JP2016035370A - ポット式燃焼器およびポット式燃焼器の制御方法 - Google Patents

ポット式燃焼器およびポット式燃焼器の制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ポット式燃焼器において、ユーザの誤操作(燃焼ファンエラーが生じた直後の再起動)による爆燃を抑制する。
【解決手段】有底筒状に形成されたポットバーナと、該ポットバーナに対して燃油を供給する燃油供給部と、該ポットバーナに対して空気を供給する燃焼ファンと、ユーザによるオン操作が行われた後、燃油供給部から燃油の供給が開始されていない期間内において、燃焼ファンの回転速度が第1の回転速度(Ra)以下である状態が第1の許容時間(Ta)以上続いたときにポットバーナを強制停止させる第1の強制停止手段(S112,S114)と、燃油の供給が開始された後の期間内において、燃焼ファンの回転速度が第2の回転速度(Rb)以下である状態が、第1の許容時間(Ta)よりも短い第2の許容時間(Tb)以上続いたときに燃油供給部の動作を停止してポットバーナを強制停止させる第2の強制停止手段(S122,S124)とを設けた。
【選択図】図4

Description

本発明は、ポットバーナ式暖房器具に用いて好適なポット式燃焼器およびポット式燃焼器の制御方法に関する。
ポットバーナ式暖房器具の一例が特許文献1に開示されている。この種の暖房器具にあっては、有底筒状のポットバーナに、電磁ポンプ等によって燃油が徐々に供給される。そして、供給された燃油はヒータで加熱されることによって、気化され燃焼する。また、この種の暖房器具では、室内の空気を汚さないため、密閉式が多用されている。すなわち、ポットバーナには屋外まで延設される吸排気ダクトが接続され、屋内に排気が排出されないようになっている。また、吸気ダクトには、ポットバーナに空気を供給する燃焼ファンが内蔵されている。該燃焼ファンは、燃油の燃焼中はポットバーナ内に逐次空気を供給し続けるとともに、消火後においてもポットバーナ内の空気を入れ替えつつポットバーナを冷却するため所定時間は空気を供給し続けるようになっている。
また、当該暖房器具においては、燃焼ファンに異常が生じると、ポットバーナは強制的に消火されるようになっている。より具体的には、燃焼ファンの回転速度が常に計測され、その回転速度が所定の最低回転速度以下になると、その状態の継続時間が計測され始める。そして、継続時間が最大許容時間に達すると、電磁ポンプが強制的に停止される。その後、ポットバーナ内に残存した燃油が燃え尽きると、ポットバーナは消火される。
特開2002−257338号公報
ところで、上述した暖房器具においては、燃焼ファンの回転速度が最低回転速度以下になった後、上述の最大許容時間が経過するまでは、電磁ポンプからポットバーナに燃油が供給され続ける。しかし、燃焼ファンの異常状態によっては、供給された燃油が燃え尽きていないにもかかわらず、酸欠状態になって消火されることがある。この場合、ポットバーナ内の温度が高いために、供給された燃油は燃焼されないまま気化してゆくが、燃焼ファンが回転していなければ気化燃油が排出されないため、高濃度の気化燃油がポットバーナ内に溜まり続けることになる。燃焼ファンに異常が生じて暖房器具が停止した場合には、異常の原因を取り除いた上で再起動すべきことは、通常は取扱説明書などで注記されている。しかし、ユーザがこの注記を無視して再起動をかけようとすると、高濃度の気化燃油に引火し、爆燃が起きるおそれがある。
この発明は上述した事情に鑑みてなされたものであり、ユーザの誤操作による爆燃を抑制できるポット式燃焼器およびポット式燃焼器の制御方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため本発明にあっては、下記構成を有することを特徴とする。
請求項1記載のポット式燃焼器にあっては、有底筒状に形成されたポットバーナと、前記ポットバーナに対して燃油を供給する燃油供給部と、前記ポットバーナの底部に設けられ、予熱および点火を行うヒータと、前記ポットバーナに対して空気を供給する燃焼ファンと、前記燃焼ファンの回転速度を検出する回転計と、ユーザによってオン操作が行われる操作手段と、前記オン操作が行われた後、前記燃油供給部から前記ポットバーナに対する燃油の供給が開始されていない期間内において、前記燃焼ファンの回転速度が第1の回転速度以下である状態が第1の許容時間以上続いたときに前記ポットバーナを強制停止させる第1の強制停止手段と、前記燃油供給部から前記ポットバーナに対する燃油の供給が開始された後の期間内において、前記燃焼ファンの回転速度が第2の回転速度以下である状態が、前記第1の許容時間よりも短い第2の許容時間以上続いたときに前記燃油供給部の動作を停止して前記ポットバーナを強制停止させる第2の強制停止手段と、を有することを特徴とする。
