JP2016006033A - 化合物、標識剤、太陽電池モジュール、太陽光発電装置、有機薄膜太陽電池、表示装置及び有機el素子 - Google Patents

化合物、標識剤、太陽電池モジュール、太陽光発電装置、有機薄膜太陽電池、表示装置及び有機el素子 Download PDF

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Abstract

【課題】発光波長が十分に長波長でかつ発光効率が十分に高い新規の化合物、並びに該化合物を用いた標識剤及び装置の提供。
【解決手段】式(1)で表される化合物。前記化合物からなる標識剤;光入射面及び該光入射面よりも面積が小さい光射出面を有する導光体、並びに前記光射出面からの射出光を受光して、電力を発生する太陽電池素子を備え、前記導光体は前記化合物を含み、前記光入射面からの入射光が前記化合物に吸収されて生じた前記化合物からの放射光を前記射出光とする太陽電池モジュール;前記化合物を用いた太陽光発電装置、表示装置及び有機EL素子;前記化合物をp層、n層又はi層中に含む有機薄膜太陽電池。
Figure 2016006033

(R及びRは各々独立にH、アルキル等又はヘテロ原子含有基等)
【選択図】なし

Description

本発明は、新規の化合物、並びに該化合物を用いた標識剤、太陽電池モジュール、太陽光発電装置、有機薄膜太陽電池、表示装置及び有機EL素子に関する。
近赤外領域(波長600〜1000nmの領域)で光を吸収し、発光する化合物は、例えば、太陽電池、表示装置、生体内プローブ用材料等、種々の分野で高い需要がある。
しかし通常は、発光する光の波長が長波長であるほど、このような化合物は、励起状態のエネルギーが無輻射失活過程を経て熱に変換され易いため、発光量子収率が低いことが知られている。
これに対して、下記式(9)−101で表される化合物(BODIPY、ボディピー)は、良好な発光特性を示すことが知られており、その知見に基づいて、類似の構造を有する種々の化合物が探索されている。例えば、下記式(9)−102で表される化合物(非特許文献1参照)は発光量子収率が96%であるのに対して、発光のピーク波長は517nmであり、下記式(9)−103で表される化合物(特許文献1参照)は発光量子収率が70%であるのに対して、発光のピーク波長は582nmである。
Figure 2016006033
国際公開第2007/126052号 特開2014−5526124号
Chem.Eur.J.2009,15,1096−1106 Chem. Soc. Rev. 2012, 41, 1130−1172 Nature Medicine 2008, 15,104 Adv. Funct. Mater. 2013, 23, 4195 Chem. Commun. 2009, 2544 Nature Communications 2014, 5, 4016
しかし従来は、発光のピーク波長が600nm以上の長波長でかつ発光効率(発光量子収率)が十分に高い化合物を得るのは、前記式(9)−102及び(9)−103で表される化合物のように困難であった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、発光波長が十分に長波長でかつ発光効率が十分に高い新規の化合物、並びに該化合物を用いた標識剤及び装置を提供することを課題とする。
本発明は、下記一般式(1)で表される化合物を提供する。
Figure 2016006033
(式中、Rは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アリールアルキル基、アリールアルケニル基又はアルコキシ基であり、複数個のRは互いに同一でも異なっていてもよく;R及びRはそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基若しくはアルコキシ基であるか、又はR及びRが互いに結合して、これらが結合している炭素原子と共に環を形成するように、下記一般式(1a)、(1b)、(1c)又は(1d)で表されるヘテロ原子含有基を形成しており、ただし、隣接する炭素原子に結合している2組のR及びRのうち、少なくとも1組のR及びRは前記ヘテロ原子含有基を形成しており、2組のR及びRが共に前記ヘテロ原子含有基を形成している場合、これら2個の前記ヘテロ原子含有基は互いに同一でも異なっていてもよく;Rはハロゲン原子、酸素原子、アルキニル基、アリール基又はヘテロアリール基であり、複数個のRは互いに同一でも異なっていてもよく;Rが水素原子以外の基であるか、又はRがハロゲン原子以外の基である場合には、複数個のR若しくはR、又はR及びRは互いに結合して環を形成していてもよく、Qは窒素原子又は一般式「−C(−R)=」で表される基であり、Rは水素原子、あるいは1個以上の水素原子がハロゲン原子、アルコキシ基、アルキルアミノ基若しくはヘテロ環式基で置換されていてもよいアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基であり;Xはホウ素原子、アルミニウム原子、マグネシウム原子、鉄原子、銅原子、亜鉛原子又は白金原子である。)
Figure 2016006033
(式中、Aは5員環以上の芳香族環式基であり;Zは酸素原子、硫黄原子、セレン原子、又は一般式「−N(−R)−」、「−(R−)Si(−R)−」若しくは「−(R−)P(=O)−」で表される基であり、R、R及びRはそれぞれ独立に水素原子、アルキル基又はアリール基であり、複数個のRは互いに同一でも異なっていてもよく;符号*を付した結合はRが結合している炭素原子に対して形成され、符号**を付した結合はRが結合している炭素原子に対して形成されている。)
本発明の化合物は、下記一般式(1)−1で表されるものが好ましい。
Figure 2016006033
(式中、Aは下記一般式(1a1)、(1b1)、(1c1)又は(1d1)で表されるヘテロアリール基であり、ただし、下記一般式(1a1)〜(1d1)中の符号*を付した炭素原子は、一般式(1)−1中の符号*を付した結合を形成し、下記一般式(1a1)〜(1d1)中の符号**を付した炭素原子は、一般式(1)−1中の符号**を付した結合を形成しており;Aは下記一般式(1a2)、(1b2)、(1c2)又は(1d2)で表されるヘテロアリール基であり、ただし、下記一般式(1a2)〜(1d2)中の符号*を付した炭素原子は、一般式(1)−1中の符号*を付した結合を形成し、下記一般式(1a2)〜(1d2)中の符号**を付した炭素原子は、一般式(1)−1中の符号**を付した結合を形成しており;R、R、Q及びXは前記と同じである。)
Figure 2016006033
(式中、A及びZは前記と同じである。)
本発明の化合物は、下記一般式(1)−1−1、(1)−1−2又は(1)−1−3で表されるものが好ましい。
Figure 2016006033
(式中、R11は水素原子、炭素数1〜10のアルキル基若しくはアルケニル基、又は炭素数6〜15のアリール基、ヘテロアリール基、アリールアルキル基若しくはアリールアルケニル基であり、複数個のR11は互いに同一でも異なっていてもよく;R41はフッ素原子、又は炭素数6〜15のアリール基若しくはヘテロアリール基であり、複数個のR41は互いに同一でも異なっていてもよく;Xはアルミニウム原子、マグネシウム原子、鉄原子、銅原子、亜鉛原子又は白金原子であり;Rは水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基若しくはアルコキシ基、又は炭素数6〜15のアリール基、ヘテロアリール基、アリールアルキル基若しくはアリールアルケニル基であり、複数個のRは互いに同一でも異なっていてもよく;A、A、A及びAは、それぞれ独立に芳香族環式基であり;R、Q、A及びAは前記と同じである。)
本発明の化合物は、前記Aが1,2−フェニレン基であるものが好ましい。
また、本発明は、前記化合物からなる標識剤を提供する。
また、本発明は、光入射面及び該光入射面よりも面積が小さい光射出面を有する導光体、並びに前記光射出面からの射出光を受光して、電力を発生する太陽電池素子を備え、前記導光体は、さらに前記化合物を含み、前記光入射面からの入射光が前記化合物に吸収されて生じた前記化合物からの放射光を前記射出光とする太陽電池モジュールを提供する。
また、本発明は、前記化合物を用いた太陽光発電装置を提供する。
また、本発明は、前記化合物をp層、n層又はi層中に含む有機薄膜太陽電池を提供する。
また、本発明は、前記化合物を用いた表示装置を提供する。
本発明の表示装置は、波長変換層を有する波長変換基板を備え、前記波長変換層が、前記化合物を用いて得られたものが好ましい。
また、本発明は、前記化合物を用いた有機EL素子を提供する。
本発明によれば、発光波長が十分に長波長でかつ発光効率が十分に高い新規の化合物、並びに該化合物を用いた標識剤及び装置が提供される。
化合物の基底状態(S)及び第一励起一重項状態(S)のエネルギー差と、蛍光ピーク波長の実測値との関係の一例を示すグラフである。 本発明に係る太陽電池モジュールの一実施形態の概略構成を示す模式図である。 本発明に係る太陽電池モジュールの断面図である。 本発明に係る太陽電池モジュールの集光板の変形例を示す側断面図である。 本発明に係る太陽光発電装置の一実施形態の概略構成図である。 本発明に係る有機薄膜太陽電池の要部を例示する概略断面図である。 本発明に係る有機EL素子の一実施形態を例示する概略断面図である。 図7に示す有機EL素子の上面図である。 本発明に係る表示装置の配線構造と駆動回路の接続構成とを例示する概略構成図である。 本発明に係る有機EL素子を用いた表示装置に配置されている、1つの画素を構成する回路を例示する画素回路図である。 実施例1で得られた化合物(1)のH−NMRのスペクトルデータである。 実施例1で得られた化合物(1)の吸収及び発光スペクトルデータである。 実施例2で得られた化合物(1)の吸収及び発光スペクトルデータである。 実施例3で得られた化合物(1)のH−NMRのスペクトルデータである。 実施例3で得られた化合物(1)のIRのスペクトルデータである。 実施例3で得られた化合物(1)の吸収及び発光スペクトルデータである。 参考例1で得られた化合物の吸収及び発光スペクトルデータである。 参考例2で得られた化合物の吸収及び発光スペクトルデータである。 比較例1で得られた化合物の吸収及び発光スペクトルデータである。 比較例2で得られた化合物の吸収及び発光スペクトルデータである。 太陽光の光量子束密度を示すグラフである。 実施例1〜3で得られた化合物(1)、及び比較例2で得られた化合物のCIE座標をプロットした色度図である。 実施例2で得られた化合物(1)のIRのスペクトルデータである。 実施例2で得られた化合物(1)のH−NMRのスペクトルデータである。
<化合物>
本発明に係る化合物は、下記一般式(1)で表される(以下、「化合物(1)」と略記することがある)。化合物(1)は、蛍光性の新規化合物であり、発光波長が十分に長波長でかつ発光効率が十分に高い。
Figure 2016006033
(式中、Rは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アリールアルキル基、アリールアルケニル基又はアルコキシ基であり、複数個のRは互いに同一でも異なっていてもよく;R及びRはそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基若しくはアルコキシ基であるか、又はR及びRが互いに結合して、これらが結合している炭素原子と共に環を形成するように、下記一般式(1a)、(1b)、(1c)又は(1d)で表されるヘテロ原子含有基を形成しており、ただし、隣接する炭素原子に結合している2組のR及びRのうち、少なくとも1組のR及びRは前記ヘテロ原子含有基を形成しており、2組のR及びRが共に前記ヘテロ原子含有基を形成している場合、これら2個の前記ヘテロ原子含有基は互いに同一でも異なっていてもよく;Rはハロゲン原子、酸素原子、アルキニル基、アリール基又はヘテロアリール基であり、複数個のRは互いに同一でも異なっていてもよく;Rが水素原子以外の基であるか、又はRがハロゲン原子以外の基である場合には、複数個のR若しくはR、又はR及びRは互いに結合して環を形成していてもよく、ただしRが酸素原子である場合には、このRは必ず環を形成しており;Qは窒素原子又は一般式「−C(−R)=」で表される基であり、Rは水素原子、あるいは1個以上の水素原子がハロゲン原子、アルコキシ基、アルキルアミノ基若しくはヘテロ環式基で置換されていてもよいアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基であり;Xはホウ素原子、アルミニウム原子、マグネシウム原子、鉄原子、銅原子、亜鉛原子又は白金原子である。)
Figure 2016006033
(式中、Aは5員環以上の芳香族環式基であり;Zは酸素原子、硫黄原子、セレン原子、又は一般式「−N(−R)−」、「−(R−)Si(−R)−」若しくは「−(R−)P(=O)−」で表される基であり、R、R及びRはそれぞれ独立に水素原子、アルキル基又はアリール基であり、複数個のRは互いに同一でも異なっていてもよく;符号*を付した結合はRが結合している炭素原子に対して形成され、符号**を付した結合はRが結合している炭素原子に対して形成されている。)
式中、Rは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アリールアルキル基、アリールアルケニル基又はアルコキシ基である。
における前記アルキル基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでもよく、環状である場合、前記アルキル基は、単環状及び多環状のいずれでもよい。そして、前記アルキル基は、炭素数が1〜22であることが好ましく、1〜18であることがより好ましく、1〜10であることがさらに好ましく、後述する溶媒への溶解性がより高い化合物(1)とするためには、炭素数が6〜18であることがさらに好ましい。
直鎖状又は分岐鎖状の前記アルキル基は、炭素数が1〜22であることが好ましく、該アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−メチルブチル基、n−ヘキシル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、2,2−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、n−ヘプチル基、2−メチルヘキシル基、3−メチルヘキシル基、2,2−ジメチルペンチル基、2,3−ジメチルペンチル基、2,4−ジメチルペンチル基、3,3−ジメチルペンチル基、3−エチルペンチル基、2,2,3−トリメチルブチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基が例示できる。
なかでも、直鎖状又は分岐鎖状の前記アルキル基は、炭素数が1〜18であることがより好ましく、1〜10であることがさらに好ましく、化合物(1)の前記溶解性の観点からは、炭素数が6〜18であることがさらに好ましい。
環状の前記アルキル基は、炭素数が3〜22であることが好ましく、該アルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基、トリシクロデシル基が例示でき、さらに、これら環状のアルキル基の1個以上の水素原子が、直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基で置換されたものが例示できる。ここで、水素原子を置換する直鎖状、分岐鎖状及び環状のアルキル基としては、Rにおけるアルキル基として例示した上記のものが挙げられる。
なかでも、環状の前記アルキル基は、炭素数が3〜18であることがより好ましく、3〜10であることがさらに好ましく、化合物(1)の前記溶解性の観点からは、炭素数が6〜18であることがさらに好ましい。
における前記アルケニル基としては、エテニル基(ビニル基)、2−プロペニル基(アリル基)等、前記アルキル基における炭素原子間の1個の単結合(C−C)が、二重結合(C=C)に置換された基が例示でき、二重結合の位置は特に限定されず、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでもよい。
前記アルケニル基は、炭素数が2〜22であることが好ましく、2〜18であることがより好ましく、2〜10であることがさらに好ましく、化合物(1)の前記溶解性の観点からは、炭素数が6〜18であることがさらに好ましい。
における前記アルキニル基としては、エチニル基、2−プロピニル基(プロパルギル基)等、前記アルキル基における炭素原子間の1個の単結合(C−C)が、三重結合(C≡C)に置換された基が例示でき、三重結合の位置は特に限定されず、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでもよい。
前記アルキニル基は、炭素数が2〜22であることが好ましく、2〜18であることがより好ましく、2〜10であることがさらに好ましく、化合物(1)の前記溶解性の観点からは、炭素数が6〜18であることがさらに好ましい。
における前記アリール基は、単環状及び多環状のいずれでもよく、炭素数が6〜22であることが好ましく、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、キシリル基(ジメチルフェニル基)等が例示でき、これらアリール基の1個以上の水素原子が、さらにこれらアリール基や、Rにおける前記アルキル基で置換されたものも例示できる。これら置換基を有するアリール基は、置換基も含めて炭素数が6〜22であることが好ましい。
これらのなかでも、前記アリール基は、炭素数が6〜15であることが好ましく、6〜10であることがより好ましい。
における前記ヘテロアリール基としては、Rにおける前記アリール基のうち、芳香環骨格を構成する1個以上の炭素原子が、又は前記炭素原子がこれに結合している水素原子と共に、ヘテロ原子で置換され、且つ芳香族性を有する基、及びRにおける環状の前記アルキル基において、炭素原子間の1個以上の単結合(C−C)が、二重結合(C=C)に置換され、さらに環骨格を構成する1個以上の炭素原子が、又は前記炭素原子がこれに結合している水素原子と共に、ヘテロ原子で置換され、且つ芳香族性を有する基が例示できる。前記ヘテロ原子で好ましいものとしては、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、セレン原子、リン原子等が例示できる。芳香環骨格を構成するヘテロ原子の数は、特に限定されないが、1〜2であることが好ましい。そして、芳香環骨格を構成するヘテロ原子の数が2以上である場合、これら複数個のヘテロ原子は、すべて同一でもよいし、すべて異なっていてもよく、一部のみ同一であってもよい。
における前記アリールアルキル基としては、ベンジル基(フェニルメチル基)等、前記アルキル基において、1個の水素原子が前記アリール基で置換された一価の基が例示でき、炭素数が7〜22であることが好ましく、7〜18であることがより好ましい。
における前記アリールアルケニル基としては、前記アルケニル基において、1個の水素原子が前記アリール基で置換された一価の基が例示でき、炭素数が8〜22であることが好ましく、8〜18であることがより好ましい。
における前記アルコキシ基としては、メトキシ基、シクロプロポキシ基等、前記アルキル基が酸素原子に結合した一価の基が例示でき、炭素数が1〜22であることが好ましく、1〜18であることがより好ましく、1〜10であることがさらに好ましく、化合物(1)の前記溶解性の観点からは、炭素数が6〜18であることがさらに好ましい。
複数個(2個)のRは互いに同一でも異なっていてもよい。
式中、R及びRはそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基若しくはアルコキシ基であるか、又はR及びRが互いに結合して、これらが結合している炭素原子と共に環を形成するように、前記一般式(1a)、(1b)、(1c)又は(1d)で表されるヘテロ原子含有基を形成している。ただし、隣接する炭素原子に結合している2組のR及びRのうち、少なくとも1組のR及びRは前記ヘテロ原子含有基を形成しており、2組がいずれも前記ヘテロ原子含有基を形成していることが好ましい。
及びRにおける前記アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基及びアルコキシ基としては、Rにおける前記アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基及びアルコキシ基と同様のものが例示できる。
及びRが互いに結合して前記ヘテロ原子含有基を形成している場合には、以下のとおりである。
式中、Aは5員環以上の芳香族環式基であり、芳香族炭化水素基(アリール基)及び芳香族複素環式基(ヘテロアリール基)のいずれでもよく、単環状及び多環状のいずれでもよく、アリール基及びヘテロアリール基が縮環した環式基(多環状のヘテロアリール基)であってもよい。
における前記アリール基は、6員環以上(炭素数が6以上)であり、Rにおける前記アリール基と同様のものが例示できる。
における前記ヘテロアリール基は、5員環以上であり、Rにおける前記ヘテロアリール基と同様のものが例示できる。
