JP2016006302A - スクロール圧縮機 - Google Patents

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Abstract

【課題】固定スクロールが、仕切板と主軸受との間で軸方向に動くことができ、仕切板と固定スクロールとの間に形成された吐出空間に高圧圧力が加わることで、固定スクロールを旋回スクロールに押し付けつつも、固定スクロールの揺動を防止できるスクロール圧縮機を提供すること。【解決手段】主軸受60に形成した軸受側嵌合部102と、固定スクロール30に形成したスクロール側嵌合部101と、下端部が軸受側嵌合部102に挿入され、上端部がスクロール側嵌合部101に挿入される柱状部材100とを備え、柱状部材100とスクロール側嵌合部101との嵌合領域101aと、固定スクロール30の固定渦巻ラップ32の高さ中心を通る水平面とが交差する位置関係にあり、且つ柱状部材100の下端部を嵌合固定する主軸受60の軸受側嵌合部102の上端面Tが、固定スクロール30の渦巻きラップのラップ端面より上方に位置する。【選択図】図10

Description

本発明は、スクロール圧縮機に関する。
近年、圧縮容器内に仕切板を設けるとともに、この仕切板で仕切られた低圧側の室に固定スクロール及び旋回スクロールを有した圧縮要素と、この旋回スクロールを旋回駆動する電動要素とを配置した密閉型スクロール圧縮機が知られている。この種の密閉型スクロール圧縮機では、仕切板の保持孔に固定スクロールのボス部を嵌合し、圧縮要素で圧縮した冷媒を、固定スクロールの吐出ポートを介して、仕切板で仕切られた高圧側の室に吐出する構成を備えるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に代表されるようなスクロール圧縮機では、圧縮要素の周囲が低圧空間であるため、旋回スクロールと固定スクロールとにはお互いが離間する方向に力が加わる。
従って、旋回スクロールと固定スクロールとで形成される圧縮室の密閉性を高めるために、チップシールを用いる場合が多い。
このとき、高効率な運転を行うためには、旋回スクロール又は固定スクロールに背圧を加えることが好ましい。例えば、特許文献2は、固定スクロールに背圧を加えて、旋回スクロールに対して固定スクロールを押し付けることでチップシールを廃止しつつも圧縮室の密閉性を高めることを可能したものである。
特開平11−182463号公報 特開平4−255586号公報
しかしながら、前述の特許文献に示されるスクロール圧縮機では、圧縮室内のガス力によって、固定スクロールが揺動して性能が低下してしまう問題があった。
そこで、本発明は、密閉容器内を高圧空間と低圧空間に区画する仕切板と、仕切板に隣接する固定スクロールと、固定スクロールと噛み合わされて圧縮室を形成する旋回スクロールと、旋回スクロールの自転を防止する自転抑制部材と、旋回スクロールを支持する主軸受とを有し、固定スクロール、旋回スクロール、自転抑制部材、及び主軸受を、低圧空間に配置し、固定スクロール及び旋回スクロールを、仕切板と主軸受との間に配置したスクロール圧縮機であって、主軸受に形成した軸受側嵌合部と、固定スクロールに形成したスクロール側嵌合部と、下端部が軸受側嵌合部に挿入固定され、上端部がスクロール側嵌合部に摺動自在に挿入される柱状部材と、を備え、柱状部材とスクロール側嵌合部との嵌合領域と、固定スクロールの渦巻ラップの高さ中心を通る水平面とが交差する位置関係にあり、且つ柱状部材の下端部を嵌合固定する主軸受の軸受側嵌合部の上端面が、固定スクロールの渦巻きラップのラップ端面より上方に位置するスクロール圧縮機を提供する。
本発明のスクロール圧縮機では、固定スクロールの半径方向および接線方向のガス合力
を支持する固定スクロールの嵌合部と柱状部材とで形成される嵌合領域と、柱状部材の下端部を嵌合固定する軸受部材の嵌合部上端面との軸方向の距離を短くできるので、柱状部材の水平方向にかかる回転モーメントを最小にでき、信頼性が向上する。また固定スクロールの揺動を防止することができることから性能の安定化を図ることができる。
