JP2016000826A - オフセット印刷インキ組成物および印刷物 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、インキの流動性および経時安定性ならびに印刷時の乳化安定性に優れたオフセットインキ組成物およびそれを用いた印刷物の提供。【解決手段】非晶質シリカ、ロジン変性フェノール樹脂、植物油類、石油系溶剤および顔料を含有するオフセット印刷インキにおいて、特定の粒子径およびBET比表面面積を有する合成非晶質シリカをインキ全重量に対して0.1〜5重量%含有することを特徴とする酸化重合型オフセットインキ組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、非晶質シリカ、バインダー樹脂、植物油類、石油系溶剤および顔料を含有する酸化重合型オフセット印刷インキ組成物、これを用いたおよび印刷方法に関し、より詳しくは、印刷時の乳化適正、乳化安定性に優れた酸化重合型オフセット印刷インキ組成物および印刷物に関する。
近年オフセット印刷業界では、印刷時の省人化、省力化、自動化、高速化の要求が高まってきていることに合わせて、様々な印刷条件下においてトラブルレスで長時間安定して高品位な印刷物が得られる印刷インキが望まれている。
酸化重合型オフセット印刷とは、紙に印刷後、空気中の酸素によって植物油が酸化固化して乾燥する印刷方法である。近年オフセット印刷業界では、印刷物および印刷作業現場における環境配慮への関心が年々増加してきており,高い環境対応性能を有するインキが求められてきている。例えば長いオフセット印刷の歴史の中で、従来より使用してきた揮発性有機溶剤である石油系溶剤が芳香族成分の含有率が1%未満のアロマフリー溶剤になり、さらには、枯渇資源である石油系溶剤の保護および、より一層環境保全を配慮した揮発性の石油系溶剤を一切含有せず、インキ中からの揮発性有機化合物の排出量を1重量%
以下に抑えたVOCフリータイプのインキ(Non−VOCインキ)のニーズが高まっている。
また、近年、地球温暖化の問題から日常生活や経済活動において避けることができないCO等の温室効果ガスの排出量を削減するカーボンオフセットの考え方が普及し、今まで以上にNon−VOCインキの需要が高まってきている。
VOC(Volatile Organic Compound)とは、常温で揮発しやすい化合物のことであり、米国環境保護庁はVOC測定方法として、110℃1時間の加熱による加熱残分測定を提示しており、実使用に即した測定方法として用いられている。
しかしながら、従来の石油系溶剤成分を使用したオフセット印刷用インキ用樹脂のまま、石油系溶剤成分を植物油類に置き換えただけでは、インキのセット性や乾燥性が著しく低下し、印刷機から出てきた印刷物を積み重ねた際に印刷面が用紙裏面に付着する裏付きや、乾燥した印刷物を高温多湿で保管した際に印刷面が再軟化し他の面に付着するブロッキング現象が発生しトラブルとなる。
これら防止するために、使用樹脂の溶解性を著しく低下させたり、軟化点を著しく向上させたりしてセット性と乾燥性およびブロッキング性のバランスを保つ方法がとられるが、この場合にはインキの流動性が損なわれインキの転移性も劣化する為、印刷適性が著しく劣る結果になり、印刷面の光沢値も十分に得られない。
また、Non−VOCインキに限らず、近年の印刷機の高速化、短納期化に伴い、一般の酸化重合型インキに関しても使用樹脂の分子量や溶解性バランスの見直しが実施されてきた。樹脂物性の変更はンキの乳化適性にも大きな影響を与える。
オフセット水有り印刷では、インキがインキ壷から複数のローラーを経由して版面に供給され、湿し水が水舟から複数のローラーを経由して版面に供給される。版面の画線部は親油性であるのでインキが受理され、版面の非画線部は親水性であるので湿し水で被覆される事により、紙面に画像が形成される。供給されるインキ量と供給される湿し水量が不均衡な場合、印刷トラブルが発生する事がある。例を挙げると、版面の非画線部において湿し水が不足すると非画線残りと一般的に称するパイリング現象や地汚れが発生する。
また、湿し水が過剰に供給されると、水棒絡み、水目、濃度変動、フライング、ローラー余り、ローラー剥げ等の深刻な印刷トラブルが誘発される。これらの印刷トラブルを防止し、優れた印刷紙面を再現する為には、印刷機上でのインキと湿し水の乳化状態を制御し、水幅(印刷機あるいは紙面に対して湿し水に起因するトラブルが発生しない水上がり量の幅)を拡大する印刷インキの処方設計が必要である。近年、オフセット印刷機の性能向上に伴う高速印刷化が益々進行すると共に、印刷用紙の古紙利用比率が上昇しているので、インキと湿し水の需給バランスが変化し、最適かつ安定した乳化状態を保持する事が困難になっている。
特に、植物油類が主体の酸化重合型インキやNon-VOCインキは、湿し水を使用す
るオフセット印刷において、水と油の反発が大きくなることからインキの乳化適性が劣り、印刷機上でインキ中に取り込めなくなった過剰の水が印刷機のローラーを親水化させローラーストリッピングを引き起こしたり、過乳化して転移性が劣りローラー上に余ったインキが、紙幅外の汚れや水元ローラーの汚れを引き起こしやすいという問題もある。
