JP2016014080A - スルホン酸/スルホン酸塩−基を有するポリアミン及びその製法 - Google Patents

スルホン酸/スルホン酸塩−基を有するポリアミン及びその製法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、親水性や水分散性、熱安定性、成膜性に優れ、接触する材料に対する腐食性が少ない上、プロトン供与能を有するポリアミン及び、該ポリアミンを簡便かつ効率的に得ることのできる製法を提供することを目的とする。【解決手段】本発明のポリアミンは、一部又は全てのアミノ基が、下記式(1)で表される、スルホン酸基若しくはスルホン酸塩基を有する有機基、又は下記式(1’)で表される、スルホン酸アニオンを有する有機基と結合している。【選択図】なし

Description

本発明は、スルホン酸/スルホン酸塩‐基を有するポリアミン及びその製法に関する。
種々の化合物、モノマー、又はポリマーにスルホン酸基を導入し、酸性、プロトン移動性、親水性、又は水溶性を付与することは様々な技術分野で求められている。特に、ポリマー化の過程で物質が親水性を低下させていく現象が多い中で、スルホン酸基等を有する親水性ポリマーの需要は大きい。
スルホン酸基を有する合成ポリマーとしては、フッ素系スルホン酸ポリマーであるNafion(商標)や、ポリスチレンスルホン酸がよく知られる。このようなスルホン酸基を有する合成ポリマーは、導電性高分子のドーパント、燃料電池膜、水分散剤等に利用されることが広く知られている。
簡便なスルホン酸基導入方法としては、アミノ基のビニルスルホン酸ナトリウムへの付加反応が利用され得る。例えば、引用文献1には、pH緩衝剤として用いるビス(環状ジアミン)化合物の製造において、環状ジアミン二量体にアルキレンスルホン酸のアルカリ金属塩を反応させ、ついで、イオン交換樹脂、又は電気透析により脱塩し、環状ジアミン二量体の二級アミノ基にアルキルスルホン酸基を導入した化合物を得ることが記載されている。同様に、引用文献2には、テトラミンであるトレン中の1級アミノ基に対し、ビニルスルホン酸ナトリウムを導入する手法が記載されている。これらの技術は低分子量アミンとアルキルスルホン酸との反応に関するものであって、ポリマー中にスルホン酸基を導入するものではない。
特開平7−203956号公報 特開2001−187751号公報
一般的にスルホン酸基を有するポリマーは熱安定性に劣り、比較的熱安定性に優れるとされるNafion(商標)であっても熱分解反応は抑えられず、成膜性に劣ることがコーティング剤としての利用を困難にさせている。それに加え、フリーのスルホン酸基を有する化合物は強酸性のため、使用される装置に耐腐食性の材料を用いなくてはならないため、汎用性に乏しい。
また、引用文献1及び2に記されているアミノ基へのビニルスルホン酸ナトリウムの導入は、一般的に、水溶媒中、80〜100℃で1〜20時間加熱という条件で行われているが、より簡便な合成法が望まれている。その上、上述の通り引用文献1及び2において、合成された化合物はいずれも比較的低分子であり、アミノ基を2〜3個のみ有する化合物にアルキルスルホン酸ナトリウムを導入しており、高分子ポリアミンへの同様の反応は確認されていない。
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、親水性や水分散性、熱安定性、成膜性に優れ、接触する材料に対する腐食性が少ない上、プロトン供与能を有するポリアミン並びに、該ポリアミンを簡便かつ効率的に得ることのできる製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記問題点を解決するために鋭意検討した結果、アミノ基を1個以上有するポリマーのアミノ基に対して、少なくとも一つの不飽和結合と、スルホン酸基又はスルホン酸塩基(以下「スルホン酸/スルホン酸塩‐基」とも記す。)とを有する化合物(例えば、ビニルスルホン酸類)を簡便かつ効率よく付加させることにより上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
〔1〕
一部又は全てのアミノ基が、下記式(1)で表される、スルホン酸基若しくはスルホン酸塩基を有する有機基、又は下記式(1’)で表される、スルホン酸アニオンを有する有機基と結合している、ポリアミン。
(式(1)及び(1’)中、Yは、置換基を有してもよい炭素数1〜20のアルキレン基、置換基を有してもよいアルケニレン基又は置換基を有してもよいアリーレン基であり、Xは、水素原子、金属、ハロゲン原子又はアンモニウムカチオンである。)
〔2〕
全てのアミノ基が2級アミノ基である、〔1〕に記載のポリアミン。
〔3〕
全てのアミノ基が3級アミノ基である、〔1〕に記載のポリアミン。
〔4〕
1級及び2級アミノ基を有し、かつ3級アミノ基を有しない、〔1〕に記載のポリアミン。
〔5〕
2級及び3級アミノ基を有し、かつ1級アミノ基を有しない、〔1〕に記載のポリアミン。
〔6〕
1級及び3級アミノ基を有し、かつ2級アミノ基を有しない、〔1〕に記載のポリアミン。
〔7〕
1級、2級及び3級アミノ基を同時に有する、〔1〕に記載のポリアミン。
〔8〕
一部又は全てのアミノ基が4級アミノ基である、〔1〕に記載のポリアミン。
〔9〕
式(1)又は(1’)中のYが、炭素数1〜6のアルキレン基である、〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載のポリアミン。
〔10〕
式(1)又は(1’)中のYが、エチレン基である、〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載のポリアミン。
〔11〕
