JP2016009783A - 貫通電極基板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
上記構成をなす貫通電極付きガラス基板は、高気密性を特徴としているが、その製法上、基材となるガラスの溶融温度付近の高温まで加熱する必要がある。ゆえに、ガラスと電極材料との熱膨張係数の違いにより、ガラス基板が破損する虞があるため、熱膨張係数がガラスと近いタングステンなどの限られた金属が用いられている。つまり、上記製法により貫通電極を形成する場合には、電極材料の選択の幅が狭いという課題があった。
また、ナノサイズの粒径の粒径よりも大きな通常の導電性粒子、あるいは、これらを含むインク・ペーストの焼結温度は一般に500℃以上の高温が必要となり、ガラスとの熱膨張係数の違いによる問題が顕在化する。
本発明の請求項2に記載の貫通電極基板の製造方法は、請求項1において、前記第一工程において、前記基体の他面に対して凹部が予め形成された基体を用いることを特徴とする。
本発明の請求項3に記載の貫通電極基板の製造方法は、請求項1または2において、前記第二工程と前記第三工程との間に、前記第二工程により形成された貫通孔の内側面に対して、アルコキシランベースのゾルゲル溶液からなる流動体Cを用いて皮膜を形成する工程α、を備えることを特徴とする。
本発明の請求項5に記載の貫通電極基板の製造方法は、請求項4において、前記工程βは、前記第七工程を経た基体を密閉容器に入れて、前記密閉容器の内部を排気する工程β1と、前記工程β1を経た基体を内在する密閉容器に、該密閉容器の内部を排気しながら、該密閉容器の内部に前記流動体Eを導入し、該基体が該流動体Eに浸漬された状態とする工程β2と、前記工程β2を経た基体に該流動体Eを介して圧力を加える工程β3と、前記工程β3を経た基体を前記密閉容器から取出し、該基体の外面に付着した流動体Eを除去する工程β4と、前記工程β4を経た基体の他面側に第四加熱手段を設けて、前記基体をプリベーク処理する工程β5と、前記工程β5を経た基体の他面側に第五加熱手段を設けて、前記基体を焼成処理することにより、前記微細孔が修復された貫通電極を形成する工程β6と、前記工程β6を経た基体から前記第五加熱手段を外し、該基体を洗浄処理する工程β7と、から構成されることを特徴とする。
本発明の請求項7に記載の貫通電極基板は、請求項6において、前記貫通孔の内側面には、アルコキシランベースのゾルゲル溶液から形成された被膜からなる密着層が配されていることを特徴とする。
本発明の請求項8に記載の貫通電極基板は、請求項6または7において、前記貫通電極に内在する微細孔には、アルコキシランベースのゾルゲル溶液を用いた形成物が充填されていることを特徴とする。
図1は、本発明に係る貫通電極基板の製造方法を示すフローチャートであり、以下の3工程を含んでいる。
・基体の一面から他面に向けて貫通孔を形成する第一工程。
・基体の他面にフィルムを貼付し、他面側で貫通孔を封止する第二工程。
・基体の一面に導電性ナノ粒子を含む流動体を導入し、貫通孔内において流動体に含まれる導電性ナノ粒子を焼結させて、貫通電極を形成する第三工程。
以上の3工程を経ることにより、本発明に係る貫通電極基板が得られる。
なお、本発明では、流動体に混入され、その後の熱処理により、貫通電極(または配線パターン)となる材料である、「導電性ナノ粒子」のことを、出発材料とも呼ぶ。
第一実施形態:導電性ナノ粒子を含む流動体を貫通孔へ充填し、焼結させて貫通電極を形成する場合(平板状の基体に適用)。
第二実施形態:凹部を加工した基体に対して第一実施形態の製法を適用した場合。
第三実施形態:ゾルゲル溶液により貫通孔の側面に皮膜を形成した後、第一実施形態の製法を適用した場合。
そして、第四実施形態は、上記3つの実施形態の追加工程(additional works)である。すなわち、第四実施形態においては、上記3つの実施形態により貫通電極が既に形成された基体を用い、貫通電極の内部に残存する微細孔を修復する。
