以下、本発明の建設機械の電源遮断装置の実施の形態を図面を用いて説明する。
図1乃至図6は本発明の建設機械の電源遮断装置の第1の実施の形態の構成を示すもので、図1は本発明の建設機械の電源遮断装置の第1の実施の形態を適用した油圧ショベルの側面図、図2は本発明の建設機械の電源遮断装置の第1の実施の形態の構成を示す電気回路図、図3は図2に示す本発明の建設機械の電源遮断装置の第1の実施の形態を構成する電源遮断スイッチの構造をオフ状態で示す概略図、図4は図2に示す本発明の建設機械の電源遮断装置の第1の実施の形態を構成する電源遮断スイッチの構造をオン状態で示す概略図、図5は図3に示す本発明の建設機械の電源遮断装置の第1の実施の形態を構成するロック機構の構造を示す概略図、図6は本発明の建設機械の電源遮断装置の第1の実施の形態を構成するマシンコントローラの機能を示すブロック図である。
図1において、油圧ショベル1は、走行体2と、走行体2上に旋回可能に搭載された旋回体3と、旋回体3の前側に俯仰可能に装設した作業フロント4とを備えている。
走行体2は、トラックフレーム5と、トラックフレーム5の後端(図1の左側)に回転可能に支持された駆動輪6と、トラックフレーム5の前端(図1の右側)に回転可能に支持された遊動輪7と、駆動輪6と遊動輪7とに掛け回された履帯8とを備えている。
旋回体3は、走行体2上に旋回可能に搭載した旋回フレーム9と、旋回フレーム9の左前側(図1の紙面奥右側)に設けられ、オペレータが操作を行う運転室10と、旋回フレーム9の後側に設けられ、エンジン11や油圧ポンプ12等の機器を収納する機械室13と、旋回フレーム9の後端部に設けたカウンターウェイト14とを備えている。
作業フロント4は、ブームシリンダ15aにより俯仰可能に旋回体3に連結されたブーム15と、アームシリンダ16aにより回動可能にブーム15に連結されたアーム16と、バケットシリンダ17aにより回動可能にアーム16の先端に連結されたバケット17とを備えている。
次に、本発明の建設機械の電源遮断装置の第1の実施の形態の構成を図2を用いて説明する。なお、図2において、図1に示す符号と同符号のものは、同一部分であるので、その詳細な説明は省略する。
図2に示す電気回路は、バッテリ21と、バッテリ21のプラス端子21aに接続されたキースイッチ22と、バッテリ21のマイナス端子21bに接続された電源遮断スイッチ30と、各種電装機器とを備えている。
例えば、バッテリ21のプラス端子21aには、キースイッチ22を介して、メモリ23aを有する装置23(例えば、空調装置や音響装置)及びエンジン始動装置24が接続されている。また、バッテリ21のプラス端子21aには、装置23のメモリ23a、エンジンコントローラ26、及びマシンコントローラ50がキースイッチ22を介さずに直接接続されている。装置23、エンジン始動装置24、装置23のメモリ23a、エンジンコントローラ26、及びマシンコントローラ50は、電源遮断スイッチ30を介してバッテリ21のマイナス端子21bに接続されている。装置23には、スイッチ27が別途設けられている。各種電装機器23、23a、24、26、50には、バッテリ21から電力が供給される。
キースイッチ22は、装置23及びエンジン始動装置24と、バッテリ21とを接続または遮断するスイッチである。また、装置23のメモリ23a、エンジンコントローラ26、マシンコントローラ50の起動及び停止を指令するスイッチでもある。キースイッチ22のオン操作及びオフ操作により、オン信号及びオフ信号がそれぞれ図示しない回路を介して装置23のメモリ23a、エンジンコントローラ26、及びマシンコントローラ50に出力される。キースイッチ22は、また、エンジン11の始動及び停止を指示するスイッチでもあり、図示しないスタート位置への操作でエンジン始動装置24によりエンジン11(図2では図示せず)が始動する。
電源遮断スイッチ30は、作業者等の手動操作により、各種電装機器23、23a、24、26、50と、バッテリ21とを接続または遮断するものである。電源遮断スイッチ30には、電源遮断スイッチ30をオン位置(接続状態)に保持するロック機構40が設けられている。
装置23のメモリ23a、エンジンコントローラ26、及びマシンコントローラ50は、キースイッチ22を介さずにバッテリ21に直接接続されており、キースイッチ22がオフ操作されても電源供給を遮断されず、キースイッチ22のオフ操作による作動停止の際に、データのバックアップを行うように構成されている。
エンジンコントローラ26は、各種センサ類(図示せず)の検出信号等に基づいてエンジン11を運転制御する。
マシンコントローラ50は、CANを介してエンジンコントローラ26に接続されており、エンジン11の運転状態に関する情報、例えば、エンジン回転数や燃料噴射量等を取り込んでいる。CANとは、Controller Area Networkの略称であって、車載向けの多重通信に使用されるリアルタイム・アプリケーション向けのシリアル通信をいう。マシンコントローラ50は、エンジンコントローラ26からの情報や各種センサ類(図示せず)の検出信号等に基づいて油圧ショベル1(図1参照)のシステム全体を制御する。また、ロック機構40に電気的に接続されており、ロック機構40の制御手段として機能する。
次に、本発明の建設機械の電源遮断装置の第1の実施の形態を構成する電源遮断スイッチ及びロック機構の構成の詳細を図3乃至図5を用いて説明する。なお、図3乃至図5において、図1及び図2に示す符号と同符号のものは、同一部分であるので、その詳細な説明は省略する。
