JP2016023417A - 部材端部構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】部材端部構造は、接合部12Sが設けられた第1鋼材12と、第1鋼材12の接合部12Sに第1鋼材側端部14Eが接合された第2鋼材14と、第2鋼材14に複数枚設けられ、第1端部18E、20Eが接合部12Sに接合され、長手方向の第2端部18S、20Sが第2鋼材14の側面に接合された補強鋼材18、20と、を有している。
【選択図】図1
Description
地震時に、梁に作用する曲げモーメントを梁から柱へ伝達させる技術には、例えば特許文献1がある。
具体的には、箱型断面の柱の仕口部にダイアフラムを介装し、梁の上下フランジの端部を、それぞれ上下のダイアフラムに接合する。また、柱内部の、上下のダイアフラムの中間位置には中間ダイアフラムを設け、ウェブの上下フランジの中央部には、中間ダイアフラムの位置と対応させて中間補強プレートを設け、中間補強プレートの端面を柱に接合させている。
また、補強鋼材の第1端部が第1鋼材の接合部に接合され、第2端部が第2鋼材の側面に接合されているため、第2鋼材に作用する曲げモーメントによる塑性変形領域を、第2鋼材の第1鋼材側端部から中央部方向へ広げ、第2鋼材の部材端部の塑性ひずみを小さくすることができる。
この結果、第2鋼材の第1鋼材側端部への塑性変形領域の集中が抑制され、第2鋼材の端部の損傷を抑制することができる。また、第2鋼材の二次剛性、及び終局耐力を高めることができる。
これにより、梁の曲げ耐力を向上させることができる。また、梁の塑性変形領域を、梁の柱側端部から中央部方向へ広げることができる。
梁のウェブの両面にフランジと平行に設けられた平行リブを用いることにより、梁の端部に作用する曲げモーメントによる塑性変形領域を、梁の中央部方向へ広げ、梁の端部の塑性ひずみを小さくすることができる。
また、梁の中央部へ向けてリブ間の間隔が狭められた中央側接近リブを用いることにより、梁の曲げ耐力を、柱に近い部位ほど大きく、中央部へ向けて小さくすることができる。この結果、梁の端部に集中する塑性変形を、効率良く梁の中央方向へ広げ、梁の端部の塑性ひずみを小さくすることができる。
また、梁の中央部へ向けてリブ間の間隔が広げられた中央側離間リブを用いることにより、梁の塑性変形領域を梁の端部へ限定し、梁中央部は再利用することができる。
また、梁と異なる材質の鋼材で形成された異材質リブを用いることにより、梁端部の設計の自由度を高めることができる。
また、梁の中央部へ向けて幅が狭められた幅縮小リブを用いることにより、効率的に、塑性変形領域を分散させることができる。
また、長手方向の中間部に周囲より幅が狭い部分が成されたドッグボーンリブを用いることにより、ドッグボーンの位置で梁の曲げ耐力を小さくできる。これにより、塑性変形領域を任意の位置に形成させることができる。
また、長手方向の中間部に貫通孔が形成された孔あきリブを用いることにより、貫通孔の位置で梁の曲げ耐力を小さくできる。これにより、塑性変形領域を任意の位置に形成させることができる。
また、梁のウェブの片面にのみリブが設けられた片面リブを用いることにより、例えば、梁が偏心して柱と接合されている場合に、偏心の度合いを低減させることができる。
また、梁のウェブの片面に一枚ずつリブが設けられた面違いリブを用いることにより、リブの数量を減らすことができ、リブの溶接接合スペースの確保が容易となる。
また、放物線に沿って曲げられ、両端部を柱の接合部に接合させた放物線状リブを用いることにより、効率的に、塑性変形領域を梁の中央部側へ分散させることができる。
図1(A)〜(C)を用いて、第1実施形態に係る部材端部構造について説明する。
ここに、図1(A)は第1実施形態に係る部材端部構造の斜視図、(B)は(A)のX1−X1線断面図、(C)は部材端モーメントの大きさを示す特性図である。
2枚のリブ18、20は、梁14に曲げモーメントが作用したときのモーメントの中立軸MCを挟んで、フランジ14Fと並行に1枚ずつ取付けられている。中立軸MCからリブ18、20までの距離h1、h2は、等距離が望ましいが、異なっていても良い。
これにより、リブ18、20にも、梁14の軸方向の応力を負担させることができる。
なお、曲げモーメントMの方向が図1(A)に示す方向と反対方向の場合には、リブ18、20に作用する引張力と圧縮力は、それぞれ入れ替わる。
これにより、梁14の端部14Eへの塑性変形の集中が抑制され、梁14の端部14Eの損傷を抑制することができる。
