JP2016017166A - 内装用オーバーコート塗料組成物および内装塗料組成物 - Google Patents

内装用オーバーコート塗料組成物および内装塗料組成物 Download PDF

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宏樹 宮西
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豪 鈴木
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ポー エルナ
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Abstract

【課題】高温多湿地域において内装塗膜の表面に発生する白い斑点の発生を抑制する。
【解決手段】内装用オーバーコート塗料組成物は、内装塗膜に上塗りするための内装用オーバーコート塗料組成物であって、40℃90%R.H.の環境に1時間静置したときの吸湿率が2.0%以上である。内装塗料組成物は、カルシウム化合物を含有する内装塗料組成物であって、40℃90%R.H.の環境に1時間静置したときの吸湿率が2.0%以上である。
【選択図】なし

Description

本発明は、内装塗装に関するものであり、詳細には、内装用オーバーコート塗料組成物および内装塗料組成物に関するものである。
従来、建物の内装を整える方法として、壁紙を貼付する方法の他、内装塗料を用いて塗装する方法が知られている。従来技術における内装塗料の例としては、特許文献1に記載されたものが挙げられる。
特開2002−201419号公報(2002年7月19日公開)
本発明者らは、独自の調査に基づき、東南アジアのような高温多湿地域において、内壁等の内装塗膜の表面に白い斑点が発生することを見出している。これまで、このような白い斑点について報告した文献は存在しない。しかし、本発明者らは、内装の美観の向上のためには、このような白い斑点を抑制する技術は非常に重要であると考えている。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、高温多湿地域において内装塗膜の表面に発生する白い斑点(以降「ホワイトパッチ」と記載)の発生を抑制する技術を提供することを主たる目的とする。
本発明者らは、独自の検討に基づき、(i)ホワイトパッチは、驚くべきことに、内装塗料に含まれていない乳酸カルシウムによって形成されていること、(ii)この乳酸カルシウムは、内装塗料に体質顔料として含まれている炭酸カルシウム等のカルシウム化合物と、生活空間由来の乳酸とが反応して生じたものであると推定されること、および(iii)一定以上の吸湿率を有する内装用オーバーコート塗料組成物によって内装塗膜の表面を上塗りするか、または、一定以上の吸湿率を有する内装塗料組成物を用いて内装塗装を行うことで、ホワイトパッチの発生を抑制し得ることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明に係る内装用オーバーコート塗料組成物は、内装塗膜に上塗りするための内装用オーバーコート塗料組成物であって、40℃90%R.H.の環境に1時間静置したときの吸湿率が2.0%以上であることを特徴としている。
上記内装用オーバーコート塗料組成物は、ポリビニルアルコール、親水性シリカおよびポリエステル樹脂からなる群より選択される少なくとも一つの物質を含有していることがより好ましい。
上記内装用オーバーコート塗料組成物は、上記吸湿率が3.8%以上であることがより好ましい。
上記内装用オーバーコート塗料組成物では、上塗り対象である上記内装塗膜が、カルシウム化合物を含有する内装塗膜であることがより好ましい。
上記内装用オーバーコート塗料組成物は、上記内装塗膜に上塗りすることにより、当該内装塗膜において生成した乳酸カルシウムの結晶化を抑制する乳酸カルシウム結晶化抑制膜を形成する乳酸カルシウム結晶化抑制膜形成組成物であり得る。
本発明に係る内装塗料組成物は、カルシウム化合物を含有する内装塗料組成物であって、40℃90%R.H.の環境に1時間静置したときの吸湿率が2.0%以上であることを特徴としている。
上記内装塗料組成物は、ポリビニルアルコール、親水性シリカおよびポリエステル樹脂からなる群より選択される少なくとも一つの物質をさらに含有していることがより好ましい。
