μm〜30μmとされる。電解質膜92は、大気中の湿気によって膨潤する一方、湿度が低くなると収縮する。すなわち、電解質膜92は、大気中の湿度に応じて変形しやすい性質を有する。
第1支持フィルム93は、電解質膜92の変形を抑制するためのフィルムである。第1支持フィルム93の材料には、電解質膜92よりも機械的強度が高く、形状保持機能に優れた樹脂が用いられる。第1支持フィルム93の具体例としては、PEN(ポリエチレンナフタレート)やPET(ポリエチレンテレフタレート)のフィルムを挙げることができる。第1支持フィルム93の膜厚は、例えば25μm〜100μmとされる。
図1に示すように、電解質膜供給部30は、積層基材供給ローラ31、複数の積層基材搬入ローラ32、導入ローラ33、剥離バー34、複数の第1支持フィルム搬出ローラ35および第1支持フィルム回収ローラ36を有する。積層基材供給ローラ31、複数の積層基材搬入ローラ32、導入ローラ33、剥離バー34、複数の第1支持フィルム搬出ローラ35および第1支持フィルム回収ローラ36は、いずれも、バックアップローラ10と平行に配置される。
供給前の積層基材94は、第1支持フィルム93が内側となるように、積層基材供給ローラ31に巻き付けられている。本実施形態では、電解質膜92の、第1支持フィルム93とは反対側の面(以下、「第1面」と称する)に、予め触媒層(以下、「第1触媒層9a」と称する)が形成されている。第1触媒層9aは、この製造装置1とは別の装置において、第1支持フィルム93および電解質膜92の2層で構成される積層基材94を、そのままロール・ツー・ロール方式で搬送しつつ、電解質膜92の第1面に触媒材料を間欠塗布し、塗布された触媒材料を乾燥させることによって形成される。
積層基材供給ローラ31は、図示を省略したモータの動力により回転する。積層基材供給ローラ31が回転すると、積層基材94は、積層基材供給ローラ31から繰り出される。繰り出された積層基材94は、複数の積層基材搬入ローラ32により案内されつつ、導入ローラ33へ向けて搬送される。そして、積層基材94は、バックアップローラ10と導入ローラ33との間の隙間へ導入される。すなわち、本実施形態では、積層基材供給ローラ31、複数の積層基材搬入ローラ32および導入ローラ33が、バックアップローラ10の外周面に向けて積層基材94を導入する導入部となる。
導入ローラ33は、バックアップローラ10よりも径の小さい円筒状の外周面を有する。バックアップローラ10の外周面と、導入ローラ33の外周面とは、多孔質基材91および積層基材94が通過する隙間を介して、互いに対向する。導入ローラ33は、バックアップローラ10に対する多孔質基材91の導入位置よりも、バックアップローラ10の回転方向のやや下流側において、バックアップローラ10に隣接配置されている。また、導入ローラ33は、バックアップローラ10の軸芯と平行な軸芯周りに回転する。
導入後の積層基材94は、第1支持フィルム93が外側となる姿勢で、バックアップローラ10の外周面に、多孔質基材91を介して保持される。具体的には、電解質膜92の第1面が、バックアップローラ10に保持された多孔質基材91の表面に接触する。バックアップローラ10に保持された多孔質基材91の表面には、バックアップローラ10からの吸引力によって、負圧が生じる。バックアップローラ10と導入ローラ33との間を通過した積層基材94は、当該負圧によって、多孔質基材91の表面に吸着される。そして、積層基材94は、多孔質基材91とともにバックアップローラ10に吸着保持されつつ、バックアップローラ10の回転によって、円弧状に搬送される。
このように、本実施形態では、バックアップローラ10の外周面と電解質膜92との間に、多孔質基材91を介在させる。このため、バックアップローラ10の外周面と、電解質膜92の第1面に形成された第1触媒層9aとは、直接接触しない。したがって、第1触媒層9aの一部がバックアップローラ10の外周面に付着したり、バックアップローラ10の外周面から電解質膜92へ異物が転載されたりすることを、防止できる。
剥離バー34は、電解質膜92から第1支持フィルム93を剥離するための部材である。剥離バー34は、バックアップローラ10による積層基材94の搬送方向において、導入ローラ33よりもやや下流側に位置する。また、剥離バー34は、バックアップローラ10の外周面の近傍において、バックアップローラ10の軸芯と平行に延びる。剥離バー34は、回転不能に固定される。バックアップローラ10と剥離バー34との間には、多孔質基材91および積層基材94が通過可能な隙間が設けられている。
