JP2016029631A - リチウムイオン二次電池電極用結着剤、それを用いたリチウムイオン二次電池負極用ペーストおよびリチウムイオン二次電池負極の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】
高容量活物質を用いた場合でも高い初期効率、高い初期容量を有し、良好なサイクル特性を発現するリチウムイオン二次電池電極用結着剤を提供することを目的とする。
【解決手段】
側鎖にカルボキシル基を有する樹脂に、特定のメラミン誘導体および特定のエポキシ化合物からなる群より選択される架橋剤を反応させることを特徴とするリチウムイオン二次電池電極用結着剤。
【選択図】なし
高容量活物質を用いた場合でも高い初期効率、高い初期容量を有し、良好なサイクル特性を発現するリチウムイオン二次電池電極用結着剤を提供することを目的とする。
【解決手段】
側鎖にカルボキシル基を有する樹脂に、特定のメラミン誘導体および特定のエポキシ化合物からなる群より選択される架橋剤を反応させることを特徴とするリチウムイオン二次電池電極用結着剤。
【選択図】なし
Description
本発明は、リチウムイオン二次電池電極用結着剤、それを用いたリチウムイオン二次電池負極用ペーストおよびリチウムイオン二次電池負極の製造方法に関する。
近年、スマートフォンや携帯音楽プレーヤーなどの携帯電子機器の普及に伴い、小型、軽量、高エネルギー密度の二次電池の需要が高まっている。その中でもリチウムイオン二次電池は、上記携帯電子機器に加えて、ハイブリッド電気自動車(HEV)や電気自動車(EV)への展開が急速に進められており、産業上の利用範囲が拡大を続けている。
リチウムイオン二次電池電極において、電極は、合材と集電体から構成されている。合材は、活物質、必要に応じて導電助剤そして結着剤等から構成される。結着剤に求められる特性は、
・合材構成物質間を確実に結着・保持すること
・合材と集電体とを結着すること
・電解液(電解質)に対して化学的に安定であること
・合材中におけるリチウムイオン移動を阻害しないこと
等が挙げられる。上記条件が満たされない場合には、ハイレート性能やサイクル特性などの電池性能の低下を招く。
・合材構成物質間を確実に結着・保持すること
・合材と集電体とを結着すること
・電解液(電解質)に対して化学的に安定であること
・合材中におけるリチウムイオン移動を阻害しないこと
等が挙げられる。上記条件が満たされない場合には、ハイレート性能やサイクル特性などの電池性能の低下を招く。
一方、リチウムイオン二次電池の容量を向上させるために、負極活物質としてケイ素、ゲルマニウム、スズ等を用いることが検討されている。これらの元素を含む高容量の負極活物質は、従来の黒鉛活物質と比べ、リチウムイオンを大量に吸蔵放出することができるため、電池の充放電時に大きな体積変化を起こす。従って、これら高容量活物質を用いた電極は、充放電に伴って活物質の体積が変化する際に、活物質−活物質間、活物質−導電助剤間および導電助剤−導電助剤間、さらに負極合材−集電体間が互いに分断・剥離しやすくなるという難点がある。このため、二次電池の充放電が繰り返されることにより、負極合材構成材料間の密着性、負極合材と集電体との密着性が損なわれ、負極における電子伝導性が悪化するので、徐々に電極の容量が低くなる。その結果、こうした電極を用いた二次電池は、サイクル特性が悪くなるという課題がある。
このような課題に対し、結着剤を用いて解決を図る検討がなされている。例えば、特許文献1では、高容量活物質に対しポリイミドをバインダとして用いた電極が報告されている。また、特許文献2では、ポリアクリル酸を結着剤として用いた電極が報告されている。
しかしながら、特許文献1記載の方法では、充電時に吸蔵されたリチウムイオンがポリイミドに取り込まれるため、初期効率が低下する課題があった。また、特許文献2記載の方法では、活物質表面がイオン伝導性の低いポリアクリル酸によって被覆されるため、初期放電容量が低下する課題があった。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、高容量活物質を用いた場合でも高い初期効率、高い初期容量を有し、良好なサイクル特性を発現するリチウムイオン二次電池電極用結着剤、それを用いたリチウムイオン二次電池負極用ペーストおよびリチウムイオン二次電池負極の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題について検討した結果、本発明に到達した。本発明の要旨は、側鎖にカルボキシル基を有する樹脂に、後述する一般式(1)で表されるメラミン誘導体および後述する一般式(3)で表されるエポキシ化合物からなる群より選択される架橋剤を反応させることを特徴とするリチウムイオン二次電池電極用結着剤である。