上記内装塗料組成物は、上記吸湿率が3.8%以上であることがより好ましい。
上記内装塗料組成物は、上記内装塗料組成物が形成する内装塗膜において生成した乳酸カルシウムの結晶化が抑制されるものであり得る。
本発明によれば、ホワイトパッチの発生を抑制することができる。
推定されるホワイトパッチの発生メカニズムを説明する図である。 本発明の一実施形態(実施形態1)におけるホワイトパッチの発生を抑制するメカニズムを説明する図である。 本発明の一実施形態(実施形態2)におけるホワイトパッチの発生を抑制するメカニズムを説明する図である。
〔ホワイトパッチの発生メカニズム〕
本発明者らは、ホワイトパッチの発生を抑制する技術の開発に当たり、まず、ホワイトパッチの発生メカニズムを検討した。本発明者らが、ホワイトパッチが発生している内装塗膜の表面から白色の物質を採取して分析したところ、乳酸カルシウムであることを同定することができた。驚くべきことに、乳酸カルシウムは内装塗料に含まれてはいない。
本発明者らは、独自の知見に基づき、この乳酸カルシウムは、内装塗料に体質顔料として含まれている炭酸カルシウム等のカルシウム化合物と、乳酸とが反応して生じたものであり、この乳酸は、生活空間や塗膜中に存在する糖を取り込んだ乳酸菌等の乳酸産生生物が生成したものであると推定した。すなわち、ホワイトパッチの発生メカニズムは、以下の通りであると考えられる。
図1の(a)に示すように、コンクリート等の内壁1上に、内装塗膜2が形成されているものとする。内装塗膜2には、特許文献1に記載の塗料がそうであるように、一般に、体質顔料として炭酸カルシウム等のカルシウム化合物3が含まれている。また、内壁1で囲まれた空間(生活空間)には、乳酸菌等4が存在している。
乳酸菌等4は、生活空間等に存在する糖を分解し、乳酸5を生成する。図1の(b)に示すように、この生活空間由来の乳酸5が内装塗膜2表面に付着することがある。ここで、高温多湿環境下において内装塗膜2が膨潤すると、乳酸5が内装塗膜2中に浸透し、内装塗膜2に含まれるカルシウム化合物3と反応して、乳酸カルシウムを生成する。
そして、温度および湿度が変化し、膨潤していた内装塗膜2が乾燥すると、内装塗膜2において生成した乳酸カルシウムが、内装塗膜2の表面において結晶化して、図1の(c)に示すように、ホワイトパッチ6(乳酸カルシウム結晶)を発生させる。
本発明者らは、実際に、内装塗膜に乳酸を塗布することによってホワイトパッチの発生を再現することができた(後述する比較例1、3を参照)。また、炭酸カルシウム等のカルシウム化合物を含まない塗料によって形成した塗膜に乳酸を塗布してもホワイトパッチは発生しなかった。これらのことから、ホワイトパッチが上述したメカニズムで発生している蓋然性は高い。
以上の推定に基づき、本発明者らは、乳酸カルシウムの結晶化を抑制することによるホワイトパッチ発生の抑制技術に想到した。そして、実際に、後述する実施例に示すように、一定以上の吸湿率を有する内装用オーバーコート塗料組成物によって内装塗膜の表面を上塗りするか、または、一定以上の吸湿率を有する内装塗料組成物を用いて内装塗装を行うことで、ホワイトパッチの発生を抑制し得ることを見出し、本発明を完成させた。以下、本発明の各実施形態について詳細に説明する。
〔実施形態1.内装用オーバーコート塗料組成物〕
本発明は、一実施形態において、内装用オーバーコート塗料組成物を提供する。内装用オーバーコート塗料組成物とは、内装塗膜に上塗りするための塗料組成物を指す。内装塗膜とは、建物の内装となる塗膜、例えば、内壁、天井、床等への塗装によって形成される塗膜を指す。「内装塗膜に上塗りする」とは、内装塗膜の少なくとも一部、より好ましくは50%以上、特に好ましくは全体に重ねて塗布することを指し、内装塗膜と内装用オーバーコート塗料組成物の塗膜との間に他の層が介在していてもよく、内装用オーバーコート塗料組成物の塗膜上にさらに他の層が積層されてもよい。
一般的な内装塗膜であれば、ホワイトパッチを発生させるに十分な炭酸カルシウム等のカルシウム化合物を含んでいるものであり、本実施形態に係る内装用オーバーコート塗料組成物は、このような内装塗膜の上塗り用として好適に用いられる。
本実施形態に係る内装用オーバーコート塗料組成物は、吸湿率が2.0%以上であることが好ましく、3.8%以上であることがより好ましい。吸湿率の上限は特に設定されないが、例えば、80.0%以下とすることができ、特に60.0%以下とすることができ、更に30.0%以下とすることができる。