近年では、ローラーストリッピングの改善を目的としてインキ中に取り込めなくなった過剰表面水を減量すべく樹脂面・添加剤面から改良を施し、インキの乳化率を向上させてンキ中に取り込める水の量を多くする方法が取られる場合もあるが、単純にインキの乳化率向上だけでは乳化インキの転移性の劣化からローラー上のインキ余りを引き起こし、最終的にはローラーストリッピングを誘発する現象も起きている。また乳化したインキは版、ブランケットを介して紙に転移されていくが、過剰乳化したインキは紙面上で着肉にムラが発生したり、網点の品質が著しく劣ったりする。
従来より、インキの乳化適性を調整する手法としては、アルコールや界面活性剤等の助剤をインキ中に添加する方法が採られてきた。
特許文献1〜2ではインキ組成中に0.1〜5重量%のジオール類を添加することで乳化適性を向上させ、印刷機上でのトラブル、地汚れを改善する手法が開示されているが、アルコール系の添加剤は乳化後のインキ粘弾性を増幅させる為、超高速領域で印刷がなされるオフセット輪転印刷機では有効な手段であるが、一般的な酸化重合型インキが主に使用される枚葉印刷機ではインキ粘弾性の増加はローラー間でのインキの転移不良、印刷後のレベリング性の劣化による光沢不良を招く恐れがあり有効な手段とは言えない。
特許文献3では、インキ組成中に0.01〜10重量%のダイマージオールを添加する方法が開示されているが、インキに与えられたせん断応力によって乳化のバランスが変化する為、近年の高速化された印刷方式に完全に対応できない。
特許文献4〜6では、界面活性剤を添加して乳化適性を向上させる方法が開示されているが、一般的に低表面張力であるカチオン界面活性剤・アニオン界面活性剤・両性界面活性剤・ノニオン界面活性剤を使用するとインキの表面張力が著しく低下し、インキが湿し水に散りやすくなる為、散り汚れや調量絡み等のトラブルが発生しやすくなる。また界面活性剤を使用したインキをインキ壷上に長時間静置すると流動性が失われ易く、一定の外力を付与しないと流動性が回復されず、壷逃げと一般的に称されるトラブルが誘発される。
加えて、沸点の低いアルコールや界面活性剤等の助剤はVOC成分として大気中排出される為、Non-VOCインキに使用することができないことも挙げられる。
特許文献7では、粉末状シリカを含有することを特徴とする浸透乾燥型平版印刷インキについて開示されているが、内容に具体性がなく、実施例も乏しい為実用性が見られない。
特許文献8では、シリカ、高反応性金属有機化合物、バインダー樹脂、植物油および石油系溶剤を含有するヒートセット型オーバープリントニス組成物について開示されているが、シリカをマット化剤として使用し、特定の高反応性有機化合物との組み合わせでマット効果、耐摩擦性、乳化流動性に優れたオーバープリントニスを提供するものであり、本発明とは目的としている課題が異なる。
特開2000−290576号公報 特開2001−247803号公報 特開平09−25443号公報 特開2007−31477号公報 特開2007−169465号公報 特開2010−229299号公報 特開2005−248058号公報 特開2010−229302号公報
本発明の目的は、インキの流動性および印刷時の乳化安定性に優れた酸化重合型オフセット印刷インキ組成物および印刷物を提供することである。
上記課題を解決するために誠意研究した結果、バインダー樹脂、植物油類、石油系溶剤および顔料を含有する酸化重合型オフセット印刷インキ組成物であって、特定の非晶質シリカを含有する酸化重合型オフセット印刷インキ組成物が、インキの流動性、経時安定性および印刷時の乳化安定性に優れ、過乳化やローラー上のインキ余りを防止することで濃度変動等の少ない安定した印刷物を提供できることを見出し本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、非晶質シリカ、バインダー樹脂、植物油類、石油系溶剤および顔料を含有する酸化重合型オフセット印刷インキ組成物であって、
非晶質シリカが、
平均二次粒子径0.05〜10μm
および
BET比表面積20〜400m2/g
であり、
インキ全重量に対して0.1〜10重量%
含有されていることを特徴とする酸化重合型オフセットインキ組成物に関するものである。
また、本発明は、非晶質シリカが、湿式法または乾式法で製造された合成非晶質シリカであることを特徴とする上記の酸化重合型オフセットインキ組成物に関するものである。
さらに、本発明は、上記バインダー樹脂が、
酸価5〜30(mgKOH/g)、
環球法による軟化点120〜300℃
および
重量平均分子量10000〜100000
であることを特徴とする上記の酸化重合型オフセットインキ組成物に関するものである。
さらに、本発明は、上記の酸化重合型オフセットインキ組成物を基材上に印刷してなる印刷物に関するものである。
本発明が提供する酸化重合型オフセットインキ組成物は、書籍、書籍、チラシ、カタログ等の印刷において、インキの流動性および経時安定性ならびに印刷時の乳化安定性に優れ、従来用いられてきたアルコール系および界面活性剤系の添加剤を使用することなく過乳化やローラー上のインキ余りを防止し濃度変動等の少ない安定した印刷物を提供できる。また過剰な湿し水の供給は印刷物の網点形状の劣化、酸化重合型インキの乾燥不良等引き起こすが、本発明が提供する酸化重合型オフセットインキ組成物はインキの不感脂性を高めることで過剰な湿し水の供給がなくても印刷物の刷り出し汚れを防止できる。