〔1〕〜〔10〕のいずれかに記載のポリアミンの製造方法であって、(A)少なくとも一つの不飽和基と、スルホン酸基又はスルホン酸塩基とを有する化合物と、(B)ポリアミンとを加熱し、付加物を製造する工程を含む、製造方法。
〔12〕
(A)少なくとも一つの不飽和基と、スルホン酸基又はスルホン酸塩基とを有する化合物がビニルスルホン酸である、〔11〕に記載の方法。
本発明によれば、親水性や水分散性、熱安定性、成膜性に優れ、接触する材料に対する腐食性が少ない上、プロトン供与能を有するポリアミン及び、該ポリアミンを簡便かつ効率的に得ることのできる製造方法を提供することができる。
実施例1で得られたVSA−ポリエチレンイミンの核磁気共鳴スペクトルのチャートである。 実施例2で得られたSVS−ポリエチレンイミンの核磁気共鳴スペクトルのチャートである。 実施例1及び2で用いた原料のポリエチレンイミンの核磁気共鳴スペクトルのチャートである。 実施例3で得られたVSA−ポリエチレンイミンの核磁気共鳴スペクトルのチャートである。 実施例4で得られたSVS−ポリエチレンイミンの核磁気共鳴スペクトルのチャートである。 実施例3、4及び9で用いた原料のポリエチレンイミンの核磁気共鳴スペクトルのチャートである。 実施例5で得られたVSA−ポリアリルアミンの核磁気共鳴スペクトルのチャートである。 実施例6で得られたSVS−ポリアリルアミンの核磁気共鳴スペクトルのチャートである。 実施例5及び6で用いた原料のポリアリルアミンの核磁気共鳴スペクトルのチャートである。 実施例7で得られたVSA−ポリアリルアミンの核磁気共鳴スペクトルのチャートである。 実施例8で得られたSVS−ポリアリルアミンの核磁気共鳴スペクトルのチャートである。 実施例7及び8で用いた原料のポリアリルアミンの核磁気共鳴スペクトルのチャートである。 実施例9で得られたVSA−ポリエチレンイミンの核磁気共鳴スペクトルのチャートである。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
〔スルホン酸/スルホン酸塩−基を有するポリアミン〕
本実施形態のポリアミンは、一部又は全てのアミノ基が、下記式(1)で表される、スルホン酸基若しくはスルホン酸塩基を有する有機基、又は下記式(1’)で表される、スルホン酸アニオンを有する有機基と結合している。したがって、本実施形態のポリアミンは、スルホン酸/スルホン酸塩−基又はスルホン酸アニオンを有する。
(式(1)及び(1’)中、Yは、置換基を有してもよい炭素数1〜20のアルキレン基、置換基を有してもよいアルケニレン基又は置換基を有してもよいアリーレン基であり、Xは、水素原子、金属、ハロゲン原子又はアンモニウムカチオンである。)
なお、本実施形態において、アンモニウムカチオンとは、プロトン化された第1級、第2級若しくは第3級アミン、又は第4級アンモニウムイオンである。
本実施形態のポリアミンは、上記式(1)で表される、スルホン酸/スルホン酸塩−基を有する有機基、又は上記式(1’)で表される、スルホン酸アニオンを有する有機基により修飾されたアミノ基を一個以上有すれば、その他のアミノ基が1級、2級、3級及び、4級アミノ基のいずれかで、いかなる比率で存在していてもよい。
本実施形態のポリアミンは、全てのアミノ基が2級アミノ基であってもよく、全てのアミノ基が3級アミノ基であってもよく、全てのアミノ基が4級アミノ基であってもよい。また、本実施形態のポリアミンは、1級及び2級アミノ基を有し、かつ3級及び4級アミノ基を有しないポリアミンであってもよく、1級及び3級アミノ基を有し、かつ2級及び4級アミノ基を有しないポリアミンであってもよく、1級及び4級アミノ基を有し、かつ2級及び3級アミノ基を有しないポリアミンであってもよく、2級及び3級アミノ基を有し、かつ1級及び4級アミノ基を有しないポリアミンであってもよく、2級及び4級アミノ基を有し、かつ1級及び3級アミノ基を有しないポリアミンであってもよく、3級及び4級アミノ基を有し、かつ1級及び2級アミノ基を有しないポリアミンであってもよい。さらに、本実施形態のポリアミンは、1級、2級及び3級アミノ基を有し、かつ4級アミノ基を有しないポリアミンでもよく、1級、2級及び4級アミノ基を有し、かつ3級アミノ基を有しないポリアミンでもよく、1級、3級及び4級アミノ基を有し、かつ2級アミノ基を有しないポリアミンでもよく、2級、3級及び4級アミノ基を有し、かつ1級アミノ基を有しないポリアミンでもよい。またさらに、1級、2級、3級及び4級アミノ基を同時に有するポリアミンであってもよい。
また、本実施形態のポリアミンは、上記式(1)又は(1’)中のYが、炭素数1〜6のアルキレン基でもよい。
さらに、本実施形態のポリアミンは、上記式(1)又は(1’)中のYが、エチレン基であっても構わない。
本実施形態のポリアミンは、スルホン酸/スルホン酸塩−基、又はスルホン酸アニオンを有しているため、スルホン酸/スルホン酸塩−基、又はスルホン酸アニオンを有さないポリアミン(例えば、原料であるポリアリルアミン)の物性と比較して、水溶性、親水性、熱安定性、成膜性、プロトン移動性、又は酸性度がより向上する。
本実施形態のポリアミン中の金属含有量は、好ましくは0〜200ppmであり、より好ましくは0〜10ppmであり、さらに好ましくは0〜1.0ppmであり、特に好ましくは0〜0.10ppmである。本実施形態のポリアミンは、金属含有量が前記上限値以下であることにより、電池材料やレジスト材料など、金属原子が悪影響を及ぼす用途の材料の原材料として好適に用いることができる。なお、本実施形態のポリアミン中の金属含有量は、実施例に記載の方法により測定することができる。また、本実施形態のポリアミンの重量平均分子量は、好ましくは150〜1,000,000であり、より好ましくは200〜500,000であり、さらに好ましくは300〜100,000である。本実施形態のポリアミンは、重量平均分子量が前記範囲内であると、結晶性が向上し、取り扱いが容易となり、成膜性が向上する傾向にある。なお、本実施形態のポリアミンの重量平均分子量は、実施例に記載の方法により測定することができる。