図3及び図4において、電源遮断スイッチ30は、電気回路の素子に接続される固定接点31と、固定接点31に対して接離する可動接点32と、回動操作により可動接点32を固定接点31に対してオン(接続)位置とオフ(遮断)位置とに切り換える操作レバー33と、操作レバー33の大部分を収納する円筒状のケース34とを備えている。操作レバー33は、一端部に可動接点32を固定した操作ロッド35と、操作ロッド35の他端部に設けたつまみ部36と、操作ロッド35の長手方向中央部から操作ロッド35に対して垂直方向に突出する突起部37とを有している。ケース34には、周方向に対して斜めに延びるガイド孔34aが設けられている。すなわち、ガイド孔34aの一方の端部は、他方の端部より可動接点32側に寄っている。ガイド孔34aには、操作レバー33の突起部37がケース34の外周面から突出した状態で摺動可能に係合されている。つまり、ケース34は、操作レバー33を回動可能かつ操作ロッド35の長手方向に移動可能に支持している。
電源遮断スイッチ30は、図3に示すように、操作レバー33の突起部37がケース34のガイド孔34aにおけるつまみ部36側の端部に位置するときに、可動接点32がオフ状態になるように構成されている。また、図4に示すように、突起部37がガイド孔34aにおける可動接点32側の端部に位置するときに、可動接点32がオン状態になるように構成されている。
電源遮断スイッチ30には、図3乃至図5に示すように、ロック機構40が設けられている。ロック機構40は、ケース34の外周面におけるガイド孔34aの可動接点32側の端部近傍に回転ピン41を介して回動可能に設けられたロック片42と、ロック片42に設けられた磁石又は強磁性体からなる回動規制部材43と、ロック片42の近傍に設けられ、マシンコントローラ50(図2参照)から出力される後述のロック指令信号により励磁されて回動規制部材43を吸引する電磁石44とを備えている。ロック片42は、例えば、平面視略L字状の板状部材である。ロック片42は、図3に示すように、突起部37がガイド孔34aのつまみ部36側に位置するときに、その一辺部42aがガイド孔34aを横切り、図4に示すように、突起部37がガイド孔34aの可動接点32側の端部に位置するときに、その他辺部42bが突起部37の移動を規制可能な位置でガイド孔34aを横切るように構成されている。
次に、本発明の建設機械の電源遮断装置の第1の実施の形態を構成する電源遮断スイッチ及びロック機構の動作を図3乃至図5を用いて説明する。
電源遮断スイッチ30は、図3に示すように、操作レバー33の突起部37がケース34のガイド孔34aにおけるつまみ部36側の端部に位置するとき、オフ状態にある。このとき、ロック機構40は、ロック片42の一辺部42aがガイド孔34aを横切る方向を、他辺部42bがガイド孔34aのつまみ部36側を向いている。
この状態から、図4に示すように、電源遮断スイッチ30のつまみ部33を矢印方向Aに回動操作すると、この回動に伴い操作ロッド32及び突起部37も矢印方向Aに回動する。このとき、突起部37は、周方向に対して斜めに延びるガイド孔34aに摺動しながらつまみ部36側から可動接点32側に移動する。この突起部37の可動接点32側への移動に連動して、操作ロッド35が可動接点32側(矢印B側)に変位し、操作ロッド35に固定された可動接点32が固定接点31に接触する。すなわち、電源遮断スイッチ30は、操作レバー33の矢印方向Aへの回動操作により、オン位置に切り換えられる。
電源遮断スイッチ30のオフ位置からオン位置への切換時に、突起部37は、ロック機構40のロック片42の一辺部42aに接触してロック片42を回動させる。これにより、ロック片42の他辺部42bは、突起部37よりもガイド孔34aのつまみ部36側の位置において、ガイド孔34aを横切る状態になる。つまり、ロック片42は、可動接点32が接続位置のときに、突起部37の移動を規制する規制位置に回動した状態となる。
この状態で、図5に示すように、ロック機構40の電磁石44を励磁すると、ロック機構40の回動規制部材43が電磁石44の電磁力により吸引され、ロック片42の回動が規制される。このため、図4に示す矢印方向Aとは逆方向につまみ部36を回動操作しても、ロック片42により、突起部37の移動が規制される。すなわち、電源遮断スイッチ30は、ロック機構40によりオン位置に保持される。
一方、電磁石44を非励磁状態にすると、回動規制部材43に電磁力が作用しないので、ロック片42は回動可能な状態になる。この状態でつまみ部33を同様に回動操作すると、突起部37は、ロック片42を突起部37の移動を規制する規制位置から突起部37の移動の規制を解除する規制解除位置(ロック片42の一辺部42aが、突起部37よりもガイド孔34aの可動接点32側の位置において、ガイド孔34aを横切る状態)に回動して、ガイド孔34aのつまみ部36側に移動する。このように、電源遮断スイッチ30のオン位置でのロック状態は解除され、電源遮断スイッチ30をオフ位置に切り換えることができる。
次に、本発明の建設機械の電源遮断装置の第1の実施の形態を構成するマシンコントローラの機能を図6を用いて説明する。なお、図6において、図1乃至図5に示す符号と同符号のものは、同一部分であるので、その詳細な説明は省略する。
図6において、マシンコントローラ50は、各種信号を取り込む入力部51と、キースイッチ22のオフ操作からの経過時間T1を計測する時間計測部52と、予め設定した設定時間を記憶する記憶部53と、各種信号の有無の判断や経過時間と設定時間との比較判断等を行う演算部54と、演算部54の判断に基づきロック機構40を作動させるロック指令信号(励磁電流)をロック機構40へ出力する出力部55とを備えている。
入力部51には、キースイッチ22のオン信号・オフ信号やエンジンコントローラ26からのエンジン11の運転状態に関する情報、例えば、エンジン回転数等が入力される。
記憶部53には、装置23のメモリ23a、エンジンコントローラ26、及びマシンコントローラ50(データのバックアップを行う電装機器)がデータのバックアップを終了して電源供給の遮断可能な状態であるか否かを判断するために、時間計測部52により計測した経過時間T1と比較する設定時間t1が予め記憶されている。設定時間t1は、例えば、30秒であり、これらの電装機器23a、26、50がデータのバックアップを終了して電源供給の遮断可能な状態となる時間より長い時間に設定される。
