本発明の粉体粒子の熱処理装置は、基本構成として、
円筒状の外壁と、該外壁内部の体積を規制するよう外壁中心軸と同軸上に配置された円柱状規制部材で形成される該粉体粒子の熱処理が行われる同軸2重円筒状の処理室と;
該処理室の円筒状外壁の内面と円柱状規制部材の外面を冷却する壁面冷却手段と;
該処理室に該粉体粒子を供給するための粉体供給手段と;
供給された該粉体粒子を熱処理するための熱風供給手段と;
冷風を該処理室内に供給する冷風供給手段と;
熱処理された粉体粒子を該処理室外に排出する排出手段と;
を有しており、
該熱風供給手段は、該熱風を該処理室において螺旋状に旋回させるための旋回部材を具備し、該粉体供給手段と該冷風供給手段は、該処理室の円筒状外壁の内周面に沿って該熱風の旋回方向と同方向に供給する様に設けられ、該処理室の上端は、該熱風供給手段を支持する該装置天面で規定され、該処理室の下端は、該円柱状規制部材を支持する該装置底面で規定され、該円柱状規制部材は、該上下端を規定された該円柱外壁内部体積の55%以上を規制することを特徴としている。
以下、好ましい実施の形態を挙げて上記構成の本発明を更に詳細に説明する。
まず、本発明に用いる熱処理装置の概略を、図1、図2、図3、図9を用いて説明する。
図1は本発明による熱処理装置の一例を示した概略的斜視図である。また、図2は図1におけるA−A’面での概略的断面図である。
図1、図2に示す様に、本発明の熱処理装置は円筒状外壁1と該円筒状外壁内周面内部の体積を規制するよう円筒状外壁中心軸と同軸上に配置された円柱状規制部材2で形成される、粉体粒子の熱処理が行われる同軸2重円筒状の処理室3を持つ。更に処理室3に熱風を供給する熱風供給手段4を円柱状規制部材2の上部に持つ。更に粉体粒子を供給する粉体供給手段5と、冷風を供給する第一冷風供給手段6及び第二冷風供給手段7及び第三冷風供給手段8と、処理室3から粉体を排出する排出手段9を持つ。
本発明の熱処理装置において、円筒状外壁1の内面径T(mm)は350mm≦T≦900mmであることが好ましく、より好ましくは350mm≦T≦550mmである。円筒状外壁1の内面径が上記の範囲内であれば粉体粒子を効率良く熱処理することが出来る。円筒状外壁1の内面径TがT<350mmとなると処理室3内での粉体粒子濃度が大きくなるため、処理量を増加させることが出来ない場合がある。また550mm<Tになると処理室の体積に対する壁面からの冷却が強くなり熱効率が低下する場合がある。更に900mm<Tとなるとブロワーやヒーター、冷風発生装置などの熱処理装置の付帯設備を大型化しなくてはならず、トナーの製造エネルギー上好ましくない場合がある。
更に処理室3を構成する円筒状外壁及び円柱状規制部材は、粉体粒子の融着を防止するため冷却ジャケットによって冷却されていることが好ましい。冷却ジャケットには冷却水(好ましくはエチレングリコール等の不凍液)を導入し、処理室内面の表面温度が40℃以下であることが望ましい。処理室内面の表面温度が40℃以下であることにより、ワックスを含有するトナー用粉体粒子を熱処理した際に熱処理装置内の融着を軽減することが出来る。
本発明の熱処理装置において粉体粒子を熱処理するための熱風は、熱風供給手段4から供給される。近年要求されるトナーの転写性の向上に対応するためには熱処理された粉体粒子の平均円形度は0.960以上であることが好ましく、更に好ましくは0.965以上である。このため処理室内に供給される熱風は、熱風供給手段4の出口部での温度N(℃)が100℃≦N≦300℃であることが好ましい。Nが100℃より低いと粉体粒子の球形化が十分に出来ない場合があり、また300℃より高いと粉体粒子が高温になり過ぎて粒子同士の合一や装置内で融着を引き起こす場合がある。
また本発明の熱風供給手段4は熱風を旋回させるための旋回部材10を具備している。旋回部材8は処理室内で熱風を螺旋流にすることが出来る構成であれば良い。その構成としては図3に示す様に熱風を旋回させるための旋回部材10は複数のブレード11を有しており、その枚数や角度により熱風の旋回を制御することが出来る。また図3に示す様に熱風は複数のブレード11の間から処理室に導入されるため、その枚数が多い程ブレード間の隙間G(mm)が狭くなる。結果、供給される熱風の流速が速くなり熱処理に好ましくない速度となる場合がある。そのため本発明において例えば処理室の内径Tが450mmの場合、ブレードの隙間Gは5mm≦G≦40mmが好ましい。
G<5mmでトナー用粉体粒子の熱処理を行う場合、熱風の高速流に起因する熱効率の低下が懸念される。また40mm<Gの場合、処理室に導入された熱風の旋回速度が遅くなるため粉体粒子に十分な遠心力を与えることが出来なくなり、熱処理時の粉体粒子の合一が増加してしまう場合がある。
更に熱風供給手段3は略円錐状の分配部材12を持つことが好ましい。熱風供給手段4が略円錐状の分配部材12を持つことにより処理室3に供給された熱風の偏りを無くすことが出来、粉体粒子を熱処理する際に過剰な温度をかける必要が無くなる。
本発明の熱処理装置の粉体供給手段5は熱風供給手段の下流に円筒状外壁1の内周面に設けられ、粉体粒子は高圧エア供給ノズル(図示せず)からの搬送気体によって搬送され処理室に供給される。この時、粉体供給手段5は搬送気体が円筒状外壁内周面の接線に沿い、且つ装置内の熱風螺旋流の方向と一致して供給される様に配置される。これにより粉体粒子を含む搬送気流が処理室に入った瞬間の乱気流が防止出来るため、粗大粒子の発生を抑制することが出来る。
更に粉体供給手段は円筒状の処理室の中心軸と直交する同一断面上に複数口設けられている。粉体供給手段の分割数が多いほど一口当たりの粉体粒子濃度を低下することが出来る。そのため分割数に応じて熱処理に必要な熱風温度を低下させる事が可能となる。また同様の理由で粉体粒子の処理量が増加した場合、合一粒子の発生を防止することが可能となる。尚、本発明の熱処理装置の粉体供給手段の分割数は例えば円筒状外壁の内面径が450mmの場合は、4分割から12分割の間が好ましく、より好ましくは8分割導入である。粉体供給手段が8分割の場合、熱風温度の低減と合一粒子の増加に対し最大の効果がある。4分割未満であると上述の粉体供給手段一口当たりの粉体濃度の低減効果が限定的で処理量の増加が見込めない。また12分割を超えると粉体供給手段出口同士が近すぎるため、分割導入された粉体粒子が処理室内で再度合流し、熱風温度の低減と合一粒子の低下が見込めない。
本発明の熱処理装置において、熱処理された粉体粒子は粉体供給手段の下流に設置された第一冷風供給手段6及びその下流に設置される第二冷風供給手段7及びその下流にある第三冷風供給手段8から供給される冷風によって冷却される。
本発明の熱処理装置の第一冷風供給手段6及び第二冷風供給手段7は、粉体供給手段5同様、供給された冷風が円筒状外壁1の内周面に沿って供給される様に且つ装置内螺旋流の方向と一致する様に且つ円筒状外壁の中心軸と直交する同一断面上に複数口設けられている。これにより装置内に冷風が導入された瞬間の乱気流を防止出来、合一粒子の発生を抑制することが出来る。
尚、粉体供給手段5から第一冷風供給手段6までの領域は粉体粒子の熱処理ゾーンとなる。このため第一冷風供給手段は粉体粒子の熱変形が十分に完了した位置に配置すれば良い。
また本発明の熱処理装置の第一冷風供給手段6及び第二冷風供給手段7は、分割数が多いほど熱処理された粉体粒子を冷却する効率が高まる。これによって粉体粒子の冷却ムラが抑制され、円形度のそろった粉体粒子を製造することが可能となる。尚、本発明の熱処理装置の第一冷風供給手段6及び第二冷風供給手段7の分割数は、粉体供給手段5と同じである8分割とした。
