JP2016044154A - アンギオテンシン変換酵素(ace)の阻害剤、これを含む食品および薬剤、並びにそれらの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】霊芝の抽出物に由来するアンギオテンシン変換酵素(ACE)の阻害剤、これを利用した食品および医薬品、ならびに該ACE阻害剤の製造方法の提供。【解決手段】霊芝(Ganodermalingzhi)から有機溶媒を主成分とする溶媒で抽出することにより得られる成分を有効成分として含むアンギオテンシン変換酵素(ACE)の阻害剤、このACE阻害剤を含む食品および医薬品。【選択図】なし

Description

本発明は、霊芝(Ganoderma lingzhi)、特にその子実体の抽出物を含有するACE阻害剤、該ACE阻害剤を含む食品および薬剤、並びにそれらの製造方法に関する。
アンギオテンシン変換酵素(ACE)を阻害することは、高血圧の治療として最も主要な治療法の一つである(非特許文献1)、毒蛇の毒にACEを阻害するペプチドが発見されてから、高血圧症の治療薬に用いる薬の開発に多大な労力がかけられてきた。アンギオテンシンに関する薬市場では、現在、アンギオテンシンIのACEによる切断部位を模したカプトプリル等のペプチド類似薬物が多数存在し、市場を独占している。しかしながら、現在利用可能な薬物には薬物の使用に起因する副作用があるため、天然由来のACE阻害活性を有する、新規化合物の探索が依然として望まれている。
霊芝の子実体(キノコ)は、真菌に属し、東アジアの国々で最も知られている栄養補助食品であり、健康増進する目的で用いられてきた歴史があり、心疾患の治療および長寿命促進の効能を有していると信じられてきた。この真菌の一般的な学名は、「Ganoderma lucidum(Curtis)P.Karst」である。しかしながら、CaOら(非特許文献2)による最近の形態学および分子系統学の解析によれば、東アジアで商業的に栽培された霊芝は、もともと欧州由来であると説明される正統の「Ganoderma lucidum」から派生した種類とは異なる種類であると報告している。CaOは、東アジアに広がっているその霊芝について「Ganoderma lingzhi Sheng H.Wu, Y.Cao & Y.C. Dai」という名称を提案した。
霊芝は、高血圧治療薬を含む日本および中国の伝統的な種々の薬の中で、その医学的価値ゆえに貴重とされてきた(非特許文献3)。霊芝の粉末が高血圧ラットに対して血圧低下作用を有することが報告されている(非特許文献4)。さらに、ガノデルマ属のキノコの熱水抽出物でもって6ヶ月の間、高血圧患者の治療を行ったところ、高血圧患者の症状が改善されたことも報告されている(非特許文献5)。
もしも、アンギオテンシン変換酵素(ACE)を阻害できる物質(ACE阻害剤)が新たに見出され、アンギオテンシンIからIIへの変換を抑制でき、血圧上昇を抑えることができ、高血圧の疾患治療薬の多様化に寄与することができる。このような事情から、様々なアンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤が望まれている。
本発明者らは、霊芝(Ganoderma lingzhi)について、いくつかの新規トリテルペノイドの単離を報告している(非特許文献6)。
Smith, R. E. T.; Ashiya, M. Nat. Rev. Drug Discov. 2007, 6, 597-8. Cao, Y.; Wu, S.-H.; Dai, Y.-C. Fungal Divers. 2012, 56, 49-62. Wasser, S. In Encyclopedia of Dietary Supplements; 2005; pp. 603-622. Kabir, Y.; Kimura, S.; Tamura, T. Dietary effect of Ganoderma lucidum mushroom on blood pressure and lipid levels in spontaneously hypertensive rats(SHR).J. Nutr. Sci. Vitaminol. (Tokyo).1988,34, 433-438. Katsuo Kanmatsuse, Nagao Kajiwara, Kyoko Hayashi, Shyuji Shimogaichi, Itaru Fukibara, Hideo Ishikawa, T. T. Studies on Ganoderma lucidum. I. Efficacy against Hypertension and Side Effects.Yakugaku Yasshi1985,105, 942-947. Fatmawati, S.; Shimizu, K.; Kondo, R. Fitoterapia 2010, 81, 1033-6.
本発明者らは、様々な抽出方法で霊芝、特に子実体から異なる方法で抽出した抽出物や抽出物に含まれるトリペノイド類についてアンギオテンシン変換酵素(ACE)の阻害活性について鋭意研究していたところ、ACE阻害活性を有するトリペノイド類が多数存在することなどを見出し、本発明を完成するに至った。
したがって、本発明は、上記霊芝の抽出物に由来する、アンジオテンシン変換酵素(ACE)の阻害活性を有するACE阻害剤、これを利用した食品、化粧料および医薬品、ならびに該ACE阻害剤の製造方法の提供をすることを目的とする。さらには、例えばアンジオテンシン変換酵素(ACE)の効率的な阻害に必要な化学構造の特定に資する研究試薬の提供を目的とする。
本発明により、以下のACE阻害剤等が提供される。
[1] 霊芝(Ganoderma lingzhi)から有機溶媒を含有する溶媒(有機系溶媒)で抽出することにより得られるトリペノイド類を有効成分として含むことを特徴とするACE阻害剤。
[2] 前記トリペノイド類が、
(2)ガノデリックアシッドN(Ganoderic acid N)、
(8)ガノデリックアシッドA(Ganoderic acid A)、
(9)ガノデリックアシッドAM1(Ganoderic acid AM1)、
(10)ガノデリックアシッドB(Ganoderic acid B)、
(23)ガノデリックアシッドC1(Ganoderic acid C1)、
(24)ガノデリックアシッドC2(Ganoderic acid C2)、
(25)ガノデリックアシッドC6(Ganoderic acid C6)、
(26)ガノデリックアシッドH(Ganoderic acid H)、
(27)ガノデリックアシッドK(Ganoderic acid K)、
(28)ガノデリックアシッドTR(Ganoderic acid TR)、
(29)ガノデリン酸A(Ganoderenic acid A)、
(30)ガノデリン酸C(Ganoderenic acid C)、
(31)ガノデリン酸D(Ganoderenic acid D)、
(32)ガノデリン酸F(Ganoderenic acid F)、
(33)ガノデリン酸H(Ganoderenic acid H)、からなる群から選択された1種または2種以上の化合物であることを特徴とする、[1]に記載のACE阻害剤(なお、附番(2)、(8)〜(10)、(23)〜(33)は本発明の説明の便宜上付与した。)。
[3] (2)ガノデリックアシッドN(Ganoderic acid N)、(8)ガノデリックアシッドA(Ganoderic acid A)、(9)ガノデリックアシッドAM1(Ganoderic acid AM1)、(10)ガノデリックアシッドB(Ganoderic acid B)、(23)ガノデリックアシッドC1(Ganoderic acid C1)、(24)ガノデリックアシッドC2(Ganoderic acid C2)、(25)ガノデリックアシッドC6(Ganoderic acid C6)、(26)ガノデリックアシッドH(Ganoderic acid H)、(27)ガノデリックアシッドK(Ganoderic acid K)、(28)ガノデリックアシッドTR(Ganoderic acid TR)、(29)ガノデリン酸A(Ganoderenic acid A)、(30)ガノデリン酸C(Ganoderenic acid C)、(31)ガノデリン酸D(Ganoderenic acid D)、(32)ガノデリン酸F(Ganoderenic acid F)、(33)ガノデリン酸H(Ganoderenic acid H)、からなる群から選択された1種または2種以上のトリテルペノイド類を含むACE阻害剤。
[4] 前記抽出用の溶媒が、クロロホルム、アルコールまたは含水アルコールであることを特徴とする[1]〜[2]のいずれかに記載のACE阻害剤。
[5] [1]〜[4]のいずれかに記載のACE阻害剤を有効成分とする、ACEに関連する疾患の予防あるいは軽減のための食品(健康補助食品)、化粧料、研究試薬または医薬品。
[6] 前記疾患が、高血圧症、高血圧により引き起こされる動脈硬化に起因する動脈硬化症、脳梗塞(ラグナ梗塞、アテローム血栓性梗塞、脳塞栓)、脳出血、くも膜下出血、心肥大、狭心症、心筋梗塞、腎障害である[5]に記載の食品(健康補助食品)、研究試薬または医薬品。
[7] [1]〜[4]のいずれかに記載のACE阻害剤を有効成分とする、苦味料。