なお、本明細書において、吸湿率とは、吸湿した試料の質量から乾燥した試料の質量を引いたものを当該乾燥した試料の質量で除した値を指し、本明細書における各組成物の吸湿率は、基材に各組成物を塗布し、溶剤を完全に除去して乾燥させた後に、40℃90%R.H.の環境に1時間静置して吸湿させたときの吸湿率を指す。
本実施形態に係る内装用オーバーコート塗料組成物は、内装塗膜に上塗りすることにより、ホワイトパッチの発生を抑制することができる。換言すれば、本実施形態に係る内装用オーバーコート塗料組成物は、内装塗膜に上塗りすることにより、ホワイトパッチの発生を抑制するホワイトパッチ抑制膜を形成するホワイトパッチ抑制膜形成組成物であり得る。さらに換言すれば、本実施形態に係る内装用オーバーコート塗料組成物は、内装塗膜に上塗りすることにより、内装塗膜において生成した乳酸カルシウムの結晶化を抑制する乳酸カルシウム結晶化抑制膜を形成する乳酸カルシウム結晶化抑制膜形成組成物であり得る。
また、本実施形態に係る内装用オーバーコート塗料組成物は、ホワイトパッチの発生を抑制する方法および内装塗膜において生成した乳酸カルシウムの結晶化を抑制する方法に使用することができる。すなわち、ホワイトパッチの発生を抑制する方法は、本実施形態に係る内装用オーバーコート塗料組成物を当該内装塗膜に上塗りする工程を包含してもよい。また、内装塗膜において生成した乳酸カルシウムの結晶化を抑制する方法は、本実施形態に係る内装用オーバーコート塗料組成物を当該内装塗膜に上塗りする工程を包含してもよい。
図2は、本実施形態に係る内装用オーバーコート塗料組成物が、ホワイトパッチの発生を抑制するメカニズムを説明する図である。
図2の(a)に示すように、コンクリート等の内壁1上に、内装塗膜2が形成されており、内装塗膜2上に本実施形態に係る内装用オーバーコート塗料組成物によってオーバーコート7(ホワイトパッチ抑制膜、乳酸カルシウム結晶化抑制膜)が形成されているものとする。内装塗膜2には、炭酸カルシウム等のカルシウム化合物3が含まれている。また、内壁1で囲まれた空間(生活空間)には、乳酸菌等4が存在している。
図2の(b)に示すように、乳酸菌等4が生成した乳酸5が、オーバーコート7表面に付着することがある。そして、高温多湿環境下においてオーバーコート7および内装塗膜2が膨潤すると、乳酸5がオーバーコート7および内装塗膜2中に浸透し、内装塗膜2に含まれるカルシウム化合物3と反応して、乳酸カルシウムを生成することがある。
しかし、温度および湿度が変化しても、一定以上の吸湿率を有するオーバーコート7の存在によって、内装塗膜2の乾燥を避けることができる。これにより、図2の(c)に示すように、内装塗膜2において生成した乳酸カルシウム5’の結晶化を抑制し、ホワイトパッチ6(乳酸カルシウム結晶)の発生を抑制することができる。
なお、本明細書において、「ホワイトパッチの発生を抑制する」とは、ホワイトパッチの発生量(発生範囲)を低減すること、および、ホワイトパッチの発生速度を低減することの何れか、または、それらの両方を指す。
本実施形態に係る内装用オーバーコート塗料組成物によって内装塗膜を上塗りしても、ホワイトパッチが生じる場合もあるが、その場合であっても、その範囲が縮小しているか、その範囲の拡大速度が低減されているか、または、ホワイトパッチを一度拭き取ってから、再度、ホワイトパッチが発生するまでの期間が長くなっている。
本実施形態に係る内装用オーバーコート塗料組成物は、上述したように、一定以上の吸湿率を有するものであればよく、その組成は特に限定されないが、公知の塗膜形成性樹脂を含んでいてもよい。塗膜形成性樹脂は、常温乾燥型であってもよいし、強制乾燥型であってもよい。また、塗膜形成性樹脂は、有機溶剤型(非水分散型を含む)であってもよいし、水分散型であってもよい。
有機溶剤型の塗膜形成性樹脂としては、反応硬化型であってもよいし、非架橋型であってもよく、例えば、アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂等の水酸基含有樹脂である基体樹脂と、ポリイソシアネート化合物等の硬化剤とを含む硬化性樹脂組成物を有機溶剤に溶解または分散させたもの;シラノール基および加水分解性シリル基の少なくとも一方、水酸基ならびにエポキシ基を必須官能基成分として含有する樹脂または樹脂混合物である基体樹脂と、硬化触媒とを含む硬化性樹脂組成物を有機溶剤に溶解または分散させたもの;例えば、ウレタン樹脂系、酢酸ビニル樹脂系、アルキド樹脂系、スチレン−ブタジエン樹脂系、アクリル樹脂系、セルロース樹脂系、フッ素樹脂系、塩化ビニル樹脂系等の、有機溶剤が揮発することによって塗膜を形成する溶液または分散液;等が挙げられる。
