JP2016027793A - ファイブラスケーシング用紙素材、その製造方法、ファイブラスケーシング及びその製造方法 - Google Patents

ファイブラスケーシング用紙素材、その製造方法、ファイブラスケーシング及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】食品に対する良好な剥離性、食品改質剤の均一転写性、及び紙層と合成樹脂層との間の高い接着性を有するファイブラスケーシング、並びにこのようなファイブラスケーシングを形成することができるファイブラスケーシング用紙素材及びその製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明のファイブラスケーシング用紙素材は、食品の加熱処理の際の食品包装材として用いられるファイブラスケーシング用の紙素材であって、パルプを主成分として形成され、一方の面が艶面、他方の面が非艶面であることを特徴とする。本発明のファイブラスケーシングは、最内層として配置され、紙素材から形成される紙層と、この紙層の外面に積層される合成樹脂層とを備え、上記紙素材が、当該ファイブラスケーシング用紙素材であり、上記紙素材の内面が艶面であり、外面が非艶面であることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、ファイブラスケーシング用紙素材、その製造方法、及びファイブラスケーシングに関する。
従来、ハム、ソーセージ等の畜肉加工品を包装するためのファイブラスケーシングが知られている。このようなファイブラスケーシングとしては、パルプを主成分とする内層と、この内層の外面側に積層される外層とを備えるものが公知である。このような内層及び外層を有するファイブラスケーシングは、くん液、調味料、色素、保存剤等の食品改質剤を内層に含有させ、加熱調理時等にこれらの成分を内容物に転写することができる。
かかる内層及び外層を有するファイブラスケーシングとしては、例えば紙(内層)及びヒートシール可能な不織布(外層)を積層してなる包装材が発案されている(特開平6−312494号公報参照)。この包装材は、紙と不織布とを積層させた上、両者の界面にビスコース液を染みこませることで両者を貼り合わせて形成される。このような包装材は、ビスコース液によって紙と不織布とを貼り合わせることができると共に、このビスコース液によって紙がコーティングされることで紙と内容物との剥離性が向上されている。
しかしながら、このような従来のファイブラスケーシングは、上述のようにビスコース液を用いているため、コストが嵩み、また製造工程も複雑になる。
この点、コストを抑え、製造工程を簡素化するためにビスコース液を用いないことも考えられる。しかしながら、従来のファイブラスケーシングにあっては、上記紙として、ビニロンを添加したレーヨン紙や化繊混抄紙が使用されている。それゆえ、これらの紙にビスコースコーティングがなされない場合、上記レーヨン紙については加熱時にビニロンが溶出して内容物に付着するおそれがある。また、上記化繊混抄紙についてはバインダー繊維が加熱時に溶出して内容物に付着するおそれがある。さらに、内層に紙を用いた場合、食品改質剤の食品への転写にムラが生じやすい、内層(紙層)と外層(合成樹脂層)との接着性が低く、使用時に層間で剥離が生じうるという不都合もある。
特開平6−312494号公報
本発明は、このような不都合に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、食品に対する良好な剥離性、食品改質剤の均一転写性、及び紙層と合成樹脂層との間の高い接着性を有するファイブラスケーシングを提供することにある。また、本発明の別の目的は、このようなファイブラスケーシングを形成することができるファイブラスケーシング用紙素材及びその製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するためになされた本発明に係るファイブラスケーシング用紙素材は、食品の加熱処理の際の食品包装材として用いられるファイブラスケーシング用の紙素材であって、パルプを主成分として形成され、一方の面が艶面、他方の面が非艶面であることを特徴とする。
当該ファイブラスケーシング用紙素材は、パルプを主成分とすると共に、一方の面が艶面とされるので、内容物(食品)に対するパルプの付着が抑制され、内容物との剥離性が向上される。さらに、当該ファイブラスケーシング用紙素材は、他方の面が非艶面とされるので、他方の面をシュリンクフィルム(合成樹脂層)等に積層する場合の接着性が向上される。
ブリストー法による接触時間20秒間での上記艶面の吸水量が20ml/m以上40ml/m以下、上記非艶面の吸水量が10ml/m以上35ml/m以下であり、ブリストー法による接触時間20秒間での艶面の吸水量が非艶面の吸水量よりも大きいとよい。これにより、食品改質剤等を十分に含浸させ、この食品改質剤等を好適に転写することができると共に、内容物との剥離性がさらに向上される。
上記艶面の算術平均粗さRaが0.5μm以上3μm以下、上記非艶面の算術平均粗さRaが3μm以上6μm以下であるとよい。これにより、艶面における内容物に対する剥離性及び非艶面におけるシュリンクフィルム等に対する接着性が好適に高められる。
上記艶面の繊維配向角の絶対値が0°以上3°以下、上記非艶面の繊維配向角の絶対値が0.5°以上4°以下であり、上記艶面の繊維配向角の絶対値が上記非艶面の繊維配向角の絶対値よりも小さいとよい。これにより、艶面における繊維の配向が緻密かつ均一化され、食品改質剤等の浸透を均一化し転写ムラをさらに抑制することができると共に、内容物との剥離性をさらに高めることができる。また、非艶面におけるアンカー効果によってシュリンクフィルム等に対する積層性を好適に高めることができる。
