JP2016037211A - 車両用診断システム - Google Patents

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Abstract

【課題】汎用の診断機を用いて診断を行なう際に、診断対象となるECUを適切に動作状態とする。【解決手段】車両用診断システム10では、外部診断機11が中継装置14を介した専用の診断用通信ライン13によって車両1のネットワークバス15に接続されている。車両1のネットワークバス15に接続される複数のECU16は、ノーマルモードとスリープモードとを有する。中継装置14は、スリープモードへの移行が禁止されている。中継装置14は、汎用の通信プロトコルによって、応答信号の返信を要求する所定の信号を診断用通信ライン13に定期的に送信する。中継装置14は、外部診断機11からの応答信号を受信すると、複数のECU16のうちスリープモードにあるECU16をノーマルモードに移行させる。【選択図】図1

Description

この発明は、車両用診断システムに関する。
従来、親ECU(Electronic Control Unit:電子制御装置)が、全ECUの自己診断結果を取得して外部の解析ツールからの要求に応じたダイアグ情報を送信する車両の診断装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2013−28238号公報
ところで、近年では車両の省燃費化のため、車載電装機器の省電力化が求められており、CAN(Controller Area Network)に接続された複数のECUのうち、現在の車両状態に応じて不要なECUをスリープ状態にするパーシャルネットワーキングが知られている。
ここで、ECUの診断を行う場合、IGON中(即ち全てのECUが起動して通信可能な通常の状態)に行うのが一般的である。これに対し、診断対象となるECUがパーシャルネットワーキングモード(即ちスリープ状態)にある場合、診断機による診断を開始する際にECUをウェイクアップさせて診断機との通信を可能な状態にする必要がある。しかしながら、汎用の診断機による診断を可能にすることが望まれていることに対して、正規ディーラーで用いる診断機専用の通信仕様によってパーシャルネットワーキング対応仕様を構築したとしても、汎用の診断機を用いて適切に診断を行うのは困難である点は依然として解消されない。
また、診断機を接続するコネクタに物理的な接続を検出するスイッチを追加し、そのスイッチにより診断機の接続を検知してECUをウェイクアップさせることも考えられるが、構成に要する費用が嵩む点で好ましくないという問題がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、汎用の診断機を用いて診断を行なう際に、診断対象となるECUを適切に動作状態とすることが可能な車両用診断システムを提供することを目的としている。
上記課題を解決して係る目的を達成するために、本発明は以下の態様を採用した。
(1)本発明の一態様に係る車両用診断システムは、診断機(例えば、実施形態での外部診断機11)が特定のECU(例えば、実施形態での中継装置14、61)を介した専用の通信ライン(例えば、実施形態での診断用通信ライン13)によって車両のネットワークバス(例えば、実施形態でのネットワークバス15)に接続され、該ネットワークバスに接続される複数のECU(例えば、実施形態での複数のECU16)の診断を行う車両用診断システムであって、前記複数のECUは、該複数のECUの機能のうち少なくとも前記診断機による診断を可能とする機能を含む機能が有効な通常動作状態であるノーマルモードと、前記複数のECUの機能のうち少なくとも前記診断機による診断を可能とする機能を含む機能が休止した省電力状態となるスリープモードとを有し、前記特定のECUは、前記スリープモードへの移行が禁止されており、前記特定のECUは、汎用の通信プロトコルによって、応答信号の返信を要求する所定の信号を前記通信ラインに定期的に送信し、前記特定のECUは、前記診断機からの応答信号を受信すると、前記複数のECUのうち前記スリープモードにあるECUをノーマルモードに移行させる。
(2)上記(1)に記載の車両用診断システムでは、前記汎用の通信プロトコルは、CAN通信プロトコルに準拠したプロトコルである。
(3)上記(1)または(2)に記載の車両用診断システムでは、前記特定のECUは、前記診断機からの応答信号を受信すると、前記スリープモードにあるECUを前記ノーマルモードに移行させるためのウェイクアップ信号を前記ネットワークバスに定期的に送信し、前記複数のECUは、前記ウェイクアップ信号を受信している間は、前記スリープモードに移行しない。
(4)上記(3)に記載の車両用診断システムでは、前記複数のECUは、所定条件に応じて前記車両の内燃機関を停止させるアイドル停止の制御を行うアイドル停止制御ECUを含み、前記アイドル停止制御ECUは、前記ウェイクアップ信号を受信している間は、前記アイドル停止を禁止する。
