JP2016042814A - 風味劣化が抑制された油脂 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】構成脂肪酸が炭素数6〜10である中鎖脂肪酸トリグリセリドと、パーム系油脂とを質量比で0.1:99.9〜10:90の割合で混合することを特徴とするパーム系油脂の風味劣化抑制方法、及び、構成脂肪酸が炭素数6〜10である中鎖脂肪酸トリグリセリドと、パーム系油脂とを質量比で0.1:99.9〜10:90の割合で含有することを特徴とする油脂。
【選択図】なし
Description
しかし、パーム系油脂に関しては、低温保管時において、油脂の風味の劣化を引き起こす「戻り物質」が生成することが知られている。「戻り物質」に関して詳細は知られていないものの、この物質がパーム系油脂に存在することにより、パーム系油脂の風味が精製前の状態に戻り、「戻り臭」と呼ばれる風味劣化が引き起こされる。
このような風味劣化したパーム系油脂を使用した場合、揚げ物やクリーム等の品質を損なうことがあった。
(2)前記中鎖脂肪酸トリグリセリドが、構成脂肪酸として炭素数8の脂肪酸と炭素数10の脂肪酸とを質量比で50:50〜80:20の割合で含有することを特徴とする(1)に記載の油脂。
(3)前記パーム系油脂が、パーム油及びパームミッドフラクションから選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする(1)又は(2)に記載の油脂。
(4)(1)〜(3)のいずれかに記載の油脂を使用した食品。
(5)構成脂肪酸が炭素数6〜10である中鎖脂肪酸トリグリセリドと、パーム系油脂とを質量比で0.1:99.9〜10:90の割合で混合することを特徴とするパーム系油脂の風味劣化抑制方法。
中鎖脂肪酸トリグリセリドは、一般にMCT(Medium Chain Triglycerides)と称されるもので、本発明に使用する中鎖脂肪酸トリグリセリドは、ヤシ油分解脂肪酸等の炭素数6〜10、好ましくは8〜10の中鎖脂肪酸から構成されるトリグリセリドである。
炭素数6〜10の中鎖脂肪酸としては、n−ヘキサン酸、n−ヘプタン酸、n−オクタン酸、n−ノナン酸、及びn−デカン酸が挙げられるが、炭素数が偶数の飽和脂肪酸が好ましく、炭素数が8及び/又は10の飽和脂肪酸(n−オクタン酸及び/又はn−デカン酸)がより好ましい。中鎖脂肪酸は、ヤシ油やパーム核油等を加水分解することにより得ることができる。
また、前記中鎖脂肪酸トリグリセリドは、1分子のトリグリセリド中に炭素数8の中鎖脂肪酸と炭素数10の中鎖脂肪酸とを混在して含む混酸基トリグリセリドを含有することが好ましい。
本発明に使用するパーム系油脂は、パーム油、パーム油の分別油及びそれらの加工油(硬化、エステル交換及び分別のうち1以上の処理がなされたもの)である。より具体的には、1段分別油であるパームオレイン、パームステアリン、パームオレインの2段分別油であるパームオレイン(パームスーパーオレイン)及びパームミッドフラクション、パームステアリンの2段分別油であるパームオレイン(ソフトパーム)、パームステアリン(ハードステアリン)等が例示できる。また、それらの1種以上とパーム系油脂以外の油脂との混合油を原料油としたエステル交換油や硬化油の場合、原料油脂中のパーム系油脂含量に応じた量をパーム系油脂として扱う。パーム系油脂は、食用油脂の製造において通常行われる、脱ガム、脱酸、脱色、脱臭等の精製処理を施すことにより、食用に供される。パーム核油は、パームの種子から搾油される油脂であるが、パーム油とは特性が異なり、本発明に使用するパーム系油脂にはパーム核油由来の油脂は含まない。
なお、本発明における低温(低温保管、低温劣化等)とは、温度が−20℃〜15℃の範囲を指すものである。
特にレシチンを好ましくは1〜100ppm、より好ましくは1〜50ppm、さらに好ましくは3〜30ppm添加含有させると、中鎖脂肪酸トリグリセリドと相乗して、低温戻り抑制効果が得られるので好ましい。
