JP2016042848A - 醗酵熟成ビート、及びその加工物の醗酵熟成ビートペースト、醗酵熟成ビート粉末 - Google Patents

醗酵熟成ビート、及びその加工物の醗酵熟成ビートペースト、醗酵熟成ビート粉末 Download PDF

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Abstract

【課題】ビート根部の用途拡大や利用拡大を図ることができること。【解決手段】醗酵熟成ビートは、温度が55℃〜90℃の範囲内、湿度が60%〜95%の範囲内の環境下で生ビートを自己醗酵させることにより、総ポリフェノール含有量を生ビートの30倍以上で750mg/100g以上とし、タンニン含有量を生ビートの40倍以上で650mg/100g以上としたものである。【選択図】なし

Description

本発明は、ビートの利用拡大や用途拡大を図ることができる醗酵熟成ビート、及びその加工物の醗酵熟成ビートペースト、醗酵熟成ビート抽出液、醗酵熟成ビート粉末、並びにそれらの製造方法に関するものである。
ビート(別名:甜菜、砂糖大根)は、アカザ科の植物で、主に砂糖の原料として北海道や東北の一部で収穫されている。ビートは、その根の部分が砂糖の原料となり、輪作体系の中で馬鈴薯、麦類、豆類と共に栽培されていて、土壌の保全や収量の維持を考える畑輪作体系上の主要作物である。
ところが、近年、とうもろこし、馬鈴薯、さつまいも等の澱粉を原料とする異性化糖や、スクラロース・アスパルテーム等の低カロリー人工甘味料や、輸入品の加糖調製品といった砂糖の代替品の利用が増加し、また、生活習慣病の予防等という理由から糖分の摂取を控える傾向もあり、砂糖の消費量は減少している。更に、WTO、FTA、EPA、TPP等の国際交渉の進行により、ビートを原料として生産される砂糖は厳しい価格競争に晒されることも想定される。
このため、ビートの砂糖原料以外の利用法の開発が望まれる。
ここで、ビートに関して、例えば、特許文献1に示すように、ビートの根部(根塊)から砂糖分、糖蜜分等が抽出された残渣(絞り粕)であるビートパルプは、乳牛等の家畜飼料に利用したり、また、特許文献2乃至特許文献4に示すように、製糖過程において糖液から砂糖の結晶を回収した後の残渣である廃糖蜜は、エタノール製造や酵母培養の原料として利用したりする開発がなされている。更に、ビートの根部に微量に含まれているアミノ酸の一種のベタインは、単離・精製されて調味料、食品の水分活性低下剤等の食品添加物や化粧品として利用されたり、同じく、ビートの根部に微量に含まれていてビフィズス菌等の善玉腸内細菌を増加させる効果のあるラフィノース等のオリゴ糖も、単離・精製されて健康補助食品として利用されたりしている。また、ビートの茎葉部(ビートトップ)においても、家畜飼料として利用されるか、畑土壌に鋤き込まれて堆肥・緑肥として地力の維持や増強に再利用されている。
2006−174796号公報 2010−227074号公報 2013−000091号公報 平10−136975号公報
しかしながら、これらの利用法は、ビートの砂糖生産の結果生じる副産物の利用法であり、ビートの根部を利用した用途拡大に直接つながるわけではない。
なお、ビートの根部は、生のまま食した場合には、灰汁が強く、土臭いと形容される不快な後味が残り、煮込んで食した場合にも灰汁による土臭さがあることから、食用摂取しにくい食品素材として汎用されていないのが実情である。
そこで、本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであって、ビート根部の用途拡大や利用拡大を図ることができる醗酵熟成ビート、及びその加工物の醗酵熟成ビートペースト、醗酵熟成ビート抽出液、醗酵熟成ビート粉末、並びにそれらの製造方法を課題とするものである。
請求項1の発明の醗酵熟成ビートは、生ビートを自己醗酵させてなるものである。
ここで、上記ビート(学名:Beta vulgaris ssp. Vulgaris L.)は、別名を甜菜(Sugar beet)または砂糖大根とも呼ばれ、アカザ科フダンンソウ属の植物であり、本発明においては、根の部分が使用される。
また、上記自己醗酵とは、菌を添加したり酵素等の添加物を加えたりすることなく、温度、湿度、時間等の外的環境を調整することにより、腐敗させたり乾燥物とさせたりすることなく、醗酵熟成させることである。
請求項2の発明の醗酵熟成ビートの自己醗酵は、温度が55℃〜90℃の範囲内、好ましくは、65℃〜85℃の範囲内、より好ましくは、70℃〜80℃の範囲内で、湿度が60%〜95%の範囲内、好ましくは、65%〜90%の範囲内、より好ましくは、70%〜90%の範囲内の環境下で醗酵熟成させるものである。
請求項3の発明の醗酵熟成ビートは、前記自己醗酵によって、総ポリフェノール含有量を生ビートの30倍以上としたものである。
ここで、上記総ポリフェノールは、同一分子内に複数のフェノール性水酸基(ヒドロキシ基)をもつ化合物の総称で、抗酸化作用とタンパク質機能調節作用を主な生理活性として発揮するものであり、本発明においては、タンニンを主要とするものである。また、本発明において、総ポリフェノール含有量は、フォーリン・デニス法(Folin-Denis法)により測定されたものである。
請求項4の発明の醗酵熟成ビートは、前記自己醗酵によって、総ポリフェノール含有量を750mg/100g以上、より好ましくは、1000mg/100g以上としたものである。
請求項5の発明の醗酵熟成ビートは、前記自己醗酵によって、タンニン含有量を生ビートの40倍以上としたものである。
or請求項4の発明の醗酵熟成ビートは、タンニン含有量が生ビートの40倍以上であるものである。
ここで、上記タンニンは、植物界に広く存在するポリフェノールの一種であり、蛋白質、アルカロイド、金属イオンと反応し結合して難溶性の塩を形成する水溶性化合物の総称であり、本発明において、タンニン含有量は、フォーリン・デニス法(Folin-Denis法)により測定されたものである。
請求項6の発明の醗酵熟成ビートは、前記自己醗酵によって、タンニン含有量を650mg/100g以上、より好ましくは、900mg/100g以上としたものである。
請求項7の発明の醗酵熟成ビートは、前記自己醗酵によって、ショ糖(スクロース)の含有量を1重量%以下としたものである。
請求項8の発明の醗酵熟成ビートペーストは、請求項1乃至請求項7の何れか1つに記載の醗酵熟成ビートを潰し溶媒を混合してペースト状にしてなるものである。
ここで、上記溶媒としては、例えば、水、蜂蜜、酒、食用油等が挙げられ、これら1種を単独で、または2種以上を混合して用いることが可能である。
請求項9の発明の醗酵熟成ビート抽出液は、請求項1乃至請求項7の何れか1つに記載の醗酵熟成ビートを潰してペースト状としたのち、抽出溶媒を加えて抽出し濃縮してなるものである。
ここで、上記抽出溶媒としては、例えば、水、親水性有機溶媒等が使用され、これらは単独で用いることも可能であるし、併用して用いることも可能である。
請求項10の発明の醗酵熟成ビート粉末は、請求項1乃至請求項7の何れか1つに記載の醗酵熟成ビートを乾燥、粉砕して粉状にしてなるものである。
ここで、上記乾燥は、例えば、加熱乾燥、凍結乾燥等の方法が用いられる。
請求項11の発明の醗酵熟成ビートの製造方法は、生ビートを温度が55℃〜90℃の範囲内、湿度が60%〜95%の範囲内の環境下で自己醗酵させたものである。
請求項12の発明の醗酵熟成ビートの製造方法は、前記自己醗酵によって、前記醗酵熟成ビートの総ポリフェノール含有量を生ビートの30倍以上としたものである。
請求項13の発明の醗酵熟成ビートの製造方法は、前記自己醗酵によって、前記醗酵熟成ビートの総ポリフェノール含有量を750mg/100g以上としたものである。
請求項14の発明の醗酵熟成ビートの製造方法は、前記自己醗酵によって、前記醗酵熟成ビートのタンニン含有量を生ビートの40倍以上としたものである。
請求項15の発明の醗酵熟成ビートの製造方法は、前記自己醗酵によって、前記醗酵熟成ビートのタンニン含有量を650mg/100g以上としたものである。
請求項16の発明の醗酵熟成ビートの製造方法は、前記自己醗酵によって、ショ糖(スクロース)の含有量を1重量%以下としたものである。
請求項17の発明の醗酵熟成ビートペーストの製造方法は、生ビートを温度が55℃〜90℃の範囲内、湿度が60%〜95%の範囲内の環境下で自己醗酵させて醗酵熟成ビートを製造する工程と、前記醗酵熟成ビートを潰し溶媒を混合してペースト状にする工程と
を具備するものである。
ここで、上記溶媒としては、例えば、水、蜂蜜、酒、食用油等が挙げられ、これら1種を単独で、または2種以上を混合して用いることが可能である。
請求項18の発明の醗酵熟成ビート抽出液の製造方法は、生ビートを温度が55℃〜90℃の範囲内、湿度が60%〜95%の範囲内の環境下で自己醗酵させ醗酵熟成ビートを製造する工程と、前記醗酵熟成ビートを潰してペーストにする工程と、前記ペーストを抽出溶媒で抽出する工程と、前記抽出したものを濃縮する工程と
を具備するものである。
ここで、上記抽出溶媒としては、例えば、水、親水性有機溶媒等が使用され、これらは単独で用いることも可能であるし、併用して用いることも可能である。
請求項19の発明の醗酵熟成ビート粉末の製造方法は、生ビートを温度が55℃〜90℃の範囲内、湿度が60%〜95%の範囲内の環境下で自己醗酵させ醗酵熟成ビートを製造する工程と、前記醗酵熟成ビートを乾燥させる工程と、前記乾燥させたものを粉砕する工程とを具備するものである。
ここで、上記乾燥は、例えば、加熱乾燥、凍結乾燥等の方法が用いられる。
請求項1の発明にかかる醗酵熟成ビートは、生ビートを自己醗酵させてなる。
ここで、生ビートを55℃〜90℃の範囲内の温度で、75%〜90%の範囲内の湿度の管理環境下に置くと、生ビートの自己醗酵が進行して、醗酵前よりも柔らかく、爽やかな酸味や旨味が増して灰汁や土臭さ(ビート臭)が低減し、風味が増した黒色〜黒褐色の醗酵熟成ビートが得られる。また、このような所定温度、所定湿度の環境下で生ビートを醗酵熟成させることにより得られる醗酵熟成ビートによれば、総ポリフェノール含有量が生ビートの30倍以上で750mg/100g以上となり、また、タンニン含有量が生ビートの40倍以上で650mg/100g以上となる。
このように、請求項1の発明にかかる醗酵熟成ビートによれば、微生物や酵素等の添加物を添加することなく、所定温度、所定湿度の環境下で生ビートを醗酵熟成させる自己醗酵により、醗酵前の生ビートよりも柔らかく風味が増大すると共に、タンニン等の総ポリフェノールの含有量が高められている。このため、野菜としての食用摂取をしやすくでき、しかも、有用な成分であるタンニン等のポリフェノールを効率的に摂取できるようになる。したがって、その風味や食感を生かして、また、タンニン等の総ポリフェノールによる生理活性作用や抗酸化力等の効果を期待して、飲食品等に添加・配合して利用したり飲食品等の製造工程中に使用したりすることが可能となり、ビートの利用拡大や用途拡大を図ることができる。
請求項2の発明にかかる醗酵熟成ビートによれば、自己醗酵は、温度が55℃〜90℃の範囲内、好ましくは、65℃〜85℃の範囲内、より好ましくは、70℃〜80℃の範囲内で、湿度が60%〜95%、好ましくは、65%〜90%の範囲内、より好ましくは、70%〜90%の範囲内の環境下で醗酵熟成させる。
ここで、温度が55℃より低いと、ビートにおいては自己醗酵ではなく腐敗が進み、不快な腐敗臭が生じたり形が崩れて泥状になったりし食用等に供することができなくなる。一方で、温度が90℃より高いと、ビートは褐色の硬い単なる乾燥物となり食用としては不向きであり、また、タンニン等の総ポリフェノール含有量の増大が少ないものとなる。
更に、湿度が60%より低いと、ビートは乾燥化する傾向にあり、また、タンニン等の総ポリフェノール含有量の増大が少ないものとなる。一方で、湿度が95%より高いと、自己醗酵ではなく腐敗化する傾向にある。
したがって、請求項2の発明にかかる醗酵熟成ビートによれば、請求項1の効果に加えて、タンニン、総ポリフェノールの含有量が極めて高いものとなり、かつ、食用としても好適に使用できる。
請求項3の発明にかかる醗酵熟成ビートは、前記自己醗酵によって、総ポリフェノール含有量を生ビートの30倍以上としたものである。
ここで、生ビートの総ポリフェノール含有量は概ね25mg/100g〜40mg/100g程度であることから、自己醗酵によって、総ポリフェノール含有量を生ビートの30倍以上としたものは、750mg/100g以上の総ポリフェノールを含有することになる。野菜や果物の総ポリフェノール含有量が平均50mg/100gで、一般的にポリフェノールが多く含まれているとされている茶(煎茶)でも総ポリフェノール含有量は約205mg/100mlであることから、自己醗酵によって、総ポリフェノール含有量を生ビートの30倍以上とした醗酵熟成ビートにおいては、総ポリフェノール含有量が極めて高く、総ポリフェノールによる高い抗酸化力等を期待できる。したがって、請求項1または請求項2に記載の効果に加えて、食品等への更なる利用拡大を図ることが可能である。
請求項4の発明にかかる醗酵熟成ビートは、前記自己醗酵によって、総ポリフェノール含有量を750mg/100g以上としたものである。
ここで、生の野菜や果物の総ポリフェノール含有量は平均50mg/100gで、生ビートにおいても総ポリフェノール含有量は25mg/100g〜40mg/100gであり、更に一般的にポリフェノールが多く含まれているとされている茶(煎茶)でも総ポリフェノール含有量は205mg/100mlであることから、自己醗酵によって、総ポリフェノール含有量を750mg/100g以上とした醗酵熟成ビートにおいては、総ポリフェノール含有量が極めて高く、総ポリフェノールによる高い抗酸化力等を期待できる。よって、請求項1乃至請求項3の何れか1つに記載の効果に加えて、食品等への更なる利用拡大を図ることが可能である。
請求項5の発明にかかる醗酵熟成ビートは、前記自己醗酵によって、タンニン含有量を生ビートの40倍以上としたものである。
ここで、生ビートのタンニン含有量は概ね15mg/100g〜30mg/100g程度であることから、自己醗酵によって、タンニン含有量を生ビートの40倍以上としたものは、600mg/100g以上と多くのタンニンを含有することになり、タンニンによる高い抗酸化力等を期待できる。したがって、請求項1乃至請求項4の何れか1つに記載の効果に加えて、食品等への更なる利用拡大を図ることが可能である。また、タンニンのタンパク質や金属等の凝固作用性を利用した更なる用途拡大を図ることも可能である。
請求項6の発明にかかる醗酵熟成ビートは、前記自己醗酵によって、タンニン含有量を600mg/100g以上としたものであり、多くのタンニンを含有することから、タンニンによる高い抗酸化力等を期待できる。したがって、請求項1乃至請求項5の何れか1つに記載の効果に加えて、食品等への更なる利用拡大を図ることが可能である。また、タンニンのタンパク質や金属等の凝固作用性を利用して更なる用途拡大を図ることも可能である。
請求項7の発明にかかる醗酵熟成ビートは、前記自己醗酵によって、ショ糖(スクロース)の含有量を1重量%以下としたものであり、十分な醗酵熟成がなされている。したがって、請求項1乃至請求項6の何れか1つに記載の効果に加えて、タンニン、総ポリフェノールの含有量が極めて高いものとなる。
請求項8の発明にかかる醗酵熟成ビートペーストによれば、請求項1乃至請求項7の何れか1つに記載の醗酵熟成ビートを潰し溶媒を混合してペースト状にしてなることから、流動性があって飲食品等の製品にも添加・配合等しやすく、調味料等の食品としても利用しやすい。このため、醗酵熟成ビートを摂取しやすくでき醗酵熟成ビートのタンニン等のポリフェノールも効率的に摂取できる。また、流動性があるため、飲食品等の製品の製造工程においても使用しやすい。したがって、醗酵熟成ビートの汎用性を高めて用途拡大を図ることができる。
請求項9の発明にかかる醗酵熟成ビート抽出液によれば、請求項1乃至請求項7の何れか1つに記載の醗酵熟成ビートを潰してペースト状としたのち、抽出溶媒を加えて抽出し濃縮してなることから、醗酵熟成ビートのタンニン等のポリフェノールを効率的に摂取できるうえ、液状であって飲食品等の製品にも添加・配合等しやすく、飲食品等の製品の製造工程においても使用しやすい。したがって、醗酵熟成ビートの汎用性を高めて用途拡大を図ることができ、また、醗酵熟成ビートを摂取しやすくできる。
請求項10の発明にかかる醗酵熟成ビート粉末によれば、請求項1乃至請求項7の何れか1つに記載の醗酵熟成ビートを乾燥、粉砕して粉状にしてなることから、醗酵熟成ビートのタンニン等のポリフェノールを効率的に摂取できるうえ、粉状であって飲食品、医薬品、化粧品等の製品にも添加・配合等しやすく、また、健康補助食品等としても利用しやすく、更に飲食品等の製品の製造工程においても使用しやすい。したがって、醗酵熟成ビートの汎用性を高めて用途拡大を図ることができ、また、醗酵熟成ビートを摂取しやすくできる。
請求項11の発明にかかる醗酵熟成ビートの製造方法は、生ビートを温度が55℃〜90℃の範囲内、湿度が60%〜95%の範囲内の環境下で自己醗酵させたものである。
生ビートを55℃〜90℃の範囲内の温度で、60%〜95%の範囲内の湿度の管理環境下に置くと、生ビートの自己醗酵が進行して、醗酵前よりも柔らかく、爽やかな酸味や旨味が増して灰汁や土臭さ(ビート臭)が低減し、風味が増した黒色〜黒褐色の醗酵熟成ビートが得られる。そして、このような所定温度、所定湿度の環境下で生ビートを醗酵熟成させることにより得られる醗酵熟成ビートにおいては、総ポリフェノール含有量が生ビートの30倍以上で750mg/100g以上となり、また、タンニン含有量が生ビートの40倍以上で650mg/100g以上となる。
ここで、温度が55℃より低いと、ビートにおいては自己醗酵ではなく腐敗が進み、不快な腐敗臭が生じたり形が崩れて泥状になったりし食用等に供することができなくなる。一方で、温度が90℃より高いと、ビートは褐色の硬い単なる乾燥物となり食用としては不向きであり、また、タンニン等の総ポリフェノール含有量の増大が少ないものとなる。
更に、湿度が60%より低いと、ビートは乾燥化する傾向にあり、また、タンニン等の総ポリフェノール含有量の増大が少ないものとなる。一方で、湿度が95%より高いと、自己醗酵ではなく腐敗化する傾向にある。
このように、請求項11の発明にかかる醗酵熟成ビートの製造方法によれば、微生物や酵素等の添加物を添加することなく、所定温度、所定湿度の環境下で生ビートを醗酵熟成させる自己醗酵により、醗酵前の生ビートよりも柔らかく風味が増大すると共に、生理活性成分であるタンニン等の総ポリフェノールの含有量が高められた醗酵熟成ビートが得られる。このため、得られた醗酵熟成ビートは、野菜としての食用摂取がしやすく、しかも、有用な成分であるタンニン等の総ポリフェノールの効率的な摂取を可能とする。したがって、得られた醗酵熟成ビートは、その風味や食感を生かして、また、タンニン等の総ポリフェノールによる生理活性作用や抗酸化力等の効果を期待して、飲食品等に添加・配合して利用したり飲食品等の製造工程中に使用したりすることが可能となり、ビートの利用拡大や用途拡大を図ることができる。
特に、温度が55℃〜90℃の範囲内、湿度が60%〜95%の範囲内の環境下で自己醗酵させることにより、タンニン、総ポリフェノールの含有量が極めて高く、かつ、食用としても好適に使用できる醗酵熟成ビートが得られる。
請求項12の発明にかかる醗酵熟成ビートの製造方法は、前記自己醗酵によって、前記醗酵熟成ビートの総ポリフェノール含有量を生ビートの30倍以上としたものである。
ここで、生ビートの総ポリフェノール含有量は概ね25mg/100g〜40mg/100g程度であることから、自己醗酵によって、前記醗酵熟成ビートの総ポリフェノール含有量を生ビートの30倍以上としたものは、750mg/100g以上の総ポリフェノールを含有することになる。野菜や果物の総ポリフェノール含有量が平均50mg/100gで、一般的にポリフェノールが多く含まれているとされている茶(煎茶)でも総ポリフェノール含有量は約205mg/100mlであることから、自己醗酵によって、総ポリフェノール含有量を生ビートの30倍以上とした醗酵熟成ビートにおいては、総ポリフェノール含有量が極めて高く、総ポリフェノールによる高い抗酸化力等を期待できる。したがって、請求項11に記載の効果に加えて、醗酵熟成ビートの食品等への更なる利用拡大を図ることが可能である。
請求項13の発明にかかる醗酵熟成ビートの製造方法は、前記自己醗酵によって、総ポリフェノール含有量を750mg/100g以上としたものである。
ここで、生の野菜や果物の総ポリフェノール含有量は平均50mg/100gで、生ビートにおいても総ポリフェノール含有量は25mg/100g〜40mg/100gであり、更に一般的にポリフェノールが多く含まれているとされている茶(煎茶)でも総ポリフェノール含有量は205mg/100mlであることから、自己醗酵によって、総ポリフェノール含有量を750mg/100g以上とした醗酵熟成ビートにおいては、総ポリフェノール含有量が極めて高く、総ポリフェノールによる高い抗酸化力等を期待できる。よって、請求項11または請求項12に記載の効果に加えて、醗酵熟成ビートの食品等への更なる利用拡大を図ることが可能である。
請求項14の発明にかかる醗酵熟成ビートの製造方法は、前記自己醗酵によって、タンニン含有量を生ビートの40倍以上としたものである。
ここで、生ビートのタンニン含有量は概ね15mg/100g〜30mg/100g程度であることから、自己醗酵によって、タンニン含有量を生ビートの40倍以上としたものは、600mg/100g以上と多くのタンニンを含有することになり、タンニンによる高い抗酸化力等を期待できる。したがって、請求項11乃至請求項13の何れか1つに記載の効果に加えて、醗酵熟成ビートの食品等への更なる利用拡大を図ることが可能である。また、タンニンのタンパク質や金属等の凝固作用性を利用した更なる用途拡大を図ることも可能である。
