JP2016013075A - ケルセチン含有抽出物 - Google Patents

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大輔 中原
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Abstract

【課題】タマネギを原料とする抽出によるケルセチン含有抽出物であり、ケルセチン純度が高く、水溶性成分の含有量が低いために吸湿率が低く、変色等の不具合が起こりにくい、粉末や固形状態での長期保管が可能である、保管に特段の管理が不要であるなど、取り扱いが容易なケルセチン含有抽出物を得ること。
【解決手段】タマネギより抽出したケルセチン含有抽出物であって、ケルセチン純度が7%以上であり、水溶性成分の含有量が90質量%以下であるケルセチン含有抽出物。
【選択図】図1

Description

本発明はタマネギを原料とするケルセチン含有抽出物に関する。特に、特定のケルセチン純度および水溶性成分含有量を示すケルセチン含有抽出物に関する。
フラボノール類に属する機能性成分であるケルセチンは強い抗酸化作用や、抗炎症作用、動脈硬化防止作用を有し、健康食品などに幅広く使用されている。
従来、ケルセチンはタマネギ(特に外皮)に多く含まれていることが知られており、タマネギから熱水抽出や溶剤抽出によって抽出し、その抽出液を濃縮・乾燥することでケルセチン含有抽出物が調製され、健康食品などに使用されている。
そこで、抽出物中のケルセチン純度(濃度)を高くする、すなわち不純物を減少させるための方法が種々検討されている。例えば、特許文献1には、ケルセチン含有植物原料から水性溶媒に抽出したケルセチン含有液と蛋白質を混合することを特徴とするケルセチン含有物の製造方法が記載されている。
特開2005−289850号公報
タマネギを原料とするケルセチン含有抽出物は、抽出工程の後に乾燥工程を行い粉末状や固形状にし、使用および保管することが一般的である。しかしながら、従来のケルセチン含有抽出物は吸湿率が高く、大気中の水蒸気を吸収してドロドロの液体状になってしまうなど、取り扱いが困難であるという問題があった。
また、特許文献1に記載された方法では、pHを調整する工程、蛋白質を添加、混合する工程、蛋白質に吸着したケルセチンを遊離させる工程が必要であり、操作が煩雑で簡便ではないという問題がある。そして、当該方法によって製造されたケルセチン含有物も吸湿率が高く、大気中の水蒸気を吸湿してドロドロの液体状になってしまうなど、取り扱いが困難であるという問題がある。
本発明はこれらの問題に鑑みてなされたものであり、タマネギを原料とする抽出によるケルセチン含有抽出物であり、ケルセチン純度が高く、水溶性成分の含有量が低いために吸湿率が低く、変色等の不具合が起こりにくい、粉末や固形状態での長期保管が可能である、保管に特段の管理が不要であるなど、取り扱いが容易なケルセチン含有抽出物を得ることを目的とする。
本発明は、タマネギより抽出したケルセチン含有抽出物であって、ケルセチン純度が7%以上であり、水溶性成分の含有量が90質量%以下であるケルセチン含有抽出物に関する。
吸湿率が50質量%以下のケルセチン含有抽出物であることが好ましい。
タマネギを原料として熱水により抽出し、ケルセチン含有抽出液を得る抽出工程、を含む製造方法により製造されたケルセチン含有抽出物であることが好ましい。
タマネギを原料として熱水により抽出し、ケルセチン含有抽出液を得る抽出工程、
ケルセチン含有抽出液と原料残渣とを分離する固液分離工程1、
ケルセチン含有抽出液に含まれるケルセチンを結晶化させる結晶化工程、および
結晶化物を回収する固液分離工程2、
を含む製造方法により製造されたケルセチン含有抽出物であることが好ましい。
抽出工程における熱水の温度が60〜150℃であることが好ましい。
