JP2016027078A - インクジェット記録用水系インクの製造方法 - Google Patents

インクジェット記録用水系インクの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2016027078A
JP2016027078A JP2014260749A JP2014260749A JP2016027078A JP 2016027078 A JP2016027078 A JP 2016027078A JP 2014260749 A JP2014260749 A JP 2014260749A JP 2014260749 A JP2014260749 A JP 2014260749A JP 2016027078 A JP2016027078 A JP 2016027078A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
pigment
mass
polyester resin
ink
organic solvent
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2014260749A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6420659B2 (ja
Inventor
浩司 水畑
Koji Mizuhata
浩司 水畑
雄大 松本
Takehiro Matsumoto
雄大 松本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kao Corp
Original Assignee
Kao Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kao Corp filed Critical Kao Corp
Priority to JP2014260749A priority Critical patent/JP6420659B2/ja
Publication of JP2016027078A publication Critical patent/JP2016027078A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6420659B2 publication Critical patent/JP6420659B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Ink Jet Recording Methods And Recording Media Thereof (AREA)
  • Inks, Pencil-Leads, Or Crayons (AREA)
  • Ink Jet (AREA)

Abstract

【課題】インクの吐出性と、印刷物の画像濃度及び耐光性に優れるインクジェット記録用水系インクの製造方法を提供する。
【解決手段】工程1〜4を含むインクジェット記録用水系インクの製造方法。
工程1:顔料とポリエステル樹脂を質量比(顔料/ポリエステル樹脂)5/95〜45/55で溶融混練し、混練物を得る工程
工程2:工程1で得られた混練物を有機溶媒及び塩基性化合物と混合し、混練物の有機溶媒系スラリーを得る工程
工程3:工程2で得られた有機溶媒系スラリーに、水をポリエステル樹脂100質量部に対して、1質量部/min以上20質量部/min以下の速度で100質量部以上1000質量部以下添加し、分散処理して分散液を得る工程
工程4:工程3で得られた分散液から有機溶媒を除去して、顔料を含有するポリエステル樹脂粒子の水系分散液を得る工程
【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット記録用水系インク及びその製造方法に関する。
インクジェット記録方式は非常に微細なノズルからインク液滴を記録部材に直接吐出し付着させて、文字や画像を得る記録方式である。この方式は、フルカラー化が容易で、かつ安価であり、記録部材として普通紙が使用可能、被印字物に対して非接触、という数多くの利点があるため普及が著しい。
このようなインクジェット記録においては、色材として高分散した顔料もしくは染料と、記録部材への定着のために樹脂分を配合した水系インクが用いられる。
特許文献1には、染料又は顔料を吸着させたポリエステルのサスペンションを含有することを特徴とする水系インクが、紙、OHPシート等の被印字物への定着性及び耐水性に優れることが開示されている。
特許文献2には、高濃度でにじみのない高品質な画質と屋外でも使用に耐える耐水性及び耐候性を備えた画像を得るために、インクジェット記録液用の水性着色粒子分散体を、親水性基及び疎水性基を併せ有し、しかも、イソフタル酸を全酸成分中50〜100モル%となる割合で使用して得られたポリエステル樹脂中に、顔料を分散させた着色樹脂が、水性媒体中に粒子状で分散されている分散体とすることが開示されている。
特開平9−183932号公報 特開2002−256181号公報
特許文献1及び2のように、高い画像濃度で、かつ、耐光性に優れたインクを得られる色材として、顔料を用いたインクジェットインクを得るために、種々の手法が検討されている。
しかし、顔料を水系に分散させた顔料粒子を用いたインクジェットインクにおいても、依然として耐光性が不十分であり、また、インク中へ顔料粒子を高分散させ小粒径化することで、紙などの記録部材においては顔料が部材の表面にとどまらず、部材の内部に浸透することで、画像濃度が低下してしまうという問題もあった。
本発明は、インクの吐出性と、印刷物の画像濃度及び耐光性に優れるインクジェット記録用水系インク及びその製造方法並びに前記インクジェット記録用水系インクに好適なポリエステル樹脂粒子の水系分散液を提供することを課題とする。
インクの耐光性については高分散された顔料が単独で存在することが悪化原因のひとつであると考えられるため、顔料を何らかの手段で覆うことが有効であると考えられる。また、紙への浸透に対しても顔料表面を改質し、紙との親和性を高めることで、紙表面で顔料と紙が相互作用し浸透抑制につながると考えられた。
検討の結果、顔料を樹脂に含有させたエマルションを色材としたインクとすることで、耐光性ならびに画像濃度低下を抑制することが可能であることを見出した。特に顔料を含有させたエマルションについては、あらかじめ顔料と樹脂を混練したものを分散させることが有効であることを見出した。更に、顔料を含有させたエマルションを製造する際に特定の有機溶媒を使用することで、インク中での顔料含有樹脂粒子の分散安定性が増すとともに、印刷物の光沢性が向上することを見出した。
すなわち、本発明は、次の[1]、[2]及び[3]を提供する。
[1]下記工程1〜4を含むインクジェット記録用水系インクの製造方法。
工程1:顔料とポリエステル樹脂を質量比(顔料/ポリエステル樹脂)5/95〜45/55で溶融混練し、混練物を得る工程
工程2:工程1で得られた混練物を有機溶媒及び塩基性化合物と混合し、混練物の有機溶媒系スラリーを得る工程
工程3:工程2で得られた有機溶媒系スラリーに、水をポリエステル樹脂100質量部に対して、1質量部/min以上20質量部/min以下の速度で100質量部以上1000質量部以下添加し、分散処理して分散液を得る工程
工程4:工程3で得られた分散液から有機溶媒を除去して、顔料を含有するポリエステル樹脂粒子の水系分散液を得る工程
[2]顔料を含有し、体積中位粒径が130nm以上450nm以下である、ポリエステル樹脂粒子の水系分散液。
[3]前記[2]の水系分散液を含むインクジェット記録用水系インク。
本発明によれば、インクの吐出性と、印刷物の画像濃度及び耐光性に優れるインクジェット記録用水系インク及びその製造方法並びに前記インクジェット記録用水系インクに好適なポリエステル樹脂粒子の水系分散液を提供することができる。
≪インクジェット記録用水系インクの製造方法≫
本発明のインクジェット記録用水系インクの製造方法は、下記工程1〜4を含むインクジェット記録用水系インクの製造方法である。
工程1:顔料とポリエステル樹脂を質量比(顔料/ポリエステル樹脂)5/95〜45/55で溶融混練し、混練物を得る工程
工程2:工程1で得られた混練物を有機溶媒及び塩基性化合物と混合し、混練物の有機溶媒系スラリーを得る工程
工程3:工程2で得られた有機溶媒系スラリーに、水をポリエステル樹脂100質量部に対して、1質量部/min以上20質量部/min以下の速度で100質量部以上1000質量部以下添加し、分散処理して分散液を得る工程
工程4:工程3で得られた分散液から有機溶媒を除去して、顔料を含有するポリエステル樹脂粒子の水系分散液を得る工程
本発明のインクジェット記録用水系インクの製造方法は、本発明の効果を損なわない限度において、工程1〜4以外の工程を有していてもよい。
なお、本明細書において、「インクジェット記録用水系インク」を単に「水系インク」又は「インク」と称することがある。また、「顔料を含有するポリエステル樹脂粒子」を「顔料含有ポリエステル樹脂粒子」、又は単に「顔料含有樹脂粒子」と称することがある。
本発明の水系インクが、インクの吐出性に優れ、また、印刷物の画像濃度及び耐光性に優れる理由は定かではないが、以下のように考えられる。
水系インク中に顔料を含有させる場合、顔料を界面活性剤や水不溶性樹脂を用いて水中へ分散させる方法が多くとられるが、印刷媒体上での顔料の定着性が低いため、媒体上で移動してにじみの原因となったり、媒体中に沈み込むために画像濃度が低下し易い。また、顔料が紫外線等に直接曝されるため、得られる画像の耐光性も低下し易い。
