JP2016042160A - 感放射線性樹脂組成物、レジストパターン形成方法、酸拡散制御剤及び化合物 - Google Patents

感放射線性樹脂組成物、レジストパターン形成方法、酸拡散制御剤及び化合物 Download PDF

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Abstract

【課題】良好な保存安定性を確保しつつ、LWR性能、CDU性能、解像性、断面形状の矩形性、焦点深度、露光余裕度及びMEEF性能に優れる感放射線性樹脂組成物の提供を目的とする。【解決手段】本発明は、酸解離性基を含む構造単位を有する重合体、感放射線性酸発生体、放射線分解性オニウムカチオンとカウンターアニオンとからなる化合物、及び溶媒を含有し、上記カウンターアニオンが、2以上のカルボニル基と、上記カルボニル基のうちの1つに隣接する−N−−とを有し、上記カルボニル基同士が、単結合、置換若しくは非置換の炭素数1若しくは2のアルカンジイル基、又は置換若しくは非置換の1,2−ベンゼンジイル基を介して結合する感放射線性樹脂組成物である。上記化合物としては、下記式(1)で表されることが好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は、感放射線性樹脂組成物、レジストパターン形成方法、酸拡散制御剤及び化合物に関する。
リソグラフィーによる微細加工に用いられる感放射線性樹脂組成物は、KrFエキシマレーザー光(波長248nm)、ArFエキシマレーザー光(波長193nm)及び極端紫外線(EUV:Extreme Ultraviolet、波長13.5nm)等の遠紫外線、電子線等の荷電粒子線などの照射により露光部に酸を発生させ、この酸を触媒とする化学反応により露光部と未露光部との現像液に対する溶解速度に差を生じさせ、基板上にレジストパターンを形成する。
現在では、より波長の短いレーザー光や電子線の使用及び液浸露光装置等により、レジストパターンの加工技術の微細化が図られている。これに伴い、かかる感放射線性樹脂組成物には、形成されるレジストパターンの解像性及び断面形状の矩形性に優れるだけでなく、LWR(Line Width Roughness)性能、CDU(Critical Dimension Uniformity)性能、焦点深度、露光余裕度及びMEEF(Mask Error Enhancement Factor)性能にも優れ、高精度なパターンを高い歩留まりで得られることが要求される。また、感放射線性樹脂組成物は良好な保存安定性を有することも求められる。これらの要求に対して、感放射線性樹脂組成物に用いられる酸発生体、酸拡散制御体及びその他の成分についてその種類や分子構造等が詳細に検討されている。かかる酸拡散制御体のうち、放射線分解性オニウムカチオンと弱酸アニオンとからなるオニウム塩化合物は、露光部では酸捕捉機能が消失し、未露光部でのみ酸捕捉機能を発揮するため、上記性能を向上できるとされている(特開平11−125907号公報、特開平8−146610号公報及び特開2000−298347号公報参照)。
しかし、レジストパターンの微細化が線幅45nm以下のレベルまで進展している現在にあっては、上記性能の要求レベルはさらに高まり、上記従来の感放射線性樹脂組成物ではこれらの要求を満足させることはできていない。
特開平11−125907号公報 特開平8−146610号公報 特開2000−298347号公報
本発明は以上のような事情に基づいてなされたものであり、その目的は良好な保存安定性を確保しつつ、LWR性能、CDU性能、解像性、断面形状の矩形性、焦点深度、露光余裕度及びMEEF性能(以下、「LWR性能等」ともいう)に優れる感放射線性樹脂組成物を提供することにある。
上記課題を解決するためになされた発明は、酸解離性基を含む構造単位(以下、「構造単位(I)」ともいう)を有する重合体(以下、「[A]重合体」ともいう)、感放射線性酸発生体(以下、「[B]酸発生体」ともいう)、放射線分解性オニウムカチオンとカウンターアニオンとからなる化合物(以下、「[C]化合物」ともいう)、及び溶媒(以下、「[D]溶媒」ともいう)を含有し、上記カウンターアニオンが、2以上のカルボニル基と、上記カルボニル基のうちの1つに隣接する−N−とを有し、上記カルボニル基同士が、単結合、置換若しくは非置換の炭素数1若しくは2のアルカンジイル基、又は置換若しくは非置換の1,2−ベンゼンジイル基を介して結合する感放射線性樹脂組成物である。
上記課題を解決するためになされた別の発明は、レジスト膜を形成する工程、上記レジスト膜を露光する工程、及び上記露光されたレジスト膜を現像する工程を備え、上記レジスト膜を当該感放射線性樹脂組成物により形成するレジストパターン形成方法である。
上記課題を解決するためになされたさらに別の発明は、下記式(1)で表される化合物からなる酸拡散制御剤である。
Figure 2016042160
(式(1)中、Rは、単結合、置換若しくは非置換のメタンジイル基、置換若しくは非置換のエタンジイル基、又は置換若しくは非置換の1,2−ベンゼンジイル基である。R及びRは、それぞれ独立して、炭素数1〜30の1価の有機基である。nは、1以上3以下の整数である。nが2以上の場合、複数のRは同一でも異なっていてもよい。Mは、1価の放射線分解性オニウムカチオンである。但し、R、R及びRのうちの2つ以上は、これらの結合により環員数5〜30の環構造を形成してもよい。)
上記課題を解決するためになされたさらに別の発明は、上記式(1)で表される化合物である。
ここで、「有機基」とは、少なくとも1個の炭素原子を含む基をいう。「炭化水素基」とは、鎖状炭化水素基、脂環式炭化水素基及び芳香族炭化水素基が含まれる。この「炭化水素基」は飽和炭化水素基でも不飽和炭化水素基でもよい。「鎖状炭化水素基」とは、環状構造を含まず、鎖状構造のみで構成された炭化水素基をいい、直鎖状炭化水素基及び分岐状炭化水素基の両方を含む。「脂環式炭化水素基」とは、環構造としては脂環構造のみを含み、芳香環構造を含まない炭化水素基をいい、単環の脂環式炭化水素基及び多環の脂環式炭化水素基の両方を含む。但し、脂環構造のみで構成されている必要はなく、その一部に鎖状構造を含んでいてもよい。「芳香族炭化水素基」とは、環構造として芳香環構造を含む炭化水素基をいう。但し、芳香環構造のみで構成されている必要はなく、その一部に鎖状構造や脂環構造を含んでいてもよい。
本発明の感放射線性樹脂組成物及びレジストパターン形成方法によれば、良好な保存安定性を確保しつつ、優れた焦点深度、露光余裕度及びMEEF性能を発揮し、LWR性能、CDU性能、解像性及び断面形状の矩形性に優れるレジストパターンを形成することができる。本発明の酸拡散制御剤は、当該感放射線性樹脂組成物の成分として好適に用いることができる。本発明の化合物は当該酸拡散制御剤として好適に用いることができる。従って、これらはさらなる微細化が進行すると予想される半導体デバイス製造等におけるパターン形成に好適に用いることができる。
<感放射線性樹脂組成物>
当該感放射線性樹脂組成物は[A]重合体、[B]酸発生体、[C]化合物及び[D]溶媒を含有する。当該感放射線性樹脂組成物は、好適成分として、[E]フッ素原子含有重合体及び[F]偏在化促進剤を含有してもよい。さらに当該感放射線性樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲でその他の任意成分を含有していてもよい。以下、各成分について説明する。
<[A]重合体>
[A]重合体は構造単位(I)を有する重合体である。当該感放射線性樹脂組成物によれば、放射線の照射により[B]酸発生体等から生じる酸により露光部の[A]重合体の酸解離性基が解離して露光部と未露光部とで現像液に対する溶解性に差異が生じ、その結果レジストパターンを形成することができる。「酸解離性基」とは、カルボキシ基、ヒドロキシ基等の水素原子を置換する基であって、酸の作用により解離する基をいう。[A]重合体は、通常当該感放射線性樹脂組成物におけるベース重合体となる。「ベース重合体」とは、レジストパターンを構成する重合体のうちの主成分となる重合体であって、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上を占める重合体をいう。
[A]重合体は、構造単位(I)以外にも、後述する式(3−1)で表される構造単位及び(3−2)で表される構造単位からなる群より選ばれる少なくとも1種(以下、「構造単位(II)」ともいう)、後述する式(4)で表される構造単位(以下、「構造単位(III)」ともいう)及び上記構造単位(I)〜(III)以外のその他の構造単位を有していてもよい。[A]重合体はこれらの構造単位を1種又は2種以上有していてもよい。以下、各構造単位について説明する。
<構造単位(I)>
構造単位(I)は、酸解離性基を含む構造単位である。構造単位(I)としては、例えば、下記式(2−1)で表される構造単位(以下、「構造単位(I−1)」ともいう)、下記式(2−2)で表される構造単位(以下、「構造単位(I−2)」ともいう)等が挙げられる。
Figure 2016042160
上記式(2−1)中、Rは、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。Yは、1価の酸解離性基である。
上記式(2−2)中、Rは、水素原子又はメチル基である。Yは、1価の酸解離性基である。
上記Rとしては、構造単位(I−1)を与える単量体の共重合性の観点から、水素原子、メチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
上記Yで表される1価の酸解離性基としては、下記式(Y−1)で表される基が好ましい。
Figure 2016042160
上記式(Y−1)中、Re1は、炭素数1〜20の1価の炭化水素基である。Re2及びRe3は、それぞれ独立して炭素数1〜20の1価の炭化水素基であるか、又はこれらの基が互いに合わせられこれらが結合する炭素原子と共に構成される環員数3〜20の脂環構造を表す。
上記Re1、Re2及びRe3で表される炭素数1〜20の1価の炭化水素基としては、例えば、炭素数1〜20の1価の鎖状炭化水素基、炭素数3〜20の1価の脂環式炭化水素基、炭素数6〜20の1価の芳香族炭化水素基等が挙げられる。
上記炭素数1〜20の1価の鎖状炭化水素基としては、例えば、
メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基等のアルキル基;
エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基等のアルケニル基;
エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基等のアルキニル基などが挙げられる。
これらのうち、アルキル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がより好ましく、メチル基、エチル基、i−プロピル基がさらに好ましく、エチル基が特に好ましい。
上記炭素数3〜20の1価の脂環式炭化水素基としては、例えば、
シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等の単環のシクロアルキル基;
ノルボルニル基、アダマンチル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基等の多環のシクロアルキル基;
シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等の単環のシクロアルケニル基;
ノルボルネニル基、トリシクロデセニル基等の多環のシクロアルケニル基などが挙げられる。
これらのうち、単環のシクロアルキル基、多環のシクロアルキル基が好ましく、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基がより好ましい。
上記炭素数6〜20の1価の芳香族炭化水素基としては、例えば、
フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基等のアリール基;
ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基等のアラルキル基などが挙げられる。
これらのうち、アリール基が好ましく、炭素数6〜10のアリール基が好ましく、フェニル基、ナフチル基がさらに好ましく、フェニル基がさらに好ましい。
上記これらの基が互いに合わせられ構成される環員数3〜20の脂環構造としては、例えば、
シクロプロパン構造、シクロブタン構造、シクロペンタン構造、シクロヘキサン構造、シクロオクタン構造等の単環のシクロアルカン構造;
ノルボルナン構造、アダマンタン構造、トリシクロデカン構造、テトラシクロドデカン構造等の多環のシクロアルカン構造;
シクロプロペン構造、シクロブテン構造、シクロペンテン構造、シクロヘキセン構造、シクロオクテン構造等の単環のシクロアルケン構造;
ノルボルネン構造、トリシクロデセン構造、テトラシクロドデセン構造等の多環のシクロアルケン構造などが挙げられる。
これらのうち、単環のシクロアルカン構造、多環のシクロアルカン構造が好ましく、炭素数5〜8の単環のシクロアルカン構造、炭素数7〜12の多環のシクロアルカン構造がより好ましく、シクロペンタン構造、シクロヘキサン構造、シクロオクタン構造、ノルボルナン構造、アダマンタン構造がさらに好ましく、シクロペンタン構造、アダマンタン構造が特に好ましい。
上記式(Y−1)で表される基としては、Re1が炭素数1〜10の1価の鎖状炭化水素基であり、かつRe2及びRe3が互いに合わせられこれらが結合する炭素原子と共に構成される環員数3〜20の脂環構造を表すことが好ましく、Re1が炭素数1〜10のアルキル基であり、かつRe2及びRe3が互いに合わせられこれらが結合する炭素原子と共に構成される環員数3〜20のシクロアルカン構造を表すことがより好ましく、Re1が炭素数1〜4のアルキル基であり、かつRe2及びRe3が互いに合わせられこれらが結合する炭素原子と共に構成される環員数5〜8の単環のシクロアルカン構造又は環員数7〜12の多環のシクロアルカン構造を表すことがさらに好ましい。
上記Rとしては、構造単位(I−2)を与える単量体の共重合性の観点から、水素原子が好ましい。
上記Yで表される1価の酸解離性基としては、下記式(Y−2)で表される基が好ましい。
Figure 2016042160
上記式(Y−2)中、Re4、Re5及びRe6は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜20の1価の炭化水素基又は炭素数1〜20の1価のオキシ炭化水素基である。但し、Re4、Re5及びRe6が同時に水素原子である場合はない。
