本実施形態に係る取引処理装置2(例えば、ATMや両替機等)、及び取引処理装置2の精査を遠隔地から行う精査端末1、取引処理装置2の状態を遠隔地から監視する監視端末4からなる精査システムについて図を参照して説明する。図1は、取引処理装置、精査端末、及び監視端末の機能、構成を示すブロック図である。図2は、取引処理装置の内部構成を示す図である。
図1に示すように、取引処理装置2は、精査端末1及びホストコンピュータ3、監視端末4とネットワークを介して接続されている。なお、精査端末1及びホストコンピュータ3、監視端末4に接続される取引処理装置2の台数は1台に限らない。また、取引処理装置2と精査端末1及び監視端末4とにより、取引システムを構成する。また、取引システムはホストコンピュータ3をも含める構成としてもよい。
取引処理装置2は、後述のように、内部の状態情報に基づいて計数要否の判定を行い、計数が必要な状態であれば監視端末4に通知する。監視端末4は、当該取引処理装置2から受信した情報を表示部44に表示する。
監視端末4は遠隔して設置される取引処理装置2の情報を受信する通信部42、表示部44、音声発生部45、操作部43、そしてこれら各部を制御する制御部41を有する。制御部41は、CPU,メモリ等のハード構成と、プログラム、データ等のソフト構成とから成り、各種処理を制御する。表示部44は画面表示機能を、音声発生部45はブザー等の音声発生機能を各々もっている。これらの機能は、取引処理装置2から情報を受信したときに、監視者に対して音声で通知したり受信した情報を画面表示したりする。また、操作部43は入力操作を受け付けるための入力検知機能をもっている。入力検知機能は例えば、接触入力が可能なタッチパネルや押下が可能なハードウェアキーによる入力を検知する。この機能は、取引処理装置2に対して監視者が遠隔から指示を送ることを可能とする。
ホストコンピュータ3は、例えば、各ユーザの口座における残高の管理や、各取引処理装置2の現在高を管理している。取引処理装置2は、精査端末1から精査指示を受信するときに、ホストコンピュータ3に対して、当該取引処理装置2の現在高を通知するよう指示する。そして、取引処理装置2は、当該取引処理装置2内部の現在高と、ホストコンピュータ3からの現在高と、に基づいて精査判定を行い、当該判定結果を精査端末1に送信する。精査端末1は、取引処理装置2から受信した当該判定結果情報を表示部14に表示する。
精査端末1は遠隔して設置される取引処理装置2の精査結果情報を管理する制御部11を有する。通信部12、操作部13、表示部14、そしてこれら各部を制御する制御部11などで構成されている。制御部11は、CPU,メモリ等のハード構成と、プログラム、データ等のソフト構成とから成り、各種処理を制御する。
表示部14は画面表示機能を、操作部13はマウス或いは接触入力による入力の検知機能を各々もっている。これらは、精査情報を管理する者が、精査データ結果チェックを行う際、取引処理装置2の端末状態情報/精査結果確認状況情報を表示の操作等を受付ける。
取引処理装置2は、制御部21、表示・操作部22、カード・明細書処理部23、通帳処理部24、紙幣処理部25、硬貨処理部26、及び通信部27を備える。
制御部21は、取引処理装置2本体各部の動作を制御する。例えば、制御部21は、通信部27を介して精査端末1から精査の指示を受け付けると、紙幣処理部25及び硬貨処理部26に計数を伴う精査処理を実行させる。
表示・操作部22は、本体正面に設けた表示器、及びこの表示器の画面上に貼付したタッチパネルを有している。表示・操作部22は、利用者に対する操作案内画面を表示器に表示する。また、表示・操作部22は、タッチパネルの押下位置を検知することにより、暗証番号や取引内容(取引種別、入出金金額等)にかかる利用者の入力操作を受け付ける。
カード・明細書処理部23は、本体正面に設けたカード挿入口に挿入されたキャッシュカード(以下、単にカードと称す。)を取り込み、このカードの磁気ストライプに記録されているカード情報(金融機関番号、店舗番号、口座番号等)の読み取りや、カード情報の書き換え等を行う。また、挿入されたカードがICカードである場合には、必要に応じて、そのカードのICチップに記録されているデータの読み取りや、書き換えも行う。更に、カード・明細書処理部23は、取引内容を明細書に印字する印字部(不図示)を有する。カード・明細書処理部23は、取引内容を印字した明細書を本体正面に設けた明細書放出口に放出する。
通帳処理部24は、本体正面に設けた通帳挿入口に挿入された通帳を取り込み、この通帳に対して取引履歴を印字する印字部(不図示)を有している。また、通帳処理部24は、取り込んだ通帳のページを捲るページ捲り機構や、通帳に印刷されているページ番号を示すバーコードを読み取るバーコードリーダ、通帳に貼付されている磁気ストライプに記録されている通帳情報(金融機関番号、店舗番号、口座番号等)を読み取る磁気ヘッド等も有している。
図2に示すように、紙幣処理部25は、本体正面に設けた入出金口201と、本体内部に収納されている紙幣カセット204A〜紙幣カセット204Cと、の間に形成した紙幣搬送路Lに沿って紙幣Sを搬送する。本実施形態においては、紙幣カセット204A、紙幣カセット204Bは、1万円札を収納するカセットであり、紙幣カセット204Cは、千円札を収納するカセットであるとして説明する。また、本実施例では、5千円札と2千円札を収納するカセットは装着しない例を示す。
紙幣処理部25は、紙幣搬送路Lに沿って搬送している紙幣毎に、金種及び真偽を識別する紙幣識別部202、及び紙幣を一時収納する一時保留部203を備える。紙幣識別部202は、紙幣から読み取った磁気パターンや、透過光パターン等に基づいて金種及び真偽を識別する。また、紙幣識別部202は、紙幣の形状や厚み等から枚数を判別する。
紙幣処理部25は、紙幣カセット204A〜紙幣カセット204Cに紙幣を補充する補充用カセット206(補充する紙幣が収納されている補充部206A、補充時に識別できなかった紙幣を収納する補充リジェクト部206B)、及びリジェクト紙幣を収納する第1リジェクトカセット205を備える。また、紙幣処理部25は、紙幣カセット204A〜紙幣カセット204C、第1リジェクトカセット205のいずれが抜き差しされたかを検知する検知部(不図示)を備える。
紙幣処理部25は、紙幣識別部202にて識別できなかった紙幣を収納しておくための第2リジェクトカセット207を備える。また、紙幣処理部25は、第2リジェクトカセット207内が空かを検知する検知部(不図示)を備える。
