JP2010150356A - イオン性官能基含有エポキシ樹脂 - Google Patents

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Abstract

【課題】イオン伝導性の高いイオン性官能基含有エポキシ樹脂組成物の提供。
【解決手段】(A)1個のエポキシ基を有し、且つイオン性官能基を有する化合物、
(B)2個以上のエポキシ基を有する化合物、および
(C)下記式(1)で表される化合物

(上記式(1)において、R1、R2、R3およびR4は、それぞれ独立に水素原子または炭素数1〜20の置換もしくは非置換アルキル基を示し、R5およびR6は、それぞれ独立に炭素数2〜20の置換もしくは非置換アルキレン基を示す。nは5〜100の整数である。)を反応させてなる樹脂。
【選択図】なし

Description

本発明は、イオン性官能基を含有するエポキシ樹脂および該エポキシ樹脂により成形された成形体に関する。
イオン性液体は常温で液体状の溶融塩で、不揮発性、不燃性でイオン伝導性を示すことから、さまざまな電気化学デバイスへの応用が期待されている。しかし、イオン性液体は、液体であるため析出し易く、ブリード現象などが発生するため、その材料としての利便性を著しく損なう。そこで、電解質としての特性を保持したまま固形化すべく、種々の高分子材料にイオン性液体を封入する試みがなされている(特許文献1〜2)。
リチウムイオンバッテリーや電気二重層キャパシタ等の電気化学デバイスに使用される電解質材料として、これまでは主に有機系溶剤に電解質を溶解させた電解液が用いられてきたが、発火性や液漏れ等が問題となり、近年は高分子固体電解質やゲル電解質の開発が盛んに進められている。しかしながら、これらの材料においても電解質やゲルの可塑剤等の染み出しを完全に防ぐことは難しく実用化の妨げとなっている。
一方、エポキシ樹脂は、優れた接着性、強靭性、耐熱性、電気絶縁性、耐食性等を有する熱硬化性樹脂であることから、塗料や接着剤以外に、土木、建築分野およびコンポジット分野等、さらに電気機器、通信機等の精密機器に装着されている電気部品に広く使用されている。
特許文献2には、熱硬化性樹脂であるエポキシ樹脂において、イオン性液体を封入する試みがされているが、得られた形成体では、形成体の加工工程や使用中にイオン性液体の溶出による劣化が避けられず、問題となっていた。
これに対して、イオン性官能基を架橋性高分子の分子鎖上に化学結合により導入することでイオン対の一方をネットワークポリマー中に固定化すれば、材料からのイオンの染み出しが起こらない自立膜として、イオン伝導性を示す材料が合成できると期待される。
そこで、非特許文献1には、柔軟な鎖を持つ高分子ポリマーを形成し、側鎖にイオン性官能基を持つモノマーを固定さて光電変換高率を向上させる技術が報告されているが、これから得られたポリマーは着色し易い傾向がある。また、これまでにも、イオン性官能基を持つモノマーと架橋剤を用いてイオン伝導性を持つアクリル系あるいはエポキシ系のポリマーを合成する方法が報告されている(非特許文献2〜3)が、これらの場合には重合法が煩雑で重合開始剤等を添加する必要があり実用的でない。
そこで、特許文献3と4には極性の高いエポキシ系イオン性官能基を高分子ポリマーに重合させることで、イオン性官能基を持つモノマーに固定し、イオン伝導性のあるポリマー形成体を合成する方法が開示されている。しかしながら、特許文献3に用いられているポリマー形成体の構造では、イオン性官能基を固定化したとしても、ポリマー形成体に柔軟性を持たせる事ができず、高いイオン伝導性を期待できない。また、特許文献4の帯電防止製樹脂組成物に至っては、低収縮性、表面高度を有したハードコート膜について開示されており、柔軟でフレキシブルなポリマー形成体ではないため、高いイオン伝導性を達成する事が困難であった。
特開2007−70420号公報 国際公開第2007/018239号パンフレット 特開2007−9124号公報 特開2003−252952号公報 Polymer Preprints, Japan Vol. 54, No.1(2005)(1Pg161) "Preparation of thermally stable polymer electrolytes from imidazolium-type ionic liquid derivatives", H. Nakajima and H. Ohno, Polymer, 46, 11499-11504 (2005) ."Highly ion conductive flexible films composed of network polymers based on polymerizable ionic liquids", S. Washiro, M. Yoshizawa, H. Nakajima, and H. Ohno, Polymer, 45, 1577-1582 (2004)
