JP2016043392A - レーザ加工機及びレーザ切断加工方法 - Google Patents

レーザ加工機及びレーザ切断加工方法 Download PDF

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Abstract

【課題】一連の切断加工の途中に、アパーチャ25を光軸方向へ位置調節するだけで、加工形態を無酸化加工から酸素加工に又は酸素加工から無酸化加工に変更すること。【解決手段】ワークWの材質が軟鋼であって、ワークWの厚みが例えば6mmであって、加工形態が酸素加工である場合には、アパーチャ25を光軸方向へ位置調節して、アパーチャ25によるレーザ光LBのカット率を2〜20%に設定し、切断加工の加工形態が無酸化加工である場合には、アパーチャ25を光軸方向へ位置調節して、アパーチャ25によるレーザ光LBのカット率を8%以下に設定すること。【選択図】 図1

Description

本発明は、伝送ファイバの出射端から出射されたレーザ光のエネルギーを利用して、ワークに対して切断加工を行うレーザ加工機及びレーザ切断加工方法に関する。
近年、伝送ファイバから出射されたレーザ光のエネルギーを利用した切断加工技術の開発が活発化しており、その切断加工技術について簡単に説明すると、次のようになる。
即ち、伝送ファイバの出射端から出射されたレーザ光をコリメートレンズによって平行光に変換し、集光レンズによって集光してワークの被切断部に向かって照射する。また、レーザ光を照射すると同時に、ワークの被切断部に向かってアシストガスを噴射する。これにより、レーザ光のエネルギーを利用して、ワークの被切断部を溶融させかつその溶融物を除去しながら、ワークに対して切断加工を行うことができる。前述の動作を連続して繰り返すことにより、複数のワークに対して一連の切断加工を行うことができる。なお、コリメートレンズ及び集光レンズは、レーザ加工機における加工ヘッド内に設けられている。
ここで、加工形態は、アシストガスとして窒素等の不活性ガスを用いた無酸化加工(不活性ガス加工)と、アシストガスとして酸素を用いた酸素加工とに分けることができる。無酸化加工は、レーザ光のエネルギーのみによってワークを溶融させて、ワークの切断面の酸化を防止することができ、ステンレス、銅、銅合金、アルミ、アルミ合金、軟鋼等の厚さ例えば3mm以下の薄板からなるワークの高速切断に適している。酸素加工は、レーザ光のエネルギーの他に酸化反応熱によってワークを溶融させることができ、軟鋼の厚さ例えば6mm以上の厚板からなるワークの切断に適している。また、無酸化加工には、汎用の集光レンズが用いられるのに対して、酸素加工の場合は、バーニング(異常燃焼)を防止するために、リング状のレーザ光(リングビーム)を形成可能なアキシコンレンズを組込んだ特殊な集光レンズが用いられる(特許文献1及び特許文献2等参照)。
なお、本発明に関連する先行技術として特許文献1及び特許文献2の他に、特許文献3に示すものがある。
特開2013−75331号公報 WO2010/095744 A1 特開2000−227576号公報
ところで、一連の切断加工の途中に、ワークの材質及び厚み等の変更により加工形態が無酸化加工から酸素加工に又は酸素加工から無酸化加工に変更することがある。このような場合には、切断加工を一旦中断して、汎用の集光レンズから特殊な集光レンズに変更する等、レーザ加工機の段取り替えが必要になる。そのため、切断加工の作業が煩雑化して、作業能率が低下すると共に、切断加工の中断時間が長くなって、切断加工の生産性を十分に高めることができないという問題がある。
そこで、本発明は、前述の問題を解決することができる、新規な構成のレーザ加工機及びレーザ加工方法を提供することを目的とする。