演算部54は、後述するように、キースイッチ22がオン(起動)操作又はオフ(停止)操作された場合に、ロック指令信号の出力を指令する。
また、キースイッチのオン操作後に、エンジンコントローラ26からのエンジン回転数が規定値以上か否かでエンジン11が始動したか否かを判断する。エンジン11が始動したと判断した場合に、ロック指令信号の出力停止を指令する。
さらに、キースイッチのオフ操作後に、時間計測部52で計測した経過時間T1と記憶部53に記憶された設定時間t1とを比較することで、装置23のメモリ23a、エンジンコントローラ26、及びマシンコントローラ50(データのバックアップを行う電装機器)が全てデータのバックアップを終了して電源供給の遮断可能な状態であるか否かを判断する。これらの電装機器23a、26、50が全てデータのバックアップを終了して電源供給の遮断可能な状態であると判断した場合に、ロック指令信号の出力停止を指令する。
次に、本発明の建設機械の電源遮断装置の第1の実施の形態の動作を図2及び図5、並びに、図7及び図8のフローチャート図を用いて説明する。
図7は本発明の建設機械の電源遮断装置の第1の実施の形態を構成するマシンコントローラのキーオフ操作時における制御内容の一例を示すフローチャート図、図8は本発明の建設機械の電源遮断装置の第1の実施の形態を構成するマシンコントローラのキーオン操作時における制御内容の一例を示すフローチャート図である。なお、図7及び図8において、図1乃至図6に示す符号と同符号のものは、同一部分であるので、その詳細な説明は省略する。
先ず、本発明の建設機械の電源遮断装置の第1の実施の形態におけるエンジン作動中でのキースイッチのオフ操作後の動作を図2及び図5、並びに、図7のフローチャート図を用いて説明する。
エンジン作動中、図2に示すキースイッチ22及び電源遮断スイッチ30はオン状態であり、各種電装機器23、23a、24、26、50は、バッテリ21から電力供給されている。
この状態において、キースイッチ22がオフ(停止)操作されると、エンジン11が停止すると共に、装置23及びエンジン始動装置24が電源供給を遮断される。一方、装置23のメモリ23a、エンジンコントローラ26、及びマシンコントローラ50は、バッテリ21からの電力供給が維持されており、データのバックアップを開始する。
また、図7に示すように、キースイッチ22がオフ操作されると(ステップ11)、マシンコントローラ50は、キースイッチ22のオフ信号に基づいて、ロック指令信号(励磁電流)のロック機構40への出力を開始する(ステップ12)。このロック指令信号により、図5に示すロック機構40の電磁石44が通電すると、ロック機構40のロック片42の回動が規制され、電源遮断スイッチ30はオン位置に保持される。
ロック指令信号を出力すると同時に、マシンコントローラ50は、時間計測部52がカウントを開始する(ステップ13)。具体的には、キースイッチ22のオフ信号に基づいて、キースイッチ22のオフ操作からの経過時間T1を計測する。
次に、マシンコントローラ50は、装置23のメモリ23a、エンジンコントローラ26、及びマシンコントローラ50自身(データのバックアップを行う電装機器)がデータのバックアップを終了して電源供給の遮断可能な状態であるか否かを判断する(ステップ14)。具体的には、時間計測部52で計測した経過時間T1と記憶部53に予め記憶された設定時間t1とを比較することで判断する。
ステップ14において、経過時間T1が設定時間t1より小さい場合には、電源供給の遮断可能な状態でない(NO)と判断して、ステップ14に戻って電源供給の遮断可能な状態か否かを判断する。電源供給の遮断可能な状態になるまで、この処理を繰り返す。このとき、マシンコントローラ50は、ロック機構40へのロック指令信号の出力を継続する。このことにより、ロック機構40による電源遮断スイッチ30のオン位置でのロック状態が維持される。
一方、ステップ14において、経過時間T1が設定時間t1より大きい場合には、これらの電装機器23a、26、50が全てデータのバックアップを終了して電源供給の遮断可能な状態である(YES)と判断して、ロック機構40へのロック指令信号の出力を停止する(ステップ15)。このことにより、図5に示す電磁石44が非通電状態となり、ロック片42の回動規制が解除されて、ロック機構40による電源遮断スイッチ30のオン位置でのロック状態が解除される。
図7に戻り、その後、マシンコントローラ50は、自身の作動を停止し(ステップ16)、ロック機構40への制御を終了する。この状態において、作業者等の手動操作により電源遮断スイッチ30をオフ位置に切り換えると、各種電装機器23、23a、24、26、50への電源供給が遮断され、暗電流による電力消費が防止される。
このように、エンジン11の作動中にキースイッチ22がオフ操作されると、装置23のメモリ23a、エンジンコントローラ26、及びマシンコントローラ50のデータのバックアップ中、ロック機構40により電源遮断スイッチ30をオン位置に保持するので、電源遮断スイッチ30をオフ位置に切り換えることができず、これら電装機器23a、26、50への電源供給が遮断されることがない。
次に、本発明の建設機械の電源遮断装置の第1の実施の形態におけるキースイッチのオン操作後の動作を図2、並びに、図7及び図8のフローチャート図を用いて説明する。
図2に示すキースイッチ22がオフ状態で、電源遮断スイッチ30がオン状態である場合には、装置23のメモリ23a、エンジンコントローラ26、マシンコントローラ50に電力が供給されて、暗電流により電力が消費されている。一方、装置23やエンジン始動装置24への電源供給が遮断されている。