本発明は、揮発性有機溶剤を使用しない環境に配慮したNon−VOCインキへの展開も可能であり、より環境面に配慮した印刷環境、および印刷物を提供することができる。
次に、好ましい実施の形態を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。
シリカは、二酸化ケイ素(SiO)、または、二酸化ケイ素によって構成される物質の総称であり、天然品、合成品の2つに大別できる。さらに天然品、合成品の中でさらに結晶質と非晶質の2種類に分類され、その種類は多く、多岐に渡る分野で使用されている。
シリカは圧力や温度などの条件により、様々な形(結晶多形)をとる。天然結晶質シリカとしては、石英、水晶、珪砂等が、非晶質シリカとしては、珪藻土、活性白土等が挙げられる。また、合成非晶質シリカとしては乾式シリカ、湿式シリカ、シリカゲル等が挙げられる。
合成非晶質シリカは、製法の違いによって乾式法シリカと湿式法シリカに分かれる。乾式法シリカは四塩化ケイ素ガスなどを気相中で燃焼させて製造されたものを称し、湿式法シリカはケイ酸ソーダ水溶液の酸またはアルカリ金属塩による中和、分解反応によって製造されたものを称する。
また、湿式法シリカにおいては、生成過程の違いから沈降法シリカ、ゲル法シリカ等が挙げられる。
沈降法シリカは比較的高温、アルカリ性のpH領域でケイ酸ソーダと鉱酸の中和反応を進めることが特徴であり、シリカ一次粒子の成長を早く進行させ、一次粒子をフロック状に凝集させ沈降させる方法である。近年では、中性のpH領域、低温、高い塩濃度等の条件下で、一次粒子の成長を抑えながら凝集を起させた後、凝集した状態で一次粒子を成長させるような合成手法も取られている。
ゲル法シリカは、酸性のpH領域でケイ酸ソーダと鉱酸の中和反応を進めることが特徴であり、一次粒子の成長を抑えた状態で凝集を起こす。この時、凝集体が形成する3次網目構造により反応液全体が一塊のゲルとなる為、ゲル法シリカと呼ばれている。
湿式法シリカ表面は乾式法シリカ表面と比較してシラノール基が多く一定の親水性を有する。表面シラノール基をポリジメチルシロキサン、メチルクロロシラン、ヘキサメチルジシラサン等のシラン類やシリコーン類で表面処理した疎水シリカも存在する。
本発明に用いられる合成非晶質シリカは、請求項1記載の物性範囲を満たせば乾式法、湿式法どの生成過程でも良い。
また、合成非晶質シリカは物質の最小構成単位である5〜55nmの一次粒子が融着あるいは化学結合し一次粒子凝集体(二次粒子構造)となる。さらに一次粒子凝集体が物理的に凝集し二次凝集体として存在しているが、二次凝集体は各種媒体中で物理的なせん断力を与えることで一次粒子凝集体(二次粒子構造)まで分散することが可能である。本発明の平均二次粒子系は一次粒子凝集体(二次粒子構造)のことを指す。
本発明におけるシリカは、平均二次粒子径が0.05〜10μm、好ましくは0.1〜7.5μm、さらに好ましくは0.2〜5μm、さらに好ましくは0.3〜3μmであることが望ましい。平均二次粒子径が0.05μm未満であると、より粒径の小さい一次粒子の強い結合から成り立っており、粒子が硬く版磨耗が発生しやすくなる。加えて比表面積も大きくなるため、高い吸油性能を有し、インキ化した際に十分な流動性が得られない。また、平均二次粒子径が10μmより大きいと、印刷時のパイリングや、ローラー間での転移不良、インキの着肉不良に繋がる。
また、本発明における非晶質シリカ含有率は、0.1〜10重量%、好ましくは、0.3〜7重量%、さらに好ましくは0.5〜5重量%、さらに好ましくは0.8〜3重量%が望ましい。シリカ含有率が0.1重量%未満であると印刷時の乳化安定性、乳化流動性に効果が見られず、10重量%より大きいとインキの流動性、転移性が損なわれる為好ましくない。
また、本発明におけるシリカは、BET比表面積が20〜400m/g、好ましくは50〜300m/g、さらに好ましくは80〜250m/gであることが望ましい。BET比表面積が20m/g未満であると、酸化重合型オフセットインキに必要な粘弾性を得にくく、また粒径が比較的大きくなることにより、パイリング等の問題を招きやすい懸念がある。また、BET比表面積が400m/gより大きいと、シリカの一次粒子同士の凝集力が強くなりすぎてしまい、分散工程における負荷が大きくなり分散不良、流動性不良、版磨耗性の劣化等の問題が生じる。
本発明における微粒子集合体の平均粒径は、一般的なレーザー回折法、散乱法等により測定して求めることができ、その微粒子集合体の投影面積に等しい円を仮定した時の直径の平均値を平均粒径とする。
また、本発明におけるBET比表面積は、BET式(Brunauer,Emmetand Teller‘s equation)に従って単分子吸着量を測定した比表面積値である。
本発明に用いられるバインダー樹脂としては、ロジン変性フェノール樹脂、石油樹脂、アルキッド樹脂、ロジン変性アルキッド樹脂、石油樹脂変性アルキッド樹脂、ロジンエステル等が挙げられる。好ましくは、ロジン変性フェノール樹脂を使用する。
本発明のロジン変性フェノール樹脂は、ロジンにフェノール‐ホルムアルデヒド初期縮合物(レゾール樹脂)を反応させた後、多価アルコールでエステル化して得られる。一般的にロジン変性フェノール樹脂のロジンとしては、ガムロジン、ウッドロジン、トールロジン、重合ロジン、不均斉化ロジン、水添ロジンなどが挙げられるが、不均斉化ロジン、水添ロジンはそのままではフェノール‐ホルムアルデヒド初期縮合物と反応せず使用できない。重合ロジンはロジン類を重合して得られる樹脂であり、ロジン単体と比較して高い軟化点を有する特徴があるが、コスト面、性能面から単体で使用することは難しい。