本発明の実施形態にかかる密閉型スクロール圧縮機の構成を示す縦断面図 (a)は、本実施形態にかかる密閉型スクロール圧縮機の旋回スクロールを示す側面図、(b)は同図(a)のX−X線断面図 本実施形態にかかる密閉型スクロール圧縮機の固定スクロールを示す底面図 同固定スクロールを底面から見た斜視図 同固定スクロールを上面から見た斜視図 本実施形態にかかる密閉型スクロール圧縮機の主軸受を示す斜視図 本実施形態にかかる密閉型スクロール圧縮機の自転抑制部材を示す上面図 本実施形態にかかる密閉型スクロール圧縮機の仕切板と固定スクロールを示す要部断面図 本実施形態にかかる密閉型スクロール圧縮機の要部を示す一部断面斜視図 本実施形態にかかる密閉型スクロール圧縮機の渦巻きラップ高さの中心を通る水平面Aと嵌合部領域との位置関係を示す縦断面図
本発明の第1態様は、密閉容器内を高圧空間と低圧空間に区画する仕切板と、仕切板に隣接する固定スクロールと、固定スクロールと噛み合わされて圧縮室を形成する旋回スクロールと、旋回スクロールの自転を防止する自転抑制部材と、旋回スクロールを支持する主軸受とを有し、固定スクロール、旋回スクロール、自転抑制部材、及び主軸受を、低圧空間に配置し、固定スクロール及び旋回スクロールを、仕切板と主軸受との間に配置したスクロール圧縮機であって、主軸受に形成した軸受側嵌合部と、固定スクロールに形成したスクロール側嵌合部と、下端部が軸受側嵌合部に挿入され、上端部がスクロール側嵌合部に挿入される柱状部材とを備え、柱状部材とスクロール側嵌合部とが軸方向に摺動自在に嵌合された嵌合領域と、固定スクロールの渦巻ラップの高さ中心を通る水平面とが交差する位置関係にあり、且つ柱状部材の下端部を嵌合固定する主軸受の軸受側嵌合部の上端面が、固定スクロールの渦巻きラップのラップ端面より上方に位置するものである。
第1態様によれば、固定スクロールの半径方向および接線方向のガス合力を支持する固定スクロールの嵌合部と柱状部材とで形成される嵌合領域と、柱状部材の下端部を嵌合固定する主軸受の軸受側嵌合部の上端面との軸方向の距離を短くできるので、柱状部材の水平方向にかかる回転モーメントを最小にでき、信頼性が向上する。また固定スクロールの揺動を防止することができることから性能の安定化を図ることができる。
本発明の第2態様は、柱状部材を2本で構成したものである。
第2様態によれば、部品点数を必要最小限に削減でき、低コスト化を図ることができる。
本発明の第3態様は、柱状部材を対向する位置関係に配する。
第3態様によれば、固定スクロールの揺動を効率良く防止することができる。
以下、本発明の第1の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態によって本発明が限定されるものではない。
図1は、本実施形態にかかる密閉型スクロール圧縮機の構成を示す縦断面図である。この密閉型スクロール圧縮機は、図1に示すように、上下方向に沿って延びる円筒状に形成された密閉容器10を備えている。
密閉容器10内の上部には、密閉容器10内を上下に仕切る仕切板20が設けられている。仕切板20は、密閉容器10内を高圧空間11と低圧空間12に区画している。
密閉容器10には、低圧空間12に冷媒を導入する冷媒吸込管13と、圧縮された冷媒を高圧空間11から吐出する冷媒吐出管14とを設けている。低圧空間12の底部は、潤滑油が貯留される油溜まり15を形成している。
低圧空間12には、圧縮機構として、固定スクロール30と旋回スクロール40とを備えている。固定スクロール30は仕切板20に隣接する。旋回スクロール40は固定スクロール30と噛み合わされて圧縮室50を形成する。
固定スクロール30及び旋回スクロール40の下方には、旋回スクロール40を支持する主軸受60を設けている。主軸受60の略中央には、軸受部61とボス収容部62とを形成している。
軸受部61は、回転軸70を軸支する。
回転軸70は、軸受部61と副軸受16とで支持されている。回転軸70の上端には、回転軸70の軸心に対して偏心した偏心軸71を形成している。
