JP2016008495A - 開放装置付扉及びその使用方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 建築物の階段室に臨む出入口に設けられる防火扉であって、前記出入口の縦枠10Rに取り付けられる大扉1と、この大扉1に設けられる開口部11に取り付けられる小扉2を備え、アシスト手段3を用いて小扉2を開けた後、人力により大扉1を開けて、室内にいる居住者等が室外に脱出できるようになっている。その後は、防火扉としての機能に復帰させるため、小扉2及び大扉1が閉鎖されるようになっている
【選択図】図2
Description
排煙設備は、火災発生の際、建築物内部に充満する煙を屋外に排気させることにより、消火活動を容易にすることを目的とするもので、排煙機を用いて強制的に排煙を行う「機械排煙」が設けられる。
「機械排煙」の場合、規定されている排煙機の排煙性能のもとでは、排煙機が設置される室が負圧状態となり、その室に設けられている外開きの避難扉(以下、防火扉とも称する)が開けにくくなることが指摘されている(特許文献1)。
しかし、特許文献2の扉用室内外気圧差解消装置によれば、室内外の気圧差を迅速に解消させることができるとされているが、その装置が付けられた扉自体を迅速に、且つ、容易に開けることができるか否かについては、必ずしも明確な記載がない。
しかし、非常時にはドア自体のみらならず、非常用ドア自体も人力のみでは開き難い事態が発生する可能性があるが、特許文献3のドア装置においては、かかる事態に対処する技術は開示されていない。
前記第1の開放角度で開放された小扉を第1の保持手段によりその状態を保持させ、引き続き、人力により大扉を開けることができる程度まで室内外の圧力差を減少させることができる第2の開放角度まで小扉を開放させ、前記第2の開放角度で開放された小扉を第2の保持手段によりその状態を保持させ、その後、人力により大扉を開けることを特徴とする開放装置付扉の使用方法とした(請求項7に記載の発明)。
前記アシスト手段により前記第1の開放角度で開放された小扉に対しては、その小扉を室内側に押し戻す外力が作用する場合に、第1の保持手段により対処する。
また、前記第2の開放角度で開放された小扉に対しても、その小扉を室内側に押し戻す外力が存在する場合もあることから、第2の保持手段を設ける。
小扉の第2の開放角度の開放により、大扉は人力により開けられる状態に至る。
前記扉が防火扉である場合には、第1の保持解消手段と第2の保持解消手段により、小扉を閉鎖状態に復帰させることができる。
実施形態に係る扉Dは、建築物の階段室に臨む出入口に設けられる防火扉であって、図1及び図2のように、前記出入口の縦枠10Rに取り付けられる大扉1と、この大扉1に設けられる開口部11に取り付けられる小扉2を備え、アシスト手段3を用いて小扉2を開けた後(図2(1)〜(2)参照)、人力により大扉1を開けて(図2(3)参照)、室内にいる居住者等が室外に脱出できるようになっている。その後は、防火扉としての機能に復帰させるため、小扉2及び大扉1が閉鎖されるようになっている(図2(4)参照)。
本書において、「人力」とは、約200N以下(近似値として約20キログラム重以下)の力を発揮できる人の力を想定し、例えば非力な女性の力でも開放できる防火扉を想定している。
そして、前記アシスト手段3により第1の開放角度α1で開放された小扉2を第1の保持手段4で保持させ、第2開放角度α2で開放された小扉2を第2の保持手段5で保持させることにより、室の内外に圧力差があり、室内側が負圧の状態であっても、扉D自体を容易に、迅速に、且つ、安全に開けることができるようになっている。
なお、「14」は大扉1の開閉時の握手としてのレバーハンドルである。
また、前記開口部11は、大扉1の略中央に設けられているが、その位置に限定されるものでもなく、本発明の効果を奏する範囲内で大扉1の上又は下框寄り、右又は左框寄りでもよい。
前記小扉2は、図1に図示するように、前記大扉1に対してオートパワーヒンジ20を介して外開き式に、且つ、自閉可能に取り付けられている。
なお、「21」は指挟み防止金具であり、防火扉としての機能に復帰させるために小扉2を閉鎖させる(図2(4)参照)際に、圧力差により小扉2が急激に閉じて居住者等の指が挟み込まれることを防止するものである。本実施形態では、コンシールドタイプのドアクローザーを使用している。
そのラッチ23に対応するラッチ受34は、後述のようにアシスト手段3に組み込まれている。
かかる構成において、前記第1の開放角度α1及び第2の開放角度α2、即ち、それぞれ大扉1と小扉2により形成する具体的な角度の値は、約15度と約30度となっている。
