JP2016027116A - 接着剤組成物、積層シート、太陽電池用裏面保護シート - Google Patents

接着剤組成物、積層シート、太陽電池用裏面保護シート Download PDF

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Abstract

【課題】積層シート製造時に水分の影響を受けず、種々のシート状部材間、特にプラスチックフィルムの表面処理層を含む層間で高い接着力を示し、高温高湿度環境下に曝されても高い接着力を維持できる接着剤組成物、積層シート、及び太陽電池用裏面保護シートを提供すること。【解決手段】前記課題は、ジエン構造を有する硬化性化合物(X)と、ジエノフィル構造を有する硬化性化合物(Y)とを含む接着剤組成物であって、ジエン構造が、フラン構造であり、かつ、ジエノフィル構造が、マレイミド構造であることを特徴とする接着剤組成物によって解決される。【選択図】なし

Description

本発明は、接着剤組成物に関し、さらに詳細には種々のシート状部材間で高い接着力を示し、高温高湿度環境下に曝されても高い接着力を維持できる接着剤組成物、積層シート、及び太陽電池用裏面保護シートに関するものである。
近年、積層シートの高機能化に伴い、例えば、防壁材、外壁材、屋根材、太陽電池パネル材(太陽電池用裏面保護シート、太陽電池表面保護シート)、窓材、屋外フローリング材、照明保護材、自動車部材、看板、ステッカー、包装材、ラミネート鋼板などに用いられる多層積層体が実用化されている。多層積層体は、金属系素材やプラスチック系素材などを積層(ラミネート)することにより得られる。金属系素材としては、アルミニウムや銅、鋼板などの金属箔、金属板、金属蒸着フィルムなどが挙げられる。プラスチック系素材としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、フッ素樹脂、アクリル樹脂などのプラスチックフィルム、プラスチックシート、プラスチック板、シリカ蒸着フィルムなどの無機酸化物層を表面に形成したプラスチックフィルムなどが挙げられる。金属系素材やプラスチック系素材の接合に用いる接着剤としては、従来より、エポキシ系接着剤、ポリウレタン系接着剤、及び、アクリル系接着剤が知られている。
特許文献1には、アクリル系の樹脂と、イソシアネート系硬化剤による接着剤を用いた太陽電池裏面封止用シートが記載されている。
特許文献1には、アクリルポリオールと、ポリイソシアネートを特定の範囲で配合することにより、種々のシート状部材間、特にプラスチックフィルムの表面処理層を含む層間で高い接着力を示し、高温高湿度環境下に曝されても高い接着力を維持できる、太陽電池用裏面保護シートの製造に好適な接着剤組成物が記載されている。
しかしながら、ここで用いられるイソシアネート系硬化剤は、大気中の水分や系中に含まれる残存の水分の除去が不十分の場合、これら水分と反応し不安定なカルバミン酸を形成し、アミンおよび二酸化炭素に分解する。アミンは迅速にイソシアネートと反応して尿素を形成する一方で、発生した二酸化炭素により、接着シート内に気泡を生じて、接着強度を弱めたり、外観を損ねる恐れがあるため、水分の除去、管理を行う必要があった。
特許5003849号
積層シート製造時に水分の影響を受けず、種々のシート状部材間、特にプラスチックフィルムの表面処理層を含む層間で高い接着力を示し、高温高湿度環境下に曝されても高い接着力を維持できる接着剤組成物、積層シート、及び太陽電池用裏面保護シートを提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、以下に示す接着剤組成物により上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明に係る接着剤組成物は、ジエン構造を有する硬化性化合物(X)と、ジエノフィル構造を有する硬化性化合物(Y)とを含む接着剤組成物であって、
ジエン構造が、フラン構造であり、かつ、
ジエノフィル構造が、マレイミド構造であることを特徴とする接着剤組成物に関する。
また、本発明は、硬化性化合物(X)が、側鎖にフラン構造を有するポリ(メタ)アクリレート(X−1)であることを特徴とする前記接着剤組成物に関する。
また、本発明は、側鎖にフラン構造を有するポリ(メタ)アクリレート(X−1)が、フルフリルメタクリレートを共重合組成に含むことを特徴とする前記接着剤組成物に関する。
また、本発明は、さらにシランカップリング剤を含有することを特徴とする前記接着剤組成物に関する。
また、本発明は、前記接着剤組成物から形成された接着剤層を含む積層シートに関する。
また、本発明は、前記接着剤組成物から形成された接着剤層を含む太陽電池用裏面保護シートに関する。
本発明によれば、積層シート製造時に水分の影響を受けず、種々のシート状部材間、特にプラスチックフィルムの表面処理層を含む層間で高い接着力を示し、高温高湿度環境下に曝されても高い接着力を維持できるという優れた効果が得られる。
以下、本発明について詳しく説明する。なお、本発明において、(メタ)アクリレートとはアクリレートおよび/またはメタクリレートを意味する。
<接着剤組成物>
本発明の接着剤組成物は、ジエン構造を有する硬化性化合物(X)と、ジエノフィル構造を有する硬化性化合物(Y)とを含む接着剤組成物であって、ジエン構造が、フラン構造であり、かつ、ジエノフィル構造が、マレイミド構造であることを特徴とするものである。この接着剤組成物は、ディールスアルダー反応させることによって接着剤層を形成することができる。
[ディールスアルダー反応]
まず、ジエン構造とジエノフィル構造によるディールスアルダー反応について説明する。本発明のジエン構造とジエノフィル構造とは、ディールスアルダー反応可能なジエン構造とジエノフィル構造を示すものである。ディールスアルダー反応とは、ジエンとジエノフィルの付加環化反応であり、三つの新しい結合(二つのσ結合と一つのπ結合)の生成と、三つの結合(二つのジエンのπ結合と一つのアルケンのπ結合)の切断が同時に起こる反応である。反応は熱のみで進行するが、触媒としてルイス酸を添加する場合もある。
ジエン構造としては、無置換または一般に電子供与性の置換基を有する共役ジエン構造が好ましく、具体例としては1,3−ブタジエン構造、フラン構造、アントラセン構造などが挙げられる。
ジエノフィル構造としては、一般に電子吸引性基を置換基に有する二重、または三重結合が好ましく、具体例としては、無水マレイン酸構造、マレイミド構造、アクリレート構造などが挙げられる。
フラン構造とマレイミド構造のディールスアルダー反応は、室温〜90℃付近では結合の形成(付加)反応に平衡が偏り、90℃以上では解離反応に平衡が偏ることが知られており、フラン構造とマレイミド構造の付加反応は接着剤として最適な硬化温度を有している。
また、触媒となるルイス酸としては、塩化アルミニウム、四塩化スズ、三塩化鉄、三塩化チタン、四塩化チタン、三フッ化ホウ素、アルキルアルミニウム化合物(トリメチルアルミニウムなど)、ポリアルミノキサン化合物(ポリメチルアルミノキサン、スルホンイミド変性ポリアルミノキサン化合物、スルホン酸変性ポリアルミノキサン化合物、ポリメチルアルミノキサンとビストリフルオロメタンスルホンイミドの反応生成物など)、スカンジウム化合物(スカンジウム(III) パーフルオロオクタンスルフォネートなど)などが挙げられ、付加反応温度を低下させることができる。
さらに助触媒として、脂肪族又は芳香族エステル類、クロロ酢酸エステル類、エーテル類、ケトン類、炭酸エステル類及びニトロ化合物、アミン類、有機カルボン酸やリン酸等の弱酸の強アルカリ塩(酢酸ナトリウム、リン酸水素2ナトリウムなど)、アルカリ金属やアルカリ土類金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩(酸化カルシウム、酸化マグネシウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウムなど)などを使用することができる。
[ジエン構造を有する硬化性化合物(X)]
ジエン構造を有する硬化性化合物(X)について説明する。硬化性化合物(X)はジエン構造としてフラン構造を有するものであれば特にその構造が限定されるものではなく、主剤としても、硬化剤としても使用することができる。好ましい具体例としては、フラン構造を有する、ポリ(メタ)アクリレート、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリシロキサン、ポリエーテル、無水マレイン酸を含む共重合体、エポキシ樹脂を挙げることができ、これらは単独で使用してもよく、混合物を使用することもできる。これらの中でも、側鎖にフラン構造を有するポリ(メタ)アクリレート(X−1)が、硬化性化合物(X)中にフラン構造を容易に導入でき、更にフラン構造の導入量を容易に制御できるだけでなく、ポリ(メタ)アクリレート(X−1)の分子量や共重合組成を容易に制御できることから、接着力に加え耐湿熱性や発泡抑制など接着剤として必要な諸物性を両立できるため好ましい。更に基材との接着力の点で、フルフリル(メタ)アクリレートを共重合組成に含むことが特に好ましい。
[フラン構造を有するポリ(メタ)アクリレート(X−1)]
フラン構造をポリ(メタ)アクリレートへ導入する方法としては、フラン構造を有さないポリ(メタ)アクリレートと「フラン構造を有する反応性化合物」を反応させてもよいし、「フラン構造を有するモノマー」を重合させてもよい。本発明においては、後者の方が、合成の反応プロセスを少なくできる点でより好ましい。また、単独重合体であっても他のモノマーとの共重合体であってもよい。
「フラン構造を有する反応性化合物」の例としては、フルフリルアルコール、フルフリルアミン、フルフリルメルカプタン、フルフラールを挙げることができる。これらを、カルボキシル基、エポキシ基、イソシアネート基、酸無水物基などを有するポリ(メタ)アクリレートと反応させることでフラン構造をポリ(メタ)アクリレートへ導入することができる。
「フラン構造を有するモノマー」の例としては、フルフリルアルコール、フルフリルアミン、フルフリルメルカプタン、フルフラールなどから誘導される下記一般式[1]〜[5]で表されるモノマーを挙げることができる。これらの中でも前述したように、基材との接着力の点で、フルフリル(メタ)アクリレート(一般式[1])を共重合組成に含む共重合体が特に好ましい。
一般式[1]