[8] 霊芝(Ganoderma lingzhi)から、有機溶媒を含有する溶媒(有機系溶媒)を用いて、ACE阻害作用を有する成分を抽出処理する工程を含むことを特徴とする、ACE阻害剤の製造方法。
本発明によれば、霊芝由来の有効成分を含有し、アンギオテンシン変換酵素(ACE)を阻害して高血圧症およびこれに関連する疾患の治療に有用なACE阻害剤、これを利用した食品、化粧料および医薬品、ならびに該ACE阻害剤の効率的な製造方法が提供される。
図1は、霊芝(Ganoderma lingzhi)由来のトリテルペノイドのACE阻害活性に重要な官能基を説明する図である。 図2(A)は、タンパク質であるアンギオテンシン変換酵素(ACE)と、この酵素の阻害剤として公知のカプトプリル(オレンジ色)とが結合した複合体において、ACE由来のタンパク質部分がとる立体構造に対し、さらにガノデリックアシッドA(白色+薄茶色)をドッキングさせるシミュレーションを行った結果のイメージを示す。図2(B)は、図2(A)においてアンギオテンシン変換酵素(ACE)にカプトプリルを結合させる代わりに、ACE阻害剤として公知のリシノプリル(オレンジ色)を結合させた以外は、図2(A)と同様にして複合体を作成し、ガノデリックアシッドAをドッキングシミュレーションした場合の結果のイメージを示す。図2(C)は、図2(A)において、アンギオテンシン変換酵素(ACE)にカプトプリルを結合させる代わりに、ACE阻害剤として公知のエナラプリル(オレンジ色)を結合させた以外は、図2(A)と同様にして複合体を作成し、ガノデリックアシッドAをドッキングシミュレーションした場合の結果のイメージを示す。この図2(A)〜(C)から、ガノデリックアシッドAがACEの上記公知の化合物(阻害剤)との結合部位のポケットからはみ出ていることがわかる。なお、オレンジ色の化合物の分子は、公知の薬剤(図2(A)ではカプトプリル(オレンジ色)、図2(B)ではリシノプリル(オレンジ色)、図2(C)ではエナラプリル(オレンジ色))を示し、白球部分を有する化合物の分子はガノデリックアシッドAを示す。また、複数のスポット(緑色)はACEの活性部位(active site)を示す。 図3は、本発明に係るトリテルペノイド等のACE阻害剤について、同人堂化学研究所社製「ACEkit-WST」のACE活性測定原理を利用して上記ACE阻害剤の阻害能を測定する原理を示した図である。 図4は、アンギオテンシン変換酵素(ACE)によりアンギオテンシンIをアンギオテンシンIIに変換する反応系に、異なる濃度のガノデリックアシッドA(ACE阻害剤)を添加した場合に起こる酵素反応について、X軸に阻害剤濃度[I](μg/mL)を取り、Y軸に1/ACE酵素反応速度v(分(minute)/abs.)を取って、基質(3HB−GGG)の濃度別にDixonのプロットをしたグラフである。図4のDixonプロットのグラフの形状から、ガノデリックアシッドAは不拮抗阻害と非競合的阻害との混合の阻害様式(混合型非拮抗阻害)でACEを阻害していることが分かる。このことから、ガノデリックアシッドAはACEの活性部位とは別の部位に働いて酵素の働きを下げることが分かる。ガノデリックアシッドAは、従来ACE阻害剤として知られるカプトプリル等との結合部位が異なるため、(活性部位を奪い合わず、ACE阻害剤として)併用可能であることが分かる。 図5は、アンギオテンシン変換酵素(ACE)によりアンギオテンシンIをアンギオテンシンIIに変換する反応系に、異なる濃度のガノデリックアシッドC2(ACE阻害剤)を添加した場合に起こる酵素反応について、X軸に阻害剤濃度[I](μg/mL)を取り、Y軸にACE反応速度の逆数(1/v([分(minute)/abs.]))を取って、基質(3HB−GGG)の濃度別にDixonのプロットをしたグラフである。この図5では、基質濃度を変化させた場合に、その直線と横軸との交点(−1/Ki)が一定であることから、ガノデリックアシッドC2は、ACEを非競合的阻害(Non-Competitive inhibition)することが理解できる。すなわち、ガノデリックアシッドC2は、ACEの基質であるアンギオテンシンIとの間でACE活性部位を奪い合わない(競合的阻害ではなく)。このことから、ガノデリックアシッドC2はACEの活性部位とは別の部位に働いて酵素の働きを下げることが分かり、従来ACE阻害剤として知られるカプトプリル等と併用可能であることが分かる。また、霊芝由来の成分を必須成分とする、本発明に係るACE阻害剤は、古来より和漢薬として利用され、また、米国FDA認可も下りている霊芝由来の成分を有効成分として含有しており、その安全性も高いと考えられる。
本発明に係るアンギオテンシン変換酵素(Angiotensin converting Enzyme;ACE)の阻害剤は、霊芝(Ganoderma lingzhi)から、有機溶媒を含む溶媒(有機系溶媒)で抽出することにより得られる成分を有効成分として含む。なお、該成分は、前記霊芝から有機系溶媒による抽出を経て調製された成分に限らず、人工的に合成した同一の成分であってもよい。
以下、ACE阻害剤とその製法、このACE阻害剤に含まれる霊芝トリペノイド化合物とその物性、効果、用途等について説明する。
《ACE阻害剤》
(抽出)
抽出素材としての霊芝(Ganoderma lingzhi)は、採取した霊芝をそのまま原料として用いてもよいが、抽出効率等の点からは、好ましくは採取した天然物(霊芝)を乾燥、破砕等の加工処理に供して調製したものを挙げることができる。抽出素材を粉砕する場合、ロール式粉砕機、フードプロセッサー、ボールミル粉砕機、ハンマー式粉砕機等による粉砕が例示できる。
抽出用の有機系溶媒は、アンギオテンシン変換酵素(ACE)の活性を阻害する作用を有する霊芝中のトリペノイド類等の成分を効率よく抽出する観点から、該溶媒として有機溶媒を10%以上含有する溶媒が好ましく、有機溶媒を50%以上含有する溶媒(有機系溶媒)がさらに好ましい。なお、有機系溶媒中に含まれる有機溶媒の量は、溶媒全量に対して、通常10%以上、さらには30〜70%程度であることが望ましい。
該有機系溶媒の例としては、ハロゲン化アルキル(例:クロロホルム等)、アルコール類(例:メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等、C1〜10程度の1価の脂肪族アルコール、あるいはエチレングリコールやグリセリンなどの多価アルコール)、炭化水素(例:n−ヘキサンなど、C1〜10程度の脂肪族炭化水素)、エーテル(例:ジメチルエーテル、エチルメチルエーテル、ジエチルエーテル等の式「R1−O−R2(R1,R2はC1〜5程度のアルキル基)」で示される鎖状エーテル;フラン、ジベンゾフラン、テトラヒドロフラン等の脂肪族又は芳香族系の環状エーテル;エステル(例:酢酸エチル等、1価〜多価カルボン酸のC1〜5程度のアルキルエステル)の有機溶媒;又は水とこれらの有機溶媒との混合物を挙げることができる。
特に、アルコール類としてメタノール、エタノール、イソプロピルアルコールが好ましいが、抽出成分中に残存しても人体に悪影響が少ない観点からエタノールまたは含水エタノール(含水アルコール)が特に好ましい。含水エタノールとしては、例えば、エタノール濃度が5〜99.5%の含水エタノールを用いることができる。
抽出処理は、特に制限されないが、例えば、山野より採取した天然物や人工栽培の霊芝を、必要に応じて乾燥または粉砕した後、上記抽出溶媒に浸漬し放置することにより所望の成分を抽出する浸漬法(冷浸法、温浸法)、及びソックスレー抽出器を用いた加熱還流によるソックスレー抽出法等の公知の抽出法を適用することができる。このように抽出された抽出液は、必要に応じて、溶媒を蒸発させて濃縮または乾固してもよく、固体又はその粉末の形態として調製することができる。
抽出温度は、用いられる抽出用溶媒が凍結・固化しない限り、特に制限はなく、有機系溶媒抽出などでは、例えば0℃〜100℃である。また、抽出時間は、所望の成分(前記トリペノイド類)を抽出できれば特に制限はなく例えば1時間〜3日間である。抽出処理の圧力は特に制限はなく、例えば常圧〜4気圧である。
また、抽出物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー、逆相分取液体クロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー(TLC)などの各種クロマトグラフィーに供して分画操作を繰り返し、抽出成分の含有量及び純度を高めてもよい。
(抽出成分)
霊芝(Ganoderma lingzhi)から、上記有機系溶媒で抽出することにより得られる成分(霊芝有機系溶媒抽出物)として下記トリペノイド類(1)〜(33)が含まれる。なお、以下の説明では、トリペノイド(2)、(8)〜(10)、(23)〜(33)をまとめて「トリペノイド(2)等」「トリペノイド類(2)等」「ACE阻害剤(2)等」ともいう。化合物(1)〜(33)をまとめて「化合物(1)等」という。
これらのトリテルペノイド(2)等が抽出物に含まれていることは、例えばLCMS−IT−TOF(島津製作所「LCMS−2020」)等を用いたLCMS分析(液体クロマトグラフ質量分析)により確認することができる。