以下では、第一実施形態〜第四実施形態を順に説明する。
図2〜図4は、第一実施形態に係る図面であり、図2はフローチャートを、図3は図2に基づく製造方法の一例を工程順に示す模式断面図、図4は図3に続く各工程を順に示す模式断面図である。
・基体10の一面から他面に向けて貫通孔12を形成する[SA1(第一工程):図3(a)]。
その際、必要に応じて、基体10の一面にフィルム11を予め設ける。
・基体10の他面にフィルム13を貼付し、他面側で貫通孔12を封止する[SA2(第二工程):図3(b)]。
・基体10の一面に導電性ナノ粒子を含む流動体A14を塗布し、貫通孔12の内部に流動体A14を充填する[SA3(第三工程):図3(c)]。
・基体10を回転させて基体の一面上に付着した流動体A14を振り切る[SA4(第三工程):図3(d)]。
・加熱手段16aを用いて基体10をプリベーク処理する[SA5(第三工程):図4(e)]。
・加熱手段16bを用いて基体10を焼成処理することにより、貫通電極14Aを形成する[SA6(第三工程):図4(f)]。
・加熱手段16bを外し、基体10からフィルム11、13を除去した後、基体11を洗浄する[SA7(第四工程):図3(g)]。
以上の7工程を経ることにより、貫通電極基板SAが得られる。
第一ステップ(SA3)では、前工程(SA2)によりフィルム13を他面に設けた基体10の一面に、導電性ナノ粒子を含む流動体A14を塗布することにより、貫通孔12の内部に流動体A14を充填する。その際、基体10の一面上において、流動体A14がパドル状にディスペンスされた状態とする。
インクの充填方法は、ディスペンス法に限定されるものではなく、印刷法や吸引法などの他の方法で貫通穴にインクを充填しても良い。
なお、貫通孔12の内部に対する流動体A14の充填が十分でない場合は、充填からプリベークまでの工程(SA3、SA4、SA5)を、複数回繰り返しても良い。
このような焼成処理は、たとえば、ホットプレートからなる加熱手段16bを用いて行われる。焼成処理の目的は、貫通穴に充填されたインク(流動体A14)を固化させることであり、たとえば、ポリイミドの耐熱温度より低い300℃、1時間という条件で行われる。
基体10からフィルム11、13を除去(剥離)する作業は、所望の温度以下に基体10が冷却された後に行われる。基体10の洗浄処理は、たとえば、ガラス基板用洗剤・純水を用いて行われる。その後に、IPAベーパー乾燥を行うことが好ましい。
作製した貫通電極基板SAを構成する貫通電極14Aの気密性は、真空吹付け法(JIS Z2331、附属書1(→http://kikakurui.com/z2/Z2331-2006-01.html))を用いて評価した。その結果、貫通電極14Aの気密性は、1×10−9[Pa・m3/sec]以下であり、良好な気密性を有することが確認された。
図5〜図7は、第二実施形態に係る図面であり、図5はフローチャートを、図6は図5に基づく製造方法の一例を工程順に示す模式断面図、図7は図6に続く各工程を順に示す模式断面図である。
第二実施形態の製造方法は、図5に示すように、以下の8工程を含んでおり、特にSB4〜SB7が第三工程に相当する。
・基体20の他面に凹部20Cを形成する[SB1(前工程):図6(a)]。
・基体20の一面から他面に向けて貫通孔22を形成する[SB2(第一工程):図6(b)]。
その際、必要に応じて、基体20の一面にフィルム21を予め設ける。
・基体20の他面にフィルム23を貼付し、他面側で貫通孔22を封止する[SB3(第二工程):図6(c)]。
・基体20の一面に導電性ナノ粒子を含む流動体B24を塗布し、貫通孔22の内部に流動体B24を充填する[SB4(第三工程):図6(d)]。
・基体20を回転させて基体の一面上に付着した流動体B24を振り切る[SB5(第三工程):図7(e)]。