これに対し、本発明においては、顔料を含有するポリエステル樹脂粒子が、顔料及びポリエステル樹脂を質量比(顔料/ポリエステル樹脂)5/95〜45/55の比率で含有し、顔料がポリエステル樹脂で覆われた顔料含有樹脂粒子とすることで、ポリエステル樹脂が紙、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム等の印刷媒体との親和性が高いため、媒体上での顔料の移動や沈み込みが抑制され、定着性が向上することで画像濃度が向上するとともに、顔料がポリエステル樹脂で被覆されているため、耐光性にも優れるものと考えられる。
しかし、顔料を含有するポリエステル樹脂粒子を製造する際、凝集し易い顔料を水中に分散させるために、機械力を用いた強制乳化法等を用いると、樹脂を劣化させる恐れや、顔料が樹脂で十分に被覆されないまま分散してしまう恐れがある。
本発明においては、顔料とポリエステル樹脂との混練物を有機溶媒及び塩基性化合物と混合して混練物の有機溶媒系スラリーを得た後、水を添加することで、特殊な装置やエネルギーを浪費することなく、顔料を含有するポリエステル樹脂粒子を得る。ここで、水をポリエステル樹脂100質量部に対して、1質量部/min以上20質量部/min以下の速度で100質量部以上1000質量部以下添加することで、顔料含有樹脂粒子の水系分散液を分散安定性よく製造することができ、本水系分散液を用いた水系インクが吐出性に優れるものとなると考えられる。
特に、本発明においては、顔料とポリエステル樹脂とを予め溶融混練し、混練物を得る。これにより、ポリエステル樹脂中に顔料を小粒径化し分散させることができるため、得られる顔料を含有するポリエステル樹脂粒子間に顔料含有量のばらつきがなく、それゆえ、本発明の水系インクによる印刷画像は、画像濃度に優れると考えられる。
なお、本発明において、水系インクとは、水を主溶媒(溶媒の全質量に対して50質量%超となる量の溶媒)として用いたインクを指す。
<工程1>
工程1では、顔料とポリエステル樹脂を、顔料/ポリエステル樹脂が、質量基準で5/95〜45/55となる範囲で溶融混練し、混練物を得る。
顔料を含有するポリエステル樹脂粒子の水系分散液を得るのに先立ち、顔料とポリエステル樹脂を予め溶融混練することで、顔料に剪断を与えて小粒径化し、ポリエステル樹脂中に分散し易くなる。
顔料とポリエステル樹脂との量比(顔料/ポリエステル樹脂)は、水系分散液中の顔料含有樹脂粒子の分散安定性を向上させる観点、インクの吐出性を向上させる観点、印刷物の耐光性及び画像濃度を向上させる観点から、質量基準で5/95〜45/55であり、好ましくは8/92〜40/60であり、より好ましくは15/85〜37/63であり、更に好ましくは18/82〜32/68である。
〔顔料〕
本発明では着色剤として、印刷物の画像濃度、耐水性、耐擦過性、耐光性等を向上させる観点から、顔料を用いる。
顔料は、無機顔料及び有機顔料のいずれであってもよい。
無機顔料としては、例えば、カーボンブラック、金属酸化物等が挙げられ、特に黒色インクにおいては、カーボンブラックが好ましい。
有機顔料の具体例としては、アゾ顔料、ジアゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリノン顔料、ジオキサジン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、チオインジゴ顔料、アントラキノン顔料、キノフタロン顔料等が挙げられる。
色相は特に限定されず、イエロー、マゼンタ、シアン、ブルー、レッド、オレンジ、グリーン等の有彩色顔料をいずれも用いることができる。
好ましい有機顔料の具体例としては、C.I.ピグメント・イエロー、C.I.ピグメント・レッド、C.I.ピグメント・オレンジ、C.I.ピグメント・バイオレット、C.I.ピグメント・ブルー、及びC.I.ピグメント・グリーンからなる群から選ばれる1種以上の各品番製品が挙げられる。
本発明においては、自己分散型顔料を用いることもできる。自己分散型顔料とは、親水性官能基(カルボキシ基やスルホン酸基等のアニオン性親水基、又は第4級アンモニウム基等のカチオン性親水基)の1種以上を直接又は他の原子団を介して顔料の表面に結合することで、界面活性剤や樹脂を用いることなく水系媒体に分散可能である無機顔料や有機顔料を意味する。ここで、他の原子団としては、炭素数1以上12以下のアルカンジイル基、フェニレン基又はナフチレン基等が挙げられる。
上記の顔料は、単独で又は2種以上を任意の割合で混合して用いることができる。
〔ポリエステル樹脂〕
ポリエステル樹脂は、少なくとも、アルコール成分とカルボン酸成分とを重縮合して得られる。
[アルコール成分]
ポリエステル樹脂の原料モノマーであるアルコール成分は、インクの記録媒体への定着性を向上させる観点から、芳香族ジオールを含むことが好ましい。
芳香族ジオールとしては、ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物であることが好ましい。
なお、本発明において、ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物とは、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンにオキシアルキレン基を付加した構造全体を意味するものである。
ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物は、具体的には下記一般式(I)で表される化合物が好ましい。
一般式(I)において、OR、及びROは、いずれもオキシアルキレン基であり、好ましくは、それぞれ独立に炭素数1以上4以下のオキシアルキレン基であり、より好ましくは、オキシエチレン基又はオキシプロピレン基である。
x及びyは、アルキレンオキシドの平均付加モル数に相当する。更に、カルボン酸成分との反応性の観点から、xとyの和は2以上が好ましい。また、xとyの和は、同様の観点から、7以下が好ましく、5以下がより好ましく、3以下が更に好ましい。
また、x個のORとy個のROは、各々同一であっても異なっていてもよいが、インクの記録媒体への定着性を向上させる観点から、同一であることが好ましい。ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。このビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物は、ビスフェノールAのプロピレンオキシド付加物及びビスフェノールAのエチレンオキシド付加物が好ましく、ビスフェノールAのプロピレンオキシド付加物がより好ましい。
ポリエステル樹脂の原料モノマーであるアルコール成分中におけるビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物の含有量は、インクの記録媒体への定着性を向上させる観点から、好ましくは50モル%以上であり、より好ましくは80モル%以上であり、更に好ましくは90モル%以上であり、また、100モル%以下が好ましい。
ポリエステル樹脂の原料モノマーであるアルコール成分には、ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物以外に以下のアルコール成分を含有してもよい。
具体的には、ポリエステル樹脂の原料モノマーのアルコール成分としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール(1,2−プロパンジオール)、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、水素添加ビスフェノールA、ソルビトール、又はそれらのアルキレン(炭素数2以上4以下)オキシド付加物(平均付加モル数1以上16以下)等が挙げられる。前記アルコール成分は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
[カルボン酸成分]
ポリエステル樹脂の製造には、原料モノマーとして、アルコール成分以外にカルボン酸成分が用いられる。
カルボン酸成分には、カルボン酸並びにそれらの酸の無水物及びそれらのアルキル(炭素数1以上3以下)エステル等が含まれる。
ポリエステル樹脂の原料モノマーであるカルボン酸成分としては、芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸及び3価以上の多価カルボン酸が好ましく、インクの吐出性、記録媒体への画像の定着性、印刷物の光沢性、及びアルコール成分との反応性の観点から、芳香族ジカルボン酸及び脂肪族ジカルボン酸がより好ましく、脂肪族ジカルボン酸が更に好ましい。
芳香族ジカルボン酸としては、フタル酸、イソフタル酸、及びテレフタル酸が好ましく、テレフタル酸がより好ましい。
脂肪族ジカルボン酸としては、不飽和脂肪族ジカルボン酸及び飽和脂肪族ジカルボン酸が挙げられ、インクの吐出性を向上させる観点、印刷物の耐光性及び画像濃度を向上させる観点、及びアルコール成分との反応性の観点から、不飽和脂肪族ジカルボン酸が好ましい。
不飽和脂肪族ジカルボン酸としては、同様の観点から、フマル酸、及びマレイン酸が好ましく、フマル酸がより好ましい。
飽和脂肪族ジカルボン酸としては、アジピン酸、及びコハク酸(コハク酸は、アルキル基及び/又はアルケニル基で置換されていてもよい)が好ましい。
