JP6533431B2 - 粉体粒子の熱処理装置及びトナーの製造方法 - Google Patents

粉体粒子の熱処理装置及びトナーの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、粉体粒子の熱処理装置及びトナーの製造方法に関する。
電子写真の画像形成方法において、トナーは静電荷像から画像を形成するために使用される。トナーの製造法は粉砕法及び重合法に大別され、簡便な製法としてはおおよそ粉砕法が挙げられる。その一般的な製法として、まず転写材に定着させるための結着樹脂、トナーとしての色味を出させる着色剤、定着部材とトナーとの剥離性を向上させるワックス等の原料を混合する。次にこれらの混合物を溶融混練、冷却固化し、混練物を得る。更に得られた混練物を粉砕手段により微細化し必要に応じて所望の粒度分布に分級した後、流動化剤等を添加する事で画像形成に供するトナーとしている。
近年、複写機やプリンターの高画質化及び高精細化に伴ってトナーに要求される性能も一段と厳しくなり、トナーの粒子径は小さくかつ直径10μm以上の粗大粒子が含有されないシャープな粒度分布の物が要求されるようになってきている。また高画質化として要求される事の一つとして、画像面内のグロス均一性がある。画像の面内グロスの均一性は定着部材とトナーとの剥離性に相関がある事から、トナーにはグロス均一性向上のためにワックスが添加されている。更に、複写機やプリンター用の転写材として通常の紙以外にも様々なマテリアルに対応することが必要となってきており、トナーの転写性の向上も要求される。このためワックスを含有するトナー用粉体粒子を球形化することが必要になってきている。
このような要求に対し、熱処理によりトナー用粉体粒子を溶融し球形化する製法がある。しかしワックスを含有するトナー用粉体粒子を熱処理すると粉体粒子内部のワックスが溶融し、トナー用粉体粒子の表面に染み出すことによって付着力が増加する。そのため熱処理装置内に融着が発生する場合や、溶融したトナーが互いに合一する事で粗大粒子が増加する場合もある。このためトナーを安定的に製造することが困難なことがあった。
従来の熱処理によりトナー用粉体を溶融し球形化する技術としては、原料である粉体粒子を分散させるための旋回機構と、分散された粉体原料をその内側から加熱する加熱機構を持つ熱処理装置が提案されている(特許文献1参照)。
更に、熱処理装置の熱処理室の側壁上部からの冷却風をスリット状に吹き込むことにより粉体粒子の付着及び乱流を抑え、生産性を向上させるという提案がなされている(特許文献2参照)。
更に、樹脂粒子の熱処理が行われる円筒形状の処理室に対し熱風を螺旋状に旋回するように供給する熱処理装置が提案されている。またこの熱処理装置は該処理室内に粉体粒子の流れを規制するための円筒状の規制手段を設け、かつ排出手段を処理室内壁面に対して接線方向に吸引回収する事を特徴とする(特許文献3参照)。
特開昭62−133466号公報 特開昭59−125742号公報 特開2012−159710号公報
しかし、特許文献1に開示されている装置構成でトナー用粉体粒子を熱処理する場合、原料の分散気流と加熱気流がお互いに逆の旋回方向となる。このため粉体粒子の処理量を増加させると、粉体粒子が互いに衝突合一し粗大粒子になる場合や、装置内で生じる気流の乱れによって装置の天面や壁面に粉体粒子が付着し融着物が生じる場合があった。
また、特許文献2に開示されている装置構成でトナー用粉体粒子を熱処理する場合、原料の分散気流と加熱気流は旋回流であるが、冷却風はその旋回流に対して直角に導入される。このためやはり装置内で乱気流が発生してしまい、ワックスを含有するトナー用粉体粒子の処理量を増加させて熱処理を行うと、粉体粒子が互いに衝突し合一し粗大粒子になる場合や、粉体粒子が装置内に融着する場合があった。更にこの装置構成では原料の分散気流によって加熱気流が冷却されてしまうため粉体粒子の球形化に必要以上の熱量をかけなくてはならず、熱効率が悪いと言う問題があった。
さらに、特許文献3に開示されている装置構成では、該規制手段が装置内での熱風の旋回を効率良く生み出すため熱効率は上昇する。またこの旋回力を、粉体を回収するための力として利用することができるため、粉体の回収効率は上がる。
しかし、この装置構成でトナー用粉体粒子を熱処理する場合、融着が装置内部の排出手段付近や排出手段内部に生じる場合があった。また熱効率を上げるために規制手段の径を大きくした場合、それら融着は多くなることがあった。特にこれらはワックス含有量が高い粉体粒子で顕著に見られた。
このように熱処理によってワックスを含有する粉体粒子を球形化する熱処理装置及びトナーの製造方法において、これまでの装置及び方法では装置内融着の抑制かつ熱効率の良化に関して改良の余地があった。
本発明の目的は、熱処理によってワックスを含有する粉体粒子を球形化する場合に、原料の処理量を増加させても粗大粒子と装置内融着を低減し、かつ投入熱量を抑制する粉体粒子の熱処理装置を提供することにある。また、かかる熱処理装置を用いたトナーの製造方法を提供することにある。
本発明では上述した従来技術の課題を解決すべく鋭意検討の結果、ワックスの粉体粒子表面への染み出しと、熱処理装置の熱風、冷風の供給方法、及び粉体粒子の排出方法に関連がある事を知見して粉体粒子の製造方法を発明するに至った。
すなわち本発明は、ワックスを含有する粉体粒子の熱処理装置であって、該熱処理装置は
(1)円筒状の外壁の内周面と、該外壁の内部に該外壁の中心軸と同軸上に配置された円柱状の内部部材の外周面とで形成され、該粉体粒子の熱処理が行われる同軸2重円筒状の処理室と、
(2)該処理室に該粉体粒子を供給するための粉体粒子供給手段と、
(3)供給された該粉体粒子を熱処理するための熱風を供給する熱風供給手段と、(4)該外壁の該内周面と該内部部材の該外周面とを冷却する冷風を該処理室内に供給する冷風供給手段と、
(5)熱処理された該粉体粒子を該処理室の外に排出する排出手段と、
(6)熱風を該処理室において螺旋状に旋回させるための旋回部材と、
を有し、
該排出手段は、該熱処理装置の下端部に配置され、
該排出手段の断面は略四角形であって、
該排出手段と該外壁との接合部において
該排出手段の一側面は、該外壁に設けられた排出口の一端に、熱風の旋回方向の接線方向と略同方向へ該紛体粒子を排出する様に、該外壁の該内周面に沿って接合されており、
該一側面と相対する該排出手段の他側面は、該排出口の他端に、曲面を介して接合されている
ことを特徴とする粉体粒子の熱処理装置である。
本発明によれば、熱処理によってワックスを含有するトナー用粉体粒子を球形化する際に、ワックスの粉体粒子表面への染み出しと合一粒子の発生及び装置内融着を抑制し、小粒径でシャープなトナーを大量に製造することができる。
本発明による熱処理装置の一例を示した概略的斜視図である。 図1における、A−A´面での概略的断面図である。 図1における、B−B´面での概略的断面図である。 図1における、C−C´面での概略的断面図である。 図1における、D−D´面での概略的断面図である。 本発明の比較例2に用いられる熱処理装置の概略的断面図である。 本発明の比較例3に用いられる熱処理装置の概略的断面図である。 本発明の比較例4に用いられる熱処理装置の概略的断面図である。 排出手段を処理室内壁面に対して接線方向に吸引回収するように配置した熱処理装置の、排出手段中央部での速度ベクトル断面図である。 本発明の熱処理装置における、排出手段中央部での速度ベクトル断面図である。 本発明の熱処理装置における、排出手段接合部の近傍の圧力損失を計算した結果図である。 参考例1で用いられる熱処理装置の概略的断面図である。
本発明の粉体粒子の熱処理装置は、
(1)円筒状の外壁の内周面と、該外壁の内部に該外壁の中心軸と同軸上に配置された円柱状の内部部材の外周面とで形成され、該粉体粒子の熱処理が行われる同軸2重円筒状の処理室と、
(2)該処理室に該粉体粒子を供給するための粉体粒子供給手段と、
(3)供給された該粉体粒子を熱処理するための熱風を供給する熱風供給手段と、(4)該外壁の該内周面と該内部部材の該外周面とを冷却する冷風を該処理室内に供給する冷風供給手段と、
(5)熱処理された該粉体粒子を該処理室の外に排出する排出手段と、
(6)熱風を該処理室において螺旋状に旋回させるための旋回部材と、
を有する。
該排出手段は、該熱処理装置の下端部に配置され、該排出手段の断面は略四角形である。
該排出手段と該外壁との接合部において
該排出手段の一側面は、該外壁に設けられた排出口の一端に、熱風の旋回方向の接線方向と略同方向へ該紛体粒子を排出する様に、該外壁の該内周面に沿って接合されており、
該一側面と相対する該排出手段の他側面は、該排出口の他端に、曲面を介して接合されている。
以下、好ましい実施の形態を挙げて上記構成の本発明を更に詳細に説明する。
まず、本発明に用いる熱処理装置の概略を、図1、図2、図3、図5、図9、図10及び図11を用いて説明する。
図1は本発明による熱処理装置の一例を示した概略的斜視図である。
また、図2は図1における、A−A´面での概略的断面図である。
図1、図2に示す様に、本発明の熱処理装置は、円筒状の外壁1と円柱状の内部部材2とで形成される同軸2重円筒状の処理室3を持つ。内部部材2は、外壁1の中心軸と同軸上に配置され、外壁1の内周面内部の体積を規制する。処理室3において粉体粒子の熱処理が行われる。熱処理装置は、処理室3に熱風を供給する熱風供給手段4と、粉体粒子を供給する粉体粒子供給手段5と、冷風を供給する第一冷風供給手段6、第二冷風供給手段7及び第三冷風供給手段8と、処理室3から粉体を排出する排出手段9とをさらに持つ。
