JP2016042160A - 感放射線性樹脂組成物、レジストパターン形成方法、酸拡散制御剤及び化合物 - Google Patents
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Abstract
Description
当該感放射線性樹脂組成物は[A]重合体、[B]酸発生体、[C]化合物及び[D]溶媒を含有する。当該感放射線性樹脂組成物は、好適成分として、[E]フッ素原子含有重合体及び[F]偏在化促進剤を含有してもよい。さらに当該感放射線性樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲でその他の任意成分を含有していてもよい。以下、各成分について説明する。
[A]重合体は構造単位(I)を有する重合体である。当該感放射線性樹脂組成物によれば、放射線の照射により[B]酸発生体等から生じる酸により露光部の[A]重合体の酸解離性基が解離して露光部と未露光部とで現像液に対する溶解性に差異が生じ、その結果レジストパターンを形成することができる。「酸解離性基」とは、カルボキシ基、ヒドロキシ基等の水素原子を置換する基であって、酸の作用により解離する基をいう。[A]重合体は、通常当該感放射線性樹脂組成物におけるベース重合体となる。「ベース重合体」とは、レジストパターンを構成する重合体のうちの主成分となる重合体であって、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上を占める重合体をいう。
構造単位(I)は、酸解離性基を含む構造単位である。構造単位(I)としては、例えば、下記式(2−1)で表される構造単位(以下、「構造単位(I−1)」ともいう)、下記式(2−2)で表される構造単位(以下、「構造単位(I−2)」ともいう)等が挙げられる。
上記式(2−2)中、R7は、水素原子又はメチル基である。Y2は、1価の酸解離性基である。
メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基等のアルキル基;
エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基等のアルケニル基;
エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基等のアルキニル基などが挙げられる。
シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等の単環のシクロアルキル基;
ノルボルニル基、アダマンチル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基等の多環のシクロアルキル基;
シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等の単環のシクロアルケニル基;
ノルボルネニル基、トリシクロデセニル基等の多環のシクロアルケニル基などが挙げられる。
フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基等のアリール基;
ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基等のアラルキル基などが挙げられる。
シクロプロパン構造、シクロブタン構造、シクロペンタン構造、シクロヘキサン構造、シクロオクタン構造等の単環のシクロアルカン構造;
ノルボルナン構造、アダマンタン構造、トリシクロデカン構造、テトラシクロドデカン構造等の多環のシクロアルカン構造;
シクロプロペン構造、シクロブテン構造、シクロペンテン構造、シクロヘキセン構造、シクロオクテン構造等の単環のシクロアルケン構造;
ノルボルネン構造、トリシクロデセン構造、テトラシクロドデセン構造等の多環のシクロアルケン構造などが挙げられる。
メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、i−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基等のアルコキシ基;
エテニルオキシ基、プロペニルオキシ基、ブテニルオキシ基、ペンテニルオキシ基等のアルケニルオキシ基;
エチニルオキシ基、プロピニルオキシ基、ブチニルオキシ基、ペンチニルオキシ基等のアルキニルオキシ基等が挙げられる。
シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロオクチルオキシ基等の単環のシクロアルキルオキシ基;
ノルボルニルオキシ基、アダマンチルオキシ基、トリシクロデシルオキシ基、テトラシクロドデシルオキシ基等の多環のシクロアルキルオキシ基;
シクロプロペニルオキシ基、シクロブテニルオキシ基、シクロペンテニルオキシ基、シクロヘキセニルオキシ基等の単環のシクロアルケニルオキシ基;
ノルボルネニルオキシ基、トリシクロデセニルオキシ基等の多環のシクロアルケニルオキシ基等が挙げられる。
フェノキシ基、トリルオキシ基、ナフチルオキシ基等のアリールオキシ基;
ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基、ナフチルメトキシ基等のアラルキルオキシ基などが挙げられる。
構造単位(I−1)として、下記式(2−1−1)〜(2−1−7)で表される構造単位等が、
構造単位(I−2)として、下記式(2−2−1)〜(2−2−3)で表される構造単位等が挙げられる。
上記式(2−2−1)〜(2−2−3)中、R7は、上記式(2−2)と同義である。
