次に、本発明を実施するための形態について説明する。
図1は、部品実装システム1の構成の概略を示す構成図であり、図2は、部品実装システム1を構成する一の部品実装機10の構成の概略を示す構成図であり、図3は、一の部品実装機10の制御装置70と管理装置80との電気的な接続関係を示す説明図である。なお、本実施形態において、図2の左右方向がX軸方向であり、前後方向がY軸方向であり、上下方向がZ軸方向である。
部品実装システム1は、図1に示すように、スキージによりスクリーン上のはんだをローリングさせながらスクリーンに形成されたパターン孔に押し込むことでそのパターン孔を介して下方の回路基板60(以下、単に「基板」と呼ぶ)に配線パターンを印刷する複数台のスクリーン印刷機2と、部品供給装置16により供給される図示しない電子部品P(以下、単に「部品」と呼ぶ)をピックアップして基板60の配線パターンに実装する複数台の部品実装機10と、部品実装システム全体を管理する管理装置80とを備える。
複数台の部品実装機10は、多数の吸着ノズルを装着可能なヘッド(多ノズルヘッド)を有し比較的小型の部品Pを高速で実装するものと、少数の吸着ノズルを装着可能なヘッド(多機能ヘッド)を有し比較的大型の部品Pや異形の部品Pを実装するものとが配置されており、それぞれ分担作業によって基板60に部品Pを実装する。部品実装機10は、図2に示すように、部品Pを供給する部品供給装置16と、基板60を搬送する基板搬送装置20と、基板搬送装置20により搬送された基板60を裏面側からバックアップするバックアップ装置30と、吸着ノズル51によって部品Pをピックアップして基板60上へ実装するためのヘッド50と、ヘッド50をXY方向へ移動させるXYロボット40と、基板60に付された各種マークを撮像可能なマークカメラ46と、吸着ノズル51に吸着された部品を撮像可能なパーツカメラ48と、複数の吸着ノズル51をストックしておくためのノズルステーション49と、部品実装機全体の制御を司る制御装置70(図3参照)とを備える。基板搬送装置20とバックアップ装置30とヘッド50とXYロボット40とは、基台11上に設置された本体枠12内に収容されている。
部品供給装置16は、本体枠12の前面部に形成されたフィーダ台14に、左右方向(X軸方向)に並ぶように整列配置されたフィーダ18を備える。フィーダ18は、部品Pが所定ピッチで収容されたキャリアテープを吸着ノズル51がピックアップ可能な部品供給位置まで送り出すテープフィーダである。なお、キャリアテープは、図示しないが、所定ピッチでキャビティー(凹部)が形成されたボトムテープと、各キャビティーに部品Pが収容された状態でボトムテープを覆うトップフィルムとにより構成されている。フィーダ18は、リールに巻回されたキャリアテープを引き出して部品供給位置へ送り出し、部品供給位置の手前でボトムテープからトップフィルムを剥がすことにより、部品供給位置にて部品Pを露出状態、即ちピックアップ可能な状態とする。
基板搬送装置20は、図2に示すように、2つの基板搬送路が設けられたデュアルレーン方式の搬送装置として構成されており、本体枠12の中段部に設けられた支持台13上に配置されている。各基板搬送路には、ベルトコンベア装置22を備えており、ベルトコンベア装置22の駆動により基板60を図2の左から右(基板搬送方向)へと搬送する。
バックアップ装置30は、図示しない昇降装置により昇降可能に設置されたバックアッププレート32と、バックアッププレート32に立設された複数のバックアップピン34とを備える。このバックアップ装置30は、基板搬送装置20によりバックアッププレート32の上方に基板60が搬送された状態でバックアッププレート32を上昇させることで基板60を裏面側からバックアップする。
XYロボット40は、図2に示すように、本体枠12の上段部にY軸方向に沿って設けられたY軸ガイドレール43と、Y軸ガイドレール43に沿って移動が可能なY軸スライダ44と、Y軸スライダ44の下面にX軸方向に沿って設けられたX軸ガイドレール41と、X軸ガイドレール41に沿って移動が可能なX軸スライダ42とを備える。X軸スライダ42の下面には、前述したマークカメラ46が取り付けられている。マークカメラ46は、XYロボット40を駆動制御することにより、バックアップ装置30によりバックアップされた基板60表面の任意の位置を撮像可能となっている。
