JP2016020790A - ボイラ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ボイラに供給される燃料ガスの質量流量の変動を抑制し、安定的かつ効率的に燃焼制御を行うことができるボイラ装置を提供すること。【解決手段】ボイラ装置1は、給気ダクト30を流れる燃焼用空気の流量と燃料ガスの目標質量流量とを対応づけて記憶する記憶部72と、流量調整弁56の下流側に配置されるエア差圧センサ33によって検知された燃焼用空気の流量に基づいて目標質量流量を設定する目標流量設定部91と、燃料ガス差圧センサ60によって検知される燃料ガスの質量流量及び目標質量流量に基づいて流量調整弁56の開度を制御する開度制御部99と、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、ボイラ装置に関する。より詳細には、燃焼用空気の供給量に応じた燃料ガスが供給されるように、燃料供給ラインの流量調整弁を制御するボイラ装置に関する。
従来から、燃料ガスと燃焼用空気を所定の割合で混合した混合気を燃焼させて水を加熱し、蒸気を発生させるボイラ装置が知られている。この種のボイラ装置では、理論空気量とボイラに供給される空気量との比である空気比が一定になるように、燃焼用空気の供給量に応じて燃料ガスの流量を流量調整弁によって調整している。このような空気比を一定にする制御を開示するものとして例えば特許文献1がある。特許文献1には、燃焼用空気の供給量の変動に合わせて燃料ガスの制御弁を調整して空気比を一定にする予混合式ガスバーナの燃料ガス量制御装置が開示されている。
特開平11−108352号公報
ところで、環境意識の高まりからLNG(Liquefied Natural Gas)が燃料ガスとして広く普及している。LNGを供給する方法の一つとして、LNGを液体のまま輸送し、LNGを使用する供給先で気化して用いるいわゆるLNGサテライト供給がある。LNGサテライト供給は、導入コストを抑えることができ、様々な分野で用いられているものの、パイプラインを通じて燃料ガスを輸送する方法に比べて燃料ガスが外部環境等の影響を受け易い傾向があった。
外部環境等の影響によってボイラ装置に供給される燃料ガスの質量流量が変動した場合、空気比が所定の範囲から外れるおそれがある。例えば、温度変動や圧力変動によって質量流量に変動が生じた場合は、燃焼に必要な空気量(理論空気量)が変化するため、空気比に変動が生じてしまい、燃焼効率の低下や不完全燃焼の原因になるおそれがある。しかし、従来のボイラ装置は、燃焼用空気の流量に応じて設定される開度に基づいて流量調整弁を制御しているため、流量調整弁の下流側で生じる質量流量の変動に対応することができず、質量流量を一定に維持して空気比の変動を抑制するという観点から改善の余地あった。
本発明は、ボイラに供給される燃料ガスの質量流量の変動を抑制し、安定的かつ効率的に燃焼制御を行うことができるボイラ装置を提供することを目的とする。
本発明は、ボイラと、前記ボイラに燃料ガスを供給する燃料供給ラインと、前記燃料供給ラインに配置され、前記燃料ガスの流量を調整可能な流量調整弁と、前記燃料供給ラインにおける前記流量調整弁の下流側に配置され、前記燃料ガスの流量を検知する燃料ガス流量検知部と、前記ボイラに前記燃料ガスと混合させる燃焼用空気を供給する空気供給ラインと、前記空気供給ラインを流れる前記燃焼用空気の流量を検知する空気流量検知部と、前記燃焼用空気の流量と前記燃料ガスの目標質量流量とを対応づけて記憶する記憶部と、前記空気流量検知部によって検知された前記燃焼用空気の流量に基づいて前記目標質量流量を設定する目標流量設定部と、前記燃料ガス流量検知部によって検知される前記燃料ガスの流量及び前記目標質量流量に基づいて前記流量調整弁の開度を制御する開度制御部と、を備えることを特徴とするボイラ装置に関する。
前記ボイラ装置は、前記燃料供給ラインにおける前記流量調整弁の下流側であって、前記燃料ガス流量検知部の上流側に配置され、前記燃料ガスの温度を検知する燃料ガス温度検知部と、前記燃料ガス温度検知部によって検知された温度に基づいて前記燃料ガス流量検知部の測定値を補正する温度補正部と、を更に備えることが好ましい。