回転軸70の内部には、潤滑油が通過する油路72を形成している。回転軸70の下端には、潤滑油の吸込口73を備えている。吸込口73の上部には、パドル74が形成されている。油路72は、吸込口73、パドル74と連通し、回転軸70の軸方向に形成される。油路72は、軸受部61に給油する給油口75、副軸受16に給油する給油口76、ボス収容部62に給油する給油口77を備えている。
なお、偏心軸71は、スイングブッシュ78及び旋回軸受79を介して、ボス43に旋回駆動可能に挿入されている。
電動要素80は、密閉容器10に固定されるステータ81と、このステータ81の内側に配置されたロータ82とから構成される。
ロータ82は、回転軸70に固定される。回転軸70には、ロータ82の上方と下方にバランスウェイト17a、17bを取り付けている。バランスウェイト17aとバランスウェイト17bとは、180°ずれた位置に配置している。バランスウェイト17a、17bによる遠心力と、旋回スクロール40の公転運動により発生する遠心力とでバランスを取っている。なお、バランスウェイト17a、17bは、ロータ82に固定してもよい。
自転抑制部材(オルダムリング)90は、旋回スクロール40の自転を防止する。旋回スクロール40は、自転抑制部材90を介して固定スクロール30に支持されている。これにより、旋回スクロール40は、固定スクロール30に対して、自転しないで旋回運動をする。
柱状部材100は、固定スクロール30の回転と半径方向の動きを阻止し、固定スクロ
ール30の軸方向への動きを許容する。固定スクロール30は、柱状部材100によって主軸受60で支持され、仕切板20と主軸受60との間で軸方向に動くことができる。
固定スクロール30、旋回スクロール40、電動要素80、自転抑制部材90、及び主軸受60は、低圧空間12に配置され、固定スクロール30及び旋回スクロール40は、仕切板20と主軸受60との間に配置される。
電動要素80の駆動により、ロータ82とともに回転軸70が回転する。偏心軸71によって旋回スクロール40が自転しないで旋回運動し、圧縮室50にて冷媒が圧縮される。
冷媒は、冷媒吸込管13から低圧空間12に導入される。圧縮室50には、旋回スクロール40外周の低圧空間12にある冷媒が導かれる。冷媒は、圧縮室50で圧縮された後に、高圧空間11を経由して、冷媒吐出管14から吐出される。
回転軸70の回転によって、油溜まり15に貯留されている潤滑油は、吸込口73から油路72に入り、この油路72のパドル74に沿って上方に汲み上げられる。汲み上げられた潤滑油は、各給油口75、76、77から軸受部61、副軸受16、及びボス収容部62に供給される。ボス収容部62まで汲み上げられた潤滑油は、主軸受60と旋回スクロール40との摺動面に導かれるとともに、主軸受に設置された返送管63を通じて排出されて再び油溜まり15に戻される。
図2(a)は、本実施形態にかかる密閉型スクロール圧縮機の旋回スクロールを示す側面図、図2(b)は同図(a)のX−X線断面図である。
旋回スクロール40は、円板状の旋回スクロール鏡板41と、この旋回スクロール鏡板41の上面に立設された渦巻状の旋回渦巻きラップ42と、旋回スクロール鏡板41の下面略中央に形成された円筒状のボス43とを備えている。
図2(b)では、旋回スクロール鏡板41には、一対の第1のキー溝91を形成している。
図3は、本実施形態にかかる密閉型スクロール圧縮機の固定スクロールを示す底面図、図4は同固定スクロールを底面から見た斜視図、図5は同固定スクロールを上面から見た斜視図である。
固定スクロール30は、円板状の固定スクロール鏡板31と、この固定スクロール鏡板31の下面に立設された渦巻状の固定渦巻きラップ32と、この固定渦巻きラップ32の周囲を取り囲むように立設した周壁33と、この周壁33の周囲に設けられたフランジ34とを備えている。
ここでの終端32bは、内壁と外壁とから固定渦巻きラップ32が形成される部分であり、固定渦巻きラップ32は、終端32bから内壁最外周部32cまで更に340°程度内壁だけで延長されている。
