JP2016012503A - スパークプラグ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】スパークプラグ10は、一端453側が直径A0.8〜1.2mmの円柱状であって貴金属を主成分とするチップ450と、電極母材410とを有し、チップ450と電極母材410とが溶け合った溶融部455を介して、チップ450の他端454側の一部が電極母材410に接合された接地電極400を備える。そして、チップ450の他端454側の面と電極母材410とが接しており溶融部455に囲まれているチップ−母材界面IS0を有する。円柱の中心軸CAを通る断面RPにおいて、中心軸CAに対して一方の側にあるチップ−母材界面IS0の端点Pa7と、中心軸CAに対して一方の側にあるチップ450と溶融部455の界面IS1の端点であって外部に露出している端点Pa5と、の距離L1は、直径Aの0.7倍以上である。
【選択図】図2
Description
このような態様とすれば、チップ−母材界面の端点と、チップと溶融部の界面の端点と、の距離がチップの直径の0.7倍未満である態様に比べて、チップ−母材界面の端点から生じたクラックが、チップと溶融部の界面に沿って進展し、外部に達するまでの距離を、長くすることができる。このため、先端部分が直径0.8〜1.2mmのチップを備えるスパークプラグにおいて、火花によるチップの損耗を抑制しつつ、クラックによるチップの脱落までの時間を確保して、スパークプラグの長寿命化を図ることができる。
このような態様においては、チップ−母材界面の両端の端点間の距離が0.35mmよりも大きい態様に比べて、チップ−母材界面の両端における熱膨張差に起因する歪みを、小さくすることができる。その結果、上記態様に比べて、チップ−母材界面の端点におけるクラックの発生を抑制することができる。
このような態様においては、電極母材と溶融部の界面の端点と、チップの先端部分の外側面との距離が0.35mmより大きい態様に比べて、チップから遠い電極母材の部分に、溶融部が及ばない。すなわち、溶接において溶融部が形成される際に溶融される電極母材を少なくすることができる。その結果、溶融部の素材の構成を、チップの素材の構成に近いものとすることができる。このため、溶融部の素材の熱膨張率と、チップの素材の熱膨張率との差を小さくすることができる。よって、溶融部とチップの界面における熱膨張率の差に起因するクラックの発生および成長を、抑制することができる。
A1.スパークプラグの全体構成:
図1は、スパークプラグ10の部分断面を示す説明図である。図1には、スパークプラグ10の軸心である軸線CAを境界として、軸線CAより紙面左側にスパークプラグ10の外観形状が図示され、軸線CAより紙面右側にスパークプラグ10の断面形状が図示されている。本実施形態の説明では、スパークプラグ10における図1の紙面下側を「先端側」といい、図1の紙面上側を「後端側」という。
図2は、スパークプラグ10の接地電極400に設けられた電極チップ450の近傍の構成を示す断面図および平面図である。電極チップ450は、略円柱状の形状を有する。電極チップ450は、スパークプラグ10の軸線CAと電極チップ450の円柱の中心軸が一致するように、接地電極400に配される。
451:軸線CAに対して一方の側(図2において右側)にある電極チップ450の円柱状部分450pの外側面。
452:軸線CAに対して他方の側(図2において左側)にある電極チップ450の円柱状部分450pの外側面。
453:軸線方向について電極母材410が位置する側とは逆の側の電極チップ450の端面。
Pa1:軸線CAに対して一方の側(図2において右側)にある溶融部455のうち、軸線方向について端面453から最も遠い点。
Pa2:軸線CAに対して他方の側(図2において左側)にある溶融部455のうち、軸線方向について端面453から最も遠い点。
Pa3:軸線CAに対して一方の側にある電極母材410と溶融部455の界面IS3の端点であって外部に露出している端点。
Pa4:軸線CAに対して他方の側にある電極母材410と溶融部455の界面IS4の端点であって外部に露出している端点。
Pa5:軸線CAに対して一方の側にある溶融部455のうち、電極チップ450と溶融部455の界面IS1の端点であって外部に露出している端点。
Pa6:軸線CAに対して他方の側にある溶融部455のうち、電極チップ450と溶融部455の界面IS2の端点であって外部に露出している端点。
Pa7:電極チップ450と電極母材410との界面IS0の端点であって、軸線CAに対して一方の側にある端点。