〔本実施形態のポリアミンの製造方法〕
本実施形態のポリアミンの製造方法は、少なくとも1つの不飽和結合と、スルホン酸基又はスルホン酸塩基とを有する化合物とポリアミンとを加熱し、付加物を製造する工程を含む。
本実施形態のポリアミンの製造方法の具体例としては、特に限定されないが、例えば、ビニル基及びスルホン酸/スルホン酸塩−基を有するビニルスルホン酸類(A)と、後述するいずれかのポリアミン(B)とを反応させて、ポリアミンの有する少なくとも1個のアミノ基と、前記ビニル基が共有結合を生成することにより、前記スルホン酸/スルホン酸塩−基、又はスルホン酸アニオンを有するポリアミン(C)(付加物)を得る工程(反応工程)を有する製造方法が挙げられる。
この反応工程は、溶媒中で行なっても、有機溶媒と水との二相状態で行なっても、無溶媒で行なってもよい。使用し得る溶媒としては、特に限定されないが、例えば、エタノール、1−ブタノール、N,Nジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどの有機溶媒、水、イオン性流体等が挙げられる。使用する有機溶媒の沸点は、好ましくは60℃以上であり、より好ましくは、80℃以上であり、さらに好ましくは、100℃以上である。
この反応工程における反応液のpHは、好ましくは7以上である。反応液のpHを7以上とすることにより、ビニルスルホン酸類(A)のビニル基と、ポリアミン(B)のアミノ基との付加反応速度がより向上する傾向にある。
この反応工程において、ビニルスルホン酸類(A)の添加量に対するポリアミン(B)の添加量は、1.0〜100.0倍の範囲で規定できるが、好ましくは1.0〜5.0倍であり、より好ましくは1.0〜3.0倍であり、さらに好ましくは1.5〜2.5倍である。ビニルスルホン酸類(A)の添加量に対するポリアミン(B)の添加量が上記範囲内であることにより、反応効率がより向上する傾向にある。
この反応工程における反応温度は、特に限定されないが、好ましくは60℃以上反応液の沸点以下であり、より好ましくは70℃以上反応液の沸点以下であり、さらに好ましくは80℃以上反応液の沸点以下である。特に、溶媒として水、エタノール、又は1−ブタノールなどを用いた還流条件で反応工程を行なうことが好ましい。反応工程における反応温度が60℃以上であることにより、ビニルスルホン酸類(A)のビニル基と、ポリアミン(B)のアミノ基と、の付加反応速度がより向上する傾向にある。
この反応工程を無溶媒で行う場合、反応温度は、特に限定されないが、好ましくは60℃以上200℃以下であり、より好ましくは80℃以上180℃以下であり、さらに好ましくは100℃以上160℃以下である。ビニルスルホン酸類(A)及びポリアミン(B)が熱分解しない限り、反応温度が高いほど、ビニルスルホン酸類(A)のビニル基と、ポリアミン(B)のアミノ基との付加反応速度がより向上し、短時間で付加反応が完了する傾向にある。
この反応工程はフラスコ中に限定されることなく、ポリエチレンテレフタレート(PET)やガラスのプレート上で実施することも可能である。その場合、無溶媒でビニルスルホン酸類(A)とポリアミン(B)とを混合してもよく、それぞれを溶液にしてから混合してもよい。但し、均一性の観点から言えば、溶液を混合することが好ましい。
この反応工程をプレート上で行う場合、反応温度は、特に限定されないが、好ましくは60℃以上200℃以下であり、より好ましくは80℃以上180℃以下であり、さらに好ましくは100℃以上160℃以下である。ビニルスルホン酸類(A)及びポリアミン(B)が熱分解しない限り、反応温度が高いほど、ビニルスルホン酸類(A)のビニル基と、ポリアミン(B)のアミノ基との付加反応速度がより向上し、短時間で付加反応が完了する傾向にある。
これらの方法によれば、繁雑な装置を組む必要がないため、フラスコ中での反応に比べて、最終生成物を高収率、短時間で得ることが可能となる。
この反応工程により、ポリアミン(B)にスルホン酸/スルホン酸塩−基を導入することができる。その結果得られるスルホン酸/スルホン酸塩−基を有するポリアミン(C)は、水溶性、親水性、熱安定性、成膜性、プロトン移動性、又は酸性度がより向上する。
〔ビニルスルホン酸類(A)〕
ビニルスルホン酸類(A)は、少なくとも一つの不飽和基と、スルホン酸/スルホン酸塩−基を有する限り、特に限定されない。スルホン酸/スルホン酸塩−基は、下記式(a)で表される基である。
(式(a)中、Xは、水素原子、金属、ハロゲン原子又はアンモニウムカチオンである。)
ビニルスルホン酸類(A)は、ビニル基及びスルホン酸基を有することが好ましい。スルホン酸基は、−SO3Hで表される基である。このようなスルホン酸基を有するビニルスルホン酸類(A)を用いることにより、ビニルスルホン酸塩を原料として用いる場合と比較して、得られるスルホン酸基含有ポリアミン(C)中に不純物として含まれる金属の含有量を低減することができる。また、イオン交換樹脂又は電気透析による脱塩工程が不要となるため、製造コストを抑えることができ、イオン交換樹脂又は電気透析によるスルホン酸基含有ポリアミン(C)の収率の低下も抑えることができる。
ビニルスルホン酸類(A)としては、特に限定されないが、下記式(2)で表されるビニルスルホン酸類が好ましく、このなかでも反応性の観点からビニルスルホン酸がより好ましい。このようなビニルスルホン酸類(A)を用いることにより、スルホン酸密度の高いスルホン酸基含有ポリアミン(C)を得ることができる。また、ビニルスルホン酸を用いることによりスルホエチルアミノ基を有するスルホン酸基含有ポリアミン(C)を得ることができる。なお、ビニルスルホン酸類(A)は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