(5)上記(3)または(4)に記載の車両用診断システムでは、前記複数のECUは、前記診断機が前記専用の通信ラインに接続されていない状態において前記車両の診断情報を収集して記憶する診断情報収集ECU(例えば、実施形態での診断情報収集装置51)を含み、前記診断情報収集ECUは、前記ウェイクアップ信号を受信している間は、前記診断情報の収集を禁止する。
(6)上記(3)または(4)に記載の車両用診断システムは、前記ネットワークバスに接続される表示装置(例えば、実施形態での表示装置63)と、操作者の入力を受け付ける入力装置(例えば、実施形態での入力装置62)と、を備え、前記特定のECU(例えば、実施形態での中継装置61)は、前記診断機が前記専用の通信ラインに接続されていない状態において前記車両の診断情報を収集して記憶し、前記特定のECUは、前記入力装置から出力される表示要求に応じて前記診断情報を前記表示装置に表示する。
(7)上記(3)から(6)の何れか1つに記載の車両用診断システムでは、前記特定のECUは、前記所定の信号に対する前記応答信号が受信されなくなると、前記ウェイクアップ信号の送信を中止する。
上記(1)に記載の態様に係る車両用診断システムによれば、診断機からの応答信号を受信してスリープモードのECUをノーマルモードに移行させる特定のECUを備えるので、汎用の診断機を用いた場合でもスリープモードのECUを適切に起動することができる。
さらに、応答信号の返信を要求する所定の信号の送信によって診断機の接続有無を検知する特定のECUを備えるので、既存の装置構成を用いて通信ラインに対する診断機の接続有無を検知することができる。これにより、診断機の接続有無を検知するために、例えば、ハードウェアスイッチ、ハードウェアスイッチに接続されるハーネス、およびハーネスの入力ポートなどが必要になることを防止することができる。例えば、診断機、適宜のコネクタ、および複数のECUなどにおける構成の変更、新たな構成の追加が必要になることを防止することができる。
さらに、診断機が通信ラインに接続されている場合にスリープモードのECUをノーマルモードに移行させる特定のECUを備えるので、消費電力の増大を防ぐことができる。例えば、イグニッションスイッチのオンに応じて全てのECUをノーマルモードに移行させる場合に比べて、消費電力を削減することができる。これにより複数のECUは、消費電力の増大を防ぎつつ、診断機からの診断通信に対して適正に応答することができる。
さらに、上記(2)の場合、車両で汎用性の高い通信プロトコルを用いる特定のECUを備えるので、診断機の対応可能性を確保することができる。
さらに、上記(3)の場合、ウェイクアップ信号を受信している間はスリープモードに移行しない複数のECUを備えるので、診断中に複数のECUが再度スリープモードに移行してしまうことを防止することができる。
さらに、上記(4)の場合、ウェイクアップ信号を受信している間はアイドル停止を禁止するアイドル停止制御ECUを備えるので、診断中にアイドル停止が実施されることによって車両のバッテリ残容量が減少してしまうことを防止することができる。
さらに、上記(5)の場合、ウェイクアップ信号を受信している間は診断情報の収集を禁止する診断情報収集ECUを備えるので、診断機からの診断要求信号と、ナビゲーション装置などの診断情報収集ECUからの診断要求信号とが競合してしまうことを防止することができる。
さらに、汎用の通信プロトコルにおいて通信の優先度が設定され、高優先の通信ほどネットワークバスを占有して通信する状態において、診断通信が車両の制御通信を阻害しないように、診断通信の優先度が低い通信となっている場合であっても、診断機の診断通信が阻害されることを防ぐことができる。そして、診断機が通信ラインに接続されていない場合には、診断情報収集ECUによって収集される診断情報を用いて診断を継続することができる。
さらに、上記(6)の場合、特定のECUは、ネットワークバスに接続される表示装置に診断情報を表示することができるので、個別に表示装置を備える必要無しに、装置構成を簡略化することができる。
さらに、上記(7)の場合、特定のECUは、定期的にネットワークバスに送信している所定の信号に対する定期的な応答信号の受信がなくなることで診断機の取り外しを認識することができる。これによって特定のECUは、ウェイクアップ信号の送信を停止することができるため、診断機の取り外し後は自動的に複数のECUの各々を通常状態に戻すことができる。