バックアップローラ10と剥離バー34との間を積層基材94が通過した後、電解質膜92は、多孔質基材91に吸着された状態を維持しながら、バックアップローラ10により、後述するノズル41側へ搬送される。一方、第1支持フィルム93は、電解質膜92から剥離されるとともに、バックアップローラ10から離れて、複数の第1支持フィルム搬出ローラ35側へ搬送される。その結果、電解質膜92の第1面とは反対側の面(以下、「第2面」と称する)が露出する。
剥離された第1支持フィルム93は、複数の第1支持フィルム搬出ローラ35により案内されて、第1支持フィルム回収ローラ36まで搬送される。第1支持フィルム回収ローラ36は、図示を省略したモータの動力により回転する。これにより、第1支持フィルム93が、第1支持フィルム回収ローラ36に巻き取られる。
塗布部40は、バックアップローラ10の周囲において、電解質膜92の表面に触媒材料を塗布する機構である。触媒材料には、例えば、白金(Pt)を含む触媒粒子をアルコールなどの溶媒中に分散させた触媒インクが用いられる。図1に示すように、塗布部40はノズル41を有する。ノズル41は、バックアップローラ10による電解質膜92の搬送方向において、剥離バー34よりも下流側に設けられている。ノズル41は、バックアップローラ10の外周面に対向する吐出口411を有する。吐出口411は、バックアップローラ10の外周面に沿って、水平に延びるスリット状の開口である。
ノズル41は、図示を省略した触媒材料供給源と接続されている。塗布部40を駆動させると、触媒材料供給源から配管を通ってノズル41に、触媒材料が供給される。そして、ノズル41の吐出口411から電解質膜92の第2面に向けて、触媒材料が吐出される。これにより、電解質膜92の第2面に、触媒材料が塗布される。
本実施形態では、ノズル41に接続されるバルブを一定の周期で開閉することによって、ノズル41の吐出口411から、触媒材料を断続的に吐出する。これにより、電解質膜92の第2面に、触媒材料を搬送方向に一定の間隔で間欠塗布する。ただし、バルブを連続的に開放して、電解質膜92の第2面に、搬送方向に切れ目無く触媒材料を塗布してもよい。
なお、触媒材料中の触媒粒子には、高分子形燃料電池のアノードまたはカソードにおいて燃料電池反応を起こす材料が用いられる。具体的には、白金(Pt)、白金合金、白金化合物等の粒子を、触媒粒子として用いることができる。白金合金の例としては、例えば、ルテニウム(Ru)、パラジウム(Pd)、ニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)、イリジウム(Ir)、鉄(Fe)等からなる群から選択される少なくとも1種の金属と白金との合金を挙げることができる。一般的には、カソード用の触媒材料には白金が用いられ、アノード用の触媒材料には白金合金が用いられる。ノズル41から吐出される触媒材料は、カソード用であってもアノード用であってもよい。ただし、電解質膜92の表裏に形成される触媒層9a,9bには、互いに逆極性の触媒材料が用いられる。
塗布部40のノズル41や配管は、定期的に分解洗浄等のメンテナンスを行う必要がある。このため、この製造装置1は、塗布部40のメンテナンスを行うためのメンテナンススペース101を有する。本実施形態では、塗布部40と第1支持フィルム回収ローラ36との間に、メンテナンススペース101が配置されている。塗布部40のメンテナンスを行うときには、メンテナンススペース101に設けられた足場102の上に作業者103が立って、塗布部40を構成する部品の洗浄等を行う。
乾燥炉50は、電解質膜92の第2面に塗布された触媒材料を乾燥させる部位である。本実施形態の乾燥炉50は、バックアップローラ10による電解質膜92の搬送方向において、塗布部40よりも下流側に配置されている。また、乾燥炉50は、バックアップローラ10の外周面に沿って、円弧状に設けられている。乾燥炉50は、バックアップローラ10の周囲において、電解質膜92の第2面に、加熱された気体(熱風)を吹き付ける。そうすると、電解質膜92の第2面に塗布された触媒材料が加熱され、触媒材料中の溶剤が気化する。これにより、触媒材料が乾燥して、電解質膜92の第2面に触媒層(以下、「第2触媒層9b」と称する)が形成される。その結果、電解質膜92、第1触媒層9aおよび第2触媒層9bで構成される膜・触媒層接合体95が得られる。
