以下、好ましい実施の形態を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
まず、本発明の粉体粒子の熱処理装置の概略を、図1、図2を用いて説明する。
図1は本発明による熱処理装置の一例を示した概略的斜視図である。また、図2は図1における、A−A´面での概略的断面図である。また、図3は、本発明の粉体粒子の熱処理装置に用いられる、熱風を螺旋状に旋回させるための旋回部材である。
図1、図2に示したように、本発明の粉体粒子の熱処理装置は、粉体粒子の熱処理が行われる処理室1と、粉体粒子を処理室1に供給する粉体粒子供給手段2を持つ。
本発明の熱処理装置において、処理室1の形状は内周面を有する円筒形状であり、処理室1の内径T(mm)は、350mm≦T≦900mmであることが好ましい。処理室1の内径が上記の範囲内であれば、トナー用粉体粒子を効率よく熱処理することができる。処理室1の内径T(mm)が、T<350mmとなると、処理室1におけるトナー用粉体粒子の粉塵濃度が増加してしまい、処理量を増加させることができない場合がある。また、900mm<Tとなると、ブロワーやヒーター、冷風発生装置などの熱処理装置の付帯設備を大型化しなくてはならず、トナー用粉体粒子を熱処理する際の製造エネルギーが大きくなり好ましくない場合がある。
更に処理室1は、粉体粒子の装置内融着を防止するために、冷却ジャケットによって冷却されていることが好ましい。冷却ジャケットには冷却水(好ましくはエチレングリコール等の不凍液)を導入することが望ましく、処理室内周面の冷却ジャケットの表面温度が40℃以下であることが好ましい。処理室内周面の表面温度が40℃以下であることにより、ワックスを含有するトナー用粉体粒子を熱処理した際に、トナー用粉体粒子の表面にワックスが染み出し、付着力が増加しても、装置内融着を軽減することができる。
本発明の熱処理装置において、トナー用粉体粒子は、高圧エア供給ノズル(図示せず)から供給されるインジェクションエアにより加速、搬送され、粉体粒子供給手段2から処理室1に供給される。
本発明の熱処理装置の粉体粒子供給手段2は、供給された粉体粒子が処理室1の内周面に沿って供給されるように設けられ、かつ、円筒状の処理室1の中心軸と直交する同一断面上に存在するように処理室の外周部に複数設けられている。粉体粒子供給手段2の分割数が多くなるほど、処理室1に導入された直後の粉体粒子は粉塵濃度が低下した状態で、熱処理される。これによって、粉体粒子供給手段2の分割数が多くなるほど、粉塵濃度が低下する為、熱処理に必要な温度を低下させることができる。また、粉体粒子供給手段2が複数に分割されると、処理量が同一の場合、分割された分だけ、粉体粒子供給手段一つ当たりの粉塵濃度が低減する。このため、同一条件で処理量を増加させた場合、粉体粒子供給手段2の分割数が多くなるほど、処理室1に導入される粉体粒子の粉塵濃度の増加量が低減する。従って、粉体粒子の処理量を増加しても、合一粒子の少ない熱処理された粉体粒子を得ることができる。尚、本発明の熱処理装置の粉体粒子供給手段2の分割数は、例えば処理室の内径が450mmの場合は、4分割から、12分割の間が好ましく、より好ましくは8分割の場合である。粉体供給手段2が8分割されると、粉体粒子の熱処理時に、処理量を増加させても粉体粒子の合一を抑制することができる。4分割未満であると上述の粉体粒子供給手段2の一つ当たりの粉塵濃度が低減せず、処理量を増加させることができないことがある。また、粉体供給手段2の分割数が12分割を超えると、粉体粒子供給手段2の出口同士の距離が近づくため、粉体粒子の熱処理が行われる処理室1の粉塵濃度を低下させることができない場合がある。
本発明の熱処理装置は、熱風を処理室1内に供給する熱風供給手段3と、熱処理された粉体粒子を冷却するための冷風を処理室1内に供給する第一冷風供給手段4を有する。更に、処理室1内の複数の排出口5付近を冷却する第二冷風供給手段6を有する。
近年要求されるトナーの転写性の向上に対応するためには、熱処理されたトナー用粉体粒子の平均円形度は0.960以上であることが好ましく、更に好ましくは0.965以上であることが求められる。
このため、処理室1内に供給される熱風は、熱風供給手段3の温度N(℃)が100℃≦N≦300℃であることが好ましい。熱風供給手段3の温度が上記の範囲内であれば、粉体粒子を加熱しすぎることによるトナー用粉体粒子の融着や合一を防止しつつ、トナー用粉体粒子を所望の平均円形度にすることが可能となる。尚、温度N(℃)が、N<100℃となると、トナー粉体粒子の球形化が十分にできない場合がある。また、300℃<Nとなると、処理温度が高温すぎて、装置内融着を起こしてしまうことがあると同時に熱風発生装置を大型化しなくてはならず、トナーの製造エネルギー上好ましくない場合がある。
また、図3に示したように、本発明の熱風供給手段3は、熱風を処理室1において螺旋状に旋回させるための旋回部材10を具備している。
本発明の熱処理装置では、熱風を螺旋状に旋回させながら処理室1に導入することによって、処理室1内の粉体粒子にせん断力が与えられ、粉体粒子が分散した状態で熱処理される。このため、処理室1内での粉体粒子同士の衝突が少なくなり、合一粒子の少ない熱処処理後のトナー粒子を得ることができる。尚、本発明の熱処理装置において、熱風を旋回させるための旋回部材10は、処理室内1に熱風を螺旋状に旋回させて導入することができる構成であればよい。
例えば、熱風を旋回させるための旋回部材10が、複数のブレード11を有しており、その枚数や角度により、熱風の旋回を制御することができる構成が好ましい。
また、図3に示したように、熱風は複数のブレード11の間から螺旋状に導入されるため、その枚数が多いほどブレード間の隙間G(mm)が狭くなり、熱風量が同一の場合、供給される熱風の流速が速くなる。本発明において、例えば処理室の内径が450mmの場合は、ブレードの隙間G(mm)は、5mm≦G≦40mmが好ましい。G<5mmでトナー用粉体粒子の熱処理を行う場合、熱風の流速が速すぎて熱処理温度を高温化しなくてはならない場合がある。また、40mm<Gの場合、処理室1に導入された熱風の旋回速度が遅くなるため、粉体粒子に十分なせん断力を与えることができなくなり、熱処理時の粉体粒子の合一粒子が増加してしまう場合がある。
更に、本発明の熱風供給手段3は、略円錐状の分配部材14を持つことが好ましい。熱風供給手段3が、略円錐状の分配部材14を持つことにより、処理室1に供給された熱風の偏りをなくすことができ、熱処理装置内での熱風の温度分布が均一化されため、粉体粒子を熱処理する際に、過剰な温度をかける必要がなくなる。
本発明の粉体粒子の熱処理装置では、熱処理された粉体粒子は第一冷風供給手段4から供給される冷風によって冷却される。
本発明のトナー用粉体粒子の熱処理装置の第一冷風供給手段4、及び第二冷風供給手段6は、粉体粒子供給手段2同様、供給された冷風が処理室1の内周面に沿って供給されるように設けられている。更に、第一冷風供給手段4、及び第二冷風供給手段6は、円筒状の処理室の中心軸と直交する同一断面上に存在するように処理室の外周部に複数設けられている。これにより装置内の旋回流が強化され、粉体粒子にせん断力がかかり、粉体粒子の分散性が向上する。
また、本発明の粉体粒子の熱処理装置の第一冷風供給手段4、及び第二冷風供給手段6は、分割数が多くなるほど、粉体粒子が冷却される確率が高まる。これによって、熱処理された後に冷却されずに、合一粒子の原因となっていると考えられる粉体粒子を減らすことが可能になる。