脂環族ジカルボン酸としては、シクロヘキサンジカルボン酸、デカリンジカルボン酸、及びテトラヒドロフタル酸が好ましい。
3価以上の多価カルボン酸としては、トリメリット酸、及びピロメリット酸が好ましい。
前記カルボン酸成分は、単独で又は2種以上が含まれていてもよい。
(ポリエステル樹脂の製造方法)
ポリエステル樹脂は、アルコール成分とカルボン酸成分とを重縮合して得られる。ポリエステル樹脂は、アルコール成分と脂肪族ジカルボン酸を含有するカルボン酸成分とを重縮合して得られることが好ましい。アルコール成分の及びカルボン酸成分の好適な構造及び好適な含有量は既述のとおりである。
ポリエステル樹脂は、例えば、前記アルコール成分とカルボン酸成分とを不活性ガス雰囲気中にて、必要に応じエステル化触媒を用いて、180℃以上250℃以下の温度で重縮合することにより製造することができる。
エステル化触媒としては、スズ触媒、チタン触媒、三酸化アンチモン、酢酸亜鉛、二酸化ゲルマニウム等の金属化合物等が挙げられる。ポリエステルの合成におけるエステル化反応の反応効率の観点から、スズ触媒が好ましい。スズ触媒としては、酸化ジブチルスズ、ジ(2−エチルヘキサン)酸スズ(II)、これらの塩等が好ましく用いられ、ジ(2−エチルヘキサン)酸スズ(II)がより好ましく用いられる。必要に応じて、更に、没食子酸等のエステル化助触媒を用いてもよい。エステル化触媒の使用量は、アルコール成分とカルボン酸成分との総量100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上であり、また、好ましくは1質量部以下、より好ましくは0.8質量部以下である。
また、t−ブチルカテコール、ハドロキノン等のラジカル重合禁止剤を併用してもよい。重合禁止剤の使用量は、アルコール成分とカルボン酸成分との総量100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上、より好ましくは0.005質量部以上であり、また、好ましくは0.5質量部以下、より好ましくは0.1質量部以下である。
(ポリエステル樹脂の物性)
インクの吐出性を向上させる観点、印刷物の耐光性及び画像濃度を向上させる観点から、ポリエステル樹脂の軟化点は、好ましくは85℃以上、より好ましくは90℃以上、更に好ましくは95℃以上であり、また、好ましくは120℃以下、より好ましくは115℃以下、更に好ましくは110℃以下、より更に好ましくは105℃以下である。
インクの吐出性を向上させる観点、印刷物の耐光性及び画像濃度を向上させる観点から、ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)は好ましくは50℃以上、より好ましくは55℃以上であり、また、好ましくは75℃以下、より好ましくは70℃以下、更に好ましくは65℃以下、より更に好ましくは60℃以下である。
インクの吐出性を向上させる観点、印刷物の耐光性及び画像濃度を向上させる観点、並びにポリエステル樹脂粒子の分散安定性を向上させる観点から、ポリエステル樹脂の酸価は、好ましくは15mgKOH/g以上、より好ましくは17mgKOH/g以上、更に好ましくは20mgKOH/g以上であり、また、好ましくは30mgKOH/g以下、より好ましくは25mgKOH/g以下、更に好ましくは23mgKOH/g以下である。
ポリエステル樹脂の軟化点、ガラス転移温度、及び酸価は、いずれも、ポリエステル樹脂の製造に用いるモノマーの種類、配合比率、重縮合の温度、反応時間を適宜調節することにより所望のものを得ることができる。
なお、本発明において、ポリエステルには、未変性のポリエステルのみならず、実質的にその特性を損なわない程度に変性されたポリエステルも含まれる。変性されたポリエステルとしては、例えば、特開平11−133668号公報、特開平10−239903号公報、特開平8−20636号公報等に記載の方法によりフェノール、ウレタン、エポキシ等によりグラフト化やブロック化したポリエステルや、ポリエステルユニットを含む2種以上の樹脂ユニットを有する複合樹脂が挙げられる。
顔料を含有するポリエステル樹脂粒子を構成する樹脂としては、本発明の効果を損なわない範囲で、ポリエステル以外に、例えば、スチレン−アクリル共重合体、エポキシ、ポリカーボネート、ポリウレタン等を使用することができる。顔料を含有するポリエステル樹脂粒子を構成する樹脂中のポリエステルの含有量は、インクの吐出性を向上させる観点、印刷物の耐光性及び画像濃度を向上させる観点から、樹脂中、好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上、更に好ましくは98質量%以上、より更に好ましくは実質的に100質量%、より更に好ましくは100質量%である。
(混練物の製造)
工程1では、顔料とポリエステル樹脂を溶融混練し、混練物を得る。
混練物は、顔料とポリエステル樹脂以外の成分、例えば、浸透剤、分散剤、界面活性剤、粘度調整剤、消泡剤、防腐剤、防黴剤、防錆剤等の各種添加剤を含有していてもよいが、インクの吐出性を向上させる観点、印刷物の耐光性及び画像濃度を向上させる観点から、混練物中における顔料及びポリエステル樹脂の合計含有量は、好ましくは80質量%以上であり、より好ましくは90質量%以上であり、また、好ましくは100質量%以下である。混練物中における顔料及びポリエステル樹脂の合計含有量は、更に好ましくは100質量%である。
工程1は、顔料とポリエステル樹脂との溶融混練前に、顔料とポリエステル樹脂とを予め混合する混合工程を有していることが好ましい。
溶融混練前に、予め、顔料とポリエステル樹脂とを機械的に混合しておくことで、ポリエステル樹脂中への顔料の分散性を高めることができる。顔料とポリエステル樹脂との機械的な混合は、ヘンシェルミキサー、ボールミル等の混合機を用いて、公知の条件で行なうことができ、その手法は特に制限されない。例えば、混合機としてヘンシェルミキサーを用いる場合、1000rpm以上2000rpm以下の撹拌速度で顔料とポリエステル樹脂とを撹拌する手法が挙げられる。
混合工程では、顔料とポリエステル樹脂以外の成分、例えば、浸透剤、分散剤、界面活性剤、粘度調整剤、消泡剤、防腐剤、防黴剤、防錆剤等の各種添加剤を更に混合してもよい。
〔溶融混練〕
顔料とポリエステル樹脂とを含む混練物は、例えば、混練機を用いて溶融混練することにより得る。また、着色剤の水性ペーストと樹脂を混練しフラッシングにより水を除去する方法、いわゆるフラッシング法により、顔料と樹脂の溶融混練物を得てもよい。
好ましくは混合工程の終了後、顔料とポリエステル樹脂との混合物を混練機に供給し溶融混練する。
溶融混練を行うための混練機としては、一軸又は二軸の押出機、ロールミルによるバッチ式混練機、オープンロール型混練機、密閉式ニーダー等の公知の混練機を用いることができ、好ましくは、二軸押出機、ロールミル型バッチ式押出機、及びオープンロール型混練機である。例えば、株式会社神戸製鋼所社製KTK型2軸押出機、東芝機械株式会社製TEM型押出機、有限会社ケイ・シー・ケイ応用技術研究所製2軸押出機、株式会社池貝製PCM型2軸押出機、オープンロール型連続混練機等が好適に用いられる。
溶融混練機は、溶融混練時の温度を低減し、樹脂に顔料を効率よく高分散させることができる観点から、より好ましくは二軸押出機である。
二軸押出機は、一般に2本のスクリューをバレルが覆い隠す閉鎖型の構造を有する。二軸押出機には、通常、スクリューの供給部、圧縮部、及び計量部に対応する部分のいずれか又は全部にヒーターを備えることができ、供給部、圧縮部、及び計量部に対応する部分のバレルを加熱し、バレル温度(二軸押出機内部壁面の温度)を調整することができる。バレル温度を調整することにより溶融混練温度を調整することができる。
溶融混練の条件は特に制限されないが、樹脂に顔料を効率よく高分散させる観点から、バレル温度は、好ましくは70℃以上、より好ましくは80℃以上であり、また、好ましくは140℃以下、より好ましくは120℃以下である。
また、二軸の軸回転の周速は、樹脂に顔料を効率よく高分散させる観点から、0.1m/sec以上、1m/sec以下が好ましい。
二軸押出機への混合物の供給速度は、使用する混練機の許容能力と、上記のバレル温度及び軸回転の周速に応じて適宜調整する。
混練物は、粉砕が可能な程度に冷却した後、粉砕することが好ましい。混練物の冷却は、例えば、溶融混練した混練物を冷却ベルト、冷却ローラー等に押し出すことにより行う。
粉砕は、粉砕機を用いて混練物を、1〜5mm程度に粗粉砕する。粗粉砕に好適に用いられる粉砕機としては、ハンマーミル、アトマイザー、ロートプレックス等が挙げられる。粉砕は、更に微粉砕を行って小粒径化してもよく、必要に応じて分級してもよい。
<工程2>
工程2では、工程1で得られた混練物を有機溶媒及び塩基性化合物と混合し、混練物の有機溶媒系スラリーを得る。
混練物を、有機溶媒及び塩基性化合物と混合し有機溶媒系スラリーとすることで、溶融混練により小粒径化してポリエステル樹脂中に分散させた顔料を、更に均一に分散させ、後に得られる顔料を含有するポリエステル樹脂粒子中の顔料の含有状態を粒子間でそろえることができる。ここで、有機溶媒系スラリーとは、分散媒の主成分(全溶媒中の含有量が50質量%超である成分)が有機溶媒であるスラリーをいう。従って、有機溶媒系スラリーは有機溶媒よりも少ない量で、例えば水を含んでいてもよい。