接合体回収部60は、膜・触媒層接合体95に第2支持フィルム96を貼り付けて、膜・触媒層接合体95を回収する部位である。図1に示すように、接合体回収部60は、第2支持フィルム供給ローラ61、複数の第2支持フィルム搬入ローラ62、ラミネートローラ63、複数の接合体搬出ローラ64および接合体回収ローラ65を有する。第2支持フィルム供給ローラ61、複数の第2支持フィルム搬入ローラ62、ラミネートローラ63、複数の接合体搬出ローラ64および接合体回収ローラ65は、いずれも、バックアップローラ10と平行に配置される。
供給前の第2支持フィルム96は、第2支持フィルム供給ローラ61に巻き付けられている。第2支持フィルム供給ローラ61は、図示を省略したモータの動力により回転する。第2支持フィルム供給ローラ61が回転すると、第2支持フィルム96は、第2支持フィルム供給ローラ61から繰り出される。繰り出された第2支持フィルム96は、複数の第2支持フィルム搬入ローラ62により案内されて、ラミネートローラ63まで搬送される。
第2支持フィルム96の材料には、電解質膜92よりも機械的強度が高く、形状保持機能に優れた樹脂が用いられる。第2支持フィルム96の具体例としては、PEN(ポリエチレンナフタレート)やPET(ポリエチレンテレフタレート)のフィルムを挙げることができる。第2支持フィルム96の膜厚は、例えば25μm〜100μmとされる。第2支持フィルム96は、第1支持フィルム93と同じものであってもよい。また、第1支持フィルム回収ローラ36に巻き取られた第1支持フィルム93を、第2支持フィルム96として第2支持フィルム供給ローラ61から繰り出すようにしてもよい。
ラミネートローラ63は、膜・触媒層接合体95に第2支持フィルム96を貼り付けるためのローラである。ラミネートローラ63の材料には、例えば、耐熱性の高いゴムが用いられる。ラミネートローラ63は、バックアップローラ10よりも径の小さい円筒状の外周面を有する。ラミネートローラ63は、バックアップローラ10の回転方向において、乾燥炉50よりも下流側、かつ、バックアップローラ10から多孔質基材91が離れる位置よりも上流側において、バックアップローラ10に隣接配置されている。また、ラミネートローラ63は、図示を省略したエアシリンダによって、バックアップローラ10側へ加圧されている。
図2に示すように、ラミネートローラ63の内部には、通電により発熱するヒータ631が設けられている。ヒータ631には、例えば、シーズヒータが用いられる。ヒータ631に通電すると、ヒータ631から生じる熱によって、ラミネートローラ63の外周面が、環境温度よりも高い所定の温度に温調される。なお、ラミネートローラ63の外周面の温度を放射温度計等の温度センサを用いて測定し、その測定結果に基づいて、ラミネートローラ63の外周面が一定の温度となるように、ヒータ631の出力を制御してもよい。
複数の第2支持フィルム搬入ローラ62により搬入される第2支持フィルム96は、図2に示すように、バックアップローラ10の周囲において搬送される膜・触媒層接合体95とラミネートローラ63との間へ導入される。このとき、第2支持フィルム96は、ラミネートローラ63からの圧力により、膜・触媒層接合体95に押し付けられるとともに、ラミネートローラ63の熱により加熱される。その結果、電解質膜92の第2面に、第2支持フィルム96が貼り付けられる。電解質膜92の第2面に形成された第2触媒層9bは、電解質膜92と第2支持フィルム96との間に挟まれる。
バックアップローラ10とラミネートローラ63との間を通過した第2支持フィルム96付きの膜・触媒層接合体95は、バックアップローラ10から離れる方向へ搬送される。これにより、多孔質基材91から膜・触媒層接合体95が剥離される。
また、本実施形態では、ラミネートローラ63の近傍に、押圧ローラ632が配置されている。押圧ローラ632は、バックアップローラ10とラミネートローラ63との間の隙間よりも、膜・触媒層接合体95の搬送方向下流側において、ラミネートローラ63に隣接配置されている。また、押圧ローラ632は、図示を省略したエアシリンダによって、ラミネートローラ63側へ加圧されている。多孔質基材91から離れた第2支持フィルム96付きの膜・触媒層接合体95は、続いて、ラミネートローラ63と押圧ローラ632との間を通過する。これにより、電解質膜92の第2面に対する第2支持フィルム96の密着性が向上する。