(上記式(2)中、R1、R2、及びR3は、各々独立して、水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、カルボニル基、アミノ基、イミノ基、シアノ基、アゾ基、アジ基、チオール基、スルホ基、ニトロ基、アシル基、アルデヒド基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニル基、又は置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基である。)
上記式(2)中、R1、R2、及びR3で表される炭素数1〜20のアルキル基としては、特に限定されないが、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、テキシル基、n−へプチル基、n−オクチル基、n−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、イソプロピル基、イソブチル基、ターシャリーブチル基、ネオペンチル基、2−ヘキシル基、2−オクチル基、2−デシル基、2−ドデシル基、2−ヘキサデシル基、2−オクタデシル基等の直鎖又は分岐状アルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、シクロデシル基、シクロドデシル基、シクロヘキサデシル基、シクロオクタデシル基等の環状アルキル基が挙げられる。
上記式(2)中、R1、R2、及びR3で表される炭素数1〜20のアルコキシ基としては、特に限定されないが、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、デシルオキシ基、ドデシルオキシ基、ヘキサデシルオキシ基、オクタデシルオキシ基が挙げられる。
上記式(2)中、R1、R2、及びR3で表される炭素数2〜20のアルケニル基としては、特に限定されないが、例えば、エチレン基、n−プロピレン基、n−ブチレン基、n−へキシレン基、n−ヘプチレン基、n−オクチレン基、n−ドデシレン基が挙げられる。
上記式(2)中、R1、R2、及びR3で表される炭素数6〜20のアリール基としては、特に限定されないが、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、クメニル基、ナフチル基が挙げられる。
また、上記式(2)中、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、及びアリール基の置換基としては、特に限定されないが、例えば、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、カルボニル基、アミノ基、イミノ基、シアノ基、アゾ基、アジ基、チオール基、スルホ基、ニトロ基、アシル基、又はアルデヒド基が挙げられる。
〔ポリアミン(B)〕
ポリアミン(B)は、アミノ基を1個以上有すればいかなるポリマーでも限定されない。1級、2級、3級アミノ基の種類、比率は全く限定されないが、例えば、ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、ポリエチレンイミン、ポリプロピレンイミン、ポリ(4−ビニルピリジン)、ポリ(アミノエチルメタクリレート)、ポリ[4−(N,N−ジメチルアミノメチルスチレン)]、及びこれらの共重合体が挙げられる。中でも、ポリアリルアミン、ポリエチレンイミン及びポリビニルアミンが熱安定性、成膜性の点から好適に用いられる。ポリアミン(B)の重量平均分子量は、好ましくは150〜1,000,000であり、より好ましくは300〜100,000である。ポリアミン(B)の重量平均分子量が前記範囲内であると、得られるポリアミン(C)の成膜性が向上する傾向にある。
ポリアミン(B)のアミノ基は、ビニルスルホン酸類(A)のビニル基に付加反応を生じる。なお、ポリアミン(B)は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
ポリアミン(B)は、各種官能基を有していてもよい。官能基としては、特に限定されないが、例えば、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニル基、又は置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基が挙げられる。ヒドロキシ基、カルボキシル基、エステル基、アミノ基、チオール基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、ハロゲン原子、酸無水物基、フラーレン、カーボンナノチューブ、グラフェン並びに各種ポリマー等も官能基として挙げられるが、特に限定されない。アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、及びアリール基の置換基としては、特に限定されないが、例えば、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、カルボニル基、アミノ基、イミノ基、シアノ基、アゾ基、アジ基、チオール基、スルホ基、ニトロ基、アシル基、又はアルデヒド基が挙げられる。なお、ポリアミン(B)は、同一又は異なる官能基を2個以上有していてもよい。
ポリアミン(B)は、上記以外の官能基を有してもよい。上記以外の官能基としては、特に限定されないが、例えば、アルコキシシリルアルキル基が挙げられる。
