JP7307557B2 - 水性被覆材 - Google Patents

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本発明は、新規な水性被覆材に関するものである。
従来、建築物や土木構造物等の躯体として用いられているコンクリート、セメントモルタル等の無機多孔質基材に、止水性能を付与し、耐久性を向上させる方法として、シラン系化合物を主成分とする溶剤系の浸透性吸水防止剤を塗付する方法が広く用いられている。しかし近年、周辺環境や作業衛生への配慮から、このような材料においても水性化の要望が高まりつつある。
このような水性系の材料として、例えば、特許文献1には、カチオン性単量体、アルコキシシラン単量体、及びエチレン性不飽和単量体を主成分とする共重合体を含むプライマー用水性液が記載されている。この水性液は、架橋反応を生じて、止水性被膜を形成するものであり、高濃度でかつ低粘度の樹脂液とすることにより、基材浸透性、基材補強性、耐水性を高めることが記載されている。
特開平6-1680号公報
しかしながら、上記特許文献1のような水性液が無機多孔質基材に含浸する過程において、基材の表層で、水性液がゲル化(硬化)し、基材内部まで十分に水性液成分が含浸されず、十分な止水性効果が得られない場合があった。また、含浸されずに基材表面に残った水性液成分によって、ムラを生じ、止水性能、美観性にも悪影響を及ぼす場合があった。また、含浸性を高めるために湿潤剤や浸透剤等添加した場合、水溶液中の水媒体は基材内に含浸しやすくなるが、止水被膜を形成する樹脂成分は十分に含浸されず、所望の性能を得ることができない場合があった。
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、無機多孔質基材に対して、十分な浸透性、及び止水性能を発揮し、均一な仕上がりを得ることができる水性被覆材を得ることを目的とする。
本発明者らは、このような問題に対し鋭意検討した結果、特定の合成樹脂エマルション(A)、及び水溶性シラン化合物(B)を特定重量比率で含む水性被覆材を見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、下記の特徴を有するものである。
1. 無機多孔質基材用の水性被覆材であって、
合成樹脂エマルション(A)、及び水溶性シラン化合物(B)を含み、pHが1.5~5.3であり、
上記合成樹脂エマルション(A)は、平均粒子径が100nm以下、pHが2以上5.1以下であり、
上記合成樹脂エマルション(A)の樹脂固形分100重量部に対し、上記水溶性シラン化合物(B)を0.1~20重量部含有し、
前記水性被覆材は、コロイダルシリカを含有しないことを特徴とする水性被覆材。
2.上記水溶性シラン化合物(B)は、1重量%水溶液のpHが7未満であることを特徴とする1.に記載の水性被覆材。
3.上記水溶性シラン化合物(B)は、エポキシ基含有シラン化合物であることを特徴とする1.または2.に記載の水性被覆材。
4.JIS K 5601-1-2(加熱温度105℃、加熱時間60分)の方法で測定された加熱残分が2~30重量%であることを特徴とする1.~3.のいずれかに記載の水性被覆材。
本発明の水性被覆材は、無機多孔質基材に対して、十分な浸透性、及び止水性能を発揮し、均一な仕上がりを得ることができるものである。
本発明の水性被覆材は、無機多孔質基材用の水性被覆材であり、合成樹脂エマルション(A)、及び水溶性シラン化合物(B)を含有するものである。
本発明の合成樹脂エマルション(A)としては、
(1)平均粒子径が100nm以下(好ましくは10nm以上90nm以下)、
(2)pHが2以上6以下(好ましくは2.5以上5以下)、
であることを特徴とする。
合成樹脂エマルション(A)の樹脂粒子の平均粒子径が、上記(1)の範囲であることにより、無機多孔質基材に対し、優れた浸透性、補強性、密着性を発揮することができる。これにより、優れた止水性能を発揮することができる。一方、樹脂粒子の平均粒子径が上記(1)範囲を超える場合には、浸透性、補強性の低下により、十分な止水性能が得られない場合がある。なお、本発明において、樹脂粒子の平均粒子径は、動的光散乱法によって測定される値である。具体的には、動的光散乱測定装置(「LB‐550」株式会社堀場製作所製)等を用いて測定することができる。(測定温度は25℃。)
また、合成樹脂エマルション(A)のpHが、上記(2)の範囲であることにより、無機多孔質基材に対し、優れた浸透性、補強性、密着性を発揮することができる。これにより、優れた止水性能を発揮することができる。その作用機構は明らかではないが、無機多孔質基材の表面は一部を除きアルカリ性となっており、アルカリ環境下で被膜形成することにより、無機基材と強固に密着することができると考えられる。