その後、第2支持フィルム96付きの膜・触媒層接合体95は、複数の接合体搬出ローラ64により案内されつつ、接合体回収ローラ65まで搬送される。接合体回収ローラ65は、図示を省略したモータの動力により回転する。これにより、第2支持フィルム96付きの膜・触媒層接合体95が、第2支持フィルム96が外側となるように、接合体回収ローラ65に巻き取られる。
このように、本実施形態の製造装置1では、積層基材供給ローラ31からの積層基材94の繰り出し、バックアップローラ10と導入ローラ33との間への積層基材94の導入、電解質膜92からの第1支持フィルム93の剥離、電解質膜92への触媒材料の塗布、乾燥炉50による乾燥、電解質膜92への第2支持フィルム96の貼り付け、接合体回収ローラ65への膜・触媒層接合体95の巻き取り、の各工程が、順次に実行される。これにより、固体高分子形燃料電池の電極に用いられる膜・触媒層接合体95が製造される。電解質膜92は、第1支持フィルム93、バックアップローラ10、または第2支持フィルム96に、常に保持されている。これにより、製造装置1における電解質膜92の膨潤・収縮等の変形が抑制される。
制御部70は、製造装置1内の各部を動作制御するための手段である。図3は、制御部70と、製造装置1内の各部との接続を示したブロック図である。図3中に概念的に示したように、制御部70は、CPU等のプロセッサ71、RAM等のメモリ72およびハードディスクドライブ等の記憶部73を有するコンピュータにより構成される。記憶部73内には、膜・触媒層接合体の製造処理を実行するためのコンピュータプログラムPが、インストールされている。
また、図3に示すように、制御部70は、上述したバックアップローラ10の回転駆動部11、バックアップローラ10の吸引機構、多孔質基材供給ローラ21のモータ、多孔質基材回収ローラ24のモータ、積層基材供給ローラ31のモータ、第1支持フィルム回収ローラ36のモータ、塗布部40、乾燥炉50、第2支持フィルム供給ローラ61のモータ、ラミネートローラ63のエアシリンダ、ラミネートローラ63のヒータ631、押圧ローラ632のエアシリンダ、接合体回収ローラ65のモータおよび後述する気体供給部37のバルブ372と、それぞれ通信可能に接続されている。
制御部70は、記憶部73に記憶されたコンピュータプログラムPやデータをメモリ72に一時的に読み出し、当該コンピュータプログラムPに基づいて、プロセッサ71が演算処理を行うことにより、上記の各部を動作制御する。これにより、製造装置1における膜・触媒層接合体の製造処理が進行する。
<2.剥離部について>
続いて、バックアップローラ10の外周面に保持された電解質膜92から、第1支持フィルム93を剥離する剥離部の構成について説明する。本実施形態では、上述した剥離バー34と、剥離バー34に気体を供給する気体供給部37とで、剥離部が構成される。図4は、剥離部の付近の構成を示した図である。図5は、剥離バー34の斜視図である。
本実施形態の剥離バー34は、バックアップローラ10の外周面に沿って、バックアップローラ10の軸芯と平行に延びる、四角柱状の部材である。剥離バー34は、回転不能に固定されている。図4および図5に示すように、剥離バー34は、第1ガイド面341と第2ガイド面342とを有する。
第1ガイド面341は、バックアップローラ10の外周面と、隙間80を介して対向する。剥離バー34は、第1ガイド面341が、バックアップローラ10の半径方向に対して略垂直となるように、配置される。隙間80の寸法dは、多孔質基材91および積層基材94が通過可能な大きさとされる。具体的には、隙間80の寸法dは、多孔質基材91および積層基材94の全体の厚みよりも僅かに大きくなるように設定される。
第2ガイド面342は、第1ガイド面341の下流側の端部から、バックアップローラ10の外側へ向けて広がる。第1ガイド面341に対する第2ガイド面342の角度θは、例えば90°とされる。ただし、角度θは、90°以外の角度であってもよい。
図5に示すように、剥離バー34は、内部に通気路343を有する。また、第1ガイド面341は、通気路343に連通する複数の吹出口344を有する。図5の例では、複数の吹出口344は、第1ガイド面341の一端付近から他端付近にかけて、千鳥状に配列されている。ただし、複数の吹出口344の配列パターンは、千鳥状に限らない。複数の吹出口344は、直線状に一列に配列されていてもよく、あるいは、複数列に配列されていてもよい。
