JP2016000673A - 結晶育成用r面サファイア基板とr面サファイア基板の洗浄方法 - Google Patents
結晶育成用r面サファイア基板とr面サファイア基板の洗浄方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】半導体装置用のシリコン結晶膜を製造する際、歩留まりの低下を引き起こす基板表面の重金属(Ti,Fe,Ni,Cu,Zn)に関して濃度の低減が図られた結晶育成用r面サファイア基板とその洗浄方法を提供する。
【解決手段】エピタキシャル成長法によりシリコン等の結晶膜を育成するために用いられかつ基板主面の面方位がr面である結晶育成用r面サファイア基板であって、上記基板主面を全反射蛍光X線分析(TXRF)で測定した基板表層におけるFe濃度とNi濃度が1×1010atms/cm2以下であることを特徴とし、r面サファイア基板の洗浄方法は基板主面を、フッ化水素酸を含む洗浄液で洗浄した後、濃度が0.0001規定以上である塩酸を含む第二洗浄液を用いて再洗浄することを特徴とする。
【選択図】なし
【解決手段】エピタキシャル成長法によりシリコン等の結晶膜を育成するために用いられかつ基板主面の面方位がr面である結晶育成用r面サファイア基板であって、上記基板主面を全反射蛍光X線分析(TXRF)で測定した基板表層におけるFe濃度とNi濃度が1×1010atms/cm2以下であることを特徴とし、r面サファイア基板の洗浄方法は基板主面を、フッ化水素酸を含む洗浄液で洗浄した後、濃度が0.0001規定以上である塩酸を含む第二洗浄液を用いて再洗浄することを特徴とする。
【選択図】なし
Description
本発明は、半導体装置用のシリコン単結晶膜等を育成するために用いられる結晶育成用r面サファイア基板に係り、特に、半導体装置を製造する際に歩留まり低下の原因となる基板表面の金属不純物に関して、金属不純物濃度の低減が図られた結晶育成用r面サファイア基板とr面サファイア基板の洗浄方法に関するものである。
従来からサファイア基板は、青色発光ダイオードのエピタキシャル用基板(すなわち、結晶育成用のサファイア基板)として用いられてきた。また、青色発光ダイオード以外に、近年、薄いシリコン単結晶膜をサファイア基板上に成長させて半導体装置を製造する用途が提案されている(特許文献1参照)。
そして、上記青色発光ダイオードのエピタキシャル用基板(結晶育成用サファイア基板)として使用されるサファイア基板における主面(すなわち、基板主面)の面方位は、{0001}c面から0.00°以上1.00°以下傾いた面である。他方、上記半導体装置用のシリコン単結晶膜を育成させるサファイア基板における主面(基板主面)の面方位は、{1−102}r面から0.00°以上2.00°以下傾いた面である。
このような{0001}c面サファイア基板並びに{1−102}r面サファイア基板を製造するには、チョクラルスキー法等によってサファイア単結晶インゴットを作製し、次いで、サファイア単結晶インゴットを加工して{0001}c面、{1−102}r面等の結晶方位を表面に持ったウエハー形状のサファイア基板を得る方法が一般的である。
より具体的に説明すると、サファイア単結晶インゴットからウエハー形状のサファイア基板へと加工するプロセスには、上記インゴットをスライシングする「ウエハースライス工程」、ベベリングと称される「面取り工程」、基板の厚さ、形状を調整する「ラッピング工程」、基板の反り形状を制御するための「アニーリング工程」、基板表面を平坦にする「ポリッシング工程」、および、基板主面を洗浄する「洗浄工程」等が存在する。
