JP2016034709A - 凹凸構造を有する物品およびその製造方法 - Google Patents

凹凸構造を有する物品およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】様々な形状・サイズの凹凸構造の形成を可能とする新たな凹凸構造形成手段を提供すること。
【解決手段】重合性化合物および光重合開始剤を少なくとも含む第一の層と、第一の層と隣接する樹脂含有層である第二の層と、を有する積層体を形成すること(ただし第二の層が重合性化合物を含む場合、第二の層の重合性化合物濃度は第一の層の重合性化合物濃度より低い)、前記積層体の第一の層の表面にパターン露光すること、ならびに、前記パターン露光後の積層体を加熱すること、により、パターン露光により露光された露光部が凸部となる凹凸構造を形成すること、を含む、凹凸構造を有する物品の製造方法。凹凸構造を有する物品。
【選択図】なし

Description

本発明は、凹凸構造を有する物品の製造方法、およびこの製造方法により製造された凹凸構造を有する物品に関する。
パターニングにより物品に凹凸構造を形成する技術は、液晶表示装置等のフラットパネルディスプレイ用途、半導体製造分野、バイテクノロジー、医薬分野等の様々な用途・分野に用いられている。
そのような技術としては、パターン露光と現像工程を経て物品表面に凹凸構造を形成するフォトレジストが広く用いられている。フォトレジストでは、パターン露光された部分(露光部)が凸部となるタイプはネガ型、露光部が凹部となるタイプはポジ型と呼ばれる。ネガ型では、パターン露光によって露光部の現像液に対する溶解性が低下することで、パターン露光で露光されなかった部分(未露光部)は現像工程において現像液により溶解除去され露光部は溶解せずに残ることにより、露光部が凸部となる凹凸構造が形成される。一方、ポジ型ではこの逆に、パターン露光により露光部の現像液に対する溶解性が高まることにより、現像工程において露光部が溶解除去される結果、露光部が凹部となる凹凸構造が形成される。
これに対し特許文献1には、パターン露光後に現像工程を経ることなく凹凸構造を形成する工程を含む表面凹凸形成方法が開示されている。
特開2004−37521号公報
特許文献1には、具体的には、実施例に、ペンタエリスリトールトリアクリレート(モノマー)とメチルメタクリレート等のポリマーとを含む感エネルギー性ネガ型樹脂組成物層に部分的に活性エネルギー線を照射することにより表面凹凸形状を得たことが記載されている。表面凹凸形状に関して、特許文献1には、活性エネルギー線を照射された部分の膜厚が、活性エネルギー線を照射されていない部分の膜厚に比べて増加する、いわゆるネガ型のパターニングが行われると記載されている(特許文献1の段落0017参照)。
上記の特許文献1に記載の表面凹凸形成方法は、現像工程を経ることなく凹凸構造を形成することができるため、前述のフォトレジストと比べ、工程簡略化、現像液不使用によるコスト低減等の点で好ましい方法と言える。
一方、近年、各種分野では、用途に応じた様々な形状・サイズの凹凸構造を形成することが求められている。一例として、反射防止用途に用いられるフィルム(反射防止フィルム)については、フィルム表面に、凸部同士の間隔が光の波長以下のサイズの凹凸構造を形成することにより、その光に対する反射率を低減(反射防止)することができる。したがって、より短波長の光の反射を防止するためには、フィルム表面に、より微細な凹凸構造を形成すること(凹凸構造の微細化)が求められる。なおここで凹凸構造の微細化とは、凹凸構造の凸部同士の間隔をより狭くすることを意味するために用いるものとし、凸部と凹部との高低差を小さくすることを意味するために用いるものではない。
しかるに、本発明者らによる検討によれば、特許文献1に記載の方法は、様々な形状・サイズの凹凸構造を形成するうえで、凹凸構造の微細化が困難であるため形成可能な凹凸構造に制約があるという課題がある。この理由に関する本発明者らによる推測については、後述する。
そこで本発明の目的は、様々な形状・サイズの凹凸構造の形成を可能とする新たな凹凸構造形成手段を提供することにある。
本発明者らは上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、以下の方法:
重合性化合物および光重合開始剤を少なくとも含む第一の層と、第一の層と隣接する樹脂含有層である第二の層と、を有する積層体を形成すること、ただし第二の層が重合性化合物を含む場合、第二の層の重合性化合物濃度は第一の層の重合性化合物濃度より低い;
上記積層体の第一の層の表面にパターン露光すること;ならびに、
パターン露光後の積層体を加熱すること;
により、パターン露光により露光された露光部が凸部となる凹凸構造を形成すること、
を含む、凹凸構造を有する物品の製造方法、
を新たに見出し、本発明を完成させた。
一態様では、上記製造方法では、第一の層および第二の層を、共流延により形成する。
一態様では、第一の層は、樹脂を更に含む。
一態様では、第一の層に含まれる樹脂は、第二の層に含まれる樹脂と同種の樹脂である。ここで同種の樹脂とは、樹脂の主骨格の構造が同じ樹脂をいい、置換基が異なる樹脂も包含するものとする。例えば、第一の層、第二の層ともセルロースアシレートを含む態様、第一の層、第二の層とも(メタ)アクリル系樹脂を含む態様、第一の層、第二の層とも環状ポリオレフィン系樹脂を含む態様などが、本態様に包含される。
一態様では、重合性化合物は、エチレン性不飽和結合を含む重合性基を有する。
一態様では、エチレン性不飽和結合を含む重合性基は、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、アクリロイル基およびメタクリロイル基からなる群から選ばれる重合性基である。
一態様では、重合性化合物は、2官能以上の多官能重合性化合物である。
一態様では、上記凹凸構造を有する物品は、フィルム状の物品である。
本発明の更なる態様は、
上記製造方法により製造された、凹凸構造を有する物品、
に関する。
一態様では、上記凹凸構造を有する物品は、凹凸構造を有する面から厚み方向に向かって、重合性化合物の重合体の濃度が低下する濃度勾配を有する。
本発明によれば、微細凹凸構造等の様々な形状・サイズの凹凸構造を有する物品の提供が可能となる。
図1に、実施例1−1において、使用する露光マスクのパターン形状を変更して作製したパターニングサンプル表面を、非接触表面・層断面形状計測システムで観察して得た画像を示す。 図2に、実施例2−1において、使用する露光マスクのパターン形状を変更して作製したパターニングサンプル表面を、非接触表面・層断面形状計測システムで観察して得た画像を示す。 図3に、実施例3−1において、パターン露光時の露光量を1000mJ/cmに変更するとともに、使用する露光マスクのパターン形状を変更して作製したパターニングサンプル表面を、非接触表面・層断面形状計測システムで観察して得た画像を示す。 図4に、実施例2−1において、露光用の開口部の形状が一辺5μmの正方形であり、隣り合う正方形の間隔(ピッチ)が20μmの露光パターンを有する露光マスクを用いて作製したパターニングサンプル表面(パターン露光された表面)を、走査型電子顕微鏡(SEM)で倍率を変更して撮影したSEM画像を示す。
以下の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。なお、本発明および本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
[凹凸構造を有する物品の製造方法]
本発明の一態様は、
重合性化合物および光重合開始剤を少なくとも含む第一の層と、第一の層と隣接する樹脂含有層である第二の層と、を有する積層体を形成すること、ただし第二の層が重合性化合物を含む場合、第二の層の重合性化合物濃度は第一の層の重合性化合物濃度より低い;
積層体の第一の層の表面にパターン露光すること;ならびに、
パターン露光後の積層体を加熱すること;
により、パターン露光により露光された露光部が凸部となる凹凸構造を形成すること、
を含む、凹凸構造を有する物品の製造方法、
に関する。
以下は、本発明を何ら限定するものではないが、上記凹凸構造を有する物品の製造方法により、各種凹凸構造の形成が可能となる理由を、本発明者らは次のように考えている。
前述の特許文献1に記載の方法では、部分的な活性エネルギー線照射(パターン露光)を経て表面凹凸形成を行っている。しかし、パターン露光では、光の回折等により、露光されたスポットから層内部に向かって光は広がりながら伝搬する。露光部を凸部とする特許文献1に記載の表面凹凸形成方法では、露光部周辺も上記の光の伝搬の影響を受けることにより形状変化する結果、凸部と凹部との高低差(以下、段差とも記載する。)は小さいと、本発明者らは考えている。形成する凹凸構造が微細になるほど、露光されるスポット同士の間隔は狭くなるため、凸部と認められるような周囲と高低差のある部分を形成することは難しくなる。その結果、凹凸構造を形成したはずの表面は単なる平面と違いが認められない面になってしまうことが、特許文献1に記載の方法では凹凸構造の微細化が困難な理由であると、本発明者らは推察している。
これに対し、先に記載した本発明者らにより新たに見出された方法により、微細な凹凸構造等の様々な形状・サイズの凹凸構造の形成が可能となる理由について、本発明者らは次のように考えている。
まず第一の層の表面にパターン露光することにより、露光部において重合性化合物が重合し硬化する。その後に行われる加熱により、第一の層ではパターン露光では未反応であった重合性化合物の重合が進行し、いわゆる重合収縮が発生する。加えて、特許文献1に記載の方法では形成されない第二の層では、この層に含まれている樹脂の熱による収縮が生じる。このように露光部以外の部分で収縮が生じるのに対し、露光部は既に重合硬化しているため加熱時に大きな形状変化を起こすことはないと考えられる。その結果、露光部が凸部となる凹凸形状を形成することができると、本発明者らは推察している。更に本発明者らは、第二の層における樹脂の熱収縮という、特許文献1に記載の方法では起こらない大きな形状変化が生じることが、凸部と凹部との高低差(段差)を大きくすることに寄与し、その結果、凹凸構造の微細化が可能になると推察している。また、このように凸部と凹部との高低差(段差)が大きいことは、明確な凹凸と認識される凹凸形状の形成を可能とするため、微細凹凸構造に限らず様々な形状・サイズの凹凸構造の形成に有効である。