請求項15の発明にかかる醗酵熟成ビートの製造方法は、前記自己醗酵によって、タンニン含有量を650mg/100g以上としたものであり、多くのタンニンを含有することから、タンニンによる高い抗酸化力等を期待できる。したがって、請求項11乃至請求項14の何れか1つに記載の効果に加えて、食品等への更なる利用拡大を図ることが可能である。また、タンニンのタンパク質や金属等の凝固作用性を利用して更なる用途拡大を図ることも可能である。
請求項16の発明にかかる醗酵熟成ビートの製造方法によれば、前記自己醗酵によって、ショ糖(スクロース)の含有量を1重量%以下としたことから、請求項11乃至請求項15の何れか1つに記載の効果に加えて、十分な醗酵熟成がなされてタンニン等の総ポリフェノールの含有量が極めて高い醗酵熟成ビートが得られる。
請求項17の発明にかかる醗酵熟成ビートペーストの製造方法は、生ビートを温度が55℃〜90℃の範囲内、湿度が60%〜95%の範囲内の環境下で自己醗酵させて醗酵熟成ビートを製造する工程と、前記醗酵熟成ビートを潰し溶媒を混合してペースト状にする工程とを具備する。
生ビートを55℃〜90℃の範囲内の温度で、60%〜95%の範囲内の湿度の管理環境下に置くと、生ビートの自己醗酵が進行して、醗酵前よりも柔らかく、爽やかな酸味や旨味が増して灰汁や土臭さ(ビート臭)が低減し、風味が増した黒色〜黒褐色の醗酵熟成ビートが得られる。また、このような所定温度、所定湿度の環境下で生ビートを醗酵熟成させることにより得られる醗酵熟成ビートにおいては、総ポリフェノール含有量が生ビートの30倍以上で750mg/100g以上となり、また、タンニン含有量が生ビートの40倍以上で650mg/100g以上となる。
ここで、温度が55℃より低いと、ビートにおいては自己醗酵ではなく腐敗が進み、不快な腐敗臭が生じたり形が崩れて泥状になったりし食用等に供することができなくなる。一方で、温度が90℃より高いと、ビートは褐色の硬い単なる乾燥物となり食用としては不向きであり、また、タンニン等の総ポリフェノール含有量の増大が少ないものとなる。
更に、湿度が60%より低いと、ビートは乾燥化する傾向にあり、また、タンニン等の総ポリフェノール含有量の増大が少ないものとなる。一方で、湿度が95%より高いと、自己醗酵ではなく腐敗化する傾向にある。
したがって、温度が55℃〜90℃の範囲内、湿度が60%〜95%の範囲内の環境下で自己醗酵させることにより、タンニン等のポリフェノールの含有量が極めて高く効率的な摂取を可能とし、しかも、食用としても好適に使用できる醗酵熟成ビートが得られる。
そして、このようにして得られた醗酵熟成ビートをペースト状にすることにより、流動性があって飲食品等の製品にも添加・配合しやすく、また、調味料等の食品としても利用しやすく、更に、飲食品等の製品の製造工程においても使用しやすいものとなる。
したがって、請求項17の発明の醗酵熟成ビートペーストの製造方法によれば、汎用性が高く、醗酵熟成ビートの摂取や醗酵熟成ビートにおけるタンニン等のポリフェノールの効率的な摂取を容易とする醗酵熟成ビートペーストを得ることができる。
請求項18の発明の醗酵熟成ビート抽出液の製造方法は、生ビートを温度が55℃〜90℃の範囲内、湿度が60%〜95%の範囲内の環境下で自己醗酵させ醗酵熟成ビートを製造する工程と、前記醗酵熟成ビートを潰してペーストにする工程と、前記ペーストを抽出溶媒で抽出する工程と、前記抽出したものを濃縮する工程とを具備する。
生ビートを55℃〜90℃の範囲内の温度で、60%〜95%の範囲内の湿度の管理環境下に置くと、生ビートの自己醗酵が進行して、醗酵前よりも柔らかく、爽やかな酸味や旨味が増して灰汁や土臭さ(ビート臭)が低減し、風味が増した黒色〜黒褐色の醗酵熟成ビートが得られる。また、このような所定温度、所定湿度の環境下で生ビートを醗酵熟成させることにより得られる醗酵熟成ビートにおいては、総ポリフェノール含有量が生ビートの30倍以上で750mg/100g以上となり、また、タンニン含有量が生ビートの40倍以上で650mg/100g以上となる。
ここで、温度が55℃より低いと、ビートにおいては自己醗酵ではなく腐敗が進み、不快な腐敗臭が生じたり形が崩れて泥状になったりし食用等に供することができなくなる。一方で、温度が90℃より高いと、ビートは褐色の硬い単なる乾燥物となり食用としては不向きであり、また、タンニン等の総ポリフェノール含有量の増大が少ないものとなる。
更に、湿度が60%より低いと、ビートは乾燥化する傾向にあり、また、タンニン等の総ポリフェノール含有量の増大が少ないものとなる。一方で、湿度が95%より高いと、自己醗酵ではなく腐敗化する傾向にある。
したがって、温度が55℃〜90℃の範囲内、湿度が60%〜95%の範囲内の環境下で自己醗酵させることにより、タンニン等の総ポリフェノールの含有量が極めて高くて効率的な摂取を可能とし、しかも、食用としても好適に使用できる醗酵熟成ビートが得られる。
そして、このようにして得られた醗酵熟成ビートを抽出することにより得られた抽出液は、醗酵熟成ビートのタンニン等のポリフェノールを効率的に摂取できるうえ、液状であって飲食品等の製品にも添加・配合しやすく、また、飲食品等の製品の製造工程においても使用しやすいものとなる。
したがって、請求項18の発明の醗酵熟成ビート抽出液の製造方法によれば、汎用性が高く、醗酵熟成ビートの摂取や醗酵熟成ビートにおけるタンニン等のポリフェノールの効率的な摂取を容易とする醗酵熟成ビート抽出液を得ることができる。
請求項19の発明の醗酵熟成ビート粉末の製造方法は、生ビートを温度が55℃〜90℃の範囲内、湿度が60%〜95%の範囲内の環境下で自己醗酵させ醗酵熟成ビートを製造する工程と、前記醗酵熟成ビートを乾燥させる工程と、前記乾燥させたものを粉砕する工程とを具備するものである。
生ビートを55℃〜90℃の範囲内の温度で、60%〜95%の範囲内の湿度の管理環境下に置くと、生ビートの自己醗酵が進行して、醗酵前よりも柔らかく、爽やかな酸味や旨味が増して灰汁や土臭さ(ビート臭)が低減し、風味が増した黒色〜黒褐色の醗酵熟成ビートが得られる。また、このような所定温度、所定湿度の環境下で生ビートを醗酵熟成させることにより得られる醗酵熟成ビートにおいては、総ポリフェノール含有量が生ビートの30倍以上で750mg/100g以上となり、また、タンニン含有量が生ビートの40倍以上で650mg/100g以上となる。
ここで、温度が55℃より低いと、ビートにおいては自己醗酵ではなく腐敗が進み、不快な腐敗臭が生じたり形が崩れて泥状になったりし食用等に供することができなくなる。一方で、温度が90℃より高いと、ビートは褐色の硬い単なる乾燥物となり食用としては不向きであり、また、タンニン等の総ポリフェノール含有量の増大が少ないものとなる。
更に、湿度が60%より低いと、ビートは乾燥化する傾向にあり、また、タンニン等の総ポリフェノール含有量の増大が少ないものとなる。一方で、湿度が95%より高いと、自己醗酵ではなく腐敗化する傾向にある。
したがって、温度が55℃〜90℃の範囲内、湿度が60%〜95%の範囲内の環境下で自己醗酵させることにより、タンニン等の総ポリフェノールの含有量が極めて高くてタンニン等の総ポリフェノールの効率的な摂取を可能とし、しかも、食用としても好適に使用できる醗酵熟成ビートが得られる。
そして、このようにして得られた醗酵熟成ビートを粉末化することにより、醗酵熟成ビートのタンニン等のポリフェノールを効率的に摂取することが可能となるうえ、飲食品、医薬品、化粧品等の製品にも添加・配合等しやすく、また、健康補助食品等としても利用しやすく、更に飲食品等の製品の製造工程においても使用しやすいものとなる。
したがって、請求項19の発明の醗酵熟成ビート粉末の製造方法によれば、汎用性が高く、醗酵熟成ビートの摂取や醗酵熟成ビートにおけるタンニン等のポリフェノールの効率的な摂取を容易とする醗酵熟成ビート粉末を得ることができる。
本発明の実施の形態に係る醗酵熟成ビートは、生ビートを自己醗酵させることにより製造されるものである。
ここで、自己醗酵させる生ビートにおいては、ビートの根の部分が使用される。生ビートは、生活環が2年で完了する二年生植物であるが、一年目に大きな多肉根が発達してショ糖の形でエネルギー貯蔵場所となる貯蔵根が形成されることから、一年目に収穫したものであっても、二年目に収穫したものであっても、使用できる。なお、自己醗酵させる生ビートは、通常、収穫後に洗浄したものが使用され、更に、短期間で均一に醗酵熟成させるために、収穫後に適度に切断したものを使用してもよい。
また、自己醗酵は、温度が55℃〜90℃の範囲内、好ましくは、60℃〜85℃の範囲内、より好ましくは、70℃〜80℃の範囲内で、湿度が60%〜95%、好ましくは、65%〜95%の範囲内、より好ましくは、70%〜95%の範囲内の環境下で醗酵熟成させる。
温度が55℃より低いと、ビートは自己醗酵ではなく腐敗が進み、不快な腐敗臭が生じたり形が崩れて泥状になったりし食用等に供することができなくなる。一方で、温度が90℃より高いと、ビートは褐色の硬い単なる乾燥物となり、食用としては不向きであり、また、後述するタンニン等の総ポリフェノール含有量の増大が少ないものとなる。
なお、温度が55℃〜90℃の範囲内の環境下とは、例えば、特定の温度条件に設定可能な醗酵熟成室で特定の温度環境を形成することによって達成することができる。
また、湿度が60%より低いと、ビートは乾燥化する傾向にあり、後述するタンニン等の総ポリフェノール含有量の増大が少ないものとなる。一方で、湿度が95%より高いと、自己醗酵ではなく腐敗化する傾向にある。
なお、湿度が60%〜95%の範囲内の環境下とは、例えば、特定の湿度条件に設定可能な醗酵熟成室で特定の湿度環境を形成することによって達成することもできるし、密閉系の容器に収容した生ビートを特定の温度条件に設定可能な醗酵熟成室に入れて、生ビート自身の有する水分を利用して密閉系内で特定の湿度環境を形成することによっても達成することができる。特に、ビートは元来水分含有量が多い野菜であり、本発明者らの実験研究によれば、水分含有量を70重量%〜80重量%の範囲内とした生ビートを用いることで、55℃〜90℃の範囲内の温度環境下としたとき、密閉系内で60%〜95%の範囲内の湿度の環境下を形成することが可能であることが確認されている。
自己醗酵させる期間は、ビートの大きさ、水分含有量等に応じて設定され、通常、25日間〜35日間であるが、醗酵熟成中のビートの色の変化状態等を観察して自己醗酵の完了が判断される。通常、25日間〜35日間である。
自己醗酵させる方法としては、例えば、特定の温度条件に設定可能な醗酵熟成室にて密閉系の容器に入れた生ビートを醗酵熟成する方法や(この場合、生ビート自身の有する水分により容器の密閉系内で特定の湿度環境を形成することが可能である)、特定の温度及び湿度条件に設定可能な醗酵熟成室にて開放系のトレイ等に入れた生ビートを醗酵熟成する方法等が挙げられる。
こうして、生ビートを温度が55℃〜90℃の範囲内、湿度が60%〜95%の範囲内の管理環境下におくと、生ビートの自己醗酵が進行して、醗酵熟成前の生ビートよりも寸法が小さくなるものの固形形状は維持され、醗酵熟成前の生ビートよりも柔らかく、白色を呈していた生ビートが黒色〜黒褐色に変化した固体状の醗酵熟成ビートが得られる。
そして、得られた醗酵熟成ビートにおいては、爽やかな酸味や旨味が増して灰汁や土臭さ(ビート臭)が低減し、風味が増しており、野菜の食材として食用摂取がしやすくなっている。
更に、このように生ビートを温度が55℃〜90℃の範囲内、湿度が60%〜95%の範囲内の環境下において自己醗酵させることによって得られた醗酵熟成ビートは、総ポリフェノール含有量が生ビートの30倍以上で750mg/100g以上となり、また、タンニン含有量が生ビートの40倍以上で650mg/100g以上となる。これは、自己醗酵により生ビート中の配糖体が自己の酵素や微生物の酵素によって加水分解されたためと思われる。
したがって、生ビートを自己醗酵させることにより得られた醗酵熟成ビートによれば、食品添加材として汎用されやすい総ポリフェノールやタンニンを有効成分としてその用途拡大や利用拡大を図ることができる。即ち、タンニン等の総ポリフェノールの含有量が高いことから、食材としての利用に限らず、タンニン等の総ポリフェノールによる抗酸化力を期待して抗酸化剤等として飲食品、化粧品、医薬品等に利用することも可能となる。
また、このようにして得られた醗酵熟成ビートを食用摂取した場合には、タンニン等の総ポリフェノールの抗酸化作用等による生理活性作用、例えば、体内で活性酸素の除去やコレステロールの酸化防止による糖尿病、高脂血症、動脈硬化等の生活習慣病や癌を予防する効果、ストレスの軽減化、血圧降下抑制効果、疲労回復効果等が期待できる。加えて、タンニンの腸の粘膜を刺激して腸を引き締める収れん作用による下痢改善の効果、タンニンの消臭・脱臭作用による口臭予防の効果等も期待できる。また、得られた醗酵熟成ビートを化粧品等に使用して人体に外用することで、タンニン等の総ポリフェノールによる活性酸素除去等の生理活性作用によって、美肌効果、肌荒れ改善、シミ・ソバカスの軽減等の効果も期待できる。特に、得られた醗酵熟成ビートは自然醗酵によりタンニン等の総ポリフェノール含有量を高めた天然物であることから、食品への添加や生体への外用にも好適に用いることができる。
なお、得られた醗酵熟成ビートにおいては、醗酵熟成前の生ビートよりもタンニン含量が極めて高くなっているものの、えぐみ等の灰汁は醗酵熟成前の生ビートよりも少なく、酵熟成前の生ビートよりも野菜の食材として食用摂取がしやすいものである。
よって、本実施の形態の醗酵熟成ビートは、野菜の食材としてその風味や食感を生かして、また、タンニン等の総ポリフェノールにおける抗酸化性等による生理活性作用を期待して、野菜、漬物等の飲食品・健康補助食品として利用可能である他、例えば、ソース、タレ、しょうゆ、ケチャップ、味噌、シロップ、蜂蜜、ジャム等の調味料、ワイン、日本酒、ビール等のアルコール飲料、清涼飲料、炭酸飲料、栄養飲料、果実・野菜飲料、乳酸飲料等の飲料、そば(焼きそば、日本そば、中華そば等)、うどん、スパゲッティ、ラーメン、はるさめ、ギョウザの皮、シュウマイの皮、即席麺等の麺類、アイスクリーム、アイスシャーベット、かき氷等の冷菓、飴、ガム、チョコレート、錠菓、スナック菓子、ビスケット、ゼリー、クリーム、焼き菓子等の菓子類、ハム、ソーセージ等の水産・畜産加工食品、蒲鉾等の練り製品、加工乳、発酵乳等の乳製品、サラダ油、てんぷら油、なたね油、大豆油、コーン油、ごま油、オリーブオイル、ラード、マーガリン、バター、マヨネーズ、ショートニング、ホイップクリーム、ドレッシング等の油脂及び油脂加工食品、小麦粉、大麦粉、ライ麦粉、ベーキング粉、米粉等の生地、スープ、シチュールー、カレールー、ふりかけ等の加工食品、レトルト食品、佃煮、サラダ等の惣菜、漬物、パン等の飲食品や、化粧品、医薬品等に添加・配合等することによって利用することもでき、ビートの汎用性を高めることができる。
なお、これらの飲食品等に使用する形態は、特に限定されず、醗酵熟成ビートを調味料や酒類等に漬けたり、加熱乾燥や凍結乾燥させたり等の加工した形態で飲食品等に使用することも可能である。
このように、本実施の形態においては、微生物や酵素等の添加物を添加することなく、温度が55℃〜90℃の範囲内、湿度が60%〜95%の範囲内の環境下で生ビートを自己醗酵により醗酵熟成させるという簡単な作業により、爽やかな酸味や旨味が増して、灰汁や土臭さ(ビート臭)が低減し、風味が増すと共に、抗酸化性能等を有するタンニン等の総ポリフェノール含有量が高められた醗酵熟成ビートが得られる。
したがって、本実施の形態の醗酵熟成ビートによれば、野菜の食材としての食用摂取がしやすくなり、しかも、有用な成分であるタンニン等の総ポリフェノールを効率的に摂取できるようになる。よって、その風味や食感を生かして、また、タンニン等の総ポリフェノールによる生理活性作用を期待して、飲食品・健康補助食品等として利用したり、飲食品、化粧品、医薬品等に添加・配合等して利用したりすることが可能となる。故に、ビートの利用拡大や用途拡大を図ることが可能であり、ビートの利用価値の向上に貢献できる。
ここで、このようにして得られた固体状の醗酵熟成ビートは、飲食品、健康補助食品、医薬品等に更に利用し易くするために、ペースト、抽出液、粉末等に加工することも可能である。
醗酵熟成ビートペーストは、例えば、固体状の醗酵熟成ビートを乳鉢、ミンチ機、ミキサー等の公知の手段を用いて潰したり、固体状の醗酵熟成ビートを水、蜂蜜、酒、食用油、食酢等の流動性があり食用可能な溶媒と共にミキサー、エクストルーダー、スクリューブレンダー等の公知の混練手段を用いて混錬したりすることにより得られる。こうして得られた醗酵熟成ビートペーストは、醗酵熟成ビートよりもタンニン等のポリフェノールの含有量が高められている。なお、ペーストにする際に、ペクチン、寒天、アルギン酸ソーダといった食用の増粘性多糖類等の増粘剤を添加してもよい。
このようにして、固体状の醗酵熟成ビートをペースト状にしてなる醗酵熟成ビートペーストは、例えば、調味料としてパン、菓子類等に塗ったり、食肉等を漬け込んだりするのに好適である。
また、醗酵熟成ビート抽出液は、例えば、固体状の醗酵熟成ビートをペーストにする工程と、得られたペーストを抽出溶媒を用いて抽出する工程と、抽出したものを濃縮する工程により製造される。
具体的に、固体状の醗酵熟成ビートをペーストにする工程は、乳鉢、ミンチ機、ミキサー等の公知の手段を用いて固体状の醗酵熟成ビートを潰すことにより行われる。
また、このペーストを抽出溶媒を用いて抽出する工程において、抽出溶媒は、水及び/または親水性有機溶媒が好ましく、水で抽出した後、更に親水性有機溶媒で抽出することがより好ましい。タンニン等の総ポリフェノールの抽出効率を高めることができるからである。抽出溶媒による抽出は、例えば、40℃〜80℃、好ましくは、40〜75℃、より好ましくは、45℃〜70℃の温水を醗酵熟成ビートのペーストに加え、ブレンダー、ミキサー等の公知の手段を用いて攪拌して攪拌抽出し、その後、冷却水を用いて冷却し、親水性有機溶媒を添加して混合した後、遠心分離を行って不溶物を除去することにより行われる。このときの抽出溶媒としての水は、純水、水道水、井戸水、鉱泉水、鉱水、温泉水、湧水、淡水等、更には、これらに精製、加熱、殺菌、濾過、イオン交換、浸透圧の調整、緩衝化等の各種処理を施したもの、例えば、精製水、熱水、イオン交換水、生理食塩水、リン酸緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水等が使用できる。また、抽出溶媒としての親水性有機溶媒は、食用に供することができるものであればよく、例えば、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブタノール等の炭素数1〜4の低級脂肪族アルコール、1,3‐ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコール、アセトン、メチルエチルケトン等の低級脂肪族ケトンまたはこれらの混合物等が使用できる。なお、抽出溶媒量は、抽出原料である醗酵熟成ビートペーストの1倍量〜10倍量が好ましく、より好ましくは、3倍量〜5倍量である。
更に、このようにして抽出したものを濃縮する工程は、減圧濃縮により濃縮、例えば、乾燥残分60質量〜65質量%まで濃縮することにより行われる。
このような工程によって、醗酵熟成ビート抽出液が得られ、得られた醗酵熟成ビート抽出液は、醗酵熟成ビートよりもタンニン等のポリフェノールの含有量が高められている。
そして、このようにして、固体状の醗酵熟成ビートを抽出してなる醗酵熟成ビート抽出液は、例えば、飲料や液状の食品に添加・配合等したり、食肉等を漬け込んだりするのに好適である。
更に、醗酵熟成ビート粉末は、例えば、固体状の醗酵熟成ビートを乾燥する工程と、乾燥したものを粉砕する工程により製造される。
具体的に、固体状の醗酵熟成ビートを乾燥する工程は、50℃〜85℃、好ましくは60℃〜75℃、より好ましくは65℃〜75℃の範囲内で加熱乾燥させたり、減圧下にて凍結乾燥させたりすることによって行うことができる。
また、乾燥したものを粉砕する工程は、吸湿に注意しエアコンの環境下等でピンミル等の公知の手段を用いて行われ、粉砕後に、50メッシュ〜100メッシュ、好ましくは60メッシュのパンチングスクリーンにより篩過処理を行うことが望ましい。
このような工程によって、醗酵熟成ビート粉末が得られ、得られた醗酵熟成ビート粉末は、醗酵熟成ビートよりもタンニン等のポリフェノールの含有量が高められている。
そして、このようにして、固体状の醗酵熟成ビートを乾燥、粉砕してなる醗酵熟成ビート粉末は、例えば、飲食品のみならず、健康補助食品や医薬品等に添加・配合等するのに好適に用いられる。
こうして、固体状の醗酵熟成ビートをペースト状にしてなる醗酵熟成ビートペースト、固体状の醗酵熟成ビートを抽出してなる醗酵熟成ビート抽出液、固体状の醗酵熟成ビートを粉状にしてなる醗酵熟成ビート粉末によれば、醗酵熟成ビートのタンニンやポリフェノール等の有用な成分を効率的に摂取することが可能となるうえ、調味料等の飲食品、健康補助食品、医薬品として利用しやすく、また、食品、医薬品、化粧品等の製品にも添加・配合等しやすく、更に、飲食品等の製品の製造工程においても使用しやすいものとなり、醗酵熟成ビートを利用しやすいものとすることができる。よって、醗酵熟成ビートの汎用性を高めて用途拡大を図ることができる。