本発明の発明者は、前述の課題を解決するために、試行錯誤を繰り返した結果、伝送ファイバの出射端とコリメートレンズの間の光路の途中に設けられたアパーチャによって、レーザ光の外層部分を適正なカット率(遮断率)の下で遮断することにより、アキシコンレンズを組込んだ特殊な集光レンズを用いなくても、軟鋼の厚さ例えば6mm以上の厚板からなるワークに対してバーニングを防止しながら酸素加工を行うことができるという、新規な知見を得ることができ、本発明を完成するに至った(後述の実施例参照)。これは、レーザ光の外層部分、換言すれば、レーザ光における溶融(切断)に寄与しない低エネルギーの部分がワークの被切断部に照射されることを十分に抑制したことによるものと考えられる。ここで、アパーチャによる適正なカット率とは、2%以上のことをいう。
本発明の第1の特徴は、伝送ファイバの出射端から出射されたレーザ光のエネルギーを利用して、ワークに対して切断加工を行うレーザ加工機において、先端側にレーザ光を照射可能かつアシストガスを噴出可能なノズルを有し、前記伝送ファイバの出射端に接続され、内部がアシストガスの供給源に接続可能な筒状のレーザ加工ヘッド(レーザ加工ヘッド本体)と、前記レーザ加工ヘッド内に設けられ、前記伝送ファイバの出射端から出射されたレーザ光を平行光に変換するコリメートレンズと、 前記レーザ加工ヘッド内における前記コリメートレンズと前記ノズルの間に設けられ、平行光に変換されたレーザ光を集光する集光レンズと、前記レーザ加工ヘッド内における前記伝送ファイバの出射端と前記コリメートレンズとの間に光軸方向に位置調節可能(移動可能)に設けられ、レーザ光を透過させるための円形の開口部を有し、前記伝送ファイバの出射端から出射されたレーザ光の外層部分(外周側に位置する部分)を遮断(カット)するアパーチャと、前記アパーチャを光軸方向へ位置調節するためのアクチュエータと、前記アパーチャによるレーザ光のカット率(前記アパーチャのカット率)が加工条件に応じたカット率になるように前記アクチュエータを制御するアクチュエータ制御手段と、を具備したことを要旨とする。そして、具体的には、前記アクチュエータ制御手段は、加工条件としての加工形態がアシストガスとして酸素を用いた酸素加工である場合には、前記アパーチャによるレーザ光のカット率が2%以上(好ましく2%〜20%)になるように前記アクチュエータを制御すると共に、加工形態がアシストガスとして不活性ガスを用いた無酸化加工である場合には、前記アパーチャによるレーザ光のカット率が8%以下になるように前記アクチュエータを制御するものである。
ここで、本願の明細書及び特許請求の範囲において、「設けられ」とは、直接的に設けられたことの他に、別部材を介して間接的に設けられたことを含む意である。また、「アパーチャによるレーザ光のカット率」とは、伝送ファイバの出射端から出射されたレーザ光のパワー強度に対する、アパーチャによって遮断(カット)されたレーザ光のパワー強度の割合のことをいう。更に、「加工条件」とは、ワークの材質、ワークの厚み、加工形態(酸素加工又は無酸化加工)、加工速度等を含む意である。
本発明の第1の特徴によると、加工形態が酸素加工である場合には、前記アパーチャによるレーザ光のカット率を2%以上になるように前記アクチュエータを制御するため、前述の新規な知見を適用すると、特殊な集光レンズを用いなくても、軟鋼の厚さ例えば6mm以上の厚板からなるワークに対してバーニングを防止しながら酸素加工による切断を行うことができる。また、加工形態が無酸化加工である場合に、前記アパーチャによるレーザ光のカット率を8%以下になるように前記アクチュエータを制御するため、ワークの被切断部におけるレーザ光のパワー強度を十分に確保して、無酸化加工中の切断速度を高速に維持しつつ反射光の低減を図ることができる。これにより、一連の切断加工の途中に、前記アパーチャを光軸方向へ位置調節するだけで、加工形態を無酸化加工から酸素加工に又は酸素加工から無酸化加工に変更することができる。