(式中、Rは水素原子またはメチル基であり、Rは酸素原子またはNHを表す。)
一般式[2]


(式中、Rは水素原子またはメチル基であり、Rは酸素原子、NH、または硫黄原子を表す。)
一般式[3]



(式中、Rは水素原子またはメチル基であり、Rは酸素原子、NH、または硫黄原子を表す。)
一般式[4]



(式中、Rは水素原子またはメチル基であり、Rは酸素原子、NH、または硫黄原子を表す。)
一般式[5]


(式中、Rは水素原子またはメチル基であり、R10は酸素原子、NH、または硫黄原子を表す。)
一般式[2]で示されるものとしては、(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネートとフルフリルアルコールの付加物等が挙げられる。
一般式[5]で示されるものとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとイソホロンジイソシアネートとフルフリルアルコールの付加物等が挙げられる。
フラン構造を有するポリ(メタ)アクリレート(X−1)において、共重合させることのできるモノマーの例としては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、1,4−ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸2,3−ジヒドロキシプロピルなどの水酸基含有モノマー、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクレート、ステアリル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレートモノマーに代表される長鎖(メタ)アクリルモノマー、アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸などのカルボキシル基含有モノマーやその無水物、あるいはスチレンなどのビニルモノマーなどが挙げられる。なお、これらのモノマーは1種類の化合物を用いても、2種類以上の化合物を組み合わせて用いてもよい。その他のモノマーを用いる場合についても同様である。
アルキル(メタ)アクリレートモノマーは、接着力向上の観点から、(メタ)アクリル酸部分にエステル結合を介して結合する部分(アルキル基やアルケニル基などの部分で以下「側鎖部分」という)の炭素の数としては、1〜17であることが好ましく、1〜9であることがより好ましく、1〜4であることが更に好ましい。そのような例として例えば、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクレート、ステアリル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレートモノマーに代表される長鎖(メタ)アクリルモノマーなどが挙げられる。
また、前述の水酸基やカルボキシル基を含有するモノ(メタ)アクリレートモノマーは、接着力向上に寄与するだけでなく、ポリイソシアネートやエポキシ樹脂などを併用し、水酸基やカルボキシル基と架橋させることで、更に塗膜の密着性、強度を向上させることができる。
水酸基やカルボキシル基を含有するモノ(メタ)アクリレートモノマーの導入量は、フラン構造を有するポリ(メタ)アクリレート100重量部に対して、0.1〜5重量部であることが好ましく、1〜3重量部であることがより好ましい。0.1重量部未満では、官能基導入の効果が得られず、5重量部を超えると、耐湿熱性試験で接着力が低下する恐れがある。
フラン構造を有するポリ(メタ)アクリレート(X−1)は、フラン構造を有するモノマーと、アルキル(メタ)アクリレートモノマーとの共重合体が好ましく用いられる。フラン構造の導入量は、フラン構造を有するモノマー含有量によって決定されるが、本発明において、共重合体におけるフラン構造(フルフリル基)の含有量は、0.01〜2mmol/gが好ましく、0.05〜1mmol/gがより好ましく、0.05〜0.5mmol/gが更に好ましい。0.01mmol/g未満では、マレイミド構造との架橋密度が低下する傾向にあり、耐湿熱性が低下する恐れがある。また、2mmol/gを超えると、エージング前の接着力は発現できるものの、エージング後は架橋密度が高くなる傾向にあり、十分な接着力を発現できず、その後の耐湿熱性試験にてさらに接着力が低下する恐れがある。
ここで、エージングとは、一方のシート状部材の接合面に接着剤組成物を塗工・乾燥し、次いで、他のシート状部材を接着剤層に重ね合わせ、20℃〜70℃の環境下で1日〜1週間程度の保存を行い接着剤層の硬化を進行させて積層シートを得る工程をいう。硬化を促進するために、ルイス酸触媒を加えてもよく、より低温、短時間でのエージングが可能となる。
また、本発明において、フラン構造を有するポリ(メタ)アクリレート(X−1)のガラス転移点(Tg)は、エージング後の接着力および耐湿熱後の接着力の観点から、−40℃を越え、40℃以下が好ましく、−25℃を越え、20℃以下がより好ましい。Tgが低すぎると、エージング前の接着剤層はまだ硬化が不十分なので、接着剤組成物から形成した接着剤層は柔らかく、その柔らかさによってシート状部材間において、ある程度の接着力は発現できる。しかし、エージング後に接着剤層が十分硬化しても、Tgが低いために接着剤層の凝集力不足が顕在化し、大きな接着力を確保することが難しくなる傾向にある。さらに、積層体を長時間、高温高湿度下に置くと接着剤層の凝集力不足が原因で接着力が徐々に低下する傾向にある。
一方、Tgが高すぎると、基材への濡れ性が不足する傾向にある。エージング前に比べエージング後の接着力が多少大きくはなるものの、架橋後の硬化接着剤層が硬くなりすぎてしまうので、エージング工程後の接着力が低い傾向にある。
ジエン構造を有する硬化性化合物(X)の重量平均分子量は、20,000〜300,000であることが好ましく、50,000〜150,000であることがより好ましい。重量平均分子量が20,000未満の場合、エージング工程前の接着剤層の凝集力が不足する傾向にあり、エージング工程前の接着力が小さくなる恐れがある。工業的生産の場合、ロール状に巻き取った状態の積層体は、通常、巻き芯を天地方向にしてエージングされる。エージング工程前の接着力が小さいと、エージングの最中に巻きが崩れ易く、工業的生産には不適である。また、20,000未満では、エージング工程後の凝集力が不足する傾向にあり、これに伴って耐湿熱性が低くなり、デラミネーションなどを生じる恐れがある。重量平均分子量が300,000を超えると、接着剤の粘度が高くなり、塗工性に問題が生じたり、シート状部材への濡れ性が低下する傾向にあり、その結果エージング工程前の接着力が小さくなる恐れがある。エージングによって初期接着力は、エージング前に比べて大きくなるものの、その後の耐湿熱性試験により徐々に低下し、3000時間経過後は使用下限を下回る恐れがある。
なお、本発明における重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求め、ポリスチレン換算した値である。より具体的には、本発明における重量平均分子量は、後述する実施例に記載の測定方法により求めた値を示している。また、ガラス転移温度、についても同様に、後述する実施例に記載の方法により求めた値を示している。
[ジエノフィル構造を有する硬化性化合物(Y)]
ジエノフィル構造を有する硬化性化合物(Y)について説明する。硬化性化合物(Y)はジエノフィル構造としてマレイミド構造を有するものであれば特にその構造が限定されるものではなく、主剤としても、硬化剤としても使用することができる。好ましい具体例としては、
