JP2016045103A - ガスクロマトグラフィー質量分析用試料サンプリング材 - Google Patents
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Abstract
【課題】試料をスタンプによってサンプリングするガスクロマトグラフィー質量分析用試料サンプリング材であって、ガスクロマトグラフィー質量分析測定で得られるマススペクトル中における汚染物由来のピークが低減され、正確な定性分析を行うことができる、ガスクロマトグラフィー質量分析用試料サンプリング材を提供する。
【解決手段】基材100と繊維状柱状構造体10とを含み、該繊維状柱状構造体が、繊維状柱状物2を複数備える繊維状柱状構造体であり、該繊維状柱状物は、該基材に対して略垂直方向に配向しているサンプリング材1000。
【選択図】図1
【解決手段】基材100と繊維状柱状構造体10とを含み、該繊維状柱状構造体が、繊維状柱状物2を複数備える繊維状柱状構造体であり、該繊維状柱状物は、該基材に対して略垂直方向に配向しているサンプリング材1000。
【選択図】図1
Description
本発明は、ガスクロマトグラフィー質量分析用試料サンプリング材に関する。
ガスクロマトグラフィー(GC)は、移動相を気体とし、測定サンプルを移動相とともにカラムの中に流し、固定相の相互作用(吸着、分配など)を利用して高性能に分離して検出する分析方法である。また、ガスクロマトグラフィーを行った後に、続いて、ガスクロマトグラフィーで分離した単一成分についてマススペクトルを測定して該成分の定性を行う分析方法を、ガスクロマトグラフィー質量分析(GC/MS)という。
化学製品の開発現場においては、通常、製造ラインで異物が発生した場合、該異物に含まれる成分をガスクロマトグラフィー質量分析によって分離分析することが行われる。通常、製造ライン等で発生した異物は、スタンプ(サンプリング材の圧着)によってサンプリングすることが行われる。従来、製造ライン等で発生した異物をサンプリングしてガスクロマトグラフィー質量分析を行う場合、ガラスウールにより採取すべき異物を製造ライン等から掻きとり、それをそのままサンプルカップに投入し、該サンプルカップをガスクロマトグラフィー装置内に導入し、熱分解させて分離分析することが行われている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、異物のサンプリングにガラスウールを用いると、熱分解の際に、ガラスウール由来の汚染物(例えば、シリコンなど)が発生し、そのような汚染物を含む状態でマススペクトル測定が行われる。このため、汚染物由来のマススペクトルピークが大きく出現してしまい、正確な定性分析を行うことが難しいという問題がある。
本発明の課題は、試料をスタンプによってサンプリングするガスクロマトグラフィー質量分析用試料サンプリング材であって、ガスクロマトグラフィー質量分析測定で得られるマススペクトル中における汚染物由来のピークが低減され、正確な定性分析を行うことができる、ガスクロマトグラフィー質量分析用試料サンプリング材を提供することにある。
本発明のガスクロマトグラフィー質量分析用試料サンプリング材は、
ガスクロマトグラフィー質量分析の試料をスタンプによってサンプリングするためのサンプリング材であって、
基材と繊維状柱状構造体とを含み、
該繊維状柱状構造体が、繊維状柱状物を複数備える繊維状柱状構造体であり、
該繊維状柱状物は、該基材に対して略垂直方向に配向している。
ガスクロマトグラフィー質量分析の試料をスタンプによってサンプリングするためのサンプリング材であって、
基材と繊維状柱状構造体とを含み、
該繊維状柱状構造体が、繊維状柱状物を複数備える繊維状柱状構造体であり、
該繊維状柱状物は、該基材に対して略垂直方向に配向している。
好ましい実施形態においては、上記繊維状柱状構造体が、複数のカーボンナノチューブを備えるカーボンナノチューブ集合体である。
好ましい実施形態においては、上記カーボンナノチューブが複数層を有し、該カーボンナノチューブの層数分布の分布幅が10層以上であり、該層数分布の最頻値の相対頻度が25%以下である。
好ましい実施形態においては、上記カーボンナノチューブの長さが300μm以上である。
好ましい実施形態においては、上記カーボンナノチューブが複数層を有し、該カーボンナノチューブの層数分布の最頻値が層数10層以下に存在し、該最頻値の相対頻度が30%以上である。
好ましい実施形態においては、上記カーボンナノチューブの長さが300μm以上である。
本発明によれば、試料をスタンプによってサンプリングするガスクロマトグラフィー質量分析用試料サンプリング材であって、ガスクロマトグラフィー質量分析測定で得られるマススペクトル中における汚染物由来のピークが低減され、正確な定性分析を行うことができる、ガスクロマトグラフィー質量分析用試料サンプリング材を提供することができる。
本発明のガスクロマトグラフィー質量分析用試料サンプリング材は、ガスクロマトグラフィー質量分析の試料をスタンプによってサンプリングするためのサンプリング材である。具体的には、本発明のガスクロマトグラフィー質量分析用試料サンプリング材は、試料へのスタンプ(サンプリング材の圧着)によってガスクロマトグラフィー質量分析を測定するために必要なサンプルを採取するサンプリング材である。
本発明のガスクロマトグラフィー質量分析用試料サンプリング材でサンプリングできる試料としては、ガスクロマトグラフィーやガスクロマトグラフィー質量分析で分析を行うことができる任意の適切な試料を採用し得る。
本発明のガスクロマトグラフィー質量分析用試料サンプリング材は、基材と繊維状柱状構造体とを含む。本発明のガスクロマトグラフィー質量分析用試料サンプリング材が、基材と後述するような特定の繊維状柱状構造体とを含むことにより、ガスクロマトグラフィー質量分析測定で得られるマススペクトル中における汚染物由来のピークが低減され、正確な定性分析を行うことができる、ガスクロマトグラフィー質量分析用試料サンプリング材を提供することができる。
本発明のガスクロマトグラフィー質量分析用試料サンプリング材は、基材と繊維状柱状構造体とを含んでいれば、本発明の効果を損なわない範囲で任意の適切な他の部材を有していても良い。
基材は、本発明の効果を損なわない範囲で任意の適切な基材を採用し得る。このような基材の材料としては、例えば、アルミ、銅、金、ニッケル、ステンレス、カーボンが挙げられる。
基材の厚みは、目的に応じて、任意の適切な値に設定され得る。