本発明の第2の特徴は、伝送ファイバの出射端から出射されたレーザ光をコリメートレンズによって平行光に変換し、集光レンズによって集光してワークの被切断部に向かって照射すると共に、ワークの被切断部に向かってアシストガスを噴射することにより、レーザ光のエネルギーを利用して、ワークの被切断部を溶融させかつその溶融物を除去しながら、ワークに対して切断加工を行うレーザ切断加工方法において、前記伝送ファイバの出射端と前記コリメートレンズとの間に光軸方向へ位置調節可能(移動可能)に設けられかつレーザ光を透過させるための円形の開口部を有しかつ前記伝送ファイバの出射端から出射されたレーザ光の外層部分(外周側に位置する部分)を遮断(遮断率)するアパーチャを用い、前記アパーチャを光軸方向へ位置調節して、前記アパーチャによるレーザ光のカット率(前記アパーチャのカット率)を加工条件に応じたカット率に設定することを要旨とする。そして、具体的には、加工条件の中の加工形態がアシストガスとして酸素を用いた酸素加工である場合には、前記アパーチャを光軸方向へ位置調節して、前記アパーチャによるレーザ光のカット率を2%以上(好ましくは2〜20%)に設定すると共に、加工条件の中の加工形態がアシストガスとして不活性ガスを用いた無酸化加工である場合には、前記アパーチャを光軸方向へ位置調節して、前記アパーチャによるレーザ光のカット率を8%以下に設定するものである。
本発明の第2の特徴によると、加工形態が酸素加工である場合には、前記アパーチャを光軸方向へ位置調節して、前記アパーチャによるレーザ光のカット率を2%以上に設定するため、前述の新規な知見を適用すると、特殊な集光レンズを用いなくても、軟鋼の厚さ例えば6mm以上の厚板からなるワークに対してバーニングを防止しながら酸素加工による切断を行うことができる。また、加工形態が無酸化加工である場合に、前記アパーチャを光軸方向へ位置調節して、前記アパーチャによるレーザ光のカット率を8%以下に設定するため、ワークの被切断部におけるレーザ光のパワー強度を十分に確保して、無酸化加工中の切断速度を高速に維持しつつ反射光の低減を図ることができる。これにより、一連の切断加工の途中に、前記アパーチャを光軸方向へ位置調節するだけで、加工形態を無酸化加工から酸素加工に又は酸素加工から無酸化加工に変更することができる。
本発明によれば、一連の切断加工の途中に、前記アパーチャを光軸方向へ位置調節するだけで、加工形態を無酸化加工から酸素加工に又は酸素加工から無酸化加工に変更することができるため、切断加工の作業の煩雑化を抑えて、作業能率の向上を図ると共に、切断加工の中断時間を極力短くして、切断加工の生産性を十分に高めることができる。
図1は、本発明の実施形態に係るレーザ加工機の模式的な図である。 図2は、本発明の実施形態に係る制御ユニットを示す制御ブロック図である。 図3は、加工条件とアパーチャのカット率(アパーチャによるレーザ光のカット率)との関係を示すテーブルを説明する図である。 図4は、伝送ファイバの出射端からアパーチャまでの距離と、アパーチャの開口部を透過するレーザ光のパワー透過率との関係を示す図である。 図5(a)は、本発明の実施形態に係るレーザ切断加工方法を説明する図であり、加工条件として、ワークが軟鋼の厚さ例えば6mm以上の厚板からなりかつ加工形態が酸素加工である場合の様子を示しており、図5(b)は、アパーチャから出射されたレーザ光のパワー強度の分布を示す図である。 図6(a)は、本発明の実施形態に係るレーザ切断加工方法を説明する図であり、加工条件として、ワークが高反射材の厚さ例えば3mm以下の薄板からなりかつ加工形態が無酸化加工である場合の様子を示しており、図6(b)は、アパーチャから出射されたレーザ光のパワー強度の分布を示す図である。 図7(a)は、本発明の実施形態に係るレーザ切断加工方法を説明する図であり、加工条件として、ワークが高反射材以外の材料の厚さ例えば3mm以下の薄板からなりかつ加工形態が無酸化加工である場合の様子を示しており、図7(b)は、アパーチャから出射されたレーザ光のパワー強度の分布を示す図である。なお、 図8(a)は、軟鋼からなるワークに対して酸素加工を行った場合における、アパーチャのカット率とバーニングの発生の有無との関係を示す表図、図8(b)は、伝送ファイバの出射端からアパーチャまでの距離と、反射光の反射レベルとの関係を示す図である。
本発明の実施形態について図1から図7を参照して説明する。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係るファイバレーザ加工機の構成、及び本発明の実施形態に係るレーザ切断加工方法等について順次を説明する。
