JP2016027066A - 共重合体の製造方法 - Google Patents

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絵理子 佐藤
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秀司 藤井
Hideji Fujii
秀司 藤井
中村 吉伸
Yoshinobu Nakamura
吉伸 中村
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Abstract

【課題】
酸素分子との共重合性を有するモノマー中に酸素ガスをバブリングしたり、酸素ガスの存在下に強力に攪拌する必要がなく、穏やかな条件で酸素共重合性モノマーと酸素分子との共重合体を効率的に製造する方法を提供する。
【解決手段】
酸素分子との共重合性を有するモノマーを含む液滴を複数の固体粒子と接触させ、前記酸素分子との共重合性を有するモノマーを含むコアと、前記コアの表面を覆う前記固体粒子を含むシェルとを備えるコア−シェル粒子を作製する工程と、
酸素分子を含む気体中に前記コア−シェル粒子をおき、前記酸素分子との共重合性を有するモノマーと酸素分子とを前記コア内で共重合して、共重合体を形成する工程と、
を備える、共重合体の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、酸素分子との共重合性を有するモノマーと、酸素分子との共重合体の製造方法、当該製造方法等に使用される前記モノマーを含むコア−シェル粒子、当該製造方法等によって得ることができる前記共重合体を含むコア−シェル粒子、さらに、前記共重合体を含むコア−シェル粒子を含む粘接着剤に関する。
従来、酸素分子との共重合性を有するモノマーと、酸素分子との共重合体として、例えば、主鎖に過酸化結合(−O−O−)を有するポリペルオキシドが知られている。ポリペルオキシドは、例えば、ビニルモノマー、ジエンモノマーなどの酸素分子との共重合性を有するモノマー(以下、「酸素分子との共重合性を有するモノマー」を単に「酸素共重合性モノマー」と表記することがある)と、酸素分子とがラジカル交互共重合して得られる(例えば、非特許文献1、特許文献1を参照)。
ポリペルオキシドは、主鎖に不安定な過酸化結合を有しているため、光や加熱によって容易に分解させることができる。例えば、非特許文献2及び非特許文献3には、ポリペルオキシドは、光照射や加熱によって分解させることにより接着性または粘着性が著しく低下する易解体性粘接着剤として利用できることが報告されている。
しかしながら、従来、ビニルモノマー、ジエンモノマーなどの酸素共重合性モノマーと酸素分子との共重合反応は、酸素分子が十分に存在しない環境では、生成物として、酸素共重合性モノマーの単独重合体が多く生成したり、重合反応自体が進行し難くなるという問題がある。このため、従来、酸素共重合性モノマーと酸素分子との共重合反応は、通常、酸素共重合性モノマー中に酸素ガスをバブリングしたり、酸素共重合性モノマーを酸素ガスの存在下に強力に攪拌するなどして、ペルオキシドの生成効率を高めることが行われている。
E. Sato and A. Matsumoto, Chem. Record, 9(5), 247-257 (2009). E. Sato, H. Tamura, and A. Matsumoto, ACS Appl. Mater. Interfaces, 2(9), 2594-2601 (2010). E. Sato, T. Hagihara, and A. Matsumoto, ACS Appl. Mater. Interfaces, 4(4), 2057-2064 (2012).
国際公開第2004/087791号パンフレット
上記のように、従来、酸素共重合性モノマーと酸素分子との共重合体を効率的に製造するためには、酸素共重合性モノマー中に酸素ガスをバブリングしたり、酸素ガスの存在下に強力に攪拌する必要があった。このような状況下、本発明は、共重合性モノマー中に酸素ガスをバブリングしたり、酸素ガスの存在下に強力に攪拌する必要がなく、穏やかな条件で酸素共重合性モノマーと酸素分子との共重合体を効率的に製造する方法を提供することを主な目的とする。また、後述の通り、本発明は、当該酸素共重合性モノマーと酸素分子との共重合体を含むコアと、固体粒子により形成されたシェルとを備え、粘接着剤などとして好適に使用し得るコア−シェル粒子(以下、コア−シェル粒子Aと表記することがある)を提供することも目的とする。さらに、本発明は、当該共重合性モノマーを含む液体であるコアと、固体粒子により形成されたシェルとを備え、酸素分子を含む気体中において使用されるコア−シェル粒子(以下、コア−シェル粒子Bと表記することがある)を提供することも目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、以下の工程(1)及び工程(2)を備える製造方法を採用することにより、酸素共重合性モノマー中に酸素ガスをバブリングしたり、酸素ガスの存在下に強力に攪拌する必要がなく、穏やかな条件で酸素共重合性モノマーと酸素分子との共重合体を効率的に製造できることを見出した。