構造単位(II)は、下記式(3−1)で表される構造単位(以下、「構造単位(II−1)」ともいう)及び下記式(3−2)で表される構造単位(以下、「構造単位(II−2)」ともいう)からなる群より選ばれる少なくとも1種である。[A]重合体が構造単位(II)を有することで、[B]酸発生体及び/又は[C]化合物の[A]重合体中での分散性を向上させることができる。その結果、当該感放射線性樹脂組成物は、LWR性能等をさらに向上させることができる。また、当該感放射線性樹脂組成物から形成されるレジストパターンの基板への密着性を向上させることができる。
上記式(3−2)中、R8’は、水素原子又はメチル基である。Ra及びRbは、それぞれ独立して水素原子、フッ素原子、ヒドロキシ基又は1価の有機基である。sは、1〜3の整数である。sが2以上の場合、複数のRa及びRbはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。R9a及びR9bは、それぞれ独立して水素原子、フッ素原子、ヒドロキシ基若しくは1価の有機基であるか、又はこれらの基が互いに合わせられこれらが結合する炭素原子と共に構成される環員数3〜30の環構造を表す。
環状カーボネート構造を有する基としては、例えば、エチレンカーボネート−イルメチル基等が挙げられる。
スルトン構造を有する基としては、例えば、プロパンスルトン−イル基、ノルボルナンスルトン−イル基等のスルトン構造を有する基等が挙げられる。
ヒドロキシ基を有する基としては、例えば、ヒドロキシアダマンチル基、ジヒドロキシアダマンチル基、トリヒドロキシアダマンチル基、ヒドロキシエチル基等が挙げられる。
構造単位(II−1)として下記式(3−1−1)〜(3−1−11)で表される構造単位(以下、「構造単位(II−1−1)〜(II−1−11)」ともいう)等が、
構造単位(II−2)として下記式(3−2−1)及び(3−2−2)で表される構造単位(以下、「構造単位(II−2−1)及び(II−2−2)」ともいう)等が挙げられる。
上記式(3−2−1)及び(3−2−2)中、R8’は、上記式(3−2)と同義である。
構造単位(III)は、下記式(4)で表される構造単位である。照射する放射線として、KrFエキシマレーザー光、EUV、電子線等を用いる場合には、当該感放射線性樹脂組成物は、[A]重合体が構造単位(III)を有することで、感度を高めることができる。
これらの中で、1価の鎖状炭化水素基が好ましく、アルキル基がより好ましく、メチル基がさらに好ましい。
[A]重合体は、上記構造単位(I)〜(III)以外のその他の構造単位を有していてもよい。その他の構造単位としては、例えば、非解離性の1価の脂環式炭化水素基を含む(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位等が挙げられる。上記その他の構造単位の含有割合としては、[A]重合体を構成する全構造単位に対して、20モル%以下が好ましく、10モル%以下がより好ましい。
[A]重合体は、ラジカル重合等の常法に従って合成することができる。例えば、単量体及びラジカル開始剤を含有する溶液を反応溶媒又は単量体を含有する溶液に滴下して重合反応させる方法、単量体を含有する溶液とラジカル開始剤を含有する溶液とを各別に反応溶媒又は単量体を含有する溶液に滴下して重合反応させる方法、各々の単量体を含有する複数種の溶液とラジカル開始剤を含有する溶液とを各別に反応溶媒又は単量体を含有する溶液に滴下して重合反応させる方法、単量体及びラジカル開始剤を含有する溶液を無溶媒中や反応溶媒中で重合反応させる方法等で合成することが好ましい。
GPCカラム:東ソー社の「G2000HXL」2本、「G3000HXL」1本、「G4000HXL」1本
カラム温度:40℃
溶出溶媒:テトラヒドロフラン
流速:1.0mL/分
試料濃度:1.0質量%
試料注入量:100μL
検出器:示差屈折計
標準物質:単分散ポリスチレン
[B]酸発生体は露光により酸を発生する物質である(但し[C]化合物に該当するものを除く。[B]酸発生体は、[C]化合物から発生する酸よりも強い酸を発生する)。この発生した酸により[A]重合体等が有する酸解離性基が解離してカルボキシ基等が生じ、これらの重合体の現像液への溶解性が変化するため、当該感放射線性樹脂組成物からレジストパターンを形成することができる。当該感放射線性樹脂組成物における[B]酸発生体の含有形態としては、後述するような低分子化合物の形態(以下、適宜「[B]酸発生剤」と称する)でも、重合体の一部として組み込まれた形態でも、これらの両方の形態でもよい。
シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、シクロドデシル基等の単環のシクロアルキル基;
シクロオクテニル基、シクロデセニル基等の単環のシクロアルケニル基;
ノルボルニル基、アダマンチル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基等の多環のシクロアルキル基;
ノルボルネニル基、トリシクロデセニル基等の多環のシクロアルケニル基などが挙げられる。
ノルボルナンラクトン−イル基等のラクトン構造を含む基;
ノルボルナンスルトン−イル基等のスルトン構造を含む基;
オキサシクロヘプチル基、オキサノルボルニル基等の酸素原子含有複素環基;
アザシクロヘキシル基、アザシクロヘプチル基、ジアザビシクロオクタン−イル基等の窒素原子含有複素環基;
チアシクロヘプチル基、チアノルボルニル基等のイオウ原子含有複素環基などが挙げられる。
[C]化合物は、放射線分解性オニウムカチオンとカウンターアニオンとからなり、上記カウンターアニオンが、2以上のカルボニル基と、上記カルボニル基のうちの1つに隣接する−N−−とを有し、上記カルボニル基同士が、単結合、置換若しくは非置換の炭素数1若しくは2のアルカンジイル基、又は置換若しくは非置換の1,2−ベンゼンジイル基を介して結合する化合物である。
