JP2022022990A - ポリエステル樹脂水分散液 - Google Patents

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Abstract

【課題】保存安定性、及び形成される塗膜のPVC等の極性を有する樹脂製記録媒体に対する密着性に優れ、水系インクに用いても保存安定性に優れ、該樹脂製印刷媒体に印刷した際に密着性及びアルコール等の溶剤に対する耐擦過性に優れる印刷物を得ることができる、ポリエステル樹脂水分散液、及び該ポリエステル樹脂水分散液を含有する水系インクの提供。【解決手段】〔1〕ポリエステル樹脂粒子を含有するポリエステル樹脂水分散液であって、該ポリエステル樹脂粒子が、アルコール成分由来の構成単位とカルボン酸成分由来の構成単位とを含むポリエステル樹脂Aを含有し、該アルコール成分がビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物及び3-メチル-1,5-ペンタンジオールを含み、該アルコール成分中の3-メチル-1,5-ペンタンジオールの含有量が40~75モル%である、ポリエステル樹脂水分散液、及び〔2〕前記〔1〕に記載のポリエステル樹脂水分散液及び着色剤を含有する、水系インクである。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリエステル樹脂水分散液、及び該ポリエステル樹脂水分散液を含有する水系インクに関する。
商品包装印刷や広告等に用いられるラベル印刷等の商業印刷や産業印刷の分野では、PVC(ポリ塩化ビニル)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、NY(ナイロン)等の樹脂製印刷媒体に対し、従来、溶剤系インクやUV硬化インク等によって印刷が行われてきた。
これに対し、環境負荷の低減、省エネルギー、安全性等の観点から、インク塗膜の性能を改善する手法として、樹脂水分散液を配合する試みが検討されている。
例えば、特許文献1では、得られる被膜の耐溶剤性等に優れたポリエステル樹脂水性分散体の提供を目的として、酸価が8mgKOH/g以上、ガラス転移温度が40~120℃であるポリエステル樹脂を含有するポリエステル樹脂水性分散体であって、ポリエステル樹脂は、構成する酸成分としてイソフタル酸を含有せず、かつテレフタル酸95~100モル%、およびトリメリット酸1~5モル%を含有し、構成するアルコール成分としてビスフェノール類のアルキレンオキサイド誘導体を25~80モル%含有するポリエステル樹脂水性分散体が記載されている。
特開2012-72308号公報
ここで、PVC、PET、PE、PP、NY等の樹脂製印刷媒体は非吸水性であり、水系インクでは印刷媒体内部に浸透しない。そのため、樹脂製印刷媒体を用いていわゆる表刷り印刷を行う場合には、樹脂製印刷媒体に対する高い密着性を有する印刷物を得ることが難しい傾向にある。特にPVCフィルム等の極性を有する樹脂製印刷媒体に対する密着性が十分でない。
また、例えば、食品や医療の現場では除菌や殺菌のためにアルコールを用いる場面がある。これらの現場で用いられる容器の樹脂フィルム等を用いていわゆる表刷り印刷を行う場合にはアルコール等の溶剤に対する耐擦過性を有する印刷物であることも求められる。
さらに、樹脂水分散液及び該樹脂水分散液を用いるインクの普及に伴い、樹脂水分散液及び該樹脂水分散液を用いる水系インクの保存安定性の更なる向上も求められている。
本発明は、保存安定性、及び形成される塗膜のPVC等の極性を有する樹脂製印刷媒体に対する密着性に優れ、水系インクに用いても保存安定性に優れ、該樹脂製印刷媒体に印刷した際に密着性及びアルコール等の溶剤に対する耐擦過性に優れる印刷物を得ることができる、ポリエステル樹脂水分散液、及び該ポリエステル樹脂水分散液を含有する水系インクを提供することを課題とする。
本発明者らは、ポリエステル樹脂水分散液のポリエステル樹脂粒子に含まれるポリエステル樹脂が、ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物及び3-メチル-1,5-ペンタンジオールを含むアルコール成分由来の構成単位を含有し、該アルコール成分中の3-メチル-1,5-ペンタンジオールの含有量を特定の範囲とすることにより、上記課題を解決し得ることを見出した。
すなわち、本発明は、以下の〔1〕~〔2〕を提供する。
〔1〕ポリエステル樹脂粒子を含有するポリエステル樹脂水分散液であって、
該ポリエステル樹脂粒子が、アルコール成分由来の構成単位とカルボン酸成分由来の構成単位とを含むポリエステル樹脂Aを含有し、
該アルコール成分がビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物及び3-メチル-1,5-ペンタンジオールを含み、
該アルコール成分中の3-メチル-1,5-ペンタンジオールの含有量が40モル%以上75モル%以下である、ポリエステル樹脂水分散液。
〔2〕前記〔1〕に記載のポリエステル樹脂水分散液及び着色剤を含有する、水系インク。
本発明によれば、保存安定性、及び形成される塗膜のPVC等の極性を有する樹脂製印刷媒体に対する密着性に優れ、水系インクに用いても保存安定性に優れ、該樹脂製印刷媒体に印刷した際に密着性及びアルコール等の溶剤に対する耐擦過性に優れる印刷物を得ることができる、ポリエステル樹脂水分散液、及び該ポリエステル樹脂水分散液を含有する水系インクを提供することができる。
[ポリエステル樹脂水分散液]
本発明のポリエステル樹脂水分散液は、ポリエステル樹脂粒子を含有するポリエステル樹脂水分散液であって、該ポリエステル樹脂粒子が、アルコール成分由来の構成単位とカルボン酸成分由来の構成単位とを含むポリエステル樹脂Aを含有し、該アルコール成分がビスフェノールA(2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン)のアルキレンオキシド付加物及び3-メチル-1,5-ペンタンジオールを含み、該アルコール成分中の3-メチル-1,5-ペンタンジオールの含有量が40モル%以上75モル%以下である。
本発明のポリエステル樹脂水分散液は、ポリエステル樹脂粒子が水系媒体に分散させてなるものが好ましい。
本発明において「水系」とは、媒体中で水が最大割合を占めていることを意味する。
水系媒体の水としては、脱イオン水、イオン交換水又は蒸留水が好ましく用いられる。
水系媒体は、更に有機溶媒を含有してもよい。該有機溶媒としては、メタノール、エタノール、2-プロパノール等の炭素数1以上4以下の脂肪族アルコール、アセトン、メチルエチルケトン等の炭素数3以上8以下のケトン類、テトラヒドロフラン等のエーテル類等の水に溶解する水溶性有機溶媒が挙げられる。
水系媒体中の水の含有量は、環境性の観点から、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは90質量%以上、より更に好ましくは95質量%以上である。
本発明によれば、保存安定性、及び形成される塗膜のPVC等の極性を有する樹脂製印刷媒体に対する密着性(以下、「密着性」ともいう)に優れ、水系インクに用いても保存安定性に優れ、該樹脂製印刷媒体に印刷した際に密着性及びアルコール等の溶剤に対する耐擦過性(以下、「耐アルコール性」ともいう)に優れる印刷物を得ることができるポリエステル樹脂水分散液、及び該ポリエステル樹脂水分散液を含有する水系インクを提供することができる。このような効果を奏する理由は定かではないが、次のように考えられる。
ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物に由来する構成単位を含むポリエステル樹脂は、疎水的でかつ剛直なビスフェノールA部位を有するため、水分散液の保存安定性及び印刷物の耐アルコール性を向上させるが、その一方で、ポリエステル樹脂中のエステル結合等の極性部位が低減し、PVC等の極性を有する樹脂製印刷媒体への密着性が低下することとなる。
本発明では、ポリエステル樹脂粒子に含まれるポリエステル樹脂を構成するアルコール成分が、ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物に加えて、分子量がそれ程大きくなく、かつ側鎖を有する脂肪族1級ジオールとして3-メチル-1,5-ペンタンジオールを特定の量で含むことにより、柔軟でかつ局所的に高密度なエステル結合をポリエステル樹脂に導入することができるため、極性を有する樹脂製印刷媒体に対する密着性が向上すると考えられる。
また、3-メチル-1,5-ペンタンジオールは、側鎖にメチル基を有するため、水系媒体との親和性を抑制し、かつ、脂肪族アルコール構造に起因する結晶化を抑制することができ、さらにポリエステル樹脂の加水分解を抑制することができるため、保存安定性を向上させることができると考えられる。
本発明では、ポリエステル樹脂粒子に含まれるポリエステル樹脂を構成するアルコール成分中の3-メチル-1,5-ペンタンジオールの含有量が特定の範囲であることによるエステル結合の濃度、及び3-メチル-1,5-ペンタンジオールの側鎖に有するメチル基による立体障害の作用を調整することにより、ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物による良好な保存安定性及び耐アルコール性を維持しつつ、密着性を向上させることができると考えられ、その結果、保存安定性及び耐アルコール性と密着性との両立が可能となると推測される。