図4は、基板60の構成の概略を示す構成図である。基板60は、本実施形態では、分割溝によって区切られた複数の子基板65(ブロック)を有する集合基板である。部品実装システム1は、スクリーン印刷機2により複数の子基板65に対して配線パターンを印刷し、部品実装機10により各子基板65の配線パターン上に部品Pを実装した後、分割溝に沿って基板60を分割することにより部品Pが実装された複数の子基板65を作製することができる。なお、複数の子基板65は、基板60における複数の作業領域を構成する。
基板60は、対角をなす2つの隅部(図4の左上部と右下部)に基板位置基準マーク62が付されている。これらの基板位置基準マーク62は、バックアップ装置30によって基板60が位置決めされた際に、基板60の位置情報を取得するためのものである。即ち、部品実装機10は、XYロボット40を制御してマークカメラ46の視野内に2つの基板位置基準マーク62の一方が収まるようにX軸スライダ42およびY軸スライダ44を移動させてマークカメラ46を駆動して基板位置基準マーク62の一方を撮像し、XYロボット40を制御してマークカメラ46の視野内に2つの基板位置基準マーク62の他方が収まるようにX軸スライダ42およびY軸スライダ44を移動させてマークカメラ46を駆動して基板位置基準マーク62の他方を撮像し、それぞれ得られた画像を処理して基板60の表面に平行なXY平面における基板60の位置ずれ量(Δxs,Δys,Δθs)を算出する。ここで、「Δxs」はXY平面内において予め規定された基準位置に対するX軸方向の位置ずれ量を示し、「Δys」はXY平面内の基準位置に対するY軸方向の位置ずれ量を示し、「Δθs」はXY平面内における回転方向の位置ずれ量を示す。
また、基板60は、隅部(図4の左上部)に基板IDマーク64が付されている。基板IDマーク64は、基板60を識別するための識別情報であり、例えば、2次元コードとすることができる。基板IDマーク64は、基板位置基準マーク62の一つと隣接するように付されている。このため、マークカメラ46は、基板位置基準マーク62の一つおよび基板IDマーク64をまとめて視野内に収めることができ、基板位置基準マーク62の一つおよび基板IDマーク64を一度に撮像することが可能である。
複数の子基板65は、対角をなす2つの隅部(図4の左上部と右下部)に子基板位置基準マーク66がそれぞれ付されている。これらの子基板位置基準マーク66は、バックアップ装置30によって基板60が位置決めされた際に、子基板65の位置情報を取得するためのものである。即ち、部品実装機10は、XYロボット40を制御してマークカメラ46の視野内に2つの子基板位置基準マーク66の一方が収まるようにX軸スライダ42およびY軸スライダ44を移動させてマークカメラ46を駆動して子基板位置基準マーク66の一方を撮像し、XYロボット40を制御してマークカメラ46の視野内に2つの子基板位置基準マーク66の他方が収まるようにX軸スライダ42およびY軸スライダ44を移動させてマークカメラ46を駆動して子基板位置基準マーク66の他方を撮像し、それぞれ得られた画像を処理して子基板65の表面に平行なXY平面における子基板65の位置ずれ量(Δx_i,Δy_i,Δθ_i)を算出する。部品実装機10は、これらの動作および処理を複数の子基板65のそれぞれに対して行う。ここで、「Δx_i」はXY平面内の基準位置に対するX軸方向の位置ずれ量を示し、「Δy_i」はXY平面内の基準位置に対するY軸方向の位置ずれ量を示し、「Δθ_i」はXY平面における回転方向の位置ずれ量を示す。なお、「i」は子基板65を特定するための番号であり、1つの基板60に対して子基板65がn個含まれる場合、1〜nのいずれかの整数値となる。