本発明者らは、これらのトリペノイド類(1)〜(33)(化合物(11)を除く、以下同様。)について、活性の高低はあるものの、アンギオテンシン変換酵素の阻害活性を有することを見出している。したがって、本発明に係るアンギオテンシン変換酵素の阻害剤(ACE阻害剤)には、トリペノイド類の化合物(1)〜(33)からなる群から選択された1種または2種以上を含み、ACE阻害活性の観点から、より好ましくは下記に列挙する化合物(2)、(8)〜(10)、(23)〜(33)からなる群から選択された1種または2種以上を含むものが挙げられる。これらの化合物(1)〜(33)それ自体は、霊芝由来の化合物として市販(販売会社:Chemfaces社(武漢市、湖北省、中国)およびPhytochemicals社(LLC,ニュージャージー州、アメリカ合衆国)など)されているため、これを購入して用いてもよい。なお、ガノデリックアシッドD(Ganoderic acid D;化合物(11))については、アンギオテンシン変換酵素の阻害活性を有する可能性がある。
(1)ガノデリックアシッドZ(Ganoderic acid Z)、
(2)ガノデリックアシッドN(Ganoderic acid N)、
(3)ガノデリックアシッドS(Ganoderic acid S)
(4)ガノデリックアシッドE(Ganoderic acid E)
(5)ガノデリックアシッドSZ(Ganoderic acid SZ)、
(6)ガノデリックアシッドLM2(Ganoderic acid LM2)
(7)ガノデリックアシッドDM(Ganoderic acid DM)
(8)ガノデリックアシッドA(Ganoderic acid A)
(9)ガノデリックアシッドAM1(Ganoderic acid AM1)
(10)ガノデリックアシッドB(Ganoderic acid B)
(11)ガノデリックアシッドD(Ganoderic acid D)
(12)ガノデリックアシッドY(Ganoderic acid Y)
(13)ガノデリックアシッドTN(Ganoderic acid TN)
(14)ガノデリックアシッドT−Q(Ganoderic acid T-Q)
(15)ガノルシド酸A(Ganolucidic acid A)
(16)ガノデルマノントリオール(Ganodermanontriol)
(17)ガノデルマノンジオール(Ganodermanondiol)
(18)ガノデロールA(Ganoderol A)
(19)ガノデロールB(Ganoderol B)
(20)ガノデリオールF(Ganoderiol F)
(21)ルシアルデヒドA(Lucialdehyde A)
(22)ルシアルデヒドB(Lucialdehyde B)
(23)ガノデリックアシッドC1(Ganoderic acid C1)
(24)ガノデリックアシッドC2(Ganoderic acid C2)
(25)ガノデリックアシッドC6(Ganoderic acid C6)
(26)ガノデリックアシッドH(Ganoderic acid H)
(27)ガノデリックアシッドK(Ganoderic acid K)
(28)ガノデリックアシッドTR(Ganoderic acid TR)
(29)ガノデリン酸A(Ganoderenic acid A)
(30)ガノデリン酸C(Ganoderenic acid C)
(31)ガノデリン酸D(Ganoderenic acid D)
(32)ガノデリン酸F(Ganoderenic acid F)
(33)ガノデリン酸H(Ganoderenic acid H)
(塩、エステル)
本発明においては、抽出した化合物(1)〜(33)をアルコールと反応させてエステル化したり、または塩基と反応させて塩を形成しても良い。これら化合物(1)等のエステルとして、メチルエステル等、炭素数1〜11を有する直鎖または分岐状のアルキルエステルを挙げることができる。これら化合物(1)等の塩としては、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属塩;アンモニウム塩等を挙げることができる。
(成分濃度)
当該ACE阻害剤に含まれる有効成分(化合物(1)等のいずれか1種または2種以上の合計)の濃度は、ACEに対して結合し、ACE活性を阻害する作用を発揮することを限度として特に制限されず、例えば、10〜500μg/mLとなるように、ACE阻害剤100重量%中、剤型、用法、用量に合わせて0.1〜100重量%の範囲から適宜設定することができる。
(ACE阻害剤の評価)
従来、カプトプリル、リシノプリル、エナラプリラート(エナラプリル)等のACE阻害剤が存在するが、カプトプリルは下記化学構造(A1)、リシノプリルは下記化学構造(A2)、エナラプリラート(エナラプリル)は下記化学構造(A3)を有する。また、アンギオテンシンIは下記化学構造(A4)を有する。
(アンギオテンシンI)
上述した従来公知のACE阻害剤であるカプトプリル、リシノプリル、エナラプリラート(エナラプリル)は、本発明に係るACE阻害剤の有効成分である、上記化合物(2)等より強力なACE阻害作用を有している。また、ヘビ毒から見つかったペプチドのうち-Phe-Ala-Proといった配列がACEの基質になることを考えると、上記公知の阻害剤については少なくともプロリン:
のアミン部位(ピロリジン部位)がACEに認識されていると考えられ、実際に基質結合部位にプロリンが結合する。このプロリンの環状アミン部位は、ACEの本来の基質であるアンギオテンシンIに存在するが、上述したステロイド骨格をベースとするトリテルペノイド類(化合物(1)〜(33))にはピロリジン部位は存在しない。したがって、化合物(2)等はACEの基質と異なるふるまいをしてACEを阻害することが分かり、少なくとも拮抗阻害の様式ではないと考えられる。
また、上記化合物(1)〜(33)は、ステロイド骨格を基本骨格とする分子であり、分子サイズが公知のアンギオテンシン変換酵素の阻害剤に比べて大きく、構造活性相関解析(Streucute-activity relationship analysis;SAR)のドッキングスコアがプラスであること(後述)から、アンギオテンシン変換酵素の結合ポケットに入り込む際に衝突を起こしていると考えられる。なお、ドッキングスコアとは、ある化合物を酵素等の結合部位や活性中心にあるポケットにドッキングさせるシミュレーションを行った場合に、両分子間での衝突エネルギーを示すものであり、ドッキングスコアにより両分子の衝突の有無の判定が可能である。また、後述するように、ガノデリックアシッドAについては非競合的阻害(Non-competitive inhibition)と不拮抗阻害(Uncomptitive inhibition)との混合型の様式を示し、ガノデリックアシッドC2については非競合的阻害(Non-competitive inhibition)を示した(図4,図5参照)。
これらの事実から、化合物(1)〜(33)のトリテルペノイド類は、カプトプリル等の公知のアンギオテンシン変換酵素の阻害剤とは異なり、活性部位とは異なるACEの部位に結合してACEの活性を阻害する非拮抗阻害(Non-competitive inhibition)か、ACE−基質の複合体に対して結合してACEを阻害する不拮抗阻害(Uncomptitive inhibition)か、またはそれらの混合型の阻害をすると考えられる。
このことから、上記化合物(1)〜(33)は、上述の公知のカプトプリル、リシノプリル、エナラプリラート(エナラプリル)等がACEと既に結合している状態であってもACEを阻害する効果を発揮する点で非常に有用である。また、本発明のACE阻害剤であるトリテルペノイド類が非拮抗阻害または非競合的阻害によりACEを阻害することから、本発明に係るACE阻害剤は、カプトプリル等のアンギオテンシン変換酵素(ACE)の阻害剤と併用できる可能性があり、この点でも有用である。
また、化合物(1)〜(33)は、エナラプリル等と異なる機構でACEを阻害する可能性が高く、化合物(1)〜(33)とACEとの結合や該結合によるACE阻害の機構を解明するための研究試薬としても非常に有用である。
また、ACEは周知のようにブラジキニンを代謝するキニナーゼIIでもあるため、ACE活性が阻害されるとブラジキニンが蓄積して空咳の原因となる。しかし、霊芝について、これまでの服用経験から副作用(空咳等)が知られてもいないし報告もないことから、霊芝由来のトリテルペノイド類(化合物)についても副作用は生じにくいと考えられる。また、霊芝由来のトリテルペノイド類がACEの活性を非拮抗阻害(Non-competitive inhibition)または非競合的阻害(Non-competitive inhibition)することから、ACEの活性部位が塞がれずアンギオテンシンIからIIへの変換が緩やかに行われる。したがって、本発明に係るACE阻害薬の使用によってブラジキニンが気道などにおいて蓄積しにくく,空咳などの副作用を惹起しにくくなると考えられる。
さらに、霊芝(Ganoderma lingzhi)由来のトリテルペノイド類の化合物(2)等は、上記公知のACE阻害剤のもつ高血圧抑制効果よりは弱いものの、上述したカプトプリル等の合成薬剤に比べて入手しやすく安価なACE阻害剤である。また、安全性については、古来よりこれら成分を含む霊芝の熱湯抽出物は漢方薬として用いられ、FDA等でも認可されており、安全性の点でも有利であるなどという利点もある。
(阻害率)
以下、本発明に係るACE阻害剤の阻害率について説明する。上述したようにトリテルペノイドの化合物(2)等は、従来公知で有名なカプトプリル等のACE阻害剤による拮抗阻害とは異なり、不拮抗阻害、非競合的阻害またはこれらの混合型の阻害によりACEを阻害する。したがって、トリテルペノイドの化合物(2)等を有効成分とする本発明に係るACE阻害剤は、従来公知のカプトプリル等のACE阻害剤による拮抗阻害の阻害率と異なり、不拮抗阻害、非競合的阻害またはこれらの混合型の阻害における阻害率という位置付けとなる。