図1に示すように、本発明の実施形態に係るファイバレーザ加工機(レーザ加工機の一例)1は、伝送ファイバ(プロセスファイバ)3の出射端3eから出射されたレーザ光LBを利用して、ワークWに対して切断加工を行う装置である。ここで、伝送ファイバ3は、ファイバレーザ発振器5から発振された1μm帯の波長のレーザ光Lを伝送するものである。
ファイバレーザ加工機1は、ワークWを点接触で支持する加工テーブル(支持フレーム)7を具備しており、加工テーブル7は、ワークWを固定する固定具(図示省略)を備えている。また、加工テーブル7の上方には、筒状(中空状)のレーザ加工ヘッド(レーザ加工ヘッド本体)9が可動フレーム(図示省略)等を介して設けられており、このレーザ加工ヘッド9は、先端側(下端側)に、レーザ光LBを照射可能かつアシストガスを噴出可能なノズル11を有している。また、レーザ加工ヘッド9は、可動フレーム等を介してX軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向(上下方向)へ加工テーブル7に対して相対的に移動可能になっている。そして、レーザ加工ヘッド9の基端(上端)には、伝送ファイバ3の出射端3eに接続されている。更に、レーザ加工ヘッド9の内部は、ガス供給配管13等を介してアシストガス供給源としてのガスボンベ15に接続可能になっている。なお、ガスボンベ15は、加工形態に応じて適宜に交換可能になっている。
レーザ加工ヘッド9内には、コリメートレンズ17が上部レンズホルダ19を介して設けられており、このコリメートレンズ17は、伝送ファイバ3の出射端3eから出射されたレーザ光LBを平行光に変換するものである。また、コリメートレンズ17の光軸方向(Z軸方向)の位置は、コリメートレンズ17の焦点位置が伝送ファイバ3の出射端3eの位置に一致するように設定されている。そして、レーザ加工ヘッド9内におけるコリメートレンズ17とノズル11との間には、集光レンズ21が下部レンズホルダ23を介して設けられており、この集光レンズ21は、平行光に変換されたレーザ光LBを集光するものである。
レーザ加工ヘッド9内における伝送ファイバ3の出射端3eとコリメートレンズ17との間には、アパーチャ25が光軸方向(Z軸方向)へ位置調節可能(移動可能)に設けられており、アパーチャ25は、伝送ファイバ3の出射端3eから出射されたレーザ光LBの外層部分(外周側に位置する部分)LBoを遮断(カット)するものである。また、アパーチャ25は、熱伝導性の高い材料からなり、レーザ光LBを透過させるための円形の開口部27を有している。なお、熱伝導性の高い材料とは、例えば、アルミ、アルミ合金、銅、又は銅合金等のことをいう。
レーザ加工ヘッド9の適宜位置には、アパーチャ25を光軸方向へ位置調節するためのサーボモータ(アクチュエータ)29が設けられている。また、サーボモータ29の出力軸(図示省略)には、光軸方向へ延びたボールネジ31が連動連結されており、アパーチャ25には、ボールネジ31に螺合したナット部材33が設けられている。
ここで、伝送ファイバ3の出射端3eからアパーチャ25までの距離(光軸方向の長さ)Sと、アパーチャ25の開口部27を透過するレーザ光LBのパワー透過率(アパーチャ25の開口部27のレーザ光LBのパワー透過率)との関係は、図4に示すようになる。なお、アパーチャ25によるレーザ光LBのカット率(遮断率)は、100%からアパーチャ25の開口部27のレーザ光LBのパワー透過率を引いた値になる。
図2に示すように、ファイバレーザ加工機1は、加工プログラムに基づいてファイバレーザ発振器5及びサーボモータ29等を制御する制御装置35と、この制御装置35に接続されかつ加工条件(ワークWの材質、ワークWの厚み、加工形態、加工速度等)を入力する入力ユニット37とを具備している。また、この制御装置35は、加工プログラム等を記憶するメモリと、加工プログラムを解釈して実行するCPUとを備えている。そして、制御装置35のメモリは、テーブル記憶部39としての機能を有し、制御装置35のCPUは、カット率選択部41としての機能及びモータ制御部(アクチュエータ制御手段)43としての機能を有している。