ポリアミン(B)の有する官能基が、カルボニル基である場合、該カルボニル基としては、特に限定されないが、例えば、tert−ブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル基、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基等の各種保護基が挙げられる。
〔用途〕
本実施形態のポリアミンは、電池材料やレジスト材料など、金属原子が悪影響を及ぼす用途の材料の原材料として好適に用いることができる。また、表面コート材の原料として、本実施形態のポリアミンを用いることにより、防曇性、防汚性を向上させたコート材を得ることができる。また、タッチパネルを含む各種積層の接着層として用いることが出来る。
さらに、本実施形態のポリアミンは、プロトン移動性を有することから、ポリアミンでありながら、イオン交換性のある安定な膜を製造することができる。
またさらに、原料のポリアミン(B)が疎水性重合体である場合、親水性がコントロールされた本実施形態のポリアミン(C)を得ることができる。
その他、本実施形態のポリアミンは、自動車、建材、電子部品等のコーティング剤、粘着性に優れたシート及び接着剤、塗料添加剤、各種オイル、ゴム製品の添加剤、又はシランカップリング剤、ガラス製品、シリカや金属を含む非水性粒子や金属等の各種材料の親水化剤又は分散剤として好適に用いることができる。
以下、本発明を実施例及び比較例を用いてより具体的に説明する。本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
〔核磁気共鳴スペクトル解析〕
下記実施例及び比較例で得られた各化合物について、核磁気共鳴スペクトル解析(NMR)により、下記の条件で測定した。
(測定条件)
測定機器 :DELTA2(JEOL製)又は、AVANCE III 400(Bruker製)
溶媒 :重水
化学シフト基準:溶媒により設定
〔金属含有量〕
下記実施例及び比較例で得られた各化合物中の金属含有量は、イオンクロマトグラフ法により測定した。具体的には、試料10mgを超純水10mLに溶解して、IC用サンプルを調製した。予め、濃度が分かっている標準液3点を用いて検量線を作成し、この検量線に基づいて絶対検量線法により、下記実施例及び比較例で得られた各化合物に含まれる金属含有量(ナトリウムカチオン)を算出した。
・測定装置
装置 :島津製作所製 製品名「LC−20ADsp、SIL−10Ai、CTO−20AC、CDD−10Asp、CBM−20A」
ガードカラム :島津製作所製 製品名「Shim−pac IC−GC4」
メインカラム :島津製作所製 製品名「Shim−pac IC−C4」
・測定条件
注入量 :50μL
移動相 :2.5mMシュウ酸水溶液
流量 :1.0mL/min
オーブン温度 :40℃
検出器温度 :43℃
〔ポリアミンの重量平均分子量〕
ポリアミンの重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)法により測定した。具体的には、標準溶液として、東ソー株式会社製の分子量900000、250000、107000、50000、21000、4100の各標準ポリエチレンオキサイドの水溶液を作成して検量線を作成し、この検量線に基づいて絶対検量線法により、ポリアミンの重量平均分子量を算出した。
・測定装置
装置 :東ソー株式会社製 高速GPC装置HLC−8320
・手法1
ガードカラム :東ソー株式会社製 TSK−GELのα
メインカラム :α−2500、α−3000及びα−4000を連結
測定条件
オーブン温度 :40℃
溶離液 :0.2mol/L 硝酸ナトリウム水溶液
流量 :1.0mL/min
検出器 :示差屈折率検出器
・手法2
ガードカラム :東ソー株式会社製 TSK−GELのPWXL−CP
メインカラム :G3000PWXL−CP及びG5000PWXL−CPを連結
測定条件
オーブン温度 :40℃
溶離液 :0.1mol/L 硝酸ナトリウム水溶液
流量 :1.0mL/min
検出器 :示差屈折率検出器
〔熱分解温度〕
下記実施例及び比較例で得られた各化合物のTG−DTA(熱重量−示差熱)を不活性ガス雰囲気下で測定した。具体的には、初期の重量から5質量%減少した時点での温度を5%熱分解温度(Td5)とした。また、加熱温度340℃時点での質量減少率(%)をTG340として表した。
・測定装置
装置 :株式会社リガク製 Thermo Mass Photo
昇温速度 :10℃/min
最終到達温度 :700℃
〔pH〕
下記実施例及び比較例で得られた各化合物の酸性度を測定した。具体的には、スルホン酸基が導入されたポリマー(下記実施例及び比較例で得られた各化合物)をイオン交換水にて10重量%水溶液とし、pHメーターにて、室温でのpHを測定した。
(測定装置:HORIBA社製 D−51 電極:MODEL9618)
〔成膜性〕
塗布基材として50×100mmのPET板(株式会社サンプラテック社製)を用い、塗工液として下記実施例及び比較例で得られた各化合物を用いた。塗布基材に塗工液をキャストし、130℃×10分、送風乾燥機法で乾燥し成膜した。成膜性は乾燥後のキャスト膜を目視し、ひび割れ(クラック)の有無により評価した。
〇:成膜性良好でひび割れ(クラック)無
×:成膜可能であったがひび割れ(クラック)有
〔膜接着性〕
前記成膜性試験により作成した膜を25マスの碁盤目試験に用いた。具体的には、膜に対してテープを張り付け、一方向に引っ張りながら剥がし、剥がれずに残存したマス目の数をカウントした。
〇:剥離マス目なし
×:成膜不可
〔膜親水性〕
