JP2016017129A - 樹脂組成物、該樹脂組成物を含むフィルム、並びに該フィルムを用いた偏光子保護フィルム、偏光板及び画像表示装置 - Google Patents

樹脂組成物、該樹脂組成物を含むフィルム、並びに該フィルムを用いた偏光子保護フィルム、偏光板及び画像表示装置 Download PDF

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【課題】光弾性係数が小さく、透明性、耐熱性及び可とう性のバランスに優れた光学フィルム、該フィルムを提供する樹脂組成物、並びに該フィルムを用いた偏光子保護フィルム、偏光板及び画像表示装置を提供することを課題とする。【解決手段】主鎖に環構造を含有するアクリル樹脂とセルロースエステルを含有する樹脂組成物であって、前記環構造が、N上の置換基がC3−C12のシクロアルキル基である置換マレイミド単量体に由来する構成単位であり、前記アクリル樹脂の重量平均分子量(Mw)が12万以上であることを特徴とする樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、主鎖に環構造を含有するアクリル樹脂とセルロースエステルを含有する樹脂組成物、該樹脂組成物を含む光学フィルム、並びに該フィルムを用いた偏光子保護フィルム、偏光板及び画像表示装置に関する。
セルロースエステル樹脂は、偏光子に用いられるポリビニルアルコール(PVA)との貼合性やハンドリング性、透明性に優れるため、画像表示装置用光学フィルムへの応用が進められている。しかしながら、セルロースエステル樹脂は光弾性係数が高い等の課題があった。
従来、セルロースエステル樹脂の光弾性係数を低減する手法として、セルロースエステル樹脂にアクリル樹脂をブレンドする手法が提案されている。
特許文献1には、ヘイズ値が1%未満であり、張力軟化点が100〜145℃であり、面内レタデーションRoが一定範囲であるアクリル樹脂と、セルロース樹脂とを含有するフィルムが開示されている。
しかし、これらの従来技術では、セルロースエステル樹脂とアクリル樹脂との相溶性が良くないことに起因し、これらの樹脂をブレンド後の樹脂及びそのフィルムの透明性が悪くなることがあるという問題があった。また、これらの樹脂が高分子量のものである場合は、相溶性が特に悪くなるという問題があった。
さらに、これらの従来技術では、上記透明性と、ブレンド後の樹脂を用いたフィルムの耐熱性、可とう性の要求物性を同時に満たすことはできなかった。
特開2009−179731号公報
本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであって、光弾性係数が小さく、透明性、耐熱性及び可とう性のバランスに優れた光学フィルム、該フィルムを提供する樹脂組成物、並びに該フィルムを用いた偏光子保護フィルム、偏光板及び画像表示装置を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、主鎖に環構造を含有するアクリル樹脂とセルロースエステルを含有する樹脂組成物の、前記環構造が、N上の置換基がC3−C12のシクロアルキル基である置換マレイミド単量体に由来する構成単位であり、前記アクリル樹脂の重量平均分子量(Mw)が12万以上であることによって、該樹脂組成物を用いた光学フィルムは光弾性係数が小さく、透明性、耐熱性及び可とう性のバランスに優れたものとなることを見出した。
本発明者らは、上記以外にも下記するように種々の新知見を得て、さらに鋭意検討を重ねて本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、以下の樹脂組成物等に関する。
[1]主鎖に環構造を含有するアクリル樹脂とセルロースエステルを含有する樹脂組成物であって、前記環構造が、N上の置換基がC3−C12のシクロアルキル基である置換マレイミド単量体に由来する構成単位であり、前記アクリル樹脂の重量平均分子量(Mw)が12万以上であることを特徴とする樹脂組成物。
[2]前記樹脂組成物のガラス転移温度が120℃以上であることを特徴とする前記[1]に記載の樹脂組成物。
[3]前記[1]又は[2]のいずれかに記載の樹脂組成物を含むことを特徴とする光学フィルム。
[4]前記[3]に記載の光学フィルムが用いられていることを特徴とする偏光子保護フィルム。
[5]前記[4]に記載の光学フィルムを有することを特徴とする偏光板。
[6]前記[5]に記載の偏光板を有することを特徴とする画像表示装置。
本発明の樹脂組成物は、アクリル樹脂が高分子量でありながら、セルロースエステル樹脂とアクリル樹脂の相溶性に優れるため、高い透明性を有することができ、該樹脂組成物を用いた光学フィルムも高い透明性を有することができる。
また、本発明によれば、光弾性係数が小さく、透明性、耐熱性及び可とう性のバランスに優れた光学フィルムを得ることができる。
さらに、本発明の樹脂組成物は、含有されるアクリル樹脂が高分子量であるため、該樹脂組成物を用いた本発明の光学フィルムは、強度が高く、ハンドリング性に優れたものとなる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の樹脂組成物は、主鎖に環構造を含有するアクリル樹脂(以下、アクリル樹脂ともいう)とセルロースエステルを含有する樹脂組成物であって、前記環構造が、N上の置換基がC3−C12のシクロアルキル基である置換マレイミド単量体に由来する構成単位であり、前記アクリル樹脂のMwが12万以上であることを特徴とする。
[主鎖に環構造を含有するアクリル樹脂]
本発明に使用される主鎖に環構造を含有するアクリル樹脂は、主鎖に含有される環構造が、N上の置換基がC3−C12のシクロアルキル基である置換マレイミド単量体に由来する構成単位のものであれば特に限定されないが、例えば、主鎖に、(メタ)アクリル酸エステル単量体由来の構成単位(以下、(メタ)アクリル酸エステル単位ともいう)を含むことが好ましい。
(メタ)アクリル酸エステル単位は、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニルオキシエチル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸クロロメチル、(メタ)アクリル酸2−クロロエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸2,3,4,5−テトラヒドロキシペンチル等の単量体に由来する構成単位等が挙げられる。これらの構成単位は1種又は2種以上が含まれていてよい。
(メタ)アクリル酸エステル単位は、好ましくは、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、アクリル酸ジシクロペンタニル、メタクリル酸ジシクロペンタニル等の、より好ましくは、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸ジシクロペンタニル等の単量体に由来する構成単位である。この場合、アクリル樹脂とセルロースエステルを含有する本発明の樹脂組成物及び該樹脂組成物を成形して得られるフィルム等の成形品の耐熱性が向上する。
主鎖に環構造を含有するアクリル樹脂は、前記(メタ)アクリル酸エステル単位以外の構成単位を含有していてもよい。
(メタ)アクリル酸エステル単位以外の構成単位としては、特に限定されないが、例えば、スチレン、ビニルトルエン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、メチルビニルケトン、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾール等の単量体に由来する構成単位等が挙げられる。これらの構成単位は1種又は2種以上が含まれていてよい。
本発明に使用される主鎖に環構造を含有するアクリル樹脂は、主鎖に含有される環構造が、通常は、N上の置換基がC3−C12のシクロアルキル基である置換マレイミド単量体に由来する構成単位である。該置換マレイミドは、例えば、N−シクロプロピルマレイミド、N−シクロブチルマレイミド、N−シクロペンチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−シクロヘプチルマレイミド、N−シクロオクチルマレイミド等が挙げられ、好ましくは、N−シクロヘキシルマレイミド、N−シクロオクチルマレイミド等である。これらは、1種又は2種以上が含有されていてよい。
アクリル樹脂の主鎖にこれら環構造が含有されることにより、アクリル樹脂のガラス転移温度(Tg)が高くなる。アクリル樹脂のTgを高くすることで、本発明の樹脂組成物及び該樹脂組成物を成形して得られるフィルムの耐熱性を高くすることができる。また、アクリル樹脂の主鎖に前記環構造が含有されることにより、アクリル樹脂が高分子量でありながらセルロース樹脂との相溶性に優れるため、高透明、高強度で耐ブリードアウト性に優れる樹脂組成物とすることができる。
本発明に使用される主鎖に環構造を含有するアクリル樹脂において、該アクリル樹脂の主鎖に含有される環構造の割合は、特に限定されないが、アクリル樹脂全量に対して、7質量%以上30質量%以下であることが好ましく、7質量%以上25質量%以下がより好ましく、10質量%以上20質量%以下がさらに好ましい。これらの範囲のとき、アクリル樹脂とセルロースエステルを含有する本発明の樹脂組成物を成形して得られるフィルム等の成形品の透明性、耐熱性及び強度が向上する。