ここで、テーブル記憶部39は、加工条件とアパーチャ25によるレーザ光のカット率(アパーチャ25のカット率)との関係を示すテーブル(図3参照)を記憶するものであり予め設定されている。また、カット率選択部41は、加工プログラムにより指示されるこれから加工されるワークWの材質、ワークの厚み等の加工条件に基づき、テーブル記憶部39に記憶されたテーブルを参照しつつ、加工条件に応じたカット率を選択するものである。そして、モータ制御部43は、カット率選択部41によって選択されたカット率になるようにサーボモータ29を制御するものである。なお、サーボモータ29の具体的な制御については、後述する。
続いて、本発明の実施形態に係るレーザ切断加工方法について、ファイバレーザ加工機1の動作を含めつつ、図1から図3、図5(a)(b)から図7(a)(b)を参照して説明する。なお、図5(a)、図6(a)、及び図7(a)において、レーザ光LBはパワー強度が高い箇所ほど密なハッチングを施してあり、図5(b)及び図6(b)において、アパーチャ25によって遮断されたレーザ光LBのパワー強度はハッチングを施してある。
図1に示すように、レーザ加工ヘッド9をZ軸方向へ加工テーブル7に対して相対的に移動させて、レーザ光LBの焦点位置を調節する。そして、ファイバレーザ発振器5を作動させて、伝送ファイバ3の出射端3eからレーザ光LBを出射することにより、そのレーザ光LBをコリメートレンズ17によって平行光に変換し、集光レンズ21によって集光してノズル11からワークWの被切断部Waに向かってレーザ光LBを照射する。また、レーザ光LBを照射すると同時に、ガスボンベ15からレーザ加工ヘッド9の内部にアシストガスを供給することにより、ノズル11からワークWの被切断部Waに向かってアシストガスを噴射する。更に、ノズル11からワークWの被切断部Waに向かってレーザ光LBを照射しかつアシストガスを噴出した状態で、レーザ加工ヘッド9をワークWの被切断部Waに沿ってX軸方向及びY軸方向のうちの少なくともいずれかの方向へ加工テーブル7に対して相対的に移動させる。これにより、高密度に集光したレーザ光LBのエネルギーを利用して、ワークWの被切断部Waを溶融させかつその溶融物を除去しながら、ワークWに対して切断加工を行うことができる。前述の動作を連続して繰り返すことにより、複数のワークWに対して一連の切断加工を行うことができる。なお、切断加工中、アパーチャ25はチラー(図示省略)によって水冷されるようになっている。
ワークWに対して切断加工を行う前に、図2及び図3に示すように、加工条件として、ワークWの材質、ワークWの厚み、加工形態(アシストガスとして酸素を用いた酸素加工又はアシストガスとして不活性ガスを用いた無酸化加工)、加工速度等を入力ユニット37によって予め入力する。そして、加工形態が酸素加工である場合には、アパーチャ25によるレーザ光LBのカット率を2〜20%の範囲内に設定することになる。また、加工形態が無酸化加工である場合には、アパーチャ25によるレーザ光LBのカット率を0〜8%の範囲内に設定し、テーブル記憶部39に記憶される。すると、カット率選択部41は、加工プログラムで指定された加工条件に基づいて、テーブル記憶部39に記憶されたテーブルを参照しつつ、加工条件に応じたカット率を選択する。そして、モータ制御部43は、カット率選択部41によって選択されたカット率になるようにサーボモータ29を制御する。なお、入力ユニット37による加工条件とカット率を入力する際にカット率を間違えた場合、例えば加工形態が酸素加工であるにも拘わらず2〜20%の範囲外の1%と仮に入力されテーブル記憶部39に記憶された場合、制御装置35のCPUが設定範囲外としてアラーム等を表示することで作業者に知らせることができる。或いは、加工プログラムに基づく加工中に制御装置35でサーボモータ29を制御する際に、所定範囲外に設定されていることを制御装置35のCPUが判断し、間違って設定された例えば1%ではなく、所定範囲内の2〜20%の1%に近い2%に変更してサーボモータ29を制御することも可能である。