本発明の熱処理装置の第三冷風供給手段8は3分割し、供給された冷風が円筒状外壁1の内周面に沿って供給されるよう且つ装置内螺旋流旋回方向を維持する様に円筒状外壁内周面下端部に配置する。これによって底面に滞留融着する粉体粒子を防止することが出来る。
本発明の熱処理装置では、熱処理された粉体粒子を処理室外に排出する排出手段9を持つ。図1、2に示す様に、排出手段9は装置内螺旋流旋回方向を維持する様に円筒状外壁の下端部に設けている。
これによって粉体粒子にかかる遠心力を利用して、粉体粒子の乱れを防止しつつ速やかに装置外へ排出することが可能となり、円筒状外壁及び円柱状規制部材への付着、融着が軽減される。なお排出手段の先にはブロワー(不図示)が設けられ、ブロワーにより吸引搬送される構成となる。
本発明の熱処理装置において、装置内に供給される圧縮エア、熱風及び冷風の流量の総量QINとブロワーにより吸引される風量QOUTの関係は、QIN≦QOUTの関係となる様に調整されるのが好ましい。QIN≦QOUTであれば装置内の圧力が負圧となるため、処理室内のトナー粒子が装置外に排出されやすくなり粉体粒子が過剰に熱を受けることを防止出来る。その結果、合一粒子の増加や装置内の融着を低減することが出来るため長期のトナー製造が可能となる。
本発明の熱処理装置における処理室3は、その上端は熱風供給手段を支持する装置天面で規定され、下端は円柱状規制部材を支持する装置底面で規定される。処理室の内周を形成する円柱状規制部材は、該上下端を規定された円柱外壁内周部体積の55%以上を規制するとしている。粉体供給手段より供給される粉体粒子は、粒子に働く遠心力により円筒状外壁の内周面に沿って旋回進行する。また同様に熱風供給手段から供給される熱風も外壁内周面に近い領域を旋回進行するが、粉体に比べ働く遠心力が弱い。図9は図1の熱処理装置において円筒状外壁内周径を450mm、円柱状規制部材での規制割合を約53%とした時のシミュレーションした結果で、粉体供給手段出口近傍の処理室中心軸と直交する断面での温度分布を示している。カラーバーは絶対温度表示で420〜470Kである。与えた熱風について温度は195℃、流量は28m3/minである。図を見ると外壁近傍では465K(192℃)程度であるが、円柱状規制部材近傍でも450K(177℃)程度と円柱状規制部材近傍まで高温になっていることから、熱風の螺旋領域はより円柱状規制部材に近い領域を含んでいることが分かる。従って規制部材による規制割合が小さい場合、円筒状外壁の内周面を進行する粉体に効率良く熱風を供給出来ないことが分かった。特に円柱状規制部材の規制領域が55%より小さいと、熱効率の低下は大きい。また熱風供給手段で旋回部材10より噴き出た熱風は、処理室内を横断し円柱外壁内周へと向かう。この時規制領域が55%より小さいと熱風供給手段近傍で乱気流が発生し、粗大粒子の増加及び壁面融着が確認された。
更に本発明は、本該熱風処理装置において、該円筒状外壁の内周面径をa、該円柱状規制部材の外周面径をbとした時、√0.55×a≦b≦√0.75×aの式(1)を満たすことを特徴としている。規制領域が75%より大きくなると冷却ジャケットを備えた処理室壁面からの冷却が強くなり、逆に熱効率の悪化が確認された。更に粉体粒子の進行領域を過度に規制することになる為、円柱状規制部材への融着が確認された。この範囲内で規制領域をコントロールすることで熱効率、粗大粒子の発生、壁面融着に対し最適な状態を保持することが出来る。
次に、本発明のトナー粒子製造装置を用いて、トナーを製造する手順について説明する。
まず、原料混合工程では、トナー原料として、少なくとも樹脂、着色剤を所定量秤量して配合し、混合する。混合装置の一例としては、ヘンシェルミキサー(日本コークス社製);スーパーミキサー(カワタ社製);リボコーン(大川原製作所社製);ナウターミキサー、タービュライザー、サイクロミックス(ホソカワミクロン社製);スパイラルピンミキサー(太平洋機工社製);レーディゲミキサー(マツボー社製)等がある。
更に、混合したトナー原料を溶融混練工程にて、溶融混練して、樹脂類を溶融し、その中の着色剤等を分散させる。混練装置の一例としては、TEM型押し出し機(東芝機械社製);TEX二軸混練機(日本製鋼所社製);PCM混練機(池貝鉄工所社製);ニーデックス(日本コークス社製)等が挙げられるが、連続生産出来る等の優位性から、バッチ式練り機よりも、1軸または2軸押出機といった連続式の練り機が好ましい。
更に、トナー原料を溶融混練することによって得られる着色樹脂組成物は、溶融混練後、2本ロール等で圧延され、水冷等で冷却する冷却工程を経て冷却される。
上記で得られた着色樹脂組成物の冷却物は、次いで、粉砕工程で所望の粒径にまで粉砕される。粉砕工程では、まず、クラッシャー、ハンマーミル、フェザーミル等で粗粉砕され、更に、クリプトロンシステム(川崎重工業社製)、スーパーローター(日清エンジニアリング社製)等で微粉砕され、トナー微粒子を得る。
得られたトナー微粒子は、分級工程にて、所望の粒径を有するトナー用粉体粒子に分級される。分級機としては、ターボプレックス、ファカルティ、TSPセパレータ、TTSPセパレータ(ホソカワミクロン社製);エルボージェット(日鉄鉱業社製)等がある。
続いて、得られたトナー用粉体粒子を熱処理工程で本発明の熱処理装置を用いて球形化処理を行う。
本発明のトナーの製造方法においては、熱処理工程の前に、得られたトナー用粉体粒子に必要に応じて無機微粒子等を添加しても構わない。トナー用粉体粒子に無機微粒子等を添加する方法としては、トナー用粉体粒子と公知の各種外添剤を所定量配合し、ヘンシェルミキサー、メカノハイブリッド(日本コークス社製)、スーパーミキサー、ノビルタ(ホソカワミクロン社製)等の粉体にせん断力を与える高速撹拌機を外添機として用いて、撹拌・混合する。
本発明のトナーの製造方法では、熱処理工程の前に、トナー用粉体粒子に無機微粉体が添加されていることで、トナー用粉体粒子に流動性が付与され、処理室に導入されたトナー用粉体粒子がより均一に分散して熱風と接触することが可能となり、均一性に優れたトナーを得ることが出来る。
本発明のトナーの製造方法では、熱処理後に粗大な粒子が存在する場合、必要に応じて、分級によって粗大粒子を除去する工程を有していても構わない。粗大粒子を除去する分級機としては、ターボプレックス、TSPセパレータ、TTSPセパレータ(ホソカワミクロン社製);エルボージェット(日鉄鉱業社製)等が挙げられる。
さらに、熱処理後、必要に応じて、粗粒等を篩い分けるために、例えば、ウルトラソニック(晃栄産業社製);レゾナシーブ、ジャイロシフター(徳寿工作所社);ターボスクリーナー(ターボ工業社製);ハイボルター(東洋ハイテック社製)等の篩分機を用いても良い。
尚、本発明の熱処理工程は上記微粉砕後であっても良いし、分級後でも良い。
次に本発明のトナーの製造方法に用いるトナー構成材料について説明する。
本発明で用いられる結着樹脂としては、公知の樹脂が用いられるが、例えば、ポリスチレン、ポリビニルトルエンの如きスチレン誘導体の単重合体;スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−アクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体の如きスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルブチラール、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアクリル樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族石油樹脂が挙げられ、これらの樹脂は単独もしくは混合して用いても良い。