本発明は前記課題を解消し、容易な製造方法で、イオン伝導性の高いフレキシブルなポリマーを得ることを目的とする。
そこで、本発明者らは、エポキシ基を2個有するエポキシ樹脂にイオン性官能基およびアミン系化合物を用いて反応させて得られた樹脂は、自立性のある膜として形成でき、優れた帯電防止能および高キャパシタ能を有した形成体になることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
(A)1個のエポキシ基を有し、且つイオン性官能基を有する化合物、
(B)2個以上のエポキシ基を有する化合物、および
(C)下記式(1)で表される化合物
(上記式(1)において、R1、R2、R3およびR4は、それぞれ独立に水素原子または炭素数1〜20の置換もしくは非置換アルキル基を示し、R5およびR6は、それぞれ独立に炭素数2〜20の置換もしくは非置換アルキレン基を示す。nは5〜100の整数である。)を反応させてなる樹脂を提供するものである。
また、本発明は、上記樹脂を用いて成形された成形体を提供するものである。
さらに本発明は、上記成分(A)および(B)を含む(I)成分と、上記成分(C)を含む(II)成分とからなるエポキシ樹脂用セットを提供するものである。
本発明のエポキシ樹脂組成物を用いれば、容易な製造方法によって電解質成分が染み出すことがなく、高いイオン伝導性を有し、溶媒中では膨潤するが乾燥させるともとの形状にもどる。流動しない材料の形状が安定した自立膜が得られる。
本発明によると、従来の帯電防止樹脂組成物より、帯電防止能に優れ、キャパシタ能を有した樹脂を提供する事ができる。化合物(C)の繰り返し単位数(n)が大きくなるほど、ポリマーの自由度が大きくなり、高いイオン伝導性を有する樹脂を提供することができる。
本発明の樹脂は、成分(A)、(B)および(C)を反応させてなる重合体を含むものである。
(A)1個のエポキシ基を有し、且つイオン性官能基を有する化合物
イオン性官能基とは、化合物の樹脂への結合pHにおいては部分的に静電気的に荷電し、化合物の樹脂からの放出pHにおいてはさらに荷電しているかまたは異なった極性のいずれかに荷電している基のことである。
イオン性官能基としては、アニオン性官能基およびカチオン性官能基のいずれも含まれる。アニオン性の官能基として、例えば、酸性基のアルカリ金属塩や、酸性基と有機アミンとの塩などが挙げられる。ここで、酸性基としてはカルボン酸基、スルホン酸基、硫酸基、リン酸基、スルホニルアミド基、スルホニルイミド基等が挙げられ、このうちカルボン酸基、およびスルホン酸基が好ましい。酸性基のアルカリ金属塩としては、Na塩、K塩などが挙げられ、具体的には−COO-Na+、−COO-+、−SO3 -Na+、等が挙げられる。酸性基と有機アミンとの塩としては、−COO- HN+abc、−SO3 - HN+def(Ra、Rb、Rc、Rd、Re、Rfはそれぞれ独立に、水素原子あるいは、置換基、例えば、水酸基、スルホンアミド基、N−スルホニルアミド基、炭素数1から6までのアシルオキシ基、炭素数1から6までのアルコキシ基、炭素数2から7までのアルコキシカルボニル基、シアノ基、炭酸エステル基などを示す)等が挙げられる。また、カチオン性の官能基として、下記一般式で表される塩も好適に挙げられる。
(式中、R7、R8およびR9はそれぞれ置換基を有していてもよい炭化水素基を示し、X-はアニオンを示す)
本発明の化合物(A)としては、1個のエポキシ基を有し、且つカチオン成分とアニオン成分とから構成される室温で液体の溶融塩が好ましく、イオン性官能基の融点としては、−100℃〜200℃が好ましく、−100℃〜160℃がより好ましく、−85℃〜100℃がさらに好ましい。
カチオン成分としては、正電荷を帯びていれば特に限定されないが、オニウムイオン、例えば非環状のテトラアルキルアンモニウムイオン、イミダゾリウムイオン、ホスホニウムイオン、スルホニウムイオン、金属イオン等が挙げられ、下記式(1−1)で表されるカチオン、金属イオンがより好ましい。
(式中、R10は、炭素数1〜20の窒素原子を有していてもよい炭化水素基を示し、R11およびR12は、それぞれ独立して水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基またはアラルキル基を示す。また、R10と式中のNとの結合部位は単結合または二重結合であり、R10と式中のNとの結合部位が二重結合を含む場合、R12は存在しない。X-はアニオンを示す。)
式(1−1)で表わされるカチオンのうち、下記式(1−2)のカチオンがより好ましい。