ガムロジンは 松の木の幹に傷をつけて分泌する生松脂を採取し、濾過して不純物をとり除き、その後蒸留することにより、低沸点成分のテレピン油(常温で芳香性を有する液状物質)を分離して得られる。
ウッドロジンは、松を伐採した後の切り株を掘り起こし、チップ状にしたものを溶剤で抽出し、溶媒と低沸点成分であるテレピン油を分離した後得られる成分である。
トールロジンは、木材チップに化学薬品を加え、高い温度と圧力の下で分解してパルプ繊維を取り出すクラフト法において、木材として松を用いた場合、樹脂成分が粗トール油(トールとはスウェーデン語で松の油を意味するTallojaに由来する)と呼ばれる副産物として回収され、この粗トール油を精密蒸留することによって得られるロジンである。
多価アルコールとしては、例えば2価の1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオ−ル、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、ジエチレングリコールなどが、また3価以上のグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリエチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、イノシトール、セルロースなどが挙げられる。これら多価アルコールは単独または複数を任意の量比で組み合わせて使用することが可能である。多価アルコールは、残存するカルボン酸に対しOH等量として好ましくは0.5〜1.5、より好ましくは0.9〜1.2添加する。多価アルコールの添加量は得られる樹脂の重量平均分子量、粘度、溶剤/植物油類への溶解性、乳化適性に大きく影響を与え、多価アルコールの添加量が上記より少ない場合には反応速度が低下し反応に時間がかかる恐れがあり、多い場合には必要とされる性能が得られない恐れがある。
上記多価アルコールによるエステル化反応の温度としては、180〜280℃、好ましくは220〜280℃、より好ましくは240〜270℃であるのがよく、酸価が15〜30位になるまで反応させる。さらに必要に応じて、0〜75kPaの減圧にて反応させることも可能である。
上記エステル化反応では、触媒を用いることも可能であり、触媒としては、酸性触媒としてp−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸等のスルホン酸類、硫酸、塩酸等の鉱酸、トリフルオロメチル硫酸、トリフルオロメチル酢酸、ルイス酸等が、さらにテトラブチルジルコネート、テトライソプロピルチタネート等の金属錯体、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化亜鉛等のアルカリ、アルカリ土類金属の酸化物、金属塩触媒等が例示される。これらの触媒は全樹脂中0.01〜1重量%で200℃以上の温度で反応させる。しかし、このような条件では反応物が容易に着色するため、還元剤である次亜リン酸、トリフェニルホスファイト、トリフェニルホスフェート等を併用して着色を防止することもできる
フェノール成分としては、フェノール、p−クレゾール、p−ターシャリーブチルフェノール、p−アミルフェノール、p−オクチルフェノール、p−ノニルフェノール、p−ドデシルフェノール、ビスフェノールAなどのフェノール性水酸基を持つ芳香族化合物が挙げられる。
C4以下のアルキル基を持つフェノール類では、樹脂の軟化点が高くなり、溶解性が著しく劣る。またC9以上のアルキル基を持つフェノール類では、樹脂の溶解性が良くなりすぎてセット性、ブロッキング性の劣化を引き起こす。
ホルムアルデヒド成分としては、ホルマリン、パラホルムアルデヒドなどを使用することができる。フェノール成分1モルに対してアルデヒド成分0.5〜3.0モルを常法により付加・縮合反応させる。
前記フェノール‐ホルムアルデヒド初期縮合物は、レゾール型フェノール樹脂であり、フェノール成分とホルムアルデヒド成分に、これらの合計数量100重量部に対して5〜100重量部、好ましくは10〜50重量部のトルエンまたはキシレンなどの揮発性有機溶剤を添加してアルカリ触媒中で縮合反応させて得ることができる。アルカリ触媒としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等が挙げられる。
さらに、第三成分として、α,β‐エチレン性不飽和二塩基酸で変性したロジン変性フェノール樹脂を使用することも可能である。α,β‐エチレン性不飽和二塩基酸は無水物であってもよく、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、コハク酸、無水コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、ダイマー酸、トリマー酸などが挙げられる。特に好ましくはマレイン酸、またはその無水物が例示される。これらの二塩基酸は、予めa)ロジンと反応させたもの、b)ロジンエステルと反応させたものc)その他の合成反応過程で組み込んだものとして変性することができる。