これらの中で、本発明の結着樹脂として好ましく用いられる重合体としては、スチレン系共重合体とポリエステルユニットを有する樹脂である。
スチレン系共重合体に用いる重合性モノマーとしては、次のようなものが挙げられる。例えば、スチレン;o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、m−ニトロスチレン、o−ニトロスチレン、p−ニトロスチレンの如きスチレン及びその誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンの如き不飽和モノオレフィン類;ブタジエン、イソプレンの如き不飽和ポリエン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニルの如きハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニルの如きビニルエステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルの如きα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニルの如きアクリル酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルの如きビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトンの如きビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンの如きN−ビニル化合物;ビニルナフタリン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドの如きアクリル酸もしくはメタクリル酸誘導体。
更に、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸の如き不飽和二塩基酸;マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物の如き不飽和二塩基酸無水物;マレイン酸メチルハーフエステル、マレイン酸エチルハーフエステル、マレイン酸ブチルハーフエステル、シトラコン酸メチルハーフエステル、シトラコン酸エチルハーフエステル、シトラコン酸ブチルハーフエステル、イタコン酸メチルハーフエステル、アルケニルコハク酸メチルハーフエステル、フマル酸メチルハーフエステル、メサコン酸メチルハーフエステルの如き不飽和二塩基酸のハーフエステル;ジメチルマレイン酸、ジメチルフマル酸の如き不飽和二塩基酸エステル;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイヒ酸の如きα,β−不飽和酸;クロトン酸無水物、ケイヒ酸無水物の如きα,β−不飽和酸無水物、前記α,β−不飽和酸と低級脂肪酸との無水物;アルケニルマロン酸、アルケニルグルタル酸、アルケニルアジピン酸、これらの酸無水物及びこれらのモノエステルの如きカルボキシル基を有するモノマーが挙げられる。
更に、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートなどのアクリル酸またはメタクリル酸エステル類;4−(1−ヒドロキシ−1−メチルブチル)スチレン、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルヘキシル)スチレンの如きヒドロキシ基を有するモノマーが挙げられる。
本発明ではポリエステルユニットを有する樹脂が特に好ましく用いられる。前記「ポリエステルユニット」とは、ポリエステルに由来する部分を意味し、ポリエステルユニットを構成する成分としては、具体的には、2価以上のアルコールモノマー成分と2価以上のカルボン酸、2価以上のカルボン酸無水物及び2価以上のカルボン酸エステル等の酸モノマー成分が挙げられる。
本発明に用いられるトナーは、これらのポリエステルユニットを構成する成分を原料の一部とし、縮重合された部分を有する樹脂を用いることが出来る。
例えば、2価以上のアルコールモノマー成分として、具体的には、2価アルコールモノマー成分としては、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.0)−ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA等が挙げられる。
3価以上のアルコールモノマー成分としては、例えばソルビット、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセリン、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等が挙げられる。
2価のカルボン酸モノマー成分としては、フタル酸、イソフタル酸及びテレフタル酸の如き芳香族ジカルボン酸類又はその無水物;コハク酸、アジピン酸、セバシン酸及びアゼライン酸の如きアルキルジカルボン酸類又はその無水物;炭素数6乃至18のアルキル基又はアルケニル基で置換されたコハク酸もしくはその無水物;フマル酸、マレイン酸及びシトラコン酸の如き不飽和ジカルボン酸類又はその無水物;が挙げられる。
3価以上のカルボン酸モノマー成分としては、トリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸やその無水物等の多価カルボン酸等が挙げられる。
また、その他のモノマーとしては、ノボラック型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテル等の多価アルコール類等が挙げられる。
本発明で使用される着色剤としては、以下のものが挙げられる。
黒色着色剤としては、カーボンブラック;磁性体;イエロー着色剤、マゼンタ着色剤及びシアン着色剤とを用いて黒色に調整したものが挙げられる。
マゼンタトナー用着色顔料しては、以下のものが挙げられる。縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アンスラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物が挙げられる。具体的には、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、41、48:2、48:3,48:4、49、50、51、52、53、54、55、57:1、58、60、63、64、68、81:1、83、87、88、89、90、112、114、122、123、144、146、150、163、166、169、177、184、185、202、206、207、209、220、221、238、254、269;C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.バットレッド1、2、10、13、15、23、29、35が挙げられる。
着色剤には、顔料単独で使用してもかまわないが、染料と顔料とを併用してその鮮明度を向上させた方がフルカラー画像の画質の点から好ましい。