有機溶剤は特に限定されず、例えば、炭化水素系、エステル系、アルコール系、ケトン系等を用いることができるが、特に、脂肪族炭化水素系溶剤、高沸点芳香族炭化水素系溶剤等の弱溶剤が好ましい。弱溶剤としては、例えば、ソルベント灯油、ミネラルスピリット、ソルベントナフサ、芳香族ナフサ、コスモ石油社製「スワゾール(登録商標)310」、「スワゾール(登録商標)1000」および「スワゾール(登録商標)1500」、エッソ石油社製「ソルベッソ(登録商標)100」、「ソルベッソ(登録商標)150」および「ソルベッソ(登録商標)200」、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−デカン等が挙げられる。
水分散型の塗膜形成性樹脂としては、架橋型であってもよいし、非架橋型であってもよく、公知の水分散性樹脂または水溶性樹脂を含むものを用いることができる。そのような水分散性樹脂または水溶性樹脂としては、例えば、カルボニル基とヒドラジド基とによる架橋系、水酸基とイソシアネート基とによる架橋系であるアクリル樹脂エマルション、アクリルウレタン樹脂エマルションと架橋剤との組合せ、さらにはこれら以外のアクリル樹脂エマルション、酢酸ビニルエマルション、エチレン−酢酸ビニルエマルション、酢酸ビニル−アクリル樹脂エマルション、エポキシ樹脂エマルション、アルキド樹脂エマルション、シリコンアクリルエマルション、ポリウレタンエマルション、ウレタン樹脂エマルション、ポリビニルアルコ−ル、水溶性アクリル樹脂、天然もしくは合成ゴムラテックス等が挙げられる。
また、本実施形態に係る内装用オーバーコート塗料組成物は、表面調整剤、防腐剤、防かび剤、消泡剤、光安定剤、酸化防止剤、粘性調整剤、硬化触媒、紫外線吸収剤等の公知の添加物をさらに含有していてもよい。
特に、本実施形態に係る内装用オーバーコート塗料組成物は、ポリビニルアルコール、親水性シリカおよびポリエステル樹脂からなる群より選択される何れかを含有していることがより好ましい。内装用オーバーコート塗料組成物にこれらの物質を含有させることにより、一定以上の吸湿率を有する内装用オーバーコート塗料組成物を好適に実現することができる。
ポリビニルアルコールとしては、特に限定されず、例えば、所望の特性に応じてケン化度を選択することができる。また、カルボキシル基、その他の親水性間の基で変性した変性ポリビニルアルコールであってもよい。
親水性シリカとしては、特に限定されず、親水性基を有する限り、ヒュームドシリカ、コロイダルシリカ等を用いることができる。
ポリエステル樹脂としては、特に限定されないが、親水性官能基を所定量含有することが好ましい。
また、吸湿率は、水酸基価(OHV)に関連しており、当業者であれば、公知の物質の水酸基価を参照することにより、一定以上の吸湿率を有する内装用オーバーコート塗料組成物の組成を、公知の物質から適宜選択することができる。
本実施形態に係る内装用オーバーコート塗料組成物を、内装塗膜に上塗りする方法は特に限定されず、例えば、コットンに染み込ませて塗布する方法、ローラーを用いて塗布する方法、スプレーにより塗布する方法、刷毛を用いて塗布する方法等、公知の塗布方法を用いることができる。また、塗布後の内装用オーバーコート塗料組成物を乾燥させる方法も特に限定されず、公知の方法を用いることができる。
また、本実施形態に係る内装用オーバーコート塗料組成物によって形成するオーバーコートの膜厚は特に限定されないが、例えば、乾燥膜厚として、1μm以上100μm以下、より好ましくは3μm以上40μm以下とすることができる。
〔実施形態2.内装塗料組成物〕
本発明は、一実施形態において、内装塗料組成物を提供する。内装塗料組成物とは、建物の内装のための塗装、例えば、内壁、天井、床等への塗装に用いる塗料を指す。なお、内装塗料組成物と外装塗料組成物とは適用規格(例えば、アルデヒド量、溶剤量)が異なるため、外装塗料をそのまま内装塗料に使用することはできない。また、内装塗料組成物には、内装に求められる意匠を付与するために、外装塗料とは塗料中における顔料体積濃度(PVC)が異なっている。