紙幣処理部25は、メモリ(不図示)を備え、紙幣カセット204A〜紙幣カセット204C、第1リジェクトカセット205(及び第2リジェクトカセット207を含めてもよい)に収納されているリジェクト紙幣の金種毎の枚数、及び後述する再計数要否の状態情報を記憶する現金情報管理テーブル(図3参照)を記憶する。図3は、現金情報管理テーブルの一例を示す図である。図3に示すように、リジェクト紙幣には、紙幣識別部202が万円札、千円札と識別できたものの出金に使用するには適さない紙幣(第1リジェクトカセット欄の「万円」テーブルと「千円」テーブルに情報を格納される紙幣)と、紙幣カセット204A〜紙幣カセット204Cに収納できない5千円札、2千円札等の紙幣(第1リジェクトカセット欄の「5千円」テーブルと「2千円」テーブルに情報を格納される紙幣)と、が含まれる。紙幣処理部25の詳細については、後述する。
硬貨処理部26は、本体正面に設けた硬貨入出金口と、本体内部に収納されている硬貨カートリッジと、の間に形成された硬貨搬送路に沿って硬貨を搬送する。また、硬貨処理部26は、硬貨搬送路に沿って搬送している硬貨毎に、金種、及び真偽を識別する硬貨識別部を有している。
硬貨処理部26は、メモリ(不図示)を備え、リジェクト硬貨収納部(不図示)に収納されているリジェクト硬貨の金種毎の枚数等を記憶する現金情報管理テーブルを記憶する。リジェクト硬貨とは、硬貨識別部が識別できなかった硬貨のことである。
通信部27は、制御部21の指示に基づいて、精査端末1やホストコンピュータ3、監視端末4との通信を行う。
まず、精査端末1、取引処理装置2、ホストコンピュータ3、及び監視端末4との関係について図4を参照して説明する。図4は、精査端末、取引処理装置、ホストコンピュータ及び監視端末における各処理の関係を示す図である。なお、精査端末1及びホストコンピュータ3が本実施例の精査装置に相当する。以下、紙幣に対する各種処理について説明する。
図4に示すように、取引処理装置2は、自装置内に収納している紙幣の枚数が変動する処理(例えば、紙幣カセット204A〜紙幣カセット204Cへ紙幣を補充するための補充処理、ユーザによる出金処理、及びユーザによる入金処理)を行うと当該処理の取引額(例えば、補充した金額、出金取引金額、及び入金取引金額)をホストコンピュータ3に通知する。そして、ホストコンピュータ3は、取引額に応じて、取引処理装置2の現在高を更新する。以上より、ホストコンピュータ3は、各取引処理装置2の現在高(取引処理装置2に収納されている金額)を管理することができる。
また、取引処理装置2は起動時、または前述した紙幣の枚数が変動する処理を行うときの少なくともいずれかに、紙幣処理部25が備える現金情報管理テーブルを参照し、再計数要否の状態情報を読み出して抽出する。そして、再計数要否の状態情報に基づいて再計数要の状態と判断するとき、監視端末4に起動時、または前述した紙幣の枚数が変動する処理を行うときの状態情報を通知する。ここで、再計数要否の状態情報とは、紙幣処理部25が備える現金情報管理テーブルに格納された、紙幣カセット抜取情報、第1リジェクトカセットの不明紙幣(金種もしくは枚数が識別できなった紙幣)情報、第1リジェクトカセット抜取情報、現金ユニット等(メカなどの機構に関する)障害情報、現金残留障害情報の少なくとも一部とする。
精査端末1は、取引処理装置2に収納されている紙幣の金種毎の枚数が正しいかを調べる精査判定処理を行う。精査端末1は、取引処理装置2に対して、精査処理を行うよう精査指示を行う。取引処理装置2は、精査端末1から精査指示を受信するとき、紙幣処理部25が備える現金情報管理テーブルから、自装置内に収納されている紙幣の金種毎の枚数、及び再計数要否の状態情報を抽出する。さらに、ホストコンピュータ3に対して、現在高を通知するよう現在高通知指示を行う。現在高通知指示を受信したホストコンピュータ3は、当該取引処理装置2の現在高を通知する。そして、取引処理装置2は、再計数要否の状態情報に基いて、再計数が要と判断するとき、再計数が要であることを第1の応答として精査端末1へ通知する。また、再計数が不要のとき、取引処理装置2は、自装置内に収納されている紙幣の金種毎の枚数とホストコンピュータ3からの現在高と、に基づいて、収納されている紙幣の金種毎の枚数が正しいかを判定する。そして、現在高の判定結果を第1の応答として精査端末1へ通知する。なお、精査端末1は、この精査指示の前に照会指示を取引処理装置2に指示してもよい。この場合、取引処理装置2では、上記及び下記する第1の応答と実質的に同様の内容の照会応答を精査端末1に通知する。この場合には、精査端末1にて、実際の精査指示を指示する前に取引処理装置2の状態を把握しておくことが可能となる。
次に、上述した各処理(補充処理、出金処理、入金処理、監視通知処理、精査判定処理)の詳細について図5〜図16を参照して説明する。
まず、補充処理の詳細について、図5を参照して説明する。図5は、補充処理の処理フローを示すフローチャートである。取引処理装置2の紙幣処理部25は、係員が補充用カセット206をセットすると、図5に示す補充処理を行う。そして、係員は、取引処理装置2の補充処理が完了すると、補充用カセット206から現金を取り出す。なお、取引処理装置2は、運用時、自装置内に空の補充用カセット206を格納している。
図5に示すように、取引処理装置2の紙幣処理部25は、金種毎のカウンタをリセットする(S101)。この金種毎のカウンタは、補充する紙幣の金種毎の枚数をカウントする。
紙幣処理部25は、補充用カセット206の補充部206Aから紙幣を1枚ずつ繰り出し(S102)、紙幣の金種を紙幣識別部202にて識別する(S103)。この際、紙幣識別部202は、紙幣の真偽についても識別する。
紙幣処理部25は、紙幣識別部202にて紙幣の金種を識別できる(S104:Yes)と、紙幣の金種に応じたカウンタをカウントアップする(S105)。紙幣処理部25が、紙幣カセット204A〜紙幣カセット204Cのうち、該当する紙幣カセットに紙幣を収納して(S106)、S108へ進む。具体的には、紙幣処理部25は、紙幣が1万円札なら、紙幣カセット204A又は紙幣カセット204Bに収納し、紙幣が千円札なら、紙幣カセット204Cに収納する。
また、紙幣処理部25は、紙幣識別部202にて紙幣の金種を識別できなかった場合に(S104:No)、補充用カセット206の補充リジェクト部206Bへ収納して(S107)、S108へ進む。
S108にて、紙幣処理部25は、紙幣カセット204A〜紙幣カセット204Cへの補充が完了するまで(S108:No)、S102〜S108の処理を繰り返し行う。紙幣処理部25は、紙幣カセット204A〜紙幣カセット204Cへの補充が完了すると(S108:Yes)、補充された紙幣について、金種毎のカウンタの値に基づいて、現金情報管理テーブル(図3)を更新する(S109)。その後、金種毎のカウンタの値にもとづいて、補充額を算出する(S110)。取引処理装置2は、紙幣処理部25が算出した補充額を取引額として、通信部27を介してホストコンピュータ3に通知する(S111)。
以上のように、紙幣処理部25は、補充用カセット206に収納されている紙幣を識別して、紙幣カセット204A〜紙幣カセット204Cに補充する。この際、紙幣処理部25は、金種毎のカウンタを用いて、補充した紙幣の枚数を金種毎にカウントしているため、取引処理装置2に補充した金額を正確に把握することができる。