本発明の実施形態に係る車両用診断システムの構成を示すブロック図である。 本発明の実施形態に係る車両用診断システムの外部診断機の構成を示すブロック図である。 本発明の実施形態に係る車両用診断システムの中継装置の構成を示すブロック図である。 本発明の実施形態に係る車両用診断システムのネットワークバスに接続されるECUの構成を示すブロック図である。 本発明の実施形態に係る車両用診断システムの中継装置の動作を示すフローチャートである。 本発明の実施形態に係る車両用診断システムのネットワークバスに接続される省電力ECUの動作を示すフローチャートである。 本発明の実施形態の第1の変形例に係る車両用診断システムのネットワークバスに接続されるアイドル停止ECUの動作を示すフローチャートである。 本発明の実施形態の第2の変形例に係る車両用診断システムの構成を示すブロック図である。 本発明の実施形態の第2の変形例に係る車両用診断システムのネットワークバスに接続される診断情報収集ECUの動作を示すフローチャートである。 本発明の実施形態の第3の変形例に係る車両用診断システムの構成を示すブロック図である。 本発明の実施形態の第4の変形例に係る車両用診断システムの構成を示すブロック図である。
以下、本発明の一実施形態に係る車両用診断システムについて添付図面を参照しながら説明する。
本実施形態による車両用診断システム10は、図1に示すように、車両1に接続される外部診断機11と、車両1に搭載されるDLC(Data Link Connector)12、診断用通信ライン13、中継装置14、ネットワークバス15、および複数のECU16と、を備えている。車両用診断システム10は、車両1の動作を制御する複数のECU16から診断情報を収集して、車両1の動作を診断する。
外部診断機11は、汎用の通信プロトコルによって、車両1の複数のECU16の各々から診断情報を収集する。汎用の通信プロトコルは、例えばCAN通信プロトコルに準拠した通信プロトコルのように、診断通信に関する標準規格に準拠した通信プロトコルである。
外部診断機11は、診断情報の収集に先立って、汎用の通信プロトコルによって中継装置14から送信される所定の信号を受信すると、この信号に対する応答信号を返信する。外部診断機11は、応答信号の返信後に、外部診断機11と通信可能な状態となっている複数のECU16の各々から診断情報を収集する。
外部診断機11は、図2に示すように、処理部21と、CAN通信モジュール22と、表示部23と、入力部24と、を備えている。
CAN通信モジュール22は、送信機(図示略)および受信機(図示略)を備える。送信機は、処理部21が生成する信号を受け取り、この信号をCAN通信規格に従ってDLC12に送出する。受信機はCAN通信規格に従ってDLC12から信号を受信し、受信した信号を処理部21に送出する。
表示部23は、液晶表示装置などである。表示部23は、処理部21の制御に応じて、複数のECU16の各々から収集した診断情報の表示、および操作者に対する各種メッセージなどを表示する。
入力部24は、表示部23の表示画面上に設けられるタッチパネル、外部診断機11の筐体の一部に設けられるキーパッドおよびスイッチ、並びに外部診断機11に設けられるコンソールなどである。入力部24は、操作者の入力を受け付け、操作者の入力に応じた信号を処理部21に出力する。
処理部21は、CPUなどのプロセッサ、プログラムを格納するROM、およびデータを一時的に記憶するRAMなどを備えている。処理部21は、CAN通信モジュール22を用いて診断通信に関する標準規格に準拠した通信プロトコルであるCAN通信プロトコルに従って通信を行なうとともに、診断情報の収集および解析などを実行する。
処理部21は、診断情報の収集に先立って、汎用の通信プロトコルであるCAN通信プロトコルによって中継装置14から送信される所定の信号(接続確認信号)をCAN通信モジュール22が受信すると、この信号に対する応答信号をCAN通信モジュール22から返信する。
処理部21は、応答信号の返信後に、外部診断機11と通信可能な状態となっている複数のECU16の各々に対して、自己診断の開始と診断情報の送信とを指示する診断開始指示信号をCAN通信モジュール22から送信する。処理部21は、各ECU16から送信される診断情報の信号をCAN通信モジュール22により受信して診断情報を収集する。
処理部21は、収集した診断情報に対して所定のデータ処理を行ない、データ処理後の診断データを表示部23に出力する。
DLC(Data Link Connector)12は、例えばCAN通信ラインのような汎用の診断用通信ライン13によって中継装置14に接続されている。DLC12は、外部診断機11のCAN通信モジュール22に接続されている配線を、診断用通信ライン13に接続する。
中継装置14は、汎用の通信プロトコルによって、応答信号の返信を要求する所定の信号(接続確認信号)を診断用通信ライン13に定期的に送信する。中継装置14は、外部診断機11からの応答信号を受信すると、ネットワークバス15に接続される複数のECU16のうちスリープモードにあるECU16をノーマルモードに移行させる。スリープモードは、各ECU16の機能のうち少なくとも一部の機能が休止した省電力状態である。ノーマルモードは、各ECU16の機能の全てが有効である通常動作状態である。
中継装置14は、図3に示すように、処理部31と、CAN通信モジュール32と、を備えている。