o−フェニレンビスマレイミド、m−フェニレンビスマレイミド、p−フェニレンビスマレイミド、4−メチル−1,3−フェニレンビスマレイミド、N,N’−(トルエン−2,6−ジイル)ビスマレイミド)、4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、ビスフェノール A ジフェニルエーテルビスマレイミド、3,3’−ジメチル−5,5’−ジエチル−4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、4,4’−ジフェニルエーテルビスマレイミド、4,4’−ジフェニルスルフォンビスマレイミド、1,3−ビス(3−マレイミドフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−マレイミドフェノキシ)ベンゼン、ポリフェニルメタンマレイミド(CAS NO:67784−74−1、ホルムアルデヒドとアニリンからなるポリマーと無水マレイン酸の反応物)、N,N’−エチレンビスマレイミド、N,N’−トリメチレンビスマレイミド、N,N’−プロピレンビスマレイミド、N,N’−テトラメチレンビスマレイミド、N,N’−ペンタメチレンビスマレイミド、N,N’−(1,3−ペンタンジイル)ビス(マレインイミド)N,N’−ヘキサメチレンビスマレイミド、N,N’−(1,7−ヘプタンジイル)ビスマレイミド、N,N’−(1,8−オクタンジイル)ビスマレイミド、N,N’−(1,9−ノタンジイル)ビスマレイミド、N,N’−(1,10−デカンジイル)ビスマレイミド、N,N’−(1,11−ウンデカンジイル)ビスマレイミド、 N,N’−(1,12−ドデカンジイル)ビスマレイミド、N,N’−[(1,4−フェニレン)ビスメチレン]ビスマレイミド、N,N’−[(1,2−フェニレン)ビスメチレン]ビスマレイミド、N,N’−[(1,3−フェニレン)ビスメチレン]ビスマレイミド、1,6’−ビスマレイミド−(2,2,4−トリメチル)ヘキサン、N,N′‐[(メチルイミノ)ビス(4,1‐フェニレン)]ビスマレイミド、
N,N′‐(2‐ヒドロキシプロパン‐1,3‐ジイルビスイミノビスカルボニルビスエチレン)ビスマレイミド、N,N′‐(ジチオビスエチレン)ビスマレイミド、N,N′‐[ヘキサメチレンビス(イミノカルボニルメチレン)]ビスマレイミド、N,N′‐カルボニルビス(1,4‐フェニレン)ビスマレイミド、N,N′,N′′‐[ニトリロトリス(エチレン)]トリスマレイミド、N,N’,N’’−[ニトリロトリス(4,1−フェニレン)]トリスマレイミド、N,N′‐[p‐フェニレンビス(オキシ−p−フェニレン) ]ビスマレイミド、N,N′‐[メチレンビス(オキシ)ビス(2−メチル−1,4−フェニレン) ]ビスマレイミド、N,N’−[メチレンビス(オキシ−p−フェニレン)]ビス(マレインイミド)N,N′‐[ジメチルシリレンビス[(4,1−フェニレン)(1,3,4,−オキサジアゾール−5,2−ジイル)(4,1−フェニレン)] ]ビスマレイミド、N,N’−[(1,3−フェニレン)ビスオキシビス(3,1−フェニレン)]ビスマレイミド、1,1’−[3’−オキソスピロ[9H−キサンテン−9,1’(3’H)−イソベンゾフラン]−3,6−ジイル]ビス(1H−ピロール−2,5−ジオン)、N,N’−(3,3’−ジクロロビフェニル−4,4’−ジイル)ビスマレミド、N,N’−(3,3’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジイル)ビスマレイミド、N,N’−(3,3’−ジメトキシビフェニル−4,4’−ジイル)ビスマレイミド、N,N’−[メチレンビス(2−エチル−4,1−フェニレン)]ビスマレイミド、N,N’−[メチレンビス(2,6−ジエチル−4,1−フェニレン)]ビスマレイミド、N,N’−[メチレンビス(2−ブロモ−6−エチル−4,1−フェニレン)]ビスマレイミド、N,N’−[メチレンビス(2−メチル−4,1−フェニレン)]ビスマレイミド、N,N’−[エチレンビス(オキシエチレン)]ビスマレイミド、N,N’−[スルホニルビス(4,1−フェニレン)ビス(オキシ)ビス(4,1−フェニレン)]ビスマレイミド、N,N’−[ナフタレン−2,7−ジイルビス(オキシ)ビス(4,1−フェニレン)]ビスマレイミド、N,N’−[p−フェニレンビス(オキシ−p−フェニレン)]ビスマレイミド、N,N’−[(1,3−フェニレン)ビスオキシビス(3,1−フェニレン)]ビスマレイミド、N,N’−(3,6,9−トリオキサウンデカン−1,11−ジイル)ビスマレイミド、N,N’−[イソプロピリデンビス[p−フェニレンオキシカルボニル(m−フェニレン)]]ビスマレイミド、N,N’−[イソプロピリデンビス[p−フェニレンオキシカルボニル(p−フェニレン)]]ビスマレイミド、N,N’−[イソプロピリデンビス[(2,6−ジクロロベンゼン−4,1−ジイル)オキシカルボニル(p−フェニレン)]]ビスマレイミド、N,N’−[(フェニルイミノ)ビス(4,1−フェニレン)]ビスマレイミド、
N,N’−[アゾビス(4,1−フェニレン)]ビスマレイミド、N,N’−[1,3,4−オキサジアゾール−2,5−ジイルビス(4,1−フェニレン)]ビスマレイミド、2,6−ビス[4−(マレインイミド−N−イル)フェノキシ]ベンゾニトリル、N,N’−[1,3,4−オキサジアゾール−2,5−ジイルビス(3,1−フェニレン)]ビスマレイミド、N,N’−[ビス[9−オキソ−9H−9−ホスファ(V)−10−オキサフェナントレン−9−イル]メチレンビス(p−フェニレン)]ビスマレイミド、N,N’−[ヘキサフルオロイソプロピリデンビス[p−フェニレンオキシカルボニル(m−フェニレン)]]ビスマレイミド、N,N’−[カルボニルビス[(4,1−フェニレン)チオ(4,1−フェニレン)]]ビスマレイミド、N,N’−カルボニルビス(p−フェニレンオキシp−フェニレン)ビスマレイミド、N,N’−[5−tert−ブチル−1,3−フェニレンビス[(1,3,4−オキサジアゾール−5,2−ジイル)(4,1−フェニレン)]]ビスマレイミド、N,N’−[シクロヘキシリデンビス(4,1−フェニレン)]ビスマレイミド、
N,N’−[メチレンビス(オキシ)ビス(2−メチル−1,4−フェニレン)]ビスマレイミド、
N,N’−[5−[2−[5−(ジメチルアミノ)−1−ナフチルスルホニルアミノ]エチルカルバモイル]−1,3−フェニレン]ビスマレイミド、N,N’−(オキシビスエチレン)ビスマレイミド、N,N’−[ジチオビス(m−フェニレン)]ビスマレイミド、N,N’−(3,6,9−トリオキサウンデカン−1,11−ジイル)ビスマレイミド、N,N’−(エチレンビス−p−フェニレン)ビスマレイミド、
Designer Molecules社製のBMI−689、BMI−1500、BMI−1700、BMI−3000、BMI−5000、BMI−9000、
JFEケミカル社製のODA−BMI、BAF−BMI、などの多官能マレイミドを挙げることができる。
また、多官能アミンと無水マレイン酸を反応させて得られる多官能マレイミドを挙げることができる。多官能アミンとしては、
イソホロンジアミン、ジシクロヘキシルメタン−4,4′−ジアミン、
ハンツマン・コーポレーション社製の、末端アミノ化ポリプロピレングリコール骨格を有するジェファーミンD−230、HK−511、D−400、XTJ−582、D−2000、XTJ−578、XTJ−509、XTJ−510、T−403、T−5000、末端アミノ化エチレングリコール骨格を有するXTJ−500、XTJ−501、XTJ−502、XTJ−504、XTJ−511、XTJ−512、XTJ−590
末端アミノ化ポリテトラメチレングリコール骨格を有するXTJ−542、XTJ−533、XTJ−536、XTJ−548、XTJ−559などが挙げられる。
また、下記一般式[6]〜[8]で表されるマレイミドを、カルボキシル基、エポキシ基、イソシアネート基、酸無水物基などを有するポリ(メタ)アクリレート、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリシロキサン、ポリエーテル、無水マレイン酸を含む共重合体、エポキシ樹脂などと反応させた、多官能マレイミドも挙げることができる。好ましくは、マレイミド付加ポリ(メタ)アクリレート、マレイミド付加ポリウレタンである。
一般式[6]