工程(1):酸素分子との共重合性を有するモノマーを含む液滴を複数の固体粒子と接触させ、酸素分子との共重合性を有するモノマーを含むコアと、コアの表面を覆う固体粒子を含むシェルとを備えるコア−シェル粒子を作製する工程
工程(2):酸素分子を含む気体中に前記コア−シェル粒子をおき、酸素分子との共重合性を有するモノマーと酸素分子とをコア内で共重合して、共重合体を形成する工程
すなわち、例えば上記の工程(1)において作製されるコア−シェル粒子B(コアが酸素分子との共重合性を有するモノマーを含む液体であって、シェルが複数の固体粒子により形成されており、酸素分子を含む気体中において使用される)を原料として用いることにより、穏やかな条件で、酸素共重合性モノマーと酸素分子との共重合体を効率的に製造できる。
さらに、本発明者らは、例えば上記の工程(1)及び工程(2)を備える製造方法によって製造することができるコア−シェル粒子A(コアが酸素分子との共重合性を有するモノマーと酸素分子との共重合体を含み、シェルが、複数の固体粒子により形成されている)が、粘接着剤として好適に使用できることを見出した。
本発明は、これらの知見に基づいて、さらに検討を重ねることにより完成したものである。
即ち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. コアと、前記コアの表面を覆うシェルとを備えるコア−シェル粒子であって、
前記コアが、酸素分子との共重合性を有するモノマーと酸素分子との共重合体を含み、
前記シェルが、複数の固体粒子により形成されている、コア−シェル粒子。
項2. 前記酸素分子との共重合性を有するモノマーが、重合性不飽和結合を有するモノマーである、項1に記載のコア−シェル粒子。
項3. 前記コアが、前記酸素分子との共重合性を有するモノマーをさらに含む、項1または2に記載のコア−シェル粒子。
項4. 前記共重合体が、ポリペルオキシドである、項1〜3のいずれかに記載のコア−シェル粒子。
項5. 前記コアが、粘性組成物である、項1〜4のいずれかに記載のコア−シェル粒子。
項6. 項1〜5のいずれかに記載のコア−シェル粒子を含む、粘接着剤。
項7. コアと、前記コアの表面を覆うシェルとを備えるコア−シェル粒子であって、
前記コアが、酸素分子との共重合性を有するモノマーを含む液体であって、
前記シェルが、複数の固体粒子により形成されており、
酸素分子を含む気体中において使用される、コア−シェル粒子。
項8. 前記コア−シェル粒子は、酸素分子を含む気体中において、気体中の酸素分子が前記シェルを透過し、前記コア内で、前記酸素分子との共重合性を有するモノマーと酸素分子とが共重合する、項7に記載のコア−シェル粒子。
項9. 前記酸素分子との共重合性を有するモノマーが、重合性不飽和結合を有する、項7または8に記載のコア−シェル粒子。
項10. 前記コアが、前記酸素分子との共重合性を有するモノマーと酸素分子との共重合体を含む、項7〜9のいずれかに記載のコア−シェル粒子。
項11. 前記共重合体が、ポリペルオキシドである、項10に記載のコア−シェル粒子。
項12. 酸素分子との共重合性を有するモノマーを含む液滴を複数の固体粒子と接触させ、前記酸素分子との共重合性を有するモノマーを含むコアと、前記コアの表面を覆う前記固体粒子を含むシェルとを備えるコア−シェル粒子を作製する工程と、
酸素分子を含む気体中に前記コア−シェル粒子をおき、前記酸素分子との共重合性を有するモノマーと酸素分子とを前記コア内で共重合して、共重合体を形成する工程と、
を備える、共重合体の製造方法。
項13. 前記酸素分子との共重合性を有するモノマーが、重合性不飽和結合を有する、項12に記載のコア−シェル粒子。
項14. 前記共重合体が、ポリペルオキシドである、項12または13に記載のコア−シェル粒子。
本発明によれば、酸素分子との共重合性を有するモノマー中に酸素ガスをバブリングしたり、酸素ガスの存在下に強力に攪拌する必要がなく、穏やかな条件で酸素共重合性モノマーと酸素分子との共重合体を効率的に製造する方法を提供することができる。従って、本発明によれば、酸素共重合性モノマーと酸素分子との共重合体を、省エネルギーな方法で製造することができる。また、本発明によれば、酸素共重合性モノマーと酸素分子との共重合体を含むコアと、固体粒子により形成されたシェルとを備え、粘接着剤などとして好適に使用することができるコア−シェル粒子Aを提供することができる。さらに、本発明によれば、酸素分子との共重合性を有するモノマーを含む液体であるコアと、固体粒子により形成されたシェルとを備え、酸素分子を含む気体中において使用されるコア−シェル粒子Bを提供することもできる。コア−シェル粒子Bは、本発明の製造方法に使用することができ、上記のコア−シェル粒子Aの原料となり得る。
本発明のコア−シェル粒子の模式的断面図である。 実施例において、1つのコア−シェル粒子Aを2枚のガラス板の間に挟んでいるところを表した模式図である。 2枚のガラス板の間に挟む前における、実施例1で得られたコア−シェル粒子Aの写真である。 実施例において、2枚のガラス板の間のコア−シェル粒子Aが潰れるまで手で荷重を加えた後の2枚のガラス板の写真である。 実施例において、コア−シェル粒子Aが潰れ、コアが流失して2枚のガラス板の間に広がったところを表した模式図である。 実施例1のコア−シェル粒子を用いた粘着性試験において、コア−シェル粒子に加えた応力(N)と変位(mm)との関係を示すグラフである。