CAN通信モジュール32は、送信機(図示略)および受信機(図示略)を備える。送信機は、処理部31が生成する信号を受け取り、この信号をCAN通信規格に従って診断用通信ライン13またはネットワークバス15に送出する。受信機はCAN通信規格に従って診断用通信ライン13またはネットワークバス15から信号を受信し、受信した信号を処理部31に送出する。
処理部31は、CPUなどのプロセッサ、プログラムを格納するROM、およびデータを一時的に記憶するRAMなどを備えている。処理部31は、CAN通信モジュール32を用いて診断通信に関する標準規格に準拠した通信プロトコルであるCAN通信プロトコルに従って通信を行なうとともに、パーシャルネットワーキングに対応したCAN通信規格に従って通信を行なう。
処理部31は、中継装置14がスリープモードに移行することを禁止している。
処理部31は、汎用の通信プロトコルであるCAN通信プロトコルによって、応答信号の返信を要求する所定の信号(接続確認信号)をCAN通信モジュール32から診断用通信ライン13に定期的に送信する。処理部31は、外部診断機11からの応答信号をCAN通信モジュール32が受信すると、外部診断機11が診断用通信ライン13に接続された状態であって、接続確認信号の送信が完了したと判断する。
処理部31は、パーシャルネットワーキングに対応したCAN通信規格に従って、スリープモードにあるECU16をノーマルモードに移行させるためのウェイクアップ信号(外部診断機11の接続通知信号)をCAN通信モジュール32からネットワークバス15に定期的に送信する。これにより処理部31は、ネットワークバス15に接続される複数のECU16のうちスリープモードにあるECU16をノーマルモードに移行させる。
処理部31は、接続確認信号に対する応答信号がCAN通信モジュール32により所定時間以上に亘って受信されなくなると、外部診断機11が診断用通信ライン13に接続されていない状態であると判断し、CAN通信モジュール32からのウェイクアップ信号の送信を中止する。
複数のECU16は、少なくとも1つ以上のネットワークバス15とともにパーシャルネットワーキングを構成している。複数のECU16の各々は、図4に示すように、処理部41と、CAN通信モジュール42と、を備えている。
CAN通信モジュール42は、送信機(図示略)および受信機(図示略)を備える。送信機は、処理部41が生成する信号を受け取り、この信号をCAN通信規格に従ってネットワークバス15に送出する。受信機はCAN通信規格に従ってネットワークバス15から信号を受信し、受信した信号を処理部41に送出する。
処理部41は、CPUなどのプロセッサ、プログラムを格納するROM、およびデータを一時的に記憶するRAMなどを備えている。処理部41は、CAN通信モジュール42を用いて診断通信に関する標準規格に準拠した通信プロトコルであるCAN通信プロトコルに従って通信を行なうとともに、パーシャルネットワーキングに対応したCAN通信規格に従って通信を行なう。
処理部31は、ECU16の機能の全てが有効である通常動作状態であるノーマルモードと、ECU16の機能のうち少なくとも一部の機能が休止した省電力状態となるスリープモードとの2つの動作モードでECU16を動作させる。
処理部31は、パーシャルネットワーキングに対応したCAN通信規格に従って中継装置14が送信するウェイクアップ信号(外部診断機11の接続通知信号)をCAN通信モジュール42が受信すると、スリープモードからノーマルモードに移行する。これにより処理部31は、ECU16を外部診断機11と通信可能な状態に移行させる。処理部31は、CAN通信モジュール42がウェイクアップ信号を受信している間は、スリープモードに移行しない。
処理部31は、ウェイクアップ信号がCAN通信モジュール42により所定時間以上に亘って受信されなくなると、ノーマルモードからスリープモードに移行し、ECU16を外部診断機11と未通信の状態に移行させる。
本実施の形態による車両用診断システム10は上記構成を備えており、次に、この車両用診断システム10の動作について説明する。
以下に、電源がオンの中継装置14の動作について、図5に示すフローチャートを参照して説明する。
先ず、中継装置14の処理部31は、車両1のイグニッションスイッチがオンであるか否かを判定する(ステップS01)。
この判定結果が「NO」の場合、処理部31は、処理を後述するステップS08に進める(ステップS01のNO側)。
一方、この判定結果が「YES」の場合、処理部31は、処理をステップS02に進める(ステップS01のYES側)。
次に、処理部31は、CAN通信モジュール32を用いて、汎用の通信プロトコルであるCAN通信プロトコルによって、外部診断機11の接続確認信号の送信を開始する(ステップS02)。処理部31は、応答信号の返信を要求する接続確認信号を、CAN通信モジュール32から診断用通信ライン13に定期的に送信する。