樹脂酸とα,β−エチレン性不飽和二塩基酸またはその無水物との反応はディールスアルダーまたは重合反応であり、公知の方法で反応させることができる。例えば、ディールスアルダー反応温度は120〜300℃、好ましくは180〜260℃、反応時間は1〜4時間である。
α,β−エチレン性不飽和二塩基酸はロジンに対し0.1〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%添加する。α,β−エチレン性不飽和二塩基酸の添加量は、得られる樹脂の粘度、溶剤/植物油類への溶解性、乳化適性に大きく影響を与え、対ロジンで0.1重量%未満だと、十分な樹脂粘度とインキ化した際の乳化安定性が得られず、10重量%以上だと溶解性が著しく劣ったり、極性基が多くなることで乳化率が極端に上がり、過乳化によるトラブルを招く。
本発明のバインダー樹脂として使用するロジン変性フェノール樹脂は特に限定されず、従来公知のロジン変性フェノール樹脂の製造方法の利用が可能である。具体的には、フェノール‐ホルムアルデヒド付加縮合物は、反応釜に上記フェノール類とアルデヒド類を所定の割合で仕込みさらにトルエン、キシレン等の溶剤をフェノール樹脂の固形分が40〜70重量%となるよう添加し、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、3級アミン類等の公知のアルカリ触媒を用い80〜120℃で3〜8時間反応を続けた後、冷却して水を分離、除去することにより得られる。
本発明では、必要に応じて上記ロジン変性フェノール樹脂にロジン変性マレイン酸樹脂、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂および石油樹脂等を加えてもよい。それらは任意に単独または2種類以上を組み合わせて使用できる。
本発明で使用するバインダー樹脂は、酸価が5〜30(mgKOH/g)、好ましくは5〜25(mgKOH/g)、より好ましくは5〜20(mgKOH/g)であることが望ましい。バインダー樹脂の酸化が5(mgKOH/g)未満であると樹脂の極性が低く、ゲルワニス作成時にアルミキレート等のゲル化剤と反応しないことから、インキの弾性が損なわれ流動過多、網点形状の悪化等印刷品質に影響を与える。また湿し水との乳化適性が劣り、印刷適性に影響を及ぼす。バインダー樹脂の酸化が30(mgKOH/g)より大きいと、石油系溶剤、植物油との相溶性に劣り、インキの流動性や経時安定性が悪くなることと、極性が高くなるために過乳化のトラブルを引き起こす原因となる。
また本発明で使用するバインダー樹脂は、環球法による軟化点が120〜300℃、好ましくは140〜270℃、より好ましくは150〜240℃であることが望ましい。バインダー樹脂の軟化点が120℃未満であると印刷物を積み重ねた場合、ブロッキングを起こし易く、実用的でない。軟化点が300℃より大きいとインキの流動性が損なわれ印刷適性、印刷物の光沢が著しく劣る。
さらに本発明で使用するバインダー樹脂は、重量平均分子量が10000〜100000、好ましくは10000〜80000、より好ましくは10000〜50000であることが望ましい。分子量10000以下ではインキに必要な粘弾性が得られず、100000以上ではインキとしての流動性が不十分となる。
本発明における植物油類とは、植物油および/または植物油由来の化合物であり、グリセリンと脂肪酸とのトリグリセリドにおいて、少なくとも1つの脂肪酸が炭素−炭素不飽和結合を少なくとも1つ有する脂肪酸であるトリグリセリドと、それらのトリグリセリドから飽和または不飽和アルコールとをエステル反応させてなる脂肪酸モノエステル、あるいは植物油の脂肪酸とモノアルコールを直接エステル反応させた脂肪酸モノエステル、エーテル類が挙げられ、再生植物油も使用可能である。植物油類の含有量は印刷インキ組成物の全量に対して1〜60重量%配合される
本発明に関する植物油として代表的ものは、アサ実油、アマニ油、エノ油、オイチシカ油、オリーブ油、カカオ油、カポック油、カヤ油、カラシ油、キョウニン油、キリ油、ククイ油、クルミ油、ケシ油、ゴマ油、サフラワー油、ダイコン種油、大豆油、大風子油、ツバキ油、トウモロコシ油、ナタネ油、ニガー油、ヌカ油、パーム油、ヒマシ油、ヒマワリ油、ブドウ種子油、ヘントウ油、松種子油、綿実油、ヤシ油、落花生油、脱水ヒマシ油などが例示できるとともにそれらの熱重合油および酸素吹き込み重合油なども使用できる。また、本発明ではこれら植物油を単独で用いても良いし、2種以上組み合わせて用いることもできる。
さらに、好適な植物油類を挙げるとすれば、そのヨウ素価が、少なくとも100以上である植物油類が好ましく、さらにヨウ素価120以上の植物油類が、より好ましい。ヨウ素価を120以上とすることで、インキ皮膜の酸化重合による乾燥性を高めることができる。但し、ヨウ素価が100未満の植物油類であっても、インキ中に使用する金属ドライヤーと酸化防止剤の配合比率の調整によりインキ化した際の乾燥性は調整することができる。