本発明の熱処理装置を用いて1時間当たり230kg程度の粉体を処理する場合、外壁1の内面径T(mm)は350mm≦T≦900mmであることが好ましく、より好ましくは350mm≦T≦550mmである。外壁1の内面径が上記の範囲内であれば粉体粒子を効率良く熱処理することができる。外壁1の内面径TがT<350mmとなると処理室3内での粉体粒子濃度が大きくなるため、処理量を増加させることができない場合がある。また550mm<Tになると処理室の体積に対する壁面からの冷却が強くなり、熱効率が低下する場合がある。更に900mm<Tとなるとブロワーやヒーター、冷風発生装置などの熱処理装置の付帯設備を大型化しなくてはならず、トナーの製造エネルギー上好ましくない場合がある。
更に処理室3を構成する外壁1及び内部部材2は、粉体粒子の融着を抑制するため冷却ジャケットによって冷却されていることが好ましい。冷却ジャケットには冷却水(好ましくはエチレングリコール等の不凍液)を導入し、処理室の内周面の表面温度が40℃以下であることが好ましい。処理室の内周面の表面温度が40℃以下であることにより、ワックスを含有するトナー用粉体粒子を熱処理した際に熱処理装置内の融着を軽減することができる。
本発明の熱処理装置において粉体粒子を熱処理するための熱風は、熱風供給手段4から供給される。近年要求されるトナーの転写性の向上に対応するためには熱処理された粉体粒子の平均円形度は0.960以上であることが好ましく、更に好ましくは0.965以上である。このため処理室内に供給される熱風は、熱風供給手段4の出口部での温度N(℃)が100℃≦N≦300℃であることが好ましい。Nが100℃より低いと粉体粒子の球形化が十分にできない場合があり、また300℃より高いと粉体粒子が高温になり過ぎて粒子同士の合一や装置内で融着を引き起こし易くなる場合がある。
熱処理装置は、熱風を旋回させるための旋回部材10を具備している。旋回部材10は処理室内で熱風を螺旋流にすることができる構成であればよい。
例えば図3に示すように旋回部材10を複数のブレード11で構成すると、その枚数や角度により熱風の旋回を制御することができる。また図3に示したように熱風は複数のブレード11の間から処理室に導入されるため、その枚数が多いほどブレード間の隙間G(mm)が狭くなる。その結果、供給される熱風の流速が速くなり熱処理に好ましくない速度となる場合がある。そのため例えば処理室の内径Tが450mmの場合、ブレードの隙間Gは5mm≦G≦40mmが好ましい。G<5mmでトナー用粉体粒子の熱処理を行う場合、熱風の高速流に起因する熱効率の低下が懸念される。また40mm<Gの場合、処理室に導入された熱風の旋回速度が遅くなるため粉体粒子に十分な遠心力を与えることができなくなり、熱処理時の粉体粒子の合一が増加してしまう場合がある。
更に熱風供給手段4は、略円錐状の分配部材12を持つことが好ましい。熱風供給手段4が略円錐状の分配部材12を持つことにより処理室3に供給された熱風の偏りを無くすことができ、粉体粒子を熱処理する際に過剰な温度をかける必要が無くなる。
粉体粒子供給手段5は、熱風供給手段の下流に外壁1の内周面に供給されるように設けられ、粉体粒子は高圧エア供給ノズル(図示せず)からの搬送気体によって搬送され処理室に供給される。更に粉体粒子供給手段5は、搬送気体が円筒状外壁内周面の接線に沿いかつ装置内の熱風螺旋流の方向と一致して供給されるように配置される。これにより粉体粒子を含む搬送気流が処理室に入った瞬間の乱気流が抑制できるため、粗大粒子の発生を抑制することができる。
また粉体粒子供給手段は円筒状の処理室の中心軸と直交する同一断面上に存在するように円筒状外壁内周面に複数設けられている。粉体粒子供給手段の分割数が多いほど一口当たりの粉体粒子濃度を低下することができる。そのため分割数に応じて熱処理に必要な熱風温度を低下させることが可能となる。また同様の理由で粉体粒子の処理量が増加した場合、合一粒子の発生を抑制することが可能となる。
尚、本発明の熱処理装置の粉体供給手段の分割数は例えば円筒状外壁の内面径が450mmの場合は、4分割から12分割の間が好ましく、より好ましくは8分割導入である。粉体供給手段が8分割の場合、熱風温度の低減と合一粒子の増加に対し最大の効果がある。4分割未満であると上述の粉体粒子供給手段一口当たりの粉体濃度の低減効果が限定的で処理量の増加が見込めない。また12分割を超えると粉体粒子供給手段出口同士が近すぎるため、分割導入された粉体粒子が処理室内で再度合流し、熱風温度の低減と合一粒子の低下が見込めない。
本発明の熱処理装置では、熱処理された粉体粒子は、粉体粒子供給手段の下流に設置された第一冷風供給手段6、その下流に設置される第二冷風供給手段7、及びその下流にある第三冷風供給手段8から供給される冷風によって冷却される。
第一冷風供給手段6及び第二冷風供給手段7は、粉体粒子供給手段5同様、供給された冷風が外壁1の内周面に沿って供給されるよう配置されている。更に装置内螺旋流の方向と一致するようにかつ円筒状外壁の中心軸と直交する同一断面上に存在するように複数設けられている。これにより装置内に冷風が導入された瞬間の乱気流を抑制でき、合一粒子の発生を抑制することができる。
尚、粉体粒子供給手段5と第一冷風供給手段6に囲まれた領域は粉体粒子の熱処理ゾーンとなる。このため第一冷風供給手段は粉体粒子の熱変形が十分に完了した位置に配置すればよい。また本発明の熱処理装置の第一冷風供給手段6及び第二冷風供給手段7は、分割数が多いほど熱処理された粉体粒子を冷却する効率が高まる。これによって粉体粒子の冷却ムラが抑制され、円形度のそろった粉体粒子を製造することが可能となる。
尚、図1では、第一冷風供給手段6及び第二冷風供給手段7の分割数は、粉体粒子供給手段5と同じである8分割とした。
また本発明の熱処理装置の第三冷風供給手段8は3分割し、供給された冷風が外壁1の内周面に沿って供給されるようかつ装置内旋回流を維持するように円筒状外壁内周面下端部に配置する。これによって処理室底面への粉体粒子の滞留融着を抑制することができる。
本発明の熱処理装置では、熱処理された粉体粒子を処理室外に排出する排出手段9を持つ。なお排出手段の先にはブロワー(不図示)が設けられ、ブロワーにより吸引搬送される構成となる。
本発明の熱処理装置において、装置内に供給される圧縮エア、熱風及び冷風の流量の総量QINとブロワーにより吸引される風量QOUTの関係は、QIN≦QOUTの関係となるように調整されるのが好ましい。QIN≦QOUTであれば装置内の圧力が負圧となるため、処理室内のトナー粒子が装置外に排出されやすくなり粉体粒子が過剰に熱を受ける事を抑制できる。その結果、合一粒子の増加や装置内の融着を低減することができるため長期のトナー製造が可能となる。
図1、2に示すように、排出手段9は旋回する粉体粒子の旋回方向を維持するように円筒状外壁の下端部に設けている。これによって粉体粒子にかかる遠心力を利用して、粉体粒子の乱れを抑制しつつ速やかに装置外へ排出することが可能となり、円筒状外壁及び円柱状規制部材への付着、融着が軽減される。
図9は参考文献3に記載の熱処理装置において、円筒状外壁内周径を450mmとし、円柱状規制部材径を330mmとしてシミュレーションした結果であり、底面近傍における処理室中心軸と直交する断面での速度ベクトルを示している。与えた熱風量は28m/分、冷風量は計11.5m/分、粉体搬送気体の流量は計3.6m/分である。図中4時から5時の位置で円筒状外壁の内周面から右上接線方向に伸びるのは排出手段である。排出手段の一側面は処理室内における熱風の旋回方向の接線方向と同方向へ排出する様に該処理室の円筒状外壁の内周面に沿って接合されており、相対する他側面は一側面と平行となる様に円筒状外壁の内周面に接合されている。
図9を見ると、図中1時から反時計回りに排出手段までは反時計回りのベクトルを示している。これは処理室内の熱風旋回方向と等しく、その後排出手段によって滑らかに排出されている様子が分かる。
しかしながら排出手段の下流部にあたる4時から反時計回りに1時までの範囲では、処理室内の熱風旋回方向に対し逆流していることが分かる。処理室内の流れは熱風及び冷風で与えられた旋回成分に加え、処理室内部の圧力勾配で決定される。排出手段下流部での逆流は、旋回成分より排出手段までの圧力勾配が大きかったために発生したものである。またその逆流成分により、排出手段他側面と処理室の接合部から排出手段内部にかけて圧力損失が大きく、滞留渦が発生していることが分かる。逆流成分に乗って排出された粉体粒子が、この渦によって排出手段入り口付近に滞留する事は明らかである。よって排出手段近傍での融着はこの滞留渦によって発生すると分かった。
図5は、処理室3と排出手段9とを曲面17を介して接合した様子を示している。
排出手段9と外壁1との接合部において、
排出手段9の一側面51は、外壁1に設けられた排出口の一端52に、熱風の旋回方向の接線方向と略同方向へ紛体粒子を排出する様に、外壁1の内周面に沿って接合されており、
排出手段9の一側面51と相対する他側面53は、排出口の他端54に、曲面17を介して接合されている。
排出手段9の一側面51と他側面53との面間距離をaとし、
排出手段9の他側面53と、外壁1の排出口の他端54とを接続する曲面17の曲率半径をRとした場合に、下記式(1)を満たすことが好ましい。
R≧0.3×a 式(1)