マゼンタトナー用染料としては、以下のものが挙げられる。C.Iソルベントレッド1、3、8、23、24、25、27、30、49、81、82、83、84、100、109、121、C.I.ディスパースレッド9、C.I.ソルベントバイオレット8、13、14、21、27、C.I.ディスパーバイオレット1の如き油溶染料、C.I.ベーシックレッド1、2、9、12、13、14、15、17、18、22、23、24、27、29、32、34、35、36、37、38、39、40、C.I.ベーシックバイオレット1、3、7、10、14、15、21、25、26、27、28などの如きの塩基性染料。
シアントナー用着色顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントブルー1、2、3、7、15:2、15:3、15:4、16、17、60、62、66;C.I.バットブルー6、C.I.アシッドブルー45、フタロシアニン骨格にフタルイミドメチルを1乃至5個置換した銅フタロシアニン顔料。
イエロー用着色顔料としては、以下のものが挙げられる。縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アンスラキノン化合物、アゾ金属化合物、メチン化合物、アリルアミド化合物。具体的には、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、16、17、23、62、65、73、74,83、93、95、97,109、110、111、120、127、128、129、147、155、168、174、180、181、185、191;C.I.バットイエロー1、3、20が挙げられる。また、C.I.ダイレクトグリーン6、C.I.ベーシックグリーン4、C.I.ベーシックグリーン6、ソルベントイエロー162などの染料も使用する事が出来る。
また、上記トナーにおいて、結着樹脂に予め、着色剤を混合し、マスターバッチ化させたものを用いることが好ましい。そして、この着色剤マスターバッチとその他の原材料(結着樹脂及びワックス等)を溶融混練させることにより、トナー中に着色剤を良好に分散させる事が出来る。
結着樹脂に着色剤を混合し、マスターバッチ化させる場合は、多量の着色剤を用いても着色剤の分散性を悪化させず、また、トナー粒子中における着色剤の分散性を良化し、混色性や透明性等の色再現性が優れる。また、転写材上でのカバーリングパワーが大きいトナーを得る事が出来る。また、着色剤の分散性が良化することにより、トナー帯電性の耐久安定性が優れ、高画質を維持した画像を得ることが可能となる。
本発明のトナーに用いられるワックスとしては、例えば以下のものが挙げられる。低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、アルキレン共重合体、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスの如き炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスの如き炭化水素系ワックスの酸化物又はそれらのブロック共重合物;カルナバワックスの如き脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスの如き脂肪酸エステル類を一部又は全部を脱酸化したもの。さらに、以下のものが挙げられる。パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸の如き飽和直鎖脂肪酸類;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸の如き不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールの如き飽和アルコール類;ソルビトールの如き多価アルコール類;パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸の如き脂肪酸類と、ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールの如きアルコール類とのエステル類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドの如き脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドの如き飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’ジオレイルセバシン酸アミドの如き不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’ジステアリルイソフタル酸アミドの如き芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムの如き脂肪族金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸の如きビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドの如き脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加によって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物。
これらのワックスの中でも、低温定着性、耐ホットオフセット性を向上させるという観点で、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスの如き炭化水素系ワックス、もしくはカルナバワックスの如き脂肪酸エステル系ワックスが好ましい。本発明においては、耐ホットオフセット性がより向上する点で、炭化水素系ワックスがより好ましい。
本発明では、ワックスは、結着樹脂100質量部あたり1質量部以上20質量部以下で使用されることが好ましい。
また、示差走査熱量測定(DSC)装置で測定される昇温時の吸熱曲線において、ワックスの最大吸熱ピークのピーク温度としては45℃以上140℃以下であることが好ましい。ワックスの最大吸熱ピークのピーク温度が上記範囲内であるとトナーの保存性と耐ホットオフセット性を両立できるため好ましい。
本発明においては、熱処理工程の前に、トナー用粉体粒子に、流動化剤、転写助剤、帯電安定化剤などをヘンシェルミキサーの如き混合機で混合して用いることが出来る。
また、流動化剤としては、流動性が添加前後を比較すると増加し得るものであれば、どのようなものでも使用可能である。例えば、フッ化ビニリデン微粉末、ポリテトラフルオロエチレン微粉末の如きフッ素系樹脂粉末;酸化チタン微粉末、アルミナ微粉末、湿式製法シリカ、乾式製法シリカの如き微粉末シリカ;それらをシラン化合物、及び有機ケイ素化合物、チタンカップリング剤、シリコーンオイルにより表面処理を施した処理シリカを使用することが可能である。
また酸化チタン微粉末であれば、硫酸法、塩素法、揮発性チタン化合物例えばチタンアルコキシド,チタンハライド,チタンアセチルアセトネートの低温酸化(熱分解,加水分解)により得られる酸化チタン微粒子が用いられる。結晶系としてはアナターゼ型,ルチル型,これらの混晶型,アモルファスのいずれのものも用いることが出来る。