また、ホストコンピュータ3は、当該取引処理装置2の現在高に、取引処理装置2から通知された取引額(紙幣の金種毎の枚数)を加算するため、補充処理後であっても現在高を正確に把握することができる。
次に、出金処理の詳細について、図6を参照して説明する。図6は、出金処理の処理フローを示すフローチャートである。取引処理装置2は、ユーザが出金取引を行う(出金取引金額が指定される)と、図6に示す処理を行う。図6に示すように、取引処理装置2の紙幣処理部25は、金種毎のカウンタをリセットする(S201)。この金種毎のカウンタは、出金する紙幣の金種毎の枚数をカウントする。
紙幣処理部25は、出金取引金額に応じて、紙幣カセット204A〜紙幣カセット204Cから紙幣を1枚ずつ繰り出す(S202)。例えば、紙幣処理部25は、出金取引金額(例えば3万円)に応じて、例えば万円札を紙幣カセット204Aから繰り出す。
紙幣処理部25は、繰り出された紙幣の金種を紙幣識別部202にて識別する(S203)。この際、紙幣識別部202は、紙幣の真偽についても識別する。紙幣処理部25は、紙幣識別部202にて紙幣の金種を識別できる(S204:Yes)と、紙幣の金種に応じたカウンタをカウントアップする(S205)。紙幣処理部25は、入出金口201に紙幣を収納して(S206)、S211へ進む。
また、紙幣処理部25は、紙幣識別部202にて紙幣の金種を識別できなかった場合に(S204:No)、識別できなかった紙幣をリジェクト紙幣とみなして、一時保留部203に収納して(S207)S208へ進む。
S208にて、紙幣処理部25は、金種毎のカウンタを参照して、入出金口201に収納した紙幣が出金取引金額に一致するまで(S208:No)、S202〜S208の処理を繰り返し行う。紙幣処理部25は、入出金口201に収納した紙幣が出金取引金額に一致すると(S208:Yes)、一時保留部203に収納した紙幣を繰り出した元の紙幣カセット204A〜紙幣カセット204Cに収納し、(S209)、出金された紙幣について、金種毎のカウンタの値に基づいて、現金情報管理テーブル(図3)を更新する(S210)。その後、入出金口201を開けて、紙幣を出金する(S211)。そして、取引処理装置2は、出金取引金額を取引額として、通信部27を介してホストコンピュータ3に通知する(S212)。
以上のように、紙幣処理部25は、出金処理の際は、紙幣カセット204A〜紙幣カセット204Cに収納されている紙幣を識別して、紙幣カセット204A〜紙幣カセット204Cに含まれるリジェクト紙幣を第1リジェクトカセット205へ収納することなく出金処理を行う。このため、第1リジェクトカセット205に金種、枚数が不明な紙幣が収納されることがなくなり、取引処理装置内の不明紙幣の枚数を低減させることができる。
また、ホストコンピュータ3は、補充処理の際は、当該取引処理装置2の現在高に、取引処理装置2から通知された取引額(紙幣の金種毎の枚数)を加算するため、補充処理後であっても現在高を正確に把握することができる。
次に、入金処理の詳細について、図7を参照して説明する。図7、図8は、入金処理の処理フローを示すフローチャートである。図7は、入金取引の処理を示し、図8は、入金取引確定後、入金された紙幣を紙幣カセットへ収納する処理を示す。取引処理装置2の紙幣処理部25は、ユーザが入金取引を行う(入出金口201に紙幣が入れる)と、図7に示す処理を行う。
図7に示すように、取引処理装置2の紙幣処理部25は、金種毎のカウンタをリセットする(S301)。この金種毎のカウンタは、入金する紙幣の金種毎の枚数をカウントする。
紙幣処理部25は、入出金口201に収納された紙幣を1枚ずつ繰り出して(S302)、当該紙幣の金種を紙幣識別部202にて識別する(S303)。この際、紙幣識別部202は、紙幣の真偽についても識別する。
紙幣処理部25は、紙幣識別部202にて紙幣の金種を識別できる(S304:Yes)と、紙幣の金種に応じたカウンタをカウントアップして(S305)、一時保留部203に紙幣を収納して(S306)、S308へ進む。
また、紙幣処理部25は、紙幣識別部202にて紙幣の金種を識別できなかった場合に(S304:No)、当該紙幣を返却口へ搬送して(S307)、S308へ進む。
紙幣処理部25は、入出金口201の紙幣が空になるまで(S308:No)、S302〜S308の処理を繰り返し行う。紙幣処理部25は、入出金口201の紙幣が空になると(S308:Yes)、返却口に紙幣が有るかを調べる(S309)。紙幣処理部25は、返却口に紙幣が有る場合に(S309:Yes)、当該紙幣を返却して(S310)、S311へ進む。紙幣処理部25は、返却口に紙幣がない場合に(S309:No)、S311へ進む。
紙幣処理部25は、紙幣の金種に応じたカウンタに基づいて、入金取引金額を表示する(S311)。紙幣処理部25は、ユーザによって、入金取引金額が確定されたら(S312:Yes)、入金取引を確定して、金種毎のカウンタの値を一時記憶する(S313)。そして、取引処理装置2は、入金取引金額を取引額として、通信部27を介してホストコンピュータ3に通知する(S314)。
また、紙幣処理部25は、入金取引金額が確定しない場合に(S312:No)、一時保留部203の紙幣を返却口へ搬送して返却する(S315)。なお、紙幣処理部25は、入金取引金額が確定しない場合に、一時保留部203の紙幣を返却せずに、ユーザに追加入金させてもよい。
以上より、ホストコンピュータ3は、入金処理では、当該取引処理装置2の現在高に、取引処理装置2から通知された取引額(紙幣の金種毎の枚数)を加算するため、入金処理後であっても現在高を正確に把握することができる。
図8に示すように、紙幣処理部25は、入金取引が確定すると、金種毎のカウンタ及びリジェクト用カウンタをリセットする(S401)。この金種毎のカウンタは、紙幣カセット204A〜紙幣カセット204Cに収納した紙幣の金種毎の枚数をカウントする。このリジェクト用カウンタは、リジェクトカセットに収納される紙幣の枚数をカウントする。
紙幣処理部25は、一時保留部203から紙幣を1枚ずつ繰り出し(S402)、紙幣の金種を紙幣識別部202にて識別する(S403)。この際、紙幣識別部202は、紙幣の真偽についても識別する。
紙幣処理部25は、紙幣識別部202にて紙幣の金種を識別できる(S404:Yes)と、紙幣が紙幣カセット204A〜紙幣カセット204Cに収納可能な金種(万円、千円)であるか判断する(S405)。紙幣処理部25は、紙幣が紙幣カセット204A〜紙幣カセット204Cに収納可能な金種であった場合に(S405:Yes)、紙幣の金種に応じたカウンタをカウントアップする(S406)。そして、紙幣処理部25は、紙幣カセット204A〜紙幣カセット204Cのうち、該当する紙幣カセットに紙幣を収納して(S407)、S411へ進む。