(阻害率の測定方法)
本発明に係るACE阻害剤のACE阻害率は、従来公知の方法、例えば、ドージンニュース(http://www.dojindo.co.jp/letterj/124/commercial/04.html)等に記載の方法により測定することができる。
一般にACEの阻害率はACE活性を測定する方法を利用して調べることができる。具体的には、ACE阻害剤が全く存在しない条件下と所定量存在する条件下でそれぞれACE活性を測定した後、ACE阻害剤の添加により低下したACE活性の量を本来のACE活性の量に対する割合として表すことで、該割合を阻害率(%)として得ることができる。
ACE活性の測定方法自体については、例えば、アンジオテンシン変換酵素と合成基質(Hippuryl-His-Leu)とを含む反応液に、合成基質(Hippuryl-His-Leu)からACEの作用により切り出されてくる馬尿酸を酢酸エチルで溶媒抽出後、濃縮乾固し、再溶解して228nmの吸光度を測定し、該吸光度からACE活性を算出する方法を用いてもよい。
この方法を用いる場合、阻害剤が存在しない反応系の例として、1mM基質(Hippuryl-His-Leu)、300mM塩化ナトリウム、50mMリン酸カリウム(pH8.3)を挙げることができる。また、阻害剤が存在する反応系の例として、上記反応系にさらに0.1〜1000μMの本発明に係るACE阻害剤(トリテルペノイド類(2)等を含む薬剤)や公知のACE阻害剤を加えた反応系を挙げることができる。各反応系で測定したACE活性の値からACE阻害率を算出することができる。
しかしながら、このACE阻害率の測定方法は、有機溶媒である酢酸エチルを用いる上に、操作が煩雑であり測定誤差も生じやすい方法であることから、他の方法を用いてもよい。
例えば、「ACE kit−WST」(同人堂化学研究所社)を用いた測定方法を例示することができる(図3参照)。この方法は、図3に示すように、3−ヒドロキシブチリル−グリシル−グリシル−グリシン(3HB−GGG;3−Hydroxybutyryl−glycyl−glycyl−glycine)をACEの基質として用いる方法であり、3HB−GGGは、ACEの存在下でグリシルグリシン(GG)と3−ヒドロキシブチリルグリシン(3-Hydroxybutyrylglycine(3HB-G))とに分解される。次に、この3−ヒドロキシブチリルグリシン(3HB−G)は、アミノシクラーゼにより3−ヒドロキシ酪酸(3-Hydroxybutyric acid;3HB)とグリシン(G)とに分解される。さらに、この3−ヒドロキシ酪酸(3-Hydroxybutyric acid;3HB)は、3-ヒドロキシ酪酸デヒドロゲナーゼ(D-3-Hydroxybutyrate dehydrogenase)によりアセト酢酸(Acetoacetic acid;AA)に変換される。この変換の際にニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)が産生される。この産生されるNADHにより、酸化還元する化合物(mediator)を還元し、この化合物により指示薬を発色させて、発色体の波長光を吸光度計により測定し、ACE阻害率を算出する。この算出は、サンプル(ACE阻害剤)で処理したウェル(As)の吸光度と、ACE阻害剤を全く含まない反応液(ポジティブコントロール)の吸光度(Ac)と、ACEを含まないブランクのウェル(Ab)の吸光度とを比較することにより、阻害率を下記に示した式(I)で算出することができる。
阻害率(%)=[(Ac−As)/(Ac−Ab)]×100・・・(I)
[測定手順の具体例]
ACE阻害活性の測定手順の具体例として、以下の1’)〜8’)が挙げられる。
1’)霊芝(Ganoderma lingzhi)由来のトリテルペノイド(化合物(1)等)を0μg/mLで含むサンプル溶液D1、62.5μg/mLで含むサンプル溶液D2、125μg/mLで含むサンプル溶液D3、250μg/mLで含むサンプル溶液D4をそれぞれ調製する。このサンプル溶液D1〜D4を96ウェルプレートの第1〜4番目のウェルにそれぞれ20μL加える。また、第5番目と第6番目の各ウェルに純水を20μL入れる(blank1,blank2)。さらに第1〜6番目のウェルにそれぞれ120μLの純水を加える。
2’)上記第1〜5番目の各ウェルに対して、85μLの基質溶液〔12.5mM Hippuryl-His-Leu(シグマ製)、100mMホウ酸緩衝液(pH8.3)、1MNaCl〕を加える。この混合液を室温で5分〜10分間静置する。15μLの水/エタノール混合液を前記混合液に添加し、エタノールの終濃度を全てのウェルで5%とする。
3’)blank2用の第6番目のウェルに純水を100μL加える。
4’)第1〜6番目の各ウェルに10μLの0.3U/mLのACE(ウサギ肺由来、シグマ製)、50mMホウ酸緩衝液(pH8.3)を加える。
5’)37℃で60分間インキュベート(静置)する。
6’)250μLの1N塩酸を加えて反応を停止する。
7’)1.5mLの酢酸エチルを加えて攪拌し、遠心分離後、1mLの酢酸エチル層を遠心濃縮乾固し、1mLの超純水に溶解して、228nmの吸光度を測定する。ACE阻害率は、次式で表される。
8’)ACE阻害活性値(阻害率%)を下記式により求める.
(ACE阻害活性値(阻害率〔%〕))
=〔(Abs.blank1−Abs.sample)/(Abs.blank1−Abs. blank2)×100〔%〕
(IC50
ACE阻害活性は、ACEの阻害剤が全く存在しない場合に最終産物として生成される発色体の量を100%とした場合に、該発色体の量を50%とするのに必要なACE阻害剤の量(すなわち、IC50)として評価することができる。
例えば、上述したACE阻害活性の測定において、同一のACE阻害剤について終濃度の異なるサンプル(ACE阻害剤)を複数用意(例;1000μg/mL、750μg/mL、500μg/mL、250μg/mL、125μg/mL、62.5μg/mLのACE阻害剤(トリテルペノイド等)を用意)してそれぞれACE阻害率を測定し、これらのサンプル(ACE阻害剤)の濃度とACE阻害率との関係から近似曲線を得ることでACEの活性を50%阻害する濃度(IC50)を算出することができる。
以下のように、不拮抗阻害または非競合的阻害によるACEの阻害率(IC50)の観点から、ACE阻害剤として特に好ましいものは、下記式(a)および(b)中、附番(2)、(8)〜(10)、(23)〜(33)に示すように、第1のグループ(a):
に含まれるものを中心として、第2のグループ(b)に含まれるもの:
が挙げられる。
第1のグループ(a)に含まれ、本発明に係るACE阻害剤の有効成分として特に有用なものとしては、(2)ガノデリックアシッドN(Ganoderic acid N)、(8)ガノデリックアシッドA(Ganoderic acid A)、(9)ガノデリックアシッドAM1(Ganoderic acid AM1)、(10)ガノデリックアシッドB(Ganoderic acid B)、(23)ガノデリックアシッドC1(Ganoderic acid C1)、(24)ガノデリックアシッドC2(Ganoderic acid C2)、(25)ガノデリックアシッドC6(Ganoderic acid C6)、(26)ガノデリックアシッドH(Ganoderic acid H)、(27)ガノデリックアシッドK(Ganoderic acid K)、(29)ガノデリン酸A(Ganoderenic acid A)、(30)ガノデリン酸C(Ganoderenic acid C)、(31)ガノデリン酸D(Ganoderenic acid D)、(32)ガノデリン酸F(Ganoderenic acid F)、(33)ガノデリン酸H(Ganoderenic acid H)がACE阻害剤としての効果が特に優れている点で好ましい。
また第2のグループ(b)に含まれるものとしては、(28)ガノデリックアシッドTR(Ganoderic acid TR)がACE阻害剤としての効果が特に優れている点で好ましい。
したがって、本発明に係るACE阻害剤として、好ましくは、化合物(2),(8)〜(10)、(23)〜(33)のいずれか1種または2種以上を含有するものが挙げられる。本発明に係るACE阻害剤として、さらに好ましくは、IC50が200μg/mL未満となる化合物(8)、(9)、(24)、(28)および(29)のいずれか1種または2種以上を含有するものが挙げられる。
なお、第3のグループ(c)に含まれるもの:
は、上記の通りである。
(第1のグループ(a))
霊芝由来のトリテルペノイド類としては、上記式(a)、(b)の他に(c)で示すようなACE阻害活性に影響を与える特定の構造を有しているか否かにより、上記(a)、(b)及び(c)を含めた3つのグループに分けることができる。
式(a)に示すように、第1のグループ(a)は、テトラサイクリック環の第8番目と第9番目の炭素の間に二重結合(Δ9,8)を有し、分岐鎖がカルボキシル基を有するものである。ACE阻害活性が高い(IC50≦500μg/mL、好ましくは100μg/mL≦IC50≦500μg/mL)のトリテルペノイド類のほとんどがこの第1のグループ(a)に属する。