工程2で用いる有機溶媒は、水溶性であることが好ましく、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール系有機溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系有機溶媒、テトラヒドロフラン等のエーテル系有機溶媒が挙げられる。中でも、好ましくはケトン系有機溶媒であり、インクの吐出性を向上させる観点、印刷物の耐光性及び画像濃度を向上させる観点から、より好ましくはメチルエチルケトンである。また、インク中での顔料を含有するポリエステル樹脂粒子の分散安定性をより向上させる観点、及び印刷物の光沢性を向上させる観点から、より好ましくはアセトンである。
前記有機溶媒は、単独で又は2種以上を混合して用いてもよい。インク中での顔料を含有するポリエステル樹脂粒子の分散安定性をより向上させる観点、及び印刷物の光沢性を向上させる観点から、有機溶媒中にアセトンを好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは85質量%以上含有する。
塩基性化合物としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどの1価のアルカリ金属の水酸化物、アンモニア、各種アミン等が挙げられ、好ましくは水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニアが挙げられる。
塩基性化合物は、水溶液として用いることが好ましい。塩基性化合物水溶液の塩基性化合物の濃度は、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上であり、また、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは7質量%以下である。
工程2では、混練物を、有機溶媒及び塩基性化合物に加えて、各種添加剤と混合してもよいが、インクの吐出性を向上させる観点、印刷物の耐光性及び画像濃度を向上させる観点から、混練物と、有機溶媒及び塩基性化合物との混合には、界面活性剤、分散剤、及び消泡剤を用いないことが好ましい。具体的には、工程2において界面活性剤、分散剤、及び消泡剤のいずれか1種以上を使用する場合、これらの使用量の合計は、混練物100質量部に対して1質量部以下が好ましく、0.5質量部以下がより好ましい。
混練物と有機溶媒との混合比(混練物/有機溶媒)は、質量基準で、好ましくは100/30〜100/200、より好ましくは100/50〜100/170、更に好ましくは100/50〜100/150である。
また、混練物と塩基化合物との混合比(混練物/塩基化合物)は、質量基準で、好ましくは100/0.5〜100/5、より好ましくは100/1〜100/3である。
混練物と、有機溶媒及び塩基性化合物との混合方法は特に制限されないが、混練物中のポリエステル樹脂を有機溶媒中に混合した後、更に塩基性化合物水溶液を添加してから撹拌して混合することが好ましい。インクの吐出性を向上させる観点、印刷物の耐光性及び画像濃度を向上させる観点から、混練物と、有機溶媒及び塩基性化合物との混合時間は、好ましくは0.2時間以上、より好ましくは0.4時間以上、更に好ましくは0.5時間以上であり、また、好ましくは8時間以下、より好ましくは6時間以下、更に好ましくは5時間以下である。
また、塩基性化合物の添加後の混合時間は、好ましくは0.2時間以上、より好ましくは0.3時間以上、更に好ましくは0.4時間以上であり、また、好ましくは4時間以下、より好ましくは2時間以下、更に好ましくは1時間以下である。
混練物と有機溶媒との混合温度、及び、塩基性化合物添加後の混合温度は、成分を均一に混合する観点から、好ましくは20℃以上、より好ましくは25℃以上、更に好ましくは27℃以上であり、また、好ましくは40℃以下、より好ましくは35℃以下、更に好ましくは33℃以下である。
<工程3>
工程3では、工程2で得られた有機溶媒系スラリーに、水をポリエステル樹脂100質量部に対して、1質量部/min以上20質量部/min以下の速度で100質量部以上1000質量部以下添加し、分散処理して分散液を得る。
有機溶媒系スラリーに対する水の添加速度が、ポリエステル樹脂100質量部に対して1質量部以上であることで、顔料を含有するポリエステル樹脂粒子の生産性が高くなり、20質量部以下であることで、続く工程4において有機溶媒を除去した後も、水中での分散安定性に優れる顔料含有樹脂粒子を得ることができる。
有機溶媒系スラリーに対する水の添加速度は、水系分散液中の顔料含有樹脂粒子の分散安定性を向上させる観点、インクの吐出性を向上させる観点、印刷物の耐光性及び画像濃度を向上させる観点から、ポリエステル樹脂100質量部に対して、好ましくは2質量部/min以上、より好ましくは3質量部/min以上、更に好ましくは5質量部/min以上であり、また、好ましくは18質量部/min以下であり、より好ましくは15質量部/min以下であり、更に好ましくは13質量部/min以下、より更に好ましくは10質量部/min以下である。
水の添加量は、水系分散液中の顔料含有樹脂粒子の分散安定性を向上させる観点から、混練物100質量部に対して、100質量部以上であり、好ましくは150質量部以上、より好ましくは200質量部以上である。また、1000質量部以下であり、好ましくは500質量部以下、より好ましくは250質量部以下である。
有機溶媒系スラリーに対する水の添加は、有機溶媒系スラリーの撹拌下で行うことが好ましい。撹拌速度(翼先端の周速)は、インクの吐出性を向上させる観点、印刷物の耐光性及び画像濃度を向上させる観点から、好ましくは0.8m/sec以上、より好ましくは1.0m/sec以上、更に好ましくは1.2m/sec以上であり、また、好ましくは2.0m/sec以下、より好ましくは1.7m/sec以下、更に好ましくは1.5m/sec以下である。
有機溶媒系スラリーに対する水の添加時の温度は、成分を均一に混合する観点から、好ましくは20℃以上、より好ましくは25℃以上、更に好ましくは27℃以上であり、また、好ましくは40℃以下であり、より好ましくは35℃以下であり、更に好ましくは33℃以下である。
<工程4>
工程4では、工程3で得られた分散液から有機溶媒を除去して、顔料を含有するポリエステル樹脂粒子の水系分散液を得る。
工程4で得られる顔料を含有するポリエステル樹脂粒子(顔料含有樹脂粒子)の体積中位粒径は、130nm以上450nm以下であることが好ましい。
ここで「体積中位粒径」とは、体積分率で測定した累積体積頻度が、粒径の小さい方から累積して50%になる粒径を意味する。その測定方法は、実施例に記載のとおりである。
顔料を含有するポリエステル樹脂粒子の体積中位粒径が、130nm以上であることで印刷物の画像濃度及び印刷物の耐光性に優れ、450nm以下であることで、インクの吐出性に優れる。
顔料を含有するポリエステル樹脂粒子の体積中位粒径は、インクの吐出性を向上させる観点から、より好ましくは150nm以上、更に好ましくは170nm以上、より更に好ましくは200nm以上、より更に好ましくは230nm以上、より更に好ましくは250nm以上、より更に好ましくは270nm以上であり、また、より好ましくは350nm以下、更に好ましくは330nm以下、より更に好ましくは310nm以下であり、インク中での顔料を含有するポリエステル樹脂粒子の分散安定性を向上させる観点、及び印刷物の光沢性を向上させる観点から、より更に好ましくは250nm以下、より更に好ましくは215nm以下である。
分散液から有機溶媒を除去する手法は特に制限されないが、分散液の加熱及び減圧の少なくとも一方により行うことが好ましく、分散液を加熱した後、減圧して有機溶媒を留去することがより好ましい。減圧は段階的に行うことが好ましい。
分散液の加熱温度は、好ましくは35℃以上、より好ましくは45℃以上、更に好ましくは55℃以上であり、また、好ましくは85℃以下、より好ましくは75℃以下、更に好ましくは65℃以下である。
顔料を含有するポリエステル樹脂粒子の水系分散液中、顔料の含有量は、好ましくは2質量%以上、より好ましくは5質量%以上であり、また、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下である。
顔料を含有するポリエステル樹脂粒子の水系分散液中、ポリエステル樹脂の含有量は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上であり、また、好ましくは40質量%以下、より好ましくは20質量%以下である。
顔料を含有するポリエステル樹脂粒子の水系分散液中、水の含有量は、好ましくは40質量%以上、より好ましくは60質量%以上であり、また、好ましくは88質量%以下、より好ましくは80質量%以下である。
顔料とポリエステル樹脂との質量比〔顔料/ポリエステル樹脂〕は、既述のとおりである。
水系分散液中の有機溶媒は実質的に除去されていることが好ましいが、本発明の目的を損なわない限り、残存していてもよい。残留有機溶媒の量は、好ましくは0.1質量%以下、より好ましくは0.01質量%以下である。
得られた顔料を含有するポリエステル樹脂粒子の水系分散液は、そのままインクジェット記録用水系インクとして使用することができるが、更に、必要に応じて任意成分である各種添加剤と混合して用いるのが好ましい。
任意成分である各種添加剤としては、有機溶媒、浸透剤、分散剤、界面活性剤、粘度調整剤、消泡剤、防腐剤、防黴剤、防錆剤等が挙げられる。