次に、処理部31は、接続確認信号の送信が完了しない時間である送信未完時間の計測を開始する(ステップS03)。処理部31は、CAN通信モジュール32から接続確認信号を送信してから、接続確認信号に対する応答信号がCAN通信モジュール32によって受信されない時間である送信未完時間を計測する。
次に、処理部31は、接続確認信号の送信が完了したか否か、つまり接続確認信号に対する応答信号がCAN通信モジュール32によって受信されたか否かを判定する(ステップS04)。
この判定結果が「NO」の場合、処理部31は、処理を後述するステップS06に進める(ステップS04のNO側)。
一方、この判定結果が「YES」の場合、処理部31は、処理をステップS05に進める(ステップS04のYES側)。
次に、処理部31は、外部診断機11が診断用通信ライン13に接続された状態であると判断して、CAN通信モジュール32を用いて、パーシャルネットワーキングに対応したCAN通信規格に従って、外部診断機11の接続通知信号の送信を開始する(ステップS05)。処理部31は、複数のECU16のうちスリープモードにあるECU16をノーマルモードに移行させるためのウェイクアップ信号(接続通知信号)を、CAN通信モジュール32からネットワークバス15に定期的に送信する。
そして、処理部31は、処理を終了させる。
また、処理部31は、送信未完了時間が所定時間よりも長いか否かを判定する(ステップS06)。
この判定結果が「NO」の場合、処理部31は、処理を上述したステップS04に戻す(ステップS06のNO側)。
一方、この判定結果が「YES」の場合、処理部31は、処理をステップS07に進める(ステップS06のYES側)。
次に、処理部31は、外部診断機11が診断用通信ライン13に接続されていない状態であると判断して、CAN通信モジュール32を用いた外部診断機11の接続通知信号の送信を停止する(ステップS07)。
そして、処理部31は、処理を終了させる。
また、処理部31は、CAN通信モジュール32を用いた外部診断機11の接続確認信号の送信を停止する(ステップS08)。
次に、処理部31は、外部診断機11が診断用通信ライン13に接続されていない状態であると判断して、CAN通信モジュール32を用いた外部診断機11の接続通知信号の送信を停止する(ステップS09)。
そして、処理部31は、処理を終了させる。
以下に、ECU16の動作について、図6に示すフローチャートを参照して説明する。
先ず、ECU16の処理部41は、汎用の通信プロトコルであるCAN通信プロトコルによって、中継装置14から送信されるウェイクアップ信号(外部診断機11の接続通知信号)をCAN通信モジュール42が受信したかを確認する(ステップS11)。
次に、処理部41は、ウェイクアップ信号がCAN通信モジュール32によって受信されない時間である未受信時間が所定時間未満であるか否かを判定する(ステップS12)。
この判定結果が「NO」の場合、処理部31は、処理を後述するステップS14に進める(ステップS12のNO側)。
一方、この判定結果が「YES」の場合、処理部31は、処理をステップS13に進める(ステップS12のYES側)。
次に、処理部41は、外部診断機11が診断用通信ライン13に接続された状態であると判断して、ECU16を外部診断機11と通信可能な状態に移行させる(ステップS13)。
そして、処理部31は、処理を終了させる。
また、処理部41は、外部診断機11が診断用通信ライン13に接続されていない状態であると判断して、ECU16を外部診断機11と未通信の可能な状態に移行させる(ステップS14)。
そして、処理部31は、処理を終了させる。
上述したように、本実施の形態による車両用診断システム10によれば、外部診断機11からの応答信号を受信してスリープモードのECU16をノーマルモードに移行させる中継装置14を備えるので、汎用の診断機を用いた場合でもスリープモードのECU16を適切に起動することができる。
さらに、CAN通信プロトコルのように車両1で汎用性の高い通信プロトコルを用いる中継装置14を備えるので、外部診断機11の対応可能性を確保することができる。
さらに、ウェイクアップ信号を受信している間はスリープモードに移行しない複数のECU16を備えるので、診断中に複数のECU16が再度スリープモードに移行してしまうことを防止することができる。
さらに、応答信号の返信を要求する所定の信号の送信によって外部診断機11の接続有無を検知する中継装置14を備えるので、既存の装置構成を用いて診断用通信ライン13に対する外部診断機11の接続有無を検知することができる。これにより、外部診断機11の接続有無を検知するために、例えば、ハードウェアスイッチ、ハードウェアスイッチに接続されるハーネス、およびハーネスの入力ポートなどが必要になることを防止することができる。例えば、外部診断機11、DLC12、および複数のECU16などにおける構成の変更、新たな構成の追加が必要になることを防止することができる。