結晶化工程が、ケルセチン含有抽出液を冷却してケルセチンを結晶化させる工程であることが好ましい。
本発明のタマネギより抽出したケルセチン含有抽出物であって、ケルセチン純度が7%以上であり、水溶性成分の含有量が90質量%以下であるケルセチン含有抽出物によれば、ケルセチン純度が高く、水溶性成分の含有量が低いために吸湿率が低く、変色等の不具合が起こりにくい、粉末や固形状態での長期保管が可能である、保管に特段の管理が不要であるなど、取り扱いが容易なケルセチン含有抽出物を得ることができる。また、本発明のケルセチン含有抽出物によれば、単位量あたりのケルセチン量が多いことから、機能的効果が得られやすいケルセチン含有抽出物を得ることができる。
実施例および比較例の抽出物中における成分割合を示すグラフである。
本発明に係るケルセチン含有抽出物は、タマネギより抽出したケルセチン含有抽出物であり、特定のケルセチン純度および水溶性成分含有量を示すケルセチン含有抽出物とすることにより、ケルセチン純度が高く、取り扱いが容易なケルセチン含有抽出物であることを特徴とする。
タマネギより抽出されたケルセチン含有抽出物に含まれる成分は、常温(例えば23℃)の水に可溶な水溶性成分と、不溶な不溶性成分とからなる。さらに、ケルセチンは不溶性成分であることから、不溶性成分はケルセチン成分とその他の不溶性成分とからなる。すなわち、該ケルセチン含有抽出物は、水溶性成分、ケルセチン成分およびその他の不溶性成分からなる。
前記ケルセチン成分は、ケルセチン含有抽出物中の有効成分であり、抗酸化作用や、抗炎症作用、動脈硬化防止作用などの機能的効果を有する成分である。なお、タマネギには、ケルセチンに1または2〜3個の糖が結合した配糖体と呼ばれる成分も含まれるが、この配糖体も本発明のケルセチン成分に含まれるものとする。また、一般的にケルセチンや前記配糖体に水が結合した水和物(最も一般的には1−2水和物)も知られているがこれらの水和物も本発明のケルセチン成分に含まれるものとする。
本発明のケルセチン含有抽出物中のケルセチン純度(ケルセチン成分の含有量)は、ケルセチンによる機能的効果が効率良く得られるという理由から7質量%以上であり、10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましい。なお、本発明におけるケルセチン純度は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による成分分析結果から算出した値とする。
前記その他の不溶性成分とは、ケルセチン成分以外の不溶性成分であり、タマネギの抽出物中のケルセチン以外のその他のポリフェノール、繊維成分、灰分などが含まれることが推測される。本発明のケルセチン含有抽出物中のその他の不溶性成分は、少なくとも0.1質量%以上含まれてしまう傾向があるが、含有量が少ないことが好ましく、20質量%以下であることが好ましい。
前記水溶性成分とは、常温(例えば23℃)の水に可溶な成分であり、粉末または固形状のケルセチン含有抽出物中に多量に存在すると、大気中の水蒸気を吸収しやすくなり、すなわち吸湿率が高くなり、取り扱いが困難なケルセチン含有抽出物となる。なお、該水溶性成分にはタマネギの抽出物中の炭水化物などが含まれるものと推測される。
本発明のケルセチン含有抽出物中の水溶性成分の含有量は、90質量%以下であり、75質量%以下が好ましく、60質量%以下がより好ましく、50質量%以下がさらに好ましい。水溶性成分の含有量が90質量%を超える場合は、吸湿率が高くなり、取り扱いが困難となる。水溶性成分の含有量の下限は特に限定されず、0質量%であることが最も好ましい。
