次に、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明する。
図1は、部品実装システム1の構成の概略を示す構成図であり、図2は、部品実装システム1を構成する一の部品実装機10の構成の概略を示す構成図であり、図3は、板状部品18の上面に付されるマークの一例を示す説明図であり、図4は、一の部品実装機10の制御装置70と管理装置80との電気的な接続関係を示す説明図である。なお、本実施形態において、図2の左右方向がX軸方向であり、前後(上下)方向がY軸方向である。
部品実装システム1は、図1に示すように、基板16の搬送方向(基板搬送方向)に並べて配置された複数台の部品実装機10と、部品実装システム全体を管理する管理装置80とを備える。
複数台の部品実装機10は、多数の吸着ノズルを装着可能なヘッド(多ノズルヘッド)を有し比較的小型の部品を高速で実装するものと、少数の吸着ノズルを装着可能なヘッド(多機能ヘッド)を有し比較的大型の部品や異形の部品を実装するものとが配置されており、それぞれ分担作業によって基板16に対して部品を実装する。以下、比較的大型の部品を実装可能な部品実装機10についての詳細を説明する。
部品実装機10は、2ヘッドタイプの実装機として構成されており、その外観としては、図1に示すように、底面に図示しないレベリングボルトが取り付けられた基台11と、基台11に支持された筐体12とを備える。この部品実装機10は、図2に示すように、筐体12(図1参照)の下段部に設けられた支持台14a,14b(これらをまとめて支持台14とも呼ぶ)と、支持台14の前後方向(Y軸方向)中央部に左右方向(X軸方向)に沿って設けられた基板搬送装置30と、基板搬送装置30よりも手前側の支持台14aに対して着脱可能に設置される第1部品供給装置20aと、基板搬送装置30よりも奥側の支持台14bに対して着脱可能に設置される第2部品供給装置20bと、互いに向かい合うように配置され第1部品供給装置20aまたは第2部品供給装置20bから供給された部品を吸着ノズル51で吸着(保持)して基板16上へ実装するための第1ヘッド50aおよび第2ヘッド50bと、第1ヘッド50aをXY方向へ移動させる第1XYロボット40aと、第2ヘッド50bをXY方向へ移動させる第2XYロボット40bと、部品実装機全体の制御を司る制御装置70(図4参照)とを備える。また、この他に、部品実装機10は、第1ヘッド50aに設けられ基板16に付された基板位置決め基準マークや後述する板状部品18に付された方向基準マーク18aおよびIDマーク18bなどを撮像可能な第1マークカメラ56aや、第2ヘッド50bに設けられ同じく基板16に付された基板位置決め基準マークや板状部品18に付された方向基準マーク18aおよびIDマーク18bなどを撮像可能な第2マークカメラ56b、支持台14aにおける第1部品供給装置20a近傍に設けられ第1部品供給装置20aから供給された部品を吸着ノズル51に吸着させた場合にその部品の吸着姿勢を撮像するための第1パーツカメラ62a、支持台14bにおける第2部品供給装置20b近傍に設けられ第2部品供給装置20bから供給された部品を吸着ノズル51に吸着させた場合にその部品の吸着姿勢を撮像するための第2パーツカメラ62b、支持台14aに設けられ第1ヘッド50aおよび第2ヘッド50bに装着する吸着ノズル51をストックするためのノズルステーション64なども備えている。
第1部品供給装置20aは、図2に示すように、部品実装機10の手前側から部品を供給するものであり、トレイによる部品の供給が可能なトレイフィーダ22と、左右方向(X軸方向)に並ぶように整列配置されテープによる部品の供給が可能なテープフィーダ24とを備える。トレイフィーダ22は、基板16に実装する板状部品18が並べられたトレイ19を複数段積み重ねられた段積み状態にて収容し、板状部品18をトレイ19ごと供給するものである。テープフィーダ24は、部品が所定間隔で貼り付けられたテープが巻回されたリールを備え、リールからテープを引き出すことにより部品を供給するものである。