本発明の結着剤は、水溶媒電極ペースト、有機溶媒電極ペーストに関わらず使用でき、本来溶媒に不溶で、負極合材中で不均一分散、構成材料に対して点結着性となる高分子量樹脂の3次元架橋体を形成し、均一かつ面結着性とする事が出来る。また、架橋構造にリチウムイオン伝導性を持つエーテル結合および/または3級アミンが導入されているため、結着剤によって活物質近傍へのリチウムイオンの移動が阻害されず、初期放電容量低下の改善が実現できる。さらに、架橋構造のため、カルボキシル基によるリチウムイオンのトラップ量が少ない。従って、リチウムイオン伝導性、結着性に優れ、高容量活物質を用いた場合でも高い初期効率、高い初期容量を実現出来る。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のリチウムイオン二次電池電極用結着剤(以下、単に「結着剤」ということがある。)は、側鎖にカルボキシル基を有する樹脂に、後述する一般式(1)で表されるメラミン誘導体および一般式(3)で表されるエポキシ化合物からなる群より選択される架橋剤を反応させるものである。
本発明において側鎖にカルボキシル基を有する樹脂は、直鎖状でも分枝状でも環状でもよいが、直鎖状のポリオレフィンが特に好ましい。
ポリオレフィンとしては、含カルボキシル基成分を共重合したものを用いることが好ましい。このような含カルボキシル基成分としては、不飽和カルボン酸や、その無水物が挙げられ、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、アコニット酸、フマル酸、クロトン酸、アンゲリカ酸などのほか、不飽和ジカルボン酸のハーフエステル、ハーフアミドなどが挙げられる。中でもアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸が好ましく、特にアクリル酸、無水マレイン酸が好ましい。
共重合の方法は、ランダム共重合、交互共重合、ブロック共重合、グラフト共重合などが挙げられ、単一の手法に限定されない。
また、側鎖にカルボキシル基を有する樹脂は、樹脂の水溶性、および活物質、導電助剤、集電体との結着力を担保するため、主鎖に結合した全側鎖を100モル%として、カルボキシル基側鎖を12〜25モル%含むことが好ましく、15〜25モル%含むことが好ましく、18〜25モル%であることがより好ましく、20〜25モル%含むことがさらに好ましい。カルボキシル基側鎖が10モル%未満では、樹脂の水溶性が不足し水溶媒に不溶となる場合があり、また、活物質、導電助剤、金属集電体との結着力が低下する傾向がある。
側鎖にカルボキシル基を有する樹脂としてはポリアクリル酸、ポリメタクリル酸が好ましく、ポリアクリル酸が最も好ましい。
本発明の結着剤においては、側鎖にカルボキシル基を有する樹脂に、架橋剤を反応させる。本発明の結着剤には、保存時には架橋されておらず、使用時に架橋される態様のものも含むものとする。
本発明において、架橋剤としては、下記一般式(1)で表されるメラミン誘導体を用いることができる。
(上記一般式(1)中、R1〜R6は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、アルコキシアルキル基、ヒドロキシアルキル基、およびエステル基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する有機基を表す。ただし、R1〜R6のうち少なくとも1つはアルコキシアルキル基またはヒドロキシアルキル基を有する有機基である。)
R1〜R6はアルコキシアルキル基またはヒドロキシアルキル基であることが好ましく、R1〜R6の全てがアルコキシアルキル基またはヒドロキシアルキル基であることがより好ましい。
R1〜R6はアルコキシアルキル基またはヒドロキシアルキル基であることが好ましく、R1〜R6の全てがアルコキシアルキル基またはヒドロキシアルキル基であることがより好ましい。
中でも、一般式(1)で表されるメラミン誘導体が下記一般式(2)で表される化合物であることが特に好ましい。
(一般式(2)において、nはそれぞれの基において独立に0〜6の整数である。)
また、本発明において、架橋剤は下記一般式(3)で表されるエポキシ化合物も用いることができる。
また、本発明において、架橋剤は下記一般式(3)で表されるエポキシ化合物も用いることができる。