ただし、以上の記載は本発明者らによる推察を含むものであり、本発明を何ら限定するものではない。
以下、上記製造方法について、更に詳細に説明する。
<1.積層体の構成>
凹凸構造を形成するためにパターン露光および加熱が施される積層体は、少なくとも、第一の層と、第一の層と隣接する第二の層を有する。ここで隣接とは、他の層や支持体を介することなく二層が直接接していることをいうものとする。
(1−1.第一の層)
第一の層は、重合性化合物および光重合開始剤を少なくとも含む層であり、例えば、これら成分を少なくとも含む組成物を塗布することにより形成することができる。
以下に、第一の層の形成に使用可能な各種成分について説明する。
(1−1−i)重合性化合物
重合性化合物とは、1分子中に少なくとも1つの重合性基を有する化合物である。そのような化合物であれば、モノマーであっても、オリゴマーやプレポリマー等の多量体であってもよい。重合性化合物としては、1分子中に含まれる重合性基の数が1つである単官能重合性化合物を用いてもよく、1分子中に含まれる重合性基の数が2つ以上である多官能化重合性合物を用いてもよく、単官能重合性化合物と多官能重合性化合物とを任意に割合で混合して用いてもよい。また、多官能重合性化合物として、異なる種類の多官能重合性化合物を任意の割合で混合して用いてもよい。これら重合性化合物の分子量は、例えば80以上30,000以下であるが、特に限定されるものではない。なお本発明において分子量とは、多量体については、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によりポリスチレン換算で測定される重量平均分子量を言うものとする。具体的な測定条件の一例としては、以下の測定条件を挙げることができる。後述する重合平均分子量は、下記測定条件により測定された値である。
GPC装置:HLC−8120(東ソー製):
カラム:TSK gel Multipore HXL−M(東ソー製、7.8mmID(内径)×30.0cm)
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
重合性基としては、ラジカル重合性基であってもカチオン重合性基であってもよく、ラジカル重合性基が好ましい。凹凸構造形成の観点から好ましい重合性基としては、エチレン性不飽和結合含有基、エポキシ基、オキセタン基、メチロール基等の重合性基を挙げることができ、エチレン性不飽和結合含有基がより好ましい。エチレン性不飽和結合含有基としては、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基を挙げることができ、(メタ)アクリロイルオキシ基および(メタ)アクリロイル基がより好ましく、(メタ)アクリロイルオキシ基がいっそう好ましい。なお本発明において、「(メタ)アクリロイルオキシ基」との記載は、アクリロイルオキシ基とメタクリロイルオキシ基の少なくともいずれかの意味で用いるものとする。「(メタ)アクリロイル基」、「(メタ)アクリレート」、「(メタ)アクリル」等も同様である。多官能重合性化合物に含まれる重合性基の数は1分子中に2以上であり、好ましくは2〜20の範囲であり、より好ましくは3〜12の範囲である。
多官能重合性化合物の好ましい一態様としては、エチレン性不飽和結合含有基を1分子中に2つ以上有する多官能性(メタ)アクリレート系化合物を挙げることができる。
具体例として、2官能(メタ)アクリレートとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAテトラエトキシジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAテトラプロポキシジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。市販品の一例としては、共栄社化学製:ライトアクリレートNP−A(ネオペンチルグリコールジアクリレート、分子量212)等を挙げることもできる。
3官能以上の(メタ)アクリレート系化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸変性トリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。市販品の一例としては、新中村化学製:A−TMMT(ペンタエリスリトールテトラアクリレート)、日本化薬製:KAYARAD(日本登録商標) DPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)、東亜合成製:アロニックス(日本登録商標)M−309(トリメチロールプロパントリアクリレート)等を挙げることもできる。
また、上記(メタ)アクリレート系化合物は、分子骨格の一部が変性されているものでもよい。例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、カプロラクトン、イソシアヌル酸、アルキル、環状アルキル、芳香族、ビスフェノール等による変性がなされたものを使用することができる。
また、多官能重合性化合物としては、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリレート系重合体等を挙げることもできる。これらの中でも、例えば透明性等の点からウレタン(メタ)アクリレートが好ましい。ウレタン(メタ)アクリレートは、多価アルコールおよび有機ジイソシアネートとヒドロキシ(メタ)アクリレートとの反応によって得ることができる。
上記多価アルコールとしては、例えば、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、トリシクロデカンジメチロール、ビス−[ヒドロキシメチル]−シクロヘキサン等;上記多価アルコールと多塩基酸(例えば、コハク酸、フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テレフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、テトラヒドロ無水フタル酸等)との反応によって得られるポリエステルポリオール;上記多価アルコールとε−カプロラクトンとの反応によって得られるポリカプロラクトンポリオール;ポリカーボネートポリオール(例えば、1,6−ヘキサンジオールとジフェニルカーボネートとの反応によって得られるポリカーボネートジオール等);および、ポリエーテルポリオールを挙げることができる。上記ポリエーテルポリオールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、エチレンオキサイド変性ビスフェノールA等を挙げることができる。
上記有機ポリイソシアネートとしては、例えばイソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジシクロペンタニルイソシアネート等のイソシアネート化合物、これらイソシアネート化合物の付加体、またはこれらイソシアネートの多量体等が挙げられる。
上記ヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ジメチロールシクロヘキシルモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシカプロラクトン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
中でも、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートであることが、フィルムの一層の高硬度化の面から好ましい。
上記ウレタン(メタ)アクリレートは、6官能以上であることが好ましく、6〜15官能であることがより好ましい。
ウレタン(メタ)アクリレートとしては、市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、日本合成化学工業社製:UV1700B(重量平均分子量2000、10官能)、UV7600B(重量平均分子量1500、6官能)、日本化薬社製:DPHA40H(重量平均分子量7000、10官能)、UX5003(重量平均分子量700、6官能)、根上工業社製:UN3320HS(重量平均分子量5000、15官能)、UN904(重量平均分子量4900、15官能)、UN3320HC(重量平均分子量1500、10官能)、UN3320HA(重量平均分子量1500、6官能)、荒川化学工業社製:BS577(重量平均分子量1000、6官能)、および、新中村化学工業社製:U15HA(重量平均分子量2300、15官能)、U−6LPA(重量平均分子量800、6官能)、等を挙げることができる。
多官能重合性化合物としては、1分子中に1つ以上のフッ素原子を含むフッ素含有重合性化合物、1分子中に1つ以上のシロキサン結合を有するシリコーン系重合性化合物等を用いることもできる。フッ素含有重合性化合物としては、例えば、特開2013−130865公報段落0077〜0103に記載の各種化合物を用いることができる。一方、シリコーン系重合性化合物については、特開2013−130865公報段落0141および特開2012−103689号公報0119〜0120を参照できる。
単官能性化合物としては、特に限定されるものではない。例えば、WO2012/077807A1段落0022に記載の単官能(メタ)アクリレート系化合物、特開2008−178995号公報段落0022に記載のビニル結合を1分子中に1つのみ有する単官能重合性化合物、特開2008−119684号公報段落0022に記載の単官能ラジカル重合性モノマー等を使用することができる。
第一の層を形成するために用いる組成物中の重合性化合物濃度は、特に限定されるものではないが、微細凹凸構造の形成を容易にする観点から、組成物全量100質量%に対して20質量%以上とすることが好ましく、40質量%以上とすることがより好ましい。一方、凹凸構造を有する物品の脆性の観点からは、組成物全量100質量%に対する重合性化合物量を、99質量%以下とすることが好ましく、95質量%以下とすることがより好ましい。また、第一の層が後述するように樹脂を含む場合、重合性化合物濃度は、樹脂100質量部に対して、凹凸構造形成の観点から、40質量部以上とすることが好ましく、50質量部以上とすることがより好ましい。また、重合性化合物濃度は、樹脂100質量部に対して、製膜適性の観点からは、200質量部以下とすることが好ましい。