気体供給部37は、剥離バー34へ気体を供給する機構である。図5に示すように、気体供給部37は、給気配管371を有する。給気配管371の上流側の端部は、気体供給源370に流路接続されている。給気配管371の下流側の端部は、剥離バー34の内部の通気路343に流路接続されている。気体供給源370には、大気圧よりも高圧の気体が充填されている。また、給気配管371の経路上には、バルブ372が設けられている。このため、バルブ372を開放すると、気体供給源370から給気配管371を通って剥離バー34の内部の通気路343へ、気体が供給される。そして、剥離バー34の複数の吹出口344から気体が吹き出される。
剥離バー34から吹き出される気体には、例えば、クリーンドライエア等の空気を用いることができる。ただし、空気に代えて、窒素ガス等の不活性ガスを用いてもよい。
図6は、積層基材94の導入から触媒インクの供給までの処理の流れを示したフローチャートである。既述の通り、この製造装置1では、まず、積層基材供給ローラ31から繰り出された積層基材94が、バックアップローラ10と導入ローラ33との間へ導入される(ステップS1)。これにより、積層基材94は、バックアップローラ10の外周面に、多孔質基材91を介して吸着保持される。
次に、積層基材94は、バックアップローラ10と剥離バー34との間へ進入する。このとき、剥離バー34の複数の吹出口344から吹き出された気体が、積層基材94の外側の面(すなわち、第1支持フィルム93の外側の面)に吹き付けられる(ステップS2)。これにより、積層基材94の内側の面(すなわち、電解質膜92の第1面)が、多孔質基材91に密着する。その結果、積層基材94が、バックアップローラ10の外周面に、多孔質基材91を介してしっかりと保持される。
積層基材94が、バックアップローラ10と剥離バー34との間を通過した後、電解質膜92は、引き続き、バックアップローラ10の外周面に、多孔質基材91を介して保持されつつ、バックアップローラ10の回転によって搬送される。一方、第1支持フィルム93は、剥離バー34の第2ガイド面342に沿って、バックアップローラ10から離れる方向へ搬送される。これにより、電解質膜92から第1支持フィルム93が剥離される(ステップS3)。その後、バックアップローラ10に保持された電解質膜92の第2面に、ノズル41から触媒インクが供給される(ステップS4)。
このように、本実施形態の製造装置1は、剥離バー34から積層基材94に向けて気体を吹き付けつつ、気体の吹き付け位置の直後において、第1支持フィルム93を、剥離バー34に沿って、バックアップローラ10から離れる方向へ搬送する。これにより、電解質膜92を多孔質基材91にしっかりと吸着させつつ、電解質膜92から第1支持フィルム93を剥離する。その結果、第1支持フィルム93の剥離に伴って、バックアップローラ10の外周面から電解質膜92が浮き上がることを抑制できる。
特に、本実施形態の剥離バー34は、第1ガイド面341と第2ガイド面342との間に、角部345を有する。このため、第1ガイド面341と第2ガイド面342との境界に、なだらかな曲面が介在する場合と比べて、第1支持フィルム93の搬送の向きを、急激に変化させることができる。これにより、電解質膜92から第1支持フィルム93を良好に剥離できるとともに、バックアップローラ10の外周面からの電解質膜92の浮き上がりを、より抑制できる。
電解質膜92の浮き上がりを抑制する効果を、より良好に得るために、第1ガイド面341に対する第2ガイド面342の角度θは、45°以上かつ150°以下とすることが好ましい。また、角度θは、60°以上かつ120°以下とすれば、より好ましい。
また、本実施形態では、剥離バー34は、1つの大きな吹出口ではなく、複数の吹出口344を有する。このようにすれば、各吹出口344から吹き出される気体の圧力を高めることができる。これにより、積層基材94を、バックアップローラ10の外周面へ向けて、しっかりと押圧することができる。その結果、バックアップローラ10の外周面からの電解質膜92の浮き上がりを、より抑制できる。
<3.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではない。