図1(C)に部材端モーメントの特性を示す。横軸は部材回転角、縦軸は部材端モーメントである。破線で示す特性22がリブ18、20を有しない通常の柱梁接合部の計算結果であり、実線で示す特性24が本実施形態の柱梁接合部10の計算結果である。
即ち、本実施形態では、梁14の初期降伏点をほとんど変えることなく、二次剛性及び終局耐力を高め、梁14の端部の損傷を抑制することができるといえる。
即ち、梁14が地震力等で曲げモーメントMを受けたとき、モーメントの中立軸MCを挟んで設けられたリブ18、20の一方は、引張力に抵抗するよう作用し、他方は、圧縮力に抵抗するよう作用し、梁14の曲げ耐力を向上させる。
また、梁14のウェブ14Wにリブ18、20を接合する構成なので、新築建物への適用のみならず、既築建物の改修にも容易に適用できる。
これにより、設計の自由度を増すことができる。
また、梁14はH形鋼を例にとり説明した。しかし、これに限定されることはなく、例えばI形鋼等、他の断面形状の部材であってもよい。
また、ダイアフラム16については内ダイアフラムを例にとり説明したが、これに限定されることはなく、外ダイアフラム、通しダイアフラム等であってもよい。
図2(A)を用いて、第2実施形態に係る部材端部構造について説明する。
ここに、図2(A)は、第2実施形態に係る部材端部構造の正面図を示している。
図2(A)に示すように、第2実施形態に係る部材端部構造は、柱12、梁14、及びリブ32、33を有する柱梁接合部30の接合構造である。柱梁接合部30は、リブ32とリブ33の間の間隔が、梁14の端部から中央部へ向けて狭められている点において、第1実施形態と相違する。相違点を中心に説明する。
このように、梁14の端部14Eから中央部へ向けて、リブ間の上下方向の間隔が狭められたリブ32、33を設けることにより、梁14の曲げ耐力を、柱12に近い端部ほど大きくすると共に、中央部へ向けて小さくすることができる。
他の構成は、第1実施形態と同じであり説明は省略する。
図2(B)の正面図に示ように、柱梁接合部36は、柱12、梁14、及びリブ34、35を有している。リブ(中央側離間リブ)34、35は、梁14の端部14Eから中央部へ向けて、リブ間の間隔が上下方向に広げられている点において、リブ32、33と相違する。即ち、リブ34、35の上下方向の間隔は、柱12の接合部12Sでは距離D3であるが、梁の中央側の端部では距離D4に広くされている(距離D3<距離D4)。
図3(A)、(B)を用いて、第3実施形態に係る部材端部構造について説明する。
ここに、図3(A)は、第3実施形態に係る部材端部構造の水平断面図であり、(B)は梁の曲げ耐力を説明するための模式図である。
図3(A)に示すように、第3実施形態に係る部材端部構造は、柱12、梁14、及びリブ42、44を有する柱梁接合部40の接合構造である。柱梁接合部40は、リブ42、44の幅が、梁14の端部から中央部へ向けて狭められている点において、第1実施形態と相違する。相違点を中心に説明する。
これにより、梁14の曲げ耐力を、柱12に近い端部ほど大きくすると共に、中央部へ向けて小さくすることができる。
しかし、図3(B)に示すように、梁14の両端部にリブ42、44を設けることで、リブ42、44が負担する曲げ耐力S2を、梁14の曲げ耐力S1に加算することができる。
このとき、リブ42、44が負担する曲げ耐力S2の傾きは、リブ42、44の幅を調整することで、曲げモーメントT3の傾きに一致させることができる。これにより、T3より大きな曲げモーメントが作用しようとした時、塑性変形は、梁中央方向に長さL2の範囲に渡ってほぼ一様に分散するため、端部14Eへの集中を避けることができる。
なお、リブ42、44は中央に向かって連続的に幅が縮小する補強鋼材を例にとって説明したが、これに限定されることはなく、段階的に幅が縮小する補強鋼材等でもよい。
他の構成は、第1実施形態と同じであり説明は省略する。
図4(A)、(B)を用いて、第4実施形態に係る部材端部構造について説明する。
ここに、図4(A)は、第4実施形態に係る部材端部構造の水平断面図であり、(B)は梁の曲げ耐力を説明するための模式図である。
図4(A)に示すように、第4実施形態に係る部材端部構造は、柱12、梁14及びリブ52、54を有する柱梁接合部50の接合構造である。柱梁接合部50は、リブ52、54の長手方向の中央部に貫通孔56が設けられている点において、第1実施形態と相違する。相違点を中心に説明する。