(1−1−ii)光重合開始剤
第一の層は、重合性化合物とともに光重合開始剤を含む。これにより、パターン露光により露光部を重合(光重合)させて硬化させることが可能となる。光重合開始剤は、ラジカル重合開始剤であってもカチオン重合開始剤であってもよい。併用される重合性化合物の種類に応じて適切な光重合開始剤を選択すればよい。上記の通り、重合性化合物が有する重合性基としてはラジカル重合性基が好ましいため、ラジカル重合開始剤の使用が好適である。
光重合開始剤としては、特に限定されるものではない。アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物類、2,3−ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、フルオロアミン化合物類や芳香族スルホニウム類が挙げられる。アセトフェノン類の例には、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、1−ヒドロキシジメチルフェニルケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−4−メチルチオ−2−モルフォリノプロピオフェノンおよび2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノンが含まれる。ベンゾイン類の例には、ベンゾインベンゼンスルホン酸エステル、ベンゾイントルエンスルホン酸エステル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテルおよびベンゾインイソプロピルエーテルが含まれる。ベンゾフェノン類の例には、ベンゾフェノン、2,4−ジクロロベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノンおよびp−クロロベンゾフェノンが含まれる。ホスフィンオキシド類の例には、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシドが含まれる。
最新UV硬化技術(P.159,発行人;高薄一弘,発行所;技術情報協会,1991年発行)にも種々の光重合開始剤の例が記載されており、これらも使用可能である。
市販の光開裂型の光ラジカル重合開始剤としては、BASF製のイルガキュア(日本登録商標)シリーズ(IrgOXE01、Irg127、Irg651、Irg184、Irg819、Irg907)等が好ましい例として挙げられる。
また、光重合開始剤として、界面活性作用と光重合開始作用とを有する化合物も使用可能である。そのような化合物としては、例えば、特開2009−035642号公報に界面活性光重合開始剤(D)として記載されている化合物を挙げることができる。詳細については、特開2009−035642号公報段落0077〜0094を参照できる。
以上記載した光重合開始剤は、一種単独で用いてもよく、二種以上を任意の割合で組み合わせて用いてもよい。光重合開始剤は、パターン露光による重合反応を良好に進行させる観点から、組成物全量100質量%に対して0.1質量%以上含まれることが好ましく、0.5質量%以上含まれることが好ましく、1質量%以上含まれることがより好ましい。また、凹凸構造を有する物品の透明性等の観点からは、光重合開始剤は、組成物全量100質量%に対して30質量%以下の使用が好ましく、25質量%以下の使用がより好ましく、20質量%以下の使用が更に好ましい。
(1−1−iii)任意成分
第一の層は、以上説明した重合性化合物および光重合開始剤を少なくとも含み、任意成分の一種以上を更に含むことができる。
以下に、任意成分について説明する。
(1−1−iii−1)樹脂
任意成分としては、樹脂を挙げることができる。第一の層は、一種または二種以上の樹脂を含むことができる。樹脂は、有機溶剤可溶性樹脂であってもよく、有機溶剤不溶性樹脂であってもよいが、形成される層の均質性等の観点から、有機溶剤可溶性樹脂が好ましい。なお第一の層は、好ましくは流延製膜により形成することができ、有機溶剤可溶性樹脂を含むことは、流延製膜の製膜性の観点からも好ましい。本発明において「有機溶剤可溶性」とは、液温25℃の有機溶剤に1質量%以上溶解することを言うものとする。ここでいう有機溶剤とは、例えば、炭素数1以上8以下の有機化合物からなる群から選ばれる一種または複数を任意の割合で混合した組成物で、25℃1気圧において液体であるものを言う。具体的には、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、オクタン、イソオクタン等の脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、2−メチル−2−プロパノール、1−ヘキサノール、シクロヘキサノール、1−オクタノール、エチレングリコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)等のエステル類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化アルキル類、およびこれらを任意の割合で混合した組成物が挙げられる。ただし、本発明において層を形成するために用いる組成物が溶剤を含む場合、溶剤は上記のものに限定されるものではない。また、一般に、重合性化合物は有機溶剤可溶性を示すことが多く、重合性化合物の重合体は有機溶剤可溶性を示さないことが多い。
第一の層における樹脂濃度は、製膜適性の観点からは、第一の層を形成するために用いる組成物全量100質量%に対して60質量%以上であることが好ましく、 80質量%以上であることがより好ましい。一方、凹凸構造を有する物品の脆性等の観点からは、99質量%以下であることが好ましく、95質量%以下であることがより好ましい。
有機溶剤可溶性樹脂の好ましい具体例としては、下記の各種有機溶剤可溶性樹脂を挙げることができる。好ましい有機溶剤可溶性樹脂としては、セルロースアシレート、(メタ)アクリル系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂を挙げることができる。ただし本発明において使用可能な有機溶剤可溶性樹脂は、以下に具体的態様を説明するものや上記好ましい有機溶剤可溶性樹脂に限定されるものではない。有機溶剤可溶性樹脂としては、前述の規定に該当するものであれば、何ら制限なく用いることができる。
(a)セルロースアシレート
セルロースアシレートとしては、特に制限はない。セルロースアシレートにおいて、セルロースの水酸基の置換するアシル基の詳細については、特開2012−215812号公報段落0017を参照できる。好ましくは、アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基であり、より好ましくはアセチル基、プロピオニル基であり、更に好ましくはアセチル基である。溶剤溶解性等の観点からは、アセチル置換度が2.7以上のセルロースアシレートが好ましく、より好ましくは2.75以上、更に好ましくは2.82以上である。一方、光学性能の観点からは、アセチル置換度が2.95以下のセルロースアシレートが好ましく、より好ましくは2.90以下、更に好ましくは2.89以下である。同様の観点から、セルロースアシレートの総アシル置換度も、アセチル置換度について上記した範囲にあることが好ましい。なお総アシル置換度およびアセチル置換度は、ASTM−D817−96に規定の方法に準じて測定することができる。アシル基で置換されていない部分は通常水酸基として存在している。その他、セルロースアシレートの詳細については、特開2012−215812号公報段落0018〜0020も参照できる。
(b)(メタ)アクリル系樹脂
(メタ)アクリル系樹脂は、メタクリル系樹脂とアクリル系樹脂の両方を含む概念である。また、(メタ)アクリル系樹脂には、アクリレートエステルとメタクリレートエステルとの共重合体も含まれる。(メタ)アクリル系樹脂の繰り返し構造単位は、特に限定されない。(メタ)アクリル系樹脂は、繰り返し構造単位として(メタ)アクリル酸エステル単量体由来の繰り返し構造単位を有することが好ましい。
(メタ)アクリル系樹脂は、繰り返し構造単位として、更に、水酸基含有単量体、不飽和カルボン酸および下記一般式(10)で表される単量体から選ばれる少なくとも1種を重合して得られる繰り返し構造単位を含んでいてもよい。
一般式(10)
CH2=C(X)R201
一般式(10)中、R201は水素原子またはメチル基を表し、Xは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、−CN基、−CO−R202基、またはO−CO−R203基を表し、R202およびR203は、それぞれ独立に水素原子または炭素数1〜20の有機残基を表す。
(メタ)アクリル酸エステルは、特に限定されない。詳細については、特開2013−099875号公報段落0034を参照できる。
水酸基含有単量体も、特に限定されない。詳細については、特開2013−099875号公報段落0035を参照できる。
不飽和カルボン酸も、特に限定されない。詳細については、特開2013−099875号公報段落0036を参照できる。
一般式(10)で表される単量体の詳細については、特開2013−099875号公報段落0037を参照できる。
(メタ)アクリル系樹脂は、1つ以上のラクトン環構造を含んでいてもよい。ラクトン環構造の一態様としては、下記一般式(11)で示されるラクトン環構造を挙げることができる。
一般式(11)中、R401、R402およびR403は、それぞれ独立に、水素原子または炭素原子数1〜20の有機残基を表し、有機残基は酸素原子を含有していてもよい。ここで、炭素原子数1〜20の有機残基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基などが好ましい。