上記Re4、Re5及びRe6で表される炭素数1〜20の1価の炭化水素基としては、例えば、炭素数1〜20の1価の鎖状炭化水素基、炭素数3〜20の1価の脂環式炭化水素基、炭素数6〜20の1価の芳香族炭化水素基等が挙げられる。
上記Re4、Re5及びRe6で表される炭素数1〜20の1価の鎖状炭化水素基、炭素数3〜20の1価の脂環式炭化水素基及び炭素数6〜20の1価の芳香族炭化水素基としては、例えば、上記Re1、Re2及びRe3として例示したそれぞれのものと同様の基等が挙げられる。
上記Re4、Re5及びRe6としては、これらの中で、鎖状炭化水素基、脂環式炭化水素基が好ましく、アルキル基、シクロアルキル基がより好ましく、炭素数1〜4のアルキル基、単環のシクロアルキル基、多環のシクロアルキル基がさらに好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基が特に好ましい。
上記Re4、Re5及びRe6で表される炭素数1〜20の1価のオキシ炭化水素基としては、例えば、炭素数1〜20の1価のオキシ鎖状炭化水素基、炭素数3〜20の1価のオキシ脂環式炭化水素基、炭素数6〜20の1価のオキシ芳香族炭化水素基等が挙げられる。
上記炭素数1〜20の1価のオキシ鎖状炭化水素基としては、例えば、
メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、i−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基等のアルコキシ基;
エテニルオキシ基、プロペニルオキシ基、ブテニルオキシ基、ペンテニルオキシ基等のアルケニルオキシ基;
エチニルオキシ基、プロピニルオキシ基、ブチニルオキシ基、ペンチニルオキシ基等のアルキニルオキシ基等が挙げられる。
これらの中で、アルコキシ基が好ましく、炭素数1〜4のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基がさらに好ましい
上記炭素数3〜20の1価のオキシ脂環式炭化水素基としては、例えば、
シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロオクチルオキシ基等の単環のシクロアルキルオキシ基;
ノルボルニルオキシ基、アダマンチルオキシ基、トリシクロデシルオキシ基、テトラシクロドデシルオキシ基等の多環のシクロアルキルオキシ基;
シクロプロペニルオキシ基、シクロブテニルオキシ基、シクロペンテニルオキシ基、シクロヘキセニルオキシ基等の単環のシクロアルケニルオキシ基;
ノルボルネニルオキシ基、トリシクロデセニルオキシ基等の多環のシクロアルケニルオキシ基等が挙げられる。
これらの中で、単環のシクロアルキルオキシ基、多環のシクロアルキルオキシ基が好ましく、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、ノルボルニルオキシ基、アダマンチルオキシ基がより好ましい。
上記炭素数6〜20の1価のオキシ芳香族炭化水素基としては、例えば、
フェノキシ基、トリルオキシ基、ナフチルオキシ基等のアリールオキシ基;
ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基、ナフチルメトキシ基等のアラルキルオキシ基などが挙げられる。
これらの中で、アリールオキシ基が好ましく、フェノキシ基がより好ましい。
上記式(Y−2)で表される基としては、Re4が水素原子かつRe5及びRe6が1価の鎖状炭化水素基である基、Re4が水素原子、Re5が1価の鎖状炭化水素基かつRe6が1価の脂環式炭化水素基である基、Re4、Re5及びRe6が1価の鎖状炭化水素基である基、Re4及びRe5が1価の鎖状炭化水素基かつRe6が1価のオキシ鎖状炭化水素基である基が好ましく、Re4が水素原子かつRe5及びRe6がアルキル基である基、Re4が水素原子、Re5がアルキル基かつRe6がシクロアルキル基である基、Re4、Re5及びRe6がアルキル基である基、Re4及びRe5がアルキル基かつRe6がアルコキシ基である基がより好ましく、Re4が水素原子、Re5がアルキル基かつRe6がシクロアルキル基である基がさらに好ましく、1−(シクロヘキシルエトキシ)エチル基が特に好ましい。
構造単位(I)としては、例えば、
構造単位(I−1)として、下記式(2−1−1)〜(2−1−7)で表される構造単位等が、
構造単位(I−2)として、下記式(2−2−1)〜(2−2−3)で表される構造単位等が挙げられる。
Figure 2016042160
上記式(2−1−1)〜(2−1−7)中、Rは、上記式(2−1)と同義である。Re1、Re2及びRe3は、上記式(Y−1)と同義である。rは、それぞれ独立して、1〜3の整数である。
上記式(2−2−1)〜(2−2−3)中、Rは、上記式(2−2)と同義である。
構造単位(I)としては、上記式(2−1−2)、(2−1−3)、(2−1−4)、(2−1−5)及び(2−2−3)で表される構造単位が好ましく、シクロペンタン構造を含む構造単位、シクロヘキサン構造を含む構造単位、アダマンタン構造を含む構造単位がより好ましく、1−エチル−1−シクロペンチル(メタ)アクリレートに由来する構造単位、2−メチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレートに由来する構造単位、2−エチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレートに由来する構造単位、アダマンタン−1−イル−2−プロピル(メタ)アクリレートに由来する構造単位、シクロヘキシル−2−プロピル(メタ)アクリレートに由来する構造単位、2−エチル−テトラシクロドデシル(メタ)アクリレートに由来する構造単位、1−(シクロヘキシルエトキシ)エトキシスチレンに由来する構造単位がさらに好ましい。
構造単位(I)の含有割合としては、[A]重合体を構成する全構造単位に対して、10モル%〜70モル%が好ましく、20モル%〜60モル%がより好ましく、30モル%〜55モル%がさらに好ましく、35モル%〜50モル%が特に好ましい。構造単位(I)の含有割合を上記範囲とすることで、当該感放射線性樹脂組成物はLWR性能等をさらに向上させることができる。
[構造単位(II)]
構造単位(II)は、下記式(3−1)で表される構造単位(以下、「構造単位(II−1)」ともいう)及び下記式(3−2)で表される構造単位(以下、「構造単位(II−2)」ともいう)からなる群より選ばれる少なくとも1種である。[A]重合体が構造単位(II)を有することで、[B]酸発生体及び/又は[C]化合物の[A]重合体中での分散性を向上させることができる。その結果、当該感放射線性樹脂組成物は、LWR性能等をさらに向上させることができる。また、当該感放射線性樹脂組成物から形成されるレジストパターンの基板への密着性を向上させることができる。
Figure 2016042160
上記式(3−1)中、Rは、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。Eは、単結合、−COO−又はCO−O−(CHiである。iは、1〜6の整数である。Rは、非酸解離性でかつ極性基を含む基である。
上記式(3−2)中、R8’は、水素原子又はメチル基である。R及びRは、それぞれ独立して水素原子、フッ素原子、ヒドロキシ基又は1価の有機基である。sは、1〜3の整数である。sが2以上の場合、複数のR及びRはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。R9a及びR9bは、それぞれ独立して水素原子、フッ素原子、ヒドロキシ基若しくは1価の有機基であるか、又はこれらの基が互いに合わせられこれらが結合する炭素原子と共に構成される環員数3〜30の環構造を表す。
上記構造単位(II−1)において、Rとしては、構造単位(II−1)を与える単量体の共重合性の観点から、水素原子、メチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
上記Eとしては、構造単位(II−1)を与える単量体の共重合性の観点から、−COO−が好ましい。
上記Rで表される非酸解離性でかつ極性基を含む基における極性基としては、例えば、ヒドロキシ基、カルボキシ基、シアノ基、スルホ基、メルカプト基等の1価の基(a);カルボニル基、−O−、−S−、これらを組み合わせてなる2価の基(b)等が挙げられる。
上記Rで表される非酸解離性かつ極性基を含む基としては、例えば、炭素数1〜20の1価の炭化水素基が有する水素原子の一部又は全部を上記1価の基(a)で置換した基、炭素数1〜20の1価の炭化水素基の一部又は全部の炭素−炭素間に上記2価の基(b)を含む基、炭素数1〜20の1価の炭化水素基が有する水素原子の一部又は全部を上記1価の基(a)で置換し、かつ一部又は全部の炭素−炭素間に上記2価の基(b)を含む基等が挙げられる。
上記炭素数1〜20の1価の炭化水素基としては、例えば、上記式(Y−1)におけるRe1、Re2及びRe3として例示したものと同様の基等が挙げられる。
上記Rとしては、ラクトン構造を有する基、環状カーボネート構造を有する基、スルトン構造を有する基、ヒドロキシ基を有する基等が挙げられる。
上記ラクトン構造を有する基としては、例えば、ブチロラクトン−イル基、ノルボルナンラクトン−イル基、5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.3.1.13,8]ウンデカン−イル基等が挙げられる。
環状カーボネート構造を有する基としては、例えば、エチレンカーボネート−イルメチル基等が挙げられる。
スルトン構造を有する基としては、例えば、プロパンスルトン−イル基、ノルボルナンスルトン−イル基等のスルトン構造を有する基等が挙げられる。
ヒドロキシ基を有する基としては、例えば、ヒドロキシアダマンチル基、ジヒドロキシアダマンチル基、トリヒドロキシアダマンチル基、ヒドロキシエチル基等が挙げられる。
構造単位(II−2)において、上記R8’としては、構造単位(II−2)を与える単量体の共重合性の観点から、水素原子が好ましい。
上記R、R、R9a及びR9bで表される1価の有機基としては、例えば、炭素数1〜20の1価の炭化水素基、この炭化水素基が有する水素原子の一部又は全部を置換基で置換した基、これらの基の炭素−炭素間に−CO−、−CS−、−O−、−S−若しくは−NR’−、又はこれらのうちの2種以上を組み合わせた基を含む基等が挙げられる。R’は、水素原子又は1価の有機基である。
上記R9a及びR9bが互いに合わせられこれらが結合する炭素原子と共に構成される環員数3〜30の環構造としては、例えばシクロプロパン構造、シクロブタン構造、シクロペンタン構造、シクロヘキサン構造、ノルボルナン構造、アダマンタン構造等の脂環構造;オキサシクロペンタン構造、チアシクロペンタン構造、アザシクロペンタン構造等の脂肪族複素環構造等が挙げられる。
sとしては、1又は2が好ましく、1がより好ましい。
構造単位(II)としては、例えば、
構造単位(II−1)として下記式(3−1−1)〜(3−1−11)で表される構造単位(以下、「構造単位(II−1−1)〜(II−1−11)」ともいう)等が、
構造単位(II−2)として下記式(3−2−1)及び(3−2−2)で表される構造単位(以下、「構造単位(II−2−1)及び(II−2−2)」ともいう)等が挙げられる。
Figure 2016042160
上記式(3−1−1)〜(3−1−11)中、Rは上記式(3−1)と同義である。
上記式(3−2−1)及び(3−2−2)中、R8’は、上記式(3−2)と同義である。
これらの中で構造単位(II−1)が好ましく、構造単位(II−1−1)、(II−1−2)、(II−1−3)、(II−1−8)、(II−1−11)がより好ましい。
構造単位(II)の含有割合としては、[A]重合体を構成する全構造単位に対して、0モル%〜80モル%が好ましく、10モル%〜70モル%がより好ましく、30モル%〜60モル%がさらに好ましい。構造単位(II)の含有割合を上記範囲とすることで、[B]酸発生体及び[C]化合物の[A]重合体中における分散性がより向上し、その結果、当該感放射線性樹脂組成物のLWR性能等をさらに向上させることができる。
[構造単位(III)]
構造単位(III)は、下記式(4)で表される構造単位である。照射する放射線として、KrFエキシマレーザー光、EUV、電子線等を用いる場合には、当該感放射線性樹脂組成物は、[A]重合体が構造単位(III)を有することで、感度を高めることができる。
Figure 2016042160
上記式(4)中、R10は、水素原子又はメチル基である。R11は、炭素数1〜20の1価の有機基である。pは、0〜3の整数である。R11が複数の場合、複数のR11は同一でも異なっていてもよい。qは、1〜3の整数である。但し、p及びqは、p+q≦5を満たす。
上記R10としては、構造単位(III)を与える単量体の共重合性の観点から、水素原子が好ましい。
上記R11で表される炭素数1〜20の1価の有機基としては、例えば、炭素数1〜20の1価の炭化水素基、この炭化水素基が有する水素原子の一部又は全部を置換基で置換した基、これらの基の炭素−炭素間に−CO−、−CS−、−O−、−S−若しくは−NR”−、又はこれらのうちの2種以上を組み合わせた基を含む基等が挙げられる。R”は、水素原子又は1価の有機基である。
これらの中で、1価の鎖状炭化水素基が好ましく、アルキル基がより好ましく、メチル基がさらに好ましい。
上記pとしては、0〜2の整数が好ましく、0又は1がより好ましく、0がさらに好ましい。
上記qは、1又は2が好ましく、1がより好ましい。
構造単位(III)としては、例えば、下記式(4−1)〜(4−4)で表される構造単位(以下、「構造単位(III−1)〜(III−4)」ともいう)等が挙げられる。
Figure 2016042160
上記式(4−1)〜(4−4)中、R10は、上記式(4)と同義である。
これらの中で、構造単位(III−1)、(III−2)が好ましく、構造単位(III−1)がより好ましい。
構造単位(III)の含有割合としては、[A]重合体を構成する全構造単位に対して、0モル%〜90モル%が好ましく、30モル%〜80モル%がより好ましく、50モル%〜75モル%がさらに好ましい。構造単位(III)の含有割合を上記範囲とすることで、当該感放射線性樹脂組成物は、感度をより向上させることができる。