そしてアルミナ微粉末であれば、バイヤー法、改良バイヤー法、エチレンクロルヒドリン法、水中火花放電法、有機アルミニウム加水分解法、アルミニウムミョウバン熱分解法、アンモニウムアルミニウム炭酸塩熱分解法、塩化アルミニウムの火焔分解法により得られるアルミナ微粉体が用いられる。結晶系としてはα,β,γ,δ,ξ,η,θ,κ,χ,ρ型、これらの混晶型、アモルファスのいずれのものも用いられ、α,δ,γ,θ,混晶型,アモルファスのものが好ましく用いられる。
前記微粉体は、その表面がカップリング剤やシリコーンオイルによって疎水化処理をされていることがより好ましい。
微粉体の表面の疎水化処理方法は、微粉体と反応あるいは物理吸着する有機ケイ素化合物等で化学的、または物理的に処理する方法である。
上記疎水化処理方法として好ましい方法は、ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成されたシリカ微粒子を有機ケイ素化合物で処理する方法である。そのような方法に使用される有機ケイ素化合物の例は、以下のものが挙げられる。ヘキサメチルジシラザン、トリメチルシラン、トリメチルクロルシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α−クロルエチルトリクロルシラン、β−クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシロキサンおよび1分子当り2から12個のシロキサン単位を有し末端に位置する単位にそれぞれ1個宛のSiに結合した水酸基を含有するジメチルポリシロキサン。
上記流動化剤は単独で用いても、複数種を組合せて用いても良い。
また、上記流動化剤は、トナー用粉体粒子100質量部に対して流動化剤0.1乃至8.0質量部、好ましくは0.1乃至4.0質量部使用するのが良い。添加量が0.1質量部未満ではトナー用粉体粒子に流動性を付与する事が出来なく、好ましくない。また、4.0質量部を超える場合ではトナー用粉体粒子と無機微粉体の混合が困難になり、トナー用粉体粒子の熱処理の生産上好ましくない。
尚、上記の添加剤は、外添工程で外添剤として用いても良い。
上記トナーの各種物性の測定方法及び、以下の実施例中で測定した各種物性の測定方法に関して以下に説明する。
<重量平均粒径(D4)の測定方法>
トナーの重量平均粒径(D4)は、以下の様にして算出する。測定装置としては、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)を用いる。測定条件の設定及び測定データの解析は、付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いる。尚、測定は実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで行う。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となる様にしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用出来る。
尚、測定、解析を行う前に、以下の様に専用ソフトの設定を行なった。
専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更」画面において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。「閾値/ノイズレベルの測定ボタン」を押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、「測定後のアパーチャーチューブのフラッシュ」にチェックを入れる。
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定」画面において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行なう。そして、専用ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispension System Tetora150」(日科機バイオス社製)を準備する。超音波分散器の水槽内に約3.3lのイオン交換水を入れ、この水槽中にコンタミノンNを約2ml添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となる様にビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となる様に調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)を算出する。尚、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、「分析/体積統計値(算術平均)」画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。
<微粉量の算出方法>
トナー中の個数基準の微粉量(個数%)は、前記のMultisizer 3の測定を行った後、データを解析する事により算出する。
例えば、トナー中の4.0μm以下の粒子の個数%は、以下の手順で算出する。まず、専用ソフトでグラフ/個数%に設定して測定結果のチャートを個数%表示とする。そして、「書式/粒径/粒径統計」画面における粒径設定部分の「<」にチェックし、その下の粒径入力部に「4」を入力する。「分析/個数統計値(算術平均)」画面を表示したときの「<4μm」表示部の数値が、トナー中の4.0μm以下の粒子の個数%である。
<粗粉量の算出方法>
トナー中の体積基準の粗粉量(体積%)は、前記のMultisizer 3の測定を行った後、データを解析することにより算出する。
例えば、トナー中の10.0μm以上の粒子の体積%は、以下の手順で算出する。まず、専用ソフトでグラフ/体積%に設定して測定結果のチャートを体積%表示とする。そして、「書式/粒径/粒径統計」画面における粒径設定部分の「>」にチェックし、その下の粒径入力部に「10」を入力する。「分析/体積統計値(算術平均)」画面を表示したときの「>10μm」表示部の数値が、トナー中の10.0μm以上の粒子の体積%である。
<平均円形度の測定方法>
トナー粒子の平均円形度は、フロー式粒子像分析装置「FPIA−3000」(シスメックス社製)によって、校正作業時の測定及び解析条件で測定する。
具体的な測定方法は、以下の通りである。まず、ガラス製の容器中に予め不純固形物などを除去したイオン交換水約20mlを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.2ml加える。更に測定試料を約0.02g加え、超音波分散器を用いて2分間分散処理を行い、測定用の分散液とする。その際、分散液の温度が10℃以上40℃以下となる様に適宜冷却する。超音波分散器としては、発振周波数50kHz、電気的出力150Wの卓上型の超音波洗浄器分散器(「VS−150」(ヴェルヴォクリーア社製))を用い、水槽内には所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2ml添加する。
測定には、標準対物レンズ(10倍)を搭載した前記フロー式粒子像分析装置を用い、シース液にはパーティクルシース「PSE−900A」(シスメックス社製)を使用した。前記手順に従い調整した分散液を前記フロー式粒子像分析装置に導入し、HPF測定モードで、トータルカウントモードにて3000個のトナー粒子を計測する。そして、粒子解析時の2値化閾値を85%とし、解析粒子径を円相当径1.985μm以上39.69μm未満に限定し、トナー粒子の平均円形度を求める。