ラクトン環含有(メタ)アクリル系樹脂の構造中における上記一般式(11)で示されるラクトン環構造の含有割合は、好ましくは5〜90質量%、より好ましくは10〜70質量%、更に好ましくは10〜60質量%、特に好ましくは10〜50質量%である。ラクトン環構造の含有割合を5質量%以上とすることにより、樹脂の耐熱性、および表面硬度が向上する傾向にあり、ラクトン環構造の含有割合を90質量%以下とすることにより、樹脂の成形加工性が向上する傾向にある。
ラクトン環含有(メタ)アクリル系樹脂の製造方法については、特に制限はない。例えば、重合工程によって分子鎖中に水酸基とエステル基とを有する重合体(p)を得た後に、得られた重合体(p)を加熱処理することによりラクトン環構造を重合体に導入すること(ラクトン環化縮合工程)により、ラクトン環含有(メタ)アクリル系樹脂を得ることができる。ラクトン環含有(メタ)アクリル系樹脂の好ましい物性等の詳細については、特開2012−250535号公報段落0040〜0047を参照できる。
また、(メタ)アクリル系樹脂の重量平均分子量Mwは80,000以上であることが好ましい。(メタ)アクリル樹脂の質量平均分子量Mwが80,000以上であれば、機械的強度が高く、製造時のハンドリング適性に優れる。この観点から、(メタ)アクリル系樹脂の重量平均分子量Mwは100,000以上であることが好ましい。(メタ)アクリル系樹脂の重量平均分子量Mwは、例えば5,000,000以下であるが、特に限定されるものではない。
(メタ)アクリル系樹脂としては、市販品または公知の合成方法により合成されたものを使用することができる。市販品としては、これらに限定されるものではないが、例えば、デルペット(日本登録商標)60N、80N(旭化成ケミカルズ製)、ダイヤナール(日本登録商標)BR80、BR85、BR88、BR102(三菱レイヨン製)、KT75(電気化学工業製)等が挙げられる。
(c)環状ポリオレフィン系樹脂
環状ポリオレフィン系樹脂とは、環状オレフィン構造を有する樹脂を言うものとする。
環状オレフィン構造を有する樹脂の例としては、(1)ノルボルネン系重合体、(2)単環の環状オレフィンの重合体、(3)環状共役ジエンの重合体、(4)ビニル脂環式炭化水素重合体、および(1)〜(4)の水素化物等を挙げることができる。より具体的態様としては、下記一般式(21)で表される繰り返し単位を少なくとも1種以上含む付加(共)重合体である環状ポリオレフィン系樹脂、および必要に応じ、一般式(20)で表される繰り返し単位の少なくとも1種以上を更に含む付加(共)重合体である環状ポリオレフィン系樹脂を挙げることができる。また、一般式(22)で表される環状繰り返し単位を少なくとも1種含む開環(共)重合体も挙げることができる。
一般式(20)、(21)、(22)中、mは0〜4の範囲の整数を表す。R1〜R6は、それぞれ独立に水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基、X1〜X3、Y1〜Y3は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換された炭素数1〜10の炭化水素基、−(CH2)nCOOR11、−(CH2)nOCOR12、−(CH2)nNCO、−(CH2)nNO2、−(CH2)nCN、−(CH2)nCONR1314、−(CH2)nNR1314、−(CH2)nOZ、−(CH2)nW、または、X1とY1もしくはX2とY2もしくはX3とY3から構成された(−CO)2O、(−CO)2NR15を示す。なお、R11、R12、R13、R14、R15は、それぞれ独立に水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基を表し、Zは炭化水素基またはハロゲンで置換された炭化水素基を表し、WはSiR16 p3−p(R16は炭素数1〜10の炭化水素基、Dはハロゲン原子、−OCOR16またはOR16、pは0〜3の整数を示す)、nは0〜10の範囲の整数を示す。R5およびR6は、それぞれ独立に水素原子または−CH3であることが好ましく、X3、およびY3は、それぞれ独立に水素原子、塩素原子、または−COOCH3であることが好ましい。その他の基については、上記の中から適宜選択することが好ましい。ノルボルネン系重合体は、市販品としては、JSRからアートン(日本登録商標)(Arton)GまたはアートンFとの商品名で発売されている。また、日本ゼオンからは、ゼオノア(日本登録商標)(Zeonor)ZF14、ZF16、ゼオネックス(Zeonex)250またはゼオネックス280との商品名で市販されている。ノルボルネン系重合体として、これら市販品を用いることも、もちろん可能である。ノルボルネン系重合体および環状ポリオレフィン系樹脂の詳細については、特開2013−029792号公報段落0032および0033も参照できる。
(d)ポリカーボネート系樹脂
ポリカーボネート系樹脂としては、特に限定されるものではない。例えば、市販品をそのまま、または市販品に適宜剥離力や靭性を制御するべく添加剤を添加したものを用いることができる。市販品の具体例としては、これらに限定されるものではないが、パンライト(日本登録商標)L−1225L、L−1250Y、K−1300Y、AD−5503(帝人化成製)、ノバレックス7020R、7022R、7025R、7027R、7030R(三菱エンジニアリングプラスチックス製)等が挙げられる。
(e)ポリスチレン系樹脂
ポリスチレン系樹脂としては、市販品をそのまま、または適宜剥離力や靭性を制御するべく添加剤を添加したものを用いることができる。また、物性制御のため、ポリスチレンに、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、メチルビニルケトン、エチレン、プロピレン、酢酸ビニル、無水マレイン酸などが共重合されたものを用いてもよい。市販品の具体例としては、これらに限定されるものではないが、PSJポリスチレンG9401、G9305、SGP−10(ポリスチレンジャパン製)、ハイブランチ(日本登録商標)XC−540HB、XC−520、ディックスチレン(日本登録商標)CR−250、CR−350、CR−450(DIC製)、スチレン−アクリロニトリル共重合体としては、セビアン(日本登録商標)N020SF、050SF、070SF、080SF(ダイセルポリマー製)、スチレン−無水マレイン酸共重合体としては、XIRAN SZ28110、SZ26180、SZ26120、SZ26080、SZ23110、SZ15170、SZ08250(ポリスコープポリマーズB.V.製)等が挙げられる。
(f)グルタル酸無水物系樹脂
グルタル酸無水物系樹脂とは、グルタル酸無水物単位を有する重合体である樹脂を表す。グルタル酸無水物単位を有する重合体は、下記一般式(30)で表されるグルタル酸無水物単位(以下、グルタル酸無水物単位と呼ぶ)を有することが好ましい。
一般式(30)中、R31、R32は、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜20の有機残基を表す。なお、有機残基は酸素原子を含んでいてもよい。R31、R32は、好ましくは、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を表す。
グルタル酸無水物系樹脂に対する一般式(30)で表されるグルタル酸無水物単位の含有量としては、耐熱性等の観点から、5〜50質量%が好ましく、より好ましくは10〜45質量%である。
グルタル酸無水物単位を有する重合体の詳細については、特開2012−250535号公報段落0052〜0065を参照できる。
(g)グルタルイミド系樹脂
グルタルイミド系樹脂とは、グルタルイミド単位を有する重合体である樹脂を表す。
グルタルイミド系樹脂は、側鎖に置換または非置換イミド基を有する熱可塑性樹脂である。側鎖に置換または非置換イミド基を有することによって光学特性や耐熱性などの点で好ましい特性バランスを発現できる。グルタルイミド系樹脂としては、少なくとも下記一般式(40):
で表されるグルタルイミド単位(式中、R301、R302、R303は、それぞれ独立に水素または炭素数1〜12個の非置換のまたは置換のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基を表す。)を有することが好ましい。
グルタルイミド系樹脂を構成する好ましいグルタルイミド単位としては、R301、R302がそれぞれ独立に水素またはメチル基であり、R303がメチル基またはシクロヘキシル基である。樹脂に含まれるグルタルイミド単位は、単一の種類でもよく、R301、R302、R303が異なる複数の種類が含まれていてもよい。
グルタルイミド系樹脂には、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸メチル等のアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル構成単位が含まれていることが好ましい。別の好ましい構成単位としては、N−メチルメタクリルアミドや、N−エチルメタクリルアミドのような、N−アルキルメタクリルアミドが挙げられる。これらのグルタルイミド単位以外の構成単位は単独の種類でもよく、複数の種類が含まれていてもよい。
グルタルイミド系樹脂の一般式(40)で表されるグルタルイミド単位の含有量は、耐熱性および透明性の観点から、グルタルイミド系樹脂の総繰り返し単位を基準として、20〜95質量%の範囲であることが好ましい。より好ましくは50〜90質量%、更に好ましくは、60〜80質量%である。
その他の共重合可能な成分については、特開2005−189623号公報段落0030を参照できる。また、グルタルイミド系樹脂の合成方法等の詳細については、特開2005−189623号公報段落0031を参照できる。グルタルイミド系樹脂の重量平均分子量は、1×10〜5×10の範囲であることが好ましい
(1−1−iii−2)溶剤