固定スクロール鏡板31の略中心部には、第1吐出ポート35を形成している。また、固定スクロール鏡板31には、バイパスポート36と中圧ポート37を形成している。バイパスポート36は、第1吐出ポート35近傍で、圧縮完了間際の高圧圧力領域に位置する。中圧ポート37は、圧縮途中の中間圧力領域に位置する。
固定スクロール30の周壁33には、冷媒を圧縮室50に取り込むための吸入部38が形成されている。周壁33の一部には、第2のキー溝92を形成している。
また、周壁33の一部には、柱状部材100の上端部が挿入されるスクロール側嵌合部101を形成している。
図5に示すように、固定スクロール30の上面(仕切板20側の面)には、中央にボス部39を形成している。ボス部39には、第1吐出ポート35とバイパスポート36とが形成されている。
また、固定スクロール30の上面には、周壁33とボス部39との間に、リング状の凹部によって中圧空間30Mが形成される。中圧空間30Mには、中圧ポート37を形成している。中圧ポート37は、旋回渦巻きラップ42における内壁と外壁との厚みより小さい径で構成する。中圧ポート37の径を、旋回渦巻きラップ42における内壁と外壁との厚みより小さくすることで、旋回渦巻きラップ42の内壁側に形成される圧縮室50と、旋回渦巻きラップ42の外壁側に形成される圧縮室50との連通を防止できる。
ボス部39には、バイパスポート36を閉塞自在なバイパス逆止弁121、及びバイパス逆止弁ストップ122を設ける。バイパス逆止弁121には、リードバルブを用いることで高さ方向をコンパクトにできる。また、バイパス逆止弁121は、V字型のリードバルブを用いることで、旋回渦巻きラップ42の外壁側に形成される圧縮室50と連通するバイパスポート36と、旋回渦巻きラップ42の内壁側に形成される圧縮室50と連通するバイパスポート36とを閉塞することができる。
図6は、本実施形態にかかる密閉型スクロール圧縮機の主軸受を示す斜視図である。
軸受部61とボス収容部62とは、主軸受60の略中央に形成している。
主軸受60の外周部には、柱状部材100の下端部が挿入される軸受側嵌合部102を形成している。
ボス収容部62に連通するように、返送管63が主軸受60に形成されている。
図7は、本実施形態にかかる密閉型スクロール圧縮機の自転抑制部材を示す上面図である。
自転抑制部材(オルダムリング)90には、第1のキー93と第2のキー94とが形成されている。第1のキー93は、旋回スクロール40の第1のキー溝91と係合し、第2のキー94は、固定スクロール30の第2のキー溝92と係合する。従って、旋回スクロール40は、固定スクロール30に対して自転することなく旋回運動が可能となる。また、図1に示すように、回転軸70の軸方向に、上方から固定スクロール30、旋回スクロール40、オルダムリング90の順に配置している。固定スクロール30、旋回スクロール40、オルダムリング90の順に配置するため、オルダムリング90の第1のキー93と第2のキー94とはリング部95の同一平面に形成している。このため、オルダムリング90の加工時に、第1のキー93と第2のキー94を同一方向から加工することが可能となり、加工装置からオルダムリング90を脱着する回数を減らすことができるので、加工精度の向上及び加工費の削減効果を得ることができる。
図8は、本実施形態にかかる密閉型スクロール圧縮機の仕切板と固定スクロールを示す要部断面図である。
仕切板20の中心部には、第2吐出ポート21を形成している。第2吐出ポート21には、吐出逆止弁131、及び吐出逆止弁ストップ132を設けている。
仕切板20と固定スクロール30との間には、第1吐出ポート35と連通する吐出空間30Hが形成される。第2吐出ポート21は、吐出空間30Hを高圧空間11に連通する。吐出逆止弁131は、第2吐出ポート21を閉塞する。
本実施形態によれば、仕切板20と固定スクロール30との間に形成された吐出空間30Hに高圧圧力が加わることで、固定スクロール30を旋回スクロール40に押し付けるため、固定スクロール30と旋回スクロール40との隙間を無くすことができ、高効率な運転を行うことができる。