・加熱手段26bを用いて基体20を焼成処理することにより、貫通電極24Aを形成する[SB7(第三工程):図7(g)]。
・加熱手段26bを外し、基体20からフィルム21、23を除去した後、基体20を洗浄する[SB8(第四工程):図7(h)]。第8工程[SB8:図6(h)]。
以上の8工程を経ることにより、貫通電極24A(MA)を備えた貫通電極基板SBが得られる。
作製した貫通電極基板SBを構成する貫通電極24Aの気密性は、第一実施形態と同様に、真空吹付け法を用いて評価した。その結果、貫通電極24Aの気密性は、1×10−9[Pa・m3/sec]以下であり、良好な気密性を有することが確認された。
図8〜図11は、第三実施形態に係る図面であり、図8はフローチャートを、図9は図8に基づく製造方法の一例を工程順に示す模式断面図、図10は図9に続く各工程を順に示す模式断面図、図11は図10に続く各工程を順に示す模式断面図である。
・基体30の一面から他面に向けて貫通孔32を形成する[SC1(第一工程):図9(a)]。
その際、必要に応じて、基体30の一面にフィルム31を予め設ける。
・基体30の他面にフィルム33を貼付し、他面側で貫通孔32を封止する[SC2(第二工程):図9(b)]。
・基体30の一面にアルコキシランベースのゾルゲル溶液からなる流動体C37を塗布し、貫通孔32の内部に流動体C37を充填する[SC3(第三工程):図9(c)]。
・基体30を回転させて基体の一面上に付着した流動体C37を振り切る[SC4(第三工程):図9(d)]。
・加熱手段36aを用いて基体30をプリベーク処理する[SC6(第三工程):図10(f)]。
・基体30の一面に導電性ナノ粒子を含む流動体D34を塗布し、貫通孔32の内部に流動体D34を充填する[SC7(第三工程):図10(g)]。
・基体30を回転させて基体の一面上に付着した流動体D34を振り切る[SC8(第三工程):図10(h)]。
・加熱手段36cを用いて基体30を焼成処理することにより、貫通電極34を形成する[SC10(第三工程):図11(j)]。
・加熱手段36cを外し、基体30からフィルム31、33を除去した後、基体30を洗浄する[SC11(第四工程):図11(k)]。
以上の11工程を経ることにより、貫通電極34A(MA)を備えた貫通電極基板SCが得られる。
工程α1[第3工程(SC3)]では、前工程(SC2)によりフィルム33を他面に設けた基体30の一面に、流動体C37を塗布することにより、貫通孔32の内部に流動体Cを充填する。これにより、貫通孔32の内側壁に対して流動体C37が接触した状態が得られる。
第7工程(SC7)以降、第11工程(SC11)に至るまでの各工程は、上述したとおり、第一実施形態における第3工程(SA3)〜第7工程(SA7)と同様の処理が行なわれる。
作製した貫通電極基板SCを構成する貫通電極34Aの気密性は、第一実施形態と同様に、真空吹付け法を用いて評価した。その結果、貫通電極34Aの気密性は、1×10−9[Pa・m3/sec]以下であり、良好な気密性を有することが確認された。
図12〜図14は、第四実施形態に係る図面であり、図12はフローチャートを、図13は図12に基づく製造方法の一例を工程順に示す模式断面図、図14は図13に続く各工程を順に示す模式断面図である。
第四実施形態は、上述した第一乃至第三実施形態の製造方法により、基体に形成された貫通電極の内部に微細孔が残存する場合に、ゾルゲル溶液からなる流動体Eを用いて、該微細孔を埋めて修復するものである。
第四実施形態における7工程は纏めて工程βとも呼ぶ。。なお、以下の説明では、第1工程(SD1)〜第7工程(SD7)を各々、工程β1〜工程β7とも呼ぶ。
以下、工程βについて詳細に説明する。