なお、構造単位(III)は、ヒドロキシスチレンのOH基の水素原子をt−ブチル基等で置換した単量体を用いて重合し、得られた重合体を、アミン等の塩基存在下で加水分解反応を行うこと等により形成することができる。
[その他の構造単位]
[A]重合体は、上記構造単位(I)〜(III)以外のその他の構造単位を有していてもよい。その他の構造単位としては、例えば、非解離性の1価の脂環式炭化水素基を含む(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位等が挙げられる。上記その他の構造単位の含有割合としては、[A]重合体を構成する全構造単位に対して、20モル%以下が好ましく、10モル%以下がより好ましい。
[A]重合体の含有量としては、当該感放射線性樹脂組成物の全固形分に対して、70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、85質量%以上がさらに好ましい。
<[A]重合体の合成方法>
[A]重合体は、ラジカル重合等の常法に従って合成することができる。例えば、単量体及びラジカル開始剤を含有する溶液を反応溶媒又は単量体を含有する溶液に滴下して重合反応させる方法、単量体を含有する溶液とラジカル開始剤を含有する溶液とを各別に反応溶媒又は単量体を含有する溶液に滴下して重合反応させる方法、各々の単量体を含有する複数種の溶液とラジカル開始剤を含有する溶液とを各別に反応溶媒又は単量体を含有する溶液に滴下して重合反応させる方法、単量体及びラジカル開始剤を含有する溶液を無溶媒中や反応溶媒中で重合反応させる方法等で合成することが好ましい。
なお、単量体溶液に対して、単量体溶液を滴下して反応させる場合、滴下される単量体溶液中の単量体量は、重合に用いられる単量体総量に対して30モル%以上であることが好ましく、50モル%以上であることがより好ましく、70モル%以上であることがさらに好ましい。
これらの方法における反応温度は開始剤種によって適宜決定すればよい。通常30℃〜150℃であり、40℃〜150℃が好ましく、50℃〜140℃がより好ましい。滴下時間は、反応温度、開始剤の種類、反応させる単量体等の条件によって異なるが、通常30分〜8時間であり、45分〜6時間が好ましく、1時間〜5時間がより好ましい。また、滴下時間を含む全反応時間も、滴下時間と同様に条件により異なるが、通常30分〜12時間であり、45分〜12時間が好ましく、1〜10時間がより好ましい。
上記重合に使用されるラジカル開始剤としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−シクロプロピルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート等のアゾ系ラジカル開始剤;ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等の過酸化物系ラジカル開始剤等が挙げられ。これらの中で、AIBN、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)が好ましい。なお、ラジカル開始剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
反応溶媒としては、重合を阻害する溶媒(重合禁止効果を有するニトロベンゼン、連鎖移動効果を有するメルカプト化合物等)以外の溶媒であって、その単量体を溶解可能な溶媒であれば使用することができる。例えば、アルコール類、エーテル類、ケトン類、アミド類、エステル・ラクトン類、ニトリル類及びその混合溶媒等が挙げられる。これらの溶媒は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
重合反応により得られた重合体は、再沈殿法により回収することが好ましい。すなわち重合反応終了後、重合液を再沈溶媒に投入することにより、目的の重合体を粉体として回収する。再沈溶媒としては、アルコール類やアルカン類等を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、再沈殿法の他に、分液操作やカラム操作、限外ろ過操作等により、単量体、オリゴマー等の低分子成分を除去して、重合体を回収することもできる。
[A]重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)としては、1,000〜50,000が好ましく、2,000〜40,000がより好ましく、3,000〜30,000がさらに好ましく、5,000〜20,000が特に好ましい。[A]重合体のMwが上記下限未満の場合、当該感放射線性樹脂組成物から形成されたレジストパターンの耐熱性が低下するおそれがある。[A]重合体のMwが上記上限を超える場合、当該感放射線性樹脂組成物の現像性が低下するおそれがある。
[A]重合体のGPCによるポリスチレン換算数平均分子量(Mn)に対するMwの比(Mw/Mn、分散度)としては、1〜5が好ましく、1〜3がより好ましく、1〜2.5がさらに好ましい。
本明細書における重合体のMw及びMnは以下の条件によるゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定される値である。
GPCカラム:東ソー社の「G2000HXL」2本、「G3000HXL」1本、「G4000HXL」1本
カラム温度:40℃
溶出溶媒:テトラヒドロフラン
流速:1.0mL/分
試料濃度:1.0質量%
試料注入量:100μL
検出器:示差屈折計
標準物質:単分散ポリスチレン
<[B]酸発生体>
[B]酸発生体は露光により酸を発生する物質である(但し[C]化合物に該当するものを除く。[B]酸発生体は、[C]化合物から発生する酸よりも強い酸を発生する)。この発生した酸により[A]重合体等が有する酸解離性基が解離してカルボキシ基等が生じ、これらの重合体の現像液への溶解性が変化するため、当該感放射線性樹脂組成物からレジストパターンを形成することができる。当該感放射線性樹脂組成物における[B]酸発生体の含有形態としては、後述するような低分子化合物の形態(以下、適宜「[B]酸発生剤」と称する)でも、重合体の一部として組み込まれた形態でも、これらの両方の形態でもよい。
[B]酸発生剤としては、例えばオニウム塩化合物、N−スルホニルオキシイミド化合物、ハロゲン含有化合物、ジアゾケトン化合物等が挙げられる。
オニウム塩化合物としては、例えばスルホニウム塩、テトラヒドロチオフェニウム塩、ヨードニウム塩、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩、ピリジニウム塩等が挙げられる。
[B]酸発生剤の具体例としては、例えば特開2009−134088号公報の段落[0080]〜[0113]に記載されている化合物等が挙げられる。
[B]酸発生剤としては、下記式(5)で表される化合物が好ましい。[B]酸発生剤を下記式(5)で表される化合物とすることで、[A]重合体が有する極性構造との相互作用等により、露光により発生する酸のレジスト膜中の拡散長がより適度に短くなると考えられ、その結果、当該感放射線性樹脂組成物のLWR性能等をより向上させることができる。
Figure 2016042160
上記式(5)中、Ra1は、環員数6以上の脂環構造を含む1価の基又は環員数6以上の脂肪族複素環構造を含む1価の基である。Ra2は、炭素数1〜10のフッ素化アルカンジイル基である。Mは、1価の放射線分解性オニウムカチオンである。
上記Ra1における「環員数」とは、脂環構造及び脂肪族複素環構造の環を構成する原子数をいい、多環の脂環構造及び多環の脂肪族複素環構造の場合は、この多環を構成する原子数をいう。
上記Ra1で表される環員数6以上の脂環構造を含む1価の基としては、例えば、
シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、シクロドデシル基等の単環のシクロアルキル基;
シクロオクテニル基、シクロデセニル基等の単環のシクロアルケニル基;
ノルボルニル基、アダマンチル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基等の多環のシクロアルキル基;
ノルボルネニル基、トリシクロデセニル基等の多環のシクロアルケニル基などが挙げられる。
上記Ra1で表される環員数6以上の脂肪族複素環構造を含む1価の基としては、例えば、
ノルボルナンラクトン−イル基等のラクトン構造を含む基;
ノルボルナンスルトン−イル基等のスルトン構造を含む基;
オキサシクロヘプチル基、オキサノルボルニル基等の酸素原子含有複素環基;
アザシクロヘキシル基、アザシクロヘプチル基、ジアザビシクロオクタン−イル基等の窒素原子含有複素環基;
チアシクロヘプチル基、チアノルボルニル基等のイオウ原子含有複素環基などが挙げられる。
上記Ra1で表される基の環員数としては、上述の酸の拡散長がさらに適度になる観点から、8以上が好ましく、9〜15がより好ましく、10〜13がさらに好ましい。
これらの中で、環員数9以上の脂環構造を含む1価の基、環員数9以上の脂肪族複素環構造を含む1価の基が好ましく、アダマンチル基、ヒドロキシアダマンチル基、ノルボルナンラクトン−イル基、5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.3.1.13,8]ウンデカン−イル基がより好ましく、アダマンチル基がさらに好ましい。
上記Ra2で表される炭素数1〜10のフッ素化アルカンジイル基としては、例えばメタンジイル基、エタンジイル基、プロパンジイル基等の炭素数1〜10のアルカンジイル基が有する水素原子の1個以上をフッ素原子で置換した基等が挙げられる。これらの中で、SO 基に隣接する炭素原子にフッ素原子が結合しているフッ素化アルカンジイル基が好ましく、SO 基に隣接する炭素原子に2個のフッ素原子が結合しているフッ素化アルカンジイル基がより好ましく、1,1−ジフルオロメタンジイル基、1,1−ジフルオロエタンジイル基、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−1,2−プロパンジイル基、1,1,2,2−テトラフルオロエタンジイル基、1,1,2,2−テトラフルオロブタンジイル基、1,1,2,2−テトラフルオロヘキサンジイル基がさらに好ましい。
上記Mで表される1価の放射線分解性オニウムカチオンとしては、後述する[C]化合物が有する放射線分解性オニウムカチオンとして例示するものと同様のカチオン等が挙げられる。これらの中で、スルホニウムカチオンが好ましく、トリフェニルスルホニウムカチオンがより好ましい。
[B]酸発生剤としては、例えば下記式(5−1)〜(5−13)で表される化合物(以下、「化合物(5−1)〜(5−13)」ともいう)等が挙げられる。
Figure 2016042160
上記式(5−1)〜(5−13)中、Mは、上記式(5)と同義である。
これらの中で、化合物(5−1)、化合物(5−2)、化合物(5−12)、化合物(5−13)が好ましい。
また、[B]酸発生体としては、下記式(5−14)で表される構造単位を有する重合体等の上記式(5)の構造が重合体の一部として組み込まれた重合体も好ましい。
Figure 2016042160
上記式(5−14)中、R”は、水素原子又はメチル基である。Mは、上記式(5)と同義である。
[B]酸発生体の含有量としては、[B]酸発生体が[B]酸発生剤の場合、当該感放射線性樹脂組成物の感度及び現像性の向上の観点から、[A]重合体100質量部に対して、0.1質量部〜30質量部が好ましく、0.5質量部〜20質量部がより好ましく、1質量部〜15質量部がさらに好ましく、3質量部〜15質量部が特に好ましい。また、[B]酸発生体が重合体の一部として組み込まれる場合、当該感放射線性樹脂組成物の感度及び現像性の向上の観点から、[A]重合体を構成する全構造単位に対して、1モル%〜30モル%が好ましく、2モル%〜20モル%がより好ましく、3モル%〜10モル%がさらに好ましい。[B]酸発生体は1種又は2種以上を用いることができる。
<[C]化合物>
[C]化合物は、放射線分解性オニウムカチオンとカウンターアニオンとからなり、上記カウンターアニオンが、2以上のカルボニル基と、上記カルボニル基のうちの1つに隣接する−N−とを有し、上記カルボニル基同士が、単結合、置換若しくは非置換の炭素数1若しくは2のアルカンジイル基、又は置換若しくは非置換の1,2−ベンゼンジイル基を介して結合する化合物である。
当該感放射線性樹脂組成物は、[A]重合体及び[B]酸発生体に加えて、[C]化合物を含有することで、良好な保存安定性を確保しつつ、LWR性能等に優れる。
[C]化合物は、未露光部ではNによる酸捕捉機能を発揮するが、露光部では露光によりMから生じたプロトンが結合してNがNHになる。従って、露光によりその酸捕捉機能が低下する、すなわち[C]化合物は感放射線性の酸拡散制御剤として機能する。但し、[C]化合物は上記[B]酸発生体に該当しないものとする。
当該感放射線性樹脂組成物が[C]化合物を含有することで、上記効果を奏する理由については必ずしも明確ではないが、例えば以下のように推察することができる。すなわち、[C]化合物は、窒素原子がアニオンであり、これにカルボニル基が結合し、さらに、単結合、又は炭素数1若しくは2のアルカンジイル基若しくは1,2−ベンゼンジイル基という比較的短いR基を介して他のカルボニル基の1つを有している。従って、[C]化合物は従来のスルホネートアニオン等を含む酸拡散制御体と比べて高い塩基性を有していると考えられ、酸捕捉機能が高くなり、露光部と未露光部のクエンチコントラストを高くすることができる。その結果、当該感放射線性樹脂組成物のLWR性能等が向上すると考えられる。一方、[C]化合物の塩基性は、上述の特定構造により適度な高さに抑えられるので、当該感放射線性樹脂組成物は、良好な保存安定性を確保できると考えられる。
[C]化合物としては、下記式(1)で表される化合物が好ましい。当該感放射線性樹脂組成物は、[C]化合物として下記式(1)で表される化合物を用いることで、LWR性能等をより向上させることができる。また、このような[C]化合物は、合成容易性にも優れる。
Figure 2016042160
上記式(1)中、Rは、単結合、置換若しくは非置換のメタンジイル基、置換若しくは非置換のエタンジイル基、又は置換若しくは非置換の1,2−ベンゼンジイル基である。R及びRは、それぞれ独立して、炭素数1〜30の1価の有機基である。nは、1以上3以下の整数である。nが2以上の場合、複数のRは同一でも異なっていてもよい。Mは、1価の放射線分解性オニウムカチオンである。但し、R、R及びRのうちの2つ以上は、これらの結合により環員数5〜30の環構造を形成してもよい。