具体的には、図3に示すように加工条件として、ワークWの材質が軟鋼(高反射材以外の材料の1つ)であって、ワークWの厚みが6mmであって、加工形態が酸素加工である場合には、サーボモータ29の駆動によりアパーチャ25を光軸方向へ位置調節して、アパーチャ25によるレーザ光LBのカット率を2〜20%の範囲内の3%に設定する。これにより、図5(a)(b)に示すように、アパーチャ25によってレーザ光LBの外層部分LBo、換言すれば、レーザ光LBにおける溶融(切断)に寄与しない低エネルギーの部分がワークWの被切断部Waに照射されることを十分に抑制できる。ここで、アパーチャ25によるレーザ光LBのカット率を2%以上にしたのは、2%未満であると、レーザ光LBにおける前記低エネルギーの部分がワークWの被切断部Waに照射されることを十分に抑制することが困難になるからである。一方、アパーチャ25によるレーザ光LBのカット率を20%以下にしたのは、20%を超えると、加工点としてのワークWの被切断部Waにおけるレーザ光LBのパワー強度が低下するからである。なお、高反射材とは、銅、銅合金、アルミ、アルミ合金、又は鏡面仕上げしたステンレス等のこといい、高反射材以外の材料とは、通常のステンレス、軟鋼等のこという。
更に、図3に示すように加工条件として、ワークWが材質が通常のステンレスであって、ワークWの厚みが2mmであって、無酸化加工である場合には、サーボモータ29の駆動によりアパーチャ25を光軸方向へ位置調節して、アパーチャ25によるレーザ光LBのカット率を0%に設定する。これにより、図7(a)(b)に示すようになる。ステンレス加工の場合カット率がなるべく低い(0%)であればレーザ光LBのパワー強度を維持しつつ高速加工が可能である。しかし、カット率を上げるとレーザ光LBにおける前記低エネルギーの部分がワークWの被切断部Waに照射されることを抑制して、レーザ加工ヘッド9側への反射光LB'を十分に低減することは可能になり安定加工を行うことができるが、カット率が下がる分だけパワー強度が低下するので加工速度はパワー強度の低下に応じて低下させる必要がある。
また、特に高反射材の場合は、反射光の影響が特に大きくなりカット率は0%でなくある程度必要となる。例えば図3に示すように加工条件として、ワークWの材質が銅合金(高反射材の一例)であって、ワークWの厚さが1mmであって、加工形態が無酸化加工である場合には、サーボモータ29の駆動によりアパーチャ25を光軸方向へ位置調節して、アパーチャ25によるレーザ光LBのカット率を3〜8%の範囲内の5%に設定する。これにより、図6(a)(b)に示すように、レーザ光LBにおける前記低エネルギーの部分がワークWの被切断部Waに照射されることを抑制して、レーザ加工ヘッド9側への反射光LB’を十分に低減できると共に、加工点としてのワークWの被切断部Waにおけるレーザ光LBのパワー強度を十分に確保して、無酸化加工中の生産性の低下を抑え切断速度の高速化を維持することができる。ここで、無酸化加工中の生産性の低下を抑え切断速度の高速化を維持することができる。ここでアパーチャ25のカット率は反射光LB'の影響を考えた場合は大きいほうが望ましいが、アパーチャ25によるレーザ光LBのカット率を8%以下にしたのは、8%を超えると、加工点としてのワークWの被切断部Waにおけるレーザ光LBのパワー強度が低下して、無酸化加工中の切断速度を高速に維持できず切断速度を低下せざるを得ず、生産性が低下するからである。
続いて、本発明の実施形態の作用及び効果について説明する。
加工形態が酸素加工である場合には、アパーチャ25を光軸方向へ位置調節して、アパーチャ25によるレーザ光LBのカット率を2〜20%に設定するため、前述の新規な知見を適用すると、特殊な集光レンズを用いなくても、加工点としてのワークWの被切断部Waにおけるレーザ光LBのパワー強度を十分に確保して、軟鋼の厚さ例えば6mm以上の厚板からなるワークWに対してバーニングを防止しながら酸素加工による切断を行うことができる。また、加工形態が無酸化加工である場合には、アパーチャ25によるレーザ光LBのカット率を8%以下に設定するため、反射光LB’を低減して、無酸化加工中の切断速度の高速化を図ることができるため、ワークWの被切断部Waにおけるレーザ光LBのパワー強度を十分に確保して、無酸化加工中の切断速度を維持しつつ高速化を図ることができる。これにより、一連の切断加工の途中に、アパーチャ25を光軸方向へ位置調節するだけで、加工形態を無酸化加工から酸素加工に又は酸素加工から無酸化加工に変更することができる。
