JP2016008414A - 熨斗瓦設置構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】熨斗瓦設置工事において、左右に複数枚ずつ積層される各熨斗瓦をそれぞれ高強度に組付け得るとともに、熨斗瓦積層部分を美観的にきれいに組付け得るようにする。
【解決手段】屋根稜線部P上に、釘打ち可能な材料製で左右の各熨斗瓦2A〜2Eを位置決めするための熨斗瓦位置決め台4を固定し、該熨斗瓦位置決め台4の左右各側面に各熨斗瓦2A〜2Eの棟側縁部2aを載せ掛け得る縁部載掛部51〜55を形成している一方、各熨斗瓦2A〜2Eは、棟側縁部2a付近に釘止め用の釘挿通穴23を設けたものを使用し、各熨斗瓦2A〜2Eは、それぞれ棟側縁部2aを熨斗瓦位置決め台4の所定高さ位置にある各縁部載掛部51〜55に載せ掛けた状態で釘挿通穴23を通して熨斗瓦位置決め台4に釘10を打ち込んで固定していることにより、各熨斗瓦2A〜2Eを強固に固定し得るとともに、熨斗瓦積層部分を美観的にきれいに組付け得るようにしている。
【選択図】 図1

Description

本願発明は、屋根稜線部の左右に複数枚ずつの熨斗瓦を積層してなる熨斗瓦設置構造に関するものである。
屋根稜線部に設置される棟瓦は、一般に図6に示すように、屋根稜線部Pの左右に複数枚ずつ積層(段積み)される左右の各熨斗瓦2A〜2Eと、最上段の左右熨斗瓦2E,2E上に載置される冠瓦3とを有している。
そして、この種の棟瓦は、台風や地震等により、位置ずれしたりひどいときには剥落・崩壊等の危険があるが、このような位置ずれや剥落・崩壊等を防止するために、従来から左右の各熨斗瓦2A〜2E同士及び冠瓦3を針金6,7で連結することが行われている。
即ち、図6の棟瓦設置構造(本願との比較対象は熨斗瓦設置構造部分)では、屋根稜線部P(左右の野地板8,8の突き合わせ部)上の左右に設置した最上部の各桟瓦1,1上に、左右1組とする熨斗瓦(2A,2A〜2E,2E)を適数段(図示例では5段)積み重ねて、該各段(1組)の熨斗瓦2A,2A〜2E,2E同士をそれぞれ各組ごとに針金6で連結している。尚、この各段(1組)の熨斗瓦2A,2A〜2E,2E間の間隔は、作業員の目分量で決められるが、該間隔を上段側ほど少しずつ狭くして、上段側の熨斗瓦の外端が下段側の熨斗瓦の外端より外側にはみ出さないようにしている。
他方、最上部の桟瓦1と最下段の熨斗瓦2間、上下の熨斗瓦2,2間、最上段の熨斗瓦2と棟瓦3間には、それぞれ葺土(漆喰)9が介在されているが、この各瓦間の葺土9の盛り量は、作業員の目分量によって決められている。尚、左右1組の熨斗瓦(2A,2A〜2E,2E)の各下面側に介在させる葺土9の盛り量に差があると、該葺土9が少ない盛り量側の熨斗瓦が該葺土9が多い盛り量側の熨斗瓦より傾斜角度が緩くなって、左右1組の熨斗瓦(2A,2A〜2E,2E)の内方側端部の高さが異なることになり、しかも棟長さ方向に隣接する同高さの熨斗瓦同士にも(特に内方側端部において)段差ができることになる。
ところで、棟部の熨斗瓦積層部分は、台風や地震等に対する強度が重要であることはもちろんであるが、該熨斗瓦積層部分には、装飾的及び美観的な要素もある。即ち、装飾的(美観的)な面では、熨斗瓦積層部分は、左右各段の各熨斗瓦2A〜2Eの外面同士が同一高さの直線状に連続しているとともに、熨斗瓦全体の左右側面が内外方向に出入りのない状態で(ほぼ面一状に)揃っていることが求められる。
ところで、図6に示す従来の棟瓦設置構造(特に熨斗瓦部分の設置構造)では、次のような問題があった。
まず、左右同高さに位置する1組の熨斗瓦2A,2A〜2E,2E(合計5段ある)同士は、それぞれ各組ごとに針金6で連結されているが、上下に位置する各組の熨斗瓦2A〜2E同士は何も連結されていないので、各熨斗瓦2A〜2Eにおける上と下の連結強度は弱いものであった。