図10は、図5において円筒状外壁の内周径を450mmとし、円柱状規制部材径を330mmとしてシミュレーションした結果で、装置底面近傍の処理室中心軸と直交する断面での速度ベクトルを示している。与えた熱風量は28m/分、冷風量は計11.5m/分、搬送気体流量は計3.6m/分である。
図10中での排出手段の他側面は、75mmの側面間距離aに対し曲率半径50mmを持つ円筒状曲面17を介して円筒状外壁の内周面に接合している。図を見ると処理室内排出手段下流部からの逆流成分は円筒状曲面に沿って滑らかに流れているため、滞留渦が発生していない。この事から本発明による排出手段近傍の融着削減効果は明らかである。
図11は、接合部近傍での圧力損失を計算した結果で、横軸に円筒状曲面17の曲率半径Rと排出手段9の側面間距離aの比であるR/aを取って示している。図を見ると比1.0まで圧力損失は大きく減少し、そこから1.5程度までは僅かな減少、それ以降は変化していないことが分かる。この結果を基に更にシミュレーションを行うと、R/aが0.3を下回ると排出手段内部に大きな滞留渦が発生すると分かった。故に曲率半径Rは0.3×a以上が適当である。またR/aが1.0を超えると、それ以上大きくすることによる融着の削減効果は見られなかった。この範囲内で曲率半径をコントロールする事で排出手段近傍での融着を効率良く削減できる。かつ排出手段での圧力損失を減少できる事から熱効率及び粗大粒子の発生に対してもより良い形状となる。
次に、本発明のトナー粒子製造装置を用いて、トナーを製造する手順について説明する。
まず、原料混合工程では、トナー原料として、少なくとも樹脂、着色剤を所定量秤量して配合し、混合する。混合装置の一例としては、ヘンシェルミキサー(日本コークス工業(株)製);スーパーミキサー((株)カワタ製);リボコーン((株)大川原製作所製);ナウターミキサー、タービュライザー、サイクロミックス(ホソカワミクロン(株)製);スパイラルピンミキサー(太平洋機工(株)製);レーディゲミキサー((株)マツボー製)等がある。
更に、混合したトナー原料を溶融混練工程にて、溶融混練して、樹脂類を溶融し、その中の着色剤等を分散させる。混練装置の一例としては、TEM型押し出し機(東芝機械(株)製);TEX二軸混練機((株)日本製鋼所製);PCM混練機((株)池貝製);ニーデックス(日本コークス工業(株)製)等が挙げられる。連続生産できる等の優位性から、バッチ式練り機よりも、1軸または2軸押出機といった連続式の練り機が好ましい。
更に、トナー原料を溶融混練することによって得られる着色樹脂組成物は、溶融混練後、2本ロール等で圧延され、水冷等で冷却する冷却工程を経て冷却される。
上記で得られた着色樹脂組成物の冷却物は、次いで、粉砕工程で所望の粒径にまで粉砕される。粉砕工程では、まず、クラッシャー、ハンマーミル、フェザーミル等で粗粉砕され、更に、クリプトロンシステム(川崎重工業(株)製)、スーパーローター(日清エンジニアリング(株)製)等で微粉砕され、トナー微粒子を得る。
得られたトナー微粒子は、分級工程にて、所望の粒径を有するトナー用粉体粒子に分級される。分級機としては、ターボプレックス、ファカルティ 、TSPセパレータ、TTSPセパレータ(ホソカワミクロン(株)製);エルボージェット(日鉄鉱業(株)製)等がある。
続いて、得られたトナー用粉体粒子を熱処理工程で本発明の熱処理装置を用いて球形化処理を行う。
本発明のトナーの製造方法においては、熱処理工程の前に、得られたトナー用粉体粒子に必要に応じて無機微粒子等を添加しても構わない。トナー用粉体粒子に無機微粒子等を添加する方法としては、トナー用粉体粒子と公知の各種外添剤を所定量配合し、粉体にせん断力を与える高速撹拌機を外添機として用いて、撹拌・混合する。粉体にせん断力を与える高速撹拌機としては、ヘンシェルミキサー、メカノハイブリッド(日本コークス工業(株)製)、スーパーミキサー、ノビルタ(ホソカワミクロン(株)製)等が挙げられる。
本発明のトナーの製造方法では、熱処理工程の前に、トナー用粉体粒子に無機微粉体が添加されている事で、トナー用粉体粒子に流動性が付与される。それにより処理室に導入されたトナー用粉体粒子がより均一に分散して熱風と接触することが可能となり、均一性に優れたトナーを得ることができる。
本発明のトナーの製造方法では、熱処理後に粗大な粒子が存在する場合、必要に応じて、分級によって粗大粒子を除去する工程を有していても構わない。粗大粒子を除去する分級機としては、ターボプレックス、TSPセパレータ、TTSPセパレータ(ホソカワミクロン(株)製);エルボージェット(日鉄鉱業(株)製)等が挙げられる。
さらに、熱処理後、必要に応じて、粗粒等を篩い分けるために、例えば、ウルトラソニック(晃栄産業(株)製);レゾナシーブ、ジャイロシフター((株)徳寿工作所製);ターボスクリーナー(フロイント・ターボ(株)製);ハイボルター(東洋ハイテック(株)製)等の篩分機を用いても良い。
尚、本発明の熱処理工程は上記微粉砕後であっても良いし、分級後でもよい。
次に本発明のトナーの製造方法に用いるトナー構成材料について説明する。
本発明で用いられる結着樹脂としては、公知の樹脂が用いられるが、例えば、ポリスチレン、ポリビニルトルエンの如きスチレン誘導体の単重合体;スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−アクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体の如きスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルブチラール、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアクリル樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族石油樹脂が挙げられ、これらの樹脂は単独もしくは混合して用いても良い。
これらの中で、本発明の結着樹脂として好ましく用いられる重合体としては、スチレン系共重合体とポリエステルユニットを有する樹脂である。
スチレン系共重合体に用いる重合性モノマーとしては、次のようなものが挙げられる。例えば、スチレン;o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、m−ニトロスチレン、o−ニトロスチレン、p−ニトロスチレンの如きスチレン及びその誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンの如き不飽和モノオレフィン類;ブタジエン、イソプレンの如き不飽和ポリエン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニルの如きハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニルの如きビニルエステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルの如きα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニルの如きアクリル酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルの如きビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトンの如きビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンの如きN−ビニル化合物;ビニルナフタリン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドの如きアクリル酸もしくはメタクリル酸誘導体。
更に、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸の如き不飽和二塩基酸;マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物の如き不飽和二塩基酸無水物;マレイン酸メチルハーフエステル、マレイン酸エチルハーフエステル、マレイン酸ブチルハーフエステル、シトラコン酸メチルハーフエステル、シトラコン酸エチルハーフエステル、シトラコン酸ブチルハーフエステル、イタコン酸メチルハーフエステル、アルケニルコハク酸メチルハーフエステル、フマル酸メチルハーフエステル、メサコン酸メチルハーフエステルの如き不飽和二塩基酸のハーフエステル;ジメチルマレイン酸、ジメチルフマル酸の如き不飽和二塩基酸エステル;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイヒ酸の如きα,β−不飽和酸;クロトン酸無水物、ケイヒ酸無水物の如きα,β−不飽和酸無水物、前記α,β−不飽和酸と低級脂肪酸との無水物;アルケニルマロン酸、アルケニルグルタル酸、アルケニルアジピン酸、これらの酸無水物及びこれらのモノエステルの如きカルボキシル基を有するモノマーが挙げられる。
更に、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートなどのアクリル酸またはメタクリル酸エステル類;4−(1−ヒドロキシ−1−メチルブチル)スチレン、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルヘキシル)スチレンの如きヒドロキシ基を有するモノマーが挙げられる。