前記ボイラ装置は、前記燃料供給ラインにおける前記流量調整弁の下流側であって、前記燃料ガス流量検知部の上流側に配置され、前記燃料ガスの圧力を検知する燃料ガス圧力検知部と、前記燃料ガス圧力検知部によって検知された圧力に基づいて前記燃料ガス流量検知部の測定値を補正する圧力補正部と、を更に備えることが好ましい。
前記燃料ガス流量検知部は、前記燃料供給ラインにおける前記流量調整弁の下流側に配置され、前記燃料供給ラインを通過する燃料ガスを減圧する燃料ガス減圧部材と、前記燃料供給ラインにおける前記燃料ガス減圧部材の上流側の圧力と下流側の圧力との差圧を検知する燃料ガス差圧検知部と、前記燃料ガス差圧検知部が検知した差圧情報に基づいて前記燃料ガスの流量を算出する燃料ガス流量算出部と、を備えることが好ましい。
空気流量検知部は、前記空気供給ラインに配置され、前記空気供給ラインを通過する燃焼用空気を減圧する燃焼用空気減圧部材と、前記空気供給ラインにおける前記燃焼用空気減圧部材の上流側の圧力と下流側の圧力との差圧を検知する燃焼用空気差圧検知部と、前記燃焼用空気差圧検知部が検知した差圧情報に基づいて前記燃焼用空気の流量を算出する燃焼用空気流量算出部と、を備えることが好ましい。
前記ボイラ装置は、前記燃料供給ラインに配置され、前記燃料ガスの熱量を検知する熱量検知部と、前記熱量検知部によって検知された熱量に基づいて前記目標質量流量を補正する熱量補正部と、を更に備えることが好ましい。
本発明によれば、ボイラに供給される燃料ガスの質量流量の変動を抑制し、安定的かつ効率的に燃焼制御を行うことができるボイラ装置を提供できる。
本発明のボイラ装置の一実施形態を模式的に示す図である。 燃料ガスの質量流量と排ガス中の酸素濃度との関係を示すグラフである。 第1実施形態の制御部の構成を示すブロック図である。 第2実施形態のボイラ装置を模式的に示す図である。 第2実施形態の制御部の構成を示すブロック図である。
以下、本発明のボイラ装置の好ましい各実施形態について、図面を参照しながら説明する。第1実施形態のボイラ装置1は、水を加熱して蒸気の生成を行う蒸気ボイラであり、負荷機器(図示省略)に蒸気を供給するものである。なお、本明細書における「ライン」とは、流路、経路、管路等の流体の流通が可能なラインの総称である。
図1に示すように、ボイラ装置1は、ボイラ2と、ボイラ2に燃料ガスを供給する燃料供給部50と、ボイラ2に水を供給する給水路(図示省略)と、燃料ガスや燃焼用空気の供給量等を制御する制御装置70と、を備える。
ボイラ2は、缶体10と、缶体10に燃焼用空気を送り込む送風機20と、缶体10と送風機20とを接続し燃焼用空気が流通する空気供給ラインとしての給気ダクト30と、給気ダクト30に配置されるダンパ31と、燃焼用空気減圧部材としてのパンチングメタル32と、空気流量検知部としてのエア差圧センサ33と、缶体10から排出される燃焼ガス(排ガス)が流通する排ガス排出部としての排気筒80と、を備える。
缶体10は、ボイラ筐体11と、複数の水管12と、下部ヘッダ13と、上部ヘッダ14と、バーナ15と、を備える。
ボイラ筐体11は、缶体10の外形を構成し、平面視矩形形状の直方体状に形成される。このボイラ筐体11の長手方向の一端側に位置する第1側面11aには、給気口16が形成され、ボイラ筐体11の長手方向の他端側に位置する第2側面11bには、排気口17が形成される。
複数の水管12は、ボイラ筐体11の内部に上下方向に延びて配置されると共に、ボイラ筐体11の長手方向及び幅方向に所定の間隔をあけて配置される。
下部ヘッダ13は、ボイラ筐体11の下部に配置される。下部ヘッダ13には、複数の水管12の下端部が接続される。上部ヘッダ14は、ボイラ筐体11の上部に配置される。上部ヘッダ14には、複数の水管12の上端部が接続される。
バーナ15は、給気口16に配置される。バーナ15によって燃料ガスと燃焼用空気との混合気が燃焼し、水管12の水が加熱されて蒸気が発生する。
送風機20は、ファン及びこのファンを回転させるモータを有する送風機本体21と、ファン(モータ)の回転数を増減させるインバータ22と、を備える。送風機20は、インバータ22に入力される周波数に応じて、ファンが所定の回転数で回転することで、缶体10に燃焼用空気を送り込む。
本実施形態では、負荷機器(図示省略)から要求される要求負荷に応じて燃焼用空気の流量が設定される。送風機20は、設定された燃料用空気の流量になるように制御装置70によってインバータ22を介して制御される。