前記添加剤としての有機溶媒としては、グリセリン、1,2−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、エチレングリコール、アセチレングリコール等の多価アルコール、2−ピロリドン等のピロリドン、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル等のグリコールエーテルが好ましく、これらを2つ以上併用することがより好ましい。添加剤としての有機溶媒の含有量は、水系インクの吐出性を良好にする観点から、水系インク中で、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上であり、上限は、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下である。
次に、任意成分と混合する場合の好適例を説明する。
先ず、イオン交換水等の水と、必要に応じて任意成分である有機溶媒及び各種添加剤の少なくとも1種とを混合し、必要に応じて撹拌して、混合溶液を得る。
次いで、この混合液を、顔料を含有するポリエステル樹脂粒子の水系分散液に混合し、必要に応じてフィルター等で濾過することにより、水系インクを好適に得ることができる。
水系インクに含まれる顔料を含有するポリエステル樹脂粒子の含有量は、インクの吐出性を向上させる観点、印刷物の画像濃度及び耐光性を向上させる観点から、水系インク中で、好ましくは2質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは8質量%以上であり、また、好ましくは25質量%以下、より好ましくは20質量%以下である。
水系インクに含まれる水の含有量は、水系インクの吐出性を良好にする観点から、水系インク中で、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上、更に好ましくは40質量%以上であり、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下、更に好ましくは80質量%以下である。
≪水系分散液、インクジェット記録用水系インク≫
本発明の水系分散液は、顔料を含有するポリエステル樹脂粒子が分散した分散液であり、顔料を含有するポリエステル樹脂粒子の体積中位粒径が130nm以上450nm以下である。
また、本発明の水系分散液は、インクジェット記録用水系インクとして好適に用いられる。
既述の本発明のインクジェット記録用水系インクの製造方法により、顔料がポリエステル樹脂に内包された本発明の水系分散液が得られる。本発明の水系分散液及びインクジェット記録用水系インクに用い得る顔料、ポリエステル樹脂等の構成成分は、本発明のインクジェット記録用水系インクの製造方法で挙げた成分を用いることができ、好ましい態様も同様である。また、顔料を含有するポリエステル樹脂粒子(顔料含有樹脂粒子)の形態も本発明のインクジェット記録用水系インクの製造方法で説明した形態であることが好ましい。
以下に実施例等により、本発明を更に具体的に説明する。以下の実施例等においては、各物性は次の方法により測定した。
[樹脂の酸価]
JIS K0070に従って測定した。但し、測定溶媒をアセトンとトルエンの混合溶媒〔アセトン:トルエン=1:1(容量比)〕とした。
[樹脂の軟化点]
フローテスター「CFT−500D」(株式会社島津製作所製)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/minで加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出した。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とした。
[樹脂のガラス転移温度]
示差走査熱量計「Q−20」(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製)を用いて、試料をまず200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/minで0℃まで冷却した後、昇温速度10℃/minで熱量を測定した。観測される吸熱ピークのうち、ピーク面積が最大のピーク温度を吸熱の最大ピーク温度とし、吸熱の最大ピーク温度以下のベースラインの延長線と、該ピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点温度をガラス転移温度とした。
[樹脂粒子の体積中位粒径(D50)]
(1)測定装置:レーザー回折型粒径測定機「LA−920」(株式会社堀場製作所製)
(2)測定条件:測定用セルに蒸留水を加え、吸光度が適正範囲になる濃度で体積中位粒径(D50)を測定した。
[樹脂粒子の固形分濃度]
赤外線水分計「FD−230」(株式会社ケツト科学研究所製)を用いて、測定試料5gを乾燥温度150℃、測定モード96(監視時間2.5分/変動幅0.05%)にて、水分(質量%)を測定した。固形分濃度は下記の式に従って算出した。
固形分濃度(質量%)=100−水分(質量%)
(1)インクの吐出性の評価
インクを、シリコンチューブを介して、インクジェットプリンター「IPSiO GX 2500」(株式会社リコー製)のシアンヘッド上部のインク注入口に充填した。
フォトショップ(アドビ社製、商品名)によりベタ印字の印刷パターン(横204mm×縦275mmの大きさ)を作成し、吐出量が14±2g/mとなるように汎用光沢紙「OKトップコート」(王子製紙株式会社製、坪量84.9g/m)に印刷し、基準となる印刷物を得た。気温20℃、相対湿度35%の環境下でインクジェットプリンターノズル部分を大気暴露させた。その後、フォトショップによりベタ印字の印刷パターン(横204mm×縦275mmの大きさ)を作成し、汎用光沢紙「OKトップコート」(王子製紙株式会社製、坪量84.9g/m)に印刷した。基準となる印刷物と大気暴露後の印刷物の液体組成物の塗布状態を比較して吐出性を評価した。
具体的には、基準となる印刷物と比較して得られた画像を2値化処理して塗布不良領域を得、印刷領域中における塗布不良領域の面積割合(%)を算出した。値が小さいほど吐出性に優れる。評価基準は次のとおりである。
−評価基準−
A:印刷領域中における塗布不良領域の面積割合が1%未満である。
B:印刷領域中における塗布不良領域の面積割合が1%以上5%未満である。
C:印刷領域中における塗布不良領域の面積割合が5%以上である。
(2)印刷物の画像濃度の評価
インクジェットプリンター「IPSiO GX 2500」(株式会社リコー製、ピエゾ方式)に水系インクを充填し、汎用光沢紙「OKトップコート」(王子製紙株式会社製、坪量84.9g/m)に「光沢紙、きれい、カラーマッチングしない」の条件にて、A4ベタ画像を印刷した。
印刷物を25℃、相対湿度50%で24時間放置後、印刷面の画像濃度を測定した。
画像濃度の測定には分光光度計「Spectro Eye」(グレタグマクベス社製)を用い、測定条件を、観測光源D65、観測視野2度、濃度基準をDIN16536とし、マゼンタの色濃度成分の数値を読み取った。測定回数は、測定する場所を変え、双方向印字の往路において印字された部分から5点、復路において印字された部分から5点をランダムに選び、合計10点の平均値を求めた。測定値が大きい方が良好である。
(3)画像の耐光性の評価
インクを、シリコンチューブを介して、インクジェットプリンター「IPSiO GX 2500」(株式会社リコー製)のシアンヘッド上部のインク注入口に充填した。
フォトショップ(アドビ社製、商品名)によりベタ印字の印刷パターン(横204mm×縦275mmの大きさ)を作成し、吐出量が14±2g/mとなるように汎用光沢紙「OKトップコート」(王子製紙株式会社製、坪量84.9g/m)に印刷し、評価用の印刷物を得た。評価用印刷物をサンシャインウェザーメーター「WEL−SUN−DC−B」(スガ試験機株式会社製、光源:カーボンアーク灯、照射時間48時間)に入れ、耐光性試験を行ない、色相変化量によって、耐光性を評価した。
色相変化量は、光学濃度計(グレタグマクベス社製)を用い印字物の光学反射濃度を測定し、照射前後におけるLを色彩色差計(グレタグマクベス社製)で測定し、下記式により、色相変化量ΔEを算出して耐光性を評価した。色相変化量が小さい値ほど、耐光性が良好である。
・色相変化量ΔE=[(L −L +(a −a +(b −b 1/2
(照射前のL値:L 、a 、b
(照射後のL値:L 、a 、b
(4)印刷物の光沢性の評価
インクジェットプリンター「IPSiO GX 2500」(株式会社リコー製、ピエゾ方式)に水系インクを充填し、汎用光沢紙「OKトップコート」(王子製紙株式会社製、坪量84.9g/m)に「光沢紙、きれい、カラーマッチングしない」の条件にて、A4ベタ画像を印刷した。
印刷物を25℃、相対湿度50%で24時間放置後、光沢計「グロスチェッカーIG−330」(株式会社堀場製作所製)を用いて測定した。測定角度は60°とした。測定する場所を変え、合計5点の平均値を求めて得られた値を光沢の値とした。値が大きい方が良好な光沢である。
(5)インク中の顔料含有ポリエステル樹脂粒子の長期分散安定性の評価
水系インクを製造した直後の顔料含有ポリエステル樹脂粒子の体積中位粒径を測定し、これを保存前粒径とした。次に製造したインク10gを20ml容のガラス製サンプル管に入れ、70℃の恒温槽中で1週間静置した。その後、25℃で12時間以上静置してから体積中位粒径を測定し保存後粒径とした。下記式により、粒径変化率を求め、インク中の顔料含有ポリエステル樹脂粒子の分散安定性を評価した。粒径変化率が小さいほど分散安定性が良好であり、長期の分散安定性に優れる。