<ポリエステル樹脂粒子>
本発明において、ポリエステル樹脂粒子に含まれるポリエステル樹脂Aは、保存安定性、密着性及び耐アルコール性を向上させる観点から、アルコール成分由来の構成単位とカルボン酸成分由来の構成単位とを含む。
そして、前記アルコール成分は、前記と同様の観点から、ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物及び3-メチル-1,5-ペンタンジオールを含む。
ポリエステル樹脂Aは、前記アルコール成分と前記カルボン酸成分とを重縮合して得られる。すなわち、ポリエステル樹脂Aは、前記アルコール成分と前記カルボン酸成分との重縮合物である。
(アルコール成分)
3-メチル-1,5-ペンタンジオールは、下記式で表される化合物であり、前述のとおり、密着性、保存安定性及び耐アルコール性の向上に寄与すると考えられる。
Figure 2022022990000001
ポリエステル樹脂Aを構成するアルコール成分中の3-メチル-1,5-ペンタンジオールの含有量は、密着性を向上させる観点から、40モル%以上であり、好ましくは45モル%以上、より好ましくは50モル%以上、更に好ましくは55モル%以上であり、そして、保存安定性及び耐アルコール性を向上させる観点から、75モル%以下であり、好ましくは70モル%以下、より好ましくは65モル%以下、更に好ましくは63モル%以下である。
ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物は、保存安定性及び耐アルコール性を向上させる観点から、好ましくは下記一般式(I)で表される化合物である。
Figure 2022022990000002
一般式(I)において、OR1、及びR2Oは、いずれもアルキレンオキシ基であり、好ましくは、それぞれ独立に炭素数1以上4以下のアルキレンオキシ基であり、より好ましくは、エチレンオキシ基又はプロピレンオキシ基であり、保存安定性、密着性及び耐アルコール性を向上させる観点から、更に好ましくはプロピレンオキシ基である。
x及びyは、アルキレンオキシドの付加モル数に相当する。更に、カルボン酸成分との反応性の観点から、xとyの和の平均値は、好ましくは2以上である。また、xとyの和の平均値は、同様の観点から、好ましくは7以下、より好ましくは5以下、更に好ましくは3以下である。
x個のOR1とy個のR2Oは、各々同一であっても異なっていてもよいが、密着性を向上させる観点から、同一であることが好ましい。ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物は、保存安定性、密着性及び耐アルコール性を向上させる観点から、好ましくはビスフェノールAのプロピレンオキシド付加物及びビスフェノールAのエチレンオキシド付加物から選ばれる1種以上であり、より好ましくはビスフェノールAのプロピレンオキシド付加物である。
ポリエステル樹脂Aを構成するアルコール成分中のビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物の含有量は、保存安定性及び耐アルコール性を向上させる観点から、好ましくは25モル%以上、より好ましくは30モル%以上、更に好ましくは35モル%以上、より更に好ましくは37モル%以上であり、そして、密着性を向上させる観点から、好ましくは60モル%以下、より好ましくは55モル%以下、更に好ましくは50モル%以下、より更に好ましくは45モル%以下である。
ポリエステル樹脂Aを構成するアルコール成分は、本発明の効果を損なわない範囲で、ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物及び3-メチル-1,5-ペンタンジオール以外に他のアルコールを含んでもよい。他のアルコールとしては、3-メチル-1,5-ペンタンジオール以外の主鎖炭素数2以上12以下の他の脂肪族ジオール、脂環式ジオール等のジオール;3価以上の多価アルコール等が挙げられる。
他の脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,4-ペンタンジオール、2,4-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,5-ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオール、3,3-ジメチル-1,2-ブタンジオール等が挙げられる。
脂環式ジオールとしては、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA等が挙げられる。
3価以上の多価アルコールとしては、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ソルビトール、ソルビタン等が挙げられる。
他のアルコールは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ポリエステル樹脂Aを構成するアルコール成分中のビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物及び3-メチル-1,5-ペンタンジオールの合計含有量は、保存安定性、密着性及び耐アルコール性を向上させる観点から、好ましくは70モル%以上、より好ましくは80モル%以上、更に好ましくは90モル%以上、より更に好ましくは95モル%以上であり、そして、好ましくは100モル%以下、より更に好ましくは100モル%である。
(カルボン酸成分)
ポリエステル樹脂Aを構成するカルボン酸成分としては、ジカルボン酸、3価以上の多価カルボン酸等が挙げられる。
なお、本発明において、カルボン酸成分には、カルボン酸のみならず、それらの無水物及びそれらの炭素数1以上3以下のアルキルエステル等も含まれる。すなわち、本明細書中では、単にカルボン酸の名称のみを記載している場合、そのカルボン酸の無水物及び炭素数1以上3以下のアルキルエステルも含めて記載されているものとする。
ジカルボン酸としては、芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、及び脂環式ジカルボン酸が挙げられる。
芳香族ジカルボン酸としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等が挙げられ、保存安定性、密着性及び耐アルコール性を向上させる観点から、好ましくは、イソフタル酸、テレフタル酸、より好ましくは、テレフタル酸である。
脂肪族ジカルボン酸としては、フマル酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、アゼライン酸、コハク酸、炭素数1以上20以下のアルキル基又は炭素数2以上20以下のアルケニル基で置換されたコハク酸等が挙げられる。炭素数1以上20以下のアルキル基又は炭素数2以上20以下のアルケニル基で置換されたコハク酸の具体例としては、ドデシルコハク酸、ドデセニルコハク酸、オクテニルコハク酸等が挙げられる。保存安定性、密着性及び耐アルコール性を向上させる観点から、好ましくは、フマル酸である。
脂環式ジカルボン酸としては、シクロヘキサンジカルボン酸等が挙げられる。
3価以上の多価カルボン酸としては、トリメリット酸、2,5,7-ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸等が挙げられる。
前記カルボン酸成分は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、ポリエステル樹脂Aを構成するカルボン酸成分は、保存安定性、密着性及び耐アルコール性を向上させる観点から、好ましくはジカルボン酸を含み、より好ましくは芳香族ジカルボン酸を含み、更に好ましくはテレフタル酸及びイソフタル酸から選ばれる1種以上を含み、より更に好ましくはテレフタル酸を含む。
前記カルボン酸成分に芳香族ジカルボン酸を含む場合、該カルボン酸成分中の芳香族ジカルボン酸の含有量は、保存安定性、密着性及び耐アルコール性を向上させる観点から、好ましくは60モル%以上、より好ましくは70モル%以上、更に好ましくは80モル%以上、より更に好ましくは85モル%以上、より更に好ましくは90モル%以上であり、そして、好ましくは100モル%以下、より好ましくは97モル%以下、更に好ましくは95モル%以下である。
前記カルボン酸成分にテレフタル酸及びイソフタル酸から選ばれる1種以上を含む場合、該カルボン酸成分中のテレフタル酸及びイソフタル酸の合計含有量は、保存安定性、密着性及び耐アルコール性を向上させる観点から、好ましくは60モル%以上、より好ましくは70モル%以上、更に好ましくは80モル%以上、より更に好ましくは85モル%以上、より更に好ましくは90モル%以上であり、そして、好ましくは100モル%以下、より好ましくは97モル%以下、更に好ましくは95モル%以下である。
前記カルボン酸成分にテレフタル酸及びイソフタル酸から選ばれる1種以上を含む場合、該カルボン酸成分中のテレフタル酸の含有量は、保存安定性、密着性及び耐アルコール性を向上させる観点から、好ましくは60モル%以上、より好ましくは70モル%以上、更に好ましくは80モル%以上、より更に好ましくは85モル%以上、より更に好ましくは90モル%以上であり、そして、好ましくは100モル%以下、より好ましくは97モル%以下、更に好ましくは95モル%以下である。