このような合成樹脂エマルション(A)としては、特に限定されないが、アクリル樹脂エマルションが好ましく、さらにはアクリルシリコン樹脂エマルションであることが好ましい。この場合、無機多孔質基材と良好な密着性を得ることができる。
さらに、本発明の合成樹脂エマルション(A)として、上記(1)(2)を満たすカチオン性アクリル樹脂エマルションを含むことが好ましい。このようなカチオン性アクリル樹脂エマルションとしては、構成モノマーとして、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、カチオン性モノマーを必須成分として重合した重合体の水分散体が好ましい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、樹脂骨格の主成分となるものである。なお、本発明では、アクリル酸アルキルエステルとメタクリル酸アルキルエステルを合わせて、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと表記している。また、モノマーとは、重合性不飽和二重結合を有する化合物の総称である。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルの具体例としては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、n-アミル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは1種または2種以上で使用することができる。
カチオン性モノマーとしては、不飽和二重結合を持ったカチオン性モノマーであれば特に限定はされないが、例えば、カチオン性(メタ)アクリルアミド系モノマー、カチオン性マレイン酸アミド系モノマー、カチオン性ピリジン系モノマー等が挙げられる。これらは1種または2種以上で使用することができる。
具体的に、
カチオン性(メタ)アクリルアミド系モノマーとしては、例えば、3-アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、2-(メタ)アクリルアミドエチルトリメチルアンモニウムメトサルフェート、2-(メタ)アクリルアミドエチルトリメチルアンモニウムメトサルフェート等の(メタ)アクリルアミドトリアルキルアンモニウム塩;
3-(メタ)アクリルアミド-2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、3-(メタ)アクリルアミド-2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムメトサルフェート、3-(メタ)アクリルアミド-2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド等の(メタ)アクリルアミドヒドロキシアルキルトリアルキルアンモニウム塩;
2-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド塩酸塩、2-ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド硫酸塩、2-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド塩酸塩等のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド塩;
3-ジメチルアミド-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド塩酸塩、3-ジエチルアミノ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド硫酸塩等のジアルキルアミノヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド塩;
等が挙げられる。
カチオン性マレイン酸アミド系モノマーとしては、例えば、マレイン酸(N,N-ジメチルプロピレンジアミンモノアミド)塩等が挙げられる。このようなカチオン性モノマーを含むことにより、無機多孔質基材に対し、高い密着性を発揮することができる。
さらに、本発明の合成樹脂エマルション(A)として、上記(1)(2)を満たすカチオン性アクリルシリコン樹脂エマルションが好適である。カチオン性アクリルシリコン樹脂エマルションとしては、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、上記カチオン性モノマー、及びアルコキシシランモノマーを必須成分として重合した重合体の水分散体が好ましい。
アルコキシシランモノマーとしては、重合性二重結合と共に、加水分解し得るアルコキシ基を有するものが好ましく、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β-メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルトリス(β-メトキシエトキシ)シラン等を挙げることができる。これらは1種または2種以上で使用することができる。
