最初に、本発明の実施形態の内容を列記して説明する。
(1)本発明の実施の形態に係る光信号中継装置は、送信すべきデータの論理値に応じたレベルを有する光信号を受信して増幅し、増幅した前記光信号を送信する光信号中継装置であって、前記光信号を受けて増幅し、出力する光増幅器と、前記光信号に関する測定を行なう測定部と、前記測定部の測定結果に基づいて、前記光増幅器から出力される前記光信号の変調振幅が所定値になるように、前記光増幅器に供給される駆動電流または駆動電圧の大きさを調整する駆動制御を行なう制御部とを備える。
このように、光信号中継装置では、光信号の時間平均出力レベルと比べて、光信号の変調振幅が光信号中継装置の特性を示す指標として適している点、および光受信器が受信する光信号の変調振幅が同じ場合、当該光信号の時間平均出力レベルが異なるときでも光受信器の受信感度は同じ値となる点に着目し、光信号の受信強度によらず、光増幅器から出力される光信号の変調振幅が所定値になるように光増幅器への駆動電流または駆動電圧を制御する。このような構成により、光信号の受信強度によらず、たとえば光増幅器の飽和領域においても、伝送品質の低下を防ぎ、光信号中継装置から光受信器までの通信限界距離を延ばすことができる。また、特許文献1に記載の技術のように光増幅器への入力光の強度を大幅に小さくする必要がなくなり、光増幅器の利得を上げることに伴う光増幅器における消費電力の増大を防ぐことができる。したがって、本発明の実施の形態に係る光信号中継装置では、受信した光信号を増幅して送信する光信号中継装置において、光通信システムの通信限界距離を延ばすとともに、消費電力を抑制することができる。
(2)本発明の実施の形態に係る光信号中継装置は、送信すべきデータの論理値に応じたレベルを有する光信号を受信して増幅し、増幅した前記光信号を送信する光信号中継装置であって、前記光信号を受けて増幅し、出力する光増幅器と、前記光信号に関する測定を行なう測定部と、前記測定部の測定結果に基づいて、前記光増幅器における前記光信号の変調振幅の利得が所定値になるように、前記光増幅器に供給される駆動電流または駆動電圧の大きさを調整する駆動制御を行なう制御部とを備える。
このように、光信号中継装置では、光信号の時間平均出力レベルと比べて、光信号の変調振幅が光信号中継装置の特性を示す指標として適している点、および光受信器が受信する光信号の変調振幅が同じ場合、当該光信号の時間平均出力レベルが異なるときでも光受信器の受信感度は同じ値となる点に着目し、光信号の受信強度によらず、光増幅器における光信号の変調振幅の利得が所定値になるように光増幅器への駆動電流または駆動電圧を制御する。このような構成により、光信号の受信強度によらず、たとえば光増幅器の飽和領域においても、伝送品質の低下を防ぎ、光信号中継装置から光受信器までの通信限界距離を延ばすことができる。また、特許文献1に記載の技術のように光増幅器への入力光の強度を大幅に小さくする必要がなくなり、光増幅器の利得を上げることに伴う光増幅器における消費電力の増大を防ぐことができる。したがって、本発明の実施の形態に係る光信号中継装置では、受信した光信号を増幅して送信する光信号中継装置において、光通信システムの通信限界距離を延ばすとともに、消費電力を抑制することができる。
(3)本発明の実施の形態に係る光信号中継装置は、送信すべきデータの論理値に応じたレベルを有する光信号を受信して増幅し、増幅した前記光信号を送信する光信号中継装置であって、前記光信号を受けて増幅し、出力する光増幅器と、前記光信号に関する測定を行なう測定部とを備え、前記測定部は、前記光増幅器が受ける前記光信号の消光比を取得し、前記光信号中継装置は、さらに、前記測定部によって取得された前記消光比に基づいて、前記光増幅器に供給される駆動電流または駆動電圧の大きさを調整する駆動制御を行なう制御部を備える。
このように、光送信器からの光信号の経年変化等による消光比の変化に着目して、光増幅器が受ける光信号の消光比を監視し、当該消光比に基づいて光増幅器への駆動電流または駆動電圧を制御する構成により、光信号の受信強度によらず、たとえば光増幅器の飽和領域においても、伝送品質の低下を防ぎ、光信号中継装置から光受信器までの通信限界距離を延ばすことができる。また、特許文献1に記載の技術のように光増幅器への入力光の強度を大幅に小さくする必要がなくなり、光増幅器の利得を上げることに伴う光増幅器における消費電力の増大を防ぐことができる。したがって、本発明の実施の形態に係る光信号中継装置では、受信した光信号を増幅して送信する光信号中継装置において、光通信システムの通信限界距離を延ばすとともに、消費電力を抑制することができる。
(4)好ましくは、前記測定部は、前記光増幅器が出力する前記光信号のクロスポイントおよび前記光増幅器が受ける前記光信号のクロスポイントの少なくともいずれか一方を取得し、前記制御部は、前記測定部によって取得された前記クロスポイントに基づいて、前記駆動制御による調整内容を補正する。
このように、光信号のクロスポイントを監視する構成により、たとえば、クロスポイントから光信号の波形の歪みを検知した場合、当該光信号の変調振幅を小さくすることができるため、通信品質の劣化を抑えることができる。
(5)より好ましくは、前記測定部は、前記光信号のハイレベルおよび前記光信号のローレベルを測定するか、前記光信号のハイレベルもしくはローレベルと前記光信号の所定時間あたりの平均レベルとを測定するか、または、前記光信号のハイレベル、前記光信号のローレベル、および前記光信号の所定時間あたりの平均レベルを測定する。
このような構成により、光信号のハイレベル、ローレベルおよび平均レベルから、光信号中継装置の変調振幅、クロスポイントおよび消光比等の各種特性を容易に取得することができる。
(6)好ましくは、前記光信号中継装置は、さらに、前記光信号からクロックを抽出するリカバリ回路を備え、前記測定部は、前記リカバリ回路によって抽出された前記クロックを用いて前記測定を行なう。
このような構成により、光信号の変調速度が速い場合でも、光信号の各種測定値を取得するための十分な動作速度を得ることができる。
(7)好ましくは、前記制御部は、前記駆動制御を行なう前に、前記測定部の測定結果に基づいて、前記光増幅器から出力される前記光信号の所定時間あたりの平均レベルが所定値になるように、または前記光増幅器における前記平均レベルの利得が所定値になるように、前記光増幅器に供給される駆動電流または駆動電圧の大きさを調整するプレ駆動制御を行なう。
このような構成により、測定部において正確な測定結果が得られるまでに時間を要する場合でも、先に、ある程度の精度で光増幅器の時間平均出力レベルが所定値になるようにする制御を行い、光信号中継装置と光受信器との通信を早期に開始することができる。
(8)好ましくは、前記測定部は、前記光増幅器が受ける前記光信号のクロスポイントまたは消光比を取得し、前記制御部は、前記測定部によって取得された前記クロスポイントまたは前記消光比に基づいて異常を検知する。
このように、光信号のクロスポイントまたは消光比を監視し、異常を検知する構成により、たとえば光送信器の保守交換を早期に行なうことができるため、光通信システムにおける予期しない通信障害を回避することができる。
(9)本発明の実施の形態に係る通信制御方法は、送信すべきデータの論理値に応じたレベルを有する光信号を受信して増幅し、増幅した前記光信号を送信する光信号中継装置を制御する通信制御方法であって、前記光信号中継装置は、前記光信号を受けて増幅し、出力する光増幅器を備え、前記通信制御方法は、前記光信号に関する測定を行なうステップと、前記測定の結果に基づいて、前記光増幅器から出力される前記光信号の変調振幅が所定値になるように、前記光増幅器における前記光信号の変調振幅の利得が所定値になるように、または、前記測定によって得られた前記光増幅器が受ける前記光信号の消光比に基づいて、前記光増幅器に供給される駆動電流または駆動電圧の大きさを調整する駆動制御を行うステップとを含む。
このように、光信号の時間平均出力レベルと比べて、光信号の変調振幅が光信号中継装置の特性を示す指標として適している点、および光受信器が受信する光信号の変調振幅が同じ場合、当該光信号の時間平均出力レベルが異なるときでも光受信器の受信感度は同じ値となる点に着目し、光信号の受信強度によらず、光増幅器から出力される光信号の変調振幅または当該変調振幅の利得が所定値になるように光増幅器への駆動電流または駆動電圧を制御する。あるいは、光送信器からの光信号の経年変化等による消光比の変化に着目して、光増幅器が受ける光信号の消光比を監視し、当該消光比に基づいて光増幅器への駆動電流または駆動電圧を制御する。
これにより、光信号の受信強度によらず、たとえば光増幅器の飽和領域においても、伝送品質の低下を防ぎ、光信号中継装置から光受信器までの通信限界距離を延ばすことができる。また、特許文献1に記載の技術のように光増幅器への入力光の強度を大幅に小さくする必要がなくなり、光増幅器の利得を上げることに伴う光増幅器における消費電力の増大を防ぐことができる。したがって、本発明の実施の形態に係る通信制御方法では、受信した光信号を増幅して送信する光信号中継装置において、光通信システムの通信限界距離を延ばすとともに、消費電力を抑制することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。また、以下に記載する実施の形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
<第1の実施の形態>
[構成および基本動作]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る光通信システムの構成を示す図である。
図1を参照して、光通信システム301は、たとえばGE−PONであり、上位ネットワークに接続された局側装置201と、光信号中継装置101と、1または複数のONU202と、光カプラ211,212とを備える。なお、光通信システム301は、10G−EPONであってもよいし、他の種類の光通信システムであってもよい。
局側装置201は、PONの上位側に位置する光終端装置であり、電話局および変電所等に設置され、複数のONU202と通信を行なう。また、ONU202は、PONの下位側に位置する光終端装置であり、加入者側の建物、および屋外の電柱上等に設置され、1つの局側装置201と通信を行なう。