本発明ではポリエステルユニットを有する樹脂が特に好ましく用いられる。前記「ポリエステルユニット」とは、ポリエステルに由来する部分を意味し、ポリエステルユニットを構成する成分としては、具体的には、2価以上のアルコールモノマー成分と2価以上のカルボン酸、2価以上のカルボン酸無水物及び2価以上のカルボン酸エステル等の酸モノマー成分が挙げられる。
本発明に用いられるトナーは、これらのポリエステルユニットを構成する成分を原料の一部とし、縮重合された部分を有する樹脂を用いることができる。
例えば、2価以上のアルコールモノマー成分として、具体的には、2価アルコールモノマー成分としては、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.0)−ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA等が挙げられる。
3価以上のアルコールモノマー成分としては、例えばソルビット、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセリン、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等が挙げられる。
2価のカルボン酸モノマー成分としては、フタル酸、イソフタル酸及びテレフタル酸の如き芳香族ジカルボン酸類又はその無水物;コハク酸、アジピン酸、セバシン酸及びアゼライン酸の如きアルキルジカルボン酸類又はその無水物;炭素数6乃至18のアルキル基又はアルケニル基で置換されたコハク酸もしくはその無水物;フマル酸、マレイン酸及びシトラコン酸の如き不飽和ジカルボン酸類又はその無水物;が挙げられる。
3価以上のカルボン酸モノマー成分としては、トリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸やその無水物等の多価カルボン酸等が挙げられる。
また、その他のモノマーとしては、ノボラック型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテル等の多価アルコール類等が挙げられる。
本発明で使用される着色剤としては、以下のものが挙げられる。
黒色着色剤としては、カーボンブラック;磁性体;イエロー着色剤、マゼンタ着色剤及びシアン着色剤とを用いて黒色に調整したものが挙げられる。
マゼンタトナー用着色顔料しては、以下のものが挙げられる。縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アンスラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物が挙げられる。具体的には、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、41、48:2、48:3,48:4、49、50、51、52、53、54、55、57:1、58、60、63、64、68、81:1、83、87、88、89、90、112、114、122、123、144、146、150、163、166、169、177、184、185、202、206、207、209、220、221、238、254、269;C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.バットレッド1、2、10、13、15、23、29、35が挙げられる。
着色剤には、顔料単独で使用してもかまわないが、染料と顔料とを併用してその鮮明度を向上させた方がフルカラー画像の画質の点から好ましい。
マゼンタトナー用染料としては、以下のものが挙げられる。C.Iソルベントレッド1、3、8、23、24、25、27、30、49、81、82、83、84、100、109、121、C.I.ディスパースレッド9、C.I.ソルベントバイオレット8、13、14、21、27、C.I.ディスパーバイオレット1の如き油溶染料、C.I.ベーシックレッド1、2、9、12、13、14、15、17、18、22、23、24、27、29、32、34、35、36、37、38、39、40、C.I.ベーシックバイオレット1、3、7、10、14、15、21、25、26、27、28などの如きの塩基性染料。
シアントナー用着色顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントブルー1、2、3、7、15:2、15:3、15:4、16、17、60、62、66;C.I.バットブルー6、C.I.アシッドブルー45、フタロシアニン骨格にフタルイミドメチルを1乃至5個置換した銅フタロシアニン顔料。
イエロー用着色顔料としては、以下のものが挙げられる。縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アンスラキノン化合物、アゾ金属化合物、メチン化合物、アリルアミド化合物。具体的には、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、16、17、23、62、65、73、74,83、93、95、97,109、110、111、120、127、128、129、147、155、168、174、180、181、185、191;C.I.バットイエロー1、3、20が挙げられる。また、C.I.ダイレクトグリーン6、C.I.ベーシックグリーン4、C.I.ベーシックグリーン6、ソルベントイエロー162などの染料も使用することができる。
また、上記トナーにおいて、結着樹脂に予め、着色剤を混合し、マスターバッチ化させたものを用いることが好ましい。そして、この着色剤マスターバッチとその他の原材料(結着樹脂及びワックス等)を溶融混練させることにより、トナー中に着色剤を良好に分散させることができる。
結着樹脂に着色剤を混合し、マスターバッチ化させる場合は、多量の着色剤を用いても着色剤の分散性を低下させず、また、トナー粒子中における着色剤の分散性を良化し、混色性や透明性等の色再現性が優れる。また、転写材上でのカバーリングパワーが大きいトナーを得ることができる。また、着色剤の分散性が良化することにより、トナー帯電性の耐久安定性が優れ、高画質を維持した画像を得ることが可能となる。
本発明のトナーに用いられるワックスとしては、例えば以下のものが挙げられる。低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、アルキレン共重合体、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスの如き炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスの如き炭化水素系ワックスの酸化物又はそれらのブロック共重合物;カルナバワックスの如き脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスの如き脂肪酸エステル類を一部又は全部を脱酸化したもの。さらに、以下のものが挙げられる。パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸の如き飽和直鎖脂肪酸類;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、パリナリン酸の如き不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールの如き飽和アルコール類;ソルビトールの如き多価アルコール類;パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸の如き脂肪酸類と、ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールの如きアルコール類とのエステル類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドの如き脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドの如き飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’ジオレイルセバシン酸アミドの如き不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’ジステアリルイソフタル酸アミドの如き芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムの如き脂肪族金属塩(一般的に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸の如きビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドの如き脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加によって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物。
これらのワックスの中でも、低温定着性、耐ホットオフセット性を向上させるという観点で、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスの如き炭化水素系ワックス、もしくはカルナバワックスの如き脂肪酸エステル系ワックスが好ましい。本発明においては、耐ホットオフセット性がより向上する点で、炭化水素系ワックスがより好ましい。
本発明では、ワックスは、結着樹脂100質量部あたり1質量部以上20質量部以下で使用されることが好ましい。