ポリエステル樹脂Aを構成するカルボン酸成分は、保存安定性、密着性及び耐アルコール性を向上させる観点から、好ましくは3価以上の多価カルボン酸を含み、より好ましくはトリメリット酸を含む。
前記カルボン酸成分中の3価以上の多価カルボン酸の含有量は、保存安定性、密着性及び耐アルコール性を向上させる観点から、好ましくは3モル%以上、より好ましくは4モル%以上、更に好ましくは5モル%以上であり、そして、好ましくは15モル%以下、より好ましくは10モル%以下、更に好ましくは9モル%以下、より更に好ましくは8モル%以下である。
ポリエステル樹脂Aを構成するアルコール成分のヒドロキシ基(OH基)に対するカルボン酸成分のカルボキシ基(COOH基)の当量比(COOH基/OH基)は、密着性を向上させる観点から、好ましくは0.65以上、より好ましくは0.80以上であり、そして、好ましくは1.2以下、より好ましくは1.1以下である。
ポリエステル樹脂Aの酸価は、水系媒体中での樹脂粒子の分散安定性を向上させ、保存安定性、密着性及び耐アルコール性を向上させる観点から、好ましくは5mgKOH/g以上、より好ましくは10mgKOH/g以上、更に好ましくは15mgKOH/g以上であり、そして、好ましくは40mgKOH/g以下、より好ましくは35mgKOH/g以下、更に好ましくは30mgKOH/g以下、より更に好ましくは25mgKOH/g以下である。
前記酸価は、実施例に記載の方法により測定される。
ポリエステル樹脂Aの数平均分子量(Mn)は、水系媒体中での樹脂粒子の分散安定性を向上させ、保存安定性、密着性及び耐アルコール性を向上させる観点から、好ましくは2,500以上、より好ましくは3,000以上、更に好ましくは3,500以上であり、そして、好ましくは6,000以下、より好ましくは5,500以下、更に好ましくは5,000以下である。
前記数平均分子量は、実施例に記載の方法により測定される。
ポリエステル樹脂Aのガラス転移温度は、保存安定性、密着性及び耐アルコール性を向上させる観点から、好ましくは35℃以上、より好ましくは37℃以上、更に好ましくは40℃以上であり、そして、好ましくは65℃以下、より好ましくは63℃以下、更に好ましくは60℃以下である。
前記ガラス転移温度は、示差走査熱量計を用いて測定されるものであり、具体的には実施例に記載の方法により測定される。
ポリエステル樹脂Aの軟化点は、保存安定性、密着性及び耐アルコール性を向上させる観点から、好ましくは70℃以上、より好ましくは80℃以上、更に好ましくは90℃以上であり、そして、同様の観点から、好ましくは165℃以下、より好ましくは130℃以下、更に好ましくは120℃以下である。
前記軟化点は、実施例に記載の方法により測定される。
ポリエステル樹脂Aは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、ポリエステル樹脂Aを2種以上混合して用いる場合は、その酸価、数平均分子量(Mn)、ガラス転移温度及び軟化点は、それぞれ2種以上の混合物として、実施例に記載の方法により測定される。
ポリエステル樹脂Aの酸価、数平均分子量、ガラス転移温度、及び軟化点は、いずれも、ポリエステル樹脂Aの製造に用いる原料モノマーの種類、配合比率、重縮合の温度、反応時間を適宜調節することにより所望のものを得ることができる。
ポリエステル樹脂Aは、前記アルコール成分と前記カルボン酸成分とを重縮合して得ることができる。例えば、前記アルコール成分と前記カルボン酸成分とを不活性ガス雰囲気中にて、必要に応じてエステル化触媒を用いて、120℃以上250℃以下の温度で重縮合することにより製造することができる。
前記エステル化触媒としては、酸化ジブチル錫、2-エチルヘキサン酸錫(II)等の錫化合物;チタンジイソプロピレートビストリエタノールアミネート等のチタン化合物等が挙げられる。更に必要に応じて3,4,5-トリヒドロキシ安息香酸(没食子酸)等のエステル化助触媒;4-tert-ブチルカテコール等のラジカル重合禁止剤を用いてもよい。
本発明においてポリエステル樹脂Aが酸基を含む場合、該ポリエステル樹脂Aの酸基は、水系媒体中での樹脂粒子の分散安定性を向上させ、保存安定性、密着性及び耐アルコール性を向上させる観点から、塩基性化合物で中和されてなることが好ましい。
塩基性化合物としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の金属水酸化物;アンモニア;各種有機アミンなどが挙げられ、好ましくは水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、及びアンモニアから選ばれる1種以上、より好ましくは水酸化ナトリウムである。塩基性化合物は、水溶液として用いることが好ましい。
ポリエステル樹脂Aの下記式(1)で表される中和度は、好ましくは50モル%以上、より好ましく55モル%以上、更に好ましくは57モル%以上であり、そして、好ましくは100モル%以下、より好ましくは85モル%以下、更に好ましくは80モル%以下、より更に好ましくは75モル%以下、より更に好ましくは70モル%以下、より更に好ましくは65モル%以下である。
中和度={[塩基性化合物の添加質量(g)/塩基性化合物の当量(g/mol)]/〔[ポリエステル樹脂Aの酸価(mgKOH/g)×ポリエステル樹脂Aの質量(g)]/(56×1000(mgKOH/mol))〕}×100 (1)
本発明において、ポリエステル樹脂Aには、未変性のポリエステル樹脂のみならず、実質的にその特性を損なわない程度に変性されたポリエステル樹脂も含まれる。変性されたポリエステル樹脂としては、例えば、特開平11-133668号公報、特開平10-239903号公報、特開平8-20636号公報等に記載の方法によりフェノール、ウレタン、エポキシ等によりグラフト化やブロック化したポリエステル樹脂や、ポリエステルユニットを含む2種以上の樹脂ユニットを有する複合樹脂が挙げられる。
また、本発明に係るポリエステル樹脂粒子は、本発明の効果を損なわない範囲で、ポリエステル樹脂A以外の樹脂、例えば、スチレン-アクリル共重合体、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリウレタン等の樹脂を含有してもよい。
前記ポリエステル樹脂粒子には、本発明の効果を損なわない範囲で、繊維状物質等の補強充填剤、酸化防止剤、老化防止剤等の添加剤等を任意成分として含有させてもよい。
本発明に係るポリエステル樹脂粒子中のポリエステル樹脂Aの含有量は、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、更に好ましくは90質量%以上、より更に好ましくは95質量%以上であり、そして、好ましくは100質量%以下である。
(ポリエステル樹脂水分散液の製造)
本発明のポリエステル樹脂水分散液は、ポリエステル樹脂Aを含む樹脂を水系媒体中に分散させる方法により製造することが好ましい。
前記ポリエステル樹脂水分散液を得る方法としては、ポリエステル樹脂Aを含む樹脂を水系媒体に添加して分散機等によって分散処理を行う方法、ポリエステル樹脂Aを含む樹脂の溶液に水系媒体を徐々に添加して転相乳化を行う方法等が挙げられる。中でも、保存安定性、密着性及び耐アルコール性を向上させる観点から、転相乳化を行う方法が好ましい。
転相乳化は、先ずポリエステル樹脂Aを含む樹脂を有機溶媒に溶解させてポリエステル樹脂Aを含む樹脂の溶液を得た後、該溶液に水系媒体を添加して転相し、その後有機溶媒を除去する方法が好ましい。
ポリエステル樹脂Aを含む樹脂を溶解させる有機溶媒としては、ポリエステル樹脂Aを含む樹脂を溶解し、乳化物からの除去が容易である観点から、アセトン、メチルエチルケトン等の炭素数1以上3以下のアルキル基を有するジアルキルケトンが好ましく、メチルエチルケトンがより好ましい。
ポリエステル樹脂粒子が、複数種のポリエステル樹脂A又はポリエステル樹脂A以外の樹脂を含む場合には、有機溶媒に溶解する前に、複数種のポリエステル樹脂Aを予め混合してもよく、又は、ポリエステル樹脂Aとその他の樹脂とを混合してもよいが、これらの樹脂を同時に有機溶媒に添加して溶解させ、ポリエステル樹脂Aを含む樹脂の溶液を得てもよい。
有機溶媒とポリエステル樹脂Aを含む樹脂との質量比〔有機溶媒/樹脂〕は、樹脂を溶解し水系媒体への転相を容易にする観点、樹脂水分散液の分散安定性をより向上させる観点から、好ましくは30/100以上、より好ましくは50/100以上、更に好ましくは70/100以上であり、そして、好ましくは500/100以下、より好ましくは300/100以下、更に好ましくは200/100以下、より更に好ましくは150/100以下である。
ポリエステル樹脂Aの酸基が塩基性化合物で中和されてなる場合には、ポリエステル樹脂Aを含む樹脂の溶液を得た後、更に前述の塩基性化合物の水溶液を添加し、中和することが好ましい。
ポリエステル樹脂Aを含む樹脂の有機溶媒への溶解操作、及びその後の塩基性化合物の水溶液の添加は、通常、有機溶媒の沸点以下の温度で行う。
ポリエステル樹脂Aを含む樹脂の溶液に水系媒体を添加する際の温度は、樹脂水分散液の分散安定性を向上させる観点から、好ましくは10℃以上、より好ましくは20℃以上、更に好ましくは25℃以上であり、そして、好ましくは80℃以下、より好ましくは75℃以下である。
水系媒体の添加速度は、樹脂水分散液の分散安定性を向上させる観点から、転相が終了するまでは、ポリエステル樹脂粒子を構成する樹脂100質量部に対して、好ましくは0.5質量部/分以上、より好ましくは1質量部/分以上、更に好ましくは3質量部/分以上、より更に好ましくは5質量部/分以上であり、そして、好ましくは100質量部/分以下、より好ましくは50質量部/分以下、更に好ましくは30質量部/分以下である。転相後、ポリエステル樹脂粒子が得られた後の水系媒体の添加速度には制限はない。
