JP2016023517A - 移動治具および配筋方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】梁主筋を円滑に移動できる移動治具を提供すること。
【解決手段】移動治具20は、梁3の下側主筋12およびあばら筋13がコンクリート体11に打ち込まれたハーフPCa梁10について、梁3の上側主筋14を移動する。この移動治具20は、コンクリート体11の上面に載置された台座部21と、上側主筋14が載置されるローラ22と、台座部21から上方に延びてローラ22を回転可能に軸支する軸受け部23と、を備える。台座部21のコンクリート体11に接する部分は、粘弾性体24である。
【選択図】図2

Description

本発明は、移動治具およびこの移動治具を用いた配筋方法に関する。
従来より、柱梁架構を構築する際、梁の下部をプレキャストコンクリート化したハーフプレキャスト梁(以下、ハーフPCa梁)を用いる場合がある(特許文献1参照)。
例えば、柱の柱頭部に4本のハーフPCa梁を取り付ける場合、以下の手順で施工する。まず、柱の頂部に、先付け梁として、互いに対向して2本のハーフPCa梁を取り付ける。次に、これらハーフPCa梁の下側主筋同士を機械式継手で接合する。次に、後付け梁として、先付け梁に略直交する2本のハーフPCa梁を取り付ける。
このとき、先付け梁の上側主筋が後付け梁の下側主筋に干渉しないように、先付け梁の上側主筋をパネルゾーンから退避させておく。そして、後付け梁を取り付けた後、この退避させた上側主筋を移動して、パネルゾーン内に配筋する。
ここで、上側の梁主筋の移動は、プレキャストコンクリート部分の上面を摺動させて行う。
しかしながら、一般に、梁主筋が太径サイズになると、直径が22mmや25mm程度の使用頻度の多い鉄筋に比べて、鉄筋自体の重量が重くなるので、梁主筋となる鉄筋をあばら筋に結束する所定位置まで移動させることは容易ではなく、移動にかなりの手間がかかっていた。さらに、プレキャストコンクリート部分の上面は、コンクリートの打継部分となるため、適度に目荒し処理が施されているので、滑りが悪く、鉄筋を所定位置まで移動してあばら筋と結束させる配筋作業を行う際、作業員に大きな負担がかかっていた。
この問題を解決するため、例えば、以下のような移動治具が提案されている(特許文献2参照)。すなわち、移動治具は、あばら筋の上に載置される支持板と、この支持板から下方に延びる一対の垂下板と、これら一対の垂下板に回転可能に支持されるローラと、を備える。
この移動治具によれば、ローラ上に上側の梁主筋を載せて移動すると、ローラが回転するから、軽い力で容易に梁主筋を移動できる。
特許第3979936号公報 特許第4128137号公報
しかしながら、以上の移動治具では、梁主筋をローラに載せて移動した際、梁主筋がローラに引っ掛かって、あばら筋上の支持板の位置がずれてしまい、梁主筋を円滑に移動できない場合があった。
本発明は、梁主筋を円滑に移動できる移動治具および配筋方法を提供することを目的とする。
本発明の移動治具(例えば、後述の移動治具20)は、梁(例えば、後述の梁3)の下側主筋(例えば、後述の下側主筋12)およびあばら筋(例えば、後述のあばら筋13)がコンクリート体(例えば、後述のコンクリート体11)に打ち込まれたハーフプレキャスト鉄筋コンクリート梁(例えば、後述のハーフPCa梁10)について、梁の上側主筋(例えば、後述の上側主筋14)を移動するための移動治具であって、前記コンクリート体の上面に載置された台座部(例えば、後述の台座部21)と、前記上側主筋が載置されるローラ(例えば、後述のローラ22)と、前記台座部から上方に延びて当該ローラを回転可能に軸支する軸受け部(例えば、後述の軸受け部23)と、を備え、前記台座部の前記コンクリート体に接する部分は、粘弾性体(例えば、後述の粘弾性体24)であることを特徴とする。
この発明によれば、移動治具をハーフプレキャスト鉄筋コンクリート梁のコンクリート体の上に載置して、この移動治具のローラ上に梁の上側主筋を載せる。そして、この上側主筋を人手で水平方向に押すと、ローラが回転するので、上側主筋を少ない労力で容易に移動できる。
ここで、台座部のコンクリート体に接する部分は、摩擦係数を高めるために、粘弾性体とした。凹凸の大きいコンクリート体の上面に台座部を載置すると、粘弾性体が変形してコンクリート体の表面の凹凸に食い込む。よって、ローラ上に載せた上側主筋を押した場合に、移動治具の位置や姿勢がずれるのを防止して、上側主筋を円滑に移動できる。