測定にあたっては、測定開始前に標準ラテックス粒子(Duke Scientific社製の「RESEARCH AND TEST PARTICLES Latex Microsphere Suspensions 5200A」をイオン交換水で希釈)を用いて自動焦点調整を行う。その後、測定開始から2時間毎に焦点調整を実施する事が好ましい。
尚、本発明の実施例では、シスメックス社による校正作業が行われた、シスメックス社が発行する校正証明書の発行を受けたフロー式粒子像分析装置を使用した。解析粒子径を円相当径1.985μm以上39.69μm未満に限定した以外は、校正証明を受けた時の測定及び解析条件で測定を行った。
<円形度が0.990以上の粒子の割合の算出方法>
本発明において、円形度が0.990以上の粒子の割合は、円形度の分布を示す指標として用いており、頻度(%)で表わされる。具体的には、FPIA−3000によって測定したトナーの平均円形度における、頻度テーブルの範囲1.00の頻度(%)の値と、0.990−>1.000の頻度(%)の値を足した値を用いた。
以下、本発明の実施例および比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(トナー用粉体粒子Aの製造例)
ポリエステルユニットを有する樹脂:100質量部
(重量平均分子量(Mw):82450、平均分子量(Mn):3650、ピーク分子量:(Mp)8550)
パラフィンワックス:4質量部
(最大吸熱ピーク温度78℃)
3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物:1.0質量部
C.I.ピグメントブルー15:3.5質量部
上記の処方の材料をヘンシェルミキサーFM−75型(日本コークス社製)で混合した後、温度を120℃に設定した二軸混練機PCM−30型(池貝鉄工社製)にて混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、粗砕物とし、得られた粗砕物を、機械式粉砕機T−250(ターボ工業社製)にて粉砕し、粉体微粒子を得た。続いて、得られた粉体微粒子を、ファカルティF−300(ホソカワミクロン社製)により分級し、粉体粒子とした。
さらに、下記材料をヘンシェルミキサーFM−75型(日本コークス社製)に投入し、回転羽根の周速を50.0m/secとし、混合時間3分で混合することにより、粉体粒子の表面に、シリカと酸化チタンを付着させたトナー用粉体粒子を得た。
粉体粒子:100質量部
シリカ:3.5質量部
(ゾルゲル法で作製したシリカ微粒子にヘキサメチルジシラザン処理1.5質量%で表面処理した後、分級によって所望の粒度分布に調整したもの。)
酸化チタン:0.5質量部
(アナターゼ形の結晶性を有するメタチタン酸を表面処理したもの。)
このとき得られたトナー用粉体粒子は、重量平均粒径(D4)が6.7μm、粒径4.0μm以下の粒子が25.5個数%であり、粒径10.0μm以上の粒子が2.5体積%であった。
更に、FPIA3000にて平均円形度を測定した結果、平均円形度が0.946であった。
以下、これをトナー用粉体粒子Aとする。
これらの結果を表1にまとめた。
(トナー用粉体粒子Bの製造例)
本製造例では、パラフィンワックスの添加量を6質量部にした以外は、トナー用粉体粒子Aと同様の製造方法にて、トナー用粉体粒子Bを得た。
このとき得られたトナー用粉体粒子Bの重量平均粒径(D4)、粒径4.0μm以下の粒子の割合、粒径10.0μm以上の粒子の割合、平均円形度を測定した結果を表1にまとめた。
(トナー用粉体粒子Cの製造例)
本製造例では、パラフィンワックスの添加量を8質量部にした以外は、トナー用粉体粒子Aと同様の製造方法にて、トナー用粉体粒子Cを得た。
このとき得られたトナー用粉体粒子Cの重量平均粒径(D4)、粒径4.0μm以下の粒子の割合、粒径10.0μm以上の粒子の割合、平均円形度を測定した結果を表1にまとめた。
〔実施例1〕
本実施例では図1、図2に示した熱処理装置を用い、トナー用粉体粒子Aを熱処理し、平均円形度0.965のトナー用熱処理粒子を得た。本実施例において装置の円筒状外壁の内周面径は450mm、円柱状規制部材の外周面径は360mmとした。この時、円柱状規制部材が円筒状外壁内面内部の体積を規制する割合は約64%となる。これらの装置構成のデータは表2に示した。後述の実施例についても表2に示されている。
熱風供給手段における略円錐状の分配部材12の角度は60°とした。更に図3に示した旋回部材のブレード間最小間隔Gを9.5mm、高さを30mm、ブレード枚数を22枚、熱風供給手段の出口の断面積を6270mm2とした。
粉体供給手段は図4に示す様に8分割とし、熱風供給手段出口下端から粉体供給手段上端までの距離を35mmとし、処理室の中心軸と直交する同一断面上に45°間隔に、本体内螺旋流の角度と一致する様に処理室中心軸直交断面に対し本体下端方向に27°の角度を付けて配置した。粉体供給手段各出口の縦の長さは80mm、横の長さは10mmとし、各出口断面積を800mm2、総断面積は6400mm2とした。
冷風供給手段は図1に示した様に第一、第二、第三の三段階とする。
第一冷風供給手段は図4に示した粉体供給手段と同様に8分割し、粉体供給手段出口下端から第一冷風供給手段出口上端までの距離を230mmとし、処理室の中心軸と直交する同一断面上に各口を45°等間隔に、且つ本体内螺旋流の角度と一致する様に処理室中心軸直交断面に対し本体下端方向に27°の角度を付けて配置した。第一冷風供給手段各出口の縦の長さは80mm、横の長さは10mmとし、各出口断面積は800mm2、総断面積は6400mm2とした。
第二冷風供給手段は図4に示した粉体供給手段と同様に8分割し、第一冷風供給手段出口下端から第二冷風供給手段出口上端までの距離を200mmとし、処理室の中心軸と直交する同一断面上に45°等間隔に、且つ本体内螺旋流の角度と一致する様に処理室中心軸直交断面に対し本体下端方向に27°の角度を付けて配置した。第二冷風供給手段各出口の縦の長さは80mm、横の長さは10mmとし、各出口断面積は800mm2、総断面積は6400mm2とした。
第三冷風供給手段は図5に示す様に3分割し、第三冷風供給手段下端が底面と一致する様に90°間隔に計180°に、且つ底面と平行に配置した。第三冷風供給手段各出口の縦の長さは80mm、横の長さは10mmとし、各出口断面積は800mm2、総断面積は2400mm2とした。
排出手段は図5に示す様に、第三冷風供給手段中央口の対向位置に排出手段下端が底面と一致する様に且つ底面と平行に配置した。また排出手段入口は、縦の長さ125mm、横の長さ50mm、断面積6250mm2とした。
上記装置構成を装置構成1とする。
装置構成1を用いてトナー用粉体粒子Aの処理量(kg/hr)を150kg/hrとしてトナー用粉体粒子Aを熱処理した。
この時の運転条件として、熱風は温度165℃、流量28.0m3/minとした。粉体供給手段における搬送気体は、温度25℃、総流量3.6m3/minとし、各口に流量0.45m3/minと分割した。第一冷風供給手段の冷風温度は−5℃、総流量8.0m3/minとし、各口に流量1.0m3/minと分割した。第二冷風供給手段の冷風温度は−5℃、総流量2.0m3/minとし、各口に流量0.25m3/minと分割した。第三冷風温度は−5℃、総流量1.5m3/minとし、各口に流量0.5m3/min、と分割した。また運転時間は1時間とした。