本発明では、合成樹脂エマルション(A)を構成する成分として上記モノマーの他に、例えば、芳香族モノマー、ビニルエステル系モノマー、アクリロニトリル系モノマー等を加えてもよい。
芳香族モノマーとしては、例えば、スチレン、2-メチルスチレン、ビニルトルエン、t-ブチルスチレン、クロルスチレン、ビニルアニソール、ビニルナフタレン、ジビニルベンゼン、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ビニルエステル系モノマーとしては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、バーサチック酸ビニルなどが挙げられる。
アクリルニトリル系モノマーとしては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられる。これらは、1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
合成樹脂エマルション(A)の重合方法は特に限定されず、例えば、重合開始剤、重合触媒、還元剤、界面活性剤、pH調整剤等が使用でき、バッチ方式、注入方式など公知の方法により重合することが可能である。この際の重合温度も適宜選択できる。
合成樹脂エマルション(A)の樹脂固形分は、好ましくは1~50重量%(より好ましくは5~40重量%)である。合成樹脂エマルション(A)は媒体として水を含むが、水溶性溶剤等を含むこともできる。また、合成樹脂エマルション(A)の最低造膜温度及び/またはガラス転移温度は、好ましくは5℃以下(さらに好ましくは0℃以下)である。このような最低造膜温度及び/またはガラス転移温度を有する(A)成分を採用することにより、造膜助剤等の使用量を削減することが可能となる。
本発明の水性被覆材は、水溶性シラン化合物(B)を必須成分として含むことを特徴とする。水溶性シラン化合物(B)を含むことにより、上記合成樹脂エマルション(A)の浸透性がよりいっそう高まり、無機多孔質基材内部で被膜を形成するとともに、無機多孔質基材表面に均一な被膜を形成することができる。このため、よりいっそう優れた止水性能を発揮するとともに、美観性に優れた仕上がりを得ることができる。特に、低温環境下において、無機多孔質基材内部まで十分な被膜を形成することができ、十分な止水性を得ることができる。この作用機構としては限定されるものではないが、一般的に、低温環境下においては、水性被覆材の粘度上昇は大きくなる傾向にあり、このため水性被覆材は、無機多孔質基材内部まで浸透しにくくなる。これに対して、本発明の水性被覆材は、水溶性シラン化合物(B)の作用により水性被覆材が低粘度化されるため、上記合成樹脂エマルション(A)の含浸性を高めることができ、その結果、無機多孔質基材内部において十分な被膜を形成することができる。上記作用により十分な浸透性を発揮し、無機多孔質基材内部で被膜を形成するとともに、無機多孔質基材表面に均一な被膜を形成することができる。なお、本発明における水溶性シラン化合物とは、水に溶解するものであればよく、好ましくは1重量%シラン水溶液を作製できるものが好ましい。この1重量%シラン水溶液作製時には、必要に応じてpHを調整してもよい。
水溶性シラン化合物(B)としては、例えば、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシ基含有シラン化合物;3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノ基含有シラン化合物;3-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン等の(メタ)アクリル基含有シラン化合物;その他、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、及び3-イソシアネートプロピルエトキシシラン等が挙げられる。これらは1種または2種以上で使用することができる。
さらに、上記水溶性シラン化合物(B)は、1重量%シラン水溶液のpHが、7未満(より好ましくは1以上6.5以下、さらに好ましくは1.5以上6以下)であることが好ましい。(すなわち、pH7未満(より好ましくは1以上6.5以下、さらに好ましくは1.5以上6以下)の水への溶解度が、少なくとも1g/100g以上であることが好ましい。)このような場合、水性被覆材の安定性を高め(ゲル化等を抑制)、本発明の効果をよりいっそう高めることができる。本発明では、水溶性シラン化合物(B)として、エポキシ基含有シラン化合物が好適である。なお、1重量%シラン水溶液のpHとは、1重量%シラン水溶液を作製した場合のpHを測定したものである。