ところで、基板主面の面方位が{1−102}r面であるシリコン単結晶膜育成用のr面サファイア基板の「洗浄工程」に関し、基板主面の面方位が{0001}c面であるc面サファイア基板の「洗浄工程」と同様、0.25規定のフッ化水素酸を含む洗浄液で洗浄して研磨剤のコロイダルシリカを除去した後、洗浄後における基板主面を全反射蛍光X線分析(TXRF)で測定したところ、従来のc面サファイア基板での洗浄結果と異なり、r面サファイア基板においては重金属による汚染濃度が増加している現象が確認された。
このような現象が生ずる原因に関して、当初、c面サファイア基板とr面サファイア基板とで上述した基板加工のプロセスを一部変更していたため、r面サファイア基板においては、加工プロセスの違いから重金属の汚染濃度が増加したものと考えられていた。
そこで、c面サファイア基板とr面サファイア基板の加工プロセスを統一し、かつ、r面サファイア基板の「洗浄工程」を経た後、上述の全反射蛍光X線分析(TXRF)による測定を行ったが、r面サファイア基板における重金属の汚染濃度が増加する傾向は依然として変わらなかった。この原因として、青色発光ダイオードのエピタキシャル用基板に用いられるc面サファイア基板のc面と較べて、半導体装置の製造に用いられるr面サファイア基板におけるr面が重金属元素との親和性が高いためではないかと推察された。
尚、重金属により汚染されたr面サファイア基板をシリコン単結晶膜の育成に使用した場合、汚染物質である重金属と上記r面に育成されるシリコンとで化合物を生成するため、絶縁性シリコンの絶縁が破壊されてリーク電流を生じ、半導体装置としての素子が本来の機能を果たさなくなる問題が発生する。
本発明はこのような問題点に着目してなされたもので、その課題とするところは、半導体装置を製造する際に歩留まり低下の原因となる基板表面の重金属(具体的には、Ti,Fe,Ni,Cu,Zn)についてその濃度の低減が図られた結晶育成用r面サファイア基板を提供し、かつ、上記重金属(Ti,Fe,Ni,Cu,Zn)濃度の低減が図れるr面サファイア基板の洗浄方法を提供することにある。
そこで、上記課題を解決するため、半導体装置の製造に用いられるr面サファイア基板の洗浄方法について本発明者等が鋭意検討した結果、重金属(特に、FeとNi)を除去するには、塩酸を含む洗浄液を使用することが有効であることを見出すに至った。
本発明はこのような技術的発見に基づき完成されている。
すなわち、結晶育成用r面サファイア基板に係る第1の発明は、
エピタキシャル成長法により結晶膜を育成するために用いられかつ基板主面の面方位がr面である結晶育成用r面サファイア基板において、
上記基板主面を全反射蛍光X線分析(TXRF)で測定した基板表層におけるFe濃度とNi濃度がそれぞれ1×1010atms/cm2以下であることを特徴とし、
また、第2の発明は、
第1の発明に記載された結晶育成用r面サファイア基板において、
上記基板主面を全反射蛍光X線分析(TXRF)で測定した基板表層におけるTi濃度とCu濃度およびZn濃度がそれぞれ1×1010atms/cm2以下であることを特徴とする。
エピタキシャル成長法により結晶膜を育成するために用いられかつ基板主面の面方位がr面である結晶育成用r面サファイア基板において、
上記基板主面を全反射蛍光X線分析(TXRF)で測定した基板表層におけるFe濃度とNi濃度がそれぞれ1×1010atms/cm2以下であることを特徴とし、
また、第2の発明は、
第1の発明に記載された結晶育成用r面サファイア基板において、
上記基板主面を全反射蛍光X線分析(TXRF)で測定した基板表層におけるTi濃度とCu濃度およびZn濃度がそれぞれ1×1010atms/cm2以下であることを特徴とする。
次に、r面サファイア基板の洗浄方法に係る第3の発明は、
r面サファイア基板を洗浄して結晶育成用r面サファイア基板を製造するr面サファイア基板の洗浄方法において、
上記基板主面を、フッ化水素酸を含む洗浄液で洗浄した後、濃度が0.0001規定以上である塩酸を含む第二洗浄液を用いて再洗浄することを特徴とし、
第4の発明は、
第3の発明に記載されたr面サファイア基板の洗浄方法において、