<3−1.第1変形例>
図7は、第1変形例に係る剥離バー34の斜視図である。この第1変形例では、剥離バー34の第1ガイド面341に、スリット状の吹出口344が設けられている。吹出口344は、剥離バー34の内部に設けられた通気路343と連通する。また、吹出口344は、剥離バー34の一端付近から他端付近にかけて、バックアップローラ10の軸芯と平行に延びる。このように、吹出口344を、剥離バー34の一端付近から他端付近にかけて連続する形状にすれば、複数の吹出口344を設ける場合よりも、第1ガイド面341から吹き出される気体の均一性を高めることができる。
なお、第1ガイド面341に設けられる吹出口344の数は、図7のように1本であってもよいし、2本以上であってもよい。
<3−2.第2変形例>
図8は、第2変形例に係る剥離バー34の斜視図である。この第2変形例では、剥離バー34の第1ガイド面341が、多孔質部材で構成されている。このようにすれば、多孔質部材に含まれる多数の細孔が、吹出口として機能する。したがって、第1ガイド面341から吹き出される気体の均一性を、より高めることができる。
<3−3.第3変形例>
図9は、第3変形例に係る剥離バー34の斜視図である。この第3変形例では、剥離バー34が、複数の剥離部材340により構成されている。複数の剥離部材340は、バックアップローラ10の軸芯と平行な方向に沿って、一列に配列される。隣り合う剥離部材340は、互いに接触していてもよいし、離れていてもよい。各剥離部材340は、第1ガイド面341と第2ガイド面342とを有する。第1ガイド面341には、複数の吹出口344が設けられている。気体供給部37の給気配管371は、各剥離部材340の内部に設けられた通気路343に、接続されている。
このように、剥離バー34を複数の剥離部材340で構成すれば、各剥離部材340が小型化されて製造が容易となる。また、一部の剥離部材340に不具合が生じたときに、その一部の剥離部材340のみを交換すればよい。したがって、剥離バー34全体を交換することなく、製造装置1の稼働を継続できる。
<3−4.第4変形例>
図10は、第4変形例に係る剥離部付近の構成を示した図である。この第4変形例では、剥離バー34が、バックアップローラ10の軸芯と平行な方向に延びる円柱状の外形を有する。剥離バー34の外周面のうち、バックアップローラ10と対向する部分は、第1ガイド面341として機能する。また、剥離バー34の外周面のうち、剥離された第1支持フィルム93をガイドする面は、第2ガイド面342として機能する。
また、この第4変形例では、剥離バー34の外周面の全周に、吹出口(図示省略)が設けられている。このため、剥離バー34は、その全周から気体を吹き出す。このように、剥離バー34は、第1ガイド面341だけではなく、他の面からも気体を吹き出すものであってもよい。
<3−5.第5変形例>
図11は、第5変形例に係る剥離部付近の構成を示した図である。この第5変形例では、製造装置1は、剥離バー34の位置および角度を調整する調整機構38を有する。調整機構38は、ボルトやナットなどの既知の要素を組み合わせて実現すればよい。調整機構38を操作すると、バックアップローラ10の外周面に対する剥離バー34の位置および角度を調整できる。したがって、バックアップローラ10の外周面と剥離バー34との間の隙間80の寸法を、状況に応じて最適化できる。これにより、電解質膜92から第1支持フィルム93を剥離しつつ、電解質膜92の浮き上がりをより抑制できる状態とすることができる。
なお、調整機構38は、バックアップローラ10の外周面に対する剥離バー34の位置および角度の、少なくとも一方を調整するものであればよい。
<3−6.第6変形例>
図12は、第6変形例に係る剥離部付近の構成を示した図である。この第6変形例では、製造装置1は、第1支持フィルム93が剥離された直後の電解質膜92に向けて、気体を吹き出す吹出ノズル39を有する。吹出ノズル39は、バックアップローラ10の軸芯と平行な方向に、複数配列される。各吐出ノズルには、例えば、パイプノズルが用いられる。このようにすれば、吹出ノズル39から吹き出される気体の圧力で、第1支持フィルム93が剥離された直後の電解質膜92が、バックアップローラ10へ向けて押圧される。したがって、バックアップローラ10から電解質膜92が浮き上がることを、より抑制できる。
<3−7.第7変形例>