(式中、nは0〜10を表す。)
一般式[7]



(式中、nは0〜10を表す。)
一般式[6]、一般式[7]に関しては、分子量が小さく官能基濃度があげられる点からn=0、1、2が好ましい。
一般式[8]



(式中、R11はカルボキシル基、水酸基または塩素原子を表す。)
また、多官能イソシアネートに、上記一般式[7]または[8]で示されるもののうち、ヒドロキシル基を有するマレイミドを反応させて得られるマレイミド付加ウレタンを挙げることができる。
多官能イソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、トリジンイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソプロピリデンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、3−(2’−イソシアナトシクロヘキシル)プロピルイソシアネート、ジアニシジンイソシアネート、ジフェニルエーテルジイソシアネート、ダイマージイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどの二官能イソシアネート類;
リジントリイソシアネート、トリス(イソシアナトフェニル)メタン、トリス(イソシアナトフェニル)チオホスフェートなどの三官能イソシアネート類;
上記イソシアネート類のビウレット、ウレトジオン、イソシアヌレート、アダクト体などが挙げられる。
マレイミド構造を含む硬化性化合物(Y)の使用量は、ジエン構造を有する硬化性化合物(X)に由来するフルフリル基と、硬化性化合物(Y)に由来するマレイミド基とのフルフリル基/マレイミド基比(モル比)によって決定されるが、フルフリル基/マレイミド基比は0.1〜3が好ましい。より好ましくは、0.5〜2であり、0.75〜1.25であることがさらに好ましい。
<接着剤組成物の製造方法>
本発明の接着剤組成物は、硬化性化合物(X)と硬化性化合物(Y)とを使用時に混合する、いわゆる2液混合タイプの接着剤であってもよいし、硬化性化合物(X)と硬化性化合物(Y)とが予め混合された1液タイプの接着剤であってもよい。また、硬化性化合物(X)や硬化性化合物(Y)を、それぞれ独立に複数種類で用いてもよい。さらに、いずれの硬化性化合物においても、シランカップリング剤、硬化剤、有機溶剤、その他の添加剤を含むことができる。以下に、本発明の接着剤組成物に使用することのできる各構成要素について説明する。
[シランカップリング剤]
本発明の接着剤組成物は、金属箔、金属板、又は金属蒸着フィルム、プラスチックフィルムなどを基材として使用する場合、接着強度を向上させる観点から、シランカップリング剤を含有させることが好ましい。
シランカップリング剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、及びビニルトリメトキシシランなどのビニルシラン類;γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、及びγ−(メタ)アクリロキシプロピルジメトキシメチルシランなどの(メタ)アクリロキシシラン類;β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、及びγ−グリシドキシプロピルトリエトキシシランなどのエポキシシラン類;N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジエトキシシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、及びN−フェニル−γ−アミノプロピルトリエトキシシランなどのアミノシラン類;並びに、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、及びγ−メルカプトプロピルトリエトキシシランなどのチオシラン類などが挙げられる。これらは、それぞれ単独で、又は2種以上を任意に組み合わせて使用できる。
シランカップリング剤の添加量は、ジエン構造を有する硬化性化合物(X)100重量部に対して、0.1〜5重量部であることが好ましく、1〜3重量部であることがより好ましい。0.1重量部未満では、シランカップリング剤を添加することによる基材に対する接着強度向上効果に乏しく、5重量部を超えて添加しても、それ以上の性能の向上は認められない場合がある。
[硬化剤]
ここでいう硬化剤は、フラン構造およびマレイミド構造以外の、熱反応性を有する化合物であり、本発明の効果を阻害しない範囲内で、任意に周知のオキサゾリン化合物:例えば、2,5−ジメチル−2−オキサゾリン、2,2−(1,4−ブチレン)−ビス(2−オキサゾリン)、ヒドラジド化合物:例えば、イソフタル酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、イソシアネート化合物:例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートTMPアダクト変性体、エポキシ化合物:例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、メラミン化合物、金属キレートなどを含むことができる。
[有機溶剤]
有機溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテートなどのエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、イソブチルケトン、メチルイソブチルケトン、などのケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;メチレンクロリド、エチレンクロリドなどのハロゲン化炭化水素類;ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホアミドなどが挙げられる。用いる有機溶剤は、1種類の溶剤を使用してもよいし、2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。
本発明の接着剤の不揮発分(固形分)は、10〜50重量%の範囲が好ましい。本接着剤は上記に例示したような溶剤を用いて固形分の調整を行うことができる。
[その他添加剤]
その他の添加剤としては、本発明の接着剤組成物には、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、粘着付与剤、反応促進剤、レベリング剤、リン系やフェノール系の酸化防止剤、紫外線安定剤、金属不活性化剤、難燃剤、可塑剤、有機・無機顔料など種々の添加剤を配合することができる。