前記成膜性試験により作成した膜に対しイオン交換水0.3mLを静かに滴下し、直ちにその水滴の直径を定規により測定した。該測定した直径の大きいものほど親水性が高いと評価した。
〔腐食性〕
下記実施例及び比較例で得られた各化合物の腐食性を測定した。具体的には、スルホン酸基が導入されたポリマー(下記実施例及び比較例で得られた各化合物)を含む10重量%水溶液を調製し、各水溶液に対して、蒸留水にて洗浄及び乾燥操作を施したSUSテストピースを浸し、90℃にて20時間加熱した。加熱終了後、テストピースを再び蒸留水にて洗浄及び乾燥し、加熱前後のテストピースの重量変化を測定した。また、目視で外観の変化を観察した。
〇:外観変化なし。
△:金属光沢を一部失った。
×:金属光沢を全面にわたり失った。
〔水分散性〕
酸化ジルコニウム(粒径75μm:関東化学製、粒径10μm:和光純薬製)の10重量%水溶液に対し、各スルホン酸ポリマー(下記実施例及び比較例で得られた各化合物)を酸化ジルコニウムに対して1重量%添加した。その後静置し、20時間後に酸化ジルコニウム粉末の分散度を目視により評価した。
◎:非常に良好。
〇:良好。
△:分散する。
×:沈殿多量。
−:データなし。
〔実施例1:VSA−ポリエチレンイミン(分子量600)〕
ナスフラスコ中、ビニルスルホン酸(以下「VSA」とも記す。)5.00gを462mLの蒸留水に溶解させ、ビニルスルホン酸に対して5等量のアミノ基を有するポリエチレンイミン(分子量600)9.96gを添加した。得られた溶液を50時間還流させた後、前記溶液から溶媒をエバポレーターにて除去した。得られた固形分を、オイルポンプで減圧乾燥することにより、VSA−ポリエチレンイミンである淡黄色固体15.31gを得た。
得られたVSA−ポリエチレンイミンの核磁気共鳴スペクトル解析結果は以下のとおりであった。また、VSA−ポリエチレンイミン及び原料ポリエチレンイミンの核磁気共鳴スペクトルのチャートをそれぞれ順に図1及び3に示す。
2.9−3.0ppm(2H、br.m、−C 2 −SO3H又は−C 2 −CH2−SO3H)
2.9−2.4ppm(22H、br.m、−C 2 −SO3H又は−C 2 −CH2−SO3H及びポリエチレンイミン内メチレン基)
上記の結果から、得られたVSA−ポリエチレンイミンにおけるアミノ基の一部が下記式(α1)で表される有機基と結合していたことが確認できた。
なお、イオンクロマトグラフィー分析によると、得られたVSA−ポリエチレンイミン中の金属含有量(Naカチオン)は128ppmであった。
〔実施例2:SVS−ポリエチレンイミン(分子量600)〕
ナスフラスコ中の蒸留水44.61mLに、28.5重量%のビニルスルホン酸ナトリウム(以下「SVS」とも記す。)水溶液2.17gと、ビニルスルホン酸ナトリウムに対して5等量のアミノ基を有するポリエチレンイミン(分子量600)1.01gを溶解させた。得られた溶液を50時間還流させた後、前記溶液から溶媒をエバポレーターにて除去した。得られた固形分を、オイルポンプで減圧乾燥することにより、SVS−ポリエチレンイミンの淡黄色固体1.63gを得た。
得られたSVS−ポリエチレンイミンの核磁気共鳴スペクトル解析結果は以下のとおりであった。また、SVS−ポリエチレンイミン及び原料ポリエチレンイミンの核磁気共鳴スペクトルのチャートをそれぞれ順に図2及び3に示す。
2.9−3.0ppm(2H、br.m、−C 2 −SO3Na又は−C 2 −CH2−SO3Na)
2.76−2.9ppm(2H、br.m、−C 2 −SO3Na又は−C 2 −CH2−SO3Na)
2.3−2.7ppm(20H、br.m、ポリエチレンイミン内メチレン基)
上記の結果から、得られたSVS−ポリエチレンイミンにおけるアミノ基の一部が下記式(α2)で表される有機基と結合していたことが確認できた。
なお、イオンクロマトグラフィー分析によると、得られたSVS−ポリエチレンイミンの金属含有量(Naカチオン)は107311ppmであった。
〔実施例3:VSA−ポリエチレンイミン(分子量10,000)〕
ナスフラスコ中、ビニルスルホン酸5.01gを23.2mLの蒸留水に溶解させ、ビニルスルホン酸に対して5等量のアミノ基を有するポリエチレンイミン(分子量10,000)9.96gを添加した。得られた溶液を50時間還流させた後、前記溶液から溶媒をエバポレーターにて除去した。得られた固形分を、オイルポンプで減圧乾燥することにより、VSA−ポリエチレンイミンである淡黄色固体15.27gを得た。
得られたVSA−ポリエチレンイミンの核磁気共鳴スペクトル解析結果は以下のとおりであった。また、VSA−ポリエチレンイミン及び原料ポリエチレンイミンの核磁気共鳴スペクトルをそれぞれ順に図4及び6に示す。
2.9−3.0ppm(2H、br.m、−C 2 −SO3H又は−C 2 −CH2−SO3H)
2.9−2.4ppm(22H、br.m、−C 2 −SO3H又は−C 2 −CH2−SO3H及びポリエチレンイミン内メチレン基)
上記の結果から、得られたVSA−ポリエチレンイミンにおけるアミノ基の一部が下記式(α1)で表される有機基と結合していたことが確認できた。
なお、イオンクロマトグラフィー分析によると、得られたVSA−ポリエチレンイミン中の金属含有量(Naカチオン)は78ppmであった。
〔実施例4:SVS−ポリエチレンイミン(分子量10,000)〕
ナスフラスコ中の蒸留水44.61gに、28.5重量%のビニルスルホン酸ナトリウム水溶液2.14gと、ビニルスルホン酸ナトリウムに対して5等量のアミノ基を有するポリエチレンイミン(分子量10,000)0.99gとを溶解させた。得られた溶液を50時間還流させた後、前記溶液から溶媒をエバポレーターにて除去した。得られた固形分を、オイルポンプで減圧乾燥することにより、約10mol%の未反応SVSを含むSVS−ポリエチレンイミンの淡黄色固体1.61gを得た。