また、本実施形態によれば、第1吐出ポート35とは別に、バイパスポート36によって圧縮室50と吐出空間30Hとを連通し、バイパスポート36にはバイパス逆止弁121を設けることで、吐出空間30Hからの逆流を防止しつつ、所定の圧力に到達した時点で吐出空間30Hへと導くことができるので、広い運転範囲で高効率を実現することができる。
吐出逆止弁131は、バイパス逆止弁121より厚く構成している。
第1吐出ポート35は、第2吐出ポート21よりも小さな容積としている。圧縮室50からの吐出圧力の損失を低減するためである。
また、第2吐出ポート21の流入側にテーパを形成することで、吐出圧力の損失を低減できる。
本実施形態にかかる密閉型スクロール圧縮機は、仕切板20と固定スクロール30との間で、吐出空間30Hの外周に配置されるリング状の第1シール部材141と、仕切板20と固定スクロール30との間で、第1シール部材141の外周に配置されるリング状の第2シール部材142とを備えている。
第1シール部材141及び第2シール部材142には、例えばフッ素樹脂であるポリテトラフルオロエチレンが、シール性と組み立て性の面で適している。また、第1シール部材141及び第2シール部材142は、フッ素樹脂に繊維材を混合させることでシールの信頼性が向上する。
第1シール部材141と第2シール部材142とは、閉塞部材150によって仕切板20に挟み込まれる。閉塞部材150には、アルミ材を用いることで仕切板20とのかしめを行える。
第1シール部材141と第2シール部材142との間には中圧空間30Mが形成される。中圧空間30Mは、中圧ポート37によって、圧縮途中の中間圧力領域にある圧縮室50と連通しているため、吐出空間30Hの圧力より低く、低圧空間12の圧力よりも高い圧力が加わる。
本実施形態によれば、仕切板20と固定スクロール30との間に、高圧である吐出空間30H以外に、中圧空間30Mを形成することで、固定スクロール30の旋回スクロール40への押し付け力を調整しやすい。
また、本実施形態によれば、第1シール部材141と第2シール部材142とで吐出空間30Hと中圧空間30Mとを形成するため、高圧である吐出空間30Hから中圧空間30Mへの冷媒の漏れ、中圧空間30Mから低圧空間12への冷媒の漏れを低減できる。
また、本実施形態によれば、第1シール部材141と第2シール部材142とを閉塞部材150によって仕切板20に挟み込むため、仕切板20、第1シール部材141、第2シール部材142、及び閉塞部材150を組み立てた後に、密閉容器10内に配置できるので、少ない部品点数にできるとともに、スクロール圧縮機の組み立てが容易である。
図9は、本実施形態にかかる密閉型スクロール圧縮機の要部を示す一部断面斜視図である。
図8で説明した閉塞部材150は、図9に示すように、リング状部材151とリング状部材151の一方の面に形成される複数の突出部152とで構成されている。
第1シール部材141は、外周部をリング状部材151の内周側上面と仕切板20とで挟み込まれる。また、第2シール部材142は、内周部をリング状部材151の外周側上面と仕切板20とで挟み込まれる。
リング状部材151は、第1シール部材141と第2シール部材142とを挟み込んだ状態で仕切板20に取り付ける。
仕切板20への閉塞部材150の取り付けは、突出部152を仕切板20に形成した孔22に挿入して、リング状部材151を仕切板20の下面に押圧した状態で、突出部152の端部をかしめて固定する。
仕切板20に閉塞部材150を取り付けた状態では、第1シール部材141の内周部は、リング状部材151の内周側に突出し、第2シール部材142の外周部は、リング状部材151の外周側に突出している。
そして、閉塞部材150を取り付けた仕切板20を密閉容器10内に装着することで、第1シール部材141の内周部は、固定スクロール30のボス部39の外周面に押圧され、第2シール部材142の外周部は、固定スクロール30の周壁33の内周面に押圧される。
図10は、本実施形態にかかる密閉型スクロール圧縮機の渦巻きラップ高さの中心を通る水平面Aと嵌合部領域との位置関係を示す縦断面図である。
主軸受60の外周には軸受側嵌合部102が形成され、固定スクロール30にはスクロール側嵌合部101が形成されている。