工程β2[第2工程(SD2)]では、前記工程β1を経た基体40を内在する密閉容器C4に、該密閉容器の内部(P2)を排気しながら、該密閉容器の内部に前記流動体E(SGS)を導入(P3)し、該基体40が該流動体Eに浸漬された状態とする。その際。流動体Eとしては、アルコキシランベースのゾルゲル溶液が用いられる。
工程β4[第4工程(SD4)]では、前記工程β3を経た基体40を密閉容器C4から取出し、基体40の外面に付着した流動体Eを除去する。これにより、基体40の外面、特に、貫通電極の上下面に残存していた流動体Eを取り除く。
工程β6[第6工程(SD6)]では、前記工程β5を経た基体の他面側に第五加熱手段46bを設けて、基体40を焼成処理することにより、微細孔(空孔P)が修復された貫通電極44Aaを形成する。
工程β7[第7工程(SD7)]では、前記工程β6を経た基体40から第五加熱手段46bを外し、基体40を洗浄処理する。
作製した貫通電極基板SDを構成する貫通電極44Aaの気密性は、第一実施形態と同様に、真空吹付け法を用いて評価した。その結果、貫通電極34Aの気密性は、5×10−10[Pa・m3/sec]以下となり、気密性の向上が確認された。
本発明を実施するためには、粒径が10nm以下のナノサイズの導電性粒子またはその導電性粒子を含むインク・ペーストが好適である。導電性粒子の粒径が10nm以下になると、その物質本来の融点よりも融点が低くなり、焼結温度を下げることが可能になる。
なお、Ag以外のすべての金属・合金およびITOなどの酸化物導電体を用いても同様の効果を得ることが可能である。
これにより、ガラスと熱膨張係数の差の問題を解決できる。
ゆえに、本発明によれば、電極形成後の研磨が不要になることで凹凸加工がされた基板に電極を形成することが可能になる。
ゆえに、本発明によれば、高い気密性を有する貫通電極を備えた、貫通電極基板を安定して製造することが可能となる。
(実施例1)
ガラス基板として、硼珪酸ガラス(テンパックス:Schott社製)、厚さ0.3mm、直径100mmを使用した。また、ガラス基板は事前に研磨を行い平坦で清浄な表面を有する物を用いた。
ガラス基板に対してブラスト法を用いて、φ0.2mm、ピッチ0.5mmの貫通穴を形成した。その際、貫通穴は、ガラス基板の外周10mmを除くエリア全面に加工した。この時、ブラスト加工のマスキングに使用したドライフィルムを剥離せずに残しておき、後加工における保護膜・マスキング膜に使用することができる。さらに、保護膜・マスキング膜に用いる場合は耐熱性の高いポリイミドを用いると有効である。
その後、平均粒子径3.8nmのAg粒子を導電性粒子とするインク(固形成分濃度:58wt%、粘度:10mPs・s、密度:1.7g/cm3 、溶媒:テトラデカン)を、貫通穴付き基板のポリイミドフィルムを貼り付けた反対の面を上にして、パドル状にディスペンスした。
次に、基板を回転(スピン)させることにより、余分なインクを振り切ることで、貫通穴にインクを充填した。
さらに、基板を再びホットプレートに乗せ、ポリイミドの耐熱温度より低い300℃で1時間の本焼成を行った。
次いで、基板冷却後、表裏面の保護に貼り付けたポリイミドフィルムを剥離し、ガラス基板用洗剤・純水を用いて基板洗浄を行い、IPAベーパー乾燥で仕上げた。
以上の工程により作製した基板の貫通電極の気密性は、第一実施形態と同様に、真空吹付け法により計測し、≦1×10−9Pa・m3/secと良好な値を示した。
ガラス基板として、硼珪酸ガラス(テンパックス:Schott社製)、厚さ0.3mm、直径100mmを使用した。また、ガラス基板は事前に研磨を行い平坦で清浄な表面を有する物を用いた。
ガラス基板にはウェットエッチング法を用いて深さ50μmの窪みを加工した。ウェットエッチングには限定されず、機械加工やブラストなどその他方法で凹凸加工を行っても良い。
この時、ブラスト加工のマスキングに使用したドライフィルムを剥離せずに残しておき、後加工における保護膜・マスキング膜に使用することができる。さらに、保護膜・マスキング膜に用いる場合は耐熱性の高いポリイミドを用いると有効である。