本発明のケルセチン含有抽出物中の吸湿率は、50質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、22質量%以下がさらに好ましく、15質量%以下が最も好ましい。吸湿率が50質量%を超える場合は、ケルセチン含有抽出物の取り扱いが困難となる傾向がある。吸湿率の下限は特に限定されず、0質量%であることが最も好ましい。なお、本発明における吸湿率は、抽出物を温度40℃および湿度95%RH以上で1週間静置した際の吸湿率とする。
本発明のケルセチン含有抽出物の製造方法の一例として、タマネギを溶媒により抽出し、ケルセチン含有抽出液を得る抽出工程、抽出液と原料残渣とを分離する固液分離工程1、ケルセチンを結晶化させる結晶化工程、および結晶化物を回収する固液分離工程2、を含むケルセチン含有抽出物の製造方法を説明する。当該製造方法によれば、タマネギを原料とする抽出による製造方法であるにもかかわらず、本願発明に係るケルセチン含有抽出物を容易に製造することができる。なお、当該製造方法以外で製造されたケルセチン含有抽出物が本発明のケルセチン含有抽出物に含まれることを否定するものではない。
原料
原料となるタマネギとしては、ヒガンバナ科ネギ属のタマネギに分類される植物の球根部(以下、単にタマネギとも記載する)であれば特に限定されない。品種によりバラつきはあるものの、タマネギの球根部にケルセチンが含まれていることから、品種に限定されることなく本発明における原料として用いることができる。また、使用するタマネギの部位としてはケルセチンが最も多く含まれている外皮部分が最も好ましいが、外皮部分より内側の可食部との中間に位置する内皮や、可食部にもケルセチンが含まれているため、これらの各部位または各部位の混合物を原料として用いることができる。なかでも、不純物が多く含まれており本発明の効果をより発揮できるという点から外皮部分を含む混合物を原料とすることが好ましく、外皮部分のみを原料とすることがより好ましい。タマネギの品種、部位によるケルセチン含量の詳細については、たとえばN.Beesk et al., Food Chemistry, 122(2010)566.などの文献により広く知られている。
タマネギの状態として、水分を多く含んだ生の状態、乾燥した状態(絶乾状態)、多少の水分を飛ばした半乾燥状態などが考えられるが、いずれの状態のタマネギを用いてもよい。また、抽出に用いるタマネギは原形のままでもよいが、鱗葉をばらしたものや、粉砕したものを用いることもできる。なお、土などの汚れは水洗いやエアー、ブラシなどにより洗浄して取り除いたものを用いることがより好ましい。タマネギ皮最外層の、栽培において土に接触している皮のみを取り除くだけでも汚れを格段に減らすことができる。
抽出工程
抽出工程は、前記タマネギを所定の溶媒により抽出し、ケルセチン含有抽出液を得る工程である。
抽出工程に用いる溶媒としては、熱水、エタノールなどの有機溶媒が挙げられる。なかでも、操作が簡便であり、ケルセチンの抽出効率に優れるという理由から熱水が好ましい。前記熱水としては、特に限定はなく水道水、蒸留水、井戸水など、食品用途に使用できる水に熱を加えたものを用いることができる。
溶媒の液量は絶乾状態のタマネギの質量の5倍以上が好ましく、30倍以上がより好ましい。溶媒の液量は少ないほど以降の工程の操作がより簡便になるが、溶媒の液量が5倍未満の場合は抽出効率が悪化する傾向がある。また、液量は200倍以下が好ましい。200倍より多く用いても抽出効率の向上は見られないし、溶媒の量を増やし過ぎると以降の工程の簡便性が低下する傾向がある。
また、熱水を溶媒とする場合の抽出温度(溶媒の温度)は60℃以上が好ましく、60〜150℃がより好ましく、90〜99℃がさらに好ましい。抽出温度が60℃未満の場合はタマネギから成分が溶出しにくく、抽出効率が悪化する傾向があり、ケルセチンの収量が向上しない。また、150℃を超える場合はケルセチンが分解してしまい、抽出効率が悪化する傾向があり、ケルセチンの収量が向上しない。抽出温度を90〜99℃で行うことは、タマネギから成分の溶出がしやすく、かつ、ケルセチンが分解しにくいので、最も抽出効率がよくなる。