この状態において、図8に示すように、キースイッチ22がオフからオン(起動)操作されると(ステップ21)、マシンコントローラ50にキースイッチ22のオン信号が入力され、マシンコントローラ50が起動する(ステップ22)。同時に、キースイッチ22のオン信号に基づいて、装置23のメモリ23aやエンジンコントローラ26も起動する。また、電源供給が遮断されていたエンジン始動装置24に電力が供給され、装置23にもスイッチ27をオン操作することにより電力が供給される。このように、エンジン始動の準備状態になる。
マシンコントローラ50は、キースイッチ22のオン信号に基づいて起動を完了すると、ロック指令信号のロック機構40への出力を開始する(ステップ23)。このことにより、ロック機構40は、電源遮断スイッチ30をオン位置に保持する。
次に、マシンコントローラ50は、エンジン11が始動した否かを判断する(ステップ24)。具体的には、CANを介してエンジンコントローラ26から取り込んだエンジン回転数が規定値以上か否かで判断する。エンジン回転数が規定値以上の場合には、エンジン11が始動した(YES)と判断して、ステップ25に進む。それ以外の場合には、ステップ26に進む。
ステップ24において、キースイッチ22の図示しないスタート位置への操作によりエンジン11が始動すると、マシンコントローラ50は、エンジン11が始動した(YES)と判断して、ロック機構40へのロック指令信号の出力を停止し(ステップ25)、ロック機構40への制御を終了する。このことにより、ロック機構40による電源遮断スイッチ30のオン位置でのロック状態が解除される。
一方、ステップ24において、エンジン11が始動していない(NO)と判断した場合には、マシンコントローラ50は、キースイッチ22がオフ操作されたか否かを判断する(ステップ26)。キースイッチ22がオフ操作された(YES)と判断した場合には、前述した図7に示すフローチャート図のステップ12に進む。それ以外の場合には、ステップ24に戻る。
ステップ26において、キースイッチ22がオフ操作されていない(NO)と判断した場合には、ステップ24に戻り、エンジン11が始動した否かを判断する。エンジン11を始動させずに、キースイッチ22をオン状態に維持する場合には、これらステップ24、26の処理を繰り返す。このとき、マシンコントローラ50は、ロック機構40へのロック指令信号の出力を継続する。このことにより、ロック機構40による電源遮断スイッチ30のオン位置でのロック状態が維持される。
一方、ステップ26において、キースイッチ22がオフ操作された(YES)と判断した場合には、図7に示すフローチャート図のステップ12に進み、マシンコントローラ50は、ロック機構40へのロック指令信号の出力を継続する。このとき、キースイッチ22のオフ操作により、装置23のメモリ23a、エンジンコントローラ26、及びマシンコントローラ50は、データのバックアップを開始する。
次に、前述のエンジン作動中でのキースイッチ22のオフ操作後の動作と同様に、ステップ13〜ステップ16を実行する。すなわち、電装機器23a、26、50のデータのバックアップ処理中、ロック機構40により電源遮断スイッチ30をオン位置に保持する。このため、電源遮断スイッチ30をオフ位置に切り換えることができず、これらの電装機器23a、26、50は、そのデータのバックアップ処理中に、電源供給を遮断されることがない。
このように、エンジン11を始動させずに、キースイッチ22をオン状態に維持した場合には、電源遮断スイッチ30のオン位置でのロック状態を維持することにより、電源遮断スイッチ30が不用意にオフ位置に切り換えられることを防止している。このため、電装機器23a、26、50の作動中に電源供給が遮断されることがない。
また、エンジン作動中は、電源遮断スイッチ30のロック状態を解除している。このため、エンジン11の作動中にロック指令信号(励磁電流)の出力を継続する必要がなく、ロック機構40の電磁石44での電力消費が削減される。一方、電源遮断スイッチ30のロック状態を解除してしまうと、電源遮断スイッチ30をオフ位置に切換可能であり、マシンコントローラ50等の作動中に電源供給が遮断される虞がある。しかし、エンジン11の作動中は、オペレータ等が電源遮断スイッチ30を誤ってオフ位置に操作する可能性は低いので、電力消費の削減を優先している。
上述したように、本発明の建設機械の電源遮断装置の第1の実施の形態によれば、電装機器23a、26、50のデータのバックアップ中、ロック機構40により電源遮断スイッチ30を接続状態に保持するので、電装機器23a、26、50のデータのバックアップ中での電源遮断スイッチ30による電源供給の遮断を防止することができる。この結果、電装機器23a、26、50のデータのバックアップ中における電源供給の遮断により生じる不具合及び故障を防止することができる。
また、本実施の形態によれば、エンジン作動中は、ロック機構40による電源遮断スイッチ30のロック状態を解除するので、エンジン作動中にロック指令信号(励磁電流)の出力を継続する必要がなく、ロック機構40での電力消費を削減できる。この結果、バッテリ21の消費電力を低減できる。
次に、本発明の建設機械の電源遮断装置の第2の実施の形態を図9乃至図12を用いて説明する。
図9乃至図10は本発明の建設機械の電源遮断装置の第2の実施の形態の構成を示すもので、図9は本発明の建設機械の電源遮断装置の第2の実施の形態の構成を示す電気回路図及びSCRシステムの構成図、図10は本発明の建設機械の電源遮断装置の第2の実施の形態を構成する尿素水コントローラの機能を示すブロック図である。なお、図9及び図10において、図1乃至図8に示す符号と同符号のものは、同一部分であるので、その詳細な説明は省略する。
本発明の建設機械の電源遮断装置の第2の実施の形態は、第1の実施の形態の構成にSCRシステム60を追加したものである。さらに、本実施の形態は、第1の実施の形態がマシンコントローラ50でロック機構40を制御するものであるのに対して、SCRシステム60を制御する尿素水コントローラ70でロック機構40を制御するものである。