また、紙幣処理部25は、紙幣識別部202にて紙幣の金種を識別できない場合に(S404:No)、識別できなかった紙幣をリジェクト紙幣とみなして、現金情報管理テーブル(図3参照)の「第1リジェクトカセットの不明紙幣の有無」を「有」に更新する(S408)。その後リジェクト紙幣の枚数分だけリジェクト用カウンタをカウントアップする(S409)。紙幣処理部25は、リジェクト紙幣を第1リジェクトカセット205へ収納して(S410)、S411へ進む。
更に、紙幣処理部25は、紙幣が紙幣カセット204A〜紙幣カセット204Cに収納できない紙幣(例えば、5千円札や2千円札等)である場合に(S405:No)、当該紙幣の枚数分だけ、リジェクト用カウンタをカウントアップする(S409)。紙幣処理部25は、当該紙幣をリジェクト紙幣として第1リジェクトカセット205へ収納して(S410)、S411へ進む。
S411にて、紙幣処理部25は、一時保留部203からの紙幣の繰り出しが完了するまで(S411:No)、S402〜S411の処理を繰り返し行う。紙幣処理部25は、一時保留部203からの紙幣の繰り出しが完了すると(S411:Yes)、一時保留部に収納されていた紙幣の枚数(S313で一時記憶した金種毎のカウンタの合計値)が、紙幣カセット204A〜紙幣カセット204Cに収納された紙幣の枚数(金種毎のカウンタの合計値)と第1リジェクトカセット205に収納されたリジェクト紙幣の枚数(リジェクト用カウンタの値)との合計枚数に、一致するか否か調べる(S412)。
紙幣処理部25は、一致する場合に(S412:Yes)、金種毎のカウンタの値に基づいてリジェクト紙幣の金種を推定して(S413)、S415へ進む。例えば、紙幣処理部25は、一時記憶する万円のカウンタが2で千円のカウンタが5(S313で一時記憶するカウンタ)、且つ万円のカウンタが1で千円のカウンタが5(S406でカウントするカウンタ)、且つリジェクト用カウンタが1(S409でカウントするカウンタ)であった場合に、金種毎のカウンタの差分を求めることで、リジェクト紙幣が1枚の万円札であったと推定する。紙幣処理部25は、一致しない場合に(S412:No)、現金情報管理テーブル(図3参照)の「第1リジェクトカセットの不明紙幣の有無」を「有」に更新して(S414)、S415へ進む。S415にて、紙幣処理部25は、現金情報管理テーブルを更新する。
以上より、紙幣処理部25は、入金取引時に、紙幣の金種を識別して一時保留部203に収納し、入金取引確定後に、一時保留部203に収納した紙幣を再度識別して、リジェクト紙幣を第1リジェクトカセット205に収納する。このため、紙幣処理部25は、入金取引に識別した紙幣の金種毎の枚数から紙幣カセット204A〜紙幣カセット204Cに収納した金種毎の枚数を差分することで、リジェクト紙幣として識別された紙幣の金種を確実に推定することができる。また、一時保留部203に収納した紙幣の枚数と、紙幣カセット204A〜紙幣カセット204Cに収納した金種毎の枚数と第1リジェクトカセット205とに収納した枚数との合計枚数とが一致するか調べることで、例えば、紙幣カセット204A〜紙幣カセット204Cや第1リジェクトカセット205に紛れ込んでしまった紙幣があることがわかる。
次に、監視通知処理の詳細について、図9〜図12を参照して説明する。図9は監視通知処理の処理フローを示すフローチャートである。図10は監視通知内容を表示する画面の一例であり、取引処理装置毎に計数要の状態であるか否かを表示する。また、図11は監視端末4から取引処理装置2に送信する指示を表示して選択するための操作画面の一例である。
図9に示すように、取引処理装置2は監視通知のタイミングにて現金情報管理テーブルから再計数要否の状態情報を抽出する(S501)。ここで、監視通知のタイミングとは、当該取引処理装置2の起動時、上述の紙幣の枚数が変動する処理を行う時、のうちの少なくともいずれかのタイミングとする。取引処理装置2は、再計数要否の状態情報に基づいて後述する再計数要状態判定を行う(S502)。判定の結果、再計数を要とする第2の状態であれば(S502:Yes)、第2の状態であることを監視端末4に通知する(S503)。第2の状態の通知については、計数処理(再計数)が必要であることを示す情報と、当該対象端末の識別情報とを含む。
監視端末4は、取引処理装置2から第2の状態であることを受信したとき、図10に示すように、表示部44に表示する状態表示テーブルにおいて、第2の状態の通知に含まれる端末の識別情報に対応する取引処理装置(号機の欄)の項目の一つ(媒体欄)に、第2の状態の通知に含まれる再計数要を示す情報に基づいて、計数処理の要否情報として「サイケイスウヨウ」を表示する。さらに、ブザー等の音声を用いて第2の状態を受信したことを監視者に通知してもよい。
監視端末4は、図11に示すような端末指示の画面も表示部44に表示できる。この場合、端末指示画面では、図中の「▲1」のように対象端末を色や表示で識別できるように表示の上、接触入力にて指示を選択し、取引処理装置2に任意の指示を送信することができる。端末指示は、例えば、強制的に計数あり精査処理を取引処理装置2に行わせる指令である強制精査指示と、再計数要を示す情報を含む第2の状態の通知を受信したときに計数あり精査処理を取引処理装置2に行わせる指令であって、自動的に送信される自動精査指示がある。強制精査指示の入力を受ける場合、監視端末4は取引処理装置2に計数あり精査指示を送信する。計数あり精査指示を受信した取引処理装置2は、計数処理を行い、その結果として現金管理情報テーブルを更新する。そして、取引処理装置2は、当該現金管理情報テーブルから再計数要否の状態情報を抽出し、再計数要状態判定を行う。判定の結果、再計数要の状態である場合、当該取引処理装置は監視端末4に第2の状態であることを通知し、監視端末4は第2の状態の通知を受けるときの処理を行う。自動精査指示の入力を受ける場合、監視端末4は自動精査対象となる取引処理装置について自動精査対象であることを登録する。監視端末4が自動精査対象として登録されている取引処理装置から再計数要を示す情報を含む第2の状態の通知を受信した場合、自動的に計数あり精査指示を送信する。計数あり精査指示を受信した取引処理装置2は、上述の計数あり精査指示を受信したときの処理を行う。
取引処理装置2は、再計数要状態判定の判定結果が再計数不要な第1の状態である場合(S502:No)、監視端末4に対して再計数要否の状態に関する情報を何も通知しない。これにより、監視端末4に送信する情報を削減し、ネットワークの負荷を抑えることができる。