1.共重合体の製造方法
本発明の共重合体の製造方法は、以下の工程(1)及び工程(2)を備えることを特徴とする。
工程(1):酸素分子との共重合性を有するモノマーを含む液滴を複数の固体粒子と接触させ、酸素分子との共重合性を有するモノマーを含むコアと、当該コアの表面を覆う固体粒子を含むシェルとを備えるコア−シェル粒子を作製する工程
工程(2):酸素分子を含む気体中に前記コア−シェル粒子をおき、酸素分子との共重合性を有するモノマーと酸素分子とをコア内で共重合して、共重合体を形成する工程
すなわち、本発明の製造方法によって製造される共重合体は、酸素分子との共重合性を有するモノマー(酸素共重合性モノマー)と酸素分子とが反応して生成した、酸素共重合性モノマーと酸素分子との共重合体である。当該共重合体としては、特に制限されないが、好ましくはポリペルオキシドが挙げられる。本発明において、ポリペルオキシドとは、共重合体を形成する繰り返し単位として過酸化結合(−O−O−)を有する化合物を意味する。酸素共重合性モノマーと酸素分子との共重合体の具体例としては、後述の「2.コア−シェル粒子A」の項目で例示するものが挙げられる。以下、工程(1)及び工程(2)について詳述する。
工程(1)
工程(1)は、コア−シェル粒子を作製する工程である。工程(1)において、酸素共重合性モノマーとしては、酸素分子と共重合するモノマーであれば特に制限されない。酸素共重合性モノマーは、例えば、酸素分子とのラジカル交互重合により、ポリペルオキシドを生成することができる。
酸素共重合性モノマーとしては、例えば重合性不飽和結合を有するモノマーが挙げられる。重合性不飽和結合を有するモノマーの具体例としては、(メタ)アクリル酸エステルまたはその誘導体、スチレンまたはその誘導体などのビニルモノマー;ソルビン酸エステルまたはその誘導体、ジエニル基を有する脂肪族炭化水素、ジエニル基を有する脂環式化合物などのジエンモノマーなどが挙げられる。ポリペルオキシドを効率的に製造する観点からは、これらの中でも、ジエンモノマーがより好ましい。同様の観点から、ジエンモノマーは、ジエンの1位の炭素及び4位の炭素の少なくとも一方の炭素に、カルボキシル基などの電子吸引基またはアルキル基(例えばメチル基、エチル基など)などの電子供与基を有することが好ましい。特許文献1に開示されているように、ジエンモノマーが、ジエニル基の1位の炭素及び4位の炭素の少なくとも一方に電子吸引性基または電子供与性基を有すると、例えば、ジエンモノマーの3位の炭素及び4位の炭素が酸素分子と新しく結合をつくることによって、ラジカル交互共重合を行うことができる。その結果、得られるポリペルオキシドの構造を、容易に5,4−構造とすることができる。したがって、構造の明確なポリペルオキシドを製造することができる。なお、本発明において、「(メタ)アクリル」とは、「メタクリルまたはアクリル」を意味する。
ソルビン酸またはその誘導体としては、ソルビン酸エステル、ソルビン酸アミドなどが挙げられ、ソルビン酸エステルの具体例としては、ソルビン酸メチルエステル、ソルビン酸エチルエステル、ソルビン酸プロピルエステル、ソルビン酸デシルエステル、ソルビン酸ドデシルエステル、ソルビン酸オクタデシルエステル、ソルビン酸2,2,2−トリフルオロエチルエステル、ソルソルビン酸2−ヒドロキシエチルエステル、ソルビン酸ビニルエステル、ソルビン酸テトラエチレングリコールエステルなどが挙げられる。ソルビン酸アミドの具体例としては、N−プロピル−2,4−ヘキサジエンアミド、N−tert−ブチル−2,4−ヘキサジエンアミド、N−フェニルエチル−2,4−ヘキサジエンアミド、N−フェニル−2,4−ヘキサジエンアミド、N、N−ジメチル−2,4−ヘキサジエンアミド、N、N−ジフェニル−2,4−ヘキサジエンアミドなどが挙げられる。また、ジエニル基を有する脂肪族炭化水素の具体例としてはブタジエン、1,3−ペンタジエン、2,4−ヘキサジエンなどが挙げられる。ジエニル基を有する脂環式化合物の具体例としては、シクロペンタジエンなどが挙げられる。さらに、その他の好ましいジエンモノマーの具体例としては、例えば、2−トランス−3,5−ジメチル−2,4−ヘキサジエン酸エチル、2,4−オクタジエン酸メチル、1,4−ジフェニルブタジエン、4−フェニルブタジエンカルボン酸エチルなどが挙げられる。酸素共重合性モノマーは、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