当該感放射線性樹脂組成物は、[A]重合体及び[B]酸発生体に加えて、[C]化合物を含有することで、良好な保存安定性を確保しつつ、LWR性能等に優れる。
メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基等のアルキル基;
エテニル基、プロペニル基、ブテニル基等のアルケニル基;
エチニル基、プロピニル基、ブチニル基等のアルキニル基などが挙げられる。
シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等の単環のシクロアルキル基;
シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等の単環のシクロアルケニル基;
ノルボルニル基、アダマンチル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基等の多環のシクロアルキル基;
ノルボルネニル基、トリシクロデセニル基、テトラシクロドデセニル基等の多環のシクロアルケニル基などが挙げられる。
フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基等のアリール基;
ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、ナフチルメチル基等のアラルキル基などが挙げられる。
上記R3としては、基(C2−11)〜(C2−21)が好ましく、基(C2−11)、(C2−12)、(C2−14)、(C2−15)、(C2−17)〜(C2−19)、(C2−21)がより好ましい。
上記R4の1価の有機基としては、例えば、上記R2及びR3の1価の有機基として例示した基のうち炭素数1〜20のもの等が挙げられる。
シクロプロパン構造、シクロブタン構造、シクロペンタン構造、シクロヘキサン構造、シクロオクタン構造等の単環のシクロアルカン構造;
ノルボルナン構造、アダマンタン構造、トリシクロデカン構造、テトラシクロドデカン構造等の多環のシクロアルカン構造;
シクロプロペン構造、シクロブテン構造、シクロペンテン構造、シクロヘキセン構造、シクロオクテン構造等の単環のシクロアルケン構造;
ノルボルネン構造、トリシクロデセン構造、テトラシクロドデセン構造等の多環のシクロアルケン構造;
オキサシクロペンタン構造、オキサシクロヘキサン構造、オキサノルボルナン構造等のオキサシクロアルカン構造;
アザシクロペンタン構造、アザシクロヘキサン構造、アザノルボルナン構造等のアザシクロアルカン構造;
チアシクロペンタン構造、チアシクロヘキサン構造、チアノルボルナン構造等のチアシクロアルカン構造などが挙げられる。
上記式(Q−2)中、Rc1は、置換若しくは非置換の炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は置換若しくは非置換の炭素数6〜8の芳香族炭化水素基である。k4は、0〜7の整数である。Rc1が複数の場合、複数のRc1は同一でも異なっていてもよく、また複数のRc1は、互いに合わせられ構成される環構造を表してもよい。Rc2は、置換若しくは非置換の炭素数1〜7の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は置換若しくは非置換の炭素数6若しくは7の芳香族炭化水素基である。k5は、0〜6の整数である。Rc2が複数の場合、複数のRc2は同一でも異なっていてもよく、複数のRc2は互いに合わせられ構成される環構造を表してもよい。tは、0〜3の整数である。
上記式(Q−3)中、Rd1及びRd2は、それぞれ独立して、置換若しくは非置換の炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、置換若しくは非置換の炭素数6〜12の芳香族炭化水素基、−OSO2−RR若しくは−SO2−RSであるか、又はこれらの基のうちの2つ以上が互いに合わせられ構成される環構造を表す。RR及びRSは、それぞれ独立して、置換若しくは非置換の炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、置換若しくは非置換の炭素数5〜25の脂環式炭化水素基又は置換若しくは非置換の炭素数6〜12の芳香族炭化水素基である。k6及びk7は、それぞれ独立して0〜5の整数である。Rd1、Rd2、RR及びRSがそれぞれ複数の場合、複数のRd1、Rd2、RR及びRSはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
当該感放射線性樹脂組成物は、通常[D]溶媒を含有する。[D]溶媒は少なくとも[A]重合体、[B]酸発生体、[C]化合物、必要に応じて含有される[E]フッ素原子含有重合体等を溶解又は分散可能な溶媒であれば特に限定されない。これらは1種を使用してもよく2種以上を併用してもよい。
4−メチル−2−ペンタノール、n−ヘキサノール等の炭素数1〜18の脂肪族モノアルコール系溶媒;
シクロヘキサノール等の炭素数3〜18の脂環式モノアルコール系溶媒;
1,2−プロピレングリコール等の炭素数2〜18の多価アルコール系溶媒;
プロピレングリコールモノメチルエーテル等の炭素数3〜19の多価アルコール部分エーテル系溶媒などが挙げられる。
ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジペンチルエーテル、ジイソアミルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジヘプチルエーテル等のジアルキルエーテル系溶媒;
テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等の環状エーテル系溶媒;