具体的には、図9において、エンジン11(図9では図示せず)から排出される窒素酸化物(NOx)を尿素水で浄化するSCRシステム60を更に備えている。SCRシステム60は、エンジン11の排気管(図示せず)に設けられ、排ガスを浄化する後処理装置61と、後処理装置61に設けられた尿素水噴射弁62と、尿素水噴射弁62に尿素水供給配管63を介して接続され、尿素水を貯蔵する尿素水タンク64と、尿素水供給配管63中に設けられ、正逆のいずれの方向にも回転可能な尿素水ポンプ65とを備えている。
SCRシステム60は、尿素水ポンプ65で加圧した尿素水を尿素水噴射弁62により後処理装置61内に噴射し、この尿素水から生成されたアンモニアを用いて排ガス中の窒素酸化物を還元反応させて水と窒素とに分解するものである。SCRシステム60では、エンジン11の停止時に、尿素水供給配管63内や尿素水噴射弁62に残留した尿素水を尿素水ポンプ65により逆流させて尿素水タンク64に回収することで、残留尿素水の凍結による尿素水供給配管63や尿素水噴射弁62の破損等を防止している。
尿素水噴射弁62及び尿素水ポンプ65には、尿素水の噴射制御やエンジン停止時の尿素水の回収制御を行う尿素水コントローラ70が接続されている。尿素水コントローラ70は、CANを介してエンジンコントローラ26に接続されており、エンジン11の運転状態に関する情報、例えば、エンジン回転数や燃料噴射量等を取り込んでいる。尿素水コントローラ70は、また、ロック機構40に電気的に接続されており、ロック機構40の制御手段として機能する。
尿素水ポンプ65及び尿素水コントローラ70は、バッテリ21のプラス端子21aにキースイッチ22を介さずに直接接続されている。また、バッテリ21のマイナス端子21bに電源遮断スイッチ30を介して接続されている。
尿素水コントローラ70は、キースイッチ22により起動及び停止が指令される。また、キーキースイッチ22がオフ操作されても電源供給を遮断されず、キースイッチ22のオフ操作による作動停止の際にデータのバックアップを行う。
次に、本発明の建設機械の電源遮断装置の第2の実施の形態を構成する尿素水コントローラの機能を図10を用いて説明する。
図10において、尿素水コントローラ70は、各種信号を取り込む入力部71と、キースイッチ22のオフ操作からの経過時間T2を計測する時間計測部72と、予め設定した各種設定時間を記憶する記憶部73と、各種信号の有無の判断や経過時間と設定時間との比較判断等を行う演算部74と、演算部74の判断に基づき、ロック機構40、尿素水噴射弁62、尿素水ポンプ65をそれぞれ制御する各種信号を出力する出力部75とを備えている。
入力部71には、キースイッチ22のオン信号・オフ信号やエンジンコントローラ26からのエンジン11の運転状態に関する情報、例えば、エンジン回転数等が入力される。
記憶部73には、尿素水供給配管63内に残留した尿素水の尿素水タンク64への回収作業を完了したか否かを判断するために、時間計測部72により計測した経過時間T2と比較する設定時間t2が予め記憶されている。設定時間t2は、例えば、150秒であり、残留尿素水の尿素水タンク64への回収作業を完了するのに必要な時間より長い時間に設定される。尿素水回収の作業時間は、装置23のメモリ23a、エンジンコントローラ26、マシンコントローラ50がデータのバックアップを終了してその作動を停止する時間より長く、設定時間t2は、前述した設定時間t1より長い時間に設定されている。このため、残留尿素水の回収作業を完了した場合には、装置23のメモリ23a、エンジンコントローラ26、マシンコントローラ50がデータのバックアップを終了して電源供給の遮断可能な状態であると判断することができる。
また、SCRシステムが稼動せずにキースイッチ22がオフ操作された場合に、装置23のメモリ23a、エンジンコントローラ26、マシンコントローラ50、及び尿素水コントローラ70(データのバックアップを行う電装機器)が全てデータのバックアップを終了して電源供給の遮断可能な状態であるか否かを判断するために、時間計測部72により計測した経過時間T2と比較する設定時間t3が予め記憶されている。設定時間t3は、例えば、30秒であり、前述した設定時間t1と同様に、これらの電装機器23a、26、50、70がデータのバックアップを終了して電源供給の遮断可能な状態となる時間より長い時間に設定される。
演算部74は、後述するように、キースイッチ22がオン(起動)操作又はオフ(停止)操作された場合に、ロック指令信号の出力を指令する。
また、キースイッチのオン操作後に、エンジンコントローラ26からのエンジン回転数が規定値以上か否かでエンジン11が始動したか否かを判断する。エンジン11が始動したと判断した場合に、ロック指令信号の出力停止を指令する。
また、SCRシステム60が稼動した後にキースイッチ22がオフ操作された場合に、残留尿素水の回収作業の制御を開始する。具体的には、尿素水噴射弁62の開口指令信号及び尿素水ポンプ65の逆回転指令信号の出力を指令する。さらに、時間計測部72で計測した経過時間T2と記憶部73に記憶された設定時間t2とを比較することで、残留尿素水の回収作業を完了したか否かを判断する。残留尿素水の回収作業が完了したと判断した場合に、残留尿素水の回収作業の制御を終了する。具体的には、尿素水噴射弁62の閉口指令信号及び尿素水ポンプ65の停止指令信号の出力を指令する。加えて、残留尿素水の回収作業の制御終了により、装置23のメモリ23a、エンジンコントローラ26、マシンコントローラ50、及び尿素水コントローラ70(データのバックアップを行う電装機器)が全てデータのバックアップを終了して電源供給の遮断可能な状態であると判断し、ロック指令信号の出力停止を指令する。