光通信システム301において、各ONU202は、光カプラ211から分岐された複数の光ファイバに接続されている。光カプラ211および光信号中継装置101は、1つの光ファイバを介して接続されている。光カプラ212および光信号中継装置101は、1つの光ファイバを介して接続されている。光カプラ212から分岐された光ファイバには、1または複数のONU202も接続されている。また、光カプラ212および局側装置201は、1つの光ファイバを介して接続されている。
このように、光通信システム301では、複数の光カプラを用いる構成により、局側装置201または光信号中継装置101と任意の数のONU202とを接続することができる。
各ONU202と局側装置201とは、光ファイバおよび光カプラを介して、また、ONU202の接続位置に応じて光信号中継装置101を介して接続され、互いに光信号を送受信する。光通信システム301では、各ONU202は、共通の通信回線すなわちPON回線を介して上り光信号を局側装置201へ送信し、また、各ONU202から局側装置201への光信号が時分割多重される。また、光通信システム301では、局側装置201から各ONU202へ連続的な光信号が送信される。
局側装置201は、自己とONU202との間に接続される光信号中継装置101を介してONU202との間で光信号を送受信可能である。
光信号中継装置101は、局側装置201から送信された光信号のONU202への中継、およびONU202から送信された光信号の局側装置201への中継を行なう。
以下、ONUから上位ネットワークへの方向を上り方向と称し、上位ネットワークからONUへの方向を下り方向と称する。
図2は、本発明の第1の実施の形態に係る光信号中継装置の構成を示す図である。
図2を参照して、光信号中継装置101は、電気/光変換器11と、下り信号中継部12と、光/電気変換器13と、上り信号再生部14とを備える。
光/電気変換器13は、ONU202から送信される上り光信号を受信して電気信号に変換し、上り信号再生部14へ出力する。
上り信号再生部14は、たとえば、光/電気変換器13から受けた電気信号からクロックを抽出し、抽出したクロックを用いて当該電気信号の波形整形を行なうとともに当該電気信号を電気/光変換器11へ出力する。
電気/光変換器11は、上り信号再生部14から受けた電気信号を上り光信号に変換して局側装置201へ送信する。
下り信号中継部12は、局側装置201から送信される下り光信号を受信し、受信した下り光信号を増幅してONU202へ送信する。上り光信号および下り光信号は、送信すべきデータの論理値に応じたレベルを有する。また、上り光信号および下り光信号のデューティ比は、たとえば50%である。
[課題]
前述のように、光送信器から光信号中継装置までの距離、および光信号中継装置から光受信器までの距離は、光通信システムの設置場所等により異なる場合が多い。このため、光信号中継装置は、様々な強度の光信号を受信することになる。
図3は、光増幅器における入力光の強度と利得との関係の一例を示す図である。図3において、横軸は、光増幅器の時間平均入力レベルすなわち所定時間あたりの入力光の平均レベルを示し、単位は[dBm]である。縦軸は、光増幅器の利得を示し、単位は[dB]である。グラフG1〜G4は、光増幅器に供給される駆動電流がそれぞれ399mA、299mA、199mAおよび99mAの場合を示す。
図3を参照して、光増幅器は、駆動電流が大きくなるにつれて利得が大きくなる特性を有する。
また、光信号中継装置では、受信する光信号の強度が大きい場合、光増幅器の出力が飽和する。すなわち、光増幅器の利得が飽和する。ここでは、飽和領域とは、非飽和領域における利得から0.2dB以上利得が低下する時間平均入力レベルの領域であると定義する。この例では、光増幅器に供給される駆動電流が199mAの場合、概ね、時間平均入力レベルが−20dBm未満の領域が非飽和領域であり、−20dBm以上の領域が飽和領域である。
光増幅器の出力が飽和すると、光信号の伝送品質が低下し、光通信システム、具体的には光信号中継装置から光受信器までの通信限界距離が小さくなってしまう。
たとえば特許文献1に記載の光増幅器を光信号中継装置に適用した場合、光増幅器の飽和を避けるために光増幅器への入力光の強度を小さくする、すなわち光増幅器の動作点を非飽和領域と飽和領域との境界近傍に設定する制御が行なわれる。
しかしながら、図3に示すように、非飽和領域となる時間平均入力レベルは−20dBm未満と小さい。このため、所望の通信限界距離を得るために、光増幅器に供給する駆動電流を大きくして光増幅器の出力光の強度を大きくする必要が生じ、消費電力が増大してしまう。
また、出力光が所望の強度となるような光増幅器の利得が得られない場合もある。たとえば、出力光の強度を±10dBm程度の範囲にしたい場合、一般的な光増幅器の特性を考慮すると、時間平均入力レベルを非飽和領域ではなく飽和領域に設定する必要がある。
また、特許文献1に記載の技術では、光増幅器への入力光の強度を調整するための部品等を追加する必要があり、製造コストが増加してしまう。
ここで、光通信を利用したデジタル通信システムでは、たとえば、光のオンおよびオフの2通りでデジタル信号を伝送するOOK(オンオフキーイング)と呼ばれる変調方法が採用されている。
このようなシステムにおける光送信器の特性の指標としては、たとえば、光のオンに対応する光出力のハイレベル、および光のオフに対応する光出力のローレベルを有する光信号のレベルの所定時間あたりの平均値である時間平均レベルが使用されている。また、たとえば、光出力のハイレベルおよび光出力のローレベルの比である消光比、たとえば光出力のハイレベルおよび光出力のローレベルの差である変調振幅、ならびに光出力のハイレベルの立ち上がり遷移時間および光出力のローレベルの立ち下がり遷移時間とデューティ比とから求められる波形品質を示すクロスポイントが使用されている。
また、光信号中継装置における光信号伝送に関する制御としては、たとえば、時間平均出力レベルを一定に制御するALC(オートレベルコントロール)、ならびに時間平均入力レベルおよび時間平均出力レベルの利得を一定に制御するAGC(オートゲインコントロール)が使用されている。
ここで、光の強度を変動させることにより光信号の振幅変調が行なわれる。光信号中継装置が受信する光信号の強度が大きくなるにつれて、当該光信号中継装置における光増幅器が飽和する。この飽和により、光増幅器において、光出力のローレベルの増幅率および光出力のハイレベルの増幅率が、入力光信号の強度、具体的には入力光信号のローレベルとハイレベルとの差によって異なる値となる。このため、光信号中継装置では、光信号の時間平均出力レベルを一定に制御しても、光送信器と異なり、変調振幅が一定とはならず、光信号中継装置から光受信器までの通信距離に差異が生じる。
図4は、非飽和領域における光増幅器から出力される光信号のアイパターンの一例を示す図である。図5は、飽和領域における光増幅器から出力される光信号のアイパターンの一例を示す図である。図4および図5において、横軸は時間を示し、縦軸は光増幅器の光出力レベルを示す。W1は、非飽和領域におけるアイパターンを示し、W2は、飽和領域におけるアイパターンを示す。
図4および図5を参照して、光信号中継装置の光信号の時間平均出力レベルを一定に制御しても、光増幅器が非飽和領域にあるか、または飽和領域にあるかにより、各種特性が変化するため、光信号中継装置から光受信器までの通信限界距離に差異が生じる。
具体的には、飽和領域におけるアイパターンW2は、非飽和領域におけるアイパターンW1と比べて波形に歪みが生じている。このため、光増幅器が飽和領域にある場合、光出力のハイレベルが小さくなる。すなわち、非飽和領域における光出力のハイレベルP1よりも飽和領域における光出力のハイレベルP1dの方が小さくなる。
より詳細には、非飽和領域と飽和領域とで、光出力のハイレベルP1および光出力のローレベルP0の比である消光比がP1/P0またはP1d/P0dと異なり、時間平均出力レベルが(P1−P0)/2または(P1d−P0d)/2と異なり、光出力のハイレベルおよび光出力のローレベルの差である変調振幅が(P1−P0)または(P1d−P0d)と異なり、クロスポイントがXpまたはXpdと異なる。
図6は、ASEの有無によるアイパターンの相違の一例を示す図である。
光増幅器の一例である半導体光増幅器(SOA:Semiconductor Optical Amplifier)およびエルビウムドープファイバ増幅器(EDFA:Erbium Doped Fiber Amplifier)は、光信号を受けていない状態でも自然放出光(ASE:Amplified Spontaneous Emission)を発生する。
図6において、縦軸は光増幅器の光出力レベルを示す。W11は、ASEの無い場合のアイパターンを示し、W12は、ASEの有る場合のアイパターンを示す。
図6を参照して、光信号の消光比は、ASEの有無により異なる。すなわち、P1/P0≠P1d/P0dである。一方、光信号の変調振幅は、ASEの有無に関わらず同じである。すなわち、(P1−P0)=(P1d−P0d)である。
本願発明者らは、光信号の変調振幅がASEの有無により変化せず、光信号の時間平均出力レベルと比べて光信号中継装置の特性を示す指標として適している点に着目し、前述のような問題点を解決する方法を発見した。すなわち、本発明の実施の形態に係る光信号中継装置では、以下のような構成および動作により、前述のような問題点を解決する。
図7は、本発明の第1の実施の形態に係る光信号中継装置における下り信号中継部の構成を示す図である。
図7を参照して、下り信号中継部12は、光増幅器21と、光カプラ22,23と、電流供給部24と、入力検知部25と、制御部26と、出力検知部27と、測定部28とを含む。
光カプラ22は、局側装置201から受信した下り光信号を分岐して光増幅器21および入力検知部25へ出力する。
光増幅器21は、たとえば半導体光増幅器であり、光カプラ22から受けた下り光信号を増幅して光カプラ23へ出力する。光増幅器21の利得は、電流供給部24から供給される駆動電流に応じて変化する。具体的には、たとえば、大まかな特性の傾向として、駆動電流が大きくなると光増幅器21の利得が大きくなり、駆動電流が小さくなると光増幅器21の利得が小さくなる。
光カプラ23は、光増幅器21から受けた下り光信号を分岐してONU202および出力検知部27へ出力する。
入力検知部25は、フォトダイオード等の受光素子31を含む。入力検知部25において、受光素子31は、光カプラ22から受けた下り光信号の強度に応じた大きさの電流、すなわち光増幅器21の入力光の強度に応じた大きさの電流を測定部28へ出力する。