この構成によれば、オン操作が行われた後、燃油供給部からポットバーナに対する燃油の供給が開始されていない期間内において、燃焼ファンの回転速度が第1の回転速度以下である状態が第1の許容時間以上続くと、第1の強制停止手段はポットバーナを強制停止させる。また、燃油の供給が開始された後の期間内において、燃焼ファンの回転速度が第2の回転速度以下である状態が第2の許容時間以上続くと、第2の強制停止手段は燃油供給部の動作を停止してポットバーナを強制停止させる。ここで、第2の許容時間を第1の許容時間よりも短くしたため、燃焼ファンの回転速度が第2の回転速度以下になった後、燃油供給部の動作を停止させるまでの期間を短くすることができる。これにより、ポットバーナに残留する燃油の量を削減することができ、次回にポットバーナが起動された際における爆燃を抑制することができる。
さらに、請求項2記載の構成にあっては、請求項1記載のポット式燃焼器において、前記ポットバーナとの間に空気室を形成するように、該ポットバーナを囲う外筒と、外部の空気を対流させるとともに、前記外筒に送風する対流ファンと、をさらに有し、前記第2の強制停止手段は、前記ポットバーナを強制停止させる際に前記対流ファンを所定時間回転させるものであることを特徴とする。
この構成によれば、第2の強制停止手段がポットバーナを強制停止させる際に対流ファンを所定時間回転させるから、対流ファンによって外筒、空気室を介してポットバーナが冷却される。これにより、ポットバーナに残留する気化燃油の液化を促進することができ、さらに爆燃を抑制することができる。
さらに、請求項3記載の構成にあっては、請求項1または2記載のポット式燃焼器において、前記第2の回転速度を前記第1の回転速度よりも高くしたことを特徴とする。
この構成によれば、第2の回転速度を第1の回転速度よりも高くしたから、燃焼ファンの回転速度が低下し始めた後、燃油供給部の動作を停止させるまでの期間を一層短くすることができ、さらに爆燃を抑制することができる。
また、請求項4記載のポット式燃焼器の制御方法にあっては、有底筒状に形成されたポットバーナと、前記ポットバーナに対して燃油を供給する燃油供給部と、前記ポットバーナの底部に設けられ、予熱および点火を行うヒータと、前記ポットバーナに対して空気を供給する燃焼ファンと、前記燃焼ファンの回転速度を検出する回転計と、ユーザによってオン操作が行われる操作手段と、を有するポット式燃焼器に適用されるポット式燃焼器の制御方法であって、前記オン操作が行われた後、前記燃油供給部から前記ポットバーナに対する燃油の供給が開始されていない期間内において、前記燃焼ファンの回転速度が第1の回転速度以下である状態が第1の許容時間以上続いたときに前記ポットバーナを強制停止させる第1の強制停止過程と、前記燃油供給部から前記ポットバーナに対する燃油の供給が開始された後の期間内において、前記燃焼ファンの回転速度が第2の回転速度以下である状態が、前記第1の許容時間よりも短い第2の許容時間以上続いたときに前記燃油供給部の動作を停止して前記ポットバーナを強制停止させる第2の強制停止過程と、を有することを特徴とする。
この方法によれば、オン操作が行われた後、燃油供給部からポットバーナに対する燃油の供給が開始されていない期間内において、燃焼ファンの回転速度が第1の回転速度以下である状態が第1の許容時間以上続くと、第1の強制停止過程において、ポットバーナが強制停止される。また、燃油の供給が開始された後の期間内においては、燃焼ファンの回転速度が第2の回転速度以下である状態が、第2の許容時間以上続くと、第2の強制停止過程においては、燃油供給部の動作が停止されポットバーナが強制停止される。ここで、第2の許容時間を第1の許容時間よりも短くしたため、燃焼ファンの回転速度が第2の回転速度以下になった後、燃油供給部の動作を停止させるまでの期間を短くすることができる。これにより、ポットバーナに残留する燃油の量を削減することができ、次回にポットバーナが起動された際における爆燃を抑制することができる。
このように、本発明によれば、ポット式燃焼器において、ユーザの誤操作による爆燃を抑制できる。