ジフェニルエーテル、アニソール等の芳香環含有エーテル系溶媒などが挙げられる。
アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、ジエチルケトン、メチル−iso−ブチルケトン、2−ヘプタノン、エチル−n−ブチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジ−iso−ブチルケトン、トリメチルノナノン等の鎖状ケトン系溶媒:
シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン、シクロオクタノン、メチルシクロヘキサノン等の環状ケトン系溶媒:
2,4−ペンタンジオン、アセトニルアセトン、アセトフェノンなどが挙げられる。
N,N’−ジメチルイミダゾリジノン、N−メチルピロリドン等の環状アミド系溶媒;
N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド等の鎖状アミド系溶媒などが挙げられる。
酢酸n−ブチル、乳酸エチル等のモノカルボン酸エステル系溶媒;
プロピレングリコールアセテート等の多価アルコールカルボキシレート系溶媒;
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の多価アルコール部分エーテルカルボキシレート系溶媒;
シュウ酸ジエチル等の多価カルボン酸ジエステル系溶媒;
ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のカーボネート系溶媒などが挙げられる。
n−ペンタン、n−ヘキサン等の炭素数5〜12の脂肪族炭化水素系溶媒;
トルエン、キシレン等の炭素数6〜16の芳香族炭化水素系溶媒などが挙げられる。
[E]フッ素原子含有重合体は、フッ素原子を含む重合体である(但し、[A]重合体に該当するものを除く)。当該感放射線性樹脂組成物が[A]重合体に加えて[E]フッ素原子含有重合体をさらに含有すると、形成されるレジスト膜の表層に[E]フッ素原子含有重合体が偏在化し、その結果、レジスト膜表面の疎水性を向上させることができる。これにより、液浸露光を行う場合等に、レジスト膜からの物質溶出抑制性に優れると共に、レジスト膜と液浸液との後退接触角を十分高くすることができ、より高速なスキャンが可能になる。
主鎖にフッ素化アルキル基が結合した構造;
側鎖にフッ素化アルキル基が結合した構造;
主鎖と側鎖とにフッ素化アルキル基が結合した構造等が挙げられる。
構造単位(f1)は下記式(6)で表される構造単位である。
構造単位(f2)は、下記式(7)で表される構造単位である。
シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロデカン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の単環式飽和炭化水素;
シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン、シクロデセン、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、シクロオクタジエン、シクロデカジエン等の単環式不飽和炭化水素;
ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、トリシクロ[3.3.1.13,7]デカン、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカン、アダマンタン等の多環式飽和炭化水素;
ビシクロ[2.2.1]ヘプテン、ビシクロ[2.2.2]オクテン、トリシクロ[5.2.1.02,6]デセン、トリシクロ[3.3.1.13,7]デセン、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデセン等の多環式不飽和炭化水素などから(r+1)個の水素原子を除いた基等が挙げられる。
上記式(7−1)中、Rf6は、炭素数1〜20の2価の直鎖状若しくは分岐状の飽和若しくは不飽和の炭化水素基、又は炭素数3〜20の脂環式の飽和若しくは不飽和の炭化水素基である。
[E]フッ素原子含有重合体は、構造単位(f1)及び構造単位(f2)以外の「他の構造単位」を含んでいてもよい。他の構造単位としては、例えば、[A]重合体において構造単位(I)として示した構造単位等が挙げられる。
また、[E]フッ素原子含有重合体のフッ素原子含有率としては、1質量%以上が好ましく、3質量%以上がより好ましく、5質量%以上がさらに好ましく、10質量%以上が特に好ましい。なお、このフッ素原子含有率(質量%)は、13C−NMRにより重合体の構造を求め、その構造から算出することができる。
[E]フッ素原子含有重合体は、例えば、所定の各構造単位に対応する単量体を、ラジカル重合開始剤を使用し、適当な重合溶媒中で重合することにより合成できる。
[F]偏在化促進剤は、[E]フッ素原子含有重合体を、より効率的にレジスト膜表面に偏析させる成分である。当該感放射線性樹脂組成物が[F]偏在化促進剤を含有することで、[E]フッ素原子含有重合体をレジスト膜表面により効果的に偏析させることができ、結果として[E]フッ素原子含有重合体の使用量を少なくすることができる。[F]偏在化促進剤としては、例えば、ラクトン化合物、カーボネート化合物、ニトリル化合物、多価アルコール等が挙げられる。[F]偏在化促進剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
当該感放射線性樹脂組成物は上記[A]〜[F]成分以外のその他の任意成分を含有していてもよい。上記その他の任意成分としては、例えば[C]化合物以外の他の酸拡散制御体、界面活性剤、脂環式骨格含有化合物、増感剤等が挙げられる。これらのその他の任意成分はそれぞれ1種又は2種以上を併用してもよい。