出力検知部27は、フォトダイオード等の受光素子32を含む。出力検知部27において、受光素子32は、光カプラ23から受けた下り光信号の強度に応じた大きさの電流、すなわち光増幅器21の出力光の強度に応じた大きさの電流を測定部28へ出力する。
測定部28は、たとえば、図示しない電流電圧変換回路およびA/Dコンバータを2組含む。1組目の電流電圧変換回路は、入力検知部25から受けた受光素子31の出力電流を電圧に変換して出力する。A/Dコンバータは、電流電圧変換回路から受けた電圧のレベルを示すデジタル信号を生成する。また、2組目の電流電圧変換回路は、出力検知部27から受けた受光素子32の出力電流を電圧に変換して出力する。A/Dコンバータは、電流電圧変換回路から受けた電圧のレベルを示すデジタル信号を生成する。
測定部28は、たとえば、1組目のA/Dコンバータによって生成されたデジタル信号および2組目のA/Dコンバータによって生成されたデジタル信号の少なくともいずれか一方に基づいて下り光信号に関する測定を行い、測定結果を示す測定情報を制御部26へ出力する。
制御部26は、測定部28から受けた測定情報に基づいて駆動電流の大きさを決定し、決定した駆動電流の大きさを示す制御信号を電流供給部24へ出力する。
電流供給部24は、駆動電流を光増幅器21に供給し、制御部26から受けた制御信号に従って、光増幅器21に供給する駆動電流の大きさを変更する。
なお、光信号中継装置101は、光増幅器21として、半導体光増幅器の代わりに、エルビウムドープファイバ増幅器およびラマン増幅等の光ファイバアンプを備える構成であってもよい。
この場合、光カプラ22および光カプラ23間に増幅用ファイバが接続され、増幅用ファイバの前段で光信号の伝送路にレーザダイオードを用いてポンプ光が注入され、増幅用ファイバの後段で光信号の伝送路からポンプ光が分離される。このレーザダイオードの駆動電流値を変更することにより、ポンプ光の強度が変化し、光ファイバアンプの利得が制御される。
図8は、光受信器における受信レベルと受信感度との関係の一例を示す図である。図8において、横軸は光受信器の時間平均入力レベルすなわち所定時間あたりの光信号の受信レベルの平均を示し、縦軸は受信感度に相当するBER(Bit Error Ratio)を示す。グラフG11〜G13は、光信号の変調振幅がそれぞれ+5.5dBm、+6.0dBmおよび+6.8dBmの場合を示す。
図8を参照して、時間平均入力レベルに対する光受信器の受信感度すなわちBERは、光信号の変調振幅の大小に応じて変動する。すなわち、光受信器における光信号の時間平均入力レベルが同じでも、光信号の変調振幅が異なる場合、光受信器の受信感度は異なる値となる。具体的には、光信号の変調振幅が小さくなると、光受信器の受信感度は劣化する。
図9は、光受信器における変調振幅と受信感度との関係の一例を示す図である。図9において、横軸は光受信器の受信する光信号の変調振幅を示し、縦軸は受信感度に相当するBERを示す。グラフG21〜G23は、光信号の時間平均出力レベルがそれぞれ+6.0dBm、+6.5dBmおよび+7.0dBmの場合を示す。
図9を参照して、光信号の変調振幅に対する光受信器の受信感度すなわちBERは、光信号の時間平均出力レベルの大小に関わらず一定である。すなわち、光信号の時間平均出力レベルが異なっても、光受信器が受信する光信号の変調振幅が同じ場合、光受信器の受信感度は同じ値となる。
本願発明者らは、前述のように光信号の変調振幅がASEの有無により変化せず、光信号の時間平均出力レベルと比べて光信号中継装置の特性を示す指標として適している点に加えて、光受信器が受信する光信号の変調振幅が同じ場合、当該光信号の時間平均出力レベルが異なるときでも光受信器の受信感度は同じ値となる点に着目し、前述のような問題点を解決する方法を発見した。すなわち、本発明の第1の実施の形態に係る光信号中継装置では、光受信器へ送信される光信号の変調振幅が所定値になるように当該光信号の出力レベルを制御する、具体的には光増幅器への駆動電流を制御する。
すなわち、制御部26は、測定部28の測定結果に基づいて、光増幅器21から出力される光信号の変調振幅が所定値になるように、光増幅器21に供給される駆動電流の大きさを調整する駆動制御を行なう。
より詳細には、測定部28は、出力検知部27から受けた受光素子32の出力電流から、光増幅器21から出力される光信号のハイレベルおよびローレベルを取得し、当該光信号のハイレベルおよびローレベルの差を光増幅器21から出力される光信号の変調振幅として算出する。なお、測定部28は、出力検知部27から受けた受光素子32の出力電流から、光増幅器21から出力される光信号のハイレベルおよび時間平均出力レベルを取得し、当該光信号のハイレベルおよび時間平均出力レベルから当該光信号の変調振幅を算出してもよい。また、測定部28は、出力検知部27から受けた受光素子32の出力電流から、光増幅器21から出力される光信号のローレベルおよび時間平均出力レベルを取得し、当該光信号のローレベルおよび時間平均出力レベルから当該光信号の変調振幅を算出してもよい。
具体的には、測定部28は、たとえば、受光素子32の出力電流のハイレベルおよびローレベルのピークホールド値をそれぞれ算出するか、または受光素子32の出力電流のハイレベルおよびローレベルの平均値を算出することにより、光信号のハイレベルおよびローレベルを取得する。
図10は、本発明の第1の実施の形態に係る光信号中継装置における光信号の変調振幅の設定例を示す図である。
図10を参照して、ここでは、光受信器の受信する光信号の変調振幅が−28.5dBm以上の場合に光受信器の受信感度が良好となる、具体的には光受信器におけるBERが10E−12すなわち10のマイナス12乗未満になるとする。
光信号中継装置101から光受信器までの距離の上限が10kmの場合において光信号が最大で25dB減衰する場合、光信号中継装置101から送信する光信号の変調振幅は−3.5dBm以上に設定する。また、光信号中継装置101から光受信器までの距離の上限が20kmの場合において光信号が最大で30dB減衰する場合、光信号中継装置101から送信する光信号の変調振幅は+2.5dBm以上に設定する。また、光信号中継装置101から光受信器までの距離の上限が30kmの場合において光信号が最大で35dB減衰する場合、光信号中継装置101から送信する光信号の変調振幅は+7.5dBm以上に設定する。
[動作]
次に、本発明の第1の実施の形態に係る光通信システムにおける光信号中継装置の動作について説明する。
光通信システム301における各装置は、コンピュータを備え、当該コンピュータにおけるCPU等の演算処理部は、以下のフローチャートの各ステップの一部または全部を含むプログラムを図示しないメモリから読み出して実行する。これら複数の装置のプログラムは、それぞれ、外部からインストールすることができる。これら複数の装置のプログラムは、それぞれ、記録媒体に格納された状態で流通する。
図11は、本発明の第1の実施の形態に係る光信号中継装置が光増幅器の制御を行なう際の動作手順の一例を定めたフローチャートである。
図11を参照して、まず、光信号中継装置101は、モニタ用受光素子、ここでは受光素子32の出力電流を測定する(ステップS1)。
次に、光信号中継装置101は、測定結果に基づいて、出力光信号、すなわち光増幅器21から出力される光信号の変調振幅を算出する(ステップS2)。
次に、光信号中継装置101は、算出した変調振幅が所定の閾値Th1未満である場合(ステップS3でYES)、光増幅器21に供給する駆動電流を大きくすることにより、出力光信号の変調振幅を大きくする駆動制御を行なう(ステップS4)。
一方、光信号中継装置101は、算出した変調振幅が所定の閾値Th1以上である場合(ステップS3でNO)、光増幅器21に供給する駆動電流を小さくすることにより、出力光信号の変調振幅を小さくする駆動制御を行なう(ステップS5)。
光信号中継装置101は、受光素子32の出力電流の測定を定期的または不定期に継続して行なう(ステップS1)。
[変形例1]
光信号の変調速度が遅い場合には、測定部28による受光素子32の出力電流の取得速度すなわち光信号のハイレベルおよびローレベルの取得速度を、たとえば測定部28の一部または全部を実現するMPU(Micro Processing Unit)の動作速度と同等の速度とすることにより、光信号のレベルの変化に追随することができる。
一方、光信号の変調速度が速い場合には、上記取得速度を上記動作速度よりも十分に大きくする必要がある。
図12は、本発明の第1の実施の形態に係る光信号中継装置の変形例における下り信号中継部の構成を示す図である。
図12を参照して、下り信号中継部12は、図7に示す下り信号中継部12と比べて、さらに、CDR(クロック/データ リカバリ回路:Clock and Data Recovery)29を含む。
CDR29は、出力検知部27から受けた受光素子32の出力電流から光信号に含まれるデータおよびクロックを抽出し、抽出したデータおよびクロックを測定部28へ出力する。
測定部28は、CDR29によって抽出されたクロックを用いて光信号に関する測定を行なう。
より詳細には、測定部28は、A/Dコンバータを含む。このA/Dコンバータは、CDR29から受けたデータを、CDR29から受けたクロックをトリガに用いてサンプルホールドする。測定部28は、サンプルホールドされたデータから光信号のハイレベルおよびローレベルを取得する。なお、測定部28は、CDR29から受けたクロックの位相調整を行なう回路を含み、位相調整後のクロックをトリガに用いて、光信号のハイレベルおよびローレベルを取得してもよい。
ここで、上記のような測定部28におけるクロックの位相調整に時間を要する場合、まず、ある程度の精度で光増幅器21からの光信号の時間平均出力レベルが所定値になるようにする制御を行い、そして、正確な光信号のハイレベルおよびローレベルが得られるような位相調整がなされた後、光信号の変調振幅が所定値になるようにする制御を行なう。これにより、上記位相調整の完了を待たずに光信号中継装置101と光受信器との通信を早期に開始することができる。
図13は、本発明の第1の実施の形態に係る光信号中継装置の変形例が光増幅器の制御を行なう際の動作手順の一例を定めたフローチャートである。