この時の条件を運転条件1とする。
この時得られた熱処理後のトナー用粉体粒子は、重量平均粒径(D4)が6.8μm、粒径4.0μm以下の粒子が24.4個数%、粒径10.0μm以上の粒子が3.6体積%であった。また運転後に本体内の融着状況を確認したが融着物は全く認められなかった。
次に同じく装置構成1を用いてトナー用粉体粒子Aの処理量を280kg/hrとしてトナー用粉体粒子Aを熱処理した。この時の運転条件は平均円形度0.965のトナーを得るために、運転条件1に加え熱風温度を220℃とした。
この時得られた熱処理後のトナー用粉体粒子は、重量平均粒径(D4)が6.9μm、粒径4.0μm以下の粒子が24.1個数%、粒径10.0μm以上の粒子が3.9体積%であった。また150kg/hr処理時と比較して280kg/hr処理時での粒径10.0μm以上の粒子の体積%での増加は0.3%であり、処理量を増加しても粗大粒子の増加は少なかった。また運転後に本体内の融着状況を確認したが、融着物は全く認められなかった。
以上得られたトナーの熱処理結果の評価を下記の基準で行った。
<粗粉量に対する評価>
得られた熱処理後のトナー用粉体粒子に含有する10.0μm以上の粒子の割合s(体積%)を粗粉量の評価の基準とし、下記の基準で判断した。
A:s<5.0
B:5.0≦s<10.0
C:10.0≦s<15.0
D:15.0≦s<20.0
E:20.0≦s
<処理量を増加した時の粗粉量の増加に関する評価>
280kg/hr処理時の粗粉割合、及び150kg/hr処理時の粗粉量の差Δs(体積%)をとり、本発明の熱処理装置における処理量の増加させやすさの指標とし、処理量下記の基準で判断した。
A:2.0<Δs
B:2.0≦Δs<4.0
C:4.0≦Δs<6.0
D:6.0≦Δs<8.0
E:8.0≦Δs
<熱処理装置の融着に対する評価>
各実施例の条件で1時間運転後、トナー用粉体粒子Bの供給を止め、工業用ビデオスコープ「IPLEX SA II R」(オリンパス社製)のスコープ部を熱処理装置側面や粉体粒子輸送経路配管の点検口(不図示)から挿入し、融着状況を確認し、下記の基準で判断した。
A:融着物が全く認められないレベル
B:融着物が僅かに認められるが、運転上支障のないレベル
C:融着が認められるが、運転上支障のないレベル
D:融着が認められ、運転が出来なくなるレベル
E:大きな融着物が認められ、運転が出来なくレベル
これらの結果を表3にまとめた。
〔実施例2〕
本実施例では装置構成1を用いてトナー用粉体粒子Bを処理し、平均円形度0.965のトナー用熱処理粒子を得た。
まず処理量を150kg/hrとして熱処理した。運転条件は運転条件1に加え熱風温度を175℃とした。トナー用粉体粒子Bはワックス添加量が6質量部とトナー用粉体粒子Aより多いため、平均円形度0.965を得るための熱風温度が高くなった。この時の粗粉量は4.1%であった。
次に処理量を280kg/hrとして熱処理した。この時の運転条件は運転条件1に加え熱風温度を230℃とした。粗粉量は実施例1にやや劣るものの4.5%と評価Aの範囲内であった。このため処理量を150kg/hrから280kg/hrに増加した時の粗粉の増加は0.4%と評価Aの範囲内であった。また装置内部に融着は全くなく評価Aであった。
これらの結果を表3にまとめた。
〔実施例3〕
本実施例では装置構成1を用いてトナー用粉体粒子Cを熱処理し、平均円形度0.965のトナー用熱処理粒子を得た。まず処理量を150kg/hrとして熱処理し、平均円形度0.965のトナー用熱処理粒子を得た。
運転条件は運転条件1に加え熱風温度を185℃とした。トナー用粉体粒子Cはワックス添加量が8質量部とトナー用粉体粒子A及びBより多いため、平均円形度0.965を得るための熱風温度が実施例1及び2と比較して高くなった。この時の粗粉量は4.4%であった。
次に処理量を280kg/hrとして熱処理した。この時の運転条件は運転条件1に加え熱風温度を240℃とした。粗粉量は実施例1及び2にはやや劣るものの4.6%と評価Aの範囲内であった。このため処理量を150kg/hrから280kg/hrに増加した時の粗粉量の増加は0.2%と評価Aの範囲内であった。また装置内部に融着は全くなく、評価Aであった。
これらの結果を表3にまとめた。
〔実施例4〕
本実施例で用いる装置構成は、装置構成1に加え円柱状規制部材の外周面径を380mmとした。この時の円筒状外壁の内周面内部の規制割合は約71%となる。この装置構成を装置構成2としてトナー用粉体粒子Cを熱処理し、平均円形度0.965のトナー用熱処理粒子を得た。
運転条件は運転条件1に加え熱風温度を150kg/hr処理時185℃、280kg/hr処理時235℃とした。
実施例3と比較すると、規制領域が大きくなり熱効率が向上したことで熱風温度は同一もしくは若干の改善が見られた。粗粉量は150kg/hr処理時4.5%であり、280kg/hr処理時は4.6%と評価Aの範囲内であった。このため処理量を150kg/hrから280kg/hrに増加した時の粗粉の増加は0.3%と評価Aの範囲内であった。しかしながら運転に支障のないレベルであるものの円柱状規制部材に極僅かな融着が認められ、評価Bであった。これは円柱状規制部材が粉体粒子の通過領域を制限し過ぎた事によって粉体粒子と円柱状規制部材の接触が増えたことによるものである。
これらの結果を表3にまとめた。
〔実施例5〕
本実施例で用いる装置構成は、装置構成1に加え円柱状規制部材の外周面径を340mmとした。この時の円筒状外壁の内周面内部の規制割合は約57%となる。この装置構成を装置構成3としてトナー用粉体粒子Cを熱処理し、平均円形度0.965のトナー用熱処理粒子を得た。
運転条件は運転条件1に加え熱風温度を150kg/hr処理時195℃、280kg/hr処理時245℃とした。
実施例3と比較すると、規制領域が小さくなり熱効率が低下したことで約10℃高い熱風が必要であった。粗粉量は熱風近傍での巻き上がりが大きくなったため150kg/hr処理の時に4.6%であり、280kg/hr処理時は9.8%と評価Bとなった。このため処理量を150kg/hrから280kg/hrに増加した場合の粗粉量の増加は5.2%であり評価Cとなった。しかしながら融着は全く見られず評価Aであった。
これらの結果を表3にまとめた。
〔実施例6〕
本実施例で用いる装置構成は、装置構成1に加え円柱状規制部材の外周面径を390mmとした。この時の円筒状外壁の内周面内部の規制割合は約75.1%となる。この装置構成を装置構成4としてトナー用粉体粒子Cを熱処理し、平均円形度0.965のトナー用熱処理粒子を得た。
運転条件は運転条件1に加え熱風温度を150kg/hr処理時180℃、280kg/hr処理時230℃とした。
実施例3と比較すると、規制領域が大きくなり熱効率が向上したことで熱風温度に改善が見られた。また粗粉量は150kg/hr処理の時に4.0%であり、280kg/hr処理時には4.1%と評価Aの範囲内で且つ改善が見られた。このため処理量を150kg/hrから280kg/hrに増加した時の粗粉の増加は0.1%と評価Aの範囲内で且つ改善が見られた。しかしながら運転に支障のないレベルであるものの円柱状規制部材への融着が認められ、評価Cとなった。これは円柱状規制部材が粉体粒子の通過領域を過度に制限したことによって粉体粒子と円柱状規制部材の接触が増えたことによる。
これらの結果を表3にまとめた。
〔実施例7〕