第一の層は、任意に溶剤を含むことができる。溶剤を含むことは、第一の層を形成するための組成物の粘度を調整し塗布適性を向上する観点から好ましい。溶剤としては有機溶剤が好ましい。有機溶剤の例としては、アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどのケトン類、テトラヒドロフラン(THF)、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、1,2−ジメトキシエタンなどのエーテル類、ギ酸メチル、ギ酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、γ-ブチロラクトン等のエステル類の他、メチルセロソルブ、ジメチルイミダゾリノン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、ジメチルスルフォキシド、スルホラン、ニトロエタン、塩化メチレン(メチレンクロライド)、アセト酢酸メチルなどが挙げられる。1,3−ジオキソラン、THF、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸メチルおよびメチレンクロライドが好ましい。二種以上の溶剤を混合した混合溶剤においては、上記例示した有機溶剤が最も多くの割合(例えば混合溶剤全量100質量%に対して50質量%以上99質量%未満)を占める主溶剤であることが好ましい。
混合溶剤に主溶剤とともに含まれる有機溶剤(副溶媒)としては、炭素原子数1〜4のアルコールが好ましい。炭素原子数1〜4のアルコールとしては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、2−メチル−2−プロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルの一種または二種以上を挙げることができる。副溶媒は、混合溶剤全量100質量%に対して、例えば1質量%以上50質量%未満、好ましくは1質量%以上40質量%以下の割合で混合溶剤に含まれ得る。なお組成物には、有機溶剤に加えて少量の水が含まれていてもよい。水を含む場合、溶剤全量100質量%に対する水の濃度は、例えば0.1〜5質量%、好ましくは0.1〜3質量%、より好ましくは0.2〜2質量%とすることができる。
組成物全量を100質量%として、溶剤全量の占める割合は、例えば60〜95質量%の範囲であり、好ましくは70〜85質量%の範囲である。上記範囲で溶剤を含む組成物は、溶剤の揮発による濃度・組成の変化や固形分の析出を起こしにくく、また、安定した製膜に適した粘度が得られるため、好ましい。
(1−1−iii−3)界面活性剤
第一の層は、任意に界面活性剤を含むこともできる。界面活性剤としては、例えば、公知のフッ素系化合物、シリコーン系化合物等のレベリング剤;公知のカチオン系界面活性剤またはポリオキシアルキレン系化合物等の防塵剤、帯電防止剤等を、一種単独で用いてもよく、二種以上任意の割合で組み合わせて用いてもよい。界面活性剤としては、市販品や公知の方法で合成されたものを何ら制限なく用いることができる。第一の層を形成するための組成物における界面活性剤量は特に限定されるものではないが、例えば、組成物中の固形分100質量部に対して、0.001〜10質量部とすることができる。
(1−1−iii−4)熱重合開始剤
第一の層に含まれる重合性化合物は、パターン露光されることにより一部が重合し硬化する。パターン露光では未反応であった重合性化合物は、パターン露光後に行われる加熱により重合すると本発明者らは考えている。そして、この重合による収縮(重合収縮)が凹凸構造の形成の一助になっていると、本発明者らは推察している。第一の層は、加熱による重合を可能とするために熱重合開始剤を含んでいてもよい。ただし、加熱により重合性化合物に含まれる重合性基がラジカルを発生し開始剤として機能する場合もある。そのような場合には、第一の層に熱重合開始剤を含ませることなく、パターン露光では未反応であった重合性化合物の重合反応(熱重合)を進行させることができる。
第一の層が熱重合開始剤を含む場合、熱重合開始剤の構造については、特に限定されるものではない。熱重合開始剤の具体的態様としては、アゾ化合物、ヒドロキシルアミンエステル化合物、有機過酸化物、過酸化水素等を挙げることができる。有機過酸化物の具体例については、特許第5341155号公報段落0031に記載のものを挙げることができる。
アゾ化合物は、少なくとも1つのアゾ結合を含めばよく、アゾ結合とともに各種置換基を含むことができる。具体的には、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルイソブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、1−[(1−シアノ−1−メチルエチル)アゾ]ホルムアミド等のアゾニトリル化合物、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ジメチル1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボキシレート)等のアゾエステル化合物、2,2’−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)等のアゾアミド化合物、2,2’−アゾビス[2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン]ジヒドロキシクロライド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]等のアゾイミダゾリン化合物、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン等のアゾアルキル化合物、更にはアゾアミジン化合物、アゾ結合を有する繰り返し単位を含むポリマーの使用も可能である。アゾ化合物は、レドックス分解や誘発分解が生じにくい点等で好ましい熱重合開始剤である。
また、ヒドロキシルアミンエステル化合物としては、特表2012−521573号公報に記載の式Iで表されるヒドロキシルアミンエステル化合物を挙げることができる。具体的な化合物を以下に示す。ただしこれらに限定されるものではない。
(1−1−iv)第一の層の厚さ
第一の層の厚さは、例えば1μm以上であり、好ましくは5μm以上であり、より好ましくは10μm以上である。なお本発明者らによる検討によれば、第一の層の厚さが厚いほど凸部と凹部の高低差(段差)が大きくなる傾向が見られた。この点は、微細凹凸構造形成の観点から好ましい。したがって、第一の層の厚さの上限は特に限定されるものではない。一例として、例えば100μm以下程度とすることができるが、凹凸構造が形成された物品の用途等に応じて適宜設定すればよい。ここで層の厚さとは、塗布時の設定膜厚でもよく、実測値でもよい。
(1−2.第二の層)
次に、以上説明した第一の層に隣接する層として形成される第二の層について説明する。
(1−2−i)樹脂
第二の層は、少なくとも、一種または二種以上の樹脂を含む層である。樹脂含有層である第二の層が、パターン露光により部分的に重合硬化される第一の層の下層に存在することが、微細凹凸構造等の各種凹凸構造の形成を可能にすると、本発明者らは考えている。この点に関する本発明者らによる推察については、先に記載した通りである。
第二の層に含まれる樹脂は、有機溶剤可溶性樹脂であってもよく、有機溶剤不溶性樹脂であってもよい。層の製膜適性等の観点からは、有機溶剤可溶性樹脂が好ましい。有機溶剤可溶性樹脂については、先に第一の層に関して記載した通りである。
第一の層が樹脂を含む場合、第一の層に含まれる樹脂と第二の層に含まれる樹脂は、同種のものであっても異種のものであってもよい。第一の層と第二の層との密着性が良好であることは、形成される物品の耐久性の観点から好ましい。この点からは、第一の層は、第二の層と同種の樹脂を含むことが好ましい。例えば、第一の層および第二の層が共にセルロースアシレートを含む態様、第一の層および第二の層が共に(メタ)アクリル系樹脂を含む態様を、好ましい態様として挙げることができる。
第二の層における樹脂濃度は、製膜適性の観点からは、第二の層を形成するために用いる組成物全量100質量%に対して、例えば1〜40質量%の範囲である。製膜の容易性の観点からは、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましい。また、例えば流延製膜を行う際の送液の容易性の観点からは、35質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましい。
第二の層は、少なくとも樹脂を含む層(樹脂含有層)であり、樹脂を主成分とする層であることが好ましい。ここで主成分とは、層を構成する全固形分において最も多くを占める成分をいう。本発明者らは、第二の層の全固形分において樹脂が最も多くを占めることは、加熱による樹脂の収縮により大きな形状変化をもたらすことに寄与し、これにより凸部と凹部の高低差(段差)を大きくすることができると考えている。この点から、第二の層における樹脂濃度は、第二の層の全固形分(溶剤を除く成分の合計)100質量%に対して、好ましくは80質量%以上であり、より好ましくは85質量%以上であり、さらに好ましくは90質量%以上である。また、第二の層における樹脂濃度は、第二の層の全固形分100質量%に対して、例えば95質量%以下であってもよく、また、100質量%(つまり固形分が樹脂のみ)であることも好ましい。
(1−2−ii)任意成分
第二の層は、樹脂に加えて、任意成分の一種以上を更に含むことができる。以下に、任意成分について説明する。
(1−2−ii−1)溶剤
第二の層は、溶剤を含むことができる。溶剤については、先に第一の層に関して記載した通りである。第二の層における溶剤濃度は、第二の層を形成するために用いる組成物全量を100質量%として、例えば60〜95質量%の範囲であり、好ましくは70〜85質量%の範囲である。上記範囲で溶剤を含む組成物は、溶剤の揮発による濃度・組成の変化や固形分の析出を起こしにくく、また、安定した製膜に適した粘度が得られるため、好ましい。なお樹脂としてセルロースアシレートを用いる場合、セルロースアシレートは水酸基やエステル、ケトン等の水素結合性の官能基を含むため、有機溶剤は、溶剤全量100質量%に対して5〜30質量%、より好ましくは7〜25質量%、更に好ましくは10〜20質量%のアルコールを含有することが、支持体上で製膜を行う場合に支持体からの積層体の剥離が容易となり好ましい。
(1−2−ii−2)他の任意成分