特に、ワークWが高反射材の厚さ例えば3mm以下の薄板からなりかつ加工形態が無酸化加工である場合には、アパーチャ25によるレーザ光LBのカット率を設定することで、レーザ加工ヘッド9側への反射光LB’を十分に低減できるため、集光レンズ21、コリメートレンズ17、及び伝送ファイバ3の出射端3e等の焼損を十分に防止することができる。特に、アパーチャ25が反射光LB’を遮断することができるため、伝送ファイバ3の出射端3eの焼損をより十分に防止することができる。
従って、本発明の実施形態によれば、一連の切断加工の途中に、アパーチャ25を光軸方向へ位置調節するだけで、加工形態を無酸化加工から酸素加工に又は酸素加工から無酸化加工に変更することができるため、切断加工の作業の煩雑化を抑えて、作業能率の向上を図ると共に、切断加工の中断時間を極力短くして、切断加工の生産性を十分に高めることができる。
特に、ワークWが高反射材の厚さ例えば3mm以下の薄板からなりかつ加工形態が無酸化加工である場合においても、集光レンズ21等の焼損を十分に防止できるため、集光レンズ21等の交換を極力減らして、作業能率のより高めることができる。
なお、本発明は、前述の実施形態の説明に限られるものではなく、例えば、ファイバレーザ加工機1を用いる代わりに、レーザ光LBを伝送ファイバ3で伝送する形式のYAGレーザ加工機、固体レーザ加工機、及び炭酸レーザ加工機等を用いる等、その他、種々の態様で実施可能である。また、本発明に包含される権利範囲は、前述の実施形態に限定されないものである。
本発明の実施例について図8(a)(b)を参照して説明する。
汎用の集光レンズを用いて、軟鋼からなるワークに対して酸素加工を行った場合に、アパーチャのカット率とバーニングの発生の有無との関係をまとめると、図8(a)に示すような結果になった。つまり、アパーチャのカット率を2%以上に設定することにより、軟鋼の厚さ6mm以上の厚板からなるワークに対してバーニングを防止しながら酸素加工を行うことが確認できた。なお、図8(a)中における「○」は、バーニングの発生が無かったことを示しており、図8(a)中における「×」は、バーニングの発生が有ったことを示している。
銅合金からなるワークに対してレーザ光の反射試験を行い、伝送ファイバの出射端からアパーチャまでの距離と、反射光の反射レベルとの関係をまとめると、図8(b)に示すような結果になった。つまり、伝送ファイバの出射端からアパーチャまでの距離が長くなりカット率が上がると反射光レベルは下がる傾向になり、特に一定の距離(75mm)以上長くなると、換言すれば、アパーチャによるレーザ光のカット率が一定のカット率(3%)以上になると、反射光の反射レベルを十分に低減できることが確認できた。
LB レーザ光
LBo 外層部分
LB’ 反射光
W ワーク
Wa 被切断部
1 ファイバレーザ加工機
3 伝送ファイバ
3e 出射端
5 ファイバレーザ発振器
7 加工テーブル
9 レーザ加工ヘッド(レーザ加工ヘッド本体)
11 ノズル
13 ガス供給配管
15 ガスボンベ
17 コリメートレンズ
19 上部レンズホルダ
21 集光レンズ
23 下部レンズホルダ
25 アパーチャ
27 開口部
29 サーボモータ(アクチュエータ)
31 ボールネジ
33 ナット部材
35 制御装置
37 入力ユニット
39 テーブル記憶部
41 カット率選択部
43 モータ制御部(アクチュエータ制御手段)

Claims (10)

  1. 伝送ファイバの出射端の出射されたレーザ光のエネルギーを利用して、ワークに対して切断加工を行うレーザ加工機において、
    先端側にレーザ光を照射可能かつアシストガスを噴出可能なノズルを有し、前記伝送ファイバの出射端に接続され、内部がアシストガスの供給源に接続可能な筒状のレーザ加工ヘッドと、
    前記レーザ加工ヘッド内に設けられ、前記伝送ファイバの出射端から出射されたレーザ光を平行光に変換するコリメートレンズと、