また、SCRシステム60が稼動せずにキースイッチ22がオフ操作された場合に、時間計測部72で計測した経過時間T2と記憶部73に記憶された設定時間t3とを比較することで、上述の電装機器23a、26、50、70が全てデータのバックアップを終了して電源供給の遮断可能な状態であるか否かを判断する。これらの電装機器23a、26、50、70が全てデータのバックアップを終了して電源供給の遮断可能な状態であると判断した場合に、ロック指令信号の出力停止を指令する。
出力部75は、演算部74からのロック指令信号をロック機構40に出力する。また、演算部74からの開口指令信号及び閉口指令信号を尿素水噴射弁62に、演算部74からの逆回転指令信号及び停止指令信号を尿素水ポンプ65に出力する。
次に、本発明の建設機械の電源遮断装置の第2の実施の形態の動作を図11及び図12のフローチャート図を用いて説明する。本実施の形態は、第1の実施の形態がマシンコントローラ50でロック機構40を制御するものであるのに対して、尿素水コントローラ70でロック機構40を制御するものである。
図11は本発明の建設機械の電源遮断装置の第2の実施の形態を構成する尿素水コントローラのキーオン操作時における制御内容の一例を示すフローチャート図、図12は本発明の建設機械の電源遮断装置の第2の実施の形態を構成する尿素水コントローラのキーオフ操作時における制御内容の一例を示すフローチャート図である。なお、図11及び図12において、図1乃至図10に示す符号と同符号のものは、同一部分であるので、その詳細な説明は省略する。
先ず、本発明の建設機械の電源遮断装置の第2の実施の形態におけるエンジン作動中でのキースイッチのオフ操作時の動作を図11を用いて説明する。
図11において、エンジン作動中にキースイッチ22がオフ(停止)操作されると(ステップ31)、尿素水コントローラ70は、ロック指令信号のロック機構40への出力を開始する(ステップ32)。このことにより、ロック機構40は、電源遮断スイッチ30をオン位置に保持する。同時に、尿素水コントローラ70の時間計測部72がカウントを開始し、キースイッチ22のオフ操作からの経過時間T2を計測する(ステップ33)。このとき、キースイッチ22のオフ操作により、装置23のメモリ23a、エンジンコントローラ26、マシンコントローラ50、尿素水コントローラ70は、データのバックアップを開始する。
次に、尿素水コントローラ70は、キースイッチ22がオン操作されてからオフ操作されるまでの間に、SCRシステム60が稼動したか否かを判断する(ステップ34)。具体的には、その間に、尿素水噴射弁62や尿素水ポンプ65が作動したか否かで判断する。SCRシステム60が稼動した(YES)と判断した場合には、ステップ35に進み、それ以外の場合には、ステップ40に進む。
エンジン稼働中、通常SCRシステム60が稼動するので、ステップ34において、SCRシステム60が稼動した(YES)と判断し、尿素水コントローラ70は、残留尿素水の回収作業の制御を開始する(ステップ35)。具体的には、尿素水噴射弁62に開口指令信号を出力し、その後、尿素水ポンプ65に逆回転指令信号を出力する。このことにより、尿素水噴射弁62が開口した後、尿素水ポンプ65が逆方向に回転駆動し、尿素水噴射弁62及び尿素水供給配管63内の残留尿素水が尿素水タンク64に回収される。
次に、尿素水コントローラ70は、残留尿素水の回収を完了したか否かを判断する。(ステップ36)。具体的には、時間計測部72で計測した経過時間T2と記憶部73に記憶された設定時間t2とを比較することにより判断する。
ステップ36において、経過時間T2が設定時間t2より小さい場合には、残留尿素水の回収を完了していない(NO)と判断して、ステップ36に戻り、残留尿素水の回収を完了するまでこの処理を繰り返し、残留尿素水の回収作業の制御を継続する。
一方、ステップ36において、経過時間T2が設定時間t2より大きい場合には、残留尿素水の回収を完了した(YES)と判断して、尿素水コントローラ70は、尿素水の回収作業の制御を終了する(ステップ37)。具体的には、尿素水ポンプ65に停止指令信号を出力し、その後、尿素水噴射弁62に閉口指令信号を出力する。このことにより、尿素水ポンプ65が停止した後、尿素水噴射弁62が閉口する。このように、所定の時間、尿素水供給配管63内等に残留した尿素水の尿素水タンク64への回収作業が行われるので、エンジン停止時の残留尿素水の凍結による尿素水供給配管63の破損等が防止される。
設定時間t2は、装置23のメモリ23a、エンジンコントローラ26、マシンコントローラ50がデータのバックアップを終了してその作動を停止する時間より長い時間に設定されている。このため、尿素水の回収作業の制御を終了したときには、尿素水コントローラ70以外のデータのバックアップを行う電装機器23a、26、50は、その作動を停止している。また、尿素水の回収作業の制御を終了した尿素水コントローラ70は、データのバックアップを完了して電源供給の遮断可能な状態となっている。
次に、尿素水コントローラ70は、残留尿素水の回収作業の制御終了により、装置23のメモリ23a、エンジンコントローラ26、マシンコントローラ50、及び尿素水コントローラ70自身(データのバックアップを行う電装機器)が全てデータのバックアップを終了して電源供給の遮断可能な状態であると判断し、ロック指令信号のロック機構40への出力を停止する(ステップ38)。このことにより、ロック機構40による電源遮断スイッチ30のオン位置でのロック状態が解除される。その後、尿素水コントローラ70は、自身の作動を停止し(ステップ39)、制御を終了する。
このように、SCRシステム60の稼動後にキースイッチ22がオフ操作された場合には、残留尿素水の回収作業を行い、この作業中、ロック機構40によって電源遮断スイッチ30をオン位置に保持し、作業終了後に電源遮断スイッチ30のロック状態を解除している。このため、残留尿素水の回収作業中に、電源遮断スイッチ30をオフ位置に切り換えることができず、上述の電装機器23a、26、50、70は、これらの作動中に電源供給を遮断されることがない。
次に、本発明の建設機械の電源遮断装置の第2の実施の形態におけるキースイッチのオン操作時の動作を図11及び図12を用いて説明する。