第二の層は、任意成分として、一種または二種以上の重合性化合物を含んでもよい。重合性化合物については、先に第一の層に関して記載した通りである。ただし第二の層が重合性化合物を含む場合、第二の層における重合性化合物濃度は、第一の層の重合性化合物濃度より低いものとする。一般に、加熱による樹脂の収縮は、重合性化合物の加熱による重合収縮よりも収縮率が大きい傾向があるため、加熱により第二の層を大きく形状変化(収縮)させる観点から、上記の通りとする。第二の層における重合性化合物濃度は、第二の層を形成するための組成物全量100質量%に対して、例えば5質量%以下であり、好ましくは3質量%以下であり、0質量%であってもよい。
第二の層は、その他の任意成分として、先に第一の層に関して記載した任意成分を、任意の量で含むことができる。
(1−2−iii)第二の層の厚さ
第二の層の厚さは、例えば1μm以上であり、好ましくは5μm以上であり、より好ましくは10μm以上である。なお第二の層が厚く加熱により形状変化する部分が多いことは微細凹凸構造形成の観点から好ましいと考えられる。したがって、第二の層の厚さの上限は特に限定されるものではない。一例として、例えば100μm以下程度とすることができるが、凹凸構造が形成された物品の用途等に応じて適宜設定すればよい。ここで層の厚さとは、先に第一の層の厚さに関し記載した通り、塗布時の設定膜厚でもよく、実測値でもよい。
(1−3.任意の層、支持体)
上記積層体は、第一の層および第二の層を少なくとも含み、これら二層のみから構成されていてもよく、ベースフィルム等の支持体や、他の層の一層以上を含んでいてもよい。また、凹凸構造を形成すべき物品の表面に第一の層と第二の層を有する積層体を形成することも可能である。層の形成は平面上のみならず曲面上でも可能であるため、積層体を設ける支持体や物品の表面形状は問わない。また、上記の他の層の一例としては、第二の層と支持体や物品との密着性を向上するための易接着層や粘着層を挙げることができる。これらの層としては、公知のものを何ら制限なく適用することができる。また、第二の層の両面にそれぞれ第一の層を形成し、それぞれの第一の層に後述するパターン露光を行った後に積層体を加熱することにより、両表面に凹凸構造を有する物品を得ることもできる。このように第一の層が複数含まれる積層体においては、複数含まれる第一の層の処方や厚みは同じでもよく、異なっていてもよい。
<2.積層体の形成方法>
以上説明した積層体は、第一の層および第二の層を、流延製膜法、より詳しくは共流延法もしくは逐次流延法、または公知の塗布装置を用いる塗布法等の製膜法により形成することによって、作製することができる。流延製膜法により製造する場合には、まず、各層を形成するための組成物(ドープ)を調製する。共流延法(重層同時流延)は、流延用支持体(バンドまたはドラム)の上に、各層の流延用ドープを別のスリットなどから同時に押出す流延用ギーサからドープを押出して、各層同時に流延し、適当な時期に支持体から剥ぎ取って、乾燥しフィルムを成形する流延法である。一方、逐次流延法は、流延用支持体の上に、まず一層目の流延用ドープを流延用ギーサから押出して、流延し、乾燥し、または乾燥することなく、その上に二層目の流延用ドープを流延用ギーサから押出して流延することにより逐次ドープを流延・積層して、適当な時期に支持体から剥ぎ取って乾燥させ製膜する流延法である。塗布法は、バーコータ―、ブレードコーター、ダイコーター、グラビアコーター等の塗布装置を用いて行うことができ、カーテンコートやディップコートといった方法によって行うこともできる。塗布法では、一般的には、一層目の層を任意の製膜法によりフィルム状に製膜し、二層目の層を形成するための組成物を適当な塗布装置を用いて一層目の層の表面に塗布し乾燥させ、積層体を作製する。生産性の観点からは、流延製膜法が好ましく、共流延法がより好ましい。また、流延製膜法、塗布法とも、一層目の層が湿潤状態のうちに二層目の層を積層する態様と、一層目の層の乾燥後に二層目の層を積層する態様があり、いずれの態様を用いてもよい。積層体の密着性の観点からは、前者の態様が好ましい。
第一の層と第二の層とを支持体上に形成する態様において、パターン露光前に第一の層と第二の層を含む積層体を支持体から剥離する場合には、第一の層と第二の層のいずれの層が支持体側であってもよい。また、こうして剥離された積層体を、凹凸構造を形成すべき物品表面に貼り合せた後に、パターン露光を行うこともできる。貼り合せは、粘着層による貼り合せ等の公知の貼り合せ方法により行うことができる。一方、支持体や凹凸構造を形成すべき物品上でパターン露光を行う場合には、パターン露光される第一の層が空気界面側、第二の層が支持体側に位置するように、二層を積層すればよい。
積層体は、必要に応じて任意に乾燥工程に付された後、パターン露光される。乾燥工程は、加熱炉内への配置、加熱炉内での搬送、温風の吹き付け等により行うことができる。乾燥時の加熱温度は、重合性化合物の重合反応の進行や樹脂の大きな熱収縮が生じない程度の温度、例えば、50℃以上100℃以下の温度とすることが好ましい。ここで加熱温度とは、温風の温度または加熱炉内の雰囲気温度をいうものとする。後述するパターン露光後の積層体の加熱についても同様である。
<3.パターン露光>
上記製造方法では、パターン露光により露光された露光部が凸部となる、いわゆるネガ型の凹凸形成が行われる。したがって、パターン露光は、第一の層の表面の凸部を形成したい部分が露光されるように行われる。パターン露光の手法はフォトレジスト等の分野において既に公知であり、上記製造方法におけるパターン露光には、それら公知技術を何ら制限なく適用することができる。例えば、光源と積層体の第一の層表面との間にフォトマスク(露光マスク)を配置してパターン露光を行う方法、フォトマスクを介さずに、第一の層表面にレーザー光をスポット状に直接照射する方法(いわゆる直接描画法、パターン直接露光法)のいずれを用いてもよい。フォトマスクを配置してパターン露光を行う方法は、フォトマスクを第一の層の表面と間隔をおいて配置する非接触方式と第一の層表面上に配置する接触方式に大別される。いずれの方式を用いてもよいが、フォトマスクとの接触による第一の層の表面性の変化や塵・埃の付着等がない点からは、非接触方式が好ましい。非接触方式には、プロキシミティ露光とプロジェクション露光があるが、いずれの露光方式を採用してもよい。
パターン露光のために用いる光の波長は、第一の層に含まれる重合性化合物および重合開始剤の種類に応じて決定すればよい。光照射のための光源としては、例えば、150〜450nm波長域の光を発する高圧水銀ランプ、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、無電極放電ランプ、LED等を挙げることができる。また、露光量は、例えば50〜1000mJ/cm程度とすることができるが、凸部において重合反応が進行し凸部が硬化する露光量とすればよく、上記範囲に限定されるものではない。
<4.パターン露光後の積層体の加熱>
第一の層の表面へのパターン露光後、積層体を加熱する加熱処理を行う。加熱処理は、加熱炉内への配置、加熱炉内での搬送、温風の吹き付け等により行うことができる。加熱処理における加熱温度は140〜200℃とすることが好ましく、加熱時間は2〜200分間とすることが好ましい。ここでの加熱により重合性化合物の熱重合に伴う重合収縮および樹脂の収縮が発生することが、パターン露光された露光部が凸部となる凹凸形状の形成に寄与していると、本発明者らは考えている。この点に関する本発明者らによる推察については、先に記載した通りである。
こうして凹凸構造が形成された積層体はそのまま、または用途に応じた形状に裁断して、凹凸構造を有する物品として用いることができる。または、積層体を公知の貼り合せ方法により物品表面に貼り合せることにより、凹凸構造を有する物品を得ることもできる。凹凸構造を有する物品は、例えばフィルム状の物品であることができる。ただし、フィルム状の積層体を任意の形状の物品に貼り合せたものであってもよく、物品の形状は限定されるものではない。
また、凹凸構造を有する表面、他方の表面の一方または両方に、他の層の一層以上を任意に形成することもできる。なお上記製造方法により製造された物品は、凹凸構造を物品最表面に有するものに限定されず、凹凸構造を有する表面に他の層が形成された結果、二層の界面に凹凸構造を有する物品も包含される。このように界面に凹凸構造を有することは、例えば、二層の界面の密着向上等に寄与することができる。
上記製造方法によれば、微細な凹凸構造をはじめとする様々な形状・サイズの凹凸構造を有する物品を製造することができる。サイズについては、例えば一例として、実施例で示すような微細な凹凸構造の形成が可能である。ただしもちろん、実施例で示す凹凸構造よりもサイズの大きな凹凸構造を有する物品の製造方法としても、上記製造方法は好適である。
また、形成される凹凸構造の形状は、特に限定されるものではない。例えば、一態様では、凹凸構造は、多角錐様形状、円錐様形状、部分回転楕円体様形状、および部分球様形状からなる群から選択される形状が、二次元的に配置されることにより形成されている。また他の一態様では、凹凸構造は、部分円柱様形状、部分楕円柱様形状および角柱様形状からなる群から選択される形状が、一次元的に配置されることにより形成されている。
一態様では、上記形状は凸部形状である。また、他の一態様では上記形状は凹部形状である。例えば、上記形状に対応する開口部を有する露光マスクを用いてパターン露光を行うことにより、上記形状の凸部を有する凹凸構造を形成することができる。また、上記形状に対応する部分が非露光部となるような隔壁パターンを有する露光マスクを用いることにより、上記形状の凹部を有する凹凸構造を形成することができる。
ここで、一次元的に配置されているとは、上記形状が積層体表面(パターン露光された表面)の一方向のみに、即ち平行に配置されていることをいう。このような凹凸構造は、ラインアンドスペースパターンと呼ばれることもある。
これに対し、二次元的に配置されているとは、上記形状が積層体表面の二方向以上に配置されていることをいう。例えば、ある方向と、この方向に直交する方向との二方向に形成されていることや、規則的に形成されている態様に限らず、不規則に(ランダムに)形成されている態様も包含される。また、凹凸構造は、モスアイ構造と呼ばれる微細凹凸構造であることもできる。