抽出時間は5分以上が好ましく、30分以上がより好ましい。抽出時間が5分未満の場合はタマネギから成分が溶出しにくく、抽出効率が悪化する傾向があり、ケルセチンの収量が向上しない。また、3時間を超えて抽出しても抽出効率の向上は見られないことから、抽出時間は3時間以下が好ましい。
抽出工程で使用する容器としては前記抽出温度に耐え得る容器であれば特に限定されず、ステンレスなどの金属製、セラミック製、樹脂製、ガラス製などの各種容器を用いることができる。特に100℃近く、もしくは100℃を超える抽出温度では、溶媒の蒸発を防ぐことができるという理由から市販の圧力鍋やオートクレーブなどの金属製の密閉容器、セラミック製の密封容器を用いることが好ましい。
固液分離工程1
固液分離工程1は、前記抽出工程で得られたケルセチン含有抽出液と原料残渣とを分離する工程である。
固液分離工程1としては、ろ過、デカンテーション、スクリュープレス、ローラープレス、ロータリードラムスクリーン、ベルトスクリーン、振動スクリーン、多重板振動フィルター、真空脱水、加圧脱水、ベルトプレス、遠心分離、遠心脱水、多重円板脱水などの方法を採用することができる。なかでも、操作が簡便であるという理由からはデカンテーションが好ましく、分離効率に優れるという理由からはろ過や遠心脱水などが好ましい。
前記ろ過に用いるろ材としては、特に限定はなく不織布、織布、セルロースろ紙、ガラスろ紙などの公知のろ紙やフィルターを用いることができる。固液分離工程1におけるろ物は原料残渣であるから、比較的目の粗い不織布、織布、孔径の大きなセルロースろ紙やガラスろ紙、ナイロンメッシュ、ポリエステルメッシュ、ポリプロピレンメッシュ、ポリエチレンメッシュ、アフロンメッシュ、交点溶着メッシュ、金属メッシュを用いてもよい。
また、固液分離工程1は、前記抽出工程の直後に行うことも、抽出液の温度が低下してから行うこともできる。なお、抽出液の温度が低下してから行う場合であっても、60℃未満まで低下すると、ケルセチンが結晶化しやすくなり、適切なろ紙やフィルターの選定が必要となるため60℃以上の状態で行うことが好ましい。適切なろ紙やフィルターの選定により、結晶化したケルセチンよりも孔径が大きく、原料残渣よりも孔径が小さなフィルターなどが使用可能であれば、固液分離工程1の抽出液の温度は60℃未満であってもかまわない。
結晶化工程
結晶化工程は、ケルセチンの水の温度に対する溶解度の差を利用し、抽出液に溶解しているケルセチンを結晶化させる工程であり、固液分離工程1で得られたケルセチン含有抽出液を所定の温度まで冷却してケルセチンを結晶化させる工程とすることができる。なお、ここで記載している「結晶化工程」とは抽出液からケルセチンを含む沈殿物が析出してくる工程であり、当然のごとくケルセチンと似た溶解度を持つ非晶質体を含んだ他の物質も析出してくる。またケルセチン自体もその析出粒子形態が微小であったり、析出に当たって水やその他物質を取り込んでしまったりすると、いわゆる原子や分子が規則正しく配列した「結晶」とはならず、その一部、もしくは大部分が非晶質体として析出してくることもあるが、ここではこのような広義の意味を含めて「結晶化工程」の用語を使用している。
ケルセチンの結晶化は、熱水抽出温度よりも10℃以上低い温度まで冷却することで徐々に始まるが、冷却後の温度(冷却温度)が60℃以上では結晶化が十分ではなく、抽出効率が悪化する傾向があることから、結晶化工程における冷却温度は、60℃未満が好ましく、40℃以下がより好ましい。また、冷却温度の下限は抽出液が凍結しない温度であれば特に限定されない。