また、上記課題を解決するためになされた本発明に係るファイブラスケーシング用紙素材の製造方法は、食品の加熱処理の際の食品包装材として用いられるファイブラスケーシング用の紙素材の製造方法であって、パルプスラリーを脱水する工程と、上記パルプスラリーを脱水して得られるパルプの一方の面側をヤンキードライヤーによって乾燥する工程とを備え、上記ヤンキードライヤーとの接触面が艶面として形成され、上記ヤンキードライヤーとの非接触面が非艶面として形成される。
当該ファイブラスケーシング用紙素材の製造方法は、上記構成を有する当該ファイブラスケーシング用紙素材を好適に製造することができる。
また、上記課題を解決するためになされた本発明に係るファイブラスケーシングは、食品の加熱処理の際の食品包装材として用いられるファイブラスケーシングであって、最内層として配置され、紙素材から形成される紙層と、この紙層の外面に積層される合成樹脂層とを備え、上記紙素材が、当該ファイブラスケーシング用紙素材であり、上記紙素材の内面が艶面であり、外面が非艶面であることを特徴とする。
当該ファイブラスケーシングにおいては、包装される食品に接する紙層は当該ファイブラスケーシング用紙素材で形成されている。また、この紙素材(紙層)の内面が艶面である。このため、食品(内容物)に対するパルプの付着が抑制され、食品との剥離性が向上される。また、食品と接する面が艶面であるため、食品改質剤をムラなく、均一的に食品に転写することができる。一方、合成樹脂層と接する紙層を形成する紙素材の外面が非艶面であるため、アンカー効果により紙層と合成樹脂層との接着性が高い。
上記合成樹脂層が、酸素バリア性を有する酸素バリア性樹脂層、及び水蒸気バリア性を有する水蒸気バリア性樹脂層を含むことが好ましい。このように、合成樹脂層が酸素バリア性樹脂層及び水蒸気バリア性樹脂層を含むことにより、食品の加熱調理や、この際の食品への食品改質剤の転写を効果的に行うことができる。上記酸素バリア性樹脂層を形成する樹脂としてはナイロンが好ましい。上記水蒸気バリア性樹脂層を形成する樹脂としてはポリエチレンが好ましい。
上記合成樹脂層の最内層が上記水蒸気バリア性樹脂層であるとよい。この場合、上記合成樹脂層の上記紙層外面への積層が、上記合成樹脂層の最内層としての水蒸気バリア性樹脂層を形成するポリエチレンの押出ラミネートにより行われていることが好ましい。このように、熱可塑性樹脂であるポリエチレンを用いた押出ラミネートにより紙層に合成樹脂層を積層することで、ポリエチレンの一部が紙層を形成する紙素材へ効率的に含浸し、接着性をより高めることなどができる。
上記紙層が、上記紙素材に含浸している食品改質剤を含み、上記食品改質剤が、色素、香料又はこれらの組み合わせを含むことが好ましい。このような食品改質剤を紙素材に含浸させておくことで、加熱処理の際の食品への色や風味の付与を行うことができる。
なお、「ファイブラスケーシング」とは、畜肉加工品等の食品を包装した状態で燻煙処理等の加熱処理が行われることで、この紙素材に含浸されるくん液、調味料、色素、保存剤等の食品改質剤を食品に転写可能なケーシングを意味する。主成分とは、各成分の中で最も多い成分をいう。「艶面」とは、光沢を有し、かつ算術平均粗さRaが3μm以下である面をいう。「非艶面」とは、光沢性を有さず、かつ算術平均粗さRaが3μm以上である面をいう。「算術平均粗さRa」とは、JIS−B−0601(2001)に準拠して、カットオフλc2.5mm、評価長さ12.5mmで測定した値を意味する。「繊維配向角」とは、平均的な繊維の並び方向を意味し、抄紙機の走行方向を0°として計算した値を意味する。「酸素バリア性を有する」とは、20℃、90%RHにおける酸素透過度が100cc/m・24hr・atm以下であることをいう。「水蒸気バリア性を有する」とは、40℃、90%RHにおける水蒸気透過度が50g/m・24hr以下であることをいう。
以上説明したように、本発明のファイブラスケーシングは、食品に対する良好な剥離性、食品改質剤の均一転写性、及び紙層と合成樹脂層との間の高い接着性を有する。また、本発明のファイブラスケーシング用紙素材は、このようなファイブラスケーシングを形成することができる。
本発明の一実施形態に係るファイブラスケーシングの断面図である。
以下に、適宜図面を参照にしつつ、本発明のファイブラスケーシング用紙素材、その製造方法及びファイブラスケーシングの実施の形態を詳説する。
<ファイブラスケーシング用紙素材>
当該ファイブラスケーシング用紙素材(以下、「紙素材」ともいう。)は、食品の加熱処理の際の食品包装材として用いられるファイブラスケーシング用の紙素材であって、パルプ(好ましくは、天然パルプ)を主成分として形成され、一方の面が艶面、他方の面が非艶面であることを特徴とする。本発明の一実施の形態としてのファイブラスケーシング用紙素材が備わるファイブラスケーシングを図1に示す。図1のファイブラスケーシング1は、最内層として配置される紙層2と、この紙層2の外面に積層される合成樹脂層3とを備える。ファイブラスケーシング1は、食品の加熱処理の際に、この食品の包装材として用いられる。紙層2が当該紙素材から形成されている。
紙素材中のパルプ(好ましくは、天然パルプ)の含有量としては、通常50質量%以上であり、90質量%以上が好ましく、95質量%以上であることがさらに好ましい。また、この紙素材(紙層2)の内面2aが艶面であり、外面2bが非艶面である。
紙素材は、通常、天然パルプを含むパルプスラリーを抄紙して得られる。