また、本発明に用いられる石油系溶剤は、芳香族炭化水素の含有量が1重量%以下の原油由来の溶剤(石油系溶剤)であり、沸点が260〜350℃、好ましくは280℃〜340℃の範囲にあるものがよい。石油系溶剤の沸点が260℃未満の場合には、印刷機上でのインキの溶剤蒸発が多くなり、インキの流動性の劣化により、インキがローラー、ブランケット、版等への転移性が悪くなり好ましくない。また、併用する石油系溶剤の沸点が350℃を越える場合には、インキの乾燥性が劣るため好ましくない。さらに、石油系溶剤は、アニリン点75℃〜95℃が、適当である。アニリン点が75℃未満の場合には、樹脂を溶解させる能力が高すぎる為インキ粘度が低くなりすぎ、地汚れ耐性が充分でなくなる。またアニリン点が95℃を超える場合には、樹脂を溶解させる能力が低すぎる為、インキ粘度が高くなりすぎ、インキ流動性も乏しくなり、ローラー、版、ブランケットへのインキの堆積が起こりやすくなる為、好ましく無い。
本発明に用いられる石油系溶剤は必要に応じて、インキ全量の0〜25重量%、好ましくは0〜20重量%、さらに好ましくは0〜15重量%含有するのが望ましい。但し、環境に配慮したVOCフリーインキの場合には石油系溶剤は使用することができない。
一般的に、VCOフリー以外の印刷インキは、インキ中の不飽和結合を有する植物油類の酸化重合と揮発性の石油系溶剤の浸透により乾燥を行っている事例が多く、印刷時の作業性、印刷後の加工時における作業性等を考慮すると、印刷物上でのセット性、インキの乾燥性についてある程度の速さが必要となる。揮発性の石油系溶剤を一切含まないVOCフリーのインキでは、必然的に溶剤分が全て植物油類になり、石油系溶剤より粘度の高い植物油では紙への毛細管現象による浸透度が遅くなるためインキのセット性が劣るという欠点があった。このような場合、上記記載の植物油に加えて、植物油由来の脂肪酸モノエステルをインキの全重量に対して5〜20重量%含有することが好ましい。5重量%未満であると、十分なセット性が得られず、20重量%を超えると、インキが低粘度化することにより印刷適性が劣化する。
脂肪酸モノエステルとは上記植物油とモノアルコールとをエステル交換したものや植物油の脂肪酸とモノアルコールを直接エステル反応させた脂肪酸モノエステルである。モノアルコールの代表的なものは、メタノール、エタノール、n−またはiso−プロパノール、n,secまたはtet−ブタノール、へプチノール、2−エチルヘキサノール、ヘキサノール、オクタノール、デカノール、ドデカノール等の飽和アルコール、オレイルアルコール、ドデセノール、フイセテリアルコール、ゾンマリルアルコール、ガドレイルアルコール、11−イコセノール、11−ドコセノール、15−テトラコセノール等の不飽和脂肪族系アルコールが挙げられる。
本発明に使用される再生植物油は、以上挙げた植物油等で再生処理可能であるものであれば適用可能である。本発明において、再生される植物油(再生植物油)は、飲食物の製造などに用いた植物油として、飲食店や学校給食、惣菜屋などで天ぷらなどの製造に使用した植物油を回収したものが挙げられるが、これらに限定されるものではなく、使用後の植物油で再生可能なものであれば適用可能である。
また、本発明における植物油の再生処理の方法としては、ろ過、静置による沈澱、活性白土による脱色といった方法が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではなく、適用可能である。
さらに、本発明の酸化重合型オフセットインキ組成物には、必要に応じてゲル化剤、顔料分散剤、金属ドライヤー、乾燥抑制剤、酸化防止剤、耐摩擦向上剤、裏移り防止剤、非イオン系界面活性剤、多価アルコールなどの添加剤を適宜使用することができる。
本発明において使用される顔料としては、一般的な無機顔料および有機顔料を示すことができる。無機顔料としては黄鉛、亜鉛黄、紺青、硫酸バリウム、カドミムレッド、酸化チタン、亜鉛華、弁柄、アルミナホワイト、炭酸カルシウム、群青、カーボンブラック、グラファイト、アルミニウム粉、などを示すことができる。有機顔料としては、アゾ系として、C系(βナフトール系)、2B系および6B系(βオキシナフトエ系)などの溶性アゾ顔料、βナフトール系、βオキシナフトエ酸アニリド系、モノアゾイエロー系、ジスアゾイエロー系、ピラゾロン系などの不溶性アゾ顔料、アセト酢酸アリリド系などの縮合アゾ顔料、フタロシアニン系として、銅フタロシアニン(αブルー、βブルー、εブルー)、塩素、臭素などのハロゲン化銅フタロシアン、金属フリーのフタロシアニン顔料、多環顔料としてペリレン系、ペリノン系、キナクリドン系、チオインジゴ系、ジオキサジン系、イソインドリノン系、キノフタロン系顔料を挙げることができる。顔料の添加量は、オフセット印刷インキの全量に対して5〜30重量%である。
また、本発明の酸化重合型オフセット印刷インキ組成物は、その他添加剤として、耐摩擦、ブロッキング防止、スベリ、スリキズ防止を目的とする各種添加剤を使用することができ、必要に応じて、レベリング剤、帯電防止剤、界面活性剤、消泡剤、等を添加してもよい。
本発明に使用される基材としては、コート紙、非塗工紙等のような一般的な印刷用紙が挙げられる。
本発明において、重量平均分子量は、東ソー(株)製ゲルパーミエイションクロマトグラフィ(HLC−8020。以下GPCと称す。)で測定した。検量線は標準ポリスチレンサンプルにより作成した。溶離液はテトラヒドロフランを、カラムにはTSKgel SuperHM−M(東ソー(株)製)3本を用いた。測定は流速0.6ml/分、注入量10μl、カラム温度40℃で行った。