上記水溶性シラン化合物(B)は、上記合成樹脂エマルション(A)の樹脂固形分100重量部に対し、0.1~20重量部(好ましくは0.3~15重量部、より好ましくは0.5~10重量部)を含有する。これにより、水性被覆材が、無機多孔質基材に対して、十分な浸透性を有し、止水性能に優れた、均一な仕上がりの被膜を形成することができる。
本発明の水性被覆材は、pHが1.5~7(より好ましくは2~6.5)であることが好ましい。また、その加熱残分が好ましくは2~30重量%(より好ましくは5~20重量%)であり、イワタカップNK-2による粘度が20sec以下(より好ましくは15sec以下)(温度23℃)である。このような場合、無機多孔質基材に対して、十分な浸透性、及び止水性能を付与し、均一な仕上がりを得ることができる。なお、水性被覆材の加熱残分は、JIS K 5601-1-2の方法にて測定された値であり、加熱温度は105℃、加熱時間は60分)である。
本発明の水性被覆材の製造方法としては、特に限定されず、上記合成樹脂エマルション(A)、上記水溶性シラン化合物(B)を常法により混合すればよく、混合時には攪拌することもできる。本発明の水性被覆材は、水溶性シラン化合物(B)が水に溶解した態様であることが好ましく、水溶性シラン化合物(B)が乳化されていない状態で合成樹脂エマルション(A)と混合することが好ましい。
本発明の水性被覆材には、造膜助剤(C)を含むことが好ましい。これにより、無機多孔質基材内部での被膜形成性を十分に発揮することができる。造膜助剤(C)は、上記合成樹脂エマルション(A)の樹脂固形分100重量部に対し、好ましくは10重量部以下(より好ましくは0.5~5重量部)である。造膜助剤(C)の混合量が上記範囲内である場合であっても、水性被覆材が無機多孔質基材内部まで浸透し被膜が形成されるため、止水性能を十分に発揮できる。一般的に、造膜助剤を含む合成樹脂エマルションは膨潤して、水性被覆材の粘度が上昇する。しかし、本発明では上記水溶性シラン化合物(B)の作用により水性被覆材が低粘度化されるため、造膜助剤(C)の使用量が上記範囲の場合であっても、その効果を十分に発揮させることができる。
造膜助剤(C)としては、非水溶性、難溶性、水溶性等のいずれも使用でき、特には限定されないが、例えば、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールモノイソブチレート、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールジイソブチレート、ベンジルアルコール等が挙げられる。好ましくは、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル等である。これらは1種または2種以上で使用することができる。
本発明の水性被覆材には、上述の成分の他、必要に応じ着色顔料、体質顔料、防錆顔料、pH調整剤、可塑剤、防腐剤、防黴剤、防藻剤、消泡剤、レベリング剤、顔料分散剤、沈降防止剤、たれ防止剤、艶消し剤、触媒、架橋剤、硬化促進剤、紫外線吸収剤、光安定化剤等を、本発明の効果が阻害されない範囲内で混合することができる。
(無機多孔質基材)
本発明の無機多孔質基材としては、例えば、打ち放し面、不燃ボード、トンネル内装板、床面、床材等に使用されているものであり、例えば、モルタル、コンクリート、石膏ボード、サイディングボード、押出成形板、スレート板、繊維混入セメント板、ケイ酸カルシウム板、ALC板、等が挙げられる。
このような無機多孔質基材に、上述の水性被覆材を塗付した場合、十分な浸透性を有し、無機多孔質基材へ止水性能を付与するとともに、ムラ等を生じることなく美観性に優れた仕上がりが得られる。
水性被覆材の塗装においては、例えば、刷毛塗装、ローラー塗装、スプレー塗装等の種々の方法を採用することができる。また、工場内で塗装する場合は、上記以外にもロールコーター、フローコーター等を用いて塗装することもできる。
水性被覆材の塗付け量については、好ましくは0.01~0.5kg/m(より好ましくは0.05~0.3kg/m)程度である。水性被覆材の塗回数は、下地の状態によって適宜設定すればよいが、好ましくは1~2回である。水性被覆材の乾燥時間は、好ましくは1時間以上とすればよい。また乾燥温度は、好ましくは0℃以上50℃以下、より好ましくは5℃以上40℃以下であればよい。
本発明の水性被覆材により形成された塗膜は、多種多様な上塗材に対し優れた密着性を有している。上塗材としては、一般的に建築物や土木構造物の塗装に使用されるものであれば特に限定されるものではない。
上塗材の塗装方法としては、特に限定されず公知の方法で塗装することができるが、例えば、刷毛塗り、スプレー塗装、ローラー塗装、ロールコーター、フローコーター等種々の方法により塗装することができる。即ち、それぞれの上塗材に最適な塗装仕様で、通常の工程に基づいて、各上塗材を塗装すればよい。
以下に実施例及び比較例を示して、本発明の特徴をより明確にする。
(水性被覆材1~15の製造)