本実施形態に係る内装塗料組成物は、吸湿率が2.0%以上であることが好ましく、3.8%以上であることがより好ましい。吸湿率の上限は特に設定されないが、例えば、80.0%以下とすることができ、特に60.0%以下とすることができ、更に30.0%以下とすることができる。
本実施形態に係る内装塗料組成物は、一般的な内装塗料組成物がそうであるように、体質顔料として、炭酸カルシウム等のカルシウム化合物を含有していてもよい。但し、本実施形態に係る内装塗料組成物によれば、当該内装塗料組成物が形成する内装塗膜の表面におけるホワイトパッチの発生を抑制することができる。換言すれば、本実施形態に係る内装塗料組成物によれば、当該内装塗料組成物が形成する内装塗膜において生成した乳酸カルシウムの結晶化を抑制することができる。
また、本実施形態に係る内装塗料組成物は、内装塗膜の表面におけるホワイトパッチの発生を抑制する方法および内装塗膜において生成した乳酸カルシウムの結晶化を抑制する方法に使用することができる。すなわち、内装塗膜の表面におけるホワイトパッチの発生を抑制する方法は、本実施形態に係る内装塗料組成物を用いて当該内装塗膜を形成する工程を包含してもよい。また、内装塗膜において生成した乳酸カルシウムの結晶化を抑制する方法は、本実施形態に係る内装塗料組成物を用いて当該内装塗膜を形成する工程を包含してもよい。
図3は、本実施形態に係る内装塗料組成物が、ホワイトパッチの発生を抑制するメカニズムを説明する図である。
図3の(a)に示すように、コンクリート等の内壁1上に、本実施形態に係る内装塗料組成物によって内装塗膜8を形成する。内装塗膜8には、炭酸カルシウム等のカルシウム化合物3が含まれている。また、内壁1で囲まれた空間(生活空間)には、乳酸菌等4が存在している。
図3の(b)に示すように、乳酸菌等4が生成した乳酸5が、内装塗膜8表面に付着することがある。そして、高温多湿環境下において内装塗膜8が膨潤すると、乳酸5が内装塗膜8中に浸透し、内装塗膜8に含まれる炭酸カルシウム等のカルシウム化合物3と反応して、乳酸カルシウムを生成することがある。
しかし、温度および湿度が変化しても、内装塗膜8は一定以上の吸湿率を有するため、内装塗膜8の乾燥を避けることができる。これにより、図3の(c)に示すように、内装塗膜8において生成した乳酸カルシウム5’の結晶化を抑制し、ホワイトパッチ6(乳酸カルシウム結晶)の発生を抑制することができる。このように、内装塗料組成物の配合を調整することにより、ホワイトパッチの発生を抑制することができる。
本実施形態に係る内装塗料組成物によって内装塗膜を形成しても、ホワイトパッチが生じる場合もあるが、その場合であっても、その範囲が縮小しているか、その範囲の拡大速度が低減されているか、または、ホワイトパッチを一度拭き取ってから、再度、ホワイトパッチが発生するまでの期間が長くなっている。
本実施形態に係る内装塗料組成物は、上述したように、一定以上の吸湿率を有するものであればよく、その組成はカルシウム化合物以外は特に限定されないが、公知の塗膜形成性樹脂および顔料を含んでいてもよい。
塗膜形成性樹脂としては、〔実施形態1〕において説明したものと同様のものを用いることができる。顔料としては、特に限定されず、公知の顔料を用いればよく、例えば、炭酸カルシウム等のカルシウム化合物、タルク、クレー、マイカ、パライト等の体質顔料、有機系着色顔料、カーボンブラック、ベンガラ、二酸化チタン等の無機系着色顔料等の着色顔料、シリカ粉末等の艶消し剤等を用いることができる。なお、内装塗料組成物中における顔料体積濃度(PVC)は、20%以上60%以下の範囲であることがより好ましく、30%以上50%以下の範囲であることがさらに好ましい。
また、本実施形態に係る内装塗料組成物は、表面調整剤、防腐剤、防かび剤、消泡剤、光安定剤、酸化防止剤、粘性調整剤、硬化触媒、紫外線吸収剤等の公知の添加物をさらに含有していてもよい。
特に、本実施形態に係る内装塗料組成物は、ポリビニルアルコール、親水性シリカおよびポリエステル樹脂からなる群より選択される何れかを含有していることがより好ましい。内装塗料組成物にこれらの物質を含有させることにより、一定以上の吸湿率を有する内装塗料組成物を好適に実現することができる。
また、当業者であれば、公知の物質のヒドロキシル価または水酸基価を参照することにより、一定以上の吸湿率を有する内装塗料組成物の組成を、公知の物質から適宜選択することができる。