基材の表面は、密着性,保持性などを高めるために、慣用の表面処理、例えば、クロム酸処理、オゾン暴露、火炎暴露、高圧電撃暴露、イオン化放射線処理などの化学的または物理的処理、下塗剤(例えば、上記粘着性物質)によるコーティング処理が施されていてもよい。
上記基材は単層であっても良いし、多層体であっても良い。
繊維状柱状構造体は、繊維状柱状物を複数備える繊維状柱状構造体である。
繊維状柱状構造体の大きさは、試料へのスタンプ(サンプリング材の圧着)によってガスクロマトグラフィー質量分析を測定するために必要なサンプルを採取でき、ガスクロマトグラフィー質量分析を行うことができる大きさであれば、任意の適切な大きさを採用し得る。このような大きさとしては、上面(繊維状柱状構造体の基材と反対の側の表面側)から見たときのサイズが、好ましくは1mm2〜1000mm2であり、より好ましくは10mm2〜700mm2であり、さらに好ましくは20mm2〜500mm2であり、特に好ましくは30mm2〜300mm2であり、最も好ましくは50mm2〜100mm2である。上記サイズが上記範囲内に収まることによって、ガスクロマトグラフィー質量分析測定で得られるマススペクトル中における汚染物由来のピークがより低減され、より正確な定性分析を行うことができる、ガスクロマトグラフィー質量分析用試料サンプリング材を提供することができる。
繊維状柱状物の長さは、好ましくは50μm〜3000μmであり、より好ましくは200μm〜2000μmであり、さらに好ましくは300μm〜1500μmであり、特に好ましくは400μm〜1000μmであり、最も好ましくは500μm〜1000μmである。繊維状柱状物の長さが上記範囲内に収まることにより、ガスクロマトグラフィー質量分析測定で得られるマススペクトル中における汚染物由来のピークがより低減され、より正確な定性分析を行うことができる、ガスクロマトグラフィー質量分析用試料サンプリング材を提供することができる。
図1に、本発明の好ましい実施形態におけるガスクロマトグラフィー質量分析用試料サンプリング材の一例の概略断面図を示す。
図1において、ガスクロマトグラフィー質量分析用試料サンプリング材1000は、基材100と繊維状柱状構造体10を有する。
図1において、繊維状柱状構造体10は、複数の繊維状柱状物2を備える。繊維状柱状物2の片端は、基材100に固定されている。繊維状柱状物2は、長さLの方向に配向している。繊維状柱状物2は、基材100に対して略垂直方向に配向している。ここで、「略垂直方向」とは、基材100の面に対する角度が、好ましくは90°±20°であり、より好ましくは90°±15°であり、さらに好ましくは90°±10°であり、特に好ましくは90°±5°である。
繊維状柱状物の材料としては、任意の適切な材料を採用し得る。例えば、アルミ、鉄などの金属;シリコンなどの無機材料;カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブ(CNT)などのカーボン材料;エンジニアリングプラスチック、スーパーエンジニアリングプラスチックなどの高モジュラスの樹脂;などが挙げられる。樹脂の具体例としては、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、アセチルセルロース、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミドなどが挙げられる。樹脂の分子量などの諸物性は、本発明の目的を達成しうる範囲において、任意の適切な物性を採用し得る。
繊維状柱状物の直径は、好ましくは0.3nm〜2000nmであり、より好ましくは1nm〜1000nmであり、さらに好ましくは2nm〜500nmであり、特に好ましくは2nm〜200nmであり、最も好ましくは2nm〜100nmである。繊維状柱状物の直径が上記範囲内に収まることにより、ガスクロマトグラフィー質量分析測定で得られるマススペクトル中における汚染物由来のピークがより低減され、より正確な定性分析を行うことができる、ガスクロマトグラフィー質量分析用試料サンプリング材を提供することができる。
繊維状柱状構造体は、好ましくは、複数のカーボンナノチューブを備えるカーボンナノチューブ集合体である。この場合、繊維状柱状物は、好ましくは、カーボンナノチューブである。
繊維状柱状構造体が、複数のカーボンナノチューブを備えるカーボンナノチューブ集合体であることにより、ガスクロマトグラフィー質量分析測定で得られるマススペクトル中における汚染物由来のピークがより低減され、より正確な定性分析を行うことができる、ガスクロマトグラフィー質量分析用試料サンプリング材を提供することができる。
カーボンナノチューブ集合体としては、本発明の効果がより効果的に発現する点で、好ましくは、2つの好ましい実施形態を採り得る。
カーボンナノチューブ集合体の好ましい実施形態の1つ(以下、第1の好ましい実施形態と称することがある)は、複数のカーボンナノチューブを備え、該カーボンナノチューブが複数層を有し、該カーボンナノチューブの層数分布の分布幅が10層以上であり、該層数分布の最頻値の相対頻度が25%以下である。カーボンナノチューブ集合体がこのような構成を採ることにより、ガスクロマトグラフィー質量分析測定で得られるマススペクトル中における汚染物由来のピークがより低減され、より正確な定性分析を行うことができる、ガスクロマトグラフィー質量分析用試料サンプリング材を提供することができる。
第1の好ましい実施形態において、カーボンナノチューブの層数分布の分布幅は、好ましくは10層以上であり、より好ましくは10層〜30層であり、さらに好ましくは10層〜25層であり、特に好ましくは10層〜20層である。カーボンナノチューブの層数分布の分布幅をこのような範囲内に調整することにより、ガスクロマトグラフィー質量分析測定で得られるマススペクトル中における汚染物由来のピークがより低減され、より正確な定性分析を行うことができる、ガスクロマトグラフィー質量分析用試料サンプリング材を提供することができる。
第1の好ましい実施形態において、カーボンナノチューブの層数分布の「分布幅」とは、カーボンナノチューブの層数の最大層数と最小層数との差をいう。カーボンナノチューブの層数分布の分布幅を上記範囲内に調整することにより、該カーボンナノチューブは優れた機械的特性および高い比表面積を兼ね備えることができ、さらには、該カーボンナノチューブは優れた粘着特性を示すカーボンナノチューブ集合体となり得る。したがって、このようなカーボンナノチューブ集合体を有するガスクロマトグラフィー質量分析用試料サンプリング材を用いれば、ガスクロマトグラフィー質量分析測定で得られるマススペクトル中における汚染物由来のピークがより低減され、より正確な定性分析を行うことができる。