本発明に使用される主鎖に環構造を含有するアクリル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが、通常は12万以上であり、好ましくは12万以上100万以下であり、より好ましくは8万以上80万以下である。これらの範囲のとき、アクリル樹脂とセルロースエステルを含有する本発明の樹脂組成物を成形して得られるフィルム等の成形品の透明性、耐熱性、強度及び耐ブリードアウト性が向上する。
また、アクリル樹脂の分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は、3.5以下が好ましく、3以下がより好ましい。この場合、成形品の透明性、耐熱性及び強度を高いレベルで維持したまま、低分子量物によるブリードアウトがより抑制され、成形品の外観が改善される。
尚、Mw及び分散度は、後述の実施例に記載の方法を用いて、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によりポリスチレン換算で算出した値である。
本発明に使用される主鎖に環構造を含有するアクリル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、特に限定されないが、好ましくは120℃以上170℃以下であり、より好ましくは122℃以上150℃以下である。これらの範囲であれば、本発明の樹脂組成物の耐熱性が十分に高くなり、また樹脂組成物を成形して得られるフィルム等の成形品の可とう性が確保されやすいために好ましい。尚、Tgは、後述の実施例に記載の方法により評価した値である。
また、本発明に使用される主鎖に環構造を含有するアクリル樹脂は、熱可塑性であることが好ましい。熱可塑性であれば、ペレット化等も含めた樹脂の溶融成形が可能となり、成形性が向上する。
[主鎖に環構造を含有するアクリル樹脂の製造方法]
本発明に使用される主鎖に環構造を含有するアクリル樹脂の製造方法は、特に限定されず、従来公知のアクリル樹脂の製造方法に従ってよい。
環構造が置換マレイミド構造であるアクリル樹脂は、例えば、特開2007−31537号公報に記載の方法に従って製造することができる。
本発明に使用される主鎖に環構造を含有するアクリル樹脂の製造方法としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル及びN上の置換基がC3−C12のシクロアルキル基である置換マレイミドを含む単量体組成物をラジカル重合する方法が好ましい。ラジカル重合方法は、特に限定されないが、例えば、溶液重合、乳化重合、懸濁重合等の従来公知の方法を使用することができ、好ましくは、溶液重合である。
前記重合工程における単量体組成物中の(メタ)アクリル酸エステルの含有割合は、特に限定されないが、単量体組成物全量に対して、好ましくは30〜93質量%であり、より好ましくは50〜90質量%であり、さらに好ましくは60〜90質量%であり、特に好ましくは65〜85質量%である。(メタ)アクリル酸エステルの含有割合が30質量%未満であると、得られたアクリル樹脂の光学的特性が劣ることがある。また、(メタ)アクリル酸エステルの含有割合が93質量%を超えると、得られたアクリル樹脂の耐熱性が低下することがある。
前記重合工程における単量体組成物において、N上の置換基がC3−C12のシクロアルキル基である置換マレイミドの含有割合は、特に限定されないが、単量体組成物全量に対して、好ましくは7〜30質量%であり、より好ましくは7〜25質量%であり、さらに好ましくは10〜20質量%である。
前記単量体組成物には、(メタ)アクリル酸エステル及びN上の置換基がC3−C12のシクロアルキル基である置換マレイミド以外の単量体が1種又は2種以上含有されていてもよい。これらの単量体としては、例えば、上述した(メタ)アクリル酸エステル単位以外の構成単位の由来となる単量体等を用いることができる。
溶液重合において使用される重合溶媒は、特に限定されないが、有機溶媒が好ましい。有機溶媒は、特に限定されないが、例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコール系溶媒等が挙げられる。これらの溶媒は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
また、重合溶媒の沸点が高すぎると、最終的に得られるアクリル樹脂の残存揮発分が多くなることから、重合溶媒は、沸点が40〜200℃である溶媒が好ましく、アクリル樹脂とセルロースエステルを含有する本発明の樹脂組成物を用いて溶液製膜を実施することを考えると、沸点が40〜100℃である溶媒がより好ましい。
重合溶媒の沸点が100℃を超える場合は、重合槽内を減圧することにより有機溶媒の沸点を下げる方法や、ジャケット部を冷却、又は、重合槽内に導入したコイルによる冷却で徐熱を行う方法によって、温度を制御してもよい。
重合溶媒の使用量は、特に限定されないが、重合系内における前記単量体組成物の総量100質量部に対して、通常は10〜200質量部の範囲から適宜選択すれば良く、好ましくは15〜150質量部であり、より好ましくは15〜100質量部である。
重合温度は、反応規模等に応じて適宜選択することができるが、通常は、反応液の内温30〜200℃の範囲であれば良く、好ましくは50〜180℃であり、より好ましくは70〜160℃である。この場合、アクリル樹脂の着色を抑制することができ、外観に優れた成形品を得ることができる。
重合時間は、反応規模や反応温度等により一定しないが、通常は、数分〜20時間の範囲で適宜選択すれば良く、好ましくは0.5〜20時間であり、より好ましくは1〜10時間である。数分とは、1分〜10分程度を意味する。
アクリル樹脂の重合において、重合時に重合開始剤を用いてもよい。重合開始剤は、特に限定されず、公知の化合物を使用することができる。
重合開始剤は、例えば、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−アミルパーオキシイソノナノエート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン等の有機過酸化物;2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート等のアゾ化合物;等が挙げられる。これらの重合開始剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。重合開始剤の使用量は、単量体の組合せや反応条件等に応じて適宜設定すればよく、特に限定されるものではない。
アクリル樹脂の重合において、重合時に連鎖移動剤を用いてもよい。連鎖移動剤は、特に限定されず、公知の化合物を使用することができる。
連鎖移動剤は、例えば、ドデシルメルカプタン、2−メルカプトエタノール、3−メルカプトプロピオン酸等のチオール系化合物、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン系化合物、多環芳香族系キノン化合物、αメチルスチレンダイマー等が挙げられる。これらの連鎖移動剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。連鎖移動剤の使用量は、単量体の組合せや反応条件等に応じて適宜設定すればよく、特に限定されるものではない。
また、重合溶液の粘度や重合温度を制御するために、重合中に有機溶媒を追加してもよい。追加する形態としては、特に限定されないが、例えば、重合溶液に連続的に重合溶媒を添加してもよいし、間欠的に重合溶媒を添加してもよい。
また、添加する重合溶媒としては、例えば、重合反応の初期仕込み時に使用した溶媒と同じ種類の重合溶媒であってもよいし、異なる種類の重合溶媒であってもよいが、重合反応の初期仕込み時に使用した溶媒と同じ種類の溶媒を用いることが好ましい。
また、添加する重合溶媒は、1種のみの単一溶媒であってもよく、2種以上の混合溶媒であってもよい。樹脂の重合中に重合溶媒を追加することにより、重合槽内の重合溶液の粘度を一定の範囲内に制御することが可能となり、十分な攪拌を行うことが可能となると共に、高粘度下で発生するポリマー鎖の分岐や架橋を抑制できる。また、重合温度より低温の重合溶媒を追加するため、重合で発熱する重合系中の重合温度の制御も容易となる。
重合終了後の重合溶液は、特開2000-230016号公報、特開2007−262396号公報、特開2007−262399号公報等に記載された脱揮工程を行ってもよい。脱揮工程とは、溶媒や残存単量体等の揮発分を、必要により減圧加熱条件下で、除去処理する工程をいう。この除去処理が不十分であると、生成した樹脂中の残存揮発分が多くなり、成形時の変質等によって着色したり、泡やシルバーストリーク等の成形不良が起こったりする問題等が生じる。脱揮されたアクリル樹脂は、重合時に用いられた溶媒や溶液製膜に好ましい溶媒に再溶解して、フィルムを作製するための溶液製膜に用いることができる。
上述のようにして得られる主鎖に環構造を含有するアクリル樹脂を含有する重合溶液は、濾過精度0.01〜15μmのフィルター等で濾過することにより、アクリル樹脂に含まれる異物を減少させることができる。濾過方法は、特に限定されず、常法に従ってよい。