トレイ19に収容されている各板状部品18は、図3に示すように、上面を見たときの外形が略長方形であり、上面の隅部(図3の右上部と左上部)に方向基準マーク18aとIDコード18bとが付されている。ここで、方向基準マーク18aは、トレイ19に収容されている板状部品18の方向(向き)を特定するためのものである。即ち、板状部品18が正規の向きに載置されている場合、方向基準マーク18aは板状部品18上面の右上部で認識され、板状部品18が正規の向きとは逆向きに載置されている場合、方向基準マーク18aは板状部品18上面の左下部で認識される。また、IDコード18bは、板状部品18を識別するための識別情報であり、例えば、2次元コードとすることができる。
第2部品供給装置20bは、図2に示すように、部品実装機10の奥側から部品を供給するものであり、テープフィーダ24と同様に、左右方向(X軸方向)に並ぶように整列配置されテープによる部品の供給が可能なテープフィーダ26を備える。
基板搬送装置30は、図2に示すように、ベルトコンベア装置32を備えており、ベルトコンベア装置32の駆動により基板16を図2の左から右(基板搬送方向)へと搬送する。また、基板搬送装置30の基板搬送方向(X軸方向)中央部には、図示しない昇降装置により昇降可能なバックアッププレート34が設けられており、基板搬送装置30によりバックアッププレート34の上方に基板16が搬送されると、バックアッププレート34を上昇させることで基板16を裏面側からバックアップする。
第1XYロボット40aは、図2に示すように、筐体12の上段部に前後方向(Y軸方向)に沿って設けられた左右一対のY軸ガイドレール41と、左右一対のY軸ガイドレール41に架け渡された状態でY軸ガイドレール41に沿って移動が可能な長尺状の第1Y軸スライダ44aと、第1Y軸スライダ44aの側面に左右方向(X軸方向)に沿って設けられた図示しない第1X軸ガイドレールと、第1X軸ガイドレールに沿って移動が可能な第1X軸スライダ42aとを備える。第1X軸スライダ42aには第1ヘッド50aが取り付けられており、制御装置70は、第1XYロボット40aを駆動制御することにより、XY平面上の可動エリア内で第1ヘッド50aを移動させることができる。また、前述したように、第1ヘッド50aには第1マークカメラ56aが取り付けられているから、制御装置70は、第1XYロボット40aを駆動制御することにより、第1ヘッド50aの可動エリア内の任意の撮像対象物を撮像可能となっている。
第2XYロボット40bは、図2に示すように、第1XYロボット40aと共通のY軸ガイドレール41に架け渡された状態でY軸ガイドレール41に沿って移動が可能な長尺状の第2Y軸スライダ44bと、第2Y軸スライダ44bの側面に左右方向(X軸方向)に沿って設けられた図示しない第2X軸ガイドレールと、第2X軸ガイドレールに沿って移動が可能な第2X軸スライダ42bとを備える。第2X軸スライダ42bには第2ヘッド50bが取り付けられており、制御装置70は、第2XYロボット40bを駆動制御することにより、XY平面上の可動エリア内で第2ヘッド50bを移動させることができる。また、前述したように、第2ヘッド50bには第2マークカメラ56bが取り付けられているから、制御装置70は、第2XYロボット40bを駆動制御することにより、第2ヘッド50bの可動エリア内の任意の撮像対象物を撮像可能となっている。