第1の好ましい実施形態において、カーボンナノチューブの層数、層数分布は、任意の適切な装置によって測定すれば良い。好ましくは、走査型電子顕微鏡(SEM)や透過電子顕微鏡(TEM)によって測定される。例えば、カーボンナノチューブ集合体から少なくとも10本、好ましくは20本以上のカーボンナノチューブを取り出してSEMあるいはTEMによって測定し、層数および層数分布を評価すれば良い。
第1の好ましい実施形態において、カーボンナノチューブの層数の最大層数は、好ましくは5層〜30層であり、より好ましくは10層〜30層であり、さらに好ましくは15層〜30層であり、特に好ましくは15層〜25層である。カーボンナノチューブの層数の最大層数をこのような範囲内に調整することにより、ガスクロマトグラフィー質量分析測定で得られるマススペクトル中における汚染物由来のピークがより低減され、より正確な定性分析を行うことができる、ガスクロマトグラフィー質量分析用試料サンプリング材を提供することができる。
第1の好ましい実施形態において、カーボンナノチューブの層数の最小層数は、好ましくは1層〜10層であり、より好ましくは1層〜5層である。カーボンナノチューブの層数の最小層数をこのような範囲内に調整することにより、ガスクロマトグラフィー質量分析測定で得られるマススペクトル中における汚染物由来のピークがより低減され、より正確な定性分析を行うことができる、ガスクロマトグラフィー質量分析用試料サンプリング材を提供することができる。
第1の好ましい実施形態において、カーボンナノチューブの層数の最大層数と最小層数を上記範囲内に調整することにより、該カーボンナノチューブは優れた機械的特性および高い比表面積を兼ね備えることができ、さらには、該カーボンナノチューブは優れた粘着特性を示すカーボンナノチューブ集合体となり得る。したがって、このようなカーボンナノチューブ集合体を有するガスクロマトグラフィー質量分析用試料サンプリング材を用いれば、ガスクロマトグラフィー質量分析測定で得られるマススペクトル中における汚染物由来のピークがより低減され、より正確な定性分析を行うことができる。
第1の好ましい実施形態において、カーボンナノチューブの層数分布の最頻値の相対頻度は、好ましくは25%以下であり、より好ましくは1%〜25%であり、さらに好ましくは5%〜25%であり、特に好ましくは10%〜25%であり、最も好ましくは15%〜25%である。カーボンナノチューブの層数分布の最頻値の相対頻度を上記範囲内に調整することにより、該カーボンナノチューブは優れた機械的特性および高い比表面積を兼ね備えることができ、さらには、該カーボンナノチューブは優れた粘着特性を示すカーボンナノチューブ集合体となり得る。したがって、このようなカーボンナノチューブ集合体を有するガスクロマトグラフィー質量分析用試料サンプリング材を用いれば、ガスクロマトグラフィー質量分析測定で得られるマススペクトル中における汚染物由来のピークがより低減され、より正確な定性分析を行うことができる。
第1の好ましい実施形態において、カーボンナノチューブの層数分布の最頻値は、好ましくは層数2層から層数10層に存在し、さらに好ましくは層数3層から層数10層に存在する。カーボンナノチューブの層数分布の最頻値を上記範囲内に調整することにより、該カーボンナノチューブは優れた機械的特性および高い比表面積を兼ね備えることができ、さらには、該カーボンナノチューブは優れた粘着特性を示すカーボンナノチューブ集合体となり得る。したがって、このようなカーボンナノチューブ集合体を有するガスクロマトグラフィー質量分析用試料サンプリング材を用いれば、ガスクロマトグラフィー質量分析測定で得られるマススペクトル中における汚染物由来のピークがより低減され、より正確な定性分析を行うことができる。
第1の好ましい実施形態において、カーボンナノチューブの形状としては、その横断面が任意の適切な形状を有していれば良い。例えば、その横断面が、略円形、楕円形、n角形(nは3以上の整数)等が挙げられる。
第1の好ましい実施形態において、カーボンナノチューブの長さは、好ましくは50μm以上であり、より好ましくは100μm〜3000μmであり、さらに好ましくは300μm〜1500μmであり、さらに好ましくは400μm〜1000μmであり、特に好ましくは500μm〜1000μmである。カーボンナノチューブの長さを上記範囲内に調整することにより、該カーボンナノチューブは優れた機械的特性および高い比表面積を兼ね備えることができ、さらには、該カーボンナノチューブは優れた粘着特性を示すカーボンナノチューブ集合体となり得る。したがって、このようなカーボンナノチューブ集合体を有するガスクロマトグラフィー質量分析用試料サンプリング材を用いれば、ガスクロマトグラフィー質量分析測定で得られるマススペクトル中における汚染物由来のピークがより低減され、より正確な定性分析を行うことができる。
第1の好ましい実施形態において、カーボンナノチューブの直径は、好ましくは0.3nm〜2000nmであり、より好ましくは1nm〜1000nmであり、さらに好ましくは2nm〜500nmである。カーボンナノチューブの直径を上記範囲内に調整することにより、該カーボンナノチューブは優れた機械的特性および高い比表面積を兼ね備えることができ、さらには、該カーボンナノチューブは優れた粘着特性を示すカーボンナノチューブ集合体となり得る。したがって、このようなカーボンナノチューブ集合体を有するガスクロマトグラフィー質量分析用試料サンプリング材を用いれば、ガスクロマトグラフィー質量分析測定で得られるマススペクトル中における汚染物由来のピークがより低減され、より正確な定性分析を行うことができる。
第1の好ましい実施形態において、カーボンナノチューブの比表面積、密度は、任意の適切な値に設定され得る。
カーボンナノチューブ集合体の好ましい実施形態の別の1つ(以下、第2の好ましい実施形態と称することがある)は、複数のカーボンナノチューブを備え、該カーボンナノチューブが複数層を有し、該カーボンナノチューブの層数分布の最頻値が層数10層以下に存在し、該最頻値の相対頻度が30%以上である。カーボンナノチューブ集合体がこのような構成を採ることにより、ガスクロマトグラフィー質量分析測定で得られるマススペクトル中における汚染物由来のピークがより低減され、より正確な定性分析を行うことができる、ガスクロマトグラフィー質量分析用試料サンプリング材を提供することができる。