水系媒体の添加量は、樹脂水分散液の生産性を向上させる観点から、ポリエステル樹脂粒子を構成する樹脂100質量部に対して、好ましくは50質量部以上、より好ましくは100質量部以上、更に好ましくは200質量部以上であり、そして、好ましくは900質量部以下、より好ましくは500質量部以下、更に好ましくは400質量部以下である。
転相乳化の後に、樹脂水分散液の分散安定性を向上させる観点から、転相乳化で得られた分散液から有機溶媒を除去すること好ましい。
有機溶媒の除去は、特に限定されず、任意の方法を用いることができる。
得られたポリエステル樹脂水分散液は、金網等で濾過し、粗大粒子等を除去することが好ましい。また、有機溶媒の除去を行った場合には、有機溶媒とともに水も共沸して減じているため、水を添加して固形分濃度を調整することが好ましい。
本発明のポリエステル樹脂水分散液の固形分濃度は、密着性を向上させる観点から、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは20質量%以上であり、そして、好ましくは50質量%以下、より好ましくは45質量%以下、更に好ましくは40質量%以下である。前記水分散液の固形分濃度は、実施例に記載の方法により測定される。
本発明のポリエステル樹脂水分散液のpHは、密着性を向上させる観点から、好ましくは6.0以上、より好ましくは6.5以上、更に好ましくは6.8以上であり、そして、好ましくは9.0以下、より好ましくは8.0以下、更に好ましくは7.5以下である。前記水分散液のpHは、実施例に記載の水系インクのpHの測定と同様の方法により測定される。
本発明のポリエステル樹脂水分散液中のポリエステル樹脂粒子の体積平均粒径Dvは、保存安定性、密着性及び耐アルコール性を向上させる観点から、好ましくは25nm以上、より好ましくは28nm以上、更に好ましくは40nm以上、より更に好ましくは45nm以上、より更に好ましくは50nm以上であり、そして、好ましくは500nm以下、より好ましくは200nm以下、更に好ましくは100nm以下、より更に好ましくは80nm以下である。前記体積平均粒径Dvは、実施例に記載の方法により測定される。
[水系インク]
本発明のポリエステル樹脂水分散液は、保存安定性、密着性及び耐アルコール性を向上させる観点から、水系インクに用いることが好ましい。
本発明の水系インクは、色相は特に限定されず、着色剤を含有しない透明インク、着色剤を含有するインクのいずれにも用いることができるが、保存安定性、密着性及び耐アルコール性を向上させる観点から、好ましくは前記ポリエステル樹脂水分散液及び着色剤を含有する。これにより、水系インク中のポリエステル樹脂粒子を構成する樹脂が、インク塗膜を形成する際に着色剤の定着剤として作用し、樹脂製印刷媒体に対する密着性を向上させることができる。
<着色剤>
着色剤は、顔料及び染料のいずれであってもよい。
本発明に用いる着色剤としては、顔料、疎水性染料、水溶性染料(酸性染料、反応染料、直接染料等)等が挙げられる。これらの中でも、水系インクの保存安定性、密着性及び耐アルコール性を向上させる観点から、好ましくは顔料及び疎水性染料から選ばれる1種以上、より好ましくは顔料である。
顔料は、無機顔料及び有機顔料のいずれであってもよい。
無機顔料としては、カーボンブラック、金属酸化物等が挙げられ、黒色インクに用いる場合、好ましくはカーボンブラックである。
有機顔料としては、アゾ顔料、ジアゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリノン顔料、ジオキサジン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、チオインジゴ顔料、アントラキノン顔料、キノフタロン顔料等が挙げられ、これらの中でも、好ましくはフタロシアニン顔料、より好ましくは銅フタロシアニンである。
色相は特に限定されず、イエロー、マゼンタ、シアン、ブルー、レッド、オレンジ、グリーン等の有彩色顔料をいずれも用いることができる。
有機顔料としては、好ましくは、C.I.ピグメントイエロー、C.I.ピグメントレッド、C.I.ピグメントオレンジ、C.I.ピグメントバイオレット、C.I.ピグメントブルー、及びC.I.ピグメントグリーンからなる群から選ばれる1種以上の各品番製品が挙げられる。
顔料としては、いわゆる自己分散型顔料を用いることもできる。自己分散型顔料とは、親水性官能基(カルボキシ基やスルホン酸基等のアニオン性親水基;第4級アンモニウム基等のカチオン性親水基)の1種以上を直接又は他の原子団を介して顔料の表面に結合することで、界面活性剤や樹脂を用いることなく水系媒体に分散可能である顔料をいう。
疎水性染料とは、100gの水中(20℃)における溶解度が、好ましくは6質量%未満の染料のことをいう。疎水性染料としては、油溶性染料、分散染料等が挙げられる。
着色剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて任意の割合で混合して用いることができる。
着色剤は、水系インクの保存安定性、密着性及び耐アルコール性を向上させる観点から、界面活性剤やポリマー分散剤を用いて安定な着色剤粒子であることが好ましく、ポリマー分散剤で分散された着色剤粒子であることがより好ましい。
ポリマー分散剤としては、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂等の縮合系樹脂;アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン-アクリル系樹脂、アクリルシリコーン系樹脂等のビニル系樹脂等が挙げられる。ポリマー分散剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、ポリマー分散剤は、水系インクの保存安定性、密着性及び耐アルコール性を向上させる観点から、ポリエステル樹脂及びビニル系樹脂から選ばれる1種以上が好ましく、ポリエステル樹脂がより好ましい。
ポリマー分散剤として用いるポリエステル樹脂は、前述のポリエステル樹脂Aを用いてもよいが、水系インクの保存安定性、密着性及び耐アルコール性を向上させる観点から、ポリエステル樹脂Aとは異なる他のポリエステル樹脂Bを用いることが好ましい。
ポリエステル樹脂Bは、アルコール成分とカルボン酸成分とを重縮合して得られる、すなわち、ポリエステル樹脂Bは、アルコール成分とカルボン酸成分との重縮合物である。
ポリエステル樹脂Bを構成するアルコール成分は、水系インクの保存安定性、密着性及び耐アルコール性を向上させる観点から、ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物を含むことが好ましい。
ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物は、好ましくは前記一般式(I)で表される化合物であり、より好ましくはビスフェノールAのプロピレンオキシド付加物及びビスフェノールAのエチレンオキシド付加物から選ばれる1種以上であり、更に好ましくはビスフェノールAのプロピレンオキシド付加物である。
前記アルコール成分は、ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物以外の他のアルコール成分を含んでいてもよい。
他のアルコール成分としては、前述のビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物以外の、主鎖炭素数2以上12以下の脂肪族ジオール、ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物以外の芳香族ジオール、脂環式ジオール等のジオール;3価以上の多価アルコール等が挙げられる。
なお、上記アルコール成分は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ポリエステル樹脂Bを構成するアルコール成分中のビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物の含有量は、水系インクの保存安定性、密着性及び耐アルコール性を向上させる観点から、好ましくは80モル%以上、より好ましくは85モル%以上、更に好ましくは90モル%以上、より更に好ましくは95モル%以上であり、そして、100モル%以下であり、好ましくは100モル%である。
ポリエステル樹脂Bを構成するカルボン酸成分としては、前述のジカルボン酸、3価以上の多価カルボン酸等が挙げられる。中でも、水系インクの保存安定性、密着性及び耐アルコール性を向上させる観点から、好ましくはジカルボン酸を含み、より好ましくは芳香族ジカルボン酸及び脂肪族ジカルボン酸から選ばれる1種以上を含み、更に好ましくはテレフタル酸及びフマル酸を含む。
ポリエステル樹脂Bを構成するカルボン酸成分中の芳香族ジカルボン酸の含有量は、好ましくは10モル%以上、より好ましくは20モル%以上、更に好ましくは30モル%以上、より更に好ましくは40モル%以上、より更に好ましくは50モル%以上であり、そして、好ましくは70モル%以下、より好ましくは65モル%以下、更に好ましくは60モル%以下である。