シート状部材として金属層(金属箔、金属板など)を用いる場合、本発明の接着剤組成物の金属密着性を向上させるために、リン酸系化合物、例えば、リン酸、メタリン酸、ピロリン酸、亜リン酸や、それらのエステルなどを添加することができる。
また、本発明の接着剤組成物は、太陽電池用裏面保護シート製造用の接着剤として好ましく用いられる他、太陽電池積層シート用アンカーコート剤としても用いることができる。その場合、アンチブロッキング剤を入れることが好ましい。
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、接着剤用として公知の添加剤を制限なく配合することができる。例えば、反応促進剤を使用することができる。具体的には、ジブチルチンジアセテート、ジブチルチンジラウレート、ジオクチルチンジラウレート、ジブチルチンジマレートなど金属系触媒;1 ,8−ジアザ−ビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)ノネン−5、6−ジブチルアミノ−1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7などの3級アミン;トリエタノールアミンのような反応性3級アミンなどが挙げられる。反応促進剤は、1種又は2種以上を併用して使用できる。
さらに、ラミネート外観を向上させる目的で、公知のレベリング剤又は消泡剤を主剤に配合することもできる。
レベリング剤としては、例えば、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ポリエステル変性ポリジメチルシロキサン、アラルキル変性ポリメチルアルキルシロキサン、ポリエステル変性水酸基含有ポリジメチルシロキサン、ポリエーテルエステル変性水酸基含有ポリジメチルシロキサン、アクリル系共重合物、メタクリル系共重合物、ポリエーテル変性ポリメチルアルキルシロキサン、アクリル酸アルキルエステル共重合物、メタクリル酸アルキルエステル共重合物、レシチン、又はそれらの混合物など公知のものが挙げられる。
消泡剤としては、シリコーン樹脂、シリコーン溶液、アルキルビニルエーテルとアクリル酸アルキルエステルとメタクリル酸アルキルエステルとの共重合物、又はそれらの混合物などの公知のものが挙げられる。レべリング剤、消泡剤を添加する場合、それぞれ独立に、1種類の化合物を使用してもよいし、2種以上の化合物を任意に組み合わせて使用してもよい。
また、本発明で使用される公知の添加剤として、太陽などの紫外線による接着剤の経時での黄変、太陽熱などの熱による接着剤の経時での黄変をさらに抑制する目的で、公知のリン系やフェノール系の酸化防止剤、紫外線安定剤、金属不活性化剤を、主剤に配合することができる。これらは単独で使用してもよいし、2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。本発明で使用されるリン系やフェノール系の酸化防止剤、紫外線安定剤、金属不活性化剤は、フラン構造を有するジエン構造を有する硬化性化合物(X)の固形分100重量部に対し0.05〜10重量部の範囲が好ましく、さらに好ましくは0.1〜5重量部である。添加量が0.05重量未満であると、十分な黄変抑制効果が得られない恐れがあり、10重量部よりも多いと、接着剤の接着力を大きく悪化させてしまう恐れがある。
<積層シート>
次に、本発明の接着剤組成物を用いてなる積層シートについて説明するが、以下の例に限定されるものではない。積層シートは、例えば、シート状部材の上に接着剤組成物を途工・乾燥して接着剤層を形成し、さらに他のシート状部材を重ね合わせて形成することができる。
積層シートとしては、ポリエステルフィルムなどのプラスチックフィルム、ポリエステルフィルムなどに金属酸化物や非金属酸化物の蒸着層を設けた金属層付きプラスチックフィルム、アルミニウム箔などの金属箔、窒化珪素層付きプラスチックフィルムなどを積層したものがあり、積層する各シート状部材間は、本発明の接着剤組成物を用いて接合することができる。
プラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリナフタレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂フィルム、ポリエチレン系樹脂フィルム、ポリプロピレン系樹脂フィルム、ポリ塩化ビニル系樹脂フィルム、ポリカーボネート系樹脂フィルム、ポリスルホン系樹脂フィルム、ポリ(メタ)アクリル系樹脂フィルム、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリエチレンテトラフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体などのフッ素系樹脂フィルムなどが挙げられる。
これらのプラスチックフィルムを支持体とし、アクリル系、フッ素系塗料がコーティングされてなるフィルムや、ポリフッ化ビニリデンやアクリル樹脂などが共押出しにより積層されてなる多層フィルムなどを使用することができる。さらに、ウレタン系接着剤層などを介して上記のプラスチックフィルムが複数積層されたシート状部材を用いてもよい。
上記のプラスチックフィルムは、表面がコロナ放電、プラズマ処理、フレーム処理などの物理的処理や、フィルム表面を酸やアルカリなどで改質する化学的処理、フィルム表面に微細な凹凸をつけ、いわゆるシボ状態にするマット加工などによって、易接着面とされているものを好適に用いることができる。無論、本発明の接着剤組成物を、表面未処理素材に適用してもよいことは言うまでもない。
金属箔としては、アルミニウム箔や銅箔が挙げられる。蒸着される金属酸化物、若しくは非金属無機酸化物としては、例えば、ケイ素、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、カリウム、スズ、ナトリウム、ホウ素、チタン、鉛、ジルコニウム、イットリウムなどの酸化物が使用できる。
本発明の積層シートは、建造物など屋外産業用途向け多層積層材(防壁材、外壁材、屋根材、太陽電池パネル材、窓材、屋外フローリング材、看板、ステッカー、照明保護材、自動車部材など)や、包装材、ラミネート鋼板等に好適に使用することができる。太陽電池パネル材としては、表面保護シート、裏面保護シート等が挙げられる。
<太陽電池用裏面保護シート>