第2の好ましい実施形態において、カーボンナノチューブの層数分布の分布幅は、好ましくは9層以下であり、より好ましくは1層〜9層であり、さらに好ましくは2層〜8層であり、特に好ましくは3層〜8層である。カーボンナノチューブの層数分布の分布幅をこのような範囲内に調整することにより、ガスクロマトグラフィー質量分析測定で得られるマススペクトル中における汚染物由来のピークがより低減され、より正確な定性分析を行うことができる、ガスクロマトグラフィー質量分析用試料サンプリング材を提供することができる。
第2の好ましい実施形態において、カーボンナノチューブの層数分布の「分布幅」とは、カーボンナノチューブの層数の最大層数と最小層数との差をいう。カーボンナノチューブの層数分布の分布幅が上記範囲内に調整することにより、該カーボンナノチューブは優れた機械的特性および高い比表面積を兼ね備えることができ、さらには、該カーボンナノチューブは優れた粘着特性を示すカーボンナノチューブ集合体となり得る。したがって、このようなカーボンナノチューブ集合体を有するガスクロマトグラフィー質量分析用試料サンプリング材を用いれば、ガスクロマトグラフィー質量分析測定で得られるマススペクトル中における汚染物由来のピークがより低減され、より正確な定性分析を行うことができる。
第2の好ましい実施形態において、カーボンナノチューブの層数、層数分布は、任意の適切な装置によって測定すれば良い。好ましくは、走査型電子顕微鏡(SEM)や透過電子顕微鏡(TEM)によって測定される。例えば、カーボンナノチューブ集合体から少なくとも10本、好ましくは20本以上のカーボンナノチューブを取り出してSEMあるいはTEMによって測定し、層数および層数分布を評価すれば良い。
第2の好ましい実施形態において、カーボンナノチューブの層数の最大層数は、好ましくは1層〜20層であり、より好ましくは2層〜15層であり、さらに好ましくは3層〜10層である。カーボンナノチューブの層数の最大層数をこのような範囲内に調整することにより、ガスクロマトグラフィー質量分析測定で得られるマススペクトル中における汚染物由来のピークがより低減され、より正確な定性分析を行うことができる、ガスクロマトグラフィー質量分析用試料サンプリング材を提供することができる。
第2の好ましい実施形態において、カーボンナノチューブの層数の最小層数は、好ましくは1層〜10層であり、より好ましくは1層〜5層である。カーボンナノチューブの層数の最小層数をこのような範囲内に調整することにより、ガスクロマトグラフィー質量分析測定で得られるマススペクトル中における汚染物由来のピークがより低減され、より正確な定性分析を行うことができる、ガスクロマトグラフィー質量分析用試料サンプリング材を提供することができる。
第2の好ましい実施形態において、カーボンナノチューブの層数の最大層数と最小層数を上記範囲内に調整することにより、該カーボンナノチューブは優れた機械的特性および高い比表面積を兼ね備えることができ、さらには、該カーボンナノチューブは優れた粘着特性を示すカーボンナノチューブ集合体となり得る。したがって、このようなカーボンナノチューブ集合体を有するガスクロマトグラフィー質量分析用試料サンプリング材を用いれば、ガスクロマトグラフィー質量分析測定で得られるマススペクトル中における汚染物由来のピークがより低減され、より正確な定性分析を行うことができる。
第2の好ましい実施形態において、カーボンナノチューブの層数分布の最頻値の相対頻度は、好ましくは30%以上であり、より好ましくは30%〜100%であり、さらに好ましくは30%〜90%であり、特に好ましくは30%〜80%であり、最も好ましくは30%〜70%である。カーボンナノチューブの層数分布の最頻値の相対頻度を上記範囲内に調整することにより、該カーボンナノチューブは優れた機械的特性および高い比表面積を兼ね備えることができ、さらには、該カーボンナノチューブは優れた粘着特性を示すカーボンナノチューブ集合体となり得る。したがって、このようなカーボンナノチューブ集合体を有するガスクロマトグラフィー質量分析用試料サンプリング材を用いれば、ガスクロマトグラフィー質量分析測定で得られるマススペクトル中における汚染物由来のピークがより低減され、より正確な定性分析を行うことができる。
第2の好ましい実施形態において、カーボンナノチューブの層数分布の最頻値は、好ましくは層数10層以下に存在し、より好ましくは層数1層から層数10層に存在し、さらに好ましくは層数2層から層数8層に存在し、特に好ましくは層数2層から層数6層に存在する。カーボンナノチューブの層数分布の最頻値を上記範囲内に調整することにより、該カーボンナノチューブは優れた機械的特性および高い比表面積を兼ね備えることができ、さらには、該カーボンナノチューブは優れた粘着特性を示すカーボンナノチューブ集合体となり得る。したがって、このようなカーボンナノチューブ集合体を有するガスクロマトグラフィー質量分析用試料サンプリング材を用いれば、ガスクロマトグラフィー質量分析測定で得られるマススペクトル中における汚染物由来のピークがより低減され、より正確な定性分析を行うことができる。
第2の好ましい実施形態において、カーボンナノチューブの形状としては、その横断面が任意の適切な形状を有していれば良い。例えば、その横断面が、略円形、楕円形、n角形(nは3以上の整数)等が挙げられる。
第2の好ましい実施形態において、カーボンナノチューブの長さは、好ましくは50μm以上であり、より好ましくは100μm〜3000μmであり、さらに好ましくは300μm〜1500μmであり、さらに好ましくは400μm〜1000μmであり、特に好ましくは500μm〜1000μmである。カーボンナノチューブの長さを上記範囲内に調整することにより、該カーボンナノチューブは優れた機械的特性および高い比表面積を兼ね備えることができ、さらには、該カーボンナノチューブは優れた粘着特性を示すカーボンナノチューブ集合体となり得る。したがって、このようなカーボンナノチューブ集合体を有するガスクロマトグラフィー質量分析用試料サンプリング材を用いれば、ガスクロマトグラフィー質量分析測定で得られるマススペクトル中における汚染物由来のピークがより低減され、より正確な定性分析を行うことができる。
第2の好ましい実施形態において、カーボンナノチューブの直径は、好ましくは0.3nm〜2000nmであり、より好ましくは1nm〜1000nmであり、さらに好ましくは2nm〜500nmである。カーボンナノチューブの直径を上記範囲内に調整することにより、該カーボンナノチューブは優れた機械的特性および高い比表面積を兼ね備えることができ、さらには、該カーボンナノチューブは優れた粘着特性を示すカーボンナノチューブ集合体となり得る。したがって、このようなカーボンナノチューブ集合体を有するガスクロマトグラフィー質量分析用試料サンプリング材を用いれば、ガスクロマトグラフィー質量分析測定で得られるマススペクトル中における汚染物由来のピークがより低減され、より正確な定性分析を行うことができる。