なお本発明および本明細書において、直交、平行等の角度に関する記載については、本発明が属する技術分野において許容される誤差の範囲を含むものとする。例えば、厳密な角度±10°未満の範囲内であることを意味し、厳密な角度との誤差は、5°以下であることが好ましく、3°以下であることがより好ましい。また、「多角錐様形状」とは、完全な多角錐形状のみならず、多角錐に近似する形状も含む意味で用いるものとする。
[凹凸構造を有する物品]
本発明の更なる一態様は、上記製造方法により製造された、凹凸構造を有する物品(以下、単に物品とも記載する。)に関する。その製造方法、凹凸構造の詳細等については、先に記載した通りである。
上記製造方法により製造された物品であることは、一態様では、凹凸構造を有する面から物品の厚み方向に向かって、重合性化合物の重合体の濃度が低下する濃度勾配を有することにより、確認することができる。上記製造方法では、第二の層が重合性化合物を含む場合、第二の層の重合性化合物濃度は、第一の層の重合性化合物濃度より低いからである。また、二層の形成を、共流延のように一層目の層が湿潤状態のうちに二層目の層を積層する態様により行い製造された物品では、第一の層と第二の層との界面において成分の混合や層間移動が起こる結果、凹凸構造を有する面から物品の厚み方向に向かって、重合性化合物の重合体の濃度が連続的に低下する濃度勾配が確認される場合がある。一方、二層の形成を、一層目の層の乾燥後に二層目の層を積層する態様により行い製造された物品では、上記のような成分の混合や層間移動が起こり難いため、第一の層と第二の層との界面付近で、重合性化合物の重合体の急激な濃度低下(断続的な濃度低下)が確認される場合がある。
また、一態様では、凹部に最表層領域として、この領域よりも下に位置する領域と比べ重合性化合物の重合体が高濃度で検出される領域を有する物品も、上記製造方法により製造することができる。したがって、そのような物品も、上記の凹凸構造を有する物品の一態様として挙げられる。かかる表層領域は、パターン露光後の加熱中に、凹部表面に重合性化合物が染み出し、この染み出した重合性化合物が加熱により重合したことにより形成されたものであると、本発明者らは推察している。
また、上記製造方法により製造された物品は、一態様では、凹凸構造を有する面から物品の厚み方向に向かって、樹脂の濃度が増加する濃度勾配を有することもできる。濃度勾配は、連続的に増加してもよく、断続的に増加してもよい。詳細は、重合性化合物の重合体の濃度勾配についての上記記載を参照できる。このように、凹凸構造を有する表面を備えた領域の下層領域として、凹凸構造を有する表面を備えた領域よりも樹脂濃度の高い領域を有することは、物品の脆性向上に寄与すると、本発明者らは推察している。詳しくは、一般的に、重合性化合物の重合体は樹脂(中でも有機溶剤可溶性樹脂)よりも硬く脆いのに対し、樹脂は重合性化合物の重合体と比べ柔らかいことが、物品の脆性向上に寄与すると、本発明者らは考えている。
なお上記物品における重合性化合物の重合体の濃度勾配は、例えばラマン分光法による組成分析によって確認することができる。分析条件等の詳細については、後述の実施例を参照することができる。
以上説明した凹凸構造を有する物品は、例えば、反射防止膜、集光効果を示す輝度向上膜(例えばプリズムシート)等として液晶表示装置等のフラットパネルディスプレイの構成部材として用いることができる。または、培養した細胞の剥離を容易にするために凹凸構造を有する細胞培養シートとして、上記の凹凸構造を有する物品を使用することもできる。以上の適用例はあくまでも一例であって、上記の凹凸構造を有する物品は、フラットパネルディスプレイ用途、半導体製造分野、バイテクノロジー、医薬分野等の様々な用途・分野において使用することができる。
以下に実施例に基づき本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
[実施例1−1]
<第一の層形成用組成物(重合性化合物含有セルロースアシレートドープA)の調製>
下記組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、ドープAを調製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
セルロースアセテート(置換度2.86、重合度350) 100質量部
ペンタエリスリトールテトラアクリレート 100質量部
(新中村化学製A−TMMT)
光重合開始剤(BASF社製 Irg OXE−01) 5質量部
フッ素系レベリング剤 0.1質量部
(DIC製メガファック(日本登録商標)F−784)
メチレンクロライド 525質量部
メタノール 133質量部
1−ブタノール 7質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
表1中、「TAC」と記載。)
<第二の層形成用組成物(セルロースアシレートドープB)の調製>
下記組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、ドープBを調製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
セルロースアセテート(置換度2.86、重合度350)
固形分濃度(組成物全量100質量%に対して) 24質量%
(溶剤組成比:溶剤全量100質量%に対して、括弧内はセルロースアセテート100質量部に対する含有量)
メチレンクロライド 79質量%(625質量部)
メタノール 20質量%(158質量部)
1−ブタノール 1質量%( 8質量部)
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
<セルロースアシレートフィルムの流延製膜>
上記のドープA、Bを用い、空気面側から支持体面側に向かってドープA、ドープBの順序になるように、それぞれの膜厚(設定膜厚)が表1記載の値になるようにギャップを調整したアプリケーターにてガラス(支持体)表面に共流延した。その後、加熱オーブン(エスペック株式会社製恒温器セーフティーオーブンSPHH−202)にて70℃で6分間乾燥処理した。
その後、ドープAの塗布層(第一の層)とドープBの塗布層(第二の層)が積層された積層体(共流延サンプル)をガラス面から剥ぎ取り、ドープAの塗布層の表面が石英露光マスクと間隔をあけて向き合うように四辺を固定して配置し、超高圧水銀灯を有するプロキシミティ型露光機(日立ハイテク電子エンジニアリング(株)製)を用いて、石英露光マスクを介して表1に示す露光量にてプロキシミティ露光(パターン露光)した。
その後、上記の乾燥処理で用いた加熱オーブンにて190℃で20分間加熱処理を行い、パターニングサンプル(フィルムサンプル)を得た。
[実施例1−2〜1−6]
ペンタエリスリトールテトラアクリレートの添加量、第一の層、第二の層の設定膜厚、パターン露光時の露光量を表1に示す値とした点以外、実施例1と同様にパターニングサンプルを得た。
[実施例2−1、2−2]
実施例1−1のペンタエリスリトールテトラアクリレート(新中村化学製A−TMMT)に代えて、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬製KAYARAD DPHA)を表1に示す添加量で用いた点以外、実施例1と同様にドープAを作製した。
作製したドープAを用いて、パターン露光時の露光量を表1に示す値とした以外、実施例1−1と同様にパターニングサンプルを得た。
[実施例3−1]
実施例1−1のペンタエリスリトールテトラアクリレート(新中村化学製A−TMMT)に代えて、10官能ウレタンアクリレート(日本合成化学製UV−1700B)を表1に示す量で用いた点以外、実施例1と同様にドープAを作製した。
作製したドープAを用いた点以外、実施例1−1と同様にパターニングサンプルを得た。
[実施例3−2〜3−5]
ドープAへの10官能ウレタンアクリレート(日本合成化学製UV−1700B)の添加量、第一の層、第二の層の設定膜厚、およびパターン露光時の露光量を表1に示す値とした以外、実施例3−1と同様にパターニングサンプルを得た。
[実施例4−1、4−2]
実施例1−1のセルロースアセテートに代えて、ドープA、ドープBに含まれる樹脂としてポリメチルメタクリレート(PMMA)ポリマー(重量平均分子量1,300,000;表1中、「PMMA」と記載。)を用いた点以外、実施例1と同様にドープA、Bを作製した。
作製したドープA、Bを用いた点以外、実施例1−1と同様にパターニングサンプルを得た。
[実施例5]
実施例1−1のドープBのセルロースアセテートに代えて、実施例4−1、4−2と同様のPMMAポリマーを用いた点以外、実施例1−1と同様にドープBを作製した。
作製したドープBを用いた点以外、実施例1−1と同様にパターニングサンプルを得た。
<凹凸構造の観察>
以上のパターン露光では、露光用の開口部の形状が正方形であり、隣り合う正方形の間隔(ピッチ)が20μmの露光パターンを有する露光マスクを用いた。露光用の開口部の正方形の一辺の長さは、表1に示す長さとして、各種サイズの凹凸構造の形成を行った。
上記実施例で作製したパターニングサンプル表面(パターン露光された表面)を、非接触表面・層断面形状計測システム(株式会社菱化システム製VertScan2.0)で観察し、四角柱形状の凸部と凹部を有する凹凸構造が形成されていることを確認した。更に、観察結果から、凹凸構造の段差(凸部の上面と隣接する凹部の底面の鉛直方向における最大距離)の平均値を求めた。結果を、凹凸段差として、表1に示す。
<ラマン分光法によるパターニングサンプルの組成分析>
共焦点ラマン顕微鏡(東京インスツルメンツ製:NanoFinder30)を用いて、各実施例のパターニングサンプル(フィルムサンプル)の組成分析を行った。励起波長は785nm、レーザーパワーは18mWとし、100倍の対物レンズを使用した。積算時間は120秒とした。
各パターニングサンプルの四方の外側面からそれぞれ1cm以上離れた位置から、20cm四方のパターニングサンプルを切り出して測定試料とした。切り出した20cm四方の測定試料において、5cm間隔で測定試料を切断して得られた3つの切断面において、それぞれ5cm間隔で厚み方向における測定位置を決定した。こうして9つの測定位置が決定される。各測定位置において、共流延時の空気面側表面からフィルム厚さ方向0.5μm間隔の測定箇所で上記ラマン顕微鏡を用いたラマン分光法(顕微ラマン分光法)による組成分析を行った。ここで測定間隔を0.5μmとした理由は、ラマン分光法による測定の空間分解能を考慮したものである。