移動治具をコンクリート体の上面に載置し、この移動治具のローラ上に上側主筋を載せるだけでよいので、移動治具は、あばら筋の形状や寸法に係わらず対応可能である。
さらに本発明の移動治具は、前記軸受け部は、前記ローラの上面よりも高い位置まで延びて主筋規制部となっていることを特徴とする。
この発明によれば、軸受け部をローラの上面よりも高い位置まで延長して主筋規制部としたので、主筋規制部が上側主筋の側面を押さえて、上側主筋の横方向の移動を拘束し、ローラ上から脱落するのを防止できる。
また、さらに本発明の移動治具は、前記ローラには、当該ローラの回転方向に沿って溝(例えば、後述の溝25)が形成されていることを特徴とする。
この発明によれば、ローラに溝を設けたので、ローラ上の上側主筋を溝に嵌め込んだ状態で移動することで、上側主筋の移動を溝がガイドして、ローラ上の上側主筋の横方向の移動を拘束し、上側主筋がローラ上から脱落するのを防止できる。
また、さらに本発明の配筋方法は、梁の下側主筋およびあばら筋がコンクリート体に打ち込まれたハーフプレキャスト鉄筋コンクリート梁について、梁の上側主筋を配筋する配筋方法であって、前記コンクリート体の上面に、請求項1または2に記載の移動治具を載置する工程と、当該移動治具のローラ上に前記上側主筋を載置する工程と、当該上側主筋を移動させる工程と、を備えることを特徴とする。
この発明によれば、以下のような効果がある。
移動治具の設置位置は特に限定されず、ハーフプレキャスト鉄筋コンクリート梁のコンクリート体の上面であれば、どの位置にも移動治具を載置できる。また、この移動治具を、隣接するあばら筋同士の隙間から、容易に設置あるいは撤去できる。
本発明によれば、台座部のコンクリート体に接する部分を粘弾性体とした。凹凸の大きいコンクリート体の上面に台座部を載置すると、粘弾性体が変形してコンクリート体の表面の凹凸に食い込む。よって、ローラ上に載せた上側主筋を押した場合に、移動治具の位置や姿勢がずれるのを防止して、上側主筋を円滑に移動できる。上側主筋を本願発明の移動治具上で移動させればよいので、少人数かつ短時間で配筋作業を行うことができる。
本発明の第1実施形態に係る移動治具が適用された施工中の柱梁架構の斜視図である。 前記実施形態に係る移動治具の斜視図である。 前記実施形態に係る柱梁架構を構築する手順のフローチャートである。 本発明の第2実施形態に係る移動治具の斜視図である。 本発明の第3実施形態に係る移動治具の斜視図である。
本発明者らは、ハーフPCa梁のコンクリート面上にローラ付き台座を設置し、ローラ上にて梁上側主筋を押し出していくことによって、梁上側主筋を少人力で容易に所定位置まで移動できる移動治具を発明した。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の実施形態の説明にあたって、同一構成要件については同一符号を付し、その説明を省略もしくは簡略化する。
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態に係る移動治具20および配筋方法が適用された施工中の柱梁架構1の斜視図である。
この柱梁架構1は、柱2と、この柱2の柱頭部に接合される4本の梁3と、を備える。なお、これら梁3は、それぞれ、ハーフPCa梁10を用いて構築される。図1では、柱梁架構1が施工中であり、4本の梁3のうち3本のみを表示している。
ハーフPCa梁10の取り付け手順については、後に詳述するが、4本のハーフPCa梁10のうち、先行して取り付ける一対のハーフPCa梁10を、先付け梁10Aとし、後から取り付ける一対のハーフPCa梁10を、後付け梁10Bとする。
先付け梁10Aは、互いに対向してつまり一直線上に配置され、後付け梁10Bは、互いに対向してつまり一直線上に配置される。また、先付け梁10Aと後付け梁10Bとは、互いに略直交している。
各ハーフPCa梁10は、梁3の下部をプレキャストコンクリート化したものである。具体的には、ハーフPCa梁10は、梁3の下部を構成する直方体状のコンクリート体11と、このコンクリート体11に打ち込まれた梁3の複数本の下側主筋12と、下部がコンクリート体11に打ち込まれた複数本のあばら筋13と、コンクリート体11およびあばら筋13で囲まれた空間に配置された梁3の複数本の上側主筋14と、を備える。