本発明の一実施形態の暖房器具の要部の概略構成図である。 該暖房器具の制御回路のブロック図である。 ROM34に記憶されたプログラムの状態遷移図である。 同、タイマ割込処理ルーチンのフローチャートである。 該暖房器具の正常動作時のタイムチャートである。 該暖房器具の燃焼ファン異常時のタイムチャートである。
[概略構成]
本発明の一実施形態によるポットバーナ式暖房器具の詳細を説明する。
ポットバーナ式暖房器具は、燃油を燃焼させ燃焼ガスを生じさせるポット式燃焼器100(図1参照)と、該燃焼ガスによって金属筒を赤熱させ放射暖房を行う燃焼筒(図示せず)と、該燃焼筒から排気されたガスと居室の空気との熱交換を行う熱交換器(図示せず)とを有している。
そして、図1に示すように、ポット式燃焼器100は、有底筒状に形成されたポットバーナ1と、該ポットバーナに燃油を供給する燃油供給部(電磁ポンプ11、供給パイプ12および噴射パイプ13)と、燃油の予熱および点火を行う点火ヒータ(ヒータ)7と、ポットバーナ1に空気を供給する燃焼ファン18とを有している。
図1においてポットバーナ1は有底円筒状に形成され、その周壁には円形の貫通孔である一次空気孔2及び二次空気孔3が多数穿孔されている。ポットバーナ1の外周は外筒5で囲まれ、両者間に空気室4が形成されている。整炎筒6は、ポットバーナ1内の中央部に固定され、気化ガスと燃焼空気との混合を促進する。気化アミ8は、耐熱性のステンレス細線を畳織し毛細管現象を発生するようにしたものであり、ポットバーナ1の底面中央部に固定されている。
点火ヒータ7は、棒状のセラミックヒータで構成され、ポットバーナ1の周壁から気化アミ8の上方に向かって突出している。この点火ヒータ7は、燃油を予熱し気化させる機能と、気化した燃油を点火する機能とを併せ持っている。噴射パイプ13は、ポットバーナ1内に向かって下り傾斜した細径のパイプによって構成され、燃油が供給されると、該燃油を気化アミ8に向かって噴射する。保護筒14は、噴射パイプ13の周囲を覆うような円筒状に形成されている。保護筒14の一端は外筒5に固定され、他端はポットバーナ1の側壁を貫通し、その内部に露出している。
オイルレベラ9は、図示せぬ燃油タンクから燃油が供給されると、その油面を一定レベルに保持する。上蓋10は、オイルレベラ9の上面を覆っている。電磁ポンプ11は、上蓋10に固定され、オイルレベラ9内の燃油を、供給パイプ12および噴射パイプ13を介してポットバーナ1内に供給する。吸引ポンプ15は、上蓋10上に電磁ポンプ11に並設して固定され、電磁ポンプ11と供給パイプ12との間に介挿されている。吸引ポンプ15は、消火時において消火時間を短縮するために、供給パイプ12および噴射パイプ13に残留した燃油を吸引しオイルレベラ9に戻す。
フレームロッド16は、燃焼時の燃焼火炎内に位置するように、ポットバーナ1内に垂下され、着火、失火および異常燃焼等を検知する。温度センサ17は、ポットバーナ1の底部の温度を検出するものであり、サーミスタによって構成され、ポットバーナ1の底部裏側に接触して固定されている。燃焼ファン18は、図示せぬ吸排気ダクトを介して空気を吸入すると、空気室4を介し、一次、二次空気孔2,3を通して空気をポットバーナ1内に供給する。回転計19は、燃焼ファン18の回転速度を計測する。
ところで、ポットバーナ1にて発生した燃焼ガスは、図示せぬ燃焼筒、熱交換器および吸排気ダクトを順次介して、排気ガスとして屋外に排気される。対流ファン20は、外部(室内)の空気を循環させつつ燃焼筒および熱交換器に送風することにより、燃焼筒および熱交換器を冷却しつつ、室内に温風を送るものである。また、対流ファン20は、外筒5にも送風することにより、外筒5を冷却する機能も有している。
[制御回路の構成]
次に、本実施形態における制御回路の構成を、図2を参照し説明する。
図2においてCPU32は、ROM34に記憶されたプログラムに基づいて、バス30を介して各部を制御する。RAM36は、CPU32のワークメモリとして使用される。フラッシュメモリ38は、暖房器具の電源がオフにされた後も保持すべきデータを記憶する。特に、フラッシュメモリ38には、暖房器具が異常停止する際に、異常の内容を特定するエラーコードが書き込まれる。操作部40は、ユーザの操作に基づいて様々なコマンド(例えば目標となる室温の設定など)をCPU32に供給するための操作子が設けられている。特に、操作部40には、暖房器具のオン/オフ状態をトグルで指示する運転スイッチ40aが設けられている。すなわち、運転スイッチ40aは、ユーザによってオン操作が行われる操作手段として機能する。