さらに、外部診断機11が診断用通信ライン13に接続されている場合にスリープモードのECU16をノーマルモードに移行させる中継装置14を備えるので、消費電力の増大を防ぐことができる。例えば、イグニッションスイッチのオンに応じて全てのECU16をノーマルモードに移行させる場合に比べて、消費電力を削減することができる。これにより複数のECU16は、消費電力の増大を防ぎつつ、外部診断機11からの診断通信に対して適正に応答することができる。
以下、上述した実施形態の第1の変形例について説明する。
上述した実施形態において、ネットワークバス15に接続される複数のECU16の何れか1つは、所定条件に応じて車両1の内燃機関を停止させるアイドル停止の制御を行うECU(アイドル停止制御ECU)16であってもよい。
この第1の変形例において、車両1は駆動源として内燃機関(図示略)を備えている。アイドル停止制御ECUは、他のECU16と同様に、処理部41と、CAN通信モジュール42と、を備えている。アイドル停止制御ECUの処理部41は、所定条件、例えば車両1のブレーキが作動し、速度がゼロである場合などにおいて、内燃機関を停止させるアイドル停止を実行する。
処理部41は、CAN通信モジュール42が中継装置14からウェイクアップ信号を受信している間は、外部診断機11による診断通信が実行されると判断して、アイドル停止を禁止する。
以下に、アイドル停止制御ECUの動作について、図7に示すフローチャートを参照して説明する。
先ず、アイドル停止制御ECUの処理部41は、汎用の通信プロトコルであるCAN通信プロトコルによって、中継装置14から送信されるウェイクアップ信号(外部診断機11の接続通知信号)をCAN通信モジュール42が受信したかを確認する(ステップS21)。
次に、処理部41は、ウェイクアップ信号がCAN通信モジュール32によって受信されない時間である未受信時間が所定時間未満であるか否かを判定する(ステップS22)。
この判定結果が「NO」の場合、処理部31は、処理を後述するステップS24に進める(ステップS22のNO側)。
一方、この判定結果が「YES」の場合、処理部31は、処理をステップS23に進める(ステップS22のYES側)。
次に、処理部41は、外部診断機11が診断用通信ライン13に接続された状態であると判断して、車両1のアイドル停止を禁止する状態に移行する(ステップS23)。
そして、処理部31は、処理を終了させる。
また、処理部41は、外部診断機11が診断用通信ライン13に接続されていない状態であると判断して、車両1のアイドル停止を禁止する状態からアイドル停止を許可する状態に復帰する(ステップS24)。
そして、処理部31は、処理を終了させる。
この第1の変形例によれば、ウェイクアップ信号を受信している間はアイドル停止を禁止するECU(アイドル停止制御ECU)16を備えるので、診断中にアイドル停止が実施されることによって車両1のバッテリ残容量が減少してしまうことを防止することができる。
以下、上述した実施形態の第2の変形例について説明する。
上述した実施形態において、車両用診断システム10は、図8に示すように、ネットワークバス15に接続される診断情報収集装置51を備えてもよい。
この第2の変形例において、診断情報収集装置51は、例えば、表示装置を備えるナビゲーション装置などである。診断情報収集装置51は、他のECU16と同様に、処理部41と、CAN通信モジュール42と、を備えている。
診断情報収集装置51の処理部41は、外部診断機11が診断用通信ライン13に接続されていない状態において、診断情報収集装置51と通信可能な状態となっている複数のECU16の各々に対して、自己診断の開始と診断情報の送信とを指示する診断開始指示信号をCAN通信モジュール42から送信する。処理部41は、各ECU16から送信される診断情報の信号をCAN通信モジュール42により受信して診断情報を収集する。処理部41は、収集した診断情報に対して所定のデータ処理を行ない、データ処理後の診断データを、内蔵する表示装置(図示略)に出力する。
処理部41は、CAN通信モジュール42が中継装置14からウェイクアップ信号(外部診断機11の接続通知信号)を受信している間は、診断情報の収集を禁止する。
以下に、診断情報収集装置51の動作について、図9に示すフローチャートを参照して説明する。
先ず、診断情報収集装置51の処理部41は、汎用の通信プロトコルであるCAN通信プロトコルによって、中継装置14から送信されるウェイクアップ信号(外部診断機11の接続通知信号)をCAN通信モジュール42が受信したかを確認する(ステップS31)。
次に、処理部41は、ウェイクアップ信号がCAN通信モジュール32によって受信されない時間である未受信時間が所定時間未満であるか否かを判定する(ステップS32)。
この判定結果が「NO」の場合、処理部31は、処理を後述するステップS34に進める(ステップS32のNO側)。