下側主筋12および上側主筋14は、ハーフPCa梁10の長さ方向に沿って延びている。
あばら筋13は、ハーフPCa梁10の長さ方向に沿って所定間隔おきに設けられている。先付け梁10Aのあばら筋13の間隔は、後付け梁10Bのあばら筋13の間隔よりも広くなっている。
先付け梁10Aのコンクリート体11の上で、かつ、あばら筋13で囲まれた空間には、移動治具20があばら筋の内々に載置されている。
移動治具20を、コンクリート体11の長手方向の複数個所に配置することができる。また、移動治具20を、コンクリート体11の幅方向に複数並べて配置することもできる。
移動治具20の載置位置をコンクリート体11の幅方向に互いにずらすことで、あばら筋13の形状や寸法が異なっても、あばら筋13の内側に配置される上側主筋14の位置に鉄筋を容易に移動させることができる。移動治具20の設置位置は、ハーフプレキャスト鉄筋コンクリート梁のコンクリート体11の上面であれば特に限定されず、どの位置にも移動治具を載置できる。また、移動治具20を隣接するあばら筋13同士の間隔内に配置することができ、先付け梁10Aのあばら筋13同士の隙間から容易に出し入れ可能である。
図2は、移動治具20の斜視図である。
移動治具20は、上側主筋14を長さ方向に移動可能に支持するものである。
この移動治具20は、コンクリート体11の上面に載置された台座部21と、上側主筋14が載置される一対のローラ22と、台座部21から上方に延びて各ローラ22を回転可能に軸支する軸受け部23と、を備える。
台座部21の底面には、粘弾性体24が設けられている。この粘弾性体24は、ゴム状材やプラスチック樹脂体などであり、台座部21に接着剤で貼り付けられている。
また、台座部21と軸受け部23とは、溶接固定されている。
軸受け部23は、各ローラについて一対ずつ設けられている。
コンクリート体11の上面は、目荒しが施されて凹凸が形成されている。台座部21のコンクリート体11に接する粘弾性体24は、このコンクリート体11の表面の凹凸に食い込んでいる。
以上の移動治具20によれば、上側主筋14を図2中白抜き矢印方向に移動すると、ローラ22が図2中黒矢印方向に回転する。
以下、柱梁架構1を構築する手順について、図3のフローチャートを参照しながら説明する。
ステップS1では、図1に示すように、柱2を構築する。
具体的には、柱2に配筋してコンクリートを打設し、さらに、この柱2の柱頭部のコンクリート体にハーフPCa梁10を支持するための受け部材4を取り付ける。
ステップS2では、図1に示すように、一対の先付け梁10Aを用意し、この先付け梁10Aの上側主筋14を内側に収納する。
具体的には、先付け梁10AであるハーフPCa梁10のコンクリート体11の上面に、移動治具20を、2個で1組として、長手方向に複数組載置し、次に、移動治具20のローラ22上に上側主筋14を載置する。次に、上側主筋14を移動して、ハーフPCa梁10Aの柱2側の端面よりも内側に引っ込めて収納しておく。
各移動治具20の幅寸法は、コンクリート体11の幅の半分をカバーするように設定されている。
ステップS3では、図1に示すように、柱2の柱頭部に、一対の先付け梁10Aを取り付ける。
具体的には、先付け梁10AであるハーフPCa梁10をクレーン等で吊り上げて、このハーフPCa梁10の柱2側の端部を、受け部材4の上に載せて支持させる。このとき、上側主筋14をハーフPCa梁10の柱2側の端面よりも内側に収納しているので、この上側主筋14は柱2のパネルゾーンから退避している。
次に、これら一対の先付け梁10Aの下側主筋12同士を、機械式継手15で接合する。
ステップS4では、図1に示すように、柱2の柱頭部に、一対の後付け梁10Bを取り付ける。
具体的には、図1に示すように、各ハーフPCa梁10Bをクレーン等で吊り上げて、このハーフPCa梁10Bの柱2側の端部を、受け部材4の上に載せて支持させる。
ここで、先付け梁であるハーフPCa梁10Aの上側主筋14を柱2のパネルゾーンから退避させておいたので、このハーフPCa梁10Aの上側主筋14は、後付け梁であるハーフPCa梁10Bの下側主筋に干渉しない。
ステップS5では、先付け梁10Aの上側主筋14を移動する。
