JP2016016069A - 歯ブラシ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】一面16a側に配置された植毛穴19を有するヘッド部16と、植毛穴19に植毛され、複数の用毛よりなり、かつ先端部に円錐形状とされた円錐部14−3を有する毛束14と、を含み、複数の用毛は、円錐部14−3の側面を構成する楕円形状とされた切断面を有し、切断面は、円錐部14−3の底面の外周縁から円錐部14−3の頂点に向かうにつれて、楕円の長軸の長さが短くなる構成とした。
【選択図】図5
Description
ワンタフトブラシとは、ヘッド部に設けられたφ3.0mm程度の大きな植毛穴に毛束を植設し、必要に応じて毛束の先端部分を毛切りしてなるブラシである。
また、ストレート毛は、テーパー毛の毛先部分の直径よりも大きい直径とされているため、ストレート毛を毛切りすると、切断面の面積がかなり大きくなり、切断された角部が鋭角となるため、強い力で磨くと、歯肉を痛める恐れがあった。
しかしながら、特許文献2,3に開示された歯間ブラシは、テーパー毛を用いているため、歯垢のかき取り力がやや弱く、機能面においてストレート毛よりも劣るという問題があった。
図1は、本発明の実施の形態に係る歯ブラシの側面図である。図2は、図1に示す歯ブラシの背面図である。図3は、図2に示す歯ブラシをB視した側面図である。
図1〜図3に示すX方向は、ハンドル体11を構成するハンドル部17の延在方向を示している。図1及び図2に示すY方向は、歯ブラシ10の幅方向を示している。図3に示すZ方向は、毛束14の延在方向を示している。図1〜3において、同一構成部分には、同一符号を付す。
なお、図1〜図3では、本発明の歯ブラシ10の一例として、ワンタフトブラシを例に挙げて図示して、以下の説明を行う。
ハンドル体11は、ヘッド部16と、ハンドル部17と、ネック部18と、植毛穴19と、を有する。ヘッド部16は、Z方向(或いは、Z方向に対して僅かに傾斜した方向)に延在する略円柱形状の部材である。
ハンドル部17は、歯ブラシ10を使用する際に手で保持する部分であり、X方向に延在している。ハンドル部17のうち、ネック部18に近い側には、歯ブラシ10を使用する際に指が滑ることを防止するための複数の凹部である滑り止め部21が設けられている。
ネック部18は、その一端がヘッド部16と一体とされており、他端がハンドル部17と一体とされている。つまり、ネック部18は、ヘッド部16とハンドル部17とを連結している。
図4及び図5において、図1〜図3に示す構成要素と同一構成部分には、同一符号を付す。
一面16aに露出された部分の植毛穴19の直径は、例えば、3mmとすることができる。また、Z方向における植毛穴19の深さd(一面16aを基準としたときの植毛穴19の深さ)は、例えば、3.0〜6.0mmの範囲内で、適宜設定することができる。
埋め込み部14−1は、植毛穴19に収容される部分である。図5において、柱状部14−2は、埋め込み部14−1の上方に配置された部分であり、かつ毛切り(切断)されていない部分である。
柱状部14−2の高さH2は、例えば、3.0〜8.0mmの範囲内で適宜設定することができる。
円錐部14−3は、毛束14の先端部を構成しており、毛切り(切断)されることで、円錐形状とされた部分である。円錐部14−3は、歯ブラシ10を使用する際に、歯周ポケットや歯間等へ進入する部分である。
図6〜8において、図1〜図5に示す構造体と同一構成部分には、同一符号を付す。
図6では、同じ種類のテーパー毛で構成され、かつ先端の切断される位置が異なる複数のテーパー毛に、「符号23」を付す。また、図6では、説明の便宜上、実際には、高い密度で密集した複数のテーパー23のうち、一部のテーパー毛のみ図示する。
図7では、説明の便宜上、図7に示すテーパー毛に「符号23−1」を付す。また、図8では、説明の便宜上、図8に示すテーパー毛に「符号23−2」を付す。図7及び図8に示すテーパー毛23−1,23−2は、同じ種類のテーパー毛で構成されており、先端の切断される位置のみが異なる。
また、図7及び図8に示すテーパー毛23−1,23−2のうち、点線で示す部分は、切断された部分を示している。
図6に示すように、毛束14は、例えば、先端の切断位置(切断前のテーパー毛23の先端(図7及び図8に示す先端T2)を基準としたときの位置)の異なる複数のテーパー毛23で構成することができる。この場合、複数のテーパー毛23は、楕円形状とされた切断面23aを有する。
複数の切断面23aは、円錐部14−3の側面14−3aを構成している。これにより、切断面23aとZ軸とが成す角度(言い換えれば、Z方向に対する切断面23aの傾斜角度)は、円錐部14−3の頂角θの1/2と等しい。