なお、取引処理装置2は後述する現在高の一致判定を行い、判定結果が不一致の場合に再計数が必要な第2の状態であることを監視端末4に通知してもよい。この場合、取引処理装置2は、再計数要状態判定(S502)の判定結果が再計数不要であるとき、ホストコンピュータ3に対して、取引処理装置2の現在高を通知するように現在高通知指示を行い、当該取引処理装置2の現在高を取得する。そして、現金情報管理テーブルの各紙幣カセット204A〜紙幣カセット204Cに収納されている紙幣とリジェクト紙幣とを合計した金額が、ホストコンピュータ3から送信された現在高と一致するかを判定する。判定結果が不一致の場合、第2の状態であることを監視端末4に通知する。当該取引処理装置2から第2の状態であることを受信した監視端末4は、前述の第2の状態であることを受信したときの処理を行う。これにより、監視者は取引処理装置毎に現在高の不一致による第2の状態にあることを遠隔から把握することができる。
また、監視端末4は取引処理装置2が再計数要と判定した理由、紙幣の金種毎の枚数、及びリジェクト紙幣の金種毎の枚数、などの詳細な情報を画面表示してもよい。この場合、取引処理装置2は上述の情報を監視端末4に通知するように設定する。これにより、監視者は遠隔から取引処理装置2の詳細情報を確認することができる。
また、監視端末4は、取引処理装置2から第2の状態であることを受信したとき、ランプ等の点灯または点滅を用いて再計数要の状態を受信したことを監視者に通知してもよい。これにより、聴覚障害者に対しても効果的に通知することができる。
また、監視通知のタイミングに、監視端末4から状態センス指示を受信した時を含めてもよい。この場合、監視端末4は取引処理装置2の状態を通知させる状態検出指示をもち、任意の時期に当該取引処理装置2に対して状態検出指示を送信できるようにしてもよい。状態検出指示を受信した取引処理装置2は、再計数要状態判定を行い(S502)、判定結果が再計数要であれば、第2の状態であることを監視端末4に通知する。これにより、取引処理装置2において起動や紙幣の枚数が変動する処理がないときでも、再計数要否の状態を把握することができる。
また、自動精査指示において、監視端末4が取引処理装置2に計数あり精査指示を送信するタイミングは、当該取引処理装置から再計数要状態を受信した後の任意の時期としてもよい。これにより、負荷のかかる計数動作を当該取引処理装置の使用者が少ない時間帯に実施することができる。
次に再計数要状態の判定の詳細について、図12を参照して説明する。図12は、再計数要状態の判定フローを示すフローチャートである。このフローは、取引処理装置2が、監視通知を行う場合も、後述する精査処理にて第1の応答及び第2の応答を送信する場合も同様としてよい。取引処理装置2は、現金情報管理テーブルに格納される情報である再計数要否の状態情報に基づいて、再計数要状態の判定処理を行う。
この再計数要状態の判定処理では、取引処理装置2内の紙幣金額の不確定原因となりうる事象の発生有無を判断する。すなわち、現金情報管理テーブルの各種情報を取得し(S601)、再計数要否の状態情報の紙幣カセット抜取情報に基づく判断から金種カセット抜取有と判断の場合(S602)、第1リジェクトカセットの不明紙幣情報に基づく判断から第1リジェクトカセット不明紙幣有と判断の場合(S603)、第1リジェクトカセット抜取情報に基づく判断から第1リジェクトカセット抜取有と判断の場合(S604)、現金ユニット等(メカなどの機構に関する)障害情報に基づく判断から紙幣処理部障害有と判断の場合(S605)、現金残留障害に基づく判断から紙幣残留障害有と判断の場合(S606)、のいずれかの条件を満たしていた場合に再計数要状態と判定する(S608)。いずれの条件にも該当しなかった場合、再計数不要状態と判定する(S607)。 次に、精査判定処理の詳細について、図13〜図16を参照して説明する。
図13は、精査判定処理の処理フローを示すフローチャートである。図14は、精査一覧画面の一例を示す図であり、取引処理装置毎に後述する計数処理を行うか否かについての情報を表示する。図13に示すように、取引処理装置2は、精査端末1から精査処理を実行するように精査指示を受信した場合(S701)、現金情報管理テーブルから紙幣の金種毎の枚数、リジェクト紙幣の金種毎の枚数、及び再計数要否の状態情報を抽出する(S702)。次に、ホストコンピュータ3に対して、取引処理装置2の現在高を通知するように現在高通知指示を行い(S703)、当該取引処理装置2の現在高を取得する(S704)。
取引処理装置2は、再計数要否の状態情報に基づいて、第1リジェクトカセットについてのリジェクトカセット抜取情報から、紙幣が収納されている状態のリジェクトカセットについての抜取の有無を判定したり、第1リジェクトカセットについての不明紙幣情報から、計数中に発生したリジェクト紙幣などによるリジェクトカセットの収納枚数の不明状態の発生有無を判定し、取引処理装置内の紙幣金額の不確定原因となりうる事象の発生有無を判定する。取引処理装置内の紙幣金額の不確定原因となりうる事象の発生がないと判定する場合は、上述の現金情報管理テーブルに含まれる情報と後述の現在高との照合の結果を対比して再計数の要否を判定する。当該対比の結果が不適切と判定した場合、及び取引処理装置内の紙幣金額の不確定原因となりうる事象が発生している場合は、後述の再計数の対象となる。そして、上述の再計数要否の判定結果と、各紙幣カセット204A〜紙幣カセット204Cに収納されている紙幣の金種毎の枚数、リジェクト紙幣の金種毎の枚数を第1の応答として精査端末1に送信する。
例えば、計数中に発生したリジェクト紙幣などによりリジェクトカセットに収納している枚数が不明となったと判定する場合(S705:Yes)、第1の応答に含む判定結果に「リジェクトカセット不明紙幣有」の状態を示す情報を含めるようにする(S706)。これらの判断は一部について行ってもよいが、再計数要否の状態情報の全てについて判断する場合には、精査の精度の担保のための再計数が真に必要な場合のみに、再計数を行う指示を出す処理とすることができ、その結果として、再計数に起因する取引処理装置の休止時間をより短縮することが可能となる。また、取引処理装置2は、例えば、リジェクトカセット不明紙幣が無い場合に(S705:No)、状態情報に基づいて、再計数要状態であるか調べる(S707)。
取引処理装置2は、再計数要状態である場合(S707:Yes)、第1の応答に含む判定結果に「再計数要」の状態を示す情報を含めるようにする(S708)。また、取引処理装置2は、再計数不要状態である場合(S707:No)、現金情報管理テーブルの各紙幣カセット204A〜紙幣カセット204Cに収納されている紙幣とリジェクト紙幣とを合計した金額が、ホストコンピュータ3から送信される現在高と一致するか調べる(S709)。
取引処理装置2は、現在高と一致する場合に(S709:Yes)、第1の応答に含む判定結果に「精査OK」の状態を示す情報を含めるようにする(S710)。また、取引処理装置2は、現在高と一致しない場合に(S709:No)、第1の応答に含む判定結果に「精査NG」の状態を示す情報を含めるようにする(S711)。
取引処理装置2は、第1の応答に判定結果の情報が含められた後、精査端末1に第1の応答を送信する。