本実施形態に係る内装塗料組成物によって内装塗膜を形成する方法は特に限定されず、例えば、建物の内壁、天井、床等に対して、ローラーを用いて塗布する方法、スプレーにより塗布する方法、刷毛を用いて塗布する方法、各種コータを用いて塗布する方法等、公知の塗布方法を用いることができる。また、塗布後の内装塗料組成物を乾燥させる方法も特に限定されず、公知の方法を用いることができる。
また、本実施形態に係る内装塗料組成物によって形成する内装塗膜の膜厚は特に限定されないが、例えば、乾燥膜厚として、2μm以上100μm以下、より好ましくは10μm以上40μm以下とすることができる。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって何ら限定されない。
〔1.内装用オーバーコート塗料組成物〕
(吸湿率の測定)
実施例1〜11または比較例1もしくは2に係る各内装用オーバーコート塗料組成物を、ドクターブレード(8MIL)を用いてガラス板上に塗布した。各内装用オーバーコート塗料組成物の塗膜を140℃で30分間乾燥させて溶媒を完全に除去した後、当該塗膜が形成されたガラス板の重量を測定した。さらに、上記塗膜が形成されたガラス板を40℃、90%R.H.の環境に1時間静置した後、その重量を測定した。なお、上記塗膜の乾燥膜厚は3μmであった。
内装用オーバーコート塗料組成物を塗布する前のガラス板の重量をAとし、140℃で30分間静置して溶剤を完全に除去して完全に乾燥させた後の上記塗膜が形成されたガラス板の重量をBとし、さらに40℃、90%R.H.の環境に1時間静置した後の上記塗膜が形成されたガラス板の重量をCとして、吸湿率を以下の式により求めた。
吸湿率(%)=(C−B)/(B−A)×100
(ホワイトパッチ発生量の評価)
市販の内装塗料(日本ペイント社製内装用水性塗料「エコフラット(登録商標)70」、グレー色、炭酸カルシウムを10〜15重量%含有、吸湿率0.2%、以降「エコフラット70グレー」と記載)を、ドクターブレード(8MIL)を用いてガラス板上に塗布した。当該内装塗料の塗膜を室温で3時間乾燥させた後、実施例1〜11または比較例1もしくは2に係る各内装用オーバーコート塗料組成物を染込ませたコットンを用いて、上記内装塗料の塗膜全体に対して各内装用オーバーコート塗料組成物を上塗りした。上記内装塗料の塗膜上に形成した各内装用オーバーコート塗料組成物の塗膜を室温で3時間乾燥させた後、乳酸(和光純薬工業社製「乳酸(85.0−92.0%水溶液)」、以降単に「乳酸」と記載)を、各内装用オーバーコート塗料組成物の塗膜全体にスプレーにより塗布した。その後、上記内装塗料および各内装用オーバーコート塗料組成物の塗膜がそれぞれ形成されたガラス板を、40℃90%R.H.の環境に12時間静置し、続いて23℃30%R.H.の環境に12時間静置した後、目視によりホワイトパッチの発生量を確認した。なお、上記内装塗料の塗膜の乾燥膜厚は35μmであり、各内装用オーバーコート塗料組成物の塗膜の乾燥膜厚は何れも3μmであった。
ホワイトパッチ発生量の評価基準としては、全く発生していない状態を「○」とし、塗膜面積の1/4程度に発生している状態を「○△」とし、塗膜面積の1/2程度に発生している状態を「△」とし、塗膜全体に発生している状態を「×」とした。
(実施例1)
ポリビニルアルコール(日本合成化学社製「N型ゴーセノール NM−14」、以降「ポリビニルアルコールA」と記載)を内装用オーバーコート塗料組成物として用いた。吸湿率の測定結果は29.3%であった。ホワイトパッチ発生量の評価結果は「○」であった。
(実施例2)
固形分重量合計を100重量部として、自動車補修用クリヤー塗料(日本ペイント社製「イージス(3:1)グリフィスクリヤー」、吸湿率1.2%、以降単に「自動車補修用クリヤー塗料」と記載):80重量部およびポリビニルアルコールA:20重量部を混合したものを内装用オーバーコート塗料組成物として用いた。吸湿率の測定結果は6.6%であった。ホワイトパッチ発生量の評価結果は「○△」であった。
(実施例3)
固形分重量合計を100重量部として、自動車補修用クリヤー塗料:95重量部およびポリビニルアルコールA:5重量部を混合したものを内装用オーバーコート塗料組成物として用いた。吸湿率の測定結果は3.0%であった。ホワイトパッチ発生量の評価結果は「△」であった。
(実施例4)