第2の好ましい実施形態において、カーボンナノチューブの比表面積、密度は、任意の適切な値に設定され得る。
カーボンナノチューブ集合体の製造方法としては、任意の適切な方法を採用し得る。
カーボンナノチューブ集合体の製造方法としては、例えば、平滑な基板の上に触媒層を構成し、熱、プラズマなどにより触媒を活性化させた状態で炭素源を充填し、カーボンナノチューブを成長させる、化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition:CVD法)によって、基板からほぼ垂直に配向したカーボンナノチューブ集合体を製造する方法が挙げられる。この場合、例えば、基板を取り除けば、長さ方向に配向しているカーボンナノチューブ集合体が得られる。
カーボンナノチューブ集合体の製造方法で用い得る基板としては、任意の適切な基板を採用し得る。例えば、平滑性を有し、カーボンナノチューブの製造に耐え得る高温耐熱性を有する材料が挙げられる。このような材料としては、例えば、石英ガラス、シリコン(シリコンウェハなど)、アルミニウムなどの金属板などが挙げられる。
カーボンナノチューブ集合体を製造するための装置としては、任意の適切な装置を採用し得る。例えば、熱CVD装置としては、図2に示すような、筒型の反応容器を抵抗加熱式の電気管状炉で囲んで構成されたホットウォール型などが挙げられる。その場合、反応容器としては、例えば、耐熱性の石英管などが好ましく用いられる。
カーボンナノチューブ集合体の製造に用い得る触媒(触媒層の材料)としては、任意の適切な触媒を用い得る。例えば、鉄、コバルト、ニッケル、金、白金、銀、銅などの金属触媒が挙げられる。
カーボンナノチューブ集合体を製造する際、必要に応じて、基板と触媒層の中間にアルミナ/親水性膜を設けても良い。
アルミナ/親水性膜の作製方法としては、任意の適切な方法を採用し得る。例えば、基板の上にSiO2膜を作製し、Alを蒸着後、450℃まで昇温して酸化させることにより得られる。このような作製方法によれば、Al2O3が親水性のSiO2膜と相互作用し、Al2O3を直接蒸着したものよりも粒子径の異なるAl2O3面が形成される。基板の上に、親水性膜を作製することを行わずに、Alを蒸着後に450℃まで昇温して酸化させても、粒子径の異なるAl2O3面が形成され難いおそれがある。また、基板の上に、親水性膜を作製し、Al2O3を直接蒸着しても、粒子径の異なるAl2O3面が形成され難いおそれがある。
カーボンナノチューブ集合体の製造に用い得る触媒層の厚みは、微粒子を形成させるため、好ましくは0.01nm〜20nmであり、より好ましくは0.1nm〜10nmである。カーボンナノチューブ集合体の製造に用い得る触媒層の厚みを上記範囲内に調整することにより、形成するカーボンナノチューブは優れた機械的特性および高い比表面積を兼ね備えることができ、さらには、該カーボンナノチューブは優れた粘着特性を示すカーボンナノチューブ集合体となり得る。したがって、このようなカーボンナノチューブ集合体を有するガスクロマトグラフィー質量分析用試料サンプリング材を用いれば、ガスクロマトグラフィー質量分析測定で得られるマススペクトル中における汚染物由来のピークがより低減され、より正確な定性分析を行うことができる。
触媒層の形成方法は、任意の適切な方法を採用し得る。例えば、金属触媒をEB(電子ビーム)、スパッタなどにより蒸着する方法、金属触媒微粒子の懸濁液を基板上に塗布する方法などが挙げられる。
カーボンナノチューブ集合体の製造に用い得る炭素源としては、任意の適切な炭素源を用い得る。例えば、メタン、エチレン、アセチレン、ベンゼンなどの炭化水素;メタノール、エタノールなどのアルコール;などが挙げられる。
カーボンナノチューブ集合体の製造における製造温度としては、任意の適切な温度を採用し得る。たとえば、本発明の効果を十分に発現し得る触媒粒子を形成させるため、好ましくは400℃〜1000℃であり、より好ましくは500℃〜900℃であり、さらに好ましくは600℃〜800℃である。
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、各種評価や測定は、以下の方法により行った。
<繊維状柱状物の長さLの測定>
繊維状柱状物の長さLは、走査型電子顕微鏡(SEM)によって測定した。
繊維状柱状物の長さLは、走査型電子顕微鏡(SEM)によって測定した。
<カーボンナノチューブ集合体におけるカーボンナノチューブの層数・層数分布の評価>
カーボンナノチューブ集合体におけるカーボンナノチューブの層数および層数分布は、走査型電子顕微鏡(SEM)および/または透過電子顕微鏡(TEM)によって測定した。得られたカーボンナノチューブ集合体の中から少なくとも10本以上、好ましくは20本以上のカーボンナノチューブをSEMおよび/またはTEMにより観察し、各カーボンナノチューブの層数を調べ、層数分布を作成した。
カーボンナノチューブ集合体におけるカーボンナノチューブの層数および層数分布は、走査型電子顕微鏡(SEM)および/または透過電子顕微鏡(TEM)によって測定した。得られたカーボンナノチューブ集合体の中から少なくとも10本以上、好ましくは20本以上のカーボンナノチューブをSEMおよび/またはTEMにより観察し、各カーボンナノチューブの層数を調べ、層数分布を作成した。
<試料のサンプリング方法>
試料が付着している表面にカーボンナノチューブ集合体の端面を圧着して吸着させた。
試料が付着している表面にカーボンナノチューブ集合体の端面を圧着して吸着させた。
<ガスクロマトグラフィー質量分析の方法>
成長端面に試料が付着したカーボンナノチューブ集合体をシリコン基板あるいは基材から剥離し、試料カップに入る大きさにカットあるいは圧縮して試料カップに投入後、試料カップをパイロライザーに投入し、その際に発生したガスをマイクロジェット・クライオトラップを用いて液体窒素でGCカラムの一部に濃縮捕集した後、GC/MS測定を行った。
成長端面に試料が付着したカーボンナノチューブ集合体をシリコン基板あるいは基材から剥離し、試料カップに入る大きさにカットあるいは圧縮して試料カップに投入後、試料カップをパイロライザーに投入し、その際に発生したガスをマイクロジェット・クライオトラップを用いて液体窒素でGCカラムの一部に濃縮捕集した後、GC/MS測定を行った。