[セルロースエステル]
本発明に使用されるセルロースエステルは、特に限定されないが、例えば、芳香族カルボン酸エステル、セルロースの低級脂肪酸エステル等が挙げられ、得られるフィルムの光学特性(透明性等)等の特性が向上することから、セルロースの低級脂肪酸エステルが好ましい。
本発明において、セルロースの低級脂肪酸エステルにおける低級脂肪酸とは、炭素原子数が5以下の脂肪酸を意味し、セルロースの低級脂肪酸エステルとしては、例えば、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースピバレート等が好ましく挙げられる。これらは1種又は2種以上を使用することができる。得られるフィルムの力学特性(強度等)と溶液製膜性の双方を両立させるために、セルロースアセテートプロピオネートやセルロースアセテートブチレート等の混合脂肪酸エステルを用いてもよい。その中でも、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートが好ましく用いられる。
本発明に使用されるセルロースエステルの数平均分子量(Mn)は、50000〜150000が好ましく、55000〜120000がより好ましく、60000〜100000がさらに好ましい。また、該セルロースエステルの重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)比は、1.3〜5.5が好ましく、1.5〜5.0がより好ましく、1.7〜4.0がさらに好ましく、2.0〜3.5が最も好ましい。
本発明に使用されるセルロースエステルの製造方法は、特に限定されず、従来公知の方法に従って製造したセルロースエステルを使用することができ、例えば、セルロースエステルの原料となる原料セルロースの水酸基を、無水酢酸、無水プロピオン酸及び/又は無水酪酸を用いて、常法によりアセチル基、プロピオニル基及び/又はブチル基を置換することによって得られるセルロースエステルを使用することができる。このようなセルロースエステルの製造方法は、例えば、特開平10−45804号公報或いは特表平6−501040号公報に記載の方法を参考にして製造することができる。
前記原料セルロースは、特に限定されず、例えば、木材パルプ、綿花リンター等が挙げられる。木材パルプは、例えば、針葉樹、広葉樹等のパルプ等が挙げられるが、針葉樹のパルプが好ましい。原料セルロースは、製膜の際の剥離性の点からは、綿花リンターが好ましく用いられる。これらの原料セルロースから製造されたセルロースエステルは、1種単独で又は適宜混合して使用することができる。
本発明において、セルロースエステルは、溶液製膜に用いるため、溶媒に溶解させておくことが好ましい。
セルロースエステルを溶媒に溶解させる方法は、特に限定されないが、例えば、溶解釜中で有機溶媒にセルロースエステルや添加剤を攪拌しながら溶解してセルロースエステル溶液を形成する方法、セルロースエステルを予め有機溶媒に溶解しておき、そこへポリマー溶液や添加剤溶液を混合してセルロースエステル溶液を形成する方法等が挙げられる。該溶解方法は、例えば、常圧で行う方法、主溶媒の沸点以下で行う方法、主溶媒の沸点以上で加圧して行う方法、特開平9−95544号公報、特開平9−95557号公報又は特開平9−95538号公報に記載の冷却溶解法で行う方法、特開平11−21379号公報に記載の高圧で行う方法等の溶解方法を用いることができる。
また、前記セルロースエステル溶液中のセルロースエステルの濃度は、10〜35質量%が好ましい。溶解中又は溶解後の該溶液にマット剤を除く添加剤を加えて溶解した後、濾材で濾過し、脱泡して送液ポンプで次工程に送る。該濾過方法は、特に限定されず、常法を用いることができる。
濾過の濾材は、絶対濾過精度0.04mm以下のものが好ましく、0.01〜0.02mmの範囲がより好ましい。濾材の材質には特に制限はなく、通常の濾材を使用することが出来るが、ポリプロピレン、テフロン(登録商標)等のプラスチック繊維製の濾材やステンレス繊維等の金属製の濾材が繊維の脱落等がなく好ましい。
[樹脂組成物]
本発明の樹脂組成物は、前記主鎖に環構造を含有するアクリル樹脂と前記セルロースエステルを含有する。
本発明の樹脂組成物に含有される主鎖に環構造を含有するアクリル樹脂とセルロースエステルの配合割合は、特に限定されないが、主鎖に環構造を含有するアクリル樹脂/セルロースエステルの配合割合(質量比)が、通常は、5/95〜95/5であり、好ましくは20/80〜80/20であり、より好ましくは30/70〜70/30である。
本発明の樹脂組成物に含有される前記アクリル樹脂及びセルロースエステルの溶解度パラメーター(SP値)は、セルロースエステルのSP値からアクリル樹脂のSP値を減算したものが、−1.1以上1.1以下であることが好ましく、−0.9以上0.9以下であることがより好ましく、−0.7以上0.7以下であることがさらに好ましい。尚、SP値は、後述の実施例に記載の方法を用いて算出した値である。樹脂間のSP値の差が少ないほど、樹脂間の相溶性が向上する。
本発明の樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)は、特に限定されないが、通常は120℃以上であり、好ましくは120℃以上170℃以下であり、より好ましくは122℃以上150℃以下である。これらの範囲であれば、本発明の樹脂組成物の耐熱性が十分に高くなり、また樹脂組成物を成形して得られるフィルム等の成形品の可とう性が確保されやすく、画像表示装置用光学フィルム等の用途に好適であるために好ましい。
なお、アクリル樹脂とセルロースエステルとが熱力学的に相溶することは、これらを混合して得られた樹脂組成物のガラス転移点を測定することによって確認することができる。具体的には、後述の実施例に記載の方法を用いて、樹脂組成物のガラス転移点が1点のみ観測されることによって、熱力学的に相溶しているといえる。熱力学的に相溶している場合、樹脂組成物は一般に高い透明性を有する。樹脂組成物のガラス転移点が2点以上観測される場合、熱力学的に非相溶であり、樹脂組成物の透明性は一般に低い。しかし、ガラス転移点が2点以上観測され熱力学的に非相溶であった場合でも、樹脂組成物に含まれる樹脂の組み合わせ等によっては、樹脂組成物が高い透明性を有する場合がある。このとき、樹脂組成物中の各樹脂の屈折率の差は比較的小さく、可視光の波長より十分に小さいドメインとなるようにミクロ分散していると考えられる。
本発明の樹脂組成物は、本発明の効果を奏することになり限り、必須化合物(アクリル樹脂及びセルロースエステル)以外の化合物を含んでいてもよい。これらは、アクリル樹脂の重合時又は重合後に添加してもよいし、セルロースエステルの製造時又は製造後に添加してもよいし、アクリル樹脂及びセルロースエステルを含有する樹脂組成物に添加してもよい。
前記必須化合物以外の化合物としては、特に限定されないが、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、その他の添加剤、その他の樹脂成分等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上を使用することができる。
紫外線吸収剤(UVA)は、紫外線吸収能を有するとともに、本発明の樹脂組成物と相溶する物質である限り限定されない。UVAは、単量体に由来する繰り返し単位を含まない(すなわち重合体ではない)ことが好ましい。重合体である紫外線吸収剤は、樹脂組成物との相溶性を確保することが一般に難しく、また、重合体に残留する重合開始剤などの添加剤によって、樹脂組成物をさらに成形して得た成形体に着色が生じることがある。
UVAとして、例えば、ベンゾフェノン系化合物、サリシケート系化合物、ベンゾエート系化合物、トリアゾール系化合物およびトリアジン系化合物から選ばれる少なくとも1種を使用できる。なかでも、紫外線吸収能が高いことから、トリアゾール系化合物及びトリアジン系化合物であるUVAが好ましい。
トリアゾール系化合物は、例えば、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−p−クレゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール、2−ベンゾトリアゾール−2−イル−4,6−ジ−t−ブチルフェノール、2−[5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル]−4−メチル−6−(t−ブチル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ジ−t−ブチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチル−6−(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミジルメチル)フェノール、メチル−3−(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート/ポリエチレングリコール300の反応生成物、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖および側鎖ドデシル)−4−メチルフェノール、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ−C7−9側鎖及び直鎖アルキルエステル等である。紫外線吸収能が高いことから、ハロゲン原子、例えば塩素原子、を有するトリアゾール化合物が好ましい。