第1ヘッド50aは、吸着ノズル51をZ軸方向に移動させる第1Z軸アクチュエータ52aと、吸着ノズル51をZ軸周りに回転させる第1θ軸アクチュエータ54aとを備える。また、第2ヘッド50bも、第1ヘッド50aと同様に、第2Z軸アクチュエータ52bと、第2θ軸アクチュエータ54bとを備える。吸着ノズル51の吸引口は、電磁弁57を介して真空ポンプ58およびエア配管59のいずれか一方に選択的に連通している。制御装置70は、吸着ノズル51の吸引口が真空ポンプ58に連通するよう電磁弁57を駆動することで、吸引口に負圧を作用させて部品を吸着することができ、吸着ノズル51の吸引口がエア配管59に連通するよう電磁弁57を駆動することで、吸引口に正圧を作用させて部品の吸着を解除することができる。
第1ヘッド50aの可動エリアは、本実施例では、基板搬送装置30により搬送される基板16の実装領域と、基板搬送装置30よりも手前側の支持台14a上の領域(第1部品供給装置20aの部品供給位置や第1パーツカメラ62a,ノズルステーション64)とが含まれる他、基板搬送装置30よりも奥側の支持台14b上の領域(第2部品供給装置20bの部品供給位置や第2パーツカメラ62b)も含まれている。このため、第1ヘッド50aは、第1部品供給装置20aおよび第2部品供給装置20bの何れからの部品も吸着することができ、吸着した部品を基板16に実装することができる。なお、第1ヘッド50aが第2部品供給装置20bから部品を吸着する場合、制御装置70は、第2XYロボット40bを駆動制御することで、第1ヘッド50aと干渉しない位置まで第2ヘッド50bを退避移動させる。
第2ヘッド50bの可動エリアは、本実施例では、基板搬送装置30により搬送される基板16の実装領域と、基板搬送装置30よりも奥側の支持台14b上の領域(第2部品供給装置20bの部品供給位置や第2パーツカメラ62b)とが含まれる他、基板搬送装置30よりも手前側の支持台14a上の領域(第1部品供給装置20aの部品供給位置や第1パーツカメラ62a,ノズルステーション64)も含まれている。このため、第2ヘッド50bは、第1部品供給装置20aおよび第2部品供給装置20bの何れからの部品も吸着することができ、吸着した部品を基板16に実装することができる。なお、第2ヘッド50bが第1部品供給装置20aから部品を吸着する場合、制御装置70は、第1XYロボット40aを駆動制御することで、第2ヘッド50bと干渉しない位置まで第1ヘッド50aを退避移動させる。
制御装置70は、CPU71を中心としたマイクロプロセッサとして構成されており、CPU71の他に、ROM72と、HDD73と、RAM74と、入出力インターフェース75とを備え、これらはバス76を介して電気的に接続されている。制御装置70には、第1X軸スライダ42aのX軸方向位置を検知する第1X軸位置センサ66a(X軸位置センサ)からの位置信号や、第2X軸スライダ42bのX軸方向位置を検知する第2X軸位置センサ66b(X軸位置センサ)からの位置信号、第1Y軸スライダ44aのY軸方向位置を検知する第1Y軸位置センサ68aからの位置信号、第2Y軸スライダ44bのY軸方向位置を検知する第2Y軸位置センサ68bからの位置信号、第1マークカメラ56aからの画像信号、第2マークカメラ56bからの画像信号、第1パーツカメラ62aからの画像信号、第2パーツカメラ62bからの画像信号などが入出力インターフェース75を介して入力されている。一方、制御装置70からは、第1部品供給装置20aへの制御信号や、第2部品供給装置20bへの制御信号、基板搬送装置30への制御信号、第1X軸スライダ42aを移動させる第1X軸アクチュエータ46aへの駆動信号、第2X軸スライダ42bを移動させる第2X軸アクチュエータ46bへの駆動信号、第1Y軸スライダ44aを移動させる第1Y軸アクチュエータ48aへの駆動信号、第2Y軸スライダ44bを移動させる第2Y軸アクチュエータ48bへの駆動信号、第1Z軸アクチュエータ52aへの駆動信号、第2Z軸アクチュエータ52bへの駆動信号、第1θ軸アクチュエータ54aへの駆動信号、第2θ軸アクチュエータ54bへの駆動信号、電磁弁57への駆動信号などが入出力インターフェース75を介して出力されている。また、制御装置70は、管理装置80と双方向通信可能に接続されており、互いにデータや制御信号のやり取りを行っている。