工程(1)において、コアを形成する液滴には、重合開始剤を配合してもよい。重合開始剤を配合することにより、酸素共重合性モノマーと酸素分子との共重合反応を促進することができる。重合開始剤としては、特に制限されないが、アゾ系重合開始剤、過酸化物系重合開始剤、有機金属化合物系重合開始剤、酸化還元系重合開始剤などが挙げられ、50℃以下での重合に適した開始剤が好ましい。アゾ系重合開始剤の具体例としては、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(AMVM)、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス(2−シクロプロピルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビスイソブチレートなどが挙げられ、特に2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(AMVM)が好ましい。過酸化物系重合開始剤の具体例としては、ジ−tert−ブチルペルオキシオギザレート、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、過酸化ベンゾイル、過酸化ジ−tert−ブチルなどが挙げられ、ジ−tert−ブチルペルオキシオギザレートが好ましい。有機金属化合物系重合開始剤の具体例としては、トリエチルホウ素などが挙げられる。酸化還元系重合開始剤の具体例としては、セリウム塩−アルコールなどが挙げられる。これらの中でも、アゾ系重合開始剤が好ましい。重合開始剤は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
重合開始剤を使用する場合、重合開始剤の使用量としては、特に制限されないが、酸素共重合性モノマー100質量部に対して、通常0.05〜20質量部程度、好ましくは0.2〜5質量部程度が挙げられる。
コアを形成する液滴には、必要に応じて、溶媒を配合してもよい。溶媒としては、特に制限されないが、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコールなどアルコール溶媒;ジエチルエーテルなどのエーテル溶媒;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン溶媒;N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド溶媒;ジエチルカーボネート、酢酸エチルなどのエステル溶媒;ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの炭化水素溶媒など、酸素共重合性モノマーおよびポリペルオキシドを溶解できる有機溶媒が挙げられる。なお、コアを形成する液体がシェルを形成する粒子を濡らしすぎると、コア−シェル粒子を形成できない場合がある。また、コア−シェル粒子を形成した後にコアから溶媒またはモノマーが蒸発してコアのサイズが大きく変化すると、コア−シェル粒子がその構造を保持できなくなる場合がある。このため、溶媒を使用する場合には、工程(1)によってコア−シェル粒子を作製でき、コア−シェル構造を維持できる程度に、溶媒の種類や使用量などを適宜調整する必要がある。溶媒を使用する場合、溶媒の使用量としては、酸素共重合性モノマー100質量部に対して、通常1000質量部以下、好ましくは300質量部以下が挙げられる。
工程(1)においては、上記のような酸素共重合性モノマー、必要に応じて使用される重合開始剤や溶媒などを含む液滴を、複数の固体粒子と接触させる。これにより、酸素共重合性モノマーを含むコアと、当該コアの表面を覆う固体粒子を含むシェルとを備えるコア−シェル粒子を作製する。コア−シェル粒子の模式図を図1に示す。
シェルを形成する固体粒子としては、液滴により形成されたコアの表面を覆うことができるものであれば特に制限されない。液滴であるコアの表面に吸着して、好適なコア−シェル粒子を形成する観点からは、固体粒子は、乾燥固体粒子であることが好ましい。固体粒子の具体例としては、植物由来の微粒子、シリカ粒子、炭酸カルシウム粒子、ポリスチレン粒子、ワックス粒子、ポリテトラフルオロエチレン粒子に代表されるフッ素系ポリマー粒子、酸化鉄粒子、鉄粒子、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、フラーレン、スピロピランなどが挙げられる。また、植物由来の微粒子としては、特に制限されないが、例えば、ヒカゲノカズラ科の植物の胞子、スギの花粉、ハスの葉表面に存在するワックス粒子などが挙げられる。固体粒子は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。また、固体粒子を複数種類使用する場合、ある固体粒子の表面に他の固体粒子を担持して、シェルを形成する固体粒子としてもよい。
コアの体積としては、特に制限されないが、酸素共重合性モノマーと酸素分子との共重合体を効率的に製造する観点からは、好ましくは1〜1000μL程度、より好ましくは2〜200μL程度、さらに好ましくは3〜50μL程度が挙げられる。すなわち、コアの粒径としては、好ましくは0.6〜6.2mm程度、より好ましくは0.8〜3.6mm程度、さらに好ましくは0.9〜2.3mm程度が挙げられる。
コアの大きさを上記のような範囲に設定するためには、例えば、一定の開口部を有し、当該開口部から所望の体積の液滴が形成されるスポイトなどを用いて、酸素共重合性モノマー、必要に応じて重合開始剤や溶媒などを含む液滴を複数の固体粒子の上に滴下すればよい。これにより、例えば図1の模式図に示されるように、コアを形成する液滴1aが、シェルを形成する複数の固体粒子1bに接触し、液滴1aの表面に固体粒子1bが吸着して、液滴1aの表面が複数の固体粒子1bによって覆われたコア−シェル粒子1が形成される。このとき、コア−シェル粒子は、所謂リキッドマーブルの形態を有している。