(一般式(3)中、R7は−CH2O(CR8R9R10)である。R8、R9、R10は水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、または−CH2O(ClH2lOm−O)nR11である。R11は炭素数1〜12のアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、またはグリシジルアルキル基であり、lは2〜6の整数であり、mは0〜2の整数、nは0〜12の整数である。l、m、nおよびR11はR8、R9、R10の間で異なっていてもよい。)
中でも、一般式(3)で表されるエポキシ化合物としては、下記一般式(4)で表される化合物がより好ましい。
中でも、一般式(3)で表されるエポキシ化合物としては、下記一般式(4)で表される化合物がより好ましい。
(一般式(4)において、lは2〜6の整数であり、mは0〜2の整数、nは1〜8の整数である。)
結着剤中におけるこれらの架橋剤の含有量は、カルボキシル基を有する樹脂100質量部に対して5〜155質量部であることが好ましく、10〜150質量部であることがより好ましく、20〜140質量部であることがさらに好ましい。架橋剤の含有量が5質量部未満の場合には、架橋構造が発達せず、十分なリチウムイオン伝導性向上効果、初回充電リチウムイオントラップ抑制効果が発現しにくくなる傾向にあり、一方155質量部を超える場合には、架橋剤の自己架橋構造の割合が増え、結着力が低下する傾向にある。
結着剤中におけるこれらの架橋剤の含有量は、カルボキシル基を有する樹脂100質量部に対して5〜155質量部であることが好ましく、10〜150質量部であることがより好ましく、20〜140質量部であることがさらに好ましい。架橋剤の含有量が5質量部未満の場合には、架橋構造が発達せず、十分なリチウムイオン伝導性向上効果、初回充電リチウムイオントラップ抑制効果が発現しにくくなる傾向にあり、一方155質量部を超える場合には、架橋剤の自己架橋構造の割合が増え、結着力が低下する傾向にある。
また、結着剤の塩素含有量は、結着剤100質量部に対して0.20質量部以下であることが好ましく0.10質量部以下であることがより好ましい。結着剤に含まれる塩素が0.20質量部を超えるとサイクル中の塩酸発生によって負極が劣化し、サイクル特性が低下する。特に、エピクロルヒドリンを原料とする一般的なエポキシ化合物には無機塩素や有機結合性塩素が含まれているため、一般式(3)で表されるエポキシ化合物を架橋剤として用いる場合には、アルカリ洗浄法や昇華法、蒸留法、晶析法を用いて塩素量を低減したものを用いることが好ましい。なお、本明細書において、塩素含有量は燃焼-電量滴定法により測定した値とする。
本発明のリチウムイオン二次電池負極用ペースト(以下、単に「負極用ペースト」ということがある。)は、本発明の結着剤と、ケイ素原子、スズ原子またはゲルマニウム原子を含むリチウムイオン二次電池負極活物質と、溶剤、さらには必要に応じて、導電助剤とを含有する。これら負極活物質や導電助剤、溶剤は、それぞれ2種類以上含有してもよい。
ケイ素原子を含む負極活物質としては、例えば、シリコン、ケイ素化合物(ケイ素とともに、リチウム、スズ、ニッケル、銅、鉄、コバルト、マンガン、亜鉛、インジウム、銀、チタン、バナジウム、ゲルマニウム、ビスマス、アンチモン、クロム、ホウ素、窒素、酸素または炭素のうち1種またはそれ以上を含有する化合物)などが挙げられる。ケイ素化合物の例としては、SiB4、SiB6、Mg2Si、Ni2Si、TiSi2、MoSi2、CoSi2、NiSi2、CaSi2、CrSi2、Cu5Si、FeSi2、MnSi2、NbSi2、TaSi2、VSi2、WSi2、ZnSi2、SiC、Si3N4、Si2N2O、SiOx(0<x≦2)、SiOC、SiCNあるいはLiSiOなどが挙げられる。
スズ原子を含む負極活物質としては、例えば、スズ、スズ化合物(スズとともに、リチウム、ケイ素、ニッケル、銅、鉄、コバルト、マンガン、亜鉛、インジウム、銀、チタン、ゲルマニウム、ビスマス、アンチモン、クロム、セリウム、酸素、炭素または窒素のうち1種またはそれ以上を含有する化合物)などが挙げられる。スズ化合物の一例としては、FeSn、FeSn2、SnOx(0<x≦2)、SnSiO3、LiSnOあるいはMg2Snなどが挙げられる。
ゲルマニウム原子を含む負極活物質としては、例えば、ゲルマニウム、ゲルマニウム化合物(ゲルマニウムとともに、リチウム、アルミニウム、ケイ素、スズ、マグネシウム、酸素または炭素のうち1種またはそれ以上を含有する化合物)などが挙げられる。