また、制御装置70は、第1ヘッド50aの吸着ノズル51にトレイフィーダ22(第1部品供給装置20a)のトレイ19から板状部品18を吸着させる場合、吸着に先立って、第1マークカメラ56aが板状部品18の真上に来るよう第1XYロボット40aを駆動制御し、板状部品18上面を第1マークカメラ56aで撮像することで、板状部品18上面に付されている方向基準マーク18aやIDマーク18bを認識し、板状部品18の向きや種類を特定する。また、制御装置70は、第2ヘッド50bの吸着ノズル51にトレイフィーダ22(第1部品供給装置20a)のトレイ19から板状部品18を吸着させる場合、吸着に先立って、第2マークカメラ56bが板状部品18の真上に来るよう第2XYロボット40bを駆動制御し、板状部品18上面を第2マークカメラ56bで撮像することで、板状部品18上面に付されている方向基準マーク18aやIDマーク18bを認識し、板状部品18の向きや種類を特定する。
第1マークカメラ56aおよび第2マークカメラ56bは、何れも、視野が板状部品18上面の領域よりも狭いため、板状部品18上面を複数回に分けて撮像する。本実施例では、制御装置70は、トレイフィーダ22から板状部品18が正規の方向で供給されている場合、板状部品18上面の右上部に方向基準マーク18aが位置し、左上部にIDマーク18bが位置する一方、トレイフィーダ22から板状部品18が正規の方向とは逆方向で供給されている場合、板状部品18上面の左下部に方向基準マーク18aが位置し、右下部にIDマーク18bが位置することとなる。したがって、板状部品18上面において、方向基準マーク18aまたはIDマーク18bが付されている可能性のあるの複数の領域(右上部,右下部,左上部,左下部)にそれぞれマークカメラ(第1マークカメラ56aまたは第2マークカメラ56b)の視野が収まるようにヘッド(第1ヘッド50aまたは第2ヘッド50b)を移動させながら撮像を行うことにより、板状部品18上面に付されている方向基準マーク18aやIDマーク18bを認識することができる。
管理装置80は、例えば、汎用のコンピュータであり、CPU81とROM82とHDD83とRAM84と入出力インターフェース85などを備え、これらはバス86を介して電気的に接続されている。この管理装置80には、マウスやキーボード等の入力デバイス87から入力信号が入出力インターフェース85を介して入力され、管理装置80からは、ディスプレイ88への画像信号が入出力インターフェース85を介して出力されている。HDD83は、基板16の生産計画を記憶している。ここで、基板16の生産計画とは、各部品実装機10においてどの部品をどの順番で基板16へ実装するか、また、そのように部品を実装した基板16を何枚作製するかなどを定めた計画をいう。この生産計画には、使用するヘッド50に関するヘッド情報や使用する吸着ノズル51に関するノズル情報、実装する部品に関する部品情報、各部品の実装位置に関する実装位置情報などが含まれている。また、生産計画には、基板16に板状部品18を実装する場合に、その板状部品18上面における方向基準マーク18aやIDマーク18bが付されている可能性のある位置(領域)を示すマーク位置情報なども含まれている。マーク位置情報は、第1マークカメラ56aまたは第2マークカメラ56bでこれらのマークを撮像する際の撮像位置の決定に用いられる。生産計画は、作業者が入力デバイス87を操作することにより管理装置80に入力される。管理装置80は、生産計画にしたがって各基板16の配線パターン上に部品が実装されるよう各部品実装機10へ指令信号を出力する。