すなわち、式(1−2)で表わされるカチオンの具体例としては、R13、R14、R15が炭素数1〜20のアルキル基からなっており、より好ましくは夫々のR13、R14、R15がメチル基であることが好ましい。X-はアニオンを示す。
また、式(1−2)で表されるカチオン成分に付随するアニオン成分(X-)としては、負電荷を帯びていれば特に限定されないが、例えば、カルボン酸、スルホン酸、ジスルホニルアミノアニオン、無機酸アニオン、ルイス酸アニオン等が挙げられる。アニオン成分の具体例としては、Br-、AlCl4 -、Al2Cl7 -、NO3 -、BF4 -、PF6 -、CH3COO-、CF3COO-、CF3SO3 -、(CF3SO22-、(CF3SO23-、AsF6 -、SbF6 -、F(HF)n -、CF3CF2CF2CF2SO3 -、(CF3CF2SO22-、CF3CF2CF2COO-等が挙げられ、融点が低く、耐熱性が高い点でBF4 -、PF6 -、(CF3SO22-が好ましく、PF6 -、(CF3SO22-がより好ましい。
本発明において、具体的には以下の式(1−3)で表される4級アンモニウム塩が好ましい。これらの4級アンモニウム塩に単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。
本発明の樹脂中の(A)イオン性官能基を有する化合物の含有量は、エポキシ樹脂に電解質としての作用を発揮させる点から、5〜35重量%、さらに、10〜30重量%、特に、15〜30重量%であるのが好ましい。
(B)エポキシ基を2個有する化合物
エポキシ基を2個有する化合物としては、エポキシ基、グリシジル基、グリシジルオキシ基、グリシジルアミノ基等のエポキシ官能基を2個有するエポキシ樹脂であれば特に限定されないが、具体的には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、スピロ環型エポキシ樹脂、ビスフェノールアルカン類型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、臭素化クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリスヒドロキシメタン型エポキシ樹脂、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂、脂環型エポキシ樹脂、アルコール型エポキシ樹脂、エチレングリコールグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−へキサンジオールジグリシジルエーテル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエーテル、脂肪酸変性エポキシ樹脂、トルイジン型エポキシ樹脂、アニリン型エポキシ樹脂、アミノフェノール型エポキシ樹脂、ヒンダトイン型エポキシ樹脂、ジフェニルエーテル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ダイマー酸ジグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ダイマー酸ジグリシジルエーテル、シリコーン変性エポキシ樹脂、ケイ素含有エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂、NBR変性エポキシ樹脂、CTBN変性エポキシ樹脂、エポキシ化ポリブタジエンなどが挙げられる。
その中でもエチレングリコールグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテルが特に好ましい。このうち、これらの成分(B)は単独で、または2種以上を組み合わせて使用できる。
本発明の樹脂中の(B)エポキシ基を2個有する化合物の含有量は、イオン性液体の溶出防止の点から、5〜70重量%、さらに5〜45重量%、特に5〜30重量%であるのが好ましい。
本発明において、化合物(C)と化合物(A)と化合物(B)を反応させることで、高イオン伝導性を示し、自立性のある透明樹脂を得ることができる。
(C)化合物
本発明で用いられる化合物(C)は、下記式(1)
(上記式(1)において、R1、R2、R3およびR4は、それぞれ独立に水素原子または炭素数1〜20の置換もしくは非置換アルキル基を示し、R5およびR6は、それぞれ独立に炭素数2〜20の置換もしくは非置換アルキレン基を示す。nは5〜100の整数である。)で表される構造を有している。
式(1)中のR1〜R4としては、水素原子または炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、特に水素原子が好ましい。