当該感放射線性樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、[C]化合物以外の他の酸拡散制御体を含有してもよい。他の酸拡散制御体は露光により[B]酸発生体から生じる酸のレジスト膜中における拡散現象を制御する。その結果非露光領域における好ましくない化学反応を抑制する効果を奏し、得られる感放射線性樹脂組成物の貯蔵安定性がさらに向上する。またレジストとしての解像度がさらに向上すると共に、露光から現像処理までの引き置き時間の変動によるレジストパターンの線幅変化を抑えることができ、プロセス安定性に優れた感放射線性樹脂組成物が得られる。他の酸拡散制御体の当該感放射線性樹脂組成物における含有形態としては、遊離の化合物の形態(以下、適宜「他の酸拡散制御剤」と称する)でも、重合体の一部として組み込まれた形態でも、これらの両方の形態でもよい。
界面活性剤は塗布性、ストリエーション、現像性等を改良する効果を奏する。界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンn−オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンn−ノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート等のノニオン系界面活性剤;市販品としては、信越化学工業社の「KP341」、共栄社化学社の「ポリフローNo.75」、「同No.95」、トーケムプロダクツ社の「エフトップEF301」、「同EF303」、「同EF352」、DIC社の「メガファックF171」、「同F173、住友スリーエム社の「フロラードFC430」、「同FC431」、旭硝子工業社の「アサヒガードAG710」、「サーフロンS−382」、「同SC−101」、「同SC−102」、「同SC−103」、「同SC−104」、「同SC−105」、「同SC−106」等が挙げられる。当該感放射線性樹脂組成物における界面活性剤の含有量としては、[A]重合体100質量部に対して通常2質量部以下である。
脂環式骨格含有化合物はドライエッチング耐性、パターン形状、基板との接着性等を改善する効果を奏する。
増感剤は、[B]酸発生体等からの酸の生成量を増加する作用を示すものであり、当該感放射線性樹脂組成物の「みかけの感度」を向上させる効果を奏する。
当該感放射線性樹脂組成物は、例えば[A]重合体、[B]酸発生体、[C]化合物、必要に応じて含有される[E]フッ素原子含有重合体及びその他の任意成分、並びに[D]溶媒を所定の割合で混合することにより調製できる。当該感放射線性樹脂組成物は混合後に、例えば孔径0.2μm程度のフィルター等でろ過することが好ましい。当該感放射線性樹脂組成物の固形分濃度としては、0.1質量%〜50質量%が好ましく、0.5質量%〜30質量%がより好ましく、1質量%〜20質量%がさらに好ましい。
当該レジストパターンの形成方法は、
レジスト膜を形成する工程(以下、「レジスト膜形成工程」ともいう)、
上記レジスト膜を露光する工程(以下、「露光工程」ともいう)、及び
上記露光されたレジスト膜を現像する工程(以下、「現像工程」ともいう)
を備える。
上記レジスト膜を上述の当該感放射線性樹脂組成物により形成する。
以下、各工程について説明する。
本工程では、当該感放射線性樹脂組成物によりレジスト膜を形成する。上記レジスト膜を形成する基板としては、例えばシリコンウェハ、アルミニウムで被覆したウェハ等が挙げられる。この基板上に当該感放射線性樹脂組成物を塗布することによりレジスト膜が形成される。当該感放射線性樹脂組成物の塗布方法としては、特に限定されないが、例えばスピンコート法等の公知の方法により塗布することができる。当該感放射線性樹脂組成物を塗布する際には、形成されるレジスト膜が所望の膜厚となるように、塗布する当該感放射線性樹脂組成物の量を調整する。なお当該感放射線性樹脂組成物を基板上に塗布した後、溶媒を揮発させるためにプレベーク(PB)を行ってもよい。PBの温度としては、30℃〜200℃が好ましく、50℃〜150℃がより好ましい。
本工程では、上記レジスト膜形成工程で形成されたレジスト膜を露光する。この露光は、場合によっては、水等の液浸露光液を介し、所定のパターンを有するマスクを介して放射線を照射することにより行う。
本工程では、上記露光工程で露光されたレジスト膜を現像する。この現像に用いる現像液としては、例えばアルカリ水溶液(アルカリ現像液)、有機溶媒を含有する液(有機溶媒現像液)等が挙げられる。これにより所定のレジストパターンが形成される。
本発明の酸拡散制御剤は、上記式(1)で表される化合物からなる。当該酸拡散制御剤は、当該酸拡散制御剤は上述の当該感放射線性樹脂組成物の成分として好適に用いることができる。
本発明の化合物は、上記式(1)で表される化合物である。当該化合物は上述の当該酸拡散制御剤として好適に用いることができる。
当該酸拡散制御剤及び当該化合物については、上述の感放射線性樹脂組成物の[C]化合物の項で説明している。
GPCカラム(東ソー社の「G2000HXL」2本、「G3000HXL」1本、「G4000HXL」1本)を用い、流量:1.0mL/分、溶出溶媒:テトラヒドロフラン(和光純薬工業社)、試料濃度:1.0質量%、試料注入量:100μL、カラム温度:40℃、検出器:示差屈折計の分析条件で、単分散ポリスチレンを標準とするゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定した。また、分散度(Mw/Mn)はMw及びMnの測定結果より算出した。