尚、本発明の粉体粒子の熱処理装置の第一冷風供給手段4、及び第二冷風供給手段6の分割数は、装置内の乱流を防止する観点から、粉体粒子供給手段2と同じである8分割とした。第一冷風供給手段、及び第二冷風供給手段の分割数が粉体粒子供給手段の分割数以下となると、熱処理された粉体粒子が冷却されず好ましくない場合がある。また、第一冷風供給手段の分割数が粉体粒子供給手段の分割数を超えると、装置内に乱流が起きてしまい、処理量を増加させて運転する際に、好ましくない場合がある。
更に本発明の粉体粒子の熱処理装置では、粉体粒子の付着、融着を防止するために、処理室1の排出口5を冷却する第二冷風供給手段6を持つ。
また、第二冷風供給手段6は、第一冷風供給手段4で冷却しきれなかった粉体粒子を冷却することで、粉体粒子の付着、融着を防止する。
本発明の熱処理装置は熱処理された粉体粒子を処理室外に排出する複数の排出口5を持つ。本発明の排出口5は、装置内の最下端に、円筒状の処理室1の中心軸と直交する同一断面上に存在するように処理室1の外周部に複数設けられている。これにより、熱処理された粉体粒子が旋回方向を維持したまま、処理室外に排出される。
装置内の旋回流が維持されることによって、粉体粒子にかかるせん断力が維持され、合一粒子を軽減化することができる。
本発明の熱処理装置において、上述のように、排出口が一口であると、装置内底面で吹き溜まりが発生し、風の流れない部分が存在し、その部分に熱処理されたトナー用熱処理粒子が堆積してしまう場合があることが分かった。この状態でトナー用粉体粒子の処理量を増加させると、処理量を多くした分、熱風の温度を高くしなくてはならないので、堆積したトナー用熱処理粒子が溶融して装置内融着となる。
また、本発明の粉体粒子の熱処理装置は、排出口5の数が粉体粒子供給手段2の数以上である。本発明のトナー用粉体粒子の熱処理装置は、出口が複数であっても、その間隔や、数によっては融着が発生してしまうことがあることが分かった。これは、排出口5と粉体粒子供給手段2の数が同じであると、装置内の流れが整流化され、合一粒子の少ないトナー用熱処理粒子を得ることができる。一方、排出口の数が粉体粒子供給手段の数より少なくなると、装置底面に熱処理されたトナー用粉体粒子が装置底面に堆積してしまい、装置内融着の原因となることがあるので好ましくない。更に、排出口5の数が粉体粒子供給手段2の数より多くなる場合としては、粉体粒子供給手段2の数の倍数の排出口の数を有する場合が装置内部の流れの観点から好ましく、粗粉量が減少する傾向にある。
本発明の粉体粒子の熱処理装置は、図1に示したように、粉体粒子供給手段2、第一冷風供給手段4、第二冷風供給手段6が、処理室1外周部に設けられている。そして、粉体粒子供給手段2から供給された粉体粒子、第一冷風供給手段4から供給された第一冷風、及び第二冷風供給手段6から供給された第二冷風は、処理室1の内周面に沿って、熱風の旋回方向と同方向に供給される。
また、第一冷風供給手段4、第二冷風供給手段6は、粉体粒子供給手段2より下流側に位置し、第一冷風手段4は第二冷風手段6よりも粉体粒子供給手段2側に設けられている。
本発明の熱処理装置において、第一冷風供給手段4と第二冷風供給手段6が上記のように構成されることにより、装置内融着が防止される。
更に、処理室に供給された粉体粒子や冷風の流れが、熱風の旋回流と同方向であることによって、熱処理時に粉体粒子が受けるせん断力が増加するため、粉体粒子が処理室内で高分散する。この結果、処理室の粉塵濃度が増加しても粉体粒子の粒子同士の衝突が増加せず、粉体粒子の処理量を増加させることができる。
また、本発明のトナー用粉体粒子の熱処理装置では、第一冷風供給手段4、第二冷風供給手段6が、粉体粒子供給手段2より下流側に位置し、第一冷風手段4が、第二冷風手段6よりも粉体粒子供給手段2側に設けられている。
これにより、導入された冷風が処理室1内の熱処理ゾーンを冷却してしまうことがなくなり、粉体粒子を熱処理する際に、過剰な温度をかける必要がなくなる。
本発明の熱処理装置は、複数の粉体粒子供給手段が、円筒状の該処理室の中心軸と直交する同一断面で等間隔に配置されており、冷風供給手段が、円筒状の該処理室の中心軸と直交する同一断面で等間隔に配置されている。更に、複数の排出口が、円筒状の該処理室の中心軸と直交する同一断面で等間隔に配置されている。
本発明の熱処理装置で複数の粉体粒子供給手段が等間隔に配置されることによって、装置内の流れが整流化され、装置内の粉塵濃度が均一化する。このため、トナー粉体粒子を熱球形化する場合に必要以上に過剰な熱をかけなくても済むため、粗粉量の少ないトナー粉体粒子を得ることができ、処理量を増加させることができる。
また、同様に冷風手段が等間隔に配置されることによって、装置内の流れが整流化するため、粗粉量の少ないトナー用粉体粒子を得ることができる。
更に、複数の排出口が等間隔に配置されることで、装置内の流れが更に整流化され、粗粉量の少ないトナー用粉体粒子を得ることができる。更に、装置底部の吹き溜まりが解消されるため、処理量を増加させた場合に、高い処理温度でトナー用粉体粒子を熱処理しても装置内融着を軽減させることができる。
本発明の熱処理装置では、排出口の総断面積の大きさが粉体粒子供給口の総断面積の大きさ以上である場合が好ましい。排出口の総断面積と粉体粒子供給口の関係が、排出口≧粉体粒子供給手段であることにより、装置底部に滞留する粉体粒子が少なくなり、融着を防止することができる。また、総断面積の関係が、排出口<粉体粒子供給手段であると、装置底部に滞留する粉体粒子が存在し易くなる。この場合、トナー用粉体粒子の処理量を増加させた場合に、高い処理温度でトナー用粉体粒子を熱処理すると、装置底部に融着が発生してしまうことがあり、好ましくない。
本発明の熱処理装置は、処理室1の中心軸上に、処理室の下端部から上端部に向けて突出するように配置された、断面が円形状の柱状部材である規制手段19を有している。
断面が円形状の柱状部材である規制手段19は、粉体粒子の融着を防止するために、冷却ジャケットを設けることが好ましい。更に冷却ジャケットには冷却水(好ましくはエチレングリコール等の不凍液)を導入することが望ましく、冷却ジャケットの表面温度が40℃以下であることが好ましい。また、本発明の熱処理システムにおいては、粉体粒子の流れを規制するための規制手段19は、断面が円形状である柱状部材であればよく、処理室の下流側にいくに従って柱状部材の根元部が太くなっていても構わない。これにより、粉体粒子回収手段側端部の粉体粒子流速が速くなり、粉体粒子の排出性を向上させることができるとともに、回収部における装置内融着を防止することができる。
更に本発明の粉体粒子の熱処理装置の排出口5は、旋回された粉体粒子の旋回方向を維持するように、処理室1の外周部に設けられている。これによって、装置内の旋回流を維持することができ、粉体粉体粒子にかかる遠心力やせん断力が維持され、粉体粒子の流れを規制するための規制手段19への粉体粒子の付着による装置内融着が軽減される。
次に、本発明の熱処理装置を用いて、トナーを製造する手順について説明する。
まず、原料混合工程では、トナー原料として、樹脂、着色剤、ワックス、その他の添加剤を所定量秤量して配合し、混合する。混合装置の一例としては、ヘンシェルミキサー(日本コークス社製);スーパーミキサー(カワタ社製);リボコーン(大川原製作所社製);ナウターミキサー、タービュライザー、サイクロミックス(ホソカワミクロン社製);スパイラルピンミキサー(太平洋機工社製);レーディゲミキサー(マツボー社製)が挙げられる。
更に、混合したトナー原料を溶融混練工程にて、溶融混練して、樹脂類を溶融し、その中の着色剤、ワックス、その他の添加剤を分散させる。混練装置の一例としては、TEM型押し出し機(東芝機械社製);TEX二軸混練機(日本製鋼所社製);PCM混練機(池貝鉄工所社製);ニーデックス(三井鉱山社製)が挙げられる。但し、連続生産できる等の優位性から、バッチ式練り機よりも、1軸または2軸押出機といった連続式の練り機が好ましい。