図13は、第7変形例に係る剥離部付近の構成を示した図である。この第7変形例では、導入ローラ33が省略されている。積層基材供給ローラ31から繰り出された積層基材94は、導入ローラ33を介することなく、バックアップローラ10と剥離バー34との間の隙間80へ導入される。そして、当該隙間80への導入後すぐに、剥離バー34の複数の吹出口344から吹き出された気体が、積層基材94の外側の面に吹き付けられる。これにより、積層基材94は、バックアップローラ10の外周面に、多孔質基材91を介してしっかりと吸着保持される。
この第7変形例では、積層基材供給ローラ31、複数の積層基材搬入ローラ32および剥離バー34が、バックアップローラ10の外周面に積層基材94を導入する導入部となる。すなわち、剥離バー34が、剥離部の一部として機能するとともに、導入部の一部としても機能する。このように、導入ローラ33を省略すれば、製造装置1の部品点数を低減できる。また、積層基材94の搬送経路が短くなるので、搬送経路の調整作業や、搬送経路に沿って積層基材94をセットする作業が、容易となる。
<3−8.他の変形例>
上記の実施形態では、積層基材94は、電解質膜92と第1支持フィルム93の2層で構成されていた。しかしながら、積層基材94は、3層以上の基材で構成されていてもよい。
また、上記の実施形態では、電解質膜92は、バックアップローラ10の外周面に、多孔質基材91を介して保持されていた。しかしながら、多孔質基材91を省略し、バックアップローラ10の外周面に、電解質膜92が直接保持されるようにしてもよい。
また、上記の実施形態では、電解質膜92は、バックアップローラ10の外周面に、吸着保持されていた。しかしながら、バックアップローラ10の外周面は、吸着力を有していなくてもよい。例えば、電解質膜92は、電解質膜92自体にかかる張力で、バックアップローラ10の外周面に保持されるようになっていてもよい。
また、上記の実施形態では、一方の面に予め第1触媒層9aが形成された電解質膜92の他方の面に、第2触媒層9bを形成する場合について説明した。しかしながら、製造装置1は、表裏のいずれの面にも触媒層が形成されていない電解質膜に対して、触媒層を形成するものであってもよい。
また、上記の実施形態では、固体高分子形燃料電池の製造工程において、膜・触媒層接合体を製造する装置について説明した。しかしながら、本発明の基材処理装置は、他の用途に用いられるものであってもよい。すなわち、第1基材は、電解質膜92以外の基材であってもよい。第2基材は、第1支持フィルム93以外の基材であってもよい。また、塗布部40のノズル41から吐出される材料は、触媒材料以外の材料であってもよい。
また、製造装置の細部の構成については、本願の各図と相違していてもよい。また、上記の実施形態や変形例に登場した各要素を、矛盾が生じない範囲で、適宜に組み合わせてもよい。
1 製造装置
9a 第1触媒層
9b 第2触媒層
10 バックアップローラ
20 多孔質基材供給回収部
30 電解質膜供給部
33 導入ローラ
34 剥離バー
37 気体供給部
38 調整機構
39 吹出ノズル
40 塗布部
41 ノズル
50 乾燥炉
60 接合体回収部
70 制御部
80 隙間
91 多孔質基材
92 電解質膜
93 第1支持フィルム
94 積層基材
95 膜・触媒層接合体
96 第2支持フィルム
340 剥離部材
341 第1ガイド面
342 第2ガイド面
343 通気路
344 吹出口
345 角部

Claims (13)

  1. 第1基材および第2基材の少なくとも2層が積層された積層基材を搬送しつつ、前記第1基材から前記第2基材を剥離する基材処理装置であって、
    前記第1基材を外周面に保持しつつその軸芯周りに回転するバックアップローラと、
    前記バックアップローラの外周面に、前記積層基材を、前記第2基材が外側となる姿勢で導入する導入部と、
    前記バックアップローラの前記外周面に保持された前記第1基材から、前記第2基材を剥離する剥離部と、
    を備え、
    前記剥離部は、
    前記積層基材が通過する隙間をあけて前記バックアップローラに対向し、かつ、前記隙間を通過する前記積層基材へ向けて気体を吹き付ける剥離バー
    を有し、
    前記第1基材は、前記バックアップローラと前記剥離バーとの間の隙間を通過した後、前記バックアップローラの外周面に保持されつつ搬送され、