精査端末1は、第1の応答を受信したとき、上述の判定結果に基づき、図10に示すように表示部に「リジェクトカセット不明紙幣有」、「再計数要」、「精査OK」、「精査NG」のいずれかを表示する。
上述の照会指示を行う場合は、精査端末1は精査指示を行う前に、当該取引処理装置2に対して、照会処理を実行するように照会指示を行い、取引処理装置2は第1の応答と実質的に同様の内容の照会応答を精査端末に通知しておくものとする。
なお、取引処理装置2がホストコンピュータ3から現在高を取得したが、精査端末1が取引処理装置2、及びホストコンピュータ3から現在高を取得してもよい。そして、精査端末1にて、取引処理装置2から取得した現在高とホストコンピュータ3から取得した現在高とを用いて金額が一致するか調べてもよい。
なお、取引処理装置2がホストコンピュータ3に現在高通知指示を行うタイミングおよびホストコンピュータ3から現在高を取得するタイミングは、基本は現金情報管理テーブルの情報取得後とする。ただし、精査指示を受信(S701)してから現在高の一致を判定(S709)するまでの間の適切な時期としてもよい。 第1の応答に含まれる情報に基づき、取引処理装置2内の紙幣金額の不確定原因となりうる事象の発生なしと判断し、各紙幣カセット204A〜紙幣カセット204Cに収納されている紙幣とリジェクト紙幣とを合計した金額が、現在高の情報と一致する場合は、リジェクト紙幣も含めて精査が確定した状態である。この場合、後述する計数処理を行わずに、第1の応答を精査結果と取り扱う第1の精査処理とする。この場合、精査指示を受けた時点での取引処理装置2の計数処理なしに、取引処理装置2内の現金の状態を正確に把握する精査が実現できるとともに、精査時間のための稼働停止をなくすことができる。また、係員が取引処理装置2の設置場所へ行ってリジェクト貨幣の枚数を確認する必要がなくなり、係員の精査処理にかかる手間が大幅に削減できる。
一方、第1の応答に含まれる情報に基づき、取引処理装置2内の紙幣金額の不確定原因となりうる事象の発生ありと判断する場合や、各紙幣カセット204A〜紙幣カセット204Cに収納されている紙幣とリジェクト紙幣とを合計した金額が、現在高の情報と一致しない場合は、精査が確定していない状態である。この場合には、精査端末1が後述する再計数(計数処理)を取引処理装置2に指示し、再計数の結果として取引処理装置2から精査端末1に送信される第2の応答を精査結果と取り扱う第2の精査処理とする。
次に、第1の精査と第2の精査の判断処理の詳細について、図15を参照して説明する。図15は、処理フローを示すフローチャートである。精査端末1が取引処理装置2から第1の応答を受信すると、図15に示すフローが実行される。
精査端末1が、第1の応答の情報を確認して、「リジェクトカセット不明紙幣有」であった場合(S801:Yes)、「再計数要」の状態であった場合(S802:Yes)、「精査NG」の状態である場合(S803:Yes)、のいずれかの条件を満たしていた場合、取引処理装置2は再計数要状態であるため、第2の精査処理の対象と判断される(S804)。この場合、精査端末1から取引処理装置2に再計数の指示が通知され、取引処理装置2では計数処理を実施される(S805)。その結果は、第2の応答として精査端末1へ送信される(S806)。いずれの条件にも該当しなかった場合(S803:No)、取引処理装置2は再計数不要状態であるため、第1の精査処理の対象と判断される(S807)。この場合は、計数処理(S805)を行わない。
S805では、紙幣処理部25は、全紙幣カセット204A〜紙幣カセット204Cに収納されている紙幣の金種毎の枚数を計数する計数処理(図16参照)を行う。
S805の後に、取引処理装置2は、計数処理の結果として、各紙幣カセット204A〜紙幣カセット204Cに収納されている紙幣の金種毎の枚数、リジェクトカセットに収納されている紙幣の金種毎の枚数、第1リジェクトカセットの不明紙幣の有無の少なくともいずれかについて、現金情報管理テーブル(図3参照)に更新する。この更新結果を参照し、各紙幣カセット204A〜紙幣カセット204Cに収納されている紙幣の金種毎の枚数、リジェクトカセットに収納されている紙幣の金種毎の枚数、及び再計数要否の状態情報に基づく再計数要否の判定結果を第2の応答(精査結果)として、精査端末に通知する(S806)。第2の応答では、少なくとも各紙幣カセット204A〜紙幣カセット204Cに収納されている紙幣の金種毎の枚数、リジェクトカセットに収納されている紙幣の金種毎の枚数は必ず含むものとする。再計数要否の状態情報とは、紙幣処理部25が備える現金情報管理テーブルに格納された、紙幣カセット抜取情報、第1リジェクトカセットの不明紙幣情報、第1リジェクトカセット抜取情報、現金ユニット等(メカなどの機構に関する)障害情報、現金残留障害などであり、これらの少なくとも一部とする。
次に、計数処理の詳細について、図16を参照して説明する。図16は、計数処理の処理フローを示すフローチャートである。紙幣処理部25は、金種毎のカウンタをリセットする(S901)。この金種毎のカウンタは、紙幣カセット204A〜紙幣カセット204Cに収納されている紙幣の金種毎の枚数をカウントする。
紙幣処理部25は、紙幣カセット(まず万円札が収納された紙幣カセット204A及び紙幣カセット204B)が空になるまで、紙幣を繰り出し、補充用カセット206の補充部206Aに収納する(S902)。補充用カセット206の補充部206Aは、空であったため、S902の処理を行うことで、紙幣カセット204A及び紙幣カセット204Bの紙幣のみが収納されたことになる。
紙幣処理部25は、補充用カセット206の補充部206Aから紙幣を1枚ずつ繰り出して(S903)、紙幣の金種を紙幣識別部202にて識別する(S904)この際、紙幣識別部202は、紙幣の真偽についても識別する。紙幣処理部25は、紙幣識別部202にて紙幣の金種を識別できる(S905:Yes)と、紙幣の金種に応じたカウンタをカウントアップする(S906)。紙幣処理部25は、金種に応じた紙幣カセットに紙幣を収納して(S907)、S912へ進む。
また、紙幣処理部25は、紙幣識別部202にて紙幣の金種を識別できなかった場合に(S905:No)、識別できなかった紙幣をリジェクト紙幣とみなして、現金情報管理テーブル(図3参照)の「第1リジェクトカセットの不明紙幣の有無」を「有」に更新する(S908)。そして、紙幣処理部25は、リジェクト紙幣を第1リジェクトカセット205へ収納して(S909)、S910へ進む。
S910にて、紙幣処理部25は、補充用カセット206の補充部206Aが空になるまで(S910:No)、S903〜S910の処理を繰り返し行う。紙幣処理部25は、補充用カセット206の補充部206Aが空になると(S910:Yes)、他の金種が収納された紙幣カセット(次に、千円札が収納された紙幣カセット204C)について(S911:No)、S902〜S911の処理を行う。