特に、醗酵熟成ビートや、醗酵熟成ビートを加工することで得られた醗酵熟成ビートペースト、醗酵熟成ビート抽出液、醗酵熟成ビート粉末(以下、これらを醗酵熟成ビートの加工物と称す)は、自己醗酵によってタンニン等の総ポリフェノール含有量が高められていることから、野菜の食材としての利用の他、タンニン等の総ポリフェノールによる抗酸化力を利用して、抗酸化剤(還元剤)、酸化防止剤、日持ち向上剤として利用することも可能である。例えば、食肉等の畜産物、魚等の水産物、ハム、ベーコン、ソーセージ等の水産・畜産加工食品、魚油、植物油等の油脂及び油脂加工食品、ソース、タレ等の調味料、アルコール飲料、清涼飲料、炭酸飲料、栄養飲料、野菜・果実飲料、乳酸飲料の飲料等の飲食品や、医薬品や、化粧品、化学品等の製品に配合して使用したり、これら製品の製造中に添加等によって使用したりすることにより、これら製品の酸化を防止し保存性を高めることができる。
具体的には、例えば、食肉等の畜産物や、魚等の水産物等を醗酵熟成ビートやその加工物で漬け込む等によって畜産物や水産物等に醗酵熟成ビートやその加工物を接触させることで、畜産物や水産物等の鮮度を保持したり、異臭、異味、変色等を抑制したりすることができ、畜産物や水産物等の保存性を向上させることができる。かかる場合、タンニン等のポリフェノールの抗酸化力によって酸化が防止されることに加え、タンニンの抗菌作用によって微生物の増殖が抑制され、高い保存性が得られる。更に、醗酵熟成ビートやその加工物で漬け込んだ場合、肉質(身)が引き締まっていて、弾力性が良く旨味も多く好適な食感・風味も得られる。特に、食肉の場合には熱変性による脱水収縮を軽減し、加熱による歩留りを向上させることも可能である。これは、醗酵熟成ビートやその加工物に多く含まれるタンニンが畜産物や水産物等の中のタンパク質と結合することによって、畜産物や水産物等の成分の溶出が抑制されるためと思われる。
更に、ジャガイモ、サツマイモ、サトイモ等の芋類や、ダイコン、カブ、ニンジン等の根菜や、カボチャ等の塊状類等の野菜を醗酵熟成ビートやその加工物を含む液で煮熟した場合、これら野菜の煮崩れを防止することが可能である。これは、醗酵熟成ビートやその加工物に多く含まれているタンニンによる効果と考えられる。このため、このタンニンによる煮崩れ防止効果を利用し、醗酵熟成ビートやその加工物を煮崩れ防止用として、野菜を煮熟する煮熟用水に使用する等、野菜の加工食品の製造過程で使用することも可能である。
また、自己醗酵によってタンニンの含有量が高められていることから、タンニンのタンパク質や金属等と結合して沈殿させる凝固作用性を利用して、食品加工工程において、原材料や食品の製造工程で混入する不純物のタンパク質や重金属イオン等を除去するための凝集剤・除去剤・吸着剤として使用することも可能である。
更に、タンニン等の総ポリフェノールによる抗酸化作用に加え、このタンニンの凝固作用性を利用して、清酒防止剤・澱下剤・清澄化剤や、醸造用水の浄化用や、熟成による風味改善用としてアルコール飲料製造等に使用することも可能である。また、タンニンの凝固作用性を利用して、ガムの歯付き防止剤としてチューイングガム等の菓子類に使用することもできる。
加えて、タンニンには消臭・脱臭作用があることから、食品加工工程において、食品を洗浄したり浸漬させたりする液等に醗酵熟成ビートやその加工物を利用し、食品の消臭・脱臭効果を図ることも可能である。
また、醗酵熟成ビートやその加工物を洗浄液や浸漬液等に配合し、醗酵熟成ビートやその加工物が配合された液を葡萄、びわ、柿、リンゴ、梨、柑橘類等の青果物に洗浄や浸漬等によって接触させることにより、かかる青果物に光沢を付与することができる。これは、醗酵熟成ビートやその加工物に多く含まれているタンニンによる効果と考えられる。
その他にも、食品や食品製造工程において、自己醗酵によってタンニンの含有量が高められた醗酵熟成ビートやその加工物を使用することで、タンニンの凝固作用性により、食品の保湿効果や、粘弾性改善効果、ドリップ防止効果等の食品物性の改質効果を期待できる。
また、醗酵熟成ビートやその加工物を、家畜の飼料に使用することも可能である。家畜の飼料に使用した場合、タンニン等の総ポリフェノールによる活性酸素除去作用等の生理活性作用によって、例えば、家畜の肥育期間の短縮、採乳率の向上、生存率の向上等を期待できる。更に、醗酵熟成ビートやその加工物を配合した飼料を給与することにより生育した家畜においては、タンニン等の総ポリフェノールによる上記生理活性作用により、腹腔内蓄積脂肪を減少でき、コレステロール含有量の少ない肉、弾力性のある肉等、商品価値の高い肉の生産も期待できる。
食品や食品製造への利用以外にも、タンニン等の総ポリフェノールの抗酸化力(還元力)を利用して、医薬品、化粧品、化学品等に使用される抗酸化剤・還元剤や防錆剤として利用することも可能である。
また、自己醗酵によってタンニン等の総ポリフェノール含有量が高められた醗酵熟成ビートやその加工物を化粧品等に使用して人体に外用することにより、タンニン等の総ポリフェノールの抗酸化性(還元性)によって、美肌効果、肌荒れ改善、シミ及びソバカスの軽減等の効果も期待できる。
更には、タンニンのタンパク質と結合する性質によって体内の組織や血管を縮めたり、腸の粘膜を刺激して腸を引き締めたりする収れん作用を利用して、醗酵熟成ビートやその加工物を収れん剤として、止血剤、塗り薬、下痢止め等の医薬品や、繊維のフロッキング加工、アレルゲン封止剤、洗剤助剤等に使用することも可能である。また、醗酵熟成ビートやその加工物をシャンプー・リンス等の毛髪剤や化粧品に使用することで、タンニンによる収れん作用やメラニンを産生する細胞の増殖抑制作用によって、開いた毛穴や皮脂腺等の引き締め効果、毛穴を目立ちにくくする効果、制汗効果、美白効果、日焼け防止効果を期待できる。
更に、タンニンの消臭・脱臭作用や抗菌性を利用して、醗酵熟成ビートやその加工物を脱臭剤、消臭剤、歯磨剤、うがい剤、洗剤、ハンドソープ、消毒剤等に使用することも可能である。
その他にも、主にタンニンを有効成分として、タンニンによるタンパク質等に結合して沈殿させる凝固作用性や金属との高結合性を利用し、醗酵熟成ビートやその加工物を、防錆剤、防食皮膜剤、金属表面処理剤、清缶剤、接着剤、セラミックや粘土等の粘度調節剤、各種金属イオンの沈殿剤(鉱物からの金属の浮揚剤、重金属吸着剤等)、排水の浄化剤(排水処理剤)、染色剤、塗料、コーティング剤、防水剤、柔軟剤、補強剤、タンパク質・重金属・アルカロイドの吸着樹脂の材料や、タンニンの脱臭、消臭作用を利用し、脱臭剤、消臭剤等の多様な他用途への使用が可能である。
なお、醗酵熟成ビートペースト、醗酵熟成ビート抽出液、醗酵熟成ビート粉末を食品、健康補助食品、医薬品等に使用する場合、使用する際の形態は、ペースト状、液状、粉状に限られず、水溶液、エマルジョン、カプセル等、顆粒状、棒状、タブレット状、製剤等の形態として使用することも可能である。
以上説明したように、本実施の形態の醗酵熟成ビート及びその製造方法は、温度が55℃〜90℃の範囲内、湿度が60%〜95%の範囲内の環境下で生ビートを自己醗酵させることにより、総ポリフェノール含有量を生ビートの30倍以上で750mg/100g以上とし、タンニン含有量を生ビートの40倍以上で650mg/100g以上としたものである。
したがって、本実施の形態の醗酵熟成ビート及びその製造方法によれば、自己醗酵によって、爽やかな酸味や旨味が増して、灰汁や土臭さ(ビート臭)が低減し、風味が増すと共に、抗酸化性能等を有するタンニン等の総ポリフェノール含有量が高められることから、野菜の食材としての食用摂取がしやすく、しかも、有用な成分であるタンニン等の総ポリフェノールを効率的に摂取できる醗酵熟成ビートとなる。よって、その風味や食感を生かして、また、タンニン等の総ポリフェノールによる生理活性作用や抗酸化力等を期待して、飲食品・健康補助食品等として利用したり、飲食品、化粧品、医薬品等に添加・配合等して利用したりすることが可能となる。故に、ビートの利用拡大や用途拡大を図ることが可能である。
また、本実施の形態の醗酵熟成ビートペーストは、温度が55℃〜90℃の範囲内、湿度が60%〜95%の範囲内の環境下で生ビートを自己醗酵させることにより得られた醗酵熟成ビートを潰し、溶媒を混合してペースト状にしてなるものであり、本実施の形態の醗酵熟成ビートペーストの製造方法は、生ビートを温度が55℃〜90℃の範囲内、湿度が70%〜95%の範囲内の環境下で自己醗酵させて醗酵熟成ビートを製造する工程と、前記醗酵熟成ビートを潰し溶媒を混合してペースト状にする工程とを具備するものである。
したがって、本実施の形態の醗酵熟成ビートペースト及びその製造方法によれば、醗酵熟成ビートをペースト状にすることにより、醗酵熟成ビートのタンニン等のポリフェノールを効率的に摂取できるうえ、流動性があって飲食品等の製品にも添加・配合しやすく、また、調味料等の食品としても利用しやすく、更に、飲食品等の製品の製造工程においても使用しやすいものとなる。このため、醗酵熟成ビートの汎用性を高めて更なる用途拡大を図ることができる。
更に、本実施の形態の醗酵熟成ビート抽出液は、温度が55℃〜90℃の範囲内、湿度が60%〜95%の範囲内の環境下で生ビートを自己醗酵させることにより得られた醗酵熟成ビートを潰してペースト状としたのち、抽出溶媒を加えて抽出し濃縮してなるものであり、本実施の形態の醗酵熟成抽出液の製造方法は、生ビートを温度が55℃〜90℃の範囲内、湿度が70%〜95%の範囲内の環境下で自己醗酵させ醗酵熟成ビートを製造する工程と、醗酵熟成ビートを潰してペーストにする工程と、ペーストを抽出溶媒で抽出する工程と、抽出したものを濃縮する工程とを具備するものである。
したがって、本実施の形態の醗酵熟成ビート抽出液及びその製造方法によれば、醗酵熟成ビートを抽出して抽出液とすることで、醗酵熟成ビートのタンニン等のポリフェノールを効率的に摂取できるうえ、液状であって飲食品等の製品にも添加・配合しやすく、また、飲食品等の製品の製造工程においても使用しやすいものとなる。このため、醗酵熟成ビートの汎用性を高めて更なる用途拡大を図ることができる。
更に、本実施の形態の醗酵熟成ビート抽出液は、温度が55℃〜90℃の範囲内、湿度が60%〜95%の範囲内の環境下で生ビートを自己醗酵させることにより得られた醗酵熟成ビートを潰してペースト状としたのち、抽出溶媒を加えて抽出し濃縮してなるものであり、本実施の形態の醗酵熟成ビート抽出液の製造方法は、生ビートを温度が55℃〜90℃の範囲内、湿度が70%〜95%の範囲内の環境下で自己醗酵させ醗酵熟成ビートを製造する工程と、醗酵熟成ビートを潰してペーストにする工程と、ペーストを抽出溶媒で抽出する工程と、抽出したものを濃縮する工程とを具備するものである。
したがって、本実施の形態の醗酵熟成ビート抽出液及びその製造方法によれば、醗酵熟成ビートを抽出して抽出液とすることで、醗酵熟成ビートのタンニン等のポリフェノールを効率的に摂取できるうえ、液状であって飲食品等の製品にも添加・配合しやすく、また、飲食品等の製品の製造工程においても使用しやすいものとなる。このため、醗酵熟成ビートの汎用性を高めて更なる用途拡大を図ることができる。
加えて、本実施の形態の醗酵熟成ビート粉末は、温度が55℃〜90℃の範囲内、湿度が60%〜95%の範囲内の環境下で生ビートを自己醗酵させることにより得られた醗酵熟成ビートを乾燥、粉砕してなるものであり、本実施の形態の醗酵熟成ビート粉末の製造方法は、生ビートを温度が55℃〜90℃の範囲内、湿度が70%〜95%の範囲内の環境下で自己醗酵させ醗酵熟成ビートを製造する工程と、醗酵熟成ビートを乾燥させる工程と、乾燥させたものを粉砕する工程とを具備するものである。
したがって、本実施の形態の醗酵熟成ビート粉末及びその製造方法によれば、醗酵熟成ビートを粉末化することにより、醗酵熟成ビートのタンニン等のポリフェノールを効率的に摂取できるうえ、粉状であって飲食品、医薬品、化粧品等の製品にも添加・配合等しやすく、また、健康補助食品等としても利用しやすく、更に飲食品等の製品の製造工程においても使用しやすいものとなる。このため、醗酵熟成ビートの汎用性を高めて更なる用途拡大を図ることができる。
因みに、本発明者らの実験研究によれば、ビートに外観が似ている大根を上記環境下に置いても自己醗酵することはないことが確認されており、ビートにおいては、光合成産物がショ糖の形態で蓄積され、糖化プロセスが不要なショ糖や単糖類等の糖分が多く含有していることによって、所定温度及び所定湿度の環境下におくことで自己醗酵させることができると考えられる。故に、本実施の形態の醗酵熟成ビートにいては、微生物や酵素等の添加物を添加することなく、55℃〜90℃の範囲内の温度で、75%〜90%の範囲内の湿度の環境下で自己醗酵により生ビートを醗酵熟成させるという安価な生産コスト、かつ、簡単な作業により、抗酸化性能を有するタンニン等の総ポリフェノール含有量を高めることができる。
以下、本実施の形態に係る醗酵熟成ビート及びその加工物の醗酵熟成ビートペースト、醗酵熟成ビート抽出液、醗酵熟成ビート粉末、並びにそれらの製造方法を更に具体化した実施例について説明する。
[実施例1](醗酵熟成ビート及びその製造方法)
北海道の河東郡で栽培され12月に収穫されて、1週間〜2週間畑で自然乾燥させた生ビートの根塊をブラシで水洗浄し、収容する醗酵熟成容器の深さに対応させるために、適当に切断して2cm〜8cm角×長さ10cm程度とし、陰干しをして洗浄時に付着した余分な水分を蒸発させた。
次に、このようにして処理された生ビートをアルミ製の密閉容器である醗酵熟成容器内に入れたのち、かかる容器を密閉し、断熱壁で構成された醗酵熟成室にて醗酵熟成させた。
具体的には、熱風発生機を使用して醗酵熟成室の温度を80℃に設定し温度管理を行って、まずは5日間、生ビートを熟成醗酵させた。このとき、ビートを収容した醗酵熟成容器は密閉系としていることで、ビートから蒸発した水分が醗酵熟成容器内で保持され、醗酵熟成容器内の湿度は70%〜90%の範囲内に保持される。5日後に、醗酵熟成室内に収容されている醗酵熟成容器の蓋を開け、醗酵熟成の進捗状況の確認や醗酵熟成容器内のガス抜きを行った。ビートの醗酵熟成による色の変化を参照して、醗酵の進捗状況が遅いビートに関しては、その中心部まで均一に醗酵熟成するよう、適当に切れ目を入れたり、切断して2cm〜3cm角×長さ10cm程度とした。そして、再度、ビートを収容した醗酵熟成容器を密閉し、醗酵熟成室の温度を70℃に設定して温度管理を行い、15日間、ビートを熟成醗酵させた。このときも、ビートが収容された醗酵熟成容器を密閉系としていることで、ビートから蒸発した水分が醗酵熟成容器内で保持され、醗酵熟成容器内の湿度は70%〜90%に保持される。15日後に、再び、醗酵熟成室内に収容されている醗酵熟成容器の蓋を開け、醗酵熟成の進捗状況の確認や醗酵熟成容器内のガス抜きを行った。そして、再度、ビートを収容した醗酵熟成容器を密閉し、醗酵熟成室の温度を70℃に設定し温度管理を行って、15日間、ビートを熟成醗酵させた。15日後、ビートの色で醗酵熟成状態を判別し、均一に醗酵熟成されていないものについては、更に5日間熟成発酵させた。
このようにして、温度が70℃〜80℃の範囲内、湿度が70%〜90%の範囲内の環境下で、35日間〜40日間生ビートを自己醗酵させて醗酵熟成ビートを得た。
こうして、温度が70℃〜80℃の範囲内、湿度が70%〜90%の範囲内の管理環境下で自己醗酵によって生ビートを醗酵熟成させることにより得られた醗酵熟成ビートにおいては、醗酵熟成前の生ビートよりも寸法が小さくなるもの形が崩れることはなく、形状を維持しつつも、醗酵熟成前の生ビートよりも柔らかく、黒色〜黒褐色に変化していた。
この醗酵熟成ビートは、醗酵前の生ビートと比較し、柔らかいので皮を剥いてそのまま食べることができ、爽やかな酸味や旨味が増している一方で、灰汁や土臭さ(ビート臭)が低減して、風味が増していた。
また、このようにして得られた醗酵熟成ビートについて、成分分析(定量分析)を行ったところ、表1に示すような分析結果となった。なお、表1においては、比較のための比較例1として醗酵熟成前の生ビートについて同様に成分分析(定量分析)を行った結果を示してある。
ここで、表1において、減圧加熱直接法(減圧加熱乾燥法)は、水分の定量分析法であり、減圧下で測定試料が分解しない温度(例えば、40℃〜100℃)にて加熱乾燥し、恒量に達せしめ、乾燥前後の重量差から水分量を決定したものである。
また、高速液体クロマトグラフ法(HPLC法)は、測定試料をカラムに流し込み、液体の移動相をポンプなどによって加圧してカラムを通過させ、分析種を固定相及び移動相との相互作用(吸着、分配、イオン交換、サイズ排除など)の差を利用して高性能に分離して検出したものである。
更に、フォーリン・デニス法(Folin-Denis法)は、フェノール性水酸基の還元性を利用して、フェノール性水酸基がアルカリ溶液中で、リンタングステン酸、モリブテン酸を還元して生じる青紫色を700nm〜770nmで比色定量する方法であり、測定試料にフォーリン液を添加し、その後のフェノール性水酸基による青紫色の発色を700nm〜770nmの吸光度を測定することにより、測定試料中に含まれる総ポリフェノール量やタンニン量を測定したものである。
Figure 2016042848
表1に示すように、比較例1の生ビートにおいては、ショ糖(スクロース)が18.5g/100g、果糖(フルクトース)が0.3g/100g、ブドウ糖(グルコース)が0.3g/100gであるのに対し、実施例1の醗酵熟成ビートにおいては、ショ糖(スクロース)が0g/100g、果糖(フルクトース)が28.2g/100g、ブドウ糖(グルコース)が29.5g/100gであり、糖成分の変化が生じていることから、生ビート(比較例1)を温度が70℃〜80℃の範囲内、湿度が70%〜90%の範囲内の管理環境下に35日間〜40日間置いたことで、生ビートが自己醗酵したことが分かる。即ち、ショ糖の減少は、酵素による加水分解や微生物による資化等に起因するものであり、また、ブドウ糖(グルコース)及び果糖(フルクトース)の増大は、ショ糖の加水分解に起因するものであると考えられ、上記環境下で生ビートが醗酵熟成したことを裏付けている。
そして、比較例1の生ビートにおいては、水分含有量が74.5g/100g、総ポリフェノール含有量が31mg/100g、タンニン含有量が21mg/100g、カテキン含有量が0mg/100gであるに対し、実施例1の醗酵熟成ビートにおいては、水分含有量が7.3g/100g、総ポリフェノール含有量が1200mg/100g、タンニン含有量が970mg/100g、カテキン含有量が2mg/100gであり、醗酵熟成前の生ビート(比較例1)と比較して、水分含有量が約10分の1に減少したにも関わらず、総ポリフェノール含有量は約40倍、タンニン含有量は48倍に増加している。
特に、本実施例1の醗酵熟成ビートにおいては、自己醗酵によってショ糖(スクロース)の含有量が1重量%以下に減少していることから、十分な醗酵熟成がなされており、総ポリフェノール含有量及びタンニン含有量が極めて高い値となっている。
因みに、タンニン等の総ポリフェノールは醗酵熟成の進行に伴い経時的に増加していた。
このように、本実施例1によれば、微生物や酵素等の添加物を添加することなく、温度が70℃〜80℃の範囲内、湿度が70%〜90%の範囲内の環境下で自己醗酵により生ビートを醗酵熟成させるという簡単な作業により、抗酸化性を有するカテキン等の総ポリフェノール含有量が高められた醗酵熟成ビートが得られる。
そして、このようにして得られた本実施例1の醗酵熟成ビートによれば、自己醗酵により、醗酵前の生ビートよりも柔らかく、爽やかな酸味や旨味が増して灰汁や土臭さ(ビート臭)が低減し、風味が増大すると共に、抗酸化性を有するタンニン等の総ポリフェノール含有量が高められている。
このため、本実施例1の醗酵熟成ビートは、野菜の食材としての食用摂取がしやすく、しかも、有用な成分であるタンニン等の総ポリフェノールを効率的に摂取できる。したがって、その風味や食感を生かして、また、タンニン等の総ポリフェノールによる生理活性作用や抗酸化力等を期待して、飲食品・健康補助食品等として利用したり、飲食品、化粧品、医薬品等に添加・配合等して利用したりすることが可能となる。故に、ビートの利用拡大や用途拡大を図ることが可能である。
[実施例2]
(醗酵熟成ビートペースト及びその製造方法)
実施例1で得られた醗酵熟成ビートに溶媒としての蜂蜜を加え、ミキサーに入れて良く混練することにより、粘調なペースト状の醗酵熟成ビートペーストを得た。
このようにして得られた醗酵熟成ビートペーストは、水溶性であり、タンニン等の総ポリフェノール含有量が醗酵熟成ビートよりも高められていた。そして、得られた醗酵熟成ビートペーストは、ビート特有の灰汁や土臭さ(ビート臭)が低減し、マイルドな風味となっていた。
したがって、本実施例2の醗酵熟成ビートペーストにおいては、タンニン等の総ポリフェノールを効率的に摂取できるうえ、ペースト状であることによって流動性があり飲食品等の製品にも添加・配合しやすく、また、調味料等の食品としても利用しやすく、更に、飲食品等の製品の製造工程においても使用しやすい。このため、醗酵熟成ビートの汎用性を高めて更なる用途拡大を図ることができる。
[実施例3]
(醗酵熟成ビート抽出液及びその製造方法)
実施例1で得られた醗酵熟成ビートをミンチ機によってぺ一スト状にすることにより、固体状の醗酵熟成ビートをペーストにする工程を実施した。続いて、このぺ一ストに抽出溶媒として50℃の温水を加え、ブレンダーによって撹絆抽出し、これを冷却水によって20℃まで冷却した後、抽出溶媒として食品添加物用エタノールを添加し混合し、更に、遠心脱水機により不溶物を除去することにより、ペーストを抽出溶媒を用いて抽出する工程を実施した。そして、このようにして抽出したものを、減圧濃縮により乾燥残分60質量%〜65質量%まで濃縮することにより、抽出した醗酵熟成ビートを濃縮する工程を実施し、醗酵熟成ビート抽出液を得た。