次に、本発明の接着剤組成物を用いてなる太陽電池用裏面保護シートを製造する方法、及び太陽電池用裏面保護シートの一例について説明する。なお、太陽電池用裏面保護シートの製造方法や構成は、以下の例に限定されるものではなく、目的やニーズに応じて、様々な製造方法や構成を採用できる。
太陽電池モジュールは、単純なものは、太陽電池素子である太陽電池セルの両面に充填剤、及びガラス板を順に積層した構成形態を有している。ガラス板は、透明性、耐候性、耐擦傷性に優れることから、太陽の受光面側の封止シートとして、現在も一般的に用いられている。しかし、透明性を必要としない非受光面側においては、コストや安全性、加工性の面から、ガラス板以外の太陽電池用裏面保護シート(以下裏面保護シート)が各社により開発され、これらがガラス板に置き換わりつつある。
太陽電池用裏面保護シートとしては、先に記載した積層シートを用いることができ、多層構成にすることで、様々な性能を付与することができる。例えば、ポリエステルフィルムを用いることで絶縁性を、フッ素系フィルムを用いることで耐候性を、アルミニウム箔を用いることで水蒸気バリア性を付与することができる。どのような積層シートを用いるかは、太陽電池モジュールが用いられる製品・用途によって、適宜選択され得る。
これらの中でも、太陽電池モジュールとして使用する際の耐候性、水蒸気透過性、電気絶縁性、機械特性、実装作業性などの性能を満たす為に、温度に対する耐性を有する、ポリエチレンテレフタレート、ポリナフタレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂フィルム、ポリカーボネート系樹脂フィルムと、太陽電池セルの水の影響による出力低下を防止する為に水蒸気バリア性を有する金属酸化物、若しくは非金属無機酸化物が蒸着されたプラスチックフィルムまたはアルミニウム箔などの金属箔と、光劣化による外観不良発生を防止する為に耐候性の良好なフッ素系樹脂フィルムが積層されてなる太陽電池用裏面保護シートが好ましい。
また、太陽電池用裏面保護シートには、太陽電池モジュールを電圧印加による破損から保護する為に、太陽電池セルの発電容量に併せ、部分放電電圧700V、若しくは1000Vの耐性が要求され電気絶縁性や発泡層を含むことで部分放電電圧を向上させる構成が多く採用されている。部分放電電圧を向上させる方法としての電気絶縁性はフィルムや発泡層の厚みに依存する為に、フィルムや発泡層は厚膜となる傾向がある。最近では100μmから300μm程度のものを用いる構成が多く採用されている。
接着剤層の形成は、例えば、一方のプラスチックフィルムなどのシート状部材の片面に、コンマコーターやドライラミネーターによって接着剤組成物を塗布し、溶剤を揮散させた後、他方のラミネート基材と貼り合わせ、常温、若しくは加温下で硬化させることによって得られる。あるいは、任意の一のシート状部材に接着剤組成物を塗工して加熱硬化し、接着剤層を形成し、接着剤層を形成した後、他のシート状部材形成用塗液を塗工し、熱もしくは活性エネルギー線により他のシート状部材を形成したりすることによって製造することができる。接着剤組成物をシート状部材に塗工する装置としては、コンマコーター、ドライラミネーター、ロールナイフコーター、ダイコーター、ロールコーター、バーコーター、グラビアロールコーター、リバースロールコーター、ブレードコーター、グラビアコーター、マイクログラビアコーターなどが挙げられる。ラミネート基材表面に塗布される接着剤量はドライ換算で、0.1〜50g/m程度であることが好ましい。より好ましくは、1〜50g/m程度である。ラミネート基材としては、用途に応じて、任意の基材を、任意の数で選択することができ、3層以上の多層構成とする際には、各層の貼り合わせの全て、又は一部に本発明に係る接着剤組成物を使用できる。
シート状部材形成用塗液としては、プラスチックフィルムの形成に使用され得る、ポリエステル系樹脂溶液、ポリエチレン系樹脂溶液、ポリプロピレン系樹脂溶液、ポリ塩化ビニル系樹脂溶液、ポリカーボネート系樹脂溶液、ポリスルホン系樹脂溶液、ポリ(メタ)アクリル系樹脂溶液、フッ素系樹脂溶液などが好ましい例として挙げられる。
太陽電池用裏面保護シートとして要求される性能、価格、生産性などを勘案して、種々の製造方法を選択したり、さらに組み合わせたりすることができる。
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、以下の実施例は本発明の権利範囲を何ら制限するものではない。なお、実施例中における各評価は下記の方法に従った。なお、実施例中、部は重量部、%は重量%をそれぞれ示す。重量平均分子量、ガラス転移温度は以下のようにして求めた。
<重量平均分子量>
重量平均分子量の測定は、東ソー社製GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)「HPC−8020」を用い、カラムはSHODEX KF−806L 2本、KF−804L 1本、KF−802 1本を用い、溶媒はテトラヒドロフランを用いた。重量平均分子量は標準ポリスチレン換算で行った。
<ガラス転移温度(Tg)>
ガラス転移温度(Tg)の測定は、セイコーインスツルメンツ社製DSC「RDC220」を用いて行った。下記で合成したポリ(メタ)アクリレート溶液を乾燥した試料、約10mgをアルミニウムパンに量り採り、DSC装置にセットして液体窒素で−100℃まで冷却した後、10℃/minで昇温して得られたDSCチャートからガラス転移温度を求めた。
<ジエン構造を有する硬化性化合物(X)の製造>
(合成例1)
コンデンサー、ガス導入管、滴下ロート、及び温度計を備えた4口フラスコに、酢酸エチル100重量部を仕込み、窒素気流下、80℃に昇温した。次いで、n−ブチルアクリレート29.8重量部、n−ブチルメタクリレート67.6重量部、フルフリルメタクリレート2.6重量部、及びアゾビスイソブチルニトリル2.0重量部を予め混合したモノマー液を、滴下ロートより2時間かけて滴下した。その後、1時間反応させ、次いでアゾビスイソブチロニトリル0.2重量部を加えて1時間反応させる工程を、モノマーの転化率が98%以上になるまで行ってから冷却した。そして、酢酸エチルを加えて固形分50%の、側鎖にフラン構造を有するポリ(メタ)アクリレート溶液を得た。
(合成例2〜10)
表1に示す組成に変更した以外は、合成例1と同様にして、合成例2〜10の側鎖にフラン構造を有するポリ(メタ)アクリレート溶液を得た。
<ジエン構造を有しない硬化性化合物の製造>
(合成例11、12)
表1に示す組成に変更した以外は、合成例1と同様にして、合成例11、12の側鎖にフラン構造を有しないポリ(メタ)アクリレート溶液を得た。