はアリール基であることが好ましく、1,2−フェニレン基であることがより好ましい。
式中、Zは酸素原子(−O−)、硫黄原子(−S−)、セレン原子(−Se−)、又は一般式「−N(−R)−」、「−(R−)Si(−R)−」若しくは「−(R−)P(=O)−」で表される基である。
ZにおけるR、R及びRはそれぞれ独立に水素原子、アルキル基又はアリール基である。
、R及びRにおける前記アルキル基及びアリール基としては、Rにおける前記アルキル基及びアリール基と同様のものが例示できる。
一般式「−(R−)Si(−R)−」で表される基において、複数個(2個)のRは互いに同一でも異なっていてもよい。
前記ヘテロ原子含有基において、符号*を付した結合はRが結合している炭素原子に対して形成され、符号**を付した結合はRが結合している炭素原子に対して形成されている。
隣接する炭素原子に結合している2組のR及びRが共に前記ヘテロ原子含有基を形成している場合、これら2個の前記ヘテロ原子含有基は互いに同一でも異なっていてもよい。
式中、Rはハロゲン原子、酸素原子、アルキニル基、アリール基又はヘテロアリール基である。
における前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が例示できる。
における前記アルキニル基、アリール基及びヘテロアリール基としては、Rにおける前記アルキニル基、アリール基及びヘテロアリール基と同様のものが例示できる。
複数個(2個)のRは互いに同一でも異なっていてもよい。
が水素原子以外の基であるか、又はRがハロゲン原子以外の基である場合には、複数個のR若しくはR、又はR及びRは互いに結合して環を形成していてもよい。すなわち、R同士が互いに結合してこれらが結合している基と共に環を形成していてもよいし、R同士が互いに結合してこれらが結合しているXと共に環を形成していてもよく、R及びRが互いに結合してこれらが結合している基と共に環を形成していてもよい。
このような環を形成した化合物(1)で好ましいものとしては、R同士と、2組のR及びRとが、互いに結合したポルフィリン環骨格を有するものが例示できる。
なお、化合物(1)には、R同士と、2組のR及びRとが、互いに結合したものとして、公知の化合物が存在するポルフィラジン環骨格を有するものは含まれない。
ただし、Rが酸素原子である場合には、このRは必ず他方のRと又はRと互いに結合して環を形成しており、このような化合物(1)で好ましいものとしては、2組のR及びRが互いに結合してキレート構造を形成したものが例示できる。
式中、Qは窒素原子(−N=)又は一般式「−C(−R)=」で表される基である。
また、前記Rは水素原子、あるいは1個以上の水素原子がハロゲン原子、アルコキシ基、アルキルアミノ基若しくはヘテロ環式基で置換されていてもよいアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基である。
における前記アルキル基、アリール基及びヘテロアリール基としては、Rにおける前記アルキル基、アリール基及びヘテロアリール基と同様のものが例示できる。
における置換基としての前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が例示できる。
における置換基としての前記アルコキシ基としては、Rにおける前記アルコキシ基と同様のものが例示できる。
における置換基としての前記アルキルアミノ基は、モノアルキルアミノ基及びジアルキルアミノ基のいずれでもよい。
前記アルキルアミノ基の窒素原子に結合しているアルキル基としては、Rにおける前記アルキル基と同様のものが例示でき、前記アルキルアミノ基がジアルキルアミノ基である場合、2個のアルキル基は互いに同一でも異なっていてもよい。
が、1個以上の水素原子が前記アルキルアミノ基で置換されたアリール基である場合、このようなRにおいては、前記アルキルアミノ基にプロトン(H)や金属イオン(カチオン)が結合し易く、このようにプロトンや金属イオンが結合している状態の化合物(1)は、溶媒に溶解させたときの発光強度を、前記溶媒の種類に応じて調節可能となり、特に有用性が高い。
における置換基としての前記ヘテロ環式基は、脂肪族ヘテロ環式基(非芳香族ヘテロ環式基)及び芳香族ヘテロ環式基(ヘテロアリール基)のいずれでもよく、単環状及び多環状のいずれでもよく、脂肪族ヘテロ環式基及び芳香族ヘテロ環式基が縮環した環式基(多環状の芳香族ヘテロ環式基)であってもよい。
前記ヘテロ環式基が有するヘテロ原子で好ましいものとしては、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、セレン原子、リン原子等が例示できる。前記ヘテロ環式基が有するヘテロ原子の数は、特に限定されないが、1〜10であることが好ましく、1〜6であることがより好ましい。そして、前記ヘテロ環式基が有するヘテロ原子の数が2以上である場合、これら複数個のヘテロ原子は、すべて同一でもよいし、すべて異なっていてもよく、一部のみ同一であってもよい。
が、1個以上の水素原子が前記ヘテロ環式基で置換されたアリール基である場合、このようなRにおいては、前記ヘテロ環式基にプロトン(H)や金属イオン(カチオン)が結合し易く、このようにプロトンや金属イオンが結合している状態の化合物(1)は、溶媒に溶解させたときの発光強度を、前記溶媒の種類に応じて調節可能となり、特に有用性が高い。
における置換基としての前記ヘテロ環式基で好ましいものとしては、Rにおける置換基としての前記ジアルキルアミノ基の2個のアルキル基が互いに結合して、これら2個のアルキル基が結合している窒素原子と共に環を形成したものと同じ構造の基(環状のアルカン中の1個のメチレン基(−CH−)が、置換対象である前記アルキル基、アリール基又はヘテロアリール基との結合部位となる窒素原子で置換された、環骨格中に窒素原子を有する環状アミノ基)、前記環状アミノ基において1個又は直接結合していない2個以上のメチレン基が酸素原子で置換された基が例示できる。Rがこれら好ましいヘテロ環式基で置換されたアリール基である場合、発光強度を溶媒の種類に応じて調節可能となる効果がより高くなる。
前記Rにおける前記アルキル基、アリール基又はヘテロアリール基の2個以上の水素原子が前記置換基で置換されている場合、これら2個以上の前記置換基はすべて同一でもよいし、すべて異なっていてもよく、一部のみ同一であってもよい。
式中、Xはホウ素原子、アルミニウム原子、マグネシウム原子、鉄原子、銅原子、亜鉛原子又は白金原子であり、ホウ素原子であることが好ましい。
化合物(1)は、下記一般式(1)−1で表されるもの(以下、「化合物(1)−1」と略記することがある)が好ましい。
Figure 2016006033
(式中、Aは下記一般式(1a1)、(1b1)、(1c1)又は(1d1)で表されるヘテロアリール基であり、ただし、下記一般式(1a1)〜(1d1)中の符号*を付した炭素原子は、一般式(1)−1中の符号*を付した結合を形成し、下記一般式(1a1)〜(1d1)中の符号**を付した炭素原子は、一般式(1)−1中の符号**を付した結合を形成しており;Aは下記一般式(1a2)、(1b2)、(1c2)又は(1d2)で表されるヘテロアリール基であり、ただし、下記一般式(1a2)〜(1d2)中の符号*を付した炭素原子は、一般式(1)−1中の符号*を付した結合を形成し、下記一般式(1a2)〜(1d2)中の符号**を付した炭素原子は、一般式(1)−1中の符号**を付した結合を形成しており;R、R、Q及びXは前記と同じである。)
Figure 2016006033
(式中、A及びZは前記と同じである。)
式中、Aは前記一般式(1a1)、(1b1)、(1c1)又は(1d1)で表されるヘテロアリール基であり、Aは前記一般式(1a2)、(1b2)、(1c2)又は(1d2)で表されるヘテロアリール基である。そして、これらヘテロアリール基において、A及びZは、一般式(1)における前記A及びZと同じである。
ただし、前記一般式(1a1)〜(1d1)中の符号*を付した炭素原子、及び前記一般式(1a2)〜(1d2)中の符号*を付した炭素原子は、それぞれ一般式(1)−1中の符号*を付した結合を形成し、前記一般式(1a1)〜(1d1)中の符号**を付した炭素原子、及び前記一般式(1a2)〜(1d2)中の符号**を付した炭素原子は、それぞれ一般式(1)−1中の符号**を付した結合を形成している。
式中、R、R、Q及びXは、一般式(1)における前記R、R、Q及びXと同じである。
化合物(1)−1は、さらに、下記一般式(1)−1−1、(1)−1−2又は(1)−1−3で表されるもの(以下、それぞれ「化合物(1)−1−1」、「化合物(1)−1−2」、「化合物(1)−1−3」と略記することがある)が好ましい。
Figure 2016006033
(式中、R11は水素原子、炭素数1〜10のアルキル基若しくはアルケニル基、又は炭素数6〜15のアリール基、ヘテロアリール基、アリールアルキル基若しくはアリールアルケニル基であり、複数個のR11は互いに同一でも異なっていてもよく;R41はフッ素原子、又は炭素数6〜15のアリール基若しくはヘテロアリール基であり、複数個のR41は互いに同一でも異なっていてもよく;Xはアルミニウム原子、マグネシウム原子、鉄原子、銅原子、亜鉛原子又は白金原子であり;Rは水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基若しくはアルコキシ基、又は炭素数6〜15のアリール基、ヘテロアリール基、アリールアルキル基若しくはアリールアルケニル基であり、複数個のRは互いに同一でも異なっていてもよく;A、A、A及びAは、それぞれ独立に芳香族環式基であり;R、Q、A及びAは前記と同じである。)
式中、R及びQは、一般式(1)における前記R及びQと同じである。また、A及びAは、一般式(1)−1における前記A及びAと同じである。
式中、R11は水素原子、炭素数1〜10のアルキル基若しくはアルケニル基、又は炭素数6〜15のアリール基、ヘテロアリール基、アリールアルキル基若しくはアリールアルケニル基である。
そして、複数個(2個)のR11は互いに同一でも異なっていてもよい。
11における前記アルキル基は、Rにおける炭素数1〜10の前記アルキル基と同じである。
11における前記アルケニル基は、Rにおける炭素数2〜10の前記アルケニル基と同じである。
11における前記アリール基は、Rにおける炭素数6〜15の前記アリール基と同じである。
11における前記ヘテロアリール基は、Rにおける炭素数6〜15の前記ヘテロアリール基と同じである。
11における前記アリールアルキル基は、Rにおける炭素数7〜15の前記アリールアルキル基と同じである。
11における前記アリールアルケニル基は、Rにおける炭素数8〜15の前記アリールアルケニル基と同じである。
式中、R41はフッ素原子、又は炭素数6〜15のアリール基若しくはヘテロアリール基である。そして、複数個(2個)のR41は互いに同一でも異なっていてもよい。
41における前記アリール基は、Rにおける炭素数6〜15の前記アリール基と同じである。
41における前記ヘテロアリール基は、Rにおける炭素数6〜15の前記ヘテロアリール基と同じである。
式中、Xはアルミニウム原子、マグネシウム原子、鉄原子、銅原子、亜鉛原子又は白金原子である。
式中、Rは水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基若しくはアルコキシ基、又は炭素数6〜15のアリール基、ヘテロアリール基、アリールアルキル基若しくはアリールアルケニル基である。そして、複数個(2個)のRは互いに同一でも異なっていてもよい。
における前記アルキル基としては、Rにおける前記アルキル基で炭素数が1〜10のものが例示できる。
における前記アルケニル基としては、Rにおける前記アルケニル基で炭素数が2〜10のものが例示できる。
における前記アルキニル基としては、Rにおける前記アルキニル基で炭素数が2〜10のものが例示できる。
における前記アルコキシ基としては、Rにおける前記アルコキシ基で炭素数が1〜10のものが例示できる。
における前記アリール基としては、Rにおける前記アリール基で炭素数が6〜15のものが例示できる。
における前記ヘテロアリール基としては、Rにおける前記ヘテロアリール基で炭素数が6〜15のものが例示できる。
における前記アリールアルキル基としては、Rにおける前記アリールアルキル基で炭素数が7〜15のものが例示できる。
における前記アリールアルケニル基としては、Rにおける前記アリールアルケニル基で炭素数が8〜15のものが例示できる。
式中、A、A、A及びAは、それぞれ独立に芳香族環式基である。
〜Aにおける前記芳香族環式基は、芳香族炭化水素基(アリール基)及び芳香族複素環式基(ヘテロアリール基)のいずれでもよく、単環状及び多環状のいずれでもよく、アリール基及びヘテロアリール基が縮環した環式基(多環状のヘテロアリール基)であってもよい。
〜Aにおける前記芳香族環式基は、ヘテロアリール基であることが好ましく、一般式(1)において、R及びRが互いに結合して形成している前記ヘテロ原子含有基や、前記ヘテロ原子含有基中のAと同様のものがより好ましい。
化合物(1)−1−2は、先に説明した、2組のR及びRが互いに結合してキレート構造を形成した化合物(1)に該当する。
また、化合物(1)−1−3は、先に説明した、R同士と、2組のR及びRとが、互いに結合したポルフィリン環骨格を有する化合物(1)に該当する。
化合物(1)で好ましいものを以下に例示する。ただし、化合物(1)はこれらに限定されない。
Figure 2016006033
Figure 2016006033
Figure 2016006033
Figure 2016006033
Figure 2016006033
(式中、Xは前記と同じである。)
Figure 2016006033
上記で好ましいものとして例示した化合物(1)は、すべて、2組のR及びRがいずれも互いに結合して、前記ヘテロ原子含有基を形成しているものであるが、2組のR及びRのうちの1組のみが互いに結合して、前記ヘテロ原子含有基を形成しているものも、好ましいものとして例示できる。この場合、前記ヘテロ原子含有基を形成しているのが、2組のR及びRのいずれであっても、このような化合物(1)は、好ましいものとして例示できる。そして、前記ヘテロ原子含有基中のZが、X側を向いているもの(ヘテロ原子含有基が一般式(1a)又は(1c)であるもの)については、これに代えてQ側を向いているもの(ヘテロ原子含有基が一般式(1b)又は(1d)であるもの)も、好ましいものとして例示でき、前記ヘテロ原子含有基中のZが、Q側を向いているものについては、これに代えてX側を向いているものも、好ましいものとして例示できる。
また、上記で好ましいものとして例示した化合物(1)で、2組のR及びRがいずれも互いに結合して、前記ヘテロ原子含有基を形成しているもののうち、前記ヘテロ原子含有基中のZが、いずれもX側を向いているもの及びQ側を向いているものについては、これに代えていずれか一方がX側を向むき、他方がQ側を向いているものも、好ましいものとして例示できる。この場合、2個の前記ヘテロ原子含有基のうち、いずれのZがX側(又はQ側)を向いた化合物(1)であっても、好ましいものとして例示できる。
さらに、前記ヘテロ原子含有基中のZが、いずれもX側を向いているものについては、これに代えていずれもQ側を向いているものも、好ましいものとして例示でき、前記ヘテロ原子含有基中のZが、いずれもQ側を向いているものについては、これに代えていずれもX側を向いているものも、好ましいものとして例示できる。
例えば、化合物(1)において、2組のR及びRが、いずれも互いに結合せずに前記ヘテロ原子含有基を全く形成せず、かつQが前記一般式「−C(−R)=」で表される基で、Rが水素原子以外の基である化合物では、少なくとも発光効率が十分に高くはならず、化合物(1)と同様の効果は得られない。これは、このような化合物では、Q中のRがその隣接する炭素原子との結合を軸として容易に回転してしまい、無輻射失活速度定数が増大してしまうためであると推測される。
これに対して、化合物(1)は、少なくとも1組のR及びRが前記ヘテロ原子含有基を形成していることにより、たとえQが前記一般式「−C(−R)=」で表される基で、Rが水素原子以外の基であっても、Q中のRがその隣接する炭素原子との結合を軸として回転するのが抑制されるため、発光効率が十分に高く、かつ発光波長が十分に長波長になると推測される。
化合物(1)は、Rの種類を適宜選択することにより、上述のような発光波長が十分に長波長でかつ発光効率が十分に高いという特性を損なうことなく、さらに種々の特性を付与できる。例えば、先に説明した化合物(1)−1−2は、化合物(1)−1−1及び化合物(1)−1−3よりも、通常は、発光波長がさらに長波長であり、加えて光の吸収波長もより長波長であるという特性を有する。
化合物(1)は、その構造中、好ましくはQの中に、炭素数が大きいアルキル基等の脂溶性が高い基を有する場合、適切な溶媒を選択することで、上記のように溶媒への溶解性が向上する。溶媒への溶解性が高い化合物(1)を用いることで、化合物(1)の取り扱い性がより向上し、例えば、後述する太陽光発電装置であれば発電量がより多いものが、標識剤であれば検出感度がより高いものが、それぞれ容易に得られる。
化合物(1)は、発光のピーク波長が、好ましくは600nm以上、より好ましくは620nm以上となり、十分に長波長のものである。
なお、本明細書において、「ピーク波長」とは、光スペクトルの主たるピークの波長を意味し、好ましくはスペクトル強度が最大のピークの波長である。
また、化合物(1)の光の吸収ピーク波長及び発光のピーク波長は、量子化学計算によって求めることもできる。このとき、汎用の量子化学計算ソフトを用いることができ、このようなものとしては、Gaussian09(Gaussian社製)が例示できる。
例えば、計算方法に時間依存密度汎関数法(TDDFT法)を用い、汎関数にCAM−B3LYPを用い、基底関数に6−31+g(d)を用いて、光の吸収ピーク波長を予測できる。ただし、計算条件は、これに限定されるものではない。
また、TDDFT法(CAM−B3LYP/6−31+g(d))を用いて、ある特定の化合物について、第一励起一重項状態における分子構造の最適化を行い、基底状態(S)と第一励起一重項状態(S)の分子のエネルギー差を横軸にとり、この化合物の蛍光ピーク波長の実測値を縦軸にとってグラフにプロットすると、例えば、図1のような相関が得られる。このような計算値と実測値とから得られる相関に基づいて、類似の分子骨格を有する化合物の蛍光ピーク波長(発光のピーク波長)を、20nm以下の誤差の範囲内で予測できる。なお、図1でデータのプロットを行った化合物は、後述する実施例における化合物(1)−101、化合物(1)−102及び化合物(1)−201と、文献「Chem.Eur.J.2009,15,1096−1106」(非特許文献1)に記載の、化合物名に「KFL」が付された一連の化合物「KFLシリーズ」である。「KFLシリーズ」の化合物については、蛍光ピーク波長の実測値として、前記文献に記載されている値をそのまま用いている。
化合物(1)は、発光量子収率が、好ましくは95%以上、より好ましくは96%以上となり、発光効率が十分に高い。
なお、試料(化合物、組成物、膜等)の外部量子収率は、下記式(I)により算出できる。
[試料の外部量子収率]
=[試料からその外部へ放射された光子の数]/[試料にその外部から入射した光子の数]
=[試料の内部量子収率]×[吸収率]
=[試料からその外部へ放射された光子の数]/[試料が吸収した光子の数]×[吸収率]
・・・・(I)
また、試料の内部量子収率は、下記式(II)により算出できる。
[試料の内部量子収率]
=[試料からその外部へ放射された光子の数]/[試料が吸収した光子の数]
・・・・(II)
ここで、吸収率は、膜中の化合物(蛍光体)の濃度、化合物(蛍光体)のモル吸光係数、又は膜の厚さ等から求められる。
化合物(1)は、発光波長が十分に長波長でかつ発光効率が十分に高い。したがって、例えば、後述する太陽光発電装置や有機薄膜太陽電池における蛍光体として化合物(1)を用いることで、かかる太陽光発電装置や有機薄膜太陽電池は発電量に優れたものとなる。また、発光素子における波長変換層中の蛍光体として化合物(1)を用いることで、かかる発光素子は発光効率に優れたものとなり、さらにこのような発光素子を用いた表示装置は、低い消費電力で鮮明な像を表示できる。また、化合物(1)を用いた標識剤は、検出感度がより高いものとなる。なお、化合物(1)の用途はこれらに限定されず、蛍光体を用いるすべての分野で、化合物(1)を適用できる。
なお、蛍光性化合物等の発光性化合物は、光の吸収スペクトルと発光スペクトルとの重なりが大きいと、このような化合物を用いた太陽光発電装置等の各種デバイスにおいて、放出された光が同じ種類の別の化合物に吸収され易い。したがって、発光性化合物が高濃度で含まれる場合や、発光性化合物が含まれる層の中を放出された光が長距離移動する場合には、このような各種デバイスにおいては、上述の同種の発光性化合物間での光の吸収及び発光を繰り返すことで、光の取り出し効率が低下してしまう。
そこで、化合物(1)についても、光の吸収スペクトルと発光スペクトルとの重なりが小さいものほど好ましい。光の吸収スペクトルと発光スペクトルとの重なりの度合いは、例えば、発光のピーク波長と光の吸収ピーク波長との差、所謂ストークスシフトの大きさにより判定でき、本発明において化合物(1)は、ストークスシフトが7nm以上であることが好ましく、10nm以上であることがより好ましい。