言い換えれば、楕円形状とされた切断面23−1aの長軸E1は、楕円形状とされた切断面23−2aの長軸E2の長さよりも短くなるような構成とされている。
これにより、楕円形状とされた切断面の23a−2の面積が大きくなる(言い換えれば、切断後のテーパー毛23−2の先端の太さが太くなる)ため、歯垢除去能力を向上させることができる。
したがって、毛束14を構成する複数の用毛としてテーパー毛23を用い、かつテーパー部に円錐部14−3を形成することで、円錐部14−3の底面14−3bの外周縁から円錐部14−3の頂点T1に向かうにつれて、楕円形状とされた切断面23aの長軸の長さが短くなるような形状に容易に加工することができる。
該樹脂材料は、1種単独で用いてもよいし、或いは、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、毛束14を構成する用毛(テーパー毛23も含む)の横断面形状(図5において、Z方向と直交する面で用毛を切断した際の断面形状)としては、例えば、真円形状、楕円形等の円形断面形状や、略三角形、略四角形等の異形断面形状等を用いることができる。
このように、楕円形状とされた切断面23−1aの長軸の範囲を0.080〜0.120mmとすることで、歯周ポケットや歯間等への毛先進入性を向上できると共に、歯肉への為害性を低減することができる。
図11は、図10に示す製造途中の歯ブラシのうち、領域Fで囲まれた切断前の毛束を縦方向に2分割させた際の毛束の形状を模式的に示す断面図である。
図9〜図11において、図1〜図10に示す構造体と同一構成部分には、同一符号を付す。
始めに、図9に示す工程では、図9に示すハンドル体11の形状に対応する空間(キャビティ)を有する一対の金型(図示せず)を準備し、該空間に硬質樹脂(先に説明したハンドル体11の材料となる樹脂)を射出する。
その後、上記硬質樹脂が硬化した後、上記一対の金型から、該硬化樹脂よりなるハンドル体11を取り出す。これにより、ヘッド部16に植毛穴19を有するハンドル体11が形成される。
毛束14の植毛は、例えば、平線植毛法を用いて行うことができる。
具体的には、図11に示すように、毛束14を構成する複数のテーパー毛23(この段階では、先端が切断されていない)の先端が同一平面S上に配置されるように、毛束14を2つに折り曲げて、植毛穴19に植毛する。
その後、折り曲げられた毛束14の内側から、植毛穴19内に金属(例えば、真鍮)の板を押し込む。これにより、植毛穴19内に毛束26が固定され、図10に示す構造体25が形成される。
さらに、複数の植毛穴に、円錐部14−3を有する毛束14を配置させてもよい。
主に、図3、図5、及び図6を参照して、試験例1の歯ブラシ(以下、「歯ブラシU1」という)について説明する。
試験例1では、先に説明した歯ブラシ10の製造工程と同様な処理を行うことで円錐部14−3を有する歯ブラシU1を製造した。
このとき、ヘッド部16に設けられた植毛穴19の直径は、3.5mmとした。毛束14を構成する用毛として、基部(テーパー部以外の部分)の直径が190μmとされたテーパー毛を使用した。該テーパー毛の材質としては、ポリブチレンテレフタレートを用いた。
円錐部14−3の頂角θは、72度とした。円錐部14−3の頂点T1に位置するテーパー毛23に形成された楕円形状の切断面23aの長軸の長さを測定したところ、0.045mmであった。
上記試験例1の歯ブラシU1の構成について、表1に示す。
主に、図3、図5、及び図6を参照して、試験例2の歯ブラシ(以下、「歯ブラシU2」という)について説明する。
試験例2では、先に説明した図9〜図11で説明した歯ブラシ10の製造工程と同様な処理を行うことで円錐部14−3を有する歯ブラシU2を製造した。
試験例2の歯ブラシU2は、円錐部14−3の頂点T1に位置するテーパー毛に形成された楕円形状の切断面の長軸の長さを0.086mmとしたこと以外は、試験例1の歯ブラシU1と同様な構成とした。
上記試験例2の歯ブラシU2の構成について、表1に示す。
主に、図3、図5、及び図6を参照して、試験例3の歯ブラシ(以下、「歯ブラシU3」という)について説明する。
試験例3では、先に説明した図9〜図11で説明した歯ブラシ10の製造工程と同様な処理を行うことで円錐部14−3を有する歯ブラシU3を製造した。
試験例3の歯ブラシU3は、円錐部14−3の頂点T1に位置するテーパー毛に形成された楕円形状の切断面の長軸の長さを0.117mmとしたこと以外は、試験例1の歯ブラシU1と同様な構成とした。
上記試験例3の歯ブラシU3の構成について、表1に示す。
主に、図3、図5、及び図6を参照して、試験例4の歯ブラシ(以下、「歯ブラシU4」という)について説明する。