冷却方法は、水などの冷媒を用いた急冷とすることも、自然放置や風冷などの徐冷とすることもできる。ケルセチンの結晶が比較的大きな結晶となり、後述の固液分離工程2などが容易になるという点、後述する粒成長工程が不必要となる場合があるという点から徐冷が好ましい。
冷却時間は5分以上が好ましく、30分以上がより好ましい。冷却時間が5分未満の場合は結晶化が十分ではなく、抽出効率が悪化する傾向がある。また、24時間を超えて冷却しても結晶化の進展は見られないことから、冷却時間は24時間以下が好ましい。なお、本発明における冷却時間は、抽出液が目標とする冷却温度に達してからの時間とする。
粒成長工程
前記結晶化工程の後、結晶化工程で得られたケルセチンの結晶化物を粒成長させる、つまり結晶を粗大化させる、粒成長工程を行うことが好ましい。当該工程により結晶化物を粗大化させることで、後述の固液分離工程2などをより簡便に行うことができる。
粒成長は、結晶化物を含む抽出液を再加熱することで開始させることができる。再加熱温度は結晶化工程における冷却温度より10℃以上高い温度が好ましく、再加熱後の温度(再加熱温度)を4〜80℃の範囲内とすることが好ましく、20〜70℃の範囲内とすることがより好ましい。再加熱温度が4℃未満の場合は粒成長効率が悪くなる傾向がある。また、80℃を超える場合は沈殿物や結晶化物が再溶解してしまう傾向がある。再加熱温度を20〜70℃の範囲とすることが、粒成長効率がよく、沈殿物や結晶化物が再溶解されにくいという理由から好ましい。
再加熱時間は5分以上が好ましく、60分以上がより好ましい。再加熱時間が5分未満の場合は粗大化が不十分となる傾向がある。また、12時間を超えて再加熱しても粗大化進展は見られないことから、再加熱時間は12時間以下が好ましい。なお、本発明における再加熱時間は、抽出液が目標とする再加熱温度に達してからの時間とする。
なお、一度の粒成長工程では結晶化物の粗大化が不十分な場合は、前記の結晶化工程(冷却)および粒成長工程(再加熱)を繰り返し行うことで結晶化物の粗大化が改善する場合がある。
固液分離工程2
固液分離工程2は、前記結晶化工程で得られた結晶化物を含む沈殿、または前記粒成長工程を行った場合は得られた粗大化した結晶化物を含む沈殿を回収する工程である。ケルセチンの結晶化物を含む沈殿を回収し、不純物を多く含む液相を除くことでケルセチンの純度を高めることができる。また、多く液相を除くことができるため、粉末や固形状のケルセチン含有抽出物を調製する場合であっても簡便に残りの液相を揮発させることができる。
固液分離工程2としては、前述の固液分離工程1と同様の方法を採用することができる。なかでも、操作が簡便であるという理由からはデカンテーションが好ましく、分離効率に優れるという理由からはろ過や、遠心分離などが好ましい。
当該ろ過に用いるろ材としても前述の固液分離工程1と同様のろ材を用いることができる。ただし、固液分離工程2におけるろ物は結晶化物を含む沈殿であることから比較的目の細かい不織布、織布、セルロースろ紙やガラスろ紙、ナイロンメッシュ、ポリエステルメッシュ、ポリプロピレンメッシュ、ポリエチレンメッシュ、アフロンメッシュ、交点溶着メッシュ、金属メッシュなどを用いることが好ましい。
後処理工程
後処理工程は前記固液分離工程2で回収された沈殿を保存に適した形態や、健康食品などに加工しやすい形態に処理する工程である。
固液分離工程2で回収された沈殿は水分を含むスラリー状である。後処理工程としては、スラリーの水分を調整する、スラリーを凍結させる、可溶性の有機溶媒(エタノールなど)に溶解させる、乾燥させる、などが挙げられ、用途に応じて適宜選択したり、組み合わせたりすることができる。なかでも、より取り扱いが容易な粉末状および固形状の抽出物が得られることから乾燥を含む後処理工程とすることが好ましい。