ここで化合物(C)の式(1)の繰り返し単位(n)数が大きくなると、ポリマーとしての柔軟性が向上するため、ポリマーに固定化されたイオン性官能基の自由度が高くなり、イオン伝導性を向上させることができる。このイオン伝導性を向上させるために、化合物(C)の繰り返し単位数は、nが5〜100であり、好ましくはnが10〜100であり、より好ましくはnが20〜100であり、さらに好ましくはnが20〜90である。
式(1)中の−R5(−OR6−)nにおけるR5、R6は、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルキレン基であり、その炭素数は2〜6がより好ましい。このアルキレン基としては、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、ブチレン基、ペンタメチレン基等が挙げられる。このアルキレン基には、ヒドロキシ基;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;酢酸、アクリル酸、メタクリル酸等のエステル基;酸無水物に由来する基等が置換していてもよい。
上記式(1)の−R5(−OR6−)nを具体的に示すと、アルキレンポリ(オキシアルキレン)基;アルキレンポリ(グリセリン)アルキレン基等のヒドロキシが置換した基;メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ等のアルコキシ基置換アルキレンポリ(オキシ)アルキレン基;(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコール(メタ)アクリレート、(ポリ)グリセリン(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステルに由来する(メタ)アクリル酸エステルが置換した基;無水酢酸、無水フタル酸、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水ピロメリット酸等の酸無水物に由来する基が置換した基が挙げられる。さらに、本発明における化合物(C)中の式(2)としては、エチレンポリ(オキシエチレン基、プロピレンポリ(オキシプロピレン)基等のアルキレンポリ(オキシアルキレン)基、(ポリアルキレングリコールから誘導される基)がより好ましい。なお、上記例示において、(メタ)アクリルは、アクリルまたはメタクリルを意味する。
本発明の樹脂中の(C)化合物の含有量は、エポキシ樹脂にイオン伝導性を高める作用を発揮させる点から、50〜75重量%、好ましくは50〜70重量%の量を添加することが好ましい。また、必要に応じて硬化触媒とともに、硬化反応を促進する目的で硬化促進剤を併用することもできる。これらのポリマーを反応させることで、より自立膜としての柔軟性が向上し、ポリマー自体がフレキシブルに自由運動するため、イオン導電性を高めることができる。
(D)その他の化合物
また、上述した(A)〜(C)の化合物と併用して、下記に記すようなアミン類、フェノール類、酸無水物等を反応させても良い。
アミン類としては、ジエチルアミン、ジエチレントリアミン(DETA)、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン(TEPA)、1,6−ヘキサメチレンジアミン、ジプロピレントリアミン(DPTA)、1,2−ビス(2−アミノエトキシ)エタン、ジエチルアミノプロピルアミン、アミノエチルピペラジン、メンセンジアミン、メタキシリレンジアミン、ジシアンジアミド、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルフォン、メチレンジアニリン、メタフェニレンジアミン、イソホロンジアミン、m−キシレンジアミン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)等が挙げられる。
フェノール類としては、フェノール性水酸基を有するものであれば特に限定されないが、ビフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、ビスフェノールAノボラック、キシレン−ノボラック、メラミン−ノボラック、p−ヒドロキシスチレン(共)重合物およびこれらのハロゲン化物、アルキル基置換体等が挙げられる。
酸無水物としては、無水ヘキサヒドロフタル酸(HPA)、無水テトラヒドロフタル酸(THPA)、無水ピロメリット酸(PMDA)、無水クロレンド酸(HET)、無水ナディック酸(NA)、無水メチルナディック酸(MNA)、無水ドデシニルコハク酸(DDSA)、無水フタル酸(PA)、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸(MeHPA)、無水マレイン酸等がある。