このようにして得られた醗酵熟成ビート抽出液は、水溶性であり、タンニン等の総ポリフェノール含有量が醗酵熟成ビートよりも高められていた。そして、得られた醗酵熟成ビートペーストは、ビート特有の灰汁や土臭さ(ビート臭)が低減し、マイルドな風味となっていた。
そして、得られた醗酵熟成ビート抽出液は、ビート特有の灰汁や土臭さ(ビート臭)が低減し、マイルドな風味となっていた。
したがって、本実施例3の醗酵熟成ビート抽出液においては、タンニン等の総ポリフェノールを効率的に摂取できるうえ、液状であることによって飲食品等の製品にも添加・配合しやすく、また、飲食品等の製品の製造工程においても使用しやすい。このため、醗酵熟成ビートの汎用性を高めて更なる用途拡大を図ることができる。
[実施例4]
(醗酵熟成ビート粉末及びその製造方法)
実施例1で得られた醗酵熟成ビートを乾燥室に入れ、乾燥室の温度を75℃に設定し、30日間加熱乾燥させることにより、固体状の醗酵熟成ビートを乾燥する工程を実施した。乾燥後、粉砕して60メッシュパスにより篩過処理を施すことにより、乾燥した醗酵熟成ビートを粉砕する工程を実施し、醗酵熟成ビート粉末を得た。
このようにして得られた醗酵熟成ビート粉末は、水溶性であり、タンニン等の総ポリフェノール含有量が醗酵熟成ビートよりも高められていた。そして、得られた醗酵熟成ビートペーストは、ビート特有の灰汁や土臭さ(ビート臭)が低減し、マイルドな風味となっていた。
そして、得られた醗酵熟成ビート粉末は、ビート特有の灰汁や土臭さ(ビート臭)が低減し、マイルドな風味となっていた。
したがって、本実施例4の醗酵熟成ビート粉末においては、タンニン等の総ポリフェノールを効率的に摂取できるうえ、粉状であることによって飲食品等の製品にも添加・配合しやすく、また、健康補助食品等としても利用しやすく、更に、飲食品等の製品の製造工程においても使用しやすい。このため、醗酵熟成ビートの汎用性を高めて更なる用途拡大を図ることができる。
なお、本発明の実施の形態及び実施例で挙げている数値は、その全てが臨界値を示すものではなく、ある数値は実施に好適な好適値を示すものであるから、上記数値を若干変更してもその実施を否定するものではない。
以上説明したように、上記実施の形態にかかる醗酵熟成ビートは、生ビートを自己醗酵させたものである。ここで、生ビートを55℃〜90℃の範囲内の温度で、75%〜90%の範囲内の湿度の管理環境下に置くと、生ビートの自己醗酵が進行して、醗酵前よりも柔らかく、爽やかな酸味や旨味が増して灰汁や土臭さ(ビート臭)が低減し、風味が増した黒色〜黒褐色の醗酵熟成ビートが得られる。また、このような所定温度、所定湿度の環境下で生ビートを醗酵熟成させることにより得られる醗酵熟成ビートによれば、総ポリフェノール含有量が生ビートの30倍以上で750mg/100g以上となり、また、タンニン含有量が生ビートの40倍以上で650mg/100g以上となる。
また、上記実施の形態にかかる醗酵熟成ビートによれば、微生物や酵素等の添加物を添加することなく、所定温度、所定湿度の環境下で生ビートを醗酵熟成させる自己醗酵により、醗酵前の生ビートよりも柔らかく風味が増大すると共に、タンニン等の総ポリフェノールの含有量が高められている。このため、野菜としての食用摂取をしやすくでき、しかも、有用な成分であるタンニン等のポリフェノールを効率的に摂取できるようになる。したがって、その風味や食感を生かして、また、タンニン等の総ポリフェノールによる生理活性作用や抗酸化力等の効果を期待して、飲食品等に添加・配合して利用したり飲食品等の製造工程中に使用したりすることが可能となり、ビートの利用拡大や用途拡大を図ることができる。
上記実施の形態にかかる醗酵熟成ビートによれば、発明者が確認した自己醗酵は、温度が55℃〜90℃の範囲内、好ましくは、65℃〜85℃の範囲内、より好ましくは、70℃〜80℃の範囲内で、湿度が60%〜95%、好ましくは、65%〜90%の範囲内、より好ましくは、70%〜90%の範囲内の環境下で醗酵熟成させる。
ここで、温度が55℃より低いと、ビートにおいては自己醗酵ではなく腐敗が進み、不快な腐敗臭が生じたり形が崩れて泥状になったりし食用等に供することができなくなる。一方で、温度が90℃より高いと、ビートは褐色の硬い単なる乾燥物となり食用としては不向きであり、また、タンニン等の総ポリフェノール含有量の増大が少ないものとなる。
更に、湿度が60%より低いと、ビートは乾燥化する傾向にあり、また、タンニン等の総ポリフェノール含有量の増大が少ないものとなる。一方で、湿度が95%より高いと、自己醗酵ではなく腐敗化する傾向にある。
したがって、上記実施の形態にかかる醗酵熟成ビートによれば、タンニン、総ポリフェノールの含有量が極めて高いものとなり、かつ、食用としても好適に使用できる。
上記実施の形態にかかる醗酵熟成ビートは、前記自己醗酵によって、総ポリフェノール含有量を生ビートの30倍以上としたものである。
なお、総ポリフェノール含有量を生ビートの30倍以上とは、発明者の実験により、生ビートの全体を使用し、ロットによって変化があることを考慮した数値である。
ここで、生ビートの総ポリフェノール含有量は概ね25mg/100g〜40mg/100g程度であることから、自己醗酵によって、総ポリフェノール含有量を生ビートの30倍以上としたものは、750mg/100g以上の総ポリフェノールを含有することになる。野菜や果物の総ポリフェノール含有量が平均50mg/100gで、一般的にポリフェノールが多く含まれているとされている茶(煎茶)でも総ポリフェノール含有量は約205mg/100mlであることから、自己醗酵によって、総ポリフェノール含有量を生ビートの30倍以上とした醗酵熟成ビートにおいては、総ポリフェノール含有量が極めて高く、総ポリフェノールによる高い抗酸化力等を期待できる。したがって、食品等への更なる利用拡大を図ることが可能である。
上記実施の形態にかかる醗酵熟成ビートは、前記自己醗酵によって、総ポリフェノール含有量を750mg/100g以上としたものである。
なお、総ポリフェノール含有量を750mg/100g以上とは、発明者の実験により、生ビートの全体を使用し、ロットによって変化があることを考慮した数値である。
ここで、生の野菜や果物の総ポリフェノール含有量は平均50mg/100gで、生ビートにおいても総ポリフェノール含有量は25mg/100g〜40mg/100gであり、更に一般的にポリフェノールが多く含まれているとされている茶(煎茶)でも総ポリフェノール含有量は205mg/100mlであることから、自己醗酵によって、総ポリフェノール含有量を750mg/100g以上とした醗酵熟成ビートにおいては、総ポリフェノール含有量が極めて高く、総ポリフェノールによる高い抗酸化力等を期待できる。よって、食品等への更なる利用拡大を図ることが可能である。
上記実施の形態にかかる醗酵熟成ビートは、前記自己醗酵によって、タンニン含有量を生ビートの40倍以上としたものである。
なお、タンニン含有量を生ビートの40倍以上とは、発明者の実験により、生ビートの全体を使用し、ロットによって変化があることを考慮した数値である。
ここで、生ビートのタンニン含有量は概ね15mg/100g〜30mg/100g程度であることから、自己醗酵によって、タンニン含有量を生ビートの40倍以上としたものは、600mg/100g以上と多くのタンニンを含有することになり、タンニンによる高い抗酸化力等を期待できる。したがって、食品等への更なる利用拡大を図ることが可能である。また、タンニンのタンパク質や金属等の凝固作用性を利用した更なる用途拡大を図ることも可能である。
上記実施の形態にかかる醗酵熟成ビートは、前記自己醗酵によって、タンニン含有量を600mg/100g以上としたものであり、多くのタンニンを含有することから、タンニンによる高い抗酸化力等を期待できる。したがって、食品等への更なる利用拡大を図ることが可能である。また、タンニンのタンパク質や金属等の凝固作用性を利用して更なる用途拡大を図ることも可能である。
なお、タンニン含有量を600mg/100g以上とは、発明者の実験により、生ビートの全体を使用し、ロットによって変化があることを考慮した数値である。
上記実施の形態にかかる醗酵熟成ビートは、前記自己醗酵によって、ショ糖(スクロース)の含有量を1重量%以下としたものであり、十分な醗酵熟成がなされている。したがって、タンニン、総ポリフェノールの含有量が極めて高いものとなる。
上記実施の形態にかかる醗酵熟成ビートペーストによれば、上記実施の形態にかかる醗酵熟成ビートを潰し溶媒を混合してペースト状にしてなることから、流動性があって飲食品等の製品にも添加・配合等しやすく、調味料等の食品としても利用しやすい。このため、醗酵熟成ビートを摂取しやすくでき醗酵熟成ビートのタンニン等のポリフェノールも効率的に摂取できる。また、流動性があるため、飲食品等の製品の製造工程においても使用しやすい。したがって、醗酵熟成ビートの汎用性を高めて用途拡大を図ることができる。
上記実施の形態にかかる醗酵熟成ビート抽出液によれば、上記実施の形態にかかる醗酵熟成ビートを潰してペースト状としたのち、抽出溶媒を加えて抽出し濃縮してなることから、醗酵熟成ビートのタンニン等のポリフェノールを効率的に摂取できるうえ、液状であって飲食品等の製品にも添加・配合等しやすく、飲食品等の製品の製造工程においても使用しやすい。したがって、醗酵熟成ビートの汎用性を高めて用途拡大を図ることができ、また、醗酵熟成ビートを摂取しやすくできる。
上記実施の形態にかかる醗酵熟成ビート粉末によれば、上記実施の形態にかかる醗酵熟成ビートを乾燥、粉砕して粉状にしてなることから、醗酵熟成ビートのタンニン等のポリフェノールを効率的に摂取できるうえ、粉状であって飲食品、医薬品、化粧品等の製品にも添加・配合等しやすく、また、健康補助食品等としても利用しやすく、更に飲食品等の製品の製造工程においても使用しやすい。したがって、醗酵熟成ビートの汎用性を高めて用途拡大を図ることができ、また、醗酵熟成ビートを摂取しやすくできる。
上記実施の形態にかかる醗酵熟成ビートの製造方法は、生ビートを温度が55℃〜90℃の範囲内、湿度が60%〜95%の範囲内の環境下で自己醗酵させたものである。
なお、生ビートを温度が55℃〜90℃の範囲内、湿度が60%〜95%の範囲内の環境下で自己醗酵させたとは、発明者の実験により、ロットによって変化があることを考慮した数値である。
生ビートを55℃〜90℃の範囲内の温度で、60%〜95%の範囲内の湿度の管理環境下に置くと、生ビートの自己醗酵が進行して、醗酵前よりも柔らかく、爽やかな酸味や旨味が増して灰汁や土臭さ(ビート臭)が低減し、風味が増した黒色〜黒褐色の醗酵熟成ビートが得られる。そして、このような所定温度、所定湿度の環境下で生ビートを醗酵熟成させることにより得られる醗酵熟成ビートにおいては、総ポリフェノール含有量が生ビートの30倍以上で750mg/100g以上となり、また、タンニン含有量が生ビートの40倍以上で650mg/100g以上となる。
ここで、温度が55℃より低いと、ビートにおいては自己醗酵ではなく腐敗が進み、不快な腐敗臭が生じたり形が崩れて泥状になったりし食用等に供することができなくなる。一方で、温度が90℃より高いと、ビートは褐色の硬い単なる乾燥物となり食用としては不向きであり、また、タンニン等の総ポリフェノール含有量の増大が少ないものとなる。
更に、湿度が60%より低いと、ビートは乾燥化する傾向にあり、また、タンニン等の総ポリフェノール含有量の増大が少ないものとなる。一方で、湿度が95%より高いと、自己醗酵ではなく腐敗化する傾向にある。
このように、上記実施の形態にかかる醗酵熟成ビートの製造方法によれば、微生物や酵素等の添加物を添加することなく、所定温度、所定湿度の環境下で生ビートを醗酵熟成させる自己醗酵により、醗酵前の生ビートよりも柔らかく風味が増大すると共に、生理活性成分であるタンニン等の総ポリフェノールの含有量が高められた醗酵熟成ビートが得られる。このため、得られた醗酵熟成ビートは、野菜としての食用摂取がしやすく、しかも、有用な成分であるタンニン等の総ポリフェノールの効率的な摂取を可能とする。したがって、得られた醗酵熟成ビートは、その風味や食感を生かして、また、タンニン等の総ポリフェノールによる生理活性作用や抗酸化力等の効果を期待して、飲食品等に添加・配合して利用したり飲食品等の製造工程中に使用したりすることが可能となり、ビートの利用拡大や用途拡大を図ることができる。
特に、温度が55℃〜90℃の範囲内、湿度が60%〜95%の範囲内の環境下で自己醗酵させることにより、タンニン、総ポリフェノールの含有量が極めて高く、かつ、食用としても好適に使用できる醗酵熟成ビートが得られる。
上記実施の形態にかかる醗酵熟成ビートの製造方法は、前記自己醗酵によって、前記醗酵熟成ビートの総ポリフェノール含有量を生ビートの30倍以上としたものである。
なお、醗酵熟成ビートの総ポリフェノール含有量を生ビートの30倍以上とは、発明者の実験により、生ビートの全体を使用し、ロットによって変化があることを考慮した数値である。
ここで、生ビートの総ポリフェノール含有量は概ね25mg/100g〜40mg/100g程度であることから、自己醗酵によって、前記醗酵熟成ビートの総ポリフェノール含有量を生ビートの30倍以上としたものは、750mg/100g以上の総ポリフェノールを含有することになる。野菜や果物の総ポリフェノール含有量が平均50mg/100gで、一般的にポリフェノールが多く含まれているとされている茶(煎茶)でも総ポリフェノール含有量は約205mg/100mlであることから、自己醗酵によって、総ポリフェノール含有量を生ビートの30倍以上とした醗酵熟成ビートにおいては、総ポリフェノール含有量が極めて高く、総ポリフェノールによる高い抗酸化力等を期待できる。したがって、上記実施の形態にかかる醗酵熟成ビートの食品等への更なる利用拡大を図ることが可能である。
上記実施の形態にかかる醗酵熟成ビートの製造方法は、前記自己醗酵によって、総ポリフェノール含有量を750mg/100g以上としたものである。
なお、総ポリフェノール含有量を750mg/100g以上とは、発明者の実験により、生ビートの全体を使用し、ロットによって変化があることを考慮した数値である。
ここで、生の野菜や果物の総ポリフェノール含有量は平均50mg/100gで、生ビートにおいても総ポリフェノール含有量は25mg/100g〜40mg/100gであり、更に一般的にポリフェノールが多く含まれているとされている茶(煎茶)でも総ポリフェノール含有量は205mg/100mlであることから、自己醗酵によって、総ポリフェノール含有量を750mg/100g以上とした醗酵熟成ビートにおいては、総ポリフェノール含有量が極めて高く、総ポリフェノールによる高い抗酸化力等を期待できる。よって、醗酵熟成ビートの食品等への更なる利用拡大を図ることが可能である。
上記実施の形態にかかる醗酵熟成ビートの製造方法は、前記自己醗酵によって、タンニン含有量を生ビートの40倍以上としたものである。
なお、自己醗酵によるタンニン含有量を生ビートの40倍以上とは、発明者の実験により、生ビートの全体を使用し、ロットによって変化があることを考慮した数値である。
ここで、生ビートのタンニン含有量は概ね15mg/100g〜30mg/100g程度であることから、自己醗酵によって、タンニン含有量を生ビートの40倍以上としたものは、600mg/100g以上と多くのタンニンを含有することになり、タンニンによる高い抗酸化力等を期待できる。したがって、醗酵熟成ビートの食品等への更なる利用拡大を図ることが可能である。また、タンニンのタンパク質や金属等の凝固作用性を利用した更なる用途拡大を図ることも可能である。
上記実施の形態にかかる醗酵熟成ビートの製造方法は、前記自己醗酵によって、タンニン含有量を650mg/100g以上としたものであり、多くのタンニンを含有することから、タンニンによる高い抗酸化力等を期待できる。したがって、食品等への更なる利用拡大を図ることが可能である。また、タンニンのタンパク質や金属等の凝固作用性を利用して更なる用途拡大を図ることも可能である。
上記実施の形態にかかる醗酵熟成ビートの製造方法によれば、前記自己醗酵によって、ショ糖(スクロース)の含有量を1重量%以下としたことから、十分な醗酵熟成がなされてタンニン等の総ポリフェノールの含有量が極めて高い醗酵熟成ビートが得られる。
上記実施の形態にかかる醗酵熟成ビートペーストの製造方法は、生ビートを温度が55℃〜90℃の範囲内、湿度が60%〜95%の範囲内の環境下で自己醗酵させて醗酵熟成ビートを製造する工程と、前記醗酵熟成ビートを潰し溶媒を混合してペースト状にする工程とを具備する。
なお、生ビートを温度が55℃〜90℃の範囲内、湿度が60%〜95%の範囲内の環境とは、発明者の実験により、生ビートの全体を使用し、ロットによって変化があることを考慮した数値である。
生ビートを55℃〜90℃の範囲内の温度で、60%〜95%の範囲内の湿度の管理環境下に置くと、生ビートの自己醗酵が進行して、醗酵前よりも柔らかく、爽やかな酸味や旨味が増して灰汁や土臭さ(ビート臭)が低減し、風味が増した黒色〜黒褐色の醗酵熟成ビートが得られる。また、このような所定温度、所定湿度の環境下で生ビートを醗酵熟成させることにより得られる醗酵熟成ビートにおいては、総ポリフェノール含有量が生ビートの30倍以上で750mg/100g以上となり、また、タンニン含有量が生ビートの40倍以上で650mg/100g以上となる。
ここで、温度が55℃より低いと、ビートにおいては自己醗酵ではなく腐敗が進み、不快な腐敗臭が生じたり形が崩れて泥状になったりし食用等に供することができなくなる。一方で、温度が90℃より高いと、ビートは褐色の硬い単なる乾燥物となり食用としては不向きであり、また、タンニン等の総ポリフェノール含有量の増大が少ないものとなる。
更に、湿度が60%より低いと、ビートは乾燥化する傾向にあり、また、タンニン等の総ポリフェノール含有量の増大が少ないものとなる。一方で、湿度が95%より高いと、自己醗酵ではなく腐敗化する傾向にある。
したがって、温度が55℃〜90℃の範囲内、湿度が60%〜95%の範囲内の環境下で自己醗酵させることにより、タンニン等のポリフェノールの含有量が極めて高く効率的な摂取を可能とし、しかも、食用としても好適に使用できる醗酵熟成ビートが得られる。
そして、このようにして得られた醗酵熟成ビートをペースト状にすることにより、流動性があって飲食品等の製品にも添加・配合しやすく、また、調味料等の食品としても利用しやすく、更に、飲食品等の製品の製造工程においても使用しやすいものとなる。
したがって、上記実施の形態にかかる醗酵熟成ビートペーストの製造方法によれば、汎用性が高く、醗酵熟成ビートの摂取や醗酵熟成ビートにおけるタンニン等のポリフェノールの効率的な摂取を容易とする醗酵熟成ビートペーストを得ることができる。
上記実施の形態にかかる醗酵熟成ビート抽出液の製造方法は、生ビートを温度が55℃〜90℃の範囲内、湿度が60%〜95%の範囲内の環境下で自己醗酵させ醗酵熟成ビートを製造する工程と、前記醗酵熟成ビートを潰してペーストにする工程と、前記ペーストを抽出溶媒で抽出する工程と、前記抽出したものを濃縮する工程とを具備する。
なお、生ビートを温度が55℃〜90℃の範囲内、湿度が60%〜95%の範囲内の環境下で自己醗酵させて醗酵熟成ビートを製造するとは、発明者の実験により、生ビートの全体を使用し、ロットによって温度、湿度ムラがあることを考慮した数値である。
生ビートを55℃〜90℃の範囲内の温度で、60%〜95%の範囲内の湿度の管理環境下に置くと、生ビートの自己醗酵が進行して、醗酵前よりも柔らかく、爽やかな酸味や旨味が増して灰汁や土臭さ(ビート臭)が低減し、風味が増した黒色〜黒褐色の醗酵熟成ビートが得られる。また、このような所定温度、所定湿度の環境下で生ビートを醗酵熟成させることにより得られる醗酵熟成ビートにおいては、総ポリフェノール含有量が生ビートの30倍以上で750mg/100g以上となり、また、タンニン含有量が生ビートの40倍以上で650mg/100g以上となる。
ここで、温度が55℃より低いと、ビートにおいては自己醗酵ではなく腐敗が進み、不快な腐敗臭が生じたり形が崩れて泥状になったりし食用等に供することができなくなる。一方で、温度が90℃より高いと、ビートは褐色の硬い単なる乾燥物となり食用としては不向きであり、また、タンニン等の総ポリフェノール含有量の増大が少ないものとなる。
更に、湿度が60%より低いと、ビートは乾燥化する傾向にあり、また、タンニン等の総ポリフェノール含有量の増大が少ないものとなる。一方で、湿度が95%より高いと、自己醗酵ではなく腐敗化する傾向にある。
したがって、温度が55℃〜90℃の範囲内、湿度が60%〜95%の範囲内の環境下で自己醗酵させることにより、タンニン等の総ポリフェノールの含有量が極めて高くて効率的な摂取を可能とし、しかも、食用としても好適に使用できる醗酵熟成ビートが得られる。
そして、このようにして得られた醗酵熟成ビートを抽出することにより得られた抽出液は、醗酵熟成ビートのタンニン等のポリフェノールを効率的に摂取できるうえ、液状であって飲食品等の製品にも添加・配合しやすく、また、飲食品等の製品の製造工程においても使用しやすいものとなる。
したがって、上記実施の形態にかかる醗酵熟成ビート抽出液の製造方法によれば、汎用性が高く、醗酵熟成ビートの摂取や醗酵熟成ビートにおけるタンニン等のポリフェノールの効率的な摂取を容易とする醗酵熟成ビート抽出液を得ることができる。
上記実施の形態にかかる醗酵熟成ビート粉末の製造方法は、生ビートを温度が55℃〜90℃の範囲内、湿度が60%〜95%の範囲内の環境下で自己醗酵させ醗酵熟成ビートを製造する工程と、前記醗酵熟成ビートを乾燥させる工程と、前記乾燥させたものを粉砕する工程とを具備するものである。