ポリビニルアルコール(日本合成化学社製「ニチゴーGポリマー OKS−1109」、以降「ポリビニルアルコールB」と記載)を内装用オーバーコート塗料組成物として用いた。吸湿率の測定結果は28.4%であった。ホワイトパッチ発生量の評価結果は「○」であった。
(実施例5)
固形分重量合計を100重量部として、自動車補修用クリヤー塗料:80重量部およびポリビニルアルコールB:20重量部を混合したものを内装用オーバーコート塗料組成物として用いた。吸湿率の測定結果は5.1%であった。ホワイトパッチ発生量の評価結果は「○△」であった。
(実施例6)
固形分重量合計を100重量部として、自動車補修用クリヤー塗料:95重量部およびポリビニルアルコールB:5重量部を混合したものを内装用オーバーコート塗料組成物として用いた。吸湿率の測定結果は2.8%であった。ホワイトパッチ発生量の評価結果は「△」であった。
(実施例7)
固形分重量合計を100重量部として、自動車補修用クリヤー塗料:95重量部および親水性シリカ(エボニックインダストリーズ社製「親水性ヒュームドシリカ アエロジル200」、以降単に「親水性シリカ」と記載):5重量部を混合したものを内装用オーバーコート塗料組成物として用いた。吸湿率の測定結果は19.8%であった。ホワイトパッチ発生量の評価結果は「○△」であった。
(実施例8)
固形分重量合計を100重量部として、自動車補修用クリヤー塗料:98重量部および親水性シリカ:2重量部を混合したものを内装用オーバーコート塗料組成物として用いた。吸湿率の測定結果は5.0%であった。ホワイトパッチ発生量の評価結果は「○△」であった。
(実施例9)
ポリエステル樹脂(ペルストルプ アー・ベー社製ポリエステルポリオールデンドリマー「BOLTORN H4001」、以降「ポリエステル樹脂A」と記載)を内装用オーバーコート塗料組成物として用いた。吸湿率の測定結果は6.8%であった。ホワイトパッチ発生量の評価結果は「○△」であった。
(実施例10)
固形分重量合計を100重量部として、自動車補修用クリヤー塗料:80重量部およびポリエステル樹脂A:20重量部を混合したものを内装用オーバーコート塗料組成物として用いた。吸湿率の測定結果は3.9%であった。ホワイトパッチ発生量の評価結果は「○△」であった。
(実施例11)
固形分重量合計を100重量部として、自動車補修用クリヤー塗料:95重量部およびポリエステル樹脂A:5重量部を混合したものを内装用オーバーコート塗料組成物として用いた。吸湿率の測定結果は2.1%であった。ホワイトパッチ発生量の評価結果は「△」であった。
(比較例1)
内装用オーバーコート塗料組成物を内装塗料の塗膜上に塗布せずに、ホワイトパッチの評価を行った。ホワイトパッチ発生量の評価結果は「×」であった。
(比較例2)
自動車補修用クリヤー塗料を内装用オーバーコート塗料組成物として用いた。吸湿率の測定結果は1.2%であった。ホワイトパッチ発生量の評価結果は「×」であった。
(まとめ)
以上の結果を以下の表1にまとめる。
Figure 2016017166
〔2.内装塗料組成物〕
(吸湿率の測定)
ガラス板に対し、上記内装用オーバーコート塗料組成物の替りに、実施例12〜19または比較例3に係る内装塗料組成物を塗布したこと以外は、〔1.〕と同様に吸湿率を測定した。なお、内装塗料組成物の塗膜の乾燥膜厚は35μmであった。
(ホワイトパッチ発生量の評価)
実施例12〜19または比較例3に係る各内装塗料組成物を、ドクターブレード(8MIL)を用いてガラス板上に塗布した。各内装塗料組成物の塗膜を室温で3時間乾燥させた後、乳酸を各内装塗料組成物の塗膜全体にスプレーにより塗布した。その後、各内装塗料組成物の塗膜が形成されたガラス板を、40℃90%R.H.の環境に12時間静置し、続いて23℃30%R.Hの環境に12時間静置した後、目視によりホワイトパッチの発生量を確認した。なお、各内装塗料組成物の塗膜の乾燥膜厚は何れも35μmであった。ホワイトパッチ発生量の評価基準としては、〔1.〕と同じ基準を用いた。
(実施例12)
固形分重量合計を100重量部として、エコフラット70グレー:80重量部およびポリビニルアルコールA:20重量部を混合したものを内装塗料組成物として用いた。吸湿率の測定結果は5.3%であった。ホワイトパッチ発生量の評価結果は「○△」であった。
(実施例13)
固形分重量合計を100重量部として、エコフラット70グレー:95重量部およびポリビニルアルコールA:5重量部を混合したものを内装塗料組成物として用いた。吸湿率の測定結果は2.9%であった。ホワイトパッチ発生量の評価結果は「△」であった。