化合物(1)は、例えば、Q及びXで連結されている2個のピロール環骨格を形成するためのピロール又はピロール誘導体を原料化合物として用い、これらを、Qを含む原料化合物と反応させた後、さらにXを含む原料化合物と反応させる合成ルートを採用することにより、製造できる。
より具体的には、例えば、化合物(1)は、下記一般式(1c)で表される化合物(以下、「化合物(1c)」と略記する)と、下記一般式(1d)で表される化合物(以下、「化合物(1d)」と略記する)とを反応させて、下記一般式(1b)で表される化合物(以下、「化合物(1b)」と略記する)を得る工程(以下、「化合物(1b)製造工程」と略記する)、及び化合物(1b)と、下記一般式(1a)で表される化合物(以下、「化合物(1a)」と略記する)とを反応させて、化合物(1)を得る工程(以下、「化合物(1)製造工程」と略記する)を有する製造方法により、製造できる。
ただし、ここに挙げた製造方法は一例であり、化合物(1)の製造方法は、これに限定されない。
Figure 2016006033
(式中、m1はXの種類で決定される2以上の整数であり;R、R、R、R、R、Q及びXは、前記と同じである。)
化合物(1b)製造工程では、化合物(1c)と化合物(1d)とを反応させて、化合物(1b)を得る。化合物(1c)はQを含む原料化合物であるが、Qが前記一般式「−C(−R)=」で表される基である場合のものである。化合物(1d)はピロール又はピロール誘導体であり、少なくとも、R及びRが互いに結合して前記ヘテロ原子含有基を形成しているものを含む。
化合物(1d)において、R〜Rは、一般式(1)におけるR〜Rと同じである。
化合物(1b)製造工程においては、溶媒を用いて反応を行うことが好ましい。前記溶媒は、原料となる化合物の溶解性や反応条件等を考慮し、反応を妨げないものから適宜任意に選択でき、好ましいものとしては、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素等が例示できる。
化合物(1b)製造工程においては、化合物(1c)、化合物(1d)及び溶媒を混合し、ここへ強酸を添加後、さらに酸化剤を添加して反応を行うことが好ましい。前記強酸としてはトリフルオロ酢酸等を用いることが好ましく、前記酸化剤としては2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−p−ベンゾキノン(DDQ)等を用いることが好ましい。
化合物(1b)製造工程において、化合物(1d)の使用量は、化合物(1c)に対して2倍モル量以上であることが好ましく、2〜4倍モル量であることがより好ましい。また、酸化剤の使用量は、化合物(1c)に対して2倍モル量以上であることが好ましく、2〜5倍モル量であることがより好ましい。また、強酸の使用量は触媒量でよい。
化合物(1b)製造工程における前記反応は、反応温度を−5℃以上とし、加熱還流する温度以下として行うことが好ましく、反応時間は1〜36時間であることが好ましい。
化合物(1b)製造工程において、反応終了後は、公知の手法によって、必要に応じて後処理を行い、化合物(1b)を取り出せばよい。すなわち、適宜必要に応じて、ろ過、洗浄、抽出、pH調整、脱水、濃縮等の後処理操作をいずれか単独で、又は二種以上組み合わせて行い、濃縮、結晶化、再沈殿、カラムクロマトグラフィー等により、化合物(1b)を取り出せばよい。また、取り出した化合物(1b)は、さらに必要に応じて、結晶化、再沈殿、カラムクロマトグラフィー、抽出、溶媒による結晶の撹拌洗浄等の操作をいずれか単独で、又は二種以上組み合わせて一回以上行うことで、精製してもよい。
化合物(1b)製造工程においては、反応終了後、必要に応じて後処理を行った後、化合物(1b)を取り出すことなく、引き続き化合物(1)製造工程を行ってもよい。
化合物(1)製造工程では、化合物(1b)と化合物(1a)とを反応させて、化合物(1)を得る。化合物(1a)は、Xを含む原料化合物であるが、同時にRも含む化合物であり、さらに、Rが酸素原子ではない場合のものである。
化合物(1a)において、m1はXへのRの結合数を表し、Xの種類で決定される2以上の整数である。また、Xは一般式(1)におけるXと同じである。
化合物(1)製造工程においては、塩基を用いて反応を行うことが好ましい。前記塩基は、トリエチルアミン、N−エチルジイソプロピルアミン等の求核性の弱い塩基であることが好ましい。
化合物(1)製造工程において、化合物(1a)の使用量は、化合物(1b)に対して2倍モル量以上であることが好ましく、2〜4倍モル量であることがより好ましい。また、塩基の使用量は、化合物(1b)に対して1倍モル量以上であることが好ましい。
化合物(1)製造工程における前記反応は、反応温度を10℃以上とし、加熱還流する温度以下として行うことが好ましく、反応時間は0.5〜12時間であることが好ましい。
化合物(1)製造工程において、反応終了後は、化合物(1b)製造工程の場合と同様の方法で、化合物(1)を取り出せばよく、取り出した化合物(1)をさらに精製してもよい。
化合物(1)、化合物(1b)等の各工程の生成物は、例えば、核磁気共鳴(NMR)分光法、質量分析法(MS)、赤外分光法(IR)、紫外・可視分光法(UV−VIS吸収スペクトル)等、公知の手法で構造を確認できる。
ここでは、化合物(1a)としてRが酸素原子ではないものを用いた場合ついて説明したが、例えば、化合物(1a)としてRがハロゲン原子、好ましくはフッ素原子であるものを用い、化合物(1d)としてRがアルコキシ基であるものを用いた場合には、上記の方法で得られた化合物(1)に対して、さらに三臭化ホウ素(BBr)等の脱アルキル化剤を作用させることにより、実施例で後述するように、前記アルコキシ基が脱アルキル化され、その酸素原子が前記ハロゲン原子と置換してXに結合した構造の、化合物(1)−1−2等の、前記キレート構造を有する別の化合物(1)が得られる(以下、本工程を「化合物(1)変換工程」と記載することがある)。
また、化合物(1)−1−3等の、ポルフィリン環骨格を有する化合物(1)は、例えば、上記の化合物(1b)製造工程において、化合物(1c)に対する化合物(1d)の使用量を相対的に減らす(化合物(1d)に対する化合物(1c)の使用量を相対的に増やす)点以外は、上記と同様に化合物(1b)製造工程及び化合物(1)製造工程を行うことで、製造できる。
また、ここでは、化合物(1a)〜(1d)を用いた製造方法について説明したが、これら化合物のいずれかが市販品として入手できない場合には、適宜公知の手法を組み合わせて適用することで、これら化合物は容易に製造できる。
なお、Qが前記一般式「−C(−R)=」で表される基であり、かつRが水素原子である場合には、例えば、「Chem.Eur.J.2009,15,1096−1106(非特許文献1)」のScheme.1に記載の合成ルートを採用することでも、化合物(1)を製造できる。
また、Qが窒素原子である場合も、公知の方法で化合物(1)を製造できる。
一般式(1)においてRがO原子であり、Rと環を形成しない化合物はたとえば[非特許文献4]Adv. Funct. Mater. 2013, 23, 4195-4205に記載の方法で、RがF原子である化合物から合成することができる。Rにアルコキシ基あるいはフェノキシ基を修飾すると、F原子である化合物よりも光に対する耐久性が高い場合がある。
一般式(1)においてXがAl原子であり、RがO原子であってRと環を形成する化合物はたとえば [非特許文献5]Chem. Commun. 2009, 2544-2546に記載の方法で合成することができる。
〈バイオイメージング材料〉
650nm〜900nmの波長領域の光は生体組織に対する透過性が高いため、この領域に蛍光波長を持つ材料は、蛍光バイオイメージングにおいて細胞傷害性の低さや散乱光の小ささなどの利点から有用である。
上記一般式(1)で表される化合物は、長波長で高い発光効率を示しうるため、遺伝子、酵素、タンパク質などの生体成分の標識のための蛍光標識試薬の母核構造として有用である。
〈蛍光プローブ材料〉
一般式(1)で表される化合物は、プロトン、金属イオン、活性酸素種、酵素、遺伝子などの測定対象物の有無や濃度(対象物がプロトンである場合はpH)を検出することが可能な蛍光プローブ材料の母核構造としても有用である。蛍光プローブ材料は蛍光性化学センサーあるいは蛍光指示薬とも呼ばれる。
対象物の有無による化合物の発光強度変化(ON/OFF比)が大きいほど、蛍光プローブ材料として好ましい。
対象物を捕捉する電子供与性の官能基を有するアリール基、あるいは対象物と化学的に反応する電子供与性の官能基を有するアリール基が、母核構造に対してねじれた構造をとって結合すると、蛍光プローブ機能が発現する。
ねじれ型分子構造を持つ蛍光プローブ材料は、測定対象物が存在しない状態では光励起により分子内電荷移動遷移が生じた状態となり、蛍光速度定数が小さいため発光効率が低い。一方で、蛍光プローブ材料が測定対象物と化学的に作用すると、光励起により母核構造内の局所的な電子遷移が生じた状態となり、蛍光速度定数が大きいため発光効率が高い。このため蛍光プローブ材料の発光強度から対象物の濃度を推定できる。
上記一般式(1)で表される化合物の一部に、[化19]に示すような対象物を捕捉する官能基、あるいは[化20]に示すような対象物と化学的に反応する官能基を修飾することにより、種々の対象物を検出する蛍光プローブの機能を付加することができる。測定対象物はこれらに限定されることはなく、検出するための置換基はこれらに限定されることはない。
Figure 2016006033
Figure 2016006033
一般式(1)で表される化合物に導入されるアリール基上のプロトン、金属イオン、又は活性酸素種を捕捉するための置換基の位置は特に限定されない。アリール基上には、これらの置換基以外に任意の置換基が存在していてもよい。測定対象物の捕捉のための置換基は種々提案されており、測定対象物の種類に応じて当業者は適宜選択可能である。例えば、特開平10−226688号公報、国際公開WO 99/51586、特開2000−239272号公報、国際公開WO 01/62755、 [特許文献2]2014/5526124号、 [非特許文献2]Chem. Soc. Rev. 2012, 41, 1130−1172などを参照することができる。また、モレキュラープローブス社のカタログ(Handbook of Fluorescent Probes and Research Chemicals, Sixth edition)の第22章(カルシウムイオン、マグネシウムイオン、亜鉛イオン、及び他の金属イオン)、第23章(pHインディケーター)、及び第24(ナトリウムイオン、カリウムイオン、塩素イオン、及び他の無機イオン)に記載された測定対象物の捕捉のための置換基を用いることもできる。
もっとも、測定対象物の捕捉のための置換基は上記刊行物に記載されたものに限定されることはない。
一般式(1)においてQが炭素原子である場合には、Rに上記の測定対象物補足用の置換基をもつアリール基を母核構造に対してほぼ垂直に修飾することができる。
一般式(1)であらわされるRにアリール基を導入すると、RとRから形成される環がRのアリール基の動きを抑制することにより熱的失活が生じにくく、蛍光量子収率が高い。測定対象物補足用の置換基をもつアリール基を修飾した場合に、蛍光のON/OFF比を高めることができるため、蛍光プローブの骨格として望ましい。
ただし、測定対象物補足用の置換基は、Rに限るものではなく、分子のいずれの部位に結合してもよい。
蛍光プローブ材料は、生体内の生体分子やイオンの検出、病態検査、遺伝子検査、食品検査、環境検査に用いることができる。
例えば、[化21]に示すBODIPYの母核のメゾ位に、プロトンを捕捉するアミノ基を有するアリール基を導入した化合物は、pHに応じて蛍光強度が変化する蛍光プローブ機能を有し、弱酸性であるがん細胞のみを発光させることができることが報告されている。
[非特許文献3]Nature Medicine 15,104,2008
このようなpH応答性の蛍光プローブ材料はがんの検査薬として用いることができる。
また、がん手術において溶液を患部に滴下あるいは噴霧することにより、微小ながん部位の見落としや取り残しを防ぐことができる。
Figure 2016006033
異なる対象物を検出可能な複数の蛍光プローブ材料を支持体に固定し、バイオチップとすることで、複数の対象物を迅速かつ同時並行的に、蛍光によって分析することが可能であり、遺伝子検査、食品検査、水質などの環境検査に用いることができる。
一般式(1)においてRがO原子であり、Rと環を形成しない化合物はたとえば[非特許文献4]Adv. Funct. Mater. 2013, 23, 4195-4205に記載の方法で、RがF原子である化合物から合成することができる。
一般式(1)においてXがAl原子であり、RがO原子であってRと環を形成する化合物はたとえば[非特許文献5]Chem. Commun. 2009, 2544に記載の方法で合成することができる。Rにアルコキシ基あるいはフェノキシ基を修飾すると、F原子である化合物よりも光に対する耐久性が高い場合がある。
異なる対象物を検出可能な複数の蛍光プローブ材料を支持体に固定し、バイオチップとすることで、複数の対象物を迅速かつ同時並行的に、蛍光によって分析することが可能であり、遺伝子検査、食品検査、水質などの環境検査に用いることができる。
一般式(1)で表される蛍光体は種々の波長変換基板に有用である。ここで記載する基板とは、板状であってもよく、柔軟性を持つフィルム状であってもよく、その形状は限定されない。
〈照明用波長変換基板〉
白色の照明を得るために、青色LEDを光源に用い、YAG:Ceなどの黄色蛍光体を用いて青色光の一部を黄色光に変換する手法が従来用いられる。しかしこのような二波長型の照明は赤色光が十分に含まれないため、色再現性が低いという課題がある。
一般式(1)で表される化合物を含む波長変換基板は、青色光源の一部の光を赤色光へ変換できるため、色再現性の高い照明に用いることができる。青色光源を用い、一般式(1)で表される化合物を含む波長変換基板に、緑色発光を示す蛍光体を混合するか、あるいは緑色発光を示す蛍光体を含む層を積層することにより、RGBの三色を含む色再現性の高い白色発光を得ることができる。また適宜蛍光体の濃度や波長変換基板の厚さを調節することで多様な発光色の照明を得ることができる。
〈バックライト用波長変換基板〉
一般式(1)で表される化合物を含む波長変換基板を用いて、光源の一部の光を赤色光へ変換し、液晶ディスプレイに用いるバックライトとして用いることでできる。
蛍光体を用いて青色LEDの光を波長変換してバックライトに用いる方法には、(A)青色LEDチップに直接蛍光体を載せる方法、(B)蛍光体を細いガラス管に封じ込めてバックライト用導光板のLED光入射部に置く方法、(C)蛍光体をフィルムに挟み込んでシート状にしたものをバックライトと液晶パネルの間に敷く方法の三つが知られているが、蛍光体の耐久性を向上させる観点から(C)の手法が望ましい。
青色光源を用い、青色光を吸収して緑色発光を示す蛍光体を同じ基板に混合するか、あるいは緑色発光を示す蛍光体を積層することにより白色発光を得ることが可能である。バックライトが均等に三原色を含むため、適切なカラーフィルターを用いることで液晶ディスプレイの色再現性を高めることができる。
〈太陽光発電用波長変換基板〉
シリコンやあるいはガリウムヒ素などからなる太陽電池は、紫外光や青色光に対する変換効率よりも赤色や近赤外光に対する変換効率の方が高いため、一般式(1)で表される化合物を含む波長変換基板を用いて、太陽電池に入射する太陽光の一部の光を赤色光へ変換することで、太陽電池の変換効率を向上させることができる。
一般式(1)で表される化合物は紫外光や青色光を高効率で、赤色近赤外の光に変換できるため有用である。
〈色素レーザー〉
一般式(1)で表される化合物を有機溶媒に溶解させた溶液を、光励起によって発振させることで液体レーザー(色素レーザー)として用いることができる。光源は連続発振させる場合にはイオンレーザー、パルス発振させる場合にはフラッシュランプやYAGレーザー、エキシマレーザーが利用できる。媒質は一般にローダミン6Gなどの蛍光色素が用いられているが、上記一般式(1)で表される化合物を代わりに用いることで、より長波長の色素レーザーが得られる。
〈着色塗料〉
一般式(1)で表される化合物を含んだ着色組成物は、例えば複合機のトナー、筆記具のインク、化粧品などに用いる深赤色の発光性塗料として望ましい。化合物をマイクロカプセル中に混合して用いてもよい。
<標識剤>
本発明に係る標識剤は、前記化合物(1)からなるものであり、例えば、生体内の蛍光プローブとして使用できる。
前記標識剤は、例えば、溶媒に溶解させて対象物に導入することができ、赤色光の発光によって、容易に検出できる。また、前記標識剤は、発光効率が十分に高いので、微量でも検出が容易であり、対象物への導入量を低減できる。
<太陽電池モジュール>
本発明に係る太陽電池モジュールは、前記化合物(1)を用いたものであり、化合物(1)に太陽光を吸収させ、生じた化合物(1)からの放射光を集光して、これを太陽電池素子に導入する構成のものが例示できる。
このような太陽電池モジュールで好ましいものとしては、光入射面及び該光入射面よりも面積が小さい光射出面を有する導光体、並びに前記光射出面からの射出光を受光して、電力を発生する太陽電池素子を備え、前記導光体は、さらに化合物(1)を含み、前記光入射面からの入射光が化合物(1)に吸収されて生じた化合物(1)からの放射光を、前記射出光とするものが例示できる。
本発明に係る太陽電池モジュールは、化合物(1)を用いたことで、発電量に優れる。
以下、本発明に係る太陽電池モジュールについて、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の図面においては、各構成要素を認識可能な大きさとするために、各構成要素の縮尺を適宜変更している。
図2は、本発明に係る太陽電池モジュールの一実施形態の概略構成を模式的に示す図であり、図3は、かかる太陽電池モジュールの断面図である。
図2に示す太陽電池モジュール41は、太陽Sに対向して設置された矩形板状の集光板42と、集光板42の端面に設けられた太陽電池素子43と、集光板42の背面側に設けられた反射板(反射体)44と、枠体45とを備えて構成されたものである。
集光板42は、太陽電池素子43に射出光を導入する導光体である。そして、太陽電池素子43は、集光板42の第1端面42cから射出された射出光を受光する。枠体45は、集光板42と太陽電池素子43とを一体に保持する。
集光板42は、図2〜3に示すように光入射面となる主面42aと、主面42aと反対の側の背面42bと、光射出面となる前記第1端面42cと、その他の端面とを備えている。本実施形態では、第1端面42c以外の端面には反射層46が設けられている。
集光板42において、第1端面42cは、主面42aよりも面積が小さく、このようにすることで、太陽電池素子43への集光効率が高まり、太陽電池モジュール41の発電量がより増大する。
集光板42は、図3に示すように、透明基材47中に、蛍光体48が分散されたものである。透明基材47は、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)等のアクリル樹脂や、ポリカーボネート等の透明性が高い有機材料;ガラス等の透明性が高い無機材料等からなる。
透明基材47としては、外光を有効に取り込めるように、360〜800nmの波長領域の光に対して好ましくは90%以上、より好ましくは93%以上の透過率を有するものが例示できる。そして、広い波長領域の光の透過率が高い点から、好ましい透明基材47としては、PMMA等のアクリル樹脂からなる基板、シリコン樹脂基板、石英基板等が例示できる。
本実施形態においては、蛍光体48として、前記化合物(1)を用いる。
蛍光体48は、透明基材47中にほぼ均一に分散している。
化合物(1)は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
蛍光体48としては、化合物(1)以外に、公知のその他の蛍光体を併用してもよい。
化合物(1)以外の蛍光体としては、紫外光又は可視光を吸収して、可視光又は赤外光を発光し、放射する光機能材料が例示できる。なお、可視光とは、380〜750nmの波長領域の光であり、紫外光とは、380nm未満の波長領域の光であり、赤外光とは、750nmよりも大きい波長領域の光である。
化合物(1)以外の蛍光体は、無機蛍光体及び有機蛍光体のいずれでもよい。
前記有機蛍光体としては、クマリン系色素、ペリレン系色素、フタロシアニン系色素、スチルベン系色素、シアニン系色素、ポリフェニレン系色素,キサンテン系色素,ピリジン系色素、オキサジン系色素、クリセン系色素、チオフラビン系色素、ピレン系色素、アントラセン系色素、アクリドン系色素、アクリジン系色素、フルオレン系色素、ターフェニル系色素、エテン系色素、ブタジエン系色素、ヘキサトリエン系色素、オキサゾール系色素、ジフェニルメタン系色素、トリフェニルメタン系色素、チアゾール系色素、チアジン系色素、ナフタルイミド系色素、アントラキノン系色素等が例示できる。