一方、梁14の曲げ耐力S1は、梁14の長さ方向に関係なく破線で示すように一定である。このため、例えば、曲げモーメントT3が作用しようとしても、梁14の端部14Eは曲げ耐力S1を超える曲げモーメントP2を負担できないので、塑性変形が端部14Eで生じ、かつそこに集中する。
しかし、図4(B)に示すように、梁14の両端部にリブ52、54を設けることで、リブ42、44による曲げ耐力S3を梁14の曲げ耐力S1に加算することができる。ここに、S3は、貫通孔56の位置で凹部を形成している。
このとき、曲げ耐力S2の凹凸部の位置を、リブ52、54に設ける貫通孔の位置と大きさで調整することにより、曲げモーメントT3が梁の曲げ耐力S1+S3に最初に到達する位置をL3の範囲内で任意に設定することができる。
この結果、梁14の端部14Eに集中する塑性変形を、リブ52、54で効率良く、塑性変形領域を分散させ、梁14の中央方向へ広げることができ、梁14の端部14Eの塑性ひずみを小さくすることができる。さらに、塑性変形が集中する位置を、溶接接合部である端部14Eではなく、貫通孔56が設けられる位置にすることができる。これにより、溶接部の破断を回避することができる。
他の構成は、第1実施形態と同じであり説明は省略する。
図5(A)を用いて、第5実施形態に係る部材端部構造について説明する。
ここに、図5(A)は、第5実施形態に係る部材端部構造の水平断面図である。
図5(A)に示すように、第5実施形態に係る部材端部構造は、柱12、梁14、及びリブ62、64を有する柱梁接合部60の接合構造である。柱梁接合部60は、リブ62、64に、ドッグボーンと呼ばれる切欠き部66が開けられている点において、第1実施形態と相違する。相違点を中心に説明する。
他の構成は、第1実施形態と同じであり説明は省略する。
図5(B)を用いて、第6実施形態に係る部材端部構造について説明する。
ここに、図5(B)は、第6実施形態に係る部材端部構造の水平断面図である。
図5(A)に示すように、第6実施形態に係る部材端部構造は、柱12、梁78、及びリブ72、74を有する柱梁接合部70の接合構造である。柱梁接合部70は、リブ72、74が、ウェブ14Wの片面にのみ設けられている点において、第1実施形態と相違する。相違点を中心に説明する。
リブ72、74は、梁78に曲げモーメントが作用したときのモーメントの中立軸MC(不図示)を挟んで、上下に設けられている。リブ72、74の端部72Eは柱12の接合部12Sに接合され、リブ62A、62Bの長手方向の端部72S、74Sは、梁14のウェブ14Wの側面に接合されている。
この結果、梁78の端部78Eに集中する塑性変形領域を、リブ72、74で効率良く、効率的に分散させることができる。即ち、塑性変形領域を梁の中央方向へ広げ、梁78の端部78Eの塑性ひずみを小さくすることができる。
他の構成は、第1実施形態と同じであり説明は省略する。
図6(A)、(B)を用いて、第7実施形態に係る部材端部構造について説明する。
ここに、図6(A)は、第7実施形態に係る部材端部構造の正面図であり、(B)は斜視図である。
図6(A)に示すように、第7実施形態に係る部材端部構造は、柱12、梁14及びリブ82、84を有する柱梁接合部80の接合構造である。柱梁接合部80は、リブ82、84が、ウェブ14Wの片面にそれぞれ1枚ずつ設けられている点において、第1実施形態と相違する。相違点を中心に説明する。
また、リブ82、84の端部82E、84Eは、柱12の接合部12Sに接合され、リブ82、84の長手方向の端部82S、84Sは、梁14のウェブ14Wの側面に接合されている。
他の構成は、第1実施形態と同じであり説明は省略する。
図7(A)、(B)を用いて、第8実施形態に係る部材端部構造について説明する。
ここに、図7(A)は、第7実施形態に係る部材端部構造の正面図であり、(B)は部材端モーメントの特性図である。
図7(A)に示すように、第8実施形態に係る部材端部構造は、柱12、梁14及びリブ92の柱梁接合部90の接合構造である。柱梁接合部90は、リブ92が、放物線状に曲げられている点において、第1実施形態と相違する。相違点を中心に説明する。
リブ92は、片面に1枚、両面で2枚が、梁14のウェブ14Wに接合されている。リブ92の両端部92Eは、柱12の接合部12Sに接合され、長手方向の端部92Sは、ウェブ14Wに接合されている。