給気ダクト30は、ボイラ2に燃料ガスと混合させる燃焼用空気を供給する空気供給ラインである。給気ダクト30は、上流側の端部が送風機20に接続され、下流側の端部が給気口16に接続される。給気ダクト30は、送風機20から送り込まれた燃焼用空気を缶体10に供給する。
ダンパ31は、給気ダクト30の内部の燃焼用空気の流路を塞いだ閉状態と、この閉状態から90度回転し、給気ダクト30の内部の燃焼用空気の流路を開放した開状態との間で回転可能に配置される。
パンチングメタル32は、複数の貫通孔が形成された金属板であり、流通する燃焼用空気を減圧する燃焼用空気減圧部材である。パンチングメタル32は、給気ダクト30の内部のダンパ31の下流側に配置される。このパンチングメタル32によって、ダンパ31を通って給気ダクト30まで流れてきた燃焼用空気は減圧される。
エア差圧センサ33は、燃焼用空気の流量を検知するための空気流量検知部であり、パンチングメタル32の上流側の圧力と下流側の圧力との差圧を検知する燃焼用空気差圧検知部である。燃料用空気の流量は、この差圧情報に基づいて算出される。また、エア差圧センサ33は、制御装置70に電気的に接続されており、制御装置70はエア差圧センサ33によって検知されたエア差圧情報を取得する。
排気筒80は、基端側が缶体10(ボイラ筐体11に形成された排気口17)に接続され、筒状に形成される。この排気筒80を通じて缶体10で発生した燃焼ガス(排ガス)が缶体10の外部に排出される。
次に、ボイラ2に燃料を供給する燃料供給部50について説明する。燃料供給部50は、燃料供給ライン51と、燃料ガス流量計52と、開閉弁54と、ガバナ55と、流量調整弁56と、燃料ガス温度センサ57と、燃料ガス圧力センサ58と、燃料ガス減圧部材としてのオリフィス59と、燃料ガス流量検知部としての燃料ガス差圧センサ60と、ノズル61と、を備える。
燃料供給ライン51は、その上流側が燃料供給源(図示省略)に接続され、その下流側が給気ダクト30に接続される。燃料供給ライン51の下流側の端部は、給気ダクト30におけるダンパ31が配置された位置よりも下流側に接続される。本実施形態では、燃料供給ライン51によって流通する燃料ガスはLNGである。LNGサテライト供給によってLNG貯蔵施設に貯蔵されたLNGを気化したものが燃料供給ライン51に供給されている。
燃料ガス流量計52は、燃料供給ライン51を流れる燃料ガスの流量を流量調整弁56の上流側で測定する。本実施形態の燃料ガス流量計52は、燃料供給ライン51の最も上流側に配置されている。燃料ガス流量計52は、制御装置70に電気的に接続されている。制御装置70は燃料ガス流量計52の測定値に基づいて燃料ガスの流量情報を取得する。
開閉弁54は、燃料供給ライン51を開放又は閉止し、燃料ガスの供給及び停止を行う。本実施形態の開閉弁54は、燃料供給ライン51における燃料ガス流量計52の下流側に配置される。
ガバナ55は、燃料供給ライン51を流れる燃料ガスの圧力が瞬間的に大きくなる場合等の急激な圧力変動を抑制するための調圧手段である。本実施形態のガバナ55は、燃料供給ライン51における開閉弁54の下流側に配置される。
流量調整弁56は、燃料供給ライン51を流れる燃料ガスの流量を調整するものである。流量調整弁56は、開度を調整可能に構成される。本実施形態の流量調整弁56は、燃料供給ライン51におけるガバナ55の下流側に配置される。流量調整弁56は、制御装置70に電気的に接続されており、制御装置70が流量調整弁56の開度を調節可能になっている。
燃料ガス温度センサ57は、燃料供給ライン51を流れる燃料ガスの温度を流量調整弁56の下流側で測定する。本実施形態の燃料ガス温度センサ57は、燃料供給ライン51における流量調整弁56の下流側に配置される。燃料ガス温度センサ57は、制御装置70に電気的に接続されており、制御装置70は燃料ガス温度センサ57の温度情報を取得する。
燃料ガス圧力センサ58は、燃料供給ライン51を流れる燃料ガスの圧力を流量調整弁56の下流側で測定する。本実施形態の燃料ガス圧力センサ58は、燃料供給ライン51における燃料ガス温度センサ57の下流側に配置される。燃料ガス圧力センサ58は、制御装置70に電気的に接続されており、制御装置70は燃料ガス圧力センサ58の圧力情報を取得する。