上記天然パルプとしては、特に限定されず、例えば古紙パルプ、化学パルプ、機械パルプや、サイザル麻、マニラ麻、サトウキビ、コットン、シルク、竹、ケナフから得られるパルプ等が挙げられる。なかでも上記天然パルプとしては、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)が好ましい。当該ファイブラスケーシング用紙素材は、上記天然パルプとして針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)を用いることによって、強度が高められると共に、繊維径が大きく、長繊維のため、紙素材の空隙が大きくなり、食品改質剤等を十分に含浸させることができる。
また、上記天然パルプとしては、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)と、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)をマーセル化処理したマーセル化パルプとを併用することも好ましい。上記マーセル化パルプを針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)と併用することによって、紙素材の低密度化を促進することができ、食品改質剤等をさらに好適に含浸させることができる。また、上記針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)と上記マーセル化パルプとの質量基準の含有比の下限としては、4:1が好ましく、14:3がより好ましい。一方、上記針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)と上記マーセル化パルプとの質量基準の含有比の上限としては、9:1が好ましく、18:3がより好ましい。上記針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)と上記マーセル化パルプとの質量基準の含有比が上記範囲内であることによって、強度を高めつつ、食品改質剤等の吸液性、保液性及び離液性を好適に向上させることができる。
上記紙素材を形成する全繊維成分に対する上記天然パルプの含有量の下限としては、例えば50質量%であり、70質量%が好ましく、90質量%がより好ましく、95質量%がさらに好ましく、97質量%がさらに好ましく、100質量%が特に好ましい。上記紙素材は、全繊維成分に対する天然パルプ成分の含有量が上記範囲であることによって、食品改質剤等の転写ムラを抑制することができる。
上記天然パルプのフリーネスの下限としては、350mlが好ましく、400mlがより好ましく、430mlがさらに好ましい。一方、上記天然パルプのフリーネスの上限としては、550mlが好ましく、500mlがより好ましく、460mlがさらに好ましい。上記天然パルプのフリーネスが上記下限未満の場合、密度が高くなり過ぎて吸液性、離液性等が低下するおそれがある。逆に、上記天然パルプのフリーネスが上記上限を超える場合、透気度が低下して保温性及び断熱性が低下するおそれがある。なお、「フリーネス」とは、JIS−P−8121(2012)に準拠した値である。
紙素材を構成する繊維成分中の天然パルプ以外の繊維成分としては、レーヨン繊維、ポリオレフィン繊維、ポリエステル繊維、その他の合成樹脂繊維等を挙げることができる。これらは、一種又は二種以上を混合して用いることができる。
上記紙素材は、添加剤として、紙力増強剤が含有されるのが好ましい。上記紙力増強剤としては、湿潤紙力増強剤及び乾燥紙力増強剤が挙げられる。
上記湿潤紙力増強剤としては、例えばポリアミド・エピクロルヒドリン樹脂、尿素樹脂、酸コロイド・メラミン樹脂、熱架橋性付与PAM等が挙げられる。全パルプ成分又は全繊維成分100質量部に対する上記湿潤紙力増強剤の含有量(固形分換算)の下限としては、0.5質量部が好ましく、1.5質量部がより好ましく、2質量部がさらに好ましい。一方、全パルプ成分又は全繊維成分100質量部に対する上記湿潤紙力増強剤の含有量(固形分換算)の上限としては、6質量部が好ましく、5.5質量部がより好ましく、5質量部がさらに好ましい。上記湿潤紙力剤の含有量が上記下限未満の場合、内容物との剥離性が十分に向上されないおそれがある。逆に、上記湿潤紙力剤の含有量が上記上限を超える場合、吸液性が低下するおそれがある。
上記乾燥紙力増強剤としては、例えばカチオン澱粉、両性澱粉、ポリアクリルアミド(PAM)、カルボキシメチルセルロース(CMC)等が挙げられる。全パルプ成分又は全繊維成分100質量部に対する上記乾燥紙力増強剤の含有量(固形分換算)の下限としては、0.2質量部が好ましく、0.5質量部がより好ましく、1質量部がさらに好ましい。一方、全パルプ成分又は全繊維成分100質量部に対する上記乾燥紙力増強剤の含有量(固形分換算)の上限としては、5.5質量部が好ましく、5質量部がより好ましく、4.5質量部がさらに好ましい。上記乾燥紙力増強剤の含有量が上記下限未満の場合、内容物(食品)との剥離性が十分に向上されないおそれがある。逆に、上記乾燥紙力増強剤の含有量が上記上限を超える場合、吸液性が低下するおそれがある。
また、上記紙素材は、添加剤として、サイズ剤が含有されているのが好ましい。上記紙素材は、サイズ剤が含有されることで、保温性、断熱性等を向上することができる。上記サイズ剤としては、例えばロジン系サイズ剤、アルキルケテンダイマー(AKD)、アルケニル無水コハク酸(ASA)、各種エマルジョンサイズ剤、澱粉等が挙げられる。これらの中でも、耐水性の付与効果が大きく、上記紙素材の一方の面を艶面に形成する場合の艶面の平滑性を向上することができるロジン系サイズ剤が好ましい。