Pa8:電極チップ450と電極母材410との界面IS0の端点であって、軸線CAに対して他方の側にある端点。
RL:点Pa3と点Pa4とを通る直線である基準線。
A:軸線方向について電極母材410が位置する側とは逆の側の端における電極チップ450の幅(本実施形態において、円柱状部分450pの円柱の直径)。
C:界面IS0の端点Pa7と端点Pa8の距離。
L1:軸線CAに対して一方の側における界面IS0の端点Pa7と界面IS1の端点Pa5の距離。
L2:軸線CAに対して他方の側における界面IS0の端点Pa8と界面IS2の端点Pa6の距離。
G1:電極チップ450の円柱状部分450pの外側面451と端点Pa3との軸線に垂直な方向についての距離。
G2:電極チップ450の円柱状部分450pの外側面452と端点Pa4との軸線に垂直な方向についての距離。
H:軸線CAと基準線RLとの交点から、軸線CAと端面453の交点までの距離。
なお、L1は、大まかには、界面IS1の長さとして把握することもできる。L2は、大まかには、界面IS2の長さとして把握することもできる。Hは、大まかには、電極チップ450の高さとして把握することもできる。
L1≧0.7×A ・・・ (1)
かつ、
L2≧0.7×A ・・・ (2)
C≦0.35mm ・・・ (3)
G1≧0.35mm ・・・ (4)
かつ、
G2≧0.35mm ・・・ (5)
図3は、スパークプラグ10の接地電極400に設けられた電極チップ450の近傍の他の構成を示す断面図である。図2の態様においては、溶融部455は、軸線CAに対して一方の側にある電極チップ450の外側面451から、軸線CA近傍を経て、軸線CAに対して他方の側にある電極チップ450の外側面452に至っている。そして、軸線CAに対して一方の側にある溶融部455のうち端面453から最も遠い点Pa1と、軸線CAに対して他方の側にある溶融部455のうち端面453から最も遠い点Pa2は、軸線CA上にある同じ点である。一方、図3に示す態様においては、断面RP内において、溶融部455は、軸線CA近傍には分布していない。その結果、溶融部455と電極母材410との界面IS3,IS4は、図2の態様に比べて複雑な曲面を有している。他の点は、図3の溶融部455の形状は図2の溶融部455の形状と同じである。
B1.中心電極および接地電極の電極チップの摩耗量と接地電極の大きさの関係:
まず、接地電極400の電極チップ450の円柱状部分450pの直径を大きくすることによる中心電極および接地電極の電極チップの摩耗量削減の効果の検証を行った。
中心電極の電極チップの径を一定値0.7mmとし、接地電極の電極チップの直径A(図2参照)を様々な値に設定して生成したサンプルを使用して、電極チップ450の着火性を評価する試験を行った。試験に用いたスパークプラグの接地電極は、以下の構成を有する。
電極母材の材質:インコネル600
電極チップの材質:白金(Pt)を主成分としロジウム(Rh)20質量%を含有する合金。
A:0.7〜1.5mm
G1,G2:0.3mm
L1,L2:0.8mm
H:0.8mm
接地電極の電極チップの直径A(図2参照)を様々な値に設定して生成したサンプルを使用して、電極チップ450の消耗量を評価する試験を行った。試験に用いたスパークプラグの他の点は、上記の着火性試験のときと同じである。
接地電極の電極チップと電極母材との界面の幅C(図2参照)を0.1〜0.4mmの様々な値に設定し、電極チップと溶融部の界面の長さL1,L2を0.1〜0.8mmの様々な値に設定して生成したサンプルを使用して、電極チップ450の剥離性を評価する試験を行った。なお、試験にあたっては、接地電極の電極チップの直径A(図2参照)が0.7mmのスパークプラグと1.0mmのスパークプラグとを用意した。また、試験に用いたスパークプラグにおいては、L1=L2であった。試験に用いたスパークプラグの他の点は、上記の着火性試験のときと同じである。
接地電極の電極チップの外側面と溶融部455の端との距離G1,G2を0.1〜0.4mmの様々な値に設定し、電極チップと溶融部の界面の長さL1,L2を0.1〜0.8mmの様々な値に設定して生成したサンプルを使用して、電極チップ450の剥離性を評価する試験を行った。なお、試験にあたっては、接地電極の電極チップの直径A(図2参照)が0.7mmのスパークプラグと1.0mmのスパークプラグとを用意した。また、試験に用いたスパークプラグにおいては、G1=G2であった。試験に用いたスパークプラグの他の点は、上記の剥離性試験1のときと同じである。また、耐久性試験に用いたエンジンの仕様および運転方法も、上記の剥離性試験1のときと同じである。