ポリエステル樹脂Bを構成するカルボン酸成分中の脂肪族ジカルボン酸の含有量は、好ましくは5モル%以上、より好ましくは10モル%以上、更に好ましくは15モル%以上、より更に好ましくは20モル%以上であり、そして、好ましくは40モル%以下、より好ましくは35モル%以下、更に好ましくは30モル%以下である。
ポリエステル樹脂Bを構成するカルボン酸成分は、水系インクの保存安定性、密着性及び耐アルコール性を向上させる観点から、好ましくは3価以上の多価カルボン酸を含む。
3価以上の多価カルボン酸としては、前述の3価の芳香族カルボン酸がより好ましく、トリメリット酸が更に好ましい。
ポリエステル樹脂Bを構成するカルボン酸成分中の3価以上の多価カルボン酸の含有量は、水系インクの保存安定性、密着性及び耐アルコール性を向上させる観点から、好ましくは3モル%以上、より好ましくは5モル%以上、更に好ましくは7モル%以上、より更に好ましくは10モル%以上であり、そして、好ましくは20モル%以下、より好ましくは17モル%以下、更に好ましくは15モル%以下、より更に好ましくは13モル%以下である。
上記カルボン酸成分は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ポリエステル樹脂Bのアルコール成分のヒドロキシ基(OH基)に対するカルボン酸成分のカルボキシ基(COOH基)の当量比(COOH基/OH基)は、好ましくは0.65以上、より好ましくは0.70以上であり、そして、好ましくは1.2以下、より好ましくは1.1以下である。
ポリエステル樹脂Bは、ポリエステル樹脂Aと同様に前記カルボン酸成分と前記アルコール成分とを、重縮合反応させることによって製造することができる。例えば、アルコール成分とカルボン酸成分とを不活性ガス雰囲気中にて、必要に応じて前述のエステル化触媒、エステル化助触媒及び重合禁止剤を用いて、120℃以上250℃以下の温度で重縮合することにより製造することができる。
ポリエステル樹脂Bの酸価は、水系インクの保存安定性、密着性及び耐アルコール性を向上させる観点から、好ましくは10mgKOH/g以上、より好ましくは20mgKOH/g以上、更に好ましくは25mgKOH/g以上であり、そして、好ましくは40mgKOH/g以下、より好ましくは37mgKOH/g以下、更に好ましくは35mgKOH/g以下である。
ポリエステル樹脂Bのガラス転移温度は、水系インクの保存安定性、密着性及び耐アルコール性を向上させる観点から、好ましくは50℃以上、より好ましくは60℃以上、更に好ましくは70℃以上であり、そして、好ましくは100℃以下、より好ましくは90℃以下、更に好ましくは80℃以下である。
ポリエステル樹脂Bの軟化点は、水系インクの保存安定性、密着性及び耐アルコール性を向上させる観点から、好ましくは100℃以上、より好ましくは110℃以上、更に好ましくは120℃以上であり、そして、好ましくは150℃以下、より好ましくは140℃以下、更に好ましくは130℃以下である。
ポリエステル系樹脂Bの酸価、ガラス転移温度、及び軟化点は、いずれも実施例に記載の方法で測定することができる。
ポリエステル樹脂Bの物性を上記範囲内に調整する手段は特に限定されるものではないが、例えば、原料モノマーの種類及びその比率、並びに反応温度、反応時間、冷却速度等の製造条件により適宜調整することができる。
なお、ポリエステル樹脂Bとして2種以上の樹脂を混合して用いる場合は、その酸価、ガラス転移温度及び軟化点は、2種以上の樹脂の混合物を実施例に記載の方法により測定して得られた値を用いる。
ポリマー分散剤で分散された着色剤粒子は、例えば、ポリエステル樹脂B、有機溶媒、着色剤、水、及び必要に応じて中和剤、界面活性剤等を含有する着色剤混合物を分散処理して、ポリマー分散剤で分散された着色剤粒子の分散液を得たのち、該分散液から有機溶媒を除去して、ポリマー分散剤で分散された着色剤粒子の水分散液を得る方法で製造することができる。
ポリエステル樹脂Bの酸基の少なくとも一部は、塩基性化合物で中和されてなることが好ましい。中和に用いる好ましい塩基性化合物は、ポリエステル樹脂Aで例示したものと同様のものを用いることができる。塩基性化合物は、十分かつ均一に中和を促進させる観点から、水溶液として用いることが好ましい。
ポリエステル樹脂Bの中和度は、好ましくは60モル%以上、より好ましくは70モル%以上、更に好ましくは75モル%以上であり、そして、好ましくは100モル%以下、より好ましくは95モル%以下、更に好ましくは90モル%以下である。
ポリエステル樹脂Bの中和度は、下記式(2)で表される。
なお、前記中和度が100モル%を超える場合には、中和剤がポリエステル樹脂Bの酸基に対して過剰であることを意味し、この時のポリエステル樹脂Bの中和度は100モル%とみなす。
中和度={[塩基性化合物の添加質量(g)/塩基性化合物の当量(g/mol)]/〔[ポリエステル樹脂Bの酸価(mgKOH/g)×ポリエステル樹脂Bの質量(g)]/(56×1000(mgKOH/mol))〕}×100 (2)
着色剤混合物の分散処理は、剪断応力による本分散だけで顔料粒子を所望の粒径となるまで微粒化することもできるが、均一な水系顔料分散体を得る観点から、着色剤混合物を予備分散した後、さらに本分散することが好ましい。
予備分散に用いる分散機としては、アンカー翼、ディスパー翼等の一般に用いられている混合撹拌装置を用いることができる。
本分散に用いる剪断応力を与える手段としては、例えば、ロールミル、ニーダー等の混練機、マイクロフルイダイザー等の高圧ホモジナイザー、ペイントシェーカー、ビーズミル等のメディア式分散機が挙げられる。これらの中でも、顔料を小粒径化する観点から、高圧ホモジナイザーを用いることが好ましい。
高圧ホモジナイザーを用いて分散処理を行う場合、処理圧力やパス回数の制御により、着色剤を所望の粒径になるように制御することができ、後述する着色剤粒子の体積平均粒径Dvも調整することができる。
着色剤混合物に有機溶媒が含まれている場合は、公知の方法で有機溶媒を除去することで、水分散液を得ることができる。
得られた水分散液中の有機溶媒は実質的に除去されていることが好ましいが、本発明の目的を損なわない限り、残存していてもよい。残留有機溶媒の量は、好ましくは0.1質量%以下、より好ましくは0.01質量%以下である。
得られた水分散液は、金網等で濾過し、粗大粒子等を除去することが好ましい。
得られた水分散液は、水分散液の生産性及び保存安定性を向上させる観点から、後述の水系インク中に任意に添加される、更に有機溶媒、防腐剤、防黴剤等の各種添加剤を含有してもよい。
ポリマー分散剤で分散された着色剤粒子の水分散液の固形分濃度は、水分散液の生産性及び保存安定性を向上させる観点から、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上であり、そして、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは25質量%以下である。前記水分散液の固形分濃度は、実施例に記載の方法により測定される。
水分散液中のポリマー分散剤で分散された着色剤粒子の体積平均粒径Dvは、水系インクの分散安定性を向上させ、水系インクの保存安定性、密着性及び耐アルコール性を向上させる観点から、好ましくは40nm以上、より好ましくは50nm以上、更に好ましくは100nm以上であり、そして、好ましくは200nm以下、より好ましくは150nm以下、より更に好ましくは130nm以下である。前記体積平均粒径Dvは、実施例に記載の方法により測定される。
(水系インクの製造)
本発明の水系インクは、例えば、前記ポリエステル樹脂粒子の水分散液とポリマー分散剤で分散された着色剤粒子の水分散液とを混合することにより製造することができる。
混合には、各種撹拌装置を用いることができる。
本発明の水系インクには、必要に応じて、有機溶媒、保湿剤、湿潤剤、浸透剤、界面活性剤、粘度調整剤、消泡剤、防腐剤、防黴剤、防錆剤、pH調整剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の各種添加剤を添加し、更にフィルター等による濾過処理を行うことにより得ることができる。
本発明の水系インクは、水系インクの保存安定性、密着性及び耐アルコール性を向上させる観点から、更に有機溶媒を含有することが好ましい。該有機溶媒は、前記と同様の観点から、沸点が90℃以上250℃以下のものが好ましい。
前記有機溶媒としては、多価アルコール、多価アルコールアルキルエーテル、含窒素複素環化合物、アミド、アミン、含硫黄化合物等が挙げられる。これらの中でも、多価アルコール及び多価アルコールアルキルエーテルから選ばれる1種以上が好ましく、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、及びジエチレングリコールジエチルエーテルから選ばれる1種以上がより好ましく、プロピレングリコール及びジエチレングリコールモノイソブチルエーテルから選ばれる1種以上が更に好ましい。
本発明の水系インクは、水系インクの保存安定性、密着性及び耐アルコール性を向上させる観点から、更に界面活性剤を含有することが好ましい。
前記界面活性剤としては、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。中でも、ノニオン性界面活性剤が好ましい。