更に、トナー原料を溶融混練することによって得られる着色樹脂組成物は、溶融混練後、2本ロール等で圧延され、水冷冷却工程を経て冷却される。
上記で得られた着色樹脂組成物の冷却物は、次いで、粉砕工程で所望の粒径にまで粉砕される。粉砕工程では、まず、例えば、クラッシャー、ハンマーミル又はフェザーミルで粗粉砕され、更に、例えば、クリプトロンシステム(川崎重工業社製)又はスーパーローター(日清エンジニアリング社製)で微粉砕され、トナー微粒子を得る。
得られたトナー微粒子は、分級工程にて、所望の粒径を有するトナー用粉体粒子に分級される。分級機としては、例えば、ターボプレックス、ファカルティ、TSP、TTSP(ホソカワミクロン社製);エルボージェット(日鉄鉱業社製)がある。
続いて、得られたトナー用粉体粒子を熱処理工程で本発明のトナー用粉体粒子熱処理装置を用いて球形化処理を行う。
本発明のトナーの製造方法においては、熱処理工程の前に、得られたトナー用粉体粒子に無機微粒子を必要に応じて添加しても構わない。トナー用粉体粒子に無機微粒子を添加する方法としては、トナー用粉体粒子と公知の各種外添剤を所定量配合し以下の装置で撹拌混合する。例えば、ヘンシェルミキサー、メカノハイブリッド(日本コークス社製)、スーパーミキサー、ノビルタ(ホソカワミクロン社製)の粉体にせん断力を与える高速撹拌機が挙げられる。
本発明のトナーの製造方法では、熱処理工程の前に、トナー用粉体粒子に無機微粉体が添加されていることで、粉体粒子に流動性が付与される。従って、処理室に導入された粉体粒子がより均一に分散して熱風と接触することが可能となり、均一性に優れたトナーを得ることが可能となる。
本発明のトナーの製造方法では、熱処理後に粗大な粒子が存在する場合、必要に応じて、分級によって粗大粒子を除去する工程を有していても構わない。粗大粒子を除去する分級機としては、例えば、ターボプレックス、TSP、TTSP(ホソカワミクロン社製);エルボージェット(日鉄鉱業社製)が挙げられる。
更に、熱処理後、必要に応じて、粗粒等を篩い分けるために、例えば、ウルトラソニック(晃栄産業社製);レゾナシーブ、ジャイロシフター(徳寿工作所社);ターボスクリーナー(ターボ工業社製);ハイボルター(東洋ハイテック社製)等の篩分機を用いても良い。
尚、本発明の熱処理工程は上記微粉砕の後であっても良いし、分級の後でもよい。
次に本発明のトナーの製造方法に用いるトナー構成材料について説明する。本発明で用いられる結着樹脂としては、公知の樹脂が用いられるが、例えば、ポリスチレン、ポリビニルトルエンの如きスチレン誘導体の単重合体;スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−アクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体の如きスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルブチラール、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアクリル樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族石油樹脂が挙げられ、これらの樹脂は単独もしくは混合して用いても良い。
これらの中で、本発明の結着樹脂として好ましく用いられる重合体としては、スチレン系共重合体とポリエステルユニットを有する樹脂である。
スチレン系共重合体に用いる重合性モノマーとしては、次のようなものが挙げられる。例えば、スチレン;o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、m−ニトロスチレン、o−ニトロスチレン、p−ニトロスチレンの如きスチレン及びその誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンの如き不飽和モノオレフィン類;ブタジエン、イソプレンの如き不飽和ポリエン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニルの如きハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニルの如きビニルエステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルの如きα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニルの如きアクリル酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルの如きビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトンの如きビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンの如きN−ビニル化合物;ビニルナフタリン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドの如きアクリル酸もしくはメタクリル酸誘導体。
更に、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸の如き不飽和二塩基酸;マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物の如き不飽和二塩基酸無水物;マレイン酸メチルハーフエステル、マレイン酸エチルハーフエステル、マレイン酸ブチルハーフエステル、シトラコン酸メチルハーフエステル、シトラコン酸エチルハーフエステル、シトラコン酸ブチルハーフエステル、イタコン酸メチルハーフエステル、アルケニルコハク酸メチルハーフエステル、フマル酸メチルハーフエステル、メサコン酸メチルハーフエステルの如き不飽和二塩基酸のハーフエステル;ジメチルマレイン酸、ジメチルフマル酸の如き不飽和二塩基酸エステル;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイヒ酸の如きα,β−不飽和酸;クロトン酸無水物、ケイヒ酸無水物の如きα,β−不飽和酸無水物、前記α,β−不飽和酸と低級脂肪酸との無水物;アルケニルマロン酸、アルケニルグルタル酸、アルケニルアジピン酸、これらの酸無水物及びこれらのモノエステルの如きカルボキシル基を有するモノマーが挙げられる。
更に、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートなどのアクリル酸またはメタクリル酸エステル類;4−(1−ヒドロキシ−1−メチルブチル)スチレン、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルヘキシル)スチレンの如きヒドロキシ基を有するモノマーが挙げられる。
本発明ではポリエステルユニットを有する樹脂が特に好ましく用いられる。
前記「ポリエステルユニット」とは、ポリエステルに由来する部分を意味し、ポリエステルユニットを構成する成分としては、具体的には、2価以上のアルコールモノマー成分と2価以上のカルボン酸、2価以上のカルボン酸無水物及び2価以上のカルボン酸エステルの酸モノマー成分が挙げられる。
本発明に用いられるトナーは、これらのポリエステルユニットを構成する成分を原料の一部とし、縮重合された部分を有する樹脂を用いることができる。
例えば、2価以上のアルコールモノマー成分として、具体的には、2価アルコールモノマー成分としては、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.0)−ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA等が挙げられる。