上記第二洗浄液が、0.01〜1.00重量%のカルボン酸を含有していることを特徴とし、
また、第5の発明は、
第4の発明に記載されたr面サファイア基板の洗浄方法において、
上記カルボン酸がクエン酸であることを特徴とするものである。
r面サファイア基板を洗浄して結晶育成用r面サファイア基板を製造するr面サファイア基板の洗浄方法において、
上記基板主面を、フッ化水素酸を含む洗浄液で洗浄した後、濃度が0.0001規定以上である塩酸を含む第二洗浄液を用いて再洗浄することを特徴とし、
第4の発明は、
第3の発明に記載されたr面サファイア基板の洗浄方法において、
上記第二洗浄液が、0.01〜1.00重量%のカルボン酸を含有していることを特徴とし、
また、第5の発明は、
第4の発明に記載されたr面サファイア基板の洗浄方法において、
上記カルボン酸がクエン酸であることを特徴とするものである。
本発明に係る結晶育成用r面サファイア基板によれば、
サファイア基板の主面を全反射蛍光X線分析(TXRF)で測定した基板表層におけるFe濃度とNi濃度がそれぞれ1×1010atms/cm2以下であり、従来のr面サファイア基板と比較して重金属による汚染濃度が極めて低いため、r面サファイア基板の主面上に半導体装置用シリコン単結晶膜を歩留り良く育成することが可能となる。
サファイア基板の主面を全反射蛍光X線分析(TXRF)で測定した基板表層におけるFe濃度とNi濃度がそれぞれ1×1010atms/cm2以下であり、従来のr面サファイア基板と比較して重金属による汚染濃度が極めて低いため、r面サファイア基板の主面上に半導体装置用シリコン単結晶膜を歩留り良く育成することが可能となる。
また、本発明に係るr面サファイア基板の洗浄方法によれば、
r面サファイア基板の主面をフッ化水素酸を含む洗浄液で洗浄した後、濃度が0.0001規定以上である塩酸を含む第二洗浄液を用いて再洗浄しているため、洗浄後における基板主面を全反射蛍光X線分析(TXRF)で測定した基板表層におけるFe濃度とNi濃度についてそれぞれ1×1010atms/cm2以下に低減させることが可能となる。
r面サファイア基板の主面をフッ化水素酸を含む洗浄液で洗浄した後、濃度が0.0001規定以上である塩酸を含む第二洗浄液を用いて再洗浄しているため、洗浄後における基板主面を全反射蛍光X線分析(TXRF)で測定した基板表層におけるFe濃度とNi濃度についてそれぞれ1×1010atms/cm2以下に低減させることが可能となる。
以下、本発明の実施の形態について具体的に説明する。
(1)サファイアインゴットからサファイア基板の洗浄工程までに至るプロセス
サファイア基板の洗浄工程までに至る加工プロセスは以下の通りである。
サファイア基板の洗浄工程までに至る加工プロセスは以下の通りである。
(1-1)ウエハースライス工程
チョクラルスキー法等の育成法によって製造されたサファイア単結晶インゴットを、所望の基板厚さより0.1〜0.4mm厚くスライシングしてウエハー(基板)形状に加工する。スライシングを行う際には、所望とする面方位に合わせるためX線方位測定器等を用いて基板主面の方位を調整し、かつ、ダイヤモンドに代表されるサファイアより硬質の材料が表面に塗布されたワイヤーを使用してスライシング加工する。
チョクラルスキー法等の育成法によって製造されたサファイア単結晶インゴットを、所望の基板厚さより0.1〜0.4mm厚くスライシングしてウエハー(基板)形状に加工する。スライシングを行う際には、所望とする面方位に合わせるためX線方位測定器等を用いて基板主面の方位を調整し、かつ、ダイヤモンドに代表されるサファイアより硬質の材料が表面に塗布されたワイヤーを使用してスライシング加工する。
(1-2)面取り工程
続いて、基板加工における特に基板エッジ部分に発生するカケを防止するため、ベベリングと称される面取り加工を行う。ベベリングを行う際には、ダイヤモンドでコートされた砥石を用いる。