    前記第2基材は、前記バックアップローラと前記剥離バーとの間の隙間を通過した後、前記剥離バーに沿って、前記バックアップローラの外周面から離れる方向へ搬送される、基材処理装置。
  2. 請求項1に記載の基材処理装置であって、
    前記剥離バーは、
    前記バックアップローラの外周面に対向する第1ガイド面と、
    前記第1ガイド面の下流側の端部から、前記バックアップローラの外側へ向けて広がる第2ガイド面と、
    を有し、
    前記剥離バーは、前記第1ガイド面から前記積層基材へ向けて、気体を吹き付け、
    前記第1基材から剥離された前記第2基材は、前記第2ガイド面に沿って搬送される、基材処理装置。
  3. 請求項2に記載の基材処理装置であって、
    前記剥離バーは、前記第1ガイド面と前記第2ガイド面との間に角部を有する、基材処理装置。
  4. 請求項2または請求項3に記載の基材処理装置であって、
    前記第1ガイド面に対する前記第2ガイド面の角度は、45°以上かつ150°以下である、基材処理装置。
  5. 請求項3または請求項4に記載の基材処理装置であって、
    前記剥離バーは、前記バックアップローラの軸芯と平行に延びる四角柱状である、基材処理装置。
  6. 請求項2から請求項5までのいずれか1項に記載の基材処理装置であって、
    前記第1ガイド面は、複数の吹出口を有し、
    前記複数の吹出口から前記積層基材へ向けて、気体が吹き付けられる、基材処理装置。
  7. 請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の基材処理装置であって、
    前記剥離バーは、複数の剥離部材により構成され、
    前記複数の剥離部材は、前記バックアップローラの軸芯と平行な方向に沿って配列される、基材処理装置。
  8. 請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の基材処理装置であって、
    前記導入部は、
    前記積層基材が通過する隙間をあけて前記バックアップローラに対向し、前記バックアップローラと平行な軸芯周りに回転可能な導入ローラ
    を有し、
    前記積層基材は、前記バックアップローラと前記導入ローラとの間の隙間へ導入され、
    前記剥離バーは、前記バックアップローラによる前記積層基材の搬送方向において、前記導入ローラよりも下流側に位置する、基材処理装置。
  9. 請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載の基材処理装置であって、
    前記バックアップローラの外周面は、前記第1基材を吸着保持する、基材処理装置。
  10. 請求項1から請求項9までのいずれか1項に記載の基材処理装置であって、
    前記バックアップローラの外周面に対する前記剥離バーの位置および角度の少なくとも一方を調整する調整機構
    をさらに備える、基材処理装置。
  11. 請求項1から請求項10までのいずれか1項に記載の基材処理装置であって、
    前記バックアップローラによる前記第1基材の搬送方向において、前記剥離部よりも下流側に位置するノズル
    をさらに有し、
    前記ノズルは、前記バックアップローラに保持された前記第1基材の外側の面に、所定の材料を吐出する、基材処理装置。
  12. 請求項11に記載の基材処理装置であって、
    前記第1基材は、電解質膜であり、
    前記第2基材は、前記電解質膜を支持する支持フィルムであり、
    前記ノズルから吐出される材料は、触媒材料である、基材処理装置。
  13. 第1基材および第2基材の少なくとも2層が積層された積層基材を搬送しつつ、前記第1基材から前記第2基材を剥離する基材処理方法であって、
    a)軸芯周りに回転するバックアップローラの外周面に、前記積層基材を、前記第2基材が外側となる姿勢で導入する工程と、
    b)前記バックアップローラの外周面に保持された前記積層基材に向けて、気体を吹き付けつつ、前記気体の吹き付け位置の直後において、前記第2基材を前記バックアップローラから離れる方向へ搬送することによって、前記第1基材から前記第2基材を剥離する工程と、
    を有する基材処理方法。
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