このような数値は、図3に示した実験結果の表及びその結果をグラフ化した図4(1)に示されている。
図3の表は、実験装置の圧力チャンバーに前記扉Dと同様な構成の試験体を設置して、その内外の圧力差を500Paに調整し、小扉2の開放角度に応じて、大扉1及び小扉2の開放に必要な力(開放力)Nを測定したものである。
その測定結果に基づき、小扉2の開放角度(横軸)と、小扉2及び大扉1に対する開放力(左縦軸)並びにチャンバー内圧力(右縦軸)との関係を図4(1)のグラフに示した。
開放角度が15度〜30度の間は、開放力155N〜開放力150N(近似値:約16重量キログラム〜約15重量キログラム)となっており、アシスト手段3を用いることなく、人力により容易に小扉2を開放させることができる。
小扉2の開放角度が30度のときに、大扉1の開放力は181N(近似値:約18重量キログラム)となって、人力により容易に大扉1を開放させることができる。
即ち、小扉2の開口面積=a×h+b×2と定義する。
ここで「a」は開放状態の小扉2の縦框22と開口部11の縦辺11Lの開口寸法を、「h」は小扉2の有効開口高さを、「b×2」は開放状態の小扉2と大扉1により形成される三角形の上下の面積を、それぞれ意味する。
また、「H」は大扉1の有効開口高さを、「W」は大扉1の有効開口幅を、「w」は小扉2の有効開口幅を、それぞれ意味する。
ここで、H=2.1m、W=1m、h=1.7m、w=0.5mとして、開放角度が15度のとき、a=0.125m、b=0.02m2となり、小扉2の開口面積は0.25m2に、開放角度が30度のとき、a=0.266m、b=0.06m2となり、小扉2の開口面積は0.57m2になる。これらの値が前記小扉2、アシスト手段3等の扉Dを構成する場合の基準となり得る。
なお、上記開口面積は、図3の表中に、(開口面積)として表示されている。
この係合孔333は、小扉2を約15度まで開放させるように前記アシストハンドル33を回動させる場合に、前記第1の保持手段4としてのストッパー40(後述)の先端部42を没入させるものである。
その結果、図6(2)のように、前記蹴出アーム330が前記小扉2を保持し、小扉2が負圧により室内側に引き寄せられることを防止する。従って、人力により安全に小扉2をさらに外側に押し出せるようになっている。
また前記把持アーム331の前部331fには、図5(2)のように前記蹴出アーム330に対して室内側に延べ出される延出部36が形成され、その延出部36に、前記ラッチ受け34に連動させる軸36pが形成されている。
なお、前記ガイドプレート31の室外側は、前記蹴出アーム330が臨む長孔311(図5(1)参照)が形成され、平常時には、前記長孔311は、前記小扉2の縦框22に形成されている薄板片24(図6(2)参照)によりカバーされている。
また、図5(1)のように、前記ガイドプレート31には、前記把持アーム331の下方に操作者の指先等が入るスペース37が形成され、そのスペース37は、平常時にはカバー38で覆われ、そのカバー38には、前記アシストハンドル33の操作方法を報知するシール39等が貼られている。
このストッパー40は、前記先端部42を突出方向に押圧する押圧部43を備えており、これが第1の保持解消手段6を構成するようになっている。
そして、平常時において、前記先端部42が前記アシストハンドル33の側面に臨み、且つ当接し、本体41内に押し込まれた状態で、また、前記押圧部43が前記出入口の縦枠10Lに取り付けられた縦枠受15に当接し、本体41内に押し込まれた状態で、前記本体41が前記大扉1に固定されている。
前記スライダー51は、小扉2が約30度に開放された時に、前記レール50に形成された孔500(図12参照)に係合される係合ボタン54が組み込まれたスライダー係合部53を備えている(図13参照)。
そして、平常時において、前記レール50の一端側にスライダー51が静止し、スライダー係合部53に設けられ、且つ、常時上方に付勢されている係合ボタン54は、レール50に当接して、押し込められ、前記アーム52は、前記レール50の下方において、前記レール50に略平行に位置されている。
前記復帰用ストッパー70は、大扉1に固定され、その平常時において、レール50の孔500の上方に前記先端部71が位置し、前記押圧部72が大扉1の上框16から上方に突出した状態にあり、さらに、前記押圧部72が上枠受73の回転板730に対向する位置にある。
前記扉Dは、平常時においては、小扉2は前記ラッチ23により大扉1に施錠されており、扉Dの開閉は大扉1のレバーハンドル14を介して行われる。