続いて、基板加工における特に基板エッジ部分に発生するカケを防止するため、ベベリングと称される面取り加工を行う。ベベリングを行う際には、ダイヤモンドでコートされた砥石を用いる。
(1-3)ラッピング工程
続いて、基板の厚さ、基板の形状を調整するためラッピングを行う。片面のみがポリッシングされた基板の場合には、基板裏面の粗さ調整を兼ねる場合もある。ラッピング工程では、上下の定盤間に基板を挟み込み、かつ、ギアの切られたキャリアと呼ばれる保持材により基板を定盤の間で回転運動させながら、シリコンカーバイトの砥粒が含まれたラップ液を流し込み、すり合わせながら基板を加工する。尚、ラッピング工程と上記ベベリング工程の順番は入れ替わることもある。
続いて、基板の厚さ、基板の形状を調整するためラッピングを行う。片面のみがポリッシングされた基板の場合には、基板裏面の粗さ調整を兼ねる場合もある。ラッピング工程では、上下の定盤間に基板を挟み込み、かつ、ギアの切られたキャリアと呼ばれる保持材により基板を定盤の間で回転運動させながら、シリコンカーバイトの砥粒が含まれたラップ液を流し込み、すり合わせながら基板を加工する。尚、ラッピング工程と上記ベベリング工程の順番は入れ替わることもある。
(1-4)アニーリング工程
続いて、基板の反り形状を制御するためアニーリングを行う。基板の厚さ、所望とする形状に応じて温度、時間を調整する。
続いて、基板の反り形状を制御するためアニーリングを行う。基板の厚さ、所望とする形状に応じて温度、時間を調整する。
(1-5)ポリッシング工程
そして、基板表面を原子レベルで平坦にするためポリッシングを行う。ポリッシングにはコロイダルシリカ(研磨剤)が使用され、コロイダルシリカをパッドと呼ばれる研磨紙に含浸させながら圧力をかけてポリッシング(研磨)を行う。
そして、基板表面を原子レベルで平坦にするためポリッシングを行う。ポリッシングにはコロイダルシリカ(研磨剤)が使用され、コロイダルシリカをパッドと呼ばれる研磨紙に含浸させながら圧力をかけてポリッシング(研磨)を行う。
(2)洗浄工程
基板主面の面方位が{1−102}r面である半導体装置製造用のシリコン結晶膜を育成させるr面サファイア基板に対して、基板主面の面方位が{0001}c面である青色発光ダイオード製造用の結晶膜を育成させるc面サファイア基板と同様、フッ化水素酸を含む洗浄液で洗浄しコロイダルシリカ(研磨剤)を除去した後、基板主面を全反射蛍光X線分析(TXRF)で測定すると、r面サファイア基板においては、上述したように重金属元素が従来のc面サファイア基板を上回る水準で確認される。
基板主面の面方位が{1−102}r面である半導体装置製造用のシリコン結晶膜を育成させるr面サファイア基板に対して、基板主面の面方位が{0001}c面である青色発光ダイオード製造用の結晶膜を育成させるc面サファイア基板と同様、フッ化水素酸を含む洗浄液で洗浄しコロイダルシリカ(研磨剤)を除去した後、基板主面を全反射蛍光X線分析(TXRF)で測定すると、r面サファイア基板においては、上述したように重金属元素が従来のc面サファイア基板を上回る水準で確認される。
この現象に対し、フッ化水素酸を含む洗浄液による従来の洗浄に加えて、塩酸を含む洗浄液を用いて再洗浄することにより、重金属元素の除去が可能となることを本発明者等は発見している。
すなわち、本発明は、c面サファイア基板の洗浄に従前から使用されているフッ化水素酸を含む洗浄液を用いてr面サファイア基板の主面を洗浄し、然る後、塩酸を含む第二洗浄液を用いてr面サファイア基板を再洗浄することを特徴としている。
尚、上記第二洗浄液における塩酸の濃度は0.0001規定以上であることを必要とし、好ましくは0.0001〜1規定であるとよい。