表示部42は、ユーザに対して各種情報を表示する。I/Oインタフェース44は、CPU32の制御の下、各種の入出力制御を行う。すなわち、I/Oインタフェース44は、フレームロッド16、温度センサ17および回転計19から各々燃焼状態、ポットバーナ1の底部温度、および燃焼ファン18の回転速度を取得しCPU32に供給するとともに、CPU32の指令に基づいて、点火ヒータ7、電磁ポンプ11、吸引ポンプ15、燃焼ファン18および対流ファン20の動作を制御する。
[実施形態の動作]
〈正常動作〉
次に、本実施形態の動作を説明するが、最初に暖房器具が正常である場合の動作を、図3の状態遷移図および図5のタイムチャートを参照しつつ説明する。
ROM34に記憶されたプログラムは、暖房器具の状態を図3に示すように様々に遷移させつつ暖房器具を制御するものである。図3においてステータスST00(完全停止)は、ポットバーナ1が消火されており、燃焼ファン18、対流ファン20が全く動いていない状態を指す。ステータスST00においてユーザが運転スイッチ40aを押下すると、これは「オン操作」であるとみなされ、ステータスはST02(予備加熱)に遷移する。本ステータスにおいては、点火ヒータ7が通電され、燃焼ファン18が低速(例えば1250rpm)で駆動されるとともに、ポットバーナ1の温度が徐々に上昇される。
ステータスST00〜ST02(予備加熱)に至る動作は、図5のタイムチャートにおいては、時刻t0の前後の部分に対応する。時刻t0はオン操作が発生した時刻であり、時刻t0において点火ヒータ7に印加される電圧および燃焼ファン18の回転速度が立ち上げられている。
図3に戻り、点火ヒータ7の通電後に所定時間(例えば120秒)が経過し、かつ、温度センサ17の検出温度が所定温度(例えば80℃)以上になると、ステータスはST04(回転速度増加)に遷移する。本ステータスでは、着火に備えて、燃焼ファン18の回転速度が(例えば1500rpmに)上昇される。ステータスST04において所定時間(例えば2秒)が経過すると、ステータスはST06(着火)に遷移する。本ステータスにおいては、電磁ポンプ11の駆動が開始され、電磁ポンプ11から噴射パイプ13を介して噴射された燃油は、気化アミ8および点火ヒータ7によって気化されるとともに点火される。
ステータスST02(予備加熱)〜ST06(着火)に至る動作は、図5のタイムチャートにおいては、時刻t1〜t2の前後の部分に対応する。時刻t1ではステータスがST02(予備加熱)からST04(回転速度増加)に遷移したことにより、燃焼ファン18の回転速度が1500rpmに増加されている。さらに、時刻t1の直後の(2秒後の)時刻t2においては、ステータスがST06(着火)に遷移したことにより、電磁ポンプ11からの燃油の吐出が始まっている。
図3に戻り、ステータスST06(着火)において所定時間(例えば10秒)が経過すると、ステータスはST08(予備燃焼)に遷移する。本ステータスにあっては、所定時間(例えば130秒)内に電磁ポンプ11の吐出油量が段階的に引き上げられてゆく。その後、ステータスはST10(強制中火力)に遷移する。本ステータスでは、所定時間(例えば150秒)、火力が中火力レベルになるように、電磁ポンプ11の吐出油量が強制的に設定される。
ステータスST06(着火)〜ST10(強制中火力)に至る動作は、図5のタイムチャートにおいては、時刻t2以降の部分に対応する。時刻t2〜t3の期間において燃焼ファン18の回転速度は1500rpmに保たれているが、時刻t3にステータスがST08(予備燃焼)に遷移すると、回転速度が2550rpmにまで引き上げられる。これにより、通常の燃焼状態よりも空気が過多の状態になる。空気が過多になると、ポットバーナ1内の炎が下方向に押し下げられるような形になり、ポットバーナ1の下部が集中的に加熱され、下部の温度が速やかに上昇する。このような制御を行っている理由は、ポットバーナ1の下部の温度が高くなると、燃焼が安定するため、ステータスST08(予備燃焼)の時間を短縮できるためである。
次に、時刻t4においては、燃焼ファン18の回転速度が1990rpmに減少されるとともに、電磁ポンプ11の吐出油量が若干増加される。これにより、ポットバーナ1の全体がほぼ均等に加熱されるようになる。その後、時刻t5において、ステータスはST10(強制中火力)に遷移する。時刻t5においては、電磁ポンプ11の吐出油量がさらに増加されるとともに、対流ファン20が所定の回転速度Rcで回転するように駆動される。一方、燃焼ファン18の回転速度は1990rpmのまま保持される。また、時刻t5においては点火ヒータ7がオフ状態にされる。これは、ポットバーナ1の温度が充分に高くなっているため、点火ヒータ7がオフ状態であっても燃焼を継続できるためである。