〔パーム系油脂〕
・パーム油:日清オイリオグループ(株)製造品
・パームミッドフラクション:日清オイリオグループ(株)製造品
〔中鎖脂肪酸トリグリセリド〕
・MCT1:構成脂肪酸中の炭素数8の脂肪酸と炭素数10の脂肪酸の質量比(炭素数8:炭素数10)が75:25である中鎖脂肪酸トリグリセリド(日清オイリオグループ(株)製、商品名 ODO)
・MCT2:構成脂肪酸中の炭素数8の脂肪酸と炭素数10の脂肪酸の質量比(炭素数8:炭素数10)が60:40である中鎖脂肪酸トリグリセリド(日清オイリオグループ(株)製、商品名 スコレー64G)
・MCT3:構成脂肪酸が炭素数8の脂肪酸のみからなる中鎖脂肪酸トリグリセリド(日清オイリオグループ(株)製、商品名 スコレー8)
・MCT4:構成脂肪酸が炭素数10の脂肪酸のみからなる中鎖脂肪酸トリグリセリド(日清オイリオグループ(株)製造品)
・MCT5:構成脂肪酸が炭素数12の脂肪酸のみからなる中鎖脂肪酸トリグリセリド(日清オイリオグループ(株)製造品)
3 :低温戻りがなく、良好である
3−:3の評価より若干劣る
2 :低温戻りが僅かに感じられるが、賞味可能である
2−:2の評価より若干劣る
1 :低温戻りが感じられるが、賞味可能である
0 :低温戻りが強く感じられ、賞味できない
中でも、構成脂肪酸中の炭素数8の脂肪酸と炭素数10の脂肪酸の質量比が60:40である中鎖脂肪酸トリグリセリドを含有する油脂(実施例5)は、他の中鎖脂肪酸トリグリセリドを同じ割合(1:99)で含有する油脂と比べて、4週間保管までの低温戻りの抑制効果が優れるものであった。
各油脂を50℃で完全に融解した後、40℃に保温した状態で、4名のパネラーにて上記の評価基準に従って総合的に評価した。評価結果を表3に示す。
中でも、構成脂肪酸中の炭素数8の脂肪酸と炭素数10の脂肪酸の質量比が60:40である中鎖脂肪酸トリグリセリドを含有する油脂(実施例8)は、構成脂肪酸中の炭素数8の脂肪酸と炭素数10の脂肪酸の質量比が75:25である中鎖脂肪酸トリグリセリドを同じ割合(1:99)で含有する油脂(実施例10)と比べて、低温戻りの抑制効果が優れるものであった。
上記の実施例2又は比較例2の油脂を5℃で4週間保管したものを使用し、以下の製造手順1〜6により、表4に示す配合割合(質量%)のコーヒーホワイトナーを製造した。
製造手順
1.水相原料及び油相原料をそれぞれ別々の容器を用いて、70℃で加熱混合溶解した。
2.水相原料を撹拌しながら、そこに油相原料を徐々に加え予備乳化した。
3.ホモジナイザーを用いてホモジナイズした(1段目200kg/cm3、2段目50kg/cm3)。
4.湯浴を用いて、85℃で10分間殺菌した。
5.ホモジナイザーを用いてホモジナイズした(1段目150kg/cm3、2段目50kg/cm3)。
6.氷水浴を用いて30℃まで冷却して、コーヒーホワイトナーを得た。
Claims (5)
- 構成脂肪酸が炭素数6〜10である中鎖脂肪酸トリグリセリドと、パーム系油脂とを質量比で0.1:99.9〜10:90の割合で含有することを特徴とする油脂。
- 前記中鎖脂肪酸トリグリセリドが、構成脂肪酸として炭素数8の脂肪酸と炭素数10の脂肪酸とを質量比で50:50〜80:20の割合で含有することを特徴とする請求項1に記載の油脂。
- 前記パーム系油脂が、パーム油及びパームミッドフラクションから選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の油脂。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の油脂を使用した食品。
- 構成脂肪酸が炭素数6〜10である中鎖脂肪酸トリグリセリドと、パーム系油脂とを質量比で0.1:99.9〜10:90の割合で混合することを特徴とするパーム系油脂の風味劣化抑制方法。
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