制御部26は、駆動制御を行なう前に、測定部28の測定結果に基づいて、光増幅器21から出力される光信号の所定時間あたりの平均レベルが所定値になるように、光増幅器21に供給される駆動電流の大きさを調整するプレ駆動制御を行なう。測定部28は、プレ駆動制御が行なわれている状態において光信号に関する測定を行なう。
具体的には、図13を参照して、まず、光信号中継装置101は、光増幅器21から出力される光信号の時間平均出力レベルが所定値になるようにするプレ駆動制御を所定タイミングにおいて開始する。これにより、光信号中継装置101を介した局側装置201およびONU202間の通信が開始される(ステップS11)。
次に、光信号中継装置101は、上記所定タイミングから所定時間が経過するまで(ステップS12でNO)プレ駆動制御を継続する。プレ駆動制御が行なわれている間に、測定部28におけるクロックの位相調整が完了する。
次に、光信号中継装置101は、上記所定タイミングから所定時間が経過すると(ステップS12でYES)、受光素子32の出力電流の測定(ステップS13)、光増幅器21から出力される光信号の変調振幅の算出(ステップS14)、および光増幅器21に供給する駆動電流の調整を開始する(ステップS15〜S17)。
ステップS13〜S17の動作は、図11に示すステップS1〜S5の動作と同様である。
[変形例2]
光信号のクロスポイントは、光信号の波形品質を示す指標である。
光出力のハイレベルを100%とし、光出力のローレベルを0%とすると、クロスポイントが50%からずれている場合、光増幅器における飽和の度合いが大きいことを示している。
図14は、非飽和領域における光増幅器から出力される光信号のアイパターンの一例を示す図である。図の見方は図4と同様である。
図14を参照して、光増幅器が非飽和領域にある場合、光出力のハイレベルP1を100%とし、光出力のローレベルP0を0%とすると、クロスポイントXpは50%となる。また、時間平均出力レベルの実測値と変調振幅の中間点の計算値(P1−P0)/2とが同等の値となる。
図15は、非飽和領域における光増幅器から出力される光信号のアイパターンの一例を示す図である。図の見方は図5と同様である。
図15を参照して、光増幅器が飽和領域にある場合、光出力のハイレベルが小さくなる。具体的には、非飽和領域における光出力のハイレベルP1よりも飽和領域における光出力のハイレベルP1dの方が小さくなる。
時間平均出力レベルは、光出力のハイレベルおよび光出力のローレベルの時間積分値となるため、光出力のハイレベルP1dを100%とし、光出力のローレベルP0dを0%とすると、クロスポイントは50%とはならない。また、時間平均出力レベルの実測値と変調振幅の中間点の計算値(P1d−P0d)/2とが異なる値となる。
また、光増幅器における飽和の度合いが大きい場合、アイパターンの波形が歪んでクロスポイントが大きくなる。
本願発明者らは、図14および図15に示すように、クロスポイントが、光信号中継装置の特性を示す指標として適している点に着目し、光通信システムの通信をさらに良好にする方法を発見した。
すなわち、光信号中継装置101において、測定部28は、光増幅器21が出力する光信号のクロスポイントを取得する。たとえば、測定部28は、光増幅器21が出力する光信号のハイレベルすなわち光出力のハイレベル、当該光信号のローレベルすなわち光出力のローレベル、および当該光信号の所定時間あたりの平均レベルを測定し、この測定結果を用いてクロスポイントを算出する。
制御部26は、測定部28によって取得されたクロスポイントに基づいて、駆動制御による調整内容を補正する。
図16は、本発明の第1の実施の形態に係る光信号中継装置の変形例における光信号の変調振幅の設定例を示す図である。
クロスポイントがたとえば70%以上となるアイパターンの光信号を光受信器が受信する場合、光受信器の受信感度のペナルティが増加する、具体的には、光受信器における光信号の受信品質が劣化して、たとえば図9に示すグラフが変調振幅の大きい側へ横軸と平行にシフトする。すなわち、同じ変調振幅のときに得られるBERが大きくなってしまう。
このため、クロスポイントが70%以上となった場合に、出力光信号の変調振幅を小さくすることにより、クロスポイントを70%未満として出力光信号の波形の歪みを抑え、光受信器の受信感度ペナルティを抑制する。これにより、通信品質の劣化を抑えることができる。
具体的には、図16を参照して、制御部26は、たとえば、光受信器の受信感度ペナルティがある程度劣化するクロスポイントの境界値たとえば70%をクロスポイントの閾値Th2とする。
制御部26は、光増幅器21から出力される光信号のクロスポイントが閾値Th2すなわち70%以上である場合には、光受信器の受信感度のペナルティが0.5dBより増加することから、クロスポイントが70%よりも小さくなるように光信号の変調振幅を小さくする。
一方、制御部26は、光増幅器21から出力される光信号のクロスポイントが閾値Th2すなわち70%未満である場合には、光受信器の受信感度のペナルティの増加は0.5dB以内にとどまることから、光信号の変調振幅を維持する。なお、制御部26は、クロスポイントが閾値Th2未満である場合、70%を上限として、クロスポイントが大きくなるように光信号の変調振幅を大きくしてもよい。
図17は、本発明の第1の実施の形態に係る光信号中継装置の変形例が光増幅器の制御を行なう際の動作手順の一例を定めたフローチャートである。
図17を参照して、ステップS21〜S25の動作は、図11に示すステップS1〜S5の動作と同様である。
次に、光信号中継装置101は、受光素子32の出力電流の測定結果に基づいて、出力光信号、すなわち光増幅器21から出力される光信号のクロスポイントを算出する。具体的には、光信号中継装置101は、当該光信号のハイレベルおよびローレベル、ならびに時間平均出力レベルを取得し、変調振幅の中間点を50%のクロスポイントとして、時間平均出力レベルと変調振幅の中間点との差に基づいてクロスポイントを算出する(ステップS26)。
次に、光信号中継装置101は、算出したクロスポイントが所定の閾値Th2より大きい場合(ステップS27でYES)、光増幅器21に供給する駆動電流を小さくすることにより、出力光信号の変調振幅を小さくする(ステップS28)。
一方、光信号中継装置101は、算出したクロスポイントが所定の閾値Th2以下である場合、光増幅器21に供給する駆動電流の値を維持する(ステップS27でNO)。
光信号中継装置101は、受光素子32の出力電流の測定を定期的または不定期に継続して行なう(ステップS21)。
ところで、光送信器から光信号中継装置までの距離、および光信号中継装置から光受信器までの距離は、光通信システムの設置場所等により異なる。このため、光信号中継装置は、様々な強度の光信号を受信することになる。
光送信器から受信した光信号を、電気信号に変換することなく光増幅器を用いて増幅し、光受信器へ送信する光信号中継装置では、受信する光信号の強度が大きい場合、光増幅器の出力が飽和して光信号の伝送品質が低下し、光通信システム、具体的には、光信号中継装置から光受信器までの通信限界距離が小さくなってしまう。
たとえば特許文献1に記載の光増幅器を光信号中継装置に適用した場合、光増幅器の飽和を避けるために光増幅器への入力光の強度を小さくする制御が行なわれる。そうすると、所望の通信限界距離を得るために、光増幅器に供給する駆動電流等を大きくして利得を上げ、光増幅器の出力光の強度を大きくする必要が生じ、消費電力が増大してしまう。
これに対して、本発明の第1の実施の形態に係る光信号中継装置では、光増幅器21は、光信号を受けて増幅し、出力する。測定部28は、光信号に関する測定を行なう。そして、制御部26は、測定部28の測定結果に基づいて、光増幅器21から出力される光信号の変調振幅が所定値になるように、光増幅器21に供給される駆動電流の大きさを調整する駆動制御を行なう。
このように、光信号中継装置101では、光信号の時間平均出力レベルと比べて、光信号の変調振幅が光信号中継装置の特性を示す指標として適している点、および光受信器が受信する光信号の変調振幅が同じ場合、当該光信号の時間平均出力レベルが異なるときでも光受信器の受信感度は同じ値となる点に着目し、光信号の受信強度によらず、光増幅器21から出力される光信号の変調振幅が所定値になるように光増幅器21への駆動電流を制御する。
このような構成により、光信号の受信強度によらず、たとえば光増幅器21の飽和領域においても、伝送品質の低下を防ぎ、光信号中継装置101から光受信器までの通信限界距離を延ばすことができる。また、特許文献1に記載の技術のように光増幅器への入力光の強度を大幅に小さくする必要がなくなり、光増幅器の利得を上げることに伴う光増幅器における消費電力の増大を防ぐことができる。
したがって、本発明の第1の実施の形態に係る光信号中継装置では、受信した光信号を増幅して送信する光信号中継装置において、光通信システムの通信限界距離を延ばすとともに、消費電力を抑制することができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係る光信号中継装置では、測定部28は、光増幅器21が出力する光信号のクロスポイントを取得する。そして、制御部26は、測定部28によって取得されたクロスポイントに基づいて、駆動制御による調整内容を補正する。
このように、光増幅器21から出力される光信号のクロスポイントを監視する構成により、たとえば、クロスポイントから光信号の波形の歪みを検知した場合、当該光信号の変調振幅を小さくすることができるため、通信品質の劣化を抑えることができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係る光信号中継装置では、測定部28は、出力光信号について、当該光信号のハイレベルおよび当該光信号のローレベルを測定するか、当該光信号のハイレベルもしくはローレベルと当該光信号の所定時間あたりの平均レベルとを測定するか、または、当該光信号のハイレベル、当該光信号のローレベル、および当該光信号の所定時間あたりの平均レベルを測定する。
このような構成により、光信号のハイレベル、ローレベルおよび平均レベルから、光信号中継装置101の変調振幅およびクロスポイント等の各種特性を容易に取得することができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係る光信号中継装置では、CDR29は、光信号からクロックを抽出する。そして、測定部28は、CDR29によって抽出されたクロックを用いて光信号に関する測定を行なう。