生ビートを55℃〜90℃の範囲内の温度で、60%〜95%の範囲内の湿度の管理環境下に置くと、生ビートの自己醗酵が進行して、醗酵前よりも柔らかく、爽やかな酸味や旨味が増して灰汁や土臭さ(ビート臭)が低減し、風味が増した黒色〜黒褐色の醗酵熟成ビートが得られる。また、このような所定温度、所定湿度の環境下で生ビートを醗酵熟成させることにより得られる醗酵熟成ビートにおいては、総ポリフェノール含有量が生ビートの30倍以上で750mg/100g以上となり、また、タンニン含有量が生ビートの40倍以上で650mg/100g以上となる。
ここで、温度が55℃より低いと、ビートにおいては自己醗酵ではなく腐敗が進み、不快な腐敗臭が生じたり形が崩れて泥状になったりし食用等に供することができなくなる。一方で、温度が90℃より高いと、ビートは褐色の硬い単なる乾燥物となり食用としては不向きであり、また、タンニン等の総ポリフェノール含有量の増大が少ないものとなる。
更に、湿度が60%より低いと、ビートは乾燥化する傾向にあり、また、タンニン等の総ポリフェノール含有量の増大が少ないものとなる。一方で、湿度が95%より高いと、自己醗酵ではなく腐敗化する傾向にある。
したがって、温度が55℃〜90℃の範囲内、湿度が60%〜95%の範囲内の環境下で自己醗酵させることにより、タンニン等の総ポリフェノールの含有量が極めて高くてタンニン等の総ポリフェノールの効率的な摂取を可能とし、しかも、食用としても好適に使用できる醗酵熟成ビートが得られる。
そして、このようにして得られた醗酵熟成ビートを粉末化することにより、醗酵熟成ビートのタンニン等のポリフェノールを効率的に摂取することが可能となるうえ、飲食品、医薬品、化粧品等の製品にも添加・配合等しやすく、また、健康補助食品等としても利用しやすく、更に飲食品等の製品の製造工程においても使用しやすいものとなる。
したがって、上記実施の形態にかかる醗酵熟成ビート粉末の製造方法によれば、汎用性が高く、醗酵熟成ビートの摂取や醗酵熟成ビートにおけるタンニン等のポリフェノールの効率的な摂取を容易とする醗酵熟成ビート粉末を得ることができる。
上記実施の形態にかかる醗酵熟成ビートペーストの製造方法、醗酵熟成ビート抽出液の製造方法、醗酵熟成ビート粉末の製造方法は、前記醗酵熟成ビートを製造する工程における自己醗酵によって、醗酵熟成ビートの総ポリフェノール含有量を生ビートの30倍以上としたものである。
なお、醗酵熟成ビートの総ポリフェノール含有量を生ビートの30倍以上とは、発明者の実験により、生ビートの全体を使用し、ロットによって変化があることを考慮した数値である。
ここで、生ビートの総ポリフェノール含有量は概ね25mg/100g〜40mg/100g程度であることから、自己醗酵によって、前記醗酵熟成ビートの総ポリフェノール含有量を生ビートの30倍以上としたものは、750mg/100g以上の総ポリフェノールを含有することになる。野菜や果物の総ポリフェノール含有量が平均50mg/100gで、一般的にポリフェノールが多く含まれているとされている茶(煎茶)でも総ポリフェノール含有量は約205mg/100mlであることから、自己醗酵によって、総ポリフェノール含有量を生ビートの30倍以上とした醗酵熟成ビートをペースト状に加工した醗酵熟成ビートや、かかる醗酵熟成ビートを抽出してなる抽出液や、かかる醗酵熟成ビートを粉末状に加工した醗酵熟成ビート粉末においては、総ポリフェノール含有量が極めて高く、総ポリフェノールによる高い抗酸化力等を期待できる。また、食品等への更なる利用拡大を図ることが可能である。
上記実施の形態にかかる醗酵熟成ビートペーストの製造方法、醗酵熟成ビート抽出液の製造方法、醗酵熟成ビート粉末の製造方法は、前記醗酵熟成ビートを製造する工程における前記自己醗酵によって、醗酵熟成ビートの総ポリフェノール含有量を750mg/100g以上としたものである。
なお、醗酵熟成ビートの総ポリフェノール含有量を750mg/100g以上とは、発明者の実験により、生ビートの全体を使用し、ロットによって変化があることを考慮した数値である。
ここで、生の野菜や果物の総ポリフェノール含有量は平均50mg/100gで、生ビートにおいても総ポリフェノール含有量は25mg/100g〜40mg/100gであり、更に一般的にポリフェノールが多く含まれているとされている茶(煎茶)でも総ポリフェノール含有量は205mg/100mlであることから、自己醗酵によって、総ポリフェノール含有量を750mg/100g以上とした醗酵熟成ビートをペースト状に加工した醗酵熟成ビートや、かかる醗酵熟成ビートを抽出してなる抽出液や、かかる醗酵熟成ビートを粉末状に加工した醗酵熟成ビート粉末においては、総ポリフェノール含有量が極めて高く、総ポリフェノールによる高い抗酸化力等を期待できる。上記実施の形態にかかる醗酵熟成ビートの食品等への更なる利用拡大を図ることが可能である。
上記実施の形態にかかる醗酵熟成ビートペーストの製造方法、醗酵熟成ビート抽出液の製造方法、醗酵熟成ビート粉末の製造方法は、前記醗酵熟成ビートを製造する工程における前記自己醗酵によって、醗酵熟成ビートのタンニン含有量を生ビートの40倍以上としたものである。
なお、醗酵熟成ビートのタンニン含有量を生ビートの40倍以上とは、発明者の実験により、生ビートの全体を使用し、ロットによって変化があることを考慮した数値である。
ここで、生ビートのタンニン含有量は概ね15mg/100g〜30mg/100g程度であることから、自己醗酵によって、タンニン含有量を生ビートの40倍以上とした醗酵熟成ビートは、600mg/100g以上と多くのタンニンを含有することになり、かかる醗酵熟成ビートをペースト状に加工した醗酵熟成ビートや、かかる醗酵熟成ビートを抽出してなる抽出液や、かかる醗酵熟成ビートを粉末状に加工した醗酵熟成ビート粉末においては、タンニンによる高い抗酸化力等を期待できる。したがって、醗酵熟成ビートの食品等への更なる利用拡大を図ることが可能である。また、タンニンのタンパク質や金属等の凝固作用性を利用した更なる用途拡大を図ることも可能である。
上記実施の形態にかかる醗酵熟成ビートペーストの製造方法、醗酵熟成ビート抽出液の製造方法、醗酵熟成ビート粉末の製造方法は、前記醗酵熟成ビートを製造する工程における前記自己醗酵によって、醗酵熟成ビートのタンニン含有量を650mg/100g以上としたものであり、かかる醗酵熟成ビートをペースト状に加工した醗酵熟成ビートや、かかる醗酵熟成ビートを抽出してなる抽出液や、かかる醗酵熟成ビートを粉末状に加工した醗酵熟成ビート粉末においても、多くのタンニンを含有することになるから、タンニンによる高い抗酸化力等を期待できる。したがって、食品等への更なる利用拡大を図ることが可能である。また、タンニンのタンパク質や金属等の凝固作用性を利用して更なる用途拡大を図ることも可能である。
なお、醗酵熟成ビートのタンニン含有量を650mg/100g以上とは、発明者の実験により、生ビートの全体を使用し、ロットによって変化があることを考慮した数値である。
上記実施の形態にかかる醗酵熟成ビートペーストの製造方法、醗酵熟成ビート抽出液の製造方法、醗酵熟成ビート粉末の製造方法は、前記醗酵熟成ビートを製造する工程における前記自己醗酵によって、醗酵熟成ビートのショ糖(スクロース)の含有量を1重量%以下としたものであり、醗酵熟成ビートにおいて十分な醗酵熟成がなされている。したがって、タンニン等の総ポリフェノールの含有量が極めて高い醗酵熟成ビートペースト、醗酵熟成ビート抽出液、醗酵熟成ビート粉末が得られる。
本発明は、ビートの利用拡大や用途拡大を図ることができる醗酵熟成ビート、及びその加工物の醗酵熟成ビートペースト、醗酵熟成ビート粉末に関するものである。
ビート(別名:甜菜、砂糖大根)は、アカザ科の植物で、主に砂糖の原料として北海道や東北の一部で収穫されている。ビートは、その根の部分が砂糖の原料となり、輪作体系の中で馬鈴薯、麦類、豆類と共に栽培されていて、土壌の保全や収量の維持を考える畑輪作体系上の主要作物である。
ところが、近年、とうもろこし、馬鈴薯、さつまいも等の澱粉を原料とする異性化糖や、スクラロース・アスパルテーム等の低カロリー人工甘味料や、輸入品の加糖調製品といった砂糖の代替品の利用が増加し、また、生活習慣病の予防等という理由から糖分の摂取を控える傾向もあり、砂糖の消費量は減少している。更に、WTO、FTA、EPA、TPP等の国際交渉の進行により、ビートを原料として生産される砂糖は厳しい価格競争に晒されることも想定される。
このため、ビートの砂糖原料以外の利用法の開発が望まれる。
ここで、ビートに関して、例えば、特許文献1に示すように、ビートの根部(根塊)から砂糖分、糖蜜分等が抽出された残渣(絞り粕)であるビートパルプは、乳牛等の家畜飼料に利用したり、また、特許文献2乃至特許文献4に示すように、製糖過程において糖液から砂糖の結晶を回収した後の残渣である廃糖蜜は、エタノール製造や酵母培養の原料として利用したりする開発がなされている。更に、ビートの根部に微量に含まれているアミノ酸の一種のベタインは、単離・精製されて調味料、食品の水分活性低下剤等の食品添加物や化粧品として利用されたり、同じく、ビートの根部に微量に含まれていてビフィズス菌等の善玉腸内細菌を増加させる効果のあるラフィノース等のオリゴ糖も、単離・精製されて健康補助食品として利用されたりしている。また、ビートの茎葉部(ビートトップ)においても、家畜飼料として利用されるか、畑土壌に鋤き込まれて堆肥・緑肥として地力の維持や増強に再利用されている。
2006−174796号公報 2010−227074号公報 2013−000091号公報 平10−136975号公報
しかしながら、これらの利用法は、ビートの砂糖生産の結果生じる副産物の利用法であり、ビートの根部を利用した用途拡大に直接つながるわけではない。
なお、ビートの根部は、生のまま食した場合には、灰汁が強く、土臭いと形容される不快な後味が残り、煮込んで食した場合にも灰汁による土臭さがあることから、食用摂取しにくい食品素材として汎用されていないのが実情である。
そこで、本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであって、ビート根部の用途拡大や利用拡大を図ることができる醗酵熟成ビート、及びその加工物の醗酵熟成ビートペースト、醗酵熟成ビート粉末の提供を課題とするものである。
請求項1の発明の醗酵熟成ビートは、生ビートを自己醗酵させてなるものである。
ここで、上記ビート(学名:Beta vulgaris ssp. Vulgaris L.)は、別名を甜菜(Sugar beet)または砂糖大根とも呼ばれ、アカザ科フダンンソウ属の植物であり、本発明においては、根の部分が使用される。
また、上記自己醗酵とは、菌を添加したり酵素等の添加物を加えたりすることなく、温度、湿度、時間等の外的環境を調整することにより、腐敗させたり乾燥物とさせたりすることなく、醗酵熟成させることである。
この発明の醗酵熟成ビートは、前記自己醗酵によって、総ポリフェノール含有量を生ビートの30倍以上としたものである。
ここで、上記総ポリフェノールは、同一分子内に複数のフェノール性水酸基(ヒドロキシ基)をもつ化合物の総称で、抗酸化作用とタンパク質機能調節作用を主な生理活性として発揮するものであり、本発明においては、タンニンを主要とするものである。また、本発明において、総ポリフェノール含有量は、フォーリン・デニス法(Folin-Denis法)により測定されたものである。
請求項2の発明の醗酵熟成ビートは、前記自己醗酵によって、総ポリフェノール含有量を750mg/100g以上、より好ましくは、1000mg/100g以上としたものである。
請求項3の発明の醗酵熟成ビートは、前記自己醗酵によって、タンニン含有量を生ビートの40倍以上としたものである。
ここで、上記タンニンは、植物界に広く存在するポリフェノールの一種であり、蛋白質、アルカロイド、金属イオンと反応し結合して難溶性の塩を形成する水溶性化合物の総称であり、本発明において、タンニン含有量は、フォーリン・デニス法(Folin-Denis法)により測定されたものである。
請求項4の発明の醗酵熟成ビートは、前記自己醗酵によって、タンニン含有量を650mg/100g以上、より好ましくは、900mg/100g以上としたものである。
請求項5の発明の醗酵熟成ビートは、前記自己醗酵によって、ショ糖(スクロース)の含有量を1重量%以下としたものである。
請求項6の発明の醗酵熟成ビートペーストは、請求項1乃至請求項5の何れか1つに記載の醗酵熟成ビートを潰し溶媒を混合してペースト状にしてなるものである。
ここで、上記溶媒としては、例えば、水、蜂蜜、酒、食用油等が挙げられ、これら1種を単独で、または2種以上を混合して用いることが可能である。
請求項7の発明の醗酵熟成ビート粉末は、請求項1乃至請求項5の何れか1つに記載の醗酵熟成ビートを乾燥、粉砕して粉状にしてなるものである。
ここで、上記乾燥は、例えば、加熱乾燥、凍結乾燥等の方法が用いられる。
請求項1の発明にかかる醗酵熟成ビートは、生ビートを自己醗酵させてなる。
ここで、例えば、生ビートを55℃〜90℃の範囲内の温度で、75%〜90%の範囲内の湿度の管理環境下に置くと、生ビートの自己醗酵が進行して、醗酵前よりも柔らかく、爽やかな酸味や旨味が増して灰汁や土臭さ(ビート臭)が低減し、風味が増した黒色〜黒褐色の醗酵熟成ビートが得られる。また、このような所定温度、所定湿度の環境下で生ビートを醗酵熟成させることにより得られる醗酵熟成ビートによれば、総ポリフェノール含有量が生ビートの30倍以上で750mg/100g以上となり、また、タンニン含有量が生ビートの40倍以上で650mg/100g以上となる。
このように、請求項1の発明にかかる醗酵熟成ビートによれば、微生物や酵素等の添加物を添加することなく、所定温度、所定湿度の環境下で生ビートを醗酵熟成させる自己醗酵により、醗酵前の生ビートよりも柔らかく風味が増大すると共に、タンニン等の総ポリフェノールの含有量が高められている。このため、野菜としての食用摂取をしやすくでき、しかも、有用な成分であるタンニン等のポリフェノールを効率的に摂取できるようになる。したがって、その風味や食感を生かして、また、タンニン等の総ポリフェノールによる生理活性作用や抗酸化力等の効果を期待して、飲食品等に添加・配合して利用したり飲食品等の製造工程中に使用したりすることが可能となり、ビートの利用拡大や用途拡大を図ることができる。
この発明にかかる醗酵熟成ビートは、前記自己醗酵によって、総ポリフェノール含有量を生ビートの30倍以上としたものである。
ここで、生ビートの総ポリフェノール含有量は概ね25mg/100g〜40mg/100g程度であることから、自己醗酵によって、総ポリフェノール含有量を生ビートの30倍以上としたものは、750mg/100g以上の総ポリフェノールを含有することになる。野菜や果物の総ポリフェノール含有量が平均50mg/100gで、一般的にポリフェノールが多く含まれているとされている茶(煎茶)でも総ポリフェノール含有量は約205mg/100mlであることから、自己醗酵によって、総ポリフェノール含有量を生ビートの30倍以上とした醗酵熟成ビートにおいては、総ポリフェノール含有量が極めて高く、総ポリフェノールによる高い抗酸化力等を期待できる。したがって、食品等への更なる利用拡大を図ることが可能である。
請求項2の発明にかかる醗酵熟成ビートは、前記自己醗酵によって、総ポリフェノール含有量を750mg/100g以上としたものである。
ここで、生の野菜や果物の総ポリフェノール含有量は平均50mg/100gで、生ビートにおいても総ポリフェノール含有量は25mg/100g〜40mg/100gであり、更に一般的にポリフェノールが多く含まれているとされている茶(煎茶)でも総ポリフェノール含有量は205mg/100mlであることから、自己醗酵によって、総ポリフェノール含有量を750mg/100g以上とした醗酵熟成ビートにおいては、総ポリフェノール含有量が極めて高く、総ポリフェノールによる高い抗酸化力等を期待できる。よって、請求項1に記載の効果に加えて、食品等への更なる利用拡大を図ることが可能である。
請求項3の発明にかかる醗酵熟成ビートは、前記自己醗酵によって、タンニン含有量を生ビートの40倍以上としたものである。
ここで、生ビートのタンニン含有量は概ね15mg/100g〜30mg/100g程度であることから、自己醗酵によって、タンニン含有量を生ビートの40倍以上としたものは、600mg/100g以上と多くのタンニンを含有することになり、タンニンによる高い抗酸化力等を期待できる。したがって、請求項1または請求項2に記載の効果に加えて、食品等への更なる利用拡大を図ることが可能である。また、タンニンのタンパク質や金属等の凝固作用性を利用した更なる用途拡大を図ることも可能である。
請求項4の発明にかかる醗酵熟成ビートは、前記自己醗酵によって、タンニン含有量を600mg/100g以上としたものであり、多くのタンニンを含有することから、タンニンによる高い抗酸化力等を期待できる。したがって、請求項1乃至請求項3の何れか1つに記載の効果に加えて、食品等への更なる利用拡大を図ることが可能である。また、タンニンのタンパク質や金属等の凝固作用性を利用して更なる用途拡大を図ることも可能である。
請求項5の発明にかかる醗酵熟成ビートは、前記自己醗酵によって、ショ糖(スクロース)の含有量を1重量%以下としたものであり、十分な醗酵熟成がなされている。したがって、請求項1乃至請求項4の何れか1つに記載の効果に加えて、タンニン、総ポリフェノールの含有量が極めて高いものとなる。
請求項6の発明にかかる醗酵熟成ビートペーストによれば、請求項1乃至請求項5の何れか1つに記載の醗酵熟成ビートを潰し溶媒を混合してペースト状にしてなることから、流動性があって飲食品等の製品にも添加・配合等しやすく、調味料等の食品としても利用しやすい。このため、醗酵熟成ビートを摂取しやすくでき醗酵熟成ビートのタンニン等のポリフェノールも効率的に摂取できる。また、流動性があるため、飲食品等の製品の製造工程においても使用しやすい。したがって、醗酵熟成ビートの汎用性を高めて用途拡大を図ることができる。
請求項7の発明にかかる醗酵熟成ビート粉末によれば、請求項1乃至請求項5の何れか1つに記載の醗酵熟成ビートを乾燥、粉砕して粉状にしてなることから、醗酵熟成ビートのタンニン等のポリフェノールを効率的に摂取できるうえ、粉状であって飲食品、医薬品、化粧品等の製品にも添加・配合等しやすく、また、健康補助食品等としても利用しやすく、更に飲食品等の製品の製造工程においても使用しやすい。したがって、醗酵熟成ビートの汎用性を高めて用途拡大を図ることができ、また、醗酵熟成ビートを摂取しやすくできる。
本発明の実施の形態に係る醗酵熟成ビートは、生ビートを自己醗酵させることにより製造されるものである。
ここで、自己醗酵させる生ビートにおいては、ビートの根の部分が使用される。生ビートは、生活環が2年で完了する二年生植物であるが、一年目に大きな多肉根が発達してショ糖の形でエネルギー貯蔵場所となる貯蔵根が形成されることから、一年目に収穫したものであっても、二年目に収穫したものであっても、使用できる。なお、自己醗酵させる生ビートは、通常、収穫後に洗浄したものが使用され、更に、短期間で均一に醗酵熟成させるために、収穫後に適度に切断したものを使用してもよい。
また、自己醗酵は、温度が55℃〜90℃の範囲内、好ましくは、60℃〜85℃の範囲内、より好ましくは、70℃〜80℃の範囲内で、湿度が60%〜95%、好ましくは、65%〜95%の範囲内、より好ましくは、70%〜95%の範囲内の環境下で醗酵熟成させる。
温度が55℃より低いと、ビートは自己醗酵ではなく腐敗が進み、不快な腐敗臭が生じたり形が崩れて泥状になったりし食用等に供することができなくなる。一方で、温度が90℃より高いと、ビートは褐色の硬い単なる乾燥物となり、食用としては不向きであり、また、後述するタンニン等の総ポリフェノール含有量の増大が少ないものとなる。
なお、温度が55℃〜90℃の範囲内の環境下とは、例えば、特定の温度条件に設定可能な醗酵熟成室で特定の温度環境を形成することによって達成することができる。
また、湿度が60%より低いと、ビートは乾燥化する傾向にあり、後述するタンニン等の総ポリフェノール含有量の増大が少ないものとなる。一方で、湿度が95%より高いと、自己醗酵ではなく腐敗化する傾向にある。
なお、湿度が60%〜95%の範囲内の環境下とは、例えば、特定の湿度条件に設定可能な醗酵熟成室で特定の湿度環境を形成することによって達成することもできるし、密閉系の容器に収容した生ビートを特定の温度条件に設定可能な醗酵熟成室に入れて、生ビート自身の有する水分を利用して密閉系内で特定の湿度環境を形成することによっても達成することができる。特に、ビートは元来水分含有量が多い野菜であり、本発明者らの実験研究によれば、水分含有量を70重量%〜80重量%の範囲内とした生ビートを用いることで、55℃〜90℃の範囲内の温度環境下としたとき、密閉系内で60%〜95%の範囲内の湿度の環境下を形成することが可能であることが確認されている。
自己醗酵させる期間は、ビートの大きさ、水分含有量等に応じて設定され、通常、25日間〜35日間であるが、醗酵熟成中のビートの色の変化状態等を観察して自己醗酵の完了が判断される。通常、25日間〜35日間である。
自己醗酵させる方法としては、例えば、特定の温度条件に設定可能な醗酵熟成室にて密閉系の容器に入れた生ビートを醗酵熟成する方法や(この場合、生ビート自身の有する水分により容器の密閉系内で特定の湿度環境を形成することが可能である)、特定の温度及び湿度条件に設定可能な醗酵熟成室にて開放系のトレイ等に入れた生ビートを醗酵熟成する方法等が挙げられる。
こうして、生ビートを温度が55℃〜90℃の範囲内、湿度が60%〜95%の範囲内の管理環境下におくと、生ビートの自己醗酵が進行して、醗酵熟成前の生ビートよりも寸法が小さくなるものの固形形状は維持され、醗酵熟成前の生ビートよりも柔らかく、白色を呈していた生ビートが黒色〜黒褐色に変化した固体状の醗酵熟成ビートが得られる。
そして、得られた醗酵熟成ビートにおいては、爽やかな酸味や旨味が増して灰汁や土臭さ(ビート臭)が低減し、風味が増しており、野菜の食材として食用摂取がしやすくなっている。