また、示差走査熱量測定(DSC)装置で測定される昇温時の吸熱曲線において、ワックスの最大吸熱ピークのピーク温度としては45℃以上140℃以下であることが好ましい。ワックスの最大吸熱ピークのピーク温度が上記範囲内であるとトナーの保存性と耐ホットオフセット性を両立できるため好ましい。
本発明においては、熱処理工程の前に、トナー用粉体粒子に、流動化剤、転写助剤、帯電安定化剤などをヘンシェルミキサーの如き混合機で混合して用いることができる。
また、流動化剤としては、流動性が添加前後を比較すると増加し得るものであれば、どのようなものでも使用可能である。例えば、フッ化ビニリデン微粉末、ポリテトラフルオロエチレン微粉末の如きフッ素系樹脂粉末;酸化チタン微粉末、アルミナ微粉末、湿式製法シリカ、乾式製法シリカの如き微粉末シリカ;それらをシラン化合物、及び有機ケイ素化合物、チタンカップリング剤、シリコーンオイルにより表面処理を施した処理シリカを使用することが可能である。
また酸化チタン微粉末であれば、硫酸法、塩素法、揮発性チタン化合物例えばチタンアルコキシド,チタンハライド,チタンアセチルアセトネートの低温酸化(熱分解,加水分解)により得られる酸化チタン微粒子が用いられる。結晶系としてはアナターゼ型,ルチル型,これらの混晶型,アモルファスのいずれのものも用いることができる。
そしてアルミナ微粉末であれば、バイヤー法、改良バイヤー法、エチレンクロルヒドリン法、水中火花放電法、有機アルミニウム加水分解法、アルミニウムミョウバン熱分解法、アンモニウムアルミニウム炭酸塩熱分解法、塩化アルミニウムの火焔分解法により得られるアルミナ微粉体が用いられる。結晶系としてはα,β,γ,δ,ξ,η,θ,κ,χ,ρ型、これらの混晶型、アモルファスのいずれのものも用いられ、α,δ,γ,θ,混晶型,アモルファスのものが好ましく用いられる。
前記微粉体は、その表面がカップリング剤やシリコーンオイルによって疎水化処理をされていることがより好ましい。
微粉体の表面の疎水化処理方法は、微粉体と反応あるいは物理吸着する有機ケイ素化合物等で化学的、または物理的に処理する方法である。
上記疎水化処理方法として好ましい方法は、ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成されたシリカ微粒子を有機ケイ素化合物で処理する方法である。そのような方法に使用される有機ケイ素化合物の例は、以下のものが挙げられる。ヘキサメチルジシラザン、トリメチルシラン、トリメチルクロルシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α−クロルエチルトリクロルシラン、β−クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシロキサンおよび1分子当り2から12個のシロキサン単位を有し末端に位置する単位にそれぞれ1個宛のSiに結合した水酸基を含有するジメチルポリシロキサン。
上記流動化剤は単独で用いても、複数種を組合せて用いても良い。
また、上記流動化剤は、トナー用粉体粒子100質量部に対して流動化剤0.1乃至8.0質量部、好ましくは0.1乃至4.0質量部使用するのが良い。添加量が0.1質量部未満ではトナー用粉体粒子に流動性を付与することができなく、好ましくない。また、4.0質量部を超える場合ではトナー用粉体粒子と無機微粉体の混合が困難になり、トナー用粉体粒子の熱処理の生産上好ましくない。
尚、上記の添加剤は、外添工程で外添剤として用いても良い。
上記トナーの各種物性の測定方法及び、以下の実施例中で測定した各種物性の測定方法に関して以下に説明する。
<重量平均粒径(D4)の測定方法>
トナーの重量平均粒径(D4)は、以下のようにして算出する。測定装置としては、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター(株)製)を用いる。測定条件の設定及び測定データの解析は、付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター(株)製)を用いる。尚、測定は実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで行う。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター(株)製)が使用できる。
尚、測定、解析を行う前に、以下のように専用ソフトの設定を行った。
専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更」画面において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター(株)製)を用いて得られた値を設定する。「閾値/ノイズレベルの測定ボタン」を押す事で、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、「測定後のアパーチャーチューブのフラッシュ」にチェックを入れる。
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定」画面において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250mL丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mLを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行なう。そして、専用ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100mL平底ビーカーに前記電解水溶液約30mLを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業(株)製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.3mL加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispension System Tetora150」(日科機バイオス(株)製)を準備する。超音波分散器の水槽内に約3.3lのイオン交換水を入れ、この水槽中にコンタミノンNを約2mL添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)を算出する。尚、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、「分析/体積統計値(算術平均)」画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。
<微粉量の算出方法>
トナー中の個数基準の微粉量(個数%)は、前記のMultisizer 3の測定を行った後、データを解析することにより算出する。
例えば、トナー中の4.0μm以下の粒子の個数%は、以下の手順で算出する。まず、専用ソフトでグラフ/個数%に設定して測定結果のチャートを個数%表示とする。そして、「書式/粒径/粒径統計」画面における粒径設定部分の「<」にチェックし、その下の粒径入力部に「4」を入力する。「分析/個数統計値(算術平均)」画面を表示したときの「<4μm」表示部の数値が、トナー中の4.0μm以下の粒子の個数%である。
<粗粉量の算出方法>
トナー中の体積基準の粗粉量(体積%)は、前記のMultisizer 3の測定を行った後、データを解析することにより算出する。
例えば、トナー中の10.0μm以上の粒子の体積%は、以下の手順で算出する。まず、専用ソフトでグラフ/体積%に設定して測定結果のチャートを体積%表示とする。そして、「書式/粒径/粒径統計」画面における粒径設定部分の「>」にチェックし、その下の粒径入力部に「10」を入力する。「分析/体積統計値(算術平均)」画面を表示したときの「>10μm」表示部の数値が、トナー中の10.0μm以上の粒子の体積%である。
<平均円形度の測定方法>
トナー粒子の平均円形度は、フロー式粒子像分析装置「FPIA−3000」(シスメックス(株)製)によって、校正作業時の測定及び解析条件で測定する。
具体的な測定方法は、以下の通りである。まず、ガラス製の容器中に予め不純固形物などを除去したイオン交換水約20mLを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業(株)製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.2mL加える。更に測定試料を約0.02g加え、超音波分散器を用いて2分間分散処理を行い、測定用の分散液とする。その際、分散液の温度が10℃以上40℃以下となる様に適宜冷却する。超音波分散器としては、発振周波数50kHz、電気的出力150Wの卓上型の超音波洗浄器分散器(「VS−150」((株)ヴェルヴォクリーア製))を用い、水槽内には所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2mL添加する。
測定には、標準対物レンズ(10倍)を搭載した前記フロー式粒子像分析装置を用い、シース液にはパーティクルシース「PSE−900A」(シスメックス(株)製)を使用した。前記手順に従い調整した分散液を前記フロー式粒子像分析装置に導入し、HPF測定モードで、トータルカウントモードにて3000個のトナー粒子を計測する。そして、粒子解析時の2値化閾値を85%とし、解析粒子径を円相当径1.985μm以上39.69μm未満に限定し、トナー粒子の平均円形度を求める。