また、複数の子基板65は、それぞれ特定位置(図4の右上部)にスキップマーク68が付される。このスキップマーク68は、不具合が生じている子基板65に対して作業を行わない(部品Pを実装しない)ことを指示するためのものであり、予め子基板65毎に選択的に付される。即ち、部品実装機10は、XYロボット40を制御してマークカメラ46の視野内に特定位置(スキップマーク68が付される可能性のある位置)が収まるようにX軸スライダ42およびY軸スライダ44を移動させ、マークカメラ46を駆動して特定位置を撮像し、得られた画像を処理して特定位置にスキップマーク68が付されているか否かを判定する。部品実装機10は、これらの動作および処理を複数の子基板65のそれぞれに対して行う。そして、部品実装機10は、スキップマーク68が付されていないと判断した子基板65に対しては部品Pを実装し、スキップマーク68が付されていると判断した子基板65に対しては部品Pを実装しない。
子基板位置基準マーク66およびスキップマーク68は子基板65毎に付され、マークの数が多くなるため、これらのマークの読み取りに要する時間は、基板位置基準マーク62および基板IDマーク64の読み取りに要する時間に比して長くなっている。ここで、子基板位置基準マーク66を読み取って得られる子基板位置情報とスキップマーク68を読み取って得られるスキップ情報とが「作業情報」に相当する。
制御装置70は、CPU71を中心としたマイクロプロセッサとして構成されており、CPU71の他に、ROM72と、HDD73と、RAM74と、入出力インターフェース75とを備え、これらはバス76を介して電気的に接続されている。制御装置70には、X軸スライダ42の位置を検知するX軸位置センサ42aからの位置信号やY軸スライダ44の位置を検知するY軸位置センサ44aからの位置信号、マークカメラ46からの画像信号、パーツカメラ48からの画像信号などが入出力インターフェース75を介して入力されている。一方、制御装置70からは、部品供給装置16への制御信号や基板搬送装置20への制御信号、バックアップ装置30への制御信号、X軸スライダ42を移動させるX軸アクチュエータ42bへの駆動信号、Y軸スライダ44を移動させるY軸アクチュエータ44bへの駆動信号、吸着ノズル51をZ軸方向へ移動させるZ軸アクチュエータ52への駆動信号、吸着ノズル51を回転させるθ軸アクチュエータ54への駆動信号などが入出力インターフェース75を介して出力されている。また、制御装置70は、管理装置80と通信ネットワーク90を介して双方向通信可能に接続されており、互いにデータや制御信号のやり取りを行っている。
管理装置80は、例えば、汎用のコンピュータであり、CPU81とROM82とHDD83とRAM84と入出力インターフェース85などを備え、これらはバス86を介して電気的に接続されている。この管理装置80には、マウスやキーボード等の入力デバイス87から入力信号が入出力インターフェース85を介して入力され、管理装置80からは、ディスプレイ88への画像信号が入出力インターフェース85を介して出力されている。HDD83は、基板60の生産計画を記憶している。ここで、基板60の生産計画とは、スクリーン印刷機2においてどの基板60に配線パターンを印刷するか、各部品実装機10においてどの部品Pをどの順番で基板60へ実装するか、また、そのように部品Pを実装した基板60を何枚作製するかなどを定めた計画をいう。この生産計画には、使用するヘッド50に関するヘッド情報や使用する吸着ノズル51に関するノズル情報、実装する部品Pに関する部品情報、各部品Pの実装位置(x,y,θ)に関する実装位置情報などが含まれている。また、生産計画には、これから生産する基板60のどの位置に基板位置基準マーク62や基板IDマーク64が付されているかのマーク位置情報や、基板60に含まれる各子基板65のどの位置に子基板位置基準マーク66やスキップマーク68が付されているかのマーク位置情報なども含まれている。マーク位置情報は、マークカメラ46でこれらのマークを撮像する際のマークカメラ46の位置決定に用いられる。この生産計画は、作業者が入力デバイス87を操作することにより管理装置80に入力される。管理装置80は、生産計画にしたがって基板60の各子基板65に対して配線パターンが印刷されるようスクリーン印刷機2へ指令信号を出力すると共に、各子基板65の配線パターン上に部品Pが実装されるよう各部品実装機10へ指令信号を出力する。