これらの硬化剤は単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、添加剤として、例えば、アミン類、カルボン酸類、酸無水物、ジシアンジアミド、二塩基酸ジヒドラジド、イミダゾール類、有機ボロン、有機ホスフィン、グアニジン類およびこれらの塩などが挙げられ、これらは1種単独または2種以上を組み合わせて併用することができる。
(E)エポキシ樹脂中の(A)、(B)、(C)成分の含有質量比率
本発明のエポキシ樹脂中の、成分(A)と成分(B)と成分(C)の含有質量比(A:B:C)は、1:0.5〜20:1〜40、さらに1:0.5〜10:1〜20が好ましい。特に化合物(C)成分の質量を大きくすることでイオン伝導性が向上する。
(F)エポキシ樹脂用セット(液キット)
本発明のエポキシ樹脂は、例えば、成分(A)、(B)および(C)の各成分と、必要に応じて溶剤その他の成分とを混合することによって製造することができる。エポキシ樹脂の製造方法としては、従来公知の方法を適宜使用することができ、各成分を一度に、あるいは任意の順序で加えて撹拌、混合、分散すればよい。また、本発明のエポキシ樹脂は、化合物(A)、化合物(B)、化合物(C)を混合してから硬化するまでの時間が短いため、化合物(A)、化合物(B)を混合してなる(I)成分と、化合物(C)からなる(II)成分とを夫々で保管することで、貯蔵安定性が向上しやすくなる。
本発明に係るエポキシ樹脂は、必要に応じて、無機フィラー、密着助剤、高分子添加剤、反応性希釈剤、レベリング剤、濡れ性改良剤、界面活性剤、可塑剤、帯電防止剤、無機充填剤、防カビ剤、調湿剤、難燃剤などを含んでいてもよい。これらの添加剤は本発明の効果を損なわない範囲で使用することができる。
本発明のエポキシ樹脂は、熱硬化させることによって、イオン性官能基が固定され、イオン性官能基の溶出が防止された形成体を得ることができる。また、得られた形成体は、エポキシ樹脂特有の機械的特性、電気特性、接着性、耐熱性、耐薬品性、耐溶剤性等の特性を有し、且つ電解質としての特性も有する。特に熱硬化性フィルムの形態にすることが好ましく、フィルムの形態とすることにより、帯電防止フィルム、耐熱フィルム、難燃フィルム、接着フィルム、イオン伝導性フィルム、導電性フィルム等に特に有用である。
以下、実施例を挙げて、本発明の実施の形態をさらに具体的に説明する。但し、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。
本実施例に用いた試薬は以下の通りである。
1.グリシジルトリメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(以下GTMATFSIと称する):既報(文献3)に従い合成した。
2.エチレングリコールジグリシジルエーテル(以下EGGEと称する):東京化成の市販品を蒸留して使用。
3.ポリ(プロピレングリコール)ジグリシジルエーテル(以下PPOGEと称する)(Mw=640):Aldrich社製。
4.ポリ(エチレングリコール)ジグリシジルエーテル(以下PEGGEと称する)(Mw=526):Aldrich社製。
5.エチレングリコールビス(2−アミノエチル)エーテル(以下BAEと称する):東京化成社製。
6.ヘキサメチレンジアミン(HMDA):和光純薬社製。
7.ポリ(プロピレングリコール)ビス(2−アミノプロピル)エーテル(PPOBA)(Mw=400):Aldrich社製。
8.ポリ(エチレングリコール)ビス(3−アミノプロピル)エーテル(PEGBA)(Mw=1500):Aldrich社製。
(エポキシ硬化用の型の作成)
表面にフッ素樹脂テープ(Permacel P422)を貼り付けた2枚のスライドガラスに18mm×55mmの切り込みを入れた凹型のポリテトラフルオロエチレン製シート(厚み0.5mm)をスペーサーとして挟みエポキシ硬化フィルム調製用のフッ素樹脂の型を作成した。
実施例1:種々のエポキシ樹脂とアミン硬化剤を用いたイオン性官能基を持つネットワークポリマーフィルムの合成
表1の仕込み量に従い、エポキシ樹脂、イオン性エポキシの混合物にアミン硬化剤(全エポキシ基に対して化学量論量)を加え、混合物をよく練り混ぜた後、上述のエポキシ硬化用のフッ素樹脂の型に流し込み100℃で7時間加熱した。室温まで冷却後フッ素樹脂の型をはずして黄色透明あるいは無色透明のエポキシ形成体を得た。硬化物(15mm×5mm)を切り出し、メタノール50mL中に2時間浸漬した後形成体を取り出しメタノールで洗浄した。この操作を3回行った後、一晩風乾し、さらに電気乾燥機を用いて100℃で3時間加熱乾燥させイオン基を持つエポキシ硬化樹脂を合成した。
実施例2:イオン基含有率の異なるEGGE/GTMATFSI/PEGBAのネットワークポリマーフィルムの合成