上記ロジン系サイズ剤としては、例えば変性ロジン、強化ロジン、鹸化型ロジン、乳化型ロジン等が挙げられる。これらの中でも、十分なサイズ効果を有し、パルプスラリーへの希釈性が良好な鹸化型ロジンがより好ましい。
全パルプ成分又は全繊維成分100質量部に対する上記サイズ剤の含有量(固形分換算)の下限としては、1質量部が好ましく、1.5質量部がより好ましく、1.7質量部がさらに好ましい。一方、全パルプ成分又は全繊維成分100質量部に対する上記サイズ剤の含有量(固形分換算)の上限としては、3質量部が好ましく、2.5質量部がより好ましく、2.3質量部がさらに好ましい。上記サイズ剤の含有量が上記下限未満の場合、保温性、断熱性が十分に向上されないおそれがある。逆に、上記サイズ剤の含有量が上記上限を超える場合、紙素材の表面性が低下して操業性が低下するおそれがある。
上記紙素材は、本発明の目的を損なわない範囲で他の添加剤を含有してもよい。このような他の添加剤としては、例えば上記以外の紙力剤;タルク、炭酸カルシウム、カオリン、二酸化チタン、水和ケイ素、水和ケイ酸(ホワイトカーボン)、尿素−ホルマリンポリマー微粒子、再生粒子、シリカ複合再生粒子等の填料;硫酸バンド、ポリエチレンイミン等の凝結剤;ポリアクリルアミドやその共重合体等の凝集剤;電荷調整剤;消泡剤;分散剤等が挙げられる。
上記紙素材は、一方の面が艶面とされ、かつ他方の面が非艶面とされた片艶紙として形成される。
ブリストー法による接触時間20秒間での上記艶面の吸水量の下限としては、20ml/mが好ましく、22ml/mがより好ましく、25ml/mがさらに好ましい。一方、ブリストー法による接触時間20秒間での上記艶面の吸水量の上限としては、40ml/mが好ましく、38ml/mがより好ましく、35ml/mがさらに好ましい。また、ブリストー法による接触時間20秒間での上記非艶面の吸水量の下限としては、10ml/mが好ましく、12ml/mがより好ましく、15ml/mがさらに好ましい。一方、ブリストー法による接触時間20秒間での上記非艶面の吸水量の上限としては、35ml/mが好ましく、33ml/mがより好ましく、30ml/mがさらに好ましい。さらに、ブリストー法による接触時間20秒間での艶面の吸水量が非艶面の吸水量よりも大きいことが好ましい。上記紙素材は、ブリストー法による接触時間20秒間での上記艶面及び非艶面の吸水量が上記範囲であることによって、食品改質剤等を十分に含浸させ、この食品改質剤等を好適に転写することができると共に、食品との剥離性がさらに向上される。
内面2aである艶面の算術平均粗さRaの下限としては、0.1μmが好ましく、0.2μmがより好ましく、0.5μmがさらに好ましくい。さらにこの艶面の算術平均粗さRaの下限は、1μmが好ましく、1.5μmがさらに好ましい。一方、内面2aである艶面の算術平均粗さRaの上限としては、3μmであり、2.5μmが好ましく、2μmがより好ましく、1μmがさらに好ましい。内面2aである艶面の算術平均粗さRaを上記範囲とすることにより、食品に対する剥離性及び食品改質剤の均一転写性を高めることができる。内面2aの算術平均粗さRaが上記上限を超える場合、食品に対してパルプ繊維が付着しやすくなり、剥離性が低下する。また、食品に対する食品改質剤の転写にムラが生じやすくなる。内面2aの算術平均粗さRaが上記下限未満の場合は、含浸させた食品改質剤等の放出性が低下する傾向にある。
外面2bである非艶面の算術平均粗さRaの下限としては、3μmであり、3.5μmが好ましく、4μmがより好ましい。一方、外面2bである非艶面の算術平均粗さRaの上限としては、10μmが好ましく、8μmがより好ましく、6.5μmがさらに好ましく、6μmがさらに好ましく、5.5μmがさらに好ましく、5μmが特に好ましい。外面2bである非艶面の算術平均粗さRaを上記範囲とすることで、合成樹脂層3との接着性を良好なものとすることができる。外面2bの算術平均粗さRaが上記下限未満の場合は、合成樹脂層3を形成する合成樹脂が含浸し難く、十分なアンカー効果を発揮できない結果、接着性が低下する傾向にある。逆に、外面2bの算術平均粗さRaが上記上限を超える場合は、合成樹脂層3側にまで食品改質剤が深く含浸し、食品改質剤の放出性が低下する傾向にある。
上記艶面の繊維配向角の絶対値の下限としては0°が好ましい。一方、上記艶面の繊維配向角の絶対値の上限としては、3°が好ましく、2.5°がより好ましく、2°がさらに好ましい。また、上記非艶面の繊維配向角の絶対値の下限としては、0.5°が好ましく、1°がより好ましく、1.5°がさらに好ましい。一方、上記非艶面の繊維配向角の絶対値の上限としては、4°が好ましい。さらに、上記艶面の繊維配向角の絶対値が上記非艶面の繊維配向角の絶対値よりも小さいことが好ましい。上記紙素材は、上記艶面(内面2a)の繊維配向角及び上記非艶面(外面2b)の繊維配向角が上記範囲であることによって、上記艶面における繊維の配向が緻密かつ均一化され、食品に対する剥離性が高まると共に、上記非艶面における合成樹脂層3との密着性を高めることができる。
また、上記紙素材は、ビスコースを含まないのが好ましい。上記紙素材は、上述のように全パルプ成分に対する天然パルプの含有量が上記範囲とされるので、ビスコースを含まない場合であっても内容物に対するパルプの付着が抑制され、内容物との剥離性が向上される。さらに、上記紙素材は、ビスコースを含まないことによってコストを削減することができると共に、製造工程の容易化を促進することができる。