<ガスクロマトグラフィー質量分析の測定結果に基づく評価>
あらかじめ成分がわかっている流動パラフィンを50μg採取し、試料カップに投入後、試料カップをパイロライザーに投入し、その際に発生したガスをマイクロジェット・クライオトラップを用いて液体窒素でGCカラムの一部に濃縮捕集した後、GC/MS測定を行った。得られた流動パラフィンのピークに対し、ノイズとして現れる異物のピークを比較することにより、汚染を評価した。
あらかじめ成分がわかっている流動パラフィンを50μg採取し、試料カップに投入後、試料カップをパイロライザーに投入し、その際に発生したガスをマイクロジェット・クライオトラップを用いて液体窒素でGCカラムの一部に濃縮捕集した後、GC/MS測定を行った。得られた流動パラフィンのピークに対し、ノイズとして現れる異物のピークを比較することにより、汚染を評価した。
〔実施例1〕
基板としてのシリコンウェハ(シリコンテクノロジー製)上に、スパッタ装置(ULVAC製、RFS−200)により、Al薄膜(厚み10nm)を形成した。このAl薄膜上に、さらにスパッタ装置(ULVAC製、RFS−200)にてFe薄膜(厚み1nm)を蒸着した。
その後、この基板を30mmφの石英管内に載置し、水分600ppmに保ったヘリウム/水素(90/50sccm)混合ガスを石英管内に30分間流して、管内を置換した。その後、電気管状炉を用いて管内を765℃まで昇温させ、765℃にて安定させた。765℃にて温度を保持したまま、ヘリウム/水素/エチレン(85/50/5sccm、水分率600ppm)混合ガスを管内に充填させ、5分間放置してカーボンナノチューブを基板上に成長させ、カーボンナノチューブが長さ方向に配向しているカーボンナノチューブ集合体(1)を得た。
カーボンナノチューブ集合体(1)が備えるカーボンナノチューブの長さは100μmであった。
カーボンナノチューブ集合体(1)が備えるカーボンナノチューブの層数分布において、最頻値は2層に存在し、相対頻度は75%であった。
シリコン基板上に形成されたカーボンナノチューブ集合体(1)を、シリコン基板から剥離し、シリコン基板側のカーボンナノチューブ集合体の端面をアルミ基材に圧着、固定することにより、アルミを材料とする厚み50μmの基材上に縦10mm×横10mm×長さ100μmのカーボンナノチューブ集合体が載置されたガスクロマトグラフィー質量分析用試料サンプリング材(1)を得た。
評価結果を表1に示した。
基板としてのシリコンウェハ(シリコンテクノロジー製)上に、スパッタ装置(ULVAC製、RFS−200)により、Al薄膜(厚み10nm)を形成した。このAl薄膜上に、さらにスパッタ装置(ULVAC製、RFS−200)にてFe薄膜(厚み1nm)を蒸着した。
その後、この基板を30mmφの石英管内に載置し、水分600ppmに保ったヘリウム/水素(90/50sccm)混合ガスを石英管内に30分間流して、管内を置換した。その後、電気管状炉を用いて管内を765℃まで昇温させ、765℃にて安定させた。765℃にて温度を保持したまま、ヘリウム/水素/エチレン(85/50/5sccm、水分率600ppm)混合ガスを管内に充填させ、5分間放置してカーボンナノチューブを基板上に成長させ、カーボンナノチューブが長さ方向に配向しているカーボンナノチューブ集合体(1)を得た。
カーボンナノチューブ集合体(1)が備えるカーボンナノチューブの長さは100μmであった。
カーボンナノチューブ集合体(1)が備えるカーボンナノチューブの層数分布において、最頻値は2層に存在し、相対頻度は75%であった。
シリコン基板上に形成されたカーボンナノチューブ集合体(1)を、シリコン基板から剥離し、シリコン基板側のカーボンナノチューブ集合体の端面をアルミ基材に圧着、固定することにより、アルミを材料とする厚み50μmの基材上に縦10mm×横10mm×長さ100μmのカーボンナノチューブ集合体が載置されたガスクロマトグラフィー質量分析用試料サンプリング材(1)を得た。
評価結果を表1に示した。
〔実施例2〕
実施例1において、Fe薄膜の厚みを2nm、放置時間を15分に変えた以外は、実施例1と同様に行い、カーボンナノチューブが長さ方向に配向しているカーボンナノチューブ集合体(2)を得た。
カーボンナノチューブ集合体(2)が備えるカーボンナノチューブの長さは300μmであった。
カーボンナノチューブ集合体(2)が備えるカーボンナノチューブの層数分布において、最頻値は3層に存在し、相対頻度は72%であった。
シリコン基板上に形成されたカーボンナノチューブ集合体(2)を、シリコン基板から剥離し、シリコン基板側のカーボンナノチューブ集合体の端面を銅基材に圧着、固定することにより、銅を材料とする厚み50μmの基材上に縦10mm×横10mm×長さ300μmのカーボンナノチューブ集合体が載置されたガスクロマトグラフィー質量分析用試料サンプリング材(2)を得た。
評価結果を表1に示した。
実施例1において、Fe薄膜の厚みを2nm、放置時間を15分に変えた以外は、実施例1と同様に行い、カーボンナノチューブが長さ方向に配向しているカーボンナノチューブ集合体(2)を得た。
カーボンナノチューブ集合体(2)が備えるカーボンナノチューブの長さは300μmであった。
カーボンナノチューブ集合体(2)が備えるカーボンナノチューブの層数分布において、最頻値は3層に存在し、相対頻度は72%であった。
シリコン基板上に形成されたカーボンナノチューブ集合体(2)を、シリコン基板から剥離し、シリコン基板側のカーボンナノチューブ集合体の端面を銅基材に圧着、固定することにより、銅を材料とする厚み50μmの基材上に縦10mm×横10mm×長さ300μmのカーボンナノチューブ集合体が載置されたガスクロマトグラフィー質量分析用試料サンプリング材(2)を得た。
評価結果を表1に示した。
〔実施例3〕
実施例1において、放置時間を25分に変えた以外は、実施例1と同様に行い、カーボンナノチューブが長さ方向に配向しているカーボンナノチューブ集合体(3)を得た。
カーボンナノチューブ集合体(3)が備えるカーボンナノチューブの長さは500μmであった。
カーボンナノチューブ集合体(3)が備えるカーボンナノチューブの層数分布において、最頻値は2層に存在し、相対頻度は75%であった。
シリコン基板上に形成されたカーボンナノチューブ集合体(3)を、シリコン基板から剥離し、シリコン基板側のカーボンナノチューブ集合体の端面を真鍮製SEM試料台(日新EM製、Φ10mm×10mm)に圧着、固定することにより、真鍮を材料とする厚み10mmの基材上に縦7mm×横7mm×長さ500μmのカーボンナノチューブ集合体が載置されたガスクロマトグラフィー質量分析用試料サンプリング材(3)を得た。