粒径変化率[%]=[((保存後粒径[nm])−(保存前粒径[nm]))/(保存前粒径[nm])]×100
製造例1
(ポリエステル樹脂Aの製造)
窒素導入管、脱水管、撹拌機、及び熱電対を装備した四つ口フラスコの内部を窒素置換し、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン3004g、フマル酸996g、tert−ブチルカテコール2g、及び酸化ジブチルスズ8gを入れ、窒素雰囲気下、撹拌しながら、5時間かけて210℃まで昇温し、210℃で2時間保持した後、8.3kPaにて軟化点が100℃に達するまで反応を行い、ポリエステル樹脂Aを得た。ポリエステル樹脂Aの特性を表1に示す。
製造例2
(ポリエステル樹脂Bの製造)
窒素導入管、脱水管、撹拌機、及び熱電対を装備した四つ口フラスコの内部を窒素置換し、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン3374g、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン33g、テレフタル酸672g、及び酸化ジブチルスズ10gを入れ、窒素雰囲気下、撹拌しながら、230℃に昇温し、5時間保持した後、更にフラスコ内の圧力を下げ、8.3kPaにて1時間保持した。その後、210℃まで冷却し、大気圧に戻した後、フマル酸696g、tert−ブチルカテコール0.49gを加え、210℃の温度下で5時間保持した後に、更にフラスコ内の圧力を下げ、8.3kPaにて4時間保持させて、ポリエステル樹脂Bを得た。ポリエステル樹脂Bの特性を表1に示す。
製造例3
(顔料と樹脂の混練物Aの製造)
ポリエステル樹脂A 4900gと、銅フタロシアニン顔料「ECB−301」(大日精化工業株式会社製)2100gを、20Lヘンシェルミキサーを用いて回転数1500rpm(周速21m/sec)の撹拌回転数で3分間混合した後、2軸押出機「PCM−30」(株式会社池貝製)によりバレル温度100℃、軸回転数200rpm(軸周速0.30m/sec)、混合物供給速度10kg/hrにて溶融混練した。得られた混練物を冷却ベルトにて冷却後、ロートプレックス(東亜機械工業株式会社製)にて粗砕し、顔料と樹脂の混練物(顔料樹脂混練物)Aを得た。
製造例4
(顔料と樹脂の混練物Bの製造)
製造例3において、ポリエステル樹脂A 4900gを4550gに、銅フタロシアニン顔料「ECB−301」(大日精化工業株式会社製)2100gを2450gにそれぞれ変更した以外は同様にして、顔料と樹脂の混練物(顔料樹脂混練物)Bを得た。
製造例5
(顔料と樹脂の混練物Cの製造)
製造例3において、ポリエステル樹脂A 4900gを5600gに、銅フタロシアニン顔料「ECB−301」(大日精化工業株式会社製)2100gを1400gにそれぞれ変更した以外は同様にして、顔料と樹脂の混練物(顔料樹脂混練物)Cを得た。
製造例6
(顔料と樹脂の混練物Dの製造)
製造例3において、ポリエステル樹脂A 4900gを3500gに、銅フタロシアニン顔料「ECB−301」(大日精化工業株式会社製)2100gを3500gにそれぞれ変更した以外は同様にして、顔料と樹脂の混練物(顔料樹脂混練物)Dを得た。
製造例7
(顔料と樹脂の混練物Eの製造)
製造例3において、ポリエステル樹脂Aをポリエステル樹脂Bに変更した以外は同様にして、顔料と樹脂の混練物(顔料樹脂混練物)Eを得た。
製造例8
(顔料と樹脂の混練物Fの製造)
製造例3において、銅フタロシアニン顔料「ECB−301」(大日精化工業株式会社製)をイエロー顔料「Toner Yellow 3GP」(クラリアントジャパン株式会社製)に変更した以外は同様にして、顔料と樹脂の混練物(顔料樹脂混練物)Fを得た。
製造例9
(顔料と樹脂の混練物Gの製造)
製造例3において、銅フタロシアニン顔料「ECB−301」(大日精化工業株式会社製)をマゼンタ顔料「ECR−186Y」(大日精化工業株式会社製)に変更した以外は同様にして、顔料と樹脂の混練物(顔料樹脂混練物)Gを得た。
製造例10
(顔料と樹脂の混練物Hの製造)
製造例3において、銅フタロシアニン顔料「ECB−301」(大日精化工業株式会社製)をブラック顔料「ELFTEX−8」(キャボット・スペシャリティ・ケミカルズ・インク社製)に変更した以外は同様にして、顔料と樹脂の混練物(顔料樹脂混練物)Hを得た。
製造例11
(顔料含有ポリエステル樹脂粒子aの分散液の製造)
窒素導入管、還流冷却管、撹拌器(「スリーワンモーターBL300」(新東科学株式会社製))及び熱電対を装備した四つ口フラスコに、顔料樹脂混練物A 200gを入れ、30℃でメチルエチルケトン200gと3時間混合し樹脂を溶解させた。次いで、5質量%水酸化ナトリウム水溶液44.7gを添加して30分撹拌し、有機溶媒系スラリーを得た。その後、30℃、1.37m/secの撹拌下、ポリエステル樹脂100質量部に対し7.8質量部/minの速度で脱イオン水467gを滴下した。その後、60℃に昇温した後、80kPa〜30kPaに段階的に減圧していきながらメチルエチルケトンを留去した。25℃まで冷却後、150メッシュの金網で濾過し、脱イオン水にて固形分濃度を30質量%に調整し、顔料含有ポリエステル樹脂粒子aを含有する水系分散液を得た。得られた水系分散液中の顔料含有ポリエステル樹脂粒子aの体積中位粒径(D50)は298nmであった。
製造例12、13、15〜19、及び21〜28
(顔料含有ポリエステル樹脂粒子b、c、e〜i、及びk〜rの水系分散液の製造)
製造例11において、顔料樹脂混練物の種類、溶媒の種類及び量、5質量%水酸化ナトリウム水溶液の添加量、及び脱イオン水の滴下速度を表3及び表4に示すものへと変更した以外は同様にして、顔料含有ポリエステル樹脂粒子b、c、e〜i、及びk〜rを含有する水系分散液を得た。得られた水系分散液中の顔料含有ポリエステル樹脂粒子b、c、e〜i、及びk〜rの体積中位粒径(D50)を表3及び表4に示す。
製造例14
(顔料含有ポリエステル樹脂粒子dの水系分散液の製造)
製造例11において、顔料樹脂混練物の種類、5質量%水酸化ナトリウム水溶液の添加量、及び脱イオン水の滴下速度を表3に示すものへと変更した以外は同様にして、顔料含有ポリエステル樹脂粒子dを含有する水系分散液の製造を試みたが、顔料樹脂混練物の分散ができなかった。
製造例20
(顔料含有ポリエステル樹脂粒子jの水系分散液の製造)
窒素導入管、還流冷却管、撹拌器〔「スリーワンモーターBL300」(新東科学株式会社製)〕及び熱電対を装備した四つ口フラスコに、ポリエステル樹脂A 140gと、銅フタロシアニン顔料「ECB−301」(大日精化工業株式会社製)60gを入れ、30℃でメチルエチルケトン200gと混合し樹脂を溶解させた。次いで、5質量%水酸化ナトリウム水溶液44.7gを添加して30分撹拌した後、30℃、1.37m/secの撹拌下、ポリエステル樹脂100質量部に対し7.8質量部/minの速度で脱イオン水467gを滴下した。その後、60℃に昇温した後、80kPa〜30kPaに段階的に減圧していきながらメチルエチルケトンを留去した。25℃まで冷却後、150メッシュの金網で濾過し、脱イオン水にて固形分濃度を30質量%に調整し、顔料含有ポリエステル樹脂粒子jを含有する水系分散液を得た。得られた水系分散液中の顔料含有ポリエステル樹脂粒子jの体積中位粒径(D50)は355nmであった。
実施例1〜15及び比較例1〜2
(水系インクの製造)
グリセリン(花王株式会社製)8.67質量部、ジエチレングリコール(和光純薬工業株式会社製)15.0質量部、濡れ剤「サーフィノール104PG50」(日信化学工業株式会社製、有効成分:アセチレングリコール)1.50質量部、乳化剤「エマルゲン120」(花王株式会社製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル)1.50質量部、及びイオン交換水10質量部を混合し、マグネチック・スターラーを用い、室温で15分間撹拌して、混合溶液を得た。
次に、表5に示す顔料含有ポリエステル樹脂粒子分散液に、インク全体100質量部中、顔料分換算が3.5質量部となるように、マグネチック・スターラーで撹拌しながら前記混合溶液全量を混合し、更にイオン交換水で全体を100質量部に調製し、水系インクを得た。得られた水系インクの評価結果を表5及び表6に示す。なお、印刷物の光沢性の評価及びインク中の顔料含有ポリエステル樹脂粒子の長期分散安定性の評価は、実施例1及び実施例8〜15についてのみ行った。
表5の結果から、顔料とポリエステル樹脂とを予め溶融混練しない比較例1は、インクの吐出性と、印刷物の画像濃度及び耐光性のいずれにも優れなかった。また、本発明における工程1及び工程2を実施例1と同じように行った比較例2も評価が優れなかった。これは、工程3となる水の添加において、添加速度が速すぎたため、顔料の分散及び樹脂による顔料の被覆が不十分となり、顔料含有ポリエステル樹脂粒子の分散安定性が低下したためと推察される。
一方、表6の結果から、顔料とポリエステル樹脂の混練物の溶解に、アセトンを50質量%以上含有する有機溶媒を用いた場合、得られた顔料含有ポリエステル樹脂粒子の粒径がより小さくなるとともに、粒径の変化が抑制され、光沢性が向上することがわかる。