(第2グループ)
上記式(b)に示すように、第2のグループ(b)は、テトラサイクリック環の第7番目と第8番目の炭素、および第9番目と第11番目の炭素の間に二重結合(Δ7,8、Δ9,11)を有し、分岐鎖がカルボキシル基を有するものである。ACE阻害活性が高い(IC50≦500μg/mL、好ましくは100μg/mL≦IC50≦500μg/mL、より好ましくは168μg/mL≦IC50≦500μg/mL)、ごく一部のトリテルペノイド類(例:(28)ガノデリックアシッドTR(Ganoderic acid TR))がこの第2のグループに属する。
(第3グループ)
上記式(c)に示すように、第3のグループ(c)は、テトラサイクリック環の第7番目と第8番目の炭素、および第9番目と第11番目の炭素の間に二重結合(Δ7,8、Δ9,11)を有し、分岐鎖がカルボキシル基を有しないものである。ACE阻害活性がそれほど高くない(IC50>500μg/mLの)トリテルペノイド類の殆どがこの第3のグループ(c)に属する。第3グループについては、第1,2グループとは異なり、骨格構造中にカルボキシル基を有していないことから、高いACE阻害活性(100μg/mL≦IC50≦500μg/mL)を有するためには、少なくとも骨格構造中にカルボキシル基が必要と考えられる。
(ドッキングシミュレーション)
本発明者らは、ACEと、上記式(a)、(b)または(c)で示され霊芝中に含まれる化合物とのドッキングシミュレーションを「CLC Drug Discovery Workbench」(CLC Bio, Aarhus, Denmark社製)により行った。
この結果、各化合物とアンジオテンシン変換酵素(ACE)とのドッキングスコアと、アンギオテンシン変換酵素(ACE)の活性部位を構成する半径13オングストロームの球状空間に化合物(1)〜(33)をドッキングさせた場合に衝突があるか否かを示すドッキングスコアが、ほぼ全てのトリテルペノイドにおいてプラスとなることを見出した(上記表1〜表3参照)。なお、ドッキングスコアは、0を超えて数値の値が高いほど、ACEの活性中心に阻害剤の分子が入り込めずにACEとの衝突が生じていることを意味する。
したがって、上述したように、化合物(1)〜(33)を有効成分とする本発明に係るACE阻害剤が、公知のACE阻害剤(カプトプリル等)とはその作用機構・部位が異なり、不拮抗的阻害(Uncompetitive inhibition)または非競争的阻害(Non-competitive inhibition)によりACEを阻害していることを示している。ドッキングスコアは、ACE阻害剤が不拮抗的阻害(Uncompetitive inhibition)または非競争的阻害(Non-competitive inhibition)によりACEを阻害している指標となる。
(ACE阻害剤の細胞送達)
アンギオテンシン変換酵素(ACE)は、生理的には,肺の血管内皮細胞によって産生・放出され、血圧調節に関与している酵素である。したがって、この肺の血管内皮細胞に特異的にACE阻害剤を送達することができれば、より効率的にACE阻害を引き起こすことができる。例えば、CD31等は細胞表面に存在するタンパク質で、血管内皮細胞であることを示す細胞マーカーであるので、これを利用して本発明に係るACE阻害剤を血管内皮細胞に特異的に送達してもよい。
具体的には、上記化合物(1)〜(33)の少なくともいずれか1種、好ましくは化合物(2)、(8)〜(10)、(23)〜(33)の少なくともいずれか1種に対する抗体(A)を作製し、抗原であるCD31の抗体(B)を作製し、各化合物(2)等と上記抗体との複合体(以下「抗体薬物複合体」という)を形成し、これを本発明に係るACE阻害剤を含むDDS製剤(ドラッグデリバリーシステムを利用して特定の細胞にのみ所定の薬剤を送達するように構成した薬剤)として用いる例が考えられる。上記抗体をポリマー化してターゲットに対する結合力を上げても良い。
ここで、抗体(A)は、各化合物(2)等を特異的に保持する機能、抗体(B)は、特定の細胞(血管上皮細胞等)のみに発現している特定のタンパク質(CD31)に特異的に結合する機能を有し、抗体(A),(B)の複合体は、これら双方の機能を有するため、化合物(2)等を特定の細胞(腫瘍細胞等)に特異的に送達させることができる。
この場合、各化合物(2)等と上記抗体との間は、選択的に切断可能なリンカー(例えば特定のプロテアーゼで選択的に切断可能なタンパク質配列を含むシアトルジェネティクス社等のリンカーなど)で連結される。この抗体薬物複合体は血中では安定であるので、CD31抗原が発現した血管上皮細胞に選択的に作用し、血管上皮細胞内に取り込まれた後、該細胞由来のタンパク質分解酵素によりリンカーが切断されて各化合物(2)等を放出させることができる。その結果、各化合物(2)等が特定の細胞に送達されて、該細胞(血管上皮細胞等)において特異的にACEの阻害を起こすこととなる。
《ACE阻害剤の用途》
本発明に係るACE阻害剤は、食品(サプリメント、食品添加物等)、化粧料(ミスト等)、医薬品、研究試薬等として用いることができる。これらは、上記の有機溶媒系抽出物、好ましくはトリペノイド化合物(1)〜(33)のいずれか1種または2種以上、より好ましくは化合物(2)等のいずれか1種または2種以上を含有しているものである。
〔食品〕
本発明に係る食品は、霊芝の溶媒(例:クロロホルム,エタノール)抽出物に高濃度で含まれるACE阻害剤としての上記有機溶媒系抽出物、好ましくは有効成分の化合物(1)〜(33)のいずれか1種または2種以上、より好ましくは化合物(2)等のいずれか1種または2種以上を含有するものである。
ACEにより生成されるアンギオテンシンIIは、心臓の収縮力を高め、細動脈を収縮させることで血圧を上昇させる。したがって、本発明に係るACE阻害剤を下記所定量含む食品によれば、血圧上昇を抑えることができる。これにより、高血圧により引き起こされる動脈硬化に起因する各種の疾患(動脈硬化症、脳梗塞(ラグナ梗塞、アテローム血栓性梗塞、脳塞栓)、脳出血、くも膜下出血、心肥大、狭心症、心筋梗塞、腎障害など)の治療、予防、進行抑制あるいは軽減させることができる。
カプトプリル等の公知のACE阻害剤は競合的阻害の様式でACEを阻害するが、本発明に係るACE阻害剤は不拮抗阻害または非競合的阻害、或いはこれらの混合型の様式でACEを阻害することから、例えば、本発明に係るACE阻害剤を食品に添加して摂取しつつ、上述した公知のACE阻害剤も併服することができるという優れた利点を有する。
(食品中のトリテルペノイド濃度)
公知のACE阻害剤のうち、例えばカプトプリル(分子量:217.29g/mol)のIC50値は23nM(約5μg/L)である。そのため、カプトプリル等は非常に強力なACE阻害活性を示す。これに対して、トリテルペノイド類によりACEを阻害する場合、そのIC50値は約200μM(約100mg/L)〜950μM(500mg/L)の範囲であり、カプトプリル等と比較してACE阻害効果が緩やかである。このことから、上述したトリテルペノイド類を食品添加物やサプリメントに血圧降下作用の有効成分として含有させる場合に成分量を安全な濃度範囲で調節しやすく、食品添加物等としてACE阻害効果を安全に得やすい観点から好ましい。また、カプトプリルが0.1mg/kg体重/日〜100mg/kg体重/日で経口投与される例があることを考慮すると、同等の作用を得るためには、例えばトリテルペノイド(例;ガノデリックアシッドA)を約2mg〜20mg/kg体重/日で経口投与することが考えられるが、それより低濃度、例えば0.1mg〜20mg/kg体重の濃度範囲となるように調節して、食品(1日の食量分)に添加することで高血圧の予防、軽減等の効果を得るようにしてもよい。
本発明に係る食品の剤型として、霊芝から上記有機系溶媒で抽出した抽出物、より好ましくは化合物(1)〜(33)のうちのいずれか1種または2種以上、特に好ましくは(2)等のうちのいずれか1種または2種以上をそのまま食品として調製したものを挙げることができ、また、前記食品の形態として、他の食品に添加したもの、あるいは、カプセル、錠剤等、食品または健康食品に通常用いられる任意の形態を挙げることができる。具体的には、上記化合物(1)〜(33)のいずれか1種または2種以上を含む、ゼリー(スティック状)やドリンク剤とする例が挙げられる。
本発明に係るACE阻害剤を食品中に配合してヒトやその他動物が経口摂取(経口投与)する場合には、食品中にACE阻害剤と共に適宜添加可能な成分として、賦形剤、増量剤、結合剤、増粘剤、乳化剤、着色料、香料、食品添加物、調味料などを挙げることができる。その場合、本発明に係るACE阻害剤を食品およびこれら任意成分と混合し、用途に応じて、その剤型を粉末、顆粒、錠剤等の形に成形することができる。さらには、ACE阻害剤を食品原料中に混合して食品を調製し、機能性食品として製品化することができる。
本発明に係る食品では、上記有機系溶媒抽出物、好ましくは化合物(1)〜(33)のいずれか1種または2種以上、より好ましくは化合物(2)等のいずれか1種または2種以上の合計が、血中濃度で0.1〜100μMとなるように製造し、本発明に係るACE阻害剤入り食品を摂取することが好ましい。例えば、成人(体重60kg)に対して、化合物(2)等のいずれか1種以上または2種以上の上記抽出物を1mg〜1000mg/日の態様で摂取する例が挙げられる。例えば、上記ドリンク剤の場合、上記有機溶媒系抽出物を100〜300mg/30ccで含有するドリンク剤が挙げられる。