次に、こうして構成された本実施形態の部品実装機10における動作について説明する。図5は、部品実装機10の制御装置70により実行される部品実装処理の一例を示すフローチャートである。この処理は、管理装置80から生産計画に基づいて指令信号を受信したときに実行される。
部品実装処理が実行されると、制御装置70のCPU71は、まず、今回の実装に係る使用ヘッドが第1ヘッド50aであるか否かを判定する(S100)。CPU71は、使用ヘッドが第1ヘッド50aであると判定すると、第1撮像順序を実行撮像順序に設定し(S110)、使用ヘッドが第2ヘッド50bであると判定すると、第2撮像順序を実行撮像順序に設定する(S120)。そして、CPU71は、設定した実行撮像順序に従ってマークカメラを撮像位置まで移動させた後、撮像を行い、得られた撮像画像に基づきマーク(方向基準マーク18aおよびIDマーク18b)の存在を認識する撮像動作を、方向基準マーク18aまたはIDマーク18bが存在する可能性のある全ての領域の撮像が完了するまで繰り返し実行する(S130〜S160)。
図6は撮像順序の一例を示す説明図である。図6(a)は使用ヘッドが第1ヘッド50aである場合の撮像順序(第1撮像順序)を示し、図6(b)は使用ヘッドが第2ヘッド50bである場合の撮像順序(第2撮像順序)を示す。また、図6の板状部品18内に表示された矩形の点線領域はマークカメラ56a,56bの視野を示し、矩形の点線領域内の数字は撮像順序を示す。なお、図6では、マークカメラ56a,56bの視野や撮像順序をわかりやすく表示するため、板状部品18を実際よりも大きく表示した。図6に示すように、第1撮像順序は、第1ヘッド50aが板状部品18の4隅をそれぞれ第1マークカメラ56aで撮像する場合、最後(4回目)の撮像時に、第1ヘッド50aに装着された吸着ノズル51が板状部品18の吸着位置(図中、十字線が交差するポイント)に最も近づくように定められ、第2撮像順序は、第2ヘッド50bが板状部品18の4隅をそれぞれ第2マークカメラ56bで撮像する場合、最後(4回目)の撮像時に、第2ヘッド50bに装着された吸着ノズル51が板状部品18の吸着位置(図中、十字線が交差するポイント)に最も近づくように定められている。これにより、撮像動作の完了後、吸着ノズル51を迅速に板状部品18の吸着位置の真上へ移動させることができるから、撮像動作から吸着動作への移行をスムーズに行うことができる。ここで、第1ヘッド50aと第2ヘッド50bは互いに向かい合うように配置されているから、図6に示すように、第1ヘッド50aの第1マークカメラ56aと吸着ノズル51との位置関係と、第2ヘッド50bの第2マークカメラ56bと吸着ノズル51との位置関係とが互いに異なっている。このため、第1ヘッド50aの吸着ノズル51と第2ヘッド50bの吸着ノズル51とが同じトレイフィーダ22から板状部品18を吸着する場合、同じ撮像順序(例えば、第1撮像順序)で撮像動作を行うと、一方のヘッド(第1ヘッド50a)を使用するときには最後の撮像時に吸着ノズル51が板状部品18の吸着位置に最も近づくが、他方のヘッド(第2ヘッド50b)を使用するときには最後の撮像時に吸着ノズル51が板状部品18の吸着位置から遠ざかってしまう。使用ヘッドによって撮像順序が異なるのは、こうした理由に基づく。
なお、本実施例では、CPU71は、S130〜S160に示すように、方向基準マーク18aまたはIDマーク18bが存在する可能性のある全ての領域の撮像が完了するまで使用ヘッドの移動と撮像と画像処理とを繰り返し実行するものとしたが、画像処理にてマーク(方向基準マーク18aおよびIDマーク18b)の存在が認識された時点で撮像動作を終了し、S170の処理へ移行するものとしてもよい。