トリアジン系化合物は、例えば、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−エトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−(2−ヒドロキシ−4−プロポキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ブトキシエトキシ)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−6−(2,4−ジブトキシフェニル)−1,3−5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシ−3−メチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−6−[2−ヒドロキシ−4−(3−アルキルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)−5−α−クミルフェニル]−s−トリアジン骨格(アルキルオキシ;オクチルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシなどの長鎖アルキルオキシ基)を有するUVA等である。なかでも、アクリル系樹脂との相溶性が高く、紫外線吸収性能が優れていることから、2,4−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−6−[2−ヒドロキシ−4−(3−アルキルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)−5−α−クミルフェニル]−s−トリアジン骨格(アルキルオキシ;オクチルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシなどの長鎖アルキルオキシ基)を有するUVAが好ましい。
UVAの分子量は特に限定はされないが、600以上が好ましい。UVAの分子量の上限は、例えば、10000である。UVAの分子量が過度に大きくなると、樹脂組成物との相溶性が低下し、本発明の樹脂組成物及び当該組成物を成形して得た成形体の光学的透明性が低下する。UVAの分子量の上限は、8000が好ましく、5000がより好ましい。
UVAは、市販の物質であってもよく、例えば、アデカスタブ LA−31、LA−F70(ともにADEKA社製)、チヌビン1577、チヌビン460、チヌビン477(全てBASF製)である。
UVAの紫外線吸収能は、波長300〜380nmの範囲内にある、UVAによる吸収が最大となる波長の光に対するモル吸光係数(クロロホルム溶液)にして、10000(L・mol−1・cm−1)以上が好ましい。
UVAは、2種以上の化合物の混合物であってもよい。
本発明の樹脂組成物がUVAを含む場合、当該組成物におけるUVAの含有率は、当該樹脂組成物100質量部に対して、例えば0.1〜5質量部であり、0.5〜5質量部が好ましく、0.7〜3質量部、1〜3質量部、1〜2質量部になるほどより好ましい。UVAの含有率が過度に小さいと、望む紫外線吸収能が得られない。一方、UVAの含有率が過度に大きくなると、紫外線吸収能が得られるメリットよりも、樹脂組成物の成形時に発泡やブリードアウトなどが発生する、樹脂組成物の着色が強くなる等のデメリットの方が大きくなる。
酸化防止剤としては、特に限定されないが、例えば、ヒンダードフェノール系、リン系あるいはイオウ系等の公知の酸化防止剤が上げられる。これらは、1種単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。市販品としては、例えば、ヒンダードフェノール系の酸化防止剤として、「アデカスタブ2112」(ADEKA社製)等が挙げられる。
酸化防止剤は、フェノール系の酸化防止剤であってもよい。
フェノール系酸化防止剤は、例えば、n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)アセテート、n−オクタデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、n−ヘキシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルベンゾエート、n−ドデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルベンゾエート、ネオドデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ドデシル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、エチル−α−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)イソブチレート、オクタデシル−α−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)イソブチレート、オクタデシル−α−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2−(n−オクチルチオ)エチル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2−(n−オクチルチオ)エチル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルアセテート、2−(n−オクタデシルチオ)エチル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルアセテート、2−(n−オクタデシルチオ)エチル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2−(2−ヒドロキシエチルチオ)エチル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ジエチルグリコールビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−フェニル)プロピオネート、2−(n−オクタデシルチオ)エチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ステアルアミド−N,N−ビス−[エチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、n−ブチルイミノ−N,N−ビス−[エチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2−(2−ステアロイルオキシエチルチオ)エチル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2−(2−ステアロイルオキシエチルチオ)エチル−7−(3−メチル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ヘプタノエート、1,2−プロピレングリコールビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、エチレングリコールビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ネオペンチルグリコールビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、エチレングリコールビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルアセテート)、グリセリン−1−n−オクタデカノエート−2,3−ビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス−[3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,1,1−トリメチロールエタントリス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ソルビトールヘキサ−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2−ヒドロキシエチル−7−(3−メチル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2−ステアロイルオキシエチル−7−(3−メチル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ヘプタノエート、1,6−n−ヘキサンジオールビス[(3′,5′−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリトリトールテトラキス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート)、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−[β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]−ウンデカン等が挙げられる。