また、第二洗浄液内にカルボン酸を添加した場合、上記重金属元素を除去する能力が向上し、更に、重金属元素が基板主面に再付着してしまう現象を防止できる効果も得られる。そして、カルボン酸としてはクエン酸が好ましく、かつ、0.01〜1.00重量%のカルボン酸を含有することが好ましい。
ところで、青色発光ダイオード製造用の結晶膜を育成させる従来のc面サファイア基板において除去される重金属元素がr面サファイア基板において除去されないのは、r面サファイア基板においては基板主面の面方位が{0001}c面と異なるため、基板表面のイオンに対する吸着性が変化し、重金属元素が除去され難くなったためと考えられる。特に、FeとNiにおいてこの傾向が顕著である。
また、r面サファイア基板に対する洗浄工程の設計においては、シリコン基板に対する洗浄方法を参考にしている。しかし、シリコン基板と異なり、化学的に安定なサファイア基板においてはシリコンのように過酸化水素によるエッチングの効果が期待できないため、使用する超純水や薬品の金属汚染に対し厳しい管理が求められる。
(3)「洗浄工程」後に要求される基板表層における重金属元素の濃度
半導体装置の製造において重金属元素の清浄度として求められる水準は1×1010atms/cm2以下であり、r面サファイア基板に対して従来のc面サファイア基板と同様の方法で洗浄を行った場合、重金属元素の清浄度として求められる上記水準を満たさないことが確認され、半導体装置の製造において歩留まりを悪化させてしまうことを本発明者等は把握している。
半導体装置の製造において重金属元素の清浄度として求められる水準は1×1010atms/cm2以下であり、r面サファイア基板に対して従来のc面サファイア基板と同様の方法で洗浄を行った場合、重金属元素の清浄度として求められる上記水準を満たさないことが確認され、半導体装置の製造において歩留まりを悪化させてしまうことを本発明者等は把握している。
尚、基板最表面の重金属による汚染濃度を分析するには、全反射蛍光X線分析(TXRF)法、および、気相分解誘導結合プラズマ質量分析(VPD ICP−MS)法が定量下限も109atms/cm2と低く有効である。また、より定量下限の低い測定法として、気相分解全反射蛍光X線分析(VPD TXRF)法による測定を行うことも可能である。
但し、r面サファイア基板の主面が、全反射蛍光X線分析(TXRF)法とは相違する気相分解誘導結合プラズマ質量分析(VPD ICP−MS)法や気相分解全反射蛍光X線分析(VPD TXRF)法で測定され、かつ、測定された基板表層におけるFe濃度とNi濃度がそれぞれ1×1010atms/cm2以下である要件を満たさない場合でも、全反射蛍光X線分析(TXRF)で測定した基板表層におけるFe濃度とNi濃度がそれぞれ1×1010atms/cm2以下である要件を満たす場合には、当該r面サファイア基板は本発明の技術的範囲に当然のことながら含まれる。
以下、本発明の実施例について比較例を挙げて詳細に説明する。
(1)サファイア基板の原材料
サファイア基板の原材料として、純度が99.99%以上でかつr軸方向に打ち抜いたサファイアインゴットを用いた。尚、上記インゴットは、直径が150mmのJEITA規格のオリエンテーションフラットが付いたものを使用した。
サファイア基板の原材料として、純度が99.99%以上でかつr軸方向に打ち抜いたサファイアインゴットを用いた。尚、上記インゴットは、直径が150mmのJEITA規格のオリエンテーションフラットが付いたものを使用した。
(2)r面サファイア基板を得るまでの加工プロセス
まず、基板に加工するため、上記インゴットを板厚0.9mmとなるようスライシングを行い、その後、基板の厚さが0.65mmとなるようラッピングを行った。
まず、基板に加工するため、上記インゴットを板厚0.9mmとなるようスライシングを行い、その後、基板の厚さが0.65mmとなるようラッピングを行った。