得られたSVS−ポリエチレンイミンの核磁気共鳴スペクトル解析結果は以下のとおりであった。また、SVS−ポリエチレンイミン及び原料ポリエチレンイミンの核磁気共鳴スペクトルをそれぞれ順に図5及び6に示す。
2.9−3.0ppm(2H、br.m、−C 2 −SO3Na又は−C 2 −CH2−SO3Na)
2.76−2.9ppm(2H br.m、−C 2 −SO3Na又は−C 2 −CH2−SO3Na)
2.3−2.76ppm(20H、br.m、ポリエチレンイミン内メチレン基)
上記の結果から、得られたSVS−ポリエチレンイミンにおけるアミノ基の一部が下記式(α2)で表される有機基と結合していたことが確認できた。
なお、イオンクロマトグラフィー分析によると、得られたSVS−ポリエチレンイミンの金属含有量(Naカチオン)は127848ppmであった。
〔実施例5:VSA−ポリアリルアミン(分子量3,000)〕
ナスフラスコ中、ビニルスルホン酸5.00gを409.64mLの蒸留水に溶解させ、ビニルスルホン酸に対して5等量のアミノ基を有するポリアリルアミン(分子量3,000)20重量%水溶液66.01gを添加した。得られた溶液を50時間還流させた後、前記溶液から溶媒をエバポレーターにて除去した。得られた固形分を、オイルポンプで減圧乾燥することにより、VSA−ポリエチレンイミンである淡黄色固体23.52gを得た。
得られたVSA−ポリアリルアミンの核磁気共鳴スペクトル解析結果は以下のとおりであった。また、VSA−ポリアリルアミン及び原料ポリアリルアミンの核磁気共鳴スペクトルをそれぞれ順に図7及び9に示す。
2.9−3.0ppm(2H、br.m、−C 2 −SO3H又は−C 2 −CH2−SO3H)
2.75−2.9ppm(2H、br.m、−C 2 −SO3H又は−C 2 −CH2−SO3H)
2.3−2.75ppm(10H、br.m、−C 2 −NH−CH2−CH2−SO3H及び−C 2 −NH2
0.6−1.7ppm(15H、br.m、ポリアリルアミン骨格中メチレン基及びメチン基)
上記の結果から、得られたVSA−ポリアリルアミンにおけるアミノ基の一部が下記式(α1)で表される有機基と結合していたことが確認できた。
なお、イオンクロマトグラフィー分析によると、得られたVSA−ポリアリルアミン中の金属含有量(Naカチオン)は検出限界である0.1ppm以下であった。
〔実施例6:SVS−ポリアリルアミン(分子量3,000)〕
ナスフラスコ中の蒸留水39.33gに、28.5重量%のビニルスルホン酸ナトリウム水溶液2.11gと、ビニルスルホン酸ナトリウムに対して5等量のアミノ基を有するポリアリルアミン(分子量3,000)20重量%水溶液6.60gとを溶解させた。得られた溶液を50時間還流させた後、前記溶液から溶媒をエバポレーターにて除去した。得られた固形分を、オイルポンプで減圧乾燥することにより、SVS−ポリアリルアミンの淡黄色固体2.23gを得た。
得られたSVS−ポリアリルアミンの核磁気共鳴スペクトル解析結果は以下のとおりであった。また、SVS−ポリアリルアミン及び原料ポリアリルアミンの核磁気共鳴スペクトルをそれぞれ順に図8及び9に示す。
2.9−3.0ppm(2H、br.m、−C 2 −SO3Na又は−C 2 −CH2−SO3Na)
2.76−2.9ppm(2H、br.m、−C 2 −SO3Na又は−C 2 −CH2−SO3Na)
2.1−2.7ppm(10H、br.m、−C 2 −NH−CH2−CH2−SO3H及び−C 2 −NH 2
0.6−1.65ppm(15H、br.m、ポリアリルアミン骨格中メチレン基及びメチン基)
上記の結果から、得られたSVS−ポリアリルアミンにおけるアミノ基の一部が下記式(α2)で表される有機基と結合していたことが確認できた。
なお、イオンクロマトグラフィー分析によると、得られたSVS−ポリアリルアミンの金属含有量(Naカチオン)は103980ppmであった。
〔実施例7:VSA−ポリアリルアミン(分子量15,000)〕
ナスフラスコ中、ビニルスルホン酸5.00gを387.64mLの蒸留水に溶解させ、ビニルスルホン酸に対して5等量のアミノ基を有するポリアリルアミン(分子量15,000)15重量%水溶液88.02gを添加した。得られた溶液を50時間還流させた後、前記溶液から溶媒をエバポレーターにて除去した。得られた固形分を、オイルポンプで減圧乾燥することにより、VSA−ポリエチレンイミンである淡黄色固体20.07gを得た。
得られたVSA−ポリアリルアミンの核磁気共鳴スペクトル解析結果は以下のとおりであった。また、VSA−ポリアリルアミン及び原料ポリアリルアミンの核磁気共鳴スペクトルをそれぞれ順に図10及び12に示す。
2.89−3.0ppm(2H、br.m、−C 2 −SO3H又は−C 2 −CH2−SO3H)
2.78−2.89ppm(2H、br.m、−C 2 −SO3H又は−C 2 −CH2−SO3H)
2.3−2.75ppm(10H、br.m、−C 2 −NH−CH2−CH2−SO3H及び−C 2 −NH 2
1.35−1.7ppm(5H、br.m、ポリアリルアミン骨格中メチン基)
0.6−1.7ppm(10H、br.m、ポリアリルアミン骨格中メチレン基)
上記の結果から、得られたVSA−ポリアリルアミンにおけるアミノ基の一部が下記式(α1)で表される有機基と結合していたことが確認できた。
なお、イオンクロマトグラフィー分析によると、得られたVSA−ポリアリルアミン中の金属含有量(Naカチオン)は検出限界である0.1ppm以下であった。
〔実施例8:SVS−ポリアリルアミン(分子量15,000)〕