図3に戻り、ステータスST10(強制中火力)が終了すると、ステータスはST12(本燃焼)に遷移する。本ステータスにおいては、操作部40にてユーザに指定された室温が実現するように、現在の室温等の条件に応じて電磁ポンプ11の吐出油量が自動的に制御される。このステータスST12においてユーザが運転スイッチ40aを押下すると、これは「オフ操作」であるとみなされ、ステータスはST14(消火冷却)に遷移する。本ステータスでは、電磁ポンプ11が停止され、供給パイプ12および噴射パイプ13に残留した燃油が吸引ポンプ15によってオイルレベラ9に戻される。また、本ステータスにおいては、所定の冷却時間だけ燃焼ファン18が駆動され続ける。
ここで、所定の冷却時間だけ燃焼ファン18を駆動し続けておく理由を説明しておく。本ステータスST14の開始時に燃油の供給を停止したとしても、ポットバーナ1内には若干の燃油が残存しているため、暫くの間は残存した燃油が燃焼し、燃油が燃え尽きることによってポットバーナ1が消火される。従って、その期間中は燃焼ファン18による吸気を続行しておくことが望ましい。また、ポットバーナ1が消火した後においても、ポットバーナ1を冷却するため、ある程度の時間は吸気を続行しておく事が望ましい。本ステータスST14における「冷却時間」は、暖房器具が正常に動作している限りにおいて、消火および冷却を完了するために充分な時間が設定されている。そして、冷却時間が経過すると、ステータスはST00(完全停止)に戻り、燃焼ファン18が停止される。
〈燃焼ファン18の異常時の動作〉
燃焼ファン18に異常が生じ、その回転速度が所定の最低回転速度以下になり、かつ、その状態が所定の最大許容時間以上続くと、「燃焼ファンエラー」が確定する。ここで、燃焼ファンエラーが確定する場合とは、具体的には次のようなケースが考えられる。
・燃焼ファンそのものが故障した場合
・燃焼ファンに虫などの異物が侵入し、回転を阻害した場合
・排気ダクトから強風が吹きこんだために燃焼ファンの回転が一時的に阻害された場合
なお、上記「最低回転速度」および「最大許容時間」はステータスに応じて異なるため、その詳細は後述する。図3において、ステータスST02(予備加熱)またはST04(回転速度増加)において燃焼ファンエラーが確定すると、ステータスはST00(完全停止)に戻る。ステータスST02,ST04においては、未だポットバーナ1に燃油が供給されていないため、そのままステータスST00(完全停止)に戻したとしても、次回の起動時に爆燃が起きる可能性は極めて小さいためである。
一方、ポットバーナ1に対する燃油の供給が開始された後のステータスST06〜ST14において燃焼ファンエラーが確定すると、ステータスはST20(対流冷却)に遷移する。本ステータスにおいては、電磁ポンプ11が停止され、供給パイプ12および噴射パイプ13に残留した燃油が吸引ポンプ15によってオイルレベラ9に戻されるとともに、対流ファン20が所定時間、所定の回転速度で駆動される。ここで対流ファン20を駆動する理由は、ポットバーナ1を冷却するためである。
上述したように、対流ファン20は、外筒5および図示せぬ燃焼筒、熱交換器に送風し、これらを冷却するものであるが、これらにもポットバーナ1の熱は伝導されるため、対流ファン20は間接的にポットバーナ1を冷却する機能も有している。ポットバーナ1が冷却されると、その内部に残存した気化燃油を液化させることができるため、次回の起動時における爆燃を抑制することができる。そして、対流ファン20が上記所定時間駆動されると、ステータスはST00(完全停止)に戻る。
また、ここでステータスST14(消火冷却)における燃焼ファンエラーについて、さらに説明しておく。ST14(消火冷却)においては、既に電磁ポンプ11は停止されているが、過去に噴射された燃油がポットバーナ1に残留している可能性があり、ポットバーナ1の温度も高温になっている場合が多い。そこで、ステータスST14にて燃焼ファンエラーが生じた場合には、ST06〜ST12の場合と同様に、ステータスST20(対流冷却)に遷移させるようにしている。
〈タイマ割込処理〉