CPU71は、こうして撮像動作を行うと、S150の画像処理によって撮像画像から方向基準マーク18aおよびIDマーク18bが認識されたか否かを判定し(S170)、方向基準マーク18aが認識されなかったと判定すると、認識エラーを出力して(S180)、部品実装処理を終了する。なお、S180の処理は、管理装置80に認識エラーに関するエラー情報を送信することにより行う。エラー情報を受信した管理装置80は、ディスプレイ88上に警告画面を表示すると共に警告音を発することで、オペレータに対して認識エラーの報知を行う。なお、認識エラーは、部品そのものが存在しない場合と、部品は存在するがマーク部分の汚れや擦れなどにより読み取りが失敗した場合などが考えられる。一方、CPU71は、方向基準マーク18aおよびIDマーク18bが認識されたと判定すると、認識されたIDマーク18bに基づいて撮像した部品(板状部品18)が正規部品であるか否かを判定する(S190)。
CPU71は、撮像した部品が正規部品でないと判定すると、部品種類違いエラーを出力して(S200)、部品実装処理を終了する。なお、S200の処理は、管理装置80に部品種類違いエラーに関するエラー情報を送信することにより行う。エラー情報を受信した管理装置80は、ディスプレイ88上に警告画面を表示すると共に警告音を発することで、オペレータに対して部品種類違いエラーの報知を行う。一方、CPU71は、撮像した部品が正規部品であると判定すると、S150で認識した方向基準マーク18aに基づいて板状部品18の方向(向き)を判定する部品方向判定を行う(S210)。本実施例では、方向基準マーク18aが板状部品18の右上部で認識されると、板状部品18の方向は正規の方向であり、方向基準マーク18aが板状部品18の左下部で認識されると、板状部品18の方向は正規の方向とは逆方向である。
CPU71は、S210の部品方向判定の結果、板状部品18の方向が正規の方向であると判定すると(S220)、使用ヘッドの吸着ノズル51を板状部品18の吸着位置へ移動させ、その後、吸着ノズル51を板状部品18に吸着させる吸着動作を行う(S230,S240)。吸着動作は、具体的には、CPU71が、使用ヘッドの吸着ノズル51が吸着位置の真上に来るよう使用ヘッドに対応するXYロボット(第1XYロボット40aまたは第2XYロボット40b)を駆動制御した後、吸着ノズル51の吸引口が板状部品18の吸着位置に当接するまで吸着ノズル51が下降するよう使用ヘッドに対応するZ軸アクチュエータ(第1Z軸アクチュエータ52aまたは第2Z軸アクチュエータ52b)を駆動制御し、吸着ノズル51の吸引口に負圧が作用するよう電磁弁57を駆動制御する処理となる。こうして吸着動作を行うと、CPU71は、吸着した板状部品18を基板16の実装位置へ移動させて実装する実装動作を行って(S250)、部品実装処理を終了する。実装動作は、具体的には、CPU71が、使用ヘッドの吸着ノズル51が基板16の実装位置の真上に来るよう使用ヘッドに対応するXYロボット(第1XYロボット40aまたは第2XYロボット40b)を駆動制御した後、吸着ノズル51に吸着させた板状部品18が基板16の実装位置に当接するまで吸着ノズル51が下降するよう使用ヘッドに対応するZ軸アクチュエータ(第1Z軸アクチュエータ52aまたは第2Z軸アクチュエータ52b)を駆動制御し、吸着ノズル51の吸引口に正圧が作用するよう電磁弁57を駆動制御することにより、板状部品18を基板16上に実装する処理となる。なお、板状部品18の吸着位置から基板16の実装位置への移動は、第1パーツカメラ62aの上方を通過するようにして行われる。制御装置70は、板状部品18が第1パーツカメラ62aの上方を通過する際に、第1パーツカメラ62aで板状部品18の下面を撮像し、得られた撮像画像を処理して板状部品18の吸着ずれ量を算出し、算出した吸着ずれ量に基づいて実装位置を補正する。
CPU71は、S210の部品方向判定の結果、板状部品18の方向が正規の方向でないと判定すると(S220)、部品方向違いエラーを出力して(S260)、実装動作を行うことなく、部品実装処理を終了する。なお、S260の処理は、管理装置80に部品方向違いエラーに関するエラー情報を送信することにより行う。エラー情報を受信した管理装置80は、ディスプレイ88上に警告画面を表示すると共に警告音を発することで、オペレータに対して部品方向違いエラーの報知を行う。