オリフィス59は、燃料供給ライン51を流れる燃料ガスを減圧する燃料ガス減圧部材である。本実施形態のオリフィス59は、燃料供給ライン51における燃料ガス圧力センサ58の下流側に配置される。
燃料ガス差圧センサ60は、燃料ガスの流量を検知するための燃料ガス流量検知部であり、オリフィス59の上流側と下流側の圧力の差圧を検知する燃料ガス差圧検知部である。流量調整弁56の下流側での燃料ガスの流量は、この燃料ガス差圧情報に基づいて算出される。燃料ガス差圧センサ60は、制御装置70に電気的に接続されており、制御装置70は燃料ガス差圧情報を取得する。
ノズル61は、燃料供給ライン51の下流側の端部に配置され、給気ダクト30への燃料ガスの噴出を行う。ノズル61から噴出された燃料ガスは、送風機20によって送られてきた燃焼用空気と混合され、この混合された混合気がバーナ15によって燃焼する。
このように、燃料供給部50は、燃料供給ライン51を通じて燃料ガスを適切な流量でボイラ2(缶体10)に供給可能になっている。
制御装置70について説明する。制御装置70は、電気的に接続される各センサからの信号に基づいて流量調整弁56や送風機20の制御を行う。制御装置70は、燃焼用空気の流量及び燃料ガスの流量を調整するための各種の制御を行う制御部71と、各種の情報が記憶される記憶部72と、を備える。
第1実施形態の制御装置70は、空気比を一定にするために燃料ガスの質量流量に基づいて流量調整弁56の制御を行う。まず、図2を参照して、燃料ガスの質量流量の変化と燃焼率の関係について説明する。図2は、燃料ガスの質量流量と排ガス中の酸素濃度との関係を示すグラフである。図2では、試算条件を設定し、燃料ガスの温度変化による質量流量の変化と、燃焼率を示す排ガス中の酸素濃度の割合が算出されている。なお、燃料ガスの圧力は一定として考える。
図2に示すように、燃料ガスに温度変化が生じると、燃料ガスの体積が変化し、質量流量が変化する。燃料ガスの温度が上昇した場合は燃料ガスの体積が大きくなるので燃料ガスの質量流量は小さくなり、燃料ガスの温度が下降した場合は体積が小さくなるので燃料ガスの質量流量は大きくなる。このような質量流量の変動が生じると、たとえ体積流量が一定であっても燃料ガスの燃焼に必要な燃焼用空気の理論空気量が変化し、空気比が変動する。図2に示すように、燃料ガスの質量流量が小さくなれば空気比が大きくなって排ガス中のO濃度は高くなり、その一方、燃料ガスの質量流量が大きくなれば空気比が小さくなって排ガス中のO濃度は低くなる。空気比は、燃焼を適切に行うためにボイラ装置1に設定されている値であり、空気比を一定に制御できなければ、過剰空気による熱損失が生じて燃焼効率が低下してしまったり、不完全燃焼によるエネルギー損失が大きくなってしまったりするおそれがある。
そこで、本実施形態の制御装置70は、ボイラ装置1に設定される空気比を一定に維持するために、質量流量を基準として流量調整弁56の制御を行う構成とした。次に、第1実施形態のボイラ装置1が備える制御部71の詳細な構成について説明する。図3は、制御部71の構成を示すブロック図である。図3に示すように、第1実施形態の制御部71は、燃料ガス流量算出部85と、燃焼用空気流量算出部86と、目標流量設定部91と、温度補正部92と、圧力補正部93と、開度制御部99と、を備える。
燃料ガス流量算出部85は、燃料ガス差圧センサ60によって取得されたオリフィス59の上流側と下流側の圧力の差圧情報に基づいて流量調整弁56の下流側での燃料ガスの流量を燃料ガス差圧センサ60の測定値として算出する。また、燃料ガス流量算出部85は、この燃料ガスの流量に基づいて所定条件における質量流量を算出する。記憶部72には、差圧情報に基づいて流量調整弁56の下流側での燃料ガスの流量を算出するための関数式又はデータテーブル等が記憶されている。
燃焼用空気流量算出部86は、エア差圧センサ33によって取得されたパンチングメタル32の上流側の圧力と下流側の圧力との差圧情報に基づいてダンパ31の下流側での燃焼用空気の流量をエア差圧センサ33の測定値として算出する。記憶部72には、差圧情報に基づいて燃焼用空気の流量を算出するための関数式又はデータテーブル等が記憶されている。