その後、平均粒子径3.8nmのAg粒子を導電性粒子とするインク(固形成分濃度:58wt%、粘度:10mPs・s、密度:1.7g/cm3 、溶媒:テトラデカン)を貫通穴付き基板のポリイミドフィルムを貼り付けた反対の面を上にして、パドル状にディスペンスした。
次に、基板を回転(スピン)させることにより、余分なインクを振り切ることで、貫通穴にインクを充填した。
さらに、基板を再びホットプレートに乗せ、ポリイミドの耐熱温度より低い300℃で1時間の本焼成を行った。
次いで、基板冷却後、表裏面の保護に貼り付けたポリイミドフィルムを剥離し、ガラス基板用洗剤・純水を用いて基板洗浄を行い、IPAベーパー乾燥で仕上げた。
以上の工程により作製した基板の貫通電極の気密性は、第一実施形態と同様に、真空吹付け法により計測し、≦1×10−9Pa・m3/secと良好な値を示した。
実施例1と同様の手順で貫通穴付き基板を作製した。
貫通穴を加工したガラス基板のブラスト加工で貫通側となる面にポリイミド製フィルムをラミネーターを用いて貼り付けた。
ガラス基板(テンパックス)に近い組成となるように、Si:B:Al:Na=82:12:1:4のTEOSをベースとしたゾルゲル溶液(固形分率:10wt%、粘度:2mPa・s、溶媒:エタノール)を作製した。
ゾルゲル溶液を貫通穴付き基板のポリイミドフィルムを貼り付けた反対の面を上にして、パドル状にディスペンスした。
次に、基板を回転(スピン)させることにより、余分なインクを振り切った。さらに窒素ブローにより、貫通穴内部の余分なゾルゲル溶液を除去した。
なお、プリベークのみでは骨格形成が不十分な場合には、本焼成を加えてもよい。
その後、平均粒子径3.8nmのAg粒子を導電性粒子とするインク(固形成分濃度:58wt%、粘度:10mPs・s、密度:1.7g/cm3 、溶媒:テトラデカン)を貫通穴付き基板のポリイミドフィルムを貼り付けた反対の面を上にして、パドル状にディスペンスした。
次に、ホットプレートを用いて70℃、30分のプリベークを行い、溶媒を揮発させた。
さらに、基板を再びホットプレートに乗せ、ポリイミドの耐熱温度より低い300℃で1時間の本焼成を行った。
次いで、基板冷却後、表裏面の保護に貼り付けたポリイミドフィルムを剥離し、ガラス基板用洗剤・純水を用いて基板洗浄を行い、IPAベーパー乾燥で仕上げた。
以上の工程により作製した基板の貫通電極の気密性は、ヘリウム吹き付け法により計測し、≦1×10−9Pa・m3/secと良好な値を示した。
実施例1,2,3で作製した貫通電極付き基板において、焼成温度を300℃以上(例えば350℃など)にした場合、比抵抗値が下がり、よりバルクに近い良好な値となる効果があるが、空孔(ポア)が成長する場合がある。
実施例1,2より高い焼成温度350℃で作製した基板に真空加圧含浸法を用いて実施例2で用いたTEOSベースのゾルゲル溶液を含浸させた。
ガラス基板を密閉容器に入れ、真空に排気後、含浸液となる実施例3で用いたのと同様のTEOSをベースとしたゾルゲル溶液を基板が十分に浸る高さまで密閉容器に注入、空気を入れる事で容器内を加圧し、含浸させた。
次に、ホットプレートを用いて150℃、1分のプリベークを行い、溶媒を揮発させた。
さらに、基板を再びホットプレートに乗せ、350℃で1時間の本焼成を行った。
次いで、基板冷却後、表裏面の保護に貼り付けたポリイミドフィルムを剥離し、ガラス基板用洗剤・純水を用いて基板洗浄を行い、IPAベーパー乾燥で仕上げた。
以上の工程により作製した基板の貫通電極の気密性は、第一実施形態と同様に、真空吹付け法により計測し、≦5×10−10Pa・m3/secと良好な値を示した。
(1)500℃以下の低温で焼成可能である事より、ガラスと貫通電極材料の熱膨張差が小さくて済むため、タングステン以外の多様な材料を選択事が可能となる。