3価以上のアルコールモノマー成分としては、例えばソルビット、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセリン、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼンが挙げられる。
2価のカルボン酸モノマー成分としては、フタル酸、イソフタル酸及びテレフタル酸の如き芳香族ジカルボン酸類又はその無水物;コハク酸、アジピン酸、セバシン酸及びアゼライン酸の如きアルキルジカルボン酸類又はその無水物;炭素数6〜18のアルキル基又はアルケニル基で置換されたコハク酸もしくはその無水物;フマル酸、マレイン酸及びシトラコン酸の如き不飽和ジカルボン酸類又はその無水物;が挙げられる。
3価以上のカルボン酸モノマー成分としては、トリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸やその無水物等の多価カルボン酸が挙げられる。
また、その他のモノマーとしては、ノボラック型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテル等の多価アルコール類が挙げられる。
本発明で使用される着色剤としては、以下のものが挙げられる。
黒色着色剤としては、カーボンブラック;磁性体;イエロー着色剤、マゼンタ着色剤及びシアン着色剤とを用いて黒色に調整したものが挙げられる。
マゼンタトナー用着色顔料しては、以下のものが挙げられる。縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アンスラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物が挙げられる。具体的には、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、41、48:2、48:3、48:4、49、50、51、52、53、54、55、57:1、58、60、63、64、68、81:1、83、87、88、89、90、112、114、122、123、144、146、150、163、166、169、177、184、185、202、206、207、209、220、221、238、254、269;C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.バットレッド1、2、10、13、15、23、29、35が挙げられる。
着色剤には、顔料単独で使用してもかまわないが、染料と顔料とを併用してその鮮明度を向上させた方がフルカラー画像の画質の点から好ましい。
マゼンタトナー用染料としては、以下のものが挙げられる。C.Iソルベントレッド1、3、8、23、24、25、27、30、49、81、82、83、84、100、109、121、C.I.ディスパースレッド9、C.I.ソルベントバイオレット8、13、14、21、27、C.I.ディスパーバイオレット1の如き油溶染料、C.I.ベーシックレッド1、2、9、12、13、14、15、17、18、22、23、24、27、29、32、34、35、36、37、38、39、40、C.I.ベーシックバイオレット1、3、7、10、14、15、21、25、26、27、28などの如きの塩基性染料。
シアントナー用着色顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントブルー1、2、3、7、15:2、15:3、15:4、16、17、60、62、66;C.I.バットブルー6、C.I.アシッドブルー45、フタロシアニン骨格にフタルイミドメチルを1乃至5個置換した銅フタロシアニン顔料。
イエロー用着色顔料としては、以下のものが挙げられる。縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アンスラキノン化合物、アゾ金属化合物、メチン化合物、アリルアミド化合物。具体的には、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、16、17、23、62、65、73、74、83、93、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、155、168、174、180、181、185、191;C.I.バットイエロー1、3、20が挙げられる。また、C.I.ダイレクトグリーン6、C.I.ベーシックグリーン4、C.I.ベーシックグリーン6、ソルベントイエロー162などの染料も使用することができる。
また、上記トナーにおいて、結着樹脂に予め、着色剤を混合し、マスターバッチ化させたものを用いることが好ましい。そして、この着色剤マスターバッチとその他の原材料(結着樹脂及びワックス等)を溶融混練させることにより、トナー中に着色剤を良好に分散させることが出来る。
結着樹脂に着色剤を混合し、マスターバッチ化させる場合は、多量の着色剤を用いても着色剤の分散性を悪化させず、また、トナー粒子中における着色剤の分散性を良化し、混色性や透明性等の色再現性が優れる。また、転写材上でのカバーリングパワーが大きいトナーを得ることが出来る。また、着色剤の分散性が良化することにより、トナー帯電性の耐久安定性が優れ、高画質を維持した画像を得ることが可能となる。
本発明のトナーに用いられるワックスとしては、特に限定されず、公知の物を使用することができる。
以下、好適に使用できる物を例示する。低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、アルキレン共重合体、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャー・トロプシュワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物;脂肪族炭化水素系エステルワックスの如き脂肪酸エステルを主成分とするワックス;及び脱酸カルナバワックスの如き脂肪酸エステルを一部または全部を脱酸化したもの。ベヘニン酸モノグリセリドの如き脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂を水素添加することによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物等。なかでも、炭化水素系ワックス、特に脂肪族炭化水素系ワックスが高湿環境下における耐久時の画像濃度の低下を防止できることから、より好ましい。
また、当該ワックスの添加量は、結着樹脂100質量部に対して、3.0質量部以上20.0質量部以下であり、好ましくは3.5質量部以上16.0質量部以下である。
本発明においては、熱処理工程の前に、トナー用粉体粒子に、流動化剤、転写助剤、帯電安定化剤などをヘンシェルミキサーの如き混合機で混合して用いることができる。
また、流動化剤としては、流動性が添加前後を比較すると増加し得るものであれば、どのようなものでも使用可能である。例えば、フッ化ビニリデン微粉末、ポリテトラフルオロエチレン微粉末の如きフッ素系樹脂粉末;酸化チタン微粉末、アルミナ微粉末、湿式製法シリカ、乾式製法シリカの如き微粉末シリカ;それらをシラン化合物、及び有機ケイ素化合物、チタンカップリング剤、シリコーンオイルにより表面処理を施した処理シリカを使用することが可能である。
また酸化チタン微粉末であれば、硫酸法、塩素法、揮発性チタン化合物例えばチタンアルコキシド、チタンハライド、チタンアセチルアセトネートの低温酸化(熱分解、加水分解)により得られる酸化チタン微粒子が用いられる。結晶系としてはアナターゼ型、ルチル型、これらの混晶型、アモルファスのいずれのものも用いることができる。