次に、基板のカケを防止するベベリングを行った後、ポッリシング後における基板の反りが40μm以下となるようアニーリングを行った。
尚、上記アニーリングは、基板の反り形状を40.0μm以下に抑える目的でなされ、炉内の設定温度を1000〜1400℃の範囲に設定し、かつ、アニーリング時間を6〜48時間の範囲に調整して大気雰囲気中で行った。
最後に、基板の厚さが0.625mmとなるようポリッシングを行い、r面サファイア基板を準備した。
(3)r面サファイア基板の洗浄工程
次に、準備されたr面サファイア基板に対し、c面サファイア基板の洗浄に用いられている従来の洗浄液(濃度0.25規定のフッ化水素酸を含む洗浄液)を用いて洗浄を実施した後、以下の表1に記載した通りの「酸」および「添加物」が含まれる実施例1〜10および比較例1〜15に係る第二洗浄液を用いてr面サファイア基板を再洗浄した。
次に、準備されたr面サファイア基板に対し、c面サファイア基板の洗浄に用いられている従来の洗浄液(濃度0.25規定のフッ化水素酸を含む洗浄液)を用いて洗浄を実施した後、以下の表1に記載した通りの「酸」および「添加物」が含まれる実施例1〜10および比較例1〜15に係る第二洗浄液を用いてr面サファイア基板を再洗浄した。
『金属不純物に対する清浄度の評価』
r面サファイア基板表面における金属不純物に対する清浄度の評価を行うに際し、トレックス社製の全反射蛍光X線分析(TXRF)装置を使用し、かつ、r面サファイア基板の中心と、オリエンテーションフラットと水平方向に基板中央から50mmずらした2点を測定した。
r面サファイア基板表面における金属不純物に対する清浄度の評価を行うに際し、トレックス社製の全反射蛍光X線分析(TXRF)装置を使用し、かつ、r面サファイア基板の中心と、オリエンテーションフラットと水平方向に基板中央から50mmずらした2点を測定した。
そして、r面サファイア基板表面における金属不純物に対する清浄度の評価は、実施例1〜10および比較例1〜15に係る第二洗浄液を用いて再洗浄したr面サファイア基板に対して各10枚評価し、各種評価金属(Ti,Fe,Ni,Cu,Zn)に対して10枚全てで検出下限以下であれば「◎」、10枚全てで1×1010atms/cm2以下であれば「○」、10枚中に1枚でも1×1010atms/cm2を超えるものがあれば「△」、10枚中全て1×1010atms/cm2を超えた場合は「×」印を付して判定した。
以下の表2に実施例1〜10および比較例1〜15の評価結果を示す。
『評価結果』
(1)実施例
(1-1)表2に示す結果から、実施例1〜10に係る第二洗浄液を用いて再洗浄したr面サファイア基板については、重金属元素が1×1010atms/cm2以下に除去されている効果が確認された。
(1)実施例
(1-1)表2に示す結果から、実施例1〜10に係る第二洗浄液を用いて再洗浄したr面サファイア基板については、重金属元素が1×1010atms/cm2以下に除去されている効果が確認された。
(1-2)また、実施例1〜2に係る第二洗浄液においては、塩酸の濃度が高い(実施例1では濃度1規定、実施例2では濃度0.1規定)ため、実施例3〜5に係る第二洗浄液(実施例3では濃度0.01規定、実施例4では濃度0.001規定、実施例5では濃度0.0001規定)を用いた再洗浄と比較し、重金属元素を除去する能力が高く、全ての重金属元素(Ti,Fe,Ni,Cu,Zn)が検出限界以下であった。
(1-3)また、実施例6〜10に係る第二洗浄液においては、クエン酸が添加されているため、クエン酸を含まない実施例1〜5に係る第二洗浄液を用いた再洗浄と比較して重金属元素を除去する能力が向上していることが確認される。
(1-4)但し、実施例1および実施例6に第二洗浄液においては塩酸の濃度が1規定と極めて高いため第二洗浄液から塩酸の蒸気が確認され、周辺機器が腐食されかつ人体への影響が若干懸念される。
(2)比較例