    前記レーザ加工ヘッド内における前記コリメートレンズと前記ノズルの間に設けられ、平行光に変換されたレーザ光を集光する集光レンズと、
    前記レーザ加工ヘッド内における前記伝送ファイバの出射端と前記コリメートレンズとの間に光軸方向に位置調節可能に設けられ、レーザ光を透過させるための円形の開口部を有し、前記伝送ファイバの出射端から出射されたレーザ光の外層部分を遮断するアパーチャと、
    前記アパーチャを光軸方向へ位置調節するためのアクチュエータと、
    前記アパーチャによるレーザ光のカット率が加工条件に応じたカット率になるように前記アクチュエータを制御するアクチュエータ制御手段と、を具備したことを特徴とするレーザ加工機。
  2. 加工条件とカット率との関係を示すテーブルを記憶するテーブル記憶部と、
    前記テーブル記憶部に記憶された前記テーブルを参照しつつ、加工条件に応じたカット率を選択するカット率選択部と、を具備し、
    前記アクチュエータ制御手段は、前記カット率選択部によって選択されたカット率になるように前記アクチュエータを制御することを特徴とする請求項1に記載のレーザ加工機。
  3. 前記テーブル記憶部に記憶される前記アパーチャによるレーザ光のカット率は、加工条件としての加工形態がアシストガスとして酸素を用いた酸素加工である場合には、2〜20%であることを特徴とする請求項2に記載のレーザ加工機。
  4. 前記テーブル記憶部に記憶される前記アパーチャによるレーザ光のカット率は、加工条件としての加工形態がアシストガスとして不活性ガスを用いた無酸化加工である場合には、8%以下であることを特徴とする請求項2又は請求項3のうちのいずれか1項に記載のレーザ加工機。
  5. 前記テーブル記憶部に記憶される前記アパーチャによるレーザ光のカット率は、加工条件として、ワークの材質が高反射材であって、加工形態がアシストガスとして不活性ガスを用いた無酸化加工である場合には、3〜8%であることを特徴とする請求項2から請求項4のうちのいずれか1項に記載のレーザ加工機。
  6. 伝送ファイバの出射端から出射されたレーザ光をコリメートレンズによって平行光に変換し、集光レンズによって集光してワークの被切断部に向かって照射すると共に、ワークの被切断部に向かってアシストガスを噴射することにより、レーザ光のエネルギーを利用して、ワークの被切断部を溶融させかつその溶融物を除去しながら、ワークに対して切断加工を行うレーザ切断加工方法において、
    前記伝送ファイバの出射端と前記コリメートレンズとの間に光軸方向へ位置調節可能に設けられかつレーザ光を透過させるための円形の開口部を有しかつ前記伝送ファイバの出射端から出射されたレーザ光の外層部分を遮断するアパーチャを用い、
    前記アパーチャを光軸方向へ位置調節して、前記アパーチャによるレーザ光のカット率を加工条件に応じたカット率に設定することを特徴とするレーザ切断加工方法。
  7. 加工条件としての加工形態がアシストガスとして酸素を用いた酸素加工である場合には、前記アパーチャを光軸方向へ位置調節して、前記アパーチャによるレーザ光のカット率を2〜20%に設定することを特徴とする請求項6に記載のレーザ切断加工方法。
  8. 加工条件としての加工形態がアシストガスとして不活性ガスを用いた無酸化加工である場合には、前記アパーチャを光軸方向へ位置調節して、前記アパーチャによるレーザ光のカット率を8%以下に設定することを特徴とする請求項6又は請求項7に記載のレーザ切断加工方法。
  9. 加工条件として、ワークの材質が高反射材であって、加工形態がアシストガスとして不活性ガスを用いた無酸化加工である場合には、前記アパーチャを光軸方向へ位置調節して、前記アパーチャによるレーザ光のカット率を3〜8%に設定する請求項6から請求項8のうちのいずれか1項に記載のレーザ切断加工方法。
  10. 前記伝送ファイバは、ファイバレーザ発振器から発振された1μm帯の波長のレーザ光を伝送するためのものであることを特徴とする請求項6から請求項9のうちのいずれか1項に記載のレーザ切断加工方法。
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