フェノール系酸化防止剤は、チオエーテル系酸化防止剤又はリン酸系酸化防止剤と組み合わせて使用することが好ましい。
これらを組み合わせる際の酸化防止剤の添加量は、特に限定されないが、本発明の樹脂組成物100質量部に対して、フェノール系酸化防止剤及びチオエーテル系酸化防止剤の各々が0.01質量部以上、あるいはフェノール系酸化防止剤及びリン酸系酸化防止剤の各々が0.025質量部以上であることが好ましい。
チオエーテル系酸化防止剤は、例えば、ペンタエリスリチルテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート等が挙げられる。
リン酸系酸化防止剤は、例えば、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、2−[[2,4,8,10−テトラキス(1,1−ジメチルエチル)ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサフォスフェピン−6−イル]オキシ]−N,N−ビス[2−[[2,4,8,10−テトラキス(1,1ジメチルエチル)ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサフォスフェピン−6−イル]オキシ]−エチル]エタナミン、ジェニルトリデシルフォスファイト、トリフェニルフォスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリストールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジフォスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)フォスファイト等が挙げられる。
前記酸化防止剤の配合量は、特に限定されないが、本発明の樹脂組成物100質量部に対して、通常は0.01〜2質量部、好ましくは0.02〜1質量部、さらに好ましくは0.02〜0.5質量部である。酸化防止剤の添加量が過度に大きくなると、本発明の樹脂組成物の成形時に酸化防止剤のブリードアウトやシルバーストリークスが発生することがある。
本発明の樹脂組成物に含有されるその他の添加剤としては、例えば、耐光安定剤、耐候安定剤、熱安定剤等の安定剤;ガラス繊維、炭素繊維等の補強材;近赤外線吸収剤;トリス(ジブロモプロピル)ホスフェート、トリアリルホスフェート、酸化アンチモン等の難燃剤;アニオン系、カチオン系、ノニオン系の界面活性剤に代表される帯電防止剤;無機顔料、有機顔料、染料等の着色剤;有機フィラー、無機フィラー;樹脂改質剤;アンチブロッキング剤;マット剤;酸補足剤;金属不活性化剤;可塑剤;滑剤;難燃剤;ASAやABS等のゴム質量体等が挙げられる。
本発明の樹脂組成物に含有される、前記その他の添加剤の配合量は、特に限定されないが、本発明の樹脂組成物100質量部に対して、UVAを除いて通常は0〜5質量部、より好ましくは0〜2質量部、さらに好ましくは0〜1質量部である。
本発明の樹脂組成物に含有される、前記その他の樹脂成分としては、特に限定されないが、例えば、熱可塑性樹脂等が挙げられる。熱可塑性樹脂は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)等のオレフィンポリマー;塩化ビニル、塩素化ビニル樹脂等のハロゲン含有ポリマー;ポリスチレン、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンブロック共重合体等のスチレンポリマー;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610等のポリアミド;ポリアセタール:ポリカーボネート;ポリフェニレンオキシド;ポリフェニレンスルフィド:ポリエーテルエーテルケトン;ポリエーテルニトリル;ポリサルホン;ポリエーテルサルホン;ポリオキシペンジレン;ポリアミドイミド;等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上含んでいてよい。
上記例示した熱可塑性樹脂の中でも、アクリル樹脂との相溶性に優れることから、シアン化ビニル単量体に由来する構成単位と芳香族ビニル単量体に由来する構成単位とを含む共重合体が好ましい。当該共重合体は、例えば、スチレン−アクリロニトリル共重合体等である。
[光学フィルム]
本発明は、本発明の樹脂組成物を含む光学フィルムを含有する。
本発明の光学フィルムは、本発明の樹脂組成物を、従来公知の成形方法、例えば、射出成形、ブロー成形、押出成形、キャスト成形等を用いて、任意の形状(例えば、フィルムあるいはシート等)に成形することにより得ることができる。
本発明の光学フィルムの厚さは、特に限定されないが、通常は10μm〜500μmであり、好ましくは20μm〜300μmであり、より好ましくは30μm〜100μmである。
本発明の光学フィルムの全光線透過率は、特に限定されないが、通常は85%以上であり、好ましくは90%以上であり、より好ましくは91%以上である。全光線透過率は、光学フィルムの透明性の目安であり、85%未満であると透明性が低下し、光学フィルムとして適さない。
本発明の光学フィルムは、着色が少なく、250μm厚みあたりのb値が、好ましくは0.5以下であり、より好ましくは0.3以下である。
本発明の光学フィルムのヘイズは、好ましくは5%以下であり、より好ましくは3%以下である。ヘイズが5%を越えると透過率が低下し、光学用途に適さないことがある。
本発明の光学フィルムの光弾性係数(Cd)は、特に限定されないが、厚さ50μmのフィルムの光弾性係数(Cd)が、好ましくは−12×10−12〜12×10−12/Paであり、より好ましくは、―10×10−12〜10×10−12/Paである。尚、光弾性係数(Cd)は、後述の実施例に記載の方法を用いて算出した値である。
[光学フィルムの製造方法]
本発明の光学フィルムの製造方法は、特に限定されないが、例えば、溶液キャスト法(溶液流延法)、溶融押出法、カレンダー法、圧縮成形法等が挙げられ、好ましくは、溶液キャスト法(溶液流延法)、溶融押出法であり、より好ましくは、溶液キャスト法(溶液流延法)である。これらは従来公知の方法を用いることができる。
本発明の光学フィルムを溶液流延法によって製造する場合は、(1)溶解工程、ついで(2)流延工程、ついで(3)乾燥工程を有する方法が好ましい。
(1)溶解工程:
溶解工程とは、本発明の光学フィルムの製造に用いられる組成物を製造する工程であり、具体的には、主鎖に環構造を含有するアクリル樹脂及びセルロースエステルと、必要に応じて紫外線吸収剤、酸化防止剤、その他の添加剤、その他の樹脂成分等とを含有する本発明の樹脂組成物と、所望によりさらに溶媒とを含む溶液を調整する工程である。
前記組成物の製造において、主鎖に環構造を含有するアクリル樹脂とセルロースエステルを溶媒に溶解する場合、主鎖に環構造を含有するアクリル樹脂とセルロースエステルを個別に溶媒に溶解してから溶液同士を混合してもよいし、同時に同じ溶媒に溶解してもよい。本発明において、主鎖に環構造を含有するアクリル樹脂は、脱揮工程を経ずに重合溶剤を含んだ重合溶液の状態で溶解工程に用いることが可能であり、別に準備したセルロースエステル溶液を攪拌しながら、アクリル樹脂溶液を少しずつ添加していくことで、セルロースエステルが固化することなく、溶液製膜に用いる前記組成物を用意することができる。溶解中又は溶解後の前記組成物に必要な添加剤を加えて溶解した後、濾材で濾過し、脱泡して送液ポンプで次工程に送る。濾過の濾材は、絶対濾過精度0.04mm以下のものが好ましく、0.01〜0.02mmの範囲がより好ましい。濾材の材質には特に制限はなく、通常の濾材を使用することが出来るが、ポリプロピレン、テフロン等のプラスチック繊維製の濾材やステンレス繊維等の金属製の濾材が繊維の脱落等がなく好ましい。
主鎖に環構造を含有するアクリル樹脂やセルロースエステルを溶解する溶媒としては、特に限定されないが、例えば、メチレンクロライド、酢酸メチル、ジオキソラン等の溶液流延法で用いられる良溶媒を用いることができ、同時にメタノール、エタノール、ブタノール等の貧溶媒を用いてもよい。本発明においては、主鎖に環構造を含有するアクリル樹脂の重合溶液に含まれる重合溶媒も用いることができる。これらの溶媒は、1種又は2種以上を用いることができる。また、溶解の過程で−20℃以下に冷却したり、80℃以上に加熱したりしてもよい。
セルロースエステル溶液を作成する方法としては、例えば、セルロースエステル(フレーク状)に対する良溶媒を主とする有機溶媒に、溶解釜中で該セルロースエステル、必要なその他の樹脂や添加剤を攪拌しながら溶解する方法、あるいはセルロースエステル溶液にその他の樹脂溶液や添加剤溶液を混合する方法等が挙げられる。
セルロースエステルの溶解方法は、特に限定されず、例えば、常圧で行う方法、主溶媒の沸点以下で行う方法、主溶媒の沸点以上で加圧して行う方法、特開平9−95544号公報、特開9−95557号公報又は特開9−95538号公報に記載の冷却溶解法で行う方法、特開平11−21379号公報に記載の高圧で行う方法等を用いることができる。