目標流量設定部91は、燃焼用空気の流量に対応する目標質量流量を設定する。目標質量流量は、所定条件における燃焼用空気の流量に対する燃料ガスの質量流量である。ここでいう所定条件とは、燃料ガスの組成に基づく基準熱量及び空気比等の予め設定される諸条件であり、燃料ガスがこの所定条件にあるものとして目標質量流量は設定される。記憶部72には、所定条件における燃焼用空気の流量に対応する目標質量流量を設定する関数式又はデータテーブル等が記憶されている。なお、目標質量流量は、所定の質量流量の範囲として設定されてもよいし、所定の質量流量の値として設定されてもよい。
温度補正部92は、流量調整弁56の下流側の燃料ガスの質量流量を正確に算出するための処理を行う。本実施形態では、温度補正部92は、燃料ガス流量算出部85によって算出される燃料ガスの質量流量を補正する。温度補正部92による補正は、燃料ガス温度センサ57によって検知された燃料ガスの温度に基づいて行われる。記憶部72には、温度情報に基づいて補正するための関数式又データテーブル等の各種の情報が記憶されている。
圧力補正部93は、流量調整弁56の下流側での燃料ガスの質量流量を正確に算出するための処理を行う。本実施形態では、圧力補正部93は、燃料ガス流量算出部85によって算出される燃料ガスの質量流量を補正する。圧力補正部93による補正は、燃料ガス圧力センサ58によって検知された燃料ガスの圧力に基づいて行われる。記憶部72には、圧力情報に基づいて補正するための関数式又データテーブル等の各種の情報が記憶されている。
開度制御部99は、流量調整弁56の下流側を流れる燃料ガスの質量流量が目標質量流量に一致するように、流量調整弁56の開度を調整する。燃料ガスの質量流量は、燃料ガス流量算出部85によって算出された質量流量が温度補正部92及び圧力補正部93により補正されることで取得される。開度制御部99は、目標流量設定部91によって設定された目標質量流量と、算出された燃料ガスの質量流量と、に基づいて流量調整弁56の開度の制御を行う。例えば、燃料ガスの質量流量が、目標質量流量に対して小さい場合は開度を大きくし、燃料ガスの質量流量が目標質量流量に対して大きい場合は開度を小さくするように流量調整弁56の開度を制御する。開度制御部99は、連続的又は段階的に開度の調整を行って燃料ガスの質量流量を目標質量流量に合わせる。
次に、第1実施形態における流量調整弁56の制御の一連の流れについて説明する。流量調整弁56の制御が開始されると、目標流量設定部91は、燃焼用空気流量算出部86によって算出される燃焼用空気の流量を取得する。目標流量設定部91は、取得した燃焼用空気の流量に対応する目標質量流量を記憶部72から設定する。
開度制御部99は、燃料ガス差圧センサ60で検知された差圧情報に基づいて算出される燃料ガスの質量流量を監視する。この燃料ガスの質量流量は、上述のように、燃料ガス流量算出部85によって算出された燃料ガスの質量流量に対して、温度補正部92及び圧力補正部93による補正を行ったものである。なお、燃料ガスの質量流量の算出方法は、この方法に限られず、体積流量、差圧情報、温度情報及び圧力情報に基づいて直接的に算出する等適宜の方法を採用できる。
開度制御部99は、このように算出された燃料ガスの質量流量と、目標流量設定部91によって設定された目標質量流量と、を比較して流量差を取得する。開度制御部99は、この流量差に基づいて開度を調整して燃料ガスの体積流量を変化させることによって、燃料ガスの質量流量を目標質量流量に合わせる。本実施形態では、開度制御部99は、流量調整弁56の制御を行っている間は燃料ガスの質量流量を監視し、フィードバック制御を行い続ける。従って、外部環境等の影響によって、燃料供給部50に供給される燃料ガスの質量流量が変動したとしても、目標質量流量に合致するように流量調整弁56の開度が自動的に調整される。
開度制御部99は、目標質量流量をターゲットとして流量調整弁56をフィードバック制御するので、流量調整弁56の下流側の燃料ガスの質量流量は一定に維持される。燃料ガスは、その質量流量が一定に維持された状態で燃料供給ライン51を介して給気ダクト30に送られる。給気ダクト30の内部にノズル61を介して供給された燃料ガスは、送風機20により給気ダクト30に送り込まれた燃焼用空気と混合される。燃料ガスと燃焼用空気との混合ガスは、バーナ15から缶体10の内部に噴出され、燃焼される。本実施形態では、質量流量に基づいて流量調整弁56の開度がフィードバック制御されるので、ボイラ2に供給される燃料ガスの質量流量に変動が生じても、その影響を効果的に抑制できる。従って、LNGサテライト供給のような外部環境の影響によって質量流量が変動しやすい場合であっても、ボイラ2の燃焼制御を安定的に行うことができる。