表2の仕込み量に従い、エポキシ樹脂、イオン性エポキシの混合物にアミン硬化剤(全エポキシ基に対して化学量論量)を加え、混合物をよく練り混ぜた後、上述のエポキシ硬化用のフッ素樹脂の型に流し込み100℃で7時間加熱した。室温まで冷却後フッ素樹脂の型をはずして黄色透明あるいは無色透明のエポキシ形成体を得た。硬化物(15mm×5mm)を切り出し、メタノール50mL中に2時間浸漬した後形成体を取り出しメタノールで洗浄した。この操作を3回行った後、一晩風乾し、さらに電気乾燥機を用いて100℃で3時間加熱乾燥させイオン基を持つエポキシ硬化樹脂を合成した。
実施例3:イオン基含有率の異なるPEGGE/GTMATFSI/PEGBAのネットワークポリマーフィルムの合成
表3の仕込み量に従い、エポキシ樹脂、イオン性エポキシの混合物にアミン硬化剤(全エポキシ基に対して化学量論量)を加え、混合物をよく練り混ぜた後、上述のエポキシ硬化用のフッ素樹脂の型に流し込み100℃で7時間加熱した。室温まで冷却後フッ素樹脂の型をはずして黄色透明あるいは無色透明のエポキシ形成体を得た。硬化物(15mm×5mm)を切り出し、メタノール50mL中に2時間浸漬した後形成体を取り出しメタノールで洗浄した。この操作を3回行った後、一晩風乾し、さらに電気乾燥機を用いて100℃で3時間加熱乾燥させイオン基を持つエポキシ硬化樹脂を合成した。
実施例4:フィルムのイオン電導度測定
洗浄および乾燥済みサンプルに関して、交流4端子法によりインピーダンスを測定し、その絶対値からイオン電導度を求めた。(HIOKI 3532−80 Chemical impedance meter,9140 4端子プローブ,電圧:50mV,測定周波数:4Hz〜100KHz)
結果を図1〜図5に示す。
1)イオン性官能基を持つエポキシ化合物GTMATFSIと種々の2官能性エポキシ樹脂の混合物にアミン系化合物を加え、反応させてえられた材料は高いイオン伝導性を示した。特に、PEGBAを用いて合成される材料が高いイオン伝導性を示した(図1)。
2)また、イオン伝導度は、GTMATFSIの含有率が高い材料ほど高くなった(図2、3)。
3)温度上昇にともないイオン伝導度が上昇した(図4、5)。
GTMATFSI含有エポキシ硬化樹脂のイオン電導度を示す。 種々のGTMATFSI含有率を持つEGGE/GTMATFSI/PEGGEのイオン電導度を示す。 種々のGTMATFSI含有率を持つPEGGE/GTMATFSI/PEGGEのイオン電導度を示す。 種々の温度下でのEGGE/GTMATFSI−1.2/PEGBAのイオン電導度を示す。 種々の温度下でのPEGGE/GTMATFSI−1.2/PEGBAのイオン電導度を示す。

Claims (8)

  1. (A)1個のエポキシ基を有し、且つイオン性官能基を有する化合物、
    (B)2個以上のエポキシ基を有する化合物、および
    (C)下記式(1)で表される化合物
    (上記式(1)において、R1、R2、R3およびR4は、それぞれ独立に水素原子または炭素数1〜20の置換もしくは非置換アルキル基を示し、R5およびR6は、それぞれ独立に炭素数2〜20の置換もしくは非置換アルキレン基を示す。nは5〜100の整数である。)を反応させてなる樹脂。
  2. 前記化合物(C)において、nが10〜100である請求項1に記載の樹脂。
  3. 式(1)の−R5(−OR6−)nにおいて、R5およびR6がエチレン基である請求項1または2に記載の樹脂。
  4. 前記化合物(A)がカチオン性官能基を有する化合物である請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂。
  5. 前記化合物(A)がアンモニウム基を有する化合物である請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の樹脂を用いて成形された成形体。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の樹脂を用いて成形されたフィルム。
  8. (A)1個のエポキシ基を有し、イオン性官能基を有する化合物、および(B)2個以上のエポキシ基を有する化合物を含む(I)成分と、
    (C)記式(1)で表される化合物
    (上記式(1)において、R1、R2、R3およびR4は、それぞれ独立に水素原子または炭素数1〜20の置換もしくは非置換アルキル基を示し、R5およびR6は、それぞれ独立に炭素数2〜20の置換もしくは非置換アルキレン基を示す。nは5〜100の整数である。)を含む(II)成分とからなるエポキシ樹脂用セット。
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