上記Rのメタンジイル基、エタンジイル基及び1,2−ベンゼンジイル基が有していてもよい置換基としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボニルオキシ基、アシル基、アシロキシ基などが挙げられる。これらの中で、ハロゲン原子が好ましく、フッ素原子がより好ましい。
上記Rとしては、より具体的には、例えば下記式(C−1)〜(C−10)で表される基(以下、「基(C−1)〜(C−10)」ともいう)等が挙げられる。
Figure 2016042160
上記式(C−1)〜(C−10)中、*及び**は、結合手を示す。
としては、上記塩基性をより適度な高さに調整できる傾向があることから、単結合、基(C−1)〜(C−3)、(C−5)、(C−6)が好ましく、単結合が好ましい。
上記R及びRで表される炭素数1〜30の1価の有機基としては、例えば炭素数1〜30の1価の炭化水素基、この炭化水素基の炭素−炭素間又は結合手側の末端に2価のヘテロ原子含有基を含む基(q)、上記炭化水素基及び基(q)が有する水素原子の一部又は全部を1価のヘテロ原子含有基で置換した基等が挙げられる。
上記炭素数1〜30の1価の炭化水素基としては、例えば炭素数1〜20の1価の鎖状炭化水素基、炭素数3〜20の1価の脂環式炭化水素基、炭素数6〜20の1価の芳香族炭化水素基等が挙げられる。
上記炭素数1〜20の1価の鎖状炭化水素基としては、例えば、
メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基等のアルキル基;
エテニル基、プロペニル基、ブテニル基等のアルケニル基;
エチニル基、プロピニル基、ブチニル基等のアルキニル基などが挙げられる。
上記炭素数3〜20の1価の脂環式炭化水素基としては、例えば、
シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等の単環のシクロアルキル基;
シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等の単環のシクロアルケニル基;
ノルボルニル基、アダマンチル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基等の多環のシクロアルキル基;
ノルボルネニル基、トリシクロデセニル基、テトラシクロドデセニル基等の多環のシクロアルケニル基などが挙げられる。
上記炭素数6〜20の1価の芳香族炭化水素基としては、例えば、
フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基等のアリール基;
ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、ナフチルメチル基等のアラルキル基などが挙げられる。
上記1価及び2価のヘテロ原子含有基が有するヘテロ原子としては、例えば酸素原子、硫黄原子、窒素原子、ケイ素原子、リン原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子などが挙げられる。これらの中で、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、ハロゲン原子が好ましく、酸素原子、フッ素原子がより好ましい。
上記2価のヘテロ原子含有基としては、例えば−O−、−CO−、−CO−CO−、−CS−、−NR’−、−SO−、−SO−、これらを組み合わせた基等が挙げられる。R’は水素原子又は炭素数1〜10の1価の炭化水素基である。
上記1価のヘテロ原子含有基としては、例えばヒドロキシ基、カルボキシ基、スルファニル基(−SH)、アミノ基、シアノ基、ハロゲン原子等が挙げられる。
より具体的には、上記R及びRとしては、例えば下記式(C−1)〜(C−21)で表される基(以下、「基(C−1)〜(C−21)」ともいう)等が挙げられる。
Figure 2016042160
上記式(C−1)〜(C−21)中、*は、結合手を示す。
これらの中で、上記Rとしては、基(C−1)〜(C−10)が好ましく、基(C−1)〜(C−3)、(C−5)、(C−7)、(C−9)、(C−10)がより好ましい。
上記Rとしては、基(C−11)〜(C−21)が好ましく、基(C−11)、(C−12)、(C−14)、(C−15)、(C−17)〜(C−19)、(C−21)がより好ましい。
上記Rとしては、上記塩基性をより適度な高さに調整できる観点から、−COR、−SO又は−SOであり、このRが炭素数1〜20の1価の有機基であることが好ましい。
上記Rの1価の有機基としては、例えば、上記R及びRの1価の有機基として例示した基のうち炭素数1〜20のもの等が挙げられる。
また、R及びRのうちの少なくとも1つがフッ素原子を含むことも好ましい。そのようにすることで、上記塩基性をより適度な高さに調整できる傾向がある。
上記R、R及びRのうちの2つ以上が形成してもよい環構造としては、例えば、
シクロプロパン構造、シクロブタン構造、シクロペンタン構造、シクロヘキサン構造、シクロオクタン構造等の単環のシクロアルカン構造;
ノルボルナン構造、アダマンタン構造、トリシクロデカン構造、テトラシクロドデカン構造等の多環のシクロアルカン構造;
シクロプロペン構造、シクロブテン構造、シクロペンテン構造、シクロヘキセン構造、シクロオクテン構造等の単環のシクロアルケン構造;
ノルボルネン構造、トリシクロデセン構造、テトラシクロドデセン構造等の多環のシクロアルケン構造;
オキサシクロペンタン構造、オキサシクロヘキサン構造、オキサノルボルナン構造等のオキサシクロアルカン構造;
アザシクロペンタン構造、アザシクロヘキサン構造、アザノルボルナン構造等のアザシクロアルカン構造;
チアシクロペンタン構造、チアシクロヘキサン構造、チアノルボルナン構造等のチアシクロアルカン構造などが挙げられる。
上記式(1)におけるRが単結合であり、Rが炭素数1〜30の1価のフッ素化炭化水素基であることも好ましい。この場合も、上記塩基性をより適度な高さに調整できる傾向がある。
上記式(1)におけるnとしては、1又は2が好ましく、1がより好ましい。上記nを上記値とすることで、[C]化合物は合成容易性により優れる。
上記Mで表される1価の放射線分解性オニウムカチオンとしては、例えばスルホニウムカチオン、ヨードニウムカチオン等が挙げられる。
上記スルホニウムカチオンとしては、例えば下記式(Q−1)で表されるカチオン、下記式(Q−2)で表されるカチオン等が、上記ヨードニウムカチオンとしては、例えば下記式(Q−3)で表されるカチオン等が挙げられる。
Figure 2016042160
上記式(Q−1)中、Rb1、Rb2及びRb3は、それぞれ独立して、置換若しくは非置換の炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、置換若しくは非置換の炭素数6〜12の芳香族炭化水素基、−OSO−R若しくは−SO−Rであるか、又はこれらの基のうちの2つ以上が互いに合わせられ構成される環構造を表す。R及びRは、それぞれ独立して、置換若しくは非置換の炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、置換若しくは非置換の炭素数5〜25の脂環式炭化水素基又は置換若しくは非置換の炭素数6〜12の芳香族炭化水素基である。k1、k2及びk3は、それぞれ独立して0〜5の整数である。Rb1〜Rb3並びにR及びRがそれぞれ複数の場合、複数のRb1〜Rb3並びにR及びRはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
上記式(Q−2)中、Rc1は、置換若しくは非置換の炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は置換若しくは非置換の炭素数6〜8の芳香族炭化水素基である。k4は、0〜7の整数である。Rc1が複数の場合、複数のRc1は同一でも異なっていてもよく、また複数のRc1は、互いに合わせられ構成される環構造を表してもよい。Rc2は、置換若しくは非置換の炭素数1〜7の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は置換若しくは非置換の炭素数6若しくは7の芳香族炭化水素基である。k5は、0〜6の整数である。Rc2が複数の場合、複数のRc2は同一でも異なっていてもよく、複数のRc2は互いに合わせられ構成される環構造を表してもよい。tは、0〜3の整数である。
上記式(Q−3)中、Rd1及びRd2は、それぞれ独立して、置換若しくは非置換の炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、置換若しくは非置換の炭素数6〜12の芳香族炭化水素基、−OSO−R若しくは−SO−Rであるか、又はこれらの基のうちの2つ以上が互いに合わせられ構成される環構造を表す。R及びRは、それぞれ独立して、置換若しくは非置換の炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、置換若しくは非置換の炭素数5〜25の脂環式炭化水素基又は置換若しくは非置換の炭素数6〜12の芳香族炭化水素基である。k6及びk7は、それぞれ独立して0〜5の整数である。Rd1、Rd2、R及びRがそれぞれ複数の場合、複数のRd1、Rd2、R及びRはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
上記Rb1〜Rb3、Rc1、Rc2、Rd1及びRd2で表される非置換の直鎖状のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基等が挙げられる。上記Rb1〜Rb3、Rc1、Rc2、Rd1及びRd2で表される非置換の分岐状のアルキル基としては、例えばi−プロピル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基等が挙げられる。上記Rb1〜Rb3、Rd1及びRd2で表される非置換の芳香族炭化水素基としては、例えばフェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基などが挙げられる。上記Rc1及びRc2で表される非置換の芳香族炭化水素基としては、例えばフェニル基、トリル基、ベンジル基等が挙げられる。
上記アルキル基及び芳香族炭化水素基が有する水素原子を置換していてもよい置換基としては、例えば、上記Lが有していてもよい置換基として例示したものと同様の基等が挙げられる。
上記Rb1〜Rb3、Rc1、Rc2、Rd1及びRd2としては、非置換の直鎖状又は分岐状のアルキル基、フッ素化アルキル基、非置換の1価の芳香族炭化水素基、−OSO−R、−SO−Rが好ましく、フッ素化アルキル基、非置換の1価の芳香族炭化水素基がより好ましく、フッ素化アルキル基がさらに好ましい。Rは非置換の1価の脂環式炭化水素基又は非置換の1価の芳香族炭化水素基である。
上記式(Q−1)におけるk1、k2及びk3としては、0〜2の整数が好ましく、0又は1がより好ましく、0がさらに好ましい。上記式(Q−2)におけるk4としては、0〜2の整数が好ましく、0又は1がより好ましく、1がさらに好ましい。k5としては、0〜2の整数が好ましく、0又は1がより好ましく、0がさらに好ましい。上記式(Q−3)におけるk6及びk7としては、0〜2の整数が好ましく、0又は1がより好ましく、0がさらに好ましい。
上記スルホニウムカチオンとしては、例えば下記式(i−1)〜(i−23)で表されるカチオン、下記式(i’−1)〜(i’−4)で表されるカチオン等が挙げられる。
Figure 2016042160
Figure 2016042160
これらの中で、上記式(i−1)で表されるカチオン、上記式(i−21)〜(i−23)で表されるカチオン、上記式(i’−2)で表されるカチオンが好ましい。
上記ヨードニウムカチオンとしては、例えば下記式(ii−1)〜(ii−25)で表されるカチオン等が挙げられる。
Figure 2016042160
これらの中で、上記式(ii−1)で表されるカチオンが好ましい。
[C]化合物としては、例えば下記式(C−1)〜(C−17)で表される化合物等が挙げられる。
Figure 2016042160
上記式(C−1)〜(C−17)中、Mは、1価の放射線分解性オニウムカチオンである。
これらの中で、上記式(C−1)〜(C−11)で表される化合物が好ましい。
[C]化合物は、例えば、上記式(1)におけるnが1の場合(下記式(1’)で表される化合物)、下記スキームに従い、合成することができる。
Figure 2016042160
上記スキーム中、Rは、単結合、置換若しくは非置換のメタンジイル基、置換若しくは非置換のエタンジイル基、又は置換若しくは非置換の1,2−ベンゼンジイル基である。R及びRは、それぞれ独立して、炭素数1〜30の1価の有機基である。Mは、1価の放射線分解性オニウムカチオンである。但し、R、R及びRのうちの2つ以上は、これらの結合により環員数5〜30の環構造を形成してもよい。Xは、ハロゲン原子である。Yは、1価のアニオンである。
上記式(a)で表される化合物と、上記式(b)で表される酸ハロゲン化物とを、例えばピリジン等の塩基存在下、テトラヒドロフラン等の溶媒中で反応させることにより、上記式(c)で表される化合物が得られる。得られた化合物(c)に、ジクロロメタン等の溶媒中、水酸化ナトリウム等の塩基を反応させて、N塩を得た後、このN塩と、Mで表される放射線分解性オニウム塩とを、例えばジクロロメタン/水の溶媒中で反応させることにより上記式(1’)で表される化合物が得られる。
上記式(1’)で表される化合物以外の[C]化合物も、上述の方法と同様の方法により合成することができる。
[C]化合物の含有量の下限としては、[A]重合体100質量部に対して、0.1質量部が好ましく、0.5質量部がより好ましく、1質量部がさらに好ましく、1.5質量部が特に好ましい。[C]化合物の含有量の上限としては、[A]重合体100質量部に対して、30質量部が好ましく、20質量部がより好ましく、10質量部がさらに好ましく、5質量部が特に好ましい。[C]化合物の含有割合を上記範囲とすることで、当該感放射線性樹脂組成物は、さらに良好な保存安定性を確保しつつ、LWR性能等をさらに向上させることができる。当該感放射線性樹脂組成物は[C]化合物を1種又は2種以上含有してもよい。
<[D]溶媒>
当該感放射線性樹脂組成物は、通常[D]溶媒を含有する。[D]溶媒は少なくとも[A]重合体、[B]酸発生体、[C]化合物、必要に応じて含有される[E]フッ素原子含有重合体等を溶解又は分散可能な溶媒であれば特に限定されない。これらは1種を使用してもよく2種以上を併用してもよい。