環球法による軟化点の測定は規格試験法において広く採用されている方法であり、JIS K 2046があげられる。具体的には試料を充てんした黄銅製環を水浴中に水平に保持し、試料の中心に一定重量の鋼球をのせ、一定速度で浴温を上昇させ、試料が次第に軟化し、鋼球が下降し、ついに厚さ25mmの位置の底板に達したときの温度計の示度をもって軟化点とするものである。
以下に、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、以下の実施例は本発明の権利範囲を何ら制限するものではない。なお、本発明において、特に断らない限り、「部」は、「重量部」を表し、「%」は「重量%」を表す。
(ロジン変性フェノール樹脂製造例1)
撹拌機、冷却器、温度計をつけた4つ口フラスコにP−オクチルフェノール1000部、35%ホルマリン850部、93%水酸化ナトリウム60部、トルエン1000部を加えて、90℃で6時間反応させた。その後6N塩酸125部、水道水1000部の塩酸溶液を添加し、撹拌、静置し、上層部を取り出し、不揮発分49%のレゾールタイプフェノール樹脂のトルエン溶液2000部を得て、これをレゾール液Xとした。
次いで、撹拌機、水分分離器付き冷却器、温度計をつけた4つ口フラスコに、ガムロジン1000部を仕込み、窒素ガスを吹き込みながら200℃で溶解し、上記で製造したレゾール液Xを1800部添加し、トルエンを除去しながら230℃で4時間反応させた後、グリセリン110部を仕込み、250℃で12時間反応させた。反応の過程で順次取り出す事により、表1のロジン変性フェノール樹脂AおよびBを得た。
(ロジン変性フェノール樹脂製造例2)
撹拌機、冷却器、温度計をつけた4つ口フラスコにp−ターシャリーブチルフェノール1000部、35%ホルマリン850部、93%水酸化ナトリウム60部、キシレン1000部を加えて、95℃で4時間反応させる。その後6N塩酸125部、水道水1000部の塩酸溶液を添加し、撹拌、静置し、上層部を取り出し、不揮発分52%のレゾールタイプフェノール樹脂のキシレン溶液2000部を得て、これをレゾール液Yとした。
次いで、撹拌機、水分分離器付き冷却器、温度計をつけた4つ口フラスコに、ガムロジン1000部を仕込み、窒素ガスを吹き込みながら200℃で溶解し、レゾール液Yを1400部を添加し、キシレンを除去しながら230℃で4時間反応させた後、ペンタエリスリトール120部を仕込み、240℃で16時間反応させた。反応の過程で順次取り出す事により、表1のロジン変性フェノール樹脂CおよびDを得た。
Figure 2016000826
(ワニス製造例1)
撹拌機、冷却器、温度計をつけた4つ口フラスコにロジン変性フェノール樹脂A(酸価25、軟化点140、重量平均分子量10500)43部、大豆油36部、AFソルベント5号(新日本石油(株)製、アニリン点88℃、沸点範囲279〜307℃)20部を仕込み、190℃に昇温、同温で30分間攪拌した後、放冷し、ゲル化剤としてエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロポキシド1部(川研ファインケミカル(株)製ALCH、以下ALCHと称す)を仕込み、190℃で60分間攪拌して酸化重合型オフセット印刷インキ用ゲルワニス1(以下ワニス1と称す)を得た。
さらに、表2の組成に基づいて、上記と同等のゲルワニス製造方法により、ゲルワニス2〜4(以下ワニス2〜4と称す)を得た。
Figure 2016000826
(ワニス製造例2)
撹拌機、冷却器、温度計をつけた4つ口フラスコにロジン変性フェノール樹脂A46部、再生植物油38部、大豆油脂肪酸ブチルエステル15部を仕込み、190℃に昇温、同温で30分間攪拌した後、放冷し、ALCH1部(川研ファインケミカル(株)製ALCH、以下ALCHと称す)を仕込み、190℃で60分間攪拌して酸化重合型オフセット印刷インキ用ゲルワニス5(以下ワニス5と称す)を得た。
さらに、表3の組成に基づいて、上記と同等のゲルワニス製造方法により、ゲルワニス5〜8(以下ワニス5〜8と称す)を得た。
Figure 2016000826
(インキの製造例)
LIONOL BLUE FG7330(東洋インキ(株)製)を17部、市販の湿式法シリカ1(平均二次粒子径8.5μm、BET比表面積210m/g)を1部、ワニス1を70部、大豆油4.5部、ワックスコンパウンド(東洋インキ(株)製 ニュー耐摩擦コンパウンド)5部、金属ドライヤー(東洋インキ(株)製MKドライヤー)1.5部、乾燥抑制剤(東洋インキ(株)製 乾燥抑制剤CP)1部を添加仕込み、常法に従い
三本ロールを用いて酸化重合型平オフセットインキ組成物の実施例1を得た。
さらに、表4の組成に基づいて、常法に従い三本ロールを用いて酸化重合型平オフセットインキ組成物の実施例2〜8を得た。
Figure 2016000826
同様に、表5の組成に基づいて、常法に従い三本ロールを用いて酸化重合型平オフセットインキ組成物の実施例9〜16を、表6の組成に基づいて比較例1〜8を得た。
Figure 2016000826
Figure 2016000826
以下作製した酸化重合型平オフセットインキ組成物の評価を行った。
<性能評価試験(1) インキ流動性>
生インキを2.1ccの半球状の容器にセットし、60°に傾けた傾斜版の上にインキを垂らし、10分間で流れた長さを測定し以下の評価基準に基づいて評価を行った。値が高いほどインキの流動性が良好であることを示す。