ノニオン性界面活性剤としては、アセチレングリコール系界面活性剤、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル型界面活性剤、多価アルコール型界面活性剤、脂肪酸アルカノールアミド、ノニオン性シリコーン系界面活性剤、ノニオン性フッ素系界面活性剤等が挙げられる。これらの中でも、アセチレングリコール系界面活性剤、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル型界面活性剤、及びノニオン性シリコーン系界面活性剤から選ばれる1種以上が好ましく、アセチレングリコール系界面活性剤がより好ましい。
前記界面活性剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
水系インク中のポリエステル樹脂粒子の含有量は、水系インクの保存安定性、密着性及び耐アルコール性を向上させる観点から、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、更に好ましくは3質量%以上であり、そして、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは10質量%以下、より更に好ましくは7質量%以下である。
水系インク中の着色剤の含有量は、水系インクの保存安定性、密着性及び耐アルコール性を向上させる観点、及び印刷濃度の観点から、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、更に好ましくは3質量%以上であり、そして、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは7質量%以下、より更に好ましくは5質量%以下である。
水系インク中のポリエステル樹脂粒子に対する着色剤の含有量の質量比〔着色剤/ポリエステル樹脂粒子〕は、着色剤粒子の分散安定性を向上させ、水系インクの保存安定性、密着性及び耐アルコール性を向上させる観点、及び印刷濃度の観点から、好ましくは10/90以上、より好ましくは20/80以上、更に好ましくは30/70以上、より更に好ましくは40/60以上であり、そして、好ましくは90/10以下、より好ましくは80/20以下、更に好ましくは70/30以下、より更に好ましくは60/40以下、より更に好ましくは50/50以下である。
着色剤がポリマー分散剤で分散された着色剤粒子である場合、水系インク中のポリマー分散剤に対する着色剤の含有量の質量比〔着色剤/ポリマー分散剤〕は、着色剤粒子の分散安定性を向上させ、水系インクの保存安定性、密着性及び耐アルコール性を向上させる観点、及び印刷濃度の観点から、好ましくは50/50以上、より好ましくは60/40以上、更に好ましくは65/35以上であり、そして、好ましくは90/10以下、より好ましくは80/20以下、更に好ましくは75/25以下である。
水系インクが更に有機溶媒を含有する場合、水系インク中の有機溶媒の含有量は、着色剤粒子の分散安定性を向上させ、水系インクの保存安定性、密着性及び耐アルコール性を向上させる観点、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは20質量%以上、より更に好ましくは25質量%以上であり、そして、好ましくは45質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは35質量%以下である。
水系インクが更に界面活性剤を含有する場合、水系インク中の界面活性剤の含有量は、着色剤粒子の分散安定性を向上させ、水系インクの保存安定性、密着性及び耐アルコール性を向上させる観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上であり、そして、好ましくは5質量%以下、より好ましくは2質量%以下である。
水系インクに含まれる水の含有量は、水系インクの保存安定性、密着性及び耐アルコール性を向上させる観点から、好ましくは40質量%以上、より好ましくは50質量%以上、更に好ましくは55質量%以上であり、そして、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下、更に好ましくは70質量%以下である。
本発明の水系インクの32℃の粘度は、保存安定性の観点から、好ましくは4.5mPa・s以上、より好ましくは5.0mPa・s以上、更に好ましくは5.2mPa・s以上であり、そして、好ましくは6.5mPa・s以下、より好ましくは6.0mPa・s以下、更に好ましくは5.8mPa・s以下である。水系インクの粘度は、E型粘度計を用いて測定できる。
水系インクの25℃のpHは、保存安定性の観点から、好ましくは7.0以上、より好ましくは7.2以上、更に好ましくは7.5以上である。また、部材耐性、皮膚刺激性の観点から、pHは、好ましくは11以下、より好ましくは10以下、更に好ましくは9.5以下である。水系インクのpHは、実施例に記載の方法により測定することができる。
本発明の水系インクは、フレキソ印刷インキ用、グラビア印刷インキ用、又はインクジェット記録用として好適に用いることができ、特にインクジェット記録用として用いることが好ましい。公知のインクジェット記録装置に装填し、印刷媒体にインク液滴として吐出させて画像、文字等が記録された印刷物を得ることができる。
インクジェット記録装置としては、サーマル式及びピエゾ式があるが、本発明の水系インクは、ピエゾ式のインクジェット記録用水系インクとして用いることがより好ましい。
用いる印刷媒体としては、高吸水性の普通紙、低吸水性のコート紙、非吸水性の樹脂フィルム等の樹脂製印刷媒体が挙げられる。コート紙としては、汎用光沢紙、多色フォームグロス紙等が挙げられる。中でも、密着性及び耐アルコール性の観点から、樹脂製印刷媒体が好ましい。
一般的に入手できる樹脂フィルムとしては、例えば、透明塩ビRE-137(株式会社ミマキエンジニアリング製、ポリ塩化ビニル)、PVC80B P(リンテック株式会社製、ポリ塩化ビニル)、DGS-210WH(ローランドディージー株式会社製、塩化ビニル)、ルミラーT60(東レ株式会社製、ポリエステル)、カイナスKEE70CA(リンテック株式会社製、ポリエチレン)、ユポSG90 PAT1(リンテック株式会社製、ポリプロピレン)、FOR、FOA(いずれもフタムラ化学株式会社製、ポリプロピレン)、ボニールRX(興人フィルム&ケミカルズ株式会社製、ナイロン)、エンブレムONBC(ユニチカ株式会社製、ナイロン)等が挙げられる。
樹脂製印刷媒体は、好ましくはポリ塩化ビニルフィルム、ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム、及びポリエチレンフィルムから選ばれる1種以上であり、より好ましくはポリ塩化ビニルフィルム及びポリエステルフィルムから選ばれる1種以上、更に好ましくはポリ塩化ビニルフィルムである。当該樹脂フィルムは、コロナ処理された基材を用いてもよい。
本発明の水系インクをインクジェット記録方法に用いる場合には、該水系インクをインクジェット記録方式で樹脂製印刷媒体に付着させた後、該水系インクが付着した樹脂製印刷媒体を加熱して印刷面を乾燥させることが好ましい。
印刷面の乾燥温度は、好ましくは40℃以上、より好ましくは50℃以上であり、そして、好ましくは100℃以下、より好ましくは90℃以下、更に好ましくは70℃以下である。
以下の実施例等においては、各物性は次の方法により測定した。
〔ポリエステル樹脂の酸価〕
ポリエステル樹脂の酸価は、JIS K0070:1992の方法に基づき測定した。但し、測定溶媒のみ、JIS K0070:1992の規定のエタノールとエーテルの混合溶媒から、アセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))に変更した。
〔ポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn)〕
以下の方法により、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法により数平均分子量(Mn)を求めた。
(1) 試料溶液の調製
濃度が0.5g/100mLになるように、試料をテトラヒドロフランに、40℃で溶解させる。次いで、この溶液を孔径0.20μmのPTFEタイプメンブレンフィルター「DISMIC-25JP」(東洋濾紙株式会社製)を用いて濾過して不溶解成分を除き、試料溶液とした。
(2) 分子量測定
下記の測定装置及び分析カラムを用い、溶離液としてテトラヒドロフランを、毎分1mLの流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定させる。そこに試料溶液100μLを注入して測定を行った。試料の分子量は、あらかじめ作成した検量線に基づき算出した。
測定装置:HLC-8220GPC(東ソー株式会社製)
分析カラム:TSKgel GMHXL+TSKgel G3000HXL(東ソー株式会社製)
検量線には、数種類の単分散ポリスチレン(東ソー株式会社製のA-500(5.0×102)、A-1000(1.01×103)、A-2500(2.63×103)、A-5000(5.97×103)、F-1(1.02×104)、F-2(1.81×104)、F-4(3.97×104)、F-10(9.64×104)、F-20(1.90×105)、F-40(4.27×105)、F-80(7.06×105)、F-128(1.09×106))を標準試料として作成したものを用いた。括弧内は分子量を示す。
〔ポリエステル樹脂の軟化点〕