本発明の光学フィルムの製造に用いられる組成物に含有される、主鎖に環構造を含有するアクリル樹脂の割合は、特に限定されないが、通常は、該組成物全量に対して70〜30質量%が好ましい。また、該組成物に含有されるセルロースエステルの割合は、特に限定されないが、通常は、該組成物全量に対して30〜70質量%が好ましい。
本発明の光学フィルムの製造に用いられる組成物の粘度は、好ましくは10ポイズ〜100ポイズであり、より好ましくは15ポイズ〜70ポイズである。該組成物が低粘度であると、(2)流延工程において該組成物を塗工した際、レベリング効果によって膜厚が均一化される効果もあるため好ましい。また、該組成物の粘度が10ポイズよりも低いと、(2)流延工程において支持体上から流れ出してしまうため、適宜仕切り板を設ける等の対処が必要となる。
(2)流延工程:
本発明の光学フィルムの製造に用いられる組成物を支持体上に流延し、均一な膜を得る工程である。
一般に、製膜工程で変形応力を受ければ、配向が進んでフィルムの複屈折値は増大する。複屈折値の増大に伴い、フィルムの均一性を維持しにくくなり、光学特性のバラツキも
増大するので、前記組成物の粘度が低い状態で比較的小さな応力のもとに製膜することが望ましい。
前記組成物を支持体上に流延する塗工方法としては、特に限定されず、従来公知の塗工方法を用いることができるが、例えば、ダイコーター、ドクターブレードコーター、ロールコーター、コンマコーター、リップコーター等を用いる方法が好ましい。これらは、常法を用いてよい。
前記組成物を流延する支持体は、特に限定されず、溶液製膜に使用される従来公知の支持体を使用することができるが、例えば、ステンレス鋼のエンドレスベルトや回転する金属ドラム等の金属支持体、あるいはポリイミドフィルム、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム等のようなフィルム等が挙げられる。
(3)乾燥工程:
支持体上に本発明の光学フィルムの製造に用いられる組成物を流延した該組成物の膜を加熱し、溶媒を蒸発させて乾燥フィルムを得る(該組成物の膜を加熱乾燥させる)工程である。
加熱乾燥において、前記組成物を流延もしくは塗布直後の液膜が乾燥していない状態では、急激な風の流れや加熱等があると厚みムラが生じやすいため、厚みムラをなくすよう注意しながら乾燥することが好ましい。例えば、フィルムに直接的に風を与えないようにしたり、風の代わりにマイクロウエーブを当てて加熱する手段を用いること等が好ましい。
また、急激な加熱・冷却を防いだりすることが好ましい。さらに、雰囲気中の湿度によって前記組成物の膜が発泡したりするため、湿度をコントロールした状態が好ましい。これらの乾燥を行って半固化状態になった後、さらに熱風等を吹きつけて残留溶媒を少なくするように乾燥するのが好ましい。
加熱乾燥は、前記組成物の膜が支持体に担持されたままの状態で行うことも可能であるが、必要に応じて、自己支持性を有するまで予備乾燥したフィルムを支持体から剥離し、さらに乾燥することもできる。
加熱乾燥方法は、特に限定されず、従来公知の方法を用いることができるが、例えば、フロート法、テンター法、ロール搬送法等を用いることができる。
フロート法の場合、フィルム自体が複雑な応力を受け、光学的特性の不均一が生じやすい。また、テンター法の場合、フィルム両端を支えているピンあるいはクリップの距離により、溶剤乾燥に伴うフィルムの幅収縮と自重を支えるための張力を均衡させる必要があり、複雑な幅の拡縮制御を行う必要がある。一方、ロール搬送法の場合、安定なフィルム搬送のためのテンションは原則的にフィルムの流れ方向(MD方向)にかかるため、応力の方向を一定にしやすい特徴を有する。従って、フィルムの乾燥は、ロール搬送法によることが最も好ましい。中でも、重力による応力を低減させるため、上下に複数のロールを配置し、フィルムを上下上下・・・と通すバーチカルパス方式(垂直懸垂パス方式)が、オーブンの設置スペースを省略しつつ長い乾燥経路を確保できるため好ましい。
また、溶媒の乾燥時にフィルムが水分を吸収しないよう、湿度を低く保った雰囲気中で乾燥することは、機械的強度と透明度の高いフィルムを得るには有効な方法である。
本発明の光学フィルムの製造工程は上記(1)〜(3)の工程以外にも、接着性向上のために、けん化処理やコロナ処理、プラズマ処理、さらには、易接着層等の塗布等の工程を有していてもよい。また、機能性コーティング層を設ける工程や延伸工程を有することも可能である。これらの処理、塗布、コーティング、延伸の方法は、特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。
前記機能性コーティング層は、例えば、帯電防止層、粘接着剤層、接着層、易接着層、防眩(ノングレア)層、光触媒層等の防汚層、反射防止層、ハードコート層、紫外線遮蔽層、熱線遮蔽層、電磁波遮蔽層、ガスバリヤー層等が挙げられる。これら機能性コーティング層の形成方法は、特に限定されず、常法に従ってよい。
前記延伸方法としては、一軸延伸でもよいし、二軸延伸でもよい。二軸延伸する場合は、同時二軸延伸でもよいし、逐次二軸廷伸でもよい。延伸した場合は、フィルムの機械強度が向上し、フィルム性能が向上する。
前記延伸の温度としては、特に限定されないが、例えば、光学フィルムのガラス転移温度近辺で行うことが好ましい。具体的には、光学フィルムの(ガラス転移温度−30)℃〜(ガラス転移温度+100)℃で行うことが好ましく、(ガラス転移温度−20)℃〜(ガラス転移温度+80)℃で行うことがより好ましい。(ガラス転移温度−30)℃よりも低いと、十分な延伸倍率が得られないために好ましくない。また、(ガラス転移温度+100)℃よりも高いと、樹脂の流動(フロー)が起こり安定な延伸が行えなくなるために好ましくない。
前記延伸の倍率は、特に限定されないが、面積比で定義した廷伸倍率が、好ましくは1.1〜25倍の範囲であり、より好ましくは1.3〜10倍の範囲である。1.1倍よりも小さいと、延伸に伴う靱性の向上につながらないために好ましくない。25倍よりも大きいと、延伸倍率を上げるだけの効果が認められない。
前記延伸の速度(一方向)としては、特に限定されないが、好ましくは10〜20000%/分の範囲であり、より好ましくは100〜10000%/分の範囲である。10%/分よりも遅いと、十分な延伸倍率を得るために時間がかかり、製造コストが高くなるために好ましくない。20000%/分よりも早いと、光学フィルムの破断等が起こるおそれがあるために好ましくない。
フィルムの光学等方性や力学特性を安定化させるため、溶液製膜後や延伸処理後に熱処
理(アニーリング)等を行ってもよい。
また、本発明の光学フィルムは、必要に応じて、フィルム表面に、各種の機能性コーティング層が形成されていてもよい。機能性コーティング層は、例えば、帯電防止層、粘接着剤層、接着層、易接着層、防眩(ノングレア)層、光触媒層等の防汚層、反射防止層、ハードコート層、紫外線遮蔽層、熱線遮蔽層、電磁波遮蔽層、ガスバリヤー層等が挙げられる。これら機能性コーティング層の形成方法は、特に限定されず、常法に従ってよい。
上述のようにして得られる本発明の光学フィルムの用途は、特に限定されないが、その高い透明性及び耐熱性により、光学部材として好適に用いることができる。
光学部材としては、特に限定されないが、例えば、光学用保護フィルム等が挙げられ、具体的には、各種の光ディスク(VD、CD、DVD、MD、LD等)基板の保護フィルム、液晶表示装置(LCD)等の画像表示装置が備える偏光板に用いる偏光子保護フィルム等が挙げられる。
また、本発明の光学フィルムは、位相差フィルム、視野角補償フィルム、光拡散フィルム、反射フィルム、反射防止フィルム、防眩フィルム、輝度向上フィルム、タッチパネル用導電フィルム等として使用することができる。本発明の光学フィルムは、特に、偏光子保護フィルムや位相差フィルムとして好適に用いられる。
<偏光子保護フィルム>
本発明の光学フィルムは、液晶表示装置(LCD)等の画像表示装置が備える偏光板に用いる偏光子保護フィルムとして使用することができ、本発明は、本発明の光学フィルムが用いられている偏光子保護フィルムも含有する。本発明の光学フィルムは、通常は、そのまま偏光子保護フィルムとして使用することができる。
<偏光板>
本発明は、本発明の光学フィルムを有する偏光板も含有する。
すなわち、本発明の光学フィルムは、偏光子保護フィルムとして用いて、偏光板に使用することができる。
本発明において、偏光板の製造方法は、特に限定されず、従来公知の方法に従ってよい。例えば、偏光子の少なくとも片面に、常法を用いて本発明の光学フィルムを貼り合わせることにより、偏光板を得ることができる。当該貼り合わせは、本発明の光学フィルムの偏光子に接合する側をアルカリ鹸化処理し、偏光子の少なくとも片面に完全鹸化型ポリビニルアルコール水溶液を塗布した後、本発明の光学フィルムと偏光子とを貼り合わせることにより、好適に実施することができる。
前記偏光子とは、一定方向の偏光波のみを通す素子である。本発明において使用される偏光子としては、特に限定されず、従来公知のものを使用することができ、例えば、ポリビニルアルコール系フィルム等が挙げられる。ポリビニルアルコール系フィルムとしては、ヨウ素を染色させたものと、二色性染料を染色させたものを使用することができる。