そして、バーナ15による混合ガスの燃焼に伴って発生する熱により、下部ヘッダ13から複数の水管12の内部に供給された水が加熱され、蒸気が生成される。複数の水管12の内部において生成された蒸気は、上部ヘッダ14に集合された後、蒸気導出管(図示省略)を介して外部に導出され、負荷機器(図示省略)に供給される。また、混合ガスの燃焼により生じた燃焼ガスは、排気筒80から外部に排出される。なお、エア差圧センサ33によって新たに燃焼用空気の流量の変動が検知された場合は、目標流量設定部91が燃焼用空気の流量に応じた目標質量流量を新たに設定し、当該目標質量流量をターゲットとして開度制御部99による上述のフィードバック制御が行われる。
以上説明した第1実施形態のボイラ装置1によれば、以下のような効果を奏する。
第1実施形態のボイラ装置1は、給気ダクト30を流れる燃焼用空気の流量と燃料ガスの目標質量流量とを対応づけて記憶する記憶部72と、流量調整弁56の下流側に配置されるエア差圧センサ33によって検知された燃焼用空気の流量に基づいて目標質量流量を設定する目標流量設定部91と、燃料ガス差圧センサ60によって検知された燃料ガスの流量及び目標質量流量に基づいて流量調整弁56の開度を制御する開度制御部99と、を備える。
これにより、流量調整弁56の下流側における燃料ガスの質量流量が目標質量流量に一致するように流量調整弁56の開度が調整されるので、ボイラ2に供給さえる燃料ガスの質量流量が一定に維持され、燃焼制御を安定的かつ効率的に行うことができる。
また、ボイラ装置1は、燃料供給ライン51における流量調整弁56の下流側であって、燃料ガス差圧センサ60の上流側に配置され、燃料ガスの温度を検知する燃料ガス温度センサ57と、燃料ガス温度センサ57によって検知された温度に基づいて燃料ガス差圧センサ60の測定値を補正する温度補正部92と、を更に備える。
これにより、エア差圧センサ33によって検知された燃焼用空気の流量に、燃料ガスの温度変動を反映させることができ、開度制御部99によるフィードバック制御をより精密に行うことができる。
また、ボイラ装置1は、燃料供給ライン51における流量調整弁56の下流側であって、燃料ガス差圧センサ60の上流側に配置され、燃料ガスの圧力を検知する燃料ガス圧力センサ58と、燃料ガス圧力センサ58によって検知された圧力に基づいて燃料ガス差圧センサ60の測定値を補正する圧力補正部93と、を更に備える。
これにより、エア差圧センサ33によって検知された燃焼用空気の流量に、燃料ガスの圧力変動を反映させることができ、開度制御部99によるフィードバック制御をより精密に行うことができる。
また、ボイラ装置1は、燃料供給ライン51におけるオリフィス59の上流側の圧力と下流側の圧力との差圧を検知する燃料ガス差圧センサ60が検知した差圧情報に基づいて燃料ガスの流量を算出する燃料ガス流量算出部85を備える。
これにより、オリフィス59を備えるボイラ装置1に燃料ガス差圧センサ60を配置するだけで燃料ガスの流量を正確に検知できる構成を実現できる。
また、ボイラ装置1は、給気ダクト30を通過する燃焼用空気を減圧するパンチングメタル32の上流側の圧力と下流側の圧力との差圧を検知するエア差圧センサ33が検知した差圧情報に基づいて燃焼用空気の流量を算出する燃焼用空気流量算出部86を備える。
これにより、パンチングメタル32を備えるボイラ装置1にエア差圧センサ33を配置するだけで燃料ガスの流量を正確に検知できる構成を実現できる。本実施形態では、燃料ガス及び燃焼用空気のいずれもが差圧に基づいて算出されるので、空気比の調整もより正確に行うことができる。
次に、第2実施形態のボイラ装置201について説明する。図4は、第2実施形態のボイラ装置201を模式的に示す図である。図5は、第2実施形態の制御部271の構成を示すブロック図である。なお、第1実施形態と同様の構成については、その説明を省略する場合がある。