評価結果を表1に示した。
実施例1において、放置時間を25分に変えた以外は、実施例1と同様に行い、カーボンナノチューブが長さ方向に配向しているカーボンナノチューブ集合体(3)を得た。
カーボンナノチューブ集合体(3)が備えるカーボンナノチューブの長さは500μmであった。
カーボンナノチューブ集合体(3)が備えるカーボンナノチューブの層数分布において、最頻値は2層に存在し、相対頻度は75%であった。
シリコン基板上に形成されたカーボンナノチューブ集合体(3)を、シリコン基板から剥離し、シリコン基板側のカーボンナノチューブ集合体の端面を真鍮製SEM試料台(日新EM製、Φ10mm×10mm)に圧着、固定することにより、真鍮を材料とする厚み10mmの基材上に縦7mm×横7mm×長さ500μmのカーボンナノチューブ集合体が載置されたガスクロマトグラフィー質量分析用試料サンプリング材(3)を得た。
評価結果を表1に示した。
〔実施例4〕
実施例1において、Fe薄膜の厚みを2nm、放置時間を35分に変えた以外は、実施例1と同様に行い、カーボンナノチューブが長さ方向に配向しているカーボンナノチューブ集合体(4)を得た。
カーボンナノチューブ集合体(4)が備えるカーボンナノチューブの長さは700μmであった。
カーボンナノチューブ集合体(4)が備えるカーボンナノチューブの層数分布において、最頻値は3層に存在し、相対頻度は72%であった。
シリコン基板上に形成されたカーボンナノチューブ集合体(4)を、シリコン基板から剥離し、シリコン基板側のカーボンナノチューブ集合体の端面をSUS板(0.5mm)に圧着、固定することにより、SUSを材料とする厚み0.5mmの基材上に縦10mm×横10mm×長さ700μmのカーボンナノチューブ集合体が載置されたガスクロマトグラフィー質量分析用試料サンプリング材(4)を得た。
評価結果を表1に示した。
実施例1において、Fe薄膜の厚みを2nm、放置時間を35分に変えた以外は、実施例1と同様に行い、カーボンナノチューブが長さ方向に配向しているカーボンナノチューブ集合体(4)を得た。
カーボンナノチューブ集合体(4)が備えるカーボンナノチューブの長さは700μmであった。
カーボンナノチューブ集合体(4)が備えるカーボンナノチューブの層数分布において、最頻値は3層に存在し、相対頻度は72%であった。
シリコン基板上に形成されたカーボンナノチューブ集合体(4)を、シリコン基板から剥離し、シリコン基板側のカーボンナノチューブ集合体の端面をSUS板(0.5mm)に圧着、固定することにより、SUSを材料とする厚み0.5mmの基材上に縦10mm×横10mm×長さ700μmのカーボンナノチューブ集合体が載置されたガスクロマトグラフィー質量分析用試料サンプリング材(4)を得た。
評価結果を表1に示した。
〔実施例5〕
シリコン基板(KST製、熱酸化膜付ウェハ、厚み1000μm)上に、真空蒸着装置(JEOL製、JEE−4X Vacuum Evaporator)により、Al薄膜(厚み10nm)を形成した後、450℃で1時間酸化処理を施した。このようにして、シリコン基板上にAl2O3膜を形成した。このAl2O3膜上に、さらにスパッタ装置(ULVAC製、RFS−200)にてFe薄膜(厚み2nm)を蒸着させて触媒層を形成した。
次に、得られた触媒層付シリコン基板をカットして、30mmφの石英管内に載置し、水分350ppmに保ったヘリウム/水素(120/80sccm)混合ガスを石英管内に30分間流して、管内を置換した。その後、電気管状炉を用いて管内を765℃まで35分間で段階的に昇温させ、765℃にて安定させた。765℃にて温度を保持したまま、ヘリウム/水素/エチレン(105/80/15sccm、水分率350ppm)混合ガスを管内に充填させ、5分間放置してカーボンナノチューブを基板上に成長させ、カーボンナノチューブが長さ方向に配向しているカーボンナノチューブ集合体(5)を得た。
カーボンナノチューブ集合体(5)が備えるカーボンナノチューブの長さは100μmであった。
カーボンナノチューブ集合体(5)が備えるカーボンナノチューブの層数分布において、層数分布の分布幅は17層(4層〜20層)であり、最頻値は4層と8層に存在し、相対頻度はそれぞれ20%と20%であった。
シリコン基板上に形成されたカーボンナノチューブ集合体(5)を、シリコン基板から剥離し、シリコン基板側のカーボンナノチューブ集合体の端面をアルミ製SEM試料台(日新EM製、Φ10mm×5mm)に圧着、固定することにより、アルミを材料とする厚み5mmの基材上に縦7mm×横7mm×長さ100μmのカーボンナノチューブ集合体が載置されたガスクロマトグラフィー質量分析用試料サンプリング材(5)を得た。
評価結果を表1に示した。
シリコン基板(KST製、熱酸化膜付ウェハ、厚み1000μm)上に、真空蒸着装置(JEOL製、JEE−4X Vacuum Evaporator)により、Al薄膜(厚み10nm)を形成した後、450℃で1時間酸化処理を施した。このようにして、シリコン基板上にAl2O3膜を形成した。このAl2O3膜上に、さらにスパッタ装置(ULVAC製、RFS−200)にてFe薄膜(厚み2nm)を蒸着させて触媒層を形成した。
次に、得られた触媒層付シリコン基板をカットして、30mmφの石英管内に載置し、水分350ppmに保ったヘリウム/水素(120/80sccm)混合ガスを石英管内に30分間流して、管内を置換した。その後、電気管状炉を用いて管内を765℃まで35分間で段階的に昇温させ、765℃にて安定させた。765℃にて温度を保持したまま、ヘリウム/水素/エチレン(105/80/15sccm、水分率350ppm)混合ガスを管内に充填させ、5分間放置してカーボンナノチューブを基板上に成長させ、カーボンナノチューブが長さ方向に配向しているカーボンナノチューブ集合体(5)を得た。
カーボンナノチューブ集合体(5)が備えるカーボンナノチューブの長さは100μmであった。
カーボンナノチューブ集合体(5)が備えるカーボンナノチューブの層数分布において、層数分布の分布幅は17層(4層〜20層)であり、最頻値は4層と8層に存在し、相対頻度はそれぞれ20%と20%であった。
シリコン基板上に形成されたカーボンナノチューブ集合体(5)を、シリコン基板から剥離し、シリコン基板側のカーボンナノチューブ集合体の端面をアルミ製SEM試料台(日新EM製、Φ10mm×5mm)に圧着、固定することにより、アルミを材料とする厚み5mmの基材上に縦7mm×横7mm×長さ100μmのカーボンナノチューブ集合体が載置されたガスクロマトグラフィー質量分析用試料サンプリング材(5)を得た。