そしてアルミナ微粉末であれば、バイヤー法、改良バイヤー法、エチレンクロルヒドリン法、水中火花放電法、有機アルミニウム加水分解法、アルミニウムミョウバン熱分解法、アンモニウムアルミニウム炭酸塩熱分解法、塩化アルミニウムの火焔分解法により得られるアルミナ微粉体が用いられる。結晶系としてはα、β、γ、δ、ξ、η、θ、κ、χ、ρ型、これらの混晶型、アモルファスのいずれのものも用いられ、α、δ、γ、θ、混晶型、アモルファスのものが好ましく用いられる。
前記微粉体は、その表面がカップリング剤やシリコーンオイルによって疎水化処理をされていることがより好ましい。
微粉体の表面の疎水化処理方法は、微粉体と反応あるいは物理吸着する有機ケイ素化合物等で化学的、または物理的に処理する方法である。
上記疎水化処理方法として好ましい方法は、ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成されたシリカ微粒子を有機ケイ素化合物で処理する方法である。そのような方法に使用される有機ケイ素化合物の例は、以下のものが挙げられる。ヘキサメチルジシラザン、トリメチルシラン、トリメチルクロルシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α−クロルエチルトリクロルシラン、β−クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシロキサン及び1分子当り2から12個のシロキサン単位を有し末端に位置する単位にそれぞれ1個宛のSiに結合した水酸基を含有するジメチルポリシロキサン。
上記流動化剤は単独で用いても、複数種を組合せて用いても良い。
また、上記流動化剤は、トナー100質量部に対して流動化剤0.1乃至8.0質量部、好ましくは0.1乃至4.0質量部使用するのが良い。添加量が0.1質量部未満ではトナー粒子に流動性を付与することができなく、好ましくない。また、4.0質量部を超える場合ではトナーと無機微粉体の混合が困難になり、トナーの表面改質粒子の生産上好ましくない。
尚、上記の添加剤は、外添工程で外添剤として用いても良い。
次に、上記トナーの各種物性の測定方法及び、以下の実施例中で測定した各種物性の測定方法に関して以下に説明する。
<重量平均粒径(D4)の測定方法>
トナーの重量平均粒径(D4)は、以下のようにして算出する。測定装置としては、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)を用いる。測定条件の設定及び測定データの解析は、付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いる。尚、測定は実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで行う。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
尚、測定、解析を行う前に、以下のように専用ソフトの設定を行なった。
専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更」画面において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。「閾値/ノイズレベルの測定ボタン」を押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、「測定後のアパーチャーチューブのフラッシュ」にチェックを入れる。
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定」画面において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行なう。そして、専用ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispension System Tetora150」(日科機バイオス社製)を準備する。超音波分散器の水槽内に約3.3lのイオン交換水を入れ、この水槽中にコンタミノンNを約2ml添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、更に60秒間超音波分散処理を継続する。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)を算出する。尚、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、「分析/体積統計値(算術平均)」画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。
<微粉量の算出方法>
トナー中の個数基準の微粉量(個数%)は、前記のMultisizer 3の測定を行った後、データを解析することにより算出する。
例えば、トナー中の4.0μm以下の粒子の個数%は、以下の手順で算出する。まず、専用ソフトでグラフ/個数%に設定して測定結果のチャートを個数%表示とする。そして、「書式/粒径/粒径統計」画面における粒径設定部分の「<」にチェックし、その下の粒径入力部に「4」を入力する。「分析/個数統計値(算術平均)」画面を表示したときの「<4μm」表示部の数値が、トナー中の4.0μm以下の粒子の個数%である。
<粗粉量の算出方法>
トナー中の体積基準の粗粉量(体積%)は、前記のMultisizer 3の測定を行った後、データを解析することにより算出する。
例えば、トナー中の10.0μm以上の粒子の体積%は、以下の手順で算出する。まず、専用ソフトでグラフ/体積%に設定して測定結果のチャートを体積%表示とする。そして、「書式/粒径/粒径統計」画面における粒径設定部分の「>」にチェックし、その下の粒径入力部に「10」を入力する。「分析/体積統計値(算術平均)」画面を表示したときの「>10μm」表示部の数値が、トナー中の10.0μm以上の粒子の体積%である。
<平均円形度の測定方法>
トナー粒子の平均円形度は、フロー式粒子像分析装置「FPIA−3000」(シスメックス社製)によって、校正作業時の測定及び解析条件で測定する。
具体的な測定方法は、以下の通りである。まず、ガラス製の容器中に予め不純固形物などを除去したイオン交換水約20mlを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.2ml加える。更に測定試料を約0.02g加え、超音波分散器を用いて2分間分散処理を行い、測定用の分散液とする。その際、分散液の温度が10℃以上40℃以下となる様に適宜冷却する。超音波分散器としては、発振周波数50kHz、電気的出力150Wの卓上型の超音波洗浄器分散器(「VS−150」(ヴェルヴォクリーア社製))を用い、水槽内には所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2ml添加する。
測定には、標準対物レンズ(10倍)を搭載した前記フロー式粒子像分析装置を用い、シース液にはパーティクルシース「PSE−900A」(シスメックス社製)を使用した。前記手順に従い調整した分散液を前記フロー式粒子像分析装置に導入し、HPF測定モードで、トータルカウントモードにて3000個のトナー粒子を計測する。そして、粒子解析時の2値化閾値を85%とし、解析粒子径を円相当径1.985μm以上、39.69μm未満に限定し、トナー粒子の平均円形度を求める。
測定にあたっては、測定開始前に標準ラテックス粒子(Duke Scientific社製の「RESEARCH AND TEST PARTICLES Latex Microsphere Suspensions 5200A」をイオン交換水で希釈)を用いて自動焦点調整を行う。その後、測定開始から2時間毎に焦点調整を実施することが好ましい。