紙幣処理部25は、紙幣カセット204A〜紙幣カセット204Cの全てについて、S902〜S903の処理が完了すると(S911:Yes)、紙幣カセットから新たに繰り出した紙幣を仕切紙幣として第1リジェクトカセット205へ収納する(S912)。この際、紙幣処理部25は、紙幣識別部202にて仕切紙幣の記番号(AAAAAAAA)を識別し、現金情報管理テーブル(図3参照)の「仕切紙幣」に「AAAAAAAA」を登録する。その後、金種毎のカウンタの値に基づいて、現金情報管理テーブル(図3参照)を更新する。(S913)以上より、紙幣処理部25は、全紙幣カセットに収納された計数処理を完了する。
また、紙幣処理部25は、計数処理後に仕切紙幣を第1リジェクトカセット205へ収納するため、精査処理完了前のリジェクト紙幣か、精査処理完了後のリジェクト紙幣かを識別することができる。この結果、係員は、実際に第1リジェクトカセット205の紙幣を調べなければならない場合であっても、第1リジェクトカセット205から精査処理完了前のリジェクト紙幣のみを取り出して調べることができる。
次に、第1リジェクトカセット205の抜き取りの有無を検知する機構について、図17、図18を参照して説明する。図17は、リジェクトカセットの格納時の説明図である。図18は、リジェクトカセットの抜き取り時の説明図である。
電源オン時、図17に示すように、第1リジェクトカセット205の格納時、センサ507(例えば、圧力センサ)は、第1リジェクトカセット205の底辺に当接する。また、図18に示すように、第1リジェクトカセット205の抜き取り後、センサ507は、第1リジェクトカセット205の底辺から離れる。紙幣処理部25は、センサ507が第1リジェクトカセット205に当接していないことを検知すると、第1リジェクトカセットの抜き取りを検知して、現金情報管理テーブル(図3参照)の「第1リジェクトカセット抜取の有無」を「有」に更新する。以上より、電源オン時、紙幣処理部25は、センサ507を用いて、第1リジェクトカセット205の抜き取りを検知することができる。
また、紙幣処理部25は、第1リジェクトカセット205を格納すると、制御部21からの指示に基づいて、ソレノイド505を駆動させる。ソレノイド505が第2レバー502の下側を第1リジェクトカセット205側に引っ張るため、第2レバー502は、支点504を中心として可動し、第2レバー502の上側に設けた鍵部から第1レバー501が外れる。第1レバー501は、支点503を中心として可動し、第2レバー502の反対側の先端で固定ガイド板508に接する。
電源オフ時、紙幣処理部25は、第1リジェクトカセット205が抜き取られると、固定ガイド板508が第1レバー501(第2レバー502の反対側)を押し上げる。第1レバー501は、支点503を中心として可動し、第1レバー501側の先端(第2レバー502側)が第2レバー502の上部に設けた鍵部に嵌る。この結果、第1レバー501がセンサ506を押した状態となる。
この状態で第1リジェクトカセット205が格納されたとしても、紙幣処理部25は、電源がオフされており、ソレノイド505を駆動させないため、第1レバー501、及び第2レバー502を可動させない。
電源がオンされると、紙幣処理部25は、センサ506が第1レバー501に当接していることを検知するため、第1リジェクトカセットの抜き取りを検知して、現金情報管理テーブル(図3参照)の「第1リジェクトカセット抜取の有無」を「有」に更新する。
また、第1リジェクトカセット205が抜き取られていない場合、紙幣処理部25は、センサ506が第1レバー501に当接していないことを検知する。
以上より、紙幣処理部25は、電源オフ時にリジェクトカセット205が抜き取られていたことを検知することができる。すなわち、取引処理装置2は、第1リジェクトカセット205に収納されている紙幣を抜き取られた可能性があることが分かる。また、紙幣カセット204A〜紙幣カセット204Cについても、同様の手段で収納されている紙幣を抜き取られた可能性があることが分かる。
次に紙幣処理部25での障害発生時の対処の詳細について説明する。紙幣処理部25で障害が発生した場合、紙幣が紙幣搬送路Lに残留する場合がある。このとき紙幣入出口に残留していた紙幣を挿入し、紙幣識別部202にて識別を行いながら第1リジェクトカセット205に収納する。識別できなかった紙幣については第2リジェクトカセット207に直接収納するものとする。第2リジェクトカセットは機械的に搬送しなくともよく、例えば紙幣を封筒にいれて収納するための箱状部材でもよい。
これにより、不明紙幣が第1リジェクトカセット205に収納されずに別管理となり、第1リジェクトカセット205の金種別枚数は確定したまま運用を再開することができる。
また、第2リジェクトカセット207に収納した紙幣の情報(枚数など)を表示・操作部22を使用して入力可能とし、現金情報管理テーブル(図3参照)を更新する構成にしてもよい。これにより、第2リジェクトカセット内の紙幣の情報を、上述の第1の応答や第2の応答などの精査端末への通知に含めることができ、あらゆる不明紙幣を含めて、取引処理装置2に収納される紙幣を特定することができる。
加えて図11のS604にて、通知する第1の応答や第2の応答(精算結果)に、現金情報管理テーブル(図3参照)に格納される第2リジェクトカセットの収納紙幣の枚数等の情報を含めてもよい。これにより、精査端末1においても、あらゆる不明紙幣を含めて、取引処理装置2に収納される紙幣を把握することができる。
なお、本実施形態では、紙幣の精査について例を挙げて説明したが、硬貨に対しても実質的に同様の精査を行うことが可能である。
なお、本実施形態では、現金情報管理テーブルは、紙幣処理部25及び硬貨処理部26がそれぞれ備える構成としたが、制御部21が備える構成としてもよい。
なお、本実施形態では、精査端末1による精査の判定の結果として、図14に示す精査一覧画面を表示したが、当該結果の情報をプリンタ(不図示)へ出力してもよい。また、図19に示すような精査表を作成したり、出力したりしてもよい。図19は、精査表の一例を示す図である。図19に示す精査表を表示する場合、精査端末1は、各々の取引処理装置の精査の判定の結果の履歴情報を自装置内に記憶する。
なお、本実施形態では、図5のS108にて、紙幣カセット204A〜紙幣カセット204Cの補充が完了するまで、補充用カセット206の補充部206Aから紙幣を補充した。しかし、補充用カセット206の補充部206Aが空になるまで、紙幣カセット204A〜紙幣カセット204Cに紙幣を補充してもよい。
なお、本実施形態では、図16のS712にて、計数終了時に仕切り紙幣を用いる運用としたが、仕切紙幣を用いずに運用してもよい。その場合は第1リジェクトカセット205に収納された紙幣がどの精査期間に収納されものかが不明となるが収納された時期を特定する必要がなければ支障にはならない。