ここで、カプトプリルをヒトに投与する場合、血中濃度が1.72nmol/mL(カプトプリルのIC50の約1/13倍)となるように投与していることから、これに倣って、化合物(2)等の何れか1種または2種以上の食品中の合計の含有量を調節しても良く、この場合、化合物(2)等の中で最もACE阻害能が高いガノデリックアシッドAを基準にして調節することが望ましい。具体的には、化合物(2)等の血中濃度がガノデリックアシッドAのIC50値の1/130倍(1.54μM、0.77μg/mL)以上〜該IC50の1/13倍(15.4μM、7.7μg/mL)以下となるように化合物(2)等のいずれか1種以上を食品中の合計量を調節する例が挙げられる。
(サプリメント)
本発明に係るACE阻害剤はサプリメントに用いることができる。サプリメントとする場合は、例えば、好ましくは化合物(1)〜(33)のいずれか1種または2種以上、より好ましくは化合物(2)等のいずれか1種または2種以上を原料とするか、または霊芝から上記有機系溶媒で抽出した抽出物を原料とし、公知の賦形剤を用いて常法により顆粒状・粉末状・ゲル状・カプセル状・ペースト状または錠剤にしたものをサプリメントとして用いることができる。このうち、ペースト状にする場合、本発明に係るACE阻害剤をサイクロデキストリンに内包させても良い。また、上記原料には、他のトリテルペノイドを任意に含有してもよい。
サプリメント中の有機系溶媒抽出物の含有量、霊芝由来のトリペノイドである化合物(1)〜(33)のいずれか1種または2種以上の含有量、あるいは化合物(2)等のいずれか1種または2種以上の合計の含有量は特に制限はないが、霊芝100g中には200mg程度ガノデリン酸が含まれ、通常1回の摂取で霊芝25〜30gを用いることから、一般的には1回の摂取でガノデリン酸を50mg〜60mgを体内に取り込んでいると考えられる。そのため、この1回の摂取量を基準にしてサプリメント中の化合物(2)等の何れか1種以上の合計量を調節してもよい。また、この合計量は上記食品と同様に調節してもよい。この場合、サプリメント中の化合物(2)等の何れか1種以上の合計量を、血中濃度がガノデリックアシッドAのIC50の1/130倍(1.54μM、0.77μg/mL)〜IC50の1/13倍(15.4μM、7.7μg/mL)以下となるように含有させてサプリメント(1回分)とする例が挙げられる。
本発明に係る上記サプリメントによれば、上記効(ACE阻害に基づく高血圧により引き起こされる動脈硬化に起因する各種の疾患(動脈硬化症、脳梗塞(ラグナ梗塞、アテローム血栓性梗塞、脳塞栓)、脳出血、くも膜下出血、心肥大、狭心症、心筋梗塞、腎障害など)の予防や軽減を期待することができる。
(食品添加物)
有機系溶媒抽出物、化合物(1)〜(33)、あるいは化合物(2)等は、強い苦味を呈することから、食品添加物(苦味料)として苦味が許容される清涼飲料水、酒精飲料等に用いることができる。有機系溶媒抽出物、化合物(1)〜(33)、あるいは化合物(2)等は、基本的にセスキテルペン等の公知の苦味料と同様に取り扱うことが可能である。逆に、これらの苦味を抑えて用いることも可能であり、その場合は、苦味マスキング剤(花王「ベネコート BMI−40」等)により苦味をマスキングすることができる。
有機系溶媒抽出物、化合物(1)〜(33)、あるいは化合物(2)等を上記食品添加物として用いる場合、食品添加物として安全性の点で許可されている、一価アルコール(エタノールなど)、多価アルコール(例:エチレングリコール、グリセリンなど)、動植物油(例:グリセリンのモノ、ジ、トリ-脂肪酸エステルに代表される多価アルコールの脂肪酸エステル等)などの公知の溶媒、公知の界面活性剤または公知の乳化剤{例:シュガーエステル、ソルビタン脂肪酸エステル(ソルビタンエステル),プロピレングリコール脂肪酸エステル(PGエステル)、レシチン)}などを用いて、有機系溶媒抽出物、化合物(1)〜(33)、あるいは化合物(2)等を水溶性または油溶性にして用いてもよく、水・天然ガム質および多糖類などの高分子物質とともに常用の溶剤または乳化剤を用いて乳化して用いてもよい。この処理により水溶性または油溶性とした有機系溶媒抽出物、化合物(1)〜(33)、あるいは化合物(2)等を油性食品(マヨネーズ等)、水性食品(清涼飲料等)に含めても良い。食品添加物中の有機系溶媒抽出物、化合物(1)〜(33)のいずれか1種または2種、あるいは化合物(2)等のいずれか1種または2種以上の合計の含有量は特に制限はないが、上述したサプリメントの濃度と同じ範囲に設定することができる。
〔研究試薬〕
化合物(1)〜(33)は、その化学構造の相違によりACE阻害活性や阻害の仕方(不拮抗的阻害(Uncompetitive inhibition)か非競合的阻害(Non-competitive Inhibition))が相違するため、各化合物(1)〜(33)はそれぞれアンギオテンシン変換酵素(ACE)との結合の態様及びアンギオテンシン変換酵素の活性発現機構(各化合物(1)〜(33)がACEに結合した後のACEのコンフォーメーション(立体配座))がそれぞれの化合物間で異なると考えられる。しかしながら、その詳細は現在不明である。したがって、ACE阻害活性の程度が異なる各化合物(1)〜(33)、特にACE阻害活性の高い化合物(2)等を、アンギオテンシン変換酵素(ACE)の活性阻害の機構を解明するための研究試薬として用いることができる。また、これら化合物(1)〜(33)のACEに対する結合態様の解析に基づいて、さらに高活性のACE活性阻害剤を開発することも可能であり、このための研究試薬としても用いることができる。
研究試薬としての使用例としては、例えば、各化合物(1)〜(33)、各化合物(2)等のみ、または、該化合物および基質の疑似物(ACEの基質の類似物で消化されない化合物)を用いる例が挙げられるが、具体的には、これらの化合物を個別にアンギオテンシン変換酵素(ACE)に結合させ、該結合の状態で結晶化を行い、該結晶を用いてX線結晶構造解析を行うことによりACEのコンフォメーションの変化を解析する例や、さらに、演算機上(In silico)で、各化合物(2)等のみ、または、前記基質の疑似物および化合物(2)等をアンギオテンシン変換酵素(ACE)に結合させるドッキングシミュレーションを行い、ACEのコンフォメーションの変化を演算し、実際に行った実験結果と比較する例を挙げることができる。
本発明者らは、ACE阻害活性に影響を与え、霊芝の血圧降下作用に寄与するラノスタン型のトリテルペノイドの構造的特徴を特定すべく、アンギオテンシン転換酵素阻害アッセイと、トリテルペノイドのアンギオテンシン変換酵素(ACE)の阻害性能を予測するドッキングソフトウェアによりシミュレーション実験等を行った。
[試験例1]
試験例1では、以下のようにアンギオテンシン転換酵素の阻害アッセイを行った。
(材料と方法)
霊芝(Ganoderma lingzhi)由来の32種類のトリテルペノイド(純度>98%)(化合物(1)〜(33))は、Chemfaces社(武漢市、湖北省、中国)およびPhytochemicals社(LLC,ニュージャージー州、アメリカ合衆国)から購入した。全てのトリテルペノイドは、さらなる精製をすることなく使用した。ACEテストキット「ACEキットWSTA502」は、同仁化学研究所(熊本、日本)から購入した。ドッキングソフトウェア「CLC Drug Discovery」は、CLCバイオ社(オーフス、デンマーク)から購入した。
(ACE阻害アッセイ)
「ACEキットWSTA502」(同仁同化学研究所社)と96ウェルプレートとを用いて、前記キットの製品説明書の手順に従い、若干の変更を加えて阻害活性アッセイを行った。
具体的には、以下の手順1)〜9)に従って、各化合物のACEの阻害率を算出した。
1)霊芝(Ganoderma lingzhi)由来のトリテルペノイド(化合物(2))を、0μg/mLで含むサンプル溶液C1、62.5μg/mLで含むサンプル溶液C2、125μg/mLで含むサンプル溶液C3、250μg/mLで含むサンプル溶液C4をそれぞれ調製した。このサンプル溶液C1〜C4を96ウェルプレートの第1〜4番目のウェルにそれぞれ20μL加えた。また、第5番目と第6番目の各ウェルに純水を20μL入れた(blank1,blank2)。
2)上記第1〜5番目の各ウェルに対して、前記キットに同梱のSubstrate bufferを17μL加えた。混合液を室温で5分〜10分間静置した。3μLの水/エタノール混合液を前記混合液に添加し、エタノールの終濃度を全てのウェルで5%とした。
3)96ウェルのプレートのblank2用の第6番目のウェルに純水を20μL加えた。
4)第1〜6番目のウェルにEnzyme working solution 20μLずつ加えた。
なお、Enzyme working solutionを加えるとすぐに3-Hyderoxybutyric acid(3HB)の生成が始まるため、ウェル間のタイムラグをできるだけ少なくするためにマルチチャンネルのピペットを使った。
5)37℃で60分間インキュベート(静置)した。
6)各ウェルにIndicator working solutionを200μLずつ加えた。
7)室温で10分間インキュベートした。
8)プレートリーダーで各ウェルの反応溶液の450nmの吸光度を測定した。
9)ACE阻害活性値(阻害率%)を下記式により求めた.