上述した燃焼ファン18の異常時における状態遷移を行うため、CPU32においては、所定時間(例えば1秒)毎にタイマ割込が発生し、図4に示すタイマ割込処理ルーチンが起動される。図4において処理がステップS102に進むと、現在のステータスに応じて処理が分岐される。現在のステータスがST00(完全停止)、あるいはST20(対流冷却)である場合は、処理はステップS126に進み、変数Tが「0」にリセットされ、タイマ割込処理が終了する。
また、ステータスST02(予備加熱)またはST04(回転速度増加)においてタイマ割込が発生すると、処理はステップS102を介してS104に進む。ここでは、燃焼ファン18の回転速度Rが所定の最低回転速度Ra(例えば300rpm)を超えているか否かが判定される。ここで「Yes」と判定されると、ステップS126において変数Tが「0」にリセットされ、タイマ割込処理が終了する。一方、燃焼ファン18の回転速度Rが最低回転速度Ra以下であれば、ステップS104において「No」と判定され処理はステップS108に進む。ここでは、変数Tが「1」だけインクリメントされる。このように、変数Tは、回転速度Rが最低回転速度Ra以下になった後、一回のタイマ割込毎に「1」づつインクリメントされるから、その状態が生じた以降の経過時間を表す変数になる。そこで、以下、変数Tのことを「経過時間T」と呼ぶことにする。
次に、処理がステップS110に進むと、経過時間Tが所定の最大許容時間Ta(例えば30秒)未満であるか否かが判定される。ここで「Yes」と判定されると本ルーチンは直ちに終了する。ここで、回転速度Rが最低回転速度Ra以下である状態が続くと、タイマ割込が発生する毎に経過時間Tがインクリメントされてゆき、やがて経過時間Tが最大許容時間Taに達する。すると、ステップS110にて「No」と判定され処理はステップS112に進む。これは、燃焼ファンエラーが確定したということであり、ステップS112では、表示部42に燃焼ファンエラーを示すエラーコードが表示されるとともに、当該エラーコードがフラッシュメモリ38に書き込まれる。次に、処理がステップS114に進むと、ステータスはST00(完全停止)に遷移する。
換言すると、上記ステップS112,S114により、CPU32は、オン操作(ユーザによる運転スイッチ40aの押下)が行われた後、燃油供給部(11,12,13)からポットバーナ1に対する燃油の供給が開始されていない期間内において、燃焼ファン18の回転速度が第1の回転速度(Ra)以下である状態が第1の許容時間(Ta)以上続いたときにポットバーナ1を強制停止させる第1の強制停止手段32a(図2参照)としての機能を有する。
ここで、再び図5を参照すると、時刻t0にオン操作が生じた後、暖房器具が正常動作している限り、燃焼ファン18の回転速度は常に1250rpm以上である。すると、最低回転速度Ra(300rpm)は、正常時の回転速度よりも相当に低い値である。また、最大許容時間Taも、比較的長い時間である「30秒」に設定されている。これは、特に燃焼ファン18の始動時には、軸受部の凍結やグリスの固化などにより、正常な動作範囲内であったとしても始動性が異なる場合があるためである。燃焼ファン18がスムーズに始動しない場合に、動作が正常であるのか否かについて正確な判定を可能にするため、最低回転速度Raおよび最大許容時間Taは余裕のある値に設定されている。
図4に戻り、ステータスST06(着火)〜ST14(消火冷却)においてタイマ割込が発生した場合の処理を説明する。この場合、タイマ割込が発生すると、処理はステップS102を介してS116に進む。ここでは、燃焼ファン18の回転速度Rが所定の最低回転速度Rbを超えているか否かが判定される。なお、本実施形態においては、最低回転速度Rbは上述の最低回転速度Raと等しく、例えば300rpmである。ステップS116において「Yes」と判定されると、ステップS26において変数Tが「0」にリセットされ、タイマ割込処理が終了する。一方、燃焼ファン18の回転速度Rが最低回転速度Rb以下であれば、ステップS116において「No」と判定され処理はステップS118に進む。ここでは、上述のステップS108と同様に、経過時間Tが「1」だけインクリメントされる。
次に、処理がステップS120に進むと、経過時間Tが最大許容時間Tb(例えば5秒)未満であるか否かが判定される。ここで「Yes」と判定されると本ルーチンは直ちに終了する。ここで、回転速度Rが引き続いて最低回転速度Rb以下である状態が続き、タイマ割込が繰り返される途中で経過時間Tが最大許容時間Tbに達すると、ステップS120にて「No」と判定され処理はステップS122に進む。これは、上述のステップS112と同様に燃焼ファンエラーが確定したということであり、ステップS122では、表示部42に燃焼ファンエラーを示すエラーコードが表示されるとともに、当該エラーコードがフラッシュメモリ38に書き込まれる。次に、処理がステップS124に進むと、ステータスはST20(対流冷却)に遷移する。