乾燥方法としては、特に限定されず、自然乾燥、加熱系乾燥、非加熱系乾燥などを採用することができる。加熱系乾燥としては、箱型乾燥や噴霧乾燥などの伝熱乾燥、マイクロ波乾燥などの内部発熱乾燥等が挙げられ、非加熱系乾燥としては、凍結乾燥、真空乾燥、吸引乾燥、加圧乾燥、超音波乾燥等が挙げられるが、一般的で簡便なオーブンや恒温槽を用いた乾燥でもよい。
前記製造方法によれば、タマネギを原料とする抽出工程、固液分離工程1、結晶化工程および固液分離工程2を含む製造方法であり、添加物の添加やpHの調整などの煩雑な工程を行うことなく簡便にケルセチン純度の高く、水溶性成分の含有量が低いケルセチン含有抽出物を製造することができる。また、結晶化工程の後に粒成長工程を行うことにより、より簡便にケルセチン純度がより高いタマネギ抽出物を製造することができる。
前記製造方法により得られるケルセチン含有抽出物の純度は高く、その純度は7質量%以上である。また、前記製造方法では、ケルセチン含有抽出物の純度が20質量%以上のケルセチン含有抽出物を得ることもできる。また、水溶性成分の含有量を特定の範囲に低下させることができるため、吸湿性が低く、取り扱いが容易なケルセチン含有抽出物を得ることができる。
本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明は実施例のみに限定されるものではない。
実施例1
<抽出工程>
粉砕して水で洗浄した生のタマネギ外皮80g(含水率23%)を3Lのビーカーに入れ、90℃の熱水2.5Lを添加し、90℃で1時間撹拌することで熱水抽出を行った。
<固液分離工程1>
抽出直後、引き続きセルロースろ紙(ADVANTEC製の5A)により、抽出液と残渣とを分離した。
<結晶化工程>
抽出液を3Lのビーカーに入れ、34℃で12時間静置し、ケルセチンを含む不溶性物質を析出・結晶化させた。静置後はビーカーの底に析出物が沈殿として観察された。
<固液分離工程2>
デカンテーションにより、残存液が全体液量の約1/20となるように上澄液を除去し、結晶化物を含む沈殿を回収した。
<後処理工程>
回収した結晶化物を含む沈殿を−40℃で凍結させ、凍結乾燥機(共和真空技術株式会社製のRLE−206)により24時間乾燥させて粉末状の抽出物を得た。
実施例2
実施例1と同様の操作を行った。ただし<固液分離工程2>においては残存液が全体液量の約1/15となるように上澄液を除去した。
実施例3
実施例1と同様の操作を行った。ただし<固液分離工程2>においては残存液が全体液量の約1/10となるように上澄液を除去した。
実施例4
実施例1と同様の操作を行った。ただし<固液分離工程2>においては残存液が全体液量の約1/5となるように上澄液を除去した。
実施例5
実施例1と同様の操作を行った。ただし<固液分離工程2>においては残存液が全体液量の約1/2となるように上澄液を除去した。
比較例1
<抽出工程>
粉砕して水で洗浄した生のタマネギ外皮80g(含水率23%)を3Lのビーカーに入れ、90℃の熱水2.5Lを添加し、90℃で1時間撹拌することで熱水抽出を行った。
<固液分離工程1>
抽出直後、引き続きセルロースろ紙(ADVANTEC製の5A)により、抽出液と残渣とを分離した。
<後処理工程>
回収した抽出液を−40℃で凍結させ、凍結乾燥機(共和真空技術株式会社製のRLE−206)により24時間乾燥させて粉末状の抽出物を得た。
抽出物の成分分析(ケルセチン成分)
実施例1〜5および比較例1で得られた各抽出物を100mLのビーカー内で99.5%エタノールに溶解させてHPLC用試料を作成し、100mLメスフラスコで定容後、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)にて成分分析を行い、ケルセチン量を算出した。そして、各抽出物中のケルセチン純度を算出した。結果を表1および図1に示す。
HPLCの測定条件を以下に示す。
測定装置:株式会社島津製作所製のLC−2010HT