前記有機蛍光体として、より具体的には、3−(2’−ベンゾチアゾリル)−7−ジエチルアミノクマリン(クマリン6)、3−(2’−ベンゾイミダゾリル)−7−N,N−ジエチルアミノクマリン(クマリン7)、3−(2’−N−メチルベンゾイミダゾリル)−7−N,N−ジエチルアミノクマリン(クマリン30)、2,3,5,6−1H,4H−テトラヒドロ−8−トリフルオロメチルキノリジン(9,9a,1−gh)クマリン(クマリン153)等のクマリン系色素;クマリン色素系染料であるベーシックイエロー51;ソルベントイエロー11、ソルベントイエロー116等のナフタルイミド系色素;ローダミンB、ローダミン6G、ローダミン3B、ローダミン101、ローダミン110、スルホローダミン、ベーシックバイオレット11、ベーシックレッド2等のローダミン系色素;1−エチル−2−〔4−(p−ジメチルアミノフェニル)−1,3−ブタジエニル〕ピリジニウム−パークロレート(ピリジン1)等のピリジン系色素;シアニン系色素:オキサジン系色素等が例示できる。
さらに、これら以外でも、直接染料、酸性染料、塩基性染料及び分散染料等の各種染料で、蛍光性を有するものも使用可能である。
前記無機蛍光体としては、GdBO:Eu、Gd:Eu、GdS:Eu、GdAl12:Eu、GdGa12:Eu、GdVO:Eu、GdGa12:Ce,Cr、Y:Eu、YS:Eu、La:Eu、LaS:Eu、InBO:Eu、(Y,In)BO:Eu等の赤色発光の蛍光体;Gd:Tb、GdS:Tb、GdS:Pr、GdAl12:Tb、GdGa12:Tb、Y:Tb、YS:Tb、YS:Tb,Dy、LaS:Tb、ZnS:Cu、ZnS:Cu,Au、ZnSiO:Mn、InBO:Tb、MgGa:Mn等の緑色発光の蛍光体;YAlO:Ce、YSiO:Ce、GdSiO:Ce、YTaO:Nb、BaFCl:Eu、ZnS:Ag、CaWO、CdWO、ZnWO、MgWO、Sr(POCl:Eu、YPO:Cl等の青色発光の蛍光体が例示できる。
化合物(1)以外の蛍光体は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
蛍光体48を二種以上併用する場合、これら蛍光体48として、光の吸収帯が互いに異なるものを組み合わせて併用することにより、太陽光の吸収量を増大させることができる。この場合、併用する蛍光体48の吸収帯が異なるほど、また、最も発光スペクトルのピーク波長の大きい蛍光体48の発光量子収率が高いほど、集光効率が高くなる。この場合、併用する複数種の蛍光体48のうちの一種以上として、化合物(1)を用いることができ、いずれを化合物(1)とするかは、任意に選択できる。
蛍光体48を二種以上併用する場合、これら蛍光体48の間でフェルスター機構によるエネルギー移動を生じさせ、最も発光スペクトルのピーク波長の大きい蛍光体48から放射された光を、太陽電池素子43への射出光とするように構成してもよい。この場合、併用する複数種の蛍光体48のうちの一種以上として、化合物(1)を用いることができ、いずれを化合物(1)とするかは、任意に選択できる。
フェルスター機構は、光の発生及び吸収のプロセスを経ずに、近接した2つの蛍光体の間で励起エネルギーが電子の共鳴により直接移動するものである。フェルスター機構による蛍光体間のエネルギー移動は、光の発生及び吸収のプロセスを介さずに行われるため、最適条件では、エネルギー移動効率はほぼ100%にすることが可能であり、エネルギーのロスが小さい。よって、太陽電池モジュールの発電効率の向上に寄与する。エネルギーのロスを抑制して効率よく発電を行うためには、例えば、併用する蛍光体48の透明基材47中での密度を高くすればよい。
また、フェルスター機構によるエネルギー移動は、蛍光体のような発光材料だけでなく、外光によって励起されるが、光を発生せずに失活する非発光材料においても生じる。したがって、蛍光体8以外に、このような非発光材料を光機能性材料として、透明基材47中に分散させてもよい。
透明基材47中の蛍光体48の総量に占める化合物(1)の比率は、太陽電池素子43への集光効率が高まり、太陽電池モジュール41の発電量がより増大することから、5質量%以上であることが好ましく、化合物(1)と併用するその他の蛍光体の数や光の吸収ピーク波長等に応じて、適宜調節することが好ましい。
蛍光体を二種以上併用する場合、これら蛍光体をその種類ごとに別々の透明基材中で分散させて得られた二以上の透明基材を用い、これら透明基材をその光入射面が同じ方向を向くようにして重ね合せてなる多段構造の集光板を、集光板42として用いてもよい。この場合、太陽Sに向かって最上段から、含まれる蛍光体の蛍光量子収率が高い順に透明基材を配置することが好ましい。
蛍光体48は、化合物(1)及び化合物(1)以外のもののいずれも、蛍光量子収率が高いものほど好ましい。また、赤色光を発光する蛍光体48の色度は、CIE座標でx=0.65以上、y=0.25以上であることが好ましい。
透明基材47中に蛍光体48が分散されてなる集光板42は、例えば、透明基材47を構成する原料モノマーと、蛍光体48と、を含有する樹脂組成物を調製し、蛍光体48を分散させた状態で、該樹脂組成物を硬化させることで得られる。樹脂組成物の硬化方法は、原料モノマーの種類に応じて選択すればよい。
集光板42において、蛍光体48の含有量は、透明基材47に対して好ましくは0.001〜0.04質量%である。下限値以上であることで、集光板42における太陽光の吸収量が向上し、太陽電池モジュール41の発電量がより増大する。また、上限値以下であることで、太陽電池素子43への集光効率が向上し、太陽電池モジュール41の発電量がより増大する。
透明基材47に対する蛍光体48の含有量を多くすることにより、放出される光のピーク波長を1nmから50nm程度だけ長波長側へ任意にシフトさせることが可能である。これは、蛍光体の発光スペクトルのうち、短波長側の波長の光ほど、基材中に含まれる同種の蛍光体48に吸収され易いためである。
集光板42の主面42aと背面42bとは、互いに平行で且つ平坦な面となっている。集光板42の第1端面42c以外の全ての端面には、集光板42の内部から外部に向けて進行する光(蛍光体48から放射された光)を、集光板42の内部に向けて反射する反射層46が、空気層を介して又は空気層を介さずに直接接触して設けられている。
反射層46としては、銀、アルミニウム等の金属の膜からなる反射層;ESR(Enhanced Specular Reflector)反射フィルム(3M社製)等の誘電体多層膜からなる反射層等が例示できる。また、反射層は、入射した光を鏡面反射する鏡面反射層でもよく、入射した光を散乱反射する散乱反射層でもよい。反射層に散乱反射層を用いた場合には、太陽電池素子43の方向に直接向かう光の光量が増えるため、太陽電池素子43への集光効率が高まり、太陽電池モジュール41の発電量がより増大する。また、反射光が散乱されるため、時間や季節による発電量の変化が平均化される。なお、散乱反射層としては、マイクロ発泡PET(ポリエチレンテレフタレート)(古河電工社製)等からなるものが例示できる。
反射板44は、形状が異なる点以外は、反射層46と同様のものとすることができる。
また、反射板44は、太陽Sからの光(太陽光L)のうち、集光板42に入射した入射光L1の一部を、集光板42の主面42aの法線に対して入射光L1(太陽光L)の入射光路側の所定方向に反射光として反射するものとすることもできる。
反射板44を設けることにより、太陽電池素子43への集光効率が高まり、太陽電池モジュール41の発電量がより増大する。
入射光L1の一部を、前記所定方向に反射光として反射する反射板44としては、再帰性反射板、オフアクシス反射板が例示できる。
再帰性反射板としては、樹脂からなる基材の表面上に空気層を介して、3つの平面を形成したプリズム形状を多数有するプリズム層(コーナーキューブアレイ)を有したものが例示でき、市販品としては、ハイ・インテンシティグレードHIP高輝度反射シート、ダイヤモンドグレードDG超高輝度反射シート(以上、3M社製)、プリズム型超高輝度再帰反射シート(日本カーバイド工業社製)等が例示できる。
また、再帰性反射板としては、入射した光をガラスビーズで屈折させ、裏側の反射層にて反射させて再び入射した方向に帰るように構成されたものも例示でき、市販品としては、エンジニアグレードEGP普通反射シート(3M社製)、封入レンズ型再帰反射シート、カプセルレンズ型再帰反射シート(以上、日本カーバイド工業社製)等が例示できる。
オフアクシス反射板としては、例えば、アクリル板等の基板の一方の面にプリズム形状が付与され、このプリズム面にアルミニウム又は銀等の反射性材料が蒸着されて反射面とされ、さらにその表面に透明保護層がコーティングされて形成されたもの、4分の1波長の光学膜厚毎に、高屈折率層と低屈折率層とを交互に積層して誘電体の多層膜とし、この多層膜を所定の角度でスライスして(切り出して)得られた、誘電体多層膜からなるもの、透明基材中にて反射性板状粒子が所定方向に向けて整列配置されたものが例示できる。
太陽電池素子43は、受光面が集光板42の第1端面42cに対向して配置されており、第1端面42cと光学接着されていることが好ましい。
太陽電池素子43は、公知のものでよく、シリコン系太陽電池、化合物系太陽電池、量子ドット太陽電池、有機系太陽電池等が例示できる。これらの中でも、太陽電池素子43は、より高い効率で発電できることから、化合物半導体を用いた化合物系太陽電池又は量子ドット太陽電池であることが好ましい。
前記化合物系太陽電池としては、InGaP、GaAs、InGaAs,AlGaAs、Cu(In,Ga)Se、Cu(In,Ga)(Se,S)、CuInS、CdTe、CdS等を用いたものが例示できる。
前記量子ドット太陽電池としては、Si、InGaAs等を用いたものが例示できる。
ただし、価格や用途によっては、シリコン系太陽電池、有機系太陽電池等の他の種類の太陽電池が好ましい場合もある。
なお、図2〜3では、太陽電池素子43を集光板42の一つの第1端面42cのみに設置した例を示したが、太陽電池素子43は集光板42の複数の端面に設置してもよい。太陽電池素子43を集光板42の一部の端面(1辺、2辺又は3辺)に設置する場合には、太陽電池素子43が設置されていない端面に、反射層46を設置することが好ましい。
図3に示すように枠体45は、アルミニウム等のフレームからなり、集光板42の主面42aを外部に臨ませ、その状態で集光板42の四周を保持するとともに、太陽電池素子43も集光板42とともに保持している。集光板42の主面42aを外部に臨ませる開口部45aには、ガラス等の透明部材が嵌め込まれていてもよい。このような構成のもとに集光板42は、枠体45から外部に臨む主面42aが光入射面となっており、集光板42の第1端面42cが光射出面となっている。また、主面42aから入射した外光(太陽光)の一部は、背面42bを透過して反射板44に入射するようになっている。
太陽電池モジュール41は、図2〜3に示したように、集光板42の主面42aを太陽Sに対向させて設置される。そして、太陽電池モジュール41は、太陽Sからの光(太陽光L)の一部を入射光L1として集光板42の主面42aで受光し、集光板42中の蛍光体48に入射光L1が吸収され、蛍光体48が発光する。このとき生じた蛍光体48からの放射光は、集光板42の透明基材47中を伝播し、第1端面42cから射出され、太陽電池素子43に導入される。このように、前記射出光を受光することで、太陽電池素子43は電力を発生する。
なお、本実施形態では、集光板42として、透明基材47中に蛍光体48が分散されたものを示したが、集光板はこのような構成に限定されず、例えば、図4(a)又は(b)に示す構成のものでもよい。
図4(a)に示す集光板は、アクリル板等からなる板状の透明基材47の表面に、蛍光体(図示せず)を分散させた塗料を塗布し、蛍光体層426を形成したものである。前記塗料は、蛍光体とこれを分散させる透明樹脂とを含有するものである。すなわち、この塗料中の透明樹脂が、蛍光体を均一に分散させる透明基材となる。
図4(b)に示す集光板は、前記蛍光体層426の表面(透明基材47とは反対側の表面)に、さらに透明保護層(透明層)427を設けたものである。
透明保護層427の材質としては、各種の透明樹脂が例示できる。例えば、透明保護層427は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、ポリ塩化ビニリデン又はポリアミド等からなる透明樹脂フィルムを、蛍光体層426上にラミネートすることで形成できる。また、透明保護層427は、酢酸セルロース、エチルセルロース、セルロースアセテートブチレート等のセルロース誘導体や、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー、ポリカーボネート、ポリビニルブチラール、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルホルマール、ポリウレタン等の透明樹脂を溶解させた塗布液を調製し、これを蛍光体層426上に塗布した後、乾燥させることによっても形成できる。
また、本実施形態の太陽電池モジュール41は、建物の平面からなる側壁面に設置するものとして、平板状の集光板42及び平板状の反射板(反射体)44を用い、これによって全体を平板状に構成したものであるが、太陽電池モジュールは、設置面の形状等に応じて、全体形状を調節してもよい。
<太陽光発電装置>
本発明に係る太陽光発電装置は、前記化合物(1)を用いたものであり、上記の本発明に係る太陽電池モジュールを備えたものが例示できる。
図5は、本発明に係る太陽光発電装置の一実施形態の概略構成図である。
ここに示す太陽光発電装置1000は、太陽Sからの太陽光のエネルギーを電力に変換する太陽電池モジュール1001と、太陽電池モジュール1001から出力された直流電力を交流電力に変換するインバータ(直流/交流変換器)1004と、太陽電池モジュール1001から出力された直流電力を蓄える蓄電池1005と、を備えている。
太陽電池モジュール1001は、上記の本発明に係る太陽電池モジュールであり、太陽光を集光する集光部材(集光板)1002と、集光部材1002によって集光された太陽光によって発電を行う太陽電池素子1003とを備えている。
太陽光発電装置1000は、外部の電子機器1006に対して電力を供給する。電子機器1006には、必要に応じて補助電力源1007から電力が供給される。
このような構成の太陽光発電装置1000は、化合物(1)を用いたものであるため、発電量に優れる。
<有機薄膜太陽電池>
本発明に係る有機薄膜太陽電池は、上述の本発明に係る化合物(1)をp層、n層又はi層中に含むものであり、化合物(1)をp層、n層又はi層中に含む点以外は、従来の有機薄膜太陽電池と同様の構成とすることができる。
図6は、本発明に係る有機薄膜太陽電池の要部を例示する概略断面図である。
ここに示す有機薄膜太陽電池52Aは、ガラス基板521上に、アノード電極522、p層(p型半導体層)524、i層(i型半導体層)520、n層(n型半導体層)525及びカソード電極523がこの順に積層され、概略構成されている。すなわち、ガラス基板521上に、アノード電極522及びカソード電極523からなる一対の電極と、該一対の電極間に挟持された、pin接合したp層524、i層520及びn層525と、が設けられたものである。有機薄膜太陽電池52Aは、さらに、カソード電極523上に保護膜(図示略)が設けられていてもよい。
p層524及びi層520を構成するp型半導体は、ペンタセン、フタロシアニン等、公知の材料を含むものでよい。
n層525及びi層520を構成するn型半導体は、フラーレン;[6,6]−フェニルC61酪酸メチルエステル(PCBM)等のフラーレン誘導体;フタルイミド環を構成している1個以上の水素原子がフッ素原子で置換されたフッ素化フタロシアニン等、公知の材料を含むものでよい。
さらに、p層524、n層525又はi層520は、化合物(1)を含んでおり、p層524、n層525及びi層520の少なくとも一種が化合物(1)を含んでいればよく、p層524、n層525及びi層520のすべてが化合物(1)を含んでいてもよい。このように、化合物(1)を含むことにより、有機薄膜太陽電池52Aは、発電量に優れる。
p層524、n層525及びi層520の膜厚は、それぞれ5〜500nmであることが好ましい。
アノード電極522の材質としては、透明電極であるITO、有機導電体である3,4−ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)/ポリスチレンサルフォネイト(PSS)等が例示できる。
アノード電極522の膜厚は、10〜500nmであることが好ましい。
カソード電極523の材質としては、銀、アルミニウム等が例示できる。
カソード電極523の膜厚は、10〜500nmであることが好ましい。
有機薄膜太陽電池52Aは、例えば、ガラス基板521上にアノード電極522、p層524、i層520、n層525及びカソード電極523をこの順に形成することで製造できる。
アノード電極522の形成方法としては、スパッタリング法が例示できる。
p層524は、これを形成するための成分が配合された組成物を用いて、浸漬法;キャスト法、スピンコート法等の塗布法;インクジェット法、マイクロコンタクト印刷法、反転オフセット印刷法、フレキソ印刷法、平版印刷法、凹版印刷法等の印刷法等で形成でき、また、p層524の構成成分を真空蒸着法等で蒸着することでも形成できる。
i層520、n層525及びカソード電極523の形成方法としては、真空蒸着法が例示できる。
<有機EL素子>
本発明に係る有機EL素子は、前記化合物(1)を用いたものであり、発光層に化合物(1)を含むものが例示できる。より具体的には、化合物(1)は、青色光を吸収して赤色光を発光可能なので、発光層として赤色蛍光体層を有する波長変換基板を備えた、色(波長)変換方式のものが例示できる。
図7は、本発明に係る有機EL素子の一実施形態を例示する概略断面図であり、図8は図7に示す有機EL素子の上面図である。
図7に示す有機EL素子30は、有機発光素子10からの青色発光を吸収して、赤色に変換する赤色蛍光体層18Rと、前記青色発光を吸収して緑色に変換する緑色蛍光体層18Gとを備えている。以下、これら赤色蛍光体層18R及び緑色蛍光体層18Gをまとめて「蛍光体層」又は「波長変換層」と記載することがある。
図7に示す有機EL素子30は、TFT(薄膜トランジスタ)回路2を備えた基板1と、基板1上に層間絶縁膜3及び平坦化膜4を介して設けられた有機発光素子(光源)10と、封止基板9と、封止基板9の一方の面上に隔壁7に仕切られて並列配置された赤色カラーフィルタ8R、緑色カラーフィルタ8G及び青色カラーフィルタ8Bと、封止基板9の一方の面上の赤色カラーフィルタ8R上に位置を合わせて形成された赤色蛍光体層18Rと、封止基板9上の一方の面上の緑色カラーフィルタ8G上に位置を合わせて形成された緑色蛍光体層18Gと、封止基板9上の青色カラーフィルタ8B上に位置を合わせて形成された散乱層31と、を備えて概略構成されており、基板1と封止基板9とは、有機発光素子10と各蛍光体層18R及び18G並びに散乱層31とが封止材を介して対向するように配置されている。各蛍光体層18R、18G及び散乱層31は、隔壁7により仕切られている。
基板1上には、TFT回路2及び各種配線(図示略)が形成され、さらに、基板1の上面及びTFT回路2を覆うように、層間絶縁膜3及び平坦化膜4が順次積層されている。
封止基板9上に赤色カラーフィルタ8Rを介して赤色蛍光体層18Rが設けられ、緑色カラーフィルタ8Gを介して緑色蛍光体層18Gが設けられた構造は、波長変換基板に相当する。
基板1としては、ガラス、石英等からなる無機材料基板;ポリエチレンテレフタレート、ポリカルバゾール、ポリイミド等からなるプラスティック基板;アルミナ等からなるセラミックス基板等の絶縁性基板や、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)等からなる金属基板;前記基板表面に酸化シリコン(SiO)等の有機絶縁材料等からなる絶縁物をコーティングした基板;Al等からなる金属基板の表面を陽極酸化等の方法で絶縁化処理を施した基板等が例示できるが、これらに限定されない。
TFT回路2は、有機発光素子10を形成する前に、予め基板1上に形成され、スイッチング用及び駆動用として機能する。TFT回路2としては、公知のTFT回路を用いることができる。また、本発明においては、スイッチング用及び駆動用としてTFTの代わりに金属−絶縁体−金属(MIM)ダイオードを用いることもできる。
TFT回路2の活性層の材料としては、非晶質シリコン(アモルファスシリコン)、多結晶シリコン(ポリシリコン)、微結晶シリコン、セレン化カドミウム等の無機半導体材料;酸化亜鉛、酸化インジウム−酸化ガリウム−酸化亜鉛等の酸化物半導体材料;ポリチオフェン誘導体、チオフエンオリゴマー、ポリ(p−フェリレンビニレン)誘導体、ナフタセン、ペンタセン等の有機半導体材料等が例示できる。また、TFT回路2の構造としては、例えば、スタガ型、逆スタガ型、トップゲート型、コプレーナ型等が例示できる。
TFT回路2のゲート絶縁膜は、公知の材料を用いて形成できる。前記ゲート絶縁膜としては、プラズマ誘起化学気相成長(PECVD)法若しくは減圧化学気相成長(LPCVD)法等により形成されたSiO又はポリシリコン膜を熱酸化して得られたSiO等が例示できる。
また、TFT回路2の信号電極線、走査電極線、共通電極線、第1駆動電極及び第2駆動電極は、例えば、タンタル(Ta)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)等の公知の材料を用いて形成できる。