換言すると、上記ステップS122,S124により、CPU32は、燃油供給部(11,12,13)からポットバーナ1に対する燃油の供給が開始された後の期間内において、燃焼ファン18の回転速度が第2の回転速度(Rb)以下である状態が、第1の許容時間(Ta)よりも短い第2の許容時間(Tb)以上続いたときに燃油供給部(11,12,13)の動作を停止してポットバーナ1を強制停止させるとともに、対流ファン20を所定時間回転させる第2の強制停止手段32b(図2参照)としての機能を有する。
上述したように、ステータスST20では、電磁ポンプ11が停止されることにより、ポットバーナ1内が消火され、対流ファン20が所定時間、所定の回転速度で駆動される。そして、ステップS120で用いられる最大許容時間Tb(5秒)は、最大許容時間Ta(30秒)よりも相当に短い時間に設定されている。その理由を説明しておく。特に、ステータスST06(着火)〜ST12(本燃焼)では、電磁ポンプ11が燃油を吐出しているため、ポットバーナ1内が酸欠消火されていると、吐出された燃油が燃焼されないまま気化してゆくことになる。この気化燃油が次回に暖房器具を起動した際の爆燃の原因になるため、爆燃を抑制するためには気化燃油の量をできるだけ少なくしておく方が望ましいことが解る。そのためには、最大許容時間Tbを短くしておくことが望ましい。
一方、最大許容時間Tbを短くすると、一時的な要因によって燃焼ファン18の回転が阻害された際、暖房器具が自動停止する可能性が大きくなる。しかし、ステータスがST06(着火)以降に進んだということは、燃焼ファン18が始動した後に相当の時間が経過しているということであり、軸受部の凍結やグリスの固化などによる影響は小さくなっている。このため、最大許容時間Tbを短くしたとしても大きな支障は生じないものと考えられる。
次に、実際に燃焼ファンエラーが生じたときのタイムチャートの実例を図6に示す。図6において、時刻t0〜t3までの動作は、図5のものと同様である。但し、図6において、時刻t3から暫く経過した時刻t10において、何らかの原因により、燃焼ファン18が停止している(回転速度が0になっている)。上述のステップS120〜S124の処理により、この時刻t10から最大許容時間Tbすなわち5秒が経過した時刻t12において、ステータスはST20(対流冷却)に強制的に遷移させられる。すなわち、点火ヒータ7および電磁ポンプ11がオフ状態にされるとともに、対流ファン20の駆動が開始される。この場合の回転速度Rdは、正常動作時のステータスST10(強制中火力)における回転速度Rcよりも大きな値に設定される。これは、対流ファン20によってポットバーナ1の温度をできるだけ速やかに低下させるためである。
このように、本実施形態によれば、オン操作が行われた後、燃油供給部(11,12,13)からポットバーナ(1)に対する燃油の供給が開始されていない期間中において、燃焼ファン(18)の回転速度が第1の回転速度(Ra)以下である状態が第1の許容時間(Ta)以上続いたときにポットバーナ(1)を強制停止させる第1の強制停止手段(32,S112,S114)と、燃油供給部(11,12,13)からポットバーナ(1)に対する燃油の供給が開始された後の期間中において、燃焼ファン(18)の回転速度が第2の回転速度(Rb)以下である状態が、第1の許容時間(Ta)よりも短い第2の許容時間(Tb)以上続いたときに燃油供給部(11,12,13)の動作を停止してポットバーナ(1)を強制停止させる第2の強制停止手段(32,S122,S124)と、を有するから、ポットバーナ(1)に残留する気化燃油の量を削減することができ、次回の起動時に爆燃を抑制することができる。
[変形例]
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のように種々の変形が可能である。
(1)上記実施形態は本発明を暖房器具に適用した例を説明したが、本発明は暖房器具に限られず、ポット式燃焼器を用いた種々の装置に用いることができる。