一方、この判定結果が「YES」の場合、処理部31は、処理をステップS33に進める(ステップS32のYES側)。
次に、処理部41は、外部診断機11が診断用通信ライン13に接続された状態であると判断して、診断情報の収集を禁止する状態に移行する(ステップS33)。
そして、処理部31は、処理を終了させる。
また、処理部41は、外部診断機11が診断用通信ライン13に接続されていない状態であると判断して、診断情報の収集を禁止する状態から診断情報の収集を許可する状態に復帰する(ステップS34)。
そして、処理部31は、処理を終了させる。
この第2の変形例によれば、ウェイクアップ信号を受信している間は診断情報の収集を禁止する診断情報収集装置51を備えるので、外部診断機11からの診断要求信号と、診断情報収集装置51からの診断要求信号とが、ネットワークバス15上で競合してしまうことを防止することができる。
さらに、汎用の通信プロトコルにおいて通信の優先度が設定され、高優先の通信ほどネットワークバス15を占有して通信する状態において、診断通信が車両1の制御通信を阻害しないように、診断通信の優先度が低い通信となっている場合であっても、外部診断機11の診断通信が阻害されることを防ぐことができる。そして、外部診断機11が診断用通信ライン13に接続されていない場合には、診断情報収集装置51によって収集される診断情報を用いて診断を継続することができる。
以下、上述した実施形態の第3の変形例について説明する。
上述した実施形態において、車両用診断システム10は、図10に示すように、診断情報収集装置が一体的に設けられた中継装置61を備えてもよい。
この第3の変形例において、中継装置61は、中継装置14と同様に、処理部31と、CAN通信モジュール32と、を備えている。
中継装置61の処理部31は、中継装置14と同様の機能に加えて、外部診断機11が診断用通信ライン13に接続されていない状態において、中継装置61と通信可能な状態となっている複数のECU16の各々に対して、自己診断の開始と診断情報の送信とを指示する診断開始指示信号をCAN通信モジュール32から送信する。処理部31は、各ECU16から送信される診断情報の信号をCAN通信モジュール32により受信して診断情報を収集する。処理部31は、収集した診断情報に対して所定のデータ処理を行なう。処理部31は、CAN通信モジュール32がウェイクアップ信号(外部診断機11の接続通知信号)を送信している間は、診断情報の収集を禁止する。
以下、上述した実施形態の第4の変形例について説明する。
上述した実施形態の第3の変形例において、車両用診断システム10は、図11に示すように、中継装置61に設けられる入力装置62と、ネットワークバス15に接続される表示装置63と、を備えてもよい。
入力装置62は、適宜の表示画面上に設けられるタッチパネル、適宜の箇所に設けられるキーパッドおよびスイッチ、並びに適宜の箇所に設けられるコンソールなどである。入力装置62は、は、操作者の入力を受け付け、操作者の入力に応じた信号を出力する。
表示装置63は、適宜の箇所に設けられる液晶表示装置などである。表示装置63は、中継装置61の処理部31の制御に応じて、複数のECU16の各々から収集した診断情報の表示、および操作者に対する各種メッセージなどを表示する。
この第4の変形例において、中継装置61の処理部31は、各ECU16から収集した診断情報に対して所定のデータ処理を行ない、入力装置62から出力される操作者の表示要求に応じて、データ処理後の診断データを表示装置63に出力する。
以下、上述した実施形態の他の変形例について説明する。
上述した実施形態において、中継装置14は、応答信号の返信を要求する所定の信号(接続確認信号)をCAN通信モジュール32から診断用通信ライン13に定期的に送信するとしたが、これに限定されない。
中継装置14は、例えば、イグニッションスイッチがオンの場合に、接続確認信号をCAN通信モジュール32から診断用通信ライン13に定期的に送信してもよい。
上述した実施形態の第1の変形例において、アイドル停止制御ECUは、CAN通信モジュール42が中継装置14からウェイクアップ信号を受信している間は、アイドル停止を禁止するとしたが、これに限定されない。
中継装置14は、接続確認信号の送信が完了した場合、つまり接続確認信号に対する応答信号がCAN通信モジュール32によって受信された場合に、アイドル停止の禁止を指示する信号(アイドル停止禁止信号)をアイドル停止制御ECUに送信してもよい。アイドル停止制御ECUは、CAN通信モジュール42が中継装置14からアイドル停止禁止信号を受信している間は、アイドル停止を禁止する。
上述した実施形態の第2の変形例において、診断情報収集装置51は、CAN通信モジュール42が中継装置14からウェイクアップ信号を受信している間は、診断情報の収集を禁止するとしたが、これに限定されない。