(評価基準)
○:30mm以上
△:5mm以上、30mm未満
×:5mm未満
実用レベルは、△以上である。
<性能評価試験(2) 乳化率>
インキ10gをディスパーで攪拌しながら蒸留水10gを徐々に添加し、1200rpm、3分間強制乳化させる。その後、銅板上でナイフベラを用いて余分な水をかき取り、カールフィッシャー水分系にて乳化率を測定し、以下の評価基準に基づいて評価を行った。
(評価基準)
○:5%以上、15%未満
△:15以上、20%未満
×:20%以上
実用レベルは、△以上である。
<性能評価試験(3) 乳化流動性>
インキ18gをディスパーで攪拌しながら蒸留水2gを徐々に添加し、1200rpm、3分間強制乳化させる。乳化インキを2.1ccの半球状の容器にセットし、60°に傾けた傾斜版の上にインキを垂らし、10分間で流れた長さを測定し以下の評価基準に基づいて評価を行った。値が高いほど乳化したインキの流動性が良好であることを示す。
(評価基準)
○:30mm以上
△:5mm以上、30mm未満
×:5mm未満
実用レベルは、△以上である。
<性能評価試験(4) インキ余り>
小森コーポレーション株式会社製枚葉印刷機リスロン26にて、一般的な絵柄、濃度にて、地汚れが解消する水ダイヤル値から2ポイント上げて印刷し、濃度が安定したところから水ダイヤル値をさらに20ポイント上昇させて印刷機を停止させ、インキローラー上のインキ余りを目視にて観察し以下の評価基準に基づいて評価を行った。
(評価基準)
○:インキ余りが認められず、安定した印刷品質を確保できる
△:インキ余りが認められる
×:インキ余りが顕著に多く、印刷品質に影響を与える
実用レベルは、△以上である。
<性能評価試験(5) 濃度安定性>
小森コーポレーション株式会社製枚葉印刷機リスロン26にて、一般的な絵柄、濃度にて、地汚れが解消する水ダイヤル値から2ポイント上げて印刷し、濃度が安定したところから水ダイヤル値をさらに5ポイント、10ポイント上昇させ、その時の濃度の変化から以下の評価基準に基づいて評価を実施した。
(評価基準)
○:濃度変化の平均が、水ダイヤル5ポイント上昇で±0.05以下、10ポイント
上昇で±0.1以下
△:濃度変化の平均が、水ダイヤル5ポイント上昇で±0.11以下、10ポイント
上昇で±0.2以下
×:濃度変化の平均が、水ダイヤル5ポイント上昇で±0.21以下、10ポイント
上昇で±0.3以下
実用レベルは、△以上である。
(印刷条件)
版:平版用CTP版 HP−F(富士フィルムグラフィックシステムズ株式会社製)
用紙:OKコート(王子製紙株式会社製)
印刷速度:10000枚/時
湿し水:アクワユニティC 2.0%(東洋インキ株式会社製)
濃度:X−Rite938、StatusE、白紙基準、偏光フィルターなしで測定
黄1.40、紅1.50、藍1.60、墨1.75(±0.05の範囲内で調
整)
性能評価試験結果を表7に示す。
Figure 2016000826
合成非晶質シリカが未添加または添加量が少ないと、乳化流動性が著しく悪くなる。逆に添加しすぎると乳化率が極端に上がり乳化後の流動性は問題ないが、生インキの流動性が悪くインキの経時安定性が悪くなる。
以上の様に本発明に関する実施例により、インキの流動性および経時安定性ならびに印刷時の乳化安定性に優れたオフセットインキを提供することを見出した。
(インキの製造例)
LIONOL BLUE FG7330(東洋インキ(株)製)を17部、市販の湿式法シリカ1(平均二次粒子径8.5μm、BET比表面積210m2/g)を1部、ワニス1を70部、大豆油4.5部、ワックスコンパウンド(東洋インキ(株)製 ニュー耐摩擦コンパウンド)5部、金属ドライヤー(東洋インキ(株)製MKドライヤー)1.5部、乾燥抑制剤(東洋インキ(株)製 乾燥抑制剤CP)1部を添加仕込み、常法に従い
三本ロールを用いて酸化重合型平オフセットインキ組成物の実施例1を得た。
さらに、表4の組成に基づいて、常法に従い三本ロールを用いて酸化重合型平オフセットインキ組成物の実施例2〜8を得た。なお本明細書において実施例1〜6、9〜16は、参考例である。

Claims (4)

  1. 非晶質シリカ、バインダー樹脂、植物油類、石油系溶剤および顔料を含有する酸化重合型オフセット印刷インキ組成物であって、
    非晶質シリカが、
    平均二次粒子径0.05〜10μm
    および
    BET比表面積20〜400m2/g
    であり、かつ、
    インキ全重量に対して、0.1〜10重量%
    含有されていることを特徴とする酸化重合型オフセットインキ組成物。
  2. 非晶質シリカが、湿式法または乾式法で製造された合成非晶質シリカであることを特徴とする請求項1記載の酸化重合型オフセットインキ組成物。
  3. バインダー樹脂が、
    酸価5〜30(mgKOH/g)、
    環球法による軟化点120〜300℃
    および
    重量平均分子量10000〜100000
    であることを特徴とする請求項1または2に記載の酸化重合型オフセットインキ組成物。
  4. 請求項1〜3いずれか記載の酸化重合型オフセットインキ組成物を基材上に印刷してなる印刷物。
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