フローテスター「CFT-500D」(株式会社島津製作所製)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/minで加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出した。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とした。
〔ポリエステル樹脂のガラス転移温度〕
示差走査熱量計「Q-100」(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製)を用いて、試料0.01~0.02gをアルミパンに計量し、室温(20℃)から昇温速度10℃/minで200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/minで0℃まで冷却した。次いで、試料を昇温速度10℃/minで180℃まで昇温し、吸熱の最高ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移温度とした。
〔ポリエステル樹脂粒子及び着色剤粒子の体積平均粒径Dv〕
下記測定装置を用いて、下記測定条件にて体積平均粒径Dvを測定した。
測定装置:ゼータ電位・粒径測定システム「ELSZ-2」(大塚電子株式会社製)
測定条件:キュムラント解析法。測定する粒子の濃度が約5×10-3質量%になるように水で希釈した分散液を測定用セルに入れ、温度25℃、入射光と検出器との角度90°、積算回数100回、分散溶媒の屈折率として水の屈折率(1.333)を入力して測定した。
〔ポリエステル樹脂水分散液の固形分濃度〕
赤外線水分計「FD-230」(株式会社ケツト科学研究所製)を用いて、測定試料5gを乾燥温度150℃、測定モード96(監視時間2.5分/変動幅0.05%)の条件にて乾燥させ、水性分散液の水分(質量%)を測定した。固形分濃度は次の式に従って算出した。
固形分濃度(質量%)=100-水分(質量%)
〔着色剤粒子の水分散液の固形分濃度〕
30mLのポリプロピレン製容器(内径40mm、高さ30mm)にデシケーター中で恒量化した硫酸ナトリウム10.0gを量り取り、そこへ試料約1.0gを添加して、混合させた後、正確に秤量した。次いで、105℃で2時間維持して、揮発分を除去し、更にデシケーター内で15分間放置し、質量を測定した。揮発分を除去した後の試料の質量を固形分として、添加した試料の質量で除して固形分濃度とした。
〔水系インクのpH〕
pHメーター「HM-20P」(東亜ディーケーケー株式会社製)を用いて、pH6.86及びpH9.18の標準緩衝液(東亜ディーケーケー株式会社製)により校正した後25℃で測定した。
製造例1-1~1-5,1-7~1-10(ポリエステル樹脂A1~A5,A7,AC1~AC3の製造)
表1に示す、トリメリット酸無水物以外の原料モノマー、エステル化触媒及びエステル化助触媒を、窒素導入管、撹拌器及び熱電対を装備した10L容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、235℃まで昇温した後、235℃で6時間重縮合させた。次いで、210℃まで降温した後、表1に示すトリメリット酸無水物を添加し、210℃で1時間反応させた。次いで、210℃、10kPaの減圧下にて表1に記載の軟化点となるまで反応を行い、ポリエステル樹脂A1~A5,A7,AC1~AC3を得た。得られた樹脂の各種物性を表1に示す。
製造例1-6(ポリエステル樹脂A6の製造)
表1に示す、フマル酸及びトリメリット酸無水物以外の原料モノマー、エステル化触媒及びエステル化助触媒を、窒素導入管、撹拌器及び熱電対を装備した10L容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、235℃まで昇温した後、235℃で6時間重縮合させた。次いで、210℃まで降温した後、表1に示すフマル酸、トリメリット酸無水物、重合禁止剤として4-tert-ブチルカテコールを添加し、210℃で1時間反応させた。次いで、210℃、10kPaの減圧下にて表1に記載の軟化点となるまで反応を行い、ポリエステル樹脂A6を得た。得られた樹脂の物性を表1に示す。
Figure 2022022990000003
実施例1-1~1-8及び比較例1-1~1-3(ポリエステル樹脂水分散液E1~E8及びEC1~EC3の製造)
表2に示す種類及び配合量のポリエステル樹脂を、窒素導入管、還流冷却管、撹拌器「スリーワンモーターBL300」(新東科学株式会社製)及び熱電対を装備した1L容の四つ口フラスコに入れ、30℃でメチルエチルケトン200gと混合し樹脂を溶解させた。次いで、表2に示す量の48質量%水酸化ナトリウム水溶液をポリエステル樹脂の中和度が60モル%となるように添加して30分撹拌した後、30℃、撹拌下、20mL/minの速度で、表2に示すイオン交換水全量を滴下した。次いで、60℃に昇温した後、80kPa~30kPaに段階的に減圧していきながらメチルエチルケトンを留去し、更に一部の水を留去した。25℃まで冷却後、150メッシュの金網で濾過し、イオン交換水にて固形分30質量%に調整し、表2に示す性状を有するポリエステル樹脂粒子を含有するポリエステル樹脂水分散液を得た。得られた水分散液を用いて以下の評価を行った。結果を表2に示す。
〔ポリエステル樹脂水分散液の保存安定性の評価〕
実施例及び比較例で得られた各ポリエステル樹脂水分散液を密閉容器内で、60℃恒温室下で保存し、45日経た後に取り出し、保存後の体積平均粒径(Dv’)を前述の方法により測定した。60℃、45日保存後における平均粒径変化率を下記式により算出(小数点以下は切り捨て)し、以下の評価基準にて保存安定性を評価した。
平均粒径変化率(%)=[〔保存後の体積平均粒径(Dv’)/保存前の体積平均粒径体積(Dv)〕-1]×100
(評価基準)
A:平均粒径変化率の絶対値が5%未満である。
B:平均粒径変化率の絶対値が5%以上15%未満である。
C:平均粒径変化率の絶対値が15%以上30%未満である
D:平均粒径変化率の絶対値が30%以上50%未満である。
E:平均粒径変化率の絶対値が50%以上、又は、水分散液が流動性を失い、体積平均粒径Dv’を測定できる状態ではない。
〔ポリエステル樹脂水分散液のPVC密着性の評価〕
実施例及び比較例で得られた各ポリエステル樹脂水分散液1.67g、プロピレングリコール1.0g、アセチレングリコール系界面活性剤「オルフィンE1010」(日信化学工業株式会社製)0.1g、及びイオン交換水7.23gを混合し、マグネチックスターラーで室温で15分間撹拌して、密着性評価用の水分散液を得た。得られた水分散液をPVCフィルム「透明塩ビRE-137」(株式会社ミマキエンジニアリング製)にバーコーターNo.6を用い、卓上塗工機TC-1(三井電気精機株式会社製)にて速度6m/minで塗布した後、60℃の乾燥機で3分間乾燥し、塗膜を形成した。次いで、形成された塗膜面にカッターナイフを用いてPVCフィルム素地に達する縦横11本の切り傷(切り傷の間隔は1mm)をつけ、100マスの碁盤目を作製した。次いで、この碁盤目部分に「セロテープ(登録商標)CT15」(ニチバン株式会社製)を貼り付け、角度90°で10cm/secの速度で該テープを剥がし、剥離のないマス目の数を目視により確認した。表2には100マスに対する剥離のないマス目の数を示す。剥離のないマス目の数が多いほどPVCフィルムに対する密着性に優れる。
Figure 2022022990000004
表2から、実施例1-1~1-8のポリエステル樹脂水分散液は、比較例1-1~1-3のポリエステル樹脂水分散液と比べて、保存安定性に優れ、PVCフィルムに対する密着性に優れることが分かる。
比較例1-1は、ポリエステル樹脂を構成するアルコール成分が3-メチル-1,5-ペンタンジオールに代えて、直鎖脂肪族アルコールである1,5-ペンタンジオールを用いたため、保存安定性に劣る。
比較例1-2は、ポリエステル樹脂を構成するアルコール成分中の3-メチル-1,5-ペンタンジオールの含有量が40モル%未満であるため、PVCフィルムに対する密着性に劣る。
比較例1-3は、ポリエステル樹脂を構成するアルコール成分中の3-メチル-1,5-ペンタンジオールの含有量が75モル%超であるため、保存安定性に劣る。
実施例2-1~2-8及び比較例2-1~2-3(水系インクI-1~I-8及びIC-1~IC-3の製造)
100mLスクリュー管に、プロピレングリコール25.0g、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル5.0g、アセチレングリコール系界面活性剤「オルフィンE1010」(日信化学工業株式会社製)1.0g、及びイオン交換水22.1gを加え、マグネチックスターラーを用いて室温で15分間撹拌して、混合溶液を得た。
次いで、下記の製造例2で得られた着色剤としてシアン顔料(C.I.ピグメントブルー15:3)を用いた顔料粒子の水分散液(P1)28.6g(水系インクの総量100質量部に対する着色剤の含有量として4.0質量部)をマグネチックスターラーで撹拌しながら、前記混合溶液を添加及び混合し、更に表3に示す各ポリエステル樹脂水分散液18.3g(水系インクの総量100質量部に対する固形分量として5.5質量部)をスポイトで滴下しながら撹拌混合した。次いで、孔径5.0μmのフィルター「ミニザルト」(Sartorius Stedim Biotech社製)で濾過し、各水系インクを得た。得られた水系インクを用いて以下の評価を行った。結果を表3に示す。
製造例2(顔料粒子の水分散液P1の製造)