カラム:ナカライテスク株式会社製のCOSMOSIL(登録商標)MS−II Waters(φ4.6×250mm)
移動相:A;0.1%ギ酸、B;メタノール
0min-8min; A:B=90:10→50:50
8min-21min; A:B=50:50→30:70
21min-25min; A:B=30:70
25min-25min50sec; A:B=30:70→0:100
25min50sec-35min; A:B=0:100
35min-35min50sec; A:B=0:100→90:10
35min50sec-45min50sec; A:B=90:10
カラム温度:35℃
UV検出:350nm
導入量:10μL
流量:0.6mL/min
分析時間:45min
標準試薬:ケルセチン(≧99.0%、CALBIOCHEM社製)
水溶性成分および不溶性
実施例1〜5および比較例1で得られた各抽出物100mgを100mLのビーカー内で1時間、攪拌しながら蒸留水に溶解させてあらかじめ質量を測定した乾燥ろ紙(ADVANTEC製 5C)でろ過した。ろ過後、ろ紙をろ物ごと105℃のオーブン(YAMATO製のSTERILIZER SI401)で2時間乾燥させた後の質量を測定した。該質量からろ紙の質量を差し引いた値を不溶性成分の質量とした。そして、使用した抽出物の質量(100mg)から不溶性成分の質量を差し引いたものを水溶性成分とし、不溶性成分からケルセチン質量を差し引いたものをその他不溶性成分とした。結果は各抽出物中の含有量(質量%)で示す。結果を表1および図1に示す。
吸湿性の評価
実施例1〜5および比較例1で得られた各抽出物500mgを、水の入ったビーカーと共に樹脂製容器に封入し、40℃の恒温槽で1週間静置した。樹脂製容器内の湿度は95%RH以上であった。その後、各抽出物の質量を測定し、あらかじめ質量を測定した乾燥ルツボに入れ、105℃のオーブン(Yamato製のSterilizer SI401)で2時間乾燥させた後、ルツボを含む質量を測定し、ルツボの質量を差し引いたものを、抽出物の乾燥質量とした。乾燥前の質量と乾燥質量との差を抽出物が吸湿した水分量とし、吸湿率を吸湿率(質量%)=(吸湿した水分量)/(乾燥質量)×100により算出した。結果を表1および図1に示す。
Figure 2016013075
表1および図1の結果より、本発明のケルセチン含有抽出物が、ケルセチン純度が高い抽出物であって、水溶成分の含有量が低く、吸湿率が低いことがわかる。

Claims (6)

  1. タマネギより抽出したケルセチン含有抽出物であって、
    ケルセチン純度が7%以上であり、
    水溶性成分の含有量が90質量%以下であるケルセチン含有抽出物。
  2. 吸湿率が50質量%以下である請求項1記載のケルセチン含有抽出物。
  3. タマネギを原料として熱水により抽出し、ケルセチン含有抽出液を得る抽出工程、
    を含む製造方法により製造された請求項1または2記載のケルセチン含有抽出物。
  4. タマネギを原料として熱水により抽出し、ケルセチン含有抽出液を得る抽出工程、
    ケルセチン含有抽出液と原料残渣とを分離する固液分離工程1、
    ケルセチン含有抽出液に含まれるケルセチンを結晶化させる結晶化工程、および
    結晶化物を回収する固液分離工程2、
    を含む製造方法により製造された請求項1または2記載のケルセチン含有抽出物。
  5. 抽出工程における熱水の温度が60〜150℃である請求項3または4記載の製造方法により製造されたケルセチン含有抽出物。
  6. 結晶化工程が、ケルセチン含有抽出液を冷却してケルセチンを結晶化させる工程である請求項4または5記載の製造方法により製造されたケルセチン含有抽出物。
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