有機EL素子30においては、有機発光素子10からの発光を封止基板9側から取り出すため、外光が基板1上に形成されたTFT回路2に入射して、TFT特性に変化が生じることを防ぐ目的で、遮光性を兼ね備えた層間絶縁膜3(遮光性絶縁膜)を用いることが好ましい。また、有機EL素子30においては、層間絶縁膜3と遮光性絶縁膜とを組み合わせて用いることもできる。遮光性絶縁膜としては、フタロシアニン、キナクロドン等の顔料又は染料をポリイミド等の高分子樹脂に分散させたものや、カラーレジスト、ブラックマトリクス材料、NiZnFe等の無機絶縁材料等が例示できる。
層間絶縁膜3は、例えば、酸化シリコン(SiO)、窒化シリコン(SiN、Si)、酸化タンタル(TaO、Ta)等の無機材料;アクリル樹脂、レジスト材料等の有機材料等、公知の材料を用いて形成できる。
層間絶縁膜3の形成方法としては、化学気相成長(CVD)法、真空蒸着法等のドライプロセスや、スピンコート法等のウエットプロセスが例示でき、必要に応じてフォトリソグラフィー法等によりパターニングすることもできる。
平坦化膜4は、TFT回路2の表面の凸凹により、有機発光素子10の欠陥(例えば、画素電極の欠損、有機EL層の欠損、対向電極の断線、画素電極と対向電極との短絡、耐圧の低下等)等の発生を防止するために設けられるものである。なお、平坦化膜4は省略することも可能である。
平坦化膜4は、例えば、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化タンタル等の無機材料や、ポリイミド、アクリル樹脂、レジスト材料等の有機材料等の公知の材料を用いて形成できるが、材料はこれらに限定されない。
平坦化膜4の形成方法としては、CVD法、真空蒸着法等のドライプロセスや、スピンコート法等のウエットプロセスが例示できるが、これらに限定されない。
平坦化膜4は、単層構造及び多層構造のいずれでもでもよい。
有機発光素子10は、無機封止膜5に覆われている。
有機発光素子10は、有機EL層(有機層)17が第1電極12と第2電極16により狭持された構造を有し、第1電極12の下面には反射電極11が設けられている。反射電極11及び第1電極12は、層間絶縁膜3及び平坦化膜4を貫通して設けられた配線2bにより、TFT回路2の1つに接続されている。第2電極16は、層間絶縁膜3、平坦化膜4及びエッジカバー19を貫通して設けられた配線2aにより、TFT回路2の1つに接続されている。
エッジカバー19は、絶縁材料からなり、隣接する第1電極12の各エッジ部(端部)を覆うように設けられており、第1電極12と第2電極16との間でリークが起こることを防止するものである。
エッジカバー19は、絶縁材料を用いてEB蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、抵抗加熱蒸着法等の公知の方法により形成でき、公知のドライ及びウエット法のフォトリソグラフィー法によりパターニングできるが、エッジカバー19の形成方法はこれらに限定されない。
エッジカバー19を構成する絶縁材料としては、SiO、SiON、SiN、SiOC、SiC、HfSiON、ZrO、HfO、LaO等、光透過性を有する公知の材料が例示できる。
エッジカバー19の膜厚は、100〜2000nmであることが好ましい。エッジカバー19の膜厚が100nm以上であることにより、十分な絶縁性を保ち、第1電極12と第2電極16との間でのリークに伴う消費電力の上昇や非発光の発生を効果的に抑制できる。また、エッジカバー19の膜厚が2000nm以下であることにより、成膜プロセスでの生産性の低下や、エッジカバー19における第2電極16の断線を効果的に抑制できる。
配線2a及び2bは、導電性材料で構成されていればよく、前記導電性材料は特に限定されないが、Cr、Mo、Ti、Ta、Al、Al合金、Cu、Cu合金等が例示できる。配線2a及び2bは、スパッタ法、CVD法、マスクを用いるフォトリソグラフィー法等の公知の方法で形成できる。
第1電極12は反射電極11上に形成されており、第2電極16は有機EL層(有機層)17上に形成されている。
第1電極12及び第2電極16を形成する電極材料としては公知の電極材料を用いることができる。陽極である第1電極12を形成する材料としては、有機EL層17への正孔の注入をより効率よく行う観点から、仕事関数が4.5eV以上である金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)等の金属;インジウム(In)及び錫(Sn)からなる酸化物(ITO)、錫(Sn)の酸化物(SnO)インジウム(In)及び亜鉛(Zn)からなる酸化物(IZO)等が例示できる。また、陰極である第2電極16を形成する電極材料としては、有機EL層17への電子の注入をより効率よく行う観点から、仕事関数が4.5eV以下であるリチウム(Li)、カルシウム(Ca)、セリウム(Ce)、バリウム(Ba)、アルミニウム(Al)等の金属;これらの金属を含有するMg:Ag合金、Li:Al合金等の合金が例示できる。
第1電極12及び第2電極16は、上記の材料を用いてEB(電子ビーム)蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、抵抗加熱蒸着法等の公知の方法により基板上に形成できるが、形成方法はこれらに限定されない。また、必要に応じて、フォトリソグラフフィー法、レーザ剥離法により、形成した電極をパターニングすることもでき、シャドーマスクと組み合わせることで直接パターニングした電極を形成することもできる。
第1電極12及び第2電極16の膜厚は、50nm以上であることが好ましい。第1電極12及び第2電極16の膜厚が50nm以上であることにより、配線抵抗の上昇に伴う駆動電圧の上昇を抑制する効果が高くなる。
有機発光素子10は、発光層を含む少なくとも一層の有機層が、一対の電極間に狭持されて構成されている。より具体的には、有機発光素子10は、平坦化膜4上に、反射電極11、第1電極12、有機EL層(有機層)17及び第2電極16がこの順に積層されて構成されている。ここに示す例では、第1電極12及び第2電極16により狭持された有機EL層17は、正孔輸送層13、有機発光層14及び電子輸送層15がこの順に積層されて構成されている。
第1電極12及び第2電極16は、有機発光素子10の陽極又は陰極として対で機能する。つまり、第1電極12を陽極とした場合には、第2電極16は陰極となり、第1電極12を陰極とした場合には、第2電極16は陽極となる。図7及び以下の説明においては、第1電極12が陽極、第2電極16が陰極である場合を例に説明する。なお、第1電極12が陰極、第2電極16が陽極の場合には、有機EL層(有機層)17の積層構成において、正孔注入層及び正孔輸送層を第2電極側16とし、電子注入層及び電子輸送層を第1電極12側とすればよい。
有機EL層(有機層)17は、有機発光層14の単層構造でもよいし、図7に示すような正孔輸送層13、有機発光層14及び電子輸送層15の積層構造の如く多層構造でもよい。有機EL層(有機層)17として、具体的には下記の構成が挙げられるが、本発明はこれらにより限定されない。なお、下記の構成において、正孔注入層及び正孔輸送層13は陽極である第1電極12側に配され、電子注入層及び電子輸送層15は陰極である第2電極16側に配される。
(1)有機発光層14
(2)正孔輸送層13/有機発光層14
(3)有機発光層14/電子輸送層15
(4)正孔注入層/有機発光層14
(5)正孔輸送層13/有機発光層14/電子輸送層15
(6)正孔注入層/正孔輸送層13/有機発光層14/電子輸送層15
(7)正孔注入層/正孔輸送層13/有機発光層14/電子輸送層15/電子注入層
(8)正孔注入層/正孔輸送層13/有機発光層14/正孔防止層/電子輸送層15
(9)正孔注入層/正孔輸送層13/有機発光層14/正孔防止層/電子輸送層15/電子注入層
(10)正孔注入層/正孔輸送層13/電子防止層/有機発光層14/正孔防止層/電子輸送層15/電子注入層
ここで、有機発光層14、正孔注入層、正孔輸送層13、正孔防止層、電子防止層、電子輸送層15及び電子注入層の各層は、単層構造でも多層構造でもよい。
なお、有機EL層17が励起子ブロッキング層を含む場合、励起子ブロッキング層は正孔輸送層13と有機発光層14の間、かつ/又は、有機発光層14と電子輸送層15の間に挿入することが可能である。励起子ブロッキング層は、有機発光層14中で生成された励起子が、正孔輸送層13、電子輸送層15にエネルギー移動して失活することを防止する機能を有し、より効果的に励起子のエネルギーを発光に利用することが可能となるため、効率のよい発光を実現することが可能となる。励起子ブロッキング層は、公知の励起子ブロッキング材料から構成できる。
有機発光層14は、発光体(蛍光体)のみから構成されていてもよいし、発光体をドーパント(発光材料)として、ホスト材料と組み合わせて構成されていてもよく、発光体をホスト材料として、発光性のドーパントと組み合わせて構成されていてもよい。また、本発明において、有機発光層14は、任意に正孔輸送材料、電子輸送材料、添加剤(ドナー、アクセプター等)等を含んでいてもよく、また、これらの材料が高分子材料(結着用樹脂)又は無機材料中に分散された構成であってもよい。有機発光層14は、第1電極12から注入された正孔と第2電極16から注入された電子とを再結合させて、発光体又は発光性のドーパントの燐光発光により、光を放出(発光)する。
有機発光層14として、発光体を発光性のドーパント(発光材料)とし、従来のホスト材料と組み合わせて用いる場合、ホスト材料としては、公知の有機EL用のホスト材料を用いることができる。このようなホスト材料としては、4,4’−ビス(カルバゾール)ビフェニル、9,9−ジ(4−ジカルバゾール−ベンジル)フルオレン(CPF)、3,6−ビス(トリフェニルシリル)カルバゾール(mCP)、ポリ(N−オクチル−2,7−カルバゾール−O−9,9−ジオクチル−2,7−フルオレン)(PCF)、1,3,5−トリス(カルバゾール−9−イル)ベンゼン(TCP)、9,9−ビス[4−(カルバゾール−9−イル)−フェニル]フルオレン(FL−2CBP)等のカルバゾール誘導体;4−(ジフェニルフォスフォイル)−N,N-ジフェニルアニリン(HM−A1)等
のアニリン誘導体;1,3−ビス(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)ベンゼン(mDPFB)、1,4−ビス(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)ベンゼン(pDPFB)等のフルオレン誘導体;1,3,5−トリス[4−(ジフェニルアミノ)フェニル]ベンゼン(TDAPB);1,4−ビストリフェニルシリルベンゼン(UGH−2);1,3−ビス(トリフェニルシリル)ベンゼン(UGH−3);9−(4−ターシャルブチルフェニル)−3,6−ビス(トリフェニルシリル)−9H−カルバゾール(CzSi)等が例示できる。
有機発光層14として、発光体をホスト材料とし、従来の発光性のドーパントを組み合わせて用いる場合、発光性ドーパントとしては、公知の有機EL用の発光性のドーパント材料を用いることができる。このような発光性のドーパント材料としては、トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム(III)(Ir(ppy))、ビス(2−フェニルピリジン)(アセチルアセトネート)イリジウム(III)(Ir(ppy)(acac))、トリス[2−(p−トリル)ピリジン]イリジウム(III)(Ir(mppy))、ビス[(4,6−ジフルオロフェニル)−ピリジナト−N,C2’]ピコリネート
イリジウム(III)(FIrPic)、ビス(4’,6’−ジフルオロフェニルポリジナト)テトラキス(1−ピラゾイル)ボレートイリジウム(III)(FIr6)、トリス(1−フェニル−3−メチルベンゾイミダゾリン−2−イリデン−C,C2’)イリジウム(III)(Ir(Pmb))、ビス(2,4−ビフルオロフェニルピリジナト)(5−(ピリジン−2−イル)−1H−テトラゾネート)イリジウム(III)(FIrN4)、ビス(2−ベンゾ[b]チオフェン−2−イル−ピリジン)(アセチルアセトナト)イリジウム(III)(Ir(btp)(acac))、トリス(1−フェニルイソキノリン)イリジウム(III)(Ir(piq))、トリス(1−フェニルイソキノリン)(アセチルアセトネート)イリジウム(III)(Ir(piq)(acac))、ビス[1−(9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−イル)−イソキノリン](アセチルアセトネート)イリジウム(III)(Ir(fliq)(acac))、ビス[2−(9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−イル)−イソキノリン](アセチルアセトネート)イリジウム(III)(Ir(flq)(acac))、トリス(2−フェニルキノリン)イリジウム(III)(Ir(2−phq))、トリス(2−フェニルキノリン)(アセチルアセトネート)イリジウム(III)(Ir(2−phq)(acac))等のイリジウム錯体;
ビス(3−トリフルオロメチル−5−(2−ピリジル)−ピラゾネート)(ジメチルフェニルフォスフィン)オスミウム(Os(fppz)(PPhMe)、ビス(3−トリフルオロメチル)−5−(4−tert−ブチルピリジル)−1,2,4−トリアゾネート)(ジフェニルメチルフォスフィン)オスミウム(Os(bpftz)(PPhMe))等のオスミウム錯体;
5,10,15,20−テトラフェニルテトラベンゾポリフィリン白金等の白金錯体;
等の燐光発光有機金属錯体等が例示できる。
正孔注入層及び正孔輸送層13は、陽極である第1電極12からの正孔の注入と有機発光層14への輸送(注入)をより効率よく行う目的で、第1電極12と有機発光層14との間に設けられる。電子注入層及び電子輸送層15は、陰極である第2電極16からの電子の注入と有機発光層14への輸送(注入)をより効率よく行う目的で、第2電極16と有機発光層14との間に設けられる。
これら正孔注入層、正孔輸送層13、電子注入層及び電子輸送層15は、それぞれ公知の材料を用いて構成でき、以下に例示する材料のみから構成されていてもよく、任意に添加剤(ドナー、アクセプター等)等を含んでいてもよく、これらの材料が高分子材料(結着用樹脂)又は無機材料中に分散された構成であってもよい。
正孔輸送層13を構成する材料としては、酸化バナジウム(V)、酸化モリブデン(MoO)等の酸化物;無機p型半導体材料;ポルフィリン化合物;N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ビス(フェニル)−ベンジジン(TPD)、N,N’−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニル−ベンジジン(NPD)等の芳香族第三級アミン化合物;ヒドラゾン化合物、キナクリドン化合物、スチリルアミン化合物等の低分子材料;ポリアニリン(PANI)、ポリアニリン−樟脳スルホン酸(ポリアニリン−カンファースルホン酸;PANI−CSA)、3,4−ポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンサルフォネイト(PEDOT/PSS)、ポリ(トリフェニルアミン)誘導体(Poly−TPD)、ポリビニルカルバゾール(PVCz)、ポリ(p−フェニレンビニレン)(PPV)、ポリ(p−ナフタレンビニレン)(PNV)等の高分子材料等が例示できる。
陽極である第1電極12からの正孔の注入・輸送をより効率よく行う点で、正孔注入層を構成する材料としては、正孔輸送層13に用いる材料よりも最高被占分子軌道(HOMO)のエネルギー準位が低い材料を用いることが好ましく、正孔輸送層13を構成する材料としては、正孔注入層に用いる材料よりも正孔の移動度が高い材料を用いることが好ましい。
正孔注入層を構成する材料としては、銅フタロシアニン等のフタロシアニン誘導体;4,4’,4”−トリス(3−メチルフェニルフェニルアミノ)トリフェニルアミン、4,4’,4”−トリス(1−ナフチルフェニルアミノ)トリフェニルアミン、4,4’,4”−トリス(2−ナフチルフェニルアミノ)トリフェニルアミン、4,4’,4”−トリス[ビフェニル−2−イル(フェニル)アミノ]トリフェニルアミン、4,4’,4”−トリス
[ビフェニル−3−イル(フェニル)アミノ]トリフェニルアミン、4,4’,4”−ト
リス[ビフェニル−4−イル(3−メチルフェニル)アミノ]トリフェニルアミン、4,
4’、4”−トリス[9,9−ジメチル−2−フルオレニル(フェニル)アミノ]トリフェニルアミン等のアミン化合物;酸化バナジウム(V)、酸化モリブデン(MoO)等の酸化物等が例示できるが、これらに限定されない。
正孔の注入・輸送性をより向上させるため、前記正孔注入層及び正孔輸送層13にはアクセプターをドープすることが好ましい。アクセプターとしては、有機EL用のアクセプター材料として公知のものを用いることができる。
前記アクセプター材料としては、Au、Pt、W、Ir、POCl、AsF、Cl、Br、I、酸化バナジウム(V)、酸化モリブデン(MoO)等の無機材料;TCNQ(7,7,8,8,−テトラシアノキノジメタン)、TCNQF4(テトラフルオロテトラシアノキノジメタン)、TCNE(テトラシアノエチレン)、HCNB(ヘキサシアノブタジエン)、DDQ(ジシクロジシアノベンゾキノン)等のシアノ基を有する化合物;TNF(トリニトロフルオレノン)、DNF(ジニトロフルオレノン)等のニトロ基を有する化合物;フルオラニル、クロラニル、ブロマニル等の有機材料等が例示できる。
これらの中でも、TCNQ、TCNQF4、TCNE、HCNB、DDQ等のシアノ基を有する化合物が、キャリア濃度を効果的に増加させることが可能であるためより好ましい。
電子防止層を構成する材料としては、正孔輸送層13及び正孔注入層を構成する材料として先に例示したものと同じものが挙げられる。
電子輸送層15を構成する材料としては、n型半導体である無機材料;オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、チオピラジンジオキシド誘導体、ベンゾキノン誘導体、ナフトキノン誘導体、アントラキノン誘導体、ジフェノキノン誘導体、フルオレノン誘導体、ベンゾジフラン誘導体等の低分子材料;ポリ(オキサジアゾール)(Poly−OXZ)、ポリスチレン誘導体(PSS)等の高分子材料等が例示できる。なお、本明細書において「誘導体」とは、例えば、元の化合物の1個以上の水素原子が水素原子以外の基で置換された構造を有する化合物を意味する。
電子注入層を構成する材料としては、特に、フッ化リチウム(LiF)、フッ化バリウム(BaF2)等のフッ化物;酸化リチウム(Li2O)等の酸化物等が例示できる。
陰極である第2電極16から電子の注入・輸送をより効率よく行う点で、電子注入層を構成する材料としては、電子輸送層15に用いる材料よりも最低空分子軌道(LUMO)のエネルギー準位が高い材料を用いることが好ましく、電子輸送層15を構成する材料としては、電子注入層に用いる材料よりも電子の移動度が高い材料を用いることが好ましい。
電子の注入・輸送性をより向上させるため、前記電子注入層及び電子輸送層15にはドナーをドープすることが好ましい。ドナーとしては、有機EL用のドナー材料として公知のものを用いることができる。
前記ドナー材料としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Al、Ag、Cu、In等の無機材料;アニリン類;フェニレンジアミン類;N,N,N’,N’−テトラフェニルベンジジン、N,N’−ビス−(3−メチルフェニル)−N,N’−ビス−(フェニル)−ベンジジン、N,N’−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニル−ベンジジン等のベンジジン類;トリフェニルアミン、4,4’,4”−トリス(N,N−ジフェニル−アミノ)−トリフェニルアミン、4,4’,4”−トリス(N−3−メチルフェニル−N−フェニル−アミノ)−トリフェニルアミン、4,4’,4”−トリス(N−(1−ナフチル)−N−フェニル−アミノ)−トリフェニルアミン等のトリフェニルアミン類;N,N’−ジ−(4−メチル−フェニル)−N,N’−ジフェニル−1,4−フェニレンジアミン等のトリフェニルジアミン類の芳香族3級アミンを骨格に有する化合物;フェナントレン、ピレン、ペリレン、アントラセン、テトラセン、ペンタセン等の縮合多環化合物(ただし、縮合多環化合物は置換基を有してもよい);TTF(テトラチアフルバレン)類、ジベンゾフラン、フェノチアジン、カルバゾール等の有機材料等が例示できる。
これらの中でも、キャリア濃度をより効果的に増加させることが可能であることから、芳香族3級アミンを骨格に有する化合物、縮合多環化合物、アルカリ金属がより好ましい。
正孔防止層を構成する材料としては、電子輸送層15及び電子注入層を構成する材料として先に例示したものと同じものが挙げられる。