本実施例で用いる装置構成は、装置構成1に加え円筒状外壁の内周面径を560mm及び円柱状規制部材の外周面径を450mmとした。この時の円筒状外壁の内周面内部の規制割合は約65%となる。この装置構成を装置構成5としてトナー用粉体粒子Cを熱処理し、平均円形度0.965のトナー用熱処理粒子を得た。
運転条件は運転条件1に加え熱風温度を150kg/hr処理時200℃、280kg/hr処理時250℃とした。
実施例3と比較すると、処理室の体積に対し壁面からの冷却が強くなるためにより高い熱風温度が必要となった。粗粉量は150kg/hr処理の時に5.4%であり、280kg/hr処理時には12.3%と評価Cであった。このため処理量を150kg/hrから280kg/hrとした時の粗粉の増加は6.9%と評価Dであった。これらは装置内部でのトナー用粉体粒子の分散が効率よく行われていないため、粗粉が増大したものと考えられる。また装置内部の融着は全く認められなかった。
これらの結果を表3にまとめた。
〔比較例1〕
本比較例で用いる装置構成は、装置構成1に加え円柱状規制部材の外周面径を250mmとした。この時の円筒状外壁の内周面内部の規制割合は約31%となる。この装置構成を装置構成6としてトナー用粉体粒子Cを熱処理し、平均円形度0.965のトナー用熱処理粒子を得た。
運転条件は運転条件1に加え熱風温度を150kg/hr処理時220℃、280kg/hr処理時300℃とした。
実施例3と比較して熱風温度は上昇した。粗粉量は150kg/hr処理時に13.2%であり、280kg/hr処理時には20.5%と評価Eであった。このため処理量を150kg/hrから280kg/hrとした時の粗粉の増加は7.3%と評価Eであった。また装置内部には運転に支障が出るレベルの融着が認められ、評価Dであった。
円柱状規制部材を55%以下としたことで熱効率が大きく低下し、より高い熱風温度が必要となった。それによって局所的に温度が上昇したことから粗粉及び融着レベルが悪化したと考えられる。
これらの結果を表3にまとめた。
〔比較例2〕
本比較例では図6に示した装置構成を装置構成7としてトナー用粉体粒子Cを熱処理し、平均円形度0.965のトナー用熱処理粒子を得た。本装置構成は排出手段が一口のストレート排気、粉体供給手段が一口、熱風がストレートに供給される構成となっている。またこの時の排気口の総断面積と粉体供給手段出口の総断面積との関係は、排気口>粉体供給手段となっている。
運転条件は運転条件1に加え熱風温度を150kg/hr処理時250℃、280kg/hr処理時340℃とした。また本装置構成では外気を取り込むことによって装置内を冷却する構成をとっているため、冷風は導入しなかった。
実施例3と比較して熱風温度は上昇した。粗粉量は150kg/hr処理時に18.3%であり、280kg/hr処理時には27.5%と評価Eであった。このため処理量を150kg/hrから280kg/hrとした時の粗粉の増加は9.2%と評価Eであった。また装置内部に運転に支障が出るレベルの大きな融着が認められ、評価Eであった。
結果を表3にまとめた。
〔比較例3〕
本比較例では図7に示した装置構成を装置構成8としてトナー用粉体粒子Cを熱処理し、平均円形度0.965のトナー用熱処理粒子を得た。本装置構成は排出手段が一口のストレート排気、粉体供給手段が一口で、トナー用粉体粒子と熱風とが同方向に旋回して装置内に供給される構成となっている。また冷風供給手段はスリット12を設けることによって装置の壁面からストレートに導入される第一冷風供給手段6と、排出手段9を冷却するために接線方向から導入される第二冷風供給手段7が設けられている。
運転条件は運転条件1に加え熱風温度を150kg/hr処理時300℃、280kg/hr処理時430℃とした。また第一冷風供給手段の流量は8.0m3/min、第二冷風供給手段は4.0m3/minとした。
実施例3と比較して熱風温度は上昇した。粗粉量は150kg/hr処理時に21.4%であり、280kg/hr処理時には31.2%と評価Eであった。このため処理量を150kg/hrから280kg/hrとした時の粗粉の増加は9.8%と評価Eであった。また装置内部に運転に支障が出るレベルの大きな融着が認められ、評価Eであった。
結果を表3にまとめた。
〔比較例4〕
本比較例では図8に示した装置構成を装置構成9としてトナー用粉体粒子Cを熱処理し、平均円形度0.965のトナー用熱処理粒子を得た。本比較例の装置構成は比較例3で示した装置構成8の熱風供給手段と粉体供給手段を改造し、トナー用粉体粒子14と熱風が逆方向に旋回して装置内に供給される構成となっている。また熱風供給手段4と粉体供給手段5の関係は、図8の様に粉体供給手段の内側から熱風が供給される構成となっている。
運転条件は運転条件1に加え熱風温度を150kg/hr処理時300℃とした。また高圧エア供給ノズルから供給される搬送気体の流量は3.6m3/minとし、第一冷風供給手段の流量は8.0m3/min、第二冷風供給手段は4.0m3/minとした。
実施例3と比較して150kg/hr処理時の熱風温度は上昇した。粗粉量は150kg/hr処理の時に25.6%であった。また280kg/hr処理では熱風温度を450℃まで上げても平均円形度0.965を得ることが出来なかった。このため粗粉量、粗粉量の増加及び融着の評価を行うことが出来なかった。
結果を表3にまとめた。
〔参考例1〕
本参考例で用いる装置構成は、装置構成1に加え円柱状規制部材の外周面径を330mmとした。この時の円筒状外壁の内周面内部の規制割合は約54%となる。この装置構成を装置構成10としてトナー用粉体粒子Aを熱処理し、平均円形度0.965のトナー用熱処理粒子を得た。
運転条件は運転条件1に加え熱風温度をトナー処理量が150kg/hr処理時180℃、処理量が280kg/hr処理時230℃とした。
実施例1と比較して熱風温度は上昇した。粗粉量は150kg/hr処理時4.9%であり、280kg/hr処理時は12.2%と評価Cであった。このため処理量を150kg/hrから280kg/hrとした時の粗粉の増加は7.3%と評価Dであった。また装置内部に融着はほとんど見られず評価Bであった。
円柱状規制部材で規制される割合を55%以下としたことで熱効率が低下し、それによってより高温の熱風を供給しなければならず、粗粉及び融着レベルが悪化したと考えられる。
しかしながら本比較例での280kg/hr処理は難しいと思われるが、今回示した150kg/hr程度まで処理ならば安定した運転が可能であった。
これらの結果を表3にまとめた。
〔参考例2〕
本参考例では装置構成10を用いてトナー用粉体粒子Cを熱処理し、平均円形度0.965のトナー用熱処理粒子を得た。
運転条件は運転条件1に加え熱風温度をトナー処理量が150kg/hr処理の時は200℃、処理量が280kg/hr処理の時は245℃とした。
実施例3と比較して熱風温度は上昇した。粗粉量は150kg/hr処理時4.5%であり、280kg/hr処理時は12.4%と評価Cであった。このため処理量を150kg/hrから280kg/hrとした時の粗粉の増加は7.9%と評価Dであった。また装置内部に融着はほとんど見られず評価Bであった。
円柱状規制部材で規制される割合を55%以下としたことで熱効率が低下し、それによってより高温の熱風を供給しなければならず、粗粉及び融着レベルが悪化したと考えられる。
しかしながら本比較例での280kg/hr処理は難しいと思われるが、今回示した150kg/hr程度まで処理ならば安定した運転が可能であった。
これらの結果を表3にまとめた。