このような構成により、光信号の変調速度が速い場合でも、光信号の各種測定値を取得するための十分な動作速度を得ることができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係る光信号中継装置では、制御部26は、駆動制御を行なう前に、測定部28の測定結果に基づいて、光増幅器21から出力される光信号の所定時間あたりの平均レベルが所定値になるように、光増幅器21に供給される駆動電流の大きさを調整するプレ駆動制御を行なう。
このような構成により、測定部28において正確な測定結果が得られるまでに時間を要する場合でも、先に、ある程度の精度で光増幅器21の時間平均出力レベルが所定値になるようにする制御を行い、光信号中継装置101と光受信器との通信を早期に開始することができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係る通信制御方法では、まず、光信号に関する測定を行なう。次に、当該測定の結果に基づいて、光増幅器21から出力される光信号の変調振幅が所定値になるように、光増幅器21に供給される駆動電流の大きさを調整する駆動制御を行なう。
このように、光信号中継装置101では、光信号の時間平均出力レベルと比べて、光信号の変調振幅が光信号中継装置の特性を示す指標として適している点、および光受信器が受信する光信号の変調振幅が同じ場合、当該光信号の時間平均出力レベルが異なるときでも光受信器の受信感度は同じ値となる点に着目し、光信号の受信強度によらず、光増幅器21から出力される光信号の変調振幅が所定値になるように光増幅器21への駆動電流を制御する。
これにより、光信号の受信強度によらず、たとえば光増幅器21の飽和領域においても、伝送品質の低下を防ぎ、光信号中継装置101から光受信器までの通信限界距離を延ばすことができる。また、特許文献1に記載の技術のように光増幅器への入力光の強度を大幅に小さくする必要がなくなり、光増幅器の利得を上げることに伴う光増幅器における消費電力の増大を防ぐことができる。
したがって、本発明の第1の実施の形態に係る通信制御方法では、受信した光信号を増幅して送信する光信号中継装置において、光通信システムの通信限界距離を延ばすとともに、消費電力を抑制することができる。
なお、本発明の第1の実施の形態に係る光通信システムでは、光信号中継装置101が制御部26および測定部28を備える構成であるとしたが、これに限定するものではない。光通信システム301における光信号中継装置101以外の他の装置が制御部26および測定部28を備え、光増幅器の出力光の監視、および光増幅器への駆動電流の制御を行なう構成であってもよい。
また、本発明の第1の実施の形態に係る光通信システムでは、下り方向において、光増幅器の出力光の監視、および光増幅器への駆動電流を行なう構成であるとしたが、これに限定するものではなく、上り方向において、下り方向と同様に、光増幅器の出力光の監視、および光増幅器への駆動電流を行なう構成とすることも可能である。
次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
<第2の実施の形態>
本実施の形態は、第1の実施の形態に係る光通信システムと比べて光増幅器の制御基準を変更した光通信システムに関する。以下で説明する内容以外は第1の実施の形態に係る光通信システムと同様である。
本願発明者らは、前述のように光信号の変調振幅がASEの有無により変化せず、光信号中継装置の特性を示す指標として適している点に加えて、光受信器が受信する光信号の変調振幅が同じ場合、光受信器の受信感度は同じ値となる点に着目し、上記問題点を解決する方法として、第1の実施の形態とは異なる方法をさらに発見した。すなわち、本発明の第2の実施の形態に係る光信号中継装置では、光増幅器における光信号の変調振幅の利得が所定値になるように当該光信号の出力レベルを制御する、具体的には光増幅器への駆動電流を制御する。
すなわち、制御部26は、測定部28の測定結果に基づいて、光増幅器21における光信号の変調振幅の利得が所定値になるように、光増幅器21に供給される駆動電流の大きさを調整する駆動制御を行なう。
より詳細には、測定部28は、入力検知部25から受けた受光素子31の出力電流から光増幅器21が受ける入力光信号のハイレベルおよびローレベルを取得し、当該光信号のハイレベルおよびローレベルの差を入力光信号の変調振幅として算出する。なお、測定部28は、入力検知部25から受けた受光素子31の出力電流から、光増幅器21が受ける光信号のハイレベルおよび時間平均出力レベルを取得し、当該光信号のハイレベルおよび時間平均出力レベルから当該光信号の変調振幅を算出してもよい。また、測定部28は、入力検知部25から受けた受光素子31の出力電流から、光増幅器21が受ける光信号のローレベルおよび時間平均出力レベルを取得し、当該光信号のローレベルおよび時間平均出力レベルから当該光信号の変調振幅を算出してもよい。
また、測定部28は、出力検知部27から受けた受光素子32の出力電流から光増幅器21から出力される出力光信号のハイレベルおよびローレベルを取得し、当該光信号のハイレベルおよびローレベルの差を出力光信号の変調振幅として算出する。
具体的には、測定部28は、たとえば、受光素子31および受光素子32の各々の出力電流のハイレベルおよびローレベルのピークホールド値をそれぞれ算出するか、または受光素子31および受光素子32の各々の出力電流のハイレベルおよびローレベルの平均値を算出することにより、入力光信号および出力光信号の各々のハイレベルおよびローレベルを取得する。
そして、測定部28は、取得した入力光信号および出力光信号の各々のハイレベルおよびローレベルから入力光信号および出力光信号の各々の変調振幅を算出する。なお、測定部28は、上述のように、光信号のハイレベルおよび時間平均出力レベルから当該光信号の変調振幅を算出してもよいし、光信号のローレベルおよび時間平均出力レベルから当該光信号の変調振幅を算出してもよい。測定部28は、出力光信号の変調振幅を入力光信号の変調振幅で除算し、得られた商を光増幅器21における変調振幅の利得とする。
図18は、本発明の第2の実施の形態に係る光信号中継装置における光信号の変調振幅の利得の設定例を示す図である。
図18を参照して、ここでは、光受信器の受信する光信号の変調振幅が−28.5dBm以上の場合に光受信器の受信感度が良好となる、具体的には光受信器におけるBERが10E−12すなわち10のマイナス12乗未満になるとする。また、光受信器の受信する光信号の時間平均レベルが−20dBm以上であるとする。
光信号中継装置101から光受信器までの距離の上限が10kmの場合において光信号が最大で25dB減衰する場合、光信号中継装置101における出力光信号の変調振幅の利得は16.5dB以上に設定する。また、光信号中継装置101から光受信器までの距離の上限が20kmの場合において光信号が最大で30dB減衰する場合、光信号中継装置101における出力光信号の変調振幅の利得は21.5dB以上に設定する。また、光信号中継装置101から光受信器までの距離の上限が30kmの場合において光信号が最大で35dB減衰する場合、光信号中継装置101における出力光信号の変調振幅の利得は26.5dB以上に設定する。
[動作]
次に、本発明の第2の実施の形態に係る光通信システムにおける光信号中継装置の動作について説明する。
光通信システム301における各装置は、コンピュータを備え、当該コンピュータにおけるCPU等の演算処理部は、以下のフローチャートの各ステップの一部または全部を含むプログラムを図示しないメモリから読み出して実行する。これら複数の装置のプログラムは、それぞれ、外部からインストールすることができる。これら複数の装置のプログラムは、それぞれ、記録媒体に格納された状態で流通する。
図19は、本発明の第2の実施の形態に係る光信号中継装置が光増幅器の制御を行なう際の動作手順の一例を定めたフローチャートである。
図19を参照して、まず、光信号中継装置101は、モニタ用受光素子、ここでは受光素子31および受光素子32の各々の出力電流を測定する(ステップS31)。
次に、光信号中継装置101は、測定結果に基づいて、入力光信号、すなわち光増幅器21が受ける光信号の変調振幅、および出力光信号、すなわち光増幅器21から出力される光信号の変調振幅を算出する。そして、光信号中継装置101は、出力光信号の変調振幅を入力光信号の変調振幅で除算し、得られた商を変調振幅の利得とする(ステップS32)。
次に、光信号中継装置101は、算出した変調振幅の利得が所定の閾値Th11未満である場合(ステップS33でYES)、光増幅器21に供給する駆動電流を大きくすることにより、光信号の変調振幅の利得を大きくする駆動制御を行なう(ステップS34)。
一方、光信号中継装置101は、算出した変調振幅の利得が所定の閾値Th11以上である場合(ステップS33でNO)、光増幅器21に供給する駆動電流を小さくすることにより、光信号の変調振幅の利得を小さくする駆動制御を行なう(ステップS35)。
光信号中継装置101は、受光素子31および受光素子32の出力電流の測定を定期的または不定期に継続して行なう(ステップS31)。
[変形例1]
光信号の変調速度が遅い場合には、測定部28における受光素子31および受光素子32の出力電流の取得速度すなわち光信号のハイレベルおよびローレベルの取得速度を、たとえば測定部28の一部または全部を実現するMPUの動作速度と同等の速度とすることにより、光信号のレベルの変化に追随することができる。
一方、光信号の変調速度が速い場合には、上記取得速度を上記動作速度よりも十分に大きくする必要がある。
図20は、本発明の第2の実施の形態に係る光信号中継装置の変形例における下り信号中継部の構成を示す図である。
図20を参照して、下り信号中継部12は、光増幅器21と、光カプラ22,23と、電流供給部24と、入力検知部25と、制御部26と、出力検知部27と、測定部28と、CDR30とを含む。
CDR30は、入力検知部25から受けた受光素子31の出力電流から光信号に含まれるデータおよびクロックを抽出し、抽出したデータおよびクロックを測定部28へ出力する。
測定部28は、CDR30によって抽出されたクロックを用いて光信号に関する測定を行なう。
より詳細には、測定部28は、A/Dコンバータを含む。このA/Dコンバータは、CDR30から受けたデータを、CDR30から受けたクロックをトリガに用いてサンプルホールドする。測定部28は、サンプルホールドされたデータから光信号のハイレベルおよびローレベルを取得する。なお、測定部28は、CDR30から受けたクロックの位相調整を行なう回路を含み、位相調整後のクロックをトリガに用いて、光信号のハイレベルおよびローレベルを取得してもよい。