核磁気共鳴装置(日本電子社の「JNM−ECX400」)を用い、測定溶媒として重クロロホルムを使用して、各重合体における各構造単位の含有割合(モル%)を求める分析を行った。
[実施例1](化合物(Z−1)の合成)
200mLの丸底フラスコに、ヘキサンスルホンアミド5.00g(30.3mmol)、ピリジン3.60g(45.5mmol)及びテトラヒドロフラン50mLを加え、窒素雰囲気下で氷浴にて冷却しつつ撹拌した。そこへ、クロログリオキシル酸エチル4.96g(36.4mmol)をゆっくりと滴下した。滴下終了後、0℃にて1時間撹拌した後、室温で5時間撹拌した。水を加えて反応を停止させた後、有機層を塩化ナトリウム水溶液で2回洗浄した。溶媒を留去した後、カラムクロマトグラフィで精製することにより、下記式(z−1)で表される化合物4.10g(収率51%)を得た。
次に、200mLの丸底フラスコに、上記得られた化合物(z−1)4.00g(15.1mmol)及びテトラヒドロフラン50mLを加えて室温で撹拌した。そこへ、水酸化ナトリウム0.634g(15.9mmol)を含む5質量%水溶液をゆっくりと滴下した。滴下終了後、室温で1時間撹拌した後、溶媒を留去した。そこへ、トリフェニルスルホニウムクロリド4.51g(15.1mmol)、ジクロロメタン70mL及び水30mLを加え室温で8時間撹拌した。次いで、有機層を回収し、水洗を3回実施した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を留去した後、カラムクロマトグラフィで精製することにより、下記式(Z−1)で表される化合物6.53g(収率82%)を得た。
前駆体を適宜選択し、実施例1と同様の操作を行うことによって、下記式(Z−2)〜(Z−11)で表される化合物を合成した。
[A]重合体及び[E]フッ素原子含有重合体の合成で用いた単量体を以下に示す。
[合成例1](重合体(A−1)の合成)
上記化合物(M−1)7.97g(35モル%)、化合物(M−2)7.44g(45モル%)及び化合物(M−3)4.49g(20モル%)を2−ブタノン40gに溶解し、さらにラジカル重合開始剤としてのAIBN0.80g(単量体の総量に対して5モル%)を溶解させて単量体溶液を調製した。次に、20gの2−ブタノンを入れた100mLの三口フラスコを30分窒素パージした後、攪拌しながら80℃に加熱し、上記調製した単量体溶液を滴下漏斗にて3時間かけて滴下した。滴下開始を重合反応の開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合反応終了後、重合反応液を水冷して30℃以下に冷却した。400gのメタノール中に冷却した重合溶液を投入し、析出した白色粉末をろ別した。ろ別した白色粉末を80gのメタノールで2回洗浄した後、ろ別し、50℃で17時間乾燥させて白色粉末状の重合体(A−1)を合成した(15.2g、収率76%)。重合体(A−1)のMwは7,300、Mw/Mnは1.53であった。13C−NMR分析の結果、(M−1)、(M−2)及び(M−3)に由来する各構造単位の含有割合は、それぞれ34.3モル%、45.1モル%、及び20.6モル%であった。
下記表1に示す種類及び使用量の単量体を用いた以外は、合成例1と同様にして、重合体(A−2)〜(A−7)を合成した。用いる単量体の合計質量は20gとした。合成した重合体の収率(%)、Mw、Mw/Mn及び各構造単位の含有割合(モル%)を下記表1に合わせて示す。
上記化合物(M−4)55.0g(65モル%)及び化合物(M−5)45.0g(35モル%)、ラジカル重合開始剤としてのAIBN4g、並びにt−ドデシルメルカプタン1gを、プロピレングリコールモノメチルエーテル100gに溶解した後、窒素雰囲気下、反応温度を70℃に保持して、16時間共重合させた。重合反応終了後、重合反応液を1,000gのn−ヘキサン中に滴下して、重合体を凝固精製した。次いで上記得られた重合体に、再度プロピレングリコールモノメチルエーテル150gを加えた後、さらに、メタノール150g、トリエチルアミン34g及び水6gを加えて、沸点にて還流させながら、8時間加水分解反応を行った。反応終了後、溶媒及びトリエチルアミンを減圧留去し、得られた重合体をアセトン150gに溶解した後、2,000gの水中に滴下して凝固させ、生成した白色粉末をろ過し、50℃で17時間乾燥させて白色粉末状の重合体(A−5)を得た(65.7g、収率77%)。重合体(A−5)のMwは7,500、Mw/Mnは1.90であった。13C−NMR分析の結果、p−ヒドロキシスチレン及び(M−5)に由来する各構造単位の含有割合は、それぞれ65.4モル%及び34.6モル%であった。
[合成例8](重合体(E−1)の合成)
上記化合物(M−15)82.2g(70モル%)及び化合物(M−12)17.8g(30モル%)を2−ブタノン200gに溶解し、ラジカル重合開始剤としてのAIBN0.46g(単量体の総量に対して1モル%)を添加して単量体溶液を調製した。次いで100gの2−ブタノンを入れた500mLの三口フラスコを30分窒素パージした後、攪拌しながら80℃に加熱し、上記調製した単量体溶液を滴下漏斗にて3時間かけて滴下した。滴下開始を重合反応の開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合反応終了後、重合反応液を水冷して30℃以下に冷却した。アセトニトリル400gで溶媒を置換した後、ヘキサン100gを加えて撹拌しアセトニトリル層を回収する作業を3回繰り返した。その後、溶媒をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに置換することで、重合体(E−1)を60.1g含む溶液を得た(収率60%)。重合体(E−1)のMwは15,000、Mw/Mnは1.90であった。13C−NMR分析の結果、(M−15)及び(M−12)に由来する各構造単位の含有割合は、それぞれ70.3モル%、29.7モル%であった。