上記紙素材の坪量の下限としては、14g/mが好ましく、15g/mがより好ましく、16g/mがさらに好ましい。一方、上記紙素材の坪量の上限としては、30g/mが好ましく、28g/mがより好ましく、25g/mがさらに好ましい。上記坪量が上記下限未満の場合、上記紙素材の強度が低下して破れやすくなるおそれがある。逆に、上記坪量が上記上限を超える場合、上記紙素材の剛度が高くなるため、内容物の形状に沿って変形しにくくなるおそれがある。なお、「坪量」とは、JIS−P−8124(2011)に準拠した値である。
上記紙素材の密度の下限としては、0.25g/cmが好ましく、0.3g/cmがより好ましい。一方、上記紙素材の密度の上限としては、0.6g/cmが好ましく、0.55g/cmがより好ましい。上記密度が上記下限未満の場合、上記紙素材の強度が低下して破れやすくなると共に、保温性及び断熱性が低下するおそれがある。逆に、上記密度が上記上限を超える場合、上記紙素材の剛度が高くなるため、内容物の形状に沿って変形しにくくなるおそれがある。なお、「密度」とは、JIS−P−8118(2012)に準拠した値である。
上記紙素材の縦方向の湿潤引張強度の下限としては、0.20kN/mが好ましく、0.25kN/mがより好ましく、0.30kN/mがさらに好ましい。上記縦方向の湿潤引張強度が上記下限未満の場合、内容物との剥離性が十分に向上されないおそれがある。
上記紙素材の紙厚の下限としては、30μmが好ましく、35μmがより好ましく、38μmがさらに好ましい。一方、上記紙素材の紙厚の上限としては、75μmが好ましく、70μmがより好ましく、68μmがさらに好ましい。上記紙厚が上記下限未満の場合、吸液性及び保液性が低下するおそれがある。逆に、上記紙厚が上記上限を超える場合、離液性が低下するおそれがある。
<ファイブラスケーシング用紙素材の製造方法>
上記紙素材の製造方法は、パルプスラリーを脱水(抄紙)する工程と、上記パルプスラリーを脱水して得られるパルプ(抄紙したパルプ)の一方の面側をヤンキードライヤーによって乾燥する工程とを備える。上記紙素材の製造方法によって得られる紙素材は、上記ヤンキードライヤーとの接触面が艶面として形成され、上記ヤンキードライヤーとの非接触面が非艶面として形成される。上記製造方法によれば、上記紙素材を好適に製造することができる。
詳細には、上記紙素材の製造方法としては、パルプスラリーに、必要に応じて各種添加剤を添加したスラリーを、ワイヤーパート、プレスパート、ヤンキードライヤー、カレンダーパート等を備えた通常の抄紙機で抄紙する方法が挙げられる。また、上記抄紙機としては、例えば長網式抄紙機、オントップ式抄紙機、ツインワイヤー式抄紙機、円網式抄紙機、短網式抄紙機等の通常の湿式抄紙機を使用することができる。なかでも、繊維配向角の調整が容易で縦方向の紙力強度を高めることができる円網抄紙機が好ましい。
<ファイブラスケーシング>
図1のファイブラスケーシング1は、上述のように、紙層2と、この紙層2の外面に積層される合成樹脂層3とを備える。ファイブラスケーシング1は、食品の加熱処理の際に、この食品の包装材として用いられる。ファイブラスケーシング1においては、包装される食品に接する紙層2が当該紙素材で形成されている。また、この紙素材(紙層2)の内面2aが艶面である。このため、食品(内容物)に対するパルプの付着が抑制され、食品との剥離性が向上される。また、食品と接する内面2aが艶面であるため、食品改質剤をムラなく、均一的に食品に転写することができる。一方、合成樹脂層3と接する紙層2を形成する紙素材の外面2bが非艶面であるため、アンカー効果により紙層2と合成樹脂層3との接着性が高い。
紙層2は、上記紙素材に含浸している食品改質剤を含む。上記食品改質剤は、食品に色、香り、風味等を付与する。上記食品改質剤としては、色素、香料、保存剤、調味料等を挙げることができる。これらは、1種又は2種以上を混合して用いることができる。上記色素としては、カラメル、クチナシ等を挙げることができる。上記香料としては、くん液等を挙げることができる。
合成樹脂層3は、酸素バリア性樹脂層4、酸素バリア性樹脂層4の内面に積層される第1の水蒸気バリア性樹脂層5、及び酸素バリア性樹脂層4の外面に積層される第2の水蒸気バリア性樹脂層6を有する三層構造である。合成樹脂層3が、酸素バリア性樹脂層4を有することにより、食品の加熱調理や、この際の食品への食品改質剤の転写を効果的に行うことができる。また、合成樹脂層3が、第1の水蒸気バリア性樹脂層5及び第2の水蒸気バリア性樹脂層6を有することにより、食品の加熱調理や、この際の食品への食品改質剤の転写を効果的に行うことができる。また、これらの層を備えることで、食品の保存性等も高まる。
酸素バリア性樹脂層4を形成する樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン、ポリエステル、ポリアミド、ナイロン(6−ナイロン、6,6−ナイロン等)などの熱可塑性樹脂を挙げることができる。これらの中でも良好な酸素バリア性を発揮すること、良好な熱収縮性等を発揮することができることなどの点からナイロンが好ましい。ナイロンの融点としては特に制限されないが、215℃以上225℃以下のものを好適に用いることができる。
酸素バリア性樹脂層4の20℃、90%RHにおける酸素透過度の上限としては、100cc/m・24hr・atmが好ましく、50cc/m・24hr・atmがより好ましい。一方、この下限としては、限りなく0cc/m・24hr・atmに近似した数値にするのが良く、例えば1.0cc/m・24hr・atmとすることができる。酸素バリア性樹脂層4の酸素透過度が上記範囲内であることで、良好な食品保存性等を発揮することができる。