測定にあたっては、測定開始前に標準ラテックス粒子(Duke Scientific社製の「RESEARCH AND TEST PARTICLES Latex Microsphere Suspensions 5200A」をイオン交換水で希釈)を用いて自動焦点調整を行う。その後、測定開始から2時間毎に焦点調整を実施することが好ましい。
尚、本発明の実施例では、シスメックス(株)による校正作業が行われた、シスメックス(株)が発行する校正証明書の発行を受けたフロー式粒子像分析装置を使用した。解析粒子径を円相当径1.985μm以上39.69μm未満に限定した以外は、校正証明を受けた時の測定及び解析条件で測定を行った。
<円形度が0.990以上の粒子の割合の算出方法>
本発明において、円形度が0.990以上の粒子の割合は、円形度の分布を示す指標として用いており、頻度(%)で表わされる。具体的には、FPIA−3000によって測定したトナーの平均円形度における、頻度テーブルの範囲1.00の頻度(%)の値と、0.990−>1.000の頻度(%)の値を足した値を用いた。
以下、本発明の実施例および比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(トナー用粉体粒子Aの製造例)
ポリエステルユニットを有する樹脂:100質量部
(重量平均分子量(Mw):82450、数平均分子量(Mn):3650、ピーク分子量:(Mp)8550)
パラフィンワックス:4質量部
(最大吸熱ピーク温度78℃)
3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物:1.0質量部
C.I.ピグメントブルー15:3.5質量部
上記の処方の材料をヘンシェルミキサーFM−75型(日本コークス工業(株)製)で混合した後、温度を120℃に設定した二軸混練機PCM−30型((株)池貝製)にて混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、粗砕物とし、得られた粗砕物を、機械式粉砕機T−250(フロイント・ターボ(株)製)にて粉砕し、粉体微粒子を得た。続いて、得られた粉体微粒子を、ファカルティF−300(ホソカワミクロン(株)製)により分級し、粉体粒子とした。
更に、下記材料をヘンシェルミキサーFM−75型(日本コークス工業(株)製)に投入し、回転羽根の周速を50.0m/秒とし、混合時間3分で混合することにより、粉体粒子の表面に、シリカと酸化チタンを付着させたトナー用粉体粒子を得た。
粉体粒子:100質量部
シリカ:3.5質量部
(ゾルゲル法で作製したシリカ微粒子にヘキサメチルジシラザン処理1.5質量%で表面処理した後、分級によって所望の粒度分布に調整したもの。)
酸化チタン:0.5質量部
(アナターゼ形の結晶性を有するメタチタン酸を表面処理したもの。)
このとき得られたトナー用粉体粒子は、重量平均粒径(D4)が6.7μm、粒径4.0μm以下の粒子が25.5個数%であり、粒径10.0μm以上の粒子が2.5体積%であった。
更に、FPIA3000にて平均円形度を測定した結果、平均円形度が0.946であった。
以下、これをトナー用粉体粒子Aとする。
これらの結果を表1にまとめた。
(トナー用粉体粒子Bの製造例)
本製造例では、パラフィンワックスの添加量を6質量部にした以外は、トナー用粉体粒子Aと同様の製造方法にて、トナー用粉体粒子Bを得た。
このとき得られたトナー用粉体粒子Bの重量平均粒径(D4)、粒径4.0μm以下の粒子の割合、粒径10.0μm以上の粒子の割合、平均円形度を測定した結果を表1にまとめた。
(トナー用粉体粒子Cの製造例)
本製造例では、パラフィンワックスの添加量を8質量部にした以外は、トナー用粉体粒子Aと同様の製造方法にて、トナー用粉体粒子Cを得た。
このとき得られたトナー用粉体粒子Cの重量平均粒径(D4)、粒径4.0μm以下の粒子の割合、粒径10.0μm以上の粒子の割合、平均円形度を測定した結果を表1にまとめた。
〔実施例1〕
本実施例では図1、図2に示した熱処理装置を用い、トナー用粉体粒子Aを熱処理し、平均円形度0.965のトナー用熱処理粒子を得た。
本実施例における排出手段は、図5に示す様に第三冷風供給手段中央口の略対向位置に排出手段下端が底面と一致する様にかつ底面と平行に配置した。また排出手段の大きさは、高さが125mm、側面間距離aが50mm、断面積6250mmとした。また円筒状外壁の内周面に沿って接合される一側面と相対する他側面は、50mmの曲率半径Rを持つ円筒状曲面17を介して円筒状外壁の内周面に接合した。この時のR/a比は1.0となる。なお本体との接合部面積は、本体接線方向に取り付ける事と円筒状曲面を介すために上記に示した面積よりも大きくなる。
装置の円筒状外壁の内周面直径は450mm、円柱状規制部材の外周面直径は330mmとした。
熱風供給手段における略円錐状の分配部材12の角度は60°とした。更に図3に示した旋回部材のブレード間最小間隔Gを9.5mm、高さを30mm、ブレード枚数を22枚、熱風供給手段の出口の断面積を6270mmとした。
粉体供給手段は図4に示す様に8分割とした。また熱風供給手段出口下端から粉体供給手段上端までの距離を35mmとし、処理室の中心軸と直交する同一断面上に45°間隔に、本体内螺旋流の角度と一致する様に処理室中心軸直交断面に対し本体下端方向に27°の角度を付けて配置した。粉体供給手段各出口の縦の長さは80mm、横の長さは10mmとし、各出口断面積を800mm、総断面積は6400mmとした。
冷風供給手段は図1に示した様に第一、第二、第三の三段階とする。
第一冷風供給手段は図4に示した粉体供給手段と同様に8分割とし、粉体供給手段出口下端から第一冷風供給手段出口上端までの距離を230mmとした。更に処理室の中心軸と直交する同一断面上に各口を45°等間隔に、かつ本体内螺旋流の角度と一致する様に処理室中心軸直交断面に対し本体下端方向に27°の角度を付けて配置した。第一冷風供給手段各出口の縦の長さは80mm、横の長さは10mmとし、各出口断面積は800mm、総断面積は6400mmとした。
第二冷風供給手段は図4に示した粉体供給手段と同様に8分割とし、第一冷風供給手段出口下端から第二冷風供給手段出口上端までの距離を200mmとした。更に処理室の中心軸と直交する同一断面上に45°等間隔に、かつ本体内螺旋流の角度と一致する様に処理室中心軸直交断面に対し本体下端方向に27°の角度を付けて配置した。第二冷風供給手段各出口の縦の長さは80mm、横の長さは10mmとし、各出口断面積は800mm、総断面積は6400mmとした。
第三冷風供給手段は図5に示す様に3分割とし、第三冷風供給手段下端が底面と一致する様に90°間隔に計180°に、かつ底面と平行に配置した。第三冷風供給手段各出口の縦の長さは80mm、横の長さは10mmとし、各出口断面積は800mm、総断面積は2400mmとした。
上記装置構成を装置構成1とする。
装置構成1を用いてトナー用粉体粒子Aの処理量(kg/hr)を150kg/hrとしてトナー用粉体粒子Aを熱処理した。
<運転条件1>
この時の運転条件(以下、運転条件1とも記載する。)は、以下のとおりであった。
熱風は温度160℃、流量28.0m/分とした。
粉体供給手段における搬送気体は、温度25℃、総流量3.6m/分とし、各口に流量0.45m/分と分割した。
第一冷風供給手段から供給される冷風は、温度−5℃、総流量8.0m/分とし、各口に流量1.0m/分と分割した。
第二冷風供給手段から供給される冷風は、温度−5℃、総流量2.0m/分とし、各口に流量0.25m/分と分割した。
第三冷風供給手段から供給される冷風は、温度−5℃、総流量1.5m/分とし、各口に流量0.5m/分、と分割した。
運転時間は1時間とした。
この時得られた熱処理後のトナー用粉体粒子は、以下のとおりであった。
重量平均粒径(D4)が6.8μm、
粒径4.0μm以下の粒子が24.4個数%、
粒径10.0μm以上の粒子が3.6体積%。
また運転後に本体内の融着状況を目視によって確認したが融着物は全く認められなかった。
次に同じく装置構成1を用いてトナー用粉体粒子Aの処理量を230kg/hrとしてトナー用粉体粒子Aを熱処理した。この時の運転条件は平均円形度0.965のトナーを得るために、運転条件1に加え熱風温度を215℃とした。
この時得られた熱処理後のトナー用粉体粒子は、以下のとおりであった。
重量平均粒径(D4)が6.9μm、
粒径4.0μm以下の粒子が24.1個数%、
粒径10.0μm以上の粒子が3.9体積%。
また150kg/hr処理時と比較して230kg/hr処理時での粒径10.0μm以上の粒子の体積%での増加は0.3%であり、処理量を増加しても粗大粒子の増加は少なかった。また運転後に本体内の融着状況を目視によって確認したが、融着物は全く認められなかった。
以上得られたトナーの熱処理結果の評価を下記の基準で行った。
<粗粉割合に対する評価>
得られた熱処理後のトナー用粉体粒子に含有される10.0μm以上の粒子の割合s(体積%)を粗粉割合の評価の基準とし、下記の基準で判断した。
A: s<5.0
B: 5.0≦s<10.0
C:10.0≦s<15.0
D:15.0≦s<20.0
E:20.0≦s
<処理量を増加した時の粗粉割合の増加に関する評価>
230kg/hr処理時の粗粉割合(体積%)と、150kg/hr処理時の粗粉割合(体積%)との差Δsを、本発明の熱処理装置における処理量の増加させ易さの指標とし、下記の基準で判断した。