(2-1)比較例1においては、従来の洗浄液(濃度0.25規定のフッ化水素酸を含む洗浄液)を用いた洗浄後、酸が含まれる第二洗浄液を用いた再洗浄がなされていないため、r面サファイア基板表面にFe元素が大量に残留(「×」の評価)し、かつ、Ni元素も残留(「△」の評価)していた。
(2-1)比較例1においては、従来の洗浄液(濃度0.25規定のフッ化水素酸を含む洗浄液)を用いた洗浄後、酸が含まれる第二洗浄液を用いた再洗浄がなされていないため、r面サファイア基板表面にFe元素が大量に残留(「×」の評価)し、かつ、Ni元素も残留(「△」の評価)していた。
(2-2)比較例2〜5に係る第二洗浄液においては塩酸の濃度が低い(比較例2〜3では濃度0.00005規定、比較例4〜5では濃度0.00001規定)ため、クエン酸の有無に拘らずr面サファイア基板表面からFe元素を十分に除去すること(比較例2〜3は「△」の評価、比較例4〜5は「×」の評価)はできなかった。
(2-3)比較例6〜8に係る第二洗浄液においては、塩酸の替わりに硝酸が使用されているため、r面サファイア基板表面からFe元素を除去すること(比較例6〜8は「×」の評価)ができなかった。
(2-4)比較例9〜10に係る第二洗浄液は、塩酸の替わりに硝酸が使用されている比較例6〜7に係る第二洗浄液にクエン酸を1重量%添加した組成になっている。
そして、クエン酸が添加されたことによりFe元素を除去する能力が上がったものの、十分に除去すること(比較例9〜10は「△」の評価)はできなかった。
(2-5)比較例11〜13に係る第二洗浄液においては、塩酸の替わりに硫酸を使用したため、r面サファイア基板表面からNi元素を十分に除去すること(比較例11〜13は「△」の評価)ができず、かつ、Fe元素に対しても十分に除去する能力は得られなかった(比較例11〜12は「〇」の評価、比較例13は「△」の評価)。
(2-6)比較例14〜15に係る第二洗浄液は、塩酸の替わりに硫酸が使用されている比較例11〜12に係る第二洗浄液にクエン酸を1重量%添加した組成になっている。
しかし、重金属元素を除去する能力は改善されなかった(比較例11〜12と同様、Fe元素に対しては「〇」の評価、Ni元素に対しては「△」の評価)。
本発明に係る結晶育成用r面サファイア基板によれば、従来のr面サファイア基板と比較して重金属による汚染濃度が極めて低く、r面サファイア基板の主面上に半導体装置用シリコン単結晶膜を歩留り良く育成することができるため、シリコン半導体装置の製造等に利用される産業上の利用可能性を有している。
Claims (5)
- エピタキシャル成長法により結晶膜を育成するために用いられかつ基板主面の面方位がr面である結晶育成用r面サファイア基板において、
上記基板主面を全反射蛍光X線分析(TXRF)で測定した基板表層におけるFe濃度とNi濃度がそれぞれ1×1010atms/cm2以下であることを特徴とする結晶育成用r面サファイア基板。 - 上記基板主面を全反射蛍光X線分析(TXRF)で測定した基板表層におけるTi濃度とCu濃度およびZn濃度がそれぞれ1×1010atms/cm2以下であることを特徴とする請求項1に記載の結晶育成用r面サファイア基板。
- r面サファイア基板を洗浄して結晶育成用r面サファイア基板を製造するr面サファイア基板の洗浄方法において、
上記基板主面を、フッ化水素酸を含む洗浄液で洗浄した後、濃度が0.0001規定以上である塩酸を含む第二洗浄液を用いて再洗浄することを特徴とするr面サファイア基板の洗浄方法。 - 上記第二洗浄液が、0.01〜1.00重量%のカルボン酸を含有していることを特徴とする請求項3に記載のr面サファイア基板の洗浄方法。
- 上記カルボン酸がクエン酸であることを特徴とする請求項4に記載のr面サファイア基板の洗浄方法。
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