[D]溶媒としては、例えばアルコール系溶媒、エーテル系溶媒、ケトン系有機溶媒、アミド系溶媒、エステル系有機溶媒、炭化水素系溶媒等が挙げられる。
アルコール系溶媒としては、例えば、
4−メチル−2−ペンタノール、n−ヘキサノール等の炭素数1〜18の脂肪族モノアルコール系溶媒;
シクロヘキサノール等の炭素数3〜18の脂環式モノアルコール系溶媒;
1,2−プロピレングリコール等の炭素数2〜18の多価アルコール系溶媒;
プロピレングリコールモノメチルエーテル等の炭素数3〜19の多価アルコール部分エーテル系溶媒などが挙げられる。
エーテル系溶媒としては、例えば、
ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジペンチルエーテル、ジイソアミルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジヘプチルエーテル等のジアルキルエーテル系溶媒;
テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等の環状エーテル系溶媒;
ジフェニルエーテル、アニソール等の芳香環含有エーテル系溶媒などが挙げられる。
ケトン系溶媒としては、例えば、
アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、ジエチルケトン、メチル−iso−ブチルケトン、2−ヘプタノン、エチル−n−ブチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジ−iso−ブチルケトン、トリメチルノナノン等の鎖状ケトン系溶媒:
シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン、シクロオクタノン、メチルシクロヘキサノン等の環状ケトン系溶媒:
2,4−ペンタンジオン、アセトニルアセトン、アセトフェノンなどが挙げられる。
アミド系溶媒としては、例えば、
N,N’−ジメチルイミダゾリジノン、N−メチルピロリドン等の環状アミド系溶媒;
N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド等の鎖状アミド系溶媒などが挙げられる。
エステル系溶媒としては、例えば、
酢酸n−ブチル、乳酸エチル等のモノカルボン酸エステル系溶媒;
プロピレングリコールアセテート等の多価アルコールカルボキシレート系溶媒;
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の多価アルコール部分エーテルカルボキシレート系溶媒;
シュウ酸ジエチル等の多価カルボン酸ジエステル系溶媒;
ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のカーボネート系溶媒などが挙げられる。
炭化水素系溶媒としては、例えば、
n−ペンタン、n−ヘキサン等の炭素数5〜12の脂肪族炭化水素系溶媒;
トルエン、キシレン等の炭素数6〜16の芳香族炭化水素系溶媒などが挙げられる。
これらの中で、エステル系溶媒、ケトン系溶媒が好ましく、多価アルコール部分エーテルカルボキシレート系溶媒、環状ケトン系溶媒がより好ましく、多価アルコール部分アルキルエーテルアセテート、シクロアルカノンがさらに好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノンが特に好ましい。
<[E]フッ素原子含有重合体>
[E]フッ素原子含有重合体は、フッ素原子を含む重合体である(但し、[A]重合体に該当するものを除く)。当該感放射線性樹脂組成物が[A]重合体に加えて[E]フッ素原子含有重合体をさらに含有すると、形成されるレジスト膜の表層に[E]フッ素原子含有重合体が偏在化し、その結果、レジスト膜表面の疎水性を向上させることができる。これにより、液浸露光を行う場合等に、レジスト膜からの物質溶出抑制性に優れると共に、レジスト膜と液浸液との後退接触角を十分高くすることができ、より高速なスキャンが可能になる。
[E]フッ素原子含有重合体としては特に限定されないが、それ自体は現像液に不溶で酸の作用によりアルカリ可溶性となる重合体、それ自体が現像液に可溶であり酸の作用によりアルカリ可溶性が増大する重合体、それ自体は現像液に不溶でアルカリの作用によりアルカリ可溶性となる重合体、それ自体が現像液に可溶でありアルカリの作用によりアルカリ可溶性が増大する重合体等が挙げられる。
[E]フッ素原子含有重合体の態様としては、例えば、
主鎖にフッ素化アルキル基が結合した構造;
側鎖にフッ素化アルキル基が結合した構造;
主鎖と側鎖とにフッ素化アルキル基が結合した構造等が挙げられる。
主鎖にフッ素化アルキル基が結合した構造を与える単量体としては、例えば、α−トリフルオロメチルアクリレート化合物、β−トリフルオロメチルアクリレート化合物、α,β−トリフルオロメチルアクリレート化合物、1種類以上のビニル部位の水素原子がトリフルオロメチル基等のフッ素化アルキル基で置換された化合物等が挙げられる。
側鎖にフッ素化アルキル基が結合した構造を与える単量体としては、例えば、ノルボルネン等の脂環式オレフィン化合物の側鎖がフッ素化アルキル基やその誘導基であるもの、アクリル酸又はメタクリル酸の側鎖がフッ素化アルキル基やその誘導基であるエステル化合物、1種類以上のオレフィンの側鎖(二重結合を含まない部位)がフッ素化アルキル基やその誘導基であるもの等が挙げられる。
主鎖と側鎖とにフッ素化アルキル基が結合した構造を与える単量体としては、例えば、α−トリフルオロメチルアクリル酸、β−トリフルオロメチルアクリル酸、α,β−トリフルオロメチルアクリル酸等の側鎖がフッ素化アルキル基やその誘導基であるエステル化合物、1種類以上のビニル部位の水素原子がトリフルオロメチル基等のフッ素化アルキル基で置換された化合物の側鎖をフッ素化アルキル基やその誘導基で置換したもの、1種類以上の脂環式オレフィン化合物の二重結合に結合している水素原子をトリフルオロメチル基等のフッ素化アルキル基で置換し、かつ側鎖がフッ素化アルキル基やその誘導基であるもの等が挙げられる。なお、脂環式オレフィン化合物とは、環の一部が二重結合である化合物をいう。
[E]フッ素原子含有重合体は、下記式(6)で表される構造単位(以下、「構造単位(f1)ともいう」及び/又は下記式(7)で表される構造単位(以下、「構造単位(f2)」ともいう)を有することが好ましい。また、[E]フッ素原子含有重合体は、構造単位(f1)及び構造単位(f2)以外の「他の構造単位」を有してもよい。なお、[E]フッ素原子含有重合体は、各構造単位を1種又は2種以上含んでいてもよい。以下、各構造単位について詳述する。
[構造単位(f1)]
構造単位(f1)は下記式(6)で表される構造単位である。
Figure 2016042160
上記式(6)中、Rf3は、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。Rf4は、フッ素原子を有する炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基又はフッ素原子を有する炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基である。但し、上記アルキル基及び脂環式炭化水素基が有する水素原子の一部又は全部は、置換されていてもよい。
上記炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられる。
上記炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロペンチルプロピル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロオクチルメチル基等が挙げられる。
構造単位(f1)を与える単量体としては、例えば、トリフルオロメチル(メタ)アクレート、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロn−プロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロi−プロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロn−ブチル(メタ)アクリレート、パーフルオロi−ブチル(メタ)アクリレート、パーフルオロt−ブチル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ)プロピル(メタ)アクリレート、1−(2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ)ペンチル(メタ)アクリレート、1−(2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ)ヘキシル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、1−(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ)プロピル(メタ)アクリレート、1−(2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロ)ペンタ(メタ)アクリレート、1−(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロ)デシル(メタ)アクリレート、1−(5−トリフルオロメチル−3,3,4,4,5,6,6,6−オクタフルオロ)ヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
構造単位(f1)としては、下記式(6−1)及び(6−2)で表される構造単位が好ましい。
Figure 2016042160
上記式(6−1)及び(6−2)中、Rf3は、上記式(6)と同義である。
これらの中で、上記式(6−1)で表される構造単位が好ましい。
構造単位(f1)の含有割合としては、[E]フッ素原子含有重合体を構成する全構造単位に対して、10モル%〜70モル%が好ましく、20モル%〜50モル%がより好ましい。
[構造単位(f2)]
構造単位(f2)は、下記式(7)で表される構造単位である。
Figure 2016042160
上記式(7)中、Rf5は、水素原子、フッ素原子、メチル基、又はトリフルオロメチル基である。Rf6は、(r+1)価の連結基である。Xは、フッ素原子を有する2価の連結基である。Rf7は、水素原子又は1価の有機基である。rは、1〜3の整数である。但し、rが2又は3の場合、複数のX及びRf7は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
上記Rf6で表される(r+1)価の連結基としては、例えば、炭素数1〜30の(r+1)価の直鎖状又は分岐状の炭化水素基、炭素数3〜30の(r+1)価の脂環式炭化水素基、炭素数6〜30の(r+1)価の芳香族炭化水素基、又はこれらの基と酸素原子、硫黄原子、エーテル基、エステル基、カルボニル基及びイミノ基からなる群より選ばれる1種以上の基とを組み合わせた基が挙げられる。また、上記(r+1)価の連結基は、置換基を有していてもよい。
上記炭素数1〜30の(r+1)価の直鎖状又は分岐状の炭化水素基としては、例えば、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、デカン、イコサン、トリアコンタン等の炭化水素基から(r+1)個の水素原子を除いた基等が挙げられる。
上記炭素数3〜30の(r+1)価の脂環式炭化水素基としては、例えば、
シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロデカン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の単環式飽和炭化水素;
シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン、シクロデセン、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、シクロオクタジエン、シクロデカジエン等の単環式不飽和炭化水素;
ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、トリシクロ[3.3.1.13,7]デカン、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカン、アダマンタン等の多環式飽和炭化水素;
ビシクロ[2.2.1]ヘプテン、ビシクロ[2.2.2]オクテン、トリシクロ[5.2.1.02,6]デセン、トリシクロ[3.3.1.13,7]デセン、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデセン等の多環式不飽和炭化水素などから(r+1)個の水素原子を除いた基等が挙げられる。
上記炭素数6〜30の(r+1)価の芳香族炭化水素基としては、例えば、ベンゼン、ナフタレン、フェナントレン、アントラセン、テトラセン、ペンタセン、ピレン、ピセン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、メシチレン、クメン等の芳香族炭化水素基から(r+1)個の水素原子を除いた基等が挙げられる。
上記Xで表されるフッ素原子を有する2価の連結基としては、フッ素原子を有する炭素数1〜20の2価の鎖状炭化水素基等が挙げられ、例えば下記式(X1−1)〜(X1−6)で表される基等が挙げられる。
Figure 2016042160
上記Xとしては、上記式(X1−1)で表される基、上記式(X1−2)で表される基が好ましく、上記式(X1−2)で表される基がより好ましい。
上記Rf7で表される1価の有機基としては、例えば、炭素数1〜30の直鎖状又は分岐状の炭化水素基、炭素数3〜30の脂環式炭化水素基、炭素数6〜30の芳香族炭化水素基、又はこれらの基と酸素原子、硫黄原子、エーテル基、エステル基、カルボニル基及びイミノ基からなる群より選ばれる1種以上の基とを組み合わせた基等が挙げられる。
上記構造単位(f2)としては、例えば、下記式(7−1)で表される構造単位、下記式(7−2)で表される構造単位等が挙げられる。
Figure 2016042160
上記式(7−1)及び(7−2)中、Rf5、X、Rf7及びrは上記式(7)と同義である。
上記式(7−1)中、Rf6は、炭素数1〜20の2価の直鎖状若しくは分岐状の飽和若しくは不飽和の炭化水素基、又は炭素数3〜20の脂環式の飽和若しくは不飽和の炭化水素基である。