C1.変形例1:
図2〜図5に示した実施形態においては、上記実施形態においては、電極母材410の表面は平面であったため、点Pa3,Pa4で定められる基準線RLは、断面RPにおける電極母材410の表面と一致した。しかし、電極母材410の表面は平面でなくともよい。
上記実施例においては、電極チップの直径Aが1.0mmのものについて、試験を行った。しかし、電極チップの直径Aが他の大きさであっても、上記式(1)、(2)を満たす限り、上記式(1)、(2)を満たさない態様に比べて、界面IS1,IS2の長さを長くすることができる。このため、界面IS1,IS2にクラックが発生し、電極チップ450が溶融部455から脱落してしまうまでの期間を長くすることができる。ただし、電極チップの直径Aは、0.8〜1.2mmとすることが好ましい(図9および図10参照)。
上記実施形態においては、電極チップ450は、白金(Pt)を主成分とし20質量%のロジウム(Rh)を含有する合金である。しかし、電極チップは、Pt、Rh、Ir、Ruなどを含んでもよく、さらに、W、Reなど他の元素を含んでもよい。
90…内燃機関
100…中心電極
190…端子金具
200…絶縁体
290…軸孔
300…主体金具
310…端面
400…接地電極
410…電極母材
450…電極チップ
450p…円柱状部分
451,452…電極チップの外側面
453…電極チップの端面
454…電極チップの端部
455…溶融部
910…内壁
920…燃焼室
CA…軸線
G1…電極チップ450の外側面451と端点Pa3との距離
G2…電極チップ450の外側面452と端点Pa4との距離
L1…界面IS0の端点Pa7と界面IS1の端点Pa5の距離
L2…界面IS0の端点Pa8と界面IS2の端点Pa6の距離
SG…間隙(火花ギャップ)
RL…基準線
RP…断面
IS0…電極チップ450と電極母材410との界面
IS1…電極チップ450と溶融部455の界面
IS2…電極チップ450と溶融部455の界面
IS3…電極母材410と溶融部455の界面
IS4…電極母材410と溶融部455の界面
Pa1…軸線CAに対し一方の側にある溶融部455のうち端面453から最も遠い点
Pa2…軸線CAに対し他方の側にある溶融部455のうち端面453から最も遠い点
Pa3…軸線CAに対して一方の側にあり外部に露出している界面IS3の端点
Pa4…軸線CAに対して他方の側にあり外部に露出している界面IS4の端点
Pa5…軸線CAに対して一方の側にある外部に露出している界面IS1の端点
Pa6…軸線CAに対して他方の側にある外部に露出している界面IS2の端点
Pa7…界面IS0の端点であって、軸線CAに対して一方の側にある端点
Pa8…界面IS0の端点であって、軸線CAに対して他方の側にある端点
WPL…電極チップと電極母材の溶接の際に最後に溶接された部分
Claims (4)
- 一端側が直径0.8〜1.2mmの円柱状であって貴金属を主成分とするチップと、電極母材とを有し、前記チップと前記電極母材とが溶け合った溶融部を介して、前記チップの他端側の一部が前記電極母材に接合された接地電極を備え、
前記チップの前記他端側の面と前記電極母材とが接しており前記溶融部に囲まれているチップ−母材界面を有する、スパークプラグであって、
前記円柱の中心軸を通る断面において、前記中心軸に対して一方の側にある前記チップ−母材界面の端点と、前記中心軸に対して前記一方の側にある前記チップと前記溶融部の界面の端点であって外部に露出している端点と、の距離は、前記直径の0.7倍以上である、スパークプラグ。 - 請求項1記載のスパークプラグであって、
前記断面において、前記チップ−母材界面の両端の端点間の距離は、0.35mm以下である、スパークプラグ。 - 請求項1または2記載のスパークプラグであって、
前記断面において、前記中心軸に対して前記一方の側にある前記電極母材と前記溶融部の界面の端点であって外部に露出している端点と、前記チップの前記円柱部分の外側面との、前記中心軸と直交する方向についての距離は、0.35mm以下である、スパークプラグ。 - 請求項1ないし3のいずれか一項に記載のスパークプラグであって、
前記貴金属は、Pt、Rh、Ir、Ruで構成される群の中から選択される、スパークプラグ。
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