シェルを形成する固体粒子の粒径としては、コアの表面を覆うことができるものであれば特に制限されないが、液滴であるコアと共に好適なコア−シェル粒子を形成し、酸素共重合性モノマーと酸素分子との共重合体をより効率的に製造する観点からは、好ましくは0.02〜1000μm程度、より好ましくは0.2〜100μm程度、さらに好ましくは0.5〜80μm程度が挙げられる。
工程(2)
工程(2)においては、酸素分子を含む気体中に、上記の工程(1)で得られたコア−シェル粒子をおき、上記の酸素共重合性モノマーと酸素分子とを、上記のコア−シェル粒子のコア内で共重合して、酸素共重合性モノマーと酸素分子との共重合体を形成する。
工程(2)においては、工程(1)で得られたコア−シェル粒子を、酸素分子を含む気体中におけばよい。これにより、コア−シェル粒子のコア内において、高効率で酸素共重合性モノマーと酸素分子との共重合体を製造することができる。コア−シェル粒子が酸素分子を含む気体中におかれると、気体中の酸素分子がシェルを透過(シェルを形成する複数の固体粒子間の隙間を透過)し、コア内で、酸素共重合性モノマーと酸素分子とが反応して共重合体が得られる。
工程(2)において、酸素分子を含む気体中における酸素分子の濃度としては、酸素分子を含めば特に制限されないが、高効率で酸素共重合性モノマーと酸素分子との共重合体を製造する観点からは、好ましくは25体積%以上、より好ましくは70体積%以上、さらに好ましくは95体積%以上が挙げられる。
工程(2)において、酸素共重合性モノマーと酸素分子との共重合反応を行う際の圧力としては、特に制限されず、例えば1〜10atm程度、好ましくは1〜8atm程度が挙げられる。本発明においては、酸素共重合性モノマーと酸素分子との共重合反応は、大気圧下において好適に行うことができる。
工程(2)において、酸素共重合性モノマーと酸素分子との共重合反応を行う際の反応温度としては、特に制限されず、例えば0〜50℃程度、好ましくは20〜45℃程度が挙げられる。また、酸素共重合性モノマーと酸素分子との共重合反応を行う際の反応時間としては、特に制限されず、例えば1〜100時間程度、好ましくは30〜50時間程度が挙げられる。
本発明の製造方法においては、酸素共重合性モノマーを含む反応液が、多数のコア(液滴)に分散されていると考えることができる。従って、本発明においては、従来のように、当該反応液をひとまとまりにして反応を行う場合に比して、酸素分子を含む気体と接触できる反応液の表面積が非常に大きくなっている。このため、気体中の酸素分子が反応液中に効率的に取り込まれて、共重合反応が高効率で進行するものと考えられる。
本発明の製造方法によれば、穏やかな条件かつ高効率で酸素共重合性モノマーと酸素分子との共重合体を製造することができる。本発明の製造方法において、酸素共重合性モノマーから、酸素共重合性モノマーと酸素分子との共重合体への転化率としては、好ましくは40%以上、より好ましくは50%以上が挙げられる。なお、当該転化率は、実施例に記載の方法により測定した値である。
工程(2)において、コア中に製造された酸素共重合性モノマーと酸素分子との共重合体は、後述の通り、コア−シェル粒子Aとして、そのまま用いてもよいし、濾過などによってコアとシェルとを分離して、コアのみを得ても良い。さらに、コアに含まれる酸素共重合性モノマーと酸素分子との共重合体のみをカラムなどによって精製してもよい。これらの分離、精製方法は、特に制限されず、公知の方法を採用することができる。
2.コア−シェル粒子A
本発明のコア−シェル粒子Aは、コアと、当該コアの表面を覆うシェルとを備えるコア−シェル粒子であって、コアが、酸素分子との共重合性を有するモノマーと酸素分子との共重合体を含み、シェルが、複数の固体粒子により形成されていることを特徴とする。以下、本発明のコア−シェル粒子Aについて、詳述する。
上記のとおり、コア−シェル粒子Aは、例えば上記の「1.共重合体の製造方法」に示す製造方法によって製造することができる。ただし、本発明のコア−シェル粒子Aの製造方法は、上記の方法に限定されない。
本発明のコア−シェル粒子Aにおいては、コアが、酸素共重合性モノマーと酸素分子との共重合体を含む。コアに含まれる当該共重合体の原料となる酸素共重合性モノマーとしては、酸素分子と共重合できるものであれば特に制限されず、例えば上記で例示したものと同じものが例示できる。
コアに含まれる共重合体の分子量としては、特に制限されない。例えば、本発明のコア−シェル粒子Aを粘接着剤などとして用いる場合、共重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算数平均分子量(Mn)としては、好ましくは1,000〜10,000程度、より好ましくは2,000〜10,000程度が挙げられる。コアに含まれる共重合体数平均分子量(Mn)がこのような範囲にある場合、コアが適度な粘性を有する粘性組成物となる。このため、本発明のコア−シェル粒子Aを粘接着剤として好適に使用することができる。また、当該共重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比(分子量分布:Mw/Mn)としては、好ましくは1.1〜3.0程度、より好ましくは1.5〜2.5程度が挙げられる。なお、共重合体の数平均分子量(Mn)及び分子量分布(Mw/Mn)は、具体的には、実施例に示した条件によって測定した値である。