図4に示すように、第2実施形態のボイラ装置201は、第1実施形態の構成に加えてカロリメータ53を更に備える。カロリメータ53は、燃料ガスの熱量を取得する熱量検知部である。カロリメータ53は、燃料供給ライン51における燃料ガス流量計52の下流側に配置される。カロリメータ53は、制御装置70に電気的に接続されており、制御装置70は、カロリメータ53の検知信号に基づいて燃料ガスの熱量を取得する。なお、カロリメータ53としては、燃料供給ライン51を流れる燃料ガスをサンプリング計測してその熱量を取得するもの等、適宜のものを採用することができる。
また、第2実施形態のボイラ装置201は、目標質量流量に対して熱量変動に基づいて補正を行う点が第1実施形態のボイラ装置1の構成とは異なる。第2実施形態の制御部271による流量調整弁56の制御について説明する。図5に示すように、制御部271は、燃料ガス流量算出部85と、燃焼用空気流量算出部86と、目標流量設定部91と、温度補正部92と、圧力補正部93と、熱量補正部94と、開度制御部99と、を備える。第2実施形態の制御部271は、第1実施形態の制御部71の構成に加え、熱量補正部94を更に備えるように構成される。
熱量補正部94は、カロリメータ53によって検知された熱量に基づいて目標質量流量の補正を行う。燃焼用空気の供給量に対する燃料ガスの必要供給量は、基準熱量に基づいて設定されるため、熱量が変動すれば、燃焼用空気の供給量に対する燃料ガスの必要供給量も変動する。そこで、本実施形態では、所定条件として設定された基準熱量に対する熱量変動を原因とする燃料ガスの必要供給量のずれに対して補正を行う構成とした。即ち、熱量補正部94は、熱量の変動によって生じた燃料ガスの必要供給量の変動に対応するように燃料ガスの流量を調整する補正を行う。例えば、燃料供給部50に供給される燃料ガスに予め設定される基準熱量に対してカロリメータ53に検知された熱量が大きくなっているときは、燃料ガスの流量が小さくなるように目標質量流量を補正する。同様に、基準熱量に対して熱量が小さくなっているときは、燃料ガスの流量が大きくなるように目標質量流量を補正する。
第2実施形態では、熱量補正部94によって補正された目標質量流量に基づいて流量調整弁56の開度を制御する。即ち、熱量変動が反映された目標質量流量に基づいて流量調整弁56が制御される。これにより、燃料ガスに熱量変動が生じた場合でも、適切な供給量の燃料ガスが燃料供給ライン51によって給気ダクト30に送られることになる。なお、熱量補正部94による目標質量流量の補正処理は、ボイラ装置1が通常稼動している場合は常時行われる構成としてもよいし、熱量を所定間隔でサンプリングし、そのタイミングで検知された熱量変動に基づいて上述の補正を行うようにしてもよい。
以上説明した第2実施形態のボイラ装置201によれば、以下のような効果を奏する。
また、ボイラ装置201は、燃料供給ライン51に配置され、燃料ガスの熱量を検知するカロリメータ53によって検知された熱量に基づいて目標質量流量を補正する熱量補正部94を備える。
これにより、燃料ガスの成分変動等を原因とする熱量の変動が開度制御部99によるフィードバック制御に反映されるので、燃焼用空気の供給量に対して必要な燃料ガスをより正確な供給量でボイラ装置1に送ることができ、ボイラ装置1のより効率的な燃焼制御を実現することができる。
以上、本発明のボイラ装置の好ましい各実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。例えば、燃料ガスの圧力が所定圧力にあるとして、燃料ガス差圧センサ60の測定結果に対する補正処理を温度補正部92及び熱量補正部94の組合せで行うこともできる。同様に、燃料ガスの圧力が所定の圧力にあるとして、補正処理を温度補正部92及び熱量補正部94の組合せで行うこともできる。このように、補正処理を行う構成は、適宜の組合せを採用することができる。また、上記実施形態の制御部71の構成から、温度補正部92及び圧力補正部93を省略することもできる。この場合、例えば、燃料ガス流量検知部として質量流量計を採用し、当該質量流量計によって検知された質量流量に基づいて開度制御部99による流量調整弁56のフィードバック制御を行う構成とすることもできる。
上記実施形態では、基準熱量及び空気比等が所定条件として予め設定されている構成であるが、その構成は適宜変更することができる。例えば、燃料供給部50よりも更に上流側で検知した値に基づいて基準熱量を設定し、この設定した条件に基づいて温度変動、圧力変動及び熱量変動を反映した補正を行う構成とすることもできる。また、ボイラ装置1の使用状況や環境の変化に対応して所定条件を適宜のタイミングで変更することもできる。