(2)500℃以下の低温で焼成可能である事より、ポリイミドなどの耐熱性樹脂によりガラス基板表面を保護・マスキングしながら、焼成まで含めたすべてのプロセスを行う事ができる。これにより、貫通電極形成に研磨を行わなくても平坦で清浄な表面を得る事ができる。
(4)500℃以下の低温で焼成可能である事より、半導体素子やMEMS素子が形成され、高温でのプロセスが出来ない基板においても貫通電極を形成する事が可能である。
(5)本発明によれば、焼成後にバインダーが残らないため、比抵抗の小さい貫通電極を安定して作製すること可能となる。
(7)本発明によれば、導電性粒子の焼結により生じる空孔(ポア)に低粘度のアルコキシランベースゾルゲル膜等のガラス質の材料を含浸させる事によって、より高い気密性を得る事ができる。
Claims (8)
- 平板状のガラスからなる基体の一面に対して、貫通孔を前記基体の内部に形成する第一工程と、
前記第一工程を経た基体の他面に対してフィルム状の封止材を貼付することにより、該他面側において前記貫通孔を封止する第二工程と、
前記第二工程を経た基体の一面側から前記貫通孔の内部に、導電性ナノ粒子を含む流動体Aを充填し、前記封止材の耐熱温度より低い温度で、該導電性ナノ粒子を焼結させることにより、貫通電極を形成する第三工程と、
を含むことを特徴とする貫通電極基板の製造方法。 - 前記第一工程において、前記基体の他面に対して凹部が予め形成された基体を用いること、
を特徴とする請求項1に記載の貫通電極基板の製造方法。 - 前記第二工程と前記第三工程との間に、前記第二工程により形成された貫通孔の内側面に対して、アルコキシランベースのゾルゲル溶液からなる流動体Cを用いて皮膜を形成する工程α、
を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の貫通電極基板の製造方法。 - 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の貫通電極基板の製造方法により形成された前記貫通電極の内部に微細孔が残存する場合、アルコキシランベースのゾルゲル溶液からなる流動体Cを用いて、該微細孔を埋めて修復する工程β、
を備えることを特徴とする貫通電極基板の製造方法。 - 前記工程βは、
前記第七工程を経た基体を密閉容器に入れて、前記密閉容器の内部を排気する工程β1と、
前記工程β1を経た基体を内在する密閉容器に、該密閉容器の内部を排気しながら、該密閉容器の内部に前記流動体Eを導入し、該基体が該流動体Eに浸漬された状態とする工程β2と、
前記工程β2を経た基体に該流動体Eを介して圧力を加える工程β3と、
前記工程β3を経た基体を前記密閉容器から取出し、該基体の外面に付着した流動体Eを除去する工程β4と、
前記工程β4を経た基体の他面側に第四加熱手段を設けて、前記基体をプリベーク処理する工程β5と、
前記工程β5を経た基体の他面側に第五加熱手段を設けて、前記基体を焼成処理することにより、前記微細孔が修復された貫通電極を形成する工程β6と、
前記工程β6を経た基体から前記第五加熱手段を外し、該基体を洗浄処理する工程β7と、
から構成されることを特徴とする請求項4に記載の貫通電極基板の製造方法。 - 基体に貫通電極を備えてなる貫通電極基板であって、
前記貫通電極は前記基体の貫通孔内に設けられた導電性ナノ粒子からなることを特徴とする貫通電極基板。 - 前記貫通孔の内側面には、アルコキシランベースのゾルゲル溶液から形成された被膜からなる密着層が配されていることを特徴とする請求項6に記載の貫通電極基板。
- 前記貫通電極に内在する微細孔には、アルコキシランベースのゾルゲル溶液を用いた形成物が充填されていることを特徴とする請求項6または7に記載の貫通電極基板。
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