(2)上記実施形態においては、各ステータスに適用される最低回転速度Ra,Rbは同一値(300rpm)であった。しかし、燃油の供給開始後に適用される最低回転速度RbはRaよりも高い値にしてもよく、例えば「Ra=300rpm,Rb=800rpm」の組み合わせを適用してもよい。この構成によれば、燃焼ファン18の回転速度が低下し始めた後、燃油供給部(11,12,13)の動作を停止させるまでの期間を一層短くすることができ、さらに爆燃を抑制することができる。
(3)上記実施形態において、最大許容時間Tb(5秒)は最大許容時間Ta(30秒)の「1/6」であった。しかし、両者の比は「1/6」に限られるものではなく、例えば「1/2」以下、「1/3」以下あるいは「1/6」以下にしてもよい。要するに、最大許容時間Tbが最大許容時間Taよりも短ければ、それだけ吐出油量を抑制できるから、爆燃を抑制することができる。
(4)図3〜図4に示した処理は、上記実施形態ではプログラムを用いたソフトウエア的な処理として説明したが、ASIC(Application Specific Integrated Circuit;特定用途向けIC)等を用いたハードウエア的な処理であってもよい。
1 ポットバーナ
2,3 一次、二次空気孔
4 空気室
5 外筒
6 整炎筒
7 点火ヒータ(ヒータ)
8 気化アミ
9 オイルレベラ
10 上蓋
11 電磁ポンプ(燃油供給部)
12 供給パイプ(燃油供給部)
13 噴射パイプ(燃油供給部)
14 保護筒
15 吸引ポンプ
16 フレームロッド
17 温度センサ
18 燃焼ファン
19 回転計
20 対流ファン
32 CPU
32a 第1の強制停止手段
32b 第2の強制停止手段
40a 運転スイッチ(操作手段)
100 ポット式燃焼器

Claims (4)

  1. 有底筒状に形成されたポットバーナと、
    前記ポットバーナに対して燃油を供給する燃油供給部と、
    前記ポットバーナの底部に設けられ、予熱および点火を行うヒータと、
    前記ポットバーナに対して空気を供給する燃焼ファンと、
    前記燃焼ファンの回転速度を検出する回転計と、
    ユーザによってオン操作が行われる操作手段と、
    前記オン操作が行われた後、前記燃油供給部から前記ポットバーナに対する燃油の供給が開始されていない期間内において、前記燃焼ファンの回転速度が第1の回転速度以下である状態が第1の許容時間以上続いたときに前記ポットバーナを強制停止させる第1の強制停止手段と、
    前記燃油供給部から前記ポットバーナに対する燃油の供給が開始された後の期間内において、前記燃焼ファンの回転速度が第2の回転速度以下である状態が、前記第1の許容時間よりも短い第2の許容時間以上続いたときに前記燃油供給部の動作を停止して前記ポットバーナを強制停止させる第2の強制停止手段と、
    を有することを特徴とするポット式燃焼器。
  2. 前記ポットバーナとの間に空気室を形成するように、該ポットバーナを囲う外筒と、
    外部の空気を対流させるとともに、前記外筒に送風する対流ファンと、
    をさらに有し、
    前記第2の強制停止手段は、前記ポットバーナを強制停止させる際に前記対流ファンを所定時間回転させるものである
    ことを特徴とする請求項1記載のポット式燃焼器。
  3. 前記第2の回転速度を前記第1の回転速度よりも高くした
    ことを特徴とする請求項1または2記載のポット式燃焼器。
  4. 有底筒状に形成されたポットバーナと、
    前記ポットバーナに対して燃油を供給する燃油供給部と、
    前記ポットバーナの底部に設けられ、予熱および点火を行うヒータと、
    前記ポットバーナに対して空気を供給する燃焼ファンと、
    前記燃焼ファンの回転速度を検出する回転計と、
    ユーザによってオン操作が行われる操作手段と、
    を有するポット式燃焼器に適用されるポット式燃焼器の制御方法であって、
    前記オン操作が行われた後、前記燃油供給部から前記ポットバーナに対する燃油の供給が開始されていない期間内において、前記燃焼ファンの回転速度が第1の回転速度以下である状態が第1の許容時間以上続いたときに前記ポットバーナを強制停止させる第1の強制停止過程と、
    前記燃油供給部から前記ポットバーナに対する燃油の供給が開始された後の期間内において、前記燃焼ファンの回転速度が第2の回転速度以下である状態が、前記第1の許容時間よりも短い第2の許容時間以上続いたときに前記燃油供給部の動作を停止して前記ポットバーナを強制停止させる第2の強制停止過程と、
    を有することを特徴とするポット式燃焼器の制御方法。
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