又、各熨斗瓦2A〜2Eは、棟上部の構造体(野地板8,8)に対して何ら固定(連結)されていないので、各熨斗瓦2A〜2E及び冠瓦3を含む棟瓦全体の設置強度は弱いものであった。従って、例えば大きな地震が発生したときには、棟瓦全体が棟上部の構造体(野地板8,8)に対して位置ずれしたり崩落する虞れがある。
他方、熨斗瓦積層部分には、装飾的及び美観的な要素も求められるが、図6(従来)の熨斗瓦設置構造では、各熨斗瓦2A〜2Eの葺設時に特に位置決め用の指標となるものはなく、各熨斗瓦2A〜2Eを作業員の目分量(勘)によって適正位置と思われる位置に配置しているのが現状である。又、上下の各瓦間に介在させる葺土9の盛り量も作業員の目分量で決められる。ところが、このように各熨斗瓦2A〜2Eの配置位置(あるいは葺土9の盛り量)を作業員の目分量で決める場合は、熟練者の作業であっても各熨斗瓦2A〜2Eが位置ずれしたり姿勢がずれたりすることがあり、葺設した熨斗瓦積層部分に美観的な難点が生じることがある。
そこで、本願発明は、熨斗瓦設置工事において、左右に複数枚ずつ積層される各熨斗瓦をそれぞれ単独で高強度に組付け得るとともに、熨斗瓦積層部分を装飾的及び美観的にきれいに組付け得るようにした熨斗瓦設置構造を提供することを目的としてなされたものである。
本願発明は、上記課題を解決するための手段として次の構成を有している。尚、本願発明は、図1に例示するように、屋根稜線部Pの左右に複数枚(図示例では5枚)ずつの熨斗瓦2A〜2Eを積層してなる熨斗瓦設置構造を対象にしたものである。
[本願請求項1の発明]
本願請求項1の発明の熨斗瓦設置構造では、図1、図4〜図5に例示するように、屋根稜線部P上に、釘打ち可能な材料製で左右の各熨斗瓦2A〜2Eを位置決めするための熨斗瓦位置決め台4を固定している。
この熨斗瓦位置決め台4の左右各側面には、各熨斗瓦2A〜2Eの棟側縁部2aを載せ掛け得る縁部載掛部51〜55を、上下に積層される各熨斗瓦積層高さ間隔Hをもって且つ左右1組がそれぞれ同高さに位置する状態で熨斗瓦積層個数(5個)と同数ずつ形成している。
上記熨斗瓦位置決め台4としては、例えば釘打ち可能な木材製で幅の異なる複数種類の長尺角材41〜45(図示例では41〜46の6本)を上下に積み重ねた状態で一体的に固定したものを採用できる。又、各縁部載掛部51〜55は、上記各長尺角材41〜45の上面側左右角部を利用することができる。
尚、上記各長尺角材41〜46で構成される熨斗瓦位置決め台4は、例えば後述の実施例のように、屋根稜線部P上に間隔をもって立設固定した支持台47,47上に、まず最下段(第1段)の長尺角材41を横向き姿勢で載せて固定(釘打ち)し、次にその上に第2段の長尺角材42を載せて該第2段長尺角材42を先の第1段長尺角材41にビス固定し、順次同様に第3段長尺角材43、第4段長尺角材44、第5段長尺角材45、第6段長尺角材46を積み重ね状態でそれぞれビス止めすることで強固に一体化させることができる。
他方、各熨斗瓦2A〜2Eは、上記棟側縁部2a付近に釘止め用の釘挿通穴23を設けたものを使用している。この釘挿通穴23は、図1〜図3に示すように釘10を熨斗瓦上面側から内側斜め方向に向けて打ち込み得るように形成している。
そして、本願請求項1の発明の熨斗瓦設置構造では、各熨斗瓦2A〜2Eは、それぞれ上記棟側縁部2aを上記熨斗瓦位置決め台4の所定高さ位置にある各縁部載掛部51〜55に載せ掛けた状態で上記各釘挿通穴23を通して熨斗瓦位置決め台4に釘10を打ち込んで固定していることを特徴としている。