(ACE阻害活性値(阻害率〔%〕))
=〔(Abs.blank1−Abs.sample)/(Abs.blank1−Abs. blank2)×100〔%〕
なお、上記化合物(2)以外の化合物(1)、(3)〜(33)(ガノデリックアシッドD(化合物(11))を除く)についても同様にACE阻害活性値(阻害率〔%〕)を測定・算出した。
(IC50の測定)
上記の通りに化合物(1)〜(33)(ガノデリックアシッドD(化合物(11))を除く。以下、同様。)のそれぞれについて5段階の濃度別に測定・算出した阻害率(%)の値を「用量−反応曲線」のグラフとしてプロットした(横軸:各化合物の濃度、縦軸:ACE阻害率〔%〕)(不図示)。この「用量−反応曲線」のグラフからIC50を算出した(表4〜6)。すなわち、阻害剤が全く存在しない条件下におけるACEの活性を100%(阻害率=0〔%〕)とした場合に、ACEの活性が50%(阻害率=50〔%〕)となる上記化合物の濃度〔μM〕をIC50として算出した。なお、阻害率(%)の測定・算出は3回行った(n=3)。
[試験例2]
(分子モデリング)
各化合物(トリテルペノイド)(1)〜(33)の化学構造の3Dモデルをソフトウェア「MarvinSketch」(ChemAxon社,ブダペスト、ハンガリー)により作成し、これをアンギオテンシン変換酵素の活性部位を含む半径13オングストローム(Å)の球状空間内にドッキングさせるドッキングシミュレーションを行った。なお、このドッキングシミュレーションは、ソフトウェア「CLC Drug Discovery Workbench」(CLC Bio, Aarhus, Denmark社製)により行った。
上記化合物(1)〜(33)として、Ganoderic acid Z (1), Ganoderic acid N (2), Ganoderic acid S (3), Ganoderic acid E (4), Ganoderic acid SZ (5), Ganoderic acid LM2 (6), Ganoderic acid DM (7), Ganoderic acid A (8), Ganoderic acid AM1 (9), Ganoderic acid B (10), Ganoderic acid Y (12), Ganoderic acid TN (13), Ganoderic acid T-Q (14), Ganolucidic acid A (15), Ganodermanontriol (16), Ganodermanondiol (17), Ganoderol A (18), Ganoderol B (19), Ganoderiol F (20), Lucialdehyde A (21), Lucialdehyde B (22), Ganoderic acid C1 (23), Ganoderic acid C2 (24), Ganoderic acid C6 (25), Ganoderic acid H (26), Ganoderic acid K (27), Ganoderic acid TR (28), Ganoderenic acid A (29), Ganoderenic acid C (30), Ganoderenic acid D (31), Ganoderenic acid F (32), Ganoderenic acid H (33)を用いた。
図2(A)〜(C)に示すように、ACE阻害剤(化合物(1)〜(33)等)をドッキングさせる対象として上記ドッキングシミュレーションに使用したタンパク質(ACE)の立体構造は3種類存在し、図2(A)は、ACE阻害剤のカプトプリルと結合した状態のアンギオテンシン変換酵素(ACE)の立体構造、図2(B)は、リシノプリルと結合した状態のアンギオテンシン変換酵素(ACE)の立体構造、図2(C)は、エナラプリラート(エナラプリル)と結合した状態のアンギオテンシン変換酵素(ACE)の立体構造である。
(結果・考察)
上記ドッキングシミュレーションの結果、ほぼ全ての場合で化合物がACEに衝突していることを示すプラスのドッキングスコアとなった(上記表1〜表3)。上記ドッキングスコアがプラスであることから、化合物(1)〜(33)が、アンギオテンシン変換酵素(ACE)の上記結合部位の中に上手く入り込んでおらず、各化合物(1)〜(33)とアンギオテンシン変換酵素(ACE)との間に何らかの物理衝突があることを示す。この結果は、霊芝由来のトリテルペノイド(化合物)(1)〜(33)がACEの結合部位のポケットに入り込むには分子サイズが大き過ぎることを示している。
[試験例3]
アンギオテンシン変換酵素(ACE)の活性部位のポケットに化合物(1)〜(33)が入り込むには分子サイズが大き過ぎるという上記推論を明らかにするために、本発明者らは、ガノデリックアシッドA(ACEに対する阻害活性が最も高い化合物)の3Dモデルを利用して、アンギオテンシン変換酵素(ACE)の前記ポケットの中において、ガノデリックアシッドAの分子がとると予想される配置を調べた。すなわち、ACEの活性部位と各化合物(1)〜(33)とのエネルギー(Docking Score(kcal/mol))が最小となる位置を特定した。この結果を図2および表1〜表3に示す。
(結果)
アンギオテンシン変換酵素(ACE)と、公知のACE阻害剤として知られている「カプトプリル」、「リシノプリル」または「エナラプリル(エナラプリラート)」との各複合体に由来する蛋白質の立体形状(3つ)をそれぞれターゲットとして利用した。
図2にはドッキングシミュレーションの結果(阻害剤がガノデリックアシッドAの場合の結果)を示されている。なお、図2は、アンギオテンシン変換酵素(ACE)の活性部位のポケットに対して、ガノデリックアシッドAを配置させた結果と、カプトプリル等を配置させた結果とを同時に示している。また、図2は、左側から右側に向かって順に、(A)カプトプリルと結合したアンギオテンシン変換酵素(ACE)の蛋白質の構造(活性部位周辺)、(B)リシノプリルと結合したアンギオテンシン変換酵素(ACE)の蛋白質の構造(活性部位周辺)、(C)エナラプリル(エナラプリラート)と結合したアンギオテンシン変換酵素(ACE)の蛋白質の構造(活性部位周辺)を示している。
図2(A)〜(C)に示されているように、霊芝(Ganoderma lingzhi)由来のトリテルペノイド(化合物(1)〜(33))の構造は、実際上、アンギオテンシン変換酵素(ACE)の活性部位のポケットの中に入り込むには大き過ぎており、それに対して、公知のACE阻害剤(カプロプリル等)は、アンギオテンシン変換酵素(ACE)の活性中心のポケットによくフィットしている。
各トリテルペノイド(化合物(1)〜(33))の化学構造のいずれかの部位がアンギオテンシン変換酵素(ACE)のタンパク質と衝突しており、活性部位のポケットの中からはみ出ている。そして、このことが理由でドッキングスコアがプラスとなったと考えられる。
[試験例4]
(ACE阻害活性の測定)
霊芝(Ganoderma lingzhi)由来の33のランタノイド(化合物(1)〜(33))がアンギオテンシン変換酵素(ACE)の阻害試験に供された。2つのアルデヒド、5つのアルコール、および26のランタノイド誘導体が存在するが、構造活性相関解析(Streucute-activity relationship analysis)を可能とするために、それらの化合物(ランタノイド)を、テトラサイクリック環部分およびそれらの環に結合している分岐鎖に基づいてグループ分けした。
(第1グループ)
第1のグループは、テトラサイクリック環に二重結合(ΔC8,9)を含み、カルボキシル基に分岐を有している化合物である。
(第2グループ)
第2のグループは、テトラサイクリック環に2つの二重結合(ΔC7,8,Δ9,11)を含み、カルボキシル基に分岐を有している化合物である。
(第3のグループ)
第3のグループは、第2のグループのサイクリック環と似ているものを有しているが、化合物の分岐鎖がカルボキシル基末端を有していないものである。
(結果・考察)
霊芝由来の、調べた化合物(1)〜(33)の中で、15個の化合物(2)、(8)〜(10)、(23)〜(33)がエタノールの終濃度5%における測定可能なIC50値を示した。すなわち、霊芝(Ganoderma lingzhi)由来の一部のトリペノイドについては、特に優れたACE阻害能が確認された。これらの化合物(1)〜(33)のうち、IC50の範囲が100.1〜499.5の範囲であるところの最も高いACE阻害活性を有するものは、ガノデリックアシッドAであった(表4〜表6を対比して参照)。IC50値を測定可能なグループの中で最も低いACE阻害活性を示したものは、ガノデリックアシッドNであった(表4〜表6を対比して参照)。IC50値の測定可能な化合物の殆どは、第1のグループ(式(a))であり、これらの化合物と第2のグループ(式(b))に属するたった1つの化合物(ガノデリックアシッドTR(28))が、IC50値=168.1μg/mLという、かなり高いACE阻害活性を示した。
残りの第2のグループの化合物((式(b)中、表5の第2行目以下)および第3のグループ(式(c)、表6)の全ての化合物はわずかな阻害活性しか示さなかった(IC50>500μg/mLとして示している。なお、500μg/mLはトリテルペノイドの水に対して溶解しうる限界濃度である。)
上記表4〜表6に示した結果から、上記化学構造の分岐鎖にあるカルボキシル基(−COOH基)がトリテルペノイドのACE阻害活性に影響する重要な因子の一つであると考えられる。前記カルボキシル基(−COOH基)を有していないものは、測定可能な阻害活性を示さなかった。しかしながら、上記カルボキシル基の存在だけではACE阻害活性の発現には十分ではなく、上記化学構造のテトラサイクリック環のある特定の箇所(特に、上記R5)に−C=O基または−OH基が存在することも必要である。また、第8番目と第9番目の炭素間に二重結合がある場合、ACE阻害活性を促進する。
ところで、トリテルペノイドの化学構造中に炭素C24,25の二重結合が存在すると、トリテルペノイドのACE阻害活性を低減させる。