更に、このように生ビートを温度が55℃〜90℃の範囲内、湿度が60%〜95%の範囲内の環境下において自己醗酵させることによって得られた醗酵熟成ビートは、総ポリフェノール含有量が生ビートの30倍以上で750mg/100g以上となり、また、タンニン含有量が生ビートの40倍以上で650mg/100g以上となる。これは、自己醗酵により生ビート中の配糖体が自己の酵素や微生物の酵素によって加水分解されたためと思われる。
したがって、生ビートを自己醗酵させることにより得られた醗酵熟成ビートによれば、食品添加材として汎用されやすい総ポリフェノールやタンニンを有効成分としてその用途拡大や利用拡大を図ることができる。即ち、タンニン等の総ポリフェノールの含有量が高いことから、食材としての利用に限らず、タンニン等の総ポリフェノールによる抗酸化力を期待して抗酸化剤等として飲食品、化粧品、医薬品等に利用することも可能となる。
また、このようにして得られた醗酵熟成ビートを食用摂取した場合には、タンニン等の総ポリフェノールの抗酸化作用等による生理活性作用、例えば、体内で活性酸素の除去やコレステロールの酸化防止による糖尿病、高脂血症、動脈硬化等の生活習慣病や癌を予防する効果、ストレスの軽減化、血圧降下抑制効果、疲労回復効果等が期待できる。加えて、タンニンの腸の粘膜を刺激して腸を引き締める収れん作用による下痢改善の効果、タンニンの消臭・脱臭作用による口臭予防の効果等も期待できる。また、得られた醗酵熟成ビートを化粧品等に使用して人体に外用することで、タンニン等の総ポリフェノールによる活性酸素除去等の生理活性作用によって、美肌効果、肌荒れ改善、シミ・ソバカスの軽減等の効果も期待できる。特に、得られた醗酵熟成ビートは自然醗酵によりタンニン等の総ポリフェノール含有量を高めた天然物であることから、食品への添加や生体への外用にも好適に用いることができる。
なお、得られた醗酵熟成ビートにおいては、醗酵熟成前の生ビートよりもタンニン含量が極めて高くなっているものの、えぐみ等の灰汁は醗酵熟成前の生ビートよりも少なく、酵熟成前の生ビートよりも野菜の食材として食用摂取がしやすいものである。
よって、本実施の形態の醗酵熟成ビートは、野菜の食材としてその風味や食感を生かして、また、タンニン等の総ポリフェノールにおける抗酸化性等による生理活性作用を期待して、野菜、漬物等の飲食品・健康補助食品として利用可能である他、例えば、ソース、タレ、しょうゆ、ケチャップ、味噌、シロップ、蜂蜜、ジャム等の調味料、ワイン、日本酒、ビール等のアルコール飲料、清涼飲料、炭酸飲料、栄養飲料、果実・野菜飲料、乳酸飲料等の飲料、そば(焼きそば、日本そば、中華そば等)、うどん、スパゲッティ、ラーメン、はるさめ、ギョウザの皮、シュウマイの皮、即席麺等の麺類、アイスクリーム、アイスシャーベット、かき氷等の冷菓、飴、ガム、チョコレート、錠菓、スナック菓子、ビスケット、ゼリー、クリーム、焼き菓子等の菓子類、ハム、ソーセージ等の水産・畜産加工食品、蒲鉾等の練り製品、加工乳、発酵乳等の乳製品、サラダ油、てんぷら油、なたね油、大豆油、コーン油、ごま油、オリーブオイル、ラード、マーガリン、バター、マヨネーズ、ショートニング、ホイップクリーム、ドレッシング等の油脂及び油脂加工食品、小麦粉、大麦粉、ライ麦粉、ベーキング粉、米粉等の生地、スープ、シチュールー、カレールー、ふりかけ等の加工食品、レトルト食品、佃煮、サラダ等の惣菜、漬物、パン等の飲食品や、化粧品、医薬品等に添加・配合等することによって利用することもでき、ビートの汎用性を高めることができる。
なお、これらの飲食品等に使用する形態は、特に限定されず、醗酵熟成ビートを調味料や酒類等に漬けたり、加熱乾燥や凍結乾燥させたり等の加工した形態で飲食品等に使用することも可能である。
このように、本実施の形態においては、微生物や酵素等の添加物を添加することなく、温度が55℃〜90℃の範囲内、湿度が60%〜95%の範囲内の環境下で生ビートを自己醗酵により醗酵熟成させるという簡単な作業により、爽やかな酸味や旨味が増して、灰汁や土臭さ(ビート臭)が低減し、風味が増すと共に、抗酸化性能等を有するタンニン等の総ポリフェノール含有量が高められた醗酵熟成ビートが得られる。
したがって、本実施の形態の醗酵熟成ビートによれば、野菜の食材としての食用摂取がしやすくなり、しかも、有用な成分であるタンニン等の総ポリフェノールを効率的に摂取できるようになる。よって、その風味や食感を生かして、また、タンニン等の総ポリフェノールによる生理活性作用を期待して、飲食品・健康補助食品等として利用したり、飲食品、化粧品、医薬品等に添加・配合等して利用したりすることが可能となる。故に、ビートの利用拡大や用途拡大を図ることが可能であり、ビートの利用価値の向上に貢献できる。
ここで、このようにして得られた固体状の醗酵熟成ビートは、飲食品、健康補助食品、医薬品等に更に利用し易くするために、ペースト、抽出液、粉末等に加工することも可能である。
醗酵熟成ビートペーストは、例えば、固体状の醗酵熟成ビートを乳鉢、ミンチ機、ミキサー等の公知の手段を用いて潰したり、固体状の醗酵熟成ビートを水、蜂蜜、酒、食用油、食酢等の流動性があり食用可能な溶媒と共にミキサー、エクストルーダー、スクリューブレンダー等の公知の混練手段を用いて混錬したりすることにより得られる。こうして得られた醗酵熟成ビートペーストは、醗酵熟成ビートよりもタンニン等のポリフェノールの含有量が高められている。なお、ペーストにする際に、ペクチン、寒天、アルギン酸ソーダといった食用の増粘性多糖類等の増粘剤を添加してもよい。
このようにして、固体状の醗酵熟成ビートをペースト状にしてなる醗酵熟成ビートペーストは、例えば、調味料としてパン、菓子類等に塗ったり、食肉等を漬け込んだりするのに好適である。
また、醗酵熟成ビート抽出液は、例えば、固体状の醗酵熟成ビートをペーストにする工程と、得られたペーストを抽出溶媒を用いて抽出する工程と、抽出したものを濃縮する工程により製造される。
具体的に、固体状の醗酵熟成ビートをペーストにする工程は、乳鉢、ミンチ機、ミキサー等の公知の手段を用いて固体状の醗酵熟成ビートを潰すことにより行われる。
また、このペーストを抽出溶媒を用いて抽出する工程において、抽出溶媒は、水及び/または親水性有機溶媒が好ましく、水で抽出した後、更に親水性有機溶媒で抽出することがより好ましい。タンニン等の総ポリフェノールの抽出効率を高めることができるからである。抽出溶媒による抽出は、例えば、40℃〜80℃、好ましくは、40〜75℃、より好ましくは、45℃〜70℃の温水を醗酵熟成ビートのペーストに加え、ブレンダー、ミキサー等の公知の手段を用いて攪拌して攪拌抽出し、その後、冷却水を用いて冷却し、親水性有機溶媒を添加して混合した後、遠心分離を行って不溶物を除去することにより行われる。このときの抽出溶媒としての水は、純水、水道水、井戸水、鉱泉水、鉱水、温泉水、湧水、淡水等、更には、これらに精製、加熱、殺菌、濾過、イオン交換、浸透圧の調整、緩衝化等の各種処理を施したもの、例えば、精製水、熱水、イオン交換水、生理食塩水、リン酸緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水等が使用できる。また、抽出溶媒としての親水性有機溶媒は、食用に供することができるものであればよく、例えば、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブタノール等の炭素数1〜4の低級脂肪族アルコール、1,3‐ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコール、アセトン、メチルエチルケトン等の低級脂肪族ケトンまたはこれらの混合物等が使用できる。なお、抽出溶媒量は、抽出原料である醗酵熟成ビートペーストの1倍量〜10倍量が好ましく、より好ましくは、3倍量〜5倍量である。
更に、このようにして抽出したものを濃縮する工程は、減圧濃縮により濃縮、例えば、乾燥残分60質量〜65質量%まで濃縮することにより行われる。
このような工程によって、醗酵熟成ビート抽出液が得られ、得られた醗酵熟成ビート抽出液は、醗酵熟成ビートよりもタンニン等のポリフェノールの含有量が高められている。
そして、このようにして、固体状の醗酵熟成ビートを抽出してなる醗酵熟成ビート抽出液は、例えば、飲料や液状の食品に添加・配合等したり、食肉等を漬け込んだりするのに好適である。
更に、醗酵熟成ビート粉末は、例えば、固体状の醗酵熟成ビートを乾燥する工程と、乾燥したものを粉砕する工程により製造される。
具体的に、固体状の醗酵熟成ビートを乾燥する工程は、50℃〜85℃、好ましくは60℃〜75℃、より好ましくは65℃〜75℃の範囲内で加熱乾燥させたり、減圧下にて凍結乾燥させたりすることによって行うことができる。
また、乾燥したものを粉砕する工程は、吸湿に注意しエアコンの環境下等でピンミル等の公知の手段を用いて行われ、粉砕後に、50メッシュ〜100メッシュ、好ましくは60メッシュのパンチングスクリーンにより篩過処理を行うことが望ましい。
このような工程によって、醗酵熟成ビート粉末が得られ、得られた醗酵熟成ビート粉末は、醗酵熟成ビートよりもタンニン等のポリフェノールの含有量が高められている。
そして、このようにして、固体状の醗酵熟成ビートを乾燥、粉砕してなる醗酵熟成ビート粉末は、例えば、飲食品のみならず、健康補助食品や医薬品等に添加・配合等するのに好適に用いられる。
こうして、固体状の醗酵熟成ビートをペースト状にしてなる醗酵熟成ビートペースト、固体状の醗酵熟成ビートを抽出してなる醗酵熟成ビート抽出液、固体状の醗酵熟成ビートを粉状にしてなる醗酵熟成ビート粉末によれば、醗酵熟成ビートのタンニンやポリフェノール等の有用な成分を効率的に摂取することが可能となるうえ、調味料等の飲食品、健康補助食品、医薬品として利用しやすく、また、食品、医薬品、化粧品等の製品にも添加・配合等しやすく、更に、飲食品等の製品の製造工程においても使用しやすいものとなり、醗酵熟成ビートを利用しやすいものとすることができる。よって、醗酵熟成ビートの汎用性を高めて用途拡大を図ることができる。
特に、醗酵熟成ビートや、醗酵熟成ビートを加工することで得られた醗酵熟成ビートペースト、醗酵熟成ビート抽出液、醗酵熟成ビート粉末(以下、これらを醗酵熟成ビートの加工物と称す)は、自己醗酵によってタンニン等の総ポリフェノール含有量が高められていることから、野菜の食材としての利用の他、タンニン等の総ポリフェノールによる抗酸化力を利用して、抗酸化剤(還元剤)、酸化防止剤、日持ち向上剤として利用することも可能である。例えば、食肉等の畜産物、魚等の水産物、ハム、ベーコン、ソーセージ等の水産・畜産加工食品、魚油、植物油等の油脂及び油脂加工食品、ソース、タレ等の調味料、アルコール飲料、清涼飲料、炭酸飲料、栄養飲料、野菜・果実飲料、乳酸飲料の飲料等の飲食品や、医薬品や、化粧品、化学品等の製品に配合して使用したり、これら製品の製造中に添加等によって使用したりすることにより、これら製品の酸化を防止し保存性を高めることができる。
具体的には、例えば、食肉等の畜産物や、魚等の水産物等を醗酵熟成ビートやその加工物で漬け込む等によって畜産物や水産物等に醗酵熟成ビートやその加工物を接触させることで、畜産物や水産物等の鮮度を保持したり、異臭、異味、変色等を抑制したりすることができ、畜産物や水産物等の保存性を向上させることができる。かかる場合、タンニン等のポリフェノールの抗酸化力によって酸化が防止されることに加え、タンニンの抗菌作用によって微生物の増殖が抑制され、高い保存性が得られる。更に、醗酵熟成ビートやその加工物で漬け込んだ場合、肉質(身)が引き締まっていて、弾力性が良く旨味も多く好適な食感・風味も得られる。特に、食肉の場合には熱変性による脱水収縮を軽減し、加熱による歩留りを向上させることも可能である。これは、醗酵熟成ビートやその加工物に多く含まれるタンニンが畜産物や水産物等の中のタンパク質と結合することによって、畜産物や水産物等の成分の溶出が抑制されるためと思われる。
更に、ジャガイモ、サツマイモ、サトイモ等の芋類や、ダイコン、カブ、ニンジン等の根菜や、カボチャ等の塊状類等の野菜を醗酵熟成ビートやその加工物を含む液で煮熟した場合、これら野菜の煮崩れを防止することが可能である。これは、醗酵熟成ビートやその加工物に多く含まれているタンニンによる効果と考えられる。このため、このタンニンによる煮崩れ防止効果を利用し、醗酵熟成ビートやその加工物を煮崩れ防止用として、野菜を煮熟する煮熟用水に使用する等、野菜の加工食品の製造過程で使用することも可能である。
また、自己醗酵によってタンニンの含有量が高められていることから、タンニンのタンパク質や金属等と結合して沈殿させる凝固作用性を利用して、食品加工工程において、原材料や食品の製造工程で混入する不純物のタンパク質や重金属イオン等を除去するための凝集剤・除去剤・吸着剤として使用することも可能である。
更に、タンニン等の総ポリフェノールによる抗酸化作用に加え、このタンニンの凝固作用性を利用して、清酒防止剤・澱下剤・清澄化剤や、醸造用水の浄化用や、熟成による風味改善用としてアルコール飲料製造等に使用することも可能である。また、タンニンの凝固作用性を利用して、ガムの歯付き防止剤としてチューイングガム等の菓子類に使用することもできる。
加えて、タンニンには消臭・脱臭作用があることから、食品加工工程において、食品を洗浄したり浸漬させたりする液等に醗酵熟成ビートやその加工物を利用し、食品の消臭・脱臭効果を図ることも可能である。
また、醗酵熟成ビートやその加工物を洗浄液や浸漬液等に配合し、醗酵熟成ビートやその加工物が配合された液を葡萄、びわ、柿、リンゴ、梨、柑橘類等の青果物に洗浄や浸漬等によって接触させることにより、かかる青果物に光沢を付与することができる。これは、醗酵熟成ビートやその加工物に多く含まれているタンニンによる効果と考えられる。
その他にも、食品や食品製造工程において、自己醗酵によってタンニンの含有量が高められた醗酵熟成ビートやその加工物を使用することで、タンニンの凝固作用性により、食品の保湿効果や、粘弾性改善効果、ドリップ防止効果等の食品物性の改質効果を期待できる。
また、醗酵熟成ビートやその加工物を、家畜の飼料に使用することも可能である。家畜の飼料に使用した場合、タンニン等の総ポリフェノールによる活性酸素除去作用等の生理活性作用によって、例えば、家畜の肥育期間の短縮、採乳率の向上、生存率の向上等を期待できる。更に、醗酵熟成ビートやその加工物を配合した飼料を給与することにより生育した家畜においては、タンニン等の総ポリフェノールによる上記生理活性作用により、腹腔内蓄積脂肪を減少でき、コレステロール含有量の少ない肉、弾力性のある肉等、商品価値の高い肉の生産も期待できる。
食品や食品製造への利用以外にも、タンニン等の総ポリフェノールの抗酸化力(還元力)を利用して、医薬品、化粧品、化学品等に使用される抗酸化剤・還元剤や防錆剤として利用することも可能である。
また、自己醗酵によってタンニン等の総ポリフェノール含有量が高められた醗酵熟成ビートやその加工物を化粧品等に使用して人体に外用することにより、タンニン等の総ポリフェノールの抗酸化性(還元性)によって、美肌効果、肌荒れ改善、シミ及びソバカスの軽減等の効果も期待できる。
更には、タンニンのタンパク質と結合する性質によって体内の組織や血管を縮めたり、腸の粘膜を刺激して腸を引き締めたりする収れん作用を利用して、醗酵熟成ビートやその加工物を収れん剤として、止血剤、塗り薬、下痢止め等の医薬品や、繊維のフロッキング加工、アレルゲン封止剤、洗剤助剤等に使用することも可能である。また、醗酵熟成ビートやその加工物をシャンプー・リンス等の毛髪剤や化粧品に使用することで、タンニンによる収れん作用やメラニンを産生する細胞の増殖抑制作用によって、開いた毛穴や皮脂腺等の引き締め効果、毛穴を目立ちにくくする効果、制汗効果、美白効果、日焼け防止効果を期待できる。
更に、タンニンの消臭・脱臭作用や抗菌性を利用して、醗酵熟成ビートやその加工物を脱臭剤、消臭剤、歯磨剤、うがい剤、洗剤、ハンドソープ、消毒剤等に使用することも可能である。
その他にも、主にタンニンを有効成分として、タンニンによるタンパク質等に結合して沈殿させる凝固作用性や金属との高結合性を利用し、醗酵熟成ビートやその加工物を、防錆剤、防食皮膜剤、金属表面処理剤、清缶剤、接着剤、セラミックや粘土等の粘度調節剤、各種金属イオンの沈殿剤(鉱物からの金属の浮揚剤、重金属吸着剤等)、排水の浄化剤(排水処理剤)、染色剤、塗料、コーティング剤、防水剤、柔軟剤、補強剤、タンパク質・重金属・アルカロイドの吸着樹脂の材料や、タンニンの脱臭、消臭作用を利用し、脱臭剤、消臭剤等の多様な他用途への使用が可能である。
なお、醗酵熟成ビートペースト、醗酵熟成ビート抽出液、醗酵熟成ビート粉末を食品、健康補助食品、医薬品等に使用する場合、使用する際の形態は、ペースト状、液状、粉状に限られず、水溶液、エマルジョン、カプセル等、顆粒状、棒状、タブレット状、製剤等の形態として使用することも可能である。
以上説明したように、本実施の形態の醗酵熟成ビート及びその製造方法は、温度が55℃〜90℃の範囲内、湿度が60%〜95%の範囲内の環境下で生ビートを自己醗酵させることにより、総ポリフェノール含有量を生ビートの30倍以上で750mg/100g以上とし、タンニン含有量を生ビートの40倍以上で650mg/100g以上としたものである。
したがって、本実施の形態の醗酵熟成ビート及びその製造方法によれば、自己醗酵によって、爽やかな酸味や旨味が増して、灰汁や土臭さ(ビート臭)が低減し、風味が増すと共に、抗酸化性能等を有するタンニン等の総ポリフェノール含有量が高められることから、野菜の食材としての食用摂取がしやすく、しかも、有用な成分であるタンニン等の総ポリフェノールを効率的に摂取できる醗酵熟成ビートとなる。よって、その風味や食感を生かして、また、タンニン等の総ポリフェノールによる生理活性作用や抗酸化力等を期待して、飲食品・健康補助食品等として利用したり、飲食品、化粧品、医薬品等に添加・配合等して利用したりすることが可能となる。故に、ビートの利用拡大や用途拡大を図ることが可能である。
また、本実施の形態の醗酵熟成ビートペーストは、温度が55℃〜90℃の範囲内、湿度が60%〜95%の範囲内の環境下で生ビートを自己醗酵させることにより得られた醗酵熟成ビートを潰し、溶媒を混合してペースト状にしてなるものであり、本実施の形態の醗酵熟成ビートペーストの製造方法は、生ビートを温度が55℃〜90℃の範囲内、湿度が70%〜95%の範囲内の環境下で自己醗酵させて醗酵熟成ビートを製造する工程と、前記醗酵熟成ビートを潰し溶媒を混合してペースト状にする工程とを具備するものである。
したがって、本実施の形態の醗酵熟成ビートペースト及びその製造方法によれば、醗酵熟成ビートをペースト状にすることにより、醗酵熟成ビートのタンニン等のポリフェノールを効率的に摂取できるうえ、流動性があって飲食品等の製品にも添加・配合しやすく、また、調味料等の食品としても利用しやすく、更に、飲食品等の製品の製造工程においても使用しやすいものとなる。このため、醗酵熟成ビートの汎用性を高めて更なる用途拡大を図ることができる。
更に、本実施の形態の醗酵熟成ビート抽出液は、温度が55℃〜90℃の範囲内、湿度が60%〜95%の範囲内の環境下で生ビートを自己醗酵させることにより得られた醗酵熟成ビートを潰してペースト状としたのち、抽出溶媒を加えて抽出し濃縮してなるものであり、本実施の形態の醗酵熟成抽出液の製造方法は、生ビートを温度が55℃〜90℃の範囲内、湿度が70%〜95%の範囲内の環境下で自己醗酵させ醗酵熟成ビートを製造する工程と、醗酵熟成ビートを潰してペーストにする工程と、ペーストを抽出溶媒で抽出する工程と、抽出したものを濃縮する工程とを具備するものである。
したがって、本実施の形態の醗酵熟成ビート抽出液及びその製造方法によれば、醗酵熟成ビートを抽出して抽出液とすることで、醗酵熟成ビートのタンニン等のポリフェノールを効率的に摂取できるうえ、液状であって飲食品等の製品にも添加・配合しやすく、また、飲食品等の製品の製造工程においても使用しやすいものとなる。このため、醗酵熟成ビートの汎用性を高めて更なる用途拡大を図ることができる。
更に、本実施の形態の醗酵熟成ビート抽出液は、温度が55℃〜90℃の範囲内、湿度が60%〜95%の範囲内の環境下で生ビートを自己醗酵させることにより得られた醗酵熟成ビートを潰してペースト状としたのち、抽出溶媒を加えて抽出し濃縮してなるものであり、本実施の形態の醗酵熟成ビート抽出液の製造方法は、生ビートを温度が55℃〜90℃の範囲内、湿度が70%〜95%の範囲内の環境下で自己醗酵させ醗酵熟成ビートを製造する工程と、醗酵熟成ビートを潰してペーストにする工程と、ペーストを抽出溶媒で抽出する工程と、抽出したものを濃縮する工程とを具備するものである。
したがって、本実施の形態の醗酵熟成ビート抽出液及びその製造方法によれば、醗酵熟成ビートを抽出して抽出液とすることで、醗酵熟成ビートのタンニン等のポリフェノールを効率的に摂取できるうえ、液状であって飲食品等の製品にも添加・配合しやすく、また、飲食品等の製品の製造工程においても使用しやすいものとなる。このため、醗酵熟成ビートの汎用性を高めて更なる用途拡大を図ることができる。
加えて、本実施の形態の醗酵熟成ビート粉末は、温度が55℃〜90℃の範囲内、湿度が60%〜95%の範囲内の環境下で生ビートを自己醗酵させることにより得られた醗酵熟成ビートを乾燥、粉砕してなるものであり、本実施の形態の醗酵熟成ビート粉末の製造方法は、生ビートを温度が55℃〜90℃の範囲内、湿度が70%〜95%の範囲内の環境下で自己醗酵させ醗酵熟成ビートを製造する工程と、醗酵熟成ビートを乾燥させる工程と、乾燥させたものを粉砕する工程とを具備するものである。