A: Δs<2.0
B:2.0≦Δs<4.0
C:4.0≦Δs<6.0
D:6.0≦Δs<8.0
E:8.0≦Δs
<熱処理装置の融着に対する評価>
各実施例の条件で1時間運転後、トナー用粉体粒子Bの供給を止めた。そして、工業用ビデオスコープ「IPLEX SA II R」(オリンパス(株)製)のスコープ部を熱処理装置側面や粉体粒子輸送経路配管の点検口(不図示)から挿入し、融着状況を確認し、下記の基準で判断した。
A:融着物が全く認められないレベル
B:融着物が僅かに認められるが、運転上支障のないレベル
C:融着が認められるが、運転上支障のないレベル
D:融着が認められ、運転ができなくなるレベル
E:大きな融着物が認められ、運転ができなくレベル
以上の結果を表2にまとめた。
〔実施例2〕
本実施例では装置構成1を用いてトナー用粉体粒子Bを処理し、平均円形度0.965のトナー用熱処理粒子を得た。
まず処理量を150kg/hrとして熱処理した。運転条件は、熱風の温度を170℃とした以外は、運転条件1と同じとした。トナー用粉体粒子Bはワックス添加量が6質量部とトナー用粉体粒子Aより多いため、平均円形度0.965を得るための熱風温度が高くなった。この時の粗粉量sは4.1%であった。
次に処理量を230kg/hrとして熱処理した。この時の運転条件は、熱風の温度を225℃とした以外は、運転条件1と同じとした。粗粉量は実施例1にやや劣るものの4.5%と評価Aの範囲内であった。このため処理量を150kg/hrから230kg/hrに増加した時の粗粉の増加Δsは0.4%と評価Aの範囲内であった。また装置内部に融着は全くなく評価Aであった。
以上の結果を表2にまとめた。
〔実施例3〕
本実施例では装置構成1を用いてトナー用粉体粒子Cを熱処理し、平均円形度0.965のトナー用熱処理粒子を得た。まず処理量を150kg/hrとして熱処理し、平均円形度0.965のトナー用熱処理粒子を得た。
運転条件は、熱風の温度を180℃とした以外は、運転条件1と同じとした。トナー用粉体粒子Cはワックス添加量が8質量部とトナー用粉体粒子A及びBより多いため、平均円形度0.965を得るための熱風温度が実施例1及び2と比較して高くなった。この時の粗粉量sは4.4%であった。
次に処理量を230kg/hrとして熱処理した。この時の運転条件は、熱風の温度を235℃とした以外は、運転条件1と同じとした。
粗粉量sは実施例1及び2にはやや劣るものの4.6%と評価Aの範囲内であった。このため処理量を150kg/hrから230kg/hrに増加した時の粗粉量の増加Δsは0.2%と評価Aの範囲内であった。また装置内部に融着は全くなく評価Aであった。
以上の結果を表2にまとめた。
〔実施例4〕
本実施例で用いる装置構成は、装置構成1を基に、円筒状曲面の曲率半径Rを55mmとして円筒状外壁の内周面と接合した。この時のR/a比は1.1となる。
この装置構成を装置構成2としてトナー用粉体粒子Cを熱処理し、平均円形度0.965のトナー用熱処理粒子を得た。
運転条件は、熱風の温度を、トナー処理量が150kg/hrのときは180℃とし、トナー処理量が230kg/hrのときは235℃とした以外は、運転条件1と同じとした。実施例3と比較すると、熱処理に必要な熱風温度は同等であった。
また粗粉量sは150kg/hr処理時は4.2%であり、230kg/hr処理時は4.5%と評価Aの範囲内であった。このため処理量を150kg/hrから230kg/hrに増加した時の粗粉の増加Δsは0.3%と評価Aの範囲内であった。また装置内部に融着は全く見られず、評価Aであった。これら粗粉量s、粗粉の増加Δs、装置内融着は共に実施例3とほぼ同等であった。
これらの結果から、曲率半径Rと側面間距離aの比R/aが1.0を超えると、それ以上に曲率半径を大きくすることによる改善効果は無いことが明らかとなった。
以上の結果を表2にまとめた。
〔実施例5〕
本実施例で用いる装置構成は、装置構成1を基に、排出手段の側面間距離aを72.5mm、及び円筒状曲面の曲率半径を72.5mmとした。この時のR/a比は1.0となる。この装置構成を装置構成3としてトナー用粉体粒子Cを熱処理し、平均円形度0.965のトナー用熱処理粒子を得た。
運転条件は、熱風の温度を、トナー処理量が150kg/hrのときは180℃とし、トナー処理量が230kg/hrのときは235℃とした以外は、運転条件1と同じとした。実施例3と比較すると、熱処理に必要な熱風温度は同等であった。
また粗粉量sは150kg/hr処理時は4.4%であり、230kg/hr処理時は4.7%と評価Aの範囲内であった。このため処理量を150kg/hrから230kg/hrに増加した場合の粗粉量の増加Δsは0.3%であり評価Aの範囲内であった。また装置内部に融着は全く見られず評価Aであった。これら粗粉量s、粗粉の増加Δs、装置内融着は共に実施例3とほぼ同等であった。
これらの結果から曲率半径Rと側面間距離aの比R/aが1.0であれば、排出手段の幅を大きくしても改善効果に変化は見られないことが明らかとなった。
これらの結果を表2にまとめた。
〔実施例6〕
本実施例で用いる装置構成は、装置構成1を基に、排出手段の側面間距離aを40mm、及び円筒状曲面の曲率半径を40mmとした。この時のR/a比は1.0となる。この装置構成を装置構成4としてトナー用粉体粒子Cを熱処理し、平均円形度0.965のトナー用熱処理粒子を得た。
運転条件は、熱風の温度を、トナー処理量が150kg/hrのときは185℃とし、トナー処理量が230kg/hrのときは242℃とした以外は、運転条件1と同じとした。実施例3と比較すると必要な熱風温度は上がった。これは装置内に与える総風量と比較して排出手段の幅が小さいため圧力損失が上がり、装置内の流れが阻害されたためである。
また粗粉量sは150kg/hr処理時には4.9%であり、230kg/hr処理時には8.8%と評価Bであった。このため処理量を150kg/hrから230kg/hrに増加した時の粗粉の増加Δsは3.9%と評価Bであった。また融着はほとんど見られず、評価Bであった。
これらもまた排出手段での圧力損失が上がった影響によるものであり、円筒状曲面を介す場合であっても装置内の総風量に対して適切な幅を持った排出手段が必要であると言える。
以上の結果を表2にまとめた。
〔実施例7〕
本実施例で用いる装置構成は、装置構成1を基に、排出手段の側面間距離aが50mmに対し円筒状曲面の曲率半径Rを15mmとした。この時のR/a比は0.3となる。この装置構成を装置構成5としてトナー用粉体粒子Cを熱処理し、平均円形度0.965のトナー用熱処理粒子を得た。
運転条件は、熱風の温度を、トナー処理量が150kg/hrのときは182℃とし、トナー処理量が230kg/hrのときは238℃とした。実施例3と比較すると必要な熱風温度は僅かに上がった。これは排出手段における円筒状曲面の曲率半径が小さいため圧力損失の減少効果が十分ではなく、装置内の流れが阻害されたためである。
粗粉量sは150kg/hr処理時に4.6%であり、230kg/hr処理時には6.8%と評価Bであった。このため処理量を150kg/hrから230kg/hrとした時の粗粉の増加Δsは2.2%と評価Bであった。また融着はほとんど見られず、評価Bであった。これらもまた排出手段での圧力損失が上がった影響によるものである。
これらの結果を表2にまとめた。
〔実施例8〕
本実施例で用いる装置構成は、装置構成1を基に、排出手段の側面間距離aが50mmに対し円筒状曲面の曲率半径Rを10mmとした。この時のR/a比は0.2となる。この装置構成を装置構成6としてトナー用粉体粒子Cを熱処理し、平均円形度0.965のトナー用熱処理粒子を得た。
運転条件は、熱風の温度を、トナー処理量が150kg/hrのときは183℃とし、トナー処理量が230kg/hrのときは240℃とした以外は、運転条件1と同じとした。実施例3と比較すると必要な熱風温度は上がった。これは排出手段における円筒状曲面の曲率半径が小さいため圧力損失の減少効果が十分ではなく、装置内の流れが阻害されたためである。
粗粉量sは150kg/hr処理時には4.7%であり、230kg/hr処理時には8.2%と評価Bであった。このため処理量を150kg/hrから230kg/hrとした時の粗粉の増加Δsは3.5%と評価Bであった。また運転に支障が出るレベルではないものの排出手段内部に軽微な融着が見られ、評価Cであった。
シミュレーションにおいてR/a比が0.3を下回ると大きな滞留渦が出ると確認している。排出手段内部の融着はこの滞留渦のために発生したためと考えられる。
これらの結果を表2にまとめた。
〔比較例1〕
本比較例で用いる装置構成は、装置構成1を基に、排出手段を円筒状外壁の接線方向から法線方向へとした。また排出手段と処理室間の円筒状曲面は持たせず、直接接合している。この装置構成を装置構成7としてトナー用粉体粒子Cを熱処理し、平均円形度0.965のトナー用熱処理粒子を得た。
運転条件は、熱風の温度を、トナー処理量が150kg/hrのときは210℃とし、トナー処理量が230kg/hrのときは260℃とした以外は、運転条件1と同じとした。実施例3と比較して熱風温度は上昇した。これは排出手段が装置内部の旋回流に対して法線方向に伸びているため、装置内部の流れが大きく阻害されたためである。
粗粉量sは150kg/hr処理時には4.9%であり、230kg/hr処理時には12.1%と評価Cであった。このため処理量を150kg/hrから230kg/hrとした時の粗粉の増加Δsは7.2%と評価Dであった。また装置内部には運転に支障が出るレベルの融着が認められ、評価Dであった。