感放射線性樹脂組成物の調製に用いた[B]酸発生剤、[C]化合物、[D]溶媒及び[F]偏在化促進剤を以下に示す。
各構造式を以下に示す。
B−1:トリフェニルスルホニウム2−(アダマンタン−1−イルカルボニルオキシ)−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン−1−スルホネート
B−2:トリフェニルスルホニウムノルボルナンスルトン−2−イルオキシカルボニルジフルオロメタンスルホネート
B−3:トリフェニルスルホニウム3−(ピペリジン−1−イルスルホニル)−1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロプロパン−1−スルホネート
B−4:トリフェニルスルホニウムアダマンタン−1−イルオキシカルボニルジフルオロメタンスルホネート
実施例で用いるZ−1〜Z−11:上記合成した化合物(Z−1)〜(Z−11)
比較例で用いるCZ−1〜CZ−4:下記式(CZ−1)〜(CZ−4)で表される化合物
D−1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
D−2:シクロヘキサノン
F−1:γ−ブチロラクトン
[実施例12]
[A]重合体としての(A−1)100質量部、[B]酸発生剤としての(B−1)8.5質量部、[C]化合物としての(Z−1)2.3質量部、[D]溶媒としての(D−1)2,240質量部及び(D−2)960質量部、[E]フッ素原子含有重合体としての(E−1)3質量部、並びに[F]偏在化促進剤としての(F−1)30質量部を混合し、孔径0.2μmのメンブランフィルターでろ過することにより感放射線性樹脂組成物(J−1)を調製した。
下記表2に示す種類及び含有量の各成分を用いた以外は、実施例12と同様に操作して、各感放射線性樹脂組成物を調製した。
[実施例27]
[A]重合体としての(A−5)100質量部、[B]酸発生剤としての(B−1)20質量部、[C]化合物としての(Z−1)3.6質量部、並びに[D]溶媒としての(D−1)4,280質量部及び(D−2)1,830質量部を混合し、孔径0.2μmのメンブランフィルターでろ過することにより感放射線性樹脂組成物(J−16)を調製した。
下記表3に示す種類及び含有量の各成分を用いた以外は、実施例27と同様に操作して、各感放射線性樹脂組成物を調製した。
12インチのシリコンウエハー表面に、スピンコーター(東京エレクトロン社の「CLEAN TRACK ACT12」)を使用して、下層反射防止膜形成用組成物(ブルワーサイエンス社の「ARC66」)を塗布した後、205℃で60秒間加熱することにより膜厚105nmの下層反射防止膜を形成した。この下層反射防止膜上に、上記スピンコーターを使用して上記調製したArF露光用感放射線性樹脂組成物を塗布し、90℃で60秒間PBを行った。その後、23℃で30秒間冷却し、膜厚90nmのレジスト膜を形成した。次に、このレジスト膜を、ArFエキシマレーザー液浸露光装置(NIKON社の「NSR−S610C」)を用い、NA=1.3、ダイポール(シグマ0.977/0.782)の光学条件にて、40nmラインアンドスペース(1L1S)マスクパターンを介して露光した。露光後、90℃で60秒間PEBを行った。その後、アルカリ現像液としての2.38質量%のTMAH水溶液を用いてアルカリ現像し、水で洗浄し、乾燥してポジ型のレジストパターンを形成した。このレジストパターン形成の際、ターゲット寸法が40nmの1対1ラインアンドスペースのマスクを介して形成した線幅が、線幅40nmの1対1ラインアンドスペースに形成される露光量を最適露光量(Eop)とした。
上記レジストパターンの形成(1)において、上記TMAH水溶液の代わりに酢酸n−ブチルを用いて有機溶媒現像し、かつ水での洗浄を行わなかった以外は、上記レジストパターンの形成(1)と同様に操作して、ネガ型のレジストパターンを形成した。
8インチのシリコンウエハー表面にスピンコーター(東京エレクトロン社の「CLEAN TRACK ACT8」)を使用して、上記調製した電子線露光用感放射線性樹脂組成物を塗布し、90℃で60秒間PBを行った。その後、23℃で30秒間冷却し、膜厚50nmのレジスト膜を形成した。次に、このレジスト膜に、簡易型の電子線描画装置(日立製作所社の「HL800D」、出力:50KeV、電流密度:5.0A/cm2)を用いて電子線を照射した。照射後、120℃で60秒間PEBを行った。その後、アルカリ現像液としての2.38質量%のTMAH水溶液を用いて23℃で30秒間アルカリ現像し、水で洗浄し、乾燥してポジ型のレジストパターンを形成した。
上記レジストパターンの形成(3)において、上記TMAH水溶液の代わりに酢酸n−ブチルを用いて有機溶媒現像し、かつ水での洗浄を行わなかった以外は、上記レジストパターンの形成(3)と同様に操作して、ネガ型のレジストパターンを形成した。
上記形成したレジストパターンについて、下記方法に従って測定することにより、各感放射線性樹脂組成物を評価した。なお、レジストパターンの測長には走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社の「CG−4100」)を用いた。評価結果を表4及び表5にそれぞれ示す。
上記Eopの露光量を照射して形成したレジストパターンを、上記走査型電子顕微鏡を用いてパターン上部から観察した。線幅を任意のポイントで計50点測定し、その測定値の分布から3シグマ値を求め、これをLWR性能(nm)とした。LWR性能は、その値が小さいほどラインのガタつきが小さく良いことを示す。LWR性能は、3.5nm以下の場合は「良好」と、3.5nmを超える場合は「不良」と評価できる。