したがって、本実施の形態の醗酵熟成ビート粉末及びその製造方法によれば、醗酵熟成ビートを粉末化することにより、醗酵熟成ビートのタンニン等のポリフェノールを効率的に摂取できるうえ、粉状であって飲食品、医薬品、化粧品等の製品にも添加・配合等しやすく、また、健康補助食品等としても利用しやすく、更に飲食品等の製品の製造工程においても使用しやすいものとなる。このため、醗酵熟成ビートの汎用性を高めて更なる用途拡大を図ることができる。
因みに、本発明者らの実験研究によれば、ビートに外観が似ている大根を上記環境下に置いても自己醗酵することはないことが確認されており、ビートにおいては、光合成産物がショ糖の形態で蓄積され、糖化プロセスが不要なショ糖や単糖類等の糖分が多く含有していることによって、所定温度及び所定湿度の環境下におくことで自己醗酵させることができると考えられる。故に、本実施の形態の醗酵熟成ビートにいては、微生物や酵素等の添加物を添加することなく、55℃〜90℃の範囲内の温度で、75%〜90%の範囲内の湿度の環境下で自己醗酵により生ビートを醗酵熟成させるという安価な生産コスト、かつ、簡単な作業により、抗酸化性能を有するタンニン等の総ポリフェノール含有量を高めることができる。
以下、本実施の形態に係る醗酵熟成ビート及びその加工物の醗酵熟成ビートペースト、醗酵熟成ビート抽出液、醗酵熟成ビート粉末、並びにそれらの製造方法を更に具体化した実施例について説明する。
[実施例1](醗酵熟成ビート及びその製造方法)
北海道の河東郡で栽培され12月に収穫されて、1週間〜2週間畑で自然乾燥させた生ビートの根塊をブラシで水洗浄し、収容する醗酵熟成容器の深さに対応させるために、適当に切断して2cm〜8cm角×長さ10cm程度とし、陰干しをして洗浄時に付着した余分な水分を蒸発させた。
次に、このようにして処理された生ビートをアルミ製の密閉容器である醗酵熟成容器内に入れたのち、かかる容器を密閉し、断熱壁で構成された醗酵熟成室にて醗酵熟成させた。
具体的には、熱風発生機を使用して醗酵熟成室の温度を80℃に設定し温度管理を行って、まずは5日間、生ビートを熟成醗酵させた。このとき、ビートを収容した醗酵熟成容器は密閉系としていることで、ビートから蒸発した水分が醗酵熟成容器内で保持され、醗酵熟成容器内の湿度は70%〜90%の範囲内に保持される。5日後に、醗酵熟成室内に収容されている醗酵熟成容器の蓋を開け、醗酵熟成の進捗状況の確認や醗酵熟成容器内のガス抜きを行った。ビートの醗酵熟成による色の変化を参照して、醗酵の進捗状況が遅いビートに関しては、その中心部まで均一に醗酵熟成するよう、適当に切れ目を入れたり、切断して2cm〜3cm角×長さ10cm程度とした。そして、再度、ビートを収容した醗酵熟成容器を密閉し、醗酵熟成室の温度を70℃に設定して温度管理を行い、15日間、ビートを熟成醗酵させた。このときも、ビートが収容された醗酵熟成容器を密閉系としていることで、ビートから蒸発した水分が醗酵熟成容器内で保持され、醗酵熟成容器内の湿度は70%〜90%に保持される。15日後に、再び、醗酵熟成室内に収容されている醗酵熟成容器の蓋を開け、醗酵熟成の進捗状況の確認や醗酵熟成容器内のガス抜きを行った。そして、再度、ビートを収容した醗酵熟成容器を密閉し、醗酵熟成室の温度を70℃に設定し温度管理を行って、15日間、ビートを熟成醗酵させた。15日後、ビートの色で醗酵熟成状態を判別し、均一に醗酵熟成されていないものについては、更に5日間熟成発酵させた。
このようにして、温度が70℃〜80℃の範囲内、湿度が70%〜90%の範囲内の環境下で、35日間〜40日間生ビートを自己醗酵させて醗酵熟成ビートを得た。
こうして、温度が70℃〜80℃の範囲内、湿度が70%〜90%の範囲内の管理環境下で自己醗酵によって生ビートを醗酵熟成させることにより得られた醗酵熟成ビートにおいては、醗酵熟成前の生ビートよりも寸法が小さくなるもの形が崩れることはなく、形状を維持しつつも、醗酵熟成前の生ビートよりも柔らかく、黒色〜黒褐色に変化していた。
この醗酵熟成ビートは、醗酵前の生ビートと比較し、柔らかいので皮を剥いてそのまま食べることができ、爽やかな酸味や旨味が増している一方で、灰汁や土臭さ(ビート臭)が低減して、風味が増していた。
また、このようにして得られた醗酵熟成ビートについて、成分分析(定量分析)を行ったところ、表1に示すような分析結果となった。なお、表1においては、比較のための比較例1として醗酵熟成前の生ビートについて同様に成分分析(定量分析)を行った結果を示してある。
ここで、表1において、減圧加熱直接法(減圧加熱乾燥法)は、水分の定量分析法であり、減圧下で測定試料が分解しない温度(例えば、40℃〜100℃)にて加熱乾燥し、恒量に達せしめ、乾燥前後の重量差から水分量を決定したものである。
また、高速液体クロマトグラフ法(HPLC法)は、測定試料をカラムに流し込み、液体の移動相をポンプなどによって加圧してカラムを通過させ、分析種を固定相及び移動相との相互作用(吸着、分配、イオン交換、サイズ排除など)の差を利用して高性能に分離して検出したものである。
更に、フォーリン・デニス法(Folin-Denis法)は、フェノール性水酸基の還元性を利用して、フェノール性水酸基がアルカリ溶液中で、リンタングステン酸、モリブテン酸を還元して生じる青紫色を700nm〜770nmで比色定量する方法であり、測定試料にフォーリン液を添加し、その後のフェノール性水酸基による青紫色の発色を700nm〜770nmの吸光度を測定することにより、測定試料中に含まれる総ポリフェノール量やタンニン量を測定したものである。
Figure 2016042848
表1に示すように、比較例1の生ビートにおいては、ショ糖(スクロース)が18.5g/100g、果糖(フルクトース)が0.3g/100g、ブドウ糖(グルコース)が0.3g/100gであるのに対し、実施例1の醗酵熟成ビートにおいては、ショ糖(スクロース)が0g/100g、果糖(フルクトース)が28.2g/100g、ブドウ糖(グルコース)が29.5g/100gであり、糖成分の変化が生じていることから、生ビート(比較例1)を温度が70℃〜80℃の範囲内、湿度が70%〜90%の範囲内の管理環境下に35日間〜40日間置いたことで、生ビートが自己醗酵したことが分かる。即ち、ショ糖の減少は、酵素による加水分解や微生物による資化等に起因するものであり、また、ブドウ糖(グルコース)及び果糖(フルクトース)の増大は、ショ糖の加水分解に起因するものであると考えられ、上記環境下で生ビートが醗酵熟成したことを裏付けている。
そして、比較例1の生ビートにおいては、水分含有量が74.5g/100g、総ポリフェノール含有量が31mg/100g、タンニン含有量が21mg/100g、カテキン含有量が0mg/100gであるに対し、実施例1の醗酵熟成ビートにおいては、水分含有量が7.3g/100g、総ポリフェノール含有量が1200mg/100g、タンニン含有量が970mg/100g、カテキン含有量が2mg/100gであり、醗酵熟成前の生ビート(比較例1)と比較して、水分含有量が約10分の1に減少したにも関わらず、総ポリフェノール含有量は約40倍、タンニン含有量は48倍に増加している。
特に、本実施例1の醗酵熟成ビートにおいては、自己醗酵によってショ糖(スクロース)の含有量が1重量%以下に減少していることから、十分な醗酵熟成がなされており、総ポリフェノール含有量及びタンニン含有量が極めて高い値となっている。
因みに、タンニン等の総ポリフェノールは醗酵熟成の進行に伴い経時的に増加していた。
このように、本実施例1によれば、微生物や酵素等の添加物を添加することなく、温度が70℃〜80℃の範囲内、湿度が70%〜90%の範囲内の環境下で自己醗酵により生ビートを醗酵熟成させるという簡単な作業により、抗酸化性を有するカテキン等の総ポリフェノール含有量が高められた醗酵熟成ビートが得られる。
そして、このようにして得られた本実施例1の醗酵熟成ビートによれば、自己醗酵により、醗酵前の生ビートよりも柔らかく、爽やかな酸味や旨味が増して灰汁や土臭さ(ビート臭)が低減し、風味が増大すると共に、抗酸化性を有するタンニン等の総ポリフェノール含有量が高められている。
このため、本実施例1の醗酵熟成ビートは、野菜の食材としての食用摂取がしやすく、しかも、有用な成分であるタンニン等の総ポリフェノールを効率的に摂取できる。したがって、その風味や食感を生かして、また、タンニン等の総ポリフェノールによる生理活性作用や抗酸化力等を期待して、飲食品・健康補助食品等として利用したり、飲食品、化粧品、医薬品等に添加・配合等して利用したりすることが可能となる。故に、ビートの利用拡大や用途拡大を図ることが可能である。
[実施例2]
(醗酵熟成ビートペースト及びその製造方法)
実施例1で得られた醗酵熟成ビートに溶媒としての蜂蜜を加え、ミキサーに入れて良く混練することにより、粘調なペースト状の醗酵熟成ビートペーストを得た。
このようにして得られた醗酵熟成ビートペーストは、水溶性であり、タンニン等の総ポリフェノール含有量が醗酵熟成ビートよりも高められていた。そして、得られた醗酵熟成ビートペーストは、ビート特有の灰汁や土臭さ(ビート臭)が低減し、マイルドな風味となっていた。
したがって、本実施例2の醗酵熟成ビートペーストにおいては、タンニン等の総ポリフェノールを効率的に摂取できるうえ、ペースト状であることによって流動性があり飲食品等の製品にも添加・配合しやすく、また、調味料等の食品としても利用しやすく、更に、飲食品等の製品の製造工程においても使用しやすい。このため、醗酵熟成ビートの汎用性を高めて更なる用途拡大を図ることができる。
[実施例3]
(醗酵熟成ビート抽出液及びその製造方法)
実施例1で得られた醗酵熟成ビートをミンチ機によってぺ一スト状にすることにより、固体状の醗酵熟成ビートをペーストにする工程を実施した。続いて、このぺ一ストに抽出溶媒として50℃の温水を加え、ブレンダーによって撹絆抽出し、これを冷却水によって20℃まで冷却した後、抽出溶媒として食品添加物用エタノールを添加し混合し、更に、遠心脱水機により不溶物を除去することにより、ペーストを抽出溶媒を用いて抽出する工程を実施した。そして、このようにして抽出したものを、減圧濃縮により乾燥残分60質量%〜65質量%まで濃縮することにより、抽出した醗酵熟成ビートを濃縮する工程を実施し、醗酵熟成ビート抽出液を得た。
このようにして得られた醗酵熟成ビート抽出液は、水溶性であり、タンニン等の総ポリフェノール含有量が醗酵熟成ビートよりも高められていた。そして、得られた醗酵熟成ビートペーストは、ビート特有の灰汁や土臭さ(ビート臭)が低減し、マイルドな風味となっていた。
そして、得られた醗酵熟成ビート抽出液は、ビート特有の灰汁や土臭さ(ビート臭)が低減し、マイルドな風味となっていた。
したがって、本実施例3の醗酵熟成ビート抽出液においては、タンニン等の総ポリフェノールを効率的に摂取できるうえ、液状であることによって飲食品等の製品にも添加・配合しやすく、また、飲食品等の製品の製造工程においても使用しやすい。このため、醗酵熟成ビートの汎用性を高めて更なる用途拡大を図ることができる。
[実施例4]
(醗酵熟成ビート粉末及びその製造方法)
実施例1で得られた醗酵熟成ビートを乾燥室に入れ、乾燥室の温度を75℃に設定し、30日間加熱乾燥させることにより、固体状の醗酵熟成ビートを乾燥する工程を実施した。乾燥後、粉砕して60メッシュパスにより篩過処理を施すことにより、乾燥した醗酵熟成ビートを粉砕する工程を実施し、醗酵熟成ビート粉末を得た。
このようにして得られた醗酵熟成ビート粉末は、水溶性であり、タンニン等の総ポリフェノール含有量が醗酵熟成ビートよりも高められていた。そして、得られた醗酵熟成ビートペーストは、ビート特有の灰汁や土臭さ(ビート臭)が低減し、マイルドな風味となっていた。
そして、得られた醗酵熟成ビート粉末は、ビート特有の灰汁や土臭さ(ビート臭)が低減し、マイルドな風味となっていた。
したがって、本実施例4の醗酵熟成ビート粉末においては、タンニン等の総ポリフェノールを効率的に摂取できるうえ、粉状であることによって飲食品等の製品にも添加・配合しやすく、また、健康補助食品等としても利用しやすく、更に、飲食品等の製品の製造工程においても使用しやすい。このため、醗酵熟成ビートの汎用性を高めて更なる用途拡大を図ることができる。
なお、本発明の実施の形態及び実施例で挙げている数値は、その全てが臨界値を示すものではなく、ある数値は実施に好適な好適値を示すものであるから、上記数値を若干変更してもその実施を否定するものではない。
以上説明したように、上記実施の形態にかかる醗酵熟成ビートは、生ビートを自己醗酵させたものである。ここで、生ビートを55℃〜90℃の範囲内の温度で、75%〜90%の範囲内の湿度の管理環境下に置くと、生ビートの自己醗酵が進行して、醗酵前よりも柔らかく、爽やかな酸味や旨味が増して灰汁や土臭さ(ビート臭)が低減し、風味が増した黒色〜黒褐色の醗酵熟成ビートが得られる。また、このような所定温度、所定湿度の環境下で生ビートを醗酵熟成させることにより得られる醗酵熟成ビートによれば、総ポリフェノール含有量が生ビートの30倍以上で750mg/100g以上となり、また、タンニン含有量が生ビートの40倍以上で650mg/100g以上となる。
また、上記実施の形態にかかる醗酵熟成ビートによれば、微生物や酵素等の添加物を添加することなく、所定温度、所定湿度の環境下で生ビートを醗酵熟成させる自己醗酵により、醗酵前の生ビートよりも柔らかく風味が増大すると共に、タンニン等の総ポリフェノールの含有量が高められている。このため、野菜としての食用摂取をしやすくでき、しかも、有用な成分であるタンニン等のポリフェノールを効率的に摂取できるようになる。したがって、その風味や食感を生かして、また、タンニン等の総ポリフェノールによる生理活性作用や抗酸化力等の効果を期待して、飲食品等に添加・配合して利用したり飲食品等の製造工程中に使用したりすることが可能となり、ビートの利用拡大や用途拡大を図ることができる。
上記実施の形態にかかる醗酵熟成ビートによれば、発明者が確認した自己醗酵は、温度が55℃〜90℃の範囲内、好ましくは、65℃〜85℃の範囲内、より好ましくは、70℃〜80℃の範囲内で、湿度が60%〜95%、好ましくは、65%〜90%の範囲内、より好ましくは、70%〜90%の範囲内の環境下で醗酵熟成させる。
ここで、温度が55℃より低いと、ビートにおいては自己醗酵ではなく腐敗が進み、不快な腐敗臭が生じたり形が崩れて泥状になったりし食用等に供することができなくなる。一方で、温度が90℃より高いと、ビートは褐色の硬い単なる乾燥物となり食用としては不向きであり、また、タンニン等の総ポリフェノール含有量の増大が少ないものとなる。
更に、湿度が60%より低いと、ビートは乾燥化する傾向にあり、また、タンニン等の総ポリフェノール含有量の増大が少ないものとなる。一方で、湿度が95%より高いと、自己醗酵ではなく腐敗化する傾向にある。
したがって、上記実施の形態にかかる醗酵熟成ビートによれば、タンニン、総ポリフェノールの含有量が極めて高いものとなり、かつ、食用としても好適に使用できる。
上記実施の形態にかかる醗酵熟成ビートは、前記自己醗酵によって、総ポリフェノール含有量を生ビートの30倍以上としたものである。
なお、総ポリフェノール含有量を生ビートの30倍以上とは、発明者の実験により、生ビートの全体を使用し、ロットによって変化があることを考慮した数値である。
ここで、生ビートの総ポリフェノール含有量は概ね25mg/100g〜40mg/100g程度であることから、自己醗酵によって、総ポリフェノール含有量を生ビートの30倍以上としたものは、750mg/100g以上の総ポリフェノールを含有することになる。野菜や果物の総ポリフェノール含有量が平均50mg/100gで、一般的にポリフェノールが多く含まれているとされている茶(煎茶)でも総ポリフェノール含有量は約205mg/100mlであることから、自己醗酵によって、総ポリフェノール含有量を生ビートの30倍以上とした醗酵熟成ビートにおいては、総ポリフェノール含有量が極めて高く、総ポリフェノールによる高い抗酸化力等を期待できる。したがって、食品等への更なる利用拡大を図ることが可能である。
上記実施の形態にかかる醗酵熟成ビートは、前記自己醗酵によって、総ポリフェノール含有量を750mg/100g以上としたものである。
なお、総ポリフェノール含有量を750mg/100g以上とは、発明者の実験により、生ビートの全体を使用し、ロットによって変化があることを考慮した数値である。
ここで、生の野菜や果物の総ポリフェノール含有量は平均50mg/100gで、生ビートにおいても総ポリフェノール含有量は25mg/100g〜40mg/100gであり、更に一般的にポリフェノールが多く含まれているとされている茶(煎茶)でも総ポリフェノール含有量は205mg/100mlであることから、自己醗酵によって、総ポリフェノール含有量を750mg/100g以上とした醗酵熟成ビートにおいては、総ポリフェノール含有量が極めて高く、総ポリフェノールによる高い抗酸化力等を期待できる。よって、食品等への更なる利用拡大を図ることが可能である。
上記実施の形態にかかる醗酵熟成ビートは、前記自己醗酵によって、タンニン含有量を生ビートの40倍以上としたものである。
なお、タンニン含有量を生ビートの40倍以上とは、発明者の実験により、生ビートの全体を使用し、ロットによって変化があることを考慮した数値である。
ここで、生ビートのタンニン含有量は概ね15mg/100g〜30mg/100g程度であることから、自己醗酵によって、タンニン含有量を生ビートの40倍以上としたものは、600mg/100g以上と多くのタンニンを含有することになり、タンニンによる高い抗酸化力等を期待できる。したがって、食品等への更なる利用拡大を図ることが可能である。また、タンニンのタンパク質や金属等の凝固作用性を利用した更なる用途拡大を図ることも可能である。
上記実施の形態にかかる醗酵熟成ビートは、前記自己醗酵によって、タンニン含有量を600mg/100g以上としたものであり、多くのタンニンを含有することから、タンニンによる高い抗酸化力等を期待できる。したがって、食品等への更なる利用拡大を図ることが可能である。また、タンニンのタンパク質や金属等の凝固作用性を利用して更なる用途拡大を図ることも可能である。
なお、タンニン含有量を600mg/100g以上とは、発明者の実験により、生ビートの全体を使用し、ロットによって変化があることを考慮した数値である。
上記実施の形態にかかる醗酵熟成ビートは、前記自己醗酵によって、ショ糖(スクロース)の含有量を1重量%以下としたものであり、十分な醗酵熟成がなされている。したがって、タンニン、総ポリフェノールの含有量が極めて高いものとなる。
上記実施の形態にかかる醗酵熟成ビートペーストによれば、上記実施の形態にかかる醗酵熟成ビートを潰し溶媒を混合してペースト状にしてなることから、流動性があって飲食品等の製品にも添加・配合等しやすく、調味料等の食品としても利用しやすい。このため、醗酵熟成ビートを摂取しやすくでき醗酵熟成ビートのタンニン等のポリフェノールも効率的に摂取できる。また、流動性があるため、飲食品等の製品の製造工程においても使用しやすい。したがって、醗酵熟成ビートの汎用性を高めて用途拡大を図ることができる。
上記実施の形態にかかる醗酵熟成ビート抽出液によれば、上記実施の形態にかかる醗酵熟成ビートを潰してペースト状としたのち、抽出溶媒を加えて抽出し濃縮してなることから、醗酵熟成ビートのタンニン等のポリフェノールを効率的に摂取できるうえ、液状であって飲食品等の製品にも添加・配合等しやすく、飲食品等の製品の製造工程においても使用しやすい。したがって、醗酵熟成ビートの汎用性を高めて用途拡大を図ることができ、また、醗酵熟成ビートを摂取しやすくできる。
上記実施の形態にかかる醗酵熟成ビート粉末によれば、上記実施の形態にかかる醗酵熟成ビートを乾燥、粉砕して粉状にしてなることから、醗酵熟成ビートのタンニン等のポリフェノールを効率的に摂取できるうえ、粉状であって飲食品、医薬品、化粧品等の製品にも添加・配合等しやすく、また、健康補助食品等としても利用しやすく、更に飲食品等の製品の製造工程においても使用しやすい。したがって、醗酵熟成ビートの汎用性を高めて用途拡大を図ることができ、また、醗酵熟成ビートを摂取しやすくできる。
上記実施の形態にかかる醗酵熟成ビートの製造方法は、生ビートを温度が55℃〜90℃の範囲内、湿度が60%〜95%の範囲内の環境下で自己醗酵させたものである。
なお、生ビートを温度が55℃〜90℃の範囲内、湿度が60%〜95%の範囲内の環境下で自己醗酵させたとは、発明者の実験により、ロットによって変化があることを考慮した数値である。
生ビートを55℃〜90℃の範囲内の温度で、60%〜95%の範囲内の湿度の管理環境下に置くと、生ビートの自己醗酵が進行して、醗酵前よりも柔らかく、爽やかな酸味や旨味が増して灰汁や土臭さ(ビート臭)が低減し、風味が増した黒色〜黒褐色の醗酵熟成ビートが得られる。そして、このような所定温度、所定湿度の環境下で生ビートを醗酵熟成させることにより得られる醗酵熟成ビートにおいては、総ポリフェノール含有量が生ビートの30倍以上で750mg/100g以上となり、また、タンニン含有量が生ビートの40倍以上で650mg/100g以上となる。
ここで、温度が55℃より低いと、ビートにおいては自己醗酵ではなく腐敗が進み、不快な腐敗臭が生じたり形が崩れて泥状になったりし食用等に供することができなくなる。一方で、温度が90℃より高いと、ビートは褐色の硬い単なる乾燥物となり食用としては不向きであり、また、タンニン等の総ポリフェノール含有量の増大が少ないものとなる。
更に、湿度が60%より低いと、ビートは乾燥化する傾向にあり、また、タンニン等の総ポリフェノール含有量の増大が少ないものとなる。一方で、湿度が95%より高いと、自己醗酵ではなく腐敗化する傾向にある。