前記ポリビニルアルコール系フィルムは、例えば、ポリビニルアルコール水溶液を製膜し、これを一軸延伸させて染色するか、染色した後一軸延伸してから、好ましくはホウ素化合物を用いて耐久性処理を行ったもの等を好適に使用することができる。
また、偏光子の膜厚は、5〜30μmが好ましく、10〜20μmがより好ましい。
<画像表示装置>
本発明は、上述した本発明の偏光板を有する画像表示装置も含有する。
本発明において、画像表示装置の製造方法は特に限定されず、従来公知の方法に従ってよい。画像表示装置としては、液晶表示装置(LCD)等が好ましい。
液晶表示装置は、通常は、液晶セル及びその両面に配置された偏光板からなり、本発明の光学フィルムを液晶セルに接するように配置することが好ましい。また、液晶表示装置には、常法を用いて、プリズムシート、拡散フィルムをさらに積層することが好ましい。
本発明を以下の実施例及び比較例によって具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
最初に、本実施例において作製した樹脂組成物の評価方法を示す。
[重量平均分子量及び数平均分子量]
アクリル樹脂の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて、ポリスチレン換算により求めた。測定に用いた装置及び測定条件は以下の通りである。
システム:東ソー製GPCシステムHLC−8220
測定側カラム構成:
・ガードカラム(東ソー製、TSKguardcolumn SuperHZ−L)
・分離カラム(東ソー製、TSKgel SuperHZM−M)2本直列接続
リファレンス側カラム構成:
・リファレンスカラム(東ソー製、TSKgel SuperH−RC)
展開溶媒:クロロホルム(和光純薬工業製、特級)
展開溶媒の流量:0.6mL/分
標準試料:TSK標準ポリスチレン(東ソー製、PS−オリゴマーキット)
カラム温度:40℃
[ガラス転移温度(Tg)]
アクリル樹脂及び光学フィルムのガラス転移温度(Tg)は、JIS K7121の規定に準拠して求めた。具体的には、示差走査熱量計(リガク製、Thermo plus EVO DSC−8230)を用い、窒素ガス雰囲気下、約10mgのサンプルを常温から200℃まで昇温(昇温速度20℃/分)して得られたDSC曲線から、始点法により評価した。リファレンスには、α−アルミナを用いた。
[SP値の計算]
SP値(溶解度パラメーター)については、アクセルリス株式会社製のMaterials Studio R Ver.6.1 MS−Synthiaモジュールを用いて計算することができる。まず、モノマー構造を作成し、繰り返し構造を定義する。定義したモノマー構造を用いてMS−Synthiaモジュールで高分子物性(溶解度パラメーター等)を計算する。MS−Synthiaモジュールは定量的構造物性相関(QSPR:Quantitave Structure Property Relationships)を用いることにより高分子の物性を計算できるソフトウェアであり、グラフ理論から得られる結合性指数を用いてモノマー構造から高分子の物性を計算することができる。詳細な理論は、以下の文献1に記載されている。今回は、MS−Synthiaで計算できるBiceranoが改良したFedors法とvan Krevelen法のSP値(溶解度パラメーター)のうち、van Krevelen法の値を使用した。
(文献1)
タイトル:「Prediction of Polymer Properties,Third Edition」
著者:Jozef Bicerano
出版元:Marcel Dekker Ink.,New York
Copyright:2002
[光弾性係数(Cd)]
アクリル樹脂の光弾性係数(Cd)は、以下のようにして求めた。最初に、アクリル樹脂を溶融押出成形して、厚さ100μmのフィルム(未延伸フィルム)とした。次に、当該フィルムを幅7mmの長方形に切り出して試験片とした。次に、引張試験機ステージを設置した位相差フィルム・光学材料検査装置RETS−100(大塚電子製)に、切り出した試験片をチャック間距離30mmで装着し、23℃で試験片に伸長応力(σR)を印加しながら(チャック移動速度5mm/分)、波長590nmの光に対するその複屈折を測定した。測定した複屈折の絶対値(|Δn|)と試験片に印加した伸張応力(σR)との関係から、最小二乗法により傾き|Δn|/σRを求め、光弾性係数(Cd)を算出した(Cd=|Δn|/σRである)。なお、Cdの算出には、伸張応力が2.5MPa≦σR≦10MPaの範囲のデータを用いた。|Δn|は、|Δn|=|nx−ny|である。
光学フィルムのCdは、厚さ50μmのフィルムをそのまま測定に用いた以外はアクリル樹脂の場合と同様に求めた。
[ヘイズ]
作製した光学フィルムのヘイズは、濁度計(日本電色工業製、NDH−5000)を用いて、JIS K7136の規定に準拠して求めた。
[フィルムの厚さ]
アクリル樹脂を成形して得たフィルム及び光学フィルムの厚さは、デジマチックマイクロメーター(ミツトヨ製)により求めた。
[可とう性=延性破壊]
可とう性を下記の延性破壊試験によって評価した。
23℃、55%RHの空調室で24時間調湿した光学フィルムを、5℃、22%RHの条件下、100mm(縦)×10mm(幅)で切り出し、縦方向の中央部で、曲率半径0mm、折り曲げ角が180°でフィルムがぴったりと重なるように山折り、谷折りと2つにそれぞれ1回ずつ折りまげ、この評価を10回測定して、以下のように評価した。なお、ここでの評価で「折れる」とは、割れて2つ以上のピースに分離したことを表す。
○・・・10回のうち1回も折れない
×・・・10回のうち1回以上折れる
[アクリル樹脂]
(製造例1)
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管、及び滴下ロートを備えた反応容器に、メタクリル酸メチル(MMA)90質量部、N−シクロヘキシルマレイミド(CMI)10質量部、酸化防止剤(アデカスタブ2112、ADEKA製)0.05質量部、及びトルエン80.5質量部を仕込み、これに窒素ガスを導入しつつ、内容物を105℃まで昇温させた。昇温に伴う還流が始まったところで、重合開始剤としてt−アミルパーオキシイソノナノエート(アルケマ吉富製、ルペロックス570)0.103質量部を添加するとともに、トルエン21質量部にt−アミルパーオキシイソノナノエート0.205質量部を溶解させた溶液を2時間かけて滴下しながら溶液重合を進行させ、滴下終了後、さらに6時間の熟成を行った。続いて、得られた重合溶液を、240℃減圧度0.01MPaにて1時間乾燥を行い、アクリル樹脂(A−1)を得た。
(製造例2)
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管、及び滴下ロートを備えた反応容器に、MMA80量部、CMI20質量部、酸化防止剤(アデカスタブ2112、ADEKA製)0.05質量部、及びキシレン99.4質量部を仕込み、これに窒素ガスを導入しつつ、内容物を100℃まで昇温させた。その後、重合開始剤として、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン(日油製、パーヘキサC)0.16質量部をキシレン0.48質量部に溶解させた溶液を一括で添加し溶液重合を進行させ、3.5時間の熟成を行った。続いて、得られた重合溶液を1000質量部のメタノールに注いで再沈し、残存のモノマーや溶媒を除去した。得られたポリマー固体を240℃減圧度0.01MPaにて1時間乾燥を行い、アクリル樹脂(A−2)を得た。
(製造例3)
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管、及び滴下ロートを備えた反応容器に、メタクリル酸メチル(MMA)75質量部、CMI20質量部、連鎖移動剤としてドデシルメルカプタン(DM)0.1質量部、酸化防止剤(アデカスタブ2112、ADEKA製)0.05質量部、及びトルエン30.2質量部を仕込み、これに窒素ガスを導入しつつ、内容物を105℃まで昇温させた。昇温に伴う還流が始まったところで、重合開始剤としてt−アミルパーオキシイソノナノエート(アルケマ吉富製、ルペロックス570)0.052質量部を添加した。続いて、溶液1(トルエン21質量部にt−アミルパーオキシイソノナノエート0.205質量部を溶解させた溶液)、スチレン(St)5.0質量部を、それぞれ2時間、30分かけて滴下し溶液重合を進行させ、溶液1の滴下終了後、さらに6時間の熟成を行った。続いて、得られた重合溶液を、240℃減圧度0.01MPaにて1時間乾燥を行い、アクリル樹脂(A−3)を得た。
(製造例4)
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管、及び滴下ロートを備えた反応容器に、メタクリル酸メチル(MMA)100質量部、連鎖移動剤としてドデシルメルカプタン(DM)0.1質量部、酸化防止剤(アデカスタブ2112、ADEKA製)0.05質量部、及びトルエン80.5質量部を仕込み、これに窒素ガスを導入しつつ、内容物を105℃まで昇温させた。昇温に伴う還流が始まったところで、重合開始剤としてt−アミルパーオキシイソノナノエート(アルケマ吉富製、ルペロックス570)0.103質量部を添加するとともに、トルエン21質量部にt−アミルパーオキシイソノナノエート0.205質量部を溶解させた溶液を2時間かけて滴下しながら溶液重合を進行させ、滴下終了後、さらに6時間の熟成を行った。続いて、得られた重合溶液を、240℃減圧度0.01MPaにて1時間乾燥を行い、アクリル樹脂(A−4)を得た。