以上説明した本実施例の部品実装機10によれば、ヘッド(第1ヘッド50a,第2ヘッド50b)に設けられたマークカメラ(第1マークカメラ56a,第2マークカメラ56b)で部品(板状部品18)を複数回に分けて撮像することにより、部品に付されたマーク(方向基準マーク18a)を認識して部品の方向や種類を特定し、その後、ヘッドに設けられた吸着ノズル51を部品(板状部品18)の吸着位置へ移動させて部品を吸着し基板16の実装位置へ実装するものにおいて、部品を撮像する撮像順序を、複数回の撮像のうち最後の撮像時に吸着ノズル51が吸着位置へ最も近づくように決定する。これにより、撮像動作から吸着動作への移動をスムーズに行うことができるから、実装効率をより向上させることができる。しかも、互いに向かい合う第1ヘッド50aと第2ヘッド50bを有し、使用ヘッドが第1ヘッド50aであるか第2ヘッド50bであるかによって、撮像順序を異ならせたから、使用ヘッドに応じて最適な撮像順序を設定することができ、使用ヘッドに拘わらず、撮像動作から吸着動作への移動をスムーズに行って、実装効率を向上させることができる。
次に、変形例の部品実装処理について説明する。図7は、変形例の部品実装処理を示すフローチャートである。なお、図7の部品実装処理の各処理のうち図5の部品実装処理と同じ処理については同じステップ番号を付し、その説明は重複するから省略する。図7の部品実装処理が実行されると、管理装置70のCPU71は、まず、使用ヘッドのマークカメラの現在位置を取得する(S300)。S300の処理は、具体的には、使用ヘッドが第1ヘッド50aである場合には、第1X軸位置センサ66aの検出信号と第1Y軸位置センサ68aの検出信号とに基づいてXY平面上の位置を取得し、使用ヘッドが第2ヘッド50bである場合には、第2X軸位置センサ66bの検出信号と第2Y軸位置センサ68bの検出信号とに基づいてXY平面上の位置を取得することにより行うことができる。続いて、CPU71は、板状部品18を複数回撮像する際の使用ヘッドの移動距離(ヘッド移動距離)を複数の撮像順序候補毎に算出する(S320)。ここで、撮像順序候補とは、図8に示すように、板状部品18を複数回撮像(変形例では、長方形の板状部品18の各隅部を4回に分けて撮像)する際に取り得る撮像順序の組み合わせをいい、変形例では、複数回のうち最後に撮像する際の撮像位置(撮像終了位置)を、吸着ノズル51が板状部品18の吸着位置に最も近づくように定めた。S320の処理は、具体的には、マークカメラの現在位置から撮像開始位置までの使用ヘッドの移動距離と、撮像開始位置から撮像終了位置までの使用ヘッドの移動距離との和を、各撮像順序候補毎に算出することにより行うことができる。そして、CPU71は、ヘッド移動距離が最も短い撮像順序候補を実行撮像順序に設定して(S320)、S130以降の処理(撮像動作,吸着動作,実装動作)を行う。
こうした変形例の部品実装処理によれば、板状部品18の方向基準マーク18aやIDマーク18bを撮像する際に、使用ヘッドを最短経路で移動させることができるため、撮像動作を短時間で効率よく行うことができる。なお、変形例の部品実装処理では、マークカメラの現在位置から撮像開始位置までの使用ヘッドの移動距離と、撮像開始位置から撮像終了位置までの使用ヘッドの移動距離との和が最も短い撮像順序候補を実行撮像順序に設定したが、これに限定されるものではなく、撮像開始位置から撮像終了位置までの使用ヘッドの移動距離が最も短い撮像順序候補を実行撮像順序に設定するものとしてもよい。