表1に示す配合に従い、(A)成分、(B)成分、および添加剤、水を常法により混合し水性被覆材1~15を得た。
なお、原料としては以下のものを使用した。
・(A1)アクリル樹脂エマルション(固形分:40重量%、平均粒子径:70nm、pH:5.1)
・(A2)カチオン性アクリル樹脂エマルション(固形分:30重量%、平均粒子径:60nm、pH:3.7)
・(A3)カチオン性アクリルシリコン樹脂エマルション(固形分:30重量%、平均粒子径:40nnm、pH:3.5)
・(A4)アクリル樹脂エマルション(固形分:40重量%、平均粒子径:125nm、pH:4.0)
・(A5)アクリル樹脂エマルション(固形分:40重量%、平均粒子径:70nm、pH:8.7)
・(B1)3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(有効成分:100重量%、水溶性:1重量%水溶液のpH5.3)
・(B2)3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(有効成分:100重量%、水溶性:1重量%水溶液のpH4.0)
・(B3)2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(有効成分:100重量%、水溶性:1重量%水溶液のpH4.0)
・(B4)N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン(有効成分:100重量%、水溶性:1重量%水溶液のpH4.0)
・(B5)3-アミノプロピルトリメトキシシラン(有効成分:100重量%、水溶性:1重量%水溶液のpH10)
・(B6)P-スチリルトリメトキシシラン(有効成分:100重量%、水不溶性)
・(B7)プロピルトリメトキシシランの乳化液(有効成分:30重量%、界面活性剤を含む。)
・添加剤1:プロピレングリコールモノブチルエーテル
・添加剤2:消泡剤、増粘剤、等
(実施例I-1~I-10、比較例I-1~I-5)
水性被覆材1~15について、試験体[I]を作製し、それぞれ以下の評価を実施した。結果は表1に示す。
<試験体[I]の作製>
無機多孔質基材(スレート板:L100×W100×T3mm)に、水性被覆材を塗付け量0.1kg/mで刷毛塗りし、常温(25℃)で24時間養生したものを試験体[I]とした。
<浸透性及び美観性評価>
上記試験体[I]表面の状態について、目視により、水性被覆材の浸透性、及び美観性(外観)を評価した。評価基準は、以下の通りである。
A:浸透性良好であり、ムラのない仕上がり。
B:浸透性おおむね良好であるが、部分的にムラが発生。
C:基材表面(全面)に被膜が形成され、浸透性不十分である。
D:基材表面の被膜にクラック等を生じ、浸透性不十分である。
<止水性評価>
上記試験体[I]に対し、霧吹きで水を散布し、水の浸透性を評価した。評価基準は、以
下の通りである。
A:水の浸透がない(濡れ色にならない)。
B:水が部分的に浸透する(部分的に濡れ色になる)。
C:水が基材に浸透する(ほぼ全面が濡れ色になる)。
D:水が基材に浸透する(全面が濡れ色になる)。
Figure 0007307557000001

(実施例II-1~II-10)
水性被覆材1~10について、それぞれ以下の試験体[II]を作成し、同様の評価を実施した。結果は表2に示す。
<試験体[II]の作製>
無機多孔質基材(スレート板:L100×W100×T3mm)に、水性被覆材を塗付け量0.1kg/mで刷毛塗りし、低温(5℃)で24時間養生したものを試験体[II]とした。
Figure 0007307557000002


Claims (4)

  1. 無機多孔質基材用の水性被覆材であって、
    合成樹脂エマルション(A)、及び水溶性シラン化合物(B)を含み、pHが1.5~5.3であり、
    上記合成樹脂エマルション(A)は、平均粒子径が100nm以下、pHが2以上5.1以下であり、
    上記合成樹脂エマルション(A)の樹脂固形分100重量部に対し、上記水溶性シラン化合物(B)を0.1~20重量部含有し、
    前記水性被覆材は、コロイダルシリカを含有しないことを特徴とする水性被覆材。
  2. 上記水溶性シラン化合物(B)は、1重量%水溶液のpHが7未満であることを特徴とする請求項1に記載の水性被覆材。
  3. 上記水溶性シラン化合物(B)は、エポキシ基含有シラン化合物であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の水性被覆材。
  4. JIS K 5601-1-2(加熱温度105℃、加熱時間60分)の方法で測定された加熱残分が2~30重量%であることを特徴とする請求項1~請求項3のいずれかに記載の水性被覆材。

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