次に、こうして構成された本実施形態の部品実装システム1において、複数台の部品実装機10のうち先頭の部品実装機10による実装動作について説明する。図5は、先頭の部品実装機10の制御装置70により実行される第1部品実装処理の一例を示すフローチャートである。この処理は、管理装置80から生産計画に基づいて指令信号を受信したときに実行される。
第1部品実装処理が実行されると、制御装置70のCPU71は、まず、基板搬送装置20を制御して基板60をバックアップ装置30の上方まで搬入した後、基板60の裏面側をバックアップするようバックアップ装置30を制御する(ステップS100)。これにより、基板60はバックアップ装置30にて位置決めされることとなる。続いて、CPU71は、基板60から基板IDを読み取る基板ID読取処理と(ステップS102)、基板位置情報を読み取る基板位置情報読取処理と(ステップS104)を実行する。ここで、基板ID読取処理は、受信した生産計画に含まれる基板IDマーク64の位置情報に基づいてマークカメラ46の視野内に基板IDマーク64が収まるようマークカメラ46を移動させた後、マークカメラ46により基板60(基板IDマーク64)を撮像し、得られた画像から基板IDを抽出することにより行われる。また、基板位置情報読取処理は、受信した生産計画に含まれる基板位置基準マーク62のマーク位置情報に基づいて、マークカメラ46の視野内に2つの基板位置基準マーク62の一方が収まるようマークカメラ46を移動させてからマークカメラ46により基板60(基板位置基準マーク62の一方)を撮像し、マークカメラ46の視野内に基板位置基準マーク62の他方が収まるようマークカメラ46を移動させてからマークカメラ46により基板60(基板位置基準マーク62の他方)を撮像し、それぞれ得られた画像を処理して予め規定された基準位置に対する基板60の位置ずれ量(Δxs,Δys,Δθs)を算出することにより行われる。なお、2つの基板位置基準マーク62のうちの1つは基板IDマーク64に隣接して設けられており、マークカメラ46はこれら2つのマークを同時に視野内に収めて同時に撮像することが可能である。したがって、CPU71は、基板ID読取処理でマークカメラ46により基板60(基板IDマーク64)を撮像して得られた画像に基づいて、基板位置基準マーク62も読み取ることが可能であり、読取処理をより効率よく行うことができる。
こうして基板ID読取処理と基板位置情報読取処理とを実行すると、CPU71は、各子基板65に対する作業情報(子基板位置情報およびスキップ情報)を読み取る作業情報読取処理を実行する(ステップS106)。作業情報読取処理は、図6のフローチャートに示すように、全ての子基板65に対して作業情報の読み取りが完了するまで、読み取り対象の子基板65を順次切り替えながら、子基板65から子基板位置情報を読み取る子基板位置情報読取処理と、スキップ情報を読み取るスキップ情報読取処理とを繰り返し実行することにより行うことができる(ステップS150〜S154)。ここで、子基板位置情報読取処理は、受信した生産計画に含まれる子基板位置基準マーク66のマーク位置情報に基づいて、マークカメラ46の視野内に2つの子基板位置基準マーク66の一方が収まるまでマークカメラ46を移動させてからマークカメラ46により子基板65(子基板位置基準マーク66の一方)を撮像し、マークカメラ46の視野内に子基板位置基準マーク66の他方が収まるまでマークカメラ46を移動させてからマークカメラ46により子基板65(子基板位置基準マーク66の他方)を撮像し、それぞれ得られた画像を処理して予め規定された基準位置に対する子基板65の位置ずれ量(Δx_i,Δy_i,Δθ_i)を算出することにより行われる。また、スキップ情報読取処理は、受信した生産計画に含まれるスキップマーク68の位置情報に基づいてマークカメラ46がスキップマーク68が付される可能性のある特定位置までマークカメラ46を移動させた後、マークカメラ46により特定位置を撮像し、得られた画像からスキップマーク68を抽出することにより行われる。スキップ情報読取処理は、撮像された画像からスキップマーク68が抽出できた場合には子基板65にスキップマーク68が付されていたことを示すスキップマークあり情報をスキップ情報としてRAM74に記憶し、撮像された画像からスキップマーク68が抽出できなかった場合には子基板65にスキップマーク68が付されていなかったことを示すスキップマークなし情報をスキップ情報としてRAM74に記憶する。