上記式(7−1)で表される構造単位としては、例えば下記式(7−1−1)〜(7−1−3)で表される構造単位が、上記式(7−2)で表される構造単位としては、例えば下記式(7−2−1)で表される構造単位等が挙げられる。
Figure 2016042160
上記式(7−1−1)〜(7−1−3)及び式(7−2−1)中、Rf5は上記式(7)と同義である。
構造単位(f2)としては、上記式(7−1)で表される構造単位が好ましく、上記式(7−1−3)で表される構造単位がより好ましい。
構造単位(f2)を与える単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸[2−(1−エチルオキシカルボニル−1,1−ジフルオロ−n−ブチル)]エステル、(メタ)アクリル酸(1,1,1−トリフルオロ−2−トリフルオロメチル−2−ヒドロキシ−3−プロピル)エステル、(メタ)アクリル酸(1,1,1−トリフルオロ−2−トリフルオロメチル−2−ヒドロキシ−4−ブチル)エステル、(メタ)アクリル酸(1,1,1−トリフルオロ−2−トリフルオロメチル−2−ヒドロキシ−5−ペンチル)エステル、(メタ)アクリル酸2−{[5−(1’,1’,1’−トリフルオロ−2’−トリフルオロメチル−2’−ヒドロキシ)プロピル]ビシクロ[2.2.1]ヘプチル}エステル等が挙げられる。これらの中で、(メタ)アクリル酸[2−(1−エチルオキシカルボニル−1,1−ジフルオロ−n−ブチル)]エステルが好ましい。
構造単位(f2)の含有割合としては、[E]フッ素原子含有重合体を構成する全構造単位に対して、30モル%〜90モル%が好ましく、50モル%〜80モル%がより好ましい。
[他の構造単位]
[E]フッ素原子含有重合体は、構造単位(f1)及び構造単位(f2)以外の「他の構造単位」を含んでいてもよい。他の構造単位としては、例えば、[A]重合体において構造単位(I)として示した構造単位等が挙げられる。
上記他の構造単位の含有割合としては、[E]フッ素原子含有重合体を構成する全構造単位に対して、5モル%〜90モル%が好ましく、10モル%〜80モル%がより好ましく、20モル%〜70モル%がさらに好ましい。
[E]フッ素原子含有重合体の含有量としては、[A]重合体100質量部に対して、20質量部以下が好ましく、0.1質量部〜15質量部がより好ましく、1質量部〜10質量部がさらに好ましく、1質量部〜6質量部が特に好ましい。[E]フッ素原子含有重合体の含有量が上記上限を超えると、レジスト膜表面の撥水性が高くなり過ぎて現像不良が起こる場合がある。
[E]フッ素原子含有重合体のフッ素原子含有率(質量%)としては、[A]重合体のフッ素原子含有率よりも大きいことが好ましい。[E]フッ素原子含有重合体におけるフッ素原子含有率を[A]重合体よりも大きくすることで、[A]重合体及び[E]フッ素原子含有重合体を含有する感放射線性樹脂組成物により形成されたレジスト膜表面の撥水性をより高めることができる。[E]フッ素原子含有重合体のフッ素原子含有率と、[A]重合体のフッ素原子含有率との差は1質量%以上が好ましく、3質量%以上がより好ましい。
また、[E]フッ素原子含有重合体のフッ素原子含有率としては、1質量%以上が好ましく、3質量%以上がより好ましく、5質量%以上がさらに好ましく、10質量%以上が特に好ましい。なお、このフッ素原子含有率(質量%)は、13C−NMRにより重合体の構造を求め、その構造から算出することができる。
<[E]フッ素原子含有重合体の合成方法>
[E]フッ素原子含有重合体は、例えば、所定の各構造単位に対応する単量体を、ラジカル重合開始剤を使用し、適当な重合溶媒中で重合することにより合成できる。
上記ラジカル重合開始剤としては、例えば、[A]重合体の合成方法で用いたラジカル重合開始剤と同様のもの等が挙げられる。上記重合溶媒としては、例えば、[A]重合体の合成方法で用いた重合溶媒と同様のもの等が挙げられる。
上記重合における反応温度としては、通常40℃〜150℃であり、50℃〜120℃が好ましい。反応時間としては、通常1時間〜48時間であり、1時間〜24時間が好ましい。
[E]フッ素原子含有重合体のMwとしては、1,000〜50,000が好ましく、2,000〜30,000がより好ましく、3,000〜10,000がさらに好ましい。[E]フッ素原子含有重合体のMwが1,000未満の場合、十分な後退接触角を得ることができない。一方、Mwが50,000を超えると、レジストとした際の現像性が低下する傾向にある。
[E]フッ素原子含有重合体のMwのMnに対する比(Mw/Mn)としては、1〜5が好ましく、1〜3がより好ましい。
<[F]偏在化促進剤>
[F]偏在化促進剤は、[E]フッ素原子含有重合体を、より効率的にレジスト膜表面に偏析させる成分である。当該感放射線性樹脂組成物が[F]偏在化促進剤を含有することで、[E]フッ素原子含有重合体をレジスト膜表面により効果的に偏析させることができ、結果として[E]フッ素原子含有重合体の使用量を少なくすることができる。[F]偏在化促進剤としては、例えば、ラクトン化合物、カーボネート化合物、ニトリル化合物、多価アルコール等が挙げられる。[F]偏在化促進剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記ラクトン化合物としては、例えば、γ−ブチロラクトン、バレロラクトン、メバロニックラクトン、ノルボルナンラクトン等が挙げられる。
上記カーボネート化合物としては、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート等が挙げられる。
上記ニトリル化合物としては、例えば、スクシノニトリル等が挙げられる。
上記多価アルコールとしては、例えば、グリセリン等が挙げられる。
これらの中で、ラクトン化合物が好ましく、γ−ブチロラクトンがより好ましい。
[F]偏在化促進剤の含有量としては、[A]重合体100質量部に対して、5質量部〜300質量部が好ましく、10質量〜100質量部がより好ましく、20質量部〜70質量部がさらに好ましい。
<その他の任意成分>
当該感放射線性樹脂組成物は上記[A]〜[F]成分以外のその他の任意成分を含有していてもよい。上記その他の任意成分としては、例えば[C]化合物以外の他の酸拡散制御体、界面活性剤、脂環式骨格含有化合物、増感剤等が挙げられる。これらのその他の任意成分はそれぞれ1種又は2種以上を併用してもよい。
[他の酸拡散制御体]
当該感放射線性樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、[C]化合物以外の他の酸拡散制御体を含有してもよい。他の酸拡散制御体は露光により[B]酸発生体から生じる酸のレジスト膜中における拡散現象を制御する。その結果非露光領域における好ましくない化学反応を抑制する効果を奏し、得られる感放射線性樹脂組成物の貯蔵安定性がさらに向上する。またレジストとしての解像度がさらに向上すると共に、露光から現像処理までの引き置き時間の変動によるレジストパターンの線幅変化を抑えることができ、プロセス安定性に優れた感放射線性樹脂組成物が得られる。他の酸拡散制御体の当該感放射線性樹脂組成物における含有形態としては、遊離の化合物の形態(以下、適宜「他の酸拡散制御剤」と称する)でも、重合体の一部として組み込まれた形態でも、これらの両方の形態でもよい。
上記他の酸拡散制御剤としては、例えばアミン化合物、アミド基含有化合物、ウレア化合物、含窒素複素環化合物等が挙げられる。
アミン化合物としては、例えばモノ(シクロ)アルキルアミン類;ジ(シクロ)アルキルアミン類;トリ(シクロ)アルキルアミン類;置換アルキルアニリン又はその誘導体;エチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノジフェニルアミン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)プロパン、2−(4−アミノフェニル)−2−(3−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(4−アミノフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,4−ビス(1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル)ベンゼン、1,3−ビス(1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル)ベンゼン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、ビス(2−ジエチルアミノエチル)エーテル、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリジノン、2−キノキサリノール、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、N,N,N’,N’’N’’−ペンタメチルジエチレントリアミン等が挙げられる。
アミド基含有化合物としては、例えばN−t−ブトキシカルボニル基含有アミノ化合物等のN−t−アルキルオキシカルボニル基含有アミノ化合物、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピオンアミド、ベンズアミド、ピロリドン、N−メチルピロリドン、N−アセチル−1−アダマンチルアミン、イソシアヌル酸トリス(2−ヒドロキシエチル)等が挙げられる。
ウレア化合物としては、例えば尿素、メチルウレア、1,1−ジメチルウレア、1,3−ジメチルウレア、1,1,3,3−テトラメチルウレア、1,3−ジフェニルウレア、トリ−n−ブチルチオウレア等が挙げられる。
含窒素複素環化合物としては、例えばイミダゾール類;ピリジン類;ピペラジン類;ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、キノザリン、プリン、ピロリジン、ピペリジン、ピペリジンエタノール、3−ピペリジノ−1,2−プロパンジオール、モルホリン、4−メチルモルホリン、1−(4−モルホリニル)エタノール、4−アセチルモルホリン、3−(N−モルホリノ)−1,2−プロパンジオール、1,4−ジメチルピペラジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等が挙げられる。
上記他の酸拡散制御体の含有量としては、他の酸拡散制御体が他の酸拡散制御剤である場合、[A]重合体100質量部に対して、15質量部以下が好ましく、10質量部以下がより好ましい。また、上記他の酸拡散制御剤の含有量としては、[C]化合物100質量部に対して、95質量部以下が好ましく、50質量部以下がより好ましく、20質量部以下がさらに好ましい。
[界面活性剤]
界面活性剤は塗布性、ストリエーション、現像性等を改良する効果を奏する。界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンn−オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンn−ノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート等のノニオン系界面活性剤;市販品としては、信越化学工業社の「KP341」、共栄社化学社の「ポリフローNo.75」、「同No.95」、トーケムプロダクツ社の「エフトップEF301」、「同EF303」、「同EF352」、DIC社の「メガファックF171」、「同F173、住友スリーエム社の「フロラードFC430」、「同FC431」、旭硝子工業社の「アサヒガードAG710」、「サーフロンS−382」、「同SC−101」、「同SC−102」、「同SC−103」、「同SC−104」、「同SC−105」、「同SC−106」等が挙げられる。当該感放射線性樹脂組成物における界面活性剤の含有量としては、[A]重合体100質量部に対して通常2質量部以下である。
[脂環式骨格含有化合物]
脂環式骨格含有化合物はドライエッチング耐性、パターン形状、基板との接着性等を改善する効果を奏する。
[増感剤]
増感剤は、[B]酸発生体等からの酸の生成量を増加する作用を示すものであり、当該感放射線性樹脂組成物の「みかけの感度」を向上させる効果を奏する。
増感剤としては、例えばカルバゾール類、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ナフタレン類、フェノール類、ビアセチル、エオシン、ローズベンガル、ピレン類、アントラセン類、フェノチアジン類等が挙げられる。これらの増感剤は単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。当該感放射線性樹脂組成物における増感剤の含有量としては、[A]重合体100質量部に対して通常2質量部以下である。
<感放射線性樹脂組成物の調製方法>
当該感放射線性樹脂組成物は、例えば[A]重合体、[B]酸発生体、[C]化合物、必要に応じて含有される[E]フッ素原子含有重合体及びその他の任意成分、並びに[D]溶媒を所定の割合で混合することにより調製できる。当該感放射線性樹脂組成物は混合後に、例えば孔径0.2μm程度のフィルター等でろ過することが好ましい。当該感放射線性樹脂組成物の固形分濃度としては、0.1質量%〜50質量%が好ましく、0.5質量%〜30質量%がより好ましく、1質量%〜20質量%がさらに好ましい。
当該感放射線性樹脂組成物は、アルカリ現像液を用いるポジ型パターン形成用にも、有機溶媒を含有する現像液を用いるネガ型パターン形成用にも用いることができる。これらのうち、有機溶媒を含有する現像液を用いるネガ型パターン形成に用いる場合、当該感放射線性樹脂組成物はより高い解像性を発揮することができる。
<レジストパターンの形成方法>
当該レジストパターンの形成方法は、
レジスト膜を形成する工程(以下、「レジスト膜形成工程」ともいう)、
上記レジスト膜を露光する工程(以下、「露光工程」ともいう)、及び
上記露光されたレジスト膜を現像する工程(以下、「現像工程」ともいう)
を備える。
上記レジスト膜を上述の当該感放射線性樹脂組成物により形成する。
当該レジストパターン形成方法によれば、上述した当該感放射線性樹脂組成物を用いているので、優れた焦点深度、露光余裕度及びMEEF性能を発揮しつつ、LWR及びCDUが小さく、解像度が高く、断面形状の矩形性に優れるレジストパターンを形成することができる。
以下、各工程について説明する。
[レジスト膜形成工程]