図12において、キースイッチ22がオフからオン(起動)操作されると(ステップ51)、尿素水コントローラ70は、前述した第1の実施の形態におけるマシンコントローラ50によるロック機構40の制御の場合と同様なステップを実行する。
すなわち、キースイッチ22のオン信号に基づいて、尿素水コントローラ70が起動し(ステップ52)、ロック指令信号のロック機構40への出力を開始する(ステップ53)。このことにより、ロック機構40は、電源遮断スイッチ30をオン位置に保持する。次に、尿素水コントローラ70は、エンジン11が始動した否かを判断する(ステップ54)。
ステップ54において、エンジン11が始動した(YES)と判断した場合には、ロック指令信号のロック機構40への出力を停止し(ステップ55)、ロック機構40の制御を終了する。このことにより、ロック機構40による電源遮断スイッチ30のオン位置でのロック状態が解除される。
一方、ステップ54において、エンジン11が始動していない(NO)と判断した場合には、尿素水コントローラ70は、キースイッチ22がオフ操作されたか否かを判断する(ステップ56)。キースイッチ22がオフ操作されたと(YES)判断した場合には、前述した図11に示すフローチャート図のステップ32に進む。それ以外の場合には、ステップ54に戻る。
ステップ56において、キースイッチ22がオフ操作されていない(NO)と判断した場合には、ステップ54に戻る。エンジン11を始動させず、キースイッチ22をオン状態に維持する場合には、これらステップ54、56の処理を繰り返す。このとき、尿素水コントローラ70は、ロック機構40へのロック指令信号の出力を継続する。このことにより、ロック機構40による電源遮断スイッチ30のオン位置でのロック状態が維持される。
一方、ステップ56において、キースイッチ22がオフ操作された(YES)と判断した場合には、図11に示すフローチャート図のステップ32に進み、ロック機構40へのロック指令信号の出力を継続する。このとき、キースイッチ22のオフ操作により、装置23のメモリ23a、エンジンコントローラ26、及びマシンコントローラ50、尿素水コントローラ70は、データのバックアップを開始する。
次に、尿素水コントローラ70は、前述した図11に示すフローチャート図のステップ33、ステップ34を順に実行する。この場合、キースイッチ22のオン操作後にエンジン11を始動させずにキースイッチ22をオフ操作したので、SCRシステム60は稼動していない。このため、ステップ34において、SCRシステム60が稼動していない(NO)と判断し、装置23のメモリ23a、エンジンコントローラ26、マシンコントローラ50、及び尿素水コントローラ70(データのバックアップを行う電装機器)がデータのバックアップを終了して電源供給の遮断可能な状態であるか否かを判断する(図11に示すフローチャート図のステップ40)。具体的には、時間計測部72で計測した経過時間T2と記憶部73に記憶された設定時間t3とを比較することで判断する。
ステップ40において、経過時間T2が設定時間t3より小さい場合には、これら電装機器23a、26、50、70が電源供給の遮断可能な状態でない(NO)と判断して、ステップ40に戻り、電源供給の遮断可能な状態になるまで、この処理を繰り返す。このとき、尿素水コントローラ70は、ロック機構40へのロック指令信号の出力を継続する。このことにより、ロック機構40による電源遮断スイッチ30のオン位置でのロック状態が維持される。
一方、ステップ40において、経過時間T2が設定時間t3より大きい場合には、これら電装機器23a、26、50、70が全てデータのバックアップを終了して電源供給の遮断可能な状態である(YES)と判断して、上述した図11に示すフローチャート図のステップ38、ステップ39を順に実行する。
このように、キースイッチ22のオン操作後にSCRシステム60を稼動させずにキースイッチ22をオフ操作した場合には、尿素水の回収作業は行われない。この場合、残留尿素水の回収作業の制御終了により、電装機器23a、26、50、70がデータのバックアップを終了して電源供給の遮断可能な状態であることを判断することができないため、時間計測部72で計測した経過時間T2と記憶部73に記憶された設定時間t3とを比較することで判断している。この場合も、これら電装機器23a、26、50、70のデータのバックアップ処理中、ロック機構40により電源遮断スイッチ30をオン位置に保持するため、電源遮断スイッチ30をオフ位置に切り換えることができず、データのバックアップ処理中に電装機器23a、26、50、70は電源供給を遮断されることがない。
上述した本発明の建設機械の電源遮断装置の第2の実施の形態によれば、上述した第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
また、本実施の形態によれば、各種コントローラ26、50、70のうち、キースイッチ22のオフ操作後最も長く稼動する尿素水コントローラ70により、ロック機構40の制御を行うようにしたので、ロック機構40による電源遮断スイッチ30のロック状態の解除の時期を、尿素水コントローラ70の稼動状況で判断することができる。
なお、上述した実施の形態においては、電源遮断スイッチ及びロック機構として、図3乃至図5に示す構造のものを用いた例を示したが、図13乃至図15に示す構造のものを用いることができる。以下に、電源遮断スイッチ及びロック機構の変形例を図13乃至図15を用いて説明する。
図13は本発明の建設機械の電源遮断装置の第1及び第2の実施の形態を構成する電源遮断スイッチ及びロック機構の変形例の構造を示す概略断面図、図14は図13に示す本発明の建設機械の電源遮断装置の第1及び第2の実施の形態を構成する電源遮断スイッチの変形例をオン状態で示す概略断面図、図15は図14に示す本発明の建設機械の電源遮断装置の第1及び第2の実施の形態を構成する電源遮断スイッチの変形例のロック状態を示す概略断面図である。なお、図13乃至図15において、図1乃至図12に示す符号と同符号のものは、同一部分であるので、その詳細な説明は省略する。