有機EL層17を構成する有機発光層14、正孔輸送層13、電子輸送層15、正孔注入層、電子注入層、正孔防止層、電子防止層、励起子ブロッキング層等の形成方法としては、上記の材料を溶媒に溶解又は分散させてなる有機EL層形成用組成物を用いて、スピンコーティング法、ディッピング法、ドクターブレード法、吐出コート法、スプレーコート法等の塗布法や、インクジェット法、凸版印刷法、凹版印刷法、スクリーン印刷法、マイクログラビアコート法等の印刷法等による公知のウエットプロセスにより形成する方法;上記の材料を抵抗加熱蒸着法、電子線(EB)蒸着法、分子線エピタキシー(MBE)法、スパッタリング法、有機気相蒸着(OVPD)法等の公知のドライプロセスにより形成する方法;レーザ転写法等により形成する方法等が例示できる。なお、ウエットプロセスにより有機EL層17を形成する場合には、有機EL層形成用組成物は、レベリング剤、粘度調整剤等の、組成物の物性を調整するための添加剤が配合されてなるものでもよい。
有機EL層17を構成する各層の膜厚は、1〜1000nmであることが好ましく、10〜200nmであることがより好ましい。有機EL層17を構成する各層の膜厚が10nm以上であると、本来必要とされる物性(電荷(電子、正孔)の注入特性、輸送特性、閉じ込め特性)がさらに高精度で得られ、異物による画素欠陥の抑制効果が高くなる。また、有機EL層17を構成する各層の膜厚が200nm以下であると、駆動電圧の上昇による消費電力の上昇を抑制する効果が高くなる。
有機EL素子30は、光源である有機発光素子10から発光された光が、各蛍光体層18R及び18G並びに散乱層31へと入射し、この入射光が散乱層31ではそのまま透過し、各蛍光体層18R及び18Gにおいては波長変換されて、結果的に赤色、緑色及び青色の三色の光として封止基板9側(観察者側)へと射出されるようになっている。
有機EL素子30は、図7においては図面を見易くするために、赤色蛍光体層18R及び赤色カラーフィルタ8R、緑色蛍光体層18G及び緑色カラーフィルタ8G、並びに散乱層31及び青色カラーフィルタ8Bが1つずつ並置された例を示している。しかし、図8に示すように、破線で囲まれた各カラーフィルタ8R、8G及び8Bは、y軸に沿ってストライプ状に延長され、x軸に沿って各カラーフィルタ8R、8G及び8Bがこの順に配置された、2次元的なストライプ配列とされている。
なお、図8では、各RGB画素(各カラーフィルタ8R、8G及び8B)がストライプ配列された例を示しているが、本発明はこれに限定されず、各RGB画素の配列はモザイク配列、デルタ配列等、公知のRGB画素配列とすることもできる。
赤色蛍光体層18Rは、光源である有機発光素子10から発光された青色領域の光を吸収して、赤色領域の光に変換して封止基材9側に赤色領域の光を射出する。そして、赤色蛍光体層18Rは、上述の本発明に係る化合物(1)を含むものである。
緑色蛍光体層18Gは、光源である有機発光素子10から発光された青色領域の光を吸収して、緑色領域の光に変換して封止基材9側に緑色領域の光を放出する。
散乱層31は、光源である有機発光素子10から発光された青色領域の光の視野角特性、取り出し効率を高める目的で設けられるものであり、封止基材9側に青色領域の光を放出する。なお、散乱層31は省略することが可能である。
このように、赤色蛍光体層18R、緑色蛍光体層18G(及び散乱層31)が設けられていることにより、有機発光素子10から放出された光を変換して、赤色、緑色、青色の三色の光を封止基板9側から射出し、フルカラー化することができる。
光取り出し側(観察者側)の封止基板9と、蛍光体層18R及び18G並びに散乱層31との間に配されたカラーフィルタ8R、8G及び8Bは、有機EL素子30から出射される赤色、緑色、青色の色純度を高め、有機EL素子30の色再現範囲を拡大する目的で設けられている。また、赤色蛍光体層18R上に形成された赤色カラーフィルタ8R、及び緑色蛍光体層18G上に形成された緑色カラーフィルタ8Gは、外光の青色成分及び紫外成分を吸収するため、外光による各蛍光体層8R及び8Gの発光を低減又は防止することが可能であり、コントラストの低下を低減又は防止できる。
緑色蛍光体層18Gは、有機発光素子10から発光された青色領域の光を吸収して励起し、緑色領域の蛍光を発光する(紫外、青色の励起光を、緑色発光に変換する)ことのできる緑色蛍光体を含む。
緑色蛍光体層18Gが含む緑色蛍光体は、一種のみでよいし、二種以上でもよく、二種以上である場合、その組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
赤色蛍光体層18Rは、有機発光素子10から発光された青色領域の光を吸収して励起し、赤色領域の蛍光を発光する(紫外、青色の励起光を、赤色の発光に変換する)ことのできる赤色蛍光体を含み、前記赤色蛍光体として、少なくとも前記化合物(1)を含む。
赤色蛍光体層18Rが含む赤色蛍光体は、上記の条件を満たせば、一種のみでよいし、二種以上でもよく、二種以上である場合、その組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
例えば、赤色蛍光体層18Rは、化合物(1)以外の赤色蛍光体を含んでいてもよい。ただし、赤色蛍光体層18Rにおいて、赤色蛍光体の総含有量に対する化合物(1)の含有量の割合は、90モル%以上であることが好ましく、95モル%以上であることがより好ましく、98モル%以上であることがさらに好ましく、100モル%であること、すなわち、赤色蛍光体層18Rに含まれる赤色蛍光体はすべて化合物(1)であることが、特に好ましい。
また、例えば、赤色光を発生させるために、発光体として赤色蛍光体を単独で用いるのではなく、緑色蛍光体と併用することで、波長の変換効率が高くなることがあるので、二種以上の発光体を適宜組み合わせて用いることも有用である。
前記緑色蛍光体、及び化合物(1)以外の前記赤色蛍光体は、特に限定されず、目的に応じて公知のものから適宜選択すればよい。
これら蛍光体は、有機蛍光体及び無機蛍光体のいずれでもよい。
前記有機蛍光体としては、緑色蛍光体であれば、2,3,5,6−1H、4H−テトラヒドロ−8−トリフロメチルキノリジン(9,9a、1−gh)クマリン(クマリン153)、3−(2’−ベンゾチアゾリル)−7−ジエチルアミノクマリン(クマリン6)、3−(2’−ベンゾイミダゾリル)−7−N,N−ジエチルアミノクマリン(クマリン7)、10−(ベンゾチアゾール−2−イル)−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H,5H,11H−[1]ベンゾピラノ[6,7,8‐ij]キノリジン−11−オン(クマリン545)、クマリン6、クマリン545T、クマリン545P、7−ジエチルアミノ−3−(5−クロロベンゾオキサゾール−2−イル)クマリン等のクマリン系色素;ベーシックイエロー51、ソルベントイエロー11、ソルベントイエロー98、ソルベントイエロー116、ソルベントイエロー43、ソルベントイエロー44等のナフタルイミド系色素;ルモゲンイエロー、ルモゲングリーン、ソルベントグリーン5等のペリレン系色素;フルオレセイン系色素;アゾ系色素;フタロシアニン系色素;アントラキノン系色素;キナクリドン系色素;イソインドリノン系色素;チオインジゴ系色素;ジオキサジン系色素等が例示できる。
前記有機蛍光体としては、赤色蛍光体であれば、4−ジシアノメチレン−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノスチルリル)−4H−ピラン(DCM)、DCM−2、DCJTB等のシアニン系色素;1−エチル−2−[4−(p−ジメチルアミノフェニル)−1,3−ブタジエニル]−ピリジニウム−パークロレート(ピリジン1)等のピリジン系色素;ローダミンB、ローダミン6G、ローダミン3B、ローダミン101、ローダミン110、ベーシックバイオレット11、スルホローダミン101、ベーシックバイオレット11、ベーシックレッド2等のキサンテン系色素;ルモゲンオレンジ、ルモゲンピンク、ルモゲンレッド、ソルベントオレンジ55等のペリレン系色素;3−(ベンゾチアゾール−2−イル)−7−(ジエチルアミノ)−2−オキソ−2H−1−ベンゾピラン−4−カルボニトリル等のクマリン系色素;オキサジン系色素;クリセン系色素;チオフラビン系色素;ピレン系色素;アントラセン系色素;アクリドン系色素;アクリジン系色素;フルオレン系色素;ターフェニル系色素;エテン系色素;ブタジエン系色素;ヘキサトリエン系色素;オキサゾール系色素;スチルベン系色素;ジフェニルメタン系色素、トリフェニルメタン系色素;チアゾール系色素;チアジン系色素;ナフタルイミド系色素;アントラキノン系色素等が例示できる。
赤色蛍光体層18R及び緑色蛍光体層18Gは、蛍光体のみから構成されていてもよいし、任意に添加剤等を含んで構成されていてもよい。
前記無機蛍光体としては、緑色蛍光体であれば、(BaMg)Al1627:Eu2+、Mn2+、SrAl1425:Eu2+、(SrBa)Al12Si:Eu2+、(BaMg)SiO:Eu2+、YSiO:Ce3+,Tb3+、Sr−Sr:Eu2+、(BaCaMg)(POCl:Eu2+、SrSi−2SrCl:Eu2+、ZrSiO、MgAl1119:Ce3+,Tb3+、BaSiO:Eu2+、SrSiO:Eu2+、(BaSr)SiO:Eu2+等が例示できる。
前記無機蛍光体としては、赤色蛍光体であれば、YS:Eu3+、YAlO:Eu3+、Ca(SiO:Eu3+、LiY(SiO:Eu3+、YVO:Eu3+、CaS:Eu3+、Gd:Eu3+、GdS:Eu3+、Y(P,V)O:Eu3+、MgGeO5.5F:Mn4+、MgGeO:Mn4+、KEu2.5(WO6.25、NaEu2.5(WO6.25、KEu2.5(MoO6.25、NaEu2.5(MoO6.25等が例示できる。
カラーフィルタ8R、8G及び8Bとしては、特に限定されず、公知のカラーフィルタを用いることできる。また、カラーフィルタ8R、8G及び8Bは、公知の方法で形成でき、その膜厚も適宜調整できる。
散乱層31は、バインダー樹脂に透明粒子が分散されて構成されている。散乱層31の膜厚は10〜100μmであることが好ましく、20〜50μmであることがより好ましい。
散乱層31を構成するバインダー樹脂としては、公知のものを用いることができ、特に限定されないが、光透過性を有するものが好ましい。前記透明粒子としては、有機発光素子10からの光を散乱又は透過させることができるものであれば特に限定されず、平均粒径が25μm、粒度分布の標準偏差が1μmのポリスチレン粒子等が例示できる。また、散乱層31中の透明粒子の含有量は、適宜調節可能であり、特に限定されない。
散乱層31は、公知の方法で形成でき、例えば、バインダー樹脂及び透明粒子を溶媒に溶解又は分散させてなる散乱層形成用組成物を用いて、スピンコーティング法、ディッピング法、ドクターブレード法、吐出コート法、スプレーコート法等の塗布法や、インクジェット法、凸版印刷法、凹版印刷法、スクリーン印刷法、マイクログラビアコート法等の印刷法等による公知のウエットプロセス等により形成できる。
有機EL素子30においては、散乱層31に代えて、光源である有機発光素子10から発光された光のうち、紫外領域の光を吸収して、青色領域の光に変換して封止基材9側に青色領域の光を放出する青色蛍光体層を設けてもよい。
この場合、青色蛍光体層に用いる有機蛍光体としては、紫外の励起光を、青色発光に変換する蛍光体(青色蛍光体)である、1,4−ビス(2−メチルスチリル)ベンゼン、トランス−4,4’−ジフェニルスチルベンゼン等のスチルベンゼン系色素;7−ヒドロキシ−4−メチルクマリン、2,3,6,7−テトラヒドロ−11−オキソ−1H,5H,11H−[1]ベンゾピラノ[6,7,8−ij]キノリジン−10−カルボン酸エチル(クマリン314)、10−アセチル−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H,5H,11H−[1]ベンゾピラノ[6,7,8−ij]キノリジン−11−オン(クマリン334)等のクマリン系色素;9,10−ビス(フェニルエチニル)アントラセン等のアントラセン系色素;ペリレン等が例示できる。
また、青色蛍光体層には、無機蛍光体として、紫外の励起光を青色の発光に変換するものを用いることもでき、このような青色蛍光体として具体的には、Sr:Sn4+、SrAl1425:Eu2+、BaMgAl1017:Eu2+、SrGa:Ce3+、CaGa:Ce3+、(Ba、Sr)(Mg、Mn)Al1017:Eu2+、(Sr、Ca、Ba、Mg)10(POCl:Eu2+、BaAlSiO:Eu2+、Sr:Eu2+、Sr(POCl:Eu2+、(Sr、Ca、Ba)(POCl:Eu2+、BaMgAl1627:Eu2+、(Ba、Ca)(POCl:Eu2+、BaMgSi:Eu2+、SrMgSi:Eu2+等が例示できる。
前記無機蛍光体には、必要に応じて表面改質処理を施すことが好ましく、その方法としては、シランカップリング剤等の化学的処理によるもの、サブミクロンオーダーの微粒子等の添加による物理的処理によるもの、これらの併用によるもの等が例示できる。
前記無機系蛍光体は、その平均粒径(d50)が、0.5〜50μmであることが好ましい。
赤色蛍光体層18R及び緑色蛍光体層18Gの膜厚は、100nm〜100μmであることが好ましく、1〜100μmであることがより好ましい。赤色蛍光体層18R及び緑色蛍光体層18Gは、膜厚が100nm以上であることで、有機発光素子10から発光する青色光を十分に吸収でき、有機EL素子30における発光効率が向上し、各蛍光体層18R及び18Gで変換された変換光への青色の透過光の混入が抑制されて、色純度が向上する。また、有機発光素子10から発光する青色光の吸収を高め、色純度の悪影響を及ぼさない程度に青色の透過光を低減するためには、各蛍光体層18R及び18Gの膜厚は1μm以上であることが好ましい。赤色蛍光体層18R及び緑色蛍光体層18Gは、膜厚が100μmを超えても、有機発光素子10から発光する青色光は既に十分吸収されているため、有機EL素子30における発光効率の上昇には繋がらない。そこで、材料コストを低減できる点から、赤色蛍光体層18R及び緑色蛍光体層18Gの膜厚は100μm以下であることが好ましい。
有機EL素子30においては、有機発光素子10の上面及び側面を覆うように、無機封止膜5が設けられている。さらに、無機封止膜5上には、一方の面上に隔壁7に仕切られて並列配置された赤色蛍光体層18R、緑色蛍光体層18G及び散乱層31、並びに各カラーフィルタ8R、8G及び8Bが形成された封止基板9が、各蛍光体層18R及び18G並びに散乱層31と有機発光素子10とが対向するように配置されており、無機封止膜5と封止基板9との間には封止材6が封入されている。すなわち、有機発光素子10に対向配置された各蛍光体層18R及び18G並びに散乱層31は、それぞれ周囲を隔壁7に囲まれて区画され、かつ、封止材6に囲まれた封止領域に封入されており、このように無機封止膜5及び封止材6を設けることにより、有機EL素子30は、外部から有機EL層17内への酸素、水分等の混入が防止され、長寿命化させることができる。
封止基板9としては、基板1と同様のものを用いることができるが、封止基板9側より発光を取り出す(観察者は封止基板9の外側より発光による表示を観察する)ため、光透過性を有することが必要である。また、封止基板9には、色純度を高めるために、カラーフィルタが設けられていてもよい。
隔壁7は公知のものでよく、例えば、赤色蛍光体層18R、緑色蛍光体層18G又は散乱層31に入射して散乱した光を、さらに赤色蛍光体層18R、緑色蛍光体層18G又は散乱層31に反射するように、光散乱性粒子又は光反射性粒子が分散された樹脂で構成されたものや、樹脂で構成され、さらに赤色蛍光体層18R、緑色蛍光体層18G又は散乱層31との接触面(表面)に金属等の光散乱性又は光反射性を有する層(図示略)を備えたものが好ましい。
前記樹脂としては、エポキシ樹脂、(メタ)アクリル樹脂、シリコン樹脂、ポリイミド等が例示できる。なお、本明細書において「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及び「メタクリル」の両方を含む概念とする。
隔壁7は、フォトリソグラフィー法で形成でき、例えば、これを構成するための硬化性組成物(隔壁形成用組成物)を封止基板9上に塗工し、得られた塗膜に対してフォトマスクを介して光を照射(露光)することにより、塗膜の所望の箇所を硬化させ、次いで、現像液を用いて現像し、パターニングすることで形成できる。硬化性組成物の塗工は、例えば、スピンコート法等の塗布法で行うことができる。
有機EL素子30を後述する表示素子へ適用した場合、各画素間のコントラストが向上する点から、隔壁7は、封止基板9との間に黒色隔壁層(以下、「ブラックマトリックス」と略記する)7’を有することが好ましい。
ブラックマトリックス7’は公知のものでよく、例えば、カーボンブラック等の黒色顔料を含む樹脂で構成された遮光性のものが好ましい。
ブラックマトリックス7’の厚さは0.01〜3μmであることが好ましい。
ブラックマトリックス7’は、フォトリソグラフィー法で形成でき、例えば、これを構成するための(ブラックマトリックス形成用組成物)を用いる点以外は、隔壁7と同じ方法で形成できる。
無機封止膜5は、プラズマCVD法、イオンプレーティング法、イオンビーム法、スパッタ法等により、SiO、SiON、SiN等の無機膜を成膜することにより形成できる。なお、無機封止膜5は、光を取り出すために光透過性を有することが必要である。
封止材6としては、樹脂(硬化性樹脂)からなるものが例示できる。この場合には、例えば、有機発光素子10及び無機封止膜5が形成された基材1の無機封止膜5上、又は、各蛍光体層18R及び18G並びに散乱層31と、各カラーフィルタ8R、8G及び8Bとが形成された封止基板9の各蛍光体層18R及び18G並びに散乱層31上に、硬化性樹脂組成物(光硬化性樹脂組成物、熱硬化性樹脂組成物)をスピンコート法、ラミネート法等により塗工し、基板1と封止基板9とをこの塗工層を介して貼り合わせて、硬化性樹脂組成物を光硬化又は熱硬化させることにより、封止材6を形成できる。なお、封止材6は光透過性を有することが必要である。
また、各蛍光体層18R及び18G並びに散乱層31の封止基板9とは反対側の面は、平坦化膜等(図示略)により平坦化されていることが好ましい。これにより、有機発光素子10と各蛍光体層18R及び18G並びに散乱層31とを、封止材6を介して対向させて密着させる際に、有機発光素子10と各蛍光体層18R及び18G並びに散乱層31との間に空乏が生じることを防止でき、かつ、有機発光素子10が形成された基板1と、各蛍光体層18R及び18G並びに散乱層31、並びに各カラーフィルタ8R、8G及び8Bが形成された封止基板9と、の密着性を向上させることができる。
この場合の平坦化膜としては、上述の平坦化膜4と同様のものを用いることができる。
有機発光素子10は、各蛍光体層18R及び18G並びに散乱層31に多く光が到達するように、トップエミッション構造であることが好ましい。その際、第1電極12と第2電極16を反射性電極とし、これらの電極12及び16間の光学距離Lが、微小共振器構造(マイクロキャビティ構造)を構成するように調整されていることが好ましい。この場合、第1電極12として反射電極を用い、第2電極16として半透明電極を用いることが好ましい。
前記半透明電極としては、金属からなる半透明電極の単体、金属からなる半透明電極とその他の材料からなる透明電極との組み合わせを用いることができるが、光の反射率及び透過率の観点から、銀又は銀合金からなるものが好ましい。
半透明電極である第2電極16の膜厚は、5〜30nmであることが好ましい。半透明電極の膜厚が5nm以上であることにより、光を十分に反射でき、干渉効果を十分に得られる。また、半透明電極の膜厚が30nm以下であることにより、光の透過率の急激な低下を抑制でき、輝度及び発光効率の低下を抑制できる。
また、反射電極である第1電極12としては、光の反射率が高い電極を用いることが好ましい。このような電極としては、アルミニウム、銀、金、アルミニウム−リチウム合金、アルミニウム−ネオジウム合金、アルミニウム−シリコン合金等の光反射性金属電極や、透明電極と前記光反射性金属電極とを組み合わせた電極等が例示できる。なお、図7においては、平坦化膜4上に、反射電極11を介して透明電極である第1電極12を形成した例を示している。この場合の反射電極11は、上記の反射電極である第1電極12と同様の材質からなる。
第1電極12及び第2電極16により微小共振器構造(マイクロキャビティ構造)が構成されると、第1電極12及び第2電極16の干渉効果により、有機EL層17の発光を正面方向(光取り出し方向;封止基板9側)に集光することができる。すなわち、有機EL層17の発光に指向性を持たせることができるため、周囲に逃げる発光ロスを低減でき、発光効率を向上させることができる。これにより、有機発光素子10で生じる発光エネルギーをより効率よく各蛍光体層18R及び18Bへ伝搬させることができ、有機EL素子30の正面輝度を向上させることができる。
また、前記微小共振器構造によれば、有機EL層17の発光スペクトルも調整でき、所望の発光ピーク波長及び半値幅に調整できる。このため、有機EL層17の発光スペクトルを、蛍光体層18R及び18B中の蛍光体を効果的に励起することが可能なスペクトルに制御できる。
なお、第2電極16として半透明電極を用いることによって、各蛍光体層18R及び18B並びに散乱層31の光取り出し方向とは反対方向に放出される光を再利用することもできる。