この請求項1の熨斗瓦設置構造では、左右1組とする各段の熨斗瓦2A,2A〜2E,2Eは、それぞれ各棟側縁部2a,2aを屋根稜線部P上に固定している熨斗瓦位置決め台4の左右各側面にある各縁部載掛部51〜55に載せ掛けているが、左右各側にある1組の縁部載掛部51,51〜55,55は相互に同高さに位置しているので、左右1組とする各熨斗瓦2A,2A〜2E,2Eがそれぞれ左右同高さ位置の対称位置に組付けられ、さらに各熨斗瓦2A〜2Eの各棟側縁部2aがそれぞれ釘10で熨斗瓦位置決め台4に固定されることになる。
[本願請求項2の発明]
本願請求項2の発明は、上記請求項1の熨斗瓦設置構造において、上記熨斗瓦位置決め台4の上記各縁部載掛部51〜55には、各熨斗瓦2A〜2Eの棟側縁部2aを所定小幅だけ載せ掛けた状態で該棟側縁部2aの前端を衝合させ得る衝合部42a〜46aを設けていることを特徴としている。
この請求項2の上記各衝合部42a〜46aとしては、上記各縁部載掛部51〜55のそれぞれ上面側に組付けている上記各長尺角材42〜46の左右各側面を利用することができる。
そして、この請求項2の熨斗瓦設置構造では、左右各段の熨斗瓦2A,2A〜2E,2Eを熨斗瓦位置決め台4部分に組付ける際に、各熨斗瓦2A〜2Eのそれぞれ棟側縁部2aを上記各縁部載掛部51〜55に載せ掛けした状態で該各棟側縁部2aの前端をそれぞれ上記各衝合部42a〜46aに衝合させることにより、各熨斗瓦2A〜2Eの左右位置をそれぞれ適正位置に位置決めできる。
[本願請求項1の発明の効果]
本願請求項1の熨斗瓦設置構造では、次のような効果がある。
まず、屋根稜線部Pの左右に積層される各熨斗瓦2A〜2Eの各棟側縁部2aを、屋根稜線部P上に固定した熨斗瓦位置決め台4の左右各側面に形成している各段の縁部載掛部51〜55(左右1組のものが相互に同高さに位置している)にそれぞれ載せ掛けしているので、左右各組の各熨斗瓦2A,2A〜2E,2E同士の高さをそれぞれ正確に位置決めできる。従って、各段の熨斗瓦2A〜2Eの高さが棟長さ方向に直線状に揃うので、該各熨斗瓦2A〜2Eを美観的にきれいに施工できるとともに、各熨斗瓦2A〜2Eの正確な高さ合わせを容易に行えるという効果がある。尚、図6の従来例では、各熨斗瓦2A〜2Eの下面側に介在させる葺土9の盛り量に差があると、左右1組の熨斗瓦2A,2A〜2E,2Eの内方側端部の高さが異なることになるが、本願ではこのような高さ相違は発生しない。
又、左右の各熨斗瓦2A〜2Eは、その各棟側縁部2aを屋根稜線部Pに固定した熨斗瓦位置決め台4の各縁部載掛部51〜55に載せ掛けた状態で、該各棟側縁部2aを熨斗瓦位置決め台4に対して釘打ちにより固定しているので、該各熨斗瓦2A〜2Eの組付け強度を強くできる(例えば大きな地震が発生したときでも、各熨斗瓦が棟上部の構造体に対して位置ずれしたり崩落しない)という効果がある。
[本願請求項2の発明の効果]
本願請求項2の発明では、上記請求項1の熨斗瓦設置構造において、熨斗瓦位置決め台4の各縁部載掛部51〜55に、各熨斗瓦2A〜2Eの棟側縁部2aを所定小幅だけ載せ掛けた状態で該棟側縁部2aの前端を衝合させ得る衝合部42a〜46aを設けているので、各熨斗瓦2A〜2Eの左右位置をそれぞれ適正位置に位置決めできる。
従って、この請求項2の熨斗瓦設置構造では、上記請求項1の効果に加えて、各熨斗瓦2A〜2Eの左右位置をそれぞれ適正位置に位置決めできることにより、各熨斗瓦2A〜2Eの外端が内外方向に出入りすることなくきれいに施工できるとともに、その各熨斗瓦2A〜2Eの内外方向の位置合わせを容易に行えるという効果がある。尚、図6の従来例では、各段に設置される各熨斗瓦2A〜2Eの内外方向の位置決めは、それぞれ作業員の目分量で決めていたので、熟練者の作業であっても各熨斗瓦2A〜2Eが内外方向に位置ずれすることがあるが、本願請求項2では各熨斗瓦2A〜2Eが内外方向に位置ずれすることはない。