また、前記ガイドプレート31の室内側は、アシストハンドル33の化粧板35が大扉の室内側面を形成するようになっているので、誤作動を防ぐことができるようになっている(図14A(1))。
この場合には、室内側のアシストハンドル33のカバー38を除去し、その下部を指で摘み上げ、把持アーム331を手前方向に引き上げる。
その動作により、前記アシストハンドル33の蹴出アーム330の車部332が小扉2を押し開き、第1の開放角度α1の約15度まで、小扉2が開放される(図14A(2))。その結果、人力により小扉2を開ける事が出来る程度に室内外の圧力差を減少させることができることとなる。
なお、前記アシストハンドル33は前記軸331pを中心に後部331bが折り畳まれる。
よって、それ以降の小扉2の開放動作を安全に行うことができる。
小扉2を約30度まで開放させた時点で、スライダー51に設けられているスライダー係合部53の係合ボタン54が、前記レール50の孔500に入り込み、小扉2の開放が停止される(図14A(3))。その結果、小扉2が圧力差により、急激に閉鎖されることが防止されて安全性が確保され、また人力により大扉1を開けることができる程度に室内外の圧力差を減少させることができ、大扉1のレバーハンドル14等を把持して、脱出することができる(図14A(4)〜図14B(5))。
よって、大扉1の開放動作の容易性が図られると共に、アシストハンドル33により脱出動作が妨げられることはない(図14B(5))。
さらに、大扉1の開放時に、前記復帰用ストッパー70の押圧部72により、室外側に押し出された上枠受け73の回転板730は、押圧部72との当接が解除された時点でバネ等により初期位置に復帰し、大扉1の閉鎖動作に備えている(図14A(4)〜図14B(5))。
その結果、前記オートパワーヒンジ20の自閉作用により、小扉2のアーム52がレール50に導かれ、小扉2が閉鎖を開始する(図14B(7))。
よって、小扉2が大扉1の閉鎖時まで、約30度の開放角度を維持していることからも、安全かつ確実に、人力により大扉1を開放させることができるようになっている。
(イ) 室内外の圧力差により人力では小扉2を開けることが困難な場合であっても、前記アシストハンドル33を用いることにより、人力により小扉2を開ける事が出来る程度に室内外の圧力差を減少させることができる。
(ロ) 前記ストッパー40の先端部42が、前記アシストハンドル33の係合孔333に入り込み、アシストハンドル33の回動が停止されると共に、蹴出アーム330が小扉2を第1の開放角度α1で保持するので、それ以降の小扉2の開放動作を安全に行うことができる。
(ハ) また前記アシストハンドル33は前記軸331pを中心に後部331bが折り畳まれることから、それ以降の小扉2の開放動作を安全に行うことができる。
(ニ) 小扉2を第2の開放角度α2まで開放させた時点で、スライダー51に設けられているスライダー係合部53の係合ボタン54が、前記レール50の孔500に入り込み、小扉2の開放が停止されるので、小扉2が圧力差により急激に閉鎖されることが防止されて安全性が確保される。
(ホ) 第2の開放角度α2まで小扉2が開放されるので、人力により大扉1を開けることができる程度に室内外の圧力差を減少させることができる。
(へ) 前記大扉1が開けられた時点で、前記ストッパー40の先端部42とアシストハンドル33の係合孔333との係合が解除され、アシストハンドル33がガイドプレート31に収容されるので、大扉1の開放動作の容易性が図られると共に、アシストハンドル33により脱出動作が妨げられることはない
(ト) 小扉2が大扉1の閉鎖時まで、小扉2の約30度の開放角度が維持されるので、安全かつ確実に、人力により大扉1を開放させることができる。
この場合には、第1の保持解消手段6と第2の保持解消手段7は、必須のものではない。
前記アシストハンドル33を用いて第1の開放角度α1まで小扉2を開放させる。
前記第1の開放角度α1で開放された小扉2を第1の保持手段4としてのストッパー40によりその状態を保持させる。
引き続き、居住者等が小扉2から室外に脱出することができる第2の開放角度α2まで小扉2を人力により開放させる。
前記第2の開放角度α2で開放された小扉2を第2の保持手段5としての前記スライダー係合部53によりその状態を保持させる。
なお、この場合の第1の開放角度α1と第2の開放角度α2は、それぞれ約15°と約30°に限定されない。
(チ) 地震や水害等により非常扉等が開けられない事態を、アシストハンドル33の操作により居住者等が小扉2から脱出することでき、非力な女性でも使用することができることから、不特定多数の人々が出入りする建築物に適した非常扉となっている。