(1)ポリエステル樹脂B1の製造
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンのプロピレンオキシド(2.2)付加物4828g、テレフタル酸1374g、エステル化触媒として2-エチルヘキサン酸錫(II)35g、及びエステル化助触媒として没食子酸3.5gを、窒素導入管、撹拌器及び熱電対を装備した10L容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、235℃まで昇温した後、235℃で5時間重縮合させた。次いで、180℃まで降温した後、フマル酸480g、トリメリット酸無水物318g、及び重合禁止剤として4-tert-ブチルカテコール3.5gを添加し、210℃まで3時間かけて段階的に昇温させて反応させた。次いで、210℃で66.7kPaの減圧下にて3時間反応を行い、ポリエステル樹脂B1を得た。得られたポリエステル樹脂B1の酸価は30mgKOH/g、ガラス転移温度は72.2℃、軟化点は123.5℃であった。
(2)顔料粒子の水分散液P1の製造
ポリマー分散剤としてポリエステル樹脂(B1)42.7gをメチルエチルケトン142.7gに溶解し、更に中和剤として48質量%水酸化ナトリウム水溶液1.6g、及びイオン交換水240gを加え、10℃以上15℃以下でディスパー翼を用いて2,000rpmで15分間撹拌混合を行った。次いで、シアン顔料(C.I.ピグメントブルー15:3)100gを加え、10℃以上15℃以下でディスパー翼を用いて7,000rpmで3時間撹拌混合した。
得られた分散液を150メッシュ濾過し、イオン交換水110gを添加して希釈した後に、高圧ホモジナイザー「マイクロフルイダイザー(型式:M-110K)」(Microfluidics社製)を用いて、150MPaの圧力で15パス分散処理した。
得られた分散液を、減圧下60℃でメチルエチルケトンを除去し、更に一部の水を除去し、遠心分離し、液層部分を孔径10μmのフィルター(Pall社製)で濾過して粗大粒子を除いた。イオン交換水を混合した後、前記孔径10μmのフィルターで濾過し、ポリマー分散剤で分散された顔料粒子の水分散液P1(固形分濃度20質量%)を得た。得られた水分散液中に含まれる顔料粒子の体積平均粒径Dvは120.5nmであった。
〔水系インクの保存安定性(1)の評価〕
実施例及び比較例で得られた各水系インクを密閉容器内で、60℃恒温室下で保存し、28日後に取り出し、保存後の体積平均粒径(Dv’)を前述の方法により測定した。60℃、28日保存後における平均粒径変化率を下記式により算出(小数点以下は切り捨て)し、以下の評価基準にて保存安定性を評価した。
平均粒径変化率(%)=[〔保存後の体積平均粒径(Dv’)/保存前の体積平均粒径体積(Dv)〕-1]×100
(評価基準)
A:平均粒径変化率の絶対値が5%未満である。
B:平均粒径変化率の絶対値が5%以上15%未満である。
C:平均粒径変化率の絶対値が15%以上30%未満である
D:平均粒径変化率の絶対値が30%以上50%未満である。
E:平均粒径変化率の絶対値が50%以上、又は、水系インクが流動性を失い、体積平均粒径Dv’を測定できる状態ではない。
〔水系インクの保存安定性(2)の評価〕
実施例及び比較例で得られた各水系インクを密閉容器内で、60℃恒温室下で保存し、28日後に取り出し、水系インクのpHを前述の方法により測定した。保存前の水系インクのpHに対する保存後の水系インクのpH比(保存後のpH/保存前のpH)を算出した。前記pH比が1に近いほど保存安定性に優れる。
〔水系インクのPVC密着性の評価〕
インクジェットプリンター「IPSiO GX 2500」(株式会社リコー製、ピエゾ式)に実施例及び比較例で得られた各水系インクを充填し、PVCフィルム「透明塩ビRE-137」(株式会社ミマキエンジニアリング製)にA4ベタ画像を印刷した。次いで、60℃の乾燥機にて3分乾燥し、室温25℃、相対湿度50%の環境室にて1日静置し、評価用印刷物を得た。評価用印刷物の印刷面にカッターナイフを用いてPVCフィルム素地に達する縦横11本の切り傷(切り傷の間隔は1mm)をつけ、100マスの碁盤目を作製した。次いでこの碁盤目部分に「セロテープ(登録商標)CT15」(ニチバン株式会社製)を貼り付け、角度90°で10cm/secの速度で該テープを剥がし、剥離のないマス目の数を目視により確認した。表3には100マスに対する剥離のないマス目の数を示す。剥離のないマス目の数が多いほどPVCフィルムに対する密着性に優れる。
〔水系インクの耐アルコール性の評価〕
前述の水系インクの密着性の評価と同様の方法により評価用印刷物を得た。
エタノールをイオン交換水で希釈し、エタノールの質量濃度が異なる評価用のエタノール水溶液を作製した(0質量%から100質量%の範囲で10質量%刻みで水溶液を作製した)。次いで、前記エタノール水溶液(各質量濃度)を含浸させた綿棒を用いて、2~3cmの幅で1秒間に1往復の速度で、該印刷面を10回往復してなでるように軽く擦過した。擦過した印刷面の状態を目視により観察し、印刷面に傷、剥がれ、白濁等の変化が認められなかった最も高いエタノールの質量濃度を耐アルコール性の指標として表3に示す。エタノールの質量濃度が高いほど耐アルコール性に優れる。
Figure 2022022990000005
表3から、実施例2-1~2-8の水系インクは、比較例2-1~2-3の水系インクと比べて、保存安定性に優れ、PVCフィルムに対する密着性及び耐アルコール性に優れる印刷物を得ることができることが分かる。
比較例2-1は、ポリエステル樹脂を構成するアルコール成分が3-メチル-1,5-ペンタンジオールに代えて、直鎖脂肪族アルコールである1,5-ペンタンジオールを用いたため、保存安定性及び印刷物の耐アルコール性に劣る。
比較例2-2は、ポリエステル樹脂を構成するアルコール成分中の3-メチル-1,5-ペンタンジオールの含有量が40モル%未満であるため、PVCフィルムに対する密着性に劣る。
比較例2-3は、ポリエステル樹脂を構成するアルコール成分中の3-メチル-1,5-ペンタンジオールの含有量が75モル%超であるため、保存安定性、PVCフィルムに対する密着性及び耐アルコール性に劣る。
本発明によれば、保存安定性、及び形成される塗膜のPVC等の極性を有する樹脂製記録媒体に対する密着性に優れ、水系インクに用いても保存安定性に優れ、該樹脂製印刷媒体に印刷した際に密着性及びアルコール等の溶剤に対する耐擦過性に優れる印刷物を得ることができるポリエステル樹脂水分散液、及び該ポリエステル樹脂水分散液を含有する水系インクを提供することができる。そのため、商業印刷、産業用印刷等の分野で好適に用いることができる。

Claims (9)

  1. ポリエステル樹脂粒子を含有するポリエステル樹脂水分散液であって、
    該ポリエステル樹脂粒子が、アルコール成分由来の構成単位とカルボン酸成分由来の構成単位とを含むポリエステル樹脂Aを含有し、
    該アルコール成分がビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物及び3-メチル-1,5-ペンタンジオールを含み、
    該アルコール成分中の3-メチル-1,5-ペンタンジオールの含有量が40モル%以上75モル%以下である、ポリエステル樹脂水分散液。
  2. 前記アルコール成分中のビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物の含有量が25モル%以上60モル%以下である、請求項1に記載のポリエステル樹脂水分散液。
  3. ポリエステル樹脂Aの酸価が10mgKOH/g以上40mgKOH/g以下である、請求項1又は2に記載のポリエステル樹脂水分散液。
  4. ポリエステル樹脂Aの酸基が塩基性化合物で中和されてなり、
    該ポリエステル樹脂Aの下記式(1)で表される中和度が50モル%以上100モル%以下である、請求項3に記載のポリエステル樹脂水分散液。
    中和度={[塩基性化合物の添加質量(g)/塩基性化合物の当量(g/mol)]/〔[ポリエステル樹脂Aの酸価(mgKOH/g)×ポリエステル樹脂Aの質量(g)]/(56×1000(mgKOH/mol))〕}×100 (1)
  5. ポリエステル樹脂Aのガラス転移温度が35℃以上65℃以下である、請求項1~4のいずれかに記載のポリエステル樹脂水分散液。
  6. ポリエステル樹脂Aの数平均分子量が2,500以上6,000以下である、請求項1~5のいずれかに記載のポリエステル樹脂水分散液。
  7. ポリエステル樹脂Aを構成するカルボン酸成分が、3価以上の多価カルボン酸を3モル%以上15モル%以下含む、請求項1~6のいずれかに記載のポリエステル樹脂水分散液。
  8. ポリエステル樹脂Aを構成するカルボン酸成分が、テレフタル酸及びイソフタル酸から選ばれる1種以上を含み、該カルボン酸成分中のテレフタル酸及びイソフタル酸の合計含有量が60モル%以上である、請求項1~7のいずれかに記載のポリエステル樹脂水分散液。
  9. 請求項1~8のいずれかに記載のポリエステル樹脂水分散液及び着色剤を含有する、水系インク。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2022202675A1 (ja) * 2021-03-24 2022-09-29 花王株式会社 顔料水分散体

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