本工程では、当該感放射線性樹脂組成物によりレジスト膜を形成する。上記レジスト膜を形成する基板としては、例えばシリコンウェハ、アルミニウムで被覆したウェハ等が挙げられる。この基板上に当該感放射線性樹脂組成物を塗布することによりレジスト膜が形成される。当該感放射線性樹脂組成物の塗布方法としては、特に限定されないが、例えばスピンコート法等の公知の方法により塗布することができる。当該感放射線性樹脂組成物を塗布する際には、形成されるレジスト膜が所望の膜厚となるように、塗布する当該感放射線性樹脂組成物の量を調整する。なお当該感放射線性樹脂組成物を基板上に塗布した後、溶媒を揮発させるためにプレベーク(PB)を行ってもよい。PBの温度としては、30℃〜200℃が好ましく、50℃〜150℃がより好ましい。
また、当該感放射線性樹脂組成物の潜在能力を最大限に引き出すため、例えば特公平6−12452号公報、特開昭59−93448号公報等に開示されているように、使用される基板上に有機系又は無機系の反射防止膜を形成しておくこともできる。また、環境雰囲気中に含まれる塩基性不純物等の影響を防止するため、例えば特開平5−188598号公報等に開示されているように、レジスト膜上に保護膜を設けることもできる。
[露光工程]
本工程では、上記レジスト膜形成工程で形成されたレジスト膜を露光する。この露光は、場合によっては、水等の液浸露光液を介し、所定のパターンを有するマスクを介して放射線を照射することにより行う。
上記液浸露光液としては、通常空気より屈折率の大きい液体を使用する。具体的には、例えば純水、長鎖又は環状の脂肪族化合物等が挙げられる。この液浸露光液を介した状態、すなわちレンズとレジスト膜との間に液浸露光液を満たした状態で、露光装置から放射線を照射し、所定のパターンを有するマスクを介してレジスト膜を露光する。
上記放射線としては、使用される感放射線性酸発生体の種類に応じて、可視光線、紫外線、遠紫外線、極端紫外線(EUV)、X線、γ線等の電磁波;電子線、α線等の荷電粒子線などから適宜選定されて使用されるが、これらの中で、遠紫外線、EUV、電子線が好ましく、ArFエキシマレーザー光(波長193nm)、KrFエキシマレーザー光(波長248nm)、EUV、電子線がより好ましく、ArFエキシマレーザー光、EUV、電子線がさらに好ましい。なお、露光量等の露光条件は当該感放射線性樹脂組成物の配合組成、添加剤の種類等に応じて適宜選定することができる。
露光後に加熱処理(以下、「ポストエクスポージャーベーク(PEB)」ともいう)を行うことが好ましい。このPEBにより、[A]重合体中の酸解離性基の解離反応を円滑に進行させることができる。PEBの加熱条件は、当該感放射線性樹脂組成物の配合組成によって適宜調整されるが、30℃〜200℃が好ましく、50℃〜170℃がより好ましい。
[現像工程]
本工程では、上記露光工程で露光されたレジスト膜を現像する。この現像に用いる現像液としては、例えばアルカリ水溶液(アルカリ現像液)、有機溶媒を含有する液(有機溶媒現像液)等が挙げられる。これにより所定のレジストパターンが形成される。
上記アルカリ現像液としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、けい酸ナトリウム、メタけい酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、エチルジメチルアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、ピロール、ピペリジン、コリン、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0]−5−ノネン等のアルカリ性化合物の少なくとも1種を溶解したアルカリ水溶液等が挙げられる。これらの中で、TMAH水溶液が好ましく、2.38質量%TMAH水溶液がより好ましい。
上記有機溶媒現像液としては、例えば炭化水素系溶媒、エーテル系溶媒、エステル系溶媒、ケトン系溶媒、アルコール系溶媒等の有機溶媒、又は有機溶媒を含有する液等が挙げられる。上記有機溶媒としては、例えば上述の当該感放射線性樹脂組成物の[D]溶媒として列挙した溶媒の1種又は2種以上等が挙げられる。これらの中で、エステル系溶媒、ケトン系溶媒が好ましい。エステル系溶媒としては、酢酸エステル系溶媒が好ましく、酢酸n−ブチルがより好ましい。ケトン系溶媒としては、鎖状ケトンが好ましく、2−ヘプタノンがより好ましい。現像液中の有機溶媒の含有量としては、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、95質量%以上がさらに好ましく、99質量%以上が特に好ましい。現像液中の有機溶媒以外の成分としては、例えば水、シリコンオイル等が挙げられる。
これらの現像液は単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、現像後は、水等で洗浄し、乾燥することが一般的である。
<酸拡散制御剤>
本発明の酸拡散制御剤は、上記式(1)で表される化合物からなる。当該酸拡散制御剤は、当該酸拡散制御剤は上述の当該感放射線性樹脂組成物の成分として好適に用いることができる。
<化合物>
本発明の化合物は、上記式(1)で表される化合物である。当該化合物は上述の当該酸拡散制御剤として好適に用いることができる。
当該酸拡散制御剤及び当該化合物については、上述の感放射線性樹脂組成物の[C]化合物の項で説明している。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。各種物性値の測定方法を以下に示す。
[重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)]
GPCカラム(東ソー社の「G2000HXL」2本、「G3000HXL」1本、「G4000HXL」1本)を用い、流量:1.0mL/分、溶出溶媒:テトラヒドロフラン(和光純薬工業社)、試料濃度:1.0質量%、試料注入量:100μL、カラム温度:40℃、検出器:示差屈折計の分析条件で、単分散ポリスチレンを標準とするゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定した。また、分散度(Mw/Mn)はMw及びMnの測定結果より算出した。
13C−NMR分析]
核磁気共鳴装置(日本電子社の「JNM−ECX400」)を用い、測定溶媒として重クロロホルムを使用して、各重合体における各構造単位の含有割合(モル%)を求める分析を行った。
<化合物の合成>
[実施例1](化合物(Z−1)の合成)
200mLの丸底フラスコに、ヘキサンスルホンアミド5.00g(30.3mmol)、ピリジン3.60g(45.5mmol)及びテトラヒドロフラン50mLを加え、窒素雰囲気下で氷浴にて冷却しつつ撹拌した。そこへ、クロログリオキシル酸エチル4.96g(36.4mmol)をゆっくりと滴下した。滴下終了後、0℃にて1時間撹拌した後、室温で5時間撹拌した。水を加えて反応を停止させた後、有機層を塩化ナトリウム水溶液で2回洗浄した。溶媒を留去した後、カラムクロマトグラフィで精製することにより、下記式(z−1)で表される化合物4.10g(収率51%)を得た。
次に、200mLの丸底フラスコに、上記得られた化合物(z−1)4.00g(15.1mmol)及びテトラヒドロフラン50mLを加えて室温で撹拌した。そこへ、水酸化ナトリウム0.634g(15.9mmol)を含む5質量%水溶液をゆっくりと滴下した。滴下終了後、室温で1時間撹拌した後、溶媒を留去した。そこへ、トリフェニルスルホニウムクロリド4.51g(15.1mmol)、ジクロロメタン70mL及び水30mLを加え室温で8時間撹拌した。次いで、有機層を回収し、水洗を3回実施した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を留去した後、カラムクロマトグラフィで精製することにより、下記式(Z−1)で表される化合物6.53g(収率82%)を得た。
Figure 2016042160
[実施例2〜11](化合物(Z−2)〜(Z−11)の合成)
前駆体を適宜選択し、実施例1と同様の操作を行うことによって、下記式(Z−2)〜(Z−11)で表される化合物を合成した。
Figure 2016042160
<重合体の合成>
[A]重合体及び[E]フッ素原子含有重合体の合成で用いた単量体を以下に示す。
Figure 2016042160
上記単量体(M−1)、(M−5)〜(M−7)、(M−9)、(M−12)及び(M−13)は[A]重合体における構造単位(I)を、単量体(M−2)、(M−3)、(M−8)、(M−10)及び(M−11)は構造単位(II)を、単量体(M−4)は構造単位(III)をそれぞれ与える。また、単量体(M−14)により、重合体に感放射線性酸発生体の構造を有する構造単位が組み込まれる。
[[A]重合体の合成]
[合成例1](重合体(A−1)の合成)
上記化合物(M−1)7.97g(35モル%)、化合物(M−2)7.44g(45モル%)及び化合物(M−3)4.49g(20モル%)を2−ブタノン40gに溶解し、さらにラジカル重合開始剤としてのAIBN0.80g(単量体の総量に対して5モル%)を溶解させて単量体溶液を調製した。次に、20gの2−ブタノンを入れた100mLの三口フラスコを30分窒素パージした後、攪拌しながら80℃に加熱し、上記調製した単量体溶液を滴下漏斗にて3時間かけて滴下した。滴下開始を重合反応の開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合反応終了後、重合反応液を水冷して30℃以下に冷却した。400gのメタノール中に冷却した重合溶液を投入し、析出した白色粉末をろ別した。ろ別した白色粉末を80gのメタノールで2回洗浄した後、ろ別し、50℃で17時間乾燥させて白色粉末状の重合体(A−1)を合成した(15.2g、収率76%)。重合体(A−1)のMwは7,300、Mw/Mnは1.53であった。13C−NMR分析の結果、(M−1)、(M−2)及び(M−3)に由来する各構造単位の含有割合は、それぞれ34.3モル%、45.1モル%、及び20.6モル%であった。
[合成例2〜4、6及び7](重合体(A−2)〜(A−4)、(A−6)及び(A−7))
下記表1に示す種類及び使用量の単量体を用いた以外は、合成例1と同様にして、重合体(A−2)〜(A−7)を合成した。用いる単量体の合計質量は20gとした。合成した重合体の収率(%)、Mw、Mw/Mn及び各構造単位の含有割合(モル%)を下記表1に合わせて示す。
[合成例5](重合体(A−5)の合成)
上記化合物(M−4)55.0g(65モル%)及び化合物(M−5)45.0g(35モル%)、ラジカル重合開始剤としてのAIBN4g、並びにt−ドデシルメルカプタン1gを、プロピレングリコールモノメチルエーテル100gに溶解した後、窒素雰囲気下、反応温度を70℃に保持して、16時間共重合させた。重合反応終了後、重合反応液を1,000gのn−ヘキサン中に滴下して、重合体を凝固精製した。次いで上記得られた重合体に、再度プロピレングリコールモノメチルエーテル150gを加えた後、さらに、メタノール150g、トリエチルアミン34g及び水6gを加えて、沸点にて還流させながら、8時間加水分解反応を行った。反応終了後、溶媒及びトリエチルアミンを減圧留去し、得られた重合体をアセトン150gに溶解した後、2,000gの水中に滴下して凝固させ、生成した白色粉末をろ過し、50℃で17時間乾燥させて白色粉末状の重合体(A−5)を得た(65.7g、収率77%)。重合体(A−5)のMwは7,500、Mw/Mnは1.90であった。13C−NMR分析の結果、p−ヒドロキシスチレン及び(M−5)に由来する各構造単位の含有割合は、それぞれ65.4モル%及び34.6モル%であった。
Figure 2016042160
[[E]フッ素原子含有重合体の合成]
[合成例8](重合体(E−1)の合成)
上記化合物(M−15)82.2g(70モル%)及び化合物(M−12)17.8g(30モル%)を2−ブタノン200gに溶解し、ラジカル重合開始剤としてのAIBN0.46g(単量体の総量に対して1モル%)を添加して単量体溶液を調製した。次いで100gの2−ブタノンを入れた500mLの三口フラスコを30分窒素パージした後、攪拌しながら80℃に加熱し、上記調製した単量体溶液を滴下漏斗にて3時間かけて滴下した。滴下開始を重合反応の開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合反応終了後、重合反応液を水冷して30℃以下に冷却した。アセトニトリル400gで溶媒を置換した後、ヘキサン100gを加えて撹拌しアセトニトリル層を回収する作業を3回繰り返した。その後、溶媒をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに置換することで、重合体(E−1)を60.1g含む溶液を得た(収率60%)。重合体(E−1)のMwは15,000、Mw/Mnは1.90であった。13C−NMR分析の結果、(M−15)及び(M−12)に由来する各構造単位の含有割合は、それぞれ70.3モル%、29.7モル%であった。
<感放射線性樹脂組成物の調製>
感放射線性樹脂組成物の調製に用いた[B]酸発生剤、[C]化合物、[D]溶媒及び[F]偏在化促進剤を以下に示す。
[[B]酸発生剤]
各構造式を以下に示す。
B−1:トリフェニルスルホニウム2−(アダマンタン−1−イルカルボニルオキシ)−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン−1−スルホネート
B−2:トリフェニルスルホニウムノルボルナンスルトン−2−イルオキシカルボニルジフルオロメタンスルホネート
B−3:トリフェニルスルホニウム3−(ピペリジン−1−イルスルホニル)−1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロプロパン−1−スルホネート
B−4:トリフェニルスルホニウムアダマンタン−1−イルオキシカルボニルジフルオロメタンスルホネート
Figure 2016042160
[[C]化合物]
実施例で用いるZ−1〜Z−11:上記合成した化合物(Z−1)〜(Z−11)
比較例で用いるCZ−1〜CZ−4:下記式(CZ−1)〜(CZ−4)で表される化合物
Figure 2016042160
[[D]溶媒]
D−1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
D−2:シクロヘキサノン
[[F]偏在化促進剤]
F−1:γ−ブチロラクトン
[ArF露光用感放射線性樹脂組成物の調製]
[実施例12]