Claims (8)

  1. 下記工程1〜4を含むインクジェット記録用水系インクの製造方法。
    工程1:顔料とポリエステル樹脂を質量比(顔料/ポリエステル樹脂)5/95〜45/55で溶融混練し、混練物を得る工程
    工程2:工程1で得られた混練物を有機溶媒及び塩基性化合物と混合し、混練物の有機溶媒系スラリーを得る工程
    工程3:工程2で得られた有機溶媒系スラリーに、水をポリエステル樹脂100質量部に対して、1質量部/min以上20質量部/min以下の速度で100質量部以上1000質量部以下添加し、分散処理して分散液を得る工程
    工程4:工程3で得られた分散液から有機溶媒を除去して、顔料を含有するポリエステル樹脂粒子の水系分散液を得る工程
  2. 混練物と有機溶媒との混合比(混練物/有機溶媒)が、質量基準で、100/30〜100/200である、請求項1に記載のインクジェット記録用水系インクの製造方法。
  3. 混練物と、有機溶媒及び塩基性化合物との混合時間が0.2時間以上8時間以下である、請求項1又は2に記載のインクジェット記録用水系インクの製造方法。
  4. ポリエステル樹脂の酸価が15mgKOH/g以上30mgKOH/g以下である、請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェット記録用水系インクの製造方法。
  5. ポリエステル樹脂が、アルコール成分と脂肪族ジカルボン酸を含有するカルボン酸成分とを重縮合して得られるものである、請求項1〜4のいずれかに記載のインクジェット記録用水系インクの製造方法。
  6. 有機溶媒がアセトンを50質量%以上含有する、請求項1〜5のいずれかに記載のインクジェット記録用水系インクの製造方法。
  7. 顔料を含有し、体積中位粒径が130nm以上450nm以下である、ポリエステル樹脂粒子の水系分散液。
  8. 請求項7に記載の水系分散液を含むインクジェット記録用水系インク。
JP2014260749A 2014-06-26 2014-12-24 インクジェット記録用水系インクの製造方法 Active JP6420659B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014260749A JP6420659B2 (ja) 2014-06-26 2014-12-24 インクジェット記録用水系インクの製造方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014131604 2014-06-26
JP2014131604 2014-06-26
JP2014260749A JP6420659B2 (ja) 2014-06-26 2014-12-24 インクジェット記録用水系インクの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016027078A true JP2016027078A (ja) 2016-02-18
JP6420659B2 JP6420659B2 (ja) 2018-11-07