排気手段を接線方向から変えた事、及び排気手段の接合部に曲面を採用しなかった事で装置内部の特に排出部近傍の流れが大きく阻害されたため、粗粉及び融着レベルが低下したと考えられる。
これらの結果を表2にまとめた。
〔比較例2〕
図6に本比較例で使用した装置の構成を示した。かかる装置を使用してトナー用粉体粒子Cを熱処理し、平均円形度0.965のトナー用熱処理粒子を得た。本装置は排出手段69が一口のストレート排気、粉体供給手段65が一口、熱風供給手段64から熱風がストレートに供給される構成となっている。またこの時の排出手段69の排気口の総断面積と粉体供給手段65の出口(供給口)の総断面積との関係は、排気口の総断面積>供給口の総断面積となっている。粉体供給手段65から供給されたトナー用紛体粒子は分散板15に衝突し、左右に分散される。
運転条件は、熱風の温度を、トナー処理量が150kg/hrのときは250℃とし、トナー処理量が230kg/hrのときは330℃とした以外は、運転条件1と同じとした。また本装置構成ではメッシュ16から外気を取り込むことによって装置内を冷却する構成をとっているため、冷風は導入しなかった。実施例3と比較して熱風温度は上昇した。
粗粉量sは150kg/hr処理時には18.3%であり、230kg/hr処理時には28.2%と評価Eであった。このため処理量を150kg/hrから230kg/hrとした時の粗粉の増加Δsは9.9%と評価Eであった。また装置内部に運転に支障が出るレベルの大きな融着が認められ、評価Eであった。
結果を表2にまとめた。
〔比較例3〕
図7に本比較例で使用した装置の構成を示した。(a)は熱風供給手段74および粉体供給手段75を上から見た図である。(b)は装置全体の概略構成を示す断面図である。かかる装置を使用してトナー用粉体粒子Cを熱処理し、平均円形度0.965のトナー用熱処理粒子を得た。本装置は排出手段79が一口のストレート排気、粉体供給手段75が一口で、粉体供給手段75から供給されるトナー用粉体粒子と熱風供給手段74から供給される熱風とが逆方向に旋回して装置内に供給される構成となっている。また冷風供給手段はスリット72を設けることによって装置の壁面からストレートに導入される第一冷風供給手段76と、排出手段79を冷却するために接線方向から導入される第二冷風供給手段77が設けられている。
本比較例における運転条件と運転条件1との相違点は以下のとおりである。
熱風温度 トナー処理量が150kg/hrのとき 300℃、
トナー処理量が230kg/hrのとき 410℃。
第一冷風供給手段から供給される冷風の流量 8.0m/分、
第二冷風供給手段から供給される冷風の流量 4.0m/分。
実施例3と比較して熱風温度は上昇した。
粗粉量sは150kg/hr処理時に21.4%であり、230kg/hr処理時には45.5%と評価Eであった。このため処理量を150kg/hrから230kg/hrとした時の粗粉の増加Δsは24.1%と評価Eであった。また装置内部に運転に支障が出るレベルの大きな融着が認められ、評価Eであった。
結果を表2にまとめた。
〔比較例4〕
図8に本比較例で使用した装置の構成を示した。(a)は熱風供給手段84および粉体供給手段85を上から見た図である。(b)は装置全体の概略構成を示す断面図である。かかる装置を使用してトナー用粉体粒子Cを熱処理し、平均円形度0.965のトナー用熱処理粒子を得た。本比較例の装置構成は比較例3で示した装置構成8の熱風供給手段と粉体供給手段を改造し、トナー用粉体粒子14と熱風が同方向に旋回して装置内に供給される構成となっている。また熱風供給手段84と粉体供給手段85の関係は、図8の様に粉体供給手段85の外側から熱風が供給される構成となっている。また、図7に示した装置と同様に、図8に示した装置もスリット82を備える。
本比較例における運転条件と運転条件1との相違点は以下のとおりである。
熱風供給手段84から供給される熱風の温度 トナー処理量が150kg/hrのとき 350℃。
粉体供給手段85から供給される搬送気体の流量 3.6m/分、
第一冷風供給手段86から供給される冷風の流量 8.0m/分、
第二冷風供給手段87から供給される冷風の流量 4.0m/分。
実施例3と比較して150kg/hr処理時の熱風温度は上昇した。粗粉量sは150kg/hr処理の時に25.6%であった。また230kg/hr処理では熱風温度を450℃まで上げても平均円形度0.965を得ることができなかった。このため粗粉量、粗粉量の増加及び融着の評価を行うことができなかった。
結果を表2にまとめた。
〔参考例1〕
図12は参考例1で用いられる熱処理装置の概略的断面図である。
本参考例で用いる装置構成は、装置構成1を基に、排出手段接合部における円筒状曲面を採用せず、排出手段の他側面127を、処理室3の外壁1の排出口に、曲面を介さずに、直接接合した構成となっている。この装置構成を装置構成11としてトナー用粉体粒子Aを熱処理し、平均円形度0.965のトナー用熱処理粒子を得た。
運転条件は、熱風の温度を、トナー処理量が150kg/hrのときは161℃とし、トナー処理量が230kg/hrのときは220℃とした以外は、運転条件1と同じとした。実施例1と比較して熱風温度は上昇した。
粗粉量sは150kg/hr処理時4.8%であり、230kg/hr処理時は9.2%と評価Bであった。このため処理量を150kg/hrから230kg/hrとした時の粗粉の増加Δsは4.4%と評価Cであった。また排出手段内部に軽微な融着が見られ評価Cであった。
排出手段を処理室に直接接合したことにより圧力損失が高まり、装置内部の流れが阻害されたためであると考えられる。また同様に排出手段内部での滞留渦により融着レベルが低下したと考えられる。
しかしながら本比較例での230kg/hr処理は難しいと思われるが、220kg/hr程度まで処理ならば安定した運転が可能であった。
これらの結果を表2にまとめた。
〔参考例2〕
本参考例では装置構成11を用いてトナー用粉体粒子Cを熱処理し、平均円形度0.965のトナー用熱処理粒子を得た。
運転条件は、熱風の温度を、トナー処理量が150kg/hrのときは184℃とし、トナー処理量が230kg/hr処理のときは242℃とした以外は、運転条件1と同じとした。実施例3と比較して熱風温度は上昇した。
粗粉量sは150kg/hr処理時4.8%であり、230kg/hr処理時は9.2%と評価Bであった。このため処理量を150kg/hrから230kg/hrとした時の粗粉の増加Δsは4.4%と評価Cであった。また装置内部に軽微な融着が見られず評価Cであった。
排出手段を処理室に直接接合したことにより圧力損失が高まり、装置内部の流れが阻害されたためであると考えられる。また同様に排出手段内部での滞留渦により融着レベルが低下したと考えられる。
しかしながら本比較例での230kg/hr処理は難しいと思われるが、220kg/hr程度まで処理ならば安定した運転が可能であった。
これらの結果を表2にまとめた。

1:外壁
2:円柱状規制部材
3:処理室
4:熱風供給手段
5:粉体供給手段
6:第一冷風供給手段
7:第二冷風供給手段
8:第三冷風供給手段
9:排出手段
10:熱風旋回部材
11:熱風旋回部材のブレード
12:分配部材
72、82:スリット
14:トナー用粉体粒子
15:分散板
16:メッシュ
17:円筒状の曲面

Claims (4)

  1. ワックスを含有する粉体粒子の熱処理装置であって、該熱処理装置は
    (1)円筒状の外壁の内周面と、該外壁の内部に該外壁の中心軸と同軸上に配置された円柱状の内部部材の外周面とで形成され、該粉体粒子の熱処理が行われる同軸2重円筒状の処理室と、
    (2)該処理室に該粉体粒子を供給するための粉体粒子供給手段と、
    (3)供給された該粉体粒子を熱処理するための熱風を供給する熱風供給手段と、(4)該外壁の該内周面と該内部部材の該外周面とを冷却する冷風を該処理室内に供給する冷風供給手段と、
    (5)熱処理された該粉体粒子を該処理室の外に排出する排出手段と、
    (6)熱風を該処理室において螺旋状に旋回させるための旋回部材と、
    を有し、
    該排出手段は、該熱処理装置の下端部に配置され、
    該排出手段の断面は略四角形であって、
    該排出手段と該外壁との接合部において
    該排出手段の一側面は、該外壁に設けられた排出口の一端に、熱風の旋回方向の接線方向と略同方向へ該紛体粒子を排出する様に、該外壁の該内周面に沿って接合されており、
    該一側面と相対する該排出手段の他側面は、該排出口の他端に、曲面を介して接合されている
    ことを特徴とする粉体粒子の熱処理装置。
  2. 前記排出手段の前記一側面と前記他側面との面間距離をaとし、
    前記排出手段の前記他側面と、前記排出口の前記他端とを接続する前記曲面の曲率半径をRとした場合に、下記式(1)を満たす請求項1に記載の粉体粒子の熱処理装置。
    R≧0.3×a 式(1)
  3. 前記粉体粒子が結着樹脂、及び着色剤をさらに含有する請求項1又は2に記載の粉体粒子の熱処理装置。
  4. 結着樹脂及び着色剤を含有する粉体粒子を熱処理装置を用いて熱処理する熱処理工程を経てトナーを得るトナーの製造方法であって、
    該熱処理装置が、請求項1乃至3の何れか一項に記載の粉体粒子の熱処理装置であることを特徴とするトナーの製造方法。

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