次に精査端末が複数の取引処理装置と対応する場合に、少なくとも一部の取引処理装置について、強制的に計数を行う精査処理と計数を行わない精査処理とを選択的に実施させる例について、図14、図20、図21を参照して説明する。図14は精査一覧画面の一例を示す図であるが、図14の表示に関連する制御はここまでの説明と実質的に同様の制御である。但し、図13に示す第1の精査処理と第2の精査処理との判断処理における、再計数要状態か否かの判断及び現在高照合不適切性の判断の結果に関わらず、強制的に計数を行う精査処理では計数を強制的に実行し、計数を行わない精査処理では原則として計数を行わずに第1の応答を持って精査結果とする点が異なる。なお、図14の表示に関連する制御につき、精査端末1が精査指示の前に照会指示を取引処理装置2に指示し、取引処理装置2は第1の応答と実質的に同様の内容の照会応答を精査端末1に通知しておくようにしてもよい。この場合は、第1の応答に関する処理と同様の処理を行い、その判断結果を精査端末1にて記憶したり、図14に示すように操作端末1の表示部にその判断結果を表示する。図20は強制的に計数を行う精査処理の処理フローを示すフローチャートである。図21は計数なし精査処理の処理フローを示すフローチャートである。
まず、強制的に計数を行う精査処理の詳細について、図14、図20を参照して説明する。図20に示すように、精査端末1は、複数の取引処理装置2について、状態が精査OKか、精査NGか、再計数要か等の状態に関わらず、計数あり精査を実行させる取引処理装置2に対して計数あり精査の実行を指示する(S1001)。ここで、計数あり精査とは、精査指示を受けてから上述の計数処理を行い、その結果として現金管理情報テーブルを更新し、当該更新内容を含めた応答を精査端末に送信する処理であり、上述の第2の精査処理に相当する。
取引処理装置2は、計数あり精査の実行の指示を受けて、計数処理を行い(S1002)、その結果を現金管理情報テーブルに更新し、当該更新内容を含めた応答である精査結果を精査端末に送信する(S1003)。強制的に計数を行う精査処理を行う場合には、図14に示す精査端末1の表示部にて、複数の取引処理装置2のチェックボックスのうち、計数あり精査を実行させる取引処理装置2のチェックボックスにチェックを入れて選択入力を行い、「計数あり精査」ボタンを押下げ、「計数あり精査」指示を入力する。「計数あり精査」指示の入力を受けるとき、精査端末1は選択入力の対象である取引処理装置2へ、計数あり精査、すなわち第2の精査処理相当の処理を指示する。
次に計数なし精査処理の詳細について、図14、図21を参照して説明する。図21に示すように、精査端末1は、複数の取引処理装置2について、状態が精査OKか、精査NGか、再計数要か等の状態に関わらず、計数なし精査を実行させる取引処理装置2に対して、当該取引処理装置2が再計数要否の状態情報に基づく再計数要否の判定結果を精査端末1へ通知するように指示し(S1101)、当該取引処理装置2の再計数要否の判定結果を取得する(S1102)。精査端末1は、受信した判定結果から当該取引処理装置2が再計数要状態でないと判断する場合(S1103:No)には、計数なし精査、すなわち第1の精査処理相当の設定を指示する(S1104)。ここで、計数なし精査とは、精査指示を受けたとき、当該精査指示の受信をトリガーとする計数処理を行うことなく、現金管理情報テーブルから情報を抽出し、当該抽出内容を含めた応答を精査端末に送信する処理であり、上述の第1の精査処理に相当する。
取引処理装置2では、その後に精査端末から精査指示を通知(S1105)されるときに、計数なし精査、すなわち、当該精査指示の受信をトリガーとする計数処理を行うことなく、現金管理情報テーブルから情報を抽出し、当該抽出内容を含めた応答を精査端末に送信する(S1106)。
なお、S1103の再計数要状態か否かの判断にて、再計数要状態と判断する場合には、S1104の対応設定の指示は行わず、通常の第1の精査と第2の精査の判断処理を行うこととする。
ここで、再計数の要否の状態情報とは、上述の第1の応答に含まれる、再計数要否の状態情報と同様でよく、紙幣処理部25が備える現金情報管理テーブルに格納された、紙幣カセット抜取情報、第1リジェクトカセットの不明紙幣(金種もしくは枚数が識別できなった紙幣)情報、第1リジェクトカセット抜取情報、現金ユニット等(メカなどの機構に関する)障害情報、現金残留障害情報の少なくとも一部とする。
計数なし精査処理を行う場合には、図14に示す精査端末1の表示部にて、複数の取引処理装置2のチェックボックスのうち、計数なし精査を実行させる取引処理装置2のチェックボックスにチェックを入れて選択入力を行い、「計数なし精査ボタン」を押下げ、「計数なし精査」指示を入力する。「計数なし精査」指示の入力を受けるとき、精査端末1は、選択入力の対象である取引処理装置2に対して、図21の処理により第1の精査処理相当の対応を指示してある取引処理装置2を自動選択し、計数なし精査を当該取引処理装置2へ指示する。
強制的に計数を行う精査処理と計数を行わない精査処理とを選択的に実施させる場合には、精査端末における第1の精査処理相当の処理と第2の精査処理相当の処理との判断処理を、精査タイミングの度に実行する必要がなくなり、精査端末の負荷を大幅に減少できる。また、計数を行わない精査処理を行う取引処理装置を選択設定している場合には、精査端末を介して管理する複数の取引処理装置の全体としての精査対応時間を大幅に短縮することができる。
なお、計数を行わない精査処理として第1の精査処理相当の設定を行っている取引処理装置に対して、任意の時期に、強制的に計数を行う精査処理(第2の精査処理相当の処理)を単発的に指示してもよい。この場合は、セキュリティ確保のための抜き打ち精査を容易に実施することが可能となる。また、強制的に計数を行う精査処理を実施させる取引処理装置と計数を行わない精査処理を実施させる取引処理装置とを、図14に示す精査端末の表示部に、取引処理装置毎に明示的に表示させてもよい。この場合は、各々の取引処理装置の精査の形態がいずれの処理であるかが可視化され、精査端末の負荷分散のための各々の取引処理装置への精査指示タイミング調整や容易化、係員による各々の取引処理装置の保守作業のための確認の容易化を図ることができる。
さらに、上述に実施の例において、各々の取引処理装置について、第1の精査処理と第2の精査処理のいずれと判断したか、精査端末か取引処理装置かホストコンピュータのいずれかにログを残してもよい。この場合は、障害発生時に、障害発生の原因究明として当該ログを活用することができる。
さらに、第1の精査処理の行った後には、取引処理装置に精査に関わる情報を明細票に印字せずに、電子ジャーナルにのみ記録するようにしてもよい。この場合は、精査処理に伴う結果の明細票印字のために稼働停止にする必要もなくなり、稼働停止時間をさらに短縮することができる。
なお、上述の実施の例において、精査端末は、サーバとして構成してもよい。