[A]重合体としての(A−1)100質量部、[B]酸発生剤としての(B−1)8.5質量部、[C]化合物としての(Z−1)2.3質量部、[D]溶媒としての(D−1)2,240質量部及び(D−2)960質量部、[E]フッ素原子含有重合体としての(E−1)3質量部、並びに[F]偏在化促進剤としての(F−1)30質量部を混合し、孔径0.2μmのメンブランフィルターでろ過することにより感放射線性樹脂組成物(J−1)を調製した。
[実施例13〜26及び比較例1〜7]
下記表2に示す種類及び含有量の各成分を用いた以外は、実施例12と同様に操作して、各感放射線性樹脂組成物を調製した。
Figure 2016042160
[電子線露光用感放射線性樹脂組成物の調製]
[実施例27]
[A]重合体としての(A−5)100質量部、[B]酸発生剤としての(B−1)20質量部、[C]化合物としての(Z−1)3.6質量部、並びに[D]溶媒としての(D−1)4,280質量部及び(D−2)1,830質量部を混合し、孔径0.2μmのメンブランフィルターでろ過することにより感放射線性樹脂組成物(J−16)を調製した。
[実施例28〜44及び比較例8〜17]
下記表3に示す種類及び含有量の各成分を用いた以外は、実施例27と同様に操作して、各感放射線性樹脂組成物を調製した。
Figure 2016042160
<レジストパターンの形成(1)>
12インチのシリコンウエハー表面に、スピンコーター(東京エレクトロン社の「CLEAN TRACK ACT12」)を使用して、下層反射防止膜形成用組成物(ブルワーサイエンス社の「ARC66」)を塗布した後、205℃で60秒間加熱することにより膜厚105nmの下層反射防止膜を形成した。この下層反射防止膜上に、上記スピンコーターを使用して上記調製したArF露光用感放射線性樹脂組成物を塗布し、90℃で60秒間PBを行った。その後、23℃で30秒間冷却し、膜厚90nmのレジスト膜を形成した。次に、このレジスト膜を、ArFエキシマレーザー液浸露光装置(NIKON社の「NSR−S610C」)を用い、NA=1.3、ダイポール(シグマ0.977/0.782)の光学条件にて、40nmラインアンドスペース(1L1S)マスクパターンを介して露光した。露光後、90℃で60秒間PEBを行った。その後、アルカリ現像液としての2.38質量%のTMAH水溶液を用いてアルカリ現像し、水で洗浄し、乾燥してポジ型のレジストパターンを形成した。このレジストパターン形成の際、ターゲット寸法が40nmの1対1ラインアンドスペースのマスクを介して形成した線幅が、線幅40nmの1対1ラインアンドスペースに形成される露光量を最適露光量(Eop)とした。
<レジストパターンの形成(2)>
上記レジストパターンの形成(1)において、上記TMAH水溶液の代わりに酢酸n−ブチルを用いて有機溶媒現像し、かつ水での洗浄を行わなかった以外は、上記レジストパターンの形成(1)と同様に操作して、ネガ型のレジストパターンを形成した。
<レジストパターンの形成(3)>
8インチのシリコンウエハー表面にスピンコーター(東京エレクトロン社の「CLEAN TRACK ACT8」)を使用して、上記調製した電子線露光用感放射線性樹脂組成物を塗布し、90℃で60秒間PBを行った。その後、23℃で30秒間冷却し、膜厚50nmのレジスト膜を形成した。次に、このレジスト膜に、簡易型の電子線描画装置(日立製作所社の「HL800D」、出力:50KeV、電流密度:5.0A/cm)を用いて電子線を照射した。照射後、120℃で60秒間PEBを行った。その後、アルカリ現像液としての2.38質量%のTMAH水溶液を用いて23℃で30秒間アルカリ現像し、水で洗浄し、乾燥してポジ型のレジストパターンを形成した。
<レジストパターンの形成(4)>
上記レジストパターンの形成(3)において、上記TMAH水溶液の代わりに酢酸n−ブチルを用いて有機溶媒現像し、かつ水での洗浄を行わなかった以外は、上記レジストパターンの形成(3)と同様に操作して、ネガ型のレジストパターンを形成した。
<評価>
上記形成したレジストパターンについて、下記方法に従って測定することにより、各感放射線性樹脂組成物を評価した。なお、レジストパターンの測長には走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社の「CG−4100」)を用いた。評価結果を表4及び表5にそれぞれ示す。
[LWR性能]
上記Eopの露光量を照射して形成したレジストパターンを、上記走査型電子顕微鏡を用いてパターン上部から観察した。線幅を任意のポイントで計50点測定し、その測定値の分布から3シグマ値を求め、これをLWR性能(nm)とした。LWR性能は、その値が小さいほどラインのガタつきが小さく良いことを示す。LWR性能は、3.5nm以下の場合は「良好」と、3.5nmを超える場合は「不良」と評価できる。
[CDU性能]
上記Eopの露光量を照射して形成したレジストパターンを、上記走査型電子顕微鏡を用いてパターン上部から観察した。400nmの範囲で線幅を20点測定してその平均値を求め、その平均値を任意のポイントで計500点測定し、その測定値の分布から3シグマ値を求め、これをCDU性能(nm)とした。CDU性能は、その値が小さいほど長周期での線幅のバラつきが小さく良いことを示す。CDU性能は、1.5nm以下の場合は「良好」と、1.5nmを超える場合は「不良」と評価できる。
[解像性]
上記Eopの露光量を照射して解像される最小のレジストパターンの寸法を測定し、この測定値を解像性(nm)とした。解像性は、その値が小さいほどより微細なパターンを形成でき良いことを示す。解像性は、35nm以下の場合は「良好」と、35nnを超える場合は「不良」と評価できる。
[断面形状の矩形性]
上記Eopの露光量を照射して解像されるレジストパターンの断面形状を観察し、レジストパターンの高さ方向での中間での線幅Lb及びレジストパターンの上部での線幅Laを測定して、La/Lbを算出し、これを断面形状の矩形性の指標とした。断面形状の矩形性は、その値が1に近いほど、レジストパターンがより矩形であり良いことを示す。断面形状の矩形性は、0.9≦(La/Lb)≦1.1である場合は「良好」と、(La/Lb)<0.9又は1.1<(La/Lb)である場合は「不良」と評価できる。
[焦点深度]
上記Eopの露光量を照射して解像されるレジストパターンにおいて、深さ方向にフォーカスを変化させた際の寸法を観測し、ブリッジや残渣が無いままパターン寸法が基準の90%〜110%に入る深さ方向の余裕度を測定し、この測定値を焦点深度(nm)とした。焦点深度は、その値が大きいほど、焦点の位置が変動した際に得られるパターンの寸法の変動が小さく、デバイス作製時の歩留まりを高くすることができるので良好である。焦点深度は、100nm以上の場合は「良好」と、100nm未満の場合は「不良」と評価できる。
[露光余裕度]
上記Eopを含む露光量の範囲において、露光量を1mJ/cmごとに変えて、それぞれレジストパターンを形成し、上記走査型電子顕微鏡を用いて、それぞれの線幅を測定した。得られた線幅と露光量の関係から、線幅が44nmとなる露光量E(44)、及び線幅が36nmとなる露光量E(36)を求め、露光余裕度=(E(36)−E(44))×100/(最適露光量)の式から露光余裕度(%)を算出した。露光余裕度は、その値が大きいほど、露光量が変動した際に得られるパターンの寸法の変動が小さく、デバイス作製時の歩留まりを高くすることができるので良好である。露光余裕度は、18%以上の場合は「良好」と、18%未満の場合は「不良」と評価できる。
[MEEF性能]
上記Eopにおいて、5種類のマスクサイズ(38.0nmLine/80nmPitch、39.0nmLine/80nmPitch、40.0nmLine/80nmPitch、41.0nmLine/80nmPitch、42.0nmLine/80nmPitch)で解像されるレジストパターンの線幅を、上記走査型電子顕微鏡を用いて測定した。横軸をマスクサイズ、縦軸を各マスクサイズで形成されたレジストパターンの線幅として、得られた測定値をプロットし、最小二乗法により算出した近似直線の傾きを求め、この傾きをMEEF性能とした。MEEF性能は、その値が1に近いほどマスク再現性が良好であることを示す。MEEF性能は、4.7以下の場合は「良好」と、4.7を超える場合は「不良」と評価できる。
Figure 2016042160
Figure 2016042160
表4及び表5の結果から明らかなように、実施例の感放射線性樹脂組成物はArF露光及び電子線露光の場合、かつアルカリ現像及び有機溶媒現像の場合とも、LWR性能、CDU性能、解像性、断面形状の矩形性、焦点深度、露光余裕度及びMEEF性能に優れている。比較例では、これらの各特性が実施例に比べて劣っていた。一般的に、電子線露光によれば、EUV露光の場合と同様の傾向を示すことが知られており、従って、実施例の感放射線性樹脂組成物によれば、EUV露光の場合においても、LWR性能等に優れると推測される。
<保存安定性>
上記調製した実施例12〜22の感放射線性樹脂組成物(J−1)〜(J−11)及び比較例1の感放射線性樹脂組成物(CJ−1)を35℃で3ヶ月保管したのち、溶液の濁り具合を目視にて確認した。
その結果、感放射線性樹脂組成物(J−1)〜(J−11)では濁りが確認されなかったが、感放射線性樹脂組成物(CJ−1)は白濁が観測された。GC−MSの分析結果から、感放射線性樹脂組成物(CJ−1)では上記単量体(M−15)に由来する分解生成物が観測された。感放射線性樹脂組成物(J−1)〜(J−11)では対応する分解生成物は観測されなかった。
本発明の感放射線性樹脂組成物及びレジストパターン形成方法によれば、良好な保存安定性を確保しつつ、優れた焦点深度、露光余裕度及びMEEF性能を発揮し、LWR性能、CDU性能、解像性及び断面形状の矩形性に優れるレジストパターンを形成することができる。本発明の酸拡散制御剤は、当該感放射線性樹脂組成物の成分として好適に用いることができる。本発明の化合物は当該酸拡散制御剤として好適に用いることができる。従って、これらはさらなる微細化が進行すると予想される半導体デバイス製造等におけるパターン形成に好適に用いることができる。

Claims (10)

  1. 酸解離性基を含む構造単位を有する重合体、
    感放射線性酸発生体、
    放射線分解性オニウムカチオンとカウンターアニオンとからなる化合物、及び
    溶媒
    を含有し、
    上記カウンターアニオンが、2以上のカルボニル基と、上記カルボニル基のうちの1つに隣接する−N−とを有し、
    上記カルボニル基同士が、単結合、置換若しくは非置換の炭素数1若しくは2のアルカンジイル基、又は置換若しくは非置換の1,2−ベンゼンジイル基を介して結合する感放射線性樹脂組成物。
  2. 上記化合物が、下記式(1)で表される請求項1に記載の感放射線性樹脂組成物。
    Figure 2016042160
    (式(1)中、Rは、単結合、置換若しくは非置換のメタンジイル基、置換若しくは非置換のエタンジイル基、又は置換若しくは非置換の1,2−ベンゼンジイル基である。R及びRは、それぞれ独立して、炭素数1〜30の1価の有機基である。nは、1以上3以下の整数である。nが2以上の場合、複数のRは同一でも異なっていてもよい。Mは、1価の放射線分解性オニウムカチオンである。但し、R、R及びRのうちの2つ以上は、これらの結合により環員数5〜30の環構造を形成してもよい。)
  3. 上記式(1)におけるRが−COR、−SO又は−SOであり、このRが炭素数1〜20の1価の有機基である請求項2に記載の感放射線性樹脂組成物。
  4. 上記式(1)におけるR及びRのうちの少なくとも1つがフッ素原子を含む請求項2又は請求項3に記載の感放射線性樹脂組成物。
  5. 上記式(1)におけるRが単結合であり、Rが炭素数1〜30の1価のフッ素化炭化水素基である請求項4に記載の感放射線性樹脂組成物。
  6. 上記構造単位が、下記式(2−1)で表される請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の感放射線性樹脂組成物。
    Figure 2016042160
    (式(2−1)中、Rは、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。Yは、下記式(Y−1)で表される1価の酸解離性基である。)
    Figure 2016042160
    (式(Y−1)中、Re1は、炭素数1〜20の炭化水素基である。Re2及びRe3は、それぞれ独立して炭素数1〜20の1価の炭化水素基であるか、又はこれらの基が互いに合わせられこれらが結合する炭素原子と共に構成される環員数3〜20の脂環構造を表す。)
  7. 上記放射線分解性オニウムカチオンが、スルホニウムカチオン又はヨードニウムカチオンである請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の感放射線性樹脂組成物。
  8. レジスト膜を形成する工程、
    上記レジスト膜を露光する工程、及び
    上記露光されたレジスト膜を現像する工程
    を備え、
    上記レジスト膜を請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の感放射線性樹脂組成物により形成するレジストパターン形成方法。
  9. 下記式(1)で表される化合物からなる酸拡散制御剤。
    Figure 2016042160
    (式(1)中、Rは、単結合、置換若しくは非置換のメタンジイル基、置換若しくは非置換のエタンジイル基、又は置換若しくは非置換の1,2−ベンゼンジイル基である。R及びRは、それぞれ独立して、炭素数1〜30の1価の有機基である。nは、1以上3以下の整数である。nが2以上の場合、複数のRは同一でも異なっていてもよい。Mは、1価の放射線分解性オニウムカチオンである。但し、R、R及びRのうちの2つ以上は、これらの結合により環員数5〜30の環構造を形成してもよい。)
  10. 下記式(1)で表される化合物。
    Figure 2016042160
    (式(1)中、Rは、単結合、置換若しくは非置換のメタンジイル基、置換若しくは非置換のエタンジイル基、又は置換若しくは非置換の1,2−ベンゼンジイル基である。R及びRは、それぞれ独立して、炭素数1〜30の1価の有機基である。nは、1以上3以下の整数である。nが2以上の場合、複数のRは同一でも異なっていてもよい。Mは、1価の放射線分解性オニウムカチオンである。但し、R、R及びRのうちの2つ以上は、これらの結合により環員数5〜30の環構造を形成してもよい。)
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