特に水害時において、水位が小扉2の下部に達する前であれば、水圧を受けずに子扉2を開放できる。また、水位が子扉2の下部に達した状態でも、アシストハンドル33の操作により、非力な女性でも水圧に抗して子扉2を開放できる。
α2 第2の開放角度
1 大扉
10R 10L 出入口の縦枠 10U 上枠
11 開口部
11L 縦辺 11U 上辺
12 丁番
13 ドアクローザー
14 レバーハンドル
15 縦枠受け
16 上框
2 小扉
20 オートパワーヒンジ 21 指挟み防止金具
22 縦框 23 ラッチ
24 薄板片 25 上框
3 アシスト手段
30 梃子部 31 ガイドプレート
311 長孔
32 軸
33 アシストハンドル
330 蹴出アーム 331 把持アーム
331f 前部 331b 後部
331p 軸 332 車部
333 係合孔
34 ラッチ受け
340 スライド片 341 長孔
342 ラッチ受孔 343 スプリング
35 化粧板
36 延出部
37 スペース
38 カバー
39 シール
4 第1の保持手段
40 ストッパー
41 本体
42 先端部
43 押圧部
5 第2の保持手段
50 レール 500 孔
51 スライダー 52 アーム
53 スライダー係合部 54 係合ボタン
6 第1の保持解消手段
7 第2の保持解消手段
70 復帰用ストッパー 71 先端部
72 押圧部
73 上枠受 730 回転板
Claims (9)
- 大扉と、この大扉の開口部に設けられた小扉を備える扉において、
前記扉は、小扉を第1の開放角度まで開放させる際の補助とするアシスト手段と、前記アシスト手段により、前記開放角度で開放された小扉をその状態で保持させる第1の保持手段と、前記開放角度よりも大きな角度の第2の開放角度まで開けられた小扉をその状態で保持させる第2の保持手段を備えることを特徴とする開放装置付扉。 - 大扉と、この大扉の開口部に設けられた小扉を備える扉において、
前記扉は、人力により小扉を開けることができる程度まで室内外の圧力差を減少させることができる第1の開放角度への小扉の開放を補助とするアシスト手段と、前記アシスト手段により、前記開放角度で開放された小扉をその状態で保持させる第1の保持手段と、人力により大扉を開けることができる程度まで室内外の圧力差を減少させることができる第2の開放角度まで開けられた小扉をその状態で保持させる第2の保持手段を備えることを特徴とする開放装置付扉。 - 前記アシスト手段は、小さな力を大きな力に変える梃子部からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の開放装置付扉。
- 前記梃子部は折り畳まれることを特徴とする請求項3に記載の開放装置付扉。
- 第1の保持手段による小扉の保持状態を解消させる第1の保持解消手段と、第2の保持手段による小扉の保持状態を解消させる第2の保持解消手段を備えていることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の開放装置付扉。
- 大扉と、この大扉の開口部に設けられた小扉を備える扉の使用方法において、
第1の開放角度までアシスト手段を用いて小扉を開放させ、前記第1の開放角度で開放された小扉を第1の保持手段によりその状態を保持させ、
引き続き、前記開放角度よりも大きな角度の第2の開放角度まで小扉を開放させ、前記第2の開放角度で開放された小扉を第2の保持手段によりその状態を保持することを特徴とする開放装置付扉の使用方法。 - 大扉と、この大扉の開口部に設けられた小扉を備え、小扉を開けた後、大扉を開けるように構成されている扉の使用方法において、
人力により小扉を開けることができる程度まで室内外の圧力差を減少させることができる第1の開放角度まで、アシスト手段を用いて小扉を開放させ、
前記第1の開放角度で開放された小扉を第1の保持手段によりその状態を保持させ、
引き続き、人力により大扉を開けることができる程度まで室内外の圧力差を減少させることができる第2の開放角度まで小扉を開放させ、
前記第2の開放角度で開放された小扉を第2の保持手段によりその状態を保持させ、
その後、人力により大扉を開けることを特徴とする開放装置付扉の使用方法。 - 第1の保持手段による小扉の保持状態を解消させる第1の保持解消手段を備え、その第1の保持解消手段は、大扉の開放時に作動させることを特徴する請求項7に記載の開放装置付扉の使用方法。
- 第2の保持手段による小扉の保持状態を解消させる第2の保持解消手段を備え、その第2の保持解消手段は、大扉の閉鎖時に作動させることを特徴とする請求項7又は8に記載の開放装置付扉の使用方法。
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