こうして作業情報(子基板位置情報とスキップ情報)を読み取ると、CPU71は、複数の子基板65のうち今回の実装対象の子基板65(子基板番号が「i」の子基板65)に対応するスキップ情報がスキップマークあり情報であるか否かを判定する(ステップS108)。CPU71は、スキップ情報がスキップマークあり情報であると判定、即ち、実装対象の子基板65につき、ステップS152のスキップ情報読取処理によりスキップマーク68を読み取ることができたと判定すると、後述するステップS110〜S118の部品実装作業を行うことなく、ステップS120の処理に進む。一方、CPU71は、スキップ情報がスキップマークなし情報であると判定、即ち、実装対象の子基板65につき、ステップS152のスキップ情報読取処理によりスキップマーク68を読み取ることができなかったと判定すると、XYロボット40とZ軸アクチュエータ52とを制御すると共に吸着ノズル51の吸引口に負圧を作用させて吸着ノズル51に部品Pを吸着させ(ステップS110)、XYロボット40を制御して吸着ノズル51に吸着させた部品Pをパーツカメラ48の上方へ移動させてパーツカメラ48により部品Pを撮像する(ステップS112)。CPU71は、部品Pを撮像すると、得られた画像を処理して部品Pの吸着ずれ量(X軸方向の位置ずれ量Δxp,Y軸方向の位置ずれ量Δyp,回転方向の位置ずれ量Δθp)を算出し、ステップS152で読み取った子基板65の位置ずれ量(Δx_i,Δy_i,Δθ_i)と算出した吸着ずれ量(Δxp,Δyp,Δθp)とに基づいて、生産計画によって予め指定された実装位置(x,y,θ)を補正する(ステップS114)。
CPU71は、実装位置を補正すると、補正した実装位置に部品Pが実装されるようXYロボット40(X軸アクチュエータ42bおよびY軸アクチュエータ44b)とZ軸アクチュエータ52とθ軸アクチュエータ54とを駆動制御する(ステップS116)。そして、CPU71は、全ての部品Pの実装が完了したか否かを判定し(ステップS118)、全ての部品Pの実装が完了していないと判定すると、ステップS110に戻って、ステップS110〜S116の部品実装作業を繰り返し、全ての部品Pの実装が完了したと判定すると、全ての子基板65に対して部品実装作業(作業をスキップした子基板65も含む)が完了したか否かを判定する(ステップS120)。CPU71は、全ての子基板65に対して部品実装作業が完了していないと判定すると、ステップS108に戻って、次の子基板65を実装対象に指定してステップS108〜S118の処理を繰り返す。一方、CPU71は、全ての子基板65に対して部品実装作業が完了したと判定すると、基板60(集合基板)における子基板65の相対位置情報を導出し(ステップS122)、ステップS102で読み取った基板IDとステップS152で読み取ったスキップ情報と導出した相対位置情報とを管理装置80へ送信する(ステップS124)。ここで、相対位置情報は、基板60の基板位置基準マーク62を基準とした各子基板65の相対位置(dx_i,dy_i,dθ_i)を規定するものであり、基板位置に基づき推定される子基板位置とステップS150にて実際に読み取った子基板位置との差分をとることにより導出することができる。また、ステップS124で制御装置70から送信された基板IDとスキップ情報と相対位置情報とを受信した管理装置80は、図7に示すように、スキップ情報と相対位置情報とを基板IDと関連付けてHDD83に記憶させる。そして、CPU71は、バックアップ装置30を制御して基板60のバックアップを解除した後、基板搬送装置20を制御して基板60を払い出して(ステップS126)、第1部品実装処理を終了する。
次に、複数台の部品実装機10のうち先頭よりも後方(下流)の部品実装機10の実装動作について説明する。図8は、下流の部品実装機10の制御装置70により実行される第2部品実装処理の一例を示すフローチャートである。この処理は、管理装置80から生産計画に基づいて指令信号を受信したときに実行される。