尚、本願実施例では、シスメックス社による校正作業が行われた、シスメックス社が発行する校正証明書の発行を受けたフロー式粒子像分析装置を使用した。解析粒子径を円相当径1.985μm以上、39.69μm未満に限定した以外は、校正証明を受けた時の測定及び解析条件で測定を行った。
以下、本発明の実施例、参考例、及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(トナー用粉体粒子Aの製造例)
ポリエステルユニットを有する樹脂:100質量部
(重量平均分子量(Mw):82400、平均分子量(Mn):3600、ピーク分子量:(Mp)8500)
パラフィンワックス:4質量部
(最大吸熱ピーク温度78℃)
3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物:1.0質量部
C.I.ピグメントブルー15:3.5質量部
上記の処方の材料をヘンシェルミキサーFM−75型(日本コークス社製)で混合した後、温度を120℃に設定した二軸混練機PCM−30型(池貝鉄工社製)にて混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、粗砕物とし、得られた粗砕物を、機械式粉砕機T−250(ターボ工業社製)にて粉砕し、粉体微粒子を得た。続いて、得られた粉体微粒子を、ファカルティF−300(ホソカワミクロン社製)により分級し、粉体粒子とした。
更に、下記材料をヘンシェルミキサーFM−75型(日本コークス社製)に投入し、回転羽根の周速を50.0m/secとし、混合時間3分で混合することにより、粉体粒子Aの表面に、シリカと酸化チタンを付着させたトナー用粉体粒子を得た。
粉体粒子:100質量部
シリカ:3.5質量部(ゾルゲル法で作成したシリカ微粒子にヘキサメチルジシラザン処理1.5質量%で表面処理した後、分級によって所望の粒度分布に調整したもの。)
酸化チタン:0.5質量部(アナターゼ形の結晶性を有するメタチタン酸を表面処理したもの。)
このとき得られたトナー用粉体粒子は、重量平均粒径(D4)が6.7μm、粒径4.0μm以下の粒子が25.5個数%であり、粒径10.0μm以上の粒子が2.5体積%であった。更に、FPIA3000にて平均円形度を測定した結果、平均円形度が0.946であった。以下、これをトナー用粉体粒子Aとする。これらの結果を表1にまとめた。
(トナー用粉体粒子Bの製造例)
本製造例では、パラフィンワックスの添加量を6質量部にした以外は、トナー用粉体粒子Aと同様の製造方法にて、トナー用粉体粒子Bを得た。
このとき得られたトナー用粉体粒子Bの重量平均粒径(D4)、粒径4.0μm以下の粒子の割合、粒径10.0μm以上の粒子の割合、平均円形度を測定した結果を表1にまとめた。
(トナー用粉体粒子Cの製造例)
本製造例では、パラフィンワックスの添加量を8質量部にした以外は、トナー用粉体粒子Aと同様の製造方法にて、トナー用粉体粒子Cを得た。
このとき得られたトナー用粉体粒子Bの重量平均粒径(D4)、粒径4.0μm以下の粒子の割合、粒径10.0μm以上の粒子の割合、平均円形度を測定した結果を表1にまとめた。
〔実施例1〕
本実施例では、図1、図2に示した熱処理装置を用い、トナー用粉体粒子Aを熱処理した。この際、装置の内径を450mm、断面が円形状の柱状部材である規制手段19の外径を330mmとした。また、原料供給手段を8口にし、処理室の中心軸と直交する同一断面上に、45°等間隔に配置した。このとき、原料供給手段の出口の上端と、熱風の旋回部材の下端が同一面となるようにした。
更に、原料供給手段出口の縦の長さを80mm、横の長さを10mmとすることにより、一口当たりの断面積を800mm2とし、原料供給手段出口の総断面積を6400mm2とした。
尚、高圧エア供給ノズルから供給されるインジェクションエア流量は、それぞれ0.45m3/minであった。
また、図2の略円錐状の熱風分配部材14の角度は、60°とした。
更に、図3の旋回部材を用い、旋回部材のブレード間の最小間隔Gを9.5mm、高さを30mm、ブレード枚数を22枚、熱風供給手段の出口の断面積を6270mm2とした。
冷風は、図1に示したように2段で供給し、第一、第二冷風供給手段は接線方向に8分割に供給した。このときの冷風供給手段は処理室の中心軸と直交する同一断面上に、45°に等間隔に配置した。更に、装置最下端部に縦80mm、横20mmの排気口を8口設け、45°等間隔に配置した。このときの排気口の総断面積は、12800mm2となり、原料供給手段出口の総断面積との関係は、排気口>原料供給手段となった。
このときの装置構成を装置構成1とした。上記装置構成1を用いて、トナー用粉体粒子Aの処理量(kg/h)を150kg/hとして、トナー用粉体粒子Aを熱処理し、平均円形度0.965のトナー用熱処理粒子を得た。このときの条件は、熱風温度170℃、熱風風量28.0m3/minであった。また、冷風温度を第一冷風、第二冷風ともに−5℃とし、第一冷風の流量は、8.0m3/minを8分割し、それぞれ1.0m3/minの冷風を処理室内に供給した。同様に、第二冷風は、4.0m3/minを8分割し、それぞれ0.5m3/minの冷風を処理室内に供給した。その時の熱風温度の条件と、得られたトナー用熱処理粒子の重量平均粒径(D4)、粒径4.0μm以下の粒子の割合、粒径10.0μm以上の粒子の割合、平均円形度を測定した結果を表2にまとめた。
次に、上記装置構成1を用いて、トナー用粉体粒子Aの処理量(kg/h)を220kg/hとして、トナー用粉体粒子Aを熱処理し、平均円形度0.965のトナー用熱処理粒子を得た。このときの条件は、熱風温度200℃、熱風風量28.0m3/minであった。また、冷風温度を第一冷風、第二冷風ともに−5℃とし、第一冷風の流量は、8.0m3/minを8分割し、それぞれ1.0m3/minの冷風を処理室内に供給した。同様に、第二冷風は、4.0m3/minを8分割し、それぞれ0.5m3/minの冷風を処理室内に供給した。その時の熱風温度の条件と、得られたトナー用熱処理粒子の重量平均粒径(D4)、粒径4.0μm以下の粒子の割合、粒径10.0μm以上の粒子の割合、平均円形度を測定した結果を表2にまとめた。
続いて、処理量が220kg/hのときに得られたトナー用熱処理粒子の、粒径10.0μm以上の粒子の割合と、処理量が150kg/hのときに得られた熱処理粒子の粒径10.0μm以上の粒子の割合の差Δs(体積%)を求めた。この値を本発明の熱処理装置における処理量の増加させやすさの指標とし、下記の基準で評価した。
<処理量の増加させやすさに対する評価>
A:2.0<Δs
B:2.0≦Δs<4.0
C:4.0≦Δs<6.0
D:6.0≦Δs<8.0
E:8.0≦Δs
更に、トナー用粉体粒子Aの処理量を220kg/hとし、熱風温度を220℃、熱風風量を28.0m3/minに固定し、1時間運転したときの平均円形度、粒径10.0μm以上の粒子の割合、融着レベルを以下のように評価し、その結果を表2にまとめた。
なお、このときの処理量、熱風温度、熱風風量、運転時間以外の熱処理条件は、高圧エア供給ノズルから供給されるインジェクションエア流量が、それぞれ0.45m3/min、冷風温度が第一冷風、第二冷風ともに−5℃であった。また、第一冷風の流量は、8.0m3/minを8分割し、それぞれ1.0m3/min、第二冷風は、4.0m3/minを8分割し、それぞれ0.5m3/minの冷風を処理室内に供給した。
以上の運転条件を運転条件1とする。
<平均円形度に対する評価>
本発明の熱処理装置を用い、運転条件1でトナー用粉体粒子Aを熱処理したときの平均円形度eを以下の基準で評価した。
A:e≧0.970
B:0.970<e≦0.965
C:0.965<e≦0.960
D:0.960<e≦0.955