酸素バリア性樹脂層4は、通常、上記樹脂から形成されたフィルムを延伸してなる熱収縮性フィルム(シュリンクフィルム)が用いられる。この酸素バリア性樹脂層4(シュリンクフィルム)の熱収縮温度としては、特に限定されないが、例えば70℃以上90℃以下である。熱収縮温度が上記範囲であることで、加熱調理する際に良好な収縮を生じさせることができる。
酸素バリア性樹脂層4の平均厚さとしては特に限定されないが、例えば15μm以上50μm以下が好ましい。このような平均厚さとすることにより、酸素バリア性等と加工適性等との両立を図ることができる。
第1の水蒸気バリア性樹脂層5及び第2の水蒸気バリア性樹脂層6を形成する樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエステル等の熱可塑性樹脂を挙げることができる。これらの中でも、良好な水蒸気バリア性を発揮することができること、及び加工性などの点から、ポリオレフィンが好ましく、ポリエチレンがより好ましい。ポリエチレンとしては、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)等を挙げることができる。ポリエチレンの融点としては特に制限されないが、105℃以上115℃以下のものを好適に用いることができる。第1の水蒸気バリア性樹脂層5を形成する樹脂と、第2の水蒸気バリア性樹脂層6を形成する樹脂とは、同一種であってもよいし、異なる種類であってもよい。
第1の水蒸気バリア性樹脂層5及び第2の水蒸気バリア性樹脂層6の平均厚さとしては、特に限定されないが、例えばそれぞれ15μm以上50μm以下が好ましい。このような平均厚さとすることにより、水蒸気バリア性等と加工適性等との両立を図ることができる。
第1の水蒸気バリア性樹脂層5及び第2の水蒸気バリア性樹脂層6の形成方法としては特に限定されない。例えば酸素バリア性樹脂層4への塗工により形成してもよいし、単層の水蒸気バリア性樹脂からなるフィルムとして、水蒸気バリア性樹脂層5、6を酸素バリア性樹脂層4に貼り合わせてもよい。また、後述するように、紙層2と接する第1の水蒸気バリア性樹脂層5は、押出ラミネートの際に形成されていてもよい。
合成樹脂層3の平均厚みとしては、特に限定されないが、例えば30μm以上300μm以下とすることができる。
当該ファイブラスケーシング1において、上記合成樹脂層3の最内層である第1の水蒸気バリア層5が、上記紙層2に外面側から含浸していてもよい。このような場合において、上記紙層2の平均厚みに対する上記第1の水蒸気バリア層5(合成樹脂層3の最内層)の含浸部分の平均厚みの下限としては、10%が好ましく、20%がより好ましく、40%がさらに好ましい。一方、この上限としては、90%が好ましく、80%がより好ましく、60%がさらに好ましい。また、この上限は、30%であってもよく、15%であってもよい。上記含浸部分の割合が上記下限未満の場合、紙層2及び合成樹脂層3の接着強度が十分に得られない場合がある。逆に、上記含浸部分の割合が上記上限を超える場合、食品改質剤等を紙層2に十分に含浸することができないおそれがある。
<ファイブラスケーシングの製造方法>
当該ファイブラスケーシング1の製造方法としては、特に限定されないが、ドライラミネートや押出ラミネート等のラミネート加工により効率的に製造することができる。ドライラミネートにより製造する場合、紙層2となる紙素材と、合成樹脂層3となる三層構造のフィルムとを重ね合わせてドライラミネートすることにより行うことができる。押出ラミネートにより製造する場合、紙層2となる紙素材と、酸素バリア性樹脂層4及び外側の第2の水蒸気バリア性樹脂層6なる2層構造のフィルムとを用意し、溶融したポリエチレン等の熱可塑性樹脂(水蒸気バリア性樹脂)を用いた押出ラミネートにより、上記紙素材と上記フィルムとを積層させることができる。この場合、押出ラミネートに用いたポリエチレン等が合成樹脂層3の最内層となる第1の水蒸気バリア性樹脂層5となる。押出ラミネートにより製造することで、印刷適性、製袋適性等の加工適性に優れるファイブラスケーシングを得ることができる。また、押出ラミネートの場合、ドライラミネートと比べて、樹脂成分等の溶出が低減できる。
ラミネート加工の前に、紙素材における合成樹脂層を積層させる面に対してコロナ処理を行うことが好ましい。コロナ処理を行うことにより、表面の濡れ性が高まり、紙層2と合成樹脂層3との接着性を高めることができる。
ラミネート加工後、紙層2を形成する紙素材に食品改質剤を含浸させることにより、ファイブラスケーシング1を得ることができる。食品改質剤の含浸方法としては特に限定されず、塗布や浸漬等により行えばよい。
<他の実施形態>
本発明のファイブラスケーシング用紙素材、その製造方法及びファイブラスケーシングは、上記実施の形態に限定されるものではない。例えば、図1のファイブラスケーシングとは、紙素材(紙層)の表裏が逆、すなわち非艶面が内面になるように紙素材を積層したファイブラスケーシングであってもよい。この場合、内面が非艶面であり外面が艶面なので、食品改質剤の保液性や放出性を高めることができる。
また、ファイブラスケーシングにおける合成樹脂層は、図1の3層構造に限定されるものでは無い。合成樹脂層が酸素バリア性樹脂層又は水蒸気バリア性樹脂層からなる単層であってもよいし、2層又は4層以上の層構造であってもよい。また、合成樹脂層が、複数の酸素バリア性樹脂層又は水蒸気バリア性樹脂層を有する場合、各層の積層順は特に限定されない。但し、酸素バリア機能及び水蒸気バリア機能を共に良好に発揮させるためには、合計で3層以上の酸素バリア性樹脂層及び水蒸気バリア性樹脂層を交互に積層させることが好ましい。