また、下り信号中継部12は、CDR30の代わりに、第1の実施の形態に係る下り信号中継部と同様に、CDR29を備える構成であってもよい。
ここで、上記のような測定部28におけるクロックの位相調整に時間を要する場合、まず、ある程度の精度で光増幅器21における光信号の時間平均出力レベルの利得が所定値になるようにする制御を行い、そして、正確な光信号のハイレベルおよびローレベルが得られるような位相調整がなされた後、光信号の変調振幅が所定値になるようにする制御を行なう。これにより、上記位相調整の完了を待たずに光信号中継装置101と光受信器との通信を早期に開始することができる。
図21は、本発明の第2の実施の形態に係る光信号中継装置の変形例が光増幅器の制御を行なう際の動作手順の一例を定めたフローチャートである。
制御部26は、駆動制御を行なう前に、測定部28の測定結果に基づいて、光増幅器21から出力される光信号の所定時間あたりの平均レベルの利得が所定値になるように、光増幅器21に供給される駆動電流の大きさを調整するプレ駆動制御を行なう。
具体的には、図21を参照して、まず、光信号中継装置101は、光増幅器21における光信号の時間平均出力レベルの利得が所定値になるようにするプレ駆動制御を所定タイミングにおいて開始する。これにより、光信号中継装置101を介した局側装置201およびONU202間の通信が開始される(ステップS41)。
次に、光信号中継装置101は、上記所定タイミングから所定時間が経過するまで(ステップS42でNO)プレ駆動制御を継続する。プレ駆動制御が行なわれている間に、測定部28におけるクロックの位相調整が完了する。
次に、光信号中継装置101は、上記所定タイミングから所定時間が経過すると(ステップS42でYES)、受光素子31および受光素子32の出力電流の測定(ステップS43)、光増幅器21における光信号の変調振幅の利得の算出(ステップS44)、および光増幅器21に供給する駆動電流の調整を開始する(ステップS45〜S47)。
ステップS43〜S47の動作は、図19に示すステップS31〜S35の動作と同様である。
[変形例2]
本願発明者らは、前述のように、クロスポイントが、光信号中継装置の特性を示す指標として適している点に着目し、光通信システムの通信をさらに良好にする方法を発見した。
すなわち、光信号中継装置101において、測定部28は、光増幅器21が出力する光信号のクロスポイントおよび光増幅器21が受ける光信号のクロスポイントを取得する。たとえば、測定部28は、光増幅器21の入力光信号および出力光信号について、ハイレベル、ローレベル、および所定時間あたりの平均レベルを測定し、この測定結果を用いて各クロスポイントを算出する。
制御部26は、測定部28によって取得された各クロスポイントの差に基づいて、駆動制御による調整内容を補正する。
図22は、本発明の第2の実施の形態に係る光信号中継装置の変形例における光信号の変調振幅の利得の設定例を示す図である。
入力光信号および出力光信号のクロスポイントの差であるクロスポイント差がたとえば20%以上となるアイパターンの光信号を光受信器が受信する場合、光受信器の受信感度のペナルティが増加する、具体的には、光受信器における光信号の受信品質が劣化して、たとえば図9に示すグラフが変調振幅の大きい側へ横軸と平行にシフトする。すなわち、同じ変調振幅のときに得られるBERが大きくなってしまう。
このため、クロスポイント差が20%以上となった場合に、出力光信号の変調振幅を小さくすることにより、クロスポイント差を20%未満として出力光信号の波形の歪みを抑え、光受信器の受信感度ペナルティを抑制する。これにより、通信品質の劣化を抑えることができる。
具体的には、図22を参照して、制御部26は、たとえば、光受信器の受信感度ペナルティがある程度劣化するクロスポイント差の境界値たとえば20%をクロスポイントの閾値Th12とする。
制御部26は、クロスポイント差が閾値Th12すなわち20%以上である場合には、光受信器の受信感度のペナルティが0.5dBより増加することから、クロスポイント差が20%よりも小さくなるように光信号の変調振幅を小さくする。
一方、制御部26は、クロスポイント差が閾値Th12すなわち20%未満である場合には、光受信器の受信感度のペナルティの増加は0.5dB以内にとどまることから、光信号の変調振幅を維持する。なお、制御部26は、クロスポイント差が閾値Th12未満である場合、20%を上限として、クロスポイント差が大きくなるように光信号の変調振幅を大きくしてもよい。
図23は、本発明の第2の実施の形態に係る光信号中継装置の変形例が光増幅器の制御を行なう際の動作手順の一例を定めたフローチャートである。
図23を参照して、ステップS51〜S55の動作は、図19に示すステップS31〜S35の動作と同様である。
次に、光信号中継装置101は、受光素子31および受光素子32の各々の出力電流の測定結果に基づいて、入力光信号および出力光信号の各々のクロスポイントを算出する。具体的には、光信号中継装置101は、入力光信号および出力光信号の各々について、ハイレベルおよびローレベル、ならびに時間平均出力レベルを取得し、変調振幅の中間点を50%のクロスポイントとして、時間平均出力レベルと変調振幅の中間点との差に基づいてクロスポイントを算出する。そして、光信号中継装置101は、入力光信号のクロスポイントおよび出力光信号のクロスポイントの差を算出する(ステップS56)。
次に、光信号中継装置101は、算出したクロスポイント差が所定の閾値Th12より大きい場合(ステップS57でYES)、光増幅器21に供給する駆動電流を小さくすることにより、出力光信号の変調振幅を小さくする(ステップS58)。
一方、光信号中継装置101は、算出したクロスポイント差が所定の閾値Th12以下である場合、光増幅器21に供給する駆動電流の値を維持する(ステップS57でNO)。
光信号中継装置101は、受光素子31および受光素子32の各々の出力電流の測定を定期的または不定期に継続して行なう(ステップS51)。
なお、制御部26は、入力光信号および出力光信号の各々のクロスポイントを取得する構成に限らず、入力光信号のクロスポイントおよび出力光信号のクロスポイントのいずれか一方を取得し、取得したクロスポイントに基づいて駆動制御による調整内容を補正する構成であってもよい。
以上のように、本発明の第2の実施の形態に係る光信号中継装置では、光増幅器21は、光信号を受けて増幅し、出力する。測定部28は、光信号に関する測定を行なう。そして、制御部26は、測定部28の測定結果に基づいて、光増幅器21における光信号の変調振幅の利得が所定値になるように、光増幅器21に供給される駆動電流の大きさを調整する駆動制御を行なう。
このように、光信号中継装置101では、光信号の時間平均出力レベルと比べて、光信号の変調振幅が光信号中継装置の特性を示す指標として適している点、および光受信器が受信する光信号の変調振幅が同じ場合、当該光信号の時間平均出力レベルが異なるときでも光受信器の受信感度は同じ値となる点に着目し、光信号の受信強度によらず、光増幅器21における光信号の変調振幅の利得が所定値になるように光増幅器21への駆動電流を制御する。
このような構成により、光信号の受信強度によらず、たとえば光増幅器21の飽和領域においても、伝送品質の低下を防ぎ、光信号中継装置101から光受信器までの通信限界距離を延ばすことができる。また、特許文献1に記載の技術のように光増幅器への入力光の強度を大幅に小さくする必要がなくなり、光増幅器の利得を上げることに伴う光増幅器における消費電力の増大を防ぐことができる。
したがって、本発明の第2の実施の形態に係る光信号中継装置では、受信した光信号を増幅して送信する光信号中継装置において、光通信システムの通信限界距離を延ばすとともに、消費電力を抑制することができる。
また、本発明の第2の実施の形態に係る光信号中継装置では、光信号中継装置101において、測定部28は、光増幅器21が出力する光信号のクロスポイントおよび光増幅器21が受ける光信号のクロスポイントを取得する。そして、制御部26は、測定部28によって取得された各クロスポイントの差に基づいて、駆動制御による調整内容を補正する。
このように、光増幅器21から出力される光信号のクロスポイントおよび光増幅器21が受ける光信号のクロスポイントを監視する構成により、たとえば、各クロスポイントから光信号の波形の歪みを検知した場合、当該光信号の変調振幅を小さくすることができるため、通信品質の劣化を抑えることができる。
また、本発明の第2の実施の形態に係る光信号中継装置では、たとえば、測定部28は、入力光信号および出力光信号について、光信号のハイレベルおよび当該光信号のローレベルを測定するか、当該光信号のハイレベルもしくはローレベルと当該光信号の所定時間あたりの平均レベルとを測定するか、または、当該光信号のハイレベル、当該光信号のローレベル、および当該光信号の所定時間あたりの平均レベルを測定する。
このような構成により、光信号のハイレベル、ローレベルおよび平均レベルから、光信号中継装置101の変調振幅およびクロスポイント等の各種特性を容易に取得することができる。
また、本発明の第2の実施の形態に係る光信号中継装置では、CDR30は、光信号からクロックを抽出する。そして、測定部28は、CDR30によって抽出されたクロックを用いて光信号に関する測定を行なう。
このような構成により、光信号の変調速度が速い場合でも、光信号の各種測定値を取得するための十分な動作速度を得ることができる。
また、本発明の第2の実施の形態に係る光信号中継装置では、制御部26は、駆動制御を行なう前に、測定部28の測定結果に基づいて、光増幅器21における光信号の時間平均出力レベルの利得が所定値になるように、光増幅器21に供給される駆動電流の大きさを調整するプレ駆動制御を行なう。
このような構成により、測定部28において正確な測定結果が得られるまでに時間を要する場合でも、先に、ある程度の精度で光増幅器21における時間平均出力レベルの利得が所定値になるようにする制御を行い、光信号中継装置101と光受信器との通信を早期に開始することができる。
また、本発明の第2の実施の形態に係る通信制御方法では、まず、光信号に関する測定を行なう。次に、当該測定の結果に基づいて、光増幅器21における光信号の変調振幅の利得が所定値になるように、光増幅器21に供給される駆動電流の大きさを調整する駆動制御を行なう。