E:e<0.955
<粗粉量に対する評価>
本発明の熱処理装置を用い、運転条件1でトナー用粉体粒子Aを熱処理したときの粒径10.0μm以上の粒子の割合s(体積%)を粗粉量の評価の基準とし、下記のように評価した。
A:s<5.0
B:5.0≦s<10.0
C:10.0≦s<15.0
D:15.0≦s<20.0
E:20.0≦s
<熱処理装置の融着に対する評価>
本発明の熱処理装置を用い、運転条件1でトナー用粉体粒子Aを熱処理したときの装置底面の融着状態目視で確認し、下記の基準で判断した。
A:融着が全く認められないレベル
B:ほとんど融着が認められるレベル
C:軽微な融着が認められるレベル
D:融着が認められるレベル
E:大きな融着が認められるレベル
これらの結果を表2にまとめた。
本実施例では、熱処理装置の排気口を8口設け、45°で等間隔に配置し、原料供給手段出口の総断面積と、排出口の総断面積との関係を、排気口>原料供給手段とし、ワックスの添加量が4質量部のトナー用粉体粒子を熱処理した。
その結果、装置底部に熱処理されたトナー用粉体粒子が滞留せず、融着が全くなく、合一粒子が抑制されるため、粗粉量も非常に少なくなり、所望の平均円形度が得られた。このため、処理量を150kg/hから220kg/hに増加させても粗粉の増加が非常に少なかった。
〔実施例2〕
本実施例では、トナー用粉体粒子をトナー用粉体粒子Bにした以外は、実施例1と同様に、熱処理を実施し、評価を行った。結果を表2にまとめた。
本実施例では、装置構成1を用いてワックス添加量が6質量部のトナー用粉体粒子を実施例1と同様に熱処理した。
その結果、ワックス添加量が増えたために、平均円形度0.965を得る温度がやや高くなり、150kg/hで180℃、220kg/hで210℃となった。
しかし、装置底部に熱処理されたトナー用粉体粒子が滞留せず、融着が全くなく、合一粒子が抑制され、実施例1にはやや劣るものの粗粉量も非常に少なくなり、所望の円形度が得られた。このため、処理量を150kg/hから220kg/hに増加させても粗粉の増加が非常に少なかった。
〔実施例3〕
本実施例では、トナー用粉体粒子をトナー用粉体粒子Cにした以外は、実施例1と同様に、熱処理を実施し、評価を行った。結果を表2にまとめた。
本実施例では、装置構成1を用いてワックス添加量が8質量部のトナー用粉体粒子を実施例1と同様に熱処理した。
その結果、ワックス添加量が増えたために、平均円形度0.965を得る温度がやや高くなり、150kg/hで190℃、220kg/hで220℃となった。
しかし、装置底部に熱処理されたトナー用粉体粒子が滞留せず、融着が全くなく、合一粒子が抑制され、実施例1にはやや劣るものの粗粉量も非常に少なくなり、所望の平均円形度が得られた。このため、処理量を150kg/hから220kg/hに増加させても粗粉の増加が非常に少なかった。
〔実施例4〕
本実施例では、トナー用粉体粒子をトナー用粉体粒子Cにし、装置最下端部に縦80mm、横20mmの排気口を16口設け、22.5°等間隔に配置した以外は、実施例3と同様に、熱処理を実施し、評価を行った。このときの装置構成を装置構成2とした。
このときの排気口の総断面積は、25600mm2となり、原料供給手段出口の総断面積との関係は、排気口>原料供給手段となった。結果を表2にまとめた。
本実施例では、装置構成2を用いてワックス添加量が8質量部のトナー用粉体粒子を実施例3と同様に熱処理した。
その結果、排出口が16口に増えたために、運転条件1での装置内の流れがやや乱れ、平均円形度がやや低下したが、合一粒子が抑制され、粗粉量も非常に少なくなった。
また、装置底部に熱処理されたトナー用粉体粒子が滞留せず、融着が全くないため、処理量を150kg/hから220kg/hに増加させても粗粉の増加が非常に少なかった。
〔実施例5〕
本実施例では、トナー用粉体粒子をトナー用粉体粒子Cにし、装置最下端部に縦80mm、横20mmの排気口を12口設け、30°等間隔に配置した以外は、実施例3と同様に、熱処理を実施し、評価を行った。このときの装置構成を装置構成3とした。
このときの排気口の総断面積は、19200mm2となり、原料供給手段出口の総断面積との関係は、排気口>原料供給手段となった。結果を表2にまとめた。
本実施例では、装置構成3を用いてワックス添加量が8質量部のトナー用粉体粒子を実施例3と同様に熱処理した。その結果、排出口が12口となったために、運転条件1での装置内の流れがやや乱れ、平均円形度がやや低下したが、合一粒子が抑制され、実施例4にはやや劣るものの粗粉量が非常に少なくなった。これは、原料供給手段が8口であるの対し、排出口が12口であると、排出口が16口である場合よりも装置内の流れが乱れてしまうためであると考えられる。
しかし、装置底部に熱処理されたトナー用粉体粒子が滞留せず、融着が全くないため、処理量を150kg/hから220kg/hに増加させても粗粉の増加が非常に少なかった。
〔実施例6〕
本実施例では、トナー用粉体粒子をトナー用粉体粒子Cにし、装置最下端部に縦80mm、横20mmの排気口を10口設け、36°等間隔に配置した以外は、実施例3と同様に、熱処理を実施し、評価を行った。このときの装置構成を装置構成4とした。
このときの排気口の総断面積は、16000mm2となり、原料供給手段出口の総断面積との関係は、排気口>原料供給手段となった。結果を表2にまとめた。
本実施例では、装置構成4を用いてワックス添加量が8質量部のトナー用粉体粒子を実施例3と同様に熱処理した。
その結果、排出口が10口となったために、運転条件1での装置内の流れがやや乱れ、平均円形度がやや低下したが、合一粒子が抑制され、実施例4、5にはやや劣るものの粗粉量が非常に少なくなった。これは、排出口が8口、12口のときよりも、排出口が10口であると、装置内の流れが乱れてしまうためであると考えられる。
しかし、装置底部に熱処理されたトナー用粉体粒子が滞留せず、融着が全くないため、処理量を150kg/hから220kg/hに増加させても粗粉の増加が非常に少なかった。
〔実施例7〕
本実施例では、トナー用粉体粒子をトナー用粉体粒子Cにし、装置最下端部に縦80mm、横8mmの排気口を10口設け、36°等間隔に配置した以外は、実施例6と同様に、熱処理を実施し、評価を行った。このときの装置構成を装置構成5とした。
このときの排気口の総断面積は、6400mm2となり、原料供給手段出口の総断面積との関係は、排気口=原料供給手段となった。結果を表2にまとめた。
本実施例では、装置構成5を用いてワックス添加量が8質量部のトナー用粉体粒子を実施例6と同様に熱処理した。その結果、排気口の総断面積と原料供給手段出口の総断面積の関係が、排気口=原料供給手段となったために、運転条件1で、装置内底部にトナー用熱処理粒子がわずかに滞留がみられた。合一粒子は実施例6よりも増加し、粗粉量がやや増加したが、ほとんど融着はみられなかった。
また、装置底部に熱処理されたトナー用粉体粒子がわずかながらに滞留したため、処理量を150kg/hから220kg/hに増加させたところ、粗粉の増加が実施例6よりも、やや多くなった。
〔実施例8〕
本実施例では、トナー用粉体粒子をトナー用粉体粒子Cにし、装置最下端部に縦80mm、横5mmの排気口を10口設け、36°等間隔に配置した以外は、実施例6と同様に、熱処理を実施し、評価を行った。このときの装置構成を装置構成6とした。
このときの排気口の総断面積は、4000mm2となり、原料供給手段出口の総断面積との関係は、排気口<原料供給手段となった。
結果を表2にまとめた。
本実施例では、装置構成6を用いてワックス添加量が8質量部のトナー用粉体粒子を実施例6と同様に熱処理した。
その結果、排気口の総断面積と原料供給手段出口の総断面積の関係が、排気口<原料供給手段となったことで、運転条件1で、装置内底部にトナー用熱処理粒子が滞留した。この場合、合一粒子が増加し、実施例6、実施例7よりも粗粉量が増加したが、融着はほとんどみられなかった。