(製造例5)
製造例3において、MMAを90質量部、CMIを5質量部、初期仕込みのトルエンを100質量部、初期のt−アミルパーオキシイソナノエートを0.205質量部に変更した以外は、同様の操作を行い、アクリル樹脂(A−5)を得た。
(製造例6)
2枚の同じガラス板を用いて作成した板状の容器に、MMA21.5質量部、CMI2.5質量部、アクリル酸メチル(MA)1.0質量部、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)0.0375質量部、およびトルエン5.0質量部を仕込み、80℃の湯浴で3時間加熱して静置重合反応を行った。得られた重合物のアセトン溶液をメタノールに注いで再沈し、残存のモノマーや溶媒を除去した。得られたポリマー固体を240℃減圧度0.01MPaにて1時間乾燥を行い、アクリル樹脂(A−6)を得た。
(製造例7)
MMA90質量部を91質量部に、CMI10質量部をN−フェニルマレイミド(PMI)3質量部とCMI6質量部に変更した以外は製造例1と同様の操作を行い、アクリル樹脂(A−7)を得た。
(製造例8)
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管、および滴下ロートを備えた反応容器に、MMA70量部、PMI13部、CMI17質量部、およびキシレン66.7質量部を仕込み、これに窒素ガスを導入しつつ、内容物を120℃まで昇温させた。その後、重合開始剤として、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日油製、パーブチルO)0.20質量部をキシレン20質量部に溶解させた溶液を6時間で滴下し、滴下終了後、さらに2時間の熟成を行った。続いて、得られた重合溶液を、240℃減圧度0.01MPaにて1時間乾燥を行い、アクリル樹脂(A−8)を得た。
(実施例1)
[光学フィルム1の作成]
ドープ液組成
・CAP482−20(アシル基総置換度2.75、アセチル基置換度0.19、プロピオニル基置換度2.56 イーストマンケミカル製): 70質量部
・アクリル樹脂A−1: 30質量部
・メチレンクロライド: 515質量部
・エタノール: 52質量部
上記組成物を十分に溶解し、ドープ液を作成した。
このドープ液を、アプリケータを用い、ガラス板上に均一に流延した。ガラス板上のまま室温で30分間乾燥し、さらに100℃のオーブンで3分間乾燥させた後、ガラス板から剥離し、光学フィルム1を得た。乾燥後の膜厚は50μmであった。
(実施例2)
[光学フィルム2の作成]
アクリル樹脂A−1をアクリル樹脂A−2に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行い、光学フィルム2を得た。乾燥後の膜厚は50μmであった。
(実施例3)
[光学フィルム3の作成]
ドープ液組成
・CAP482−20(アシル基総置換度2.75、アセチル基置換度0.19、プロピオニル基置換度2.56 イーストマンケミカル製):50質量部
・アクリル樹脂A−1: 50質量部
・メチレンクロライド: 515質量部
・エタノール: 52質量部
上記組成物を十分に溶解し、ドープ液を作成した。
このドープ液を、アプリケータを用い、ガラス板上に均一に流延した。ガラス板上のまま室温で30分間乾燥し、さらに100℃のオーブンで3分間乾燥させた後、ガラス板から剥離し、光学フィルム3を得た。乾燥後の膜厚は50μmであった。
(実施例4)
[光学フィルム4の作成]
アクリル樹脂A−1をアクリル樹脂A−3に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行い、光学フィルム4を得た。乾燥後の膜厚は50μmであった。
(実施例5)
[光学フィルム8の作成]
アクリル樹脂A−1をアクリル樹脂A−6に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行い、光学フィルム8を得た。乾燥後の膜厚は50μmであった。
(実施例6)
[光学フィルム9の作成]
CAP482−20、70質量部を30質量部に変更し、アクリル樹脂A−1、30質量部をアクリル樹脂A−6、70質量部に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行い、光学フィルム9を得た。乾燥後の膜厚は50μmであった。
(実施例7)
[光学フィルム10の作成]
アクリル樹脂A−1をアクリル樹脂A−7に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行い、光学フィルム10を得た。乾燥後の膜厚は50μmであった。
(実施例8)
[光学フィルム11の作成]
アクリル樹脂A−1をアクリル樹脂A−8に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行い、光学フィルム11を得た。乾燥後の膜厚は50μmであった。
(比較例1)
[光学フィルム5の作成]
アクリル樹脂A−1をアクリル樹脂A−4に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行い、光学フィルム5を得た。乾燥後の膜厚は50μmであった。
(比較例2)
[光学フィルム6の作成]
アクリル樹脂A−1をアクリル樹脂A−5に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行い、光学フィルム6を得た。乾燥後の膜厚は50μmであった。
(比較例3)
[光学フィルム7の作成]
ドープ液組成
・CAP482−20(アシル基総置換度2.75、アセチル基置換度0.19、プロピオニル基置換度2.56 イーストマンケミカル製):100質量部
・メチレンクロライド: 515質量部
・エタノール: 52質量部
上記組成物を十分に溶解し、ドープ液を作成した。
このドープ液を、アプリケータを用い、ガラス板上に均一に流延した。ガラス板上のまま室温で30分間乾燥し、さらに100℃のオーブンで3分間乾燥させた後、ガラス板から剥離し、光学フィルム7を得た。乾燥後の膜厚は50μmであった。
製造例1〜8で作成したアクリル樹脂の物性を表1に、実施例1〜8及び比較例1〜3の評価結果を表2に示す。尚、表2において、「CAP」とはセルロースエステルとして用いたCAP482−20を示し、「SP値(CAP―アクリル)」とは、セルロースエステルのSP値からアクリル樹脂のSP値を減算したものを示す。また、表2において、比較例1、実施例5〜6、及び実施例8の光学フィルムのTgは、2つ確認された。
Figure 2016017129
Figure 2016017129
N上の置換基がC3−C12のシクロアルキル基である置換マレイミド単量体に由来する構成単位を主鎖に含有しないアクリル樹脂を用いた比較例1、Mwが12万未満であるアクリル樹脂を用いた比較例2、及びアクリル樹脂を使用しない比較例3では、得られる光学フィルムの、光弾性係数、透明性、耐熱性及び可とう性を全て満足することはできなかった。
一方、N上の置換基がC3−C12のシクロアルキル基である置換マレイミド単量体に由来する構成単位を主鎖に含有し、Mwが12万以上であるアクリル樹脂を用いた実施例1〜8では、得られる光学フィルムは、光弾性係数が小さく、ヘイズが小さく透明性に優れ、Tgが120℃以上であり耐熱性に優れ、さらに可とう性に優れるものであった。
上記の結果から、本発明の樹脂組成物は、N上の置換基がC3−C12のシクロアルキル基である置換マレイミド単量体に由来する構成単位を主鎖に含有し、Mwが12万以上であるアクリル樹脂と、セルロースエステルとを含有することにより、該樹脂組成物を用いて、光弾性係数が小さく、透明性、耐熱性、及び可とう性の全てに優れた光学フィルムを得ることができる。
本発明によれば、光弾性係数が小さく、透明性、耐熱性、及び可とう性のバランスに優れた光学フィルムを得ることができるため、該光学フィルムを用いて、優れた偏光子保護フィルム、偏光板、及び画像表示装置を製造することができる。

Claims (6)

  1. 主鎖に環構造を含有するアクリル樹脂とセルロースエステルを含有する樹脂組成物であって、前記環構造が、N上の置換基がC3−C12のシクロアルキル基である置換マレイミド単量体に由来する構成単位であり、前記アクリル樹脂の重量平均分子量(Mw)が12万以上であることを特徴とする樹脂組成物。
  2. 前記樹脂組成物のガラス転移温度が120℃以上であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 請求項1又は2のいずれかに記載の樹脂組成物を含むことを特徴とする光学フィルム。
  4. 請求項3に記載の光学フィルムが用いられていることを特徴とする偏光子保護フィルム。
  5. 請求項4に記載の光学フィルムを有することを特徴とする偏光板。
  6. 請求項5に記載の偏光板を有することを特徴とする画像表示装置。
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