上記Eopの露光量を照射して形成したレジストパターンを、上記走査型電子顕微鏡を用いてパターン上部から観察した。400nmの範囲で線幅を20点測定してその平均値を求め、その平均値を任意のポイントで計500点測定し、その測定値の分布から3シグマ値を求め、これをCDU性能(nm)とした。CDU性能は、その値が小さいほど長周期での線幅のバラつきが小さく良いことを示す。CDU性能は、1.5nm以下の場合は「良好」と、1.5nmを超える場合は「不良」と評価できる。
上記Eopの露光量を照射して解像される最小のレジストパターンの寸法を測定し、この測定値を解像性(nm)とした。解像性は、その値が小さいほどより微細なパターンを形成でき良いことを示す。解像性は、35nm以下の場合は「良好」と、35nnを超える場合は「不良」と評価できる。
上記Eopの露光量を照射して解像されるレジストパターンの断面形状を観察し、レジストパターンの高さ方向での中間での線幅Lb及びレジストパターンの上部での線幅Laを測定して、La/Lbを算出し、これを断面形状の矩形性の指標とした。断面形状の矩形性は、その値が1に近いほど、レジストパターンがより矩形であり良いことを示す。断面形状の矩形性は、0.9≦(La/Lb)≦1.1である場合は「良好」と、(La/Lb)<0.9又は1.1<(La/Lb)である場合は「不良」と評価できる。
上記Eopの露光量を照射して解像されるレジストパターンにおいて、深さ方向にフォーカスを変化させた際の寸法を観測し、ブリッジや残渣が無いままパターン寸法が基準の90%〜110%に入る深さ方向の余裕度を測定し、この測定値を焦点深度(nm)とした。焦点深度は、その値が大きいほど、焦点の位置が変動した際に得られるパターンの寸法の変動が小さく、デバイス作製時の歩留まりを高くすることができるので良好である。焦点深度は、100nm以上の場合は「良好」と、100nm未満の場合は「不良」と評価できる。
上記Eopを含む露光量の範囲において、露光量を1mJ/cm2ごとに変えて、それぞれレジストパターンを形成し、上記走査型電子顕微鏡を用いて、それぞれの線幅を測定した。得られた線幅と露光量の関係から、線幅が44nmとなる露光量E(44)、及び線幅が36nmとなる露光量E(36)を求め、露光余裕度=(E(36)−E(44))×100/(最適露光量)の式から露光余裕度(%)を算出した。露光余裕度は、その値が大きいほど、露光量が変動した際に得られるパターンの寸法の変動が小さく、デバイス作製時の歩留まりを高くすることができるので良好である。露光余裕度は、18%以上の場合は「良好」と、18%未満の場合は「不良」と評価できる。
上記Eopにおいて、5種類のマスクサイズ(38.0nmLine/80nmPitch、39.0nmLine/80nmPitch、40.0nmLine/80nmPitch、41.0nmLine/80nmPitch、42.0nmLine/80nmPitch)で解像されるレジストパターンの線幅を、上記走査型電子顕微鏡を用いて測定した。横軸をマスクサイズ、縦軸を各マスクサイズで形成されたレジストパターンの線幅として、得られた測定値をプロットし、最小二乗法により算出した近似直線の傾きを求め、この傾きをMEEF性能とした。MEEF性能は、その値が1に近いほどマスク再現性が良好であることを示す。MEEF性能は、4.7以下の場合は「良好」と、4.7を超える場合は「不良」と評価できる。
上記調製した実施例12〜22の感放射線性樹脂組成物(J−1)〜(J−11)及び比較例1の感放射線性樹脂組成物(CJ−1)を35℃で3ヶ月保管したのち、溶液の濁り具合を目視にて確認した。
その結果、感放射線性樹脂組成物(J−1)〜(J−11)では濁りが確認されなかったが、感放射線性樹脂組成物(CJ−1)は白濁が観測された。GC−MSの分析結果から、感放射線性樹脂組成物(CJ−1)では上記単量体(M−15)に由来する分解生成物が観測された。感放射線性樹脂組成物(J−1)〜(J−11)では対応する分解生成物は観測されなかった。
Claims (10)
- 酸解離性基を含む構造単位を有する重合体、
感放射線性酸発生体、
放射線分解性オニウムカチオンとカウンターアニオンとからなる化合物、及び
溶媒
を含有し、
上記カウンターアニオンが、2以上のカルボニル基と、上記カルボニル基のうちの1つに隣接する−N−−とを有し、
上記カルボニル基同士が、単結合、置換若しくは非置換の炭素数1若しくは2のアルカンジイル基、又は置換若しくは非置換の1,2−ベンゼンジイル基を介して結合する感放射線性樹脂組成物。 - 上記式(1)におけるR2が−COR4、−SO2R4又は−SO3R4であり、このR4が炭素数1〜20の1価の有機基である請求項2に記載の感放射線性樹脂組成物。
- 上記式(1)におけるR2及びR3のうちの少なくとも1つがフッ素原子を含む請求項2又は請求項3に記載の感放射線性樹脂組成物。
- 上記式(1)におけるR1が単結合であり、R2が炭素数1〜30の1価のフッ素化炭化水素基である請求項4に記載の感放射線性樹脂組成物。
- 上記放射線分解性オニウムカチオンが、スルホニウムカチオン又はヨードニウムカチオンである請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の感放射線性樹脂組成物。
- レジスト膜を形成する工程、
上記レジスト膜を露光する工程、及び
上記露光されたレジスト膜を現像する工程
を備え、
上記レジスト膜を請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の感放射線性樹脂組成物により形成するレジストパターン形成方法。
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