コア−シェル粒子Aにおいて、コアの粒径としては、好ましくは0.01〜50mm程度、より好ましくは0.1〜40mm程度、さらに好ましくは1〜30mm程度が挙げられる。
コア−シェル粒子Aにおいて、シェルは、複数の固体粒子により形成されている。すなわち、当該固体粒子は、上記のコアの表面を覆うシェルを形成している。シェルを形成する固体粒子としては、特に制限されず、例えば、上記の製造方法で例示した固体粒子と同じものが例示できる。
コア−シェル粒子Aのコアは、酸素共重合性モノマーをさらに含んでいてもよい。また、当該コアは、酸素共重合性モノマーの単独合体をさらに含んでいてもよい。例えば、上記の製造方法によって、コア−シェル粒子Aを製造する場合などにおいては、酸素共重合性モノマーが未反応物としてコアに含まれる場合があり、酸素共重合性モノマーが酸素分子と反応せずに単独で重合した単独重合体や酸素共重合性モノマーと酸素の共重合体の分解物もコアに含まれ得る場合もある。また、上記の重合開始剤や溶媒などを使用する場合には、重合開始剤やその分解物、溶媒などもコアに含まれ場合もある。
本発明のコア−シェル粒子Aにおいて、コアが粘性組成物である場合には、コア−シェル粒子Aを粘接着剤として好適に使用することができる。すなわち、コア−シェル粒子Aに所定の荷重が加わることにより、コア−シェル粒子Aが潰れ、コアを構成する粘性組成物が外部に流出するため、コアの部分が粘接着剤として好適に機能する。さらに、コア−シェル粒子Aの表面を覆うシェルは、固体粒子により形成されているため、コア−シェル粒子A自体は粘性が非常に低い。このため、コア−シェル粒子Aが潰れるほどの荷重を加えなければ、コア−シェル粒子Aは、粘着性がなく、取り扱いが容易である。当該コア−シェル粒子Aを、接着しようとする物体の間に配置し、コア−シェル粒子が潰れるように、当該物体間に荷重を加えることによって、当該物体間が粘接着される。よって、コア−シェル粒子Aは、例えば、フィルムなどの支持体を有しない粘接着剤として好適に使用し得る。また、コア−シェル粒子Aは、塗料などとしての応用も期待できる。なお、本発明において、「粘接着」とは、「粘着または接着」を意味する。
さらに、本発明において、コアが、酸素共重合性モノマーと酸素分子との共重合体として、ポリペルオキシを含む場合、コア−シェル粒子Aを含む粘接着剤によって物体間を粘接着した後、光や加熱によって主鎖の不安定な過酸化結合を分解させることにより、粘接着力を弱め、粘接着されていた物体間を容易に引き離すことができる。すなわち、本発明のコア−シェル粒子Aのコアが、ポリペルオキシドを含む粘性組成物により形成されている場合には、コア−シェル粒子Aを易解体性粘接着剤として好適に使用することができる。
3.コア−シェル粒子B
本発明のコア−シェル粒子Bは、コアと、当該コアの表面を覆うシェルとを備えるコア−シェル粒子であって、コアが、酸素分子との共重合性を有するモノマーを含む液体であって、シェルが、複数の固体粒子により形成されており、酸素分子を含む気体中において使用されることを特徴とする。以下、本発明のコア−シェル粒子Bについて、詳述する。
上記のとおり、本発明のコア−シェル粒子Bは、例えば上記の製造方法の工程(1)において作製されるものであり、また、例えば上記のコア−シェル粒子Aの原料となる。すなわち、酸素分子を含む気体中において、気体中の酸素分子がシェルを透過(シェルを形成する固体粒子間の隙間を透過)し、コア−シェル粒子Bのコア内で、酸素共重合性モノマーと酸素分子とが共重合して共重合体が得られる。コア−シェル粒子Bの使用時(重合反応時)においては、固体粒子のコアに接触している部分以外の少なくとも一部は、酸素分子を含む気体で覆われている。
本発明のコア−シェル粒子Bにおいて、コアが、酸素分子との共重合性を有するモノマーを含む液体である。コアに含まれる当該共重合体の原料となる酸素共重合性モノマーとしては、酸素分子と共重合できるものであれば特に制限されず、例えば上記で例示したものと同じものが例示できる。
コア−シェル粒子Bのコアを形成する液体には、必要に応じて、上記と同様の重合開始剤、溶媒などが含まれていてもよく、これらの使用量についても、上記と同様である。また、コアの体積、粒径なども、上記と同様である。さらに、コア−シェル粒子Bにおいて、シェルを形成する固体粒子の種類や粒径などについても、上記と同様である。
コア−シェル粒子Bのコアは、上記の酸素共重合性モノマーと酸素分子との共重合体をさらに含んでいてもよい。また、当該コアは、酸素共重合性モノマーの単独共重合体をさらに含んでいてもよい。コア−シェル粒子Bが酸素分子を含む気体中に置かれると、酸素共重合性モノマーと酸素分子との共重合反応が進行して、コア内に上記の共重合体が生成する。また、酸素共重合性モノマーの単独共重合体も生成し得る。酸素共重合性モノマーと酸素分子との共重合の分解物も生成し得る。さらに、上記の重合開始剤や溶媒などを使用する場合には、重合開始剤やその分解物、溶媒などもコアに含まれ得る。