試験例4では、先に説明した図9〜図11で説明した歯ブラシ10の製造工程と同様な処理を行うことで円錐部14−3を有する歯ブラシU4を製造した。
試験例4の歯ブラシU4は、円錐部14−3の頂点T1に位置するテーパー毛に形成された楕円形状の切断面の長軸の長さを0.134mmとしたこと以外は、試験例1の歯ブラシU1と同様な構成とした。
上記試験例4の歯ブラシU4の構成について、表1に示す。
主に、図3、図5、及び図6を参照して、試験例5の歯ブラシ(以下、「歯ブラシU5」という)について説明する。
試験例5では、先に説明した図9〜図11で説明した歯ブラシ10の製造工程と同様な処理を行うことで円錐部14−3を有する歯ブラシU5を製造した。
試験例4の歯ブラシU5は、テーパー毛に替えて、ストレート毛(基部の直径が165μm、材質が6−12ナイロン)を用いると共に、円錐部14−3の頂点T1に位置するテーパー毛に形成された楕円形状の切断面の長軸の長さを0.274mmとしたこと以外は、試験例1の歯ブラシU1と同様な構成とした。
上記試験例5の歯ブラシU5の構成について、表1に示す。
次に、試験例1〜5の歯ブラシU1〜U5の歯間のモデル清掃力についての評価試験を行った。
歯間のモデル清掃力は、以下に説明するような方法で実施し、評価した。
始めに、成人上顎模型(500AU、株式会社ニッシン製)の右側頬側第一大臼歯と第二大臼歯との歯間部に赤色ペイント(サクラ白板マーカー #19 赤、株式会社サクラクレパス製)を塗布したものを用意した。
清掃後、下記の方法により歯垢除去率を測定した。
歯垢除去率が120%よりも大きい場合には、◎と評価した。歯垢除去率が110%よりも大きく、かつ120%以下の場合には、○と評価した。
歯石除去率が105%よりも大きく、かつ110以下の場合には、△と評価した。また、歯垢除去率が100%以上で、かつ105%以下の場合には、×と評価した。
上記判断基準で判定した歯間のモデル清掃力の評価を表1に示す。
次に、試験例1〜5の歯ブラシU1〜U5の歯頸部のモデル清掃力についての評価試験を行った。
歯頸部のモデル清掃力は、成人上顎模型(500AU、株式会社ニッシン製)の右側頬側第一大臼歯に赤色ペイント(サクラ白板マーカー #19 赤、株式会社サクラクレパス製)を塗布したものを用いたこと以外は、先に説明した歯間のモデル清掃力の評価試験と同様な手法で行い、同様な手法で評価した。
試験例1〜5の歯ブラシU1〜U5の歯頸部のモデル清掃力の評価結果を表1に示す。
次に、試験例1〜5の歯ブラシU1〜U5の使用感(為害性)についての評価試験を行った。
専門家パネル5名により、試験例1〜5の歯ブラシU1〜U5を1週間使用し、歯茎への当たり心地を下記評価基準により7段階評価した。
このとき、1点を「非常に痛みを感じた」という評価とし、7点を「全く痛みを感じない」という評価とした。
5名の平均値が5.0点以上の場合を◎と評価した。5名の平均値が4.0点以上5.0点未満の場合を○と評価した。5名の平均値が3.0点以上4.0点未満の場合を△と評価した。5名の平均値が3.0点未満の場合を×と評価した。
この結果を表1に示す。
表1を参照するに、試験例5の歯ブラシU5は、モデル清掃力、歯頸部のモデル清掃力、及び使用感(為害性)の全ての評価において、評価結果が×であり、最も悪い結果となった。
これは、毛束を構成する複数の用毛として、用毛の延在方向において直径が略等しいストレート毛を用いたため、複数の切断面の面積が略同じになると共に、切断後の毛先の太さが均一であったためと推測される。
これは、円錐部の外周部に配置されるテーパー毛に形成される楕円形状とされた切断面の形状が大きくなるため、歯や歯茎に当たった感じが、ストレート毛に近づくためと考えられる。
Claims (4)
- 一面側に配置された植毛穴を有するヘッド部と、
前記植毛穴に植毛され、複数の用毛よりなり、かつ先端部に円錐形状とされた円錐部を有する毛束と、
を含み、
前記複数の用毛は、前記円錐部の側面を構成する楕円形状とされた切断面を有し、
前記切断面は、前記円錐部の底面の外周縁から前記円錐部の頂点に向かうにつれて、楕円の長軸の長さが短くなることを特徴とする歯ブラシ。 - 前記複数の用毛は、テーパー毛であり、
前記円錐部は、複数の前記テーパー毛のテーパー部に配置されていることを特徴とする請求項1記載の歯ブラシ。 - 前記円錐部の頂角は、60度〜80度の範囲内であることを特徴とする請求項1または2記載の歯ブラシ。
- 前記複数の用毛のうち、前記円錐部の頂点付近に位置する用毛の前記切断面の長軸の範囲は、0.080〜0.120mmであることを特徴とする請求項1ないし3のうち、いずれか1項記載の歯ブラシ。
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