ナスフラスコ中の蒸留水37.11gに、28.5重量%のビニルスルホン酸ナトリウム水溶液2.17gと、ビニルスルホン酸ナトリウムに対して5等量のポリアリルアミン(分子量15,000)15重量%水溶液9.04gとを溶解させた。得られた溶液を50時間還流させた後、前記溶液から溶媒をエバポレーターにて除去した。得られた固形分を、オイルポンプで減圧乾燥することにより、SVS−ポリアリルアミンの淡黄色固体2.13gを得た。
得られたSVS−ポリアリルアミンの核磁気共鳴スペクトル解析結果は以下のとおりであった。核磁気共鳴スペクトルを図11に示す。また、SVS−ポリアリルアミン及び原料ポリアリルアミンの核磁気共鳴スペクトルをそれぞれ順に図11及び12に示す。
3.1−2.9ppm(2H、br.m、−C 2 −SO3Na又は−C 2 −CH2−SO3Na)
2.7−2.9ppm(2H、br.m、−C 2 −SO3Na又は−C 2 −CH2−SO3Na)
2.1−2.7ppm(10H、br.m、−C 2 −NH−CH2−CH2−SO3H及び−C 2 −NH 2
1.3−1.7ppm(5H、br.m、ポリアリルアミン骨格中メチン基)
0.5−1.3ppm(10H、br.m、ポリアリルアミン骨格中メチレン基)
上記の結果から、得られたSVS−ポリアリルアミンにおけるアミノ基の一部が下記式(α2)で表される有機基と結合していたことが確認できた。
なお、イオンクロマトグラフィー分析によると、得られたSVS−ポリアリルアミンの金属含有量(Naカチオン)は95886ppmであった。
〔実施例9:VSA−ポリエチレンイミン(分子量10,000)ガラスプレートレート上合成〕
ガラスシャーレ中、ビニルスルホン酸0.15gを11.2mLの蒸留水に溶解させ、ビニルスルホン酸に対して5等量のアミノ基を有するポリエチレンイミン(分子量10,000)10重量%水溶液3.02gを添加した。得られた溶液をガラスシャーレ内に薄く敷き、150℃で60分間加熱した。透明な膜を形成する固体であるVSA−ポリエチレンイミン0.53gを得た。
得られたVSA−ポリエチレンイミンの核磁気共鳴スペクトル解析結果は以下のとおりであった。核磁気共鳴スペクトルを図13に示す。また、VSA−ポリエチレンイミン及び原料ポリエチレンイミンの核磁気共鳴スペクトルをそれぞれ順に図13及び6に示す。
2.75−3.2ppm(12H、br.m、−C 2 −SO3H又は−C 2 −CH2−SO3H及びポリエチレンイミン内メチレン基)
2.2−2.75ppm(12H、br.m、−C 2 −SO3H又は−C 2 −CH2−SO3H及びポリエチレンイミン内メチレン基)
上記の結果から、得られたVSA−ポリエチレンイミンにおけるアミノ基の一部が下記式(α1)で表される有機基と結合していたことが確認できた。
なお、イオンクロマトグラフィー分析によると、得られたVSA−ポリエチレンイミン中の金属含有量(Naカチオン)は93ppmであった。
〔比較例1〜3:他のスルホン酸基含有ポリマー〕
以下の材料を用いて上記のとおり各特性を測定した。
比較例1:ポリスチレンスルホン酸(PSS);Aldrich社製 製品番号561223
比較例2:ポリ(2‐アクリルアミド‐2‐メチル‐1‐プロパンスルホン酸)(PAMPS);Aldrich社製 製品番号191973
比較例3:フッ素系スルホン酸ポリマー/Nafion(商標)DE2020;Aldrich社製 製品番号663492
上記実施例及び比較例で得られた各ポリマーの特性を表1に示す。
本実施形態のポリアミンは、自動車、建材、電子部品等のコーティング剤、粘着性に優れたシート及び接着剤、レジスト材料、燃料電池膜等電池材料、イオン交換膜、塗料添加剤、各種オイル、ゴム製品の添加剤、又はシランカップリング剤、ガラス製品、シリカや金属を含む非水性粒子や金属等の各種材料の親水化剤又は水分散剤として産業上の利用可能性を有する。

Claims (12)

  1. 一部又は全てのアミノ基が、下記式(1)で表される、スルホン酸基若しくはスルホン酸塩基を有する有機基、又は下記式(1’)で表される、スルホン酸アニオンを有する有機基と結合している、ポリアミン。
    (式(1)及び(1’)中、Yは、置換基を有してもよい炭素数1〜20のアルキレン基、置換基を有してもよいアルケニレン基又は置換基を有してもよいアリーレン基であり、Xは、水素原子、金属、ハロゲン原子又はアンモニウムカチオンである。)
  2. 全てのアミノ基が2級アミノ基である、請求項1に記載のポリアミン。
  3. 全てのアミノ基が3級アミノ基である、請求項1に記載のポリアミン。
  4. 1級及び2級アミノ基を有し、かつ3級アミノ基を有しない、請求項1に記載のポリアミン。
  5. 2級及び3級アミノ基を有し、かつ1級アミノ基を有しない、請求項1に記載のポリアミン。
  6. 1級及び3級アミノ基を有し、かつ2級アミノ基を有しない、請求項1に記載のポリアミン。
  7. 1級、2級及び3級アミノ基を同時に有する、請求項1に記載のポリアミン。
  8. 一部又は全てのアミノ基が4級アミノ基である、請求項1に記載のポリアミン。
  9. 式(1)又は(1’)中のYが、炭素数1〜6のアルキレン基である、請求項1〜8のいずれか一項に記載のポリアミン。
  10. 式(1)又は(1’)中のYが、エチレン基である、請求項1〜8のいずれか一項に記載のポリアミン。
  11. 請求項1〜10のいずれか一項に記載のポリアミンの製造方法であって、(A)少なくとも一つの不飽和基と、スルホン酸基又はスルホン酸塩基とを有する化合物と、(B)ポリアミンとを加熱し、付加物を製造する工程を含む、製造方法。
  12. (A)少なくとも一つの不飽和基と、スルホン酸基又はスルホン酸塩基とを有する化合物がビニルスルホン酸である、請求項11に記載の方法。
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