更に、リブ92の両端部は、梁14に接合され、リブ92の中央部は、梁14の中央側でありモーメントの中立軸MCと交差する位置で折り曲げられている。これにより、梁14に作用する曲げモーメントによる塑性変形領域を、梁14の中央部方向へ広げ、梁14の部材端部14Eの塑性ひずみを小さくすることができる。
図7(B)に部材端モーメントを示す。横軸は部材回転角で、縦軸は部材端モーメントである。破線で示す特性74が、リブ92を備えていない通常の柱梁接合部の場合の特性であり、実線で示す特性76が、本実施形態の柱梁接合部90の特性である。
この結果、本実施形態の柱梁接合部90は、梁14の二次剛性、及び終局耐力を高め、最大塑性ひずみを小さく抑えることができるといえる。即ち、梁14を破断や疲労に強くしている。これにより、梁14の端部の損傷を抑制することができる。
他の構成は、第1実施形態と同じであり説明は省略する。
図8(A)〜(C)を用いて、第9実施形態に係る部材端部構造について説明する。
ここに、図8(A)は第9実施形態に係る部材端部構造の正面図であり、(B)は(A)のZ1−Z1線断面図であり、(C)は(B)の展開例である。
第9実施形態に係る部材端部構造は、柱106、床104及びリブ102を備えた柱床接合部100の接合構造である点において、第1実施形態と相違する。相違点を中心に説明する。
リブ102は、鋼材で平板状に、いずれも同一形状に形成されている。リブ102は、2枚1組で、柱106の同一平面状の壁面に固定されている。このとき、リブ102は、柱106に曲げモーメントが作用したときのモーメントの中立軸MCXを挟んで2枚ずつ、モーメントの中立軸MCYを挟んで2枚ずつ、合計8枚が取付けられている。
また、リブ102の幅W1は、柱106の対向する壁面間の距離D1の半分より小さくされており、柱106の内部では、対向するリブ102は中央部で重複せず、中立軸MCXを挟むリブ102と、中立軸MCYを挟むリブ102は中央部で交差しない。
図8(C)に示すように、リブ110は、鋼材で平板状に形成され、柱106の対向する壁面間の距離D1と等しい長さに形成されている。
リブ110は、下端部110Eがベースプレート108に接合され、長手方向の端面110Sが、柱106の内壁面に接合されている。
他の構成は、第1実施形態と同じであり説明は省略する。
12 柱(第1鋼材)
12S 接合部
14、78 梁(第2鋼材)
14E、78E 端部(第1鋼材側端部)
14W ウェブ
18、20 リブ(補強鋼材、平行リブ)
18E、20E 端部(第1端部)
18S、20S 端部(第2端部)
32、33 リブ(補強鋼材、中央側接近リブ)
32、33 リブ(補強鋼材、中央側接近リブ)
34、35 リブ(補強鋼材、中央側離間リブ)
42、44 リブ(補強鋼材、幅縮小リブ)
52、54 リブ(補強鋼材、穴あきリブ)
62、64 リブ(補強鋼材、ドックボーンリブ)
72、74 リブ(補強鋼材、片面リブ)
82、84 リブ(補強鋼材、面違いリブ)
92 リブ(補強鋼材、放物線状リブ)
106 柱(第2鋼材)
108 ベースプレート(第1鋼材)
110 リブ(補強鋼材)
Claims (3)
- 接合部が設けられた第1鋼材と、
前記第1鋼材の前記接合部に第1鋼材側端部が接合された第2鋼材と、
前記第2鋼材に複数枚設けられ、前記接合部に短手方向の第1端部が接合され、前記第2鋼材の側面に長手方向の第2端部が接合された補強鋼材と、
を有する部材端部構造。 - 前記第1鋼材は鉄骨製の柱であり、
前記第2鋼材はH形鋼製の梁であり、
前記補強鋼材の前記第1端部は、前記柱の前記接合部に接合され、前記第2端部は前記梁のウェブに接合されている
請求項1に記載の部材端部構造。 - 前記補強鋼材は、
前記ウェブの両面にフランジと平行に設けられた平行リブ、
前記梁の中央部へ向けて間隔が狭められた中央側接近リブ、
前記梁の中央部へ向けて間隔が広げられた中央側離間リブ、
前記梁と異なる材質の鋼材で形成された異材質リブ、
前記梁の中央部へ向けて幅が狭められた幅縮小リブ、
長手方向の中間部に周囲より幅が狭い部分が形成されたドッグボーンリブ、
長手方向の中間部に貫通孔が形成された孔あきリブ、
前記ウェブの片面にのみ設けられた片面リブ、
前記ウェブの片面に一枚ずつ設けられた面違いリブ、
又は、放物線に沿って曲げられ、両端部が前記柱の前記接合部に接合された放物線状リブ、
のいずれか1つである請求項2に記載の部材端部構造。
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