このように、光信号中継装置101では、光信号の時間平均出力レベルと比べて、光信号の変調振幅が光信号中継装置の特性を示す指標として適している点、および光受信器が受信する光信号の変調振幅が同じ場合、当該光信号の時間平均出力レベルが異なるときでも光受信器の受信感度は同じ値となる点に着目し、光信号の受信強度によらず、光増幅器21における光信号の変調振幅の利得が所定値になるように光増幅器21への駆動電流を制御する。
これにより、光信号の受信強度によらず、たとえば光増幅器21の飽和領域においても、伝送品質の低下を防ぎ、光信号中継装置101から光受信器までの通信限界距離を延ばすことができる。また、特許文献1に記載の技術のように光増幅器への入力光の強度を大幅に小さくする必要がなくなり、光増幅器の利得を上げることに伴う光増幅器における消費電力の増大を防ぐことができる。
したがって、本発明の第2の実施の形態に係る通信制御方法では、受信した光信号を増幅して送信する光信号中継装置において、光通信システムの通信限界距離を延ばすとともに、消費電力を抑制することができる。
なお、本発明の第2の実施の形態に係る光通信システムでは、光信号中継装置101が制御部26および測定部28を備える構成であるとしたが、これに限定するものではない。光通信システム301における光信号中継装置101以外の他の装置が制御部26および測定部28を備え、光増幅器の入出力光の監視、および光増幅器への駆動電流の制御を行なう構成であってもよい。
また、本発明の第2の実施の形態に係る光通信システムでは、下り方向において、光増幅器の入出力光の監視、および光増幅器への駆動電流を行なう構成であるとしたが、これに限定するものではなく、上り方向において、下り方向と同様に、光増幅器の入出力光の監視、および光増幅器への駆動電流を行なう構成とすることも可能である。
その他の構成および動作は第1の実施の形態に係る光通信システムと同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
<第3の実施の形態>
本実施の形態は、第1の実施の形態に係る光通信システムと比べて光増幅器の制御基準を変更した光通信システムに関する。以下で説明する内容以外は第1の実施の形態に係る光通信システムと同様である。
図24は、光受信器における受信レベルと受信感度との関係の一例を示す図である。図24において、横軸は光受信器の時間平均入力レベルすなわち所定時間あたりの光信号の受信レベルの平均を示し、縦軸は受信感度に相当するBERを示す。グラフG31〜G32は、光信号の消光比がそれぞれ9dBおよび12dBの場合を示す。
図24を参照して、時間平均入力レベルに対する光受信器の受信感度すなわちBERは、光信号の消光比の大小に応じて変動する。すなわち、光受信器における光信号の時間平均入力レベルが同じでも、光信号の消光比が異なる場合、光受信器の受信感度は異なる値となる。具体的には、光信号の消光比が小さくなると、光受信器の受信感度は劣化する。
図25は、経年変化の無い状態において光増幅器が受ける光信号のアイパターンの一例を示す図である。図26は、光増幅器が受ける経年変化した光信号のアイパターンの一例を示す図である。図25および図26において、横軸は時間を示し、縦軸は光増幅器の光出力レベルを示す。W11は、経年変化の無い状態におけるアイパターンを示し、W12は、経年変化の有る状態におけるアイパターンを示す。
図25および図26を参照して、経年変化した光信号のアイパターンW12は、経年変化していないアイパターンW11と比べて波形に歪みが生じている。すなわち、光増幅器の受ける光信号が経年変化している場合、光出力のハイレベルが小さくなる。具体的には、経年変化の無い光出力のハイレベルP1よりも経年変化の有る光出力のハイレベルP1dの方が小さくなる。
より詳細には、経年変化により、光出力のハイレベルおよび光出力のローレベルの比である消光比がP1/P0からP1d/P0dへと変化し、時間平均出力レベルが(P1−P0)/2から(P1d−P0d)/2へと変化し、クロスポイントがXpからXpdへと変化する。
すなわち、光信号の経年変化により、消光比がP1/P0からP1d/P0dへと小さくなり、光受信器の受信感度が劣化する。
光信号中継装置を介して光送信器および光受信器間の通信を行なう光通信システムにおいて、光送信器からの光信号の時間平均出力レベルは、たとえば、ALC(オートレベルコントロール)、または時間平均入力レベルに対する時間平均出力レベルの利得を一定に制御するAGC(オートゲインコントロール)によって制御される。
このような光通信システムでは、光送信器の消光比はモニタされず、光信号の消光比の変動により、光信号中継装置から光受信器までの通信限界距離が変動するという課題がある。
本願発明者らは、このような光信号の消光比に関する課題およびその解決方法を見出した。すなわち、本発明の第3の実施の形態に係る光信号中継装置では、光信号中継装置101が受信する光信号の消光比に基づいて、光受信器へ送信される光信号の時間平均出力レベルを制御する、具体的には光増幅器への駆動電流を制御する。
すなわち、測定部28は、光増幅器21が受ける光信号の消光比を取得する。たとえば、測定部28は、光増幅器21が受ける光信号のハイレベル、および当該光信号のローレベルを測定し、この測定結果を用いて消光比を算出する。そして、制御部26は、測定部28によって取得された消光比に基づいて、光増幅器21に供給される駆動電流の大きさを調整する駆動制御を行なう。
図27は、本発明の第3の実施の形態に係る光信号中継装置において、入力光信号の消光比が比較的小さい場合における光信号の時間平均出力レベルの設定例を示す図である。
図27を参照して、ここでは、光信号中継装置101の受信する光信号の消光比が9dB〜12dBの間であるとする。このため、光受信器の受信する光信号の時間平均レベルが−30dBmの場合に光受信器の受信感度が良好となる、具体的には光受信器におけるBERが10E−12すなわち10のマイナス12乗未満になるとする。
光信号中継装置101から光受信器までの距離の上限が10kmの場合において光信号が最大で25dB減衰する場合、光信号中継装置101から送信する光信号の時間平均出力レベルは−5dBm以上に設定する。また、光信号中継装置101から光受信器までの距離の上限が20kmの場合において光信号が最大で30dB減衰する場合、光信号中継装置101から送信する光信号の時間平均出力レベルは0dBm以上に設定する。また、光信号中継装置101から光受信器までの距離の上限が30kmの場合において光信号が最大で35dB減衰する場合、光信号中継装置101から送信する光信号の時間平均出力レベルは+5dBm以上に設定する。
図28は、本発明の第3の実施の形態に係る光信号中継装置において、入力光信号の消光比が比較的大きい場合における光信号の時間平均出力レベルの設定例を示す図である。
図28を参照して、ここでは、光信号中継装置101の受信する光信号の消光比が12dBより大きい値であるとする。このため、光受信器の受信する光信号の時間平均レベルが−31dBmの場合に光受信器の受信感度が良好となる、具体的には光受信器におけるBERが10E−12すなわち10のマイナス12乗未満になるとする。
光信号中継装置101から光受信器までの距離の上限が10kmの場合において光信号が最大で25dB減衰する場合、光信号中継装置101から送信する光信号の時間平均出力レベルは−6dBm以上に設定する。また、光信号中継装置101から光受信器までの距離の上限が20kmの場合において光信号が最大で30dB減衰する場合、光信号中継装置101から送信する光信号の時間平均出力レベルは−1dBm以上に設定する。また、光信号中継装置101から光受信器までの距離の上限が30kmの場合において光信号が最大で35dB減衰する場合、光信号中継装置101から送信する光信号の時間平均出力レベルは+4dBm以上に設定する。
このように、入力光信号の消光比に基づいて出力光信号の時間平均出力レベルを制御する構成により、変調振幅を制御する第1の実施の形態に係る光信号中継装置101および変調振幅の利得を制御する第2の実施の形態に係る光信号中継装置101と同等の効果を得ることができる。
[動作]
次に、本発明の第3の実施の形態に係る光通信システムにおける光信号中継装置の動作について説明する。
光通信システム301における各装置は、コンピュータを備え、当該コンピュータにおけるCPU等の演算処理部は、以下のフローチャートの各ステップの一部または全部を含むプログラムを図示しないメモリから読み出して実行する。これら複数の装置のプログラムは、それぞれ、外部からインストールすることができる。これら複数の装置のプログラムは、それぞれ、記録媒体に格納された状態で流通する。
図29は、本発明の第3の実施の形態に係る光信号中継装置が光増幅器の制御を行なう際の動作手順の一例を定めたフローチャートである。
図29を参照して、まず、光信号中継装置101は、モニタ用受光素子、ここでは受光素子31の出力電流を測定する(ステップS61)。
次に、光信号中継装置101は、測定結果に基づいて、入力光信号、すなわち光増幅器21が受ける光信号の消光比を算出する(ステップS62)。
次に、光信号中継装置101は、算出した消光比が所定の閾値Th21未満である場合(ステップS63でYES)、光増幅器21に供給する駆動電流を大きくすることにより、光信号の時間平均出力レベルを大きくする駆動制御を行なう(ステップS64)。
一方、光信号中継装置101は、算出した消光比が所定の閾値Th21以上である場合(ステップS63でNO)、光増幅器21に供給する駆動電流を小さくすることにより、光信号の時間平均出力レベルを小さくする駆動制御を行なう(ステップS65)。
光信号中継装置101は、受光素子31の出力電流の測定を定期的または不定期に継続して行なう(ステップS61)。
[変形例]
光出力のハイレベルを100%とし、光出力のローレベルを0%とすると、クロスポイントが50%からずれている場合、光増幅器の受ける光信号が経年変化したことを示している。
図30は、経年変化の無い状態において光増幅器が受ける光信号のアイパターンの一例を示す図である。図の見方は図25と同様である。
図30を参照して、光増幅器の受ける光信号が経年変化していない場合、光出力のハイレベルP1を100%とし、光出力のローレベルP0を0%とすると、クロスポイントXpは50%となる。また、時間平均出力レベルの実測値と変調振幅の中間点の計算値(P1−P0)/2とが同等の値となる。