上記実施形態では、燃料ガスがLNGサテライト供給によって供給される構成を採用しているが、燃料ガスや燃料ガスの供給源は適宜変更することができる。例えば、燃料供給事業者からパイプラインを通じて直接的に燃料ガスが供給される構成にも本発明を適用することができる。
1 ボイラ装置
2 ボイラ
30 給気ダクト(空気供給ライン)
32 パンチングメタル(燃焼用空気減圧部材)
33 エア差圧センサ(空気流量検知部、燃焼用空気差圧検知部)
51 燃料供給ライン
53 カロリメータ(熱量検知部)
56 流量調整弁
57 燃料ガス温度センサ(燃料ガス温度検知部)
58 燃料ガス圧力センサ(燃料ガス圧力検知部)
59 オリフィス(燃料ガス減圧部材)
60 燃料ガス差圧センサ(燃料ガス流量検知部、燃料ガス差圧検知部)
72 記憶部
85 燃料ガス流量算出部
86 燃焼用空気流量算出部
91 目標流量設定部
92 温度補正部
93 圧力補正部
94 熱量補正部
99 開度制御部

Claims (6)

  1. ボイラと、
    前記ボイラに燃料ガスを供給する燃料供給ラインと、
    前記燃料供給ラインに配置され、前記燃料ガスの流量を調整可能な流量調整弁と、
    前記燃料供給ラインにおける前記流量調整弁の下流側に配置され、前記燃料ガスの流量を検知する燃料ガス流量検知部と、
    前記ボイラに前記燃料ガスと混合させる燃焼用空気を供給する空気供給ラインと、
    前記空気供給ラインを流れる前記燃焼用空気の流量を検知する空気流量検知部と、
    前記燃焼用空気の流量と前記燃料ガスの目標質量流量とを対応づけて記憶する記憶部と、
    前記空気流量検知部によって検知された前記燃焼用空気の流量に基づいて前記目標質量流量を設定する目標流量設定部と、
    前記燃料ガス流量検知部によって検知される前記燃料ガスの流量及び前記目標質量流量に基づいて前記流量調整弁の開度を制御する開度制御部と、
    を備えることを特徴とするボイラ装置。
  2. 前記燃料供給ラインにおける前記流量調整弁の下流側であって、前記燃料ガス流量検知部の上流側に配置され、前記燃料ガスの温度を検知する燃料ガス温度検知部と、
    前記燃料ガス温度検知部によって検知された温度に基づいて前記燃料ガス流量検知部の測定値を補正する温度補正部と、
    を更に備える請求項1に記載のボイラ装置。
  3. 前記燃料供給ラインにおける前記流量調整弁の下流側であって、前記燃料ガス流量検知部の上流側に配置され、前記燃料ガスの圧力を検知する燃料ガス圧力検知部と、
    前記燃料ガス圧力検知部によって検知された圧力に基づいて前記燃料ガス流量検知部の測定値を補正する圧力補正部と、
    を更に備える請求項1又は2のいずれかに記載のボイラ装置。
  4. 前記燃料ガス流量検知部は、
    前記燃料供給ラインにおける前記流量調整弁の下流側に配置され、前記燃料供給ラインを通過する燃料ガスを減圧する燃料ガス減圧部材と、前記燃料供給ラインにおける前記燃料ガス減圧部材の上流側の圧力と下流側の圧力との差圧を検知する燃料ガス差圧検知部と、前記燃料ガス差圧検知部が検知した差圧情報に基づいて前記燃料ガスの流量を算出する燃料ガス流量算出部と、
    を備える請求項1から3のいずれかに記載のボイラ装置。
  5. 空気流量検知部は、
    前記空気供給ラインに配置され、前記空気供給ラインを通過する燃焼用空気を減圧する燃焼用空気減圧部材と、前記空気供給ラインにおける前記燃焼用空気減圧部材の上流側の圧力と下流側の圧力との差圧を検知する燃焼用空気差圧検知部と、前記燃焼用空気差圧検知部が検知した差圧情報に基づいて前記燃焼用空気の流量を算出する燃焼用空気流量算出部と、
    を備える請求項1から4のいずれに記載のボイラ装置。
  6. 前記燃料供給ラインに配置され、前記燃料ガスの熱量を検知する熱量検知部と、
    前記熱量検知部によって検知された熱量に基づいて前記目標質量流量を補正する熱量補正部と、
    を更に備える請求項1から5のいずれかに記載のボイラ装置。
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