負極活物質の平均粒径は、0.05μm〜50μmが好ましい。より好ましくは0.1μm〜35μmで、さらに好ましくは0.5μm〜25μmである。また、負極活物質の表面には、表面処理が施されていてもよく、例えば、シランカップリング剤による化学処理、各種蒸着法、めっき法による被覆層形成などが挙げられる。さらに、マトリクス材料を含む複合負極材料としても良い。マトリクス材料としては、天然黒鉛、人造黒鉛、ハードカーボン、ソフトカーボンなどの炭素材料、スズ、ゲルマニウム、アルミニウム、インジウム、カルシウム、マグネシウム、およびこれらの合金、ならびに酸化物、チタン酸リチウムなどが挙げられる。
溶剤としては、水、N−メチルピロリドン、ジアセトンアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに代表されるグリコール誘導体、各種アルコール類、各種ケトン類、各種エーテル類、エステル類、などを用いることができる。前記溶剤は、結着剤の溶剤への溶解度や負極用ペーストの塗布性を向上させる目的で2種以上を混ぜて使用してもよい。
導電助剤としては、電池性能に悪影響を及ぼさない電子伝導性材料であれば特に限定されず、ファーネスブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック類、天然黒鉛、人造黒鉛、グラフェン等のグラファイト類、炭素繊維及び金属繊維等の導電性繊維類、銅、ニッケル、アルミニウム及び銀等の金属粉末類等の導電性材料を用いることができる。
負極用ペーストにおける結着剤の含有量は、0.5質量%〜20質量%であることが好ましい。20質量%を超えると、得られる電極における電気抵抗値が高くなる傾向がある。また、0.5質量%未満では、活物質、導電助剤および金属集電体との十分な接着性を得ることが難しい。
また、負極用ペーストに、必要に応じ、本発明の効果を損なわない範囲内で他の結着剤を添加してもよい。一例としては、カルボキシメチルセルロースのようなセルロース系ポリマーおよびその中和塩、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、ポリフッ化ビニリデン、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリスチレン、ビニルアルコールおよび/または無水マレイン酸および/または無水イタコン酸の共重合体などが挙げられる。
他の結着剤の配合量としては、負極用ペーストにおける結着剤の総配合量が0.5質量%〜20質量%の範囲であることが好ましい。
本発明の負極用ペーストを製造する条件や方法は特に限定されないが、結着剤と、ケイ素原子、スズ原子またはゲルマニウム原子を含む活物質と、必要に応じて導電助剤とをよく混練することで得ることが出来る。混練においては、自公転ミキサーを用いたり、ビーズミル、ボールミルなどのメディア分散を行ったり、三本ロールなどを用いて、均一に分散させることが好ましい。混合順序は特に限定されない。また、必要に応じて上述した他成分や溶媒などを添加することもできる。
本発明のリチウムイオン二次電池負極は、本発明の負極用ペーストを集電体に塗布して乾燥することにより得ることができる。すなわち、当該負極において、負極用ペーストは乾燥されて負極合材となる。本発明のリチウムイオン二次電池負極用ペーストを用いた負極の製造方法について例を挙げて説明する。
本発明のリチウムイオン二次電池負極用ペーストを金属箔上に1〜500μmの厚みで塗布する。金属箔としては、アルミ箔、ニッケル箔、チタン箔、銅箔、ステンレス鋼箔などが挙げられ、銅箔、アルミ箔が一般的に用いられる。
本発明のリチウムイオン二次電池負極用ペーストを金属箔に塗布するには、ブレードコート、スピンコート、ロールコート、スリットダイコート、スプレーコート、ディップコート、スクリーン印刷などの手法を用いることができる。塗布は片面または両面に行われる。両面に塗布する場合、まず片面を塗布して、溶媒を50〜400℃の温度で1分〜20時間、空気中、真空中、または窒素やアルゴンなどの不活性ガス雰囲気中で乾燥処理した後に、逆の面に塗布して乾燥させるのが一般的であるが、両面を同時にロールコートやスリットダイコートなどの手法で塗布することもできる。
本発明の結着剤を用いる場合、塗布後、70〜300℃で1分間〜24時間熱処理し、カルボキシル基を有する樹脂と架橋剤を反応させ、熱架橋することが好ましい。熱処理条件は、好ましくは、70〜200℃で10分間〜20時間である。また、熱処理は、水分の混入を抑えるために、窒素ガスなどの不活性ガス中または真空中で行うことが好ましい。
得られた電極は、厚みや体積密度を制御するために、例えばロールプレス機によってプレスすることもできる。