なお、表1中の略語は、下記の通りである。
FMA:フルフリルメタクリレート
AOI−FA:アクリロイルオキシエチルイソシアネートとフルフリルアルコールの1対1モル付加物
MOI−FA:メタクリロイルオキシエチルイソシアネートとフルフリルアルコールの1対1モル付加物
HEMA−IPDI−FA:2−ヒドロキシエチルメタクリレートとイソホロンジイソシアネートとフルフリルアルコールの1対1対1モル付加物
MAA:メタクリル酸
AA:アクリル酸
HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート
HEA:2−ヒドロキシエチルアクリレート
MMA:メチルメタクリレート
BMA:n−ブチルメタクリレート
BA:n−ブチルアクリレート
AIBN:アゾビスイソブチロニトリル
<ジエノフィル構造を有する硬化性化合物(Y)の製造>
(合成例13)
表2に示すようにコンデンサー、ガス導入管、滴下ロート、及び温度計を備えた4口フラスコに、酢酸ブチル100重量部を仕込み、窒素気流下、80℃に昇温した。次いで、n−ブチルアクリレート70重量部、n−ブチルメタクリレート20重量部、グリシジルメタクリレート10重量部、及びアゾビスイソブチロニトリル2.0重量部を予め混合したモノマー液を、滴下ロートより2時間かけて滴下した。その後、1時間反応させ、次いでアゾビスイソブチロニトリル0.2重量部を加えて1時間反応させる工程を、モノマーの転化率が98%以上になるまで行った。続いて、反応容器内に乾燥空気を導入し、マレイミドプロピオン酸6重量部、及び、ジメチルベンジルアミン0.5重量部を仕込み、その後10時間、90℃で反応させてから冷却した。室温に冷却後、酢酸ブチルを加えて固形分50%のマレイミド付加アクリル樹脂溶液を得た。ここでグリシジルメタクリレートの反応率は、反応前後のポリマーの酸価の変化から求めたところ99%であった。
(合成例14)
表2に示すようにコンデンサー、ガス導入管、滴下ロート、及び温度計を備えた4口フラスコに、酢酸ブチル100重量部を仕込み、イソホロンジイソシアネート(ヌレート型)69重量部、ヒドロキシエチルマレイミド31重量部を仕込み、窒素気流下、90℃で3時間反応し、固形分50%のマレイミド付加ウレタン樹脂溶液を得た。ここでIRスペクトルにより水酸基とイソシアネート基との反応が完了していることを確認した。