以下の実施例において本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。なお、実施例及び比較例において、GPCによる共重合体の数平均分子量(Mn)及び分子量分布(Mw/Mn)の測定、並びに転化率の測定方法は、以下の条件で測定した値である。
共重合体の数平均分子量(M n )及び分子量分布(M w /M n )の測定条件
GPC装置(東ソー製、型式:CCPD−RE8020)及び標準ポリスチレン検量線を用いたGPC測定により、下記の条件で、得られた重合物の重量平均分子量Mw、数平均分子量Mnおよびそれらの比Mw/Mnを決定した。
GPCカラム:TSKゲルカラムMP(XL)(TOSOH製)
カラム温度:40℃
溶出溶媒:テトラヒドロフラン(和光純薬製)
流速:1.0mL/分
試料濃度:0.3質量%
試料注入量:100μL
検出器:示差屈折計
標準物質:単分散ポリスチレン
転化率の測定方法
1H NMR(Bruker製、型式:Avance300)により、下記の条件で、得られた重合混合物の構造解析を行い、モノマー消費率、重合物および重合物の分解生成物への転化率を算出した。
周波数:300MHz
測定溶媒:TMS(テトラメチルシラン)含有重クロロホルム
<実施例1>
20℃、大気中において、酸素分子との共重合性を有するモノマーとしてのソルビン酸2−ヒドロキシエチル(HES)90質量部と、ラジカル開始剤としての2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(AMVN)1質量部とをフラスコに入れて撹拌し、コア形成混合物(重合反応混合物)を得た。次に、シェルを形成する固体粒子としてのヒカゲノカズラの胞子(アルドリッチ社製のLycopodium、粒径約20μm)をシュレンク管に入れ、シュレンク管内を酸素置換した。酸素気流下で、15μLの体積を有する液滴が形成されるスポイトを用いて、コア形成混合物をヒカゲノカズラの胞子の上に滴下して、球状のコア形成混合物の表面の全体がヒカゲノカズラの胞子で覆われたコア−シェル粒子を作製した(コアの比表面積の計算値は、1960.9 mm2/mL)。シュレンク管に栓をし、40℃で48分間静置して、重合反応を行った。
次に、コア−シェル粒子をシュレンク管から取り出し、潰してコアを回収し、重合反応を行ったコアにおいて、HESからポリペルオキシド及びHESの単独重合体への転化率を上記の方法により測定した。また、得られたコアのポリマー(混合物)の数平均分子量(Mn)及び分子量分布(Mw/Mn)を上記の方法により測定した。これらの結果を表1に示す。
<実施例2>
大気中の代わりに、酸素ガス(O2ガス100%)中において、HESとAMVNとをフラスコに入れて、コア形成混合物を得たこと、及び得られたコア−シェル粒子を酸素ガス中20℃で30分静置した後、40℃で48時間静置して、重合反応を行ったこと以外は、実施例1と同様にして、コア−シェル粒子を作製し、重合反応を行った。次に、重合反応を行ったコアについて、実施例1と同様にして、転化率、数平均分子量(Mn)、及び分子量分布(Mw/Mn)を測定した結果を表1に示す。
<実施例3>
15μLの体積を有する液滴が形成されるスポイトの代わりに、5μLの体積を有する液滴が形成されるスポイトを用いた(コアの比表面積の計算値は、2828.1 mm2/mL)こと以外は、実施例1と同様にして、コア−シェル粒子を作製し、重合反応を行った。次に、重合反応を行ったコアについて、実施例1と同様にして、転化率、数平均分子量(Mn)、及び分子量分布(Mw/Mn)を測定した結果を表1に示す。
<比較例1>
まず、実施例1と同様にして、重合反応混合物を得た。次に、重合反応混合物1mLを、開口部の面積が12.7mm2/mLである試験管1に入れて、これを酸素ガス(O2ガス100%)中、40℃で48時間静置して、重合反応を行った。次に、重合反応を行った後の液について、実施例1と同様にして、転化率、数平均分子量(Mn)、及び分子量分布(Mw/Mn)を測定した結果を表1に示す。
<比較例2>
上記の試験管1の代わりに、開口部の面積が78.5mm2/mLである試験管2を用いたこと以外は、比較例1と同様にして、重合反応を行った。次に、重合反応を行った後の液について、実施例1と同様にして、転化率、数平均分子量(Mn)、及び分子量分布(Mw/Mn)を測定した結果を表1に示す。
<比較例3>
上記の試験管1の代わりに、開口部の面積が188.6mm2/mLである試験管3を用いたこと以外は、比較例1と同様にして、重合反応を行った。次に、重合反応を行った後の液について、実施例1と同様にして、転化率、数平均分子量(Mn)、及び分子量分布(Mw/Mn)を測定した結果を表1に示す。