図13乃至図15において、電源遮断スイッチ80は、電気回路側に接続される固定接点81と、固定接点81に対して接離する可動接点82と、回動操作により可動接点82を固定接点81に対してオン(接続)位置とオフ(遮断)位置とに切り換える回動部材83と、可動接点82をオフ位置に復帰させる復帰ばね84とを備えている。回動部材83は、略直方体状で、長手方向の中心部に設けた軸部83aを軸として回動可能になっている。回動部材83の長手方向の一方側には、後述するロック機構90のロック部材91を収納可能な開口を有する収納部83bが設けられている。
ロック機構90は、回動部材83の収納部83b内にスライド可能に設けた磁石又は強磁性体からなるロック部材91と、一端が回動部材83の収納部83bに他端がロック部材91にそれぞれ取り付けられ、ロック部材91を収納部83b内に引き込む引張ばね92と、可動接点82がオン位置に位置するときの回動部材83の収納部83bに対向する位置に設けられ、ロック部材91の一部を収納可能な受容れ部93と、受容れ部93内に設けられ、マシンコントローラ50又は尿素水コントローラ70からのロック指令信号により励磁されてロック部材91を吸引する電磁石94とを備えている。
上述した構成の電源遮断スイッチ80においては、図13に示すように、先端部が可動接点82から離間するように回動部材83を回動操作すると、可動接点82が復帰ばね84の付勢力により固定接点81から離間して、電源供給が遮断されるオフ状態になる。
この状態から、図14に示すように、回動部材83を回動操作して回動部材83の他方側の先端部を可動接点82に当接させると、復帰ばね84の付勢力に抗して可動接点82が固定接点81に接触する。すなわち、電源遮断スイッチ80は電源供給可能なオン状態になる。
電源遮断スイッチ80をオン位置に切り換えた状態において、ロック機構90にロック指令信号が出力されていない場合には、ロック機構90のロック部材91の全体が引張ばね92により回動部材83の収納部83b内に引き込まれた状態になっている。このため、電源遮断スイッチ80はオフ位置に切換可能な状態にある。
一方、ロック機構90にロック指令信号が出力された場合には、図15に示すように、励磁された電磁石94の吸引力により収納部83bに内在しているロック部材91を引張ばね92の引張力に抗して受容れ部93側に引き出す。ロック部材91の一部は、収納部83bから突出した状態で受容れ部93内に固定される。このロック部材91により回動部材83の回動が規制され、電源遮断スイッチ80がオン位置で保持される。
電源遮断スイッチ80がオン位置で保持された状態において、ロック指令信号の出力が停止された場合には、電磁石94が非通電状態になるので、図14に示すように、収納部83bから突出した状態のロック部材91が引張ばね92により収納部83b内に引き込まれる。このため、回動部材83の回動規制が解除され、電源遮断スイッチ80のオン位置でのロック状態が解除される。
上述した構成の電源遮断スイッチ80及びロック機構90を用いても、前述した第1及び第2の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
なお、上述した実施の形態においては、本発明の建設機械の電源遮断装置を油圧ショベル1に適用した例を示したが、バッテリ21を搭載したホイールローダやクレーン等の建設機械に広く適用することができる。
また、上述した実施の形態においては、キースイッチのオン操作により電源遮断スイッチ30、80をオン位置に保持し、その後、エンジン11の始動により電源遮断スイッチ30、80のロック状態を解除する例を示したが、エンジン11の作動中、電源遮断スイッチ30、80のオン位置でのロック状態を解除せずに維持することもできる。この場合、バッテリ21の消費電力の低減を図ることはできないが、電装機器23a、26、50、70の作動中での電源遮断スイッチ30、80による電源供給の遮断を確実に防止することができる。
なお、上述した第1の実施の形態においては、マシンコントローラ50によりロック機構40を制御した例を示したが、エンジンコントローラ26によりロック機構40を制御することもできる。
また、上述した第1の実施の形態においては、時間計測部52により計測した経過時間T1と記憶部53に記憶された設定時間t1を比較することで、各種電装機器23a、26、50がデータのバックアップを終了して電源供給の遮断可能な状態であるか否かを判断した例を示したが、電装機器のデータのバックアップ終了信号の受信の有無により、電装機器がデータのバックアップを終了したか否かを判断することもできる。
具体的には、作動停止の際にデータのバックアップを行う各種電装機器は、データのバックアップを終了すると、データのバックアップ終了信号をマシンコントローラへ出力する。マシンコントローラは、各種信号を取り込む入力部と、各種信号の有無の判断等を行う演算部と、演算部の判断に基づきロック指令信号を出力する出力部とを備えている。入力部には、キースイッチ22のオン信号・オフ信号やエンジン11の運転状態に関する情報の他に、各種電装機器のデータのバックアップ終了信号が入力される。演算部は、キースイッチのオフ操作後に、経過時間T1と設定時間t1を比較することで各種電装機器がデータのバックアップを終了したか否かを判断する代わりに、各種電装機器のデータのバックアップ終了信号の受信の有無により、各種電装機器が全てデータのバックアップを終了したか否かを判断する。各種電装機器のデータのバックアップ終了信号を全て受信した場合に、ロック指令信号の出力停止を指令する。この場合も、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。