第2部品実装処理が実行されると、制御装置70のCPU71は、まず、第1部品実装処理のステップS100〜S104と同様に、基板60を搬入した後、基板60の裏面側をバックアップし(ステップS200)、基板60から基板IDを読み取る基板ID読取処理と(ステップS202)、基板位置情報を読み取る基板位置情報読取処理と(ステップS204)を実行する。次に、CPU71は、読み取った基板IDに基づいて管理装置80から各子基板65に対する作業情報を取得する作業情報取得処理を実行する(ステップS206)。ここで、作業情報取得処理は、図9に示すフローチャートを実行することにより行うことができる。作業情報取得処理では、CPU71は、まず、ステップS202による基板IDの読み取りが成功したか否かを判定する(ステップS250)。CPU71は、基板IDの読み取りが成功したと判定すると、読み取った基板IDに基づいて管理装置80から基板IDに関連付けられた子基板相対位置情報とスキップ情報とを取得し(ステップS252)、ステップS204で読み取った基板位置情報と取得した子基板相対位置情報とに基づいて子基板位置情報を導出して(ステップS254)、作業情報取得処理を終了する。前述したように、子基板相対位置は基板位置基準マーク62を基準とした子基板65の相対位置を表すことから、ステップS204で読み取った基板位置情報と子基板相対位置情報とから子基板位置を導出することができる。一方、CPU71は、基板IDの読み取りが失敗したと判定すると、図6の作業情報読取処理と同様の処理、即ち、全ての子基板65に対して、子基板位置基準マーク66をマークカメラ46で撮像して子基板情報を読み取る子基板情報読取処理と、スキップマーク68をマークカメラ46で撮像してスキップ情報を読み取るスキップ情報読取処理とを実行して作業情報読取処理を終了する(ステップS256〜S260)。
CPU71は、こうして全ての子基板65に対して作業情報を取得すると、第1部品実装処理のステップS108〜S120の処理と同様に、スキップ情報としてスキップマークなし情報が関連付けられた子基板65に対しては部品実装作業を行い、スキップ情報としてスキップマークあり情報が関連付けられた子基板65に対しては部品実装作業を行わない(ステップS208〜S220)。そして、CPU71は、ステップS220にて全ての子基板65に対して部品実装作業が完了したと判定すると、基板60のバックアップを解除した後、基板60を払い出して(ステップS222)、第2部品実装処理を終了する。
以上説明した本実施形態の部品実装機10によれば、実装ラインを構成する複数の部品実装機10のうち上流(先頭)の部品実装機10において予めマークカメラ46で読み取った基板60の基板IDと各子基板65の作業情報(スキップ情報,子基板相対位置情報)とを関連付けて管理装置80に予め記憶しておく。そして、下流の部品実装機10は、上流の部品実装機10から搬送されてきた基板60の基板IDをマークカメラ46で読み取り、基板IDの読み取りが成功した場合には、読み取った基板IDに対応する作業情報を管理装置80から取得した上で取得した作業情報に基づいて各子基板65に対して部品実装作業を行い、基板IDの読み取りが失敗した場合には、改めてマークカメラ46で各子基板65毎の作業情報を読み取って読み取った作業情報に基づいて各子基板65に対して部品実装作業を行う。これにより、基板IDの読み取りが成功した場合には、比較的長い時間を要する作業情報の読み取り動作を省略することができ、作業時間をより短縮することができる。一方、基板IDの読み取りが失敗した場合でも、改めて作業情報を読み取ることで部品実装作業を停止することなく継続して実行することができる。即ち、各子基板65毎の作業情報の読み取りを、基板IDの読み取りが失敗した場合に限って行うことで、基板IDの読み取り失敗に伴う部品実装作業の停止を防止しながら、生産性をより向上させることができる。
本実施形態の部品実装機10では、各子基板65の作業情報を表示するマークとして子基板位置基準マーク66とスキップマーク68とを含めるものとしたが、何れか一方だけを含めるものとしてもよいし、これら以外の他のマークを含めるものとしてもよい。