Family

ID=55352624

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014260749A Active JP6420659B2 (ja) 2014-06-26 2014-12-24 インクジェット記録用水系インクの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6420659B2 (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2019007922A1 (en) 2017-07-06 2019-01-10 Clariant International Ltd SOLID PIGMENT DISPERSION, PROCESS FOR PREPARING SAME, AND INK JAR INK JET PREPARATION METHOD BASED ON AQUEOUS OR ORGANIC SOLVENT
JP2019014872A (ja) * 2017-07-06 2019-01-31 クラリアント・インターナシヨナル・リミテツド 固体顔料分散物、その製造方法及び水系もしくは有機溶媒系インクジェット用インクの製造方法
JP2019065241A (ja) * 2017-10-05 2019-04-25 京セラドキュメントソリューションズ株式会社 インクジェット記録用水性インク及びその製造方法
WO2020059840A1 (ja) * 2018-09-20 2020-03-26 キヤノン株式会社 水性インク、インクカートリッジ、インクジェット記録方法、及び水性インクの製造方法
JP2020132689A (ja) * 2019-02-14 2020-08-31 京セラドキュメントソリューションズ株式会社 インクジェット用インク、及びインクジェット用インクの製造方法
CN112795240A (zh) * 2019-11-13 2021-05-14 京瓷办公信息系统株式会社 喷墨用油墨和图像形成方法

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH09183932A (ja) * 1995-10-30 1997-07-15 Kao Corp 水系インク
JPH11199783A (ja) * 1998-01-09 1999-07-27 Dainippon Ink & Chem Inc 水性顔料分散体の製造方法、および該水性顔料分散体を含有する水性着色剤組成物
JP2002256181A (ja) * 2001-02-28 2002-09-11 Dainippon Ink & Chem Inc インクジェット記録液用水性着色粒子分散体、その製造法及びインクジェット記録液
JP2003113333A (ja) * 2001-07-31 2003-04-18 Dainippon Ink & Chem Inc インクジェット記録液用水性着色粒子分散体、その製造方法及びインクジェット記録液
JP2003268278A (ja) * 2002-03-20 2003-09-25 Ricoh Co Ltd インク組成物及びその製造方法
JP2012022201A (ja) * 2010-07-15 2012-02-02 Kao Corp 電子写真用トナーの製造方法

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH09183932A (ja) * 1995-10-30 1997-07-15 Kao Corp 水系インク
JPH11199783A (ja) * 1998-01-09 1999-07-27 Dainippon Ink & Chem Inc 水性顔料分散体の製造方法、および該水性顔料分散体を含有する水性着色剤組成物
JP2002256181A (ja) * 2001-02-28 2002-09-11 Dainippon Ink & Chem Inc インクジェット記録液用水性着色粒子分散体、その製造法及びインクジェット記録液
JP2003113333A (ja) * 2001-07-31 2003-04-18 Dainippon Ink & Chem Inc インクジェット記録液用水性着色粒子分散体、その製造方法及びインクジェット記録液
JP2003268278A (ja) * 2002-03-20 2003-09-25 Ricoh Co Ltd インク組成物及びその製造方法
JP2012022201A (ja) * 2010-07-15 2012-02-02 Kao Corp 電子写真用トナーの製造方法

Cited By (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2019007922A1 (en) 2017-07-06 2019-01-10 Clariant International Ltd SOLID PIGMENT DISPERSION, PROCESS FOR PREPARING SAME, AND INK JAR INK JET PREPARATION METHOD BASED ON AQUEOUS OR ORGANIC SOLVENT
JP2019014872A (ja) * 2017-07-06 2019-01-31 クラリアント・インターナシヨナル・リミテツド 固体顔料分散物、その製造方法及び水系もしくは有機溶媒系インクジェット用インクの製造方法
JP7195059B2 (ja) 2017-07-06 2022-12-23 クラリアント・インターナシヨナル・リミテツド 固体顔料分散物、その製造方法及び水系もしくは有機溶媒系インクジェット用インクの製造方法
JP2019065241A (ja) * 2017-10-05 2019-04-25 京セラドキュメントソリューションズ株式会社 インクジェット記録用水性インク及びその製造方法
WO2020059840A1 (ja) * 2018-09-20 2020-03-26 キヤノン株式会社 水性インク、インクカートリッジ、インクジェット記録方法、及び水性インクの製造方法
JP2020050873A (ja) * 2018-09-20 2020-04-02 キヤノン株式会社 水性インク、インクカートリッジ、インクジェット記録方法、及び水性インクの製造方法
US11549027B2 (en) 2018-09-20 2023-01-10 Canon Kabushiki Kaisha Aqueous ink, ink cartridge, ink jet recording method and method for producing aqueous ink
JP7379040B2 (ja) 2018-09-20 2023-11-14 キヤノン株式会社 水性インク、インクカートリッジ、インクジェット記録方法、及び水性インクの製造方法
JP2020132689A (ja) * 2019-02-14 2020-08-31 京セラドキュメントソリューションズ株式会社 インクジェット用インク、及びインクジェット用インクの製造方法
CN112795240A (zh) * 2019-11-13 2021-05-14 京瓷办公信息系统株式会社 喷墨用油墨和图像形成方法
CN112795240B (zh) * 2019-11-13 2023-09-26 京瓷办公信息系统株式会社 喷墨用油墨和图像形成方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP6420659B2 (ja) 2018-11-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6420659B2 (ja) インクジェット記録用水系インクの製造方法
US11613665B2 (en) Water-based ink for inkjet and method for producing printed matter
JP6348279B2 (ja) インクジェット記録方法
JP6227959B2 (ja) インクジェット記録用水系インク
JP6059584B2 (ja) インクジェット記録用水系インク
JP2017101170A (ja) 水系インクの製造方法
JP2017119797A (ja) 顔料水分散体の製造方法
JP5763914B2 (ja) インクジェット記録方法
JP2019183063A (ja) 水性インクジェットインキ、および、印刷物の製造方法
JP5981840B2 (ja) インクジェット記録用水系インク
JP6118207B2 (ja) インクジェット記録用水系インク
JP6565046B2 (ja) 水系インク
WO2010071177A1 (ja) インクジェット記録用水系インク
EP3366730B1 (en) Aqueous ink composition
JP2018127521A (ja) インク、インク収容容器、インクセット、インクジェット記録装置、インクジェット記録方法並びに記録物
JP6339930B2 (ja) インクジェット記録用水系インク
JP6227981B2 (ja) インクジェット記録用水系インク
JP7191662B2 (ja) 顔料水分散体の製造方法
JP5451057B2 (ja) インクジェット記録用水分散体の製造方法
JP6870890B2 (ja) 水系インク
JP6339934B2 (ja) 水系インク
JP2022022990A (ja) ポリエステル樹脂水分散液
JP6424413B1 (ja) 水性インクジェットインキ及び印刷物の製造方法
JP6870889B2 (ja) 水系インク
JP2020183116A (ja) 処理液

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170913

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180723

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180814

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180827

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20181002

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20181012

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6420659

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250