また、負極の塩素含有量は充放電サイクル中の負極劣化防止の観点から、負極から集電体を除いた負極合材100質量部に対して0.05質量部以下であることが好ましく0.02質量部以下であることがより好ましい。塩素含有量が0.05質量部を超えると、サイクル中の塩酸発生による負極劣化が起こり、サイクル特性が悪化する傾向がある。負極合材の塩素含有量は、結着剤の場合と同様、燃焼-電量滴定法で測定した値である。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって制限されるものではない。
<評価手法>
〔塩素含有量の定量〕
結着剤または加熱によって負極用ペーストから溶剤を留去した負極合材または作製した負極からかき取った負極合材に対して塩素分析装置(三菱化学アナリテック社製 TOX−2100H)を用いて燃焼-電量滴定を行い、含まれる塩素を定量した。
〔塩素含有量の定量〕
結着剤または加熱によって負極用ペーストから溶剤を留去した負極合材または作製した負極からかき取った負極合材に対して塩素分析装置(三菱化学アナリテック社製 TOX−2100H)を用いて燃焼-電量滴定を行い、含まれる塩素を定量した。
〔電池特性の評価〕
正極(リチウム極)に対し、0.1Cに相当する電流で20mVまで充電した。充電に要した電流量と放電はリチウム極に対して0.1Cに相当する電流で1.5Vまで行い、初回放電容量を測定した。放電容量は、カットオフ電流が1.5Vの時の容量とした。このようにして、得られた初回充電容量、初回放電容量より初期効率を以下の式により求めた。
初期効率(%)={(初回放電容量(mAh/g)/初回充電容量(mAh/g))×100
また、この充放電測定を50回行い、50回目の放電容量を、サイクル容量(50サイクル)とした。
正極(リチウム極)に対し、0.1Cに相当する電流で20mVまで充電した。充電に要した電流量と放電はリチウム極に対して0.1Cに相当する電流で1.5Vまで行い、初回放電容量を測定した。放電容量は、カットオフ電流が1.5Vの時の容量とした。このようにして、得られた初回充電容量、初回放電容量より初期効率を以下の式により求めた。
初期効率(%)={(初回放電容量(mAh/g)/初回充電容量(mAh/g))×100
また、この充放電測定を50回行い、50回目の放電容量を、サイクル容量(50サイクル)とした。
[実施例1−1]
〔負極材料の作製〕
高周波熱プラズマ法により合成され、徐酸化処理した珪素粒子の、表面の珪素酸化物を、水素40体積%の窒素雰囲気、還元温度700℃の条件で還元し、酸化被膜のない珪素粒子を得た。引き続き、メタン:窒素=1:1を原料ガスとして、処理温度1000℃の条件で、珪素粒子の表面を熱分解で被覆した。このようにして得られた負極材料を走査型電子顕微鏡で観察し、得られた画像を画像解析式粒度分布測定ソフトウェア(株式会社マウンテック製、Mac−VIEW)を用いて、平均粒径を算出した。また、透過型電子顕微鏡により、珪素粒子の表面に形成された被覆層の厚みを測定した。結果として、平均粒径が15nmの珪素粒子の表面が5nmの炭素からなる被覆層で被覆された珪素粒子を得た。
〔負極材料の作製〕
高周波熱プラズマ法により合成され、徐酸化処理した珪素粒子の、表面の珪素酸化物を、水素40体積%の窒素雰囲気、還元温度700℃の条件で還元し、酸化被膜のない珪素粒子を得た。引き続き、メタン:窒素=1:1を原料ガスとして、処理温度1000℃の条件で、珪素粒子の表面を熱分解で被覆した。このようにして得られた負極材料を走査型電子顕微鏡で観察し、得られた画像を画像解析式粒度分布測定ソフトウェア(株式会社マウンテック製、Mac−VIEW)を用いて、平均粒径を算出した。また、透過型電子顕微鏡により、珪素粒子の表面に形成された被覆層の厚みを測定した。結果として、平均粒径が15nmの珪素粒子の表面が5nmの炭素からなる被覆層で被覆された珪素粒子を得た。
〔ポリアクリル酸水溶液の作製〕
セパラブルフラスコにポリアクリル酸粉末(シグマアルドリッチ社、製品番号181285)10質量部と水90質量部を仕込み、撹拌羽とオイルバスを用いて、50rpm、60℃、2h撹拌溶解し、ポリアクリル酸水溶液を得た。
セパラブルフラスコにポリアクリル酸粉末(シグマアルドリッチ社、製品番号181285)10質量部と水90質量部を仕込み、撹拌羽とオイルバスを用いて、50rpm、60℃、2h撹拌溶解し、ポリアクリル酸水溶液を得た。
〔負極の作製〕