本願実施例の熨斗瓦設置構造を採用した棟部の断面図である。 図1の熨斗瓦設置構造に使用される熨斗瓦の斜視図である。 図2のIII−III断面相当図である。 図1の熨斗瓦設置構造を採用する屋根稜線部付近の斜視図である。 図1の熨斗瓦設置構造における施工初期段階の説明図である。 従来の熨斗瓦設置構造を示す断面図である。
[実施例]
以下、図1〜図5を参照して本願実施例の熨斗瓦設置構造を説明する。
図1に示す本願実施例の熨斗瓦設置構造は、棟瓦として、屋根稜線部P(野地板8,8の突き合わせ部分)上の左右に設置された最上部の各桟瓦1,1上に、左右2つの熨斗瓦を1組とする5組の熨斗瓦2A〜2Eを積層し、さらに最上段の左右1組の熨斗瓦2E,2E上に冠瓦3を載置したものを採用している。尚、熨斗瓦2A〜2E部分の段数は、複数段であれば適数段(2段以上)のものを採用できる。又、この実施例において、各段の熨斗瓦に付している2A〜2Eの符号は、2Aが最下段(1段目)、2Bが下から2段目、2Cが下から3段目、2Dが下から4段目、2Eが最上段(5段目)のものである。
各熨斗瓦2A〜2Eは、若干湾曲させた平板状で所定面積を有した矩形に形成されている。又、この各熨斗瓦2A〜2Eには、設置状態で屋根稜線部Pに近い側の側縁部(棟側縁部)2a付近に釘止め用の釘挿通穴23を設けている。この実施例では、図2に示すように該釘挿通穴23を間隔をもった3箇所に設けている。
この各釘挿通穴23,23,23は、図2及び図3に示すように、釘10を斜め内方(例えば角度60°方向)に向けて打ち込み得るようにしたものであるが、熨斗瓦成形時の型抜きの関係で、下方に向けて末広がり状(ラッパ状)に形成するとよい。又、熨斗瓦2A〜2Eの棟側縁部2a寄りの上面には、段上げ部21を形成してその軒側に傾斜面部22を設け、該傾斜面部22に釘挿通穴23を設けていることにより、釘10が斜め方向(例えば角度60°方向)に打ち込まれたときに該釘10の頭部を斜め状態で着座させ得るようにしている(図3の符号10′参照)。
屋根稜線部P上には、釘打ち可能な材料製で左右の各熨斗瓦2A〜2Eを位置決めするための熨斗瓦位置決め台4を固定している。
この実施例では、熨斗瓦位置決め台4として、木材製で第1段から第6段までの6本の長尺角材41〜46を上下に積み重ねたものを採用している。そして、この熨斗瓦位置決め台4は、図4に示すように、屋根稜線部P上に間隔をもって立設固定した支持台(左右一対を1組としている)47,47上に、まず最下段(第1段)の長尺角材41を横向き姿勢で載せて左右各側から釘48,48で固定し、次にその上に第2段の長尺角材42を載せて該第2段長尺角材42を先の第1段長尺角材41にビス49で固定し、順次同様に第3段長尺角材43、第4段長尺角材44、第5段長尺角材45、第6段長尺角材46を積み重ね状態でそれぞれビス49,49・・をねじ込むことで強固に一体化させている。従って、各長尺角材41〜46からなる熨斗瓦位置決め台4は、屋根稜線部P上に安定姿勢で固定されている。
尚、熨斗瓦位置決め台4としては、上記第1段から第6段までの6本の長尺角材41〜46で構成されているが、この実施例では、図1、図4、図5に示すように第6段の長尺角材46の上に、冠瓦3(図1)をビス8で固定するための第7段の長尺角材40Aを積み重ねている。そして、この第7段の長尺角材40Aも、第6段の長尺角材46に対してビス49で一体化させている。尚、他の実施例では、この第7段の長尺角材40Aを省略してもよい。
熨斗瓦位置決め台4を構成する第1段〜第6段の各長尺角材41〜46の各高さ(図5の高さh)は、上下に積層される各熨斗瓦2A〜2Eの積層高さ間隔(図1の間隔H)と同じに設定されている。尚、該高さh(及び間隔H)は、特に限定するものではないが、例えば30mm程度が適当である。