各測定箇所において、ドープAの調製に用いた多官能重合性化合物の重合体およびドープA、Bの調製に用いた樹脂の含有量を測定した。
凸部、凹部とも、フィルム厚み方向に向かって、重合性化合物の重合体と樹脂の含有率が徐々に変化し、フィルム厚み方向(下方)に向かうほど重合性化合物の重合体の含有量が徐々に減少していることが確認された。
また、実施例3−1のパターニングサンプルでは、凸部では重合性化合物の重合体と樹脂(セルロースアセテート)はドープAの調合比率から算出される理論比とほぼ同等の比率で検出されたが、凹部の空気面側表面から厚み方向2.0μm未満までの測定箇所では上記重合体の含有率の測定値は100質量%であり、樹脂(セルロースアセテート)は検出されなかった。これに対し、空気面側表面から厚み方向2.0μmの部分では上記重合体の含有率の測定値は20質量%であり、さらに厚み方向(共流延時支持体側表面へと向かうにしたがって上記重合体の含有率は漸減し、支持体面側表面上の測定箇所では10質量%であり、上記重合体以外に樹脂(セルロースアセテート)が検出された。
[各種サイズ・形状の凹凸構造を有する物品の製造例(実施例)]
図1に、実施例1−1において、使用する露光マスクのパターン形状を変更して作製したパターニングサンプル表面を、非接触表面・層断面形状計測システムで観察して得た画像を示す。図1(a)〜(d)に示すパターニングサンプルは、以下の露光マスクを使用して作製した。非接触表面・層断面形状計測システムによる観察結果から求められた凹凸段差も、以下に示す。
図1(a):非露光部が一辺50μmの正方形、非露光部の間隔(ピッチ)が20μmとなるような隔壁パターンを有する露光マスクを使用。形成された凹凸構造の凹凸段差は、2800nmであった。
図1(b):露光用の開口部の形状が一辺50μmの正方形であり、隣り合う正方形の間隔(ピッチ)が20μmの露光パターンを有する露光マスクを使用。形成された凹凸構造の凹凸段差は、3400nmであった。
図1(c):露光用の開口部の形状が一辺5μmの正方形であり、隣り合う正方形の間隔(ピッチ)が20μmの露光パターンを有する露光マスクを使用。形成された凹凸構造の凹凸段差は、1700nmであった。
図1(d):ラインアンドスペースパターン形成用の露光マスクを使用(露光用の開口部の幅50μm、隣り合う開口部の間隔(ピッチ)100μm)。形成された凹凸構造の凹凸段差は、43nmであった。
図2に、実施例2−1において、使用する露光マスクのパターン形状を変更して作製したパターニングサンプル表面を、非接触表面・層断面形状計測システムで観察して得た画像を示す。図2(a)〜(d)に示すパターニングサンプルは、以下の露光マスクを使用して作製した。
図2(a):非露光部が一辺50μmの正方形、非露光部の間隔(ピッチ)が20μmとなるような隔壁パターンを有する露光マスクを使用。形成された凹凸構造の凹凸段差は、610nmであった。
図2(b):露光用の開口部の形状が一辺50μmの正方形であり、隣り合う正方形の間隔(ピッチ)が20μmの露光パターンを有する露光マスクを使用。形成された凹凸構造の凹凸段差は、1010nmであった。
図2(c):露光用の開口部の形状が一辺5μmの正方形であり、隣り合う正方形の間隔(ピッチ)が20μmの露光パターンを有する露光マスクを使用。形成された凹凸構造の凹凸段差は、568nmであった。
図2(d):ラインアンドスペースパターン形成用の露光マスクを使用(露光用の開口部の幅50μm、隣り合う開口部の間隔(ピッチ)100μm)。形成された凹凸構造の凹凸段差は、152nmであった。
図3に、実施例3−1において、パターン露光時の露光量を1000mJ/cmに変更するとともに、使用する露光マスクのパターン形状を変更して作製したパターニングサンプル表面を、非接触表面・層断面形状計測システムで観察して得た画像を示す。 図3(a)〜(d)に示すパターニングサンプルは、以下の露光マスクを使用して作製した。
図3(a):非露光部が一辺5μmの正方形、非露光部の間隔(ピッチ)が20μmとなるような隔壁パターンを有する露光マスクを使用。形成された凹凸構造の凹凸段差は、75nmであった。
図3(b):露光用の開口部の形状が一辺20μmの正方形であり、隣り合う正方形の間隔(ピッチ)が20μmの露光パターンを有する露光マスクを使用。形成された凹凸構造の凹凸段差は、400nmであった。
図3(c):露光用の開口部の形状が一辺5μmの正方形であり、隣り合う正方形の間隔(ピッチ)が20μmの露光パターンを有する露光マスクを使用。形成された凹凸構造の凹凸段差は、600nmであった。
図3(d):ラインアンドスペースパターン形成用の露光マスクを使用(露光用の開口部の幅50μm、隣り合う開口部の間隔(ピッチ)100μm)。形成された凹凸構造の凹凸段差は、500nmであった。
図4に、実施例2−1において、露光用の開口部の形状が一辺5μmの正方形であり、隣り合う正方形の間隔(ピッチ)が20μmの露光パターンを有する露光マスクを用いて作製したパターニングサンプル表面(パターン露光された表面)を、走査型電子顕微鏡(SEM)で倍率を変更して撮影したSEM画像を示す。
図1〜4に示す画像から、いずれの実施例でも、明確な凹凸構造が形成されていることが確認できる。
[比較例1]
実施例1−3で作製したドープAを用いて、表1に示す設定膜厚で単層フィルムを流延製膜により作製した点以外、実施例1−3と同様の工程を実施しフィルムサンプルを得た。
[比較例2]
実施例4−2で作製したドープAを用いて、表1に示す設定膜厚で単層フィルムを流延製膜により作製した点以外、実施例4−2と同様の工程を実施しフィルムサンプルを得た。
比較例1、2のフィルムサンプルを、実施例の凹凸構造の観察で用いた非接触表面・層断面形状計測システムにより観察したが、明確な凹凸構造は観察されなかった。
比較例1、2のフィルムサンプルについて、上記と同様にラマン分光法による組成分析を行ったが、ドープAに含まれる重合性化合物の重合体の濃度分布は確認されなかった。
<脆性(裁断性)の評価>
実施例、比較例で作製したフィルムサンプルから3cmx3cm角に切り取ったサンプルにNT社製カッターで直線状に切り目を4箇所入れた。この切り目の部分の状態を目視で観察し、下記評価基準により評価した。下記評価基準による評価結果が良好なほど、凹凸構造が形成された積層体を用途に応じた形状に裁断する際、裁断箇所における欠けや割れの発生がないか、または発生が少ない(裁断性が良好)と判断することができる。
評価基準
A:ほぼ直線状に切り目が入り、切り目の淵に欠けた部分が視認されない。
B:切り目の淵に欠けた部分が少し視認される。
C:切り目の淵に欠けた部分が多数視認される、またはサンプルが割れている。
評価結果は、実施例4−1、4−2、実施例5はB、その他の実施例はA、比較例1、2はCであった。以上の結果から、以下の点が確認できる。
第一の層と第二の層を有する積層体から作製された実施例のフィルムサンプルは、単層フィルムである比較例1、2のフィルムサンプルと比べて脆性(裁断性)が良好であった。
実施例同士の対比からは、樹脂としてセルロースアシレート(セルロースアセテート)を使用した実施例の脆性(裁断性)が、(メタ)アクリル系樹脂(ポリメチルメタクリレートポリマー)を使用した実施例と比べ良好であった。なお実施例5では、第一の層にセルロースアシレート(セルロースアセテート)を使用したが、第二の層で使用した樹脂と異種の樹脂を使用したため層間の密着が十分でなかったことが、第一の層、第二の層とも同種の樹脂(セルロースアシレート(セルロースアセテート))を使用した実施例1−1〜実施例3〜5と脆性(裁断性)に違いが生じた理由と考えられる。
本発明は、物品に凹凸構造を形成することが求められる様々な用途・分野において有用である。

Claims (10)

  1. 重合性化合物および光重合開始剤を少なくとも含む第一の層と、第一の層と隣接する樹脂含有層である第二の層と、を有する積層体を形成すること、ただし第二の層が重合性化合物を含む場合、第二の層の重合性化合物濃度は第一の層の重合性化合物濃度より低い;
    前記積層体の第一の層の表面にパターン露光すること;ならびに、
    前記パターン露光後の積層体を加熱すること;
    により、パターン露光により露光された露光部が凸部となる凹凸構造を形成すること、
    を含む、凹凸構造を有する物品の製造方法。
  2. 第一の層および第二の層を、共流延により形成する請求項1に記載の凹凸構造を有する物品の製造方法。
  3. 第一の層は、樹脂を更に含む請求項1または2に記載の凹凸構造を有する物品の製造方法。
  4. 第一の層に含まれる樹脂は、第二の層に含まれる樹脂と同種の樹脂である請求項3に記載の凹凸構造を有する物品の製造方法。
  5. 前記重合性化合物は、エチレン性不飽和結合を含む重合性基を有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の凹凸構造を有する物品の製造方法。
  6. 前記エチレン性不飽和結合を含む重合性基は、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、アクリロイル基およびメタクリロイル基からなる群から選ばれる重合性基である請求項5に記載の凹凸構造を有する物品の製造方法。
  7. 前記重合性化合物は、2官能以上の多官能重合性化合物である請求項1〜6のいずれか1項に記載の凹凸構造を有する物品の製造方法。
  8. フィルム状の物品である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の凹凸構造を有する物品の製造方法。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の製造方法により製造された、凹凸構造を有する物品。
  10. 凹凸構造を有する面から厚み方向に向かって、前記重合性化合物の重合体の濃度が低下する濃度勾配を有する、請求項9に記載の凹凸構造を有する物品。
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