中継装置14は、接続確認信号の送信が完了した場合、つまり接続確認信号に対する応答信号がCAN通信モジュール32によって受信された場合に、診断情報の収集禁止を指示する信号(診断情報収集禁止信号)を診断情報収集装置51に送信してもよい。診断情報収集装置51は、CAN通信モジュール42が中継装置14から診断情報収集禁止信を受信している間は、診断情報の収集を禁止する。
上述した実施形態において、車両用診断システム10は、汎用の通信プロトコルを、CAN通信プロトコルに準拠した通信プロトコルとしたが、これに限定されない。
車両用診断システム10は、汎用の通信プロトコルを、少なくとも、応答信号の返信を要求する所定の信号を送信するとともに、所定の信号を受信した場合に応答信号を返信することを規定する標準的な通信プロトコルとしてもよい。
上述した実施形態において、ECU16のノーマルモードを、ECU16の機能の全てが有効である状態としたが、これに限定されず、ECU16の機能のうち少なくとも外部診断機11による診断を可能とする機能を含む機能が有効である状態としてもよい。この場合、ECU16のスリープモードを、ECU16の機能のうち少なくとも外部診断機11による診断を可能とする機能を含む機能が休止した状態としてもよい。
本発明の実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
1…車両、10…車両用診断システム、11…外部診断機(診断機)、12…DLC、13…診断用通信ライン(専用の通信ライン)、14…中継装置(特定のECU)、15…ネットワークバス、16…ECU(ECU、アイドル停止制御ECU)、51…診断情報収集装置(診断情報収集ECU)、61…中継装置(特定のECU)、62…入力装置、63…表示装置

Claims (7)

  1. 診断機が特定のECUを介した専用の通信ラインによって車両のネットワークバスに接続され、該ネットワークバスに接続される複数のECUの診断を行う車両用診断システムであって、
    前記複数のECUは、該複数のECUの機能のうち少なくとも前記診断機による診断を可能とする機能を含む機能が有効な通常動作状態であるノーマルモードと、前記複数のECUの機能のうち少なくとも前記診断機による診断を可能とする機能を含む機能が休止した省電力状態となるスリープモードとを有し、
    前記特定のECUは、前記スリープモードへの移行が禁止されており、
    前記特定のECUは、汎用の通信プロトコルによって、応答信号の返信を要求する所定の信号を前記通信ラインに定期的に送信し、
    前記特定のECUは、前記診断機からの応答信号を受信すると、前記複数のECUのうち前記スリープモードにあるECUをノーマルモードに移行させる、
    ことを特徴とする車両用診断システム。
  2. 前記汎用の通信プロトコルは、CAN通信プロトコルに準拠した通信プロトコルである、
    ことを特徴とする請求項1に記載の車両用診断システム。
  3. 前記特定のECUは、前記診断機からの応答信号を受信すると、前記スリープモードにあるECUを前記ノーマルモードに移行させるためのウェイクアップ信号を前記ネットワークバスに定期的に送信し、
    前記複数のECUは、前記ウェイクアップ信号を受信している間は、前記スリープモードに移行しない、
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両用診断システム。
  4. 前記複数のECUは、所定条件に応じて前記車両の内燃機関を停止させるアイドル停止の制御を行うアイドル停止制御ECUを含み、
    前記アイドル停止制御ECUは、前記ウェイクアップ信号を受信している間は、前記アイドル停止を禁止する、
    ことを特徴とする請求項3に記載の車両用診断システム。
  5. 前記複数のECUは、前記診断機が前記専用の通信ラインに接続されていない状態において前記車両の診断情報を収集して記憶する診断情報収集ECUを含み、
    前記診断情報収集ECUは、前記ウェイクアップ信号を受信している間は、前記診断情報の収集を禁止する、
    ことを特徴とする請求項3または請求項4に記載の車両用診断システム。
  6. 前記ネットワークバスに接続される表示装置と、
    操作者の入力を受け付ける入力装置と、
    を備え、
    前記特定のECUは、前記診断機が前記専用の通信ラインに接続されていない状態において前記車両の診断情報を収集して記憶し、
    前記特定のECUは、前記入力装置から出力される表示要求に応じて前記診断情報を前記表示装置に表示する、
    ことを特徴とする請求項3または請求項4に記載の車両用診断システム。
  7. 前記特定のECUは、前記所定の信号に対する前記応答信号が受信されなくなると、前記ウェイクアップ信号の送信を中止する、
    ことを特徴とする請求項3から請求項6の何れか1つに記載の車両用診断システム。
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