本実施形態の部品実装機10では、基板60に各種マーク(基板位置基準マーク62,基板IDマーク64,子基板位置基準マーク66,スキップマーク68)を付し、これらのマークをマークカメラ46で撮像することにより、得られた画像に基づいて各種情報を取得するものとしたが、これに限定されるものではなく、光や磁気、音など、基板60から出力される情報を読み取ることができるものであれば、如何なる媒体を用いるものとしてもよい。また、位置基準マークとしては基板位置基準マーク64や子基板位置基準マーク66の他、基板60の特定の回路パターン上に部品Pを実装する際の位置基準マークでもよい。
本実施形態の部品実装機10では、下流部品実装機10で全ての子基板65に対して子基板位置基準マーク66およびスキップマーク68をマークカメラ46で撮像して各子基板65の作業情報を取得したが、当該部品実装機10において実装作業を行う際に作業情報が必要となるマークのみをマークカメラ46で撮像するようにしてもよい。
本実施形態の部品実装機10では、複数台の部品実装機10のうち上流の部品実装機10で読み取った基板IDと各子基板65の作業情報とを管理装置80へ送信して記憶させておき、下流の部品実装機10にて上流側から搬送された基板60から基板IDを読み取り、読み取った基板IDに基づいて管理装置80から作業情報を取得して各子基板65に対する部品実装作業を行うものとしたが、これに限定されるものではなく、例えば、生産開始前に、オペレータが管理装置80に対して基板IDと各子基板65の作業情報とを関連付けて入力しておくものとしてもよい。この場合、部品実装ライン1を構成する複数台の部品実装機10のうち先頭の部品実装機10も、搬入された基板60の基板IDを読み取ることで、読み取った基板IDに基づいて管理装置80から各子基板65の作業情報を取得することができる。また、マークカメラ46によって各子基板65の作業情報を読み取る処理を、先頭の部品実装機10ではなく、これよりも上流に設置された読取機を用いて行うものとしてもよい。また、上流側の部品実装機10で読み取った基板IDや各子基板65の作業情報を、上流側の部品実装機10と下流側の部品実装機10との通信により、管理装置80を介することなく下流側の部品実装機10が作業情報を取得するものとしてもよい。
本実施形態では、本発明を部品実装機10に適用して説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、基板60に配線パターンを印刷するスクリーン印刷機2や、基板60に対して部品Pが正常な位置に実装されているか否かを検査する検査機などの他の対基板作業機に適用するものとしてもよい。なお、本発明を検査機に適用する場合、検査装置は、例えば、基板60をカメラで撮像して基板IDと基板位置情報とを読み取り、読み取った基板IDに基づいて管理装置80から子基板相対位置情報とスキップ情報とを取得する。そして、検査装置は、取得した子基板相対位置情報と読み取った基板位置情報とに基づいて子基板位置を導出し、取得したスキップ情報としてスキップマークなし情報が関連付けられた子基板65に対して導出した子基板位置に基づいて予め規定された正常な実装位置を修正した上で部品Pの実装位置が正常であるか否かを検査する。
ここで、本実施形態の主要な要素と発明の概要の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。即ち、部品実装機10が「対基板作業機」に相当し、基板IDマーク64が「識別情報」に相当し、基板位置基準マーク64や子基板位置基準マーク66が「位置基準マーク」に相当し、スキップマーク68が「スキップマーク」に相当し、マークカメラ46が「マーク位置読取手段」および「スキップマーク読取手段」に相当し、図8の第2部品実装処理と図9の作業情報取得処理とを実行する制御装置70のCPU71が「作業実行手段」に相当する。また、通信ネットワーク90が「通信手段」に相当する。
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。