(実施例14)
固形分重量合計を100重量部として、エコフラット70グレー:80重量部およびポリビニルアルコールB:20重量部を混合したものを内装塗料組成物として用いた。吸湿率の測定結果は3.8%であった。ホワイトパッチ発生量の評価結果は「○△」であった。
(実施例15)
固形分重量合計を100重量部として、エコフラット70グレー:95重量部およびポリビニルアルコールB:5重量部を混合したものを内装塗料組成物として用いた。吸湿率の測定結果は2.1%であった。ホワイトパッチ発生量の評価結果は「△」であった。
(実施例16)
固形分重量合計を100重量部として、エコフラット70グレー:95重量部および親水性シリカ:5重量部を混合したものを内装塗料組成物として用いた。吸湿率の測定結果は14.0%であった。ホワイトパッチ発生量の評価結果は「○△」であった。
(実施例17)
固形分重量合計を100重量部として、エコフラット70グレー:98重量部および親水性シリカ:2重量部を混合したものを内装塗料組成物として用いた。吸湿率の測定結果は4.0%であった。ホワイトパッチ発生量の評価結果は「○△」であった。
(実施例18)
固形分重量合計を100重量部として、エコフラット70グレー:80重量部およびポリエステル樹脂A:20重量部を混合したものを内装塗料組成物として用いた。吸湿率の測定結果は3.5%であった。ホワイトパッチ発生量の評価結果は「△」であった。
(実施例19)
固形分重量合計を100重量部として、エコフラット70グレー:95重量部およびポリエステル樹脂A:5重量部を混合したものを内装塗料組成物として用いた。吸湿率の測定結果は2.0%であった。ホワイトパッチ発生量の評価結果は「△」であった。
(比較例3)
エコフラット70グレーを内装塗料組成物として用いた。吸湿率の測定結果は0.2%であった。ホワイトパッチ発生量の評価結果は「×」であった。
(まとめ)
以上の結果を以下の表2にまとめる。
Figure 2016017166
本発明は、内装塗装分野に利用することができる。
1 内壁
2 内装塗膜
3 カルシウム化合物
4 乳酸菌等
5 乳酸
5’ 乳酸カルシウム
6 ホワイトパッチ(乳酸カルシウム結晶)
7 オーバーコート
8 内装塗膜

Claims (9)

  1. 内装塗膜に上塗りするための内装用オーバーコート塗料組成物であって、
    40℃90%R.H.の環境に1時間静置したときの吸湿率が2.0%以上であることを特徴とする内装用オーバーコート塗料組成物。
  2. ポリビニルアルコール、親水性シリカおよびポリエステル樹脂からなる群より選択される少なくとも一つの物質を含有していることを特徴とする請求項1に記載の内装用オーバーコート塗料組成物。
  3. 上記吸湿率が3.8%以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の内装用オーバーコート塗料組成物。
  4. 上塗り対象である上記内装塗膜が、カルシウム化合物を含有する内装塗膜であることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の内装用オーバーコート塗料組成物。
  5. 上記内装塗膜に上塗りすることにより、当該内装塗膜において生成した乳酸カルシウムの結晶化を抑制する乳酸カルシウム結晶化抑制膜を形成する乳酸カルシウム結晶化抑制膜形成組成物であることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の内装用オーバーコート塗料組成物。
  6. カルシウム化合物を含有する内装塗料組成物であって、
    40℃90%R.H.の環境に1時間静置したときの吸湿率が2.0%以上であることを特徴とする内装塗料組成物。
  7. ポリビニルアルコール、親水性シリカおよびポリエステル樹脂からなる群より選択される少なくとも一つの物質をさらに含有していることを特徴とする請求項6に記載の内装塗料組成物。
  8. 上記吸湿率が3.8%以上であることを特徴とする請求項6または7に記載の内装塗料組成物。
  9. 上記内装塗料組成物が形成する内装塗膜において生成した乳酸カルシウムの結晶化が抑制されるものであることを特徴とする請求項6〜8の何れか一項に記載の内装塗料組成物。
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