得られた負極材料80質量部と、濃度10%のポリアクリル酸水溶液150質量部と、導電助剤としてアセチレンブラック5質量部と、架橋剤としてメラミン樹脂N2,N2,N4,N4,N6,N6−hexakis(methoxymethyl)−1,3,5−triazine−2,4,6−triamine(三和ケミカル社、MW−100LM) 1.5質量部、適量の水を加えて撹拌した後、スラリー状のペーストを得た。得られたペーストを、電解銅箔上にドクターブレードを用いて塗布し、80℃で30分間乾燥させ、ロールプレス機によりプレスして電極とした。さらに、この電極の塗布部を直径16mmの円形に打ち抜き、150℃、2時間の真空乾燥を行うことで熱架橋させ、負極を作製した。
得られた負極材料80質量部と、濃度10%のポリアクリル酸水溶液150質量部と、導電助剤としてアセチレンブラック5質量部と、架橋剤としてメラミン樹脂N2,N2,N4,N4,N6,N6−hexakis(methoxymethyl)−1,3,5−triazine−2,4,6−triamine(三和ケミカル社、MW−100LM) 1.5質量部、適量の水を加えて撹拌した後、スラリー状のペーストを得た。得られたペーストを、電解銅箔上にドクターブレードを用いて塗布し、80℃で30分間乾燥させ、ロールプレス機によりプレスして電極とした。さらに、この電極の塗布部を直径16mmの円形に打ち抜き、150℃、2時間の真空乾燥を行うことで熱架橋させ、負極を作製した。
〔コイン型リチウムイオン二次電池の作製〕
作製した負極とともに、対極として金属リチウムからなる正極を用いた。電解液としては、エチレンカーボネート:ジメチルカーボネート=7:3(体積比率)の混合溶媒に1MのLiPF6、溶媒に対して3質量%のフルオロエチレンカーボネートを加えた電解液を用いた。また、セパレーターは、直径17mmに切り出したセルガード#2400(セルガード社製)を用い、コイン型リチウムイオン二次電池を作製した。負極の構成および電池特性の評価結果を表1に示す。
作製した負極とともに、対極として金属リチウムからなる正極を用いた。電解液としては、エチレンカーボネート:ジメチルカーボネート=7:3(体積比率)の混合溶媒に1MのLiPF6、溶媒に対して3質量%のフルオロエチレンカーボネートを加えた電解液を用いた。また、セパレーターは、直径17mmに切り出したセルガード#2400(セルガード社製)を用い、コイン型リチウムイオン二次電池を作製した。負極の構成および電池特性の評価結果を表1に示す。
[実施例2−1]
架橋剤の種類をエチレングリコールジグリシジルエーテル1,2−bis(oxiran−2−ylmethoxy)ethane(ナガセケムテックス株式会社製、EX−810)、添加量を2.3質量部に変えた以外は、実施例1−1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。負極の構成および電池特性の評価結果を表1に示す。
架橋剤の種類をエチレングリコールジグリシジルエーテル1,2−bis(oxiran−2−ylmethoxy)ethane(ナガセケムテックス株式会社製、EX−810)、添加量を2.3質量部に変えた以外は、実施例1−1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。負極の構成および電池特性の評価結果を表1に示す。
[実施例2−2]
エチレングリコールジグリシジルエーテル1,2−bis(oxiran−2−ylmethoxy)ethaneの添加量を11.7質量部に変えた以外は実施例2−1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。負極の構成および電池特性の評価結果を表1に示す。
エチレングリコールジグリシジルエーテル1,2−bis(oxiran−2−ylmethoxy)ethaneの添加量を11.7質量部に変えた以外は実施例2−1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。負極の構成および電池特性の評価結果を表1に示す。
[実施例2−3]
エチレングリコールジグリシジルエーテル1,2−bis(oxiran−2−ylmethoxy)ethaneの添加量を21.0質量部に変えた以外は実施例2−1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。負極の構成および電池特性の評価結果を表1に示す。
エチレングリコールジグリシジルエーテル1,2−bis(oxiran−2−ylmethoxy)ethaneの添加量を21.0質量部に変えた以外は実施例2−1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。負極の構成および電池特性の評価結果を表1に示す。
[実施例2−4]