他方、第1〜第6の各長尺角材41〜46の幅は、上段側のものが下段側のものより順次例えば5〜6mm程度ずつ狭くなるように設定している。そして、上下に積層された2つの長尺角材(例えば第1段長尺角材41と第2段長尺角材42、第2段長尺角材42と第3段長尺角材43、以下同様に第5段長尺角材45と第6段長尺角材46)において、下段側長尺角材(例えば第1段長尺角材41)の上面側左右両角部には、図5に符号Tで示す小幅(T=例えば2.5〜3mm程度)の水平棚部(符号51〜55)が形成されていて、この各水平棚部(符号51〜55)が、各熨斗瓦2A〜2Eの棟側縁部2aを載せ掛けするための縁部載掛部51〜55となっている。
又、この各縁部載掛部51〜55には、各熨斗瓦2A〜2Eの棟側縁部2aを所定小幅(例えば図5の幅T)載せ掛けた状態で該棟側縁部2aの前端を衝合させ得る衝合部42a〜46aを設けている。この各衝合部42a〜46aは、当該縁部載掛部(例えば符号51)を有する下段側長尺角材(例えば第1段長尺角材41)の上に載置されている上段側長尺角材(例えば第2段長尺角材42)の左右側面(例えば符号42a,42a)が相当するものである。
図1〜図5に示す実施例の熨斗瓦設置構造は、次のようにして組付けられる。
まず、図4に示すように、屋根稜線部P(左右野地板8,8の突き合わせ部)の上に、複数段(全6段)の長尺角材41〜46からなる熨斗瓦位置決め台4を各支持台47,47を介して屋根稜線部Pと平行姿勢で固定しておく。尚、この実施例では、図4に示すように第6段長尺角材46の上に冠瓦ビス止め用の第7段長尺角材40Aもビス49で同時に固定している。
この熨斗瓦位置決め台4の左右各側面には、それぞれ上下に所定間隔(図5の高さh)をもって5つの縁部載掛部51〜55が設けられている。尚、左右1組とする各側の縁部載掛部同士は、それぞれ相互に同高さに位置している。
そして、図5に示すように、各野地板8,8上の最上部に設置された左右の桟瓦1,1上に葺土9を介在させた状態で、その上に最下段の熨斗瓦2Aを設置するが、その際に、図5の右側の熨斗瓦2Aで示すように、該熨斗瓦2Aの下面で桟瓦1上の葺土9を押さえ付けてその棟側縁部2aを最下段に位置する右側の1段目縁部載掛部51に載せ掛ける。このとき、右側1段目の熨斗瓦2Aの軒側縁部2b(図5)も桟瓦1の上面に接合させるが、この状態では、右側1段目の熨斗瓦2Aが、上下方向及び内外方向の正確な適正位置に位置決めされることになる。
次に、上記位置決めされた右側1段目の熨斗瓦2Aに対して、その棟側縁部2aにある釘挿通穴(2箇所ある)23を通して釘10を熨斗瓦位置決め台4(第1段長尺角材41)に打ち込むと、該右側1段目の熨斗瓦2Aを熨斗瓦位置決め台4に強固に固定できる。そして、左側1段目の熨斗瓦2A(図1)も同様に、その棟側縁部2aを左側1段目の縁部載掛部51に載せ掛けた状態で、釘挿通穴23を通して釘10を熨斗瓦位置決め台4に打ち込むと、左右の各1段目の熨斗瓦2A,2Aを設置できる。尚、この1段目の各熨斗瓦2A,2Aの施工は、棟長さ方向の全長に亘って順次行われる。
1段目の熨斗瓦2A,2Aの設置が完了した後、該1段目の熨斗瓦2A,2Aの上に2段目の左右各熨斗瓦2B,2Bを積み重ねるが、該2段目の左右各熨斗瓦2B,2Bも上記と同様に、その各棟側縁部2a,2aをそれぞれ2段目の左右各縁部載掛部52,52に載せ掛けし、続いて釘挿通穴23を通して釘10を熨斗瓦位置決め台4(第2段長尺角材42)に打ち込むことで、左右の各2段目の熨斗瓦2B,2Bを設置できる。