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、本実施例における各測定値は、以下の方法にて測定した値である。
<坪量>
坪量(g/m)は、JIS−P−8124(2011)「紙及び板紙−坪量の測定方法」に準拠して測定した。
<紙厚>
紙厚(μm)は、JIS−P−8118(1998)「紙及び板紙−厚さ及び密度の試験方法」に準拠して測定した。
<引張強度>
引張強度(kN/m)は、JIS−P−8113(2006)に準拠して測定した。
<湿潤引張強度>
湿潤引張強度(kN/m)は、JIS−P−8135(1998)に準拠して測定した。
<繊維配向角>
繊維配向角(°)は、株式会社東洋精機製作所製の光学式配向性試験機にて繊維配向角を測定し、得られた値の絶対値を繊維配向角とした。
<算術平均粗さRa>
算術平均粗さRa(μm)は、JIS−B−0601(2001)に準拠して、カットオフλc2.5mm、評価長さ12.5mmで測定した。
<吸水量(ブリストー法)>
吸水量(ml/m)は、ブリストー法に準拠し、50.0mm/sの速度設定にて、接触時間20秒間での値を測定した。
[実施例1]
針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)85%及びマーセル化パルプ15%のパルプに、湿潤紙力剤をパルプ(絶乾量)に対して固形分換算で3.0質量部を添加してパルプスラリーを調製した。
次いで、このパルプスラリーを、ヤンキードライヤーを備える円網抄紙機で抄紙した実施例1のファイブラスケーシング紙素材を得た。なお、ファイブラスケーシング用紙素材の坪量は18.3g/m、紙厚は40μm、引張強度(縦)は2.1kN/m、引張強度(横)は0.40kN/m、湿潤引張強度は0.50kN/m、繊維配向角(艶面)は1.5°、繊維配向角(非艶面)は3.8°、算術平均粗さRa(艶面)は1.8μm、算術平均粗さ(非艶面)は4.3μm、吸水量(艶面)は25ml/m、吸水量(非艶面)は15ml/mであった。
[実施例2〜16及び比較例1、2]
パルプの種類、添加剤、坪量及び紙厚を表1の通りとし、実施例2〜16及び比較例1、2のファイブラスケーシング用紙素材を得た。
Figure 2016027793
実施例1〜16のファイブラスケーシング用紙素材は、パルプを主成分として形成され、一方の面が艶面とされていることから合成繊維やバインダー繊維が内容物に付着するのが防止され、転写ムラが防止されている。比較例1、2のファイブラスケーシングはこれらの効果を得ることができない。
実施例1〜16の中でも、特に実施例1〜11のファイブラスケーシング用紙素材は、この艶面の吸水量が大きく食品改質剤を十分に含浸することができると共に、艶面の算術平均粗さRa及び繊維配向角の絶対値が一定以下とされ、艶面における繊維が緻密かつ均一に形成されているので、繊維取られを防止しつつ食品改質剤を略均等に含浸させ、かつこの食品改質剤を略均等に転写することができる効果を得ることができる。
これに対し、実施例12、14のファイブラスケーシング用紙素材は、艶面の緻密化が十分ではなく、繊維取られや転写ムラを的確には防止することができないおそれがあると考えられる。特に、比較例1のファイブラスケーシング用紙素材は、緻密化が不十分であり、繊維取られ等が生じやすい。
また、実施例15のファイブラスケーシング用紙素材は、艶面の吸水量が十分ではないため、十分な転写量を確保できないおそれがあると考えられる。さらに、比較例2のファイブラスケーシングは、吸水量が特に低く、転写性が不十分となる。
さらに、実施例13のファイブラスケーシング用紙素材は、艶面の吸水量より非艶面の吸水量の方が大きいため、食品改質剤の転写性にやや劣ると考えられる。実施例16のファイブラスケーシング用紙素材は、一定以上の合成繊維を含んでおり、繊維が極細な合成繊維が内容物に付着するおそれがあり、剥離性にやや劣ると考えられる。
[実施例17]
針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)85%及びマーセル化パルプ15%のパルプに、湿潤紙力剤をパルプ(絶乾量)に対して固形分換算で3質量部を添加してパルプスラリーを調製した。
次いで、このパルプスラリーを、ヤンキードライヤーを備える円網抄紙機で抄紙し、実施例17のファイブラスケーシング用紙素材を得た。なお、ファイブラスケーシング用紙素材の坪量は18.3g/m、紙厚は40μm、算術平均粗さRa(艶面)は1.8μm、算術平均粗さ(非艶面)は4.3μmであった。
[実施例18〜22、比較例3、4]
抄紙及び乾燥条件を調整したこと以外は実施例1と同様の条件にて、表2に記載の紙厚及び表面粗さを有する実施例18〜22の紙素材を得た。また、両面を艶面とした比較例3及び両面を非艶面とした比較例4の各紙素材を得た。
各紙素材の非艶面(比較例3、4は一方の面)をコロナ処理し、この被処理面側に第1の水蒸気バリア性樹脂層としてのポリエチレン層(15μm)、酸素バリア性樹脂層としてのナイロン層(15μm)及び第2の水蒸気バリア性樹脂層としてのポリエチレン層(20μm)の3層構造の合成樹脂層を積層させた。この積層は、第1の水蒸気バリア性樹脂層となるポリエチレンの押出ラミネートにより行った。その後、紙素材(紙層)に食品改質剤としてのくん液(Kerry社の「Super Smoke330」)を含浸させてファイブラスケーシングとした。
得られた各ファイブラスケーシングに対して、以下の方法により、食品に対する剥離性、食品への均質な転写性、及び紙層と合成樹脂層との間の接着性を評価した。評価方法は以下の通りである。評価結果を表2に示す。
(1)剥離性