添加剤の種類をエチレングリコールジグリシジルエーテル1,3−bis(oxiran−2−ylmethoxy)propane、添加量を9.5質量部に変えた以外は実施例1−1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。負極の構成および電池特性の評価結果を表1に示す。
添加剤の種類をエチレングリコールジグリシジルエーテル1,3−bis(oxiran−2−ylmethoxy)propane、添加量を9.5質量部に変えた以外は実施例1−1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。負極の構成および電池特性の評価結果を表1に示す。
[実施例2−5]
架橋剤の添加量を17.1質量部に変えた以外は、実施例2−1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。負極の構成および電池特性の評価結果を表1に示す。
架橋剤の添加量を17.1質量部に変えた以外は、実施例2−1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。負極の構成および電池特性の評価結果を表1に示す。
[比較例1]
架橋剤を加えなかったこと以外は、実施例1−1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。負極の構成および電池特性の評価結果を表1に示す。
架橋剤を加えなかったこと以外は、実施例1−1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。負極の構成および電池特性の評価結果を表1に示す。
Claims (9)
- 側鎖にカルボキシル基を有する樹脂に、下記一般式(1)で表されるメラミン誘導体および下記一般式(3)で表されるエポキシ化合物からなる群より選択される架橋剤を反応させることを特徴とするリチウムイオン二次電池電極用結着剤。
- 前記側鎖にカルボキシル基を有する樹脂が、側鎖にカルボキシル基を有するポリオレフィンである、請求項1に記載のリチウムイオン二次電池電極用結着剤。
- 前記側鎖にカルボキシル基を有するポリオレフィンが、ポリアクリル酸である、請求項2に記載のリチウムイオン二次電池電極用結着剤。
- 前記側鎖にカルボキシル基を有する樹脂を99〜50重量%、前記架橋剤を1〜50重量%を反応させる、請求項1〜請求項5のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池電極用結着剤。
- 結着剤中の塩素含有量が0.20wt%以下である、請求項1〜6のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池電極用結着剤。
- 請求項1〜請求項7のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池電極用結着剤とケイ素原子、スズ原子またはゲルマニウム原子を含むリチウムイオン二次電池負極活物質とを含有するリチウムイオン二次電池負極用ペースト。
- 請求項8に記載のリチウムイオン二次電池負極用ペーストを金属箔上に塗布した後、前記樹脂と前記架橋剤を架橋させることを特徴とするリチウムイオン二次電池負極の製造方法。
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CN112640166A (zh) * | 2018-08-10 | 2021-04-09 | 株式会社丰田自动织机 | 负极和负极的制造方法以及电极用粘结剂 |
CN113363487A (zh) * | 2021-05-31 | 2021-09-07 | 福州大学 | 一种锂离子电池硅碳负极材料的复合粘结剂及其制备方法及和应用 |
-
2014
- 2014-09-29 JP JP2014198079A patent/JP2016029631A/ja active Pending
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CN112640166B (zh) * | 2018-08-10 | 2023-10-27 | 株式会社丰田自动织机 | 负极和负极的制造方法以及电极用粘结剂 |
CN113363487A (zh) * | 2021-05-31 | 2021-09-07 | 福州大学 | 一种锂离子电池硅碳负极材料的复合粘结剂及其制备方法及和应用 |
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