本実施例の部品実装機10では、板状部品18の方向が正規の方向でないと判定すると、部品方向違いエラーを出力するものとしたが、これに限定されるものではなく、吸着ノズル51に板状部品18を吸着させた後、θ軸アクチュエータを駆動制御する(使用ヘッドが第1ヘッド50aである場合には第1θ軸アクチュエータ54aを駆動制御し、使用ヘッドが第2ヘッド50bである場合には第2θ軸アクチュエータ54bを駆動制御する)ことにより、板状部品18が正規の方向を向くように吸着ノズル51を回転させるものとしてもよい。
本実施例の部品実装機10では、吸着動作の前に実行する撮像動作(図5の部品実装処理のS130〜S160)にて、吸着対象の1つの部品(吸着対象部品)を撮像するものとしたが、これに限定されるものではなく、吸着動作の前に実行する撮像動作にて、吸着対象部品を含む複数個の部品をまとめて撮像するものとしてもよい。この場合、図9に示すように、まとめて撮像する吸着対象部品を含む複数個の部品の各撮像位置のうち撮像終了位置(最後に撮像する撮像位置)が、吸着ノズル51が吸着対象部品の吸着位置に最も近づく撮像位置となるよう撮像順序を設定するものとしてもよい。また、まとめて撮像する複数個の部品の各撮像位置のうち撮像開始位置(最初に撮像する撮像位置)から撮像終了位置(最後に撮像する撮像位置)までの使用ヘッドの移動距離、或いは、マークカメラの現在位置から撮像開始位置までの使用ヘッドの移動距離と撮像開始位置から撮像終了位置までの使用ヘッドの移動距離との和が最も短くなる撮像順序を設定するものとしてもよい。
本実施例の部品実装機10では、部品(板状部品18)に付された方向基準マーク18aを撮像して認識することで部品の方向を特定し、部品(板状部品18)に付されたIDマーク18bを撮像して認識することで部品の種類を特定するものとしたが、これに限定されるものではなく、部品に方向基準マーク18aとIDマーク18bの何れか一方のみが付されたものに適用するものとしてもよいし、他のマークが付されたものに適用するものとしてもよい。また、IDマーク18bを方向基準マークとしても用いるものとしてもい。
本実施例の部品実装機10では、第1ヘッド50aと第2ヘッド50bとを備える2ヘッドタイプの実装機として構成したが、ヘッドの数は2つに限定されるものではなく、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。前者の場合、図5の部品実装処理のS100〜S120の処理を省略し、複数回の撮像のうち最後の撮像時に吸着ノズル51が部品の吸着位置に最も近づくように実行撮像順序を設定すればよい。即ち、1つのヘッドが実施例の第1ヘッド50aと同じ向きに配置されている場合、第1撮像順序を実行撮像順序とすればよい。
本実施例の部品実装機10では、略長方形の板状部品18を実装動作の実行前に複数回撮像するものとしたが、これに限定されるものではなく、略正方形の部品や円形の部品など、如何なる形状の部品にも適用可能である。
ここで、本実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。即ち、部品実装機10が「部品実装機」に相当し、基板16が「実装対象物」に相当し、第1ヘッド50aまたは第2ヘッド50bが「ヘッド」に相当し、吸着ノズル51が「保持部材」に相当し、第1マークカメラ56aまたは第2マークカメラ56bが「撮像手段」に相当し、図5の部品実装処理のS230,S240の処理を実行する制御装置70のCPU71が「保持制御手段」に相当し、部品実装処理のS250の処理を実行する制御装置70のCPU71が「実装制御手段」に相当し、部品実装処理のS100〜S160の処理を実行する制御装置70のCPU71が「撮像制御手段」に相当する。また、第1ヘッド50aが「第1のヘッド」に相当し、第2ヘッド50bが「第2のヘッド」に相当する。
なお、本発明は上述した実施例に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。