各蛍光体層18R及び18Gにおいて、変換光の発光位置から光取り出し面までの光学距離は、発光素子の色毎に異なるように設定される。有機EL素子30においては、前記「発光位置」が、各蛍光体層18R及び18Gにおいて、有機発光素子10側に対向する面とされる。
ここで、各蛍光体層18R及び18Gにおける変換光の発光位置から光取り出し面までの光学距離は、各蛍光体層18R及び18Gの膜厚により調整される。そして、各蛍光体層18R及び18Gの膜厚は、スクリーン印刷法の印刷条件(スキージ印圧、スキージアタック角度、スキージ速度、若しくはクリアランス巾)、スクリーン版の仕様(スクリーン紗の選定、乳剤の厚み、テンション、若しくは枠の強度)、あるいは蛍光体層形成用組成物の性状又は組成(粘度、流動性、若しくは樹脂、顔料及び溶媒の配合比率)を変えることによって調節できる。
有機EL素子30は、有機発光素子10から発光する光を微小共振器構造(マイクロキャビティ構造)により増強し、各蛍光体層18R及び18Bにより変換された光の光取り出し効率を、前記光学距離の調整(各蛍光体層18R及び18Bの膜厚調整)により向上させることができる。これにより、有機EL素子30の発光効率をより向上させることができる。
有機EL素子30は、有機発光素子10からの光を蛍光体層18R及び18Bで波長変換する構成であるため、発光効率に優れる。
以上、本発明に係る有機EL素子について説明したが、本発明に係る有機EL素子は上述の実施形態に限定されない。例えば、上述の有機EL素子30において、光取り出し側(封止基板9の上)に偏光板が設けられていてもよい。偏光板としては、例えば、公知の直線偏光板とλ/4板とを組み合わせたものを用いることができる。ここで、偏光板が設けられていることにより、第1電極12及び第2電極16からの外光反射や、基板1又は封止基板9の表面での外光反射を防止でき、有機EL素子30のコントラストを向上させることができる。
また、上述の有機EL素子30では、赤色、緑色及び青色の三色を発光する例を示したが、本発明に係る有機EL素子は、有機EL素子が、蛍光体層を一種のみ(すなわち、化合物(1)を含む赤色蛍光体層のみ)備えた単色発光素子でもよいし、赤色、緑色及び青色の発光素子以外に、白色、黄色、マジェンダ及びシアン等の多原色素子を備えたものでもよく、この場合には、各色に対応した蛍光体層を用いてもよい。これにより、低消費電力化を図ったり、色再現範囲を拡大したりすることができる。また、多原色の蛍光体層は、マスク塗り分け法等を採用するよりも、フォトレジストを用いるフォトリソグラフィー法、印刷法、ウエット形成法等を採用することで、容易に形成できる。
本発明に係る有機EL素子は、化合物(1)を用いていることで、発光効率に優れており、消費電力を低減できる。
構造式(1)であらわされる化合物は、深赤色領域において高い量子効率で蛍光発光を示すため、有機EL素子中の赤色発光材料として用いることで、素子を用いた表示装置の色再現性を高めることができる。
有機EL素子において発光層に蛍光材料を含んで発光を得る場合は、一般に外部量子効率が低い。しかしながら、発光層に蛍光材料とともにアシストドーパントとして熱活性化遅延蛍光材料を含むことで、熱活性化遅延蛍光材料から蛍光材料へエネルギー移動が生じ、素子の高い外部量子効率と高い耐久性が得られることが報告されている。
[非特許文献6]Nature Communications, 5, 4016, 2014
このような素子を作成する場合、蛍光材料の吸収波長領域に発光を示す熱活性化遅延蛍光材料を選択し、発光層に含むことが望ましい。構造式(1)であらわされる化合物は、赤色から近赤外領域だけでなく青色領域にも吸収を持つため、橙色から赤色あるいは青色の発光を示す熱活性化遅延蛍光材料をアシストドーパントとして用いることができる。
発光層中にホスト材料とともに、構造式(1)であらわされる蛍光材料を0.1重量パーセント以上10重量パーセント以下の濃度で含むことが望ましく、熱活性化遅延蛍光材料を5重量パーセント以上含むことが望ましい。
赤色の発光を示す熱活性化遅延蛍光材料として用いることができる好ましい化合物例を挙げる。
Figure 2016006033
青色の発光を示す熱活性化遅延蛍光材料として用いることができる好ましい化合物例を挙げる。
Figure 2016006033
アシストドーパントとして用いる熱活性化遅延蛍光材料は以上の化合物に限定されない。
発光層のホスト材料として用いることができる好ましい化合物例を挙げる。
Figure 2016006033
ここで用いるホスト材料は、その三重項準位が熱活性化遅延蛍光材料の三重項準位よりも高ければよく、これらの化合物に限定されない。
<表示装置>
本発明に係る表示装置は、前記化合物(1)を用いたものであり、化合物(1)を発光体(蛍光体)として用いたものであれば、特に限定されない。化合物(1)は、青色光を吸収して赤色光を発光可能なので、前記表示装置としては、このような波長変換(色変換)を行うための波長変換層を有する波長変換基板を備えたもの、すなわち、前記波長変換基板を備えた発光素子(波長変換発光素子、色変換発光素子)として、上述の本発明に係る有機EL素子を備えたものが例示できる。
本発明に係る表示装置は、例えば、画像信号を発生する画像信号出力部と、この画像信号出力部からの信号に基づいて電流又は電圧を発生する駆動部と、この駆動部からの電流又は電圧により発光する発光部と、を備えて構成される。
前記発光部は、例えば、上述の波長変換基板を用い、有機EL素子を備えて構成される。以下、発光部が上述の本発明に係る有機EL素子である場合の表示装置について説明するが、本発明はこれに限定されない。
図9は、発光部として有機EL素子30と、駆動部と、を備えてなる表示装置の配線構造と駆動回路の接続構成とを例示する概略構成図であり、図10は前記表示装置に配置されている、1つの画素を構成する回路を例示する画素回路図である。
図9に示すように、本発明に係る表示装置は、有機EL素子30の基板1に対して、平面視でマトリクス状に走査線101と信号線102とが配線され、各走査線101は基板1の一側縁部に設けられた走査回路103に接続され、各信号線102は基板1の他側縁部に設けられた映像信号駆動回路104に接続されている。より具体的には、走査線101と信号線102との交差部分のそれぞれに、図7に示す有機EL素子30の薄膜トランジスタ等の駆動素子(TFT回路2)が組み込まれ、各駆動素子毎に画素電極が接続され、これらの画素電極が図7に示す構造の有機EL素子30の反射電極11に対応し、これらの反射電極11が第1電極12に対応している。
走査回路103及び映像信号駆動回路104は、制御線106、107、108を介してコントローラ105に電気的に接続され、コントローラ105は中央演算装置(CPU)109により作動制御されている。また、走査回路103及び映像信号駆動回路104には、別途、電源配線110、111を介して有機EL電源回路112が接続されている。画像信号出力部はCPU109及びコントローラ105より構成されている。
有機EL素子30の有機発光素子10(有機EL発光部)を駆動させる駆動部は、走査回路103、映像信号駆動回路104及び有機EL電源回路112より構成されており、走査線101及び信号線102により区画された各領域内に、図7に示す有機EL素子30のTFT回路2が組み込まれている。
図10は、走査線101及び信号線102により区画された各領域内に配置されている、有機EL素子30の1つの画素を構成する画素回路図である。図10に示す画素回路においては、走査線101に走査信号が印加されると、この信号は薄膜トランジスタから成るスイッチングTFT124のゲート電極に印加されて、スイッチングTFT124をオンにする。次いで、信号線102に画素信号が印加されると、この信号はスイッチングTFT124のソース電極に印加され、オンであるスイッチングTFT124を経てそのドレイン電極に接続された保持容量125を充電する。保持容量125は、駆動用TFT126のソース電極とゲート電極との間に接続されている。従って、駆動用TFT126のゲート電圧は、スイッチングTFT124が次に走査選択されるまで、保持容量125の電圧により決まる値に保持される。電源線123は有機EL電源回路112(図9)に接続されており、これから供給される電流は、駆動用TFT126を経て有機発光素子127に流れて、この素子127を連続発光させる。
このような構成の画像信号出力部及び駆動部を備えることにより、所望の画素の第1電極12及び第2電極16間に挟持された有機EL層(有機層)17に電圧を印加することで、当該画素に該当する有機EL素子30を発光させて、対応する画素から可視領域光を射出させることができ、所望の色や画像を表示できる。
本発明に係る表示装置は、化合物(1)を用いていることで、低い消費電力で鮮明な像を表示できる。
以下、具体的実施例により、本発明についてより詳細に説明する。ただし、本発明は以下に示す実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例において、濃度単位「M」は「mol/L」を意味する。
また、以下の実施例において、化合物(1)等の光の吸収スペクトル、発光スペクトル及び発光量子収率は、それぞれ下記装置を用いて測定した。
光の吸収スペクトル:島津製作所社製「UV−2450」
発光スペクトル:堀場製作所社製「FluoroMax−4」
発光量子収率:大塚電子社製「ハーフムーンQE−1100」、分光測定器「MCPD−9800」
<化合物(1)の製造>
[実施例1]
以下の手順に従い、化合物(1)として、下記式(1)−101で表される化合物(以下、「化合物(1)−101」と略記する)を製造した。
Figure 2016006033
(原料化合物製造工程1−1)
500mL三つ口フラスコにアルゴンガスを通じ、無水酢酸(340mL)を仕込み、0℃まで冷却した。ここへ発煙硝酸(40mL)をゆっくり加え、硫酸を一滴加えた。さらにここへ、ベンゾチオフェン(40g、0.30mol)をジメチルスルホキシド(DMSO、40mL)に溶解させた溶液を、滴下後の液温が0〜5℃となるように滴下した。滴下終了後、さらに反応液をこの温度で30分撹拌した。
次いで、得られた反応液を氷水(2400mL)上にあけて、水酸化ナトリウムを用いてpHを5〜6程度に調整した。そして、目的物をトルエンで抽出し、水及び飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウム及び活性炭を加えて撹拌し、ろ過して、得られた母液を濃縮し、濃縮残分(49.7g)を得た。
次いで、得られた濃縮残分をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル1000g、溶離液:石油エーテル/ベンゼン(1/1、体積比))によって精製した。目的物を含むフラクション(43g)に対して、石油エーテル/ベンゼン(3/1、体積比)の混合溶媒を用いて、再結晶を2回行い、目的物である3−ニトロベンゾチオフェンを得た(収量15.7g、収率29.4%)。
得られた3−ニトロベンゾチオフェンを高速液体クロマトグラフィ(HPLC)で分析した結果、そのスペクトルの面積百分率は100%であった。
Figure 2016006033
(原料化合物製造工程1−2)
200mL三つ口フラスコにアルゴンガスを通じ、3−ニトロベンゾチオフェン(6.3g、35.4mmol)、エチルイソシアノアセテート(4.6g、40.7mmol)、テトラヒドロフラン(THF、63mL)、ジアザビシクロウンデセン(DBU、6.2g、40.7mmol)を加え、室温で撹拌し、反応させた。このとき、撹拌開始と共に反応液は40℃程度まで発熱し、結晶が析出した。撹拌が困難となったところで、適宜THFを追加し、室温で一晩撹拌して、反応させた。
反応終了後、反応液にトルエン及び飽和食塩水を加えて撹拌し、有機層を分液した。得られた有機層を水及び飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウム及び活性炭を加えて撹拌し、ろ過して、得られた母液を濃縮し、濃縮物に塩化メチレンを加えて溶解させ、再び濃縮した。濃縮して得られた溶液に、ヘキサンを加えて溶媒置換した後、冷却して結晶を析出させ、この結晶をろ過して取り出すことにより、目的物であるピロール誘導体を得た(収量5.9g、収率67.8%)。
得られたピロール誘導体をHPLCで分析した結果、そのスペクトルの面積百分率は99.9%であった。
Figure 2016006033
(化合物(1d)製造工程)
1000mL三つ口フラスコにアルゴンガスを通じ、前記ピロール誘導体(2.45g、10.0mmol)、THF(320mL)を仕込み、室温で撹拌した。ここへ、濃度が1Mの水素化アルミニウムリチウム(LiAlH、100mL、100mmol)を発泡に注意しながら滴下し、滴下終了後から3時間撹拌して反応させた。
反応終了後、反応液を室温まで冷却し、ここへ発泡に注意しながら水を滴下し、過剰分のLiAlHをクエンチした。そして、不溶物をセライトろ過により除去し、得られたろ液に酢酸エチルを加えて分液した。有機層を水及び飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウム及び活性炭を加えて撹拌し、ろ過して、得られた母液を濃縮した。
次いで、得られた濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル40g、溶離液:塩化メチレン/石油エーテル(1/1、体積比))によって精製した。目的物を含むメインフラクション(1.3g)に対して、塩化メチレン/石油エーテルの混合溶媒を用いて再結晶を行い、目的物である下記式(1d)−101で表される化合物(以下、「化合物(1d)−101」と略記する)を得た(収量1.1g、収率58.8%)。
得られた化合物(1d)−101をHPLCで分析した結果、そのスペクトルの面積百分率は84.2%であった。
Figure 2016006033
(化合物(1b)製造工程)
100mL三つ口フラスコにアルゴンガスを通じ、化合物(1d)−101(1.1g、5.88mmol)、下記式(1c)−101で表される化合物(メシチルアルデヒド、以下、「化合物(1c)−101」と略記する)(0.44g、2.94mmol)、塩化メチレン(37mL)を仕込み、0℃まで冷却した。ここへトリフルオロ酢酸を一滴加え、0℃で1時間撹拌した。さらに、DDQ(1.3g、5.88mmol)を添加して、室温で一夜撹拌した。そして、原料の消失を薄層クロマトグラフィー(TLC)で確認し、目的物である下記式(1b)−101で表される化合物(以下、「化合物(1b)−101」と略記する)を得た。
(化合物(1)製造工程)
引き続き、化合物(1b)−101を含む上記の反応液に、トリエチルアミン(13mL)を加え、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体の46〜49%ジエチルエーテル溶液(17mL)を滴下し、滴下終了後、室温で30分撹拌した。
反応終了後、反応液を水で3回洗浄し、分液中に析出した不溶物をセライトろ過により除去し、得られたろ液を飽和食塩水で洗浄した後、有機層に無水硫酸マグネシウム及び活性炭を加えて撹拌し、ろ過して、得られた母液を濃縮した。
次いで、得られた濃縮物(13g)をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル40g、溶離液:塩化メチレン/ヘキサン(1/1、体積比))によって精製した。目的物を含むフラクションを濃縮し、オイル状の濃縮物(5g)を得た。そして、この濃縮物にメタノールを加えて、析出した結晶をろ過して取り出すことにより、目的物である化合物(1)−101を赤褐色の結晶として得た(収量0.03g、収率2.0%)。
得られた化合物(1)−101を、HPLC、TLC、MS、H−NMRで分析した。
HPLCで分析した結果、化合物(1)−101のスペクトルの面積百分率は72%(照射光波長650nm)であった。
また、TLC(展開溶媒:塩化メチレン/ヘキサン(1/1、体積比))で分析した結果、原点に少量のスポットが見られたのを除けば、観測されたのはワンスポットのみであった。
また、MSで分析した結果、m/z=550のスペクトルが観測され、化合物(1)−101と整合するデータが得られた。
また、H−NMRで分析した結果、不純物のスペクトルが見られるものの、化合物(1)−101に特有のスペクトルが観測された。このときのスペクトルデータを図11に示す。
これらの結果から、少量の不純物が混入しているものの、得られたものは目的物である化合物(1)−101であることが確認された。
Figure 2016006033
化合物(1)−101について、濃度が1×10−6Mのトルエン溶液を調製して、光の吸収スペクトル、発光(蛍光)スペクトル及び発光(蛍光)量子収率を測定し、あわせてモル吸光係数を求めた。結果を表1に示す。また、吸収及び発光スペクトルの測定データを図12に示す。
図12に示すように、化合物(1)−101の吸収ピーク波長は618nmであり、発光(蛍光)ピーク波長は628nmであって、発光波長は十分に長波長であり、ストークスシフトも10nmと大きかった。また、発光量子収率は99%であり、発光効率は十分に高かった。
628nmは赤色の感度が高い波長領域であり、また、発光スペクトルはシャープであって、化合物(1)−101は、各種発光材料として有用なものであった。
[実施例2]
以下の手順に従い、化合物(1)として、下記式(1)−102で表される化合物(以下、「化合物(1)−102」と略記する)を製造した。
Figure 2016006033
(原料化合物製造工程2−1)
200mL三つ口フラスコに、実施例1で製造した前記ピロール誘導体(5g、20.5mmol)、THF(175mL)を仕込み、0℃まで冷却した。ここへN−ブロモスクシンイミド(NBS、3.6g、20.5mmol)を少量に分け添加し、室温で30分撹拌して反応させた。
反応終了後、反応液に酢酸エチル及び水を加えて撹拌し、有機層を分液した。得られた有機層を水及び飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウム及び活性炭を加えて撹拌し、ろ過して、得られた母液を濃縮した。濃縮して得られた溶液に、ヘキサンを加えて溶媒置換した後、冷却して結晶を析出させ、この結晶をろ過して取り出した。得られた結晶を、さらにエタノールでスラリー洗浄して、ろ過して結晶を取り出すことにより、目的物であるブロム化ピロール誘導体を得た(収量5.1g、収率77.3%)。
得られたブロム化ピロール誘導体をHPLCで分析した結果、そのスペクトルの面積百分率は98.5%であった。
Figure 2016006033
(原料化合物製造工程2−2)
200mL三つ口フラスコに、前記ブロム化ピロール誘導体(4.0g、12.4mmol)、O−メトキシフェニルボロン酸(2.8g、18.5mmol)、トルエン(80mL)、炭酸ナトリウム(3.9g、37.1mmol)、水(30mL)、エタノール(30mL)、PdCl(P(C(0.6g、0.85mmol)を仕込み、加熱還流下で4時間撹拌して反応させた。
反応終了をHPLC分析で確認した後、反応液を室温まで冷却し、セライトろ過した。そして、得られた母液を分液し、有機層を水及び飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウム及び活性炭を加えて撹拌し、ろ過して、得られた母液を濃縮した。濃縮して得られた溶液に、エタノールを加えて溶媒置換した後、結晶を析出させ、冷却後にこの結晶をろ過して取り出し、乾燥させ、目的物であるカップリング体を得た(収量4.2g、収率97.7%)。
得られたカップリング体をHPLCで分析した結果、そのスペクトルの面積百分率は98.8%であった。
Figure 2016006033
(化合物(1d)製造工程)
300mL三つ口フラスコに、エチレングリコール(200mL)、85%KOH水溶液(3.0g、KOHが45.6mmol)を仕込み、加熱還流下で1時間撹拌した。同じ温度で、ここへ前記カップリング体(4.0g、11.4mmol)を添加し、1時間撹拌して反応させた。
反応終了をHPLC分析で確認した後、反応液を室温まで冷却し、水(400mL)にあけて、析出した結晶をろ過して取り出した。得られた結晶を塩化メチレンに溶解させ、水及び飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウム及び活性炭を加えて撹拌し、ろ過して、得られた母液を濃縮した。
次いで、得られた濃縮物(4.0g)をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル40g、溶離液:塩化メチレン)によって精製し、目的物である下記式(1d)−102で表される化合物(以下、「化合物(1d)−102」と略記する)を得た(収量3.0g、収率94.3%)。
得られた化合物(1d)−102をHPLCで分析した結果、そのスペクトルの面積百分率は95.8%であった。
Figure 2016006033
(化合物(1b)製造工程)
100mL二口フラスコに、化合物(1d)−102(1.5g、5.4mmol)、化合物(1c)−101(0.4g、2.7mmol)、塩化メチレン(40mL)、トリフルオロ酢酸1滴を仕込み、18時間加熱還流させた後、室温まで冷却し、ここへDDQ(1.25g、7.3mmol)を添加して、2時間撹拌して反応させることで、目的物である下記式(1b)−102で表される化合物(以下、「化合物(1b)−102」と略記する)を得た。