すなわち、先付け梁10AであるハーフPCa梁10の上側主筋14を移動して、ハーフPCa梁10の柱2側の端面よりも外側に突出させて、柱2のパネルゾーンに配筋し、これら上側主筋14同士を、機械式継手で接合する。
同様に、後付け梁10Bの下側主筋12同士および上側主筋14同士も、機械式継手で接合する。
本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1)移動治具20を先付け梁10Aのコンクリート体11の上に載置して、この移動治具20のローラ22上に上側主筋14を載せる。そして、この上側主筋14を人手で水平方向に押すと、ローラ22が回転するので、上側主筋14を少ない労力で容易に移動できる。上側主筋14は、配筋済みのあばら筋13を損傷することなく、コンクリート体11上に載置したローラ22上を移動させることができる。
ここで、台座部21のコンクリート体11に接する部分を粘弾性体24とした。凹凸の大きいコンクリート体11の上面に台座部21を載置すると、粘弾性体24が変形してコンクリート体11の表面の凹凸に食い込む。よって、ローラ22上に載せた上側主筋14を押した場合に、移動治具20の位置や姿勢がずれるのを防止して、上側主筋14を円滑に移動できる。
移動治具20をコンクリート体11の上面に載置し、この移動治具20のローラ22上に上側主筋14を載せるだけでよいので、移動治具20は、あばら筋13の形状や寸法が異なる種々の梁に対応可能である。
〔第2実施形態〕
図4は、本発明の第2実施形態に係る移動治具20Aの斜視図である。
本実施形態では、軸受け部23がローラ22の上面よりも高い位置まで延びて、主筋規制部23Aとなっている点が、第1実施形態と異なる。
本実施形態によれば、上述の(1)の効果に加えて、以下のような効果がある。
(2)軸受け部23をローラ22の上面よりも高い位置まで延長して主筋規制部23Aとしたので、主筋規制部23Aが上側主筋14の側面を押さえて、上側主筋14がローラ22上から脱落するのを防止できる。
〔第3実施形態〕
図5は、本発明の第3実施形態に係る移動治具20Bの斜視図である。
本実施形態では、各ローラ22には、このローラ22の回転方向に沿って2つの溝25が形成されている点が、第1実施形態と異なる。
本実施形態によれば、上述の(1)の効果に加えて、以下のような効果がある。
(3)ローラ22に溝25を設けたので、ローラ22上の上側主筋14を溝25に嵌め込んだ状態で移動することで、上側主筋14の移動を溝25がガイドして、上側主筋14がローラ22上から脱落するのを防止できる。
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。本発明の第1実施形態から第3実施形態では、台座部21設けるローラ22を複数としたが、これに限らず、台座部21に設けるローラを単一としてもよい。
1…柱梁架構
2…柱
3…梁
4…受け部材
10…PCa梁
10A…先付け梁であるPCa梁
10B…後付け梁であるPCa梁
11…コンクリート体
12…下側主筋
13…あばら筋
14…上側主筋
15…機械式継手
20、20A、20B…移動治具
21…台座部
22…ローラ
23…軸受け部
23A…主筋規制部
24…粘弾性体
25…溝

Claims (3)

  1. 梁の下側主筋およびあばら筋がコンクリート体に打ち込まれたハーフプレキャスト鉄筋コンクリート梁について、梁の上側主筋を移動するための移動治具であって、
    前記コンクリート体の上面に載置された台座部と、
    前記上側主筋が載置されるローラと、
    前記台座部から上方に延びて当該ローラを回転可能に軸支する軸受け部と、を備え、
    前記台座部の前記コンクリート体に接する部分は、粘弾性体であることを特徴とする移動治具。
  2. 前記軸受け部は、前記ローラの上面よりも高い位置まで延びて主筋規制部となっていることを特徴とする請求項1に記載の移動治具。
  3. 梁の下側主筋およびあばら筋がコンクリート体に打ち込まれたハーフプレキャスト鉄筋コンクリート梁について、梁の上側主筋を配筋する配筋方法であって、
    前記コンクリート体の上面に、請求項1または2に記載の移動治具を載置する工程と、
    当該移動治具のローラ上に前記上側主筋を載置する工程と、
    当該上側主筋を移動させる工程と、を備えることを特徴とする配筋方法。
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