ファイブラスケーシング中で畜肉加工品を加熱調理し、その後、ファイブラスケーシングを剥離した。ファイブラスケーシングの紙層表面と、食品改質剤が転写された畜肉加工品表面を、拡大鏡を用いて目視にて観察し、以下の基準で毛羽立ち状態(剥離性)を評価した。
◎:紙層及び畜肉加工品表面に毛羽立ち無し
○:紙層及び畜肉加工品表面に若干毛羽立ちあり
×:紙層及び畜肉加工品表面に多数毛羽立ちあり
(2)均一転写性
ファイブラスケーシング中で畜肉加工品(食品)を80℃水浴中で、1時間ボイリングして加熱調理し、その後、ファイブラスケーシングを剥離した。ファイブラスケーシングの紙層表面と、食品改質剤が転写された食品表面を、拡大鏡を用いて目視にて観察し、以下の基準で転写状態を評価した。
◎:紙層にくん液が残らず、食品表面に均一にくん液が転写されており、転写色が濃い。
○:紙層にくん液が若干残り、食品表面にほぼ均一にくん液が転写されているが、転写色が薄い。
×:紙層へのくん液残りが多く、食品表面にほとんどくん液が転写されていない。
(3)層間の接着性
ファイブラスケーシングの内面(紙層側の面)をMDF合板に市販の木工用ボンドで貼り付け25mmにカットし、室温(20℃)で1日乾燥させた。その後、紙層と合成樹脂層との間を剥離した際の強度を、引張り試験機((株)島津製作所の「AG−IS」)にて測定した。測定値に基づき、紙素材とラミネート部分(合成樹脂層)との接着強度を以下の基準で評価した。
◎:500gf/25mm以上
○:450gf/25mm以上500gf/25mm未満
×:450gf/25mm未満
Figure 2016027793
表2に示されるように、実施例17〜22の各ファイブラスケーシングは、食品に対する剥離性に優れ(◎又は○)、食品改質剤の均一転写性に優れ(◎又は○)、層間の接着性にも優れていた(◎又は○)。
一方、両面が艶面である比較例3は、層間の接着性が低かった。これは、外面が艶面であることで、ラミネートの際に、合成樹脂が紙層へ含浸し難かったためであると推察される。食品と接する内面が非艶面である比較例4は、剥離性が悪く、また、食品改質剤の転写にもムラが目立った。
以上のように、本発明のファイブラスケーシングは、ハム、ソーセージ、チーズ等の畜肉、食品加工品に転写する加熱調理用包装シートとして用いることができる。
1 ファイブラスケーシング
2 紙層
2a 内面
2b 外面
3 合成樹脂層
4 酸素バリア性樹脂層
5 第1の水蒸気バリア性樹脂層
6 第2の水蒸気バリア性樹脂層

Claims (10)

  1. 食品の加熱処理の際の食品包装材として用いられるファイブラスケーシング用の紙素材であって、
    パルプを主成分として形成され、
    一方の面が艶面、他方の面が非艶面であることを特徴とするファイブラスケーシング用紙素材。
  2. ブリストー法による接触時間20秒間での上記艶面の吸水量が20ml/m以上40ml/m以下、上記非艶面の吸水量が10ml/m以上35ml/m以下であり、ブリストー法による接触時間20秒間での艶面の吸水量が非艶面の吸水量よりも大きい請求項1に記載のファイブラスケーシング用紙素材。
  3. 上記艶面の算術平均粗さRaが0.5μm以上3μm以下、上記非艶面の算術平均粗さRaが3μm以上6μm以下である請求項1又は請求項2に記載のファイブラスケーシング用紙素材。
  4. 上記艶面の繊維配向角の絶対値が0°以上3°以下、上記非艶面の繊維配向角の絶対値が0.5°以上4°以下であり、上記艶面の繊維配向角の絶対値が上記非艶面の繊維配向角の絶対値よりも小さい請求項1、請求項2又は請求項3に記載のファイブラスケーシング用紙素材。
  5. 食品の加熱処理の際の食品包装材として用いられるファイブラスケーシング用の紙素材の製造方法であって、
    パルプスラリーを脱水する工程と、
    上記パルプスラリーを脱水して得られるパルプの一方の面側をヤンキードライヤーによって乾燥する工程と
    を備え、
    上記ヤンキードライヤーとの接触面が艶面として形成され、上記ヤンキードライヤーとの非接触面が非艶面として形成されるファイブラスケーシング用紙素材の製造方法。
  6. 食品の加熱処理の際の食品包装材として用いられるファイブラスケーシングであって、
    最内層として配置され、紙素材から形成される紙層と、この紙層の外面に積層される合成樹脂層とを備え、
    上記紙素材が、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のファイブラスケーシング用紙素材であり、
    上記紙素材の内面が艶面であり、外面が非艶面であることを特徴とするファイブラスケーシング。
  7. 上記合成樹脂層が、酸素バリア性を有する酸素バリア性樹脂層、及び水蒸気バリア性を有する水蒸気バリア性樹脂層を含む請求項6に記載のファイブラスケーシング。
  8. 上記酸素バリア性樹脂層を形成する樹脂がナイロンであり、上記水蒸気バリア性樹脂層を形成する樹脂がポリエチレンである請求項7に記載のファイブラスケーシング。
  9. 上記合成樹脂層の最内層が上記水蒸気バリア性樹脂層であり、
    上記合成樹脂層の上記紙層外面への積層が、上記合成樹脂層の最内層としての水蒸気バリア性樹脂層を形成するポリエチレンの押出ラミネートにより行われている請求項8に記載のファイブラスケーシング。
  10. 上記紙層が、上記紙素材に含浸している食品改質剤を含み、
    上記食品改質剤が、色素、香料又はこれらの組み合わせを含む請求項6から請求項9のいずれか1項に記載のファイブラスケーシング。
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