(化合物(1)製造工程)
引き続き、化合物(1b)−102を含む上記の反応液に、N−エチルジイソプロピルアミン(1.2mL、7.3mmol)、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体の46〜49%ジエチルエーテル溶液(2.0mL、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体が7.3mmol)を滴下し、滴下終了後、30分加熱還流させて反応させ、室温まで冷却した。
反応終了後、反応液を重曹水、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウム及び活性炭を加えて撹拌し、ろ過して、得られた母液を濃縮した。
次いで、得られた濃縮物(2.2g)をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル120g、溶離液:塩化メチレン/ヘキサン(3/2、体積比))によって精製し、目的物である化合物(1)−102を含む混合物を得た(収量0.65g)。
得られた混合物は、化合物(1)−102と化合物(1b)−102を主成分とする混合物であると考えられたため、全量(0.65g)をさらにシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル20g、溶離液:塩化メチレン/ヘキサン(4/1〜2/1、体積比))によって精製し、粗製化合物(1)−102(0.29g)と化合物(1b)−102(0.12g)を得た。
さらに、得られた粗製化合物(1)−102(0.29g)を、メタノール中で分散させ、結晶をろ過して取り出すことにより、精製した化合物(1)−102を得た(収量0.06g、収率3%)。
得られた化合物(1)−102を、TLC、MS、H−NMRで分析した。
TLC(展開溶媒:塩化メチレン/ヘキサン(2/1、体積比))で分析した結果、一般式(1)でのRに相当する2,4,6−トリメチルフェニル基の立体配置の違いに起因すると考えられる、化合物(1)−102の異性体に由来する2個のスポットが見られた。
また、MSで分析した結果、m/z=734のスペクトルが観測され、化合物(1)−102と整合するデータが得られた。
また、IRで分析した結果、化合物(1)−102に特有のスペクトルが観測された。このときのスペクトルデータを図23に示す。
また、H−NMRで分析した結果、化合物(1)−102に特有のスペクトルが観測された。このときのスペクトルデータを図24に示す。
これらの結果から、得られたものは目的物である化合物(1)−102であることが確認された。
Figure 2016006033
化合物(1)−102について、実施例1の場合と同様に、光の吸収スペクトル、発光スペクトル及び発光量子収率を測定し、モル吸光係数を求めた。結果を表1に示す。また、吸収及び発光スペクトルの測定データを図13に示す。
図13に示すように、化合物(1)−102の吸収ピーク波長は584nmであり、発光(蛍光)ピーク波長は606nmであって、発光波長は十分に長波長であり、ストークスシフトも22nmと大きかった。また、発光量子収率は100%であり、発光効率は十分に高かった。
606nmは橙色の感度が高い波長領域であり、また、発光スペクトルはシャープであって、化合物(1)−102は、各種発光材料として有用なものであった。
[実施例3]
(化合物(1)変換工程)
10mL二口フラスコに、化合物(1)−102(0.1g、0.136mmol)、塩化メチレン(5mL)を仕込み、0℃に冷却した。ここへ濃度が1mol/Lの三臭化ホウ素(BBr)塩化メチレン溶液(1.8mL)を滴下し、滴下終了後、室温で一夜撹拌した。
TLC分析での原料消失により反応終了を確認した後、反応液を塩化アンモニウム水溶液にあけて、分液後、有機層を水及び飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウム及び活性炭を加えて撹拌し、ろ過して、得られた母液を濃縮した。濃縮して得られた溶液に、メタノールを加えて溶媒置換した後、冷却して結晶を析出させ、この結晶をろ過して取り出し、深緑色の結晶として目的物である、下記式(1)−201で表される化合物(以下、「化合物(1)−201」と略記する)を得た(収量0.06g、収率66%)。
得られた化合物(1)−201をHPLCで分析した結果、そのスペクトルの面積百分率は98.6%であった。
得られた化合物(1)−201を、TLC、MS、H−NMR、IRで分析した。
TLC(展開溶媒:塩化メチレン/ヘキサン(3/1、体積比))で分析した結果、化合物(1)−201に対応する1個のスポットのみが見られた。
また、MSで分析した結果、m/z=666のスペクトルが観測され、化合物(1)−201と整合するデータが得られた。
また、H−NMRで分析した結果、化合物(1)−201に特有のスペクトルが観測され、H数が一致していた。このときのスペクトルデータを図14に示す。
また、IRで分析した結果、化合物(1)−201と整合するスペクトルが観測された。このときのスペクトルデータを図15に示す。
これらの結果から、得られたものは目的物である化合物(1)−201であることが確認された。
Figure 2016006033
化合物(1)−201について、実施例1の場合と同様に、光の吸収スペクトル、発光スペクトル及び発光量子収率を測定し、モル吸光係数を求めた。結果を表1に示す。また、吸収及び発光スペクトルの測定データを図16に示す。
図16に示すように、化合物(1)−201の吸収ピーク波長は665nmであり、発光ピーク波長は677nmであって、発光波長は十分に長波長であり、ストークスシフトも12nmと大きかった。また、発光量子収率は97%であり、発光効率は十分に高かった。
677nmは赤色の感度が高い波長領域であり、また、発光スペクトルはシャープであって、化合物(1)−201は、各種発光材料として有用なものであった。
[参考例1]
上記の実施例での製造方法に倣って、異なる原料を用いて、下記式(9)−104で表される化合物(以下、「化合物(9)−104」と略記する)を製造した。
化合物(9)−104について、実施例1の場合と同様に、光の吸収スペクトル、発光スペクトル及び発光量子収率を測定し、モル吸光係数を求めた。結果を表1に示す。また、吸収及び発光スペクトルの測定データを図17に示す。
図17に示すように、化合物(9)−104の吸収ピーク波長は661nmであり、発光ピーク波長は668nmであって、発光波長は十分に長波長であった。ただし、ストークスシフトが7nmと小さかった。また、発光量子収率は96%であり、発光効率は十分に高かった。
Figure 2016006033
[参考例2]
上記の実施例での製造方法に倣って、異なる原料を用いて、下記式(9)−105で表される化合物(以下、「化合物(9)−105」と略記する)を製造した。
化合物(9)−105について、実施例1の場合と同様に、光の吸収スペクトル、発光スペクトル及び発光量子収率を測定し、モル吸光係数を求めた。結果を表1に示す。また、吸収及び発光スペクトルの測定データを図18に示す。
図18に示すように、化合物(9)−105の吸収ピーク波長は709nmであり、発光ピーク波長は716nmであって、発光波長は十分に長波長であった。ただし、ストークスシフトが7nmと小さかった。また、発光量子収率は70%であり、発光効率は十分に高かった。
Figure 2016006033
[比較例1]
上記の実施例での製造方法に倣って、異なる原料を用いて、下記式(9)−106で表される化合物(以下、「化合物(9)−106」と略記する)を製造した。より具体的には、文献「Chem.Lett.2008,37,10,1094−1095」に記載の方法に従って、化合物(9)−106を製造した。
化合物(9)−106について、実施例1の場合と同様に、光の吸収スペクトル、発光スペクトル及び発光量子収率を測定し、モル吸光係数を求めた。結果を表1に示す。また、吸収及び発光スペクトルの測定データを図19に示す。
図19に示すように、化合物(9)−106の吸収ピーク波長は578nmであり、発光ピーク波長は615nmであって、発光波長は十分に長波長であり、ストークスシフトも37nmと大きかった。ただし、発光量子収率は29%であり、発光効率が低かった。
Figure 2016006033
[比較例2]
下記式(9)−107で表される化合物(「ルモゲンFレッド」(BASF社製)、以下、「化合物(9)−107」と略記する)について、実施例1の場合と同様に、光の吸収スペクトル、発光スペクトル及び発光量子収率を測定し、モル吸光係数を求めた。結果を表1に示す。また、吸収及び発光スペクトルの測定データを図20に示す。
図20に示すように、化合物(9)−107の吸収ピーク波長は572nmであり、発光ピーク波長は602nmであって、ストークスシフトは30nmと大きかったが、発光波長が比較的短波長であった。また、発光量子収率は100%であり、発光効率は十分に高かった。
Figure 2016006033
Figure 2016006033
上記の各化合物を用いて、例えば、上述の太陽電池モジュールを構成した場合を考えると、化合物(1)−101、化合物(1)−102及び化合物(1)−201はいずれも、発光量子収率が高く、かつ、光の吸収スペクトルと発光スペクトルとの重なりが小さいため、太陽光を集光するための蛍光体として好適なものであった。一方で、化合物(9)−104及び化合物(9)−105は、いずれも光の吸収スペクトルと発光スペクトルとの重なりが大きいため、この化合物を用いた場合、太陽電池素子に射出光を導入するための集光板の端面における射出光の集光効率は、化合物(1)−101、化合物(1)−102又は化合物(1)−201を用いた場合よりも低くなるものであった。また、化合物(9)−106は、発光量子収率が低いため、太陽光を集光するための蛍光体として適さないものであり、この化合物を用いた場合、集光板の端面における射出光の集光効率は明らかに劣るものであった。また、化合物(9)−107は、発光波長が比較的短波長であった。
例えば、化合物(1)−201は、発光量子収率が高く、図16に示すように、570nm〜700nmの波長域と、300nm〜470nmの波長域とで、モル吸光係数が大きいものの、470nm〜570nmの波長域でモル吸光係数が小さい。一方で、化合物(9)−107は、図20に示すように、300nm〜610nmの波長域でモル吸光係数が大きい。そこで例えば、上述の太陽電池モジュールの集光板において、化合物(1)−201及び化合物(9)−107を蛍光体として併用することにより、300nm〜700nmまでの全ての波長域で、太陽光を十分に吸収可能な太陽電池モジュールを構成できる。
以下、このように、化合物(1)−201及び化合物(9)−107を併用した場合の集光効率について検討した。
十分な量の化合物(9)−107を含む透明基材は、300nm〜610nmの波長域の光を十分に吸収できる。このような透明基材は、さらに化合物(1)−201を適切な濃度で含むことにより、吸収可能な光の波長域が700nmまで拡大する。
ここで、晴天時の地上に降り注ぐ太陽光の光量子束密度を図21に示す。地上に降り注ぐ太陽光のうち、300nm〜610nmまでの波長域に含まれる光子数を積算すると、1秒間に1mあたり1310μmolとなる。地上に降り注ぐ太陽光のうち、610nm〜700nmまでの波長域に含まれる光子数を積算すると、1秒間に1mあたり623μmolとなる。すなわち、透明基材に含まれる蛍光体として、化合物(9)−107を単独で用いた場合と比較して、化合物(9)−107及び化合物(1)−201を併用した場合には、吸収可能な光子数が48%程度増加して、集光効率が向上することが判る。
先に説明したように、赤色光を発光する蛍光体の色度は、CIE座標でx=0.65以上、y=0.25以上であることが好ましい。上記の各化合物のうち、化合物(1)−101及び化合物(1)−201は、表2に示すように、この条件を満たしている。化合物(1)−101、化合物(1)−102、化合物(1)−201及び化合物(9)−107のCIE座標をCIE1931色度図にプロットしたものを図22に示す。
また、表示装置において青色光を赤色光に波長変換する場合には、435nm〜480nmの波長域の光を十分に吸収できる必要があり、例えば、波長450nmの光に対するモル吸光係数は、10000M−1cm−1以上であることが好ましい。上記の各化合物のうち、化合物(1)−101及び化合物(1)−201は、表2に示すように、この条件を満たしている。
表2に、上記の各実施例、参考例及び比較例の化合物のCIE座標、半値全幅(FWH
M)、波長450nmの光に対するモル吸光係数をそれぞれ示す。
Figure 2016006033
本発明は、標識剤、並びに太陽電池モジュール、太陽光発電装置、有機薄膜太陽電池、表示装置及び有機EL素子等の発光体を用いる装置に利用可能である。
1・・・基板、2・・・TFT回路、2a,2b・・・配線、3・・・層間絶縁膜、4・・・平坦化膜、5・・・無機封止膜、6・・・封止材、7・・・隔壁、7’・・・ブラックマトリックス、8R・・・赤色カラーフィルタ、8G・・・緑色カラーフィルタ、8B・・・青色カラーフィルタ、9・・・封止基板、10・・・有機発光素子(光源)、11・・・反射電極、12・・・第1電極(反射性電極)、13・・・正孔輸送層、14・・・有機発光層、15・・・電子輸送層、16・・・第2電極(反射性電極)、17・・・有機EL層(有機層)、18R・・・赤色蛍光体層、18G・・・緑色蛍光体層、30・・・有機EL素子、31・・・散乱層、101・・・走査線、102・・・信号線、103・・・走査回路、104・・・映像信号駆動回路、105・・・コントローラ、106,107,108・・・制御線、109・・・中央演算装置、110,111・・・電源配線、112・・・有機EL電源回路、123・・・電源線、124・・・スイッチングTFT、125・・・保持容量、126・・・駆動用TFT、127・・・有機発光素子、
41,1001・・・太陽電池モジュール、42,1002・・・集光板(導光体)、42a・・・集光板の主面(光入射面)、42b・・・集光板の第1端面(光射出面)、43,1003・・・太陽電池素子、47・・・透明基材、48・・・蛍光体(化合物(1))、426・・・蛍光体層、1000・・・太陽光発電装置、L・・・太陽光、L1・・・入射光、
52A・・・有機薄膜太陽電池、520・・・i層、521・・・ガラス基板、522・・・アノード電極、523・・・カソード電極、524・・・p層、525・・・n層

Claims (15)

  1. 下記一般式(1)で表される化合物。
    Figure 2016006033
    (式中、Rは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アリールアルキル基、アリールアルケニル基又はアルコキシ基であり、複数個のRは互いに同一でも異なっていてもよく;R及びRはそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基若しくはアルコキシ基であるか、又はR及びRが互いに結合して、これらが結合している炭素原子と共に環を形成するように、下記一般式(1a)、(1b)、(1c)又は(1d)で表されるヘテロ原子含有基を形成しており、ただし、隣接する炭素原子に結合している2組のR及びRのうち、少なくとも1組のR及びRは前記ヘテロ原子含有基を形成しており、2組のR及びRが共に前記ヘテロ原子含有基を形成している場合、これら2個の前記ヘテロ原子含有基は互いに同一でも異なっていてもよく;Rはハロゲン原子、酸素原子、アルキニル基、アリール基又はヘテロアリール基であり、複数個のRは互いに同一でも異なっていてもよく;Rが水素原子以外の基であるか、又はRがハロゲン原子以外の基である場合には、複数個のR若しくはR、又はR及びRは互いに結合して環を形成していてもよく、Qは窒素原子又は一般式「−C(−R)=」で表される基であり、Rは水素原子、あるいは1個以上の水素原子がハロゲン原子、アルコキシ基、アルキルアミノ基若しくはヘテロ環式基で置換されていてもよいアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基であり;Xはホウ素原子、アルミニウム原子、マグネシウム原子、鉄原子、銅原子、亜鉛原子又は白金原子である。)
    Figure 2016006033
    (式中、Aは5員環以上の芳香族環式基であり;Zは酸素原子、硫黄原子、セレン原子、又は一般式「−N(−R)−」、「−(R−)Si(−R)−」若しくは「−(R−)P(=O)−」で表される基であり、R、R及びRはそれぞれ独立に水素原子、アルキル基又はアリール基であり、複数個のRは互いに同一でも異なっていてもよく;符号*を付した結合はRが結合している炭素原子に対して形成され、符号**を付した結合はRが結合している炭素原子に対して形成されている。)
  2. 請求項(1)に記載の化合物であって、Rが酸素原子であり、RがRと環を形成する化合物。
  3. 下記一般式(1)−1で表される請求項1に記載の化合物。
    Figure 2016006033
    (式中、Aは下記一般式(1a1)、(1b1)、(1c1)又は(1d1)で表されるヘテロアリール基であり、ただし、下記一般式(1a1)〜(1d1)中の符号*を付した炭素原子は、一般式(1)−1中の符号*を付した結合を形成し、下記一般式(1a1)〜(1d1)中の符号**を付した炭素原子は、一般式(1)−1中の符号**を付した結合を形成しており;Aは下記一般式(1a2)、(1b2)、(1c2)又は(1d2)で表されるヘテロアリール基であり、ただし、下記一般式(1a2)〜(1d2)中の符号*を付した炭素原子は、一般式(1)−1中の符号*を付した結合を形成し、下記一般式(1a2)〜(1d2)中の符号**を付した炭素原子は、一般式(1)−1中の符号**を付した結合を形成しており;R、R、Q及びXは前記と同じである。)
    Figure 2016006033
    (式中、A及びZは前記と同じである。)
  4. 下記一般式(1)−1−1、(1)−1−2又は(1)−1−3で表される請求項3に記載の化合物。
    Figure 2016006033
    (式中、R11は水素原子、炭素数1〜10のアルキル基若しくはアルケニル基、又は炭素数6〜15のアリール基、ヘテロアリール基、アリールアルキル基若しくはアリールアルケニル基であり、複数個のR11は互いに同一でも異なっていてもよく;R41はフッ素原子、又は炭素数6〜15のアリール基若しくはヘテロアリール基であり、複数個のR41は互いに同一でも異なっていてもよく;Xはアルミニウム原子、マグネシウム原子、鉄原子、銅原子、亜鉛原子又は白金原子であり;Rは水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基若しくはアルコキシ基、又は炭素数6〜15のアリール基、ヘテロアリール基、アリールアルキル基若しくはアリールアルケニル基であり、複数個のRは互いに同一でも異なっていてもよく;A、A、A及びAは、それぞれ独立に芳香族環式基であり;R、Q、A及びAは前記と同じである。)
  5. 前記Aが1,2−フェニレン基である請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物からなる標識剤。
  7. 請求項1に記載の一般式(1)で表される化合物の構造を有し、プロトン、金属イオン、活性酸素種、または生体分子を光によって検出する蛍光プローブ材料
  8. 請求項7に記載の蛍光プローブ材料を用いて病態検査、遺伝子検査、食品検査、環境検査を行う装置
  9. 光入射面及び該光入射面よりも面積が小さい光射出面を有する導光体、並びに前記光射出面からの射出光を受光して、電力を発生する太陽電池素子を備え、
    前記導光体は、さらに請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物を含み、前記光入射面からの入射光が前記化合物に吸収されて生じた前記化合物からの放射光を前記射出光とする太陽電池モジュール。
  10. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物を用いた太陽光発電装置。
  11. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物をp層、n層又はi層中に含む有機薄膜太陽電池。
  12. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物を用いた表示装置。
  13. 波長変換層を有する波長変換基板を備え、
    前記波長変換層が、請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物を用いて得られたものである表示装置。
  14. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物を用いた有機EL素子。
  15. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物と、熱活性化遅延蛍光材料とを発光層に含む有機EL素子
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