図31は、光増幅器が受ける経年変化した光信号のアイパターンの一例を示す図である。図の見方は図26と同様である。
図31を参照して、光増幅器の受ける光信号が経年変化している場合、光出力のハイレベルが小さくなる。具体的には、経年変化の無い光出力のハイレベルP1よりも経年変化の有る光出力のハイレベルP1dの方が小さくなる。
時間平均入力レベルは、光出力のハイレベルおよび光出力のローレベルの時間積分値となるため、光出力のハイレベルP1dを100%とし、光出力のローレベルP0dを0%とすると、クロスポイントは50%とはならない。また、時間平均出力レベルの実測値と変調振幅の中間点の計算値(P1d−P0d)/2とが異なる値となる。
このように、光増幅器の受ける光信号が経年変化している場合、アイパターンの波形が歪んでクロスポイントが大きくなる。
本願発明者らは、図30および図31に示すように、クロスポイントが、光送信器から送信される光信号の経年変化の特性を示す指標として適している点に着目し、光通信システムの通信をさらに良好にする方法を発見した。
図16を用いて説明したように、クロスポイントがたとえば70%以上となるアイパターンの光信号を光受信器が受信する場合、光受信器の受信感度のペナルティが増加する、具体的には、光受信器における光信号の受信品質が劣化して、たとえば図9に示すグラフが変調振幅の大きい側へ横軸と平行にシフトする。すなわち、同じ変調振幅のときに得られるBERが大きくなってしまう。
このため、光信号中継装置101は、クロスポイントがたとえば60%よりも大きくなった場合に、入力光信号の異常と判断して通知する。
すなわち、測定部28は、光増幅器21が受ける光信号のクロスポイントを取得する。たとえば、測定部28は、光増幅器21が受ける光信号のハイレベル、当該光信号のローレベル、および当該光信号の所定時間あたりの平均レベルを測定し、この測定結果を用いてクロスポイントを算出する。
制御部26は、測定部28によって取得されたクロスポイントに基づいて異常を検知する。
また、前述のように、消光比が小さくなると光受信器の受信感度が劣化する。このため、たとえば、光信号中継装置101は、光信号の時間平均出力レベルを大きくしても消光比の低下による光受信器の受信感度の劣化を十分に抑制できないような場合、具体的には、消光比がたとえば9dB未満となった場合、入力光信号の異常と判断して通知する。
すなわち、測定部28は、光増幅器21が受ける光信号の消光比を取得する。そして、制御部26は、測定部28によって取得された消光比に基づいて異常を検知する。
図32は、本発明の第3の実施の形態に係る光信号中継装置の変形例が光増幅器の制御を行なう際の動作手順の一例を定めたフローチャートである。
図32を参照して、ステップS71〜S72の動作は、図29に示すステップS61〜S62の動作と同様である。
次に、光信号中継装置101は、算出した消光比が所定の閾値Th22以下である場合(ステップS73でNO)、入力光信号の異常を通知する(ステップS74)。ただし、閾値Th22<閾値Th21である。
一方、光信号中継装置101は、算出した消光比が所定の閾値Th22より大きい場合であって(ステップS73でYES)、所定の閾値Th21未満であるとき(ステップS75でYES)、光増幅器21に供給する駆動電流を大きくすることにより、光信号の時間平均出力レベルを大きくする駆動制御を行なう(ステップS76)。
他方、光信号中継装置101は、算出した消光比が所定の閾値Th22より大きい場合であって(ステップS73でYES)、所定の閾値Th21以上であるとき(ステップS75でNO)、光増幅器21に供給する駆動電流を小さくすることにより、光信号の時間平均出力レベルを小さくする駆動制御を行なう(ステップS77)。
次に、光信号中継装置101は、測定結果に基づいて、入力光信号のクロスポイントを算出する。具体的には、光信号中継装置101は、当該光信号のハイレベルおよびローレベル、ならびに時間平均出力レベルを取得し、変調振幅の中間点を50%のクロスポイントとして、時間平均出力レベルと変調振幅の中間点との差に基づいてクロスポイントを算出する(ステップS78)。
次に、光信号中継装置101は、算出したクロスポイントが所定の閾値Th23より大きい場合(ステップS79でYES)、入力光信号の異常を通知する(ステップS80)。
光信号中継装置101は、受光素子31の出力電流の測定を定期的または不定期に継続して行なう(ステップS71)。
なお、本発明の第3の実施の形態に係る光信号中継装置において、本発明の第1の実施の形態または第2の実施の形態に係る光信号中継装置の変形例1および変形例2の構成を採用することも可能である。
また、本発明の第1の実施の形態および第2の実施の形態に係る光信号中継装置において、第3の実施の形態に係るクロスポイントまたは消光比に基づく異常検知を行なう構成を採用することも可能である。
以上のように、本発明の第3の実施の形態に係る光信号中継装置では、光増幅器21は、光信号を受けて増幅し、出力する。測定部28は、光信号に関する測定を行なう。測定部28は、光増幅器21が受ける光信号の消光比を取得する。そして、制御部26は、測定部28によって取得された消光比に基づいて、光増幅器21に供給される駆動電流の大きさを調整する駆動制御を行なう。
このように、光送信器からの光信号の経年変化等による消光比の変化に着目して、光増幅器21が受ける光信号の消光比を監視し、当該消光比に基づいて光増幅器21への駆動電流を制御する構成により、光信号の受信強度によらず、たとえば光増幅器21の飽和領域においても、伝送品質の低下を防ぎ、光信号中継装置101から光受信器までの通信限界距離を延ばすことができる。また、特許文献1に記載の技術のように光増幅器への入力光の強度を大幅に小さくする必要がなくなり、光増幅器の利得を上げることに伴う光増幅器における消費電力の増大を防ぐことができる。
したがって、本発明の第3の実施の形態に係る光信号中継装置では、受信した光信号を増幅して送信する光信号中継装置において、光通信システムの通信限界距離を延ばすとともに、消費電力を抑制することができる。
また、本発明の第3の実施の形態に係る光信号中継装置では、測定部28は、光増幅器21が受ける光信号のクロスポイントまたは消光比を取得する。そして、制御部26は、測定部28によって取得されたクロスポイントまたは消光比に基づいて異常を検知する。
このように、光信号のクロスポイントまたは消光比を監視し、異常を検知する構成により、たとえば光送信器の保守交換を早期に行なうことができるため、光通信システムにおける予期しない通信障害を回避することができる。
また、本発明の第3の実施の形態に係る光信号中継装置では、測定部28は、入力光信号について、当該光信号のハイレベルおよび当該光信号のローレベルを測定するか、当該光信号のハイレベルもしくはローレベルと当該光信号の所定時間あたりの平均レベルとを測定するか、または、当該光信号のハイレベル、当該光信号のローレベル、および当該光信号の所定時間あたりの平均レベルを測定する。
このような構成により、光信号のハイレベル、ローレベルおよび平均レベルから、光信号中継装置101の変調振幅、クロスポイントおよび消光比等の各種特性を容易に取得することができる。
また、本発明の第3の実施の形態に係る通信制御方法では、まず、光信号に関する測定を行なう。次に、当該測定によって得られた光増幅器21が受ける光信号の消光比に基づいて、光増幅器21に供給される駆動電流の大きさを調整する駆動制御を行なう。
このように、光送信器からの光信号の経年変化等による消光比の変化に着目して、光増幅器21が受ける光信号の消光比を監視し、当該消光比に基づいて光増幅器21への駆動電流を制御することにより、光信号の受信強度によらず、たとえば光増幅器21の飽和領域においても、伝送品質の低下を防ぎ、光信号中継装置101から光受信器までの通信限界距離を延ばすことができる。また、特許文献1に記載の技術のように光増幅器への入力光の強度を大幅に小さくする必要がなくなり、光増幅器の利得を上げることに伴う光増幅器における消費電力の増大を防ぐことができる。
したがって、本発明の第3の実施の形態に係る通信制御方法では、受信した光信号を増幅して送信する光信号中継装置において、光通信システムの通信限界距離を延ばすとともに、消費電力を抑制することができる。
なお、本発明の第3の実施の形態に係る光通信システムでは、光信号中継装置101が制御部26および測定部28を備える構成であるとしたが、これに限定するものではない。光通信システム301における光信号中継装置101以外の他の装置が制御部26および測定部28を備え、光増幅器の入力光の監視、および光増幅器への駆動電流の制御を行なう構成であってもよい。
また、本発明の第3の実施の形態に係る光通信システムでは、下り方向において、光増幅器の入力光の監視、および光増幅器への駆動電流を行なう構成であるとしたが、これに限定するものではなく、上り方向において、下り方向と同様に、光増幅器の入力光の監視、および光増幅器への駆動電流を行なう構成とすることも可能である。
その他の構成および動作は第1の実施の形態に係る光通信システムと同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
なお、本発明の第1の実施の形態〜第3の実施の形態に係る光信号中継装置では、制御部26は、光増幅器21に供給される駆動電流の大きさを調整する駆動制御を行なう構成であるとしたが、これに限定するものではない。制御部26は、光増幅器21の種類等に応じて、光増幅器21に供給される駆動電圧の大きさを調整する駆動制御を行なう構成であってもよい。
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
以上の説明は、以下に付記する特徴を含む。
[付記1]
送信すべきデータの論理値に応じたレベルを有する光信号を受信して増幅し、増幅した前記光信号を送信する光信号中継装置であって、
前記光信号を受けて増幅し、出力する光増幅器と、
前記光信号に関する測定を行なう測定部と、
前記測定部の測定結果に基づいて、前記光増幅器から出力される前記光信号の変調振幅が所定値になるように、前記光増幅器に供給される駆動電流または駆動電圧の大きさを調整する駆動制御を行なう制御部とを備え、
前記光信号中継装置はPONにおいて用いられ、
前記光信号は、局側装置から宅側装置へ送信される下り光信号である、光信号中継装置。