表1に示される結果から、モノマーであるHESと酸素分子との共重合反応をコア−シェル粒子のコア内で行った実施例1〜3では、HESのペルオキシドへの転化率が、いずれも50%以上と非常に高かった。また、実施例1〜3の間においては、数平均分子量及び分子量分布のばらつきも小さかった。さらに、コア−シェル粒子の調製を大気中で行った実施例1と、酸素ガス中で行った実施例2との比較から、コア−シェル粒子を調製する際の酸素濃度を大気よりも高くしなくても、高い転化率でペルオキシドを合成できることが分かる。実施例1よりも小さいコア−シェル粒子(酸素分子と接触する表面積が大きい)を用いた実施例3においても、HESのペルオキシドへの転化率が実施例1と同程度であったことから、種々の大きさのコア−シェル粒子を好適に用いることができることが分かる。一方、HESと酸素分子との反応を試験管内で行った比較例1〜3では、HESのペルオキシドへの転化率が非常に低くかった。また、比較例1〜3の間においては、数平均分子量及び分子量分布のばらつきも大きかった。
<コア−シェル粒子の粘着性評価>
図2の模式図に示されるように、実施例1で得られたコア−シェル粒子1つを2枚のガラス板の間に挟み、コア−シェル粒子が潰れるまで手で荷重を加えた。2枚のガラス板の間に挟む前の実施例1で得られたコア−シェル粒子の写真を図3に示す。また、2枚のガラス板の間のコア−シェル粒子が潰れるまで手で荷重を加えた後における2枚のガラス板の写真を図4に示す。
(粘着エネルギーの測定方法及びコア−シェル粒子に加えた応力(N)と変位(mm)との関係)
プローブタック試験装置(テスター産業株式会社製のTE−6002)により、変位(mm)とコア−シェル粒子に加わった応力(N)の関係、コアシェル粒子に加わった最大応力を以下の方法で測定した。また、応力−変位曲線の積分値から粘着エネルギー(mJ)を算出した。これらの試験結果を表2および図6に示す。
プローブ上に実施例1と同様の方法により得られたコア−シェル粒子1個を設置した。ボビンに所定重量の分銅をのせたガラス板を接着した。プローブがガラス板に接触するまで10mm/secでプローブを上昇させ、30秒保持した。その後、10mm/secでプローブを下降させる際の応力と変位を記録した。
分銅の重さ:2g、4g、10g、20g
表2及び図6に示されるように、コア−シェル粒子の粘着性評価において、荷重が2〜4gと小さい場合には、コア−シェル粒子が破壊されておらず、コアが外部にほとんど流出していないため、粘着エネルギー(mJ)が非常に小さく、コア−シェル粒子は粘着性をほとんど有していないことが分かる。一方、コア−シェル粒子に10〜20gの荷重を加えた場合には、図4の写真及び図5の模式図に示すように、コア−シェル粒子が潰れ、コアが流失して2枚のガラス板の間に広がった。この場合、2枚のガラス板の間は1mJ以上の粘着エネルギーを有し、粘着剤として機能することが分かる。

Claims (14)

  1. コアと、前記コアの表面を覆うシェルとを備えるコア−シェル粒子であって、
    前記コアが、酸素分子との共重合性を有するモノマーと酸素分子との共重合体を含み、
    前記シェルが、複数の固体粒子により形成されている、コア−シェル粒子。
  2. 前記酸素分子との共重合性を有するモノマーが、重合性不飽和結合を有するモノマーである、請求項1に記載のコア−シェル粒子。
  3. 前記コアが、前記酸素分子との共重合性を有するモノマーをさらに含む、請求項1または2に記載のコア−シェル粒子。
  4. 前記共重合体が、ポリペルオキシドである、請求項1〜3のいずれかに記載のコア−シェル粒子。
  5. 前記コアが、粘性組成物である、請求項1〜4のいずれかに記載のコア−シェル粒子。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のコア−シェル粒子を含む、粘接着剤。
  7. コアと、前記コアの表面を覆うシェルとを備えるコア−シェル粒子であって、
    前記コアが、酸素分子との共重合性を有するモノマーを含む液体であって、
    前記シェルが、複数の固体粒子により形成されており、
    酸素分子を含む気体中において使用される、コア−シェル粒子。
  8. 前記コア−シェル粒子は、酸素分子を含む気体中において、気体中の酸素分子が前記シェルを透過し、前記コア内で、前記酸素分子との共重合性を有するモノマーと酸素分子とが共重合する、請求項7に記載のコア−シェル粒子。
  9. 前記酸素分子との共重合性を有するモノマーが、重合性不飽和結合を有する、請求項7または8に記載のコア−シェル粒子。
  10. 前記コアが、前記酸素分子との共重合性を有するモノマーと酸素分子との共重合体を含む、請求項7〜9のいずれかに記載のコア−シェル粒子。
  11. 前記共重合体が、ポリペルオキシドである、請求項10に記載のコア−シェル粒子。
  12. 酸素分子との共重合性を有するモノマーを含む液滴を複数の固体粒子と接触させ、前記酸素分子との共重合性を有するモノマーを含むコアと、前記コアの表面を覆う前記固体粒子を含むシェルとを備えるコア−シェル粒子を作製する工程と、
    酸素分子を含む気体中に前記コア−シェル粒子をおき、前記酸素分子との共重合性を有するモノマーと酸素分子とを前記コア内で共重合して、共重合体を形成する工程と、
    を備える、共重合体の製造方法。
  13. 前記酸素分子との共重合性を有するモノマーが、重合性不飽和結合を有する、請求項12に記載のコア−シェル粒子。
  14. 前記共重合体が、ポリペルオキシドである、請求項12または13に記載のコア−シェル粒子。
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