柱状部材100は、下端部が軸受側嵌合部102に挿入固定(例:圧入)され、上端部がスクロール側嵌合部101に摺動自在に嵌合されている。
固定スクロール30の固定渦巻ラップ32の高さをHとしたとき、柱状部材100とスクロール側嵌合部101との嵌合領域101aと、高さHの中心を通る水平面とが交差する位置関係にある。
本実施の形態では、軸受側嵌合部102の上端面Tが、固定渦巻きラップ32のラップ端面より上方に位置するものである。
このような構成によれば、固定スクロール30の半径方向および接線方向のガス合力を支持する嵌合領域101aと、柱状部材100の下端部を嵌合固定する主軸受60の軸受側嵌合部102の上端面Tとの軸方向の距離を短くできるので、柱状部材100の水平方向にかかる回転モーメントを最小にでき、信頼性が向上する。また固定スクロール30の揺動を防止することができることから性能の安定化を図ることができる。
また、本実施形態では、柱状部材100を2本で構成することで、部品点数を必要最小限に削減でき、低コスト化を図ることができる。
本実施形態のように、柱状部材を2本で構成する場合、それらの柱状部材を対向する位置関係に配することによって、固定スクロールの揺動を効率良く防止することができる。
なお、柱状部材の本数は2本に限られず、3本以上でも本発明の効果を達成することができるが、その場合、略均等角度(柱状部材が3本の場合、約120°間隔、4本の場合、約90°間隔)に配することが望ましい。
本発明は、給湯機、温水暖房装置、空気調和装置などの電気製品に利用できる冷凍サイクル装置の圧縮機に有用である。
10 密閉容器
11 高圧空間
12 低圧空間
20 仕切板
21 第2吐出ポート
30 固定スクロール
30H 吐出空間
30M 中圧空間
31 固定スクロール鏡板
32 固定渦巻きラップ
33 周壁
34 フランジ
35 第1吐出ポート
36 バイパスポート
37 中圧ポート
38 吸入部
39 ボス部
40 旋回スクロール
41 旋回スクロール鏡板
42 旋回渦巻きラップ
43 ボス
44 エッジ部
50 圧縮室
60 主軸受
61 軸受部
62 ボス収容部
63 返送管
70 回転軸
71 偏心軸
72 油路
73 吸込口
74 パドル
75 給油口
80 電動要素
90 自転抑制部材(オルダムリング)
100 柱状部材
101 スクロール側嵌合部
102 軸受側嵌合部
121 バイパス逆止弁
131 吐出逆止弁
141 第1シール部材
142 第2シール部材
150 閉塞部材

Claims (3)

  1. 密閉容器内を高圧空間と低圧空間に区画する仕切板と、
    前記仕切板に隣接する固定スクロールと、
    前記固定スクロールと噛み合わされて圧縮室を形成する旋回スクロールと、
    前記旋回スクロールの自転を防止する自転抑制部材と、
    前記旋回スクロールを支持する主軸受と
    を有し、
    前記固定スクロール、前記旋回スクロール、前記自転抑制部材、及び前記主軸受を、前記低圧空間に配置し、
    前記固定スクロール及び前記旋回スクロールを、前記仕切板と前記主軸受との間に配置したスクロール圧縮機であって、
    前記主軸受に形成した軸受側嵌合部と、
    前記固定スクロールに形成したスクロール側嵌合部と、
    下端部が前記軸受側嵌合部に挿入固定され、上端部が前記スクロール側嵌合部に摺動自在に挿入される柱状部材と、
    を備え、
    前記柱状部材と前記スクロール側嵌合部との嵌合領域と、前記固定スクロールの渦巻ラップの高さ中心を通る水平面とが交差する位置関係にあり、且つ
    前記柱状部材の下端部を嵌合固定する前記主軸受の軸受側嵌合部の上端面が、前記固定スクロールの渦巻きラップのラップ端面より上方に位置することを
    特徴とするスクロール圧縮機。
  2. 前記柱状部材を2本で構成することを特徴とする請求項1に記載のスクロール圧縮機。
  3. 前記柱状部材を対向する位置関係に配することを特徴とする請求項2に記載のスクロール圧縮機。
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