ガノデリックアシッドAおよびガノデリン酸Aは、C20,22の箇所の二重結合のみが異なっているが、これらの化合物は阻害活性の低減が少なく、IC50についてみれば、「100.1μg/mL」→「125.9μg/mL」に変化する程度である。これに対して、ガノデリックアシッドC1とガノデリックアシッドLM2とは、C24,25の箇所にある二重結合のみが異なっているが、IC50の変動は、「383.6μg/mL」→「>500μg/mL」と鋭い低減を示した。
上述した要因に加えて、上記化学構造のテトラサイクリック環の中にある二重結合もまた阻害活性の発現に寄与していると考えらえる。ガノデリックアシッドTRを除いて、2つの二重結合をC7,8およびC9,11に有する他の構造は、ACE阻害活性を殆ど示さず、それらの化合物のIC50の値は得られなかった。
[試験例5]
各化合物(1)〜(33)がいずれの阻害様式によってアンギオテンシン変換酵素(ACE)を阻害しているか調べるために、試験例1で使用したACEテストキット「ACEキットWSTA502」等を用いて下記阻害様式のそれぞれに含まれるパラメータ値を実測する試験を行い、Dixonプロットによる阻害様式の判定を行った。
《競合的阻害》
《非競合的阻害》
《不拮抗阻害》
(上記式において、E:アンジオテンシン変換酵素(ACE)、S:基質、ES 酵素・基質複合体、I:阻害剤(トリテルペノイド)、EI:酵素・阻害剤複合体、P:生成物、[S]:基質初濃度、[S]:遊離の基質濃度、Ks:反応速度定数、Km:ミカエリス定数、Vmax:最大反応速度、Ki:阻害定数(EIの解離定数))
試験例1で用いたキットを使用して、阻害剤(化合物(1)〜(33))存在下でのACE活性の測定(ACEの酵素反応速度vの測定、等)を行った。
(準備)
使用した上記キットのACE基質溶液の容量(10μL、15μL、20μL、25μL)とし、ACE基質溶液のそれぞれに対して、所定の濃度でトリテルペノイド(ガノリックアシッドA、ガノデリックアシッドC2)およびACEを含む溶液20μLをそれぞれ混合した後、最終的なサンプルの容量を60μLに調整した。
なお、上記ACE基質の終濃度は、順に、12.5mM、18.6mM、24.7mM、30.9mMとした。また、各トリテルペノイド類の反応系の終濃度をそれぞれ62.5μg/mL、125μg/mLおよび250μg/mLとした(下記表7参照)。
「1/V」については、生成物(実施例で用いた図3のkitの発色体(color))を定量するための吸光度(Abs.(450nmの吸光度))1を増加させるために要する時間(分)として表している。
(手順)
(1)上述した各サンプル(ガノデリックアシッドA,C2等の各化合物を阻害剤として含むサンプル溶液)について、試験例1で述べたように行いACE活性を測定して吸光度を得た。なお、60分間のインキュベーション(静置)により、ACEによるアンギオテンシンを変換する反応が収束していると考えられる。
(2)トリテルペノイド類(各化合物)を含まない反応液の酵素反応速度v(吸光度(abs.)/分)は、(i)のACE活性測定で得たコントロールの吸光度(Abs.(450nm))を60(分)で割ることで算出した。
(3)トリテルペノイドを含む反応液の酵素反応速度v(吸光度(abs.)/分)は、(i)のACE活性測定で得たサンプルの吸光度(Abs.(450nm))を60(分)で割ることで算出した。
(4)1/vをトリテルペノイド類の濃度に対してプロット(Dixonプロット)した。
図4にガノデリックアシッドAを阻害剤として用いた場合の結果(Dixonプロット、縦軸:1/v(分/abs.(450nm)))、横軸[I](μg/mL))を示す。
図5にガノデリックアシッドC2を阻害剤として用いた場合の結果(Dixonプロット、縦軸:1/v(min/abs.)、横軸[I](μg/mL))を示す。
(結論)
(ガノデリックアシッドA)
図4は、横軸に阻害剤としてのガノデリックアシッドAの濃度(μg/mL)、縦軸にACE酵素の反応速度v(abs. / 分)の逆数を取ったものである。
図4のDixonプロットのグラフから、ガノデリックアシッドAは不拮抗阻害と非競合的阻害との混合の阻害様式(混合型非拮抗阻害)でACEを阻害していることが分かる。つまり、したがって、ガノデリックアシッドAは、ACEに対して不拮抗阻害の様式でACEを阻害していると考えられる。すなわち、ガノデリックアシッドAは、ACEの活性部位とは別の部位に働いて酵素の働きを下げることが分かる。従来ACE阻害剤として知られるカプトプリル等と併用可能であることが分かる。
(ガノデリックアシッドC2)
図5は、横軸に阻害剤としてのガノデリックアシッドC2の濃度(μg/mL)、縦軸にACE酵素の反応速度(分/abs.)を取ったものである。
図5のグラフから、ガノデリックアシッドC2のACEに対する阻害様式は、非競合的阻害(Uncompetitive inhibition)であることが理解できる。すなわち、ガノデリックアシッドC2は、アンギオテンシン変換酵素(ACE)の基質であるアンギオテンシンIとの間でACE活性部位を奪い合わずに、ACEの活性部位とは別の部位に働いて酵素の働きを下げることが分かり、従来ACE阻害剤として知られるカプトプリル等と併用可能であることが分かる。
(総論)
本発明によれば、霊芝(Ganoderma lingzhi)由来のトリテルペノイドがACEに対して緩やかな阻害活性を示すことが実証された。また、構造活性相関解析(Streucute-activity relationship analysis)により活性に影響を与える重要な部位が明らかとなった。分子モデリングの解析により、トリテルペノイドの阻害活性が競合阻害ではない代わりに、不拮抗阻害または非競合的阻害であり、従来のACE阻害剤(例:カプトプリル、リシノプリル、エナラプリル)と併用でき、その結果としての相乗効果が期待できる。
以上、本発明に係るACE阻害剤について、実施例および各試験例に基づいて詳細に説明してきたが、本発明は上記実施例等に限定されず、本発明の要旨を逸脱しないかぎり、設計変更は許容される。

Claims (8)

  1. 霊芝(Ganoderma lingzhi)から有機溶媒を含有する溶媒(有機系溶媒)で抽出することにより得られるトリペノイド類を有効成分として含むことを特徴とするACE阻害剤。
  2. 前記トリペノイド類が、
    (2)ガノデリックアシッドN(Ganoderic acid N)、(8)ガノデリックアシッドA(Ganoderic acid A)、(9)ガノデリックアシッドAM1(Ganoderic acid AM1)、(10)ガノデリックアシッドB(Ganoderic acid B)、(23)ガノデリックアシッドC1(Ganoderic acid C1)、(24)ガノデリックアシッドC2(Ganoderic acid C2)、(25)ガノデリックアシッドC6(Ganoderic acid C6)、(26)ガノデリックアシッドH(Ganoderic acid H)、(27)ガノデリックアシッドK(Ganoderic acid K)、(28)ガノデリックアシッドTR(Ganoderic acid TR)、(29)ガノデリン酸A(Ganoderenic acid A)、(30)ガノデリン酸C(Ganoderenic acid C)、(31)ガノデリン酸D(Ganoderenic acid D)、(32)ガノデリン酸F(Ganoderenic acid F)、(33)ガノデリン酸H(Ganoderenic acid H)、からなる群から選択された1種または2種以上の化合物であることを特徴とする、請求項1に記載のACE阻害剤。
  3. (2)ガノデリックアシッドN(Ganoderic acid N)、(8)ガノデリックアシッドA(Ganoderic acid A)、(9)ガノデリックアシッドAM1(Ganoderic acid AM1)、(10)ガノデリックアシッドB(Ganoderic acid B)、(23)ガノデリックアシッドC1(Ganoderic acid C1)、(24)ガノデリックアシッドC2(Ganoderic acid C2)、(25)ガノデリックアシッドC6(Ganoderic acid C6)、(26)ガノデリックアシッドH(Ganoderic acid H)、(27)ガノデリックアシッドK(Ganoderic acid K)、(28)ガノデリックアシッドTR(Ganoderic acid TR)、(29)ガノデリン酸A(Ganoderenic acid A)、(30)ガノデリン酸C(Ganoderenic acid C)、(31)ガノデリン酸D(Ganoderenic acid D)、(32)ガノデリン酸F(Ganoderenic acid F)、(33)ガノデリン酸H(Ganoderenic acid H)からなる群から選択された1種または2種以上のトリテルペノイド類を含むACE阻害剤。
  4. 前記抽出用の溶媒が、クロロホルム、アルコールまたは含水アルコールであることを特徴とする請求項1〜2のいずれか一項に記載のACE阻害剤。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載のACE阻害剤を有効成分とする、ACEに関連する疾患の予防あるいは軽減のための食品(健康補助食品)、化粧料、研究試薬または医薬品。
  6. 前記疾患が、高血圧症、高血圧により引き起こされる動脈硬化に起因する動脈硬化症、脳梗塞(ラグナ梗塞、アテローム血栓性梗塞、脳塞栓)、脳出血、くも膜下出血、心肥大、狭心症、心筋梗塞、腎障害である請求項5に記載の食品(健康補助食品)、研究試薬または医薬品。
  7. 請求項1〜4のいずれか一項に記載のACE阻害剤を有効成分とする、苦味料。
  8. 霊芝(Ganoderma lingzhi)から、有機溶媒を含有する溶媒(有機系溶媒)を用いて、ACE阻害作用を有する成分を抽出処理する工程を含むことを特徴とする、ACE阻害剤の製造方法。
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