<接着剤組成物の製造>
(実施例1〜13)
固形分換算で100重量部のジエン構造を有する硬化性化合物(X)に対し、ジエノフィル構造を有する硬化性化合物(Y)を表3に示す配合比にて配合すると共に、添加剤としてグリシジル基含有シランカップリング剤(「KBM−403」信越化学社製)を3.0重量部配合し、さらに酢酸エチルで固形分が30%になるように調整した。
(比較例1、2)
固形分換算で100重量部のジエン構造を有しない硬化性化合物に対し、ジエノフィル構造を有しない硬化性化合物を表3に示す配合比にて配合すると共に、添加剤としてグリシジル基含有シランカップリング剤(「KBM−403」信越化学社製)を3.0重量部、ジラウリン酸ジオクチル錫(「ネオスタン U−810」、日東化成社製)を0.01重量部配合し、さらに酢酸エチルで固形分が30%になるように調整した。

なお、表3中の化合物は、下記の通りである。
(ジエノフィル構造を有する硬化性化合物(Y))
化合物A:BMI−5100(大和化成工業社製ビスマレイミド;3,3’−ジメチル−5,5’−ジエチル−4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド)
化合物B:BMI−2300(大和化成工業社製ビスマレイミド;ポリフェニルメタンマレイミド)
合成例13:マレイミド付加アクリル樹脂
合成例14:マレイミド付加ウレタン樹脂
(ジエノフィル構造を有しない硬化性化合物)
化合物C:タケネートD−160N(三井化学社製、ヘキサメチレンジイソシアネートのTMPアダクト変性体)
<積層シート(積層フィルム)の作製>
(積層フィルム1の作製)
実施例1〜13、比較例1、2の各接着剤組成物を用い、ポリエステルフィルム(東洋紡社製、E5101、厚み188μm)のコロナ処理面に、接着剤組成物を乾燥塗布量:4〜5g/mとなる量でドライラミネーターによって塗布した。そして、溶剤を揮散させた後、ETFE(旭硝子社製、Fluon、厚み50μm)のコロナ処理面にラミネートした。その後、60℃で3日間の硬化処理(エージング)を行うことにより接着剤を硬化させて、[ETFE(旭硝子社製、Fluon、厚み50μm)/接着剤層/ポリエステルフィルム(東洋紡社製、E5101、厚み188μm、(以後188PETと略する))]の構成である積層フィルム1を作製した。
(積層フィルム2の作製)
実施例1〜13、比較例1、2の接着剤組成物を用い、前述の積層フィルム1の作製法に準じ、[LLDPE(フタムラ社製、LL−XUM、厚み50μm)/接着剤層/188PET]なる構成の積層フィルム2を作製した。
(積層フィルム3の作製)
実施例1〜13、比較例1、2の接着剤組成物を用い、前述の積層フィルム1の作製法に準じ、[ポリエステルフィルム(東レ社製、ルミラーX−10S、厚み50μm)/接着剤層/188PET]なる構成の積層フィルム3を作製した。
(積層フィルム4の作製)
実施例1〜13、比較例1、2の接着剤組成物を用い、前述の積層フィルム1の作製法に準じ、[AL箔(厚み30μm)/接着剤層/188PET]なる構成の積層フィルム4を作製した。
<積層シート(積層フィルム)の評価>
表4に、積層フィルム1〜4の初期接着力と85℃、湿度85%雰囲気下において1000時間、及び2000時間暴露後の接着力と塗膜外観による気泡の有無を示す。以下に具体的な評価方法を説明する。
(初期接着力試験)
エージング後の前記積層フィルム1〜4をそれぞれ200mm×15mmの大きさに切断し、25℃、湿度65%の環境下で6時間静置後、引張り試験機を用いて、25℃、湿度65%の環境下で、荷重速度100mm/分でT型剥離試験をおこなった。ETFEフィルム/188PET間、LLDPEフィルム/188PETフィルム間、X−10Sフィルム/188PETフィルム間、AL箔/188PETフィルム間の剥離強度(N/15mm巾)を5個の試験片の平均値で示す。
また、上記平均値について下記評価基準に従い評価を行った。
《評価基準》
[積層フィルム1の接着力試験]
◎ 実用上優れる:10 N/15mm以上
○ 実用域:8以上〜10未満 N/15mm
△ 実用下限:6以上〜8未満 N/15mm
× 実用不可:6 N/15mm未満
[積層フィルム2の接着力試験]
◎ 実用上優れる:12 N/15mm以上
○ 実用域:10以上〜12未満 N/15mm
△ 実用下限:8以上〜10未満 N/15mm
× 実用不可:8 N/15mm未満
[積層フィルム3の接着力試験]
◎ 実用上優れる:16 N/15mm以上
○ 実用域:14以上〜16未満 N/15mm
△ 実用下限:12以上〜14未満 N/15mm
× 実用不可:12 N/15mm未満
[積層フィルム4の接着力試験]
◎ 実用上優れる:20 N/15mm以上
○ 実用域:18以上〜20未満 N/15mm
△ 実用下限:16以上〜18未満 N/15mm
× 実用不可:16 N/15mm未満
(耐湿熱性試験後の接着力試験)
エージング後の前記積層フィルム1〜4をそれぞれ200mm×15mmの大きさに切断し、85℃、湿度85%の環境下で1000時間、及び2000時間静置した。その後、25℃、湿度65%の環境下で6時間静置後、引張り試験機を用いて、25℃、湿度65%の環境下で、荷重速度100mm/分でT型剥離試験をおこなった。ポリエステルフィルム/ETFEフィルム間、LLDPEフィルム/188PETフィルム間、X−10Sフィルム/188PETフィルム間、AL箔/188PETフィルム間の剥離強度(N/15mm巾)を5個の試験片の平均値で示す。
また、上記平均値について初期接着力と同等基準で評価を行った。
(塗膜外観)
耐湿熱性試験後の前記積層フィルムの外観を目視で評価を行い気泡の有無を評価した。

表4に示されるように、実施例の接着剤組成物は、エージング後の初期接着力、及び耐湿熱性試験後の接着力に優れ、長期にわたり接着強度を維持することができることがわかった。また、イソシアネート系硬化剤を使用しないため、積層体に気泡を生じなかった。従って、これらの実施例の接着剤組成物は、屋外用途向けの長期耐湿熱性に優れていると考えられる。
・ポリ(メタ)アクリレート(X−1)として、フルフリルメタクリレート共重合体を使用した実施例1は、実施例2〜4に比べ接着力に優れることが示された。
・ポリ(メタ)アクリレート(X−1)として、カルボキシル基や水酸基を有する実施例5、6は、実施1に比べ接着力に優れることが示された。
・ポリ(メタ)アクリレート(X−1)として、重量平均分子量が約80000の実施例1は、実施例7に比べエージング後の接着力が大きく、耐湿熱性試験で接着力が低下しないことが示された。
・ポリ(メタ)アクリレート(X−1)として、ガラス転移温度(Tg)が−2℃の実施例1は、実施例11及び12に比べエージング後の接着力が大きく、耐湿熱性試験で接着力が低下しないことが示された。
・硬化性組成物として、シランカップリング剤を使用した実施例1〜3及び5〜13は、実施例4に比べ接着力に優れることが示された。
上記結果から、本発明に係る接着剤組成物は、建造物など屋外産業用途向け多層積層材(防壁材、外壁材、屋根材、太陽電池パネル材(太陽電池用裏面保護シート、太陽電池表面保護シート)、窓材、屋外フローリング材、照明保護材、自動車部材など)用、包装材、ラミネート鋼板用の接着剤として強い接着強度を提供することが確認された。また、屋外暴露時に加水分解などによる経時的な接着強度の低下を抑え、長期間にわたって強い接着強度を維持できることが示された。
本発明に係る接着剤組成物は、同一または異なる素材の被着体を接合するために用いるものであり、例えば、プラスチック系素材と金属系素材との多層積層体の接合に好適に用いられる。勿論、プラスチック系素材同士、金属系素材同士の接合にも好適である。本発明に係る接着剤組成物は、高温高湿度環境下に曝されても高い接着力を維持できる。従って、建造物など屋外産業用途向け多層積層材(防壁材、外壁材、屋根材、太陽電池パネル材(太陽電池用裏面保護シート、太陽電池表面保護シート)、窓材、屋外フローリング材、看板、ステッカー、照明保護材、自動車部材など)や、包装材、ラミネート鋼板用の接着剤として好適である。長期間にわたって経時的な接着強度を維持できるので、環境耐性が強く求められてきた用途、例えば、太陽電池用裏面保護シートの形成に特に好適である。また、太陽電池用表面保護シートの形成にも好適である。本発明に係る接着剤組成物は、特にプラスチックフィルムの表面処理層を含む層間で高い接着力を示すものであるが、表面未処理素材(表面未処理プラスチックフィルムも含む)にも好適に適用することができる。

Claims (6)

  1. ジエン構造を有する硬化性化合物(X)と、ジエノフィル構造を有する硬化性化合物(Y)とを含む接着剤組成物であって、
    ジエン構造が、フラン構造であり、かつ、
    ジエノフィル構造が、マレイミド構造であることを特徴とする接着剤組成物。
  2. 硬化性化合物(X)が、側鎖にフラン構造を有するポリ(メタ)アクリレート(X−1)であることを特徴とする請求項1記載の接着剤組成物。
  3. 側鎖にフラン構造を有するポリ(メタ)アクリレート(X−1)が、フルフリルメタクリレートを共重合組成に含むことを特徴とする請求項2記載の接着剤組成物。
  4. さらにシランカップリング剤を含有することを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の接着剤組成物。
  5. 請求項1〜4いずれか記載の接着剤組成物から形成された接着剤層を含む積層シート。
  6. 請求項1〜4いずれか記載の接着剤組成物から形成された接着剤層を含む太陽電池用裏面保護シート。
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