評価結果を表1に示した。
〔実施例6〕
実施例5において、放置時間を15分に変えた以外は、実施例5と同様に行い、カーボンナノチューブが長さ方向に配向しているカーボンナノチューブ集合体(6)を得た。
カーボンナノチューブ集合体(6)が備えるカーボンナノチューブの長さは300μmであった。
カーボンナノチューブ集合体(6)が備えるカーボンナノチューブの層数分布において、層数分布の分布幅は17層(4層〜20層)であり、最頻値は4層と8層に存在し、相対頻度はそれぞれ20%と20%であった。
シリコン基板上に形成されたカーボンナノチューブ集合体(6)を、シリコン基板から剥離し、シリコン基板側のカーボンナノチューブ集合体の端面をカーボン製SEM試料台(日新EM製、Φ10mm×5mm)に圧着、固定することにより、カーボンを材料とする厚み5mmの基材上に縦7mm×横7mm×長さ300μmのカーボンナノチューブ集合体が載置されたガスクロマトグラフィー質量分析用試料サンプリング材(6)を得た。
評価結果を表1に示した。
実施例5において、放置時間を15分に変えた以外は、実施例5と同様に行い、カーボンナノチューブが長さ方向に配向しているカーボンナノチューブ集合体(6)を得た。
カーボンナノチューブ集合体(6)が備えるカーボンナノチューブの長さは300μmであった。
カーボンナノチューブ集合体(6)が備えるカーボンナノチューブの層数分布において、層数分布の分布幅は17層(4層〜20層)であり、最頻値は4層と8層に存在し、相対頻度はそれぞれ20%と20%であった。
シリコン基板上に形成されたカーボンナノチューブ集合体(6)を、シリコン基板から剥離し、シリコン基板側のカーボンナノチューブ集合体の端面をカーボン製SEM試料台(日新EM製、Φ10mm×5mm)に圧着、固定することにより、カーボンを材料とする厚み5mmの基材上に縦7mm×横7mm×長さ300μmのカーボンナノチューブ集合体が載置されたガスクロマトグラフィー質量分析用試料サンプリング材(6)を得た。
評価結果を表1に示した。
〔実施例7〕
実施例4において、放置時間を25分に変えた以外は、実施例4と同様に行い、カーボンナノチューブが長さ方向に配向しているカーボンナノチューブ集合体(7)を得た。
カーボンナノチューブ集合体(7)が備えるカーボンナノチューブの長さは500μmであった。
カーボンナノチューブ集合体(7)が備えるカーボンナノチューブの層数分布において、層数分布の分布幅は17層(4層〜20層)であり、最頻値は4層と8層に存在し、相対頻度はそれぞれ20%と20%であった。
シリコン基板上に形成されたカーボンナノチューブ集合体(7)を、シリコン基板から剥離し、シリコン基板側のカーボンナノチューブ集合体の端面をアルミ製SEM試料台(日新EM製、Φ10mm×5mm)に圧着、固定することにより、アルミを材料とする厚み5mmの基材上に縦7mm×横7mm×長さ500μmのカーボンナノチューブ集合体が載置されたガスクロマトグラフィー質量分析用試料サンプリング材(7)を得た。
評価結果を表1に示した。
実施例4において、放置時間を25分に変えた以外は、実施例4と同様に行い、カーボンナノチューブが長さ方向に配向しているカーボンナノチューブ集合体(7)を得た。
カーボンナノチューブ集合体(7)が備えるカーボンナノチューブの長さは500μmであった。
カーボンナノチューブ集合体(7)が備えるカーボンナノチューブの層数分布において、層数分布の分布幅は17層(4層〜20層)であり、最頻値は4層と8層に存在し、相対頻度はそれぞれ20%と20%であった。
シリコン基板上に形成されたカーボンナノチューブ集合体(7)を、シリコン基板から剥離し、シリコン基板側のカーボンナノチューブ集合体の端面をアルミ製SEM試料台(日新EM製、Φ10mm×5mm)に圧着、固定することにより、アルミを材料とする厚み5mmの基材上に縦7mm×横7mm×長さ500μmのカーボンナノチューブ集合体が載置されたガスクロマトグラフィー質量分析用試料サンプリング材(7)を得た。
評価結果を表1に示した。
〔比較例1〕
セロハンテープ(型番:CT15−DT、ニチバン製)を、ガスクロマトグラフィー質量分析用試料サンプリング材(C1)とした。
評価結果を表1に示した。
セロハンテープ(型番:CT15−DT、ニチバン製)を、ガスクロマトグラフィー質量分析用試料サンプリング材(C1)とした。
評価結果を表1に示した。
〔比較例2〕
シラン化グラスウール(Agilent製)を、ガスクロマトグラフィー質量分析用試料サンプリング材(C2)とした。
評価結果を表1に示した。
シラン化グラスウール(Agilent製)を、ガスクロマトグラフィー質量分析用試料サンプリング材(C2)とした。
評価結果を表1に示した。
本発明のガスクロマトグラフィー質量分析用試料サンプリング材は、ガスクロマトグラフィー質量分析に利用可能である。
1000 ガスクロマトグラフィー質量分析用試料サンプリング材
100 基材
10 繊維状柱状構造体
2 繊維状柱状物
100 基材
10 繊維状柱状構造体
2 繊維状柱状物
Claims (6)
- ガスクロマトグラフィー質量分析の試料をスタンプによってサンプリングするためのサンプリング材であって、
基材と繊維状柱状構造体とを含み、
該繊維状柱状構造体が、繊維状柱状物を複数備える繊維状柱状構造体であり、
該繊維状柱状物は、該基材に対して略垂直方向に配向している、
ガスクロマトグラフィー質量分析用試料サンプリング材。 - 前記繊維状柱状構造体が、複数のカーボンナノチューブを備えるカーボンナノチューブ集合体である、請求項1に記載のガスクロマトグラフィー質量分析用試料サンプリング材。
- 前記カーボンナノチューブが複数層を有し、該カーボンナノチューブの層数分布の分布幅が10層以上であり、該層数分布の最頻値の相対頻度が25%以下である、請求項2に記載のガスクロマトグラフィー質量分析用試料サンプリング材。
- 前記カーボンナノチューブの長さが300μm以上である、請求項3に記載のガスクロマトグラフィー質量分析用試料サンプリング材。
- 前記カーボンナノチューブが複数層を有し、該カーボンナノチューブの層数分布の最頻値が層数10層以下に存在し、該最頻値の相対頻度が30%以上である、請求項2に記載のガスクロマトグラフィー質量分析用試料サンプリング材。
- 前記カーボンナノチューブの長さが300μm以上である、請求項5に記載のガスクロマトグラフィー質量分析用試料サンプリング材。
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