このように、上記実施の形態にかかる醗酵熟成ビートの製造方法によれば、微生物や酵素等の添加物を添加することなく、所定温度、所定湿度の環境下で生ビートを醗酵熟成させる自己醗酵により、醗酵前の生ビートよりも柔らかく風味が増大すると共に、生理活性成分であるタンニン等の総ポリフェノールの含有量が高められた醗酵熟成ビートが得られる。このため、得られた醗酵熟成ビートは、野菜としての食用摂取がしやすく、しかも、有用な成分であるタンニン等の総ポリフェノールの効率的な摂取を可能とする。したがって、得られた醗酵熟成ビートは、その風味や食感を生かして、また、タンニン等の総ポリフェノールによる生理活性作用や抗酸化力等の効果を期待して、飲食品等に添加・配合して利用したり飲食品等の製造工程中に使用したりすることが可能となり、ビートの利用拡大や用途拡大を図ることができる。
特に、温度が55℃〜90℃の範囲内、湿度が60%〜95%の範囲内の環境下で自己醗酵させることにより、タンニン、総ポリフェノールの含有量が極めて高く、かつ、食用としても好適に使用できる醗酵熟成ビートが得られる。
上記実施の形態にかかる醗酵熟成ビートの製造方法は、前記自己醗酵によって、前記醗酵熟成ビートの総ポリフェノール含有量を生ビートの30倍以上としたものである。
なお、醗酵熟成ビートの総ポリフェノール含有量を生ビートの30倍以上とは、発明者の実験により、生ビートの全体を使用し、ロットによって変化があることを考慮した数値である。
ここで、生ビートの総ポリフェノール含有量は概ね25mg/100g〜40mg/100g程度であることから、自己醗酵によって、前記醗酵熟成ビートの総ポリフェノール含有量を生ビートの30倍以上としたものは、750mg/100g以上の総ポリフェノールを含有することになる。野菜や果物の総ポリフェノール含有量が平均50mg/100gで、一般的にポリフェノールが多く含まれているとされている茶(煎茶)でも総ポリフェノール含有量は約205mg/100mlであることから、自己醗酵によって、総ポリフェノール含有量を生ビートの30倍以上とした醗酵熟成ビートにおいては、総ポリフェノール含有量が極めて高く、総ポリフェノールによる高い抗酸化力等を期待できる。したがって、上記実施の形態にかかる醗酵熟成ビートの食品等への更なる利用拡大を図ることが可能である。
上記実施の形態にかかる醗酵熟成ビートの製造方法は、前記自己醗酵によって、総ポリフェノール含有量を750mg/100g以上としたものである。
なお、総ポリフェノール含有量を750mg/100g以上とは、発明者の実験により、生ビートの全体を使用し、ロットによって変化があることを考慮した数値である。
ここで、生の野菜や果物の総ポリフェノール含有量は平均50mg/100gで、生ビートにおいても総ポリフェノール含有量は25mg/100g〜40mg/100gであり、更に一般的にポリフェノールが多く含まれているとされている茶(煎茶)でも総ポリフェノール含有量は205mg/100mlであることから、自己醗酵によって、総ポリフェノール含有量を750mg/100g以上とした醗酵熟成ビートにおいては、総ポリフェノール含有量が極めて高く、総ポリフェノールによる高い抗酸化力等を期待できる。よって、醗酵熟成ビートの食品等への更なる利用拡大を図ることが可能である。
上記実施の形態にかかる醗酵熟成ビートの製造方法は、前記自己醗酵によって、タンニン含有量を生ビートの40倍以上としたものである。
なお、自己醗酵によるタンニン含有量を生ビートの40倍以上とは、発明者の実験により、生ビートの全体を使用し、ロットによって変化があることを考慮した数値である。
ここで、生ビートのタンニン含有量は概ね15mg/100g〜30mg/100g程度であることから、自己醗酵によって、タンニン含有量を生ビートの40倍以上としたものは、600mg/100g以上と多くのタンニンを含有することになり、タンニンによる高い抗酸化力等を期待できる。したがって、醗酵熟成ビートの食品等への更なる利用拡大を図ることが可能である。また、タンニンのタンパク質や金属等の凝固作用性を利用した更なる用途拡大を図ることも可能である。
上記実施の形態にかかる醗酵熟成ビートの製造方法は、前記自己醗酵によって、タンニン含有量を650mg/100g以上としたものであり、多くのタンニンを含有することから、タンニンによる高い抗酸化力等を期待できる。したがって、食品等への更なる利用拡大を図ることが可能である。また、タンニンのタンパク質や金属等の凝固作用性を利用して更なる用途拡大を図ることも可能である。
上記実施の形態にかかる醗酵熟成ビートの製造方法によれば、前記自己醗酵によって、ショ糖(スクロース)の含有量を1重量%以下としたことから、十分な醗酵熟成がなされてタンニン等の総ポリフェノールの含有量が極めて高い醗酵熟成ビートが得られる。
上記実施の形態にかかる醗酵熟成ビートペーストの製造方法は、生ビートを温度が55℃〜90℃の範囲内、湿度が60%〜95%の範囲内の環境下で自己醗酵させて醗酵熟成ビートを製造する工程と、前記醗酵熟成ビートを潰し溶媒を混合してペースト状にする工程とを具備する。
なお、生ビートを温度が55℃〜90℃の範囲内、湿度が60%〜95%の範囲内の環境とは、発明者の実験により、生ビートの全体を使用し、ロットによって変化があることを考慮した数値である。
生ビートを55℃〜90℃の範囲内の温度で、60%〜95%の範囲内の湿度の管理環境下に置くと、生ビートの自己醗酵が進行して、醗酵前よりも柔らかく、爽やかな酸味や旨味が増して灰汁や土臭さ(ビート臭)が低減し、風味が増した黒色〜黒褐色の醗酵熟成ビートが得られる。また、このような所定温度、所定湿度の環境下で生ビートを醗酵熟成させることにより得られる醗酵熟成ビートにおいては、総ポリフェノール含有量が生ビートの30倍以上で750mg/100g以上となり、また、タンニン含有量が生ビートの40倍以上で650mg/100g以上となる。
ここで、温度が55℃より低いと、ビートにおいては自己醗酵ではなく腐敗が進み、不快な腐敗臭が生じたり形が崩れて泥状になったりし食用等に供することができなくなる。一方で、温度が90℃より高いと、ビートは褐色の硬い単なる乾燥物となり食用としては不向きであり、また、タンニン等の総ポリフェノール含有量の増大が少ないものとなる。
更に、湿度が60%より低いと、ビートは乾燥化する傾向にあり、また、タンニン等の総ポリフェノール含有量の増大が少ないものとなる。一方で、湿度が95%より高いと、自己醗酵ではなく腐敗化する傾向にある。
したがって、温度が55℃〜90℃の範囲内、湿度が60%〜95%の範囲内の環境下で自己醗酵させることにより、タンニン等のポリフェノールの含有量が極めて高く効率的な摂取を可能とし、しかも、食用としても好適に使用できる醗酵熟成ビートが得られる。
そして、このようにして得られた醗酵熟成ビートをペースト状にすることにより、流動性があって飲食品等の製品にも添加・配合しやすく、また、調味料等の食品としても利用しやすく、更に、飲食品等の製品の製造工程においても使用しやすいものとなる。
したがって、上記実施の形態にかかる醗酵熟成ビートペーストの製造方法によれば、汎用性が高く、醗酵熟成ビートの摂取や醗酵熟成ビートにおけるタンニン等のポリフェノールの効率的な摂取を容易とする醗酵熟成ビートペーストを得ることができる。
上記実施の形態にかかる醗酵熟成ビート抽出液の製造方法は、生ビートを温度が55℃〜90℃の範囲内、湿度が60%〜95%の範囲内の環境下で自己醗酵させ醗酵熟成ビートを製造する工程と、前記醗酵熟成ビートを潰してペーストにする工程と、前記ペーストを抽出溶媒で抽出する工程と、前記抽出したものを濃縮する工程とを具備する。
なお、生ビートを温度が55℃〜90℃の範囲内、湿度が60%〜95%の範囲内の環境下で自己醗酵させて醗酵熟成ビートを製造するとは、発明者の実験により、生ビートの全体を使用し、ロットによって温度、湿度ムラがあることを考慮した数値である。
生ビートを55℃〜90℃の範囲内の温度で、60%〜95%の範囲内の湿度の管理環境下に置くと、生ビートの自己醗酵が進行して、醗酵前よりも柔らかく、爽やかな酸味や旨味が増して灰汁や土臭さ(ビート臭)が低減し、風味が増した黒色〜黒褐色の醗酵熟成ビートが得られる。また、このような所定温度、所定湿度の環境下で生ビートを醗酵熟成させることにより得られる醗酵熟成ビートにおいては、総ポリフェノール含有量が生ビートの30倍以上で750mg/100g以上となり、また、タンニン含有量が生ビートの40倍以上で650mg/100g以上となる。
ここで、温度が55℃より低いと、ビートにおいては自己醗酵ではなく腐敗が進み、不快な腐敗臭が生じたり形が崩れて泥状になったりし食用等に供することができなくなる。一方で、温度が90℃より高いと、ビートは褐色の硬い単なる乾燥物となり食用としては不向きであり、また、タンニン等の総ポリフェノール含有量の増大が少ないものとなる。
更に、湿度が60%より低いと、ビートは乾燥化する傾向にあり、また、タンニン等の総ポリフェノール含有量の増大が少ないものとなる。一方で、湿度が95%より高いと、自己醗酵ではなく腐敗化する傾向にある。
したがって、温度が55℃〜90℃の範囲内、湿度が60%〜95%の範囲内の環境下で自己醗酵させることにより、タンニン等の総ポリフェノールの含有量が極めて高くて効率的な摂取を可能とし、しかも、食用としても好適に使用できる醗酵熟成ビートが得られる。
そして、このようにして得られた醗酵熟成ビートを抽出することにより得られた抽出液は、醗酵熟成ビートのタンニン等のポリフェノールを効率的に摂取できるうえ、液状であって飲食品等の製品にも添加・配合しやすく、また、飲食品等の製品の製造工程においても使用しやすいものとなる。
したがって、上記実施の形態にかかる醗酵熟成ビート抽出液の製造方法によれば、汎用性が高く、醗酵熟成ビートの摂取や醗酵熟成ビートにおけるタンニン等のポリフェノールの効率的な摂取を容易とする醗酵熟成ビート抽出液を得ることができる。
上記実施の形態にかかる醗酵熟成ビート粉末の製造方法は、生ビートを温度が55℃〜90℃の範囲内、湿度が60%〜95%の範囲内の環境下で自己醗酵させ醗酵熟成ビートを製造する工程と、前記醗酵熟成ビートを乾燥させる工程と、前記乾燥させたものを粉砕する工程とを具備するものである。
生ビートを55℃〜90℃の範囲内の温度で、60%〜95%の範囲内の湿度の管理環境下に置くと、生ビートの自己醗酵が進行して、醗酵前よりも柔らかく、爽やかな酸味や旨味が増して灰汁や土臭さ(ビート臭)が低減し、風味が増した黒色〜黒褐色の醗酵熟成ビートが得られる。また、このような所定温度、所定湿度の環境下で生ビートを醗酵熟成させることにより得られる醗酵熟成ビートにおいては、総ポリフェノール含有量が生ビートの30倍以上で750mg/100g以上となり、また、タンニン含有量が生ビートの40倍以上で650mg/100g以上となる。
ここで、温度が55℃より低いと、ビートにおいては自己醗酵ではなく腐敗が進み、不快な腐敗臭が生じたり形が崩れて泥状になったりし食用等に供することができなくなる。一方で、温度が90℃より高いと、ビートは褐色の硬い単なる乾燥物となり食用としては不向きであり、また、タンニン等の総ポリフェノール含有量の増大が少ないものとなる。
更に、湿度が60%より低いと、ビートは乾燥化する傾向にあり、また、タンニン等の総ポリフェノール含有量の増大が少ないものとなる。一方で、湿度が95%より高いと、自己醗酵ではなく腐敗化する傾向にある。
したがって、温度が55℃〜90℃の範囲内、湿度が60%〜95%の範囲内の環境下で自己醗酵させることにより、タンニン等の総ポリフェノールの含有量が極めて高くてタンニン等の総ポリフェノールの効率的な摂取を可能とし、しかも、食用としても好適に使用できる醗酵熟成ビートが得られる。
そして、このようにして得られた醗酵熟成ビートを粉末化することにより、醗酵熟成ビートのタンニン等のポリフェノールを効率的に摂取することが可能となるうえ、飲食品、医薬品、化粧品等の製品にも添加・配合等しやすく、また、健康補助食品等としても利用しやすく、更に飲食品等の製品の製造工程においても使用しやすいものとなる。
したがって、上記実施の形態にかかる醗酵熟成ビート粉末の製造方法によれば、汎用性が高く、醗酵熟成ビートの摂取や醗酵熟成ビートにおけるタンニン等のポリフェノールの効率的な摂取を容易とする醗酵熟成ビート粉末を得ることができる。
上記実施の形態にかかる醗酵熟成ビートペーストの製造方法、醗酵熟成ビート抽出液の製造方法、醗酵熟成ビート粉末の製造方法は、前記醗酵熟成ビートを製造する工程における自己醗酵によって、醗酵熟成ビートの総ポリフェノール含有量を生ビートの30倍以上としたものである。
なお、醗酵熟成ビートの総ポリフェノール含有量を生ビートの30倍以上とは、発明者の実験により、生ビートの全体を使用し、ロットによって変化があることを考慮した数値である。
ここで、生ビートの総ポリフェノール含有量は概ね25mg/100g〜40mg/100g程度であることから、自己醗酵によって、前記醗酵熟成ビートの総ポリフェノール含有量を生ビートの30倍以上としたものは、750mg/100g以上の総ポリフェノールを含有することになる。野菜や果物の総ポリフェノール含有量が平均50mg/100gで、一般的にポリフェノールが多く含まれているとされている茶(煎茶)でも総ポリフェノール含有量は約205mg/100mlであることから、自己醗酵によって、総ポリフェノール含有量を生ビートの30倍以上とした醗酵熟成ビートをペースト状に加工した醗酵熟成ビートや、かかる醗酵熟成ビートを抽出してなる抽出液や、かかる醗酵熟成ビートを粉末状に加工した醗酵熟成ビート粉末においては、総ポリフェノール含有量が極めて高く、総ポリフェノールによる高い抗酸化力等を期待できる。また、食品等への更なる利用拡大を図ることが可能である。
上記実施の形態にかかる醗酵熟成ビートペーストの製造方法、醗酵熟成ビート抽出液の製造方法、醗酵熟成ビート粉末の製造方法は、前記醗酵熟成ビートを製造する工程における前記自己醗酵によって、醗酵熟成ビートの総ポリフェノール含有量を750mg/100g以上としたものである。
なお、醗酵熟成ビートの総ポリフェノール含有量を750mg/100g以上とは、発明者の実験により、生ビートの全体を使用し、ロットによって変化があることを考慮した数値である。
ここで、生の野菜や果物の総ポリフェノール含有量は平均50mg/100gで、生ビートにおいても総ポリフェノール含有量は25mg/100g〜40mg/100gであり、更に一般的にポリフェノールが多く含まれているとされている茶(煎茶)でも総ポリフェノール含有量は205mg/100mlであることから、自己醗酵によって、総ポリフェノール含有量を750mg/100g以上とした醗酵熟成ビートをペースト状に加工した醗酵熟成ビートや、かかる醗酵熟成ビートを抽出してなる抽出液や、かかる醗酵熟成ビートを粉末状に加工した醗酵熟成ビート粉末においては、総ポリフェノール含有量が極めて高く、総ポリフェノールによる高い抗酸化力等を期待できる。上記実施の形態にかかる醗酵熟成ビートの食品等への更なる利用拡大を図ることが可能である。
上記実施の形態にかかる醗酵熟成ビートペーストの製造方法、醗酵熟成ビート抽出液の製造方法、醗酵熟成ビート粉末の製造方法は、前記醗酵熟成ビートを製造する工程における前記自己醗酵によって、醗酵熟成ビートのタンニン含有量を生ビートの40倍以上としたものである。
なお、醗酵熟成ビートのタンニン含有量を生ビートの40倍以上とは、発明者の実験により、生ビートの全体を使用し、ロットによって変化があることを考慮した数値である。
ここで、生ビートのタンニン含有量は概ね15mg/100g〜30mg/100g程度であることから、自己醗酵によって、タンニン含有量を生ビートの40倍以上とした醗酵熟成ビートは、600mg/100g以上と多くのタンニンを含有することになり、かかる醗酵熟成ビートをペースト状に加工した醗酵熟成ビートや、かかる醗酵熟成ビートを抽出してなる抽出液や、かかる醗酵熟成ビートを粉末状に加工した醗酵熟成ビート粉末においては、タンニンによる高い抗酸化力等を期待できる。したがって、醗酵熟成ビートの食品等への更なる利用拡大を図ることが可能である。また、タンニンのタンパク質や金属等の凝固作用性を利用した更なる用途拡大を図ることも可能である。
上記実施の形態にかかる醗酵熟成ビートペーストの製造方法、醗酵熟成ビート抽出液の製造方法、醗酵熟成ビート粉末の製造方法は、前記醗酵熟成ビートを製造する工程における前記自己醗酵によって、醗酵熟成ビートのタンニン含有量を650mg/100g以上としたものであり、かかる醗酵熟成ビートをペースト状に加工した醗酵熟成ビートや、かかる醗酵熟成ビートを抽出してなる抽出液や、かかる醗酵熟成ビートを粉末状に加工した醗酵熟成ビート粉末においても、多くのタンニンを含有することになるから、タンニンによる高い抗酸化力等を期待できる。したがって、食品等への更なる利用拡大を図ることが可能である。また、タンニンのタンパク質や金属等の凝固作用性を利用して更なる用途拡大を図ることも可能である。
なお、醗酵熟成ビートのタンニン含有量を650mg/100g以上とは、発明者の実験により、生ビートの全体を使用し、ロットによって変化があることを考慮した数値である。
上記実施の形態にかかる醗酵熟成ビートペーストの製造方法、醗酵熟成ビート抽出液の製造方法、醗酵熟成ビート粉末の製造方法は、前記醗酵熟成ビートを製造する工程における前記自己醗酵によって、醗酵熟成ビートのショ糖(スクロース)の含有量を1重量%以下としたものであり、醗酵熟成ビートにおいて十分な醗酵熟成がなされている。したがって、タンニン等の総ポリフェノールの含有量が極めて高い醗酵熟成ビートペースト、醗酵熟成ビート抽出液、醗酵熟成ビート粉末が得られる。

Claims (19)

  1. 生ビートを自己醗酵させてなることを特徴とする醗酵熟成ビート。
  2. 前記自己醗酵は、温度が55℃〜90℃の範囲内、湿度が60%〜95%の範囲内の環境下で醗酵、熟成させたことを特徴とする請求項1に記載の醗酵熟成ビート。
  3. 前記自己醗酵によって、総ポリフェノール含有量を生ビートの30倍以上としたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の醗酵熟成ビート。
  4. 前記自己醗酵によって、総ポリフェノール含有量を750mg/100g以上としたことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1つに記載の醗酵熟成ビート。
  5. 前記自己醗酵によって、タンニン含有量を生ビートの40倍以上としたことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1つに記載の醗酵熟成ビート。
  6. 前記自己醗酵によって、タンニン含有量を650mg/100g以上としたことを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1つに記載の醗酵熟成ビート。
  7. 前記自己醗酵によって、ショ糖の含有量を1重量%以下としたことを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか1つに記載の醗酵熟成ビート。
  8. 請求項1乃至請求項7の何れか1つに記載の醗酵熟成ビートを潰し、溶媒を混合してペースト状にしてなることを特徴とする醗酵熟成ビートペースト。
  9. 請求項1乃至請求項7の何れか1つに記載の醗酵熟成ビートを潰してペースト状としたのち、抽出溶媒を加えて抽出し、それを濃縮してなることを特徴とする醗酵熟成ビート抽出液。
  10. 請求項1乃至請求項7の何れか1つに記載の醗酵熟成ビートを乾燥、粉砕して粉状にしてなることを特徴とする醗酵熟成ビート粉末。
  11. 生ビートを温度が55℃〜90℃の範囲内、湿度が60%〜95%の範囲内の環境下で自己醗酵させたことを特徴とする醗酵熟成ビートの製造方法。
  12. 前記自己醗酵によって、前記醗酵熟成ビートの総ポリフェノール含有量を生ビートの30倍以上としたことを特徴とする請求項11に記載の醗酵熟成ビートの製造方法。
  13. 前記自己醗酵によって、前記醗酵熟成ビートの総ポリフェノール含有量を750mg/100g以上としたことを特徴とする請求項11または請求項12に記載の醗酵熟成ビートの製造方法。
  14. 前記自己醗酵によって、前記醗酵熟成ビートのタンニン含有量を生ビートの40倍以上としたことを特徴とする請求項11乃至請求項13の何れか1つに記載の醗酵熟成ビートの製造方法。
  15. 前記自己醗酵によって、前記醗酵熟成ビートのタンニン含有量を650mg/100g以上としたことを特徴とする請求項11乃至請求項14の何れか1つに記載の醗酵熟成ビートの製造方法。
  16. 前記自己醗酵によって、ショ糖の含有量を1重量%以下としたことを特徴とする請求項11乃至請求項15の何れか1つに記載の醗酵熟成ビートの製造方法。
  17. 生ビートを温度が55℃〜90℃の範囲内、湿度が60%〜95%の範囲内の環境下で自己醗酵させて醗酵熟成ビートを製造する工程と、
    前記醗酵熟成ビートを潰し溶媒を混合してペースト状にする工程と
    を具備することを特徴とする醗酵熟成ビートペーストの製造方法。
  18. 生ビートを温度が55℃〜90℃の範囲内、湿度が60%〜95%の範囲内の環境下で自己醗酵させ醗酵熟成ビートを製造する工程と、
    前記醗酵熟成ビートを潰してペーストにする工程と、
    前記ペーストを抽出溶媒で抽出する工程と、
    前記抽出したものを濃縮する工程と
    を具備することを特徴とする醗酵熟成ビート抽出液の製造方法。
  19. 生ビートを温度が55℃〜90℃の範囲内、湿度が60%〜95%の範囲内の環境下で自己醗酵させ醗酵熟成ビートを製造する工程と、
    前記醗酵熟成ビートを乾燥させる工程と、
    前記乾燥させたものを粉砕する工程と
    を具備することを特徴とする醗酵熟成ビート粉末の製造方法。
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