また、装置底部に熱処理されたトナー用粉体粒子が滞留したため、処理量を150kg/hから220kg/hに増加させたところ、粗粉の増加が実施例6、実施例7よりも、多くなった。
〔実施例9〕
本実施例では、トナー用粉体粒子をトナー用粉体粒子Cにし、装置最下端部に縦80mm、横5mmの排気口を10口設け、その間隔を等間隔にせずに、図4のようにランダムに配置した以外は、実施例8と同様に、熱処理を実施し、評価を行った。このときの装置構成を装置構成7とした。
このときの排気口の総断面積は、4000mm2となり、原料供給手段出口の総断面積との関係は、排気口<原料供給手段となった。結果を表2にまとめた。
本実施例では、装置構成7を用いてワックス添加量が8質量部のトナー用粉体粒子を実施例6と同様に熱処理した。
その結果、排気口の間隔を等間隔にせずに、ランダムに配置したことで、運転条件1で、装置内底部にトナー用熱処理粒子が滞留し、合一粒子が増加し、実施例8よりも粗粉量が増加し、装置底部に軽微な融着がみられた。
また、装置底部に熱処理されたトナー用粉体粒子が滞留したため、処理量を150kg/hから220kg/hに増加させたところ、粗粉の増加が多くなった。
〔参考例1〕
本参考例では、トナー用粉体粒子をトナー用粉体粒子Cにし、装置最下端部に縦125mm、横50mmの排気口を1口設け、実施例9と同様に、熱処理を実施し、評価を行った。このときの装置構成を装置構成8とした。
このときの排気口の総断面積は、6250mm2となり、原料供給手段出口の総断面積との関係は、排気口<原料供給手段となった。結果を表2にまとめた。
本参考例では、装置構成8を用いてワックス添加量が8質量部のトナー用粉体粒子を実施例9と同様に熱処理した。
その結果、排気口を一口にしたことで、運転条件1で、装置内の流れに乱れが生じ、平均円形度が低下した。また、装置内底部にトナー用熱処理粒子が滞留し、合一粒子が増加し、実施例9よりも粗粉量が増加し、装置底部に軽微な融着がみられた。
又、装置底部に熱処理されたトナー用粉体粒子が滞留したため、処理量を150kg/hから220kg/hに増加させたところ、粗粉の増加が多くなった。
〔比較例1〕
本比較例では、トナー用粉体粒子をトナー用粉体粒子Cにし、装置最下端部に縦80mm、横5mmの排気口を4口設け、その間隔を等間隔にせずに、図5のようにランダムに配置した以外は、実施例9と同様に、熱処理を実施し、評価を行った。このときの装置構成を装置構成9とした。
このときの排気口の総断面積は、16000mm2となり、原料供給手段出口の総断面積との関係は、排気口<原料供給手段となった。結果を表2にまとめた。
本比較例では、装置構成9を用いてワックス添加量が8質量部のトナー用粉体粒子を実施例9と同様に熱処理した。
その結果、原料供給口の数より排気口が少なくなったため、装置内の流れに乱れが生じ、平均円形度0.965を得る温度が高くなり、150kg/hで200℃、220kg/hで250℃となった。
更に、運転条件1でも、装置内の流れに乱れが生じ、平均円形度が大きく低下した。また、装置内底部に熱処理されたトナー用粉体粒子が滞留し、合一粒子が増加し、粗粉量が増加し、装置底部に融着がみられた。
また、装置底部に熱処理されたトナー用粉体粒子が滞留したため、処理量を150kg/hから220kg/hに増加させたところ、粗粉の増加が多くなった。
〔比較例2〕
本比較例では、トナー用粉体粒子をトナー用粉体粒子Cにし、図6に示した装置構成10の熱処理装置で熱処理を実施し、評価した。
本装置構成は、排気口がストレート排気で、原料供給口が一つで熱風もストレートに供給される構成となっている。
また、このときの排気口の総断面積と原料供給手段出口の総断面積との関係は、排気口>原料供給手段となっている。結果を表2にまとめた。
本比較例では、装置構成10を用いてワックス添加量が8質量部のトナー用粉体粒子を実施例9と同様に熱処理した。本装置構成では、高圧エア供給ノズルから供給されるインジェクションエア流量を3.6m3/minとし、トナー用粉体粒子Cを装置内に供給した。
また、本装置構成では、外気を取り込むことによって装置内を冷却する構成を取っているため、冷風は導入しなかった。結果、平均円形度0.965を得る温度が高く、150kg/hで250℃、220kg/hで300℃となった。
更に、運転条件1でも、平均円形度が大きく低下し、装置排出口部大きな融着がみられ、合一粒子が増加し、粗粉量が増加した。
また、処理温度が高温になったため、処理量を150kg/hから220kg/hに増加させたところ、粗粉が大きく増加した。
〔比較例3〕
本比較例では、トナー用粉体粒子をトナー用粉体粒子Cにし、図7に示した装置構成11の熱処理装置で熱処理を実施し、評価した。
本装置構成は、排気口が一口の排気で、原料供給口が一つでトナー用粉体粒子と熱風とが同方向に旋回して装置内に供給される構成となっている。また、冷風はスリットを設けることによって装置の壁面をストレートに導入される第一冷風と、排出口を冷却するために接線方向から導入される第二冷風が設けられている。
また、このときの排気口の総断面積と原料供給手段出口の総断面積との関係は、排気口>原料供給手段となっている。結果を表2にまとめた。
本比較例では、装置構成11を用いてワックス添加量が8質量部のトナー用粉体粒子を実施例9と同様に熱処理した。
本装置構成では、高圧エア供給ノズルから供給されるインジェクションエア流量を3.6m3/minとし、トナー用粉体粒子Cを装置内に供給した。また、本装置構成での冷風供給条件は、第一冷風の流量を、8.0m3/min、第二冷風を、4.0m3/minを処理室内に供給した。結果、平均円形度0.965を得る温度が高く、150kg/hで300℃、220kg/hで400℃となった。処理温度が高温になったため、処理量を150kg/hから220kg/hに増加させたところ、粗粉が大きく増加した。
また、本構成で、運転条件1の条件で運転すると、原料供給口が一口であるため、インジェクションエアが熱風を冷やしてしまうため、平均円形度が大きく低下した。また、装置内の熱風、トナー用粉体粒子、冷風の流れが乱れ、均一でないため、合一粒子が増加し、粗粉量が大きく増加した。更に、本装置構成では、処理量が多く、処理温度が高い運転条件1では、装置排出口部に大きな融着がみられた。
〔比較例4〕
本比較例では、トナー用粉体粒子をトナー用粉体粒子Cにし、図8に示した装置構成12の熱処理装置で熱処理を実施し、評価した。本装置構成12は、装置構成11の熱風供給部と原料供給部を改造し、トナー用粉体粒子と熱風が逆方向に旋回して装置内に供給される構成となっている。また、熱風と原料供給部の関係は図8のように、原料供給部の内側から熱風が供給される構成となっている。結果を表2にまとめた。
本比較例では、装置構成12を用いてワックス添加量が8質量部のトナー用粉体粒子を比較例3と同様に熱処理した。本装置構成では、高圧エア供給ノズルから供給されるインジェクションエア流量を3.6m3/minとし、トナー用粉体粒子Cを装置内に供給した。
結果、平均円形度0.965を得る温度が高く、150kg/hで350℃、220kg/hで450℃となった。処理温度が高温になったため、処理量を150kg/hから220kg/hに増加させたところ、粗粉が大きく増加した。
また、本構成で、運転条件1の条件で運転すると、原料供給口が一口であるため、インジェクションエアが熱風を冷やしてしまうため、平均円形度が大きく低下した。また、装置内の熱風とトナー用粉体粒子の流れが逆のため、合一粒子が増加し、粗粉量が大きく増加した。更に、本装置構成では、処理量が多く、処理温度が高い運転条件1では、装置排出口部に大きな融着がみられた。