そして、図1に示すように、3段目以降の各段の熨斗瓦2C,2D,2Eを上記同様に積み上げた後、最上段の各熨斗瓦2E,2Eの上に冠瓦3を載せ、該冠瓦3をその上面側から第7段長尺角材40Bに対してビス(パッキン付きビス)8で固定することで、この実施例の棟瓦全体を構築できる。尚、この実施例では、第1段熨斗瓦2Aより上側の各瓦間(上下熨斗瓦間及び最上段熨斗瓦3Eと冠瓦3間)には、それぞれ葺土9を介在させていない。
この実施例の熨斗瓦設置構造は、次のような機能を有している。
まず、屋根稜線部Pの左右に積層される各熨斗瓦2A〜2Eの各棟側縁部2aを、屋根稜線部P上に固定した熨斗瓦位置決め台4の左右各側面に形成している各段の縁部載掛部51〜55にそれぞれ載せ掛けしているので、左右各組の各熨斗瓦2A,2A〜2E,2E同士の高さをそれぞれ正確に位置決めできる。従って、各段の熨斗瓦2A〜2Eの高さが棟長さ方向に直線状に揃うので、該各熨斗瓦2A〜2Eを美観的にきれいに施工できるとともに、各熨斗瓦2A〜2Eの正確な高さ合わせを容易に行える。
又、左右の各熨斗瓦2A〜2Eは、その各棟側縁部2aを屋根稜線部Pに固定した熨斗瓦位置決め台4の各縁部載掛部51〜55に載せ掛けた状態で、該各棟側縁部2aを熨斗瓦位置決め台4に対して釘打ちにより固定しているので、該各熨斗瓦2A〜2Eの組付け強度を強くできる(例えば大きな地震が発生したときでも、各熨斗瓦が棟上部の構造体に対して位置ずれしたり崩落しない)。
さらに、左右の各熨斗瓦2A〜2Eの棟側縁部2aを上記各縁部載掛部51〜55に載せ掛けた状態では、該熨斗瓦2A〜2Eの棟側縁部2aの前端が衝合部42a〜46aに衝合することで、該各熨斗瓦2A〜2Eの左右位置をそれぞれ適正位置に位置決めできるので、各熨斗瓦2A〜2Eの外端が内外方向に出入りすることなくきれいに施工できるとともに、その各熨斗瓦2A〜2Eの内外方向の位置合わせを容易に行える。
尚、この実施例で使用されている釘挿通穴23付きの各熨斗瓦2A〜2Eは、図6に示すように左右1組の熨斗瓦を針金で結束する場合にも使用でき、その場合には上記釘挿通穴23を針金挿通穴として利用することができる。
1は桟瓦、2A〜2Eは各段の熨斗瓦、2aは熨斗瓦の棟側縁部、3は冠瓦、4は熨斗瓦位置決め台、10は釘、23は釘挿通穴、41〜45は長尺角材、42a〜46aは衝合部、51〜55は縁部載掛部、Pは屋根稜線部である。

Claims (2)

  1. 屋根稜線部(P)の左右に複数枚ずつの熨斗瓦(2A〜2E)を積層してなる熨斗瓦設置構造であって、
    上記屋根稜線部(P)上に、釘打ち可能な材料製で左右の各熨斗瓦(2A〜2E)を位置決めするための熨斗瓦位置決め台(4)を固定し、
    該熨斗瓦位置決め台(4)の左右各側面には、上記各熨斗瓦(2A〜2E)の棟側縁部(2a)を載せ掛け得る縁部載掛部(51〜55)を、上下に積層される各熨斗瓦積層高さ間隔(H)をもって且つ左右1組がそれぞれ同高さに位置する状態で熨斗瓦積層個数と同数ずつ形成している一方、
    上記各熨斗瓦(2A〜2E)は、上記棟側縁部(2a)付近に釘止め用の釘挿通穴(23)を設けたものを使用しているとともに、
    上記各熨斗瓦(2A〜2E)は、それぞれ上記棟側縁部(2a)を上記熨斗瓦位置決め台(4)の所定高さ位置にある各縁部載掛部(51〜55)に載せ掛けた状態で上記釘挿通穴(23)を通して上記熨斗瓦位置決め台(4)に釘(10)を打ち込んで固定している、
    ことを特徴とする熨斗瓦設置構造。
  2. 請求項1において、
    上記熨斗瓦位置決め台(4)の上記各縁部載掛部(51〜55)には、上記各熨斗瓦(2A〜2E)の棟側縁部(2a)を所定小幅(T)だけ載せ掛けた状態で該棟側縁部(2a)の前端を衝合させ得